中国の問題-2021年1月~8月
2021.08.29-産経新聞-https://www.sankei.com/article/20210829-Q3R3CGPNYFMLDJ6MIWQWTF2CHA/
中国の駐アフガン大使がタリバン幹部と接触「積極的に協調」
【北京=三塚聖平】中国メディアによると、
中国の王愚(おう・ぐ)駐アフガニスタン大使は29日までに、アフガンで実権を掌握したイスラム原理主義勢力タリバンの幹部と接触していることを明らかにした。各国がアフガンの首都カブールにある大使館を閉鎖する中、中国は大使館業務を続けてタリバンへの影響力を強めている。
中国国営中央テレビ(電子版)が28日に行ったインタビューによると、王氏は「
タリバンの関係する責任者と積極的に意思疎通や協調している」と述べた。その上で「
(タリバンは)アフガンにいる中国公民や組織、企業が有する財産の安全を確実に保証すると承諾している」と発言した。
中国は、タリバンが主導する政権移行を見守る構えを見せており、タリバン側も中国を重視する姿勢を示しているもようだ。
王氏は、中国の巨大経済圏構想「
一帯一路」について言及し、「
アフガンは既に一帯一路から利益や、初期の成果を得ている」と強調した。さらに「
将来、中国はアフガンが地理的優位を発揮することを援助する」と述べるなど、
アフガン側にさらなる経済支援を行うことを示唆している。
2021.08.17-SankeiBiz-https://www.sankeibiz.jp/macro/news/210817/mcb2108171807014-n1.htm
中国、アフガンめぐり米露外相と相次ぎ電話会談 主導権確保へ着々
【北京=三塚聖平】
中国の王毅(おうき)国務委員兼外相は16日、
アフガニスタン情勢をめぐりブリンケン米国務長官と電話会談し、「
アフガンを再びテロを引き起こす地にしてはならない」と述べ、「
軟着陸」に向け米国と協力する意向を示した。王氏は同日、
ロシア外相とも電話会談し、内外で批判にさらされるバイデン米政権を横目に、主導権確保へ着々と手を打っている。
中国外務省によると、王氏は米側が「
強権と軍事手段」で「外来のモデルを無理に当てはめようとした」と米国のアフガン政策を強く批判。「教訓は反省に値する」と間接的に米国の対外政策全般の修正を求めた。その上で、「
中国の正当な権益を損なおうとたくらむ一方で、中国の支持や協力を頼ることはできない」と述べ、バイデン米政権が進める「
中国包囲網」にくぎを刺した。
中国は、アフガンで実権を掌握したイスラム原理主義勢力タリバンとパイプを持つ。アフガンの首都カブールにある米大使館は全職員が退避して空港に移動したのに対し、
中国大使館は業務を継続。中国はタリバンによる政権掌握を事実上容認し、影響力を強める構えを見せる。
米国がアフガンに対する影響力を急速に失墜させる中、米国への協力姿勢を示してアフガン情勢を対米交渉のカードに使っていく思惑がうかがわれる。
中国は、新疆(しんきょう)ウイグル自治区の独立派組織、東トルキスタン・イスラム運動(ETIM)が隣接するアフガンを足場とする動きを警戒。
王氏は、トランプ前米政権がETIMをテロ組織指定から除外したことを「
危険で誤っている」とし、「国際的な対テロ協力の障害を取り除くべきだ」と
再指定を求めた。
王氏は16日、ロシアのラブロフ外相とも電話会談。アフガンに関し「
中露は戦略的な意思疎通や協力を強化する必要がある」と主張し、タリバンに「
穏健な宗教政策をとり、開かれた包摂的な政治枠組みを立ち上げることを奨励する」と表明した。中国側によると、ラブロフ氏も「情勢の進展に共同で対処する」と応じた。
2021.08.10-NHK NEWS WEB-https://www3.nhk.or.jp/news/html/20210810/k10013193481000.html?utm_int=news-new_contents_latest_with-image
「台湾」出先機関をリトアニアが承認で中国が駐在大使召還へ
中国政府は、バルト3国の1つ、
リトアニアが台湾当局に対し「台湾」の名を冠する出先機関の設立を認めたことに反発して、リトアニアに駐在する大使の召還を決めたと発表しました。
中国外務省の発表によりますと、
リトアニアは中国側の再三の抗議にもかかわらず、
台湾当局に対し「台湾」の名を冠した出先機関を設立することを認めたとしています。
そのうえで、
中国との外交関係樹立の際に交わした、台湾との公式な交流を行わないという約束に違反し、中国の主権を損なうものだなどと反発し、リトアニアに駐在する大使の召還を決定したとしています。
また、
リトアニア側に対しても、中国に駐在する大使を呼び戻すよう求めたとしたうえで「間違った決定を直ちにただし、適切な措置を講じるよう求める」と主張しています。
これについて
リトアニア外務省は10日声明を発表し、中国の対応を「遺憾だ」と批判したうえで「『1つの中国』の原則を維持しつつも台湾との相互利益のある関係を追求する」として、
台湾との関係は引き続き重視すると強調しました。
リトアニアは、ことし5月には、中国がヨーロッパ中部や東部などの17か国とつくる経済協力の枠組みを離脱したのに続いて、7月には新型コロナウイルスのワクチンを台湾に送るこのところ中国と距離を置く姿勢を見せていました。
2021.07.30-産経新聞-https://www.sankei.com/article/20210730-ZKZER6UHDZPOTKMYUHCBGS76ZM/
中国「北戴河会議」へ厳戒 8月上旬開催、習政権長期化へ
中国共産党の習近平総書記(国家主席)が来年秋の党大会で異例の長期政権実現を目指す中、8月上旬頃に開催が見込まれる「
北戴河(
ほくたいが)
会議」の動向が注視される。
党創建100年などを通じ着々と習氏の権威強化が図られており、
習体制の継続に向けた人事調整が焦点。現地では早くも厳戒態勢が敷かれている。
北戴河会議は、党指導部や長老らが河北省の避暑地、北戴河に集まって行う非公式会議。毛沢東時代に始まり、重要政策や人事について党指導部の合意形成を図る場となってきた。
記者が29日朝に鉄道で北戴河駅に到着すると、改札口付近には多数の制服警官がいた。すぐに「詳しく確認したい」とパスポートを取り上げられた。数分後、私服警官に「飛行機の搭乗記録で新型コロナウイルス感染者が出た都市に行っていたことが分かった。すぐに帰れ」と告げられた。
その都市を訪れたのは2週間以上前であり、感染者が出たのは記者の訪問後だったが、警官は「街に入るなら隔離が必要だ」ととりつく島がなかった。その後、北京に戻る列車が発車するまで付き切りで監視を続ける警戒ぶりだった。
河北省張家口から観光に来たという30代の女性は「飲食店でもチェックが厳しく楽しめなかった。新型コロナと『会議』のせいだろう」とぼやいていた。
北戴河会議は
習氏の続投に向けた重要行事と位置づけられている。
6月に68歳になった習氏は来年の第20回党大会で「68歳定年」の慣例を破り、3期目入りを視野に入れる。7月には党創建100年の祝賀大会や初のチベット自治区視察を成功させた。
焦点の一つは人事で、李克強首相(66)の後任人事の調整が注目される。憲法の規定で李氏は2023年に退任する。首相は副首相経験者からの起用が慣例で、年齢から胡春華(こ・しゅんか)副首相(58)が有力候補とされる。ただ、
習氏が距離を置く共産主義青年団(共青団)グループ出身である胡氏の起用をめぐり激しい駆け引きがあり、習氏とつながりが深い上海市トップの李強(り・きょう)市党委書記(62)や、広東省トップの李希(り・き)省党委書記(64)の名前も取り沙汰されている。
一方、
習氏が敵対する政治勢力の党高官を反腐敗闘争で失脚させるなどして党内基盤を固めたため、北戴河会議の重要性は低下し、習氏が現地入りしない可能性もささやかれている。(河北省北戴河 三塚聖平)
2021.07.16-Yahoo!Japanニュース(現代ビジネス)-https://news.yahoo.co.jp/articles/41c28bf51d20058167df506b46097ec65623cdbe?page=1
習近平の"自滅"が近づく…元共産党員が発表した、中国「内部崩壊」のシナリオ
(1)
「中国の脆弱さ」を指摘した論文
中国共産党中央党校の元教授で、米国在住の蔡霞(Cai Xia)氏が、中国から見た米中関係に関する論文を発表した。蔡氏は「米国が考えている以上に中国は脆弱」と指摘し、
ジョー・バイデン政権に対中戦略の見直しを求めた。
習近平体制の「新たな爆弾」になるのか。
蔡霞氏については、これまで日本でも度々、報じられているので、名前を覚えている読者も多いだろう。私は2月19日公開のコラム「習近平も青ざめる…中国共産党『内部崩壊』を指摘した“ヤバすぎる論文”の内容」の中で紹介した(https://gendai.ismedia.jp/articles/-/80395)。
同氏は2012年に退職するまで長年、共産党幹部を教育する中央党校の教職にあった(https://chinadigitaltimes.net/space/Cai_Xia)。「紅二代」と呼ばれる中国建国に関わった中国共産党幹部の子女で、党の表彰を受けたこともあるバリバリの党エリートである。だが、退職後は人権問題などで、習近平体制に批判的な立場に転じていた。
退職した2012年は奇しくも、習近平が権力を握った年でもある。昨年6月には、中国共産党を「政治的ゾンビ」、習近平総書記を「マフィアのボス」と酷評した蔡氏の講演内容がSNS上に出回った(https://chinadigitaltimes.net/2020/06/translation-former-party-professor-calls-ccp-a-political-zombie/)。
これをきっかけに、同年8月以降、英ガーディアンなど欧米メディアの取材に相次いで実名で登場し、公然と習体制を批判してきた(https://www.theguardian.com/world/2020/aug/21/china-cai-xia-former-party-insider-who-dared-criticise-xi-jinping)。中国共産党は同月、蔡氏が「国の名誉を傷つけた」として党籍を剥奪するとともに、年金など退職後の待遇取り消しを発表した。
「中国共産党の目から見た米中関係~内部の視点から」と題した今回の論文は、米スタンフォード大学のフーバー研究所から6月29日に発表された(https://www.hoover.org/sites/default/files/research/docs/xia_chinausrelations_web-ready.pdf、論文の日付は中国共産党の結党100周年に当たる7月1日)。英語と中国語の両方で書かれており、英語版は全部で26ページだ。
内容は、世界の中国ウォッチャーが指摘してきた論点と重なる部分も多いが、なんといっても、中国共産党の内部にいた「正真正銘の専門家」が、習近平体制の根本的な矛盾と崩壊の可能性を指摘した点に大きな意義がある。
外からはうかがいしれない中国共産党の実情が暴露され、世界の対中強硬派が指摘してきた「中共の危険性と弱点が証明された」と言える。以下、必要に応じて補足を加えながら、主なポイントを紹介する。ただし、論文の構成とは順不同である。
(2)
「関与政策」は失敗だった
まず、結論部分からだ。蔡氏はこう強調する。
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〈多くの米国人は、中国に対する「関与政策」の終結を嘆いている。だが、関与政策の失敗は避けられなかった。なぜなら「国際的統合と経済発展が中国共産党を現代的な政党に作り変えて、覇権的なルールを喜んで破棄するだろう」という前提が誤っていたからだ。中共の使命と原則は、資本主義の打倒とプロレタリア独裁の達成である。米国の目標とは正反対だ。2つのシステムは共存できない。結果として、米中関係は対立せざるをえなくなる。実際、関与政策を一方的に破棄したのは、中国の側だった。すでに御用済みだったからだ〉
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関与政策とは「国際社会が中国を支援して、経済発展を遂げれば、やがて政治的にも民主化が進み、国際システムに統合していく」という前提に基づく政策である。米国が関与政策を進めたので、日本も欧州も積極的に中国に投資した。だが、民主化は実現しないどころか、逆に、中国はますます威圧的になった。
蔡氏は、次のように説明する。
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〈中国への関与政策を始めたのは、
リチャード・ニクソン米大統領だ。彼はソ連を封じ込めるために中国を必要としただけなく、長期的な世界の安全保障のために、米中関係を変える意義を見ていた。10億人の中国を怒りで孤立させたまま、放っておけなかったのだ。一方、
鄧小平は文化大革命で崩壊寸前になった経済を立て直すために、関与政策を必要としたうえ、(当時、対立していた)ソ連の脅威を減じるためにも、米国の力を頼りにした〉
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「米中双方が接近を求めた」という蔡氏の認識は、世界の専門家の理解と共通している。問題はここからだ。
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〈米国は中国を「競争相手」とみなす一方、中国は米国を「反感をもった敵」とみなしている。これは「異なる概念」であり、それぞれ異なる戦略と異なる結果をもたらす。敵は「生か死かの関係」である一方、競争者は「永遠に続く競争を通じた利益」を目指している〉
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バイデン政権は、中国を競争相手とみなしている。
ドナルド・トランプ前政権も発足当初は「戦略的競争相手」と位置付けていたが、政権末期には安全保障上の「脅威」とみなし、限りなく「敵」認識に近づいていた(https://thehill.com/policy/international/china/528520-trump-administration-to-label-china-greatest-threat-to-national)。バイデン政権は対中認識を甘く後退させた形である。
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〈中国は2つの理由で米国を敵とみなした。1つは「自分が倒されてしまうかもしれない」という恐怖。もう1つは、世界に中国の赤い旗をたなびかせる目標を抱いているからだ。国際社会の影響力と中国の力不足が、70年以上も中国を自制させてきた。だが、いまや中共は米国の弱点を認識し、実力を備えた。北京は対米戦略を調整している〉
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(3)
米国の対応は楽観的すぎた…
こうした中国側に対して、米国はどうだったか。 ---------- 〈米国は中国を普通の国として扱ってきた。世界貿易機関(WTO)への加盟を後押しして「経済発展が政治に変化をもたらす」という前提で、急速に国力が強まるのを喜んで見ていた。米国はあまりに無邪気(ナイーブ)だったのだ〉
〈最近まで、米国エリートの多くは「中国が最強の競争相手」とは思っていなかった。「文明の衝突」を書いたサミュエル・ハンチントンや「米中戦争の勃発」を予想したグレアム・アリソンは、嘲笑されていた。主流派エリートはだれも、中国を「真の潜在的な敵対者」とみなしていなかった〉
〈
習近平が「中国は米国に挑戦する力をつけた」と信じているからには、もはや中共が時間稼ぎをする必要はない。3月18日にアラスカ州のアンカレッジで開かれた米中外交トップ級会合を見ればいい。中国側の楊潔篪氏は外交の礼儀も無視して、街の喧嘩のような中国語を使って米国側を非難したのだ〉
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〈中国の全体主義が変わらない以上、米中関係は根本的対立に向かう運命にある。アントニー・ブリンケン米国務長官はアラスカ会合の前、3つの原則を語っていた。「必要なときは競争し、可能なときは協力し、そうしなければならないときは敵対する」。だが、これには論理的な矛盾がある。米国は米中関係の複雑さと難しさを理解していながら、最善の結果を望んでいる。それは「希望的観測」にほかならない〉
〈私は1986年以来、中国共産党の党校システムの下で働いてきた。党の中級、高級幹部たちと30年以上も接した経験から、少なくとも、60~70%の高級官僚は現代世界の進歩の潮流と、民主的な立憲政府だけが国の長期的安定と人権、個人の尊厳と安全を保証できる、と理解している〉
〈想像するのは難しいが、私は「米国は中国共産党が突然、崩壊する事態に備えるべきだ」と考える。中共は、外面は力強く見えても、実際は内側は極めて脆弱だ。中共は「腹を空かしたドラゴン」の野望を抱えているが、中身は「張り子の虎」なのだ〉
〈予想しない状況の変化や体制崩壊につながる要素はたくさんある。持続不可能な経済モデル、高水準の債務、誇張されたイデオロギーの宣伝と現実社会の間に横たわる内在的で克服できない矛盾、市場と国家の両立できない二重所有システム、貧富の格差拡大、継続する汚職、それに後継者をめぐる激しい内部の権力闘争などだ〉
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(4)
中国「内部崩壊」のシナリオ
2月19日公開コラムで紹介した別の論文と同様に、蔡氏も「中国は内部の矛盾から崩壊する」という見立てである。なかでも、中共の官僚たちは不安を抱く理由がある。
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〈中国共産党は(天安門事件が起きた)1989年から、党内で「危機教育」を始めた。その1つは、ルーマニアのニコライ・チャウシェスク大統領夫妻が処刑された例を引き合いに出して「共産党が崩壊すれば、幹部党員は何万人も殺され、あるいは失業し生計の術を失う」という脅しだった〉
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それだけではなく、党内パージもある。
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〈
習近平の疑い深く、狭量な人格が党内パージにつながった。それが中級、高級官僚たちの大きな不満を招き、彼ら全員が不安を感じている。ソ連と東欧の共産主義体制が崩壊するとは、だれも予想していなかったことを思い出すべきだ〉
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不安に思った官僚はどうするか。米国への逃亡を考える。
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〈中国共産党は表向き、反米感情を掻き立てながら、多くの人々は資産と子供、家族を米国に移している。中国のネット市民は、彼らの2面性を「反米は仕事、米国移住は人生」とあざけっている。多くの共産党員や官僚、膨大な数のエリートたちは、米国の民主主義や自由を世界共通の価値と認めているのだ〉
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この点は論文だけでなく、蔡霞氏が公然と習近平体制を批判するきっかけになった昨年6月の講演でも、あからさまに語られていた(https://chinadigitaltimes.net/2020/06/translation-former-party-professor-calls-ccp-a-political-zombie/)。次のようだ。
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〈いまや中国の企業家は、金儲けについて何も語らない。誰もが関心を抱いているのは、自分の安全だ。自分の生計を守るために、中国を脱出して資産を海外に移す手段がある人は、とっくにそうしている。金持ちや逃げられる人は、もう逃げている。後に何が残ったか。血に染まった赤い党エリートと、移民の手段など持ち合わせていない膨大な数の貧しい人々である。残っているのは、そんな2種類のグループだけだ。逃げられる人は、みなとっくに逃げた。そんな国に希望はあるだろうか。ない〉
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そう語った彼女自身も、米国に逃げた1人である。私はかねて「逃亡と裏切り、内ゲバが左翼崩壊の一般理論」と唱えているが、中国も例外ではない(https://gendai.ismedia.jp/articles/-/69989、https://www.youtube.com/watch? v=7BsEpx1_lDg)。7月2日公開コラムで紹介した中国高官の亡命話も本当なら、もはや単なる「逃亡」でなく、事態が次の「裏切り」の段階に入った証拠である(https://gendai.ismedia.jp/articles/-/84710)。
左翼崩壊の一般理論にしたがうなら、私は「もう逃げられる人は、みんな逃げた」という話こそが、近い将来の「中国の崩壊」を予言している、と思う。逃亡者が多いのは知っていたが、正直、ここまでとは思わなかった。
(5)
「他人を騙す」文化の末路
論文は米国と中国の文化的な違いも指摘している。 ---------- 〈米国と中国には大きな文化の違いがある。米国の伝統は「嘘をつかない」「ルールには従う」「契約は尊重する」だ。だが、中国で「人を騙すのは我々の血」であり「契約の精神」も「公正の感覚」もない。環境が異なれば、人々は同じ話を違う言葉で語る。今日言った話は明日変わる。米国は中共が何を言ったかではなく、何をしているか、に注意を払うべきだ〉
---------- そのうえで、中国の将来はどうなるのか。蔡氏は先の講演で、こう語っていた。 ---------- 〈「この人物(注:
習近平氏)」を追放しなければ、私たちは政治体制の崩壊を目撃することになる。強制着陸(ハードランディング)で社会が崩壊し、ただ最初からやり直すのを待つ羽目になるのだ。今年の終わり(注・2020年末)か来年前半(注:21年前半)までに、経済は完全に崩壊するだろう。それでも、しばらくの間、彼は嵐が過ぎるのを待つかもしれない。だが、無駄に使うカネがなくなれば、もう耐えられない。国内の混乱が始まるのだ〉
〈私は、我々の世代のうちに、つまり5年以内に「中国が大混乱の時を迎える」と考えている。いつ混乱が収まるのか、予想するのは難しい。混乱は無慈悲な性格を宿すだろう。そして、私たちは「もと来た道」を最初からやり直すのだ。中国の人々に不幸あれ。たぶん、それが運命だ〉
----------
そんな考えを前提に、論文は米国にこう提言している。
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〈米国を中共の攻撃から守るためには、関与政策の希望的観測をやめて、現実的な防衛手段にとって代わらなければならない。中国共産党は米国人が想定しているより、はるかに脆弱なのだ〉
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繰り返すが、これが「中国トップクラスの専門家の見立て」である。日本国と日本の政治家、企業が中国に甘い顔をしている場合ではない。
長谷川 幸洋(ジャーナリスト)
2021.07.02-産経新聞-https://www.sankei.com/article/20210702-JCLCSO7W65NSROLVV35LWPJ3GA/
中国、米欧の人権批判に「反中分子の噓」と猛反発
【北京=三塚聖平】
中国外務省の汪文斌(おう・ぶんひん)報道官は2日の記者会見で、
新疆ウイグル自治区の強制労働問題でフランス検察がファーストリテイリングが展開するユニクロなどの捜査を始めたことに対し、「
外部勢力による新疆問題を利用した中国内政への干渉に断固反対する」と述べた。強制労働問題を「反中分子がでっちあげた噓」と主張し猛反発した。
1日に行われた中国共産党創建100年祝賀大会で習近平総書記(国家主席)は「
外来勢力のいじめや抑圧を絶対に許さない」と外圧に立ち向かう姿勢を強調しており、米欧への対抗姿勢が強まる可能性がある。
汪氏は、米国務省が人身売買に関する報告書でウイグル族への強制労働を非難したことにも、「
米国の噓や噂に基づく中国へのいわれのない非難に断固反対する」と批判。「
人権問題を口実に中国を攻撃、誹謗(ひぼう)中傷している」と牽制(けんせい)した。
党創建100年の記念日から一夜明けた2日、国営中央テレビは前日の
習氏の演説を繰り返し放送。2日付の中国共産党機関紙、人民日報系の環球時報は「誰も中国を阻めない」と題した社説を掲載した。
また、祝賀大会の会場となった天安門広場では同日、平日にもかかわらず多くの観光客らが集まり、広場やその周辺に残されたままになっている記念展示物の前で記念写真を撮影していた。党と習氏の求心力向上に向け、当面は祝賀ムードが続けられるとみられる。
2021.07.01-産経新聞-https://www.sankei.com/article/20210701-ZXGDMYPRFZNQVEZAKTGUFODKSY/
中国共産党百年 長期独裁体制を警戒せよ 今も続く人権弾圧を許すな
中国共産党は1日、創建100年の式典を行う。
一党支配の下で貧困国家から世界第2位の経済大国へ成長した「業績」を内外に誇示するが、
党が演出する祝賀ムードは国内の一部で共有されているにすぎない。
香港での言論弾圧や少数民族への人権侵害に、国際社会は厳しい視線を投げかけている。党の100年が大躍進から文化大革命、天安門事件へと、弾圧の歴史であったことは誰もが知る。
外に向けては、東シナ海や南シナ海で力による現状変更を図っている。
党創建100年を機に独裁体制を強める中国に、民主主義陣営の一角を担う隣国の日本はいかに対峙(たいじ)していくか。そのことが強く問われている。
◆毛氏の個人崇拝に並ぶ
中国の習近平国家主席(中国共産党総書記)は6月29日、北京の人民大会堂で演説し「
永遠に党を信じ、党を愛し、党のために各自の持ち場で粘り強く必死に努力しなければならない」と全党員に強く忠誠を求めた。
28日には祝賀行事の一環として「
偉大な道程」と題する歴史演劇が上演され、習氏が「新時代」を築いたと位置付けられた。
「建国の父」毛沢東に並ぶ扱いで、習氏への個人崇拝に結び付ける演出だったと言っていい。
1966年から10年続いた文化大革命など毛沢東の長期独裁が引き起こした大混乱への反省から、共産党は前任の胡錦濤氏までは集団指導体制を守ってきたはずだった。だが2012年11月に党総書記の座についた習氏は、党内の対抗勢力を反腐敗の名目で続々と粛清し、長期独裁に向けた地ならしを行ってきた。
習氏の念頭には、さらに2つの「100年祝賀」があるのではないか。27年の人民解放軍創設100年と、49年の建国100年である。習氏は建国100年時に96歳となるが、その全てを最高権力者として迎えることも可能だ。
2期10年までと定められた国家主席の任期は
18年の憲法改正で任期条項を撤廃させた。慣例では党総書記の座も2期10年とされるが、来年秋の党大会で「実績」を誇示して3期目に入れば、慣例は有名無実となる。習氏による独裁体制の完成である。
創建100年の節目に、
習氏による強権的な独裁体制への先祖返りが明確になっている。
この動きを国際社会と日本は改めて強く警戒する必要がある。
香港国家安全維持法(国安法)の施行1年となった香港では民主活動家やジャーナリストら110人以上が逮捕され、中国に批判的な論陣を張っていた
「蘋果(ひんか)日報(アップルデイリー)」が発行停止に追い込まれた。
自由の象徴だった香港は今や、暗黒の中で沈黙を強いられている。
新疆ウイグル自治区でのウイグル人への「ジェノサイド(民族大量虐殺)」を含む少数民族への人権侵害、台湾への軍事圧力、
国際法を無視した南シナ海などへの強引な海洋進出、
日本や周辺国への威圧といった覇権主義も激化の一途をたどっている。
党創建100年に合わせて新設した党の最高栄誉賞「七一勲章」は、その南シナ海で活動する海上民兵や新疆ウイグル自治区で独立勢力を抑えた党幹部らが選ばれた。露骨な強権の誇示である。
◆日本は天安門の反省を
6月中旬に英国で開かれた先進7カ国首脳会議(G7サミット)では、
自由や民主主義、法の支配という普遍的な価値観を共有する国々が、中国など専制主義の国々への対抗軸となることを確認した。菅義偉首相は「
自由、人権、法の支配について中国もしっかり保障すべきだ」と述べた。
G7の一員であり、とりわけ
中国の風波を直接受ける隣国の日本こそ、共産党政権の覇権を抑止する先頭に立たねばならない。
だが、
立憲民主党の小沢一郎衆院議員と、河野洋平元衆院議長が「党創建100年」に祝意を表すメッセージを送ったことが
中国側により明らかにされた。
国会は、中国政府による人権侵害を非難する決議案の採択を見送った。
民主化を求める学生ら罪のない市民を人民解放軍が無差別に殺傷した1989年の天安門事件で日本政府は欧米諸国の対中制裁に反対し、中国の国際社会への復帰を助けることになった。
2021.06.26-Yaho0!Japanニュース(産経新聞)-https://news.yahoo.co.jp/articles/9247e61d011f5edb9323283c87b080c19c5cfc28
習政権のメディア弾圧手法、強権国家にも影響 「蘋果日報」休刊に寄せて 「国境なき記者団」事務局長
国際ジャーナリスト団体「国境なき記者団」(本部パリ)のクリストフ・ドロワール事務局長に、蘋果日報(アップルデイリー)休刊の影響について聞いた。
蘋果日報の休刊は、香港の「報道の自由」に対する弾圧にとどまらない。中国の独立系メディアを震え上がらせ、中国全土で報道が死に絶えかねない。
習近平政権のメディア弾圧の手法は、ロシアやベラルーシなど、ほかの強権国家にも影響を与えるだろう。
中国共産党の報道管理は、習政権になって大きく変わった。
胡錦濤政権時代には、共産党系メディアでも政府に批判的な記述を試みて、容認の「限界」を探るような動きがあった。 これに対し、
習政権は「
記者は共産党と国家に寄与するものでなければならない」という立場を明確にした。
外国人記者に対しても同じだ。昨年、ニューヨーク・タイムズ紙など米メディアの記者証を剥奪したが、同紙が温家宝前首相の一族の蓄財疑惑を報じたときは、温氏に圧力をかけるのに利用した。
さらに、留意すべきなのは、
習政権が技術で優位に立ち、デジタル空間に中国の秩序を押し付けようとしていることだ。国境を超えて中国の主張に添ったプロパガンダを流し、民主主義世界に挑戦している。
インターネット上の検閲にとどまらず、発信者を特定し、監視できる仕組みを作りつつある。 中国国営中央テレビの国際放送CGTNは、英国で放送免許を剥奪された後も欧州で発信を続けている。
中国は、
国内で記者活動を締め付けながら、民主主義国家の「表現の自由」を利用して、自国に都合のよいプロパガンダや偽情報を流している。この不公平な状況に、立ち向かうべきだ。(聞き手、パリ 三井美奈
)
2021.06.10-JIJI COM.-https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGM095LD0Z00C21A6000000/
中国、反外国制裁法が成立 米欧の制裁に報復
【北京=羽田野主】
中国の全国人民代表大会(全人代、国会に相当)常務委員会で10日、
外国が中国を制裁した場合に報復する「反外国制裁法」が成立した。米欧などの対中制裁に対抗する体制を整える。中国外務省は「やられたらやり返す」と公言しており、米欧との摩擦が激化しそうだ。
法律の詳しい内容は明らかになっていないが、中国国営の新華社は立法目的について「外国の差別的な措置に反撃するための強力な法治による支援と保障が必要だ」と伝えた。
中国はこれまで米欧などから制裁を科された場合、
相手の制裁内容と同程度の報復制裁で対抗してきた。しかし、法的根拠が整ったことで、今後はより強力な報復措置を発動できるようになるとの見方もある。
中国外務省の趙立堅副報道局長は8日の記者会見で「
西側の一部は新疆ウイグル自治区や香港などさまざまな口実を利用して中国を締め付けている」と述べ、立法の必要性を主張した。「
乱暴に中国の内政に干渉している」とも話し、同法で対中制裁に報復する構えをみせた。
習近平(シー・ジンピン)指導部は米国や欧州連合(EU)、英国、カナダが3月に新疆ウイグル自治区の人権侵害を理由に対中制裁を発動したことで立法作業を加速したようだ。
全人代常務委で新法の審議を始めたのは4月で、審議回数はわずか2回。新法は3回の審議で採決するのが通例だ。2回の審議で急ぎ成立させたのは
2020年に制定した、香港への統制を強める香港国家安全維持法などに限られる。習指導部が早期成立に強い意思をみせた形だ。
中国が新法をもとに対抗措置に出れば米欧などと報復の連鎖に陥る可能性もある。
すでに、中国がEUに報復措置をとったのをきっかけに、中国とEUが大筋合意した投資協定は欧州議会での審議が凍結になっている。
2021.05.22-産経新聞 THE SANKEI NEWS-https://www.sankei.com/world/news/210522/wor2105220018-n1.html
中国、TikTokなど105アプリが「個人情報を違法収集」 当局が改善求める
【貴陽(中国貴州省)=三塚聖平】
中国の国家インターネット情報弁公室は22日までに、
動画投稿アプリ「TikTok(ティックトック)」の中国版など計105のスマートフォン向けアプリが、個人情報を違法に収集していたと公表した。習近平指導部は中国IT企業への締め付けを強めており、そうした取り組みの一環となる。
違法収集を指摘されたのは、
ティックトックの中国国内版に当たる「抖音(ドウイン)」や、インターネット検索の「百度(バイドゥ)」や、動画投稿アプリ「快手(クアイショウ)」など。利用者の同意を得ずに個人情報を収集したり、サービスには不必要な情報を得るなどしていた。
同弁公室の21日付の発表によると、15営業日以内に改善報告を行うよう求めており、改善がみられなければ処罰を行うと表明している。
習指導部は、中国社会への影響力を増した国内の大手ネット企業を警戒し、
ネット通販最大手のアリババ集団などへの処分を相次ぎ打ち出している。ネット上の個人情報の取り扱いを厳格化する「
個人情報保護法」の制定に向けた作業も行っている。
2021.05.18-SankeiBiz-https://www.sankeibiz.jp/macro/news/210518/mcb2105181425021-n1.htm
中国政府が台湾にワクチン支援の構え 蔡英文政権に揺さぶりか
【深川)=三塚聖平】中国国営新華社通信は17日夜、
中国で対台湾政策を主管する国務院(政府)台湾事務弁公室の朱鳳蓮(しゅ・ほうれん)報道官が同日、
新型コロナウイルスの感染が急拡大している台湾に対し、「最大限の努力を尽くして、台湾の同胞ができるだけ早くコロナ禍に打ち勝つよう援助したい」と表明したと伝えた。
朱氏は、中国製ワクチンについて「広範な台湾の同胞が使用を切望している」と強調。台湾側にワクチンを提供する用意があるとの構えを見せた。
一方で「当面の急務は、人為的な政治的障害を排除することだ」とも主張した。中国が「台湾独立」派とみなす民主進歩党の蔡英文政権に対し、歩み寄りの姿勢を見せなければワクチン支援を行わないと迫った形だ。
突然の感染拡大に台湾で衝撃が広がる中、蔡政権に揺さぶりをかける狙いがあるとみられる。
2021.05.10-Yahoo!Japanニュース(JIJI.COM)-https://news.yahoo.co.jp/articles/1ea7aee852f7ebcfa126fa55f4dc547705132acf
中国、「国連冒涜」と反発 ウイグル問題イベント
【北京時事】中国外務省の華春瑩報道局長は10日の記者会見で、
新疆ウイグル自治区の人権問題をめぐり
米国、英国、ドイツの国連代表部が12日に開くオンラインイベントについて「完全に国連への冒涜(ぼうとく)だ」と反発した。
華氏は「
米国は少数の国とぐるになって国連の資源やプラットフォームを乱用し、自国の政治的利益のため中国を中傷・攻撃している」と批判した。
ロイター通信によれば、
中国代表部は国連加盟各国にイベントへの不参加を求めている。
2021.04,24-産経新聞 THE SANKEI NEWS-https://www.sankei.com/world/news/210424/wor2104240016-n1.html
中国、海警に続き海事局の権限強化へ
【北京=三塚聖平】中国が、領海の管理強化に向けて「
海上交通安全法」の改正作業を進めている。
中国の海事当局が「脅威」があると判断した外国船に、領海からの退去を求めることを可能とする内容だ。
尖閣諸島(沖縄県石垣市)における中国公船の活動強化につながる恐れもあり、2月に施行された
「海警法」に続き影響が懸念される。
中国の立法機関、全国人民代表大会(全人代)は、26~29日に北京で開く常務委員会の会議で海上交通安全法改正草案などを審議する。同草案は、昨年12月に審議が始まっており、年内にも施行される可能性がある。
法改正により、交通運輸省の傘下にある海事局の権限が強化される。
国連海洋法条約によって、外国籍の船舶は平和や秩序を乱さない無害通航であれば、事前通告なしで他国の領海を通過できるが、草案では外国船が「中国の領海の安全を脅かす」可能性があれば、海事管理機関が退去を命じる権利があると明記した。1984年に施行された現行法では、「港の安全に脅威があるとき」に港を離れるよう命じる権利があると定めており、この権限を領海にまで拡大した形だ。
中国は、海上警備を担う海警局(海警)に武器使用を認めた「
海警法」を2月に施行した。
独自の領有権主張を展開する東・南シナ海での海警の活動を正当化する狙いが指摘される。
海事局は、主に海上の交通管理や汚染防止などを担っているが、
海上交通安全法改正を海警と連携して尖閣周辺などで活動を活発化させる根拠とすることが想定される。昨年12月に全人代常務委で改正草案が審議された際には、「
海上交通管理の強化や、国家海洋権益の確保のため、有力な法律の支えを提供する」と強調している。
海事局は体制の強化も進めており、中国メディアによると初の1万トン級巡視船「海巡09」が今年半ばに南部・広東省で配備される。
2021.03.29-Zaqzaq by 夕刊フジ-https://www.zakzak.co.jp/soc/news/210329/for2103290001-n1.html
中国“逆ギレ”不買運動 ウイグル批判の外資企業が標的 「話をでっちあげて…金をもうけたいのか?」ナイキやユニクロの名前も
(1)
中国当局が新疆ウイグル自治区で行っている人権侵害をめぐり、
世界で批判の声が強まるなか、中国国内ではウイグル問題に懸念を示した外資系企業への批判が激化し、
逆ギレのような不買運動に発展している。
外資への圧力は、外交関係悪化時の中国側の常套(じょうとう)手段で、2012年に沖縄県・尖閣諸島を国有化した際には、日系企業が過激な反日デモを受けた。中国市場は大丈夫なのか。
「
話をでっちあげて新疆綿花を排斥しておきながら、中国で金をもうけたいのか?」「
中国を侮辱したブランドは使わない」
中国のSNSでは、スウェーデン衣料品大手H&Mに対し、中国共産党の下部組織、共産主義青年団や党・政府系メディアから批判が集まっている。同社が、ウイグルでの強制労働疑惑をめぐり、
新疆綿花の使用停止を表明したことが原因だ。
矛先は同様に“
不使用宣言”した
外資系企業にも拡大している。米ナイキや日本のユニクロなどの名前も挙がり、各社の広告塔を務める芸能人の降板を表明する動きが相次いでいるようだ。
H&Mが使用停止を表明したのは昨秋だが、欧州連合(EU)が22日に対中制裁発動を決めたことを受けて蒸し返された。ネット通販サイトでは同社商品が検索できなくなり、中国ネット検索最大手の百度(バイドゥ)の地図アプリでは、H&Mの店舗の位置すら表示されなくなった。
(2)
中国商務省の高峰報道官は25日の記者会見で、「
中国の消費者は実際の行動で反応した」
と不買運動に理解を示した。
中国では、外交カードとして外資排斥が使われてきた経緯がある。
民主党政権が「
尖閣諸島の国有化」に踏み切った2012年にも、
日本製品の不買運動が発生した。
暴徒化した一部は、日系スーパーや百貨店への略奪や放火に及んだ。今回、各企業はどう向き合うべきか。
中国事情に詳しい評論家の石平氏は「
中国政府側が圧力をかけて不買をあおっている可能性が高い。一部の愛国者を除き、国民の大半は気にしないだろう。中国に工場を構える外資系企業も多く、売り上げが低迷すれば中国の雇用が不安定になる。各企業は、圧力に負けず、毅然(きぜん)とした態度で人権問題で反対表明を続けるべきだ」と語った。
2021.03.25-毎日新聞-https://mainichi.jp/articles/20210325/k00/00m/030/029000c
中国、パラグアイに台湾との断交要求 ワクチン提供を条件に
南米で唯一台湾と外交関係を持つパラグアイは24日までに、
中国政府の代理人と称する仲介業者らが新型コロナウイルスのワクチン提供の条件として台湾との断交を要求したと明らかにした。
台湾外交部(外務省)は「ワクチンを政治手段に利用すべきでない」とし、台湾外交に対する攻撃だと中国に反発した。
パラグアイ外務省は声明で、業者らが正統な「
代理人」
かどうかは疑問が残るとしつつ、ワクチン提供の条件に台湾との関係断絶をほのめかすことは「
パラグアイの主権に影響を与えかねない」と非難した。(共同)
2021.03.13-anonymous post-https://anonymous-post.mobi/archives/6846
中国とミャンマー国軍との会議内容が外部に流出 ミャンマー国内での反中感情を抑えるため、国内メディアに圧力をかけるようミャンマー国軍に要求する内容
【シンガポール=森浩】クーデターで国軍が実権を握ったミャンマーで、中国と非公開で行った会議内容が外部に流出し、関与したとされるミャンマー外務省職員2人が12日までに拘束された。地元メディア「イラワジ」などが伝えた。
この会議はクーデター後の2月下旬、オンラインで行われていたという。
イラワジによると、国軍との会議で中国側は、雲南省とミャンマー西部チャウピューを結ぶ内陸部の天然ガス・原油パイプラインの戦略的重要性を強調し、警備の強化を求めてきた。
国軍を擁護する
中国に反発した一部のデモ隊が、中国に資源を送るパイプライン攻撃を主張しており、中国が警戒を強めていた。
中国は、米国の影響力も強いマラッカ海峡や南シナ海を経ずに、中東などからミャンマー経由で原油などを陸路で調達できるパイプラインを重視している。
中国側は会議で、ミャンマーでの反中感情を抑えるため、国内メディアに圧力をかけることも要求したという。国軍側の発言は明らかになっていない。拘束された職員は議事録作成などを担当したとされるが、実際に会議内容を外部に漏洩(ろうえい)したかどうかは不明だ。
ミャンマーでは国軍への批判を避ける中国への反発が拡大。最大都市ヤンゴンの中国大使館近くで抗議デモが起き、中国製品の不買を呼びかける声も上がっている。地元メディアによると、11日に起きたデモ隊への治安部隊の銃撃で犠牲者は12人に達した。中部ミャインで8人が死亡した。
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2021.03.13-Yahoo!Japanニュース(産経新聞)-https://news.yahoo.co.jp/articles/57ccaecd1519f0499cf98099aef6798a2498a669
【シンガポール=森浩】
クーデターで国軍が実権を握ったミャンマーで、
中国と非公開で行った会議内容が外部に流出し、
関与したとされるミャンマー外務省職員2人が12日までに拘束された。地元メディア「
イラワジ」などが伝えた。
この会議はクーデター後の2月下旬、オンラインで行われていたという。
イラワジによると、
国軍との会議で中国側は、雲南省とミャンマー西部チャウピューを結ぶ内陸部の天然ガス・原油パイプラインの戦略的重要性を強調し、警備の強化を求めてきた。
国軍を擁護する中国に反発した一部のデモ隊が、中国に資源を送るパイプライン攻撃を主張しており、中国が警戒を強めていた。
中国は、米国の影響力も強いマラッカ海峡や南シナ海を経ずに、中東などからミャンマー経由で原油などを陸路で調達できるパイプラインを重視している。
中国側は会議で、ミャンマーでの反中感情を抑えるため、国内メディアに圧力をかけることも要求したという。国軍側の発言は明らかになっていない。拘束された職員は議事録作成などを担当したとされるが、実際に会議内容を外部に漏洩(ろうえい)したかどうかは不明だ。
ミャンマーでは国軍への批判を避ける中国への反発が拡大。最大都市ヤンゴンの中国大使館近くで抗議デモが起き、中国製品の不買を呼びかける声も上がっている。地元メディアによると、11日に起きたデモ隊への治安部隊の銃撃で
犠牲者は12人に達した。
中部ミャインで8人が死亡した。
2021.03.08-産経新聞 THE SANKEI NEWS-https://www.sankei.com/world/news/210308/wor2103080016-n1.html
【中国全人代】「発展は問題解決の鍵」 中国政府、経済成長は放棄せず
【北京=三塚聖平】
中国経済の司令塔である国家発展改革委員会の胡祖才副主任は8日の記者会見で、
2025年までの新たな5カ年計画で国内総生産(GDP)の成長率目標の設定を見送ったことについて「GDP成長が不要だということではない」と述べた。「発展はいまなお全ての問題を解決する基礎であり鍵だ」とし、共産党政権を支える経済成長の重要性を強調した。
胡氏は「
GDPは総合的な経済力や国際競争力を反映する」と指摘。中国の経済規模が28年にも米国を抜くとの予測もある中、国力を示す指標だと強調した。
全国人民代表大会(全人代)で公表した25年までの中期経済目標「
第14次5カ年計画」は、期間中のGDP目標を設定しなかった。毎年の状況に応じて目標を打ち出す方針で、胡氏は「同計画の歴史で初だ」と指摘。国内外の経済環境に不確実性が大きく、リスクに柔軟に対応するための措置だと説明した。
5カ年計画と同時に公表された35年までの長期目標は1人当たりGDPを「中等先進国」の水準に引き上げると掲げた。胡氏は「今後15年のGDP成長を合理的な範囲に保つ必要がある」と、持続的な経済成長の必要性を示した。
2021.03.08-産経新聞 THE SANKEI NEWS-https://www.sankei.com/world/news/210308/wor2103080001-n1.html
中国、強硬姿勢続く米国にいらだち 台湾問題ではクギ
【北京=三塚聖平】
中国の王毅国務委員兼外相は7日の記者会見で、バイデン米政権への警戒を隠さなかった。トランプ前政権で悪化した米中関係を改善させる好機と捉えて接近を図った中国だが、自らが「
核心的利益」と位置付ける
香港問題などへの圧力はむしろ増しており、対中強硬姿勢を緩めない米国にいらだちを募らせている。
「米国は新たな障害を作り出すべきではない」
全国人民代表大会(全人代)の会場で行った会見で、王氏は対米牽制の発言を重ねた。「協力を双方が追求する主要目標にすべきだ」とも呼び掛けたものの、批判のトーンが強まったのは明らかだった。
1月20日のバイデン政権発足前、
王氏は「
再び両国関係が正しい軌道に戻って協力することを望む」と強調。気候変動や新型コロナウイルス対策など、バイデン政権が重視する分野での協力を何度も提案した。
しかし、今のところ中国が期待したような反応は得られていない。
香港や新疆(しんきょう)ウイグル自治区などでの人権問題への批判は強まる一方で、対中制裁関税撤廃へ向けた動きもない。習近平国家主席は2月に行ったバイデン大統領との初の電話会談で、米中間で各種の対話枠組みを再構築することを提案したが、
米側からは事実上黙殺されている。
全人代直前の今月3日にブリンケン米国務長官が表明した外交政策の大枠では、対中関係を「
21世紀における最大の地政学的な試練」と位置づけた。中国側には「自ら失点を重ねるトランプ政権の方が相手にしやすかった」(メディア関係者)との見方が広がる。
緊張が増す米中の発火点になりかねないのが
台湾問題だ。
王氏は「
統一は必須だ。これは中華民族の意志だ」と述べ、台湾との関係強化を進めるバイデン政権に「台湾問題の高度な敏感さを十分に認識するよう強く促す」と迫った。
2021.03.07-産経新聞 THE SANKEI NEWS-https://www.sankei.com/world/news/210307/wor2103070020-n1.html
中国外相が「国際法に合致」と海警法を正当化 ウイグル弾圧批判には「デマ」と猛反発
【北京=三塚聖平】中国の
王毅国務委員兼外相は7日、開会中の全国人民代表大会(全人代)に合わせて北京で記者会見し、人権問題などで対中批判を強める
米国について「根拠のない非難は受け入れない。中国の核心的利益の侵犯は許さない」と述べ、米国を強く牽制した。香港や新疆(しんきょう)ウイグル自治区での弾圧への批判も一蹴し、強硬姿勢を強める中国と国際社会との軋轢がさらに増すことが避けられない。
王氏の記者会見はバイデン米政権の発足後初めて。
王氏は
ウイグル自治区の少数民族ウイグル族らへの弾圧を「
ジェノサイド(民族大量虐殺)」と
米国などが批判していることに対し、「
徹底したでたらめで完全に下心があるデマだ」と
猛反発。
人権弾圧の指摘には「
中国の発展を邪魔するために問題を作りだしている」と主張した。全人代で審議されている香港の選挙制度見直しについても「完全に合憲・合法で、正当で理にかなっているものだ」との考えを示した。
さらに「
米国は民主や人権を旗印に他国の内政に干渉し、世界に多くの面倒を引き起こして戦乱の根源になってきた」との見解を披露した。その上で「これまでに設けてきた各種の不合理な制限を速やかに解除するよう望む」と述べ、対中制裁関税などの撤廃を暗に求めた。
中国海警局に武器使用を認めた
海警法への懸念が日本で強まっていることについては「
特定の国に対するものではなく、国際法や国際的な実践に完全に合致している」と正当化した。
日中関係では、今夏の東京五輪、来年2月の北京冬季五輪を挙げて「
両国民の友好感情を深め、中日関係の発展を促す機会にできる」と意欲を示した。
台湾問題では「いかなる形の『
台湾独立』の分裂行為も打ち砕く能力が中国政府にはある」との強硬姿勢を表明。
米国が台湾への支援姿勢を強めていることに関しては「台湾問題には妥協や譲歩の余地はない」と警告した。
2021.03.06-日本経済新聞-https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGM0528L0V00C21A3000000/
2021年全人代の政府活動報告要旨
中国の第13期全国人民代表大会(全人代、国会に相当)の第4回会議で、李克強(リー・クォーチャン)首相が5日に実施した
政府活動報告の要旨は次の通り。
【2020年の回顧】
新型コロナウイルスの感染対策で重要な成果を上げ、世界で経済のプラス成長を実現した唯一の主要経済国となった。20年の国内総生産(GDP)は2.3%伸びた。「脱貧困」の全面的な勝利を収め、(ややゆとりのある)「小康社会」の完成に向け決定的な成果を上げた。感染症対策での国際協力を支持し、世界の平和と発展を促進するため重要な貢献を果たした。
【過去5年の成果】
70兆元(約1200兆円)に届かなかったGDPが100兆元を超えた。有人宇宙飛行や月面探査事業などで大きな成果を収めた。絶対的貧困の撲滅という非常に困難な任務を完遂した。金融リスク対応で重要な中間成果を得た。供給側の構造改革を推進した。国防・軍隊建設の水準が大幅に向上した。
【21~25年の第14次5カ年計画】
発展の質・効率の向上に力を入れ、経済の持続的で健全な発展を保つ。労働生産性の伸び率がGDP成長率を上回るようにし、失業率を5.5%以内に抑え、物価水準の全般的な安定を保つ。科学技術の自立自強を国の発展の戦略的な支えとする。社会全体の研究開発(R&D)費を年平均7%以上増やす。産業基盤の高度化、産業チェーンの現代化、デジタル化の発展などを進める。
国内経済の循環体系をよりどころにして世界の投資をひき付ける「双循環(2つの循環)」を促進する。30年の温暖化ガス排出削減目標の達成に取り組む。GDP1単位当たりのエネルギー消費量と二酸化炭素(CO2)排出量をそれぞれ13.5%、18%引き下げる。住民1人当たりの可処分所得の伸び率がGDP成長率とほぼ一致するようにする。
【21年の経済目標】
GDP成長率は6%以上とする。都市部で新規就業者数は1100万人以上とし、失業率は5.5%前後とする。消費者物価の上昇率は3%前後とする。
【財政】
21年のGDPに対する財政赤字の比率は昨年よりやや低めの3.2%前後とし、感染症対策の特別国債の発行を終了する。財政支出総額を20年より増やし、雇用や民生を重点的に支援する。中央レベルの支出を引き続きマイナスの伸びとし、地方への一般的移転支出を20年より大幅に増やして7.8%増とする。
【減税・雇用】
小規模な納税人に対する増値税の基礎控除額を月間売上高10万元から15万元に引き上げる。大型商業銀行の零細企業向けの包括融資を30%以上増やす。人員削減を抑えた企業に対して財政や金融などの政策支援を継続する。
【産業振興】
中小企業向けのブロードバンドと専用回線の使用料金をさらに10%引き下げる。知的財産権の保護を強化する。国有資本・国有企業をより強く、より良く、より大きくする。国有企業の混合所有制改革を深化させる。プラットフォーム企業の革新発展と国際競争力の向上を後押しするとともに、独占の取り締まりを強化し、公平な市場競争環境を断固として守る。サプライチェーンの安定と改善を図る。
【内需拡大】
自動車や家電などの高額消費の安定的増加を促す。プラットフォーム企業がサービス手数料を合理的に引き下げるように導く。21年は地方特別債を3兆6500億元とし、建設中の事業を優先的に支援する。中央政府の予算枠内の投資を6100億元とする。情報ネットワークなど新型インフラ整備に取り組む。都市部の古い住宅地の改築を5万3000カ所で新たに着工する。
【農業】
食糧と重要農産物の安定供給能力を高める。食糧安全保障の要は種子と耕地にあり、核心技術の難関攻略に取り組む。食糧を生産する農家向けの助成金を安定させ、もみ米や小麦の最低買い付け価格を適度に引き上げる。
【市場開放・外交】
外資参入を制限する分野を定めた「ネガティブリスト」の項目をさらに減らす。東アジアの地域的な包括的経済連携(RCEP)協定の早期発効、欧州連合(EU)との投資協定の調印を推し進める。中日韓の自由貿易協定(FTA)交渉のプロセスを加速させる。環太平洋経済連携協定(TPP11)への加入を前向きに検討する。米国との平等かつ互恵的な経済・貿易関係の深化を推し進める。
【環境】
引き続き外国から固形廃棄物の輸入を厳しく禁じる。2030年までの温暖化ガス排出量のピークアウトに向けた行動計画を策定する。温暖化ガスの排出権取引市場の建設を急ぐ。グリーン・低炭素発展に向けた金融支援特別策を実施する。
【民生】
感染症のワクチンの研究開発と無料接種を推進する。住民基本医療保険の1人あたりの財政補助基準を30元引き上げる。土地供給の増加などで賃貸住宅市場を発展させ、若者などが抱える住宅難の解消に最善を尽くす。
【国防】
軍隊創設100周年の奮闘目標に照準を合わせて、軍隊統治を推し進める。安全保障リスクに対応し、国家の主権・安全・発展の利益の堅守のための戦略能力を高める。
【香港・台湾】
「一国二制度」の方針を引き続き貫徹する。香港特別行政区の憲法と基本法の実施にかかわる制度をより完全なものにし、国家安全を維持するための法律と執行メカニズムを実施する。香港に対する外部勢力からの干渉を断固として防ぎ、食い止め、長期的な繁栄と安定を保つ。台湾については平和的な発展と祖国の統一を進め、「台湾独立」をもくろむ分裂活動を食い止める。
(広州=川上尚志、大連=渡辺伸)
2021.03.06-産経新聞 THE SANKEI NEWS -https://www.sankei.com/photo/story/news/210305/sty2103050006-n1.html
中国、成長率目標6%以上 全人代、香港「干渉阻止」
中国の
全国人民代表大会(全人代=国会)が5日、北京で開幕した。李克強首相は政府活動報告で、2021年の
国内総生産(GDP)成長率の目標を「6・0%以上」と設定した。2年ぶりに目標を復活させた。全人代では
香港の選挙制度見直しを審議し、香港政治の舞台から民主派を排除する構え。李氏は、香港で国家安全維持の法制度を確実に実施し「
外部勢力の干渉を断固防ぐ」と述べた。
21年予算案では前年比6・8%増の1兆3553億4300万元(約22兆6千億円)の国防費を計上。20年予算案の同6・6%増に比べ、伸び率が拡大した。
新型コロナウイルス感染症の流行で経済が打撃を受ける中、
国内経済の活性化と科学技術強化により、長期的に総合国力の増強を目指す。(北京共同)
2021.03.05-BBC NEWS Japan-https://www.bbc.com/japanese/55944953
イギリス、中国国営テレビの英語放送の免許取り消し
イギリス通信業界の独立監視機関、放送通信庁(Ofcom)は4日、
中国の国営テレビ「中国環球電視台(CGTN)」のイギリス国内での放送免許を取り消した。
CGTNのライセンスを保有するスター・チャイナ・メディア・リミテッド(SCML)が、
英語の衛星ニュース・チャンネルについて「編集責任」を持たないことが、Ofcomのルールに違反したためとしている。
発表の中でOfcomは、「
SCMLは認可されたサービスについて法的に求められている責任を果たしておらず、放送免許の合法的保持者とはいえない」と結論している。
イギリスの放送法では、放映するサービスやその編集方針については放送免許の保持者が責任を担う必要がある。また、放送免許をもつ事業者は特定の政治団体に影響されてはならないという決まりもある。
2021.03.05-NHK NEWS WEB-https://www3.nhk.or.jp/news/html/20210305/k10012898721000.html
中国 全人代が開幕 経済成長率6%以上を目標に
中国で重要政策を決める
全人代=全国人民代表大会が始まり、李克強首相は、
新型コロナウイルスの抑え込みで重要な成果をあげ、世界の主要国で唯一、プラス成長を実現したと強調し、ことしの
経済成長率の目標を6%以上としたと明らかにしました。
中国の全人代は、3000人近い代表らが出席して日本時間の午前10時から北京の人民大会堂で始まり、李克強首相が政府活動報告を行いました。この中で李首相は、去年を振り返り「歴史上極めて尋常でない1年だったが、新型コロナウイルスの感染拡大の抑え込みで重要な成果をあげ、世界の主要国で唯一、プラス成長を実現した」と実績を強調しました。
そのうえで、感染拡大の影響を受けて去年は示さなかった
経済成長率の数値目標について、ことしは6%以上としたと明らかにしました。
これについて李首相は「経済運営の回復状況を考慮したもので、持続可能で健全な発展の実現に有益だ」と説明しました。ことしは、去年の成長率が低かった反動もあって中国経済は高い成長率が見込まれていますが、世界的に新型コロナの影響が続いていることなどを受けて、国際機関などの予測よりも低く、達成が可能な水準に設定したものとみられます。
また、李首相は、経済政策の基本方針となる新たな「
5か年計画」と2035年までの長期目標についても説明し「発展の質や効率の向上に力を入れ、経済の持続的で健全な発展を保つ」と述べ、成長の速度ではなく、安定的で質の高い成長を目指す姿勢を改めて強調しました。
一方、中国が統制を強める香港をめぐって李首相は、「
憲法と香港基本法の実施にかかわる制度や仕組みをより完全なものにしなければならない」と述べました。
今回の全人代では、
香港の選挙制度が議題になっていて、香港政府トップの行政長官を選ぶ選挙や立法会議員選挙で民主派の影響力の排除につながる制度の変更を行う方針です。
香港情勢をめぐっては欧米など国際社会からの批判が強まっていますが、李首相は「外部勢力の干渉を断固防ぐ」と述べ、こうした声を強くけん制しました。
茂木外相「香港の選挙制度 高い関心を持ち注視」
中国の全人代=全国人民代表大会で香港の選挙制度が議題になっていることについて、茂木外務大臣は記者会見で「高い関心を持って注視している」と述べました。
そのうえで「昨今の香港での一連の事案が言論の自由や報道の自由にもたらす影響などについて重大な懸念を強めている。
一国二制度のもと、香港の自由で開かれた体制が維持され、民主的、安定的に発展していくことが重要だというのが日本の一貫した立場だ」と述べました。
2021.03.24-Yahoo!Japanニュース(産経新聞)-https://news.yahoo.co.jp/articles/69fb0984646757b7a785aedd5d791f3c02409b3b
仏当局、中国国際放送に「免許申請不要」の判断
フランスの視聴覚高等評議会(CSA)は3日、
中国国営中央テレビの国際放送CGTNについて、英国が放送免許を剥奪した後も仏国内での放送に問題はないとする声明を発表した。衛星チャンネル放送のため、仏国内で新たな免許申請は不要とする立場。内容は、CSAによる放送倫理の監視対象になるとした。(パリ 三井美奈
)
2021.02.24-Rakuten-jnfoseek News(Record China)-https://news.infoseek.co.jp/article/recordchina_RC_872494/
ウイグル人ジェノサイドは「世紀のウソ!」と中国紙、北京冬季五輪ボイコットは「絶対に失敗する」とも
2021年2月24日、
中国共産党機関紙・人民日報系の環球時報は「ウイグル人ジェノサイドは世紀のウソ!」と題する記事を掲載。
カナダ下院で新疆ウイグル自治区でのジェノサイド(大量虐殺)を非難する決議が可決されたことについて、「中国政府が猛反発した」と報じた。
記事は、
カナダ下院で22日、中国政府による新疆でのウイグル族に対するジェノサイドを非難する決議が266対0の賛成多数で可決され、2022年の冬季五輪開催地を北京から変更すべきだとの主張も起きたと紹介。一方で、この決議にはトルドー首相を初めてほとんどの閣僚が参加しておらず、かつ決議には法的な拘束力がないことを伝えた。
そして、中国外交部の汪文斌(ワン・ウエンビン)報道官が23日の記者会見で「カナダ下院による動議は事実や常識をないがしろにし、中国を意図的に汚辱するものだ」と強く非難し、カナダ側に抗議を行ったことを明らかにしたほか、叢培武(ツォン・ペイウー)駐カナダ中国大使も23日に現地メディアの取材に対して「世紀のウソだ」と表現し、「ウソをばら撒き、人権保護に背く行為について、カナダ側には誤りを正すことを求める」と述べたことを紹介している。
その上で「近ごろ、
米国とその盟友であるオーストラリア、英国、カナダが代わる代わる新疆問題で際限なく中国をおとしめており、いわゆる
新疆の人権問題と北京冬季五輪を結びつけている。これは2008年に西側の一部勢力がチベットの人権問題を理由に同年の北京五輪ボイコットを呼び掛けた手法と同じだが、彼らのもくろみは今回も絶対に失敗する」と主張した。
記事は、米紙ニューヨーク・タイムズの報道を引用し、五輪ボイコットの呼び掛けは国際五輪委員会(IOC)も反対しているほか、五輪の大型スポンサーなどの国際企業、組織に対する中国の影響力がかつてないほど大きくなっていると指摘。それ故に中国にしてみればボイコットの呼び掛けに何の憂慮も抱くことのない状況であるとした。
そして、
08年の北京夏季五輪のボイコットを主張していたカナダのハーパー首相(当時)が、結局は同大会の閉会式に出席したことを「典型的な例」として取り上げた。(翻訳・編集/川尻)
2021.1.29-産経新聞 THE SANKEI NEWS-https://www.sankei.com/world/news/210129/wor2101290041-n1.html
台湾「恫喝」強める中国…米は防衛支援「義務ある」
【北京=三塚聖平、ワシントン=黒瀬悦成】
中国が台湾への恫喝を強めている。中国国防省の報道官は29日までに「
台湾独立は戦争を意味する」と警告。バイデン米新政権の発足後も米台が連携を強めていることへの警戒を示したが、米国への直接批判は抑えている。
国防省の呉謙(ごけん)報道官は28日の記者会見で、
中国の軍用機が台湾の防空識別圏への進入を活発化させていることについて「
外部勢力の干渉と台湾独立勢力の挑発に対する厳正な反応だ」と主張。その上で「
火遊びをする者は必ず自ら焼け死ぬ。台湾独立は戦争を意味する」と圧力をかけた。
対台湾政策を主管する国務院(政府)台湾事務弁公室の朱鳳蓮(しゅほうれん)報道官も27日に「武力行使を放棄せず、あらゆる必要な措置をとる選択肢を残す」と強調した。
呉氏は「
台湾問題は中国の内政で、いかなる外部からの干渉も許さない」と米国を念頭に牽制したが、バイデン政権については「現在、中米両国と両軍の関係は新たな歴史の出発点にある」と述べ、対話や協力を呼び掛けている。
一方、米国防総省のカービー報道官は28日の記者会見で、呉氏の発言について「
なぜ台湾をめぐる緊張状態が衝突に発展しなければならないのか、理由が見当たらない」と述べ、中国側に挑発的な発言を慎むよう促した。カービー氏は、「(呉氏の発言は)不穏当だ」とも批判し、「米国には、台湾関係法で定められた(台湾防衛を支援する)義務がある」と指摘した。
2021.01.25-CNN co.-https://www.cnn.co.jp/world/35165498.html
中国金鉱の爆発、閉じ込められた22人のうち11人を救出 2週間ぶり
(1)
(CNN) 中国東部・山東省の金鉱で起きた爆発で、
地下に2週間以上閉じ込められていた作業員のうち11人が救出された。中国国営メディアが伝えた。
爆発は山東省の棲霞市にある金鉱で今月10日に発生。閉じ込められた22人の救出作業が続いていた。
最初の1人は現地時間の24日午前11時13分ごろ救出された。国営新華社通信によると、極端に衰弱した状態だったといい、中国中央テレビ(CCTV)はこの男性が病院に搬送されたと伝えている。
続く10人は坑内のさらに深い場所から引き上げられた。CCTVによると、少なくとも1人は負傷していたが、けがの程度は分かっていない。国営メディアによれば、作業員のうち1人は死亡したとみられている。
新華社通信が先に当局者の話として伝えたところによると、救助隊は鉱山の一画を掘削して電話回線を敷設し、深さ600メートルの地点に閉じ込められた10人と連絡を取っていた。救出された中にこの10人が含まれているのかどうかは不明。
爆発は鉱山の入り口から約240メートルの地点で発生した。中国当局は21日の時点で、作業員を閉じ込めている70トンのがれきを貫通するには15日かかる可能性があると説明していた。
(2)
食料や医薬品、毛布などはシャフト経由で10人に届けられていた。新華社はこの10人について、身体的にも精神的にも良好な状態にあると伝えている。
まだ安否が確認できていない作業員については懸念が強まっている。閉じ込められていた作業員はレーザーポインターや拡声器を使って救助隊が行方不明になった同僚の居所を突き止めるのを助けようとしているが、これまで応答はないという。
救助隊も坑内の別の場所で呼吸や動きを検出しようとしたが、生命の兆候は確認できていない。
2021.1.20-読売新聞-https://www.yomiuri.co.jp/world/20210120-OYT1T50031/
中国がインド北東部の州内に集落建設、付近には軍駐屯地も…支配の既成事実化図る
【ニューデリー=小峰翔、北京=中川孝之】インドの民放NDTVは18日、
中国が領有権を主張する印北東部アルナチャルプラデシュ州で約100戸の集落を建設したと報じた。
係争地に施設を建設し、支配の既成事実化を図る中国の動きが改めて明らかになった。
アルナチャルプラデシュ州はインドが実効支配し、
中国のチベット自治区に面している。NDTVが根拠とした米衛星会社の複数の画像では、2019年8月には見当たらなかった建物が、20年11月には整然と立ち並ぶ様子が確認できる。報道は、インドの地図を基に、
集落が4・5キロ同州に入った場所にあるとしており、集落から約1キロ南の地点には中国軍駐屯地もあるという。集落は居住区として建設された可能性がある。
中国は同じような集落をインドとブータンの国境が入り組んだ地域にも建てた。米メディアが昨年11月、衛星写真とともに伝えた。集落は、中国軍の拠点が近くにあることで共通する。民間人用の集落を保護するとの名目で、中国軍が進出を拡大する口実にもなる。
中国の
習近平国家主席は19年10月に訪印し、ナレンドラ・モディ首相と地域の安定が重要との認識で一致したが、アルナチャルプラデシュ州の集落はその後建設された可能性がある。
印外務省関係者によると、スブラマニヤム・ジャイシャンカル外相が報道後、首相府へ説明に行き、19日も省内で幹部会議を開催し、対応を協議した。印外務省は18日、報道は否定せず、「
インドの安全保障に関する全ての開発を常に監視し、主権と領土を守るため必要な全ての措置を取っている」とのコメントを出した。
中国は、
南シナ海や中印国境付近で拡張主義的な動きを強めている。国境が未画定のカシミール地方では中印両軍が20年6月に衝突し、1975年以来の死者が出た。夏には
印側支配地域内で中国軍の拠点を建設したことが確認されるなど、中印関係は「
45年間で最悪」(ジャイシャンカル氏)の状態に陥っている。
中国はネパールでも軍施設を建設したことが昨年、相次いで報じられた。
インドの安全保障の専門家ブランマ・チャラニ氏は18日、SNSで、
中国が南シナ海で拠点を設けて一方的に現状変更した手法と同じだと投稿し、「
国際法に裏付けられた中国の土地ではないが、中国は戦略的に重要な地域に村を建設し、国際法の対象にしようとしている」と指摘した。
2021.01.15-SankeiBiz-https://www.sankeibiz.jp/macro/news/210115/mcb2101152349028-n1.htm
中国がレアアースの統制強化へ ハイテクで対立の米国牽制、日本企業にも影響か
【北京=三塚聖平】
中国政府は15日、ハイテク製品の生産に欠かせないレアアース(希土類)への統制を強化する「レアアース管理条例」の草案を発表した。中国側は「国家利益と産業の安全を守る」ための措置だと説明しており、ハイテク分野で対立の長期化が見込まれる米国を牽制する狙いとみられる。施行されれば、レアアースを中国から輸入する日本企業にも影響が出る可能性がある。
工業情報化省が公表した草案によると、条例はレアアースの採掘や精錬分離、利用、製品流通などサプライチェーン(供給網)の全体に適用する。また、
レアアースの輸出入に携わる企業に対し輸出管理などの法律・法規を順守しなければならないと明記した。中国が昨年12月に施行した「輸出管理法」でレアアースが対象になるとの見方があり、複数の制度を使い統制強化が進む可能性がある。
現在、草案について2月中旬まで専門家などの意見を集めており、年内にも施行される可能性がある。
レアアースは、電気自動車やスマートフォンなどの部品に使われている。中国はレアアースの生産で世界シェアの6割程度を占め、日本や米国も中国から輸入している。2010年の尖閣諸島(沖縄県石垣市)沖で起きた中国漁船衝突事件で事実上の対日輸出規制を実施した経緯もある。
2021.01.14-Yahoo!Japanニュース(産経新聞)-https://news.yahoo.co.jp/articles/418e272a0773766635ee8948aefc66b3bc037f21
中国「南の万里の長城」建設 ミャンマー国境にフェンス 反体制派の脱出防ぐ?
【シンガポール=森浩】
中国がミャンマーとの国境沿いにフェンスの設置を始めた。
両国の国境約2100キロのうち既に約600キロ分が完成しており、米政府系放送「ラジオ自由アジア」(RFA)は、「南の万里の長城」と表現する。
違法越境を防ぐことで、国内の反体制派の国外脱出を取り締まる狙いが指摘されているが、一方的な設置にミャンマー国内で反発も起きている。
フェンスは昨年の早い時期から、中国南部雲南省とミャンマー北東部シャン州の国境付近に設置され始めた。高いところで約3メートルあり、有刺鉄線も付いていて違法な国境間移動を防ぐ狙いがうかがえる。設置に際し、事前にミャンマー側に通告はなかった。
中国は設置理由について「新型コロナウイルス対策のため」などと説明しているというが、ミャンマー電子メディア「イラワジ」は、フェンスが「(中国国内からの)反体制派の逃亡を防ぐ」と分析した。両国の国境地域では違法薬物を含む密貿易が常態化しており、中国が対策に本腰を入れたとの見方もできる。
両国は1961年の協定で、双方の摩擦を回避する目的などから国境から10メートル以内に構造物を設けることを禁じている。一方的に国境線を設定される可能性もあることから、ミャンマー政府は「恒久的なフェンスは認められない」などと反発している。ミャンマー外交筋によると、両国は月内に協議の場を設けるという。
両国関係は中国の巨大経済圏構想「一帯一路」を通じた資本投下で緊密化しており、双方を鉄道や高速道路で結ぶ「中国・ミャンマー経済回廊」構想が計画されている。イラワジは、フェンス設置による関係の悪化が「中国の拡張計画にも影響を与えることになるだろう」と分析している。
中華人民共和国海警法
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中華人民共和国海警法は、中国人民武装警察部隊海警部隊(中国海警局を含む)の組織と活動を規定する法律。2021年1月20日から22日の間に開催された第13期全国人民代表大会常務委員会第25回会議で可決された。同年2月1日に施行された
総則
立法趣旨
第1条で「海警機構が職責を履行することを規定及び保障し、
国家の
主権・
安全・海洋権益を擁護し、
公民・
法人・その他の組織の合法的権利・利益を保護する為、本法を制定する。」と立法趣旨を説明している。
適用範囲
第3条で「海警機構は中華人民共和国の管轄海域(以下、我が国管轄海域と略称する)及びその上空において海上権益擁護の
法執行活動を展開し、本法を適用する。」と規定している(第3条)。
海警機構の性質
第2条第1項で「
人民武装警察部隊海警部隊すなわち海警機構は、海上権益擁護の法執行の職責を統一して履行する。」と規定し、海警機構の性質を説明している。
海警機構の組織
第2条第2項で「海警機構には
中国海警局並びにその海区分局と直属局、省級海警局、市級海警局、及び海警業務ステーションが含まれる。」と規定し、海警機構の組織構造の概略が示されている。
共産党の指導・総体国家安全観
第4条で「海上権益擁護の法執行活動では
中国共産党の指導を堅持し、
総体国家安全観を貫徹し、法に基づく管理・包括的な統治・標準的で効率的な・公正で文明的な原則に従う。」と規定し、中国共産党の指導及び総体国家安全観を海警機構の法執行活動の原則とすることが法律に明記された。
海警機構の基本的任務
第5条で「海上権益擁護の法執行活動の基本任務は、海上安全保衛を展開し、海上治安秩序を維持し、海上密輸・密航に打撃を与え、職責の範囲内で海洋資源の開発利用・海洋生態環境の保護・海洋漁業生産業務等に対し監督・検査を行い、海上違法犯罪活動を予防・阻止・処罰する事である。」と規定し、海警機構の多様な基本的任務が法律に明記された。
機構と職責
中国海警局の職責
第10条で「国家は沿海地区にある行政区画及び任務区域に従い中国海警局海区分局と直属局、省級海警局、市級海警局、並びに海警業務ステーションを編成し、管轄区域での海上権益擁護の法執行活動を分担して責任を担う。
中国海警局は国家の関連する規定に基づき所属の海警機構を領導し海上権益擁護の法執行活動を展開する。」と規定し、中国海警局の職責を説明している。
海警機構の職責
海警機構の職責は以下の通り
1 我が国管轄海域において巡航・警戒を展開し、重要な
島嶼を監視し、海上境界線を管理保護し、国家主権・安全・海洋権益に危害を加える行為を予防・阻止・排除する。
2 重要目標及び重大活動に対し安全保衛を実施し、重要な島嶼並びに
排他的経済水域及び
大陸棚の
人工島・施設・構築物の安全の保護に必要な措置を講ずる。
3 海上治安管理を実施し、海上での治安管理及び出入境管理の違反行為を捜査・処理し、海上でのテロ活動を防犯・処理し、海上治安秩序を維持する。
4 海上での密輸の疑いのある輸送手段又は貨物・物品・人員に対し検査を行い、海上の密輸違法行為を捜査・処理する。
5 職責の範囲内で、海域使用・海島保護並びに無人島の開発利用・
海洋鉱物資源の探査開発・
海底のケーブル及び
パイプラインの敷設と保護・
海洋調査の為の観測・
基本海図作成の為の測量・外国の
海洋科学研究等の活動に対し監督検査を行い、違法行為を捜査・処理する。
6 職責の範囲内で、
海洋エンジニアリング建設プロジェクト・
海洋廃棄物投棄活動による
海洋汚染損害・海洋
自然保護区の海側の
海岸線の保護利用等の活動に対し監督検査を行い、違法行為を捜査・処理し、規定の権限に従い海洋環境汚染事故の応急処置と調査・処理に参加する。
7 動力船に対する
底引き網禁漁区境界外側の海域及び特定漁業資源漁場の漁業生産活動・海洋野生動物保護等の活動に対し監督検査を行い、違法行為を捜査・処理し、法に基づき海洋漁業生産の安全事故及び漁業生産の紛争の調査・処理を組織し又はそれに参加する。
8 海上犯罪活動を予防・阻止・捜査する。
9 国家の関係する職責の分担に従い、海上突発事件を処理する。
10 法律・法規・我が国が締結し参加する国際条約に従い、我が国の管轄海域以外の区域にある関連する法執行任務を担う。
11 法律・法規が規定するその他の職責。
海上安全保衛
第20条では「我が国の主管機関の承認を経ず、外国の組織および個人が我が国の管轄する海域及び島嶼において建築物、構築物を建造し、又は各種の固定若しくは浮動する装置を設置した場合、海警機構は上述の違法行為を停止するよう、又は期限内に解体するよう命令する権利を有する。違法行為を停止することを拒否したり、又は期限を越えて解体しなかった場合、海警機構はこれを阻止し又は解体することを強制する権利を有する。」と規定している。
第21条では「外国の軍用船舶及び非商業目的に用いる外国政府の船舶の我が国が管轄する海域における我が国の法律、法規に違反する行為に対し、海警機構は、必要な警戒及び管理措置を講じ、それらを制止し、関連する海域を直ちに離れるよう命じる権利を有する。離れることを拒否しかつ重大な危害若しくは威嚇を引き起こす場合、海警機構は強制退去、強制曳航などの措置を講じる権利を有する。」と規定している。国際法では領海及び公海において、沿岸国は外国の軍艦・非商業目的のために運航するその他の政府船舶に対し強制措置をとることはできないとされている。本法律の「我が国の管轄する海域」は具体的に何を指すのか、
内水、
領海、
排他的経済水域、
大陸棚のうち何が含まれ又は含まれないのか、本法律では定義されていない。
第22条では「国家の主権、主権的権利、及び管轄権が海上において外国の組織、個人の不法な侵害を受けている、若しくは不法な侵害の切迫した危険に直面している場合、海警機構はこの法律及びその他の関連する法律、法規に従って武器の使用を含む必要な全ての措置を講じ、その場での侵害を阻止し、危険を排除する権利を有する。」と規定している(第22条)。国際法上、沿岸国は「領海における無害通航権」を侵害することは出来ない。無害通航ではない船舶の定義は国連海洋法条約の第19条及びその他の規定が厳格に適用されなければならない。中国海警は警察活動をする場合、武器使用の規則に基づいて
警察比例の原則を守り、その活動を実施する義務を有する。当法律を施行するにあたり、中華人民共和国は国際法を遵守する義務を有する。
武器の使用
第46条では海警機構の職員が武器以外の警察の装備、現場のその他の装備及び手段を使用する場合の要件を定めている。
1 法律に従って船舶を乗船、検査、捕捉、または追跡するにあたり、船舶を強制的に停船させる必要がある場合
2 法律に従って船舶を強制的に追い払うか、強制的に引き離す場合
3 法律に従い職務を遂行する中で阻害又は妨害に遭遇する場合
4 違法犯罪行為をその場で阻止する必要があるその他の状況
第47条では海警機構の職員が手元に所有する武器の使用要件が規定されている。次の2項目の何れかの状況に遭遇した場合、警告が無効な場合、海警機構の職員は手元に所有する武器を使用することができると規定している。
1 船舶が犯罪容疑者を乗せている、又は武器、弾薬、国家機密資料、麻薬などを違法に載せている明らかな証拠が有り、停船命令に従うことを拒否する場合
2 外国船舶が我が国の管轄下にある海域に侵入して不法に生産活動に従事し、停船命令に従うことを拒否し、又はその他の方法で乗船、検査を受けることを拒絶し、その他の措置を用いても違法行為を止めるのに十分ではない場合
第48条では海警機構の船舶上又は航空機上の武器を使用する場合の次の三項目からなる要件が規定されている。
1 海上の対テロ任務を執行する場合
2 海上の重大な暴力事件を処理する場合
3 法執行のための船舶、航空機が武器又はその他の危険な方法で攻撃されている場合
第49条では「海警機構の職員が法律に従い武器を使用するにあたり、警告するには遅すぎるか又は警告後にさらに深刻な危害を引き起こす可能性がある場合は、武器を直接使用できる。」と規定し、無警告の武器使用の要件が明文化されている。
第50条では「海警機構の職員は違法犯罪行為及び違法犯罪行為の人的危険性並びに程度及び緊急性に基づき、武器使用の必要限度を合理的に判断し、死傷者及び財産の損失を回避又は削減するよう努めなければならない。」と規定している。
第51条で「本法律で規定されていない、海警機構の職員による警察の装備及び武器を使用は、『警察装備及び武器の使用に関する
人民警察の規定』並びにその他の関連する法律及び規定に従って執行される。」と規定し、本法律の規定のほかの警察の装備・武器の使用規定として人民警察の規定等を用いることが法律に明文化された。
附則
外国に対する対抗措置
79条では「外国が海上法執行の分野において我が国の公民・法人・その他の組織に対し差別的な禁止・制限・又はその他の特別措置を採る場合、海警機構は国家の関連する規定に従って相応の対等な措置を講じることができる。」と規定している。
建築物等に対する法執行措置
第80条では「本法が規定する船舶の権利を擁護するための法執行措置は、各種の固定若しくは浮動の建築物若しくは装置、又は固定若しくは移動式のプラットフォームに適用される。」と規定している。
管轄海域外の区域の法執行
第81条では「海警機構は法律・法規・我が国が締結し、参加する国際条約に従って、我が国が管轄する海域の外の区域において法執行任務を執行する場合、関連する手順は本法律の関連する規定を参照して執行することができる。」と規定している。
中国海警局が定める規則
第82条では「中国海警局は、法律、行政法規、並びに国務院及び中央軍事委員会の決定に従って、海上権益擁護の法執行の事項に関する規則を制定し、かつ規則に従って記録にとどめる。」と規定している。
防衛作戦任務
第83条では「海警機構は『
中華人民共和国国防法』、『
中華人民共和国人民武装警察法』等の関連する法律・軍事法規及び
中央軍事委員会の命令に従って、防衛作戦等の任務を執行する。」と定め、海警機構が実施する
国防任務についての規定が明文化された。
三亜市
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
三亜市(さんあ-し)は
中華人民共和国海南省の地級市。海南島の最南端に位置し、海南省で第二の都市である。
地理
三亜は海南島南端に位置し
南シナ海に面した、北緯18度9分から18度37分(
ハワイとほぼ同緯度)、東経108度56分から109度48分の地点に位置し、海岸線は209キロメートルにおよぶ。
熱帯の気候と美しい海浜で知られ、特に亜龍湾(ヤーロン・ベイ)は
ヒルトン、
シェラトン、
マリオット、
ザ・リッツ・カールトンなど外資系の高級ホテルが立ち並ぶ、中国有数の
ビーチリゾートとして人気のある旅行先となっている。
森林や海中は豊かな
生態系が残り、多様な
鳥類や
魚類が生息している。
天然ガス・
石灰岩・
花崗岩などの鉱物資源も豊富であり近年開発が急速に進められている。
三亜市街地の東の
楡林港は
第二次世界大戦時には
日本海軍の根拠地の一つであり、現在は楡林海軍基地がある。その東の亜竜湾の東側には、
戦略型ミサイル原子力潜水艦晋級などが駐留する亜竜湾海軍基地がある。
歴史(「
崖州 (海南省)」も参照)
三亜の名称は「三亜河」(旧称: 臨川水)に由来する。三亜の東西から流入する川が合流しY字となっていたことより三亜と命名された。
三亜が中原の支配を受けるようになったのは
前漢のことである。
秦代には崖州が設置されていたが、実際の支配は
武帝により
南越国が滅亡された後の
前110年に臨振県が設置された後である。その後臨振郡、崖州、珠崖軍、吉陽軍、崖州と名称の変遷があった。
明代の『
正徳瓊台志』には既に「三亜村」、「三亜里」の的記載が登場している。
清末の
1905年(
光緒31年)に崖州は直隷州となり万安・陵水・昌化・感恩の四県を管轄するようになった。
中華民国が成立すると
1912年に直隷州は廃止され、崖県が設置され県治が三亜に設置され、三亜が地域の中心として発展するようになった。
1984年5月に崖県は県級市の三亜市に昇格、更に
1987年11月に地級市に昇格し現在に至っている。
かつては中国と
東南アジアとの間の海路の中継点にあたる場所であり海上交通中継地・軍事上の要地ともされたが、同時に
中原政権にとり辺境に位置する三亜は歴代王朝により
流刑地として使用されていた。歴史的に
リー族や
ミャオ族が多く、その他イスラム教を信仰する
回族も一定数いるが、中国全土からの人口流入により
漢族が人口の大半を占めるにいたっている。
年表
海南行政区海南リー族ミャオ族自治区 ・1952年11月 -
広東省海南行政区楽東県・
白沙県・
保亭県を編入。海南行政区
海南リー族ミャオ族自治区が成立。(5県) ・楽東県・白沙県の各一部が海南行政区
昌感県の一部と合併し、
東方県が発足。 ・保亭県・白沙県の各一部が海南行政区
屯昌県・
楽会県・
万寧県の各一部と合併し、
瓊中県が発足。 ・1953年7月1日 - 海南行政区
陵水県・
崖県を編入。(7県) ・1955年9月 - 海南行政区海南リー族ミャオ族自治区が海南行政区
海南リー族ミャオ族自治州に改称。
海南行政区海南リー族ミャオ族自治州 ・1959年3月22日 (4県) ・海南行政区昌感県が東方県に編入。 ・白沙県が東方県・瓊中県に分割編入。 ・保亭県・陵水県が崖県に編入。 ・1960年9月30日
- 崖県の一部が分立し、
保亭県が発足。(5県) ・1961年10月5日 (8県) ・東方県の一部が分立し、
白沙県・
昌江県が発足。 ・崖県の一部が分立し、
陵水県が発足。 ・1981年10月23日 - 崖県の一部が分立し、海南行政区
西沙群島・南沙群島・中沙群島弁事処となる。(8県) ・1984年5月19日 - 崖県が市制施行し、
三亜市となる。(1市7県) ・1986年6月12日 - 保亭県・瓊中県・楽東県の各一部が合併し、
通什市が発足。(2市7県) ・1987年11月20日 ・三亜市が地級市の
三亜市に昇格。 ・通什市・楽東県・白沙県・保亭県・東方県・瓊中県・陵水県・昌江県が
海南行政区に編入。
広東省三亜市 ・1987年11月20日 - 海南行政区海南リー族ミャオ族自治州三亜市が地級市の
三亜市に昇格。(1市) ・1988年4月13日 - 広東省の分割により、
海南省三亜市となる。
海南省三亜市 ・2014年1月25日 -
海棠区・
吉陽区・
天涯区・
崖州区を設置。(4区)
観光
亜龍湾は
三亜鳳凰国際空港の南に位置する。長さ7.5キロメートルにおよぶ白砂の美しい浜辺が広がり、国家旅遊区として中国政府などの手により整備され、国際的リゾートとして名高くなった。大東海や三亜湾に接する地域も同様に、美しい浜辺の広がる人気のあるリゾート地区である。これらの地区は、市街地から車で十数分程度の距離にある。
三亜には、森林、動物、
温泉、少数民族の風俗や文化、洞窟(熱帯植物の茂る大小洞)など、海浜以外の観光資源もある。高さ108メートルの
南山海上観音聖像が三亜に2005年完成しており、世界でも有数の高さの仏像として中国人観光客の人気を呼んでいる。近郊の回新村には 8,000 人の回族がおり、海南島有数のムスリム居住地として
モスク(清真寺)6箇所を抱えている。海南島の最南端に近い奇岩の点在する海岸「
天涯海角」は風景区として整備され、この地を訪れた清代の多くの文人墨客の詩文が岩に刻まれている。
他に
亜龍湾ビーチ、
蜈支州島、
西島、
鹿回頭公園、
大小洞天などといった有名な観光スポットが挙げられる。
交通・航空・鉄道・道路
・島内各地からの交通は
バス中心で、三亜市内にバスターミナルがある。市内は
タクシーも多い。
・
三亜鳳凰国際空港
・高速鉄道は、鳳凰機場駅で三亜鳳凰国際空港と直結しており、非常に便利になっている。・
海南東環鉄道・
海南西環高速鉄道・
海南西環線・
三路
・速道路 ・
海南地区環線高速道路国道・
G223国道・
G224国道・
G225国道