中国点描-1



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国境紛争 二番煎じは失敗――矢板明夫・台北支局長
【「矢板明夫の中国点描」産経新聞 R02(2020).07.08 】


  中国軍とインド軍が6月中旬、国境付近で激しく衝突した双方は銃器などの近代兵器を使わず、棍棒(こんぼう)や石などを使って攻撃し合い、合せて60人以上の死傷者を出した。
  衝突の理由について、中国軍の報道官は「インド側が双方の承諾に違反して、実効支配線を越えて違法活動を行ったと主張した」のに対し、インド側は「中国の兵士が実効支配線を変更しようとした」と反論した。ロイター通信が入手した衛星写真によれば、中国軍が衝突までの数日間に機械類を持ち込み、ヒマラヤ山脈の山腹に道を切り開いたほか、川をせき止めるなど挑発した形跡があった。」
  台湾の政府系シンクタンクの軍事問題専門家は、「中印双方の国境付近でのにらみ合いは数年前から始まっているが、今回は中国側が先に挑発した」と分析した。

  衝突の後、インドは死亡した20人の名前を公表し、大がかりな葬儀を行った。モディ首相はその後、前線部隊を視察し、兵士たちを励ました。これに対し、中国の官製メディアは武力衝突があったことを小さく伝えただけで、インド側より多いといわれる自国兵士の死傷者数を含め、詳細を一切公表しなかった。
  その後、中国側は率先して捕虜を釈放するなど事態を穏便に済ませようとした。「自国に非があるため、(中国側は)騒ぎを大きくしたくないと考えたようだ」と同専門家は指摘した。
  中国は最近、中印国境に限らず、周辺国・地域に挑発行動を繰り返している。台湾空域に中国軍用機が頻繁に侵入しているほか、尖閣諸島(沖縄県石垣島)周辺には80日以上も中国公船が連続して出没している。7月に入って、ベトナムなどが領有権を主張する南シナ海の島嶼(とうしょ)付近でも中国海軍が大規模な軍事演習を実施した。
  内政がうまくいかないときは、周辺と軍事的な緊張を高め、人民の注意をそらそうとするのは中国共産党の常套(じょうとう)手段だ
  習近平国家主席が尊敬する中国建国の父、毛沢東は党内の権力闘争のために外国との衝突をよく利用したことで知られる。1962年に起きた中印の国境紛争も、その代表例だ。
  この年、毛が主導した大躍進政策が失敗し、多くの餓死者が出た問題が明らかになり、党内で不満の声が高まっていた。そこで毛は突然、軍を動かして中印国境付近のインド軍を急襲した。その後はすぐに撤退し、官製メディアで勝利を大きく宣伝、党内の主導権を取り戻したといわれる。
  習氏を取り巻く昨今の内外情勢は、当時の毛に近いところがある。新型コロナウイルスの蔓延(まんえん)で中国経済は大きな打撃を受け、香港問題でも泥沼的な状況がつづく。米中貿易問題は解決の糸口がみえず、党内で指導部の責任を問う声が高まっている。
  習氏は約60年前の毛の時代を模して中印国境で紛争を起こそうとしたが、当時とは違ってインドからの猛反撃に遭い、戦果を挙げられなかったのは想定外だったようだ。米国をはじめ国際社会の多くがインドを支持する姿勢を示している。中国の拡張路線に不満を持つロシアもインドに武器を売却するなど、中国の側に付かなかったのが習政権にとって大きな痛手となった。
  ロイター通信などによると、中国軍は6日から、中印国境の紛争地から撤退を始めた。習氏の二番煎じの試みは失敗に終わったようだ。







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