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2023.11.28-産経新聞(KYODO)-https://www.sankei.com/article/20231128-GG7OBHYAGNP7DA5I7KQIEF2GSE/
ウクライナ軍高官の妻、毒殺未遂か 重金属中毒と診断

  ウクライナメディアは28日、ウクライナ国防省のブダノフ情報総局長の妻マリアンナさんが毒殺未遂に遭った可能性があると伝えた。体調悪化で入院し、重金属中毒と診断されたとしている。治安当局筋の話として報じた。

  通常使用されない物質が検出され、当局が殺人未遂の疑いで捜査しているという。
  ロシアでブダノフ氏は軍事ブロガー爆殺などの首謀者とみなされている。ロシアメディアは6月、ブダノフ氏がミサイル攻撃で重傷を負ったと報じたが、その後健在が確認された。(共同)


2023.11.17-産経新聞(KYODO)-https://www.sankei.com/article/20231117-54J467FCWRITBM7YEVNXIV2LII/
東岸の拠点確保「成功」 海兵隊発表、露軍に打撃 ドニエプル渡河作戦

  ウクライナ海兵隊は17日、南部ヘルソン州でのドニエプル川の渡河作戦で、ロシアが実効支配する東岸に複数の拠点を確保したと明らかにした。一連の作戦の成功によってロシア側に大きな打撃を与えたと主張した。

  ウクライナは水陸両用車で東岸に装甲車を運び込むなどして、川から約2キロ離れたクリンキなどに部隊を展開ロシア部隊との交戦は続いており、ウクライナ軍としては東岸に十分な兵員と兵器を移動させて拠点を維持し、さらに進軍できるかどうかが焦点になる
  海兵隊は渡河作戦が始まって以降、ロシア軍の兵士1200人以上を殺害し、多くの兵器を破壊したと主張した。一方、ゼレンスキー大統領は16日、最近の攻撃によってロシア軍艦船を黒海の東側に移動させ、西側の安全を確保したとして「黒海で主導権を奪い返した」と主張した。(共同)


2023.11.16-産経新聞-https://www.sankei.com/article/20231116-ORAGOWHMJVN7NA2DHDHUAWXIK4/
ウクライナ軍、ドニエプル川東岸に進出 ロシア側も認める

  ロシアによるウクライナ侵略で、南部ヘルソン州のロシア側占領地域のサリド「知事」は15日、ウクライナ軍部隊がドニエプル川を渡り、露軍の支配下にある東岸地域に進出したことを認めた。同川東岸へのウクライナ軍の進出はこれまでも伝えられてきたが、ロシア側が認めるのは初めて。

  サリド氏は同日、交流サイト(SNS)への投稿で、東岸の集落クルインキ方面に「1個半中隊程度のウクライナ軍がいる」と指摘。一方で「渡河作戦中や東岸進出後にウクライナ軍は露軍の攻撃を受け、1個半~2個大隊を喪失した」とも主張した。サリド氏はまた、東岸に進出したウクライナ軍の損害が拡大し続けており、士気も低いと主張。ウクライナ軍は東岸の主要都市などを奪還する計画を立てていたが、「失敗した」などと述べた。
  これに先立つ13日、ウクライナのイエルマーク大統領府長官は訪問先の米国で講演し、ウクライナ軍が東岸に拠点を構築したことを初めて公表した。米シンクタンク「戦争研究所」は14日付の戦況分析で「ウクライナ軍は最近、クルインキで前進した」と指摘した。
 ウクライナメディアなどによると、ウクライナ軍は10月、ドニエプル川の渡河に成功し、東岸に初めて拠点を構築。ウクライナ軍の狙いは、反攻の主軸とする南部ザポロジエ州で前進が停滞する中、南部一帯やクリミア半島の奪還に向けた別の進軍ルートを確保することだとみられている。


2023.11.14-読売新聞-https://www.yomiuri.co.jp/world/20231114-OYT1T50020/
ゼレンスキー氏「孤独な戦い」、軍と不協和音…ガス管爆破知らされず

  ウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領と軍の間で、ロシア軍への反転攻勢をめぐって不協和音が生じているとの指摘が出ている。露占領下にある東・南部を解放する攻勢が難航する中、ゼレンスキー氏は難しいかじ取りを迫られている

  「我々にはしっかりとした計画がある。今年、結果を出したい」  ゼレンスキー氏は今月8日のロイター通信のイベントで、反転攻勢について前向きな展望を強調した。
  この発言は、英誌エコノミストへの最近の寄稿で戦況を 塹壕ざんごう 戦が続いた第1次世界大戦のような 膠着こうちゃく 状態」と分析したウクライナ軍トップのワレリー・ザルジニー総司令官を意識したものとみられる。
  先進7か国(G7)関係者によると、ドミトロ・クレバ外相も8日、東京でのG7外相会合にオンラインで参加し、「ある人が前線の情勢を『第1次世界大戦のようだ』と述べたが、それは違う」とザルジニー氏の発言を打ち消した。
  ゼレンスキー氏とザルジニー氏の間には、過去にも溝があると報じられたことがある。独ビルト紙は今年3月、要衝バフムトの防衛方針で両氏が衝突したと伝えた。ザルジニー氏は早期撤退を進言したが、ゼレンスキー氏は聞き入れなかったという。露軍は5月にバフムト制圧を宣言し、露軍とウクライナ軍の双方に多くの犠牲者が出た。
   米紙ワシントン・ポストは11日、昨年9月にロシアとドイツを結ぶ海底ガスパイプラインが爆破された事件ウクライナ軍が関与したと報じたザルジニー氏は報告を受けたが、ゼレンスキー氏には知らされていなかったという。
  ウクライナ国内では、これまで英雄視されてきたゼレンスキー氏への批判も目立つようになっている。1月に大統領府顧問を辞任したオレクシー・アレストビッチ氏は、ゼレンスキー氏が他人の意見を聞き入れないと主張し、SNSで「現実に目を向けず、達成できない『早期の勝利』を叫ぶ独裁者」と批判した。
  キーウ国際社会学研究所が10月に発表した世論調査によると、ゼレンスキー氏への信頼度は76%(昨年5月は91%)と依然高いものの、ウクライナ政府に対しては39%(同74%)と大きく低下した。相次ぐ汚職事件が要因とみられる。
  ゼレンスキー氏は今月1日に公開された米誌タイムのインタビューで、「私と同じように我々の勝利を信じる人は、誰もいない」と吐露した。同誌は「ゼレンスキーの孤独な戦い」とのタイトルで報じた。


2023.11.12-産経新聞(KYODO)-https://www.sankei.com/article/20231112-L7YV7IOQ25NJFFYBGH73Z2FIKY/
ヘルソンに砲撃、1人死亡 奪還1年「露支配続かず」

  ウクライナ南部ヘルソン州の検察は11日、州都ヘルソンにロシア軍の砲撃があり、1人が死亡、2人が負傷したと発表した。直撃した民家で火災が発生し、集合住宅も被害を受けたという。ロシアの占領下にあったヘルソンはウクライナ軍が1年前に奪還した。
  ゼレンスキー大統領は奪還1年に合わせて通信アプリにメッセージを投稿し「敵の力に屈しなかった人々は世界を鼓舞した。ロシアの支配が永遠に続くことはない」と訴えた。

  11日には首都キーウ(キエフ)に9月以来のミサイル攻撃があった。キーウ市当局は「52日間の停止を経て、敵が攻撃を再開した」と述べ、弾道ミサイル「イスカンデル」が使われたと指摘した。負傷者は報告されていない
  キーウでは警報発令前に爆発音が響いた。ウクライナ空軍のイグナット報道官は、弾道ミサイルは速度が速くレーダーでの覚知が難しい場合があると説明した。ロシアが昨年の同時期にエネルギー施設への攻撃を強めた経緯があり、ウクライナは警戒している(共同)


2023.10.24-産経新聞(KYODO)-https://www.sankei.com/article/20231024-Q4DFAYP6XFNW7FQZWNAAZCM2DM/
ウクライナ情報機関、ロシア側を多数暗殺 CIAが能力強化支援

  米紙ワシントン・ポストは23日、ウクライナの情報機関が侵攻以降、ロシア当局者や協力者を標的にした多数の暗殺を含む秘密工作を実行してきたと報じた。米中央情報局(CIA)は長年、多額の資金を投じてウクライナ情報機関の諜報能力の強化を支援し、緊密な関係を築いてきたという。ウクライナや米欧の当局者の話として伝えた。

  同紙によると、ロシアの民族主義的思想家ドゥーギン氏の娘が昨年8月、モスクワ郊外で車の爆発で死亡した事件は、ウクライナ保安局(SBU)が計画し、実行した。ウクライナ側は当初、関与を否定していた。
  ロシア南部クラスノダール市で今年7月、黒海艦隊の潜水艦の元艦長が射殺された事件は、ウクライナ国防省情報総局が実行。5月にモスクワ中心部のクレムリン(大統領府)が受けた無人機攻撃なども、情報総局が行ったという。SBUは報道について「コメントしない」としている。(共同)


2023.10.23-産経新聞-https://www.sankei.com/article/20231023-34G4HJLCHFLYHKWXAI3CGESWMA/
東部アブデエフカで激戦 ロシア軍攻勢も損害多数か

  ロシアの侵略を受けるウクライナの国防省情報総局高官のユソフ氏は、露軍が東部ドネツク州都ドネツク近郊の都市アブデエフカの制圧を狙って攻撃を激化させていると発表した。ウクライナメディアが22日伝えた。露軍は今月、アブデエフカへの攻勢を強化ただ、ウクライナ軍に阻まれ、多くの損失を出しながら限定的な成果しか得られていないとの観測が強い。

  ドネツク州全域の制圧を狙う露軍は同州バフムト制圧後、同市周辺でウクライナ軍に足止めされていることから、別の進軍ルートとしてアブデエフカの突破を狙っているとみられる。
  アブデエフカを巡る戦闘について、米シンクタンク「戦争研究所」は21日、露軍が同市北西の地域でわずかに前進したもようだと指摘。ただ、「ここ数日間、ウクライナ軍は露軍の攻勢を撃退し、人員と装備に相当規模の損害を与えた可能性が高い」と分析した。
  英国防省も23日、アブデエフカを巡る戦闘で露軍の損害がそれまでより90%増加していると指摘。侵略開始後の露軍の戦死者と戦線に復帰できない負傷者は計15万~19万人だとする推計も公表した。
  一方、南部戦線に関し、英BBC放送は21日、ウクライナ軍の現場部隊の話として、露軍占領下にある南部ヘルソン州ドニエプル川東岸地域にウクライナ軍が上陸し、「初めて強固な足場を確保した」と伝えた。一部の露軍事ブロガーもウクライナ軍の同川東岸への上陸を報告した。双方によると、ウクライナ軍部隊は東岸地域の集落クルインキに接近している。
  これについて、ウクライナ軍南部方面部隊のグメニュク報道官は22日、地元テレビで同国軍の同川東岸への上陸を暗に認める一方、成果に言及するのは「時期尚早だ」と述べた。


2023.10.22-NHK NEWS WEB-https://www3.nhk.or.jp/news/html/20231022/k10014233221000.html
ウクライナ軍 南部ドニプロ川東岸地域で大規模な作戦を展開か

  ウクライナ軍はロシア側が占領を続ける南部のドニプロ川の東岸地域で大規模な作戦を展開しているとみられ、集落に部隊を前進させたという分析も出ていて、今後の反転攻勢の足がかりに出来るかが焦点となります。

  ウクライナ軍はこのところ南部ヘルソン州を流れるドニプロ川で作戦を展開し、川を渡ってロシア側が占領を続ける東岸地域で反転攻勢を続けているとみられています。
  アメリカのシンクタンク「戦争研究所」は20日、ウクライナ軍が東岸で大規模な作戦を続け、集落に部隊を前進させたという分析を示しました。
  また、イギリスの公共放送BBCは21日、ドニプロ川の東岸で戦うウクライナ軍の兵士の話として、「集落を確保できれば、そこを拠点にロシア軍の部隊や補給路を分断するためのさらなる大規模な作戦を展開できるようになる」とする見方を伝えていて、今後の反転攻勢の足がかりに出来るかが焦点となります。一方、ウクライナ各地では、21日にかけてロシア軍のミサイルなどによる攻撃があり、住宅や教育施設などに被害が相次ぎました
  今回の攻撃について、ウクライナ軍の報道官は21日、地元メディアに対し、ミサイルと航空機から投下する誘導式の爆弾、そして無人機を同時に使う新たな戦術が用いられたと指摘しました。その上で「ウクライナの防空システムに対応させず、攻撃の成果を最大化することが目的だった」として警戒感を示しています。


2023.10.22-産経新聞(KYODO)-https://www.sankei.com/article/20231022-2GDQ43BBZZMR3OZ6KQQ2AWR3KM/
露軍、郵便施設にミサイル撃ち込む 6人死亡 東部ハリコフ州

  ウクライナ東部ハリコフ州の郵便物仕分けセンターに21日、ロシア軍のミサイルが撃ち込まれ、ウクライナ当局などによると従業員ら6人が死亡、10人以上が負傷した。ゼレンスキー大統領は「テロ国家への圧力を強化する必要がある」と強調した。

  ゼレンスキー氏は21日、トルコのエルドアン大統領と電話会談し、パレスチナ自治区ガザ情勢やウクライナ和平を協議した。ウクライナ大統領府が発表した。ゼレンスキー氏は、ガザ情勢を念頭に「新たな国際的課題に直面する中でも、世界はウクライナ和平の実現へ努力を続けなければならない」と訴えた。
  ウクライナが提唱する「平和の公式」に関する会合が28~29日に地中海の島国マルタで開かれ、トルコも参加予定。トルコはロシア、ウクライナ双方と関係を維持している。ウクライナ大統領府によると、11月にトルコでウクライナの復興に関する会合が開かれる。
(共同)


2023.10.18-産経新聞-https://www.sankei.com/article/20231018-EE53SPZUQ5NJFGRYXON5VOQYBE/
ウクライナ、米長射程ミサイルを初使用 「秘密裏」に供与

  ウライナのゼレンスキー大統領は17日、米国から供与された長射程の地対地ミサイル「ATACMS(エイタクムス)」をロシア軍への攻撃に使用したと明らかにした。ビデオ声明で表明した。米メディアによると、ウクライナ軍のATACMS使用は初めて。
  これに先立ち、ウクライナ軍は同日、露軍の占領下にある飛行場2カ所を攻撃し、多数の露軍の装備を破壊したと発表していた。米CNNテレビなどによると、米当局者はこの攻撃にATACMSが使われたことを暗に認めた

  報道によると、米国はここ数日間にATACMSをウクライナに供与。発表すれば露軍が警戒して装備をATACMSの射程外に移動させる可能性があったため、供与は「秘密裏」に行われたという。
  一方、ウクライナ軍によると、露軍の占領下にある東部ルガンスクと南部ベルジャンスクの飛行場に多数の露軍装備が集結している情報を入手。16日夜~17日未明にかけて両飛行場を攻撃し、ヘリコプター9機や防空システム、弾薬庫などを破壊したという。攻撃手段には言及しなかった
  ATACMSは米国が供与済みの高機動ロケット砲システム「ハイマース」から発射可能で、射程は最大約300キロ。ウクライナが反攻作戦に必要だとして供与を求めてきた。バイデン米政権も露国内への攻撃には使用しないとの条件付きで供与する方針を固めたと報じられていた。


2023.10.15-NHK NEWS WEB-https://www3.nhk.or.jp/news/html/20231015/k10014226091000.html
ウクライナ ロシア軍の攻撃相次ぎ 南部や東部で市民の犠牲続く

  ロシアが侵攻を続けるウクライナでは、ロシア軍によるミサイル攻撃などが相次ぎ南部ザポリージャ州ではインフラ施設が被害を受けたほか、南部や東部で住宅などへの攻撃で死傷者が相次ぐなど、一般市民の犠牲者が増え続けています。

  ウクライナ南部ヘルソン州ではロシア軍が14日、教育施設や商店などに激しい攻撃を行い、2人が死亡、2人がけがをしたほか、15日の未明にも攻撃があり、けが人が出ていると地元当局がSNSに投稿しました。
  また、東部のハルキウ州でもロシア軍による攻撃で一般の住宅が破壊され、2人が死亡、1人がけがをしたと地元の知事がSNSで明らかにするなど、一般市民の犠牲が増え続けています。さらに南部ザポリージャ州の軍当局は15日にロシア軍によるミサイル攻撃でインフラ施設に被害が出たと地元メディアに対して明らかにしました。
  一方、ロシアのプーチン大統領は15日に公開された国営テレビのインタビューで「ウクライナ軍の反転攻勢は停滞しているのではなく、完全に失敗した」などと述べ、激戦となっている東部のハルキウ州クピヤンシク、ドネツク州アウディーイウカさらに南部のザポリージャ州の戦線で、ロシア軍が有利になっていると誇示しました。
  これに対して、ウクライナ軍は15日、南部の主要都市メリトポリ方面や東部のバフムト方面で反転攻勢を続け、一歩ずつ領土の奪還を進めていると強調していて、一進一退の攻防が続いているものとみられます。


2023.10.01-読売新聞-https://www.yomiuri.co.jp/world/20231001-OYT1T50023/
「美人の妹を誘拐してやる」「早く死ね」鬱憤ぶつけるロシア兵士…脱出したウクライナ人「この恨みは永遠に消えない」

(1)(ワルシャワ 倉茂由美子)
  ウクライナ東・南部の4州がロシアに一方的に併合されてから、9月30日で1年になった。ロシアに支配された地域では、住民が露兵士による略奪や「ロシア化」に苦しめられている(ワルシャワ 倉茂由美子)

「新たな恐怖」
  「襲撃部隊が去り、秩序支配のための部隊がやってきた。新たな恐怖の始まりだった」東部ドネツク州の農家ボフダン・アンドリエンコさん(60)は昨年4月の様子を振り返った。取材には「電話は危険すぎる」とSNSで応じた。村は2月の侵略直後に露軍に制圧された。ウクライナの住民が抵抗すると、露情報機関「連邦保安局」(FSB)傘下とされる部隊が送られてきた。
  部隊は民家に押し入り、略奪を繰り返した。特に危険なのが、前線で敗退して戻ってきた時だ。 鬱憤うっぷん を住民にぶつけ、 復讐ふくしゅう しようとする。アンドリエンコさんも、露兵士から「美人の妹を誘拐してやる」と脅された。「我々の中には愚か者がいる。女性は隠しておけ」と、忠告をくれた将校もいたという。以来、妹(47)は納屋や家畜小屋に身を隠し続ける。
  年金受給者の女性は、自宅に押し入った露兵士に「早く死ね」と罵倒された。アンドリエンコさんの近所の高齢女性は、食料も電気もない部屋で「助けも支援も何もない」と泣きながら、死ぬための縄を編んでいた。
(2)
  略奪する露兵士らをなだめるため、酒を隠し持つ家庭も多い。「人々は絶望している」。アンドリエンコさんは訴えた。
村を脱出
  ロシア政府は、支配地域の「ロシア化」を進め、9月12日までに4州でロシア人の身分証282万冊を発行した。来年1月には4州のロシア人の人口は322万人になると推計している。
  ウクライナ中部ビンニツァに住むドミトロ・ハノフさん(40)は、今年1月までザポリージャ州南部のシェフチェンコ村にいた。村は昨年2月に露軍に制圧されたが、9月の「併合」直後から、ウクライナからロシアへの身分証変更を強要された。ハノフさんは毎日農場に向かう途中、検問所でチェックされた。ウクライナの身分証が破られそうになると、「私はウクライナ人だ」と訴え、取り返した。
  住民の多くは結局、変更を余儀なくされたが、ハノフさんは変更を拒否し続けた。「協力者になりたくない」と穀物をロシアに売るのも拒み、生活は困窮していった。自分の農地もロシアの法律に基づいた再登録を迫られた。当局の催促が厳しくなり、ハノフさんは今年1月の早朝、家族6人で村を脱出した。逃走を知った露当局は、ハノフさんは「テロリスト」だとして家を荒らし、同居する農場従業員に暴行を加えた。
  村では、露軍の行為に疑問を抱くロシア人にも出会った。ハノフさん宅から農薬噴霧車を盗もうとしていた露兵士を見つけ、話を聞くと、「これに乗ってロシアに戻りたい。戦いたくない」と泣いた。ウクライナの身分証を手放さないハノフさんに「賢明だ」と言ったロシア人もいた。
   だが、それはあくまで一部だ。多くの住民が財産を奪われ、銃殺されるのを見てきた。村から逃れた後も、全財産をはたいて購入した輸送用トラックが、露軍の無人機攻撃で全焼した。もう何も残されていない。ハノフさんは「この恨みは永遠に消えない」と声を震わせた。


2023.09.26-読売新聞-https://www.yomiuri.co.jp/world/20230925-OYT1T50193/
ウクライナ軍攻撃でロシア軍黒海艦隊の司令官ら34人死亡…特殊作戦軍が成果強調

  ウクライナ軍によるクリミア半島南西部セバストポリのロシア軍黒海艦隊司令部を標的にした22日の攻撃について、ウクライナ特殊作戦軍は25日、露側の死者が司令官を含む34人、負傷者105人に上ると発表し、作戦の成果を強調した。

  ウクライナ側はこれまでの発表で死者9人、負傷者は16人で、重傷者にはアレクサンドル・ロマンチュク大将ら複数の将官が含まれているとしていた。露側は22日に「行方不明者が1人」と公表して以降、沈黙を続けている。ウクライナはその後もクリミア半島への攻撃を繰り返している。
  一方、ウクライナメディアなどによると、ウクライナ南部オデーサでは24~25日、露軍による集中的な無人機やミサイル攻撃があり、2人が死亡し、港湾施設などが損壊した。施設内には、約1000トンの穀物が貯蔵されていたという。ウクライナ国防省は、この攻撃について、黒海艦隊司令部攻撃への「哀れな報復の試みだ」との見方を示した。
  一方、ウォロディミル・ゼレンスキー大統領は25日、SNSで、米国が供与を表明していた主力戦車「M1エイブラムス」がウクライナに到着したと明かした。


2023.09.23-読売新聞-https://www.yomiuri.co.jp/world/20230923-OYT1T50193/
ロシア黒海艦隊司令部にウクライナが攻撃、ロマンチュク大将ら複数の将官が重傷

  ウクライナ国防省情報総局のキリロ・ブダノフ局長は23日、クリミア半島南西部セバストポリの露軍黒海艦隊司令部を標的にした22日の攻撃で、少なくとも9人が死亡し、16人が負傷したと明らかにした。重傷者には、アレクサンドル・ロマンチュク大将など複数の露軍将官も含まれているという。ロシアによるウクライナ侵略は24日で1年7か月を迎え、ウクライナ軍は領土奪還に向けた反転攻勢を強めている

  米政府の海外向け放送ボイス・オブ・アメリカ(VOA)のウクライナ語版で明らかにした。ウクライナ特殊作戦軍は23日、攻撃は露軍艦隊司令部の幹部会議中に行われたとSNSで明かした。特殊作戦軍の情報を基に空軍が攻撃したという。死傷者は「艦隊幹部を含め数十人」に及ぶとも指摘している。
  英スカイニュースは、ウクライナ空軍の話として、攻撃には英仏共同開発の長距離巡航ミサイル「ストームシャドー」が使われたと報じた。
  ロシアが一方的に併合したクリミア半島のセバストポリにある黒海艦隊司令部は露軍のウクライナ攻撃の拠点。ウクライナ軍は13日の攻撃で露大型揚陸艦や潜水艦に損傷を与え、14日にはロシアがクリミア半島防衛のために設置した防空システムを破壊したとしている。ロシアの防衛力が低下している可能性がある
  一方、ロシア軍は22日、ウクライナ中部ポルタワ州のクレメンチュクにミサイル攻撃を行った。現地当局によると1人が死亡、子ども3人を含む31人が負傷した


2023.09.11-yohoo!japanニュース(FORBES JAPAN)-https://news.yahoo.co.jp/articles/05bf44da4c1ac991b9a070a040a8d70bb66eeedc
ロシア軍の「水浸し」退却術、乗り越えるには架橋戦車がもっと必要

(1)
  ロシアが2022年2月にウクライナに対する戦争を拡大する前に、ウクライナ軍が架橋戦車(AVLB)を何両保有していたのかはよくわからない。戦争の拡大後、ウクライナが西側の支援国からそれを何両取得したのかなら、大まかにはわかっている。少なくとも45両である。これらは主にドイツと米国から供与された。ただ、西側の供与分を含め、ウクライナ軍の架橋戦車がこれまでにロシア軍に撃破されたのかどうかとなると、やはりよくわからない。
  しかし、確かに言えることがある。ウクライナ軍にいま架橋戦車が何両あるにせよ、まったく足りていないということだ。6月、南部ザポリージャ州と東部ドネツク州の州境付近で重要な戦いを進めていたウクライナ軍の4個旅団は、それが理由で決定的な局面で攻撃の一時停止を余儀なくされた。ロシア軍部隊が小さな川の対岸に後退したあと、追撃しようにも利用できる架橋戦車がたった1両しかなかったのだ
  これは、英国王立防衛安全保障研究所(RUSI)の最新の報告書でつまびらかにされた、ウクライナ軍の2023年の反転攻勢をめぐる驚くべき事実の1つである。アナリストのジャック・ワトリングとニック・レイノルズはそのなかで、ザポリージャ州の集落ノボダリウカと近隣にあるドネツク州の集落リウノピリをめぐる戦いを取りあげ、ウクライナ軍が6月4日にノボダリウカの外れなどで始めた反攻の重要なダイナミクスを浮き彫りにしている。
  それは端的にいうとこういうことだ。ウクライナ軍の旅団は当初、戦車や戦闘車両、装甲トラックの長い縦隊でロシア軍の陣地を強襲しようとした。だが、軟弱な地盤や高密度の地雷原、精確な対戦車射撃に阻まれて失敗した。そのため、南部の主作戦軸では車両で直接急襲することは断念し、歩兵による低速で慎重な側面攻撃に切り替えた。
   ノボダリウカ─リウノピリ区域でもそうだった。両集落の北に配置されたウクライナ軍の4個旅団(陸軍の第23、第32両機械化旅団と領土防衛隊の2個領土防衛旅団)は6月4日、ノボダリウカを直接攻撃する。工兵が地雷を除去して開いた細いレーンを、T-64戦車を先頭にマックスプロ装甲トラックが続く車列が進んでいった。 だが、トラックは途中で立ち往生してしまう。すると近くの樹林帯に潜んでいたロシア軍の戦車2両が砲撃をはじめ、ウクライナ側は後退を余儀なくされる。ウクライナ軍部隊は再び車両での直接攻撃を図るが、それも失敗する。そこで結局、徒歩でロシア軍陣地の側面に回り、そこから攻撃した。
(2)
ロシア軍部隊は農業用ダムを爆破して水浸しにした
  正面突破はうまくいかないことを手ひどい経験を通じて学んだウクライナ軍4個旅団は戦術を変え、ノボダリウカ解放後は東のリウノピリに向けて進軍する。消耗した両機械化旅団は後方にとどまり、戦車を数台借り受けた領土旅団の歩兵部隊が陽動し、もう一度陽動し、それからロシア軍部隊を側面攻撃した。
  ウクライナ側の勝利は、ロシア側にとってたんなる敗北よりも悪い「潰走」になる可能性もあった。しかし、ウクライナ軍部隊の前に障害が立ちふさがる。リウノピリの東側を南北に流れる小さな川だ。「ロシア軍部隊は集落の背後にある水の障害を越えて撤退し、いくつかの農業用ダムを爆破して一帯を水浸しにした」と、ワトリングとレイノルズは書いている。
  ウクライナ側から見て、氾濫したエリアの対岸に、ロシア軍部隊は対戦車ミサイルを配備した。ウクライナ軍部隊は、ミサイルにひるまず水の要塞を強行突破することも考えたかもしれないが、それには決定的な装備が不足していた。「障害物を乗り越える車両が1両しかなかったため、ウクライナ軍部隊は進撃を止めて成果を固めるしかなかった」と報告書は解説している。
  リウノピリ周辺に展開していたウクライナ軍の4個旅団のもとに、架橋戦車がたった1両しかなかったのは驚くに当たらない。ウクライナの地上軍には少なくとも72個の旅団があるが、軍全体が保有する架橋戦車は旧ソ連時代のMTU-20を含めて70数両程度、ほかに非装甲の架橋車両が数十両といったところとみられるからだ。
  割合で言えば1個旅団につき架橋戦車1両前後となるが、実際の配分は偏っているだろう。 架橋戦車の不足のために、ウクライナ軍によるリウノピリ奪還は遅れることになった。この事実は支援国にとって、ウクライナに必要なのは戦車や戦闘車両、戦闘機だけではないということを思い出させたはずだ。架橋戦車は戦車や戦闘機に比べれば地味な装備だが、ウクライナ軍はこれも必要としているし、もっと言えば大量に必要としているのだ。


2023.09.04-読売新聞-https://www.yomiuri.co.jp/world/20230904-OYT1T50032/
ウクライナ国防相を交代、ゼレンスキー大統領が方針…省内に不正や汚職の疑惑相次ぐ

  ウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領は3日夜(日本時間4日未明)のビデオ演説で、オレクシー・レズニコフ国防相を交代させる方針を明らかにした。理由については「国防省は、軍と社会全体の双方との関係について、新しいアプローチを必要としている」と説明した。

  国防省では食料調達などの発注を巡り、不正や汚職の疑惑が相次いで指摘されている。綱紀粛正で交代に踏み切った可能性がある。 
  レズニコフ氏は2021年11月、国防相に就任し、ロシアの侵略開始前から軍事戦略の指揮を担ってきた


2023.08.19-産経新聞(KYODO)-https://www.sankei.com/article/20230819-RU37UTGZSBONNCLLIESSISV3AM/
露ミサイル攻撃7人死亡、117人負傷 ウクライナ北部

  ウクライナ北部チェルニヒウの中心部が19日、露軍のミサイル攻撃を受けた。ウクライナメディアによると、同国当局は6歳の少女ら7人が死亡し、10人以上の子供を含む117人が負傷したと発表した。

  ゼレンスキー大統領は同日、犠牲者らに哀悼の意を表明。「テロ国家だ」とロシアを非難し、国際社会に支援の継続を求めた。
(写真:ロイター=共同通信)


2023.08.17-産経新聞(KYODO)-https://www.sankei.com/article/20230817-ESLOWAJYURJJRBBCLQZYAQDEQM/
ウクライナ、奪還集落の南方に進軍か アゾフ海に向け前進

  ウクライナ軍参謀本部は17日、同国軍が南部ザポロジエ州との境界に近い東部ドネツク州の集落ウロジャイネの南方に進軍し、足場を確立しているとフェイスブックで発表した。ウロジャイネは16日にマリャル国防次官が奪還を表明。目標とするアゾフ海に向け前進した形。

  米シンクタンク、戦争研究所は16日、ウクライナ軍がザポロジエ州オリヒウの南十数キロにあるロボティネ周辺に進軍したと指摘した。数週間にわたり付近の森林地帯で作戦を続けており、広範囲に前進したとみられると分析した。ウクライナ軍はドネツク州バフムト方面を合わせた少なくとも3方面で反攻作戦を継続している。
  一方、ロシア国防省は17日、東部ドニエプロペトロフスク州東部の駅をミサイル攻撃し、弾薬を積んだ列車を破壊したと発表した。ザポロジエ州方面では空爆や砲撃でウクライナ軍の反攻を撃退し、装甲車ストライカー4両などを破壊したとしている。(共同)


2023.08.16-産経新聞-https://www.sankei.com/article/20230816-4EGGDPKBLVOXRI6WC62P2TNZVU/
領土放棄でNATO加盟 事務総長の首席補佐官発言にウクライナ反発

  ロシアによるウクライナ侵略で、ウクライナメディアは15日、北大西洋条約機構(NATO)高官がノルウェーメディアのインタビューに「ウクライナがNATOに加盟する見返りに一部の領土をロシアに譲渡する」という形式での停戦案がNATO内で議論されていると述べたと伝えた。

  発言したのはNATOのストルテンベルグ事務総長の首席補佐官。同補佐官はそうした形式での停戦でなければならないと言っているわけではないとしつつ、「解決策としてありうる」と述べた。同補佐官は「同様の停戦案を別の人々も提起している」とも明らかにした。発言の背景には、ウクライナ軍の反攻作戦の停滞があるとみられる。
  ただ、NATO加盟を目指すウクライナは以前から「NATO加盟と領土を引き換えにしない」と明言。ロシアもウクライナのNATO加盟を認めない構えで、領土とNATO加盟を引き換えにした停戦の実現可能性は不透明だ。
  報道を受け、ウクライナ外務省高官は同日、交流サイト(SNS)上に「絶対に容認できない」と投稿。「NATOとウクライナは領土を交渉材料にしないことで一致している。NATO当局者がウクライナの領土放棄に言及するのはロシアを利する」と批判した。
  ウクライナメディアも同日、NATO当局者が「われわれは必要な限りウクライナを支援し、永続的な平和の実現に尽力する」とし、領土放棄による停戦案を打ち消したと伝えた。


2023.08.11-Yahoo!Japanニュース(産経新聞)-https://news.yahoo.co.jp/articles/aa5f83b317c23cd5e371d214cb866e872fb1d671
ウクライナ、海上ドローン攻撃強化 ロシア艦艇相次ぎ損傷 反攻支援狙う

  ウクライナが最近、黒海海域でロシア海軍の艦艇などを標的とした海上ドローン(無人艇)攻撃を強化している。今月上旬には露軍艦と燃料タンカーを相次いで損傷させたほか、7月にはケルチ海峡にかかるクリミア橋も損傷させた。ウクライナの狙いは、露海軍の物資輸送能力やミサイル攻撃能力を低下させ、地上での反攻作戦を有利にすることだと分析されている。

  露国防省は8月4日、黒海に面する南部クラスノダール地方ノボロシースクの軍港に対する海上ドローン2機によるウクライナの攻撃を撃退したと主張。
  同省は1、2日にも海上ドローン攻撃を阻止したと主張しており、当初は4日も損害がなかったかに思われた露国防省は8月4日、黒海に面する南部クラスノダール地方ノボロシースクの軍港に対する海上ドローン2機によるウクライナの攻撃を撃退したと主張。
  同省は1、2日にも海上ドローン攻撃を阻止したと主張しており、当初は4日も損害がなかったかに思われた。 しかしその後、同軍港に停泊中の露大型揚陸艦「オレネゴルスキー・ゴルニャク」が損傷し、海上で傾いている映像がインターネット上で拡散。
  ウクライナメディアは、同国の情報機関「ウクライナ保安局(SBU)」当局者が同国海軍との共同作戦だったことを認めたと伝えた。海上ドローンにはTNT火薬450キロが積まれていたという。
  英国防省は5日、同艦が重大な損傷を受けたのは確実だと分析。全長113メートルの同艦はクリミア橋が損傷した際、露領土と露実効支配下にあるウクライナ南部クリミア半島の間の兵員輸送などを担っていたとし、同艦の損傷は露海軍にとって大打撃だと指摘した。
  さらにロシアは5日、ケルチ海峡付近で露燃料タンカー「シグ」の機関室に穴が開き、海上ドローン攻撃を受けたとみられると主張した。同艦は露軍の燃料補給に関与していたという。 7月17日には南部に展開する露軍の補給路となってきたクリミア橋が水上ドローン攻撃で損傷した。
  SBUのマリュク長官は今月5日、一連の攻撃は「完全に合法だ」とし、ウクライナの関与を事実上認めた。 海軍力に乏しいウクライナはロシアの侵略後、水上ドローンに着目。水上ドローン製造のための募金サイトを作り、生産を進めてきた。ボート型の機体に爆薬を積んだ水上ドローンは軍艦に比べて安価な上、小型・高速で発見される可能性も低い。
  ウクライナの水上ドローンは1艇25万ドル(約3600万円)だという。 一連の攻撃に関し、米シンクタンク「戦争研究所」は5日、「反攻に有利な条件を作り出すための妨害作戦の一環である可能性が高い」と指摘。ウクライナが露軍の兵站(へいたん)と防衛能力を低下させる戦略に基づき、クリミアや周辺海域といった「後背地」への攻撃を強化していると分析した。 ウクライナは今後も水上ドローン攻撃を続ける構えだ。
  同国は今月、ノボロシースクやソチなど露南部6つの港の周辺海域を「戦争危険区域」に指定。攻撃を警告した形だ。 ウクライナのゼレンスキー大統領も最近、中南米メディアとのインタビューで、露軍が黒海を封鎖してミサイル攻撃を続ければ、「戦争終結までにロシアは一隻の艦艇も持たなくなるかもしれない」と攻撃継続を示唆した。
   しかしその後、同軍港に停泊中の露大型揚陸艦「オレネゴルスキー・ゴルニャク」が損傷し、海上で傾いている映像がインターネット上で拡散。ウクライナメディアは、同国の情報機関「ウクライナ保安局(SBU)」当局者が同国海軍との共同作戦だったことを認めたと伝えた。海上ドローンにはTNT火薬450キロが積まれていたという。
  英国防省は5日、同艦が重大な損傷を受けたのは確実だと分析。全長113メートルの同艦はクリミア橋が損傷した際、露領土と露実効支配下にあるウクライナ南部クリミア半島の間の兵員輸送などを担っていたとし、同艦の損傷は露海軍にとって大打撃だと指摘した。 さらにロシアは5日、ケルチ海峡付近で露燃料タンカー「シグ」の機関室に穴が開き、海上ドローン攻撃を受けたとみられると主張した。同艦は露軍の燃料補給に関与していたという。
  7月17日には南部に展開する露軍の補給路となってきたクリミア橋が水上ドローン攻撃で損傷した。 SBUのマリュク長官は今月5日、一連の攻撃は「完全に合法だ」とし、ウクライナの関与を事実上認めた。
  海軍力に乏しいウクライナはロシアの侵略後、水上ドローンに着目。水上ドローン製造のための募金サイトを作り、生産を進めてきた。ボート型の機体に爆薬を積んだ水上ドローンは軍艦に比べて安価な上、小型・高速で発見される可能性も低い。ウクライナの水上ドローンは1艇25万ドル(約3600万円)だという。
  一連の攻撃に関し、米シンクタンク「戦争研究所」は5日、「反攻に有利な条件を作り出すための妨害作戦の一環である可能性が高い」と指摘。ウクライナが露軍の兵站(へいたん)と防衛能力を低下させる戦略に基づき、クリミアや周辺海域といった「後背地」への攻撃を強化していると分析した。
  ウクライナは今後も水上ドローン攻撃を続ける構えだ。同国は今月、ノボロシースクやソチなど露南部6つの港の周辺海域を「戦争危険区域」に指定。攻撃を警告した形だ。
  ウクライナのゼレンスキー大統領も最近、中南米メディアとのインタビューで、露軍が黒海を封鎖してミサイル攻撃を続ければ「戦争終結までにロシアは一隻の艦艇も持たなくなるかもしれない」と攻撃継続を示唆した。


2023.08.11-産経新聞(KYODO)-https://www.sankei.com/article/20230811-P2VMXC6JKVJCRCU7G56XSO6K74/
ウクライナ全州の徴兵責任者を解任 ゼレンスキー大統領、汚職横行で

  ウクライナのゼレンスキー大統領は11日、全州の軍事委員の解任を決定したと表明した。軍事委員は徴兵の責任者。ロシアの侵攻を受け、総動員令が出ているウクライナでは、徴兵逃れと関連する汚職が横行し、社会問題化していた。

  ゼレンスキー氏は11日の声明で、100件以上の刑事手続きが進められていると指摘。軍事委員解任の理由について「戦時中の賄賂が国家への反逆だと理解している人に運営されるべきだ」と主張した。(共同)


2023.08.02-産経新聞(KYODO)-https://www.sankei.com/article/20230802-2PIUGBCZNNIITCUUO556G4PC3Q/
ウクライナ、最新国産無人機「ビーバー」でロシア攻撃か

  ロシアで相次いでいる無人機攻撃は、「ビーバー」と呼ばれる最新鋭のウクライナ国産機が使われた可能性が指摘されている。ウクライナ国防省が開発を主導し、資金は民間の寄付で賄われた。ウクライナ政府は今年、無人機開発への投資を前年比で10倍に増やす計画で、開発を加速させている。

  ビーバーは胴体後方に主翼、前方に小さい翼を付けた「先尾翼機」と言われる形状。ロシアが侵攻で多用するイラン製無人機のシャヘドと共通点が多いとされる。航続距離は600~千キロと推定され、ウクライナ領内からモスクワまで届く。低高度で飛び、探知が難しいという。
  米紙ニューヨーク・タイムズなどによると、ウクライナにおいて、交流サイト(SNS)で多数のフォロワーを持つ「インフルエンサー」のイホル・ラチェンコフ氏が昨年12月に国防省情報総局の要請で開発の資金集めに協力した。2千万フリブナ(約7700万円)が集まったという。(共同)


2023.07.21-産経新聞-https://www.sankei.com/article/20230721-XWH7TI4IVZMJPOZQXOW2MIQA3Q/
ウクライナ、黒海封鎖に対抗措置 露は拿捕訓練 4日連続南部攻撃

   ウクライナ国防省は20日、21日午前0時(日本時間同6時)から、黒海を通じてロシアやロシア支配地域に向かう全船舶は軍事物資を積んでいると見なすとの声明を発表した。ロシアがウクライナに向かう全船舶に同様の方針を表明し、黒海を事実上封鎖したことへの対抗措置を取った。

   ウクライナ国防省は声明で「ロシアは意図的に食料安全保障を侵害し、黒海を危険地帯に変えた」と非難。南部クリミア半島とロシアの間のケルチ海峡と黒海北東部も「危険なため航行を禁じる」とした。
  一方、露国防省は21日、黒海北西部の演習場で対艦巡航ミサイルを使った発射演習や封鎖領域に侵入した船舶の拿捕(だほ)訓練を実施。ウクライナメディアによると21日未明には露軍のミサイルが南部オデッサ州の穀物倉庫に着弾し、2人が負傷した。同州への攻撃は4日連続となった。
  ロシアは17日、ウクライナ産穀物を黒海経由で運ぶ手続きを定めた「穀物合意」からの離脱を表明。19日には「ウクライナの港に向かう全船舶を軍事物資の輸送船と見なす」との声明を発表した。ウクライナがロシア抜きで穀物輸出を再開させるのを封じる狙いがあるとみられる。
  米国家安全保障会議(NSC)のカービー戦略広報調整官は20日、ロシアがウクライナの港近くに機雷を追加で敷設した情報があると明らかにし、露側が機雷を爆発させてウクライナの仕業に見せかける「偽旗作戦」を試みていると警戒を呼び掛けた。


2023.07.10-産経新聞-https://www.sankei.com/article/20230710-FWZW3VIMHJJIVJ34LTEJTB2RKU/
「アゾフ連隊」指揮官らトルコからウクライナ帰国 ロシア反発
  ウクライナ大統領府は8日、昨年5月に陥落した東部マリウポリでの攻防戦でロシア軍の捕虜となり、トルコの仲介で解放された後、同国に滞在していたウクライナ部隊「アゾフ連隊」の指揮官ら計5人が、トルコを訪れたウクライナのゼレンスキー大統領とともに帰国したと発表した。ロシアは、5人がトルコ滞在を条件に捕虜交換で解放されていたとし、5人の帰国は合意違反だと反発した。

  これに先立つ7日、トルコのエルドアン大統領はイスタンブールで会談したゼレンスキー氏に対し、ウクライナの将来的な北大西洋条約機構(NATO)加盟を支持するとも表明していた。ロシアはウクライナのNATO加盟を容認しない立場で、これまで両国に対して中立的立場を示してきたトルコとロシアの関係が悪化する可能性がある。
  ウクライナ大統領府は5人の帰国について、トルコとウクライナの交渉の結果だと指摘。ゼレンスキー氏は「あなたたちは英雄だ」と帰国を祝福した。
  一方、ペスコフ露大統領報道官は8日、5人の帰国に関してトルコやウクライナから連絡が一切なかったと指摘。5人は戦闘終結までトルコにとどまることになっていたとし、「ウクライナとトルコによる合意違反以外の何物でもない」と国営ロシア通信に述べた。
  露外務省は9日、ラブロフ外相がトルコのフィダン外相と電話会談し、5人の帰還やトルコからウクライナへの兵器供給問題などを協議したと発表。「こうした措置は(ロシアとトルコの関係に)否定的な結果をもたらす」と警告した。
  前線の戦況を巡り、露国防省とウクライナ軍参謀本部は9日、ウクライナ軍が反攻作戦を展開する南部ザポロジエ州や東部ドネツク州などで激戦が続いたとそれぞれ報告した。


2023.07.09-産経新聞(KYODO)-https://www.sankei.com/article/20230709-RREQ2J53AFOOJKHOR6N4F5J6RQ/
ウクライナ国防次官、クリミア橋爆破の実行示唆

  ウクライナのマリャル国防次官は9日までに、昨年10月のクリミア橋の爆破について、通信アプリに「ロシアの物流を破壊するため、最初の攻撃が行われた」と投稿し、ウクライナ側が実行したことを示唆した。ウクライナ保安局(SBU)のマリュク長官が5月、ウクライナの関与を認める発言をしたが、国防省高官が公式に言及するのは初めて。

  マリャル氏は8日、ロシアによるウクライナ侵攻500日に合わせた声明を投稿。ウクライナ軍の反転攻勢の経過を振り返る中で、クリミア橋の爆破に言及した。橋は、ロシアが2014年に併合したクリミア半島とロシア本土を結んでいる。
  クリミア橋の爆破はロシアのプーチン大統領の誕生日翌日に起きた。ロシア側は「ウクライナのテロ」と断定した。(共同)


2023.07.05-産経新聞-https://www.sankei.com/article/20230705-QNHVZ4N3A5K4HG5CIXD6TXPRDY/
「露軍、原子炉建屋に爆発物」ウクライナが警告 ザポロジエ原発

  ウクライナ国防省情報総局は4日、ロシア軍の占拠下にある南部ザポロジエ原発の原子炉建屋2棟の屋根に同日、爆発物とみられる物体が設置されたと交流サイト(SNS)上で発表した。情報総局は、爆発物が爆発しても原子炉は損傷しないとみられるものの、露軍が原発への攻撃を偽装してウクライナを非難する口実にする可能性があると警告した。

  同国のゼレンスキー大統領も4日のビデオ声明で、原発への爆発物の設置について言及。露軍が爆発物を爆発させるかどうかは不明だとしつつ、「いずれにせよ原発に危険をもたらしている唯一の存在はロシアだということを世界は認識せざるを得ない」と述べた。
  ザポロジエ原発を巡り、同情報総局は6月下旬以降、露軍が原子炉建屋の周辺に爆発物を積んだ兵器を配備したほか、作業員らに7月5日までに原発から退避するよう勧告したと発表。露軍がウクライナ軍の反攻を足止めするために原発を爆破する恐れがあると警告している。ロシアは事実無根だと主張している。
  反攻に関し、ウクライナ軍のシェルシェニ報道官は4日、同国軍が奪還を目指す南部ザポロジエ州ベルジャンスクの方向に2キロ前進したと発表した。同情報総局高官のユソフ氏は4日、反攻の遅さを指摘する声に対し、「ウクライナ軍は人員の損失を最小限に抑える戦術を採っている上、露軍が強固な防衛線を構築しているためだ」と説明。反攻は徐々にではあるが着実に前進しているとした。ウクライナメディアが伝えた。
  東部ハリコフ州のシネグボフ知事は4日、同州のペルボマイスキー市が露軍のミサイル攻撃を受け、子供を含む40人以上が負傷したと発表した。南部ヘルソン州でも同日、露軍の砲撃で民間人2人が死亡した。


2023.06.21-REUTERS-https://jp.reuters.com/article/ukraine-crisis-drones-idJPKBN2Y61KJ
飛行距離1000キロの国産ドローン配備に成功=ウクライナ

  [キーウ 20日 ロイター] - ウクライナ国営軍事企業ウクルオボロンプロムは20日、飛行距離1000キロメートルの国産ドローン(無人機)の配備に成功したと発表した。

  広報担当のナタリア・サド氏は、ウクライナ軍のワレリー・ザルジニー総司令官ら軍幹部と撮影した写真をフェイスブックに投稿し、この写真はドローンが1000キロ飛行に成功した後に撮影したものとした。
  ただ詳細には触れておらず、ドローンの試験飛行を意味するのか実戦配備されたことを意味するのかは不明。


2023.06.10-Yahoo!Japanニュース(産経新聞)-https://news.yahoo.co.jp/articles/7564736aa28cae91eaaa82b8568af1be75cfffb8
ダム決壊で「逃げ場がない」 露占領地のウクライナ住民に危機

  【キーウ(キエフ)=桑村朋】ウクライナ南部ヘルソン州のカホフカ水力発電所で起きたダム決壊による洪水で、ドニエプル川東・南側のロシア占領地の住民に危機が迫っている。ロシアが救助活動や食料提供を十分行っていない可能性がある上、「避難」を口実に住民がロシア国内に移送される恐れが出ている。

■安全な飲用水少なく、停電も
  「ロシア人は屋根で助けを待つ人を救助せず、水や食料もろくに渡していない」 州都ヘルソン市でボランティアを行うNGO職員、オクサナ・ポモヒイ氏(59)=同市在住=は露占領地の住民から得たという情報を明かした。
  病院も収容能力の限界が近いという。 ドニエプル川周辺では水位が5メートル超となった場所もあり、安全な飲用水が少なく停電なども発生している。救助が難航しているのはウクライナ統治下の地域でも同じだ。 しかし露占領地では、ロシアのパスポート(旅券)がなければ街を離れることが許されない。
  露側が街を封鎖し、救助用ボートを撤去したとの情報もあり、ポモヒイ氏は「逃げ場がない状態だ」と現地の友人を心配する。
■露軍、避難中も攻撃
  ボランティアを装った私服のウクライナ軍人が露占領地の一部住民を退避させたというが、「露軍は避難中も関係なく攻撃し、複数人が負傷した」と同氏。赤十字など国際組織も動けないという。
  ロシアが占領する地域で9人の死亡が確認されたオレシキ市のリシチュク市長は地元メディアに、「市内は90%水没した。完全に水没した自治体もある」と被害が広がる恐れを示唆。水位が低下する中、遺体が水面に浮上しているとの情報も寄せられているという。
  ウクライナのゼレンスキー大統領は9日に発表した声明で、避難中も攻撃を加えるロシアに対し、「世界中のどのテロリストもやったことがない悪行」だと批判。「占領者たちは完全に人々を見捨てた。地球上で最大の災害であり、野蛮人だ」と非難した。
■住民を露国内へ移送も
  国連のブラウン人道調整官は8日、ウクライナのクレバ外相との会談で、支援要員を露占領地に派遣する考えを示した。ただ、露側から「安全の保証は確約されていない」とも述べ、困難な状況を示唆した。
  一方、露メディアによると、露非常事態省の幹部は8日、占領地の避難所が収容者の上限を超えれば、被災住民を別の地域に移動させる可能性に言及。避難を名目に住民らがロシア国内に移送される恐れも出てきた。
  ヘルソン州でロシアが一方的に任命した「州知事代理」は10日、交流サイト(SNS)にこれまでに約6千人が避難したと公表。すでに一部が州外へ移送された可能性もある。


2023.06.11-産経新聞-https://www.sankei.com/article/20230611-GZBGEZLM7FO3NA4RQ74BFAWY4E/
ゼレンスキー氏が反攻開始宣言「司令官は前向き」

  ロシアの侵略を受けるウクライナのゼレンスキー大統領は10日、「ウクライナ国内で反攻と防衛が行われている」と延べ、ウクライナ軍がこれまで準備してきた本格的な反攻作戦を開始したことを認めた。首都キーウ(キエフ)で同日行われたカナダのトルドー首相との会談後の記者会見での発言をウクライナメディアが伝えた。

  ゼレンスキー氏は「反攻がどの段階にあるかは話さない」とし、反攻に着手した方面や規模について明言は避けた。また、インターネット上の情報やプーチン露大統領の発言を信じず、ウクライナ軍の発表を信頼するよう国民に呼び掛けた。その上で「私は各方面の司令官らと毎日話しているが、彼らはみな前向きだ。そうプーチン氏に伝えてほしい」と述べ、反攻を成功させる決意を示した。
  これに先立つ9日、プーチン氏は「ウクライナ軍が反攻を始めた」とした上で「彼らは大損害を出しながらも目標を達成できていない」と主張していた。露国防省とウクライナ国防省は10日、ともに東部ドネツク州や南部ザポロジエ州などで「敵軍を撃退した」と発表した。
  公開情報から両国軍の損害を集計している軍事情報サイト「ORYX」は10日までに、ウクライナ軍が欧州各国から供与されたドイツ製主力戦車「レオパルト2」3両を喪失したことが確認されたとした。ウクライナ軍は現時点で計数十両のレオパルト2の引き渡しを受け、反攻に投入しているとされる。
  一方、南部ヘルソン州のカホフカ水力発電所のダム決壊を巡り、ウクライナ内務省は10日、同州内の47の集落が浸水被害を受けたと発表した。うち33集落はウクライナ側が保持するドニエプル川西岸地域にあり、この地域から約2600人が避難したとした。隣接する南部ミコライフ州でも31の集落が浸水し、約900人が避難したという。
  一方、ヘルソン州のドニエプル川東岸地域を占拠している親露派勢力幹部は10日、露占領地域から住民6千人超が避難したとした。
  両国の発表によると、洪水によるドニエプル川両岸の死者は少なくとも計十数人に上り、なお計数十人が行方不明となっている。


2023.06.09-産経新聞(KYODO)-https://www.sankei.com/article/20230609-P4KDCA2SARIJHGH3R2ARNVDVAY/
ウクライナ軍、反攻本格化 ドイツ製戦車レオパルト投入と報道

  英紙フィナンシャル・タイムズ電子版は8日、ウクライナの軍人や西側政府高官の話として、ドイツが供与した主力戦車レオパルトをウクライナ軍が実戦投入し、ロシア軍への反転攻勢を本格化させたと報じた。ロシアのショイグ国防相は反転攻勢が既に始まり、レオパルトも投入されたと発表していたが、これを裏付けた。

  決壊で洪水を引き起こした南部ヘルソン州のカホフカ水力発電所のダムについて、ウクライナ水力発電企業のシロタ総裁は8日、ザポロジエ原発の取水に必要な水位を下回ったと述べた。ダムからの水の流出は今後も7~8日間続くとの見通しを示した。
  ショイグ氏は8日、ウクライナ軍が同日未明に南部ザポロジエ方面で部隊1500人と軍用車150両でロシア軍の防御を突破しようとしたが、撃退したと発表した。
  一方、ウクライナ軍は8日、ザポロジエとヘルソンの戦線でロシア軍が防戦に回っていると反論した。(共同)


2023.06.09-産経新聞-https://www.sankei.com/article/20230609-P2SP266P2JMHZC2G4OYXYL45YM/
ダム決壊で14人死亡 ウクライナ南部 1万7千戸超浸水か

  ウクライナ南部ヘルソン州のドニエプル川にあるカホフカ水力発電所のダムの決壊で、ロシアの占領下にあるドニエプル川東岸地域の小都市オレシキのルイシチュク市長は8日、決壊に伴う洪水により住民9人の死亡が確認されたと明らかにした。ダム決壊による死者の報告は初めて。同氏によると、犠牲者数は今後も増える恐れがある。ウクライナメディアが伝えた。露占領下でダムがある同州ノバカホフカの当局者も8日、住民5人の死亡を発表。2人が行方不明という。

  ヘルソン州の併合を宣言したロシアが一方的に「知事代行」に任命したサリド氏は7日、州内の35集落が浸水し、住民4千人超が避難したと交流サイト(SNS)で表明。ロシア側はまた、住居1万5千戸以上が浸水の被害を受けたとも発表した。ドニエプル川東岸地域の状況を指すとみられる。
  一方、ドニエプル川西岸地域を保持するウクライナの緊急事態当局は7日、20集落で2600戸以上が浸水し、住民1700人以上が避難したと発表した。
  同国のゼレンスキー大統領は7日、「ヘルソン州のロシア側占領地域の状況は壊滅的だ。住民は飲み水もなく屋根の上に放置されている」とし、「新たな犯罪だ」とロシアを非難した。
  ダム決壊は6日に発生。ウクライナとロシアの双方が「相手がダムを破壊した」と非難している。これまでもダムは砲撃などの被害が報告されており、損傷により自然崩壊した可能性も指摘されている。
  前線の戦況を巡り、ウクライナのマリャル国防次官は7日、最激戦地の東部ドネツク州バフムト方面でウクライナ軍が攻勢に転じ、前進しているとSNSで表明した。露国防省は5月下旬、バフムトを完全制圧したと主張。ただ、同市郊外に陣地を構築していたウクライナ軍が露軍に圧力を加えているとみられている。


2023.06.06-BBC News Japan-https://www.bbc.com/japanese/65829997
破壊されたダムの下流、数千人が避難 ウクライナは4万人超が避難必要と
(アレックス・ビンリー(ロンドン)、ポール・アダムス(キーウ)、BBCニュース)

  ウクライナ南部ヘルソン州のロシア支配地域にある水力発電所のダムが決壊したことで、ドニプロ川の下流では数千人が避難している。
  ウォロディミル・ゼレンスキー大統領は、ノヴァ・カホフカにあるカホフカ・ダムが6日未明に決壊した後、80町村が浸水する可能性があると述べると共に、ロシアがダムを決壊させたとした。
  ドニプロ川に大量の水が流出しており、下流のヘルソン市は壊滅的な洪水の危険に直面しているとされる。

  カホフカ・ダムを管理しているロシアは破壊行為を否定。ウクライナの砲撃によるものだとしている。双方の主張ともBBCは検証できていない。
  巨大なカホフカ貯水池の下流にあるカホフカ・ダムは、地域の農家や住民らに水を供給すると共に、欧州最大のザポリッジャ原発にも冷却水を供給している。また、ロシアが占拠しているクリミア半島への重要な水路の一部にもなっている。
  ウクライナの原子力事業者エネルゴアトムは、下流への水の流出のピークは7日朝との見通しを示し、注意を呼びかけた。その後、「安定化」の期間となり、水は4〜5日間で急速に引くだろうとした。
「原発に直ちにリスクない」
  国際原子力機関(IAEA)は、ザポリッジャ原発の状況について、管理ができており、「直ちに原子力安全上のリスクはない」としている。
  複数の映像によると、ダムの決壊部分から大量の水が噴き出ている。いくつかの町はすでに浸水しており、より下流の地域で暮らす人々はバスや電車での避難を余儀なくされている。
  ウクライナのテレビでは、同国のヴィクトリヤ・リトヴィノヴァ副検事総長が、ドニプロ川の西側のウクライナ領で1万7000人、東側のロシア支配地域で2万5000人が避難の必要があると説明。イホル・クリメンコ内相は、これまでに約1000人が避難し、24の集落で浸水被害が出ていると述べた。
  内相はまた、住民が非難しているヘルソン南部をロシアが砲撃したと非難。住民らに対しては、水位上昇で地雷がむき出しになっており危険だと注意を呼びかけた。
  カホフカ・ダムの近くに住むアンドリイさんは、ロシアが街を「溺れ」させようとしていると語った。同ダムはロシアが昨年2月にウクライナに本格侵攻を始めた直後からロシア軍が押さえている。ウクライナ管理下のヘルソン市では、リュドミラさんという女性が、洗濯機などを古い車に連結したトレーラーに積んでいた。「洪水が怖い。少し高いところに家の物を運んでいる」と言い、ロシア軍については「ここから追放してほしい。(中略)私たちに向けて銃撃している。私たちを水浸しにするなどしている」と話した。同じくヘルソン市で暮らすセルヒイさんは、「ここですべてが死ぬ」のを恐れていると心境を説明。近くの家や庭を手で示しながら、「すべての生き物や人が流される」と言った。
  ロシアが制圧しているノヴァ・カホフカの川岸では、ロシアが任命したウラジミール・レオンティエフ市長が、街が水没して900人が避難していると説明した。
  市長によると、同市と近隣の2集落から住民を安全な場所に移動させるため、避難用のバス53台を当局が手配したという。水位は11メートルを超え、住民の中には病院に運ばれた人もいるという。小さな町オレシキーでも大規模な浸水が発生したと、ロシアが任命した町当局者らが明らかにした。
  ロシア支配地域の川岸にあるカズコヴァ・ディブロワ動物園はフェイスブックに、同園が完全に浸水し、約300匹いたすべての動物が死んだと投稿した。
  カホフカ・ダム決壊の原因について、ウクライナ軍の情報機関はロシアが意図的に爆破したとしている。
  ロシア側は、ウクライナ軍が反転攻勢でダムの道路を通ってロシア支配地域に進入することを恐れていた節がある。そのことからすると、ウクライナ側の見方は理にかなっていると思われる。ウクライナ南部の支配地域を死守したいロシアにとっては、カホフカ・ダムは明らかに問題だった。
  ウクライナ軍は昨秋、ドニプロ川下流の道路や鉄道橋を攻撃し、ロシア軍をヘルソン周辺で孤立させるのに成功した。ロシアはウクライナによる多方面からの反撃を恐れており、ダムの破壊に踏み切ったのかもしれない
  一方、ロシア政府関係者は、ウクライナが反転攻勢と、クリミア半島に真水が届かないようにするのに「失敗」したことを目立たなくするため、ダムを攻撃したと主張している。ウクライナの大規模な反撃はしばらく前から予想されている。ウクライナは予告はしないとしているが、ここ数日の軍事活動の増加は反撃の開始を示しているとみられている。
  ゼレンスキー大統領は6日夜のビデオ演説で、ダムの破壊がウクライナを止めることはないと強調。「私たちはすべての領土を解放する」と述べた。

  ウクライナ国防相顧問のユーリ・サク氏は、BBCラジオ4の番組で、ロシアが別のダムも狙っていることが、傍受された電話の内容からうかがえると説明。「(ロシア側は)ドニプロ川のダムをもっと爆破するよう指示している」と述べた。
  ウクライナは、今回のダム攻撃を「エコサイド」(環境の大規模破壊)と呼び、エンジンオイル150トンがドニプロ川に流出したと明らかにした。
  ウクライナの水力発電関連の事業者は、カホフカ・ダムとつながる発電所について、「完全に破壊された。(中略)水力発電の構造物が流されている」とした。
  各国の指導者らは、今回のダム決壊はロシアの責任だと主張。戦争犯罪だとする人もいる。イギリスのリシ・スーナク首相は、ロシアのせいだと判明すれば、「ロシアの侵略が新たなレベルへと悪化したのを示すことになる」と述べた。北大西洋条約機構(NATO)イェンス・ストルテンベルグ事務総長は、ダム破壊はウクライナでのロシアの戦争における残虐性を改めて示したと発言。欧州理事会のシャルル・ミシェル議長は「前例のない攻撃に衝撃を受けている」と述べた。
  戦争でダムを標的にすることは、民間人に危険が及ぶことから、ジュネーヴ条約で明確に禁止されている
(英語記事 Floods sweep region after huge Ukraine dam destroyed


2023.06.06-産経新聞(KYODO)-https://www.sankei.com/article/20230606-Y6JHTSM7N5PGDKGIV4YMFJ27LM/
露軍、原発取水ダム爆破か ウクライナ南部

  ウクライナ軍の南部作戦司令部は6日、ロシア軍がドニエプル川のカホフカ水力発電所のダムを爆破したとフェイスブックで主張した。被害程度を調べているという。欧州最大のザポロジエ原発はダムの貯水池から冷却水を取水している。

  一方、ロシア軍に大規模攻撃を仕掛けたウクライナのゼレンスキー大統領は5日の国民向け動画声明で「ウクライナが勝利すると敵は知っている」と主張。自国の将兵らに対し、特に東部ドネツク州の激戦地バフムト付近で進軍したとし「この日期待していた通りの知らせをもたらしてくれた」と戦果をたたえた。
  ロシア民間軍事会社ワグネルの創設者プリゴジン氏は5日、バフムトに近いベルホフカの一部がウクライナ軍に奪回されたとしてロシア軍を批判した。
  ロシア国防省は5日、ドネツク州付近の戦線でウクライナ軍から大規模攻撃を受けたと発表していた。ただ、ウクライナは戦況の詳細の公表を控えている。(共同)


2023.06.03-産経新聞-https://www.sankei.com/article/20230603-WHEVVX22HRM4BP6FBMEXOQTLXI/?outputType=amp
ウクライナで長距離攻撃の応酬激化

  ロシアの侵略を受けるウクライナ南部ザポロジエ州のマラシコ知事は2日、州内の集落カムイシェバハの集合住宅が露軍の砲撃を受け、民間人女性2人が死亡し、男女4人が負傷したと交流サイト(SNS)で発表した。一方、同州の6割超を支配する親露派勢力幹部、ロゴフ氏は同日、州内の港湾都市ベルジャンスクの港がウクライナ軍のミサイル攻撃を受け、9人が負傷したと主張した。

  ロゴフ氏は、ウクライナ軍の攻撃には英国から供与された巡航ミサイル「ストームシャドー」が使用された可能性が高いとした。
  ザポロジエ州は、露本土とロシアが実効支配するウクライナ南部クリミア半島を結ぶ陸路の「回廊」の一部を構成する重要地域ウクライナ軍が準備している本格的な反攻作戦の主目標となる可能性が指摘され、5月ごろから両国軍による長距離攻撃の応酬が激化している。両国軍は反攻を念頭に双方の拠点への攻撃を続けているとみられる。
  ウクライナ軍の反攻に備え、ロシア側は5月、同州の前線付近から住民1万人以上を後方に移動させた。露軍は同州内に幅120キロ以上の防衛線を構築しているとも分析されている。


2023.05.29-産経新聞-https://www.sankei.com/article/20230529-CSN2RQ2BHJKRNAL73Q5L6U47OA/
露、2日連続でキーウなどへ大規模攻撃 ウクライナは「大半を撃墜」

  ウクライナ空軍は29日、同日未明に重要インフラなどを標的としたロシア軍のミサイルと自爆型無人機(ドローン)による多数の攻撃があったと発表した。露軍の大規模な長距離攻撃は2日連続。ウクライナメディアによると、首都キーウ(キエフ)市当局は撃墜したミサイルなどの破片が市内に落下したが、死傷者は出ていないとした。

  ウクライナ空軍によると、露軍は最大40発のミサイルと約35機のドローンを発射。防空部隊がミサイル37発とドローン29機の撃墜に成功したとしている。


2023.05.28-Yahoo!Japanニュース(テレ朝NEWS)-https://news.yahoo.co.jp/articles/2f00d6313f8fa4907ba6919959e00ae6205b9d25
露領内で破壊や越境攻撃“ロシア義勇兵”キーマン直撃 ウクライナ反転攻勢への影響は
5月28日『サンデーステーション』より テレビ朝日

  大規模な反撃と共に注目を集めるのが、ウクライナ側で戦うロシアの義勇兵たち。 なぜ自国に攻め入るのか、ウクライナ軍の関与はあるのか。キーマンを取材し、背景を探りました。

▽ウクライナ総司令官「取り戻す時が来た」 「ウクライナ 母なる土地 神は我々の父だ 断固たる反撃にご加護を…」
  27日、ロシア軍との戦闘に臨む兵士の動画と共に「我々のものを取り戻す時が来た」とメッセージを出したのはウクライナ軍のザルジニー総司令官。“反転攻勢の開始宣言”ともとれる軍のトップのこの発信。
  反転攻勢は始まったのでしょうか… 「ベルジャンシクで爆発がありました。SNSで煙の映像が公開されました。ベルジャンシク市議会の副会長によると、ロシア軍の兵士がいた保養所に着弾があったということです」 ロシアが一方的に併合を宣言したウクライナ南部のザポリージャ州ベルジャンシクで27日、複数回起きた爆発。ウクライナ軍は、21日にもベルジャンシクにあるロシア軍の拠点を攻撃したと表明しており、今回もウクライナ軍による攻撃の可能性があります。
  これもウクライナの反転攻勢に関係あるのでしょうか…22日に明らかになったロシア領土内への越境攻撃。
  ロシアのショイグ国防相は… (ロシア ショイグ国防相)「5月22日、ウクライナの民族主義者の部隊がベルゴロドの国境検問所付近でロシア領土に侵入した。(対テロ作戦で)70人以上のウクライナのテロリストを殲滅した」 場所はウクライナと国境を接するロシアのベルゴロド州。悠々と国境を越え、ロシア領内に入る武装組織。 「ロシア義勇軍団 進め!」 この攻撃を行ったと主張しているのが、反プーチン政権を掲げるロシア人のパルチザン、「自由ロシア軍団」と「ロシア義勇軍団」です。
  犯行声明では… (自由ロシア軍団 司令官)「クレムリンの独裁を終わらせる時が来た」 24日には、戦利品とされる装甲車の前で幹部らが合同の会見を行いました。 (ロシア義勇軍団 司令官)「これはロシアのカラシニコフ銃。戦利品の一つだ。ロシア義勇軍団には2人の軽傷者を除いて死傷者はいない。我々の活動は継続中で、第一段階は成功した」
▽「自由ロシア軍団」祖国への“越境攻撃”なぜ?
  今なぜ、越境攻撃を行うのか…その理由について、「自由ロシア軍団」政治部門の代表バラノフスキー氏(自由ロシア軍団 政治部門代表 アレクセイ・バラノフスキー氏)「一部の地域では、ウクライナの反転攻勢はすでに始まっています。地面も乾いてタイミングが良かった。我々の目的は、ロシア軍の一部を撤退させ、防衛体制を弱体化させることです」 ロシア領土内で攻撃するのは、今回が初めてだという自由ロシア軍団。
  ウクライナ軍の関与については… (バラノフスキー氏)「ウクライナ領土にいるときは、ウクライナ軍の管理下にあるので、私たちはウクライナ軍の指示に従って動いています。ロシア領土に戻ったときは、自由ロシア軍団の司令官の指示に従うので、ウクライナ軍は全く関与していません」
  Q. ベルゴロド州の攻撃にウクライナ軍は関与していないのですか? (バラノフスキー氏)「関与していません。今回の攻撃は、私たちの部隊が独断で行いました」
▽「ウクライナの英雄」が解説
  “ロシアのパルチザン“ 現在、ウクライナ政府と共に、占領下のパルチザン活動を支援するジェムチュゴフ氏はこう説明します。 (元パルチザン指導者 ジェムチュゴフ氏)「自由ロシア軍団は今、ウクライナ国内で独立した軍事組織です。ウクライナ軍はロシア軍の大規模な進軍を止めることができた現時点でロシアの義勇兵は前線にいる必要がなくなりました」
  ウクライナ軍との連携については… (ジェムチュゴフ氏)「彼らは戦地から撤退し、本来の目標達成に向けた活動を始めました。ウクライナの諜報機関と連携し、私たちは偵察情報を提供しています。ロシア国内で本格的な内戦を起こすのに必要なIT系の支援をしています」 「自由ロシア軍団」では、2日間に渡る戦闘がSNSなどを通じ急速に広まったことで、変化があるといいます。
  (バラノフスキー氏)「ロシア国内から自由ロシア軍団やロシア義勇軍団への志願者が非常に多く集まっています。あまりにも志願者が多すぎて、選定作業が間に合っていません。中には組織に侵入しようとするロシアのスパイがまぎれているかもしれないので、全員きちんと調べないといけません」
▽ロシア義勇兵の本懐
  “プーチン政権の転覆” 26日、タス通信は、ロシア南部の都市クラスノダールで爆発があり、住宅の屋根や窓ガラスが破壊されたと伝えています。3日のクレムリンへのドローン爆破など、ロシア国内では、国境付近のみならず、各地で“破壊工作”が頻発。ロシアメディアが報じたものだけで、今月に入って29件に及びます。
  (ジェムチュゴフ氏)「ロシア国内で起きているすべての出来事はロシア国民によるものです。ウクライナ諜報機関はロシアのパルチザンと連絡を取り合い可能な範囲で支援している。」 ロシアのパルチザンによる破壊工作や越境攻撃、ウクライナの反転攻勢にどう影響するのでしょか。
  (ジェムチュゴフ氏)「ロシアは自国内で行われる戦闘に準備しておらず、今前線にいる部隊をロシア領内に慌てて移動しています。ウクライナ国内の体制が弱体化し、ロシア軍の攻勢が弱まることが、ウクライナ軍にとって一番大きなメリットです。プーチン政権を弱体化させ、政権転覆につながると期待しています」 今、自由ロシア軍団は、第二・第三の攻撃を水面下で進めているといいます。
  (バラノフスキー氏)「ベルゴロド州以外にも、今はブリャンスク州、クルスク州でも作戦の準備を進めています。ただ、これが最後ではありません。最終目標はモスクワです。ウクライナがクリミアを取り戻したら、プーチン政権は崩壊し始めると確信しています。その時、ロシアに戻ってプーチンを完全に潰さなければいけない。」
5月28日『サンデーステーション』より テレビ朝日


2023.05.27-NHKNEWS WEB-https://www3.nhk.or.jp/news/html/20230527/k10014080421000.html
ウクライナ政府高官 “大規模な反転攻勢開始に向け準備整う”

  ウクライナ政府の高官は、領土奪還を目指した大規模な反転攻勢の開始に向けて準備が整っているという認識を示しました。南部などではウクライナ軍がすでに軍事作戦を進めているともみられていてロシア側が警戒を強めています。

  ウクライナ軍の大規模な反転攻勢を巡り、ウクライナの国家安全保障・国防会議のダニロフ書記は27日までにイギリスの公共放送BBCのインタビューに対し「あす、あさって、あるいは1週間以内に始まる可能性がある。歴史的な機会を逃すわけにはいかない」と述べ、開始に向けて準備が整っているという認識を示しました。
  また、ウクライナ軍のザルジニー総司令官は27日、SNSで兵士の動画とともに「奪還するときが来た」とするメッセージを投稿しました。
  ロシアが併合を主張する南部ザポリージャ州の親ロシア派のトップ、バリツキー氏は、ウクライナ軍がイギリスから供与された巡航ミサイルで攻撃を続けているとしたうえで、「ウクライナ軍の反転攻勢が近く始まる可能性が高い」と述べました。
  ザポリージャ州では、ロシア軍が占領する都市にある軍施設で爆発が起きるなど、ウクライナ軍がすでに軍事作戦を進めているともみられていて、ロシア側が警戒を強めています。
  一方、ウクライナ東部ドネツク州の激戦地バフムトをめぐり、イギリス国防省は27日、撤退を表明したロシアの民間軍事会社ワグネルの部隊が「バフムト周辺の一部から撤退を開始した可能性が高い」とする一方、周辺にロシア軍の空てい部隊が投入されてきた可能性が高いと指摘しました。
  ワグネルからロシアの正規軍への交代が進められているとみられますが、アメリカのシンクタンク「戦争研究所」は26日、「バフムト周辺でのウクライナ軍の反撃が成功すれば、ロシアの作戦が複雑になる可能性がある」と分析しています。


2023.05.25-産経新聞-https://www.sankei.com/article/20230525-HQDPIGGYUFJMXNF7QAJ4Y3OCNE/
通信傍受の米情報機関が分析 クレムリン無人機攻撃にウクライナ関与か

  【ワシントン=坂本一之】米紙ニューヨーク・タイムズ(電子版)や米CNNテレビ(同)は24日、ロシアの首都モスクワ中心部にあるクレムリン(大統領府)を狙った今月3日の無人機攻撃に関し、米情報機関がウクライナ側の関与が疑われる情報を得ていると報じた。米側は誰の決定で攻撃が実行されたか結論付けることはできず、ウクライナのゼレンスキー大統領は作戦を把握していなかったと分析する米当局者もいる。

  報道によると米側は、ロシア当局者が無人機攻撃について協議する会話を傍受。無人機がモスクワ中心部まで侵入したことに驚いていた様子やウクライナを非難していることを把握した。ウクライナ当局者が自国の関与を推測する会話も傍受したという。
  関係者は、ロシア政府が無人機攻撃を受けて内部の安全対策を変更したとしている。米側は指摘されていたロシアによる自作自演ではないと分析しているものの、ゼレンスキー氏らウクライナの政府高官が作戦を把握していたかは不明のままだという。
  バイデン米政権はロシアによる侵略を強く非難し、ウクライナに大量の武器支援を実施しているが、核兵器使用をちらつかせるロシアを過度に刺激することを警戒している。
  また、米国家安全保障会議(NSC)のカービー戦略広報調整官は24日の電話記者会見で、「ロシア領内への攻撃に米国製の装備が使われることを支持しない」と述べている。米議会もウクライナ支援の継続を重視する一方で、兵器支援に関する「透明性」の確保も求めていて、目的外の使用を懸念している。
  米当局は今回の無人機攻撃に加え、ロシア国内で昨年8月に民族主義的思想家の娘が車の爆発で死亡した事件や、ロシア産天然ガスをドイツに送る海底パイプライン「ノルドストリーム」で昨年9月に起きたガス漏れなどについても、ウクライナ側の関与を疑っている。


2023.05.22-産経新聞-https://www.sankei.com/article/20230522-G6SCSI3DUZNYPPOXOKD7AEBLJM/
マリウポリ陥落1年 捕虜「兵士2000人戻らず」 親族、解放訴え
(キーウ 桑村朋)

  ウクライナが東部ドネツク州の要衝マリウポリをロシア軍との激しい攻防の末に占拠されて1年が経過した。露軍の捕虜となったままの兵士は約2千人に上るといい、親族らは「非人道的な拷問が行われている」と焦燥感を募らせる。ウクライナのゼレンスキー大統領は先進7カ国首脳会議(G7広島サミット)で捕虜らの解放を含む和平案の重要性を訴えたが、早期解放の見通しは立たない。

  マリウポリはアゾフ海に面した工業都市で、露軍が昨年2月の侵攻直後から包囲した。ウクライナ側ではアゾフスタリ製鉄所を最後の拠点に「アゾフ大隊」などが籠城。2万人以上が死亡したとされ、昨年5月16日に投降を始めた。露側は20日に完全制圧を宣言し、2439人が投降したと発表。投降者を捕虜としてドネツク州の支配地域や露国内に移送したとみられる。
  今月16日には捕虜の妻や親族らでつくる団体「鋼の女性」代表のナタリヤ・ザリツカ氏ら5人がキーウ市内で記者会見。ザリツカ氏は「あらゆる努力にもかかわらず、過去1年で帰還できた兵士はわずか約500人。残りは今も地獄の日々を送っている」と涙ながらに語った。
  今月6日にも新たに45人のウクライナ兵が帰還したと明かしたが、「1年前の丈夫で健康な姿に永遠に戻らないかのようなひどい状態だ」と嘆く。露側に電気ショックで尋問、暴行されるなどし、昨年9月に帰還した215人は体重が平均で40キロ減少。背骨の骨折や腎臓の損傷、視力・聴力の低下がみられたという。
  ウクライナ政府に対し、拘束したロシア人捕虜が自国の家族と連絡が取れるように求め、実現したことも紹介。ロシア側にも同様の人道的な配慮を要求し、ウクライナ兵への拷問の停止や十分な食事の提供を求めた
  ゼレンスキー氏は製鉄所の部隊全員の生還を目指し、これまで露側との捕虜交換に複数回成功した。だが、ロシアは部隊の中心を担ったアゾフ大隊を「ネオナチ」と敵視し、露最高裁は昨年8月、大隊を「テロ組織」に認定。全員の早期解放は厳しい情勢だ。
  会見に出席したソフィア・チェレパノワさんも大隊の兵士だった弟が捕虜となっている。「良い知らせを受け取ったのはわずかな家族だけ。捕虜たちは人間性を失いつつある。ウクライナ政府は3倍の努力をすべきだ」と訴えた。(キーウ 桑村朋)


2023.05.17-産経新聞(KYODO)-https://www.sankei.com/article/20230517-H3Q5YZMPIBLX3LVUP5DEQ6INR4/
ミサイル「18発全て」迎撃で欧米に謝意 ゼレンスキー大統領「歴史的成果」

  ウクライナのゼレンスキー大統領は16日、欧州評議会の首脳会議でオンライン演説し、同日未明に首都キーウ(キエフ)を狙ったロシア軍の攻撃に言及した。ミサイル18発を全て迎撃する「歴史的成果」を上げたと強調し、防空システムを供与した欧米に謝意を表明した。ウクライナ空軍は、うち6発はミグ31戦闘機6機から発射された極超音速ミサイル「キンジャル」だったと発表した。

  キンジャルはマッハ10で飛行し、プーチン政権が迎撃困難だと誇示していた最新兵器。ゼレンスキー氏は、1年前は多くのミサイルが迎撃不能だったと振り返り、欧米の支援で防空能力が格段に向上したと説明。戦闘機も供与するよう訴えた
  空軍は、黒海の艦船から巡航ミサイル「カリブル」9発、地上からミサイル3発も同時発射され、北・南・東からの複合攻撃だったと発表。キーウ市は、空爆は5月に入って8回目だが異例の密度だったと指摘した。(共同)


2023.05.15-産経新聞-https://www.sankei.com/article/20230515-YBNOWJKLARIIVE7ULDCVW4FC5A/
英仏独伊首脳が「武器供与」 ウクライナ支援固め

  【ロンドン=板東和正、パリ=三井美奈】欧州歴訪中のウクライナのゼレンスキー大統領は15日、ロンドン郊外のチェッカーズ(英首相別荘)を訪問し、スナク英首相と会談した。英政府によると、スナク氏は同日、数百発の防空ミサイルと、飛行距離200キロを超える長距離攻撃型無人機数百機を含む無人航空機システムをウクライナへ新たに供与する方針を確認した。

  ゼレンスキー氏は訪英に先立ちイタリア、ドイツ、フランスを訪問し、ロシアに対する大規模攻勢に向け、各国首脳に戦闘機の提供を求めた。広島での先進7カ国首脳会議(G7広島サミット)を前に、対露圧力で支援固めも目指した。
  ゼレンスキー氏は出迎えたスナク氏に「英国はこれまで多くのことをしてくれた」と感謝の意を表明。会談では今後のウクライナへの軍事支援を協議した。
  英政府は11日にもウクライナに長距離巡航ミサイル「ストームシャドー」を供与すると発表した。英BBC放送などによると、ウクライナに長距離ミサイルを提供するのは英が初めて。
  スナク氏は15日、「英国はウクライナとその国民を支援することに揺るぎはない」と強調した。
  ゼレンスキー氏は14日には、ベルリンでショルツ独首相、パリでマクロン仏大統領とそれぞれ会談。ショルツ氏との共同記者会見では、「戦闘機の支援国連合の構築を目指している。今回の訪欧の目的でもある」と協力を求めた。
  ショルツ氏はレオパルト1戦車、IRIS-T防空システムなど総額27億ユーロ(約4千億円)の支援を発表した。戦闘機については「防空ではすでに、効果的な装備を提供している」と述べるにとどめた。会談では広島サミットも議題になり、ゼレンスキー氏はG7でのわれわれの立場を調整した」と述べた。
  ゼレンスキー氏はパリでマクロン氏との会談後、共同声明を発表した。フランスはウクライナ軍の大隊に、偵察戦闘車や装甲車など数十両を提供し、兵員の訓練を行うと表明した。広島サミットを視野に両大統領は、ロシアに対する追加制裁が必要という立場も確認した。仏大統領府筋は、戦闘機供与については「まず操縦訓練が必要。時期尚早」とした。
  13日に会談したイタリアのメローニ首相も武器支援の継続を約束した。


2023.05.13-Yahoo!Japanニュース(読売新聞)-https://news.yahoo.co.jp/articles/1d103b2a43541d6a5ac50f6cbd0e79d1cc66720f
ウクライナが東部で反撃、ロシア軍司令部で大規模爆発…英ミサイル「ストーム・シャドー」か

  タス通信などによると、ウクライナに侵略するロシアが一方的に併合した東部ルハンスク州の州都ルハンスク中心部12、13の両日、露軍の司令部などで大規模な爆発が起きた。露国防省は13日、ウクライナが英国から供与を受けた長射程巡航ミサイル「ストーム・シャドー」(射程250キロ・メートル超)を使ったと主張し、非難した。

  州都は最前線から約100キロ・メートル後方にあり、米国が供与した高機動ロケット砲システム「HIMARS」(同約80キロ・メートル)では届かない。露側の地元「当局」は12日の爆発に関し、現場付近でストーム・シャドーの刻印が入った部品などが見つかったとする写真も公表した。英国防相は11日にウクライナに提供済みだと発表していた。
  一方、ウクライナ軍は大規模な反転攻勢の準備段階として、東部で反撃を強化し、露軍に揺さぶりをかけているようだ。 ウクライナ軍の報道官は12日、露軍が全域制圧を狙う東部ドネツク州の要衝バフムト周辺で、過去3日間に約17平方キロ・メートルを解放したと強調した。米CNNも12日、露軍が市北郊で約5キロ・メートル後退したとの見方を伝えた。
  露国防省も12日の発表で、露軍部隊がバフムト北郊の貯水池周辺まで撤退したと認めた。ウクライナ陸軍の司令官は13日、SNSで「複数の地域で前進している」と強調した。


2023.05.11-産経新聞(KYODO)-https://www.sankei.com/article/20230511-PSSINFXOTNKYPFZTUYMFOVCHUI/
ウクライナ「反攻に時間」 英、巡航ミサイル供与

  ウクライナのゼレンスキー大統領は、近く実施するとみられていた対ロシアの大規模な反転攻勢について、欧米供与の装甲車などが必要で「もう少し時間がかかる」と述べ、反攻開始が遅れるとの認識を示した。英BBC放送が11日にインタビューを報じた。

  米CNNテレビは11日、英国がウクライナに巡航ミサイル「ストームシャドー」を供与したと報じた。報道によると、ウクライナ軍が保有する旧ソ連製の戦闘機に搭載可能。射程は250キロ超で、米国がこれまでに供与した兵器の最大射程約80キロを大きく上回る。 ゼレンスキー氏はインタビューで「われわれは前進できるし、成功すると思う」とした上で、今すぐ反攻に踏み切れば「多くの人員を失う。それは受け入れられない」とした。
  BBCはウクライナの反攻の時期や場所は不明だと指摘。ロシア軍は東部ドンバス地域(ルガンスク、ドネツク両州)から南部ザポロジエ、ヘルソン両州にわたる約1450キロの前線で防衛を強化しているとした。(共同)


2023.05.08-産経新聞-https://www.sankei.com/article/20230508-EXRX5EMQKRONDNBQUBTGARG3JA/
ロシアが自爆ドローン60機投入 対独記念日前にウクライナ各地攻撃

  ロシア軍は8日未明にかけ、ウクライナ各地を自爆ドローン(無人機)やミサイルによる大規模攻撃を実施した。プーチン露政権が重視する第二次大戦の対ドイツ戦勝記念日の9日を控えて攻勢を強めた

  ロイター通信によると、投入された自爆ドローンは大規模爆撃が再開された4月末以降最大となる60機に上った。ウクライナ側によると、首都キーウ(キエフ)では飛来したドローン36機全てを撃墜されたが、破片の落下などで5人が負傷した。
  南部オデッサでは食料施設がミサイル攻撃で延焼し、3人が負傷。ウクライナメディアによると、南部ヘルソン州では露軍の砲撃によって9歳の子供を含む9人が負傷した
  また、露側は実効支配する南部クリミア半島でウクライナ側の無人機22機を破壊したと主張した。


2023.05.08-TBS NEWS DIG.-https://newsdig.tbs.co.jp/articles/-/473499?display=1
ウクライナがロシアを非難 要衝バフムトでロシア側が「白リン弾と焼夷弾を使用した」映像を公開

  ウクライナ東部の要衝バフムトからの撤退を表明していたロシアの民間軍事会社ワグネルの創設者は、「戦闘継続に必要な弾薬の供給を約束された」と明らかにしました。
  ワグネルの創設者プリゴジン氏は7日、ロシア国防省から「戦闘を続けるために必要な弾薬などの供給を約束された」とSNSに投稿しました。
  そのうえで、ウクライナの軍事作戦で副司令官を務めるスロビキン氏が今後、「ワグネルの軍事作戦に関する決定権を持つ」としています。
  プリゴジン氏は5日、弾薬の供給が止められたとしてショイグ国防相らを厳しく批判し、“10日に要衝バフムトから撤退する”と表明していました。

  一方、ウクライナ側は6日、バフムトで撮影されたとみられる映像を公開しました。非人道兵器とされる“白リン弾と焼夷弾を使用した”としてロシア側を非難しています。
  9日にロシアで対ドイツ戦勝記念日を迎えるのを前にウクライナへの攻撃は続いていて、南部オデーサ州では食品企業の倉庫などにミサイルが着弾し、火災が発生しました。
  また、首都キーウにはドローン攻撃があり、市長は4人がけがをしたとしています。


2023.05.06-朝日新聞-https://www.asahi.com/articles/ASR4X0G2XR4WUHBI03J.html
前線付近の7万人を自主避難へ ウクライナ中南部

  ロシアの民間軍事会社ワグネル創設者のエフゲニー・プリゴジン氏は5日、SNSに投稿した動画で、激戦が続くウクライナ東部バフムートから、10日にワグネルの部隊を撤退させると明らかにしました。近くウクライナ軍の領土奪還作戦が予想されるなか、ワグネルが撤退すれば、戦況が大きく変わる可能性もあります。


2023.05.04-産経新聞(KYODO)-https://www.sankei.com/article/20230504-AUORU4OUDVNH3D42OXIETGRX2E/
南部ヘルソン州で16人死亡 スーパー攻撃、外出禁止へ

  ウクライナ検察は3日、ロシア軍が南部ヘルソン州の民間施設など複数の場所を攻撃し、計16人が死亡したと発表した。これに先立ち、ウクライナ内務省は3日、同州の州都ヘルソンで唯一開いている大型スーパーマーケットが攻撃を受け、死傷者が出たと通信アプリで明らかにした。

  ヘルソン市当局は3日、5日午後8時から8日午前6時まで58時間の外出禁止を発令すると発表した。外出禁止令の間、市内の移動や、市への出入りができなくなる。
  英国防省は2日までに公表したウクライナ戦況分析で、ロシアが昨年夏以降、ウクライナとの国境に近い自国領内に全長数百キロにわたる大規模な塹壕を構築したと指摘した。ウクライナ軍が計画する大規模反攻への強い警戒の表れと分析している。(共同)



2023.05.04-産経新聞-https://www.sankei.com/article/20230504-CCUR5BHOX5IKPOP6HP7WIRI2OQ/
ゼレンスキー氏も関与否定 クレムリン無人機攻撃

  モスクワのロシア大統領府をウクライナが無人機で攻撃したとの露大統領府の主張について、フィンランドを訪問しているウクライナのゼレンスキー大統領は3日、「われわれはプーチン(大統領)を、モスクワを攻撃していない。自国領土で戦っている」と述べ、関与を否定した。

  ゼレンスキー氏はフィンランドでの北欧5カ国首脳との共同記者会見で発言した。(ロンドン支局)


2023.05.01- 産経新聞-https://www.sankei.com/article/20230501-WRYNNXFCJRKPXHOZKPEI7UJIVI/
ゼレンスキー氏「重要な戦い近い」 近く反攻着手を示唆か

  ロシアの侵略を受けるウクライナのゼレンスキー大統領は、同国が国境警備隊の日と定める4月30日、国境警備隊員の職務をたたえる国家行事に出席し、「重要な戦いが間近に迫っている。われわれはロシアから領土と国民を解放せねばならない」と演説した。ウクライナ軍が近く大規模な反攻作戦を開始することを示唆した可能性がある。

  ウクライナは従来、最激戦地の東部ドネツク州バフムトなどで露軍を損耗させつつ、米欧諸国から供与される主力戦車などを使って反攻に着手する方針を示してきた。米欧製戦車の引き渡しが着々と進む中、ウクライナ国防省情報総局のブダノフ局長も最近、同国メディアに対し、時期は機密だとしつつも「決戦が近づいている」と述べていた。
  ただ、反攻が失敗した場合、領土の奪還が困難になる上、国際的な停戦圧力が強まる可能性もあることから、ウクライナは反攻に着手する時機を慎重に見定めているとみられている。
  一方、バフムトでの戦闘に露軍側で参戦している露民間軍事会社「ワグネル」トップのプリゴジン氏は、露軍事メディアが29日に公開したインタビューで「ウクライナ軍が5月15日までに反攻を始める可能性がある」と指摘。「(露軍側の)誰も(反攻を)真剣に受け止めていない」などと不満を表明した。複数の露メディアが伝えた。
  プリゴジン氏は「1日8万発の弾薬をワグネルは必要としており、露国防省に1日4000発の弾薬を供給するよう求めているが、800発しか渡されていない」とも指摘。弾薬不足が解消されない場合、ワグネルはバフムトから撤退するとショイグ露国防相に通告したと明らかにした。ワグネルと露国防省の間では、足並みの乱れがこれまでもたびたび指摘されてきた。


2023.04.29-東京新聞-https://www.tokyo-np.co.jp/article/246981
ミサイル攻撃、死者25人に 子ども犠牲、ロシアを非難

  【キーウ共同】ウクライナのクリメンコ内相は29日、ロシア軍のミサイル攻撃を受けた中部チェルカスイ州ウマニ集合住宅での死者が23人に上り、うち5人が1歳半から16歳までの子どもだったと明らかにした。東部ドニプロでもミサイル攻撃で女児を含む2人が死亡。ゼレンスキー大統領は28日の声明で「このようなテロ行為に及ぶのは絶対的な悪だけだ」とロシアを非難した。

  ロシア軍は27日夜から28日未明にかけ、ウクライナ各地をミサイルや無人機で攻撃していた。
  2014年にロシアが併合したクリミア半島のセバストポリでは29日、海岸付近の石油備蓄施設で火災が発生。ラズボジャエフ市長は無人機による攻撃だと通信アプリに投稿した。けが人などは出ていない。
  インタファクス通信によると、東部ドネツク州でロシア側行政府「ドネツク人民共和国」が支配する州都ドネツクに28日、ウクライナ側から激しい砲撃があった。ロシア側市長によると、子どもを含む市民9人が死亡。NATO側が供与した長距離砲による攻撃とみられ、住宅や病院などに着弾したという。


2023.04.29-dmenuニュース-https://topics.smt.docomo.ne.jp/article/yomiuri/world/20230428-567-OYT1T50237
ウクライナ中部の集合住宅にミサイル、子供ら21人死亡…米欧製の防空システム試したか

  ウクライナ非常事態庁などによると、ロシア軍は28日、首都キーウを含む広範囲をミサイルや自爆型無人機で攻撃した。中部チェルカスイ州ウマニでは集合住宅約10棟が被害を受け、子供3人を含む21人が死亡し、18人が負傷した。キーウへの攻撃は51日ぶりだった。露軍が、ウクライナで実戦配備が始まっている米欧製の防空システムの対応能力を試した可能性がある。

  ウマニではがれきの下に取り残されている人もいる。東部ドニプロでもミサイル攻撃で2人が死亡し、3人が負傷した。ウォロディミル・ゼレンスキー大統領は28日、SNSへの投稿で「ロシアのテロはウクライナと世界から公正な報いを受けなければならない」と非難した。28日夕にも広範囲に空襲警報が出た。
  ウクライナ軍総司令官は、露軍が28日未明、カスピ海上空の戦略爆撃機「Tu(ツポレフ)95」から巡航ミサイル23発を発射し、ウクライナ軍が21発を迎撃したと明らかにした。無人機2機も撃墜した。ウマニの集合住宅には巡航ミサイルの「Kh101」が着弾したとみられている。キーウ市当局によると、このうちキーウではミサイル11発と無人機2機を撃墜した。
  ウクライナ空軍幹部は27日、米国製「パトリオット」の2セット目が配備されたことを明らかにした。ドイツ製「IRIS―T SLM」もすでに配備済みだ。いずれも防衛範囲は半径数十キロ・メートルとされている。
  このタイミングで行われたミサイル攻撃では、昨年10月から冬場までの断続的な攻撃で標的となったエネルギー施設に被害はなかった。攻撃規模は100発超を投入していた今年2月頃から縮小している。流出した米政府の機密文書でウクライナ軍の地対空ミサイルが深刻な不足に陥っているとの指摘があったことを踏まえ、ウクライナ側のミサイルを消耗させる狙いもあった可能性がある。
  露軍は自爆型無人機での攻撃を再び活発化させているほか、ウクライナ空軍によると、27日、南部ミコライウへのミサイル攻撃では、地上発射型で低空を飛行するため探知困難な「イスカンデル」が使われた。
  露側もミサイルの深刻な不足が指摘されてきた。ただ、米政策研究機関「戦略国際問題研究所」(CSIS)は今月発表の露軍需産業に関する報告書で、露軍のミサイル攻撃に関し「生産力は落ちているものの旧型や精度の低いものを組み合わせて、ペースを落としながら攻撃を継続する能力がある」と指摘した。
  プーチン露大統領は27日、国内の無人機企業の幹部と会談し、国産機の生産ペースを上げるよう指示した。


2023.04.24-産経新聞-https://www.sankei.com/article/20230424-2Q5AN22UT5L2BNUL5B663SAKSU/
ウクライナ軍、ヘルソン州で渡河成功か 陣地確保の情報 露側は「虚偽」と否定

  ロシアによるウクライナ侵略で、米シンクタンク「戦争研究所」は24日までに、露軍の支配下にある南部ヘルソン州のドニエプル川東岸地域にウクライナ軍が進出し、陣地を確保したもようだとする分析を公表した。これに関し、ウクライナ軍南部方面部隊のグメニュク広報官は否定も肯定もしなかった。一方、同州の親露派勢力トップのサリド「知事代行」は、ドニエプル川東岸へのウクライナ軍の進出情報は「虚偽」だと主張した。

  戦争研究所は22日、複数の露軍事ブロガーの報告を基に、ウクライナ軍がドニエプル川の渡河に成功したもようだと指摘。東岸地域の小都市アリョシュキの北方に陣地を構築したが、規模や意図は不明だとした。
  グメニュク氏は同日、「ドニエプル川の渡河が必要な現在の状況下で、困難な作戦が続いていることを理解してほしい。わが軍の安全が確保されていない現状では、機密は保持されるべきだ」などと述べ、具体的なコメントは避けた。地元テレビでの発言をウクライナメディアが伝えた。
  ヘルソン州を巡っては、ロシアが昨年9月、一方的に併合を宣言。しかし11月、ウクライナ軍が反攻を行い、州都ヘルソンを含むドニエプル川西岸地域を奪還した。以降、露軍はウクライナ軍の渡河を防ぐため東岸地域を要塞化し、西岸地域に砲撃を続けていた。
  ヘルソン州は、ロシアが実効支配するウクライナ南部クリミア半島の付け根に位置するほか、侵略開始後にロシアが確保した露本土とクリミアを陸路で結ぶ「回廊」の一部を成す重要地域。ドニエプル川東岸地域へのウクライナ軍の進出が事実であれば、露軍はクリミアや回廊の「防衛」に戦力を割く必要に迫られ、全域の制圧を狙う東部ドネツク州での戦闘がさらに停滞する可能性がある。


2023.04.23-Yahoo!Japanニュース(TBS NEWS DIG.)-https://news.yahoo.co.jp/articles/8784fb52de7219fb100a6815acd368a5f2a9f4bc
「今年中に侵攻終わらせるため10倍の軍事支援を」 ウクライナ 欧米にさらなる支援訴え

  ロシアによる侵攻が続く中、ウクライナの高官は欧米からの軍事支援について「十分ではない」とし、「侵攻を終わらせるためには10倍必要だ」と訴えました。

  建物内で爆発が起こり煙が上がります。これは22日に公開されたもので、激戦となっている東部バフムトでウクライナ軍がロシア側の陣地を攻撃したとする映像です。また、別の映像では、ウクライナ軍の兵士がバフムトを歩く様子が映っています。
  一方、ロシア国防省は、バフムト西部の3つの地区を解放したと発表していて、両者の攻防が続いているとみられます。 このほか、北東部や南部などでもロシア軍側による攻撃が報告される中、ウクライナの外務次官は欧米からの軍事支援について感謝を述べつつも、「十分ではない」と指摘。 「今年中にロシアの侵攻を終わらせるためには10倍必要だ」として、さらなる武器の供与を訴えました。
TBSテレビ


2023.04.20-産経新聞-https://www.sankei.com/article/20230420-TX7LAAHOKRPQDKIPA33ZSM3XTY/
パトリオットがウクライナ到着 防空能力向上に期待

  ロシアの侵略を受けるウクライナのレズニコフ国防相は19日、米欧諸国が供与を表明していた米国製の地対空ミサイルシステム「パトリオット」がウクライナに到着したとツイッターで明らかにした。同氏はウクライナの防空部隊が既にパトリオットの運用法を習得しているとし、「わが国の美しい空がより安全になった」と表明。ドイツ製防空システム「IRIS-T」も新たに到着したとした。

  パトリオットはこれまでに米国とドイツ、オランダが供与を表明。露軍のミサイル攻撃に対するウクライナの防空能力の向上が期待されている。レズニコフ氏は、今回到着したパトリオットの数や、供与した国については言及しなかった。
  一方、ウクライナ空軍は19日、東部ドニエプロペトロフスク州などに対し、露軍が同日夜、少なくとも11機の自爆型ドローン(無人機)による攻撃を試みたものの、10機を撃墜したと発表した。ウクライナメディアが伝えた。露軍は最近、大規模ミサイル攻撃の頻度を減らす一方、イラン製とされる自爆ドローンによる攻撃を継続。露軍は枯渇しつつあるとされる高精度ミサイルの温存を図っているとする観測が出ている。
  前線の戦況を巡り、ウクライナ軍参謀本部は19日、最激戦地である東部ドネツク州のバフムト市内やリマン方面で激しい戦闘が続いていると発表した。一方、ウクライナのゼレンスキー大統領は19日、露同盟国ベラルーシとの国境地域を視察した。


2023.04.10-産経新聞-https://www.sankei.com/article/20230410-676C5UFGLFI5PH4744YXJC5AQQ/
露連れ去りの子供31人 「半年ぶりにお母さんと会えた」民間団体が救出

  ロシアがウクライナ侵攻後に占領地から連れ去った子どもの救出活動を行っている民間団体が、新たに31人を帰還させることに成功した。

  母親と再会した13歳のダーシャさんは「とても幸せだ。半年ぶりにお母さんに会えた」と語った。
  一方ロシア側は、子供たちは安全のために移動させただけだとしている。(映像 ロイター)


2023.03.29-CNN co.jp-https://www.cnn.co.jp/world/35201899.html
ゼレンスキー氏、習近平氏をウクライナに招待

  (CNN) ウクライナのゼレンスキー大統領が中国の習近平(シーチンピン)国家主席を、ウクライナへ正式に招いた。AP通信が29日に報じたインタビューで語った。

  ゼレンスキー氏はこの中で、「私たちはここで習氏と会う用意がある。会談を希望する」と語った。「全面戦争」以前は同氏と接触があったものの、この1年以上は連絡を取っていないと述べた。
  習氏はロシアのプーチン大統領と近い関係にあり、ロシアがウクライナ侵攻を始めてからさらに経済的、政治的なつながりを深めてきた。習氏が今月ロシアを公式訪問し、両首脳は幅広い連携を確認したが、ウクライナ侵攻をめぐる突破口は開けていない
  ゼレンスキー氏はインタビューの中で、東部バフムートで続くロシアとの激戦にも言及。ウクライナが負ければ、プーチン氏は欧米や国内、中国、イランに勝利を売り込み、さらに攻勢を強めるだろうと危機感を示した


2023.03.28-CNN co.jp-https://www.cnn.co.jp/world/35201781.html
欧米供与の戦車・装甲車、第1陣がウクライナに到着

  (CNN) ウクライナのレズニコウ国防相は27日、英国の主力戦車や欧米諸国の装甲車の第1陣を受け取ったと明らかにした。
  レズニコウ氏はフェイスブックへの投稿で、空挺(くうてい)部隊の司令官らとともに、機甲部隊に新たに加わった兵器の試験を行う栄誉を得たと報告した。

  レズニコウ氏によれば、英国から主力戦車「チャレンジャー」を受け取ったほか、米国からは装甲車の「ストライカー」と「クーガー」、ドイツからは歩兵戦闘車「マルダー」の供与を受けた。レズニコウ氏は各国からの支援の継続に謝意を示した。
  ドイツのショルツ首相は、主力戦車「レオパルト2」をウクライナに引き渡したことを明らかにした。ショルツ氏は27日、ロッテルダムで行われたオランダのルッテ首相との共同記者会見で、発表通りにレオパルトを引き渡したと述べた。ドイツは先に、ウクライナに対して18両のレオパルトを供与すると明らかにしていた。レオパルトは高い機動性や燃費の良さで知られる。数カ月にわたる協議の後、レオパルト2がウクライナに到着した。ドイツは、米国が主力戦車「エイブラムス」をウクライナに送るのを待っているとして、レオパルトのウクライナへの供与を決断せずにいた


2023.03.26-CNN co jp-https://www.cnn.co.jp/world/35201730.html
ロシア軍のバフムート攻撃が大きく停滞、極度に消耗か 英分析

  (CNN) 英国防省は25日、ウクライナ戦況の焦点ともなっている同国東部ドネツク州バフムート市での激戦に触れ、ロシア軍の攻撃は大幅に停滞しているとの分析結果を示した。

  声明で「ロシア軍が被っている極度の消耗が主要な要因の可能性がある」とした。同時に、ウクライナ軍も防御戦で大きな損失を受けたとも述べた。ロシア軍は作戦の重心をバフムートの近くに位置するアウディイウカへ移したとも見立てた。アウディイウカは、ウクライナ政府当局者が以前、第2のバフムートになりかねないと警戒していた場所となっている。
  ロシア軍のこれら動向について英国防省は、「今年1月以降に仕掛けた総攻撃で決定的な戦果を確保できなかったことからより防御的な作戦に全般的に戻ったことをうかがわせる」と説明した。
  ウクライナ軍首脳の1人は最近、バフムートでロシア軍の戦力は衰退したと主張。自国軍の反攻の時期も「間近」と述べていた。バフムートでウクライナ軍は一時、敗北の瀬戸際まで追い詰められたともされたが、反攻で形勢を覆せるとの見方もある。
  一方、赤十字国際委員会(ICRC)は24日、バフムート市とその周辺地域には推定で約1万人の民間人が残っており、「生存の環境は極限状態にある」との苦境を報告した。
  同市で最近、救援活動を実施したICRC要員は記者会見で、住民らは激しい砲撃にさらされる避難場所にほぼ終日閉じ込められている状態にあると証言した。


2023.03.24-NHK NEWS WEB-https://www3.nhk.or.jp/news/html/20230324/k10014017801000.html
スロバキア “4機のミグ29戦闘機をウクライナへ引き渡した”

  ウクライナのゼレンスキー大統領東部の激戦地に続き、南部ヘルソン州も視察に訪れ、徹底抗戦する姿勢を強調しています。また、隣国スロバキアがウクライナへ戦闘機を引き渡したと明らかにし、今後、ウクライナ側の反転攻勢につながるか注目されます。

  ウクライナ大統領府は23日、ゼレンスキー大統領が南部ヘルソン州を訪問し、ロシア側から奪還した地域で攻撃を受けていた電力施設の復旧状況などを視察したと発表しました。
  ゼレンスキー大統領は22日には東部ドネツク州のウクライナ大統領府は23日、ゼレンスキー大統領が南部ヘルソン州を訪問し、ロシア側から奪還した地域で攻撃を受けていた電力施設の復旧状況などを視察したと発表しました。
  ゼレンスキー大統領は22日には東部ドネツク州の激戦地、バフムトを訪れたことを明らかにするなど各地を相次いで視察し、ロシアの軍事侵攻に徹底抗戦する姿勢を強調しています。こうしたなか、スロバキアのナジ国防相は、23日、ウクライナへ4機の旧ソビエト製のミグ29戦闘機を引き渡したと明らかにしました。
  ミグ29を巡っては、今月、隣国のポーランドとスロバキアがウクライナに供与する方針を相次いで表明し、欧米メディアは、NATO=北大西洋条約機構の加盟国として戦闘機の供与は初めてとなると伝えていました。スロバキアが供与するミグ29は13機で残りの9機も今後引き渡すということで、ウクライナ側の反転攻勢につながるか注目されます。
  一方、ウクライナへの戦闘機の供与を巡っては、ロシア大統領府は、「紛争への直接的な関与のレベルを上げる、新たな事例となる」と反発しています。また、ロシアの安全保障会議のメドベージェフ副議長が23日軍需産業の関係者を集めた会議を開きました。
  このなかで、第2次世界大戦中に当時のソビエトの指導者スターリンが軍需工場に対して兵器の製造が遅れた場合は処罰すると警告したということばを紹介し、兵器の製造を速やかに進めるよう強く促しました。激戦地、バフムトを訪れたことを明らかにするなど各地を相次いで視察し、ロシアの軍事侵攻に徹底抗戦する姿勢を強調しています。


2023.03.13-朝日新聞-https://www.asahi.com/articles/ASR3F2198R3FUHBI001.html
射殺されたウクライナ兵に「英雄」の称号贈る ゼレンスキー氏が表明

  ウクライナのゼレンスキー大統領は12日、演説動画をSNSで公開し、自軍兵士のオレクサンドル・マツィエフスキーさんに「ウクライナの英雄」の称号を贈ると表明した。マツィエフスキーさんはロシア軍の捕虜となり、処刑されたとみられている。

  SNSでは数日前から、武器を持たない兵士がたばこを吸いながら「ウクライナに栄光を」とつぶやき、その直後に射殺される動画が出回っていた。ウクライナ当局は「捕虜の扱いを定めた国際法に違反する」と非難していた。
  ウクライナのメディア「キーウ・インディペンデント」によると、この兵士は当初、別の人物だと取りざたされたが、同国の情報機関が12日、マツィエフスキーさんだと特定。北部チェルニヒウの部隊に所属した狙撃手だという。


2023.03.09-産経新聞-https://www.sankei.com/article/20230309-5FOTSU2SV5PIZDZEXTXLKVO574/
露軍、ウクライナ全土にミサイル攻撃 2月中旬以来 11人死亡

  ロシア軍は9日、ウクライナ全土をミサイルで攻撃するなどし、米CNNテレビによると少なくとも民間人11人が死亡した。2月中旬以来の大規模なミサイル攻撃で、ウクライナのゼレンスキー大統領は「ロシアは行為の責任を免れることはできない」と非難した。

  ウクライナメディアによると、飛来したミサイルは計81発。ウクライナ側は34発を撃ち落とした6発は極超音速ミサイル「キンジャル」で、同ミサイルがこれほど同日に使われた前例はないともしている。
  西部リビウ州では集合住宅に着弾し、民間人5人が死亡。東部ドニエプロペトロフスク州でも1人が死亡した。南部ヘルソン州では露軍の砲撃で3人が犠牲になった。各地で停電も相次ぎ、原子力企業エネルゴアトムによると、南部のザポロジエ原発は外部電源が一時切断され、非常用ディーゼル発電機を稼働させた。
  露国防省は9日、ミサイル攻撃について、露西部ブリャンスク州にウクライナの「妨害工作部隊」が侵入し攻撃したことへの「大規模な報復攻撃だ」とした。
  一方、激戦が続く東部ドネツク州バフムトを巡っては、露軍側で参戦する民間軍事会社「ワグネル」トップのプリゴジン氏が8日、「バフムト東部を完全に制圧した」と交流サイト(SNS)で主張した。北大西洋条約機構(NATO)のストルテンベルグ事務総長は同日、バフムトが「数日以内に陥落する事態も排除できない」と語った。
  露軍は交通の要衝であるバフムトを制圧し、ドネツク州中心部方面への進出路を確保したい考え。米シンクタンク「戦争研究所」は7日、ウクライナ軍はバフムトの後方に防衛線を築いており、露軍がバフムトを陥落しても、さらに前進できる保証はないとの分析を明らかにした。


2023.03.08-JB press-https://jbpress.ismedia.jp/articles/-/74236
ロシア軍バフムート攻勢は大敗北の予兆、クリミア奪還許す可能性大
(迫力の欧米戦車とロシア戦車の直接対決、戦法を詳解)
(1)
  2023年1~2月、米欧がウクライナに、戦車や歩兵戦闘車などを供与することを決定した。そして、2月下旬から国境を越えて続々と運び込まれている4月の初めには、米欧の戦車とロシアの戦車が激突することになる

  これからの戦いでは、米欧の兵器の技術レベルの差を映像で見ることになるだろう。現在、ウクライナ東部のバフムートで、激しい戦闘が続いている。日々、このニュースであふれている。
  この地が、戦いの焦点であるかのようなメディア報道である。しかし、戦いの焦点となる地域は、ザポリージャ、へルソンからクリミア半島での戦闘になるはずだ。今のところ、この地での戦闘の情報は極めて少ない。私は、その情報の少なさに不気味さを感じている。
  ウクライナ軍としては、ドニエプル川からクリミア半島におけるロシア軍防御部隊を撃破することは容易ではない。では、ウクライナ軍はロシア軍の防御組織をどのように破壊しながら攻撃するのか。
  今回は、ドニエプル川からクリミア半島までの範囲の戦闘の一場面である戦闘戦術を考察する。
(2)
1.クリミア半島奪還作戦
  クリミア半島は、ウクライナやロシア両国にとって黒海から地中海に通じる交通路を制する重要地点になっている 両国とも自国領にしたいという強い思いがある。
  ウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領は、2022年8月24日の独立記念日を前に、2014年に併合されたクリミア半島からロシアを排除するとの決意を示した。また、2月26日には「クリミアの解放により、人々の生活を破滅させるロシアのあらゆる試みに終止符を打つ」と述べた。
  このように、南部クリミアの奪還を目指す考えをことあるごとに強調している。米国の立場はどうか。
  米国国務次官が2023年2月クリミア半島について最低限でも非軍事化する必要があるとの見解を示し、クリミアの軍事目標に対するウクライナの攻撃を米国は支持すると表明した。米国は、ウクライナによるクリミア半島奪還作戦に正当性を示したのだ。
  ウクライナ軍のこれからの反撃に対して、より多くの国家および国際機関の協力を得ようというものだ。
  ロシアにとっては、ドンバス地域とクリミア半島の確保は、必ず達成したい目標だ。そして、クリミア半島は死守したいと考えている。
(3)
2.バフムートは反撃準備の戦い
  今、バフムートを含む東部の戦線で両軍が熾烈な戦いを行っている。ウクライナ軍は、劣勢ではあるが、この正面に戦力を増強することなく持ち堪えている。
  ロシア軍は、バフムートを含む東部の戦線で、南部の戦力の一部までも投入して、遮二無二に攻撃して多くの人的損害を出している。南部の正面では、クリミア半島を守り抜くことが絶対的目標であるため、ドニエプル川東岸(南岸)からクリミア半島の付け根、およびクリミア半島での防御を周到に準備している。
  ここでは、もともとドニエプル川の河川を使った自然障害、戦車の突進を止める「竜の歯(Dragon's teeth)」と呼ばれる対戦車障害を設置し、深さ1メートル以上の対戦車壕を掘っている。
  ロシア軍部隊の陣地には、兵士・戦車・装甲車・火砲・指揮所・弾薬などの兵站物資のための壕を設置している。ウクライナ軍がドニエプル川を越えて攻撃前進してくれば、障害の前に火砲・多連装砲・戦車・ミサイルの火力(弾丸、ロケット、ミサイル)を、短時間に集中的に撃ち込むことを準備している。このような防御戦闘の要領は、旧ソ連から受け継がれている。
  ウクライナ軍は、東部のバフムートなどに戦力を増強しないで、押され気味ながら長期間戦っている。ウクライナ軍にとって、敵に攻撃させて長期間戦うことの方が戦略的に見て有利な場合がある。
  そこには、3つの狙いがある。
  (1)米欧から供与される機甲戦力がウクライナ軍に届き使えるようになるまでの時間を稼ぐこと。
  (2)ウクライナ軍の最小限の戦力でロシア軍戦力をなるべく多く消耗させること。
  (3)反撃のために必要なロシア地上軍の配備を詳細に調べることだ。
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(1)ウクライナ軍の時間稼ぎについて
  今、米国から「M1エイブラムス」戦車、歩兵戦闘車、ドイツなどNATO(北大西洋条約機構)加盟国からはドイツ製「レオパルト2」戦車および様々な装甲車両などが、ドイツ、ポーランドを通過して、続々とウクライナに入っている。
  ウクライナ軍はへルソン奪還後、クリミア半島奪還のために準備を進めているのだ。
(2)ロシア軍戦力の漸減
  ウクライナ軍は、反撃に先立ってロシア軍地上軍をなるべく多く壕から誘い出して、兵や兵器を破壊しておきたい。ロシア軍の無謀な攻撃は、ウクライナ軍にとっては極めて好都合のものだ。
  また、戦力的に見るとロシア軍は東部の戦闘を有利に進めるために、2022年、へルソン撤退後の11月に、南部戦力の一部を引き抜いて東部に転用させた。ロシア軍の南部防衛戦力は、少なくなっている。
  ウクライナ軍は、ロシア軍の南部防衛部隊の戦力をなるべく多く撃破しておきたいために、へルソン奪還後も南部部隊の弾薬庫や陣地に対して砲撃を継続している。
JBpress『「今だ」と塹壕からおびき出されるロシア軍、全滅の危機迫る』(2023.2.21)を参照
(3)ロシア地上軍の配備を詳細に情報収集
  地形と各種情報から分析すると、ロシア軍はドニエプル川からクリミア半島の付け根までに、ドニエプル川を利用した防御ライン、クリミア半島入り口の湖沼を利用した防御ラインなど、クリミア半島内には何線かの防御ラインがあるようだ。
  米国は偵察衛星を使って、ロシア地上軍の詳細な防御位置を把握し、ウクライナ軍に提供しているに違いない。
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3.ロシアの防御陣地を突破する戦闘戦術
  ロシア軍南部の防御陣地に楔を打ち込み、突破して、さらに進撃していくためにはウクライナ軍はどう戦うのか。ウクライナ軍は、米欧諸国から、600両を超える戦車や歩兵戦闘車などが供与されている。
  これら大量に供与された戦車や歩兵戦闘車で突進すれば、ロシア軍の防御陣地を破砕することができるのだろうか。実は、地上戦闘はそう単純ではない
  塹壕を掘って守るロシア軍の防御を突破していくには、戦力、戦いの原則および巧妙な戦闘戦術が必要である。また、地上軍の各種兵器を統合運用することによって達成できるものである。攻撃の場合、ロシア軍がそうであったように、失敗すれば多くの損害を受けることになる。攻撃こそ周到な準備が必要なのだ。
  ウクライナ軍の戦闘戦術を、(1)ロシア軍防御戦闘の仕組み、(2)ロシア軍のキルゾーン戦法、(3)ウクライナ軍の障害処理、(4)ウクライナ軍機動打撃部隊の突進の順で詳細に解説する。
(1)ウクライナ軍機動部隊の進撃を止める防御陣地の仕組み
  ロシア地上軍の防御陣地の前には、ドニエプル川の自然障害がある。また、人工障害として竜の歯という名のコンクリート製ブロック障害や戦車を穴に落とす壕(対戦車壕)を設置している。これらの障害には、対戦車地雷も併せて設置されている。障害で止まった戦車などを破壊するために、射撃設備や地雷が設置されている。
  ウクライナ軍は、ドニエプル川は渡河作戦を実施しなければならない。人工障害の竜の歯ブロックは、処理しなければ、戦車は乗り上げてしまい、キャタピラーが空回りするか、あるいは傾いてしまい動けなくなる。対戦車壕では、深さ1メートルであっても這い出せなくなる
(2)ロシア地上軍のキルゾーン戦法とウクライナ軍の対策
  ロシア軍は、ウクライナ軍が障害処理をするために停止している間に、あらゆる火力を向けて攻撃する。その障害の前で停止するウクライナ軍反撃部隊に対して、戦車砲や火砲の砲弾、対戦車ミサイル、ロケット、弾道ミサイルを短時間に集中的に撃ち込む火力ポケットを準備している。
  この戦法を、キルゾーン戦法とも言う。
  ウクライナ軍の反撃が始まれば、ロシア軍はあらゆる兵器を使用してその反撃を破砕することに専念するだろう。だが、ウクライナ軍は、ロシア軍の兵器をすべて調べ上げているので、HIMARSなどの火器で破壊する。
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(3)ウクライナ軍による障害処理
  ウクライナ軍が、ロシア軍のキルゾーン(火力ポケット)に入っている状況で、障害を事前にどうやって処理するか、また、停止させられた戦車をどのように救出するかが、ウクライナ軍機甲戦力の能力を発揮するために必要なことである。
  素晴らしい性能を有するM1エイブラムスやレオパルト2戦車でも、こられの障害を自ら乗り越えることはできない。事前の障害処理が必要なのだ。
  ウクライナ軍の戦車や装甲車の前面に、ブルドーザーと同じブレードが装着されているものがある。これらの車両で、竜の歯を取り除き、戦車壕を破壊して埋めてしまう。
  この場合、障害処理車は敵の攻撃の的となってしまうので、脅威となる火砲や対戦車ミサイルを事前に破壊しておく必要がある。あるいは、処理中に射撃してくれば、その火器を破壊する。
  処理車が、見えないようにするために、黄燐発煙弾(使用が禁止されていない)を敵の前面に撃ち込むこともする。ロシア軍の陣前の障害をいかに取り除き、損害を少なくしていくかが、その後の機甲戦力の攻撃前進を可能にする。
(4)障害処理に成功し、機動打撃部隊が戦闘展開し前進すれば成功
  ウクライナ軍が障害を処理した後は、米欧から供与された戦車、歩兵戦闘車などが、下車した歩兵とともに、至る所で前進することになる。
  ウクライナ軍の前進を妨害するのは、予備の機動打撃部隊(逆襲部隊)や砲兵射撃、対戦車ミサイルや戦車の射撃だ。抵抗するロシア軍には、予備の機動打撃部隊は、東部方面に転用されたためにクリミア半島には残っていないようだ。また、へルソン奪還から常続的に弾薬庫や砲兵陣地が攻撃され破壊されてきた。
  私の計算では、迫撃砲・榴弾砲・多連装砲を合計した場合でも、投入した火砲等でも、損失が侵攻1年後で約75%であり、残っているのは25%しかない。反撃を阻止する火砲の数は少ない。
  ウクライナ軍の反撃を受け、火砲の射撃を実施しても、ウクライナ軍に発見され、HIMARSなどで破壊されるだろう。
  ロシア軍の防御線は、へルソンとザポリージャからクリミア半島内部までは、3線以上の防御ラインがあるだろうが、第1線防御ラインが破壊された後は、ロシア軍の抵抗は少ないだろう。
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4.ウクライナ軍の反撃の成否
  ウクライナ軍が反撃するための戦力は、米欧から供与されていてほぼ揃いつつある。3月末には完了するようだ。
  ついに、ウクライナの平原で米欧の戦車とロシアの戦車が激突することになった。米欧の戦車等に搭乗して戦うウクライナ軍とロシアの戦車で待ち構える戦いだ。とはいえ、ウクライナ軍が優れていて十分な戦力が持ったからと、その戦力を過信して、ロシア軍と同様に単純な攻撃を実施すれば、失敗する可能性もある。
  成功するかもしれないが、被害も大きなものになる。これまでの戦い方から予測すると、ウクライナ軍は反撃を成功させるために、使える戦力、例えば、戦車部隊、歩兵戦闘車に乗って戦う機械化部隊、砲兵部隊特にHIMARS部隊、自爆型無人機や対戦車兵器を運用する部隊、攻撃ヘリ部隊、空軍戦闘機を総合的に運用するだろう。
  そして、ロシア軍を驚かす攻撃を行うだろう。戦車等からなるウクライナ軍部隊は、空からの攻撃、対戦車ミサイル、戦車障害に弱い。この弱点を、天敵となる兵器が襲う。これを防ぐために、地上軍兵器や空軍戦力などの総合戦力の発揮が必要だ。
  ロシア軍のウクライナ侵攻も、「まさか」と言うほどの予想を超えるものであったが、米欧(NATO)軍の戦車とロシア軍の戦車の激突がこれから起こることも、「本当に現実なのか」と信じられないくらいだ。
  これから、NATO軍の新型の戦車とロシア軍の旧式戦車の戦い、つまり戦車の技術力の差を見ることになる。


2023.03.05-産経新聞-https://www.sankei.com/article/20230305-KG2XDRZSUNJ43ISHJGKIH6OLMM/
ウクライナ軍、バフムト放棄観測を否定 「郊外で戦闘中」

  ロシアによるウクライナ侵略で、ウクライナ軍東部方面部隊のチェレバティ報道官は5日までに、米CNNテレビに、半年間以上にわたって激戦が続いてきた東部ドネツク州バフムト市の戦況について「戦闘の中心はより郊外に移っているが、市はウクライナ軍の支配下にある」と述べ、ウクライナ軍が近く同市を放棄するとの観測を否定した。

  バフムトをめぐっては、露民間軍事会社「ワグネル」トップのプリゴジン氏が3日、「実質的に包囲した」と主張。ウクライナ政府高官は最近、「ウクライナ軍が戦略的撤退を決定する可能性がある」と述べていた
  ロイター通信は4日までに、ウクライナ軍のドローン(無人機)部隊の指揮官が、バフムト市からの「即時撤退を命じられた」と述べる動画を交流サイト(SNS)に投稿したとも伝えた。
  一方、米シンクタンク「戦争研究所」は3日、ウクライナ軍が最近、同市方面の重要な橋2つを破壊したと指摘。ウクライナ軍が市内東部からの撤退を見据え、露軍のさらなる前進を防ぐために橋を破壊した可能性が高いと分析した
  英国防省は4日、ウクライナ軍にとって2つの橋のうち1つは市内外を結ぶ重要な補給路だったと指摘したが、ウクライナのポドリャク大統領府長官顧問は同日、「別の補給路があり、橋の破壊は兵站の喪失を意味しない」と説明。同市を巡る戦闘は今後も続くとの見通しを示した。同国メディアが伝えた。







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ここは、2023年3月~2023年11日のニュースです