中国の犯罪の実情-1
2020.5.13-産経新聞 THE SANKEI NEWS-https://www.sankei.com/world/news/200513/wor2005130025-n1.html
中国、空母建造の責任者を摘発 「重大な規律違反」
【北京=西見由章】中国共産党中央規律検査委員会は13日までに、
国有造船最大手「中国船舶重工集団」(現・中国船舶集団)の元会長、胡問鳴氏を「重大な規律違反と違法行為」の疑いで調査していると発表した。
海軍艦艇を開発・建造する同社で、胡氏は昨年12月に就役した中国初の国産空母「山東」の建造に当たり総指揮を務めた。2018年以降、中船重工幹部らの摘発が相次いでおり、中国海軍の装備開発に影響が出ている可能性がある。
同社をめぐっては中央規律検査委が18年6月、孫波元社長に対する調査を発表。孫氏は第三者に便宜を図って報酬を受け取り、「国家利益に重大な損失」をもたらしたなどとして収賄罪や職権乱用罪に問われ、19年7月に懲役12年の実刑判決を受けた。
香港紙サウスチャイナ・モーニング・ポストは軍関係者らの証言として、
孫氏が中国初の空母「遼寧」に関する機密情報を外国の情報機関に渡した疑いで罪に問われたと報道。孫氏の公判は「国家秘密に関わる」として非公開で行われた。一方、他国に情報を漏らした場合に適用される国家安全危害罪については起訴・判決時の発表で言及されていない。認定された犯罪事実について具体的な説明はなく、真相は不明だ。
また、孫氏の事件と今回の胡氏に対する調査に関連があるかについても現段階ではわかっていない。
18年12月には中船重工の研究所の前所長が、規定に違反しカナダ国籍を取得したなどとして共産党籍の剥奪処分を受けている。
中国の軍事専門家は共産党機関紙、人民日報系の環球時報(英語版)で、
国産空母建造の責任者だった胡氏に対する調査が「
中国の艦艇建造計画に影響を与えることはない」としつつ、一連の不祥事が「
軍需産業に警鐘を鳴らしている」と危機感を示した。
2019.7.12-産経 WEST-https://www.sankei.com/west/news/150402/wst1504020002-n1.html
拷問道具の輸出大国・中国の実態…チベット人を宙づりでサンドバッグ、鉄の椅子「虎の腰掛け」で電気ショック
中国の治安当局によるチベット人への恣意(しい)的な逮捕や拷問を告発する報告書が2月に発表された。一方で、人権団体は、中国が拷問道具の輸出大国になっていると指摘。報告書は「チベットでの拷問、虐待の実態」とし、英ロンドンを拠点とする非営利組織(NPO)「チベットウオッチ」などが、国連拷問禁止委員会で中国の人権状況が審議されるのにあわせて発表した。2008年北京五輪前にチベット自治区のラサを中心に起きたチベット騒乱後、押さえ込みにかかる当局によるチベット人への非道が暴かれている。
ストーブの煙突抱き、サンドバッグ…顔はやけど
中国の治安当局によるチベット人への恣意(しい)的な逮捕や拷問を告発する報告書が2月に発表された。一方で、人権団体は、中国が拷問道具の輸出大国になっていると指摘。報告書は「チベットでの拷問、虐待の実態」とし、英ロンドンを拠点とする非営利組織(NPO)「チベットウオッチ」などが、国連拷問禁止委員会で中国の人権状況が審議されるのにあわせて発表した。2008年北京五輪前にチベット自治区のラサを中心に起きたチベット騒乱後、押さえ込みにかかる当局によるチベット人への非道が暴かれている。
「やつらはチベット人を動物以下と見なしている。人間とは見ていない。(私は生き延びたが)一度、拷問所に連れて行かれたら終わり。死が待っている…」 ある男性僧侶(43)は08年3月23日、知人宅にいたところ、突然踏み込んできた警官隊に連行され、警察署で寝ずの尋問と暴行を受けた揚げ句、裁判もなしに刑務所に送られた。待ち向けていたのがさらなる拷問だ。
1日中、宙づりにされ、尋問者からサンドバッグのように殴る蹴るの暴行を受けた後、ストーブの煙突を抱かされる格好で手枷をはめられ、顔面などはやけどと水ぶくれの状態に。夜間は窓が開けっ放しの極寒部屋にほうり込まれた。翌日からは再び拷問の日々だ。
さらに黒頭巾を被(かぶ)せられて行った場所には「鉄の椅子(虎の腰掛け)」と呼ばれる拷問道具があった。縛り付けられ、警官から「分裂主義者め」とののしられながら、電気ショックも含めた暴行が何度も繰り返されたという。「意識は朦朧(もうろう)とし、痛みも感じなくなった。自分の肉が焼け焦げる臭いだけ覚えている」
「やつらはチベット人を動物以下と見なしている。人間とは見ていない。(私は生き延びたが)一度、拷問所に連れて行かれたら終わり。死が待っている…」 ある男性僧侶(43)は08年3月23日、知人宅にいたところ、突然踏み込んできた警官隊に連行され、警察署で寝ずの尋問と暴行を受けた揚げ句、裁判もなしに刑務所に送られた。待ち向けていたのがさらなる拷問だ。
1日中、宙づりにされ、尋問者からサンドバッグのように殴る蹴るの暴行を受けた後、ストーブの煙突を抱かされる格好で手枷をはめられ、顔面などはやけどと水ぶくれの状態に。夜間は窓が開けっ放しの極寒部屋にほうり込まれた。翌日からは再び拷問の日々だ。 さらに黒頭巾を被(かぶ)せられて行った場所には「鉄の椅子(虎の腰掛け)」と呼ばれる拷問道具があった。縛り付けられ、警官から「分裂主義者め」とののしられながら、電気ショックも含めた暴行が何度も繰り返されたという。「意識は朦朧(もうろう)とし、痛みも感じなくなった。自分の肉が焼け焦げる臭いだけ覚えている」
僧侶は5月半ばまで拘留された。その後も2度逮捕され、当局に葬り去られる危険を察知、マージャンに興じる看守らの隙をついて脱出。20万元(約390万円)の懸賞金付き脱獄殺人犯の汚名を着せられる中、1年8カ月かけてヒマラヤを越え、チベット亡命政府があるインド・ダラムサラにたどり着いたという。
釈放理由は、施設で死なれたら面倒だから
報告書には、こうした事例が多数掲載され、命を落としたり、拷問で命の危険にさらされたりしているチベット人の名前が何人も記載されている。
逮捕状もなしに連行され、罪状は後回し。拷問で無理やり強いられた証言をもとに裁判で刑を言い渡されるのが大抵で、弁護士も形式だけだ。裁判もあれば良い方で、当局による恣意的な長期拘束が日常茶飯事なことが読み取れる。
こんな指摘もある
釈放当日、大勢の親類縁者、友人らが拘置所、刑務所の門前で出迎え、騒ぐのを嫌い、今は全く知らせず、こっそり自宅まで連れて行くようにしている。また、拷問で衰弱しきった状態に陥った場合、家族のもとに帰すという。慈悲ではなく、当局の施設で死なれたら面倒だからだ。
「共産党なくして新中国はないなど、共産党をたたえる歌を覚えられなかったりしたら、とても立てないほど極小の独房に罰として入れられる。そう絶えず脅された」(40歳男性)
「刑務所の労役で、まじめに働く者には刑期が短くなる恩典があったが、漢族だけの話。チベット人は除外されていた。差別的扱いだった」(29歳男性)
再教育キャンプ、労働改造所など、共産主義国家にはかかせない人格破壊施設への言及もある。
拷問器具会社が10年で4・6倍に増加
もちろん、中国政府は「中国は法治国家である」と主張、チベットやウイグル問題は「内政干渉だ」と突っぱねている。 だが、報告書からは、中国5千年の歴史の中で積み重ねてきた拷問嗜好(しこう)が“支配民族”の漢族のDNAにしっかり刻み込まれているのがわかる。そしてそれは、経済発展にともなって中国特産拷問道具の輸出にもつながっている。
国際人権団体のアムネスティ・インターナショナルが昨年9月公表した「中国における拷問器具取引と弾圧」によると、2003年に28社しかなかった製造業者は10年間で約130社に増加。電気ショック棒や突起棒、拘束具、重し付き足枷などの「憂慮すべき」拷問道具を含め、「世界の法執行器具の分野で供給国としての地位を大きく伸ばした」と指摘、世界市場でシェアを拡大しつつある成長産業になっているのだ。
チベットウオッチなどの報告書ではまた、密告制度の奨励にも触れている。500~5万元の報酬が当局から渡され、有力な情報にはさらに上乗せもされる。だが、それは裏を返せば、チベット人の反抗を警戒している証だろう。
自由アジア放送などによると、2月の旧正月、チベット自治区や周辺の各地で、今年80歳を迎えるダライラマ14世の長命を祝う行事が密(ひそ)かに行われた。14世を「分裂主義者」と批判し、傀儡(かいらい)にできる15世擁立に血眼の中国当局だが、チベットの人々の14世への厚い信心は変わらない。
「チベットは新中国のもと、豊かになった」。習政権が強調するそんな主張がいかに空虚なプロパガンダかがわかる。拷問がまかり通る人権無視の強権支配。“赤い帝国”の「舌先」に騙(だま)されてはいけない。