ウクライナ-2021年1月~2022年2月



2022.02.28-第一生命経済研究所-https://www.dlri.co.jp/report/macro/182916.html
「SWIFT排除」で一気に状況が怪しさを増すロシア~ロシア経済を取り巻く状況は厳しさを増す
一方、世界経済はデカップリングの様相を強める可能性も~

要旨
  ウクライナ問題は、ロシアのウクライナへの全面侵攻を受けて情勢は急速に悪化している。欧米諸国は対ロ制裁に動くも、当初はロシア経済に決定的な悪影響を与えるものを避けた。しかし、事態の急変を受けて欧米諸国はロシアの一部銀行のSWIFTからの排除とロシア中銀への制裁を決定した。ルーブル安が懸念される一方で中銀は為替介入の原資を抑えられ、輸入物価を通じたインフレ昂進が懸念される。国民のなかに「反プーチン」のマグマがくすぶるなか、国民生活の一段の悪化で状況が厳しくなることも予想される。
  ロシアと欧米諸国の対立激化の背後では、中国は表面的に中立を装う一方、ロシアを事実上支援する動きをみせる。中国はロシアからの輸入拡大による支援に動くことにより、原油の人民元建て決済の拡大に繋がるほか、中国による人民元決済システム(CIPS)が欧米の対ロ制裁の「抜け穴」と化す可能性もある。その意味では中ロが距離を縮めるとともに、世界経済は欧米と中ロとのデカップリングの様相を強める可能性がある。今後は世界全体でも欧米と中ロによるデカップリングの影響が波及することは避けられないであろう。
主張
  ロシア・プーチン政権によるウクライナ東部の親ロ派地域(『自称』ドネツク人民共和国と『自称』ルガンスク人民共和国)の独立承認、ロシア軍に対する同地域での『平和維持活動』を目的とする派兵命令を受けて、昨年末以降悪化が続いたウクライナ問題は急速に深刻化の度合いを増している。
  欧米諸国はロシアによる一連の決定を受けて金融関連を対象に追加経済制裁の実施を決定し、日本もこれに追随してロシアへの経済制裁の発動を決定した
  なお、この時点における欧米及び日本の経済制裁はロシア経済に対して『決定的』な打撃を与える類のものを排除しつつ、事態に応じて一段と厳しい措置に移行する可能性を示したものと捉えられる。
  しかし、結果的にロシアはその後にウクライナへの全面侵攻を開始し、ウクライナ各地の軍事施設を対象とする破壊行為に加え、首都キエフに向けて進撃するなど『政権転覆』を窺う動きをみせるなど事態は一段と悪化した。

  ロシアのこうした強硬姿勢は、EU(欧州連合)諸国がエネルギー資源の4割程度をロシアからの供給に依存しており、経済活動の生殺与奪権を事実上ロシアが握るなど、欧米がロシアに対する経済制裁で『一枚岩』になれないと足元をみていたと考えられる。
  さらに、ロシアがウクライナに対して三方向からの全面侵攻に動いた背景には、NATO(北大西洋条約機構)加盟国でない同国に対して欧米諸国は集団的自衛権が行使出来ないなか、短期的に軍事的優位状態を形成してその後の停戦合意を優位に進めたいとの思惑も影響したと考えられる。
  しかし、ロシアの『蛮行』を受けて、欧米諸国はロシアの一部銀行を対象にSWIFT(国際銀行間通信協会)から排除することで合意したほか、日本もこれに追随する方針を表明しており、対ロ制裁を巡る『伝家の宝刀』に手を掛けた格好である。
  SWIFTは世界で最も安定している国際的な銀行間の送金・決済システムであり、国際的な貿易決済の大宗は同システムを通じて取引されている。
  今回の決定により、ロシアの一部銀行が同システムから排除されることでロシアの企業及び個人による貿易取引のほか、投資及び借入などの資金のやり取りが困難になるほか、ロシアと取引する外国企業も厳しい状況に直面する

  なお、近年のIT(情報技術)の発展を受けてSMS(ソーシャル・メッセージング・サービス)や電子メールなどを通じた他の決済チャネルは存在するものの、その場合も制裁を科していない国の銀行を経由した取引となるなど安全性や信用力の面で問題が多い。
  また、暗号資産を通じた取引についても暗号資産そのものの価格変動リスクや取引コストを巡るリスク、取引所の安全性を巡るリスクなどを勘案すれば安定性に乏しく、SWIFTを完全に代替することは難しい。
  そして、今回の決定ではロシア中央銀行も制裁対象に加えられており、ロシアの外貨準備の規模を勘案すれば短期的には欧米諸国の制裁に持ち応える余力はあるとみられたものの、同行が海外に保有する資産を事実上凍結することを企図したと考えられる。

  欧米諸国による経済制裁の強化を受けて、国際金融市場においては通貨ルーブル相場に対する調整圧力が強まるなか、ロシア中銀は為替介入を通じてルーブル相場の安定を図る動きをみせているが、今後は為替介入の原資である資産凍結によりルーブル相場は急速に不安定化する可能性が高まっている。
  昨年以降の同国ではインフレの昂進を理由に中銀が断続的に利上げを実施するなど物価安定に向けた取り組みを強化してきたものの、足下においては金利高と物価高が共存するなど景気に悪影響を与える懸念が高まっている。
  こうしたなか、国際金融市場でのルーブル相場の大幅調整は輸入物価を大きく押し上げてインフレのさらなる昂進を招くことが懸念されるものの、ロシア中銀は為替介入を封じられており、今後の対応は急速に困難になることは避けられない

  報道によると、ロシア中銀は市場関係者に対して外国籍の顧客によるロシア証券の売却を拒否するよう命じる旨の文書を発している模様であり、事実上の資本規制により徹底抗戦を図る構えとみられる。
  欧米諸国によるロシアのSWIFT排除により大きく状況は変化しつつあると捉えられる。
  プーチン政権を巡っては表面的には安定が保たれているものの、政権に対する支持率は低下しているほか、水面下では反プーチンの動きがくすぶり、ウクライナ侵攻を巡っても反政府デモが発生する動きもみられる。ルーブル相場の急落による物価上昇は国民生活に悪影響を与えることは必至であり、反プーチンのマグマが急速に溜まることも予想される。

  ロシアと欧米諸国の対立が激化している一方、中国は欧米諸国の動きに追随せず、近年は米中摩擦が激化していることも追い風にロシアとの関係強化を図ってきたこともあり、当初はロシアに配慮をみせつつ表面的には『中立』を装う動きをみせてきた。
  しかし、ロシアによるウクライナへの全面侵攻に対して、中国は事実上ロシアを支持する姿勢をみせているほか、欧米諸国のロシアを対象とする経済制裁を巡ってはロシアを支援する動きをみせている。
  事態が悪化する前の今月初めに実施された中ロ首脳会談において、両国は、検疫上の理由を根拠に中国政府がロシア産小麦の輸入の地域を限定してきたものの、輸入拡大に向けて規制を解除することで合意したほか、原油及び天然ガスの供給拡大に加え、両国間の貿易決済について自国通貨(人民元及びルーブル)を拡大することで合意しており、これらの履行は事実上ロシアを支援する格好となる。

  ただし、ロシアの輸出に占める中国向け比率は13.8%(2021年)である一方、欧米諸国や日本による経済制裁の影響でEU向け(38.3%)や米国向け(3.6%)、日本向け(2.2%)などに下押し圧力が掛かるなかで、その縮小をすべてカバー出来るとは見込みにくい。
  また、ロシアの輸出の約8割を占める原油や天然ガスをはじめとする鉱物資源は国際的に米ドルで決済されているものの、今回のSWIFT排除による米ドル取引が事実上困難になり、米ドルなどハードカレンシーの調達は急速に厳しくなることは避けられない
  他方、中国は2018年に上海先物取引所で人民元建ての原油先物取引を開始しているほか、昨年には人民元建ての原油オプション取引も開始されるなど、人民元による国際原油取引を拡大させる取り組みを進めてきた

  よって、ロシアのSWIFT排除によりロシアと中国の間の原油取引が拡大すれば、原油取引に占める人民元の存在感が高まる『副作用』が生まれる可能性がある。
  また、中国では中国人民銀行(中銀)が2015年に人民元建ての国際銀行間決済システム(CIPS)を導入しており、中国や欧米の大手金融機関のほか、日本の金融機関の現地法人が接続しているが、ロシアはSWIFTの代わりにCIPSを活用する『抜け穴』を活用することも想定される
  その意味では、ロシアは様々な面で中国と距離を縮めることが予想される一方、欧米諸国との間の分断(デカップリング)の動きが一段と広がっていくことも考えられる。
  ここ数年、世界においては中国の『一帯一路』政策を追い風に中国経済への依存を強める国が広がりをみせているが、ウクライナ問題は『欧米』と『中ロ』のデカップリングのきっかけになるとともに、各国は今後『踏み絵』を迫られる流れが広がっていく可能性もあろう。


2022.02.28-JIJI COM.-https://www.jiji.com/jc/article?k=2022022800885&g=int
ロシアとウクライナが停戦交渉 「非武装化」歩み寄り困難―交戦は止まらず

  【モスクワ、イスタンブール時事】ロシア軍によるウクライナ侵攻で、両国の停戦交渉が28日午後(日本時間同日夜)、ウクライナとの国境に近いベラルーシ南東部ゴメリ州で始まった。ただ、ロシアのプーチン大統領は核戦力に言及して威嚇するなど強硬姿勢を崩しておらず、交渉の行方は予断を許さない。

  ロシアの代表団はメジンスキー大統領補佐官がトップを務め、外務省と国防省の高官らが参加。ウクライナ側はレズニコフ国防相らが出席した。
  プーチン氏は24日の演説で、侵攻の目的として、ウクライナの「非武装化」を挙げた。ロシアは事実上の降伏を求めているとみられるが、ウクライナは「われわれは降伏しないし、領土を諦めない」(クレバ外相)との立場だ。インタファクス通信によると、ロシア代表団は「ウクライナとの合意は双方に利益がなければならない」と述べたが、歩み寄りの兆しは見えない。
  タス通信によると、ロシア国防省は28日、「ウクライナ全土の制空権を掌握した」と訴える一方、ウクライナ南東部ベルジャンスクを制圧したと主張した。さらに「キエフの幹線道路を通じて市民は避難できる」と述べ、交戦が続く可能性が高いことを示唆した。


2022.02.27-朝日新聞-https://www.asahi.com/articles/ASQ2V26MKQ2VUHBI00R.html
【速報中】ロシア軍、キエフ中心部に侵入か 子ども含む198人犠牲

  ロシアが隣国のウクライナに侵攻し、両軍の間で激しい戦闘が続いていますロシア軍は東部と北部、南部の国境の3方向から侵攻し、チェルノブイリ原発を掌握するなどしながら、ウクライナの首都キエフに迫っています。欧米や日本などは制裁を拡大し、ロシアのプーチン大統領への圧力を強めようとしています。混迷の度合いが増すウクライナ情勢の最新状況をタイムラインでお知らせします。


2022.02.26-毎日新聞-https://mainichi.jp/articles/20220226/k00/00m/030/240000c
ロシア報道官「ウクライナが停戦交渉を拒否」 首都キエフへ攻勢強化
【前谷宏(モスクワ)、鈴木一生(ワシントン)、金子淳】

  ウクライナへの侵攻を続けるロシア軍は26日、首都キエフへの攻撃を強めた。市内各地で銃撃や砲撃の音が響き、ロイター通信によると、政府庁舎付近でも銃声が響いた。ウクライナ軍は徹底抗戦の構えで、首都を巡る攻防が激化している。
  ロイター通信によると、ウクライナ当局はキエフ市内の路上で戦闘が起きているとして、市民に地下シェルターへの避難を呼びかけた。露軍によるミサイル攻撃も報じられている。キエフ中心部近くの高層アパートに着弾し、一部を損壊した。タス通信によると、露国防省は「ウクライナ軍の対空ミサイル」が着弾したと主張した。

  タスによると、ロシアのペスコフ大統領報道官は26日、停戦に向けたウクライナ政府との交渉の動きが出ていた25日午後にプーチン大統領が一時、部隊の動きを止める命令を出したと明らかにした。ペスコフ氏は「ウクライナが交渉を拒否したので、26日午後に部隊は作戦計画に沿った活動を再開した」と述べた。
  交渉は25日にウクライナのゼレンスキー大統領が呼びかけ、露側が求めるウクライナの「中立化」について「話すことを恐れていない」と表明。ラブロフ露外相は「ウクライナ軍が抵抗をやめ武器を置くなら、いつでも交渉の用意はある」と事実上の降伏を求めていた。
  ウクライナのウニアン通信によると、キエフ北方の郊外には露軍の装甲車約100両が迫っており、攻勢はさらに強まりそうだ。米メディアによると、キエフから南へ約35キロのバシリコフでも激しい戦闘が起きている。

  米メディアによると、米国はゼレンスキー氏に対し、避難支援を準備していると伝えたが、ゼレンスキー氏はキエフにとどまる意思を示しているという。ゼレンスキー氏はネット交流サービス(SNS)などで頻繁に発信して自身がキエフにとどまっていることを強調し、国民の結束を図っている。26日朝(日本時間同日午後)にもキエフ中心部にいる映像を公開し「我々は決して武器を置かない。自分たちの国を守り続ける」と抗戦を呼びかけた。英BBCによると、ウクライナ当局は25日までに市民に銃1万8000丁と爆弾の製造説明書を配布した。

  バイデン米大統領は25日、ゼレンスキー氏と電話協議し、経済、人道、安全保障面での支援の継続を約束した。ブリンケン米国務長官は声明で、ウクライナに対し最大3億5000万ドルの防衛装備品などの緊急軍事支援を行うと明らかにした
  キエフ以外でも戦闘が続いている。米政府によると北東部ハリコフや南部ヘルソンなどで激戦が起き、露軍はヘルソン近くのダムや発電所にサイバー攻撃を交えて占拠を試みた。

  ウクライナ当局は、一連の戦闘に伴い少なくとも子供3人を含む198人が死亡、1115人が負傷したと発表した。避難の動きは加速しており、ポーランド政府高官は、これまでに約10万人がウクライナから逃れてきたと述べた。
  露国防省は、南部メリトポリを占拠したと発表。巡航ミサイルなどによる攻撃も続け、これまでに14の空港を含む821の軍事施設を破壊したとしている。
  ウクライナメディアによると、ウクライナ大統領府は26日朝時点で露軍の死者が約3500人に上るとの見方を示した。約200人を捕虜にしたという。キエフ郊外では露軍の空挺(くうてい)部隊を乗せた大型輸送機を撃墜したとしている。
  露国防省はウクライナ軍のミサイル防衛(MD)システムを無力化したと発表しているが、米政府高官は25日、「MDシステムは機能しており、すべての制空権がロシア側に奪われたわけではない」と反論。キエフ侵攻が「当初の計画通りには進んでいない」と指摘した。
  プーチン露大統領は25日の安全保障会議で、ウクライナの現政権を「薬物中毒者やネオナチ」と非難し、ウクライナ軍に「権力を奪取してほしい」とクーデターを呼びかけた。前線の膠着(こうちゃく)状況にいら立ちを示した可能性がある。

  米政府はウクライナ侵攻の狙いについて、首都キエフを制圧してゼレンスキー政権を転覆させ、親露派政権を樹立することだとみている。米紙によると、暗殺チームがキエフに潜伏しているとの情報もあるという。
  米政府は、露軍がウクライナ国境周辺に最大で19万人の軍部隊を集結させていたとみている。米政府高官によると、そのうち3分の1程度の戦力が侵攻に投入されているという。
  国連安全保障理事会は25日、ロシアへの非難決議案を採決したが、ロシアの拒否権行使で否決された。
  【前谷宏(モスクワ)、鈴木一生(ワシントン)、金子淳】

2022.02.26-産経新聞-https://www.sankei.com/article/20220226-BVKZ5KZZPBLF3BASEIVUWMO3IU/
露、ウクライナ抵抗で勢い減退か 停戦交渉の調整進む

  【モスクワ=小野田雄一】ロシアによるウクライナ侵攻は25日、ウクライナの首都キエフを含む各都市へのロシア軍の攻撃が続いたウクライナ側が抵抗し、ロシア側に一定の損害を強いているとみられる。ウクライナ沖で日本企業所有の可能性がある貨物船が戦闘に巻き込まれ、損傷したとの情報もある。双方が同日、実施への意欲を表明した停戦交渉に向けた調整も進められている。

  ウクライナ大統領府は25日夜(日本時間26日未明)、「東部ハリコフや北東部スムイ、南部方面で激しい戦闘が続いている」と発表。同国軍高官は25日、ロシア軍の戦車80台やヘリ7機、航空機10機などに損害を与えたと発表した。
  米CNNによると、ゼレンスキー大統領は26日未明のビデオ声明で「敵がキエフに迫っている」とし、「今夜は困難な夜になる」と述べた。キエフ郊外では数回の爆発音が起きた。
  一方、露国防省は25日、東部で部隊が前進したほか、スムイと北部コノトプを包囲したと発表。ウクライナ軍の211施設を無力化したとした。同省はまた、露揚陸部隊が同日夕、戦闘せずに南東部メリトポリに入ったと発表した。
  プーチン氏は同日の政府会議で「ウクライナ軍は『ネオナチ』(ゼレンスキー政権から)権力を奪取すべきだ」と述べた。
  ウクライナメディアによると、キエフには先遣隊とみられるロシア兵が侵入したが撃退された。また、25日までに子供2人を含むウクライナの民間人38人が死亡したとみられるとした。
  米欧はロシアがキエフを陥落させ、ウクライナの体制転覆を狙っているとみている。ただ、ロイター通信によると、米当局者は25日、「ロシア軍は予想以上の抵抗に遭い、進軍速度が下がった」と指摘。ロシアの作戦が想定通りに進んでいない可能性を示した。


2022.02.26-Yahoo!Japanニュース(FNN プライムオンライン)-https://news.yahoo.co.jp/articles/bba510bcfcffb36135b0dcfb06fe76c3f2e34ae6
ロシア侵攻にウクライナ抵抗 首都キエフ陥落阻止の防戦

  ロシア軍がウクライナの首都・キエフに侵攻しているとみられるが、アメリカの国防総省は、当初予想していた以上の抵抗に遭い、首都陥落に向けた勢いが鈍っているとの分析を示した。

  ウクライナ軍も武器を持ち、キエフ市内を移動している様子がみられるほか、ウクライナ国防省はロシア軍の大規模な侵攻を防ぐため、橋を壊すなどして抵抗していると明らかにしている。
  アメリカの国防総省によると、当初予想していた以上のウクライナ軍の抵抗に遭い、首都陥落に向けたロシア軍の勢いが鈍っているとの分析を示した。
  また、国境周辺に集結したロシア軍の3分の1が、ウクライナでの戦闘に参加しているとしたほか、これまでに200発以上のミサイルを発射し、いくつかは住宅地に落ち、被害が出ているという。 首都キエフをめぐる両国の軍の動きは、激しさを増している


2022.02.25-CNN CO JP.-https://www.cnn.co.jp/world/35184045.html
ウクライナ大統領「標的は自分」、ロシアが政府転覆狙っていると当局者

  モスクワ、ウクライナ・キエフ(CNN) ロシアが24日に隣国ウクライナに陸海空からの前例のない攻撃を加え、西側諸国の首脳はロシアを非難しウクライナとの団結を誓う状況となっている。
  ウクライナの閣僚らはロシアが「全面侵攻」してきたと発表。戦闘は欧州での第2次世界大戦や1990年代のユーゴスラビア紛争以来最悪と見られ、世界各地の株価も下落した。攻撃や爆発は首都キエフを含めウクライナ各地で報告され、サイレンが24日の午前、午後とも鳴り響いた。ウクライナの内務次官はCNNに対し、ロシア軍がキエフを取り囲み、侵攻しようとしている様子だと語った。

  ウクライナの当局者は、ロシアがウクライナ首脳部を打倒し、親ロシア派政権の樹立を計画しているとの考えを示す。
  ウクライナのゼレンスキー大統領はビデオメッセージで、敵の破壊工作部隊がキエフに侵入したとの認識を示し、自身がその第1の標的、同氏の家族が第2の標的だと語った。
  ゼレンスキー氏は「彼らは国家元首を倒すことで政治的にウクライナを破壊するのが目的だ」と述べ、自身は政府区画内にとどまっていると述べた。
  ウクライナの民主政治はまだ維持されているが、緊急事態宣言が発令され25日から有効となる。
  ゼレンスキー氏は24日、世界各国の首脳に支援を求める演説を行い、もしウクライナが支援を得られなければ「明日にはあなたの家に戦争がやってくる」と語った。同氏によると、ロシア侵攻以降、暫定数値で兵士137人が死亡、316人が負傷した。
  国家を防衛し、ウクライナ軍および他の軍編成の戦闘や動員準備を維持するため、ゼレンスキー氏は軍動員を命令した。国境警備隊によると、18~60歳の男性市民が出国を禁止された。

  バイデン米大統領はロシアのプーチン大統領が「世界平和を支える核心的な原則を攻撃した」と述べ、「全世界がプーチン氏やクレムリン(ロシア大統領府)がどういう存在か目撃した」と語った。
  バイデン氏は新たな対ロシア制裁を発表。ドルやユーロなどの重要通貨で商取引する能力を制限し、約1兆ドル(約115兆円)の資産を持つロシアの銀行を標的とする。バイデン氏は「プーチン氏がこの戦争を選んだ。彼と彼の国は報いを受けることになるとも語った。

  北大西洋条約機構(NATO)のストルテンベルグ事務総長はウクライナ侵攻を「残忍な戦争行為」と呼び、無数の罪のない命をリスクにさらしたと述べた。
  「我々の大陸での平和は打ち砕かれた。欧州で今、歴史になったと考えていたスケールと形式で戦争が起きている「NATOはロシアのウクライナ侵攻を可能な限り最も強い言葉で非難する。国際法のあからさまな違反であり、独立した平和な主権国家に対する侵略行為だ」とも述べた。
  NATOは東の境界線の陸海空の戦力を増強させると発表した。
ロシアが侵攻の理由を並べる
  プーチン氏はウクライナとの国境地帯に15万人規模の兵を配置し、国際社会にナイフを突きつけてきた
  プーチン氏はこれまでウクライナ侵攻の計画を繰り返し否定したが、24日朝のテレビ演説で、ウクライナ東部ドンバス地方で軍事作戦を実施すると発表。ドンバス地方は21日にロシアが独立を承認した「ドネツク人民共和国」と「ルガンスク人民共和国」の領域を含む。
  プーチン氏は今週早く、軍に「平和維持部隊」としてこの領域に進出するように命じていた。クレムリンのペスコフ報道官は記者団に、ウクライナの「武装解除と非ナチ化」がロシアの軍事行動の目標の一つだと述べた。
  ペスコフ氏は「理想的には、ウクライナが解放され、ナチスやナチス支持の人々や思想が排除されることだ」と話したが、ウクライナの体制変更を意味するのかとの問いには答えなかった。ウクライナを「非ナチ化」するという主張はプーチン氏も何年も繰り返し唱えてきたもので、根拠を欠いている。ゼレンスキー大統領はユダヤ人でもある。
  プーチン氏はウクライナ軍に武器を置いて家に戻るように求めるとともに、起こり得る流血の惨事の責任はウクライナ政府の良心にかかっていると述べた。
  「我々の計画はウクライナの占領ではない。誰にも我々を押し付ける計画はない」としつつ、「我々を邪魔しようとする者、我が国に脅威を生み出そうとする者はなおのこと、ロシアの対応が即座に、あなたがたの歴史で経験したことがないような結果をあなたにもたらすことを知ることになる」と述べ、ウクライナ側に立って介入しようとする者を脅した。


2022.02.25-産経新聞-https://www.sankei.com/article/20220225-JHGK77BBTZPZTKBF6KMPY74P5M/
露部隊がキエフ侵入 ウクライナ大統領は交渉呼びかけ

  【モスクワ=小野田雄一】ウクライナのメディアによると、同国に侵攻したロシア軍の戦車部隊25日首都キエフ中心部から北西に約30キロのホストメリに到達し、戦闘が起きた露国防省はホストメリ空港を空挺部隊で制圧したと発表した。ウクライナのゼレンスキー大統領は同日、ビデオ声明を発表し、「人的犠牲を止めるため、交渉の席に着こう」とプーチン露大統領に呼びかけた。

  ペスコフ露大統領報道官は、「プーチン大統領はウクライナ側との交渉のために露代表団を(ベラルーシの首都)ミンスクに送る用意があると発表した。
  キエフに迫っている戦車部隊はベラルーシから侵攻した。ウクライナ軍はキエフ侵入を阻止するため近郊の3つの橋を爆破。政府関係者によると、キエフ防衛のための対戦車ミサイルも配備されている。キエフのクリチコ市長は、破壊工作を担うロシアの部隊がすでに市内に入っており、市は「戦時状態」だと述べた

  露国防省はホストメリ空港の制圧でウクライナ側の200人以上を殺害したと発表。南部ドネツク州でウクライナ側が掌握している港湾都市マリウポリでも激しい戦闘が起きている。
  こうした中でゼレンスキー氏はビデオ声明を発表し、プーチン氏にロシア語で交渉を呼びかけた。ロイター通信によると、ウクライナ高官は、ロシアが求めているウクライナの「中立」化を受け入れることも含め、協議する用意があると述べた。
  一方、ウクライナ大統領府高官は24日夜、1986年に爆発事故を起こしたウクライナ北部のチェルノブイリ原発がロシア軍に掌握されたと発表した。ゼレンスキー氏は「これは欧州全体への宣戦布告だ」と非難。国際原子力機関(IAEA)も「重大な懸念」を表明した。

  先進7カ国(G7)は日本時間24日深夜、オンライン形式で首脳会議を開き、ロシアによるウクライナ侵攻を「可能な限り、最も強い言葉で非難する」との声明を出した。侵攻はルールに基づく国際秩序への「深刻な脅威」で、武力による国境変更は正当化できないと強調した。


2022.02.24-JIJI COM-https://www.jiji.com/jc/article?k=2022022400141&g=int
ロシア軍、ウクライナ侵攻 キエフなどで爆発音

  【モスクワ時事】インタファクス通信によると、ロシアのプーチン大統領は24日、ウクライナ東部ドンバス地方での軍事作戦決行を発表した。ウクライナ政権によって虐げられた人々を保護することが作戦の目的で、ウクライナの「非軍事化」を目指すが、領土の占領は計画していないと説明。ウクライナ軍に武器を捨てるよう呼び掛けた。ロシア国民が支持してくれると信じているとも述べた。

  一方、米CNNテレビは米時間23日、ウクライナの首都キエフと北東部ハリコフで爆発音が聞こえたと報じた。
  これに先立ちロシアのペスコフ大統領報道官は23日、ウクライナ東部の親ロシア派武装勢力が「ウクライナ軍の攻撃を撃退するため」の支援をプーチン大統領に要請したと明らかにした。
  ウクライナ東部での政府軍と親ロ派の紛争をめぐり、プーチン氏は21日の大統領令で親ロ派支配地域へのロシア軍派遣を決定。ロシア上院も22日に外国における軍事行動を承認していた。親ロ派の要請を受け、派兵が本格化するとみられる。ロシアによるウクライナ侵攻の脅威が一層強まりそうだ。
  ペスコフ氏は「ドネツク人民共和国」と「ルガンスク人民共和国」の首脳からプーチン氏に宛てて書面で要請があったと説明。親ロ派は「状況の悪化とウクライナ側からの脅威により、住民は家を離れざるを得ず、ロシアへの避難が続いている」と訴えた。「ウクライナ側の行動は戦争を終わらせる気がないことを示している」と主張したという。
  要請の根拠についてペスコフ氏は、ロシアとの間の「友好協力・相互援助条約」を挙げた。モスクワの大統領府で21日にプーチン氏と親ロ派が一緒に署名したばかりの条約だ。「両共和国の首脳は、民間人の犠牲や人道的な惨事を防ぐことを目的として、ロシア大統領にウクライナ軍の攻撃を撃退するための支援を要請している」とペスコフ氏は述べた。


2022:02:24-NHK NEWS WEB-https://www3.nhk.or.jp/news/html/20220224/k10013498941000.html
ウクライナ “ベラルーシ国境付近など ロシア軍の攻撃受ける”

  ウクライナの国境警備局によりますと、24日午前5時ごろ、日本時間の24日正午ごろ、ベラルーシと国境を接するウクライナ北部で、ロシア軍からの攻撃を受けたと明らかにしました。

  ロシア軍は、今月20日までベラルーシ軍とともにベラルーシ国内で演習を続け、終了したあとも部隊を残したままにしていました。また、ウクライナ南部で、ロシアが一方的に併合したクリミア半島からも攻撃を受けているとしています。
外相「ロシア 全面的な侵攻開始」ツイッターに投稿
  また、ウクライナのクレバ外相はツイッターに「ロシアのプーチン大統領はウクライナへの全面的な侵攻を開始した。平和なウクライナの都市が攻撃を受けている。ウクライナは防衛し、勝利するだろう。世界はプーチン大統領を止めなければならない。今こそ行動を起こす時だ」と投稿しました。
“ウクライナ軍がロシア側の飛行機など撃墜”報道
  ロイター通信は、ウクライナ軍がロシア側の飛行機5機とヘリコプター1機をウクライナ東部で撃ち落としたと明らかにしたと伝えました。
  一方、ロシア側はこうした情報を否定していると伝えています。


2022.02.24-毎日新聞-https://mainichi.jp/articles/20220224/k00/00m/030/084000c
ロシア軍、ウクライナで攻撃開始 全面侵攻か 軍事拠点にミサイル

  米メディアによると、ロシア軍は24日、ウクライナ東部で攻撃を開始した。また、ロイター通信は、首都キエフと北東部ハリコフにあるウクライナ軍の軍事拠点がミサイル攻撃を受けたと報じた。

  また、ロイター通信によると、ロシアのインタファクス通信は24日、ロシア軍がウクライナ南部オデッサと東部マリウポリに侵攻したと報じた。
  ウクライナのクレバ外相は24日、ロシアがウクライナに対し「全面的な侵攻を始めた」とツイッターに投稿した。クレバ氏は「平和なウクライナの都市が攻撃を受けている」とし「ウクライナは自衛し、勝利する。世界はプーチン(露大統領)を止めなければならない。今が行動のときだ」と訴えた。


2022.02.24-産経新聞-https://www.sankei.com/article/20220224-2ZVYAAZGKFMJRMBTJFZQ6R3QDQ/
全土に非常事態宣言発令へ ウクライナにサイバー攻撃

  ウクライナの国家安全保障防衛会議幹部は23日、東部ドンバス地域を除く全土に非常事態宣言を発令する方針を明らかにした。期間は30日間で、さらに30日間延長できる。また軍は予備役招集を始めたと明らかにした。ロイター通信が報じた。

  またウクライナ政府や外務省、議会などのウェブサイトが23日、閲覧できなくなった。
  ロシアメディアはウクライナのデジタル担当閣僚の話として、大規模なサイバー攻撃が行われたと伝えた。
  ロイターによると、非常事態宣言では、当局に移動の制限を決める権限が与えられ、地方当局は外出禁止などの導入を決めることができるという。
  幹部は「国を落ち着かせるための予防的手段だ」と述べた。軍は23日、ゼレンスキー大統領の指示を受けて、18~60歳の予備役の招集を始めたとの声明を発表した。従事期間は最大1年。(共同)


2022.02.23-NHK NEWS WEB-https://www3.nhk.or.jp/news/html/20220223/k10013497461000.html
バイデン大統領 “侵攻の始まり” ロシアに金融制裁を科す考え

  緊張が高まるウクライナ情勢をめぐり、アメリカのバイデン大統領は、ロシアがウクライナ東部の親ロシア派が事実上支配する地域の独立を一方的に承認し軍を送る準備を整えていることについて「ロシアによる侵攻の始まりだ」と非難したうえで、金融制裁などの措置で応じる考えを明らかにしました。

  ロシアがウクライナ東部の親ロシア派が事実上支配する地域の独立を一方的に承認し、「平和維持」の名目で軍の部隊を送る準備を整えている事態を受けて、バイデン大統領は22日、ホワイトハウスで演説を行いました。
  この中でロシア側の動きについて「ウクライナへの侵攻の始まりだ」との見方を示し、「明確な国際法違反で正当化することはできない」と強く非難しました。
  そのうえでロシアの大規模な金融機関や政府発行の国債を対象にした金融制裁を科すことを明らかにし、「ロシア政府を西側諸国の金融システムから締め出し、西側から資金を調達できなくする」と述べました。
  さらに「ロシアが事態を悪化させれば制裁をさらに強化する」と述べ、今後のロシア側の軍事行動によってはより厳しい制裁を科すとけん制しました。
  一方でバイデン大統領は「何百万人もの人々が苦しむ最悪のシナリオを回避する時間はまだある。アメリカと同盟国などは、ロシアが真剣であるなら外交的な解決の道を閉ざしていない」と述べ、改めて外交による解決の余地は残されているという立場を示しました。
アメリカの経済制裁 第1弾は政府系銀行など対象
  バイデン政権が発表したロシアに対する第1弾の経済制裁は、ロシアの政府系銀行2社と政府関係者などを対象にしています。
  具体的には、ロシア国内5位の資産を有する「VEB」と軍とつながりの深い国内8位の「プロムスビャジバンク」についてアメリカの企業などとの取り引きを認めないとしています。
  また、欧米の金融市場で、ロシア政府が新たに発行する国債を取り引きできなくなる規制を導入するほか、プーチン政権の主要閣僚を含む関係者とその家族のアメリカ国内の資産を凍結するとしています。
  バイデン大統領は記者会見で今回の制裁のねらいについて「ロシア政府を西側諸国の金融システムから締め出す」と述べました。
  ただ、アメリカ議会で制裁対象にすべきとの指摘が出ている、ロシアの政府系銀行で国内最大の資産を有する「ズベルバンク」などは対象に含まれず、政府高官は今後のロシア側の軍事行動によってはこれらの金融機関も制裁対象にする可能性があると説明しています。
バルト3国への米軍部隊 追加展開明らかに
  緊張が高まるウクライナ情勢を踏まえ、アメリカのバイデン大統領は22日に行った演説で、ウクライナの防衛のための支援を続けるとともに、NATO=北大西洋条約機構に加盟するエストニア、ラトビア、リトアニアのバルト3国にアメリカ軍の部隊を追加で展開すると明らかにしました。
  アメリカ国防総省の高官によりますと、イタリアに駐留するおよそ800人の部隊と、ドイツから戦闘ヘリコプター20機をバルト海周辺の地域に数日中に移動させるということです。
  また、ギリシャから戦闘ヘリコプター12機をウクライナの隣国ポーランドに移動させるほか、ドイツからもF35戦闘機、最大8機をヨーロッパ東部の複数の拠点に移動させるとしています。
  バルト3国などからはウクライナ情勢を受けて自国の安全も脅かされるのではないかと警戒する声が出ていて、先週、ヨーロッパを訪問したアメリカのオースティン国防長官は、ヨーロッパ東部のNATO加盟国の防衛への関与を改めて強調していました。


2022.02.20-JIJI.COM-https://www.jiji.com/jc/article?k=2022021900226&g=int
「プーチン氏決断」と侵攻警告 ウクライナ東部の情勢懸念―首都キエフ攻撃も・米大統領

   【ワシントン時事】バイデン米大統領は18日、ホワイトハウスで記者会見し、ロシアのプーチン大統領がウクライナ侵攻を決定したのかと問われ「現時点で彼は決断したと確信している」と語った。ウクライナの首都キエフも攻撃対象に含まれていると警告し、ウクライナ東部の情勢悪化に強い危機感を表明。対話を続ける姿勢を示す一方、武力衝突への警戒を促した。

   バイデン氏の発言は、これまでのプーチン氏の判断に関する評価から一歩踏み込んだ形だ。ただ、バイデン氏はプーチン氏の決断について「信じるに足る理由がある」と述べたものの、「われわれには特別な情報収集能力がある」と説明しただけで、具体的な根拠は明らかにしなかった。
   発言の背景には、ここ数日間で急速に悪化し続けるウクライナ東部の状況がある。東部ではウクライナ政府軍と親ロシア派武装勢力が、互いに相手側が攻撃を仕掛けてきたと主張し、非難の応酬を続けている。17日には幼稚園が砲撃で被害を受けたほか、18日には親ロ派が実効支配するドネツク中心部で車が爆発。同じく親ロ派の実効支配下にあるルガンスクでは19日未明、ガスパイプラインが爆発したと伝えられた。

   バイデン氏は会見で、親ロ派武装勢力が挑発を試み、ウクライナ政府軍との停戦を定めたミンスク合意に違反していると批判。ウクライナ側が攻撃を仕掛けていると虚偽の主張を行うことで侵攻の口実づくりを図っているとロシアの動きを非難した。


2022.02.19-Yahoo!Japanニュース(産経新聞)-https://news.yahoo.co.jp/articles/15f83f85ff645f6bc312815c9d3da083a0572144?source=rss
国連事務総長、ウクライナ軍事衝突は「壊滅的な被害もたらす」と警告

  【ニューヨーク=平田雄介】国連のグテレス事務総長は18日、ロシアがウクライナ国境付近に大規模兵力を展開している問題に関し、事態が軍事衝突に発展すれば「壊滅的な被害をもたらすと述べ、深い懸念を表明した。

  グテレス氏は「外交に代わる(問題解決の)手段はない」とも強調し、「緊張を緩和するときだ」と呼びかけた。
  グテレス氏は、ドイツ南部ミュンヘンで18日開幕した「ミュンヘン安全保障会議」での演説で、世界情勢は米露と中国による地政学的な対立が拡大しているせいで、東西冷戦の時代よりも「複雑化し、危険になっている」と指摘した。
  また、国連安全保障理事会の常任理事国である米中露の対立で「安保理はしばしば麻痺(まひ)している」と述べ、国家もテロリストのような非国家主体も「やりたいことを罰せられることなく好き勝手にできると信じ込んでいる」と語った。
  グテレス氏は、東西冷戦下では国家指導者が互いにか抱えるリスクを計算し、危機回避のシステムを構築していたが、その多くは「もはや存在しないと述べ、ひとたび事態がエスカレートすれば「制御不能に陥り、計り知れない被害をもたらす」と警告した。 そして、地政学的な対立は「めったに改善されない」としつつも、対立は「管理されなければならない」と訴え、ウクライナ情勢をめぐり17日の安保理で互いを激しく非難した米露を念頭に「緊張をあおる発言」を慎むよう求めた。


2022.02.19-Yahoo!Japanニュース(JIJI COM &AFP BB NEWS)-https://news.yahoo.co.jp/articles/6b98be3980a0825f26384537d7cfa3aa4bb5ef00
親ロ派指導者、「総動員令」発動 ウクライナ東部-【翻訳編集】 AFPBB News

  【AFP=時事】(更新)ウクライナ東部の二つの親ロシア派武装勢力の指導者は19日、国内での紛争への懸念の高まりを受け、「総動員令」を発動したと発表した。

  予備役を招集し、総動員令の署名と発動を発表したのは、ドネツク(Donetsk)州の親ロ派「ドネツク人民共和国」の指導者、デニス・プシーリン(Denis Pushilin)氏と、ルガンスク(Lugansk)州の親ロ派「ルガンスク人民共和国」の指導者、レオニード・パセクニク(Leonid Pasechnik)氏

   欧州安保協力機構(OSCE)の監視団は、ウクライナ東部で政府軍と親ロ派の戦闘が大幅に激化していると報告している。
   プシーリン氏は、ウクライナ政府軍による攻撃を防いでいるが、なおも攻撃が続いていると主張している。
   さらに「皆で力を合わせて悲願の勝利をつかもう」とした上で、ウクライナのドンバス(Donbas)地方とロシア系住民全員を守ると約束した。  ウクライナ政府は、2014年にロシアに併合されたクリミア(Crimea)半島を含め、親ロ派支配地域を武力で奪還する計画はないと繰り返し主張している。
【翻訳編集】 AFPBB News


2022.02.19-REUTERS-https://jp.reuters.com/article/ukraine-crisis-russia-idJPKBN2KN2EQ
米大統領「プーチン氏がウクライナ侵攻決定」、数日中にも開始か

 [モスクワ/キエフ/ドネツク/ワシントン 18日 ロイター] - バイデン米大統領は18日、ロシアのプーチン大統領がウクライナ侵攻を決断したと言明した。米情報機関の情報に言及し、「われわれには確信する十分な根拠がある」と述べた。

  外交の余地はなお残されているものの、ロシアが「数日中にも」侵攻に踏み切るという認識を示した。さらに、ロシアがウクライナの首都キエフを攻撃の標的にするとも確信していると述べた。
  米国防総省の高官は、ウクライナ国境近辺に集結しているロシア軍部隊の40─50%が「攻撃態勢」にあると明らかにした。
  米民間企業のマクサー・テクノロジーズは18日、自社の衛星画像を元に、ベラルーシやクリミア、ウクライナ国境に近いロシア西部の複数の場所で軍事活動が活発化していると指摘した。
  ベラルーシ北西部にヘリコプターが新たに多数配備されている様子や、ウクライナとの国境から約26キロメートルにあるミラーロヴォ飛行場に戦車や人員輸送車、支援機材などが配備されている様子が写っているという。
<住民の大規模避難と自動車爆発>
  ウクライナ東部の親ロシア派支配地域での砲撃が2015年以来の激しさとなる中、同地域の住民が18日、ロシアへの避難を開始した。親ロシア派支配地域の中心地のドネツク市では自動車が爆発する騒ぎなどがあり、ウクライナは反撃を誘発する挑発行為として非難している。
  親ロシア派が実行支配するウクライナ東部の「ドネツク人民共和国」と「ルガンスク人民共和国」の指導者はこの日、住民のロシアへの大規模避難を表明。「ドネツク人民共和国」を率いるデニス・プシーリン氏は根拠を示さず、ウクライナがドネツクとルガンスクに対する攻撃を準備しているとして非難した。
  住民の大規模非難計画が発表された数時間後、ドネツク州の州都ドネツク市の中心部で、政府機関が入る建物のそばで自動車が爆発。親ロシア派当局者は爆発時に車内に誰もいなかったとしており、負傷者は出ていないもよう。ロシアのメディアは、爆発した車両は親ロシア派当局者が所有するものだったと報じている。
  ドネツクとルガンスクの住民の多くはロシア語を話し、多くがすでにロシア市民権を取得。ロシアのプーチン大統領は、住民のロシア国内への避難を調整するために非常事態相をロストフに派遣した。大規模避難計画が発表されてから数時間後に、ドネツクからバス輸送による避難が始まった。親ロシア派当局者は約70万人がロシアに避難するとしている。
  18日夕方時点で、ドネツクでパニックなどの混乱は見られていない。
  またインタファクス通信が18日、現地記者の報告として報じたところによると、ルガンスク人民共和国で、ガスパイプラインの一部が爆発し炎上した。現地の天然ガス供給会社によると、パイプラインは「大規模な爆発」に見舞われたという。
<ウクライナは挑発行為を非難>
  こうした中、ウクライナ国家安全保障・国防会議(NSDC)のオレクシー・ダニーロフ書記は、ロシアがウクライナ東部で挑発行為を行い、ウクライナ軍の反撃を誘発しようとしているとして非難。「ロシアが今日、親ロシア派を通してドネツクとルハンスク地域で実施したことは全て、ウクライナ軍の反応を誘発するための挑発行為だ」と指摘。「ウクライナは武力を行使して領土を開放する命令は出していない」と述べた。
  このほか、ウクライナ国家安全保障局の国防情報部はロシアの特別部隊がドネツクの多数のインフラ施設に爆発物を仕掛けたとの情報を入手したと表明。「(親ロシア派が実行支配する地域の)状況を不安定にし、ウクライナによるテロ行為を非難する根拠を作り出すことを目的としている」と公式ツイッターに投稿した。
  ロシア連邦保安局(FSB)からこの件に関するコメントは得られていない。
<米国は警告>
  米国のブリンケン国務長官はこの日、過去24─48時間にロシアとウクライナの国境近辺で起こっている状況について、ロシアが反応を誘発するために偽の挑発を工作するシナリオの一環であることを確認していると指摘。ミュンヘン安全保障会議で、ウクライナ国境近辺から軍を撤収しているというロシアの主張については「それどころか、侵攻の一端を担う部隊を含め、国境に向かう追加部隊を確認している」と述べた。

  米国はロシアは現在、ウクライナとの国境沿いに16万9000─19万人の軍隊を集結させていると推測。1月末時点の10万人から急増した。米国のカーペンター欧州安保協力機構(OSCE)大使は「第二次次世界対戦以降で最大の軍事動員」としている。
  米国のハリス副大統領は北大西洋条約機構(NATO)のストルテンベルグ事務総長と会談し、ロシアがウクライナに侵攻すれば、制裁という形で「厳しい結果」がもたらされると指摘。「時間単位で」実施されている米国とNATOの関係強化に向けた取り組みは非常に重要だと強調。「ロシアが攻撃的な行動をとれば、これまで協議してきた制裁という観点で確実に厳しい結果がもたらされることにコミットしている」と述べた。
  米ホワイトハウスのサキ報道官はミュンヘン安全保障会議を巡り、ウクライナのゼレンスキー大統領が自国を離れ、出席するかは本人次第と指摘。「どのように決定しようとも、米国はゼレンスキー氏を支持する」と述べた。
<対ロシア制裁準備>
  米国のダリープ・シン国家安全保障担当副補佐官はこの日、ロシアがウクライナに侵攻すれば導入される対ロシア制裁について、同盟国と最終的な調整を行っていると表明。ただ、国際銀行間通信協会(SWIFT)からロシアの銀行を排除する措置は含まれない公算が大きいとの見方を示した。


2022.02.13-JIJI COM-https://www.jiji.com/jc/article?k=2022021200576&g=int
米、在ウクライナ大使館員に退避命令 軍部隊も国外移動

  【ワシントン時事】米国務省は12日、ロシアによる軍事行動の脅威が継続しているとして、在ウクライナ米大使館の大半の職員に退避を命じた。同省高官は記者団に「交戦状態となればできることは限られる」と述べ、現地にいる米国人に直ちに国外退避するよう求めた。

  国務省によると、大使館の領事業務は13日から停止される。ただ、ポーランドに近いウクライナ西部リビウで、パスポートやビザの発給など通常業務は提供しないものの、緊急事態に対応するための領事業務は継続するという。
  また、米国防総省のカービー報道官は12日、オースティン長官がウクライナにいる米兵160人の国外への移動を命じたと発表した。ウクライナ兵の訓練に当たっていた部隊で、国務省の指針に伴い、欧州のいずれかの国に一時的に再配置する。


2022.02.13-プレミアムサービス-https://trafficnews.jp/post/115460
ウクライナ情勢、一気に切迫=米「48時間以内の退避」警告―米ロ首脳が電話会談

   【ワシントン時事】ウクライナ情勢が一気に切迫感を増している。バイデン米大統領は10日夜、ホワイトハウスのシチュエーションルーム(作戦司令室)に安全保障担当の側近らを集め、ロシア側の最新の動きを協議。翌11日にサリバン大統領補佐官(国家安全保障担当)がウクライナ在住米国人に「48時間以内の退避」を呼び掛け、12日には米国務省が在ウクライナ米大使館の職員の大半に退避を命じた。ロシアが来週にも軍事攻撃に踏み切るとの観測も浮上し、原油先物相場は急上昇した。

  12日には、米仏首脳がそれぞれロシアのプーチン大統領と電話で会談バイデン氏は土壇場の交渉で、軍事衝突回避に向けた措置を求めたとみられる。
  「プーチン大統領が軍事攻撃を決断した」。米主要メディアの複数の記者は11日、欧米の政府当局者らの話として「週明けにもウクライナ侵攻が始まる」とツイッターに書き込んだ。

  サリバン氏はその後行われた記者会見で「プーチン氏が最終決断を下したかは分からない」と火消しを図った。ただ「(ロシアは)大規模な軍事行動を実施するのに必要なすべての戦力を整えた」と指摘。情報を得れば得るほど、北京冬季五輪の開催中であっても軍事攻撃を決断する可能性があるという見方が強まっていると警告した。

  また、侵攻は空爆やミサイル攻撃から始まる可能性が高いと分析。民間人に被害が出る恐れがあるとして、ウクライナからの即時退避を求めた。
  バイデン政権はこれまで「外交の余地は残されている」と繰り返してきた。だが、サリバン氏は「ロシアが外交解決の道を探るなら、われわれにはその準備がある」と述べるにとどめ、情勢がより切迫している様子をうかがわせた。


  バイデン氏は10日夜の安保担当高官らとの緊急会合に続き、11日には欧州諸国首脳らとテレビ電話で会談した。米軍も11日に兵士3000人をポーランドに増派する方針を決めており、米国のこうした慌ただしい動きもウクライナ侵攻説を強める要因になっている。
  政治専門紙ポリティコは関係者の話として、バイデン氏が欧州諸国首脳らとの会談で、ロシアが16日にも攻撃を開始するという分析を伝えたと報じた。ただ、欧州の当局者はより懐疑的な見方を示しているという。


2022.02.08-産経新聞-https://www.sankei.com/article/20220208-V3OOCQVSVJIJBIBOYGNRN6Q7TU/
米「ウクライナ侵攻なら独露ガス管終わらせる」 米独首脳が会談

  【ワシントン=大内清】米国のバイデン大統領とドイツのショルツ首相は7日、ホワイトハウスで会談し、ロシアによる侵攻の懸念が強まるウクライナ情勢などを協議した。バイデン氏は会談後の記者会見で、ロシアが侵攻に踏み切った場合、対露制裁の一環として露産天然ガスをドイツに送る海底パイプライン「ノルドストリーム2」は「終わらせる」と述べた

  ショルツ氏はノルドストリーム2について明言を避けつつ、制裁では米国と完全に一致した行動をとる」と述べ、両国の結束を強調した。
  ホワイトハウスによると両首脳は、ウクライナが自国の主権と領土的一体性を守るのを支援することを確認し、ロシアが欧州向けの天然ガス輸出を駆け引きの武器として利用するのを阻止することで一致した。
  会談後の会見でバイデン氏は、外交を通じたウクライナ情勢の緊張緩和を目指す立場に変わりはないとする一方で、ロシアが実際にウクライナへ侵攻すれば「巨大な代償を払うことになる」と警告。エネルギー面で対露依存度が高いドイツが制裁に消極的だとの不満が米国で強まっていることを念頭に、「ドイツは頼りになる同盟国だ」とも語った。


2022.02.06-産経新聞(共同通信)-https://www.sankei.com/article/20220206-KKKZNXXFRBLXJHLY5WE6U4MKXE/
ウクライナ制圧、2日で可能 米分析、ロシア軍増強ほぼ完了

  米当局がロシアによる大規模なウクライナ侵攻の準備がほぼ完了し、首都キエフを2日以内に制圧可能だと分析していることが5日分かった。米紙ワシントン・ポスト(電子版)などが伝えた。最大で5万人の民間人が死傷し、500万人が難民となる恐れがあるという。ロイター通信も、ロシアが侵攻に必要な部隊の7割を配置したと報じた。

  ワシントン・ポストが米軍などの分析として伝えたところでは、2週間前に60だったロシア軍の大隊規模の部隊数が83まで増加した。国境沿いに展開する兵士は10万~13万人に拡大。緊張緩和に向けた外交的解決の窓は閉じかけているように見えると指摘した。(共同)


2022.02.03-Yahoo!Japan(産経新聞)-https://news.yahoo.co.jp/articles/c1b2ee4ebe6004a8bdc6afdf167fc94788b1a0d0
米軍が東欧に増派、ウクライナ周辺国に約3千人

  ワシントン=渡辺浩生】米国防総省は2日、米軍約3千人を東欧を中心とした欧州の同盟国に派遣すると発表した。ロシア軍がウクライナ国境付近に展開を続ける中、同国と国境を接する北大西洋条約機構(NATO)加盟国の抑止力と防衛力を高めるのが狙い。緊迫するウクライナ情勢を受けて東欧への米軍の大規模派兵が決まったのは初めて。

  一方でバイデン政権は交渉による緊張の沈静化を呼びかけており、ロシア側の出方が注目される。
  国防総省によると、数日内に米南部ノースカロライナ州から約1700人をポーランドに、約300人をドイツに派遣する。さらにドイツに駐留する米陸軍部隊から約千人をルーマニアに再配置する。
  米軍ではNATOの即応部隊への合流に備え、米本土の約8500人が待機状態にある。今回決まった派兵は、これとは別に派遣されるもので、今後も情勢に応じて増派する可能性があるという。
  派遣部隊はウクライナ国内での戦闘には関わらないとしている。 国防総省のカービー報道官は2日、増派の理由として「プーチン露大統領は今も(ウクライナ周辺で)部隊や戦闘能力の増強を続けている」と指摘。ウクライナと国境を接するNATOの同盟国を脅威から守るという「強いシグナルをプーチン氏と世界に送ることが重要だ」と述べた。 ウクライナ国境付近には10万人超のロシア軍が展開し、ウクライナの北方と国境を接するベラルーシでも演習を理由に露軍派遣が続いている。地中海や北大西洋でも露海軍の動きが活発化しているとみられる


2022.02.02-産経新聞-https://www.sankei.com/article/20220202-5OTOMPKMJJPX7LXQGEPMXBI53E/
ロシア、ウクライナ停戦合意履行へ圧力 親露派通じ干渉狙う

  【モスクワ=小野田雄一】ロシアによる侵攻が懸念されるウクライナ情勢をめぐり、同国東部で続く紛争の停戦合意がにわかに焦点に上ってきたロシア側は最近、緊張緩和にはウクライナ政府による停戦合意の履行が不可欠との認識を相次いで表明。同国国境付近でロシアが軍備を増強した狙いの一つは、緊張を高めて、露側に有利とされる合意を履行せざるを得ない状況にウクライナを追い込むことだとみられる。

  プーチン露大統領は1月28日、電話会談したフランスのマクロン大統領に、ウクライナ政府が停戦合意を「無条件で履行」することが重要と伝達。ラブロフ露外相も26日、「欧米が合意履行を保証すれば全ての問題は解決する」と述べ、1日のブリンケン米国務長官との電話会談でも合意履行を「米国からウクライナに強制すべきだ」と伝えた。

  2015年に成立した停戦合意は、親露派武装勢力が実効支配するウクライナ東部への高度な自治権付与などを規定する。履行されれば、ロシアは親露派を通じてウクライナ内政への干渉が可能になり、同国が望む北大西洋条約機構(NATO)加盟の阻止にもつながる。このためロシアはかねて合意当事国のフランスとドイツに加え、米国にも合意をウクライナに履行させるよう求めてきた。

  ウクライナ情勢の緊迫化を受け、露仏独とウクライナは1月26日、合意をめぐる高官級協議を約1年ぶりにパリで開催。8時間超に及んだ協議の末、4カ国は近くベルリンで再び協議することで一致した。ロシアは仏独にウクライナ侵攻を危惧させ、合意の履行をウクライナに働きかけさせる思惑とみられている
  さらにネベンジャ露国連大使は31日、合意締結7年を記念する国連安全保障理事会を2月17日に開く予定だと表明。国際社会も巻き込む意図を鮮明にした。
  一方、ウクライナはこうした動きに警戒を強めている。ゼレンスキー政権は前政権下で締結された合意の履行にはもともと慎重で、同国国家安全保障防衛会議のダニロフ書記は1月末、AP通信に対し、停戦合意はロシアの軍事的威圧の下で結ばれたと指摘。「合意履行は国家の破壊につながる。欧米諸国はウクライナに履行を迫るべきではない」と述べた。

  今回のロシアによるウクライナ国境での軍備増強は、昨年10月下旬にウクライナ軍が初めてトルコ製の高性能攻撃ドローン(無人機)を使って親露派支配地域を攻撃した数日後から指摘され始めた。このことは東部紛争の情勢がロシアの行動に影響を与えていることも示唆する。
  ロシアは19年から親露派支配地域の住民に露国籍を付与する政策を進め、昨年12月時点で約72万人が取得した。ロシアがNATO側にウクライナの加盟拒否や同国との軍事協力停止を求める背景の一つには、NATOを後ろ盾にウクライナが親露派地域への攻勢を強め、「自国民を見捨てた」との批判が強まることへの警戒があるとみられる。
  同時にその場合は、さらなるウクライナ介入の口実とする可能性もある。


2022.01.29-産経新聞-https://www.sankei.com/article/20220129-J4JFHWS3EBLCPLOLQZUODUCWXM/
政府、邦人に早期退避呼びかけ ウクライナ情勢

  ロシアによるウクライナ侵攻の懸念が強まっていることを受け、日本政府は在留邦人に対し、商用機による国外退避を呼びかけている。昨年8月にアフガニスタンでイスラム原理主義勢力タリバンが実権を掌握した際は自衛隊機を現地に派遣したが、政府内では「ウクライナ侵攻」シナリオで自衛隊機を派遣するのは難しいとの見方が大勢だ。政府高官は「商用機が飛べなくなっても何とかなると思わないほうがいい」と危機感を強めている。

  政府によると、ウクライナの在留邦人は今月20日時点で約250人。24日にはウクライナの危険情報について、全土を対象に渡航中止を勧告する「レベル3」に引き上げた。林芳正外相は「今後、事態が急変する可能性もある」と繰り返し強調している。
  「このままとどまれば相当リスクがありますよ」政府はウクライナの在留邦人に対し、電話やメールで商用機での国外退避を強く勧めている。本格的な武力行使が行われれば、現地邦人が戦闘に巻き込まれかねないためだ。
  在留邦人約250人のうち商社などの駐在員の国外退避は進んでいるものの、ウクライナ人と結婚するなどして現地に定住する邦人に関しては難航しているのが現状だ。外務省幹部は「われわれの危機感からすると、もう少し退避のスピードが上がってもいいのではないか」と焦りを隠さない。「250人という数字も外務省に届け出ている人の数で、それ以外の邦人も多数いるとみられる。

  ロシアがウクライナ侵攻に踏み切れば商用機の運航は難しくなるが、自衛隊機の派遣も難しい。自衛隊法84条では、輸送は「安全」に実施できることが条件となっているためだ。アフガンの場合は米軍が首都カブールの空港を管理していたため戦闘に巻き込まれる可能性が少なかったが、ウクライナでは空港を含め「戦場」となる恐れがある。

  防衛省幹部は「ウクライナは陸路でも退避できる」と指摘する。ウクライナ西部と国境を接するポーランドやルーマニアなどはNATO加盟国で、米国やフランスは部隊派遣を進めている。ただ、その場合でも国境付近までの輸送手段確保など課題は多い。政府としては商用機で一人でも多くの退避を実現したい考えだ。(杉本康士、市岡豊大)


2022.01.28-NHK NEWS WEB-https://www.nhk.jp/p/nw9/ts/V94JP16WGN/blog/bl/pKzjVzogRK/bp/p4BxpJ7m0v/
緊迫ウクライナ ロシアはどう動く? 安全保障の専門家、小泉悠さんインタビュー

緊迫ウクライナ アメリカからロシアへ回答 ロシア 今後どう動く?
  ウクライナ情勢をめぐり、アメリカのブリンケン国務長官は、ロシアがNATO=北大西洋条約機構をこれ以上拡大させないよう要求していることに対し、応じられない考えを書面で回答したと明らかにしました。
  安全保障に詳しい専門家に、軍事的な緊張はどこまで高まっていると捉えているのか、ロシアが軍事的な行動を起こすとしたらいつと考えられるのか、そして偶発的な衝突がなぜ懸念されるのかなどを聞きました。専門家は「日本はわがことと捉える必要がある」と指摘しました。

Qまずアメリカ側がロシアに書簡を出したタイミング、ロシアの反応は?
  ことしのはじめに、アメリカとロシア、ロシアとNATO、ロシアとOSCE(欧州安全保障協力機構)で連続して協議がありました。このときの反応からある程度推し量れるだろうと思います。
  つまり、このときに、西側の国々が提示したのは、ロシアが出してくる要求のうち、ミサイルの配備制限とか、演習の制限とか、そういうものは応じてもいいよ、でもNATOをこれから拡大しないということについては認められませんよ、というものでした。
  それに対してロシアはなんといったかというと、われわれの提案の中の都合のいい部分だけつまみぐいするんじゃないという風に言うわけですね。われわれのこの提案全体のことを考えろといって非常に強く反発をしたわけです。
  今回もアメリカ側からの反応はそれとそっくり同じで、やっぱり、NATOはこれ以上拡大しないという部分に関しては同意できない、という。でもロシアにとってみればこれが一番核心的な要求であるわけですよね。
  ということは、やはり事実上今回のラブロフ・ブリンケン会談も決裂に終わったという風に考えていいんじゃないかということです。
Qそもそも、NATOにウクライナが入るのを認めないというロシアの要求について、ロシア自身はどう思っているのでしょうか?
  ロシアは、ソ連崩壊後30年、西側と外交をやってきて、こんなこと言ったところで、通らないということは、わかって言ってるんじゃないかという気がするんですね。ですから、どちらかというと、NATOとかアメリカに対する不拡大要求は、政治的牽制球という側面が強いのではないかと。

  他方で、ロシアは、昨年以来ウクライナに対して第二次ミンスク合意を履行しろということを強く圧力をかけているし。今年に入ってからは、ロシア共産党側からもうドネツクとルガンスクの分離地域を国家承認したらどうかという提案も出ているわけですよね。
  国家承認しちゃうということは、ミンスクプロセスが終わるということを意味するわけですから。どうもロシアが本当に圧力をかけたいのは、ドネツクとルガンスクの地位だとか、ウクライナそのものの国家的立ち位置を、軍事的圧力と政治的圧力で強制的に変える、そっちのほうなんじゃないかなという気がしています
Q落としどころ、ロシアはどういう解決策が提示されれば納得すると考えていますか?
  対立が終わるというか、ロシアがもっていきたい形は、おそらく「中立」かつ「中立でロシア寄りのウクライナ」ということだと思うんですよね。
  これをロシアはずっと追求してきたわけなんですけど、結局2014年にロシアが軍事力を行使したから、むしろウクライナはよけいロシアから逃げていこうとするわけです。
  だから、一応NATOには入ってないけど、NATOとは友好国になっている、という状態がずっと続いてきた。これをおそらく終わらせたいんだと思います。ですから、ひとつには、2015年の第二次ミンスク合意を作るときにも、ロシアはこういう話をしていました。ウクライナの憲法を改正させて、ドネツクとルガンスクを特別の地域として憲法で明記すると。ですからウクライナはこれから先もずっと分裂国家であることを認めろということ。

  もうひとつは、第二次ミンスク合意の時にロシアは、追加議定書をつけさせて、この中にウクライナは中立国であるという条項を入れさせたいと考えたわけですね、実現しなかったけど。そういった形でウクライナが法的に、自ら西側にはいきませんと宣言させる。それから国内に分離独立地域、紛争の火種を抱えこみ続けることを許容させる。それを通じてロシアの影響力を行使するってことですね。
  ただ、昨年7月にプーチン大統領が出した論文を見ると、ウクライナが真に主権を回復するためには、ロシアとのパートナーシップを通じてしかないという言い方をしています。だから、もしかするとロシアとしては単にウクライナが中立を宣言するだけでは、不満なのかもしれなくて。
  やっぱり、ロシア主導の政治経済枠組みにウクライナが戻ってくる、そういうところまで要求したいのかもしれません。ただ、今のウクライナの国民感情を考えると、とてもそんなことはちょっと考えにくいので、当面は、少なくとも最低ラインとしては、ウクライナの中立の強要ということなんだろうともいます。
Q「中立」が現実のものになる可能性は?
  ここのところはウクライナ側の政治情勢にもよってくるし、ロシアがどこまでエスカレートするかにもよってくると思います。
  私はウクライナの専門家じゃないので、ウクライナ側がそこを受け入れるかはわからないですが、仮にアメリカとの交渉も決裂した、ウクライナ側がそんなものは受けいれられませんと完全に蹴った場合、ロシアが「じゃあすみません」といって、軍隊をひいて帰って行くというオプションは想像しづらいんですよね。何らかの強制的方法で要求をのませようとするんじゃないか、それがうまくいくかどうかはわからないが、何かの物理的手段に出るんじゃないか、という気がします。

  そのときの方法は、一番単純なのは、いま国境に集まっている十数万人の軍隊を攻め込ませるということですよね。首都キエフとかハリコフとか大都市を一時占拠して、われわれの要求をのまなければ撤退しないぞというようなことをやる。
  あるいは、ロシアは地上部隊だけじゃなくてミサイル部隊や航空部隊も集結させているので、限定的な空爆でやるんじゃないかという説も出ているし。
  それから、2014年,15年のときは現地住民を蜂起させて、そこにロシアが支援を与えるという戦争をしましたよね。そういう形になるかもしれない。あるいは、サイバー攻撃をかけて、国土全体を麻痺状態に陥れるかも。いろいろな方法が考えられるし。
  おそらく実際にはこのうちのいくつかを組み合わせたような方法でウクライナに対して、ウクライナの国家全体を一気に転覆するとか、全土を占領は難しいと思うが、政治的に、なかなか耐えがたいような打撃をあたえて要求をのませる、ということが選択肢の中に入っていると考えざるを得ない。これだけの軍隊を集めてきている。しかもそれが非常に長期的だし、なおかつ、とても明確な政治的要求を伴っているわけですよね。
  まったく何もしないで、あの軍隊が帰って行くというのは想像しにくいなというのが私の今の懸念です。
Qウクライナのこの緊迫状況。これまでクリミア併合とかあったが、どのレベルと考えていますか?
  クリミアのときとかドンバスのときは、いよいよロシアが隣国ウクライナに軍事力行使をしたということで、これは非常に緊迫したわけ。ただ、そのときの軍事力の規模はそこまで大きくなかったわけです。
  そのあとも何回もロシアがウクライナ周辺に集まってきた、ということはあったが、今回集まってきているロシア軍は桁が違う。十数万人集まってきているということは、ロシアの地上兵力の3分の1くらいは集まっているわけです
  昨年12月のワシントン・ポスト紙の見立てだと17万5000人くらい。要するに、今だいたい35万人くらいロシアの地上部隊がいるんですけど、その半分くらい集めて侵攻するのではといわれているわけです。

  ちょっと、こういう事態は訓練でも見たことないし、これだけの兵力を集めて、ロシアが外国に攻めこんだこともない。ハンガリー事件、チェコ事件、アフガニスタン侵攻、ソ連が実際にやった軍事力行使以来の規模の軍事力行使の準備はされている。

  実際にやるかはわからないけど、そういう規模の兵力が集まっていることは外形的に明らかで、私自身、衛星画像を購入して見ているけど、あちこち相当な兵力集結が認められる。しかも今回、今年に入ってからは、極東からも部隊を集めてきて、ベラルーシに展開させている。これらもなかなかかつて、ここまで大規模な兵力移動を極東からヨーロッパまでもっていくというのは、ちょっと見たことがなかったです。
  少なくとも冷戦が終わってからのヨーロッパでは最大の戦争の危機といえるのではと思うし、ロシア自身の軍事力行使から考えてもちょっとこんなことはなかなかなかったと思います。
Qロシアが行動を起こすならいつと考えていますか?
  ロシアの軍事思想って非常に偽装、マスキローフカを重視するわけですよね。だからなかなか、いつくるだろうとみんなが思っても、そこは必ず外そうとするでしょうし。それからもうひとつは、ロシアの軍事思想で特徴的なのは戦争の初期段階は、とても特別な期間だと考える。そこでは普通の戦い方はしない
  あるいは過去の例から予測できなかったような戦い方をする。それによって、できれば戦争初期段階で、敵が戦争遂行能力や意思を砕きたいと考えるわけです

  だからロシアがこの時期にこんなことをするだろうということは予測しがたいのが正直なところだろうと思います。
  ただ、直近のスケジュールを見ると、ベラルーシにロシア軍が展開してきて、合同訓練の第一段階をしている。移動することそのものが目的とされていて、遠いところからベラルーシに展開させている、これ自体が訓練となります。
  二段階が、2月10日から20日にかけて、大規模な戦闘訓練を行いますよと言っているわけですよね。だから、こういう大規模な訓練なんかのどさくさに紛れて、なにか実力行使をするのではないか、とか。
  これもどこまでほんとかわかりませんが、プーチン大統領としては、オリンピックやっている中国の習近平主席の顔をつぶしたくないと配慮しているとか。実際に習近平主席がやらないでくれと頼んだとかいろんな説が乱れて飛んでいますよね。もし中ロの首脳にとって、そんなにオリンピックが大事なら、もしかするとオリンピックの終了後まで待つのかもしれない。
  そうするとちょうど、オリンピックの閉会式が2月20日で、ロシア軍の演習終わるのが2月20日ですから、そのへんのタイミングで演習から帰るとみせかけて侵入するとか。何か別の方法で介入をしかける、そういうことも考えられると思います
Qバイデン大統領も、偶発的な小規模衝突ありえるといっていたが、突発的なことが前線で起きるのは考えられますか?
  偶発事態なんで事前にどうこういいにくいですが、ただ、先ほども言った通り、かつてない規模の軍事力が集まっているわけですよね。ロシア軍自身もこんなにたくさん兵隊集めたことないはずなんですよ。
  ウクライナ軍も守りを固めているので、軍事力と軍事力が集まっているというのは、何が起こるかわらかない。偶発的な事態は、確かに想定しなければいけないと思います。それから、今回ウクライナを支援するため、各国が軍事援助を送り込んでいるが、一部情報収集のための特殊部隊も入っているといわれますから。前線付近では、ロシアとウクライナだけじゃなくて、ごく少数だけど西側の軍隊も入っている。そういうものとの偶発衝突もさらに危ないわけですから。
  仮にプーチンが本当はやる気がない、フェイントだとしても、軍隊がたくさん集まっているという状況自体が危険なんだということは忘れてはならない。

Q軍事侵攻など最悪の結末を避けるために、周辺国や同盟国は、どんな働きかけや外交的努力ができますか?
  まず一つは、通常であればロシアの行動というのは、抑止するわけですよね。そもそもここまで来ないように防衛力をもっておいて、そういうことをやっても、あなた方は負けますよ、あるいは勝てるかもしれないけど、その過程でものすごい損害を受けますよというのをロシアにわからせようとするわけですよね。
  だから普通は国家間でそうそう簡単に戦争はしないわけです。ところが今回の場合は、その抑止がどうも効いていない。あるいは抑止されていないふりをロシアがしているわけですよね。それはウクライナの軍事力だけだったら、なんとかなるというふうにロシアはおそらく思っていて、だからこそウクライナとしてはNATOに加盟して、自分たちだけでは抑止しきれないロシアを抑止したいと考えるわけですけど、そもそもロシアとしては、そんなことができないようにしてやろうと思ってこういうことをやっている。要は、こう、抑止のすれ違いが起きているわけです。
  じゃあ、NATOの国々はまだNATOに入っていないウクライナを守るために、軍事力を使ってでもロシアを止める気があるかというと、どうもそういう気が各国ないわけですよね。なんといってもロシアは軍事大国で、核兵器まで持っているわけですから、そのロシアと軍事力を使ってでも対決するという意思は、アメリカにさえないということですよね。

  代わりに今みんなが言っているのは、一つは軍事援助を送るから、対戦車ミサイルとか送るので、なんとかこれで頑張ってくれっていう話と、もう一個はもしもロシアが本当に軍事力を行使した場合は、手ひどい制裁をかけますよっていう話です。さらなる経済制裁があるとか、国際送金システムからロシアを排除するであるとか、デュアルユース技術のさらなる制限であるとか、そういう形でロシアの経済を締め上げますよと言っているわけです。

  問題はそういった経済に対する深刻なダメージを、プーチン大統領がどういう風に見るかというところだと思うんですよね。普通に考えたらそれは回避したい損害なはずなわけですけど、おそらく2014年のときも、こういう今のような制裁をくらうとわかった上でロシアは介入をしているわけですよね。だからどうもプーチン大統領の世界観のなかで、制裁というものが避けたいけども、絶対に受け入れがたいかというと、そうでもないと見られている可能性があると思うんですよ。
  それから、これはまだまったく不確定ですけど、やっぱり今のプーチン大統領の任期って2024年の5月で切れるわけですよね。そのあともやっぱり何らかの形で権力を握ろうとするんだと考えると、やはり国民に対する関心を、国民の関心を変えるような何かを起こしたいと考えていてもおかしくはないと思うんですよね。仮にそういう内政上の計算が経済的なデメリットを上回るんだとしたら、これもやっぱり制裁って抑止効果にならないのかもしれない。

  いろんなところで、やったら罰するよって話はしているんだけども、どうもこうロシアを、西側がやっていることだけでロシアを止められるという確信が持てない。止められるのかもしれないけど、どうも不安が大きいわけですよね。
  ただそれでも制裁が無意味かっていうとそうじゃないと思うんです。やっぱりやった方がいい。もしもロシアが本当に軍事行動をとるんだったら、きちんと制裁をかけるべきだと思いますし、そこに日本は断固参加すべきだと思いますね。
  というのは今ロシアがウクライナでやっていることって、一過性の事態ではない可能性があるわけですよね。これから先も、たとえば西側の国々が、ロシアの要求をのまないのであれば、これから先もロシアは、ヨーロッパの安全保障秩序の変更を求めて、こういうことを繰り返す可能性がある。
  それから、こういうロシアのふるまいを見ている例えば中国とか北朝鮮とか、日本にとっての直接の一番の安全保障上の懸念国が「やっぱり西側って弱腰だな」という風に見て、また冒険的な行動に出てくる可能性ってあるわけですよね。なので、グローバルな秩序全体の問題としても、日本の喫緊の安全保障上の課題としても、変なメッセージは出さないほうがいい。

  やっぱりそういうことに対しては、完全に止められないかもしれないけれど、確実に罰しますよということは、きちんとやるべきだし、その中で日本はおつきあいではなくて、自分たちの安全保障の問題として主体的にやるんだという風に考えるべきだと私は思います。
Qウクライナというと、遠い国の話だと思いがちな日本人も多いと思うが、世界全体や日本にも関わりのあることと、考えたほうがよいということですか?
  そうですね。まさにこれはユーラシアの西側の、反対側で起きていることではありますけれど、結局同じことがユーラシアの東側でも起きうるんだという自覚は、まず持たなければいけないと思いますし、もう一つは、いまわれわれがユーラシアの西側に対して示している態度というのは、ユーラシアの東側で起こることに対して、アメリカとかヨーロッパからかえってくる反応とほぼ同じになると考えるべきだと思うんですよね。
  だから、ここで例えば日本が「ロシアとの領土問題もあるんで、ウクライナの件は甘く見ましょうや」というようなことを言った場合に、じゃあ尖閣有事とか台湾有事のときにヨーロッパの国々がなに言ってくるかを想像してみるべきだと思うんですよね。
  あとは、いまはやっぱり日本で国家安保戦略改定という話が本格化してきているわけですけれど、そのときにやはりロシアをどう位置づけるかとか、中国をどう位置づけるかとかいうことにも直結してくるわけですから。
  やはり今回の件は対岸の火事ではない。対岸であるのかもしれないけれども、こっちでも同じことが起こった場合にどうするのかっていう、わがことに置き換えて考えるべきだと思います。
Qいま配備されている部隊や兵器などから、こんな可能性が高いとか、こんな動きに注目しているとか、ポイントがあれば教えて下さい。
  正確にいうと、大体どんな作戦もできる兵力がそろっていると考えるべきですね。まず兵力の数が非常に多いということ、それからロシア軍はいま機甲部隊が4つあるんですけど、4つの機甲部隊全部がウクライナ国境周辺に集まってきています。だから、戦車部隊を中心にして電撃的に侵攻するみたいなことも可能だと思いますし、でも航空部隊とかミサイル部隊なんかも集まってきているので、長距離精密攻撃みたいなこともできるでしょう。
  それからさらにいま、バルト艦隊と北方艦隊の揚陸艦部隊が、地中海のほうに入ってこようとしていて、これが黒海のほうまで来られると、もしかしたら陸側だけじゃなくて、海側のほうでもなにか上陸作戦があるんじゃないかとか、ウクライナはいろんなことを心配しなければいけないはずなんですよね。
  ウクライナとしてみれば、いろんなこと、あらゆるタイプの侵略を今心配しなければいけないはずなので、兵力を一か所に集中させるということもできなくなってしまうし、こういう態勢で備えようっていうふうに決め打ちすることもできないわけですよね。おそらくまさにそれがロシア側のねらいなんだろうと思います。
  だから、外から見ているわれわれもなかなか「ロシアは必ずこうくる」とかっていうふうには、決め打ちができないわけですから、よけいロシアの動き全体と、ウクライナ周辺で起こること全体見ておかないといけないわけです。
  2013年入局 松山局・おはよう日本・首都圏局をへて、ニュースウオッチ9ディレクター。ジェンダーや多様性などにも関心あります。


2022.01.28-産経新聞-https://www.sankei.com/article/20220128-5QKRPKVCGVND3HSQVOPRWPH7UM/
在ウクライナ大使館職員家族が国外退避開始

  外務省幹部は28日、国境付近にロシア軍が大規模展開しているウクライナについて、在ウクライナ日本大使館職員の家族が国外退避を始めたと明らかにした。準備が整い次第、順次国外退避しているという。

  政府は24日にウクライナの危険情報について、首都キエフを含む全土を対象に渡航中止を勧告する「レベル3」に引き上げた。在留邦人にも商用機による国外退避を強く勧めている。大使館の職員については、邦人保護など緊急業務に直接関係しない職員を中心に国外退避を検討している。
  ウクライナをめぐり、米政府は23日に大使館職員の家族に国外退避を命じるとともに、一部職員の自主的退避を許可した。ウクライナの自国民にも退避を検討するよう促している。英政府も24日に大使館職員の一部と家族を一時的に国外退避させると発表した


2022.01.01-産経新聞-https://www.sankei.com/article/20220101-ACZAOKXG35IH3ALX54QXYXALLQ/
侵攻なら「重い代償」 バイデン氏、露に警告

  バイデン米大統領は12月31日、ロシアのプーチン大統領との30日の電話会談で、ロシアがウクライナを侵攻した場合は「厳しい制裁」や、北大西洋条約機構(NATO)軍増強など「重い代償を払うことになる」と警告したと明らかにした。自宅のある東部デラウェア州で記者団に語った。

  電話会談では双方が互いの懸念を表明し、1月に予定する米欧とロシアによる高官協議で話し合うことを確認したと説明。「ロシアが緊張を緩和した場合のみ、協議はうまくいくと伝えた」と強調した。「ウクライナに侵攻しては駄目だ」とも明確に指摘したという。
  ホワイトハウスによると、バイデン氏は1月2日にウクライナのゼレンスキー大統領と電話会談し、ウクライナの主権や領土一体性を支持する考えを改めて示す。(共同)

  これに対し、日本に輸入される重要5品目(コメ、麦、牛肉・豚肉、乳製品、砂糖類)は関税の削減、撤廃の対象外とするなど、国内の農林水産業を保護する。ルール面では、外資企業に対して技術移転を要求することを禁じるなど、企業の自由な経済活動を確保するための規定を設けている。



2021.11.07-Yahoo!Japanニュース(毎日新聞)-https://news.yahoo.co.jp/articles/d0c1120d01af189c20260c551c5343c8b07cc144
ロシア軍9万人、ウクライナ国境に集結か 軍事的緊張、再燃の恐れ

  今春にロシアの軍部隊が集結し、国際的に懸念を招いたウクライナとの国境周辺で再び軍事的緊張が高まっている。米メディアはロシアの部隊が国境近くに動員されている可能性を相次いで報道。ロシア軍が今秋の大規模演習の後に9万人規模の部隊を残しているとみられる一方で、今月4日には米海軍第6艦隊の旗艦が黒海に入るなど、米軍も周辺地域で活動を活発化させている

   ロシア軍の集結については、米紙ワシントン・ポストや米メディア「ポリティコ」が10月末以降、戦車などが大量に並べられた衛星写真やソーシャルメディアの映像などを基に相次いで報じた。
   ウクライナ国防省は今月1日、「ロシア軍の部隊の追加投入は確認されていない」と直近の動員を否定するコメントを出したが、2日には「国境付近には約9万人のロシア軍部隊が集結している」と発表。今年後半にウクライナとの国境付近で行われた演習後、国境から約260キロ離れたロシア西部スモレンスク州などに部隊が残っているとして、「ロシアは隣国への圧力のため、定期的に部隊を移動、集結させている」と非難した。

   ウクライナの国防次官は4日、地元メディアに対し、「現在の状況は心配が必要なほどではない」と指摘しつつ、来年1月にかけてロシア軍が部隊を増強する可能性に言及。「我々は戦争状態にあり、緊張が高まるリスクは常にある」と述べた。米CNNによると、2日に訪露した米中央情報局(CIA)のバーンズ長官がロシア側に懸念を伝えたという。
   米メディアの報道に対し、ロシアのペスコフ大統領報道官は衛星写真がウクライナではなく、ベラルーシの国境付近であると主張し「たちの悪いデマ」と報道内容を否定した。
   現在のウクライナ周辺は雨などで土壌がぬかるみ、軍事作戦に不向きな時期とされており、ロシア軍が有事に備えて部隊の装備を国境付近に残しているだけとの見方もある。ただ、冬になれば地面が凍結し、移動しやすくなるため、再び緊張が高まる恐れも取り上げられている

   ウクライナ東部の停戦ライン付近では、同国軍が今でも親露派武装勢力と銃撃や砲撃を交わしているが、10月下旬にはトルコから購入した無人攻撃機による爆撃を初めて実施した。ウクライナを支援する米軍も同月、黒海上空で戦略爆撃機を飛行させたほか、月末から第6艦隊のイージス艦と旗艦「マウント・ホイットニー」を相次いで黒海に派遣するなど活動を活発化させている。
   10月中旬にウクライナを訪問したオースティン米国防長官も、ウクライナの北大西洋条約機構(NATO)加盟について「第三国に加盟を拒否する権利はない」と発言し、加盟に反対するロシアをけん制していた。
   ロシアのプーチン政権は米軍やウクライナ軍の活動に警戒を強めている。特にウクライナのNATO加盟を越えてはならない「レッドライン」とみなしており、今後、軍事的な圧力を更に強める可能性がある。
   今春にはロシア軍が10万人を超えるとみられる部隊をウクライナ国境付近に集結させ、国際的な批判を招いた。ショイグ国防相は4月下旬に撤収を指示したが、一部部隊は演習の準備などを名目に国境周辺に残っているともみられていた。【モスクワ前谷宏】


2021.05.07-Yahoo!Japanニュース(毎日新聞)-https://news.yahoo.co.jp/articles/550331d22d1835c5d31b285c20792af1ab9c9cda
米国務長官、ロシアに警告 ウクライナ大統領に独立支持を約束

  ブリンケン米国務長官は6日、訪問先のキエフでウクライナのゼレンスキー大統領と会談し、ロシアの脅威に対してウクライナの独立や主権、領土保全への支持を約束した。
  ロシアは3月末ごろからウクライナとの国境周辺に大規模な部隊を展開。4月下旬に撤収を開始すると説明していたが、依然として多くの兵力の残留が指摘されている。ブリンケン氏は同日、地元テレビのインタビューで「ロシアが挑発的で無謀な行動を取り続ければ、相応の措置を取る」と警告した。
   米国務省によると、ブリンケン氏は会談後、共同記者会見に臨み「ウクライナが侵略から自衛できるように緊密な協力を継続する」と表明。国境周辺のロシア軍について「かなりの部隊や装備が残っており、短期間で攻撃的な行動に移すことができる。状況を注視している」と強調した。
  ゼレンスキー氏は「脅威は残っており、有事が起こらないようにしなければならない」と述べた。
  米紙ニューヨーク・タイムズは、複数の米政府高官の話として、ロシアは現在までに数千人を撤収させただけで、8万人近い兵力が残されていると報じている。【ワシントン鈴木一生】


2021.03.31-産経新聞 THE SANKEI NEWS-https://www.sankei.com/world/news/210331/wor2103310016-n1.html
ウクライナ、航空エンジン大手を国有化 中国の買収阻止 対米関係強化狙う
(1)
  【モスクワ=小野田雄一】中国企業がウクライナの世界的航空エンジン企業「モトール・シーチ」を買収しようとした問題で、同国のゼレンスキー大統領は31日までに、同社を国有化する大統領令に署名した。イタル・タス通信が伝えた。同社から中国への軍事技術流出を警戒する米国の意向を踏まえ、最大の貿易相手国である中国よりも、対ロシア戦略の後ろ盾である米国との関係強化を優先した形。中国はウクライナに反発しており、今後の両国関係に影響が及ぶ可能性もある。

  これに先立つ3月11日、ウクライナ国家安全保障・国防会議(RNBOU)が同社を国有化する方針を決定。20日には同国裁判所がウクライナ保安庁(SBU)の申し立てを受け、同社の全株式と資産を国の管理下に移すことを決定していた。国有化に際し、同国は同社株式の過半数を保有する中国企業「北京天驕航空産業投資有限公司」(スカイリゾン)などに補償を行う。
  中国外務省の華春瑩報道官は25日、「ウクライナは中国企業と投資家の権利を考慮すべきだ」と反発。スカイリゾンも10日、ウクライナが同社と王靖会長を対象に1月に発動した制裁に対する異議を同国最高裁に申し立てたと発表した。スカイリゾンはウクライナに企業活動が妨害され、36億ドル(約4千億円)の損害を被ったと主張している。

  ウクライナにとって中国は輸出・輸入とも1位の貿易相手国。2019年の統計では、輸出総額500億ドルのうち7・2%、輸入総額607億ドルのうち15・2%が中国との取引だった。中国が報復的措置を取った場合、ウクライナは経済的打撃を受ける恐れがある
(2)
  それでもウクライナがモトール・シーチの国有化に踏み切った背景には、米国との関係を強化する狙いがある。ゼレンスキー氏は今年5月に就任から2年を迎えるが、ウクライナ東部を実効支配する親露派武装勢力との紛争の解決など主要な公約ではロシアとの主張対立などから目立った成果が出せておらず、支持率は低下。ゼレンスキー氏はウクライナに同情的なバイデン米政権の発足も追い風に、国際的な対露圧力を強化してロシアから譲歩を引き出したい考えだ。
  実際、モトール・シーチ国有化に関し、RNBOUのダニロフ書記は「ウクライナにとって同社は戦略的に重要だ」と指摘。SBUのバカロフ長官も「国益に関わる問題だ」とし、外交・安保戦略に基づく決定であることを示唆した。
  航空機などのエンジン製造で高い技術を持つモトール・シーチは、2014年のロシアによるウクライナ南部クリミア半島併合で大口顧客だったロシアとの関係が途絶え、中国との取引を拡大させていた
  この過程で50%を超す同社株式がスカイリゾンに取得されていたことが発覚。SBUが同社株式に基づく議決権を一時凍結するなど買収阻止に動いていた
  米国とウクライナは今年1月、スカイリゾンへの経済制裁を発動。中国は制裁は不当だと非難していた。


尊厳の革命(マイダン革命)
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』


  2014年ウクライナ騒乱(2014年)またはマイダン革命英語: Maidan revolution)、尊厳の革命英語: Revolution of Dignity)、ユーロ・マイダン革命は、2014年2月中下旬にウクライナで起こった革命
  首都キーウで勃発したウクライナ政府側とユーロマイダンデモ参加者の暴力的衝突の結果、当時のヴィクトル・ヤヌコーヴィチ大統領が失脚し、隣国ロシアへ亡命することになった。
  新たな政権の発足(第一次ヤツェニュク政権)や2004年憲法の復活、数か月以内の臨時大統領選挙の実施など多くの成果をあげており、ウクライナの社会・政治に膨大な変化をもたらした
背景
  ソ連崩壊後、ウクライナは数年間は汚職や経営管理の誤り、経済成長の停滞、フリヴニャの平価切り下げや公的市場からの資金調達という様々な問題を抱えていた。
  2000年代には欧州連合(EU)との良好関係を築こうと模索し、実際にEUと連合協定を結ぶ協議を行なっていた。当初、ヤヌコーヴィチ大統領はこの協定に署名する意思を示したが、最終的には署名を拒否した。この背景には前述の経済難があり、EU統合はひとまず先送りして、目先の「冬を越す」ために、やむをえずロシアとの接近を図った格好だった。しかしこれがユーロマイダンにつながる反政府デモを引き起こした(このデモの間、ヤヌコーヴィチ大統領はロシアと数十億ドルに及ぶ融資・協定について締結している(2013年12月17日のウクライナ–ロシア間協定)。
  ウクライナの治安部隊はデモ活動の鎮圧に努めたが、デモ活動は高まるばかりでキーウの通りで激しい衝突が起こった。2014年2月21日にヤヌコーヴィチ大統領と野党リーダーらが危機回避の文書に署名し、政権側は憲法改正、大統領選の早期実施などの譲歩を行った。しかしヤヌコーヴィチ大統領は首都キーウを離れて、東ウクライナに脱出、憲法改正法への署名を拒否した。
  最高会議はこれを職務放棄と見なして大統領の失職を宣言した。代わりに議会議長のトゥルチノフが、大統領代行を兼務することになった。大統領選は5月25日に投票が行われることが決まった。新たに発足した暫定政権はEU協定の署名と国の司法制度・政治・財政・経済政策の改革に合意し、国際通貨基金は前述の改革の実行を条件に180億ドル以上の融資を約束した。
  一方で暫定政権の発足に否定的であったロシアは、ヤヌコーヴィチ政権の崩壊をクーデターによるものと位置付け、ウクライナへの軍事介入を行なった
概要
  キーウにおける反政府デモ活動は比較的平穏に行われていたが、それは警察との衝突が発生する2014年2月18日までだった。それからの数日間で13人の警察官を含む82人が死亡(報告により人数はばらつきがある)しており、1100人以上が負傷している。
  2010年にヤヌコーヴィチが大統領に選出されると、憲法裁判所は2004年の改憲を違憲としたが、2014年2月18日、約2万人のユーロマイダンの抗議者はウクライナの2004年の改憲を復活させるよう求め、ウクライナ議会へ進んだ。しかし、警察がその先を塞ぎ、対立は激しさを増すことになる。BBCの特派員は、それぞれが相手を非難していると報じた。
  警察はキーウの独立広場の一部・抗議者のキャンプの撤去を行い、また数千人規模に及ぶデモ鎮圧のため催涙剤やスタングレネードやゴム弾、そして(自動小銃やスナイパーライフルを含む)実弾も使用した。抗議者も大きな石やバット、銃器、火炎瓶を使用・抵抗しながら、地域党本部への侵入に成功する。
  ユーロマイダンの本部であった労働組合会館ビルは火災による被害を受けた。政治評論家はウクライナは内戦の瀬戸際に立っていると示唆した。リヴィウ州など、いくつかの地域は中央政府からの政治的独立を宣言した。
  2月19日、当局により事実上の非常事態宣言が発令され、検問所の設置やキーウの学校閉鎖、公共交通機関の規制などの措置がなされた。
  2月20日、ヴィタリー・ザハルシェンコ内務大臣は抗議者に対する実弾の使用を許可する行政命令を制定したと発表した。これに対して、抗議者は軍隊の使用を非難、内務省などの全ての機関に中止を要求するよう署名活動を行ったと発表、議会議長のヴォロディミール・ヴァシーリョーヴィッチ・リーバックはこれら抗議者に対する軍事行動を行うとした。議会はザハルシェンコの行政命令の執行を猶予している。

  キーウは衝突が続いており、直近48時間の衝突では少なくとも死者77人となっている。ヤヌコーヴィチ大統領は2月21日に野党指導者との妥協案(ウクライナ政治危機の解決に関する合意)に署名し、改憲を約束した。また、12月に早期選挙を開催するよう呼びかけている。
  合意はされたものの、いまだキーウでは数千人による抗議活動が続けられており、議会や内務省など、キーウ政府地域の全体を支配していた
  2月21日、議会に弾劾についての法案が提出される中。ヤヌコーヴィチ大統領が南東部で行われる会議へ出席するためハルキウへ出発したとメディアが報じている。
  2月22日、抗議者がキーウを実効支配しており、またヤヌコーヴィチ大統領が首都からウクライナ東部へ逃れたとの報告がされた。ヴェルホーヴナ・ラーダはヤヌコーヴィチ大統領の弾劾を決定、5月25日に大統領選挙を行うことに反対なしの賛成328票を得た。
  2月23日、暫定大統領としてオレクサンドル・トゥルチノフが議会議長より選出され、2月24日にはヤヌコーヴィチ元大統領に向けた逮捕状が新政府により発行された。以降数日にわたりクリミアでは親露派の政治家・活動家による集会が行われ、彼らはロシアに対し、勢いの増すウクライナの「ファシスト達」からクリミアを守るようにと要求した。
  2月28日、ヤヌコーヴィチ元大統領はロシア南部で行われた記者会見で、ロシア人記者からの質問に答えており、それによると、5月下旬に予定されている選挙を違法だとして参加しない意思を表明し、また2月21日に結んだ合意が状況安定につながる可能性があるとしながら、野党は同意しなかったことを述べた。
  3月1日、ウラジーミル・プーチン大統領のウクライナのロシア軍配備要請がロシア議会により承認された
動乱の前段階
  ヤヌコーヴィチはリトアニアの首都ヴィリニュスで行われた東方パートナーシップ会合で、欧州連合との政治・自由貿易協定の署名を拒否しており、ロシアとの緊密関係を模索し始めた。これに起因し、2013年11月に最初の抗議活動が生じている。ミコラ・アザロフ首相は200億ユーロ(270億米ドル)の融資・援助を必要としていた。欧州連合は6億1000万ユーロ(8億3800万米ドル)の融資を提供する意向であったのに対して、ロシアは150億ドルの提供に加え、ガス価格の引き下げの意向を表明していた。また、欧州連合は資金提供の見返りとしてウクライナに法律の改正・改革を要求しているが、ロシアはそれを要求していなかった。
  ロシアはウクライナに経済的な圧力をかけ、欧州連合との交渉反対のプロパガンダキャンペーンを行っていた。
  ヤヌコーヴィチはウクライナ西部では支持されていなかったが、ロシア語話者が多い南東部では支持を得ていた。当初の集会は平和的であったが、ヤヌコーヴィチ支持者により管理されている議会で抗議の抑圧を行う法律が可決されると、2014年1月には暴力的な集会に変貌した。
  欧州連合とアメリカはヤヌコーヴィチに争いを平和的に解決するために交渉するよう促し、暴力の責任が問われた場合は政府関係者に制裁を課す旨述べた。

  2月の暴動が生じるまで、積極的行動主義の抗議者は建物の占領を止めるのと引き換えに刑事告発を免れるとする恩赦が行われた。結果的に占領した建物から立ち退き、またキーウの活動家がフルシェブスコホ・ストリートを退去した。2月16日にはキーウ市庁舎が政府により管理されるようになった。これまで抗議活動に参加した人は2月17日以降釈放予定であった。
  2月14日、ヤヌコーヴィチは'様々な方法で解決するよう奨励・扇動されたが、戦争を望んでいない。そのような方法を徹底的に使うことで何かしらの意思決定をしたくはない'と述べた。また、すべての政治家に対して、急進主義の自粛とともに行動も法律で許容される範囲を超えないよう理解を求めた。
ロシアとの関わり(「ウクライナとロシアの関係」も参照)
  ロシアとのさらなる関係を構築しようとするヤヌコーヴィチの姿勢は抗議活動の大きな動機となった。やがてロシアからの150億ドルのうち20億ドルの資金調達を受け入れたが、これはプーチン大統領との良好関係を模索する兆候として解釈された。 ロシア当局はウクライナ政府に対して抗議鎮圧に向けた決定的な行為を執るよう圧力をかけており、ロシアからの20億ドルの資金調達が行われた数時間後にユーロマイダンの抗議者に対する警察の攻撃が命令されている。欧州各地の政府閣僚はロシアが事態を悪化させたとして非難した。
  2月20日のインタビューロシア連邦軍参謀本部情報総局大佐を務めていたアレクサンドル・ムシェンコはこの争いは力で解決することが可能で、ウクライナは独立国家として存在し得ないことを証明したと述べた。

  ヘンナディー・モスカル元内務次官が公表した政府の文書では、抗議者の鎮圧に関する助言を行っていることが示されている。それによると、作戦名「ウェーブ」「ブーメラン」とある作戦は群衆を追い散らさせ、抗議者の拘束のために狙撃兵を用いるといったものである。計画には2万2000人の治安部隊をキーウに配置すると言った内容も含まれている。文書内では、ロシア連邦軍参謀本部情報総局元副議長はキエフホテルに滞在、準備に大きな役割を果たしたことについても触れられている(ウクライナのセキュリティサービスによって支払われている)。しかし、文書の信頼性については確認できず疑わしいとロイター通信は報じている。
  アルセン・アヴァコフ内相は一連の争いについて、ウクライナ以外の第三者によって引き起こされたとし、調査が進行していると述べている。
  2月21日、約100人を殺害したことによる撤収が失敗すると、ヤヌコーヴィチは譲歩を見せた。これに対し、ロシアのドミートリー・メドヴェージェフ首相はヤヌコーヴィチのいい加減な行動を止める必要を指摘、また資金提供を控えると述べた。ロシア政治顧問のサルゲイ・アレクサンドロビッチ・マルコフは野党が権力を乱用しないよう法律で許容される範囲内における全てのことを行うと述べた。
  2月24日、ロシア外務省はウクライナ人に過激派が定着しないように取り締まることを促す声明を発表、メドヴェージェフ首相はウクライナの暫定政権を合法だとは認めなかった。

  ヤヌコヴィッチが大統領を辞職した後、2014年4月3日に行われたウクライナの新たな内務相、最高検察官、最高治安責任者の記者会見では、抗議者の弾圧にはロシア連邦安全保障局(FSB)の職員30人以上が関わっているとし、キーウ付近の空港に多量の爆発物を持ち込んでいると述べた。ウクライナ国家安全保障局暫定局長のヴァレンティン・ナリーヴァイチェンコはロシア安全保障局の職員がユーロマイダンの抗議者弾圧のためにキーウに駐留しており、ロシアにウクライナの治安を報告しているとして、また反テロリスト活動の計画・実行に参加した証拠を立証していると述べた。また、調査ではオレクサンドル・ヤキーメンコがウクライナ駐在のロシア連邦保安局捜査官から報告を受け、状況報告会を開いていたことを明らかにした。このことについて、ロシア連邦保安局は根拠のない主張として否定、事実であった場合のコメントを拒否している。
アメリカとの関わり
  2013年12月、ジョン・マケイン共和党上院議員全ウクライナ連合「自由」総裁オレフ・チャフニーボクとヤツェニュクを訪ねた。同年12月15日のガーディアンが報じたところによると革命を支持した大衆に呼びかけたという。
  記録された時期は不明だが、2月4日にリークされた電話の録音には、 ビクトリア・ヌーランドアメリカ国務次官補とジェフリー・ロース・パイアット在ウクライナアメリカ大使が、野党指導者に期待する役割について話し合っている様子が記録されていた。

  ヌーランド: "クリチコは政府に入るべきではないと思う。必要とは思えないし、いい考えとも思えない。"
  パイアット: "彼は政府に入れずに、政治的準備や得意なことをやらせておけばいい。"
  ヌーランド: "ヤツェニュクは経済と政治の経験を有している人だと思う。クリチコが入ると上手くいかないだろう。国際的に信頼されている人に来てもらい一役買ってもらいたい。"

  盗聴された会話の中でヌーランド氏は、国連(UN)の潘基文事務総長がオランダのロバート・セリー元駐ウクライナ大使を国連特使としてウクライナへ派遣する意向だと聞いたと明かし、「そうなれば素晴らしい。このばらばらな状態を国連が手堅くまとめてくれるだろう。EUなんか、くそくらえ」と、ウクライナ情勢をめぐり対応を異にするEUへの不満をぶちまけている。
経過(「ユーロマイダンのタイムライン」も参照)
2月18日
 初期の衝突(マリンスキーとリプキー)
   2月18日の夜、右派セクターはすべての党員に平和攻勢の準備をするよう呼びかけ、マイダン集団連合は全ての市民に学生組合が参加することに同意した平和攻勢に参加するよう勧告しており、2月18日の朝には8時30分に議会へ向けて行進することを報告している。
   同日朝、2万人に及ぶデモ隊がヴェルホーヴナ・ラーダに向けて行進した。議会は野党による改憲・政府に対する要求の受け入れを検討するとしている。
   9時45分頃、デモ隊はウクライナ中央警察所付近の輸送トラックのバリケードを破壊し、非常線を押し退けた。衝突の発生は、24人のデモ隊が警察車両を動かしたことにより議会に通じる道を閉鎖したあとのことであった。
   10時00分、全ウクライナ連合「祖国」党員のレシャー・ユリウィブナ・オロベット国会議員はショットガン(Fort-500T)で武装した警察がショブオヴィッチナ・ストリートとリプスカ・ストリートで閃光弾やスタングレネードで攻撃し始めたことを報告した。
   10時08分、警官隊がヴェルホーヴナ・ラダのビルに近づくにつれ、抗議者は警察官の別の非常線から抵抗、抗議者の数は膨れ上がり、5万人に上昇したとの報告がされた。
   10時18分には舗装された道路破壊のためと見られるインスティチャツカ・ストリートでの爆発・爆煙が報告され、抗議者が警察官に対して石畳を投げるなど過激の様相を見せ、当局者もまた、抑圧のため群衆に向けてスタングレネードを投げる始末であった。ディナモ・スタジアムに立てこもり、タイヤに着火した抗議者もいた。
   10時30分、議会は2004年憲法を復活させるか投票を行う予定であったが、ヴォロディミール・ヴァシーリョーヴィッチ・リバックが議案を登録しなかったため、実現しなかった。
   10時33分、抗議者と警察の衝突がショブオヴィッチナ・ストリートに移り始めた。抗議者は、マリンスキー公園にいたヤヌコーヴィチの警察官に、お前らは傭兵だと言いながら、200フリブニャ紙幣を彼らの面前で振り始めた。
   活動家のオレクサンドル・アロンツェは狙撃兵が一般人を標的にしていると報告、11時00分までに重傷を負った抗議者は数多い。抗議者により火炎瓶が投げられ、ショブコブニーチャ・ストリートではダンプトラックのバリケードが燃やされている。
   11時10分頃に警察官はショットガンを使用しはじめ、また屋根の上から群衆に向けて手榴弾を投げている
 地域党の奇襲と警察の報復
   11時23分、ベルクト特殊部隊は群衆に攻撃しようとしたが、逆に抗議者から攻撃されている。
   その2分後、抗議者が地域党本部の玄関口を破壊したことが報告された(本部はリプスカ・ストリート)。11時30分にはジャーナリストのテチアナ・チョルノビル含む抗議者が地域党本部に放火している。その後12時30分までに地域党本部は警察による管理になっている。
   12時12分、健康大臣ライサ・ボガティロヴァが抗議者に襲われるも、無事に逃げている。
   13時までに数千人の警察が政府地区を包囲、抗議者を追跡し始めた。1人の抗議者が頭に負傷しており、警察官を起訴することが道理で、他の皆も壊しているとキリフ・ポストに語った。
   13時30分、インスティチャツカ・ストリートの4人の役員がビルの上から群衆に向けて手榴弾を投げると、抗議者がそのビルを攻撃、一部を燃やした。抗議者は屋上に移動、警察に退去するよう強制した。2月18日では最も激しい衝突として扱われている。ベルクトや国内軍は本格的に群衆に対する攻撃行動を開始した。放水砲を使用して突撃した警察官も報告されている。
   18時までに催涙ガスを用いていた警察官はマリンスキー公園から1万人の抗議者を追い出すことに成功している。しかし、デモ隊は手榴弾を投げ、煙で公園を満たす抵抗を続けた。また、反政府の活動家が親政府派と反政府の軍とで分断しようとしている。
   AK-74のアサルトライフルで武装した警察の写真が公開されている。ヘンナディー・モスカル議員はこの警察がアルファ部隊であると推測した。
   ベルクトの指導者であるウラジーミル・クラシェフスキーは黄色い腕章含む黒く武装した国内軍の避難の助けになるよう派遣された。
   抗議者は再度市役所を占領した。また、ロシア国営新聞イズベスチヤによると、バット・鉄棒で武装した野党活動家が地域党へ奇襲、ヴァレリー・コンスタンティノヴィッチ・ザハロフを死に追いやったという。
 マイダンへの前進
   15時45分、数百人の警察官が議会に向けて進み、抗議者に向かって攻撃した。これについて、警察官はインスティチャツカ・ストリートのキリフ・ポストのジャーナリストのガスマスクを掴みながら「私も皆もこれが好きだ!」と述べたという
   16時、ウクライナ治安局のオレクサンドル・ヤキーメンコと内務大臣代理のザクハルチェンコ長官は抗議者に向けて「18時までにこの無法が終わらないものなら我々はありとあらゆる法的手段を使って命令しなければならない」と公に警告した。
   警察官は十月宮殿の抗議者に向かってインスティチャツカ・ストリート沿いの橋から煉瓦を投げているなど、暴動とも取れる行動を取るのが多くなっている。
   20時、未確認の50人がカナダ領事館に侵入しようとしている旨報告があった。
 マイダンでの攻撃
   警告後、警察は独立広場に数千人の抗議者のために銃器・放水砲で武装した兵士を派遣した。テントを家代わりにしていた抗議者は燃えた。警察は明らかに武装した個人であり、反テロ活動の一環として必要であったと兵士の行動を正当化している。
   野党指導者アルセニー・ヤツェニュクは両者に朝まで停戦するよう求め、抗議者はタイヤなど、燃やしたものを積み、治安部隊との間で火の壁を作っている。
   テレビチャンネル5 Kanalの放送はウクライナ全土で閉鎖されているが、衛星を介してでは利用可能であり、YouTubeのライブも利用可能であった。数時間後にサービスを再開している。
   22時頃、警察が独立広場東部の抗議者の防御線を超えたと報告された。占領された労働組合ビルを取り返そうとしているが失敗している。
   大統領補佐官ハンナ・ヘルマンは元の平和に戻り、群衆が後ずされば政府と野党の交渉がされるに過ぎないとし、加えて、さらなる武装対立の要求はウクライナ国民と政府に対する大きな犯罪であると述べた。
   ウクライナのヴィクトール・プションカ検察官はこの抗議の主催が責任を持つべきであり、最も重い刑罰を要求すると述べている。活動家は翌日1時35分に消えた街灯が決定的な攻撃の始まりを示していると信じたという。
 野党指導者とヤヌコーヴィチ大統領の会談
   ヤヌコーヴィチ大統領との会談を終えた野党指導者ビタリ・クリチコは会談が成功しなかったことをフロマドスケテレビに語った。2月18日に生じた20人の死者に対して責任があったというヤヌコーヴィチ大統領の主張に1時間以上耳を傾け、それによると抗議者が独立広場を去ることを強制するよう要求したという。伝えられるところでは野党指導者を刑事告発で脅したとのことである。
   ヤヌコーヴィチ大統領はウクライナのテレビで野党指導者に向け、法執行機関と衝突する根本的な要素から私は逃れると述べ、そうでないならば彼らと別の話をするだろうと語っている。野党指導者は民主主義の基盤を無視しているとも付け加えている。
   2月20日、野党3党(全ウクライナ連合「祖国」UDAR全ウクライナ連合「自由」)は我々は決して人々を武器と呼ぶことはない理にかなった位置にあり、各々の死亡は我々一人一人における個人の悲劇であると声明で主張している。
   その後、当局者は政権交渉のために多くの人々の死を招いた政策は不愉快極まりないものだが、可能な限りすべてを行う。しかし流血沙汰を防ぐのは不可能であると述べている。抗議行動を解消することは逆効果で非現実的であり、マイダンをまとめたのは我々ではないし、それを分散させるのも我々ではない。彼らの要望がいつどのように満たされるかによって一人一人が何をするべきか決めるべきだとも語っている
2月19日
  キエフ地下鉄や主要道路は警察により閉鎖されている。フレシチャーティクの大半の店も閉鎖されており、ユーロニュースの特派員はバリケードから離れる生活はいつものように仕事だと述べている。
  早朝、チフスキーは2人の抗議者に対して発砲、うち1人が殺されており、この時点で死者は合わせて26人に上がっていた。
  ウクライナ保安庁(SBU)は反テロ活動を開始、情報部は権力を奪取しようとする違法行為(クーデター)関係で無名の政治家を調査し始めた。保安庁のウェブサイトによると、反テロ活動開始を決定した経緯には保安庁の他にも内務省・ウクライナ国防省ウクライナ国境警備隊を中心に地方政府が関係しているという。このことについて、政治評論家タラス・ベレソベットは治安局は裁判所命令や法的保護なしに自由に抗議者の検査ができ、資産も押収することができ、拘束することができると述べた。
  早朝、オレナ・ルカシュは根本的な措置を認めない宣言に冠する署名について野党が拒否したことを発表、ヤヌコーヴィチ大統領は建物を占領して武器を押収することをやめさせるよう野党に要求している。
  防衛大臣のパヴロ・レベドイェフドニプロからキーウに数機の空挺部隊を送ったことを認めた。暗号化された電報が発見されている。新たに任命されたユーリィ・イーリンウクライナ軍参謀総長は軍隊配備のために直接命令を発令している。
  また、2月19日にはAn-26軍がロシアに機密飛行を行っており、反暴動兵器・弾薬の大量奪取が行われている。2015年に知られたことである。ユーロニュースの特派員はウクライナ全土から抗議者が来訪、独立広場に密集していると報じた。14時50分までに約5000人が四角形状に集まっている。右派セクターは郵便局が新しい拠点として機能し、キーウ中央郵便局やテレビ・ラジオのための国家委員会を占めていた
  ヤヌコーヴィチ大統領はウクライナ軍参謀総長ヴォロディミール・ザマナを解任、海軍総司令官であったユーリィ・イーリンを新たに任命した。防衛省は軍事施設の守備に向けてウクライナ全土に部隊を配置していると発表しているが、保安庁監督のオレクサンドル・ヤキーメンコは軍・武器の基地数カ所が攻撃されていると述べている。
  欧州投資銀行はウクライナにおける活動を凍結、しばらくの間はウクライナで仕事をする人々に無責任な、政治的に間違った状況をどうにかするよう述べている。 夜遅くの政府と野党指導者の会談後、双方は停戦宣言を行い、交渉を行うことに合意した。
  政府側はこの流血沙汰を終え、社会平和・国の状況を安定させる目的で交渉を開始することに同意したとヤヌコーヴィチ大統領は声明で述べた。野党の政治家であるヤツェニュクは停戦宣言は夜間に攻撃をしないというヤヌコーヴィチ大統領の約束事が関わっているとしている。右派セクターはこの停戦に同意していない。
  ユーロニュースの独立広場の報道官は抗議者が増えていると報告、また、多くの人々のインタビューでは、被害者の方が多く、ひどく殴られるほどまた抗議者が増えるだろうと述べている。
2月20日
  0時35分、ヤヌコーヴィチは2月20日を抗議により亡くなった人々を悼む日であることを宣言したとインテルファクス通信が報じている。 3時50分、活動家は抗議の間、ロシア内務省職員の制服から肩のパッチを取ったとし、ロシア関与疑惑の証拠として提出したと主張した。停戦合意が結ばれたにも関わらず、独立広場は抗議者による銃声が響いたという。
  4時20分、イヴァーノ=フランキーウシクに5台の抗議者を乗せたバスが到着した。 両者は争いのために互いに批判しあっている。ヤキーメンコはウクライナのユーロマイダンの政府が2月20日に狙撃兵を雇う責任があると主張している。
  ウクライナ大統領府は狙撃兵が抗議者による攻撃を受けたと主張、スナイパーライフル含む銃器を使っていると述べた。抗議者は火炎瓶や爆発物を投げ、戦争の開始を警察に促した。野党政治家のクリチコは人々を攻撃することで対立関係を作るために武装した凶悪犯は放たれたのだと述べた。
  9時25分、キエフ音楽院に治安部隊が火をつけようとすると、抗議者はベルクトを十月宮殿へ押し戻した。なお、十月宮殿は負傷者の手当てのためにも使われている。
  9時32分、議会の招集が行われないことが発表された。
  ユーロマイダンの抗議者は盾や火炎瓶を所持しながら警察に向けて行進し、退去させた。結果、独立広場は再び抗議者による支配に戻り、67人の警察官が捕えられた。
  10時49分、十月宮殿付近の防御線で衝突の最中、ウクライナの家で眠っているところを法執行機関の職員が逮捕された。大半の男性は18-19歳であり、訓練もなく、警棒のみで武装されているだけであった。軽傷は医師により治療されている。捕えられた警察官はクリミアドニプロクルィヴィーイ・リーフルハーンシク東部の出身であった。
  国内軍も衝突の間に降伏し(大半は19-20歳の徴兵)、ウクライナエネルギー企業の本部及び十月宮殿で捕虜となった。キーウ・ポストによると、10時時点でもデモ参加者は1万から2万人ほど残っていたという。ウクライナ独立通信社の特派員によると、独立広場には3万人を超える人が居たという。
  10時55分、アンドリー・クリュイェフはヤヌコーヴィチ大統領は要求されたウクライナ憲法の改憲について野党との合意を結ぶ準備ができていると発表、衝突が政治家に迅速な合意を結ぶ原因となったという

  抗議者の拠点の一つとなっているキーウとリヴィウの電車は一時的に運転を停止した。広報担当者によると、これは電線の損傷が原因だという。偶然ながら、武装器具がリヴィウにある内務省の武器庫から押収され、キーウ郊外へ運搬されたという報告がある。
  キーウ市国家行政府ヴォロディミール・マケイェンコー地域党を辞任したが、キーウ市が確実に機能するようにと、キーウ市国家行政府の任務を継続している。その後、キエフ地下鉄に再開するよう命じたが、15時までに地下鉄が再開することはなく、地上における輸送もあまりない。部分的ながら、地下鉄は夕方に再開しているが、乗換駅は引き続き閉鎖されていた。キーウにある在ウクライナ英国大使館は一時的に閉鎖された。
  ラジオ・フリー・ヨーロッパは警察の特別部隊が抗議者に対してAK-74やスナイパーライフルを撃っている映像を公開した。ザクハルチェンコ内務大臣は反テロ活動の仕事の一環として関連した命令に署名し、法執行機関は戦闘武器を備え、法律に沿って警察と同様に使用されるだろうと述べた。内務省のウェブサイトでは機動隊は抗議者に人質がいる場合、武器を使用する権利を持てるということが書いてある。また、狙撃兵が警察官20人を負傷させたと述べている。
  15時にインテルファクス-ウクライナ通信社は無名の個人がキーウ大統領行政ビルに向かっている影響で銃撃や爆発が発生したと報じている。ユーロマイダンの自衛隊は抗議者に独立広場を出ないよう繰り返し訴えた。
外交上の奮闘
  衝突は3人の外務相が訪問する前に発生した(ポーランドのラドスロー・シコルスキー、フランスのローラン・ファビウス、ドイツのフランク=ヴァルター・シュタインマイヤー)。ウクライナの野党による妥協案を促進するため、ヤヌコーヴィチ大統領に会うことになっていた。会議は安全上の理由で1時間遅れて開始された。
  会議前、フランスのファビウス外務相はBFM TVのインタビューに対して、ウクライナの政府による選挙以外に解決策はないと答えている。会議は6時間に渡って続いた。当時のポーランドの首相であるドナルド・トゥスクは記者団に対して年内早々に大統領・議会選挙を行いたいというヤヌコーヴィチ大統領の意欲に同意したと述べている。また、ヤヌコーヴィチは今後10日以内に国家統一政府形成を目指し、夏になる前に改憲の意思があったと述べた。関連文書の署名について交渉する予定であった。
  ヤヌコーヴィチ大統領とロシアのプーチン大統領間で電話会談が行われた後、ロシア人権委員会代表のウラジーミル・ルキンはヤヌコーヴィチの要請により政府・野党間の交渉の仲介者として派遣された。
  アメリカはウクライナ当局者20人に対して政治的抑圧に関係する人権侵害をこちらにも命じる責任があるとして、ビザ禁止措置を取った。 欧州連合も政治的抑圧に関係する人の金融資産凍結・ビザ禁止措置及び政治的抑圧のために使われた武器などのウクライナへの輸出禁止の措置の発表を行っている。欧州理事会はウクライナの情勢に照らして実施する規模を判断すると結論を出した。
ウクライナの政治動向
  地域党党首のオレクサンドル・イェフレモフは、ウクライナ南東部の独立宣言について、法執行の仲介者や地元の長と国から独立する可能性について議論するためルハーンシクを訪れた。クリミア最高評議会議長のウラジーミル・コンスタンティノフはモスクワを訪れた。その場で、仮に戦争が起こるなら、クリミア自治共和国はウクライナから独立するであろうと発表した。
  地域党所属議員のセルヒー・ティヒピコは野党議員の交代やヴォロディミール・ヴァシーリョヴィッチ・ライバックヴェルホーヴナ・ラーダ最高議会議長の辞任、早期選挙を要求している。その際、こう述べている:大統領、最高議長、首相代理、野党指導者…国の状況を完全に把握していないのみならず、平和のための解決策すら提示しない。これは怠慢に他ならないものであり、これが更なる対立・死者の増加に至っている。この国の危機を解決するためには、交渉より進んだ段階に踏み切ることが必要である。夕方、ティヒピコは野党政治家のヤツェニュクとクリチコと会談を行なった。
  キーウ市国家行政府を務めているヴォロディミール・マケイェンコと17人の上院議員が地域党を離党した。リウネジトーミルでは地域党から多くの議員が離党している。地域党所属10人と無所属議員2人はウクライナ憲法改憲を含めた大統領の政権復帰を求めた。また、ウクライナ国民に対して誓約を締結し、抗議において法執行機関の参加がウクライナ国民と抗議者、ギャングが関係しているのを許さず、犯人の後追いのため銃器を注文しているという治安部隊を訪れている。
  16時42分、議会は緊急招集された。地域党は参加していないウクライナ独立通信社の特派員は450人のうち227人の大半が野党から、一部地域党所属議員もいたという。238人のうち236人が最近の暴動を非難する抗議者に対する武器の使用、また同じ理由で展開される軍隊と警察の撤退を求めた。ウクライナ共産党や地域党は約8割の欠場を決めた。議員は国内軍・ウクライナ軍、保安庁や他の政府機関がウクライナ憲法に反したとして、反テロ活動の実行を禁じた。議員はまた独立広場、道や橋、キーウとほかの都市に通じる通りを塞がないよう命令されている。地域党所属議員は新たに反危機団体を形成することに合意した。夜遅く、地域党から5人の議員が離党したことが発表された。
  クリミア最高評議会は2月21日に臨時会合の開催を要請している。クリミア・タタール民族会議はロシアの軍事介入もあり、明日、クリミア半島に混沌・災害がもたらされる決定を下す日になるかもしれないと述べた。
  クリミア半島は独特な地政学的性質や人口統計というのもあり、クリミア半島に対するロシアの干渉の可能性については数人の学者により検討されている
2月21日
  武装勢力軍の副参謀長であるユリ・ドュマンスキーは対立における軍の関与に同意せず、辞任した。その際、軍は紛争に関与しており、これが大量死を招く可能性があると述べている。ジャーナリストのアルテム・シェフチェンコはBTR10機がコサチア湾から出発し、護衛されながらもロシアの黒海艦隊に就いたとウクライナ軍が発表したと述べた。また、シェフチェンコは1500人の空兵、400人の海兵(第25独立空挺旅団・第1海兵旅団・第831反破壊隊・第2海兵スペツナズ含む)が2月20日に保安庁の指揮の下、反テロ活動のために移動したとしている。地域党所属の多くの議員やその家族が首都を逃れた報道がある。内務大臣のザクハルチェンコと検事総長のヴィクトア・プションカも含まれているという。
  その後、マイダンの活動家は2月20日に捕虜となった国内軍兵士を解放、またラデイフの全員の警察官がキーウの抗議に加わっている。ウクライナ保安庁は2月19日、正式に反テロ活動の準備を終えた。
交渉
  ウクライナにおける政治的危機の解決に関する合意の締結については数時間に渡り交渉が行われている(2月21日に欧州連合の仲介者、3カ国の外相(ポーランドのラドスロー・シコルスキー、フランスのローラン・ファビウス、ドイツのフランク=ヴァルター・シュタインマイヤー)による)。公式の合意と呼ばれることがあるが、非公式に2月21日の合意と呼ばれる。野党指導者や大統領により夜通しの交渉が行われ、署名に至った。
  2004年の改憲の復活、同憲法の9月までの復活、2014年12月までの大統領選挙の実施、政府や野党、欧州評議会の抗議についての共同調査、非常事態強制の拒否権、2月17日以降逮捕された抗議者に対する恩赦、抗議者により占領された建物の降伏、武器の回収、新選挙法施行による中央選挙管理委員会の設置などが盛り込まれている。3カ国の外相はこの文書に関係者として署名している。ロシアの仲介者ウラジーミル・ルキンは署名する義務がなかったとして合意には署名していない。議会は386対0と満場一致、2004年の改憲の復活を採択、暫定政権の閣僚宣言も332対0と全会一致で採択された。ユーリヤ・ティモシェンコの釈放を可能とした刑法の修正も含まれた。地域党所属22人、共産党員32人を含む310人の議員に対する処置が可決された。マイコラ・ルドコフスキーはヤヌコーヴィチ大統領の弾劾法案を提出した。議会は夜遅くに内務省の軍隊や警察官に宿舎・兵舎に戻るよう命じる決議を採択している。
取引の影響
  右派セクター指導者のドミトリー・ヤロシはこの犯罪政権が悪意極まりない重大さを理解していないという明らかな事実を述べなければならないと述べている。合意には内務大臣ザクハルチェンコの逮捕に向けた準備を含まない。一般人の殺害に関与しているベルクト指揮官の処罰、検事総長・国防大臣の解任、地域党と共産党の禁制、異議申し立て人の安全保証が含まれた。政府から権力が完全に取り除かれるまでの間、人民革命の継続を求めている。ユーロマイダンの指導者アンドレイ・パルビイは早期選挙が開催されると主張、抗議者の主な要求の一つにはヤヌコーヴィチ大統領の弾劾であると繰り返し訴えた。オートマイダンもまた、ヤヌコーヴィチ大統領の辞任を受け入れると発表した。
  クリチコはヤヌコーヴィチ大統領と握手を交わした後、独立広場で群衆に向けて謝罪した。抗議者は野党指導者に野次を飛ばしながら取引に応じた。活動家のヴォロディミール・パラシュクは翌10時までにヤヌコーヴィチ大統領が辞任しなかった場合はクーデターが生じるだろうと警告した。
  オレフ・リャシコは大統領は辞任するか、我々が連れ去るかという言葉を繰り返し発した。キーウ郊外では、親露派の政治家ヴィクトア・メドヴェドシュクの夏の家が放火されたところを発見されていた。夜になると、大統領府やその周辺施設、付近の政府の建物を周回していた数百人の警察が姿を消した。ポーランド外相のラドスロー・シコルスキーは合意にはなかった点に留意しつつも、軍の撤退については驚くべきことだと述べた。警察官はヤヌコーヴィチ政権による暴動の責任が負わされることを恐れ、2月18日に1200丁のピストルとAK-74を盗み、リヴィウの政府機関の建物を占領した。
  ウクライナ内務省は指導権のないまま残され、副内務大臣のビクトル・ドゥボヒクは機動隊にキーウを出発するよう命令した(いつ生じたかは不明)。野党政治家のセルヒー・パシュンスキーは5000人の役員、内務省軍、他の特殊部隊のための護衛を手配している。機動隊が姿を消すと、アンドリー・パルビーはユーロマイダンの自衛隊はキーウとその政府機関を平和的に制御したと報告、軍隊は野党を支持していた。
  地域党から28人の議員が離党したあと、新たな議会の連合が設立された。特別な立場にある31人の代表によるグループは地域党所属議員に投票を促すためセルヒー・チヒプコにより設立された。
死傷者
  最初の衝突後、26人の死者(内訳:抗議者16、警察官10)が報告された。79人の警察官、5人のジャーナリスト、3人の未成年者が入院している。医者のオルガ・ボゴモレットによると、狙撃兵は心臓や肺、頚部を狙っていると述べた。
死者ユーロマイダンの死者一覧も参照。)
  2月18日-19日、保健省による公式の死者数は28人で、内10人がベルクト・警察官である。
  2月20日13時までに少なくとも34人の抗議者が警察官により致命的な傷を負っている。多くの特派員や記者は遺体を確認している(コザスキーホテル15人、ウクライナホテル12人、中央ポスト事務所7人)。夜、キエフポストのジャーナリストはキレシュチャツカ・ストリートで8人の遺体を確認した。独立広場の医者は2月20日17時30分までに70 - 100人の抗議者が亡くなったとしている。キーウ市国家行政府は確認した67人の死者を報告した。保健省は争いが開始されて以降75人の死者を報告した。
狙撃兵の推測
  エストニア外相ウルマス・パエットキャサリン・アシュトン欧州連合外務・安全保障政策上級代表の電話会談をCNNは傍受したと報じた。パエットは野党が複雑化することを意味していないもので、医者の証言内容を中継しているだけであったと主張した。抗議者・ベルクトから攻撃を受けたと主張しているオルガ・ボゴモレットはそのようなパエットに対する要求はないと述べた。野党が殺人に関与していることを意味しておらず、政府は調査中であることを知らせている。
  ウクライナの主要治安機関・内務省の副官ヘンナディー・モスカルはウクライナ新聞のドセルカロ・ティニアに掲載されたインタビューで、内務省や保安庁の狙撃兵が銃撃の責任を負い、ソビエト時代における非常事態の計画に従事したことが明らかになっている。新聞内では以下のように述べている:狙撃兵は抗議者だけでなく警察に対して発砲しろという命令を受けた。広場を清々しくするために、警察の活動が正当化されるように、対立を拡大をさせるために行われたことだ。
  モスカルは現在の内相であるアバコフと保安庁のナリヴァイチェンコが計画を実行した人を保護することで内務省に対する反発を防げるとして、提案している。アバコフはこの内戦はウクライナ以外の第三者により誘発されたものとして調査中であることを明かした。
  2014年3月31日、狙撃兵がロシアで訓練された保安庁の対テロ部隊「アルファ」の人員である証拠になりうる写真・映像がデイリー・ビーストにより公開された。同メディアはアルファの人員はウクライナ国民であるが、抗議者に銃撃したのはウクライナの機動隊でないことを示唆しているとした。
余波
ヤヌコーヴィチ大統領
  2月21日、ヤヌコーヴィチ大統領と議会は2月22日-23日を抗議の結果失われた人命を悼む日であると宣言した。
  2月22日、ライバックは病気を理由に議会に辞表を提出した。ヤヌコーヴィチはハルキウを訪れたという報道があったにもかかわらず、所在は不明であった(ハルキウ州知事のドブキンもヤヌコーヴィチがハルキウを訪れているということを知っている)。
  オレクサンドル・トゥルチノフはザクハルチェンコ内務大臣(ベラルーシへ逃げたと報告されている)含む大部分の閣僚が姿を消したと述べた。議会では、5月25日に大統領選挙を実施する案が447人中328対0で可決され、スケジュールに組まれた。
  議員達は憲法で記載されているところの弾劾方法に従わなかった。ヤヌコーヴィチ大統領は憲法違反であると宣言、緊急事態を早期選挙を行う理由として挙げた。議員はトゥルチノフをヴェルホーヴナ・ラダの議長と大統領代行に任命した。
  トゥルチノフはヤヌコーヴィチ大統領が辞任することに同意しているが、顧問との協議後に否認、辞表を提出した。ヤヌコーヴィチはトゥルチノフが辞任しないか出国しないかで議会の決定を違法であるだろうと述べた。また、世界が目撃したウクライナでの出来事はクーデターの例であると付け加え、1930年代に台頭した国家社会主義ドイツ労働者党と比較した。
失踪と起訴
  議会が暫定政権に権力を移す手続きを行った後、プションカ検事総長とオレクサンドル・クリーメンコ大臣はウクライナからロシアへ逃れようとしている。州境警備隊によると、ヤヌコーヴィチ大統領はドネツィクからのチャーター便で逃亡を試みるも、国境警備隊で立ち止めを受けた。警備員は通関手続きなしで飛行するためにお金を出した武装勢力のグループの一人だと思ったという。ヤヌコーヴィチは装甲車に乗せられたあとに行方がわからなくなった。ザクハルチェンコ元内務大臣もドネツィクから逃亡を試みようとしたが、行われることは無かった
  2月23日、代理議長オレグ・リャシュコはヤヌコーヴィチがセヴァストーポリのロシア海軍基地からロシア軍艦に乗り込んで逃げようとしていると主張した。ジャーナリストのテチアナ・チョルノヴォルはセヴァストーポリの民間船から実際に逃亡を試みようとしていると推測している。ボディーガードが法廷で行った証言によると、ヤヌコーヴィチとその家族はハルキウからドネツィクにヘリコプターで出発し、そこからベルジャーンシクからアゾフ海に向けて車で出発、クリミアのヤルタにあるロシアの2つの離着陸場を経由、セヴァストーポリに移り、2月23日にロシアへ逃亡したという。
  2月24日、アバコフ内務大臣はヤヌコーヴィチを指名手配中のリストに掲載し、ヤヌコーヴィチやその関係者により多くの一般人の殺戮に至る事件が発生したと発表した。
  2月25日、2013年11月21日から2014年2月22日までの市民の平和的な抗議の間に生じた人道に対する罪のため、議会は国際刑事裁判所にヤヌコーヴィチを含む当局者を裁判にかけるよう求めた。同日、ヤヌコーヴィチとザクハルチェンコは国際指名手配された。
  刑事訴訟の手続きは2月20日、ユーロマイダンのデモ参加者に対する殺人から始まった。ヤヌコーヴィチ元大統領、アンドリー・クリュイェフ元大統領府長官、プションカ元検事総長、ザクハルチェンコ元内務大臣、ヤキーメンコ元保安庁官、スタニスラフ・シュリアク元国内軍指揮官を含む多数の当局者が容疑者であると宣告された。
政治の展開第1次ヤツェニュク政権も参照。)
  2月22日、ユーリア・ティモシェンコは刑務所から釈放され、独立広場には10万人が集まった。議会は同日にアバコフを内務大臣に任命した。また、プションカ検事総長が信任投票により追放された。
  喪服の2日目にあたる2月23日、ロシア語・ルーマニア語・ハンガリー語に地方言語としての地位を確立させる言語政策に関する法案が廃案となることに大多数が賛成したが、少数派言語の保護する法案が出るまで署名をしないという大統領代行の意向により拒否された。同日、外務大臣のレオニド・コズハラ、健康大臣のライサ・ボガチロファ、教育大臣のドミトロ・タバチュンクが解任され、メスィヒリャー邸宅が国有化された。オレクサンドル・クリーメンコとプションカ検事総長の令状が発行された。議会は新たに裁判官を任命、ウクライナ公正最高評議会が設置され、また解雇についても改正案が可決された。
  2月24日、議会は社会政策大臣ナタリア・コロレフスカと文化大臣レオニード・ノヴォクハッコを解任した。ウクライナ国立銀行の総裁もイーホル・ソーキンを解任、新たにシュテパン・クビフが就任した]。ウクライナ保安庁官もオレクサンドル・ヤキーメンコから新たにヴァレンチェン・ナリヴァイチェンコが就任した。地域党党首のオレクサンドル・イェフレモフは野党の方へ移ろうとしている傾向が見られた。同党は77人の国会議員が数日間で離党している。
  2月25日、トゥルチノフ大統領は2月27日までに挙国一致内閣を形成するよう求めた(2日前にも2月25日までに挙国一致内閣の形成を求めている)。同日、アナトリー・キナフ含む33人の議員(主に地域党員)が経済開発党を設立した。
  2月26日、トゥルチノフはウクライナ軍最高指揮官の権利を引き継いだ。
新法案
  2月24日、議会は父子を含むすべての政治犯の釈放を決めた(パヴィルシェンコ刑事事件)。誓約を破るため、ウクライナ憲法裁判所では5人の裁判官を解雇している。議員は同じ理由でウクライナの大統領により任命された2人の裁判官の解雇を提案、ウクライナ裁判官の評議会に3日以内の臨時会開催を提案した。議会は改憲の手順について、2010年9月30日のウクライナ憲法(№ 20-rp/2010)の決定を採用、ウクライナ人民代議員大会の意見もあり、有罪だったすべての裁判官に対する刑事訴訟の手続きを始めるよう、検事総長に命じた。
  2月27日、憲法裁判所裁判官は議会決議の合憲性に疑問を呈していた欧州機関・国際機関に手紙を送っている。同日、ヤヌコーヴィチは州予算から700億ドルを盗んだとして非難されている。
検閲
  ウクライナテレビ・ラジオ放送委員会は3月11日、全てのケーブル事業者に対してRossiya1、Channel One、NTV、Rossiya 24などのロシアのテレビ番組を流すのを止めるよう命じた。
ラストレーションウクライナのラストレーションも参照。)
  2月26日、エホル・ソボレフはヤツェニュク政権の中でラストレーションの上に委員会を指揮するよう候補者として指名された。2014年8月14日に国会議員は政府職員の取り調べを行う手続きを確立した新法案を採択した。
  ヤヌコーヴィチ政権の政府関係者の取り調べに関する法の影響を受けた人物は100万人に及ぶハリコフ人権保護団体員のヴォロディミール・ヤホルスキーはこれは不合理であると述べ、人権侵害にあたるのではないかとの懸念を表明した。
  ウクライナ保安庁は元諜報機関部長のヴォロディミール・バイクを逮捕した。2014年7月3日、ミコラ・アザロフ元首相が権力濫用の疑いがある国際的リストに掲載された。
  ユーロマイダン後、ヤヌコーヴィチ政権の当局者、地域党所属議員8人の自殺が判明した。ニューズウィークは一般検察庁の事務所を訪ね、死者についての情報を尋ねると国家機密であるとして回答拒否されている。ニューズウィークはこのことについて驚異的であるとの反応を示した。後ほど検察が死者のうち4人が殺人として捜査されていると述べた。5人目の死者である検察官セルゲイ・メルニュクの殺人容疑で容疑者が逮捕されている。
交通の影響
  2月18日16時、キエフ地下鉄はテロの危険性があるとして運行を停止した。2月20日10時、ユーロマイダンの活動家達が総合技術学院駅を訪れ、運行の再開を要求している。キーウ市国家行政府を務めていたイヴァン・サリーも地下鉄の再開を求めている。16時、チフスキーはポズニアキー駅からペシェルスカ駅に向かったとリヴィウスカ・ガセタは報告した。政府は高速道路・鉄道を閉鎖した。
  2月24日に独立広場駅の再開により地下鉄は完全再開した。
ベルクトの解散
  2月25日、アバコフ内務大臣はベルクト解散の法案に署名した。3月、ロシアはロシア内務省に加えられたようにクリミア・ベルクトとして名前が残ると発表している。
新政府に対する抗議
  キャシー・ヤングによると、アンチマイダンの革命に対する抗議では、路上に貼られたポスターやインターネットの記事、集会の演説・公演でさえも、新政府を裕福なユダヤ人の利益を守るためにウクライナ人を利用しているというユダヤ系の排他的集団として非難、革命をシオニストのクーデターとして描いたという。
ウクライナ東部・南部(2014年ウクライナでの親ロシア派騒乱も参照。)
  2月22日、親ロシア・ウクライナ表面団体はウクライナ南部及びウクライナ東部で会議を開いた。主催者のアンドリー・クリュイェフは同団体は準同盟地域の連邦議会との議論を意図したものであると述べた。
  野党の案が議会によって可決されたあと、ヤヌコーヴィチはキーウからハルキウへ訪れ、前述の会議に出席している(ベルクト軍はこの事態を踏んでハルキウへ集まっている)。
  ユリー・ルシェンコが報告したように、2月22日深夜0時以降、ウクライナ保安庁は分離主義を主張しているハルキウ州知事マイクハイロ・ドブキンとハリコフ市長ヘンナディー・ケルネスの訴訟手続きを進めている。しかし、内務省はケルネス市長とドブキン知事がロシアに逃亡したと報告している。
  2月22日、ハルキウの南部・東部の議会では国内における憲法及び秩序保護の責任を負う準備が出来ていると宣言する決議が可決された。最近キーウで起こっている出来事が中央政府を麻痺させ、国を不安定にさせているのだと議員は述べている。また、議会の権限について、拒否する声明に署名している
  2月23日、議会は少数民族言語に関する法律を撤回する法案を可決した。大統領が署名した場合、法案はウクライナ語をウクライナ唯一の公用語として確立されたと見られる(ウクライナ語を公用語とする地域はロシア語話者の多いクリミアも含んでいる)。クリスチャン・サイエンス・モニターはこの法案はロシア語話者の不満を募らせるだけであると報じたが、ヤヌコーヴィチ政府を打倒したキーウにおける反政府デモがウクライナの国家主義を意図しているのだと見ている。
  2月28日、トゥルチノフ大統領はこの法案に対して拒否している。
  2月23日、ハルキウで数千人の親政府派と反政府派が拮抗している衝突が発生、ケルネス市長は市議会に入ろうとした際に妨害されている。ウラジーミル・レーニンの銅像は親露派の抗議者により見張られていたが、州政府は2月25日に銅像を解体することを発表した。
  2月24日、アバコフ内務大臣はハルキウに拠点を置く反ユーロマイダン組織オプロットの指導者であるイェブヘン・ズイリンによる刑事事件が発覚したと発表した
  3月1日、ハルキウドネツィクシンフェロポリオデッサルハーンシクメリトポリイェウパトーリヤケルチマリウポリで数千人が新政府に対して抗議活動が行われた。4月に行われた公式調査では、ウクライナ東部の大半の人が新政府全体は違法であると考えていた。また、トゥルチノフ大統領についても回答者の半数が違法と回答しており、ヤツェニュク首相主導の中央政府に関しても同意見であった。ヤヌコーヴィチは法で認められる限りの大統領ではないと回答した人は70%近くに上っている。
クリミア(詳細は「ロシアによるクリミア・セヴァストポリの編入」および「2014年ウクライナ内戦」を参照)
  ウクライナの騒乱が発生してから、クリミア半島ではロシアにより編入されている。2014年3月1日、ロシアのプーチン大統領が合法性や平和、法と秩序、安全性の確立、ウクライナ人守護のために軍隊を送るという書簡をヤヌコーヴィチに贈った。同日、クリミア危機のためプーチン大統領はロシア議会にウクライナに軍を配備するという要請をしている。結果、ロシア軍はウクライナ南東部・クリミアに配備され、3月2日までにクリミアはロシア軍の完全支配下に置かれた。
ソビエト時代のモニュメント破壊
  ブロディにある陸軍司令官のミハイル・クトゥーゾフの記念碑が破壊された。ユーロマイダンの抗議者により少なくともレーニンの銅像25体が破壊されている。右派セクターは大半の記念碑を破壊しているとして非難されている。約400人が銅像の破壊行為に関わっている。ウクライナ西部の都市ストリーではソ連兵士を賞賛する像が破壊されている。2013年12月初旬、何者か(ウクライナ蜂起軍?)により1918年に死亡したキーウのアーセナル工場の労働者を称える像の一部が赤と黒で塗られている
  2月28日、ドニプロで第二次世界大戦で戦った赤軍を偲ぶ記念碑とアフガニスタンで戦ったソ連軍を偲ぶ記念碑が破壊された。ロシア外務省のツイッターはソ連・ロシアの記念碑の破壊をする反露的行動に怒りの感情を表し、記念碑破壊の行動を止めるよう要求した。
州政府施設の占領
  2月18日からユーロマイダンの活動家はいくつかの州政府の建物を占領している。
経済
  2014年3月、国際通貨基金はウクライナの安定化を図るために32億米ドルを調達した。欧州連合はウクライナに対して、最近署名されたウクライナ-欧州連合協定下で約束された16億ユーロの取得のため、国際通貨基金に資金援助を確保するよう求めている。
スポーツ
  2014年2月19日、欧州サッカー連盟は2013年-14年のUEFAヨーロッパリーグの決勝トーナメント(FCディナモ・キエフバレンシアCF)の会場をキーウにあるオリンピスキ・スタジアムからキプロスニコシアにあるGSPスタジアムに変更した。理由としてキーウの暴動を挙げている。FCディナモ・キエフやウクライナの他チームはこの週は試合前、キーウでの犠牲者のために黙祷し、選手は悲嘆の腕章を身につけながら国歌を斉唱した。
  2月25日、2013年-14年のウクライナ・バスケットボール・スーパーリーグの試合が延期された。2月26日、2013年-14年のウクライナ・プレミアリーグの第二部が国難状況を鑑み中止された。
  3月3日、アメリカ合衆国とウクライナの親善試合がハルキウにて行われる予定だったが、ハルキウ州の危険性が懸念され、キプロスニコシアに変更して行われた。HCドンバスKHL優勝決定戦の会場はドネツィクのドルズィバ・アリーナからスロバキアブラチスラヴァのスロブナフト・アリーナに変更された

反応
ウクライナ国内
ヴェルホーヴナ・ラダ
  2月20日、議会は16時に再開され、23時まで機能した。議員はウクライナの民間人の死につながった暴動に対する非難を表明する法案を採択した。
  2月21日朝、ライバック議長はウクライナにおける暴動を非難する決議に署名したと発表した。
政治家の反応
 ・イリュナ・ヘラシュシェンコ - UDAR所属のクリチコ反対派議員。ウクライナの医療サービスの危機的状況についてこう述べている:あらゆるサービスが危険に瀕している。医者は素晴らしい。彼らは完全献身で働いていて、その人の犠牲は印象的であった。
 ・ヤツェニュク首相はヤヌコーヴィチとの交渉を終えた後、会談は何も終わっていないと述べている。ヤヌコーヴィチは野党指導者達に刑事責任を負わせようとしていると述べ、停戦協定もなく、政府もその気は無い。ウクライナの歴史に残る、最も劇的な1ページを飾る瀬戸際に立っていると付け加えた。
 ・クリチコはUDARのウェブサイト内で次のように述べている:ヤヌコーヴィチはこの状況に対して不十分な反応をしている。ヤヌコーヴィチが話していたすべては野党指導者とキーウの独立広場の群衆と睨み合ったあと、武器を置くよう頼まれなければならないということだ…これはキーウで抗議者に銃撃戦を持ちかけた警察のことだ。私はヤヌコーヴィチに対して'人々が死に行くなか、当局者が法執行官を打ち消さなければならないという今の状況に終止符を打たねばならない'と話した。流血沙汰の間、会談で解決することはできたのか?残念なことに、ヤヌコーヴィチは状況を理解していない。
 ・セルフィー・アルブゾフ代理首相は2月19日の閣議で次のように述べている:価値観の違う欧州とウクライナの発展に向けた対話は容認できない。人命が失われ、ウクライナとその国民の財産が破壊され、車も家も燃やされ…国際社会の目には恥じたウクライナが見えている。
 ・オレナ・ルカシュ法務大臣は野党との合意は不法であると訴え、直ちに暴動を沈静化するよう要求した。暴動が少しずつ激化しているのは過激派のせいであると主張した
 ・オレフ・トサリオフ地域党所属議員はロシアのテレビに出演し、当局は1時間以内に独立広場を片付けると発表した。我々はマイダンの群衆に命令したあと、ウクライナ全土を一掃すると述べた。
 ・ヴァダイム・コレスニシェンコ地域党所属議員はウクライナの暴動に反対している野党とアンゲラ・メルケルドイツ首相を批判した。
 ・2月18日、インナ・ボホスロフスカはフロマドスケテレビのインタビューに対して抗議デモ参加者を装う警察官を見たと述べている。同日、MVSのウェブサイトには銃器で武装した抗議者を装った一般人が公開された。
 ・ユーリヤ・ティモシェンコは野党にヤヌコーヴィチとの会談を中止するよう求めた。
 ・極右の政治運動に関する研究に特化した国際的な研究者たちはウクライナ騒乱の民族主義的な主張に同意しないという声明を発表し、民主的で自由主義的な性格であると指摘した。前述の研究者により署名された書簡によると、民族主義者たちが抗議に関係している一方で、運動に及ぼした影響は僅かであるという。しかし、ロシア帝国主義を主張しているロシアのメディアはこの影響を過大に強調しているという。
地域
 ・クリミア最高議会幹部会は次のように述べている:平和なクリミア半島はキーウの暴動を心配している。キーウの路上の暴動は野党が当局者に対する譲歩を認め、恩赦法を利用した証明である。2月18日、無実の人々は無法地帯の武装勢力の手で殺められた。野党指導者や偏向メディアは認めようとしないが、これは平和的な抗議とは言えない。これは内戦の開戦と言えよう
 ・ルハーンシク州の議員は次のように述べている:ウクライナのヴィクトル・ヤヌコーヴィチ大統領はウクライナに対して実質的に武力行使を訴えている人々に対して、非常事態を持ち出した人々に対して厳しい処置を講ずるよう求めており、我々はそれに振り向いた。平和的な交渉はもう終わり。テロリストや過激主義者との交渉はもうできない!。
 ・クリミア・タタール民族会議元会長ムスタファ・ジェミーレフは次のように述べている:彼らはあらゆる愛国者に対する答えを展開している。私は全市民に安全地帯・抵抗地帯を作るよう訴える。
国際的な反応
国際機関
 ・国際連合 - 潘基文事務総長は2月19日にウクライナの容認できない暴動と拘束された者の赦免を終わらせるよう求めた。
 ・欧州連合 - EU外相のキャサリン・アシュトンはヤヌコーヴィチ・政府・野党指導者達に騒乱の根本的な原因を解決するよう促した欧州委員会委員長ジョゼ・マヌエル・ドゥラン・バローゾは殺された人々の家族に対して哀悼の意を表明する声明を発表、騒乱の終結を求めている。欧州連合の声明は次の通り:両国間の政治的な対話を促進し、状況改善のための支援を誠意に提供している。憲法改正、新政権の形成…我々はこの場で欧州連合があらゆる事態に対応することを明らかにし、暴力やそれを用いた責任能力のある人に対する相応の措置が期待される、そういった緊急問題を締約国が合意することが出来る。
 ・欧州評議会 - 2月18日、トールビョルン・ヤーグラン事務総長は声明でウクライナ議会はこの危機的状況をどのように打開するかについて真剣に議論するべきであると述べた。
 ・欧州安全保障協力機構 - 2月19日、スイスのディディエ・ビュルカルテ外相はウクライナ当局に対してウクライナ国内の恐るべき状況打開のために最大限の努力をすると訴え、ウクライナ人の尊敬される民族性と並行して作業できる可能性のある公平な国際的後援者と暴力的犯罪や人権侵害に関する国際的な専門家チームの派遣し、支援を行った。
 ・ヴァイマール三角連合 - フランスドイツポーランドの3カ国はウクライナ新政府に少数民族の権利を尊重するよう迫った。3カ国外相は2月28日に共同声明を発表した。次のように述べている:言語問題に関して、ウクライナ社会における多様性のある調整は東部・南部の少数民族の権利を含む全ての合法性のある利益と関わっている。
国別
 ・アルメニア - 2月20日、外務省のスポークスマンは次のように述べている:我々はキーウの衝突により生じた数十人の犠牲者を深く偲ぶ。ウクライナはアルメニアとの友好国である。平和的解決を成し遂げるため、議論と会談が再開されるよう望む。
 ・オーストラリア - 2月19日、ジュリー・ビショップ外相はウクライナの騒乱を非難し、危機的状況解決のため両国間の積極的な政治交渉を再開するよう求めている。
 ・カナダ - ジョン・ラッセル・ベアード外相は2月18日の声明で次のように述べている:ウクライナの抗議や暴動を止めるよう、カナダはあらゆる人に頼む。暴動は今日のカナダ政府では気付かれないことはなく、そして我々は国際社会の同盟国と協力し、責任者が確実な説明をできるようにする。同日、カナダからウクライナへ医療援助を提供すると述べている。
 ・コロンビア - 外務省はコロンビア政府を代表してウクライナの危機的状況に対する深い懸念を表明するプレスリリースを発行した。また、過去の2-3日間で生じた衝突・暴動を嘆いている。同じ声明では、安全保障人権・国民の基本的自由を保証するようウクライナ政府に促している。
 ・チェコ - ルボミール・ザオラーレク外相は2月19日にウクライナ大使と会談し、その中で抗議者による暴力に対して絶対に容認できないと述べ、抗議者に対する対応を説明した。国はいかなる状況の起こりうる問題に対してはこのように解決しなければならないと付け加えた。
 ・エストニア - ウルマス・パエト外相は2月19日の声明でウクライナを援助する必要があるとして、エストニアは責任者全員に対する懲罰的措置を検討する用意があると述べた。
 ・フィンランド - エルッキ・トゥオミオヤ外相は2月18日の声明で殺された人々の家族に対する哀悼の意を表明、欧州連合と欧州安全保障協力機構、欧州評議会の対応を賞賛した。
 ・ジョージア - 外務省は2月18日にキルギスタンによる軍隊の使用を非難、ジョージア当局者は悲劇的な出来事が生じる懸念を示した。2月20日、ギオルギ・マルグヴェラシヴィリ大統領は次のように警告した:自国民に対して武器を使用した政府のことを少しも賞賛することは無い。単一政府はそれをやってのけなかった。
 ・イラクリ・アラサニア国防相はガーディアンのインタビューでウクライナ騒乱はプーチン大統領による初めての戦略的失敗であると述べた。アラサニアは騒乱のエスカレートに対して楽観視しており、次のように述べている:胸を叩いて見栄を張るのは珍しいことではないが、ロシアは軍事的対立をしていない。プーチン大統領が軍事的な選択を選ぶことはないだろう。
 ・ドイツ - フランク=ヴァルター・シュタインマイヤー外相は抗議の規模を拡大させるような責任者は欧州連合が確実に制裁を再考されるような立場にあることを知るべきであると警告している。
 ・ハンガリー - 外務省は深刻化する懸念とともに被害者の家族に対する深い哀悼の意を表明した。ハンガリーは隣国として民主主義で統合された安定したウクライナに対する興味はウクライナ在留ハンガリー人が法律の確実性に直接持った興味と同じくらいあると述べた。
 ・イスラエル - アヴィグドール・リーベルマン外相は事態の深刻化に対する懸念を表明、今後は犠牲者なしに危機的状況が解決することを希望していると述べた。
 ・イタリア - エンマ・ボニーノ外相は2月20日に暴動・武器禁輸・責任者に対するビザ制裁をするよう呼びかけている。
 ・ラトビア - 2月19日、外務省はウクライナ政府に対する騒乱拡大の全責任を負うといった声明を発表、暴力的犯罪を犯したものは相応の責任を負わなければならないとしている。
 ・リトアニア - 外務省は次のように述べている:暴動を直ちに沈静化させ、死傷者を生じさせた全ての衝突・事件を徹底的に調査し、加害者を裁判で裁くよう要求する。武力行使の責任者に対してはそれ相応の措置を適用する可能性を検討する
 ・ポーランド - 外務省からヘンリュカ・モッスィカ=デンディー国防長官が2014年2月21日のユランズ・ポステンでウクライナの将来を決めるのはウクライナの人々であると述べた一方で、ポーランドとウクライナの関係の重要性を強調した。デンディーはポーランド・チェコスロバキア・ハンガリーはずっと東側諸国に属すると予想していたその信念がロシアの指導者ボリス・エリツィンにより変えられたという話があった。デンディーは過去に民主的なロシアによる恩恵を受けられるのは親欧州派のウクライナのみであるといった状況と現在の状況に類似性を見出している。
 ・ルーマニア - トラヤン・バセスク大統領はウクライナ騒乱が地域の安全を脅かすと述べ、ルーマニアは希望の兆しがなくなったとして各国から提案された制裁に同意する意向を表明、25人の死はウクライナ政府と抗議者双方の事実性のある証拠として働くだろうと付け加えた。ヴィクトル・ポンタ首相は平和にするよう訴え、外交努力は暴力の沈静化につながると述べている。
 ・ロシア - ロシア外務省は2月19日に次のように述べている:今起こっていることは、抗議が拡大し、合法性のある当局者による衝突発生を奨励し、それにより、西部の政治家とウクライナの過激とも言える軍隊の暴走を見て見ぬ振りをしたヨーロッパ機関による宥和政策の直接的な結果である。
 ・ロシアはウクライナでの騒乱をクーデター未遂であると考えるとロシア大統領の報道官により述べられた。
 ・2014年2月20日、ドミートリー・メドヴェージェフ首相はロシアがウクライナに完全に協力できるのは関係が良好である時だけだと述べた。ロシアはウクライナの強い政府を欲しがっていたと付け加えた。セルゲイ・ラブロフ外相は欧州連合の制裁措置についてはウクライナ騒乱の責任者を脅かすとし、また欧州連合は制裁措置の取り入れを考慮している一方で、任務とはいえ招かれざる客としてキーウを訪れると述べた。
 ・2月24日、メドヴェージェフは大統領を変えた当局者の正当性について疑問を呈した。また、キーウを放浪しながら黒マスクでカラシニコフを主導している人々を政権とみなした場合、その政府と協力することは難しいことだろうと述べている。
 ・翌日、ラブロフ外相はテレビチャンネルのインターの信頼、ウクライナのロシアテレビの放映、演説の自由、言語法の廃止に対して懸念を表明した。また、政府が過激派国家主義者の影響を防ぐことに興味を持っていると付け加えた。
 ・スウェーデン - カール・ビルト外相は欧州連合はウクライナの抑圧・暴動関係者の利益に対する措置をとる行動を躊躇しないという声明を発表した。また、ヤヌコーヴィチは手が血にまみれていると述べた。
 ・トルコ - アフメト・ダウトオール外相は記者会見でこう述べている:ウクライナは黒海沿岸に位置する戦略的に見ても重要な国で、同国の安定と平和は地域全体にとっても極めて重要なことである
 ・イギリス - ウィリアム・ヘイグ外務英連邦大臣は次のように述べている:ウクライナにおけるヤヌコーヴィチ大統領の権限が広く受け入れられなくなったというのは明らかであり、イギリスはキーウの新政府と協力する。ウクライナには、憲法改正、政治的な改善、早期投票、腐敗した政治の撲滅を目指す必要がある一方で、国際社会は更なる暴力を阻み、国際的な資金援助について同意するために新政府とともに働かなければならない。ウクライナの財政難は非常に深刻であり、外部からの援助なしに持続はできない可能性がある。ウクライナの経済危機は国家の安定性に対する重大かつ重要な脅威であり、より広範囲に打撃を与える可能性がある。5月末の大統領選挙を待たずに、財政赤字は縮小し、減価償却資産、大量の外貨借入といった事態に直面し、国際資本市場から撤退する結果を招いた。誰が大統領なのか、論争があるが、この状況では憲法がどうであれ、ヤヌコーヴィチが大統領として認められないということは明白である。私は前に述べた目的達成のために大統領代行と宣言した人との対話が必要である。イギリスがトゥルチノフを大統領として認識しているかどうかについて、ヘイグはイギリスと新政府は協力関係にあると回答した。
 ・アメリカ合衆国 - バラク・オバマ大統領は2月19日、ウクライナの暴動が続いている状況でもウクライナ軍の軍事介入は望まれていないことだと警告した。アメリカはウクライナの当局者20人及び抗議者に対して暴力を奮ったと非難された人々に対してビザ禁止措置が課された。2月20日、オバマ大統領はヤヌコーヴィチ政権を支持するロシアに対して批判し、基本的人権の尊重を求めた







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