北載河会議問題-1
2022.09.01-Yahoo!Japanニュース(ニッポン放送)-https://news.yahoo.co.jp/articles/d496199621cd9301f0789b2d054a42c03eee2c5d?page=3
今後、「習近平色」を薄める動きが出てくる可能性もある中国
(1)
中央大学法科大学院教授で弁護士の野村修也と、青山学院大学客員教授でジャーナリストの峯村健司が8月30日、ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy
up!」に出演。極東で行われるロシアの大規模軍事演習について、また、今後の中国国内の体制について解説した。
ロシア極東の大規模軍事演習、日程変更 ~ウクライナとの戦いにおいて冬をまたいでの長期戦を目指す
ロシア国防省は8月29日、極東を管轄する東部軍管区で予定している大規模軍事演習「ボストーク2022」について、公表していた日程を先送りし、9月1日~7日に行うと発表した。
兵員については4年前の前回に約30万人が参加したとされているが、今回は5万人以上に規模を縮小した。前回に引き続き、中国軍も参加する。
飯田) ・ 予定地も当初の13ヵ所から、7ヵ所に減ったそうです。当初は30日から行われる予定でしたが、2日間ずらされました。予定地を見ますと、北方領土の国後・択捉両島も含まれているということで、日本としては看過できないところです。
野村) ・ ウクライナ情勢によって、ロシアがかなりダメージを受けていることが見え隠れしています。ロシアは兵をたくさん集めるため、先日、大統領令に署名しました。あれは冬をまたごうとしているのです。
飯田) ・ 長期戦になるということで。
野村) ・ 冬をまたぐと、ヨーロッパがエネルギーにおいてかなり厳しい状況に陥るので、足並みが乱れる可能性があるため、長期戦を目指しています。体制も再び整えないといけないので、このような軍事演習を行っている場合ではないということだと思います。
中国とロシアがどのくらい連携しているのかを注意深く見る必要がある ~中国企業が北方領土に進出する動きも
野村) ・ 日本にしてみると、北方領土は我々の領土です。しっかりと交渉していくためにも、ロシアが隣の国だということを考えて、緊張感を高めて防衛準備をしなければいけないと思います。
飯田) ・ ここ数年は南の守りを考えてきたなかで、やはり北も捨て置くわけにはいかないぞ、ということですよね。
野村) ・ 私は北海道生まれなので、子どものころから北方領土問題は身近な問題でした。ここにきて軍事演習が繰り返されることに対しては、警戒感が強いですね。
峯村) ・ 気になるのは、中国軍が加わることです。中国企業なども北方領土に進出する動きがあるので、中露の連携については十分警戒しなければいけません。
飯田) ・ 中露の連携に。
峯村) ・ 2019年に中露両軍が合同で爆撃機を竹島に飛ばし、そのあとに尖閣諸島で演習を行いました。あの辺りから中露の合同演習が緊密になってきています。それ以来、今回が初めての合同演習になるので、日本側はどれほど中国とロシアが連携しているのかを注意深く見る必要があります。
飯田) ・ どのくらい連携しているのか。
峯村) ・ ロシア軍の参加する兵士数が減っているから大丈夫だと言うのではなく、中国軍がどれだけ人員を出してくるのか、作戦面でどのぐらい緊密に連携してくるのかをしっかりと監視しておくべきでしょう。
飯田) ・ 中国とロシアで艦艇を動かすとなると、2021年10月ごろに津軽海峡を中露の艦艇が、日本を「グルッ」と回るような形で10隻通過していったことがありました。
峯村) ・ ポイントとしては、日本海だということです。日本海に中露両軍が展開されてしまうと、日本の防衛には大きな影響が及びます。日本の守りは南西諸島、特に尖閣諸島を中心としたところに集中しようとしていますが、背中の日本海でも対応しなければいけなくなるからです。自衛隊の戦力が二正面に分散されることになります。
飯田) ・ そうですね。
峯村) ・ この辺りを中露が連携して狙っているのです。東部軍管区というのは、キーウ攻略においてボロ負けした軍隊であり、最も疲弊しているところです。それでもロシアは二正面として頑張っているわけで、日本としても二正面に耐え得る作戦や兵力を保たなければいけないと思います。
(2)
中国の軍事演習に対しての抑止として米巡洋艦2隻が台湾海峡を航行
野村) ・ まさに航行の自由作戦のような形で、航行すること自体は国際法上で禁止されてはいませんが、今回、
台湾海峡をアメリカが通過するということがありました。
飯田) ・ 巡洋艦が2隻通過しましたね。
野村) ・ このような行動自体が国際的な緊張を高めていくので、日本にとっても北の守りをどうするのかは、とても重要な問題になっているのだと思います。
峯村) ・ アメリカの艦艇が台湾海峡を航行したということも重要です。いままではミサイル駆逐艦1隻だけが、まるで歌舞伎の見世物のように通っていました。しかし今回は、2隻通過したことが重要ですこれは珍しいことですし、中国と台湾の中間線において、かなり微妙なところを通ったと関係者からは聞いています。大規模な軍事演習を展開する中国に対して、アメリカがエスカレーションで抑止する狙いがあるのでしょう。
飯田) ・ 行動対行動ということですか?
峯村) ・ そうですね。
EEZにミサイルを撃ち込まれても中国へ電話だけの抗議しかしない日本
野村) ・ 中国が先日、日本の排他的経済水域に撃ち込んできました。彼らは「日本との間には経済水域についての協議が整っていないから、あそこは自由にやれる」というような発想のことを言っていました。
峯村) ・ 中国外務省の報道官は「
日本のEEZは存在しない」と断言しました。
野村) ・ しかし、国際法的に見ればまったく通らない議論ですので、その辺りもきちんと対応していかなければならないと思います。
峯村) ・ あのときもEEZに撃ち込まれているのに、日本の外務次官が電話で抗議しただけで終わっているのです。
飯田) ・ 大使に対して電話しただけでしたね。
峯村) ・ しかも話を聞いていると、どうも中国大使を呼び出したけれど、来なかったから電話したという経緯だそうです。甘いですね。来なかったのならば、怒鳴り込んででも行かなければいけません。完全に現状変更をしてわけですから。
「EEZは存在しない」と中国に言わせてはならない
峯村) ・ 中国から「日本は黙認した」というようなキャンペーンを張られてしまう。「EEZは存在しない」と言わせてはいけません。これまで長年かけて日本とガス田協議などをやってきたことも、一気に意味がなくなってしまう。
野村) ・ 発想として、「大陸棚であれば全部自分たちのものだ」というような、国際法上では通用しないような議論しかしていないのです。
(3)
中国で「北戴河会議」が開催 ~「習近平氏と李克強氏の暗闘」はない
飯田) ・ アメリカのペロシ下院議長が台湾を訪問した辺りから、日本のEEZへのミサイル撃ち込みや、米上院議員の訪台などが続いていますが、中国国内でもいろいろな動きがあったようですね。
峯村) ・ 今回、「北戴河会議」という非公式会議が開かれました。発表されないので詳細はわからないのですが、どうも複数のソースに聞いてみると、8月1日~15日ぐらいまで行われたのではないかと言われています。
飯田) ・ 2週間ほど。
峯村) ・ 最近の日本メディアの報道を見ると、
李克強氏が復活して「習近平氏と暗闘」などという報道が目につきます。しかし、「これは誤っている」と断言できます。このような権力闘争分析はもう古いのです。権力闘争を使って中南海を分析する手法は、2012年に私が持ち込んだものなので、私が責任を持って葬らないといけないのですが。
飯田) ・ 峯村さんが責任を持って。
峯村) ・ 当時の胡錦濤体制は集団指導体制だったので、各派閥のバランスや対立軸を読み解いていくやり方が有効でした。しかし、いまは習近平1強体制であり、習近平氏に対抗できる組織や人物はいない。そもそも何派というような話ではないのです。
習近平氏が共産党軍の勝利を記念する博物館を訪問し、李克強氏が鄧小平の記念碑に献花したのはそれぞれ「分業的な行為」にすぎない
峯村) ・ 李克強氏についても、首相は2期10年と決まっているので、彼が首相を降りることは間違いありません。李克強氏が習近平氏に対して何かをやるということにはなりません。今回の北戴河会議についても、いまは経済がよくないのでいろいろな激論は交わされたようですが、暗闘や分裂などという話題はないようです。
飯田) ・ 分裂するということはない。
峯村) ・ 日本メディアなどを見ていると、習近平氏が遼寧省にある共産党軍の勝利を記念する博物館に行った。片や李克強氏は、広東省にある改革開放の鄧小平の記念碑に行っています。それを「分裂だ」とする論調があるのですが、まったく違います。
飯田) ・ まったく違う。
峯村) ・ プロトコル(儀礼。典礼)で言うと、習近平氏は政治・安全保障をやっているので、共産党の勝利を記念する博物館に行ったということは、「対台湾」なのです。国民党をやっつけたということをもう1度フォームアップして、「もう1度台湾を取り戻すのだ」という政治的なメッセージです。
飯田) ・ 台湾を取り戻すという。
峯村) ・ 李克強氏が広東省に行ったということは、「改革開放は引き続き堅持していく」、「経済発展は必要なのだ」という分業的なものをやっているのです。複数の意見を聞いていると、「これは権力闘争ではない」という流れが見えてきます。
野村) ・ 峯村さんに伺いたいのは、その2つは両立しない面もあるわけではないですか。ゼロコロナ政策にしても共同富裕にしても、あるいは一帯一路にしても、うまくいっていないところはたくさんあります。一方、それが経済に対して悪影響を及ぼしていることについて、危機感を持っている人はいるのですよね?
峯村) ・ おっしゃる通りです。ですので、ゼロコロナも含めて、習近平政権が経済的に統制の方に行きすぎてしまっていることに対する批判は相当あったそうです。それに対する意思表示として、李克強氏が改革開放におけるいちばんの御本尊に行ってきた、というメッセージなのです。
(4)
今後、習近平色を薄める動きが出てくる可能性もある
野村) ・ プーチン大統領は「過去のロシア帝国の夢」というような部分が、どこか歪ではないですか。習近平国家主席は「社会主義の夢」のようなものがどこかにあって、そこが少し経済発展を妨げているような部分はありませんか?
峯村) ・ その要素はあります。いま打ち出している共同富裕政策なども社会主義色が前面に出たものです。デジタル分野などを中心に民間企業を叩いています。その副作用としての経済減退の動きは出てきています。
飯田) ・ 副作用が。
峯村) ・ ゼロコロナなども相当ダメージが大きい。ここ最近では、行き過ぎたロックダウンによる経済活動の停滞を嫌った外資企業などが少しずつ中国から出ていく動きが出ています。いまだに外資は中国の経済成長のエンジンです。改めて改革開放路線を堅持していくことを、今回の北戴河会議で決まったようです。
野村) ・ 何かを握った可能性はありますよね。やはり3期目となると、いままでの習近平体制とは少し違って、異なる色が出てくる可能性はありますよね。
峯村) ・ あり得ると思います。習近平色を薄める動きが今後、出てくる可能性はありますね。
飯田) ・ 副作用が。
峯村) ・ ゼロコロナなども相当ダメージが大きい。ここ最近では、それを嫌がる外資企業などが少しずつ中国から出ていく動きもあります。
外資が中国の経済成長のエンジンになっている部分があるので、ここに対するブレーキを踏むということが、今回の北戴河会議なのです。
野村) ・ 何かを握った可能性はありますよね。やはり3期目となると、いままでの習近平体制とは少し違って、異なる色が出てくる可能性はありますよね。
峯村) ・ あり得ると思います。習近平色を薄める動きが今後、出てくる可能性はありますね。
次の首相が誰になるのかは重要な人事
飯田) ・ その辺りで、
李克強さんの後釜をどうするのかがポイントになってきますか?
峯村) ・ 首相ですので重要になります。いまは胡春華さんという、広東省の書記などを務めた方の名前が出ています。中国共産主義青年団という、李克強さんやその前の胡錦濤さんなどの流れを受けた人がなるだろうと言われています。
飯田) ・ なるほど。
峯村) ・ そうなると、改革開放路線は引き継ぐことになるでしょう。一方、彼が閑職などになると、習近平路線が加速して社会主義的な要素が強まる可能性があります。ここ2~3ヵ月の人事は非常に重要です。
2022.08.17-Bloomberg-https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2022-08-17/RGR142DWRGG301
中国の習主席、2週間ぶりに姿現す-「北戴河会議」終了示唆
中国共産党の習近平総書記(国家主席)が
2週間ぶりに公の場に姿を現した。党指導部や長老メンバーが非公式に重要事項を協議する毎年恒例の
「北戴河会議」が終わったことが示唆される。
習氏は16日、遼寧省錦州市で地元当局者に鉱工業の再編加速を促し、国共内戦末期における共産党軍の勝利を記念する博物館を訪問した。動静は国営新華社通信が伝えた。
さらに
四川省の行楽地で鉄砲水により少なくとも7人が死亡した事態を踏まえ、治水についての指示も出した。
今週は
李克強首相も深圳で会議を主催したと報じられた。
習、李両氏の公の場への登場は、中国の現旧指導層が避暑地として有名な河北省北戴河に毎夏集まって開く非公開の会議が終了したことを示している。
第657回:北戴河会議終わる
「新華社通信、北京、8 月 17 日。
習近平、CPC 中央委員会の書記長、国務長官、中央軍事委員会の委員長、中央金融経済委員会の局長が第 10 回中央金融経済委員会を主催しました。
8 月 17 日の経済委員会 は、共通の繁栄の堅実な促進の問題を研究し、主要な問題の防止と解決を研究します・・猛暑の夏と豪雨 の所為で、わが灰色の脳細胞も疲れ気味のようで、へんてこりんな日本語になってしまった・・のではなく、実はこれ、本日の国営新華社のトップ記事(中国語)を右クリック、「日本語に翻訳」した結果である。
まっとうに訳せば、8 月 17 日、習近平国家主席兼、中央軍委主席、中央財経委員会主任は「
第 10 回中央 財経委員会」を主宰し、「
共同富裕問題」、「
金融リスクの防止と安定」などの問題について討議した・・云々。 要は、8月初旬から続いていた
北戴河会議、つまり【
北京に近い河北省の避暑地・北戴河に現役指導部と 一線を退いた長老たちが非公式に集まり、党の重要人事や政策を話し合う会議】が終了し、習近平主席や 李克強首相たちが北京に戻り、公務を再開したということだ。
中国の最高指導者である習主席、彼の肩書といえば、真っ先に登場するのが
①中国共産党中央委員会 総書記(党総書記)、
②中華人民共和国主席(国家主席)、
③中国共産党中央軍事委員会主席(党軍委主 席)だが、彼は
肩書コレクターであり、それ以外にもいくつかのポストを持っている。
たとえば、彼は国家安全保障政策と危機対応の中核的機構として、2013 年に党中央政治局直属の「
中央 国家安全委員会」を立ち上げ、主席に就任した。副主席は李克強首相と、栗戦書全人代委員長だ。 彼は改革全般の司令塔である「
中央全面深化改革委员会」の主任も兼務している。
副主任は李克強首相、 王滬寧書記、韓正副首相だ。 そして「
中央財経委員会」主任。副主任は李克強首相、委員は王滬寧書記と韓正副首相。これは首相の 専権事項だった経済政策に関する権限を、習直轄とするため強引に立ち上げた党直属機構である。
これまでの中央財経委は主任、副主任、2人の委員が中心になって開かれてきた。習近平 は党のトップ、李克強は首相、王滬寧は習氏の政策ブレーン、韓正は筆頭副総理である。 吃驚したのは、昨日の中央財経委員会に、中国序列第 4 位の
汪洋(56 歳)政協主席が参加したことだ・・ 北戴河会議が終了した直後の大事な会議に、これみよがしに、
汪洋がトップを務める中国人民政治協商会議(政協)とは、チャイナセブンの中でも“政治花瓶”と揶揄さ れる閑職の中の閑職だ。
名目上は中国共産党、各民主党派、各団体、各界の代表で構成される全国統一 戦線組織だから、党総書記、首相、全人代委員長に次ぐ第 4 位のポストを得ているが。 だが
汪洋は掛け値なしの大物だ。系列としては胡耀邦、胡啓立、胡錦濤、李克強、胡春華に連なる中国共産主義青年団(共青団)系の人物だが、李克強や胡春華のような「中央」の共青団出身ではなく、安徽省 の共青団幹部出身で、共青団嫌いの習近平との関係もそう悪くはない。
しかも
汪洋は学歴万能の中国で、珍しく貧農出身で、安徽省の食品工場の労働者から這い上がってきた 中卒の苦労人。これは彼の強みといえよう。タテマエは社会主義の中国において、党や政府の出世コースには一定数の「女性枠」、「中卒枠」、「少数民族枠」が含まれており、社会の安定に神経を尖らせる
習近平主席にとって、明朗闊達で庶民に人気の高い
汪洋は、「
できれば敵に回したくない人物」の筆頭だ。
12 年に習近平政権が誕生したとき、
前=江沢民、現=胡錦濤、新=習近平たちが水面下で協議し、その 結果、反逆者・薄煕来(前政治局委員)の存在が浮き彫りにした民衆の経済格差に対する不満を背景とする 「左傾路線」が真っ先に排除され、返す刀で「急進改革派」の
汪洋も最高指導部(政治局常務委員会)入りを 一旦は逃し、5 年後の「第 2次習近平政権」を待つ結果となった。
新政権で最高指導部入りを逃した
汪洋だが、副首相(対外経済担当)に転出し、「米中戦略・経済対話」を仕切り、米国との太いパイプを生かし、「米中新型大国関係」の構築で大きな実績を残している。 昨日の中央財経委員会に
汪洋が飛び入り参加したから、これが大事件だと大騒ぎするつもりはないが、 既に政治の季節入りしている中南海の動きは要注意だ。
来年の党大会で、習主席が狙う
「68 歳定年破り」、 「三選断行」、「党主席復活」の内、前 2 者は確定で、残る党主席復活の可能性も高そうだ。
問題は、欲しいもの全てを手に入れたいのであれば、
我儘を許してくれる人々に、それなりの配慮をする のが、後で仕返しされないための中国流処世術で、先ずは李克強首相の処遇だ。首相任期は憲法規定で 「2期10年まで」となっており留任不可。でも、
68歳の習近平が続投し、66歳の李克強を引退させると、中国 国内の批判が高まるのは必至であり、李克強は序列 2 位のまま全人代委員長に横滑り。
問題はポスト李克強。能力からいえば、共青団出身の若手エリート胡春華(58 歳)副首相が、ずば抜けて いるが、共青団嫌いの習近平主席に大度量がありやなしや。もし習氏が泣いて馬謖を斬る覚悟で、側近の
陳敏爾(重慶トップ)や李強(上海市トップ)らの政治局委員に引導を渡し、胡春華を首相に登用すれば全ては解決。でもそれができなければ、次善の策として、能力経験ともに十分の
汪洋の起用しかないだろう。
「一瞬が意味のある時もあるが、十年が何の意味も持たないことがある。歴史とは誠に奇妙なものだ」と は大平正芳氏の名言だが、十年前に毛沢東時代への回帰を目指す野心家で同じ「
紅二代(太子党)」出身 の薄熙来を切り捨て、秦城監獄に放り込んだ習近平主席が、いつの間にやら毛沢東路線をひた走るとは・・ ひた走るわが道暗ししんしんと堪へかねたるわが道くらし。(了)
(筆者プロフィール :
杉野光男 東洋証券株式会社 主席エコノミスト 一橋大学商学部卒、 三菱信託銀行(現三菱 UFJ 信託銀行)入社、上海華東師範大学へ留学 同行北京駐在員、上海駐在員事務所長、理事中国担当部長を経て、2007年より現職
著書 日本の常識は中国の非常識(時事通信社)、中国ビジネス笑劇場(光文社)等)