中国の問題-1
2023.03.11-Yahoo!Japan(毎日新聞)-https://news.yahoo.co.jp/articles/19a1931fd0001f70a1755868fae93d982ca398a8
サウジアラビアとイランの関係正常化 中国「対話、平和の勝利」誇る
【北京・岡崎英遠】
中国外務省は10日、イランとサウジアラビアが中国の仲介で外交関係を正常化させることで合意したと発表した。中国の外交を統括する王毅共産党政治局員は「
これは対話の勝利、平和の勝利だ。現在激動する世界にとって重要な朗報であり、明確なシグナルだ」と成果を誇った。
サウジとイランは6日から北京で高官協議を実施。中国を加えた3カ国は10日、
合意に関する共同声明を発表した。中国外務省は、王氏を中心に両国の高官が手を取って記念撮影に応じる様子を公表。王氏は「
世界はウクライナ問題だけではなく、他にも多くの問題があり、国際社会が関心を持ち、適切に対処する必要がある」と強調した。
王氏は、歴史的に中東に深く関与してきた米国を念頭に「中東諸国が外部の干渉から抜け出し、その運命が中東の人々の手に委ねられることを支持する」と述べた。そのうえで「
中国は良識ある、信頼できる仲介者としての役割を忠実に果たしてきた。今日の世界の問題についても大国としての役割を発揮し続ける」と仲裁者としての役割に意欲を見せた。
【北京・岡崎英遠】
2023.03.01-産経新聞-https://www.sankei.com/article/20230301-JDT7F52LHBJQZMIPNXMRXKSZZ4/
習政権、主要人事固まる 党指導強化へ機構改革も 2中総会閉幕
【北京=三塚聖平】
北京で開かれていた中国共産党の第20期中央委員会第2回総会(2中総会)は
28日、3日間の日程を終えて閉幕した。
3月5日に開幕する中国の立法機関、全国人民代表大会(全人代)で選出される政府の主要人事案が了承された。「
党と国家機構の改革案」も採択し、
国家安全部門の強化が進められるもようだ。
閉幕後に発表されたコミュニケによると、
2中総会では機構改革について「
重要性と緊迫性を十分に認識した」と強調した。
概要については明らかにしていない。会議では「
党中央の集中統一指導を強化」することを確認しており、党による指導をさらに強化し、党と国家機関の一体化を進める方針とみられる。
香港紙の明報は28日までに、
警察を担当する公安省と、スパイ活動の取り締まりなどを行う国家安全省を国務院(政府)から切り離し、党中央直轄の「中央内務委員会」(仮称)に改編するという観測を伝えている。
習近平政権に対する反発を徹底的に押さえ込む狙いとみられる。
習国家主席は昨年10月の中国共産党大会で異例の総書記3期目入りを果たしており、全人代で国家主席としても3選されることは確実。全人代では異例の長期政権を支える首相など新たな閣僚人事も決まるが、
習氏は側近で固めて権力集中をさらに進める方針だ。
習氏との距離が指摘されていた李克強首相は任期満了で退任して、後任には党序列2位の李強(り・きょう)政治局常務委員が確実視されている。
李強氏は、習氏が浙江省トップだった時期からの側近だ。全人代では、開幕日に李克強氏が最後となる政府活動報告を行い、閉幕直後に新首相が記者会見を行う見通し。
首相を支える4人の副首相も全員が交代するとみられる。香港メディアなどは、
党序列6位の丁薛祥(てい・せつしょう)政治局常務委員が筆頭副首相に就任し、国家発展改革委員会主任の何立峰(か・りつほう)氏がマクロ経済政策を担当する副首相に昇格すると伝えている。丁氏は、党指導部の秘書役である党中央弁公庁のトップを務め、習氏の国内視察や外遊には必ず同行した。何氏は、習氏の福建省勤務時代からの側近で、劉鶴(りゅう・かく)副首相の後任として「経済ブレーン」の役割を務めるとみられる。
王岐山国家副主席も退任し、後任には党最高指導部から退いた韓正筆頭副首相の就任が予想されている。
2023.02.25-BBC NEWS JAPAN-https://www.bbc.com/japanese/64768432
ゼレンスキー氏、「習主席との会談を予定」 中国の和平案提案を受け
ウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領は24日、
ロシアの侵攻開始から1年を迎えたのに合わせて首都キーウで記者会見を開いた。ゼレンスキー氏は、同国での戦争終結に関する中国政府の提案について協議するため、習近平国家主席との会談を計画していると述べた。
中国は、和平交渉や国家主権の尊重などを提案している。
内外の記者を大勢招き、その質問に2時間以上にわたり原稿なしで次々と答え続けたゼレンスキー氏は、中国の和平案について質問され、平和実現の方法探しに中国がかかわっていることの表れだろうと述べた。その上で、「
中国がロシアに兵器を提供したりしないと、本当に信じたい」とした。
ただ、中国の和平案に盛り込まれた12項目には、ロシアがウクライナから自軍を撤退させなければならないとは明記されていない。また、ロシアに対する「一方的な制裁」の使用を非難する内容が含まれており、ウクライナに協力する西側諸国を暗に批判しているとみられる。
中国当局はこれまでのところ、習氏との首脳会談を呼びかけたゼレンスキー氏の申し出に、公式には反応していない。
他方、
ロシアは中国の和平案を歓迎している。ロシア外務省は声明で、「我々は中国政府の見解を共有する」とした。
アメリカのアントニー・ブリンケン国務長官は19日、
中国がロシアに対して「殺傷力のある」兵器と弾薬の提供を検討しているとの見方を示した。中国政府はこの主張を強く否定している。米メディアは24日に再び、ロシアへのドローンや砲弾の提供を中国政府が検討していると報じた。
ジョー・バイデン米大統領は24日、米ABCニュースのインタビューで中国の提案について問われると、(ロシア大統領のウラジーミル)プーチン氏が歓迎しているのだから、いいわけがない」と述べた。「この計画がロシア以外の誰の利益になるのか。そういう要素はひとつも見当たらない」と、バイデン氏は批判した。
中国はロシア支援に回っているように見えるものの、プーチン大統領の面目を保つ形で何らかの和平協定を整えることで、プーチン氏を救済したいのだろうと、BBCのジョン・シンプソン世界情勢編集長は指摘する。
中国側の提案は、同国の外交トップ王毅氏のモスクワ訪問を受けて示された。王氏は22日にモスクワで、プーチン氏やセルゲイ・ラブロフ外相と
会談している。
中国国営の新華社通信によると、王氏はプーチン氏らと会談後、中国政府はロシア政府との「政治的信頼を深め」、「戦略的連携を強化」する用意があると述べた。
欧米の政府関係者は、中国の提案に消極的な姿勢を示している。北大西洋条約機構(NATO)のイェンス・ストルテンベルグ事務総長は、中国政府は「違法なウクライナ侵攻を非難できていない」ため、「あまり信用されていない」と述べた。
同盟国の支援あれば「勝利は必然」
ゼレンスキー氏は24日の記者会見で、同盟国が「約束と期限を尊重する」なら、勝利は「間違いなく我々を待っている」と述べた。
ポーランドは、ドイツ製戦車「レオパルト2」4台をウクライナにすでに引き渡し、追加の戦車を提供する用意があるとしている。ドイツも同戦車を14台提供すると発表している。スペインやカナダも同様にウクライナに送る予定。
ウクライナに最大の軍事援助を提供している
アメリカは、米軍の主力戦車「M1エイブラムス」31台を、イギリスは英陸軍の主力戦車「チャレンジャー2」14台を提供すると約束している。
23日に開催された国連総会の緊急特別会合では、
侵攻を非難する決議案が圧倒的多数で採択された。ゼレンスキー氏はアフリカやラテンアメリカの多くの国が棄権したことに触れ、ウクライナはこれまで、アフリカや中南米の諸国と十分に関わってこなかったと認めた。「(ウクライナは)長年、うまく機能せず、注意を払わなかった。それは大きな間違いだと思う」
この戦争における最悪の瞬間について問われると、
ゼレンスキー氏は戦争の初期にロシア軍が多数の民間人を殺害したとされる、キーウ近郊のブチャを訪問した時だと答えた。「私が目の当たりにしたのは、恐ろしい光景だった」と、大統領は明らかに強い思いを込めて述べた。
アメリカは24日、ロシアに対する新たな制裁措置と、ウクライナへの新たな支援策を発表した。追加制裁は、ロシア国内外の銀行や防衛機器のサプライヤーなど、100以上の団体を対象にしている。ロシアが制裁対象の物品を入手できないよう、抜け穴をふさぐのが狙い。
ウクライナへの追加支援は120億ドル(約1兆6000億円)規模。内訳は、国防総省が提供する弾薬やドローンなど20億ドル相当と、国務省が拠出する100億ドル(ウクライナ政府への予算支援を含む)。また、ウクライナと隣国モルドヴァのエネルギーインフラ強化のために、5億5000万ドルを拠出する予定という。
モルドヴァは欧州最貧国の1つで、これまでに戦争の影響を大きく受けている。マイア・サンドゥ大統領は、ロシアが外国の「破壊工作員」を使い、モルドヴァで欧州連合(EU)寄りの政権を倒そうとしているとしている。
EUは24日、軍民両用の技術への制限などを盛り込んだ、対ロシア制裁第10弾を承認した。
(英語記事
Zelensky wants to meet China's Xi to discuss peace plan)
2023.02.25-KHB 5-https://www.khb-tv.co.jp/news/14848234
ベラルーシ大統領が28日から訪中 習近平国家主席と会談へ
中国政府は、
ベラルーシのルカシェンコ大統領が28日から中国を訪問すると明らかにしました。
習近平国家主席と会談するとみられます。
中国外務省は25日、ルカシェンコ大統領が28日から来月2日の日程で中国を公式訪問すると発表しました。
習近平国家主席が招いた形で滞在中、会談するとみられます。
ロシアによるウクライナ侵攻を支持するルカシェンコ大統領に対し、習主席がどのような発言をするのか注目されます。
この発表に先立ち、秦剛外相は24日にベラルーシのアレイニク外相と電話会談し、「ベラルーシに対する一方的な制裁に反対する」と強調しています。
2023.02.23.-izaイザ-https://www.iza.ne.jp/article/20230223-NPZCDMR2ENMVPIFPIEXQOH2FTY/
中国が対露武器支援検討 米、近く情報公表か 米紙報道
【ワシントン=大内清】米紙ウォールストリート・ジャーナル(電子版)は22日、
バイデン米政権が、中国がロシアへの武器支援を検討していることを示す情報を近く公表する方向で調整していると伝えた。ブリンケン国務長官ら米欧の高官からはこのところ、
ロシアによるウクライナ侵略を支えるために中国が殺傷兵器を供与する懸念があるとの発言が相次いでおり、
情報を公開することで中国側を牽制する狙いがあるとみられる。
ブリンケン氏は、ロシアによるウクライナへの全面侵攻から1年となる24日、東部ニューヨークで開かれる国連安全保障理事会の閣僚級会合に出席する。
同氏は18日、ミュンヘン安全保障会議が開催されたドイツで中国の外交担当トップ、王毅(おう・き)共産党政治局員と会談。直後の米NBCテレビのインタビューで、中国がロシアに殺傷兵器を供与するなら「
米中関係に深刻な結果をもたらす」と王氏に警告したと明らかにしていた。
中国は侵攻開始後、米欧などの制裁対象となっている露産石油の購入を継続する一方、軍事面での対露支援には慎重だとみられてきた。国務省のプライス報道官は22日、中国がロシアへの兵器供与に乗り出すかを「注視している」と強調した。
2023.02.17-産経新聞-https://www.sankei.com/article/20230217-F3EWMMV6WBKNPG3D24EZ23LV6M/
中国でデモ相次ぐ 補助削減の医療保険改革に反発
【北京=三塚聖平】
中国各地で、医療保険改革に反対する抗議デモが相次いでいる。
湖北省武漢市では今月8日と15日、多数の高齢者らが街頭に集まり、改革撤回を求めた。
昨年末まで続いた「ゼロコロナ」政策で地方財政は悪化しており、改革は住民の負担を強いる形となっている。当局は事態の沈静化に躍起だ。
香港紙の明報によると、
武漢中心部で15日に行われたデモには数千人が集まり、個人向けの医療補助が大幅に減額されることに抗議した。参加者は革命歌「団結こそ力」を合唱し、一部が警官隊と小競り合いになったという。
武漢では、退職者に毎月286元(約5500円)ずつ支給していた医療補助が83元(約1600円)に引き下げられるという。
武漢当局は最初のデモが起きた8日以降、「病気を持つ人や高齢者が改革で受ける利益は大きくなる」などと説明してきたが、十分な理解を得られなかった。
抗議活動は武漢のほか、遼寧省大連市、広東省広州市などでも行われたと伝えられている。中国国営新華社通信が「改革による効果と利益が出てくるのには時間が必要だ」とする記事を配信するなど、官製メディアも火消しに動いている。
地方政府はゼロコロナ政策の下で、大規模なPCR検査などの支出を余儀なくされ、経済の低迷もあって財政状況が悪化している。
2023.02.12-産経新聞(KYODO)-https://www.sankei.com/article/20230212-SUYSAUQAMZMKHJBZWNKK45TRSU/
中国「飛行物体の撃墜準備」 青島市が漁船に注意喚起
中国山東省青島市の海洋発展局は12日、
山東半島沖で正体不明の飛行物体を発見して撃墜する準備をしているとして、周囲の漁船に危険回避のため注意を促す通知を出した。漁船付近に物体が落下した場合、証拠として写真撮影するよう協力も要請した。中国メディアが報じた。
青島には、中国人民解放軍北部戦区の海軍司令部が置かれている。市当局側は中国メディアの取材に事実関係を認めた上で「飛行物体の具体的な状況については情報に接していない」と述べた。
正体不明の飛行物体が確認されたのは、
山東半島南約60キロの海域。(共同)
2023.01.29-産経新聞-https://www.sankei.com/article/20230129-XO2EWJZIMJMOXGBCNTPKU7UNTU/
中国、日本人向けのビザ発給再開
【南京=三塚聖平】
在日本中国大使館は29日、
日本人に対する中国への渡航ビザ(査証)の発給を同日から再開すると発表した。中国での新型コロナウイルス感染急拡大を受けて日本政府が水際対策を強化したことに対抗し、今月10日に発給手続きを停止したと発表していた。
同大使館はホームページ上の発表で、再開に至った理由など詳細について説明していない。中国では27日に春節(旧正月)の大型連休が終了しており、今後、日中間でビジネスなどの往来が進むとみられる。
発給停止が長引けば駐在員の人事異動などに影響が出ると、中国で事業を行う日本企業から懸念の声が出ていた。
中国経済が「ゼロコロナ」政策により悪化した中、外資企業の呼び込みに中国政府が力を入れていることも見直しの判断に関係した可能性がある。これまでも一部のビジネスなどを対象に、停止したビザ発給を認めるケースが出ていた。
中国外務省は今月中旬、日本などが水際対策を強化していることに対し「
中国人の正当な権益を守る」と発言。対抗措置について「正当で合理的だ」と主張していた。
2022.12.27-JIJI.COM-https://www.jiji.com/jc/article?k=2022122700009&g=int
中国、来月8日から入国時の隔離撤廃 コロナ感染爆発の中、往来正常化
【北京時事】
中国政府は26日、新型コロナウイルス対策として行っている入国時の隔離措置を来年1月8日から
撤廃すると発表した。
中国人の外国旅行に対する規制も段階的に緩和する。中国では今月、「ゼロコロナ」政策が破綻し、感染が爆発的に拡大。国民の2割近い約2億5000万人が感染したとも伝えられる中、防疫対策としての規制が意味を成さない状態になっていた。
中国では現在、入国後5日間の指定施設での強制隔離に加え、3日間の自宅待機が求められている。自宅のない外国人らは最大8日間の施設隔離を強いられ、ビジネス目的の渡航や留学の大きな妨げとなってきた。
今月に入り、一部の地方都市では現行規制をうやむやにする形で
隔離期間が短縮されたと報じられており、全国的な廃止も時間の問題とみられていた。中国政府は、制限してきた国民の外国旅行に関しても「
国際的な感染状況に応じ、秩序をもって再開させる」と表明。外国との往来再開を通じ、
ゼロコロナ政策と感染拡大で低迷する経済をてこ入れし、「正常化」を図りたい考えだ。
中国政府は今回の決定の理由として、
オミクロン株の致死率の低さや中国製ワクチンの普及率の高さを挙げた。来月8日付で新型コロナの感染症分類を引き下げ、感染者の隔離も撤廃するほか、入国に際しては、48時間以内のPCR検査の陰性証明のみを求めることになる。
2022.12.24-JIJI .COM-https://www.jiji.com/jc/article?k=2022122300928&g=int
コロナ急増で医師不足深刻 他都市から応援、地方も拡大警戒―北京
【北京時事】
中国・北京で新型コロナウイルスの感染急拡大に伴う医師不足が深刻化し、
他の都市から数百人規模の医療従事者が応援に駆り出されている。今後、北京以外の都市でも「
感染爆発」が起きるとみられ、地方の医療逼迫(ひっぱく)が懸念されている。
香港紙サウスチャイナ・モーニング・ポストは23日、
山東省から少なくとも500人、江蘇省から数十人の医師や看護師が北京入りしたと報じた。北京のある医師は同紙に対し「
どんなに名高い病院でも、需要を満たすことはできない」と現状を吐露。国内で最も医療体制が充実しているはずの北京で、
応援が必要なほど対応が追い付いていない実態が改めて浮き彫りとなった。
ウイルスを徹底的に抑え込む「ゼロコロナ」政策が破綻して以降、北京では感染者が急増。発熱外来は数時間待ちで、自身が陽性となった医師も出勤して診察を続けざるを得ない状況だ。
一方、医師の派遣元の都市も厳しい人手不足に見舞われている。北京の感染はピークに達しているという見方もあり、今後は地方での感染爆発が懸念されている。
来年1月下旬の春節(旧正月)休暇を前に、同月7日には特別輸送態勢「春運」が始まる。都市をまたぐ移動の際には、これまで隔離やPCR検査の陰性証明などが求められてきたが、そうした規制が撤廃されたことで、今回の春節はここ数年を上回る規模の人の移動が見込まれている。
農村部は都市に比べ医療体制が脆弱(ぜいじゃく)で、高齢者も多い。国家衛生当局は春節を前に、退職した医師を募集するなど農村の医療体制を強化する通知を出したほか、高齢者らに改めてワクチン接種を呼び掛けるなど、警戒を強めている。
2022.12.16-NHK NEWS WEB-https://www3.nhk.or.jp/news/special/international_news_navi/articles/feature/2022/12/16/27995.html
「忍耐の限界」 中国式“法治”で奪われた生活
(広州支局長 高島浩 / 中国総局 松田智樹)
「
人間として生きる権利を“法治”に奪われ、忍耐の限界を超えた」
「ゼロコロナ」政策に対する抗議活動が相次いだ中国。新型コロナウイルスのほかにも、
中国独自の“法治”システムのもとでは、法律をつかさどる弁護士ですら拘束や監視の対象となりえるのが実態です。
大切な家族との時間を奪われた弁護士やその家族を取材しました。
(広州支局長 高島浩 / 中国総局 松田智樹)
夫と連絡途絶えたまま2年
「夫とは2年以上連絡が途絶えています。夫は、国家の転覆をはかるような行為を何かしたのでしょうか。私には理解できません」
中国南部・広東省で暮らしていた陳紫娟(ちん・しえん)さんの夫は弁護士でした。しかし、2年ほど前に、突然、当局に拘束されたあと、連絡がとれなくなりました。その後、夫は国家政権転覆罪で起訴され、弁護士の資格も剥奪されました。
夫である常瑋平(じょうい・へい)さんは、これまで強制的な立ち退きで土地や家を奪われた市民など厳しい立場に置かれた人たちの弁護を担当してきました。
時に当局との対決もいとわない「人権派弁護士」と呼ばれ、たびたび拘束もされてきました。市民の政治参加や社会の改革を訴える「新公民運動」のメンバーの弁護にも携わっていました。
SNSで“拷問”を告発 当局に拘束される
「毎日24時間、10日間、極端な拷問で、私の右手の人差し指と薬指は今でもまひしていて、感覚がありません」
常さんは、2020年10月、SNSに動画を投稿し、過去の自分に対する当局の取り調べの実態を告白しました。しかし、動画での訴えから6日後、常さんは再び当局に拘束され、家族と引き離されることになったのです。
奪われた日常 深夜0時に警察が自宅に
常さんの拘束後、妻の陳さんへの監視も厳しくなりました。深夜0時すぎに警察が自宅にやってきて、尋問することもあったといいます。
陳さん
「子どもが寝静まっている深夜に、ドアをドンドンとたたいてくる。家族をおびえさせるのが警察の目的なのかもしれません」 さらに、警察が陳さんの職場に来ることも増えました。陳さんの上司や同僚がいる前でも尋問することもありました。
陳さんの行動も監視対象となっていて、別の地域に行こうとすると、警察が陳さんの上司に連絡し、「休暇を申請しているのか」、「行き先を申告しているのか」などと細かく調べました。問題があると警察が判断すれば、引き返すよう命じられることもあったといいます。
庶民は自由を奪われた“羊”「未来はもっと悪くなる」
夫との時間を失い、警察に監視される日々。陳さんは、中国の人権をとりまく現状について、涙ながらに語りました。
陳さん
「今の中国の市民は“羊”、共産党の幹部たちは“羊飼い”なんです。私たちは彼らに囲われた羊なんです。言うことを少しでも聞かない羊や、しっかりとひざまずかない羊は連れ出されて殺されるだけです。この国では、公平や正義のために、声をあげることは許されていません。国の未来はもっと悪くなるとしか思えません」
陳さんは息子とともにアメリカへ
私たちが取材をしてから2か月後。陳さんの姿は、もう中国にありませんでした。
2022年10月下旬、陳さんは1人息子とともに、アメリカに渡っていたのです。スパイの監視や取り締まりなどを行う地元の当局から捜査を受けたことで、みずからも拘束されることに恐れを抱き、国を離れる決断をしたといいます。
陳さん
「中国に残した親に会えなくなるのがさみしくてならない。でも、いつか、夫、そして家族との再会を信じている」
渡米後、陳さんにとって意外だったことが起きました。中国各地で多くの若者が参加して「ゼロコロナ」政策に反発する抗議活動が相次いだのです。
ただ、わずかな変化を感じつつも、安心して中国に戻れる状態にはほど遠く、陳さんは今後、異国の地アメリカから、中国の人権状況の改善を訴えていく覚悟です。
「中国式“法治”は西側とは違う」
2012年に、習近平国家主席が共産党のトップに就任してから徹底してきたのが「法治=法による統治」の強化です。
中国の憲法ではそもそも「共産党の指導のもと」国家を運営することが規定されています。共産党の一党支配が大前提で、党やトップの習主席の権威に傷をつけるような事態を防ぎ、安定を維持するために“法治”があるわけです。
中国では「習近平法治思想」を推進するとして、法律を用いて習主席に対抗する勢力や批判につながる動きを徹底的に抑え込むと繰り返し強調されてきました。
習主席もみずから「共産党の指導が中国の”法治”の魂であり、それが西側の資本主義国家との最大の違いだ」と主張しています。
共産党のトップとして異例の3期目に入った習主席は、5年に1度の共産党大会でもこの“法治”を徹底する姿勢を示しています。
「法律は当局の道具」 恐怖心を覚える人々
「法治国家としての中国は、10年後退した。法律は当局の道具になっている」
そう語るのは、弁護士だった余文生(よ・ぶんせい)さんです。
余さんは、2018年1月、子どもを学校に連れていこうと自宅を出た際、当局に取り囲まれ、突然拘束されました。国家主席を複数の候補者から選挙で選べるように憲法を改正すべきだなどとする提言をインターネットで発表したことを問題視されたとみられます。
拘束の数日前には、弁護士資格を剥奪されていました。その3か月後、余さんは国家の転覆をあおった罪で起訴され、懲役4年の判決を言い渡されました。
2022年3月に刑務所から出所しましたが、長期間取り調べを受け、利き腕の右手が思うように動かなくなりました。
尋問に使われた部屋は、自殺を防止するために壁や窓が発泡スチロールで覆われ、深夜になっても明かりを消してもらえませんでした。トイレに行くにも3人の警察官がついてきました。睡眠を十分とれないまま、取り調べ中は鉄製のいすに座らされ、手は常にしばられました。「死んだほうがましだ」と思うほど劣悪な環境だったといいます。
余さんが見せてくれたのは、資格を剥奪された弁護士のリストでした。
余さんの弁護士仲間が1人1人の状況を確認して名前を書き足してきたリストです。そこに名前が挙げられた弁護士はこの10年で少なくとも40人。実際にはもっと多くの弁護士が処分を受けているとみられます。
こうした状況を受け、
最近では敏感な事案を引き受けたがらない弁護士が増えているといいます。
このところ、中国各地で相次いだ「ゼロコロナ」政策への抗議活動について、余さんは「“法治”が『ゼロコロナ』政策を通して、国民から人間として生きる権利を奪った結果、
人々の忍耐が限界を超えたのだと思う」と受け止めています。
余さんは、いま、中国の法をめぐる現状、さらには国の将来に懸念を深めています。
余さん
法律は言論の自由を保障しているはずです。しかし、法律が道具になって人々を縛っています。いま実際に人々の心を占めているのは恐怖心です。このような状況が続くのならば、私たちはこの国の未来を想像することはできません」
2022.12.06-産経新聞(KYODO)-https://www.sankei.com/article/20221206-PAADF2GWQBK5XHQBVUAXWKMSEI/
北京の江沢民氏追悼大会 習氏が天安門対応を称賛
中国共産党・政府などは北京の人民大会堂で6日午前、11月30日に
96歳で死去した
江沢民元国家主席の追悼大会を開いた。
習近平国家主席が弔辞を述べ、江氏が1989年の天安門事件の際に上海市のトップとして「安定を守った」と称賛した。習氏をトップとする葬儀委員会は、各所で党員や幹部、国民が集まり、中継を視聴するよう指示した。
大会に合わせ、全国民に3分間黙とうし、車などには警笛を鳴らすよう求め、各地でサイレンも流して哀悼。大会には党や国務院(政府)、全国人民代表大会(全人代=国会)、軍などの幹部が出席した。
当局は追悼を契機に市民が集結し政府批判などの騒ぎに発展することを警戒しており、5日に遺体を安置先の病院から公墓へ移送した際には厳戒態勢を敷いた。6日も追悼大会の会場周辺で交通を規制し、警備を強化した。
葬儀委員会は6日の娯楽活動を取りやめるよう指示。「ユニバーサル・スタジオ・北京(USB)」は休園となった。
(共同)