世界の問題-2020年
2020.12.31-NHK NEWS WE -https://www3.nhk.or.jp/news/html/20201231/k10012791351000.html
イエメン 新閣僚ら乗せた航空機到着直後に空港爆発 15人死亡
内戦が続く中東イエメンで新しい閣僚らを乗せた航空機が到着した直後に空港で大きな爆発があり、
少なくとも15人が死亡しました。
イエメン政府は閣僚をねらった攻撃とみて警戒を強めています。
イエメン南部の都市アデンの国際空港で30日、閣僚らを乗せた航空機が、サウジアラビアから到着した直後に大きな爆発が相次いで起きました。当時、空港には政府関係者らが多く集まっていて、
政府の報道担当者はNHKの取材に対し、少なくとも15人が死亡し、多くのけが人が出ていることを明らかにしました。また、ICRC=赤十字国際委員会はツイッターで「
同僚の1人が犠牲になった」と発表しました。
ロイター通信は、爆発は迫撃砲によるものとの見方を伝えていますが、詳しいことは明らかになっていません。
イエメンでは、サウジアラビアなどが支援するハディ政権と、
イランが支援する反政府勢力、「フーシ派」との間で、内戦が5年以上続いています。ハディ政権では、協力関係にあった勢力が一時分裂していましたが、和解し、12月新しい内閣が発足したばかりで、政府は閣僚をねらった攻撃とみて警戒を強めています。
爆発が起きた中東イエメンのアデンの空港には当時、閣僚の到着を取材するため、多くの報道陣が居合わせていました。このうち、中東のテレビ局アルアラビアの映像では、到着した飛行機のタラップから乗客が降りるなか、突然、大きな音が鳴り響き、集まった人たちが逃げ惑う様子を伝えています。
また、AFP通信は最初の爆発のあとに起きたとみられる別の爆発の瞬間を捉えています。映像では、空港の建物から黒い煙があがる中、敷地内に何かが飛来し、着地したのと同時にドーンという大きな爆発音が響き渡り、周辺に炎と煙が上がる様子が確認できます。
2020.12.19-産経新聞 THE SANKEI NEWS-https://www.sankei.com/politics/news/201219/plt2012190006-n1.html
中国海軍、瀬取り監視を牽制 増強裏付け、包囲網に警戒
北朝鮮による洋上での違法な物資の移し替え
「瀬取り」への対策として日米両国などが東シナ海で実施する警戒監視活動に対し、
中国軍艦艇が牽制する動きを強めていることが19日、分かった。
自衛隊や米軍の艦艇それぞれに1隻ずつ張り付け、追尾する活動が常態化しているという。これとは別に展開する艦艇を加えれば、多いときで中国艦10隻以上が東シナ海を航行しており、中国海軍の増強を裏付ける形となっている。
複数の政府関係者が明らかにした。自衛隊と米軍の艦艇それぞれ2隻、オーストラリア軍や英軍などが瀬取り監視に参加した際の1隻を加えた計5隻が監視活動を行う場合、中国艦がそれぞれに一定の距離を取って航行。最近では平成25年11月に中国が一方的に設定した防空識別圏の海域に日米艦などが入れば、ほぼ同時に中国艦が現れて追尾を開始するという。
国連安全保障理事会で北朝鮮への制裁決議の履行状況を監視する専門家パネルは今年3月、
中国の「はしけ船」が瀬取りに関与した事例や、北朝鮮の石炭が中国の港に搬送された事例を報告している。中国艦が瀬取り監視を牽制(けんせい)しているのは、中国の船などに生じる不測の事態に備える一方、日米を中心とした中国包囲網の形成を牽制する思惑もあるとみられる。
中国艦は東シナ海で、尖閣諸島(沖縄県石垣市)周辺に2隻が常時展開して不測の事態に備えているほか、独自の活動をしている米艦を追尾。これに演習などで航行する艦艇を加えれば、最大10隻以上の中国艦が東シナ海に展開している。米国防総省は中国軍の保有艦艇が世界最大の約350隻に達したと分析しており、瀬取り監視への牽制を含む活発な活動は中国海軍の増強を裏付けている。
瀬取り監視は日米両国のほか、韓国、オーストラリア、英国、フランス、カナダ、ニュージーランドが参加している。米海軍第7艦隊の旗艦ブルーリッジに「執行調整所(ECC)」が設置され、各国軍の艦艇や哨戒機、衛星が集めた情報の共有や活動調整を行っている。
瀬取り 違法物資を船から船に移し替えて行う密輸。北朝鮮は核・ミサイル開発への制裁措置として国連安全保障理事会決議で禁止された石油の輸入や石炭の輸出を瀬取りで行っている。安保理は平成29年9月に瀬取り自体も禁止する決議を採択。日米韓など43カ国が7月に安保理委員会に提出した文書は、1~5月の北朝鮮による瀬取りは計56回で、輸入量は160万バレル以上としている。
2020.12.15-JIJI.COM-https://www.jiji.com/jc/article?k=20201215040947a&g=afp
パラオ、違法操業の中国漁船拿捕 乗組員はコロナ対策で14日間隔離
【コロールAFP=時事】太平洋の小国、
パラオの海上保安当局(DMLE)は14日、違法操業をしていた中国漁船を拿捕(だほ)し、乗組員28人を拘束したと明らかにした。
パラオは台湾と外交関係があり、外交問題に発展する可能性がある。
DMLEによると、漁船はパラオ海域内のヘレン環礁で操業中に同国の巡視船により拿捕され、主島のコロールに誘導された。
DMLEのビクター・レメンゲサウ局長は、船から推定225キロのナマコを発見したと述べている。乗組員らは中国南部・海南省から来たと思われる。
また、中国人乗組員と巡視船の乗組員19人は、新型コロナウイルス対策としてパラオ国内で14日間の隔離措置が取られているという。パラオは世界でも数少ない、新型コロナの感染が確認されていない国の一つ。
パラオのトミー・レメンゲサウ大統領の兄弟である同氏は、中国人乗組員らを訴追するかどうかは決まっていないと話した。
パラオは長年、海洋保全の先駆者的存在とされており、パラオ海域内での外国商業漁船の操業を禁止している。
台湾と外交関係のある国は世界で15か国、太平洋地域では4か国しかなく、人口約1万8000人のパラオはその一つとなっている。台湾を自国の領土とみなす中国は以前から、パラオが台湾と国交を結んでいることに不快感を示している他、2018年には非公式にパラオ観光のボイコットを呼びかけた。
【翻訳編集AFPBBNews】〔AFP=時事〕
2020.12.04-産経新聞 THE SANKEI NEWS-https://www.sankei.com/world/news/201204/wor2012040022-n2.html
モルドバ「ロシア離れ」鮮明 次期大統領、露軍の撤退要求
(1)
旧ソ連圏では近年、ロシアの影響力低下が指摘されている。
中央アジアでは中国の存在感が強まり、南カフカス地方でもトルコが勢力を拡大。一方のロシアは14年にウクライナに軍事介入し、同国とは事実上の断交状態が続く。大統領選の不正をめぐって混乱するベラルーシでは、ルカシェンコ大統領を支援するロシアへの反感が強まっている。
ロシアはこれ以上の「勢力圏」の縮小を食い止めるためにもモルドバの欧米接近を阻止したい考えで、今後、モルドバに対する政治的・経済的圧力を強化する可能性がある。
ドニエストル川東岸の「沿ドニエストル」ではソ連末期の1990年、ロシア系住民がモルドバからの分離独立を宣言し、モルドバ中央との紛争に発展した。92年に停戦が成立したが、ロシア系住民の実効支配が続き、分離独立派を支援したロシアの駐留軍も維持されている。
旧ソ連「未承認国家」多く 紛争再燃の危険はらむ
旧ソ連圏には、モルドバの「沿ドニエストル」以外にも、各国政府の施政権が及ばず、一方的に独立を宣言した「未承認国家」が存在する。過去に中央政府との紛争を経ており、軍事衝突が再燃する危険をはらんでいる。アゼルバイジャン西部のナゴルノカラバフ自治州をめぐる紛争が9月に起き、11月の停戦までに5千人以上の死者を出したのが一例だ。
ナゴルノカラバフではソ連末期の1980年代後半、多数派のアルメニア系住民がアルメニアへの帰属替えを要求し、アゼルバイジャンとの紛争になった。ロシアは91年に「共和国」樹立を宣言したアルメニア側を支援し、94年に停戦。しかし対立は続き、今年9月に紛争が再燃した。
ジョージア(グルジア)の南オセチア自治州とアブハジア自治共和国はそれぞれ90年代前半にジョージア中央と戦火を交え、独立を宣言した。両地域はロシアの庇護を得る形で事実上の独立状態を享受。2008年のロシアとジョージアの軍事衝突後、ロシアは両地域の独立を承認した。
ウクライナでは14年、東部ドネツク、ルガンスク両州の親露派武装勢力が「人民共和国」樹立を宣言し、ウクライナ軍との大規模戦闘になった。親露派はロシアの軍事支援を受けて現地の実効支配を続ける。
ロシアにはジョージアやウクライナの分離派地域を支援することで、両国の北大西洋条約機構(NATO)加盟を阻止する狙いもある。(モスクワ 小野田雄一)
(2)
旧ソ連圏では近年、ロシアの影響力低下が指摘されている。中央アジアでは中国の存在感が強まり、南カフカス地方でもトルコが勢力を拡大。一方のロシアは14年にウクライナに軍事介入し、同国とは事実上の断交状態が続く。大統領選の不正をめぐって混乱するベラルーシでは、ルカシェンコ大統領を支援するロシアへの反感が強まっている。
ロシアはこれ以上の「勢力圏」の縮小を食い止めるためにもモルドバの欧米接近を阻止したい考えで、今後、モルドバに対する政治的・経済的圧力を強化する可能性がある。
ドニエストル川東岸の「沿ドニエストル」ではソ連末期の1990年、ロシア系住民がモルドバからの分離独立を宣言し、モルドバ中央との紛争に発展した。92年に停戦が成立したが、ロシア系住民の実効支配が続き、分離独立派を支援したロシアの駐留軍も維持されている。
旧ソ連「未承認国家」多く 紛争再燃の危険はらむ
旧ソ連圏には、モルドバの「沿ドニエストル」以外にも、各国政府の施政権が及ばず、一方的に独立を宣言した「未承認国家」が存在する。過去に中央政府との紛争を経ており、軍事衝突が再燃する危険をはらんでいる。アゼルバイジャン西部のナゴルノカラバフ自治州をめぐる紛争が9月に起き、11月の停戦までに5千人以上の死者を出したのが一例だ。
ナゴルノカラバフではソ連末期の1980年代後半、多数派のアルメニア系住民がアルメニアへの帰属替えを要求し、アゼルバイジャンとの紛争になった。ロシアは91年に「共和国」樹立を宣言したアルメニア側を支援し、94年に停戦。しかし対立は続き、今年9月に紛争が再燃した。
ジョージア(グルジア)の南オセチア自治州とアブハジア自治共和国はそれぞれ90年代前半にジョージア中央と戦火を交え、独立を宣言した。両地域はロシアの庇護を得る形で事実上の独立状態を享受。2008年のロシアとジョージアの軍事衝突後、ロシアは両地域の独立を承認した。
ウクライナでは14年、東部ドネツク、ルガンスク両州の親露派武装勢力が「人民共和国」樹立を宣言し、ウクライナ軍との大規模戦闘になった。親露派はロシアの軍事支援を受けて現地の実効支配を続ける。
ロシアにはジョージアやウクライナの分離派地域を支援することで、両国の北大西洋条約機構(NATO)加盟を阻止する狙いもある。(モスクワ 小野田雄一)
2020.11.30-産経新聞 THE SANKEI NEWS-https://www.sankei.com/world/news/201130/wor2011300007-n1.html
エチオピア首相、作戦終了と発表 強権的手法に平和賞授賞「早すぎた」
【カイロ=佐藤貴生】
エチオピアのアビー首相は11月28日、
北部ティグレ州を支配するティグレ人民解放戦線(TPLF)との軍事衝突で、連邦政府軍が同州の州都メケレを制圧し、軍事作戦は終了したと述べた。同月4日に始まった
戦闘では数千人が死亡、4万4千人が隣国スーダンに脱出したとされる。
アビー氏は隣国エリトリアとの紛争を解決したとして2019年のノーベル平和賞を受賞。女性閣僚の登用や政治犯の大量釈放なども進め、「
改革の旗手」として国際社会の注目を集めた。しかし、TPLFとの衝突ではアフリカ連合(AU)の調停を「内政干渉だ」として拒否し、
多大な犠牲も省みず戦闘を強行した姿勢に識者からは批判の声も上がっている。
メケレに入った連邦軍は11月29日、TPLFの残存勢力の捜索を進めた。連邦政府の報道官は「メケレ州には非常事態宣言が出ており、メディアの立ち入りは認めない」と述べた。政府は同州の通信回線を遮断、詳しい情勢が確認できない事態が続いている。
TPLFのトップはロイター通信に、メケレ周辺からは撤退したと述べる一方、「自決権を守る」として戦闘を継続する意向を示した。投降を拒んだ勢力が地下に潜り、ゲリラ戦術に転換するとの見方もある。
TPLFの主体である少数民族ティグレは全人口の5%に過ぎない半面、強力な軍事組織を有しており、1991年には政府との戦闘をへて首都アディスアベバを占拠。以来、他の小規模な政治勢力を束ねて与党連合を主導、中央政界を牽引(けんいん)してきた。
その体制を揺るがせたのが、国内最大民族オロモの出身で2018年に首相に就任したアビー氏だ。エリトリアとの紛争解決後の昨年暮れ、民族色の濃い与党連合を単一の挙国一致政党にまとめる再編を進めた。これに反発したTPLFは参加を拒否し、アビー氏は同組織の幹部らを政界から排除してきたとされる。
2020.11.29-WEDGE Infinity-https://wedge.ismedia.jp/articles/-/21489
トランプ退場前に強行した“共同作戦”モサドか、イラン核科学者の暗殺
(1)
イランの国営メディアによると、同国の
核開発計画で中心的な役割を担ってきた著名な科学者モフセン・ファクリザデ氏が
11月27日、暗殺された。米ニューヨーク・タイムズは当局者の発言として「イスラエルの介在」を伝えており、情報機関モサドの関与説が出ている。トランプ米大統領の退場前に強行した作戦だった可能性が強い。
イランの報復説が飛び交い、中東は緊張している。
2人の国家的英雄の死
事件はテヘラン東方約60キロの町アサードの3車線道路で起きた。
ファクリザデ氏の乗った車が別の車に乗った5、6人から銃撃され、直後に近くに止めてあった「ニッサン」トラックが爆発した。同氏はヘリで病院に運ばれたが、死亡が確認された。ボディーガードも負傷した。犯行のもようから、周到に準備された組織的な暗殺作戦だった。
イランのザリフ外相は
宿敵イスラエルの関与を示す「重大な形跡」があるとしてモサドの作戦だったことを示唆、バゲリ軍参謀総長は「
必ず暗殺者を追い詰め、報復する」と言明した。イランが今回の暗殺に衝撃を受けているのは1年もたたないうちに
「国家的英雄」2人を暗殺で失うことになったからだ。
2人はファクリザデ氏と革命防衛隊コッズ部隊のソレイマニ司令官だ。同司令官は1月3日イラクで、米ドローン攻撃により暗殺された。2人とも軍人と科学者という立場は異なるが、米国やイスラエルと一歩も引かずに渡り合う誇り高きペルシャ人として国民の人気を集めていた。
ファクリザデ氏は長い間、モサドや米中央情報局(CIA)などにとって、暗殺の標的ナンバー・ワンとして知られてきた。しかし、同氏の経歴などについては謎に包まれた部分が多い。イスラエルや米メディアによると、同氏はイラン革命の直後に革命防衛隊に入り、その後核開発の道に転じた。国際原子力機関(IAEA)が同国の核開発の実態を調査するため同氏との面談を申し込んでも、イラン側は同氏がテヘランのイマーム・フセイン大学で教鞭を執っているとして事実上拒否してきた。CIAは2007年、教授という肩書は隠れ蓑と断定している。
イランは公式には2003年、核開発を放棄したと発表したが、その裏では、
ファクリザデ氏が中心になって開発を継続してきたとの見方が強い。イスラエルは同氏が弾道ミサイルに搭載するための核弾頭の小型化に取り組んできたとの疑いを持っており、ネタニヤフ同国首相は同氏が1998年以来、核開発計画のリーダーとして留まり、最近ではイラン国防省内に設けられた秘密組織内で活動を続けている、と主張していた。
これまでに報じられたところによると、
モサドは2010年から同12年まで、イランの核科学者4人を爆弾などで暗殺した。イランでは7月、核開発の中枢である中部ナタンズの核施設が爆破されたのをはじめ、全国で発電所などに対する放火事件が相次いだ。8月には同国内に潜伏していた国際テロ組織アルカイダのナンバー2の暗殺事件も発生。筆者はモサドの破壊工作が活発化しているとして11月18日付『核合意への復帰阻止が狙い、イラン攻撃案でトランプ氏』の中で「不穏な空気が漂っている」と書いたばかりだった。
(2)
バイデン氏への不信感を象徴
今回の暗殺事件がモサドによる作戦であるとすれば、今なぜ強行する必要があったのだろうか。その理由は大きく言って2つある。
1つはイランの低濃縮ウラン貯蔵量が現在、イラン核合意で定められた上限を大幅に超えているという危機感がイスラエルにあるからだ。
合意で決められた貯蔵量の上限は300キロだが、IAEAによると、
今はその8倍、2.4トン以上に達している。これは核爆弾2個分に相当する貯蔵量だ。イランは最高指導者のハメネイ師が核兵器を製造しないと明言しているが、仮に爆弾を製造する気になれば、4、5カ月で完成させることができると見られている。今月には濃縮に使う最新型の遠心分離機の稼働も発表している。
もう1つは米国でトランプ政権が退場し、バイデン新政権が誕生することが決定的になったためだろう。バイデン次期大統領は条件付きながら、イラン核合意への復帰に前向きだ。
イスラエルとしては、米国が復帰する前にイランの核開発の中心人物を抹殺し、禍根を絶っておきたいという狙いがあったのではないか。トランプ氏の在任中であれば、作戦を実行しても米国からの支持を得られるとの思惑がある。裏を返せば、バイデン氏に対する不信感を象徴する作戦だったとも言える。
ベイルートの消息筋は「イスラエルによる今回の作戦はトランプ政権との事実上の“共同作戦”だったのではないか」と指摘、トランプ氏が事前に知らされていたばかりか、積極的に関与していたのではないかとの見方を示している。ポンペオ国務長官が最近、イスラエルに3日間も滞在した際、イランの核開発についてイスラエル側と突っ込んだやり取りをしたのは確実で、暗殺作戦を全く知らなかったというのはむしろ合理的ではないだろう。
トランプ氏自身、11月12日のホワイトハウスでの安全保障チームによる会議で、イランの核施設を攻撃する具体的選択肢を提示するよう要求するなど、イランに対して最後の一撃を加えたい思惑があったのは明らかだ。この背景には自分が政権を去った後、バイデン政権とイランとの関係改善を邪魔したいという考えもあったかもしれない。
問題はイランが報復に出るのかどうかだ。イランの対米戦略はここ半年、トランプ氏の退場をじっと待ち、少々の挑発には乗らないというものだった。
ソレイマニ司令官暗殺の場合、米国が殺害を正式に発表したため、報復せざるを得なかったし、実際に弾道ミサイルをイラクの米軍基地に撃ち込んだ。
しかし、今回の場合、公式には誰が実行したのかは不明である。今後、イスラエルや米国が暗殺を認めるような展開にもなるまい。つまりはイラン側にも表面上、誰に報復すればいいのか分からず、「報復しない理由」がある。国民にもなんとか説明が付くことを考えると、直接的な軍事行動は控え、トランプ氏の退場をじっと待つという選択肢を採用する可能性が高いのではないか。
2020.11.26-産経新聞 THE SANKEI NEWS-https://www.sankei.com/world/news/201126/wor2011260038-n1.html
コロナで脚光「教育のデジタル化」 IT立国エストニア快走 米中韓は課題も
(1)
新型コロナウイルスの感染再拡大を受け、
オンライン授業をはじめとする学校教育のデジタル化に改めて脚光が当たっている。「IT立国」を国策に掲げてきた旧ソ連の小国エストニアは、教育分野でもデジタル基盤の強さが光る。米国や中国、韓国もコロナ禍を機にデジタル化を加速させたが、課題はなお多い。
エストニア 長年の投資が実る
エストニアではコロナの「第1波」に見舞われた3月から5月の約2カ月間、
学校の授業が全面的にオンラインに切り替えられた。一部地域では今月30日から再び遠隔授業が導入される。同国は3月のオンライン授業への移行時、混乱や問題がほとんど起きなかった成功例として知られる。
「エストニアはコロナ禍のために特別に準備したわけではない。長年にわたってデジタルのインフラや教材、人材に投資してきたことがスムーズな遠隔授業への移行につながった」。エストニア教育科学省のステン・オツマー広報部参事官はこう説明する。
同国ではすでに全科目の教科書がデジタル化されている。児童・生徒が課題を提出したり、教員と保護者が子供の評価や理解度を共有したりするオンラインのプラットフォームもあり、コロナ禍以前から存分に活用されていた。教員や児童・生徒のITスキルが高く、学校に教育のデジタル化を補助する技術者が配置されていることも、遠隔授業の導入に役立った。
エストニアは1991年にソ連から独立後、ほどなくして「IT立国」を国策に掲げた。ITによってソ連時代の非効率を脱却し、経済を飛躍させる-。当時の政権は小国が生き延びる鍵をここに見いだした。
2002年には15歳以上の国民全員に電子IDカードが導入された。これでインターネットにアクセスすれば、会社の登記や納税を含む99%の行政手続きがオンラインで可能だ。IDカードは銀行決済やオンライン投票などにも使われる。
教育のデジタル化やデジタル人材の育成は「IT立国」の中核と位置づけられ、官民挙げての取り組みが続けられてきた。このことは学力向上という成果ももたらしている。
エストニアは2018年、世界79カ国・地域の15歳を対象とした国際学習到達度調査(PISA)で欧州1位に躍進し、注目された。前出のオツマー氏は、デジタル化で「教育格差を減らせたことが何より重要だった」と語る。子供はオンラインで必要な教材を自由に入手できるようになり、保護者の経済力や居住場所の差は以前ほどの意味を失ったという。
エストニアは人口約130万人と国の規模が小さく、あらゆる取り組みにスピード感を持たせられる。必ずしも他国と同様の条件ではないが、先見の明が実を結んでいるのは確かだ。(モスクワ 小野田雄一)
(2)
米国 影を落とす貧富の格差問題
新型コロナの「第3波」に見舞われている米国では、再度の学校閉鎖に踏み切る自治体が増えている。全米最多の約110万人の児童・生徒が通うニューヨーク市の公立学校は19日からオンライン授業に完全移行した。同市では9月下旬、約半年ぶりに対面授業を再開したが、ウイルス検査の陽性率が3%に達したことで市は再閉鎖に踏み切った。
米国ではコロナ禍以前にも、学校に通えない子供たちの支援目的などでオンライン学習を取り入れてきた州がある。南部フロリダ州は1997年に義務教育をオンライン上で受けられる「バーチャル学校」を開始した。コロナ禍で同校には再び注目が集まり、全授業を同校で受ける生徒数は昨年の2倍となった。
また、ニューヨーク市の教育水準の高い学区ではコロナ禍以前から、課題提出などにオンラインの学習管理サービスを利用していた。こうした素地があった同市は比較的円滑にオンライン授業に移行できた。
一方、米国でも貧富の格差がオンライン学習に影を落とす。今月発表された米シンクタンク「ランド研究所」の調査によると、最も貧困率が高い学区では約20%の生徒が自宅でインターネットに接続できない状態だという。学校閉鎖により、親が自宅で子供の世話をせねばならなくなる家庭も多い。在宅勤務が不可能な職種に就く低所得者層には「親の就労機会がなくなる」との懸念が強い。(ニューヨーク 上塚真由)
中国 「学習止めぬ」と号令も見切り発車
中国で新型コロナの感染拡大が深刻化したのは、1月下旬に始まった春節(旧正月)の休暇期間中だった。小中学校は感染対策のため授業の再開予定を遅らせ、教育省は1月末に「授業が停止しても学習は止めない」との方針を表明。インターネットを使い子供が学習を続けられるよう各地の教育当局に指示し、各地の小中学校でオンライン授業が導入された。
自宅でスマートフォンやパソコンなどを使い授業を受け、体育など実技の授業も行われた。オンライン授業は学校の教員によるもののほか、国が準備した動画も活用。小学3年の子供を持つ北京市内の40代の男性は「授業に必要なアプリのダウンロード方法など細かい説明はなく、デジタルに慣れていない人は大変だったかもしれない」と話す。
非常時とはいえ「見切り発車」だったことは否定できない。中国メディアによると、チベット自治区では往復6時間をかけてネット環境が整っている場所に通い授業を受けたケースもあった。中国インターネット情報センターによると、中国のネット利用者は3月時点で9億400万人でネット普及率は64・5%。オンライン授業を受けられる環境にない家庭も多い。
夏頃までには小中学校の登校が再開され、現在は通常の授業態勢に戻っている。それでも民間のオンライン教育サービスの利用拡大が伝えられ、当局はコロナ禍で得た知見を今後の教育政策に反映させるとの見方が出ている。(北京 三塚聖平)
(3)
韓国 塾でオンライン授業を受ける矛盾
「IT先進国」を自任する韓国もコロナ禍を受けてオンライン授業を積極的に活用しているが、家庭の経済水準によって授業への適応力に格差が生じ、社会問題となっている。
それぞれの家でオンライン授業に参加しているはずの生徒が、実は学習塾の同じ部屋の中にいる-。こんな珍妙な光景が広がるのは、教育水準が高いことで有名なソウル・江南(カンナム)の大峙洞(テチドン)地区だ。塾では講師がオンライン授業の内容を補完的に説明し、生徒一人一人に試験対策を施す。
韓国では4月以降、小中高の児童・生徒約540万人を対象に、オンライン授業を導入した。低所得層の家庭にはタブレット端末を貸与するなど、公平な教育環境の確保に努めている。
しかし、皮肉にも学習塾など対面授業を行う「校外学習」への需要が増加する現象が起きた。オンライン授業では対面に比べて教師の目が行き届かず、児童・生徒らの理解度に難が出ることが背景にある。
「校外学習」に子供を通わせられるかどうかは家庭の財力と関係する。2万人以上を対象にした調査によると、経済水準が上位圏の家庭では子供のオンライン授業の理解度が82・9%だったのに対し、下位圏では54・0%にとどまった。
大統領直属の諮問委員会「国民教育会議」が今月10日に公表した調査結果では「オンライン授業の拡大が続けば教育格差は広がる」と回答した教師が92・2%に達した。(時吉達也)
2020.11.14-産経新聞 THE SANKEI NEWS-https://www.sankei.com/world/news/201114/wor2011140013-n1.html
大和堆中国漁船に対応後手の海保・水産庁 専門家「赤サンゴ方式活用を」
中国漁船が大挙して密漁を続ける大和堆だが、
日本政府の対応は後手に回っている。専門家は、平成26年ごろに横行した中国漁船による赤サンゴ密漁問題での海上保安庁による厳格な取り締まりや、中国側の取り締まりなどの対策を参考にすべきだと指摘する。
水産庁関係者によると、大和堆周辺で水産庁や海上保安庁は、退去警告に応じない漁船に対して放水をしている。漁船が干しているイカに水が当たればイカが腐るためだ。だが、現在は「船が多すぎて退去させきれていない状態」(水産庁関係者)だという。
9月末~10月末は北朝鮮の公船が大和堆周辺に出没したことを受け、政府は日本漁船側に自粛を要請したが、その間も中国漁船は違法操業を続けていたこともあり、地元漁協から大反発を招いた。
石川県漁業協同組合小木支所によると、自粛が解除されて以降も、大和堆周辺には大型船2隻の間に網をつなぎ、魚種を選ばずに海中の漁業資源を獲る「二艘曳」の中国籍とみられる漁船が50隻以上確認され、日本漁船が安全に操業できる状況ではないという。
専門家が「モデルにすべきだ」と主張するのが、26~27年に小笠原諸島(東京都)で横行した中国漁船による赤サンゴの密漁対策だ。
海保は法改正で密漁の罰金を引き上げるとともに船長の逮捕など取り締まりを強化。環境破壊を懸念する国際圧力も背景に、中国へ取り締まりの働きかけを強めたことも奏功した。
海上保安行政に詳しい明治学院大の鶴田順准教授(国際法)によると、小笠原で赤サンゴ密漁を行う中国漁船の視認隻数などの情報を日中両国で共有し、中国側が取り締まりを強化したことなどから、違法操業は激減したという。
2020.11.03-NHK NEWS WEB -https://www3.nhk.or.jp/news/html/20201103/k10012693851000.html
ウィーン中心部で銃撃 4人が死亡 IS信奉者のテロとみて捜査
オーストリアの首都ウィーンの中心部で銃撃があり、
4人が死亡しました。
オーストリアの内相は容疑者は過激派組織IS=イスラミックステートの信奉者とみて捜査していることを明らかにしたうえで、今も逃走している容疑者がいるとして市民に警戒を呼びかけています。
オーストリアの首都ウィーン中心部のレストランなどが集まる繁華街の6か所で現地時間の2日午後8時ごろ、日本時間の3日午前4時ごろ銃撃が起き、内務省や警察によりますと、これまでに男女合わせて4人が死亡したほか、警察官を含む17人がけがをしたということです。
ネーハマー内相は3日朝、記者会見を行い、容疑者の1人は警察官によって射殺されたものの、少なくとも容疑者1人がまだ逃走しているとして市民に警戒を呼びかけています。
そして「容疑者は、ISの信奉者だ」と述べ、死亡した容疑者の自宅を捜索した結果、ISの信奉者によるテロとみて捜査していることを明らかにしました。
また、死亡した容疑者はライフルや銃などを装備していたとしています。
現場はウィーンを代表する観光地、シュテファン大聖堂から500メートルほど離れた場所で、事件から一夜明けた3日の朝、ウィーンの中心部は人影は少なく多くの警察官やパトカーが配置されていました。
最初の銃撃があったとみられる現場の近くに住むユダヤ教の聖職者はNHKの取材に対し「男がライフルでバーにいた客に向けて次々に撃つ様子を目撃した。人々はパニックになって逃げ、バーの中に逃げ込んだが男は中まで追いかけてきた。銃声は15分ほど聞こえたと思う。人々を無差別に撃っていた。まるで戦闘員のようだった」と当時の緊迫した様子を証言しました。
現地の日本大使館によりますと、今のところこの銃撃で日本人がけがをしたという情報は入っていないということです。
目撃者「無差別に撃っていた」
首都ウィーン中心部の最初の銃撃があったとみられる現場近くに住むユダヤ教の聖職者は、NHKの取材に対し、「男がライフルでバーにいた客に向けて次々に撃つ様子を目撃した。人々はパニックになって逃げ、バーの中に逃げ込んだが、男は中まで追いかけてきた。銃声は15分ほど聞こえたと思う。人々を無差別に撃っていた。まるで戦闘員のようだった」と当時の緊迫した様子を証言しました。
また、現場近くで働く別の男性は、「当時、会社にいたが、銃声が聞こえた。その後、多くの警察官が周辺にやってきた。オーストリアに住んで40年以上たつが、こんな恐ろしい経験は初めてだ。すでに新型コロナウイルスの問題を抱えている中、今度はこんなことが起きてしまった。今こそわれわれは結束しなければならない」と話していました。
別の女性は、「まだ怖いです。ウィーンは安全な場所なのでこんなことが起きるなんていまも信じられないです」と話していました。
オーストリアでは新型コロナウイルスの感染が再び拡大していることから、3日から夜間の外出禁止や、飲食店の店内の営業禁止などの外出制限が実施されることになっていて、銃撃があった2日夜ウィーンではそれを前に飲食店などで食事を楽しむ人の姿が見られていました。
2020.10.17-NHK NEWS WEB-https://www3.nhk.or.jp/news/html/20201017/k10012668831000.html
ニュージーランド議会選挙 与党・労働党が単独過半数を獲得
ニュージーランドの議会選挙が17日に行われ、新型コロナウイルスへの対応などで評価された
アーダーン首相率いる与党・労働党が単独で過半数を獲得し、2期目の政権運営に入ることになりました。
任期満了にともなうニュージーランドの議会選挙は、新型コロナウイルスの影響でおよそ1か月延期され、17日に投票が行われました。
選挙管理委員会によりますと、開票作業はほぼ終了し、後日開票される在外投票などを除いた集計で、120の議席のうち、アーダーン首相率いる与党・労働党は64議席、最大野党・国民党は35議席を獲得する見通しとなりました。
前回、3年前の選挙で少数政党と連立を組んで9年ぶりに政権交代を果たした労働党は今回、大幅に議席を伸ばし、単独で過半数を獲得しました。
2期目の政権運営に入ることになったアーダーン首相は支持者の前で演説し「
次の3年間、やるべきことがたくさんある。新型ウイルスの危機からよりよく、より強く立て直す」と述べ、新型ウイルスの影響で打撃を受けた経済の回復に向け、雇用の創出や貧困問題の解決に全力を尽くすと強調しました。
アーダーン首相は、感染拡大の防止に向け早い段階で入国規制を強化し、国内でも厳しい外出制限を導入したことなどから、感染の抑え込みに一定の成果をあげたと評価され、支持率の上昇につながりました。
2020.10.8-Yahoo!Japanニュース(産経新聞)-https://news.yahoo.co.jp/articles/486abbafb144a0348d3987d3790d530f58ea7138
モーリシャス「にぎわい戻って」 在住邦人切なる願い
「
事故により海が汚染されたイメージが広がり、観光客が戻らないことが心配」。アフリカ南部の島国、モーリシャス沖で7月に起きた日本の貨物船「わかしお」の座礁事故。海に流出した油はほぼ回収されたが、
油が付着したマングローブ林などで長期的な影響についてモーリシャス政府による調査が続いている。長年現地の観光業に従事してきた
日本人女性が産経新聞の電話取材に応じ、風評被害への懸念を語った。(石川有紀)
モーリシャスは東京都ほどの大きさの火山島。欧州の観光客に「
インド洋の貴婦人」と呼ばれる高級リゾートとして知られる。しかし、
3月から新型コロナウイルスの防疫のため国境を封鎖。10月からは一部の国との往来を再開したが、観光に携わる多くの住民が経済的打撃を受けている。こうした中、7月25日(日本時間26日)に貨物船が座礁。8月6日に船体の亀裂から重油約千トンが流出した。
現地のホテルグループ社員で、19年前に移住した村野アナンディー百合さん(46)=東京都出身=は、SNS(会員制交流サイト)で拡散された画像で島南東部の堤防に、黒い油が流れ着いていることを知った。現場は湿地の保全を定めるラムサール条約で指定された「
ブルーベイ海洋公園」付近。翌日から地元住民や企業が集まり、
油を吸着するというサトウキビや髪の毛でオイルフェンスを作り、設置していた。
「船主が日本企業と知り、日本人の自分にも責任があるような、やり場のない憤りと悲しさでいっぱいになった」 自分も髪を切ってオイルフェンス作りに提供し、ボランティア活動にも参加した。
フランス系やインド系など多くの移民が暮らすモーリシャスで、日本人だからと責められることはなく、むしろ「髪まで切らなくても」といたわってくれた人もいた。「海を守ろうという気持ちは皆同じだった」と振り返る。
8月半ばには
油除去のボランティアが終了。現在は船の保険によって派遣された清掃会社が島に点在するマングローブ林や岩、砂などに付着した油を洗い流して回収している。
「日本の専門家も国際支援チームの一員として力を尽くしている。日本人も、観光に訪れ、復興の力になってくれたら」。島に暮らす日本人の一人としての切実な願いだ。
モーリシャス沖での重油流出事故では、日本政府は国際緊急援助隊として専門家や環境省職員を8月10日~9月18日に計3回派遣。サンゴ礁やマングローブ林、鳥類への影響を調査した。今後、長期的なモニタリング体制の構築など、支援策を具体化する。
環境省によると、9月の調査時点でサンゴへの油付着は確認されなかったが、船の座礁現場と油回収のためのロープ設置場所でサンゴの一部が破損していた。この破片による海水のにごりでサンゴに日光が当たらなくなる懸念があるため、長期的なモニタリング実施が必要という。
一方、島に点在するマングローブ林16カ所の視察では、うち2カ所で根に油が付着していたことを確認。10カ所は潮の満ち引きで油が洗い流され、残り4カ所は油は漂着していなかった。いずれも枯れるなどの影響は出ていないが、周辺の土壌のサンプリングとモニタリングの実施をモーリシャス政府に助言した。
9月には、
茂木敏充外相とモーリシャスのジャグナット首相が電話会談。
事故の再発防止に向けた海上航行安全システムの導入や打撃を受けた零細漁業者への資機材の提供、環境回復のための専門家派遣などの支援を約束した。
2020.10.7-Exciteニュース-https://www.excite.co.jp/news/article/EpochTimes_63080/
カンボジア、米支援の海軍基地を解体 中国軍利用の疑惑 米は説明求める
(1)
カンボジア南西部にある米国とオーストラリアが支援したリアム海軍基地が「解体」されているとの一部メディアの報道を受けて、
カンボジア政府は10月5日、解体ではなく移設工事であると発表した。報道は、
中国による軍基地利用が背景にあるとの疑惑を伝え、米国務省が関連する中国
企業に制裁を科すという。
カンボジアの国家海上安全委員会は、工事は2017年末より前から決定していた戦略指揮本部の移設計画の一つであるとした。この機関は、米国とオーストラリアの協力で進められている「多機関の法執行を担当する業務部門」だという。
カンボジア当局の説明は、一部メディアで報じられた中国軍による港湾利用の懸念に答えるものだ。
米シンクタンク・戦略国際問題研究所(CSIS)は10月1日、衛星画像の分析として、カンボジア政府がシアヌークビル州にあるリアム海軍基地の施設を解体したと伝えた。解体工事は9月5~10日ごろ行われたと推測している。
しかし、
この取り壊しについて、米国は説明を受けていないという。米国防総省は声明で、カンボジアに解体工事についての詳細な説明を求めており「私たちは、中国の軍事資産と人員をリアム海軍基地に投入するというカンボジア政府の計画に結び付くのではないかと懸念している」と書いている。
国防総省は2019年、リアム基地の修復工事を申し出たが、カンボジア当局はこれを説明なく拒否したという。
ウォール・ストリート・ジャーナル紙は
2019年7月22日、カンボジアと中国は、基地の新たなインフラ建設支援の見返りに、中国にリアム基地の使用許可を付与する秘密協定に調印したと報じた。協定の草案を見た米当局者の話として伝えている。報道によると、中国は30年間、軍隊、武器、船舶へのアクセスを許可し、その後、10年ごとに契約は自動更新されるという。
(2)
西側諸国のアナリストは、中国がカンボジアの基地の使用権を得ることは、中国の戦略的軍事力を大幅に拡大し、インド太平洋地域のパワーバランスを変えるものだと見ている。
ロサンゼルスの政治学者であるソーパール・イアー博士は、「なぜ中国はジャングルのど真ん中に滑走路を建設しているのか」とニューヨーク・タイムズ紙の取材に答えた。博士は、中国が地域全体に軍事力を投じることができるようになるため、「状況が一変する」と述べている。
これらの報道に対してカンボジア当局は「悪意がある」「国内における
中国政府の影響力に対する不安をあおるもの」として強く批判した。この懸念を払拭するために、当局は同月25日までに、政府主催でリアム基地のメディアツアーを催し、軍高官が海外メディアの駐在記者らを案内した。
しかし、ジャーナリストが乗り込んだバスは、
中国人民解放軍が寄贈したものだった。さらに、バスツアーのなかで、記者らはリアム基地周辺には中国資本のマンション建設計画や開発計画を示す広告掲示を撮影した。
2019年7月、カンボジア政府主催のリアム基地視察ツアーに参加したジャーナリストは、中国語表記のあるマンション建設計画の広告ボードをカメラに収めた(GettyImages)
リアム海軍基地から65キロ北西にあるダラサコルには、中国企業が大規模空港を建設中だ。工事が進む空港の3200メートルの滑走路は、エアバスA380などの超大型旅客機でも十分に離着陸できる長さだという。また、複数の報告によると、中国民間企業が空港について99年間の賃貸契約を結んだという。
(3)
しかし、
カンボジア当局は一連の中国傾斜と軍の利用についての疑惑を否定している。カンボジア国防省報道官Chhum Socheat氏は、2019年8月21日、ボイス・オブ・アメリカ(VOA)の単独取材に対して、
カンボジア憲法第53条に基づき、国内基地に外国軍を置くことはないとした。さらに、中国軍に利用許可を与えることは「考えもしていない」と強調した。
中国は、カンボジアのフン・セン首相にとって最も近い政治的同盟国であり、カンボジアへの多額の援助と投資を行っている。
VOA記者が、中国からカンボジアへの投資や援助の大きさ、さらには政府的影響力を考えると、中国がこの海軍基地の利用を要求すれば「ノー」と言いがたいのではと聞いた。カンボジア国防省報道官は、「カンボジアは完全に独立した主権国家だ。私たちは誰にも支配されない。
投資と貿易、軍事の問題を分別しなければならない」と答えた。
カンボジアでは、中国国有の開発大手・天津優聯投資発展集団(優聯集団、ユニオン・グループ)が、38億ドル規模の賭博場などを含むリゾート開発計画・七星海休暇村プロジェクトを通じて、この地域の海岸線の多くを支配している。この開発計画は一帯一路の一部であり、軍用機も民間輸送にも使える滑走路のある空港が建設されるという。このため、中国は軍事施設建設を進めるのではないかとの憶測が強まった。
米財務省は9月、優聯集団に対する制裁を発表した。
ポンペオ米国務長官は同日の声明で、「信頼できる情報」に基づいて、七星海休暇村プロジェクトは「(中国の)軍事物資の貯蔵に用いられる可能性がある」との見方を示した。
「
もし事実であれば、これはカンボジアの憲法に違反し、インド太平洋地域の安定を脅かす恐れがある。カンボジアの主権と私たちの同盟国の安全にも影響を与える可能性がある」と付け加えた。
2020.10.6-Livedoor(産経新聞)-https://news.livedoor.com/article/detail/19014010/
キルギス抗議デモ、負傷者多数 現職大統領「権力奪取の試み」
【モスクワ=小野田雄一】
中央アジアの旧ソ連構成国、キルギスの首都ビシケクで5日起きた同国議会選の結果に抗議する野党側の大規模デモをめぐり、
同国政府は6日、治安部隊とデモ隊双方で590人が負傷し、1人が死亡したと発表した。
ジェエンベコフ大統領は同日、「(デモは)選挙結果を口実とした一部勢力による権力奪取の試みだ」と野党側を非難。
一方、混乱を受けて同国中央選管は、親政権派政党が圧勝したとしていた選挙結果の無効を宣言した。政権側によるデモ沈静化策とみられるが、
野党側は新政権の樹立を呼びかけており、政権側と野党側でさらなる衝突が起きる可能性もある。
イタル・タス通信によると、4日に行われた議会選(定数120)では、親政権派の2政党が90議席超を獲得するとの暫定結果が示された。これに対し、野党側は5日、票の買収などの不正があったとして抗議デモを呼びかけ、約6000人が参加した。
デモ隊の一部は6日未明、政府庁舎や治安機関本部を占拠。ジェエンベコフ氏の政敵で、汚職の罪などで収監されていたアタムバエフ前大統領ら複数の元高官の身柄を解放した。
キルギスは1991年に旧ソ連から独立した。
歴代政権はおおむねロシアと良好な関係を保っているが、国内政治は不安定な状況が続いており、過去にも政変が相次いで大統領経験者2人が亡命している。
2020.9.23-産経新聞 THE SANKEI NEWS-https://www.sankei.com/world/news/200923/wor2009230019-n1.html
宇宙軍拡禁止条約を提案 ロシア、新安保体制構築に向け
ロシアのプーチン大統領は22日、国連総会一般討論でビデオ演説し、「
宇宙への兵器配備を禁止する法的拘束力のある条約」を締結するよう各国に提案した。来年2月に期限が切れる米ロの新戦略兵器削減条約(新START)の延長の必要性を改めて強調。米国に対し、新たなミサイル配備を抑制するよう呼び掛けた。
米ロ2国間の軍備管理体制が崩壊しつつある中で、これらの措置が「新たな国際的な安全保障体制を構築する基盤になる」との認識を示した。
米ロは互いに宇宙空間の軍事利用を警戒。また、ロシアは中距離核戦力(INF)廃棄条約を離脱した米国が、中距離ミサイルや巡航ミサイルを欧州やアジア太平洋地域に配備することを懸念している。
プーチン氏は、新型コロナウイルス感染拡大を巡り、ロシアが開発したワクチンを基に各国と協力する用意があるとも表明。(共同)
2020.9.18-Livedoor News-https://news.livedoor.com/article/detail/18921027/
麻生財務相、対中融資「卒業」を…アジア開発銀行総会で呼びかけ
(対中融資「卒業」を いまだ4番目の融資対象国 ADB総会で麻生氏)
麻生太郎財務相は18日、
オンラインで開催されたアジア開発銀行(ADB)年次総会で、米国に次ぐ経済大国でありながら資金援助を受ける中国を念頭に、新興国向け融資の“卒業”に向けた具体的な道筋づくりを改めて求めた。
大国と発展途上国の顔を都合よく使い分ける中国は、アジアインフラ投資銀行(AIIB)を主導するなどして国際金融の舞台でも影響力拡大を図る。ADB最大の出資国である
日本の菅義偉(すが・よしひで)新政権にとって国際金融における中国問題への対応も課題となりそうだ。
「所得のより低い国や脆弱(ぜいじゃく)な国に、支援を重点化していくことが必要だ」
麻生氏は演説でこう主張し、ADBの限られた財源で支援を効果的に行うためには、中国など既に成長した国に対する融資を縮小すべきだと強調した。
ADBの2019年の融資契約締結額のうち中国向けは10・6%に上り、上位4番目の規模となる。ADBの融資対象国の基準は1人当たりの国民総所得(GNI)で年約7千ドル(約73万円)が上限だが、中国は1万ドルの大台を上回って基準を大幅に超過している。
ADBの融資対象から自立する基準には、GNIの上限のほか、市場から円滑に資金調達ができるかといった項目がある。韓国やシンガポールは既に対象からは卒業しており、中国も来年以降の融資条件の見直しに向け協議を進める。
財務基盤が脆弱な国では医療体制の整備が遅れ新型コロナウイルスの感染拡大に歯止めがかかっておらず、世界的な感染収束に向け治療薬やワクチンの普及を含め中長期的な支援が必要だ。
ADBの主要株主でもある中国の卒業は、本当に支援が必要な低所得国により手厚く融資を行うためにも不可欠だ。
日本としてはまず中国向け融資を抑え、使途を地球温暖化問題などに制限したい考え。中国との対立が激化する米国は日本と並ぶ最大級の出資国で、日米で歩調を合わせる思惑もある。
巨大経済圏構想「一帯一路」を掲げる中国はAIIBを通じて途上国へ過剰に融資し、返済に窮した国からインフラを奪う例もある。コロナ禍ではマスク外交で逆にイメージアップを図るなど“焼け太り”を狙い、対中外交で比較的寛容だった欧州を含め反感が広がる。冷たい視線を察してか、融資対象から卒業する必要性は中国も理解を示しているようだが、ADBを主導する日本の指導力が一層問われそうだ。(林修太郎)
2020.9.17-SankeiBiz-https://www.sankeibiz.jp/macro/news/200917/mcb2009172055027-n1.htm
東地中海、ガス田探査で緊張 仏VSトルコ「米抜き安保」の試金石
【パリ=三井美奈】
トルコによるガス田探査に端を発した東地中海での対立が激しくなっている。
トルコの歴史的ライバルであるギリシャをフランスが支え、トルコが反発する構図だ。マクロン仏大統領は欧州連合(EU)による危機解決を目指し、対トルコ制裁も辞さない構え。米国が欧州安保への関与を低下させる中、EUの「自立」を問う試金石と位置付けている。
マクロン氏は10日、仏コルシカ島でギリシャ、イタリアなどEUの南欧7カ国による首脳会議を開き、トルコのガス田探査は「一方的で、違法な挑発行為だ」と非難した。トルコが対話に応じなければ、月末のEU首脳会議で制裁を検討すると迫った。
続いて
ギリシャ政府が、フランスからラファール戦闘機18機を購入すると表明。トルコのエルドアン大統領は「
フランスは、トルコとケンカしようとは思わない方がいい」と牽制(けんせい)した。トルコはいったん探査船を撤収させたが、「給油と整備のため」としており、活動を続ける方針は変えていない。
対立は今夏、トルコが軍艦の護衛付きでガス田の海底探査を始め、ギリシャが「わが国の権益を侵害した」と反発したのが発端。豊富な天然ガス資源を擁するとされる東地中海では、トルコとギリシャなどの排他的経済水域(EEZ)が画定していない。
フランスは8月半ば、ギリシャ側に立って同国クレタ島に戦闘機を派遣。さらに、地中海でギリシャ、イタリアとともに軍事演習を行い、トルコを威圧した。
トルコやギリシャ、フランスはいずれも、米主導の北大西洋条約機構(NATO)加盟国。米国は地中海岸に第6艦隊の基地を置くが、ポンペオ国務長官は「外交による解決が必要。トルコの動きを懸念している」としつつ、仲介は避けている。
マクロン氏が強硬姿勢を崩さないのは、米国の存在感が薄れるのに従い、ロシアやトルコが地中海沿岸で権益拡大を図っているからだ。ロシアはシリアでアサド政権の後ろ盾として軍事介入を深め、トルコはシリアやリビアの紛争に介入する。マクロン氏は「
NATOは脳死状態」と公言し、欧州独自の安保構築を訴えてきた。
一方、マクロン氏の姿勢には、EU内で慎重論も強い。多数のトルコ系移民を抱えるドイツのマース外相は「EUはギリシャとともにある」としながら、制裁には消極的な姿勢だ。
2020.9.12-NHK NEWS WEB-
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20200912/k10012615291000.html
バーレーンもイスラエルと国交正常化 パレスチナは苦境に
アメリカのトランプ政権の仲介で中東のUAE=アラブ首長国連邦に続いて、バーレーンもイスラエルとの国交正常化で合意しました。
パレスチナ問題をめぐって長年、対立してきたイスラエルとアラブ諸国の関係改善がさらに進むことで、パレスチナは苦しい立場に立たされています。
アメリカのトランプ大統領は11日、長年、対立関係にあったイスラエルとバーレーンがアメリカの仲介で国交の正常化に合意したと発表しました。
トランプ政権は、先月にも、イスラエルとUAEの国交正常化の合意を仲介し、今月15日には、3か国の代表を首都ワシントンに招いて合意の署名式を行う予定で、ことし11月の大統領選挙を前に外交成果をアピールする狙いがあるとみられます。
一方、アラブ諸国はパレスチナ問題の解決がイスラエルとの和平の条件だとしてきましたが、
UAEとバーレーンがこれを覆す形でイスラエルとの国交正常化にかじを切ったことでパレスチナ側は強く反発しています。
パレスチナ暫定自治政府は、「アラブ諸国の合意や国際的な正当性を吹き飛ばす、極めて危険な動きだ」と激しく非難し、バーレーンに駐在していた大使を召還しました。
ただ、
アメリカやイスラエルはほかのアラブ諸国にも国交正常化に向けた働きかけを強めていて、パレスチナ問題をめぐって長年対立してきた
イスラエルとアラブ諸国の関係改善がさらに進むことで、
パレスチナは苦しい立場に立たされています。
パレスチナ 反発と冷めた見方
レスチナではバーレーンの対応を非難する人がいる一方、すでに予想されていたことだと冷めた目で見ている人もいます。
このうち、ベツレヘムに住む30歳のパレスチナ人の男性は、「合意は政府が進めたものであって、バーレーンの人たちが行ったものではないが、イスラエルとの国交正常化は許されざる裏切りだ」と非難しました。
また、別のパレスチナ人の男性は、「アラブ諸国には何年も前から裏切られていて、今回それが明らかになっただけだ。和平に向け残りの友人の国に頼るしかない」と話していました。
イスラエルでは歓迎の声
イスラエルでは歓迎する声が多く聞かれました。
イスラエル人の男性は、「平和は世界で最も美しいことだ。ほかのアラブ諸国もイスラエルと国交を結ぶべきだ」と話していました。
また、別のイスラエル人の男性も、「イスラエルとの平和は両国にとって財産になる。先日、パレスチナはアラブ諸国に対し、合意に非難する声明を求めたが、却下された。イスラエルの将来は明るいと感じる」と話していました。
専門家「中東の歴史にうねり」
アメリカの仲介で1か月の間に中東の2か国が相次いでイスラエルとの国交正常化に踏み切った背景について、元外交官でアメリカの中東政策に詳しい三菱総合研究所の中川浩一主席研究員はハイテク産業の集積地であるイスラエルと、中東経済の中心地、UAE=アラブ首長国連邦、そして経済発展を進めたいバーレーンの3者の思惑が一致したと分析しています。
中川主席研究員は「仲介したトランプ大統領のビジネスの視点が長く動かなかった中東の歴史にうねりをもたらしている」としてオマーンなどほかの湾岸諸国も国交正常化に追随する可能性があると指摘しました。
また中川主席研究員は「コロナ禍の経済対策や人種問題などがトランプ大統領にとって逆風となる中、一連の国交正常化の動きはイランを対立軸に置くことからイスラエルを守ることにつながり、結果としてイスラエルを支持するキリスト教福音派の喜ぶところとなり、選挙対策になるだろう」としてことし11月のアメリカ大統領選挙に向けてトランプ大統領の支持基盤である福音派への支持固めにつながるとの見方を示しました。
一方で、「アメリカの選挙対策で大事なのは中東和平問題ではなく、イスラエルをどう守っていくかだ。むしろパレスチナがますます置き去りになってしまうという意味で、非常に危機感を持つべきだ」とパレスチナ問題を抜きに進む国交正常化の動きに警鐘を鳴らしました。
イラン「恥ずべき行為」
今回の合意について、イスラエルと対立するイランの外務省は12日、声明を発表し、「この恥ずべき行為は、抑圧されているパレスチナの人たちの記憶に残り続けるだろう。バーレーンの指導者は、罪を犯す政権の共犯者となった」と非難しました。
そのうえで、「この根本的な誤りは、アメリカ国内の選挙のためのものだ」として、アメリカの大統領選挙に向けた政治的な動きだと批判しました。
イラン政府は先月、イスラエルとの国交正常化で合意したUAEについても、「パレスチナの人たちへの裏切りだ」として強く非難しています。
イランにとってUAEやバーレーンは、ペルシャ湾の対岸に位置する国で、今回の声明でも、「イスラエルによって、ペルシャ湾に不安定な状況がもたらされれば、バーレーンや、同じ道を歩む国の責任とみなす」としていて、安全保障上、周辺地域でイスラエルの影響力が高まることに警戒感を示しました。
トルコ「強く非難」
トルコ外務省は11日、声明を発表し、「UAEの後を追ったバーレーンの決定を強く非難する。これは、パレスチナの大義を支える運動への新たな打撃となるとともに、パレスチナ人の土地の占領を固定化しようというイスラエルの動きを後押しするだろう」と反発しています。
トルコ政府は、アメリカのトランプ政権が打ち出した、イスラエル寄りだと言われる中東和平案を巡ってもパレスチナを支持する立場を鮮明にしていて、先月、UAEがイスラエルと国交正常化で合意した際にも非難声明を出しています。
地域大国 サウジアラビアの動向に関心
UAE=アラブ首長国連邦に続きバーレーンがイスラエルとの国交正常化に動いたことで地域大国のサウジアラビアの動向に関心が集まっています。
サウジアラビアのファイサル外相は先月、アラブ諸国の和平案を維持する考えを強調し、イスラエルとの国交正常化には慎重な姿勢を示しました。
またサルマン国王も今月6日にアメリカのトランプ大統領と電話会談した際、従来の和平案を維持する姿勢を伝えたということです。
しかしサウジアラビアの強い影響を受けるバーレーンがイスラエルとの国交正常化に乗り出したことで、サウジアラビアの姿勢に何らかの変化を及ぼす可能性もあり、その動向に関心が集まっています。
UAEではイスラエルとの関係強化加速
バーレーンに先立って先月、国交正常化で合意したイスラエルとUAEでは合意以降、両国の関係を強化する動きが急激に加速しています。
イスラエルはアメリカとともに先月末、UAEの首都アブダビに政財界の実務者の代表団を派遣し、イスラエルとアブダビを結ぶ民間の直行便を初めて運航しました。
さらにイスラエルとUAEのドバイとの直行便の運航に向けた準備も進められていて、両国の間で人の往来を活発化させる動きが活発化しています。
また経済関係では今月9日、イスラエルの大手銀行の幹部が「合意文書への署名後には、銀行システムでも連携できるようになる」と述べて、金融機関どうしの協力も進めたいという考えを示したほか、イスラエルの病院大手がUAEの投資会社と医療技術の協力で合意したことを発表し、両国の関係を強化する動きが急激に加速しています。
トランプ政権のねらいは
トランプ政権がイスラエルとアラブ諸国との関係改善を強く促している背景には、11月の大統領選挙をにらんだ保守層へのアピールと中東和平の実現に向けたパレスチナへの圧力、さらに敵対するイランへの包囲網構築という大きく3つのねらいがあるとみられます。
キリスト教福音派の存在
トランプ大統領がイスラエル政策で強く意識しているのがキリスト教福音派の存在です。
福音派はアメリカ最大の宗教勢力ともいわれ、聖書の言葉を厳格に守ることを教えの柱とし、ユダヤ人の国イスラエルは「神の意志で建国された」としてイスラエルへの支援を重視しています。
トランプ大統領は福音派を支持基盤としてイスラエル寄りの立場を鮮明にし、イスラエルとパレスチナの間で帰属をめぐる争いのある聖地エルサレムをイスラエルの首都と認めるなど福音派の人たちの長年の訴えを実現させてきました。
イスラエルは1948年の建国以来、アラブ諸国とたびたび戦火を交えてきただけにその対立の解消はイスラエルの安全保障の改善につながり、福音派もこれを歓迎しています。
大統領選挙を間近にひかえたタイミングでのイスラエルとUAE、バーレーンとの相次ぐ合意には、トランプ大統領として福音派に実績を強調するねらいがあるとみられます。
中東和平を後押し
またイスラエルとパレスチナの対立をめぐる中東和平問題でパレスチナの譲歩を引き出す環境づくりを進める目的もあるとみられます。
トランプ政権は中東和平を「究極のディール」と呼んで独自の和平案を示し解決に取り組んでいますが、和平案がイスラエル寄りの立場を色濃く反映した内容だったためパレスチナ側が強く反発し事態は進展していません。
このためトランプ政権としてはパレスチナを支援するアラブ諸国への働きかけを強めることで、パレスチナ側に間接的に圧力をかけるねらいとみられ、トランプ大統領は11日の会見で「われわれは異なるアプローチをとっている」と述べて、パレスチナ側に譲歩を促すためにも先にほかのアラブ諸国にイスラエルとの国交正常化を呼びかけていく考えを示しています。
対イラン包囲網
さらにアメリカが中東最大の脅威と位置づけイスラエルと敵対するイランへの包囲網を構築するねらいもあります。
アラブ諸国のなかにはイスラム教の宗派の違いなどからイランと敵対関係にある国も少なくなく、こうした国とイスラエルとの関係改善を進めることで、アメリカとしてはイスラエル対アラブ諸国の構図をイスラエルとアラブ諸国対イランの構図へと転換させ、イランを孤立させようとしているとみられます。
2020.9.10-NHK NEWS WEB-https://
www3.nhk.or.jp/news/html/20200910/k10012611571000.html
日印首脳電話会談 ACSA署名を歓迎
安倍総理大臣はインドのモディ首相と電話で会談し、自衛隊とインド軍が食料や燃料などを相互に提供できるようにする協定が署名に至ったことを歓迎し、両国が国際社会の平和と安全に一層、積極的に寄与していくことを確認しました。
電話会談は安倍総理大臣の辞任表明を受けて、インド側からの申し出で、午後2時半すぎからおよそ30分間行われました。
この中で安倍総理大臣はみずからの辞任表明について説明したうえで、相互に訪問した際の思い出に触れ、モディ首相との友情と信頼関係に感謝の意を伝えました。
これに対しモディ首相も相互訪問を振り返り、ねぎらいのことばをかけました。
また両首脳は、9日、
両国の間で自衛隊とインド軍が共同訓練などの際に食料や燃料などを相互に提供できるようにする
ACSA=「物品役務相互提供協定」が署名に至ったことを歓迎しました。
そして、この協定によって自衛隊とインド軍との緊密な連携が促進され、両国が国際社会の平和と安全に一層、積極的に寄与していくことを確認しました。
続いて、
安倍総理大臣はトルクメニスタンのベルドイムハメドフ大統領とも電話で会談し、「大統領との間で天然ガス加工プラント建設をはじめ、多くの大型案件を実現できた」と謝意を示し、両首脳は両国の友好関係のさらなる深化への期待を確認しました。
2020.9.2-Yahoo!Japanニュース(産経新聞)-https://news.yahoo.co.jp/articles/24f76e550efb027b5d4e9ac4eb887063639a6ac9
独仏、中国に「欧州を脅すな」と反論 チェコ上院議員団の訪台で
【パリ=三井美奈、北京=西見由章】
中国の王毅国務委員兼外相がチェコ上院議員団の台湾訪問を受けて報復を警告したことに対し、
フランス外務省は1日の声明で「
欧州連合(EU)の一員に対する脅しは受け入れられない。われわれはチェコと連帯する」と批判した。
ドイツのマース外相も同日、「脅迫はふさわしくない」と述べ、フランスと歩調を合わせた。
王氏は8月末から、仏独など欧州5カ国を歴訪した。チェコのビストルチル上院議長が率いる訪台団は、30日に台北入りした。
王氏は1日、ベルリンでマース氏と行った共同記者会見で、ビストルチル氏が台湾の立法院(国会に相当)で演説したことに触れ、「
これは公然とした挑発だ。一線を越えた」
と猛反発した。また、「必要な対応を取らざるを得ない」と述べ、報復を示唆した。
これに対し、マース氏は「われわれは国際的なパートナーには敬意をもって接する。相手にも同じことを期待する」と応じ、中国側の強い圧力を牽制(けんせい)した。さらに、
香港国家安全維持法について「法の影響を懸念している。『
一国二制度』
は完全に実施されるべきだ」と要求した。一方で、中国とEUの関係構築の重要性を強調し、EUの台湾政策には言及しなかった。
王氏は8月31日には、「台湾問題で『一つの中国』に戦いを挑むことは、14億人の中国人民を敵に回すこと」だとチェコ上院議員団の訪台に反発。「高い代償を払う」と警告した。
2020.8.30-NHK NEWS WEB-
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20200830/k10012591051000.html
モーリシャス 重油流出 首都で大規模デモ 政府の対応に抗議
インド洋の島国モーリシャスで、貨物船の重油の流出事故を受けた政府の対応に抗議する大規模なデモが行われ、参加者は、
原因の早期の究明を求めました。
モーリシャスの沖合では先月25日、岡山県の長鋪汽船が所有し、商船三井がチャーターしていた貨物船「WAKASHIO」が座礁し、燃料の重油などが大量に流出しました。
この事故をめぐって首都ポートルイスで、29日、政府の対応に抗議するデモが行われ、現地の報道では数万人が参加して広場や通りが埋め尽くされました。
参加者は国旗やプラカードを掲げ事故原因の早期の究明のほか、26日以降、
死んだイルカが複数打ち上げられ、政府が事故との関連がないと発表していることについて詳しい説明を求めていました。
今回の事故で警察は、貨物船のインド人の船長らを逮捕して捜査を続けていますが、野党を中心に、ジャグナット首相の対応が遅かったとして批判の声が出ていました。
モーリシャスでは新型コロナウイルスの感染対策として外国人の入国が制限され、
主要産業のひとつである観光業が打撃を受ける中で今回の事故が起きたことで、人々の間で経済の先行きなどへの不安が高まっています。
2020.8.22-Yahoo!Japan(KYODO)-https://news.yahoo.co.jp/articles/e716b92e732f9f267bc9fcbb8d37fa2770541e75
100キロ手前で航路を逸脱か モーリシャス沖の座礁船
インド洋のモーリシャス島沖で重油流出を引き起こした日本の貨物船は、
同島の約100キロ手前で通常の航路を外れ、ほぼ一直線で島に接近し浅瀬で座礁した可能性があることが分かった。ロイター通信が21日、航路を追跡した民間企業のデータを基に報じた。
貨物船は、モーリシャス島から約100キロの地点で針路がずれた後、しばらくしてわずかに向きが変わったが、島へ直進し続けた。現地時間7月25日夜に浅瀬に乗り上げて船体が破損した。
モーリシャス運輸当局が座礁前に警告を発したが貨物船から応答がなかったとの報道がある一方、当局が十分な警告を怠ったと伝える地元メディアもある。
2020.8.17-Yahoo!Japanニュース(産経新聞)-https://news.yahoo.co.jp/articles/068644066f5ff8aecb6467c65bfbff0953bb9e76
モーリシャス沖座礁、賠償責任は商船三井ではなく「船主」に
モーリシャス沖で座礁して重油を流出させた日本の貨物船に対しモーリシャス政府は、船主の長鋪(ながしき)汽船(岡山県)や同社が契約する保険組合に賠償を請求する方針だ。なぜ、船を運航していた海運大手の
商船三井ではないのか。背景には、海運会社がコストやリスクを抑える中で、国内船主と長年にわたり築いてきた商習慣がある。
商船三井は、液化天然ガス(LNG)など荷物の依頼主が外国の国営企業の場合などは、自社保有するLNG船を運航している。だが、今回のように一般的な石油製品などを扱う場合は、別の
船主から船舶を借り受けて運航する「
用船契約」を結ぶことが多い。
造船などに伴う巨額投資と、船舶管理や乗組員手配のコストを軽くできるためだ。
長鋪汽船は、江戸時代から150年以上海運業を営む「
老舗企業」
で、多くの貨物船を所有しノウハウがある。今回の座礁船についても、乗組員の全員を手配していた。事故を受け現地に人員も派遣している。
油の海洋流出に関する国際条約では、事故の責任や保険加入義務は船主にある。長鋪汽船が加入する保険組合の関係者は、モーリシャスで裁判手続きが進められる場合、賠償額は同国が批准している条約で定められた
19億円が上限とみるが、条約の解釈などで大きく上振れる可能性もある。
座礁した貨物船はパナマ船籍だが、これは船籍登録に際して同国は日本より税負担が軽いことなどが理由だ。日本で登録する場合は日本人を乗船させることが求められ人件費もかさむ。
2020.8.15-NHK NEWS WEB-
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20200815/k10012567861000.html
アメリカ政府 イラン産石油を海上で押収と発表 イランは否定
アメリカ政府は、テロ組織に指定するイランの革命防衛隊が南米のベネズエラに向けて輸送していたイラン産の石油を海上で押収したと発表しました。イランに対する圧力強化の一環ですが、
イランは、自国の石油ではないと否定しています。
アメリカ司法省は、14日、声明を発表し、イランがベネズエラに向けてタンカー4隻で輸送していた合わせて110万バレルの石油を海上で押収したと発表しました。
石油の輸送は、アメリカがテロ組織に指定するイランの革命防衛隊が指揮し、アメリカの制裁措置に違反するとしていて、今後は差し押さえた石油を売却しテロの被害者や遺族のための資金に充てていくとしています。
今回の措置は、アメリカによるイランに対する圧力強化の一環ですが、イラン国営通信は、14日、政府高官の話として、「
イランが所有するいかなる船や積み荷も差し押さえられていない」とアメリカの主張を否定しました。
また、ベネズエラに駐在するイランの大使もツイッターに「アメリカのプロパガンダによって作られたうそであり、心理戦争だ」と投稿し、アメリカを批判しています。
一方、
アメリカ軍は、中東のホルムズ海峡の近くでイラン軍がヘリコプターや2隻の艦艇を派遣して、外国籍のタンカーの拿捕(だほ)を試みたとする映像を公開しました。
アメリカ軍は、イラン産の石油を押収されたことに対するイラン側の反発だと見ていて、警戒を強めています。
2020.8.14-Yahoo!Japanニュース(REUTERSロイター)-https://news.yahoo.co.jp/articles/4a6dfa4f4fc015ebc6b16fcddfa0f65a828167f3
モーリシャス政府から賠償請求、座礁事故の長鋪汽船
[東京 14日 ロイター] -
インド洋のモーリシャス沖で座礁した貨物船の船主、長鋪(ながしき)汽船は、モーリシャス政府から損害賠償を求められていることを明らかにした。適用される法に基づき誠意を持って対応するとしている。事故の原因はまだ分かっていないという。
貨物船「わかしお」は7月25日に座礁。亀裂の入った燃料タンクから油が流出した。約4000トンの油を積み、1000トン超が海に流出。船内に残っていた油は8月12日までにほぼすべて回収できたとみられるという。
モーリシャスのジャグナット首相が
環境緊急事態宣言を出すなど、
周辺の生態系に深刻な影響を及ぼす可能性が懸念されている。
2020.8.14-NHK NEWS WEB-
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20200814/k10012566251000.html
イスラエルとUAE 国交正常化へ「歴史的な外交上成果」と強調
アメリカのホワイトハウスは、
イスラエルとUAE=アラブ首長国連邦と共同で声明を発表し、
イスラエルとUAEが国交を正常化することで合意したと発表しました。イスラエルが歴史的に対立してきたアラブ諸国と国交を結ぶことになり、声明は
「歴史的な外交上の成果」だと強調しています。
米ホワイトハウス 共同で声明発表
ホワイトハウスは13日、イスラエルとUAEと共同で声明を発表し、イスラエルとUAEが国交を正常化することで合意したと発表しました。
数週間以内に投資や安全保障、それに大使館の設置など、さまざまな分野で2国間の合意に調印するとしています。
ユダヤ人入植地の併合 一時停止も
また、
合意を踏まえてイスラエルが検討していたヨルダン川西岸の一部のユダヤ人入植地の併合を一時停止するとしています。
イスラエルは1948年の建国以来、アラブ諸国と対立関係にあり、これまで、隣国のエジプトとヨルダンを除いて国交がありませんでした。ただ最近は、
地域で影響力を増すイランへの対抗という共通の利益のもと、イスラエルとUAEの関係が接近していました。
声明は、「歴史的な外交上の成果」だと強調していて、今回の合意がイスラエルとアラブ諸国全体の関係に変化を及ぼす可能性もあります。
ホワイトハウスで記者会見したトランプ大統領は、「
合意はより平和で安全な中東への大きな一歩だ。氷がとけ始めたことでほかのアラブ諸国やイスラム教の国がイスラエルと国交を正常化することを期待する」と述べ、
中東の緊張緩和につながることに期待を示しました。
トランプ大統領は今回の合意がアメリカの仲介で実現したことを強調していて、秋の大統領選挙を前に外交成果をアピールするねらいもあるとみられます。
調印式はホワイトハウスで
また、トランプ大統領は「数週間のうちにホワイトハウスで調印式が行われるだろう」と述べ、イスラエルとUAEの双方の代表をホワイトハウスに招き、今回の合意についての調印式を行う考えを示しました。
イスラエル ネタニヤフ首相「新たな平和の時代を迎えた」
イスラエルのネタニヤフ首相は、エルサレムで記者会見し、「
イスラエルとアラブ世界は新たな平和の時代を迎えた」と述べました。そして、「エジプトとヨルダンに続き、3つ目の平和条約になる。アラブ諸国にとってさらに平和の輪を広げるチャンスだ」と述べ、ほかのアラブ諸国とのさらなる関係改善に期待を示しました。
一方、
ネタニヤフ首相は、トランプ政権が発表した和平案に基づいて、パレスチナ暫定自治区のうち、ユダヤ人入植地を含むヨルダン川西岸の30%の土地をイスラエルに併合する考えを示していましたが、今回の合意では、これを一時停止するとしています。
これについて会見で問われたネタニヤフ首相は、「トランプ大統領から一時停止するよう求められた」としつつ、「併合はまだテーブルの上にある」とも述べ、併合の考えを完全に取り下げたわけではないと強調しました。
UAE 皇太子 パレスチナ問題で成果と強調
イスラエルとの交渉について
UAE=アラブ首長国連邦の国営通信は13日、「
UAEとイスラエルが国交を正常化することで合意した」と速報で伝えました。またUAEとイスラエルの代表団が今後数週間以内に会談し、直行便の運航や大使館の設置などで合意するとしています。
またU
AEのムハンマド・アブダビ皇太子は、ツイッターで「
イスラエルがパレスチナの併合を停止することでも合意した」と投稿し、アラブ諸国とイスラエルとの間で最大の懸案となってきたパレスチナ問題で成果があったと強調しました。
エジプト シシ大統領「入植停止に関心」
1979年にアラブ諸国としては初めて、イスラエルと国交を樹立したエジプトのシシ大統領は、ツイッターに「パレスチナの領土へのイスラエルの入植を停止するという合意に関する3か国の声明に関心を寄せている。地域の繁栄と安定を成し遂げるため、この合意を実現した国々の努力を評価する」と書き込み、合意を歓迎しました。
イラン通信社「恥ずべき合意だ」
イスラエルとUAEの国交正常化合意についてイラン政府は、まだ公式な反応を示していませんが、主要な通信社のタスニム通信は、「
恥ずべき合意だ」と批判的に伝えています。
イランは、イスラエルを国家として認めておらず、中東地域の武装勢力への支援などを通じてイスラエルと敵対しています。
一方のアラブ諸国との間では同じイスラム教の国家として一定の関係を維持してきましたが、
アラブ諸国で中心的な役割を担うサウジアラビアとの間では、4年前、国交を断絶するなど関係が悪化しています。
イランに厳しいアメリカのトランプ政権が、同盟国のイスラエルとともに「イラン包囲網」とも呼べる状態をつくる中でイランとしては、
イスラエルとの関係改善が進むアラブ諸国がこうした包囲網に加わり、地域での孤立化が進むことに警戒感を強めているものとみられます。
パレスチナ「強く拒否する」
パレスチナ暫定自治政府は、今回の合意について、「
強く拒否する。UAEを含め、第三者がパレスチナ人を代表して口を出す権利はない。われわれは、アラブ諸国やイスラム諸国に対し、緊急の会合を求めたい」とした声明を発表しました。
また、ガザ地区を実効支配するイスラム原理主義組織ハマスの報道官は、「
この合意は、少しもパレスチナの目標に貢献するものではなく、むしろイスラエルの立場に貢献するものだ。占領を続けさせ、パレスチナの人々の権利を否定し、人々への犯罪も続くことになる」と述べ激しく反発しました。
そのうえで、「
必要なのは、占領に抵抗する人々の正当な闘争を支援することであって、占領者との間で合意を結ぶことではない。入植地問題については、イスラエルとの関係の正常化によってではなくアラブ諸国と国際社会に支持されたあらゆる形での抵抗で立ち向かっている」と主張しました。
交渉経緯とアメリカのねらい
今回の合意に至った経緯について交渉を中心になってまとめたトランプ大統領の娘婿でもあるクシュナー上級顧問が記者会見しました。
この中でクシュナー上級顧問は「
交渉はおよそ1年半前から行われ、われわれが中東和平案を示して以降、本格化していった」と述べ、ことし1月にトランプ政権がイスラエルとパレスチナの紛争を解決するためとして中東和平案を公表したあとに交渉が加速したことを明らかにしました。
そして、1週間ほど前に大枠での合意にいたり、今月12日になって合意内容が確定したということです。
クシュナー上級顧問はトランプ政権で中東和平問題を担当していて、対立するイスラエルとパレスチナのこう着状態を、パレスチナを支援するアラブ諸国にも働きかけることで打開させようとしてきました。
また、イスラエルとUAEは近年、地域で影響力を増すイランに対抗するという共通の利益のもと急速に接近していて、クシュナー上級顧問も合意に至った理由の1つとして「双方にとって戦略的により利益があるからだ」と説明しました。
そして、今回の合意は「イスラエル対パレスチナを支援するアラブ諸国」という構図を変化させる可能性も秘めたものでトランプ政権としては、中東和平の実現に向けた一歩としてとらえているとしています。
トランプ大統領は、今回、アメリカが仲介役となったことを強調していて大統領選挙を前に、外交成果としてアピールするねらいもあるとみられます。
両国の接近の動き 相次いでいた
UAEとイスラエルの間では最近になって、関係改善にむけた動きが出ていました。
2018年10月にUAEで開かれた柔道の国際大会では、イスラエルの選手が優勝した際、国交がないイスラエルの国歌が会場で流され、異例のこととして注目を集めました。
またイスラエルは、2018年11月にUAEなど湾岸諸国との間を結ぶ鉄道網の建設を提案したほか、2019年4月にはUAEのドバイで開かれる国際博覧会「ドバイ万博」に参加すると表明し、関係構築に向けた働きかけと受け止められました。
UAEは、ペルシャ湾を挟んで向き合う地域大国のイランを安全保障上の脅威としており、イランと敵対するイスラエルと接近したいねらいがあるものとみられます。
一方アラブ諸国のUAEにとっては、イスラエルが国際法に反した入植活動を行うパレスチナ問題が、国交の正常化に向けた最大の懸案となってきました。
ただ今回の合意でイスラエルが、ヨルダン川西岸のユダヤ人入植地の併合を一時停止するとしていることから一定の成果を得られたとして合意に応じたものとみられます。
イスラエル アラブ 対立の経緯
イスラエルは1948年の建国以来、アラブ諸国と戦争を繰り返し、対立してきました。
1948年には、エジプトやシリアなど周辺の国と戦火を交え、この戦争によって、多くのパレスチナ人が難民となりました。
また、
1967年の第3次中東戦争では、ヨルダンから東エルサレムやヨルダン川西岸などを占領し、エルサレムの全域を支配下に置きました。
1973年の第4次中東戦争でも、再びエジプトなどと戦争をすることになりましたが、6年後の1979年にはエジプトと、そして、1994年には東に位置するヨルダンとの間で平和条約を結び、国交を樹立しました。
さらにここ数年は、
地域で影響力を増すイランに対抗するという共通の利益のもとで、アラブ諸国との関係の改善を積極的に図っていました。
正式に決定すればイスラエルにとってUAEは、国交を持つ3か国目のアラブ諸国となり、今後、地域大国のサウジアラビアなどそれ以外の国との間でも関係改善が一気に進むのかが次の焦点となります。
イスラエル人からは…
イスラエルがUAEと国交の正常化で合意したことについて、エルサレムのイスラエル人からは、さまざまな声が聞かれました。
イスラエル人の男性は、合意で、ヨルダン川西岸の併合が一時停止になったことに触れ、「
国交正常化は平和の証で、いかなるアラブの国とも平和になるべきだと思う。併合は、地域で不必要な緊張をもたらすと思うので、イスラエルにとってはよくないと思う」と合意を歓迎していました。
一方で、別のイスラエル人の男性は、「
トランプ大統領は、大統領選挙で自分に有利になることをしただけで、合意は、イスラエルにとってよいことではない」と話し、併合が一時停止されることに失望していました。
パレスチナ人の間では…
イスラエルがUAEと国交の正常化で合意したことについて、パレスチナ暫定自治区にあるベツレヘムでは、パレスチナ人の間で失望が広がっています。
55歳のパレスチナ人の男性は、「
UAEの立場は、アラブの立場と異なっていておかしいと思う。パレスチナ人としてこんなことが起きるとは思っていなかった」と話していました。
また、別のパレスチナ人の男性は、「私たちには2つしか方法がなく、まずは
パレスチナ人が一つになること。そして2つ目には、
アラブ諸国の支援がなくなり、私たちだけになったとしても、この現実に向き合わなければならないことだ」と話していました。
国連事務総長「交渉再開の機会作り出すこと望む」
国連のグテーレス事務総長は、イスラエルが合意を踏まえて、ヨルダン川西岸の一部のユダヤ人入植地の併合を一時停止するとしていることについて「
ヨルダン川西岸の併合はイスラエルとパレスチナの二国家共存の展望とそれに向けた交渉再開の扉を閉ざすものだとして、一貫して停止を呼びかけてきた」と評価しています。
そして、「
今回の合意が二国家共存を実現するために、両者が意味のある交渉を再開する機会を作り出すことを望む」として
過去の国連決議に基づき、イスラエルとパレスチナが国家として平和共存するための対話が必要だと強調しています。
2020.8.9-NHK NEWS WEB-
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20200809/k10012559931000.html
モーリシャス沖で貨物船座礁 重油1000トン超流出か 会社が会見
海運大手の
商船三井が運航する貨物船が、インド洋の島国モーリシャスの沖合で座礁し、周辺に大量の油が流れ出た事故で、会社側が会見し、
1000トン以上の重油が流出したとみられ、回収を進めていることを明らかにしました。
今回の事故について、商船三井と船を所有する長鋪汽船が9日、都内で記者会見しました。
それによりますと、先月26日に商船三井が運航する貨物船「WAKASHIO」がモーリシャスの沖合で座礁し、今月6日に船尾にある燃料タンクの一つが損傷して重油が流出したということです。
これまでに1000トン以上の重油が流れ出たと見られ、周辺にはさんご礁が広がり、水鳥をはじめ貴重な生物が生息していることから、オイルフェンスを設置して、油のさらなる広がりを食い止めるとともに、回収を進めているとしています。
モーリシャスでは、豊かな自然を売りにした観光が主要産業の一つとなっていて、モーリシャス政府は国連に対して緊急の支援を求めています。
商船三井の小野晃彦副社長は「モーリシャスをはじめ、関係の皆様に多大なるご迷惑をおかけし、深くおわび申し上げます。影響を最小限に食い止めるよう、解決まで誠意を持って対応したい」と述べました。
長鋪汽船の長鋪慶明社長は「現時点ではどのくらいの期間で回収ができるか見通しが立っていない。まずは油の拡散を防ぐことに全力で努めていきたい」と話していました。
2020.8.4-NHK NEWS WEB-
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20200804/k10012549331000.html
スペイン前国王 国外へ 高速鉄道建設計画めぐり収賄疑惑で
スペイン王室は3日、前の国王のフアン・カルロス1世(82)がスペインを離れることを決断したと発表しました。
前国王は、サウジアラビアの高速鉄道の建設計画をめぐり、不正に金を受け取った疑惑がもたれていて、王室に対する批判が高まるのを避けたい思惑があるとみられます。
スペイン王室は3日、前国王のフアン・カルロス1世が、国を離れる決断をしたと発表しました。
発表では、前国王が息子であるフェリペ国王に宛てて手紙をしたため、「
国民や国王に対して、最大の奉仕を行うという信念に基づき、熟慮の上でスペインを離れることを決断した」と記したとしています。行き先については明らかにされていません。
前国王は、サウジアラビアの高速鉄道の建設計画をめぐって、工事を受注したスペインの企業連合から見返りに金を受け取った疑惑がもたれていて、ことし6月、スペイン検察が捜査に乗り出すと発表していました。
前国王の弁護士は、地元メディアに対し、前国王は引き続き捜査に協力するとしていて、今回の決断には、王室に対する批判が高まるのを避けたい思惑があるとみられます。
フアン・カルロス1世は、40年近くにわたり独裁政治を続けてきたフランコ総統の死去を受けて、
1975年に国王に即位し、民主化を推し進めて国民の尊敬を集めましたが、国が財政危機にあるなか、アフリカでゾウ狩りを行ったことが厳しい批判にさらされ、2014年に高齢を理由に退位しました。
海洋汚染防止へ日本政府が国際緊急援助隊派遣へ
この問題で、政府は、モーリシャス政府からの要請を受け、10日、国際緊急援助隊の専門家チームを現地に派遣することを決めました。
専門家チームは、海上保安庁と外務省、それにJICA=国際協力機構の職員合わせて6人で構成され、現地では油を取り除く作業などの支援活動を行う予定です。
政府は、今回の問題がモーリシャスの環境や、観光業に大きな影響を与えかねないとして、専門家チームの派遣で海洋汚染の防止に貢献したいとしています。
専門家 さんごの多様性が世界で最も高い
地域ビッグデータ解析を使って生物多様性の研究を行っている琉球大学の久保田康裕教授らのグループはことし3月、モーリシャスを含むインド洋西部の海域は、
さんごの種の多様性が世界で最も高いとみられるとする研究を報告しています。
世界の暖かい海には、イシサンゴとよばれるさんごの仲間が生息していますが、まだ見つかっていない種も多数いると考えられています。
久保田教授のグループは、現在見つかっている697種の分布について、世界の10万か所余りで記録されたデータを解析して、世界のどこの海のサンゴの多様性が最も高いかを推定しました。
その結果、
モーリシャスを含むインド洋西部の海域は、東南アジアやオーストラリアなどと比べて、調査が進んでいないわりに見つかっている種が多く、計算の結果、世界で最もさんごの種数が多い海域とみられることが分かったということです。
久保田教授は「モーリシャス周辺は潜在的にさんごの多様性が高いホットスポットだが調査が十分にされていない。今回の事故で知られる前に絶滅する種がいないか懸念される。事故の影響調査とともに、
この海域のサンゴの多様性についても調査を尽くす必要がある」と指摘しています。
専門家
「壊滅的な被害につながるおそれも」
貨物船が座礁したモーリシャスの沖合は世界でも有数の多様なさんご礁が広がる海域で、流出した油などによって生態系が大きな影響を受けることが懸念されます。
有害物質が生態系に与える影響に詳しい神戸大学の岡村秀雄教授によりますと、
さんご礁に重油が流出した場合、さんごや海草などの生物に油が覆い被さることで、呼吸できず窒息するおそれがあるほか、さんごを形づくる「褐虫藻」と呼ばれる生物が栄養を補給できなくなり、壊滅的な被害につながるおそれがあると言うことです。
また、重油そのものに含まれる有害物質や、船の底に貝などが付かないように塗られている塗料に含まれる有害物質の溶出も生態系に影響を及ぼすおそれがあるということです。
岡村教授は、
さんご礁での事故処理の場合、薬剤による重油の処理や、物理的に重油を取り除く作業自体がさんごの生態に影響を与えるおそれがあるとして、油の流出がこれ以上広がらないようにすることが最優先だとしたうえで、「
さんご礁に広がった重油の回収はかなり難しい作業になると思われる。場合によっては自然の力で浄化するのを待たざるをえない可能性もあり、影響の長期化を覚悟して慎重に対策を探っていく必要がある」と指摘しています。
2020.7.25-宮崎日日新聞-https://www.the-miyanichi.co.jp/news/World/2020072501001888.php
子ども203人を「人間爆弾」に イスラム過激派がナイジェリアで
国連は24日、
イスラム過激派ボコ・ハラムがナイジェリア北東部で2019年末までの3年間に、拉致した203人の子どもを使った爆弾テロを行っていたとの報告書を発表した。
約8割が少女だった。
大人の戦闘員が子どもの体に爆弾を巻き付けて雑踏に向かわせ、遠隔操作で起爆する手口で、国連は「
人間爆弾」と非難している。
ボコ・ハラムは14年に北東部ボルノ州で女子生徒276人を拉致し、解放を求めるキャンペーンが世界中に広まった。だが、過激派組織「イスラム国」(IS)に忠誠を誓う勢力も現れ、チャド湖に面した地域一帯を混乱に陥れている。
2020.7.21-NHK NEWS WEB-
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20200721/k10012525721000.html
EU コロナ“復興基金” の設立案 協議は難航
EU=ヨーロッパ連合は、新型コロナウイルスの感染拡大で打撃を受けた経済を立て直すため、
90兆円余りの基金を設立する案について夜を徹して協議していますが、依然、難航しています。合意できなければ、
各国の分断が改めて浮き彫りになり、EUは正念場を迎えています。
EUは17日からベルギーのブリュッセルの本部で首脳会議を開いていて、感染拡大で大きな打撃を受けた経済の立て直しに向けて、7500億ユーロ、日本円で90兆円余りの基金を設立する案について協議しています。
当初の案では、7500億ユーロのうち、3分の2にあたる5000億ユーロを返済義務がない補助金として加盟国に配分し、残りを融資にするとしていましたが、財政規律を重視するオランダやオーストリアが補助金の割合を減らすよう強く主張し、協議は難航しています。
このため、EUのミシェル大統領は20日、補助金の割合を減らすことなどを盛り込んだ新たな案を各国に提示しました。その後、ミシェル大統領は全体会合を中断し、現地の未明の時間帯にも各国首脳と個別の会談を重ねるなど、夜を徹して事態の打開を図っています。
基金の設立で合意できなければ、ヨーロッパ経済の立て直しに影響がでるだけでなく、各国の分断が改めて浮き彫りになり、EUは正念場を迎えています。
2020.7.20-SankeyBiz-https://www.sankeibiz.jp/macro/news/200720/mcb2007200830008-n1.htm
国連事務総長「安保理の構成、投票権を改革すべき」 5大国を批判
【ニューヨーク支局】国連のグテレス事務総長は18日のオンライン演説で、国際機関における不平等の解消を訴え、「
70年以上前に頂点に立った国々が改革を拒んでいる」と批判した。「
国連安全保障理事会の構成や投票権」を改革すべき対象として例示しており、
拒否権を持つ米英仏露中の5常任理事国を念頭に置いた異例の発言といえる。
グテレス氏は、南アフリカで反アパルトヘイト(人種隔離)運動を指導したマンデラ元大統領の誕生日に合わせ、国際社会の不平等をテーマに演説した。
この中でグテレス氏は「
不平等の解消は国際機関の改革から始めなければならない」とし、国連安保理や世界銀行などで「
力関係を変更する改革」が必要だと訴えた。
アフリカ諸国など発展途上国の意向が十分に反映されていないことを問題視した。
安保理では、拒否権を持つ米国などと中露が主要問題でことごとく対立する構図が定着し、機能不全が指摘されている。日本とドイツ、インド、ブラジルの4カ国(G4)は常任理事国の枠を拡大する安保理改革を訴えているが、関係各国の利害が複雑に絡み、議論は停滞している。
グテレス氏は演説で、新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)が「エックス線」のように
国際社会の矛盾を暴き出したとも指摘。
先進諸国は「自国の利益」を優先し、途上国への十分な支援を行わなかったと述べ、各国指導者に国際協調を呼びかけた。
2020.7.18-dmenuニュース(毎日新聞)-https://topics.smt.docomo.ne.jp/article/mainichi/world/mainichi-20200718k0000m030190000c
「原発攻撃」発言も アゼルバイジャンとアルメニアが軍事衝突
旧ソ連のアゼルバイジャンとアルメニアの国境地帯で12日から断続的に軍事衝突が続き、両国から少なくとも16人が死亡する事態となっている。衝突の原因は不明だが、両国とも相手側の攻撃によって始まったと主張。非難の応酬が続く中、
アゼルバイジャン側がアルメニアの原子力発電所を攻撃する可能性まで示唆しており、関係国が自制を求めている。
アゼルバイジャンのナゴルノカラバフ自治州をアルメニア人が実効支配することを巡り、両国は対立してきた。
今回の衝突は同自治州から離れたアゼルバイジャン北西部のトブズ周辺の国境地帯で発生しており、両国の根深い相互不信が浮き彫りとなっている。
タス通信などによると、これまでにアゼルバイジャン側は12人、アルメニア側は4人が死亡し、民間人に犠牲が出たとの報道もある。
重火器による砲撃や無人機による攻撃もあったという。アルメニア国内でアゼルバイジャンのダムなどの重要施設を攻撃する可能性が報じられたのに対し、アゼルバイジャン国防当局者は「
アルメニアの原発を最新ミサイルで正確に攻撃できる」と警告した。
両国でも新型コロナウイルスの感染拡大が続いており、今回の衝突は国内問題から国民の目をそらすためとの見方もある。
ナゴルノカラバフ自治州ではソ連時代の1988年、多数派を占めるアルメニア人がアルメニア共和国(当時)への編入を求め、アゼルバイジャン共和国(同)との武力闘争を開始。アルメニア側も軍事介入し、約2万人の死者が出た。ソ連崩壊後の94年に停戦合意が結ばれたが、その後も衝突が頻発し、2016年には同自治州で100人以上が死亡している。
双方と関係の深いロシアのラブロフ外相は13日、両国の外相と電話協議し、即時停戦を求めた。国連のグテレス事務総長も懸念を表明するなど国際社会から自制を求める声が高まっている。一方、アゼルバイジャンと関係が深いトルコは隣国アルメニアを批判する姿勢を表明している。【前谷宏】
2020.7.09-産経新聞 THE SANKEI NEWS WEB-https://www.sankei.com/world/news/200709/wor2007090017-n1.html
豪州・カナダが香港市民ら防衛へ 「ファイブアイズ」で英と連携
(1)
中国による「
香港国家安全維持法」(国安法)施行を受け、
オーストラリアとカナダが国内での滞在権拡充や犯罪人引き渡し条約停止など、香港市民らの防衛に動き出した。
両国は英語圏5カ国で構成する機密情報の共有枠組み「
ファイブアイズ」のメンバーで、
香港の旧宗主国である英国との連携を深めているようだ。(シンガポール 森浩、ニューヨーク 上塚真由、ロンドン 板東和正)
モリソン豪首相は9日、「
新たな生活を始めたい香港市民もいるだろう」と述べ、
基本的人権を制限する国安法への懸念から、国内に滞在する香港市民の滞在期間を永住許可も視野に延長できるようにすると発表した。
容疑者が中国本土で裁かれるのを防ぐため香港との犯罪人引き渡し条約も停止した。
カナダのトルドー首相も3日、香港との犯罪人引き渡し条約を停止し、香港への高度な軍備品輸出を禁止すると発表。
香港市民受け入れを念頭に移民分野でも追加措置を取る考えを示した。香港在住のカナダ出身者は30万人に上るといい、トルドー氏は「カナダと香港の多くのつながりを引き続き支えていく」と強調。
ファイブアイズを含む同盟国と緊密に連携していく意向を強調した。
英紙フィナンシャル・タイムズによると、
英国は香港市民の保護に向けた「
負担共有」を
ファイブアイズの他のメンバーである米豪加とニュージーランドに要請。
豪加はこれを受けて動いたとみられ、ニュージーランドも9日、香港との関係見直し検討を表明した。
ファイブアイズは近年、中国通信機器大手、
華為技術(ファーウェイ)への協調対応を進めるほか、
5月下旬にはニュージーランドを除く4カ国が
国安法導入決定に
懸念を示す共同声明を迅速に発表。英国は1月に欧州連合(EU)を離脱したこともあり、中国対応のため「
ファイブアイズとの関係を深めようとしている」(英人権団体「香港ウオッチ」のパターソン所長)との見方もある。
(2)
豪州とカナダは最近、中国と対立を深め、国内の対中感情悪化も強硬姿勢への後押しとなっている。
豪州は新型コロナウイルス発生の経緯について第三者による調査を求め、中国の報復措置を受けている。カナダはファーウェイ幹部の逮捕で中国との関係が悪化。かつて「親中派」とみなされたトルドー氏も、人権重視の立場からこれまでに対中政策の見直しを迫られた。
ただ、
大量の香港市民らの受け入れは大きな負担ともなりかねず、トルドー氏は対応の詳細を明らかにはしていない。
豪州は1989年の天安門事件で中国人留学生らの亡命を多く受け入れたが、中国との経済関係への影響も考慮すれば、「(受け入れは)当時よりリスクが高い」(ABC放送)とも指摘されている。
2020.6.26-高知新聞-https://www.kochinews.co.jp/sp/article/377398
南シナ海「無責任な行動」を批判 ベトナム、中国を念頭に
【ハノイ共同】ASEAN首脳会議が26日、オンライン形式で開かれた。
議長国ベトナムは、新型コロナウイルス対策に各国が苦心する中でも南シナ海進出の動きを止めない中国を念頭に「
無責任な行動が地域の安定に影響を与えている」と指摘。中国と比較的関係が良好なフィリピンやインドネシアも懸念を表明した。
中国は感染が世界的に拡大してからも
南シナ海で強引な行動が目立ち、4月には中国公船がベトナム漁船を沈没させた。ベトナムのグエン・スアン・フック首相は開会式で、中国の名指しは避けながら「
世界が感染拡大と闘っている一方で、国際法違反が起きている」と批判した。
2020.6.22-SankeiBiz-https://www.sankeibiz.jp/macro/news/200622/mcb2006222056014-n1.htm
秘密の核開発、武器禁輸…イランと欧米の対立が再燃
【カイロ=佐藤貴生】
イランが秘密の核開発活動を過去に行っていた疑いが浮上し、イランと欧米の対立が再燃している。
2015年のイラン核合意の当事国である英仏独は国際原子力機関(IAEA)への全面協力と査察受け入れをイランに求める決議案を提出、19日のIAEA理事会(35カ国)で採択された。米国は、イランへの武器禁輸を定めた国連安全保障理事会の制裁決議が10月に期限切れとなるため、禁輸継続を目指して根回しを始めた。
採択された決議は、
イランが未申告の核開発を行っていた疑いがあるとして、同国が数カ月間、拒否している2施設への査察官立ち入りを認めるよう要求。イランに「深刻な懸念」を表明した。
イラン側は19日、IAEAには「最高度の協力」をしていると主張。同国のザリフ外相は「
英仏独はトランプ(米大統領)とネタニヤフ(イスラエル首相)の付属品だ」と批判した。中露は決議案に反対した。
イランは核合意の履行義務を段階的に放棄し、1月には無制限にウラン濃縮を進めると表明。合意の維持を目指す英仏独をいらだたせてきた。イランの低濃縮ウランの貯蔵量は5月には1571・6キロに達し、
合意の規定上限である202・8キロ(六フッ化ウラン換算で300キロ)を大幅に超えている。高濃縮のウランは核兵器に転用できる。
イラン核合意は、イランの核開発を制限する見返りに国連制裁を停止したが、武器禁輸は5年後の今年10月まで続けるとした。
このため、トランプ米政権は15日、対イラン武器禁輸の継続を含む新たな決議案を安保理理事国に配布。
イランを出入りする貨物を監視する委員会を設置し、違反が疑われる場合は貨物の臨検や押収、資産凍結なども可能とする内容だ。
2020.6.19-NHK NEWS WEB-
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20200619/k10012477201000.html
オーストラリア 政府機関にサイバー攻撃 中国関与の報道も
オーストラリアのモリソン首相は、複数の政府機関などが数か月にわたってサイバー攻撃を受けていることを明らかにしました。
オーストラリアは新型コロナウイルスの発生源などに関する調査を巡って中国と関係が悪化していて、地元メディアは政府機関の高官の話として、攻撃には中国が関与しているとみられると伝えています。
モリソン首相は19日の記者会見で、「
あらゆるレベルの、政府や産業などを含むオーストラリアの幅広い組織が、サイバー攻撃を行う者の標的にされている」と述べ、
数か月にわたって繰り返しサーバー攻撃を受けていることを明らかにしました。
攻撃の頻度は増えているものの、これまでのところ大規模な個人情報の流出は確認されていないということです。
誰が攻撃を行っているのかについてモリソン首相は、「
規模や性質などから、国家に基づく洗練された者だ」と述べ、攻撃には外国の関与があるという認識を示しましたが、具体的な国名はあげませんでした。
オーストラリアはことし4月に新型コロナウイルスの発生源や感染が拡大した背景などを調べるため、独立した調査が必要だという考えを示して以降、中国との関係が悪化していて、地元の公共放送ABCは政府機関の高官の話として攻撃には中国が関与しているとみられると伝えています。
中国 報道官「いかなるサイバー攻撃にも反対」
オーストラリア政府が複数の政府機関などがサイバー攻撃を受けていると明らかにし、攻撃には中国が関与しているという指摘が出ていることについて、中国外務省の趙立堅報道官は19日の記者会見で「
中国はインターネットの安全を断固守っており、サイバー攻撃の最大の被害国の1つでもある。われわれは一貫して、いかなる形式の
サイバー攻撃にも反対しており、法に基づいて取り締まっている」と述べ、関与を否定しました。
2020.6.16-産経新聞 THE SANKEI NEWS WEB-https://special.sankei.com/a/international/article/2020061
【シンガポール=森浩】新型コロナウイルスの流行が続く中でも、
南シナ海の覇権を握ろうと挑発的な行動を繰り広げている中国に対し、
同海域の一部で領有や海洋権益を主張しているフィリピンやインドネシアなど東南アジア各国が反発を強めている。
自国が主張する排他的経済水域(EEZ)内での中国公船の活動が相次いでいることに警戒感を強め、インフラ整備や国連へのアピールといった対抗措置を取り始めた。
中国は4月以降、南シナ海に海洋調査船を出し、ベトナムやマレーシアが主張するEEZ内で相次ぎ調査活動を実施した。
4月18日に中国はスプラトリー(中国名・南沙)諸島とパラセル(同・西沙)諸島を管轄する行政区の新設を発表して、対立を深めている。
フィリピンはスプラトリー諸島で実効支配しているパグアサ(英語名・ティトウ)島に今月9日、船着き場を設置した。記念式典に出席したロレンザーナ国防相は「
軍事化が目的ではない」と説明したが、
物資の運搬が可能となり、将来的に軍用機の離着陸が可能な滑走路の整備も視野に入れているとの見方もある。
2020.6.6-Yahoo!!Japanニュース(JIJI CM)(AFPBB))-https://news.yahoo.co.jp/articles/d8a6396ef69e51757bbc1a78c1b536ba23d7b3d1
印豪首脳、防衛協力強化で一致 中国をけん制
【AFP=時事】
インドとオーストラリアは4日、後方支援や海洋協力などを含む協定を締結し、防衛協力を強化することで一致した。
両国は共に中国と緊張関係にある。
インドのナレンドラ・モディ(Narendra Modi)首相とオーストラリアのスコット・モリソン(Scott Morrison)首相の会談は、新型コロナウイルスの流行の影響で国際的な移動が制限されていることから、ビデオ会議形式で実施された。両首脳は、戦略的パートナーシップを格上げし、
相互後方支援協定を締結した。 モディ氏は、「
インドはオーストラリアとの包括的な関係を一層強化する」とし「
これはわれわれ2か国だけではなくインド太平洋地域にとっても必要なことであり、世界にとっても同様だ」と述べた。 一方、モリソン氏は「
このような時には、ぜひとも友好国や信頼できるパートナーと組みたい」と強調した。 両国は共同声明で、
外務・防衛閣僚協議を少なくとも2年ごとに開催すると述べている。 アナリストらは域内における
中国の台頭と米中関係の緊張の高まりを踏まえ、両国はリスクを緩和するために協力強化に至ったと指摘している。 豪アデレード大学(University of Adelaide)のプルネンドラ・ジェイン(Purnendra Jain)非常勤教授(アジア研究)はAFPに対し、「両首脳が中国という言葉を口にしたとは思わないが、念頭にあったことは確かだ」と述べた。 さらに、「両首脳は、現代が激動の時代であり、このような激動の時代を乗り切るには協力して事に当たる必要があると理解している。これは、コロナウイルスや自由貿易についてだが、
中国への対応についても非常によく当てはまる」と説明した。
【翻訳編集】 AFPBB News
2020.5.23-日本経済新聞-https://www.nikkei.com/article/DGXMZO59496990T20C20A5I00000/
アルゼンチン債務危機、コロナで拍車 新興国で連鎖も
【ニューヨーク=宮本岳則、サンパウロ=外山尚之】
アルゼンチン政府は22日、同日が支払期限だった5億ドル(約540億円)の国債の利払いを見送り、形式上は同国の9度目のデフォルト(債務不履行)が確定した。民間債権者の欧米投資家とは債務再編協議の継続で合意したが、政府側は強硬姿勢を崩さず、投資家側は不信感を募らせる。新型コロナウイルスによる景気の落ち込みが混乱に拍車をかけており、市場では新興国債務への不安が高まりそうだ。
■
投資家側に募る不信感
「
言葉よりも行動で示してほしい」。米大手運用会社ブラックロックや同ティー・ロウ・プライスなどで構成する米欧債権者団は22日の声明で、アルゼンチン政府の姿勢をこう批判した。政府は4月22日に一部債券の利払いを実施せず、30日間の猶予期間を利用して、債務再編案をまとめようとした。表向きは協調をうたいながらも、一方的に譲歩を迫る政府の姿勢に、投資家側はいらだちを募らせている。
22日に支払猶予期間が終わったことで、2014年以来、9度目となるアルゼンチン政府のデフォルトが決まった。
外貨準備高は約430億ドルあり、当面の利払い能力に問題はないため、形式的な「テクニカルデフォルト」とみる向きもある。
ただし、今回の債務不履行が14年と異なるのは、
アルゼンチン政府自らの判断で、利払いを止めたことだ。14年のデフォルトはヘッジファンドとの係争で米国の裁判所に支払停止を命じられた結果であり、政府側には利払いを予定通り実施する意志はあった。今回は「中長期にわたって債務返済を続けられなくなった」と宣言し、大幅な減免を求めている。
6月2日までの協議延長で合意したものの、先行きは予断を許さない。債務再編の対象になるのは主に05年に発行された国債や16年以降にドル建てで発行された国債で、合計で660億ドルにのぼる。
政府が提示した再編案は、利払い総額を6割減らした上で、3年間は支払いを「ゼロ」にする内容だ。投資家側は「正当化できない不均衡な損失を押しつけられる」として反発する。ブラックロックなどが出した対案は支払猶予を1年しか認めていない。
■
アルゼンチン政府は強気の交渉姿勢
米欧投資家は左派フェルナンデス政権への不信感が強く、支払い猶予期間で折り合えない一因になっている。同政権は財政拡張的な政策を掲げている。3年間の「利払いなし」で財政規律が失われ、再びデフォルト危機に陥ることを懸念する。
一方、政権側は着実な財政再建には長めの猶予期間が必要との立場で、両者の主張の隔たりは大きい。国債は1年前に比べて5割超低い価格で取引されており、
交渉の決裂と妥結の可能性を「
両にらみした水準」(米証券アマースト・ピアポント)という。
もっとも投資家側のほうが劣勢にみえる。
国際通貨基金(IMF)が2月に発表した声明で、アルゼンチンの対外債務1千億ドルは「
返済不可能」と判断し、投資家側に債務減免を求めた。アルゼンチンのグスマン経済相に近いノーベル賞経済学者ジョセフ・スティグリッツ氏も「大幅な債務減免が必要」などと発言した。こうした「援護射撃」がアルゼンチン政府側を強気にさせているとの見方もある。
実際、アルゼンチン経済の状況は刻々と悪化している。通貨下落と高インフレで19年まで2年連続のマイナス成長で、20年は新型コロナが追い打ちをかける。製造業や商業は壊滅的な状況でIMFは20年成長率をマイナス5.7%と予測する。シェールガス開発で「双子の赤字」解消を目指していたが、原油価格の下落で目算が狂った。もはや大幅な債務減免以外に経済再建の道がない。アルゼンチン側が交渉決裂も辞さない瀬戸際戦略をとるゆえんだ。
■
新興国「デフォルト予備軍」に警戒感
アルゼンチン債務再編交渉を巡る混乱は、新興国投資のリスクを市場に再認識させた。ここ数年は世界的な低金利を追い風に、新興国は積極的に米ドルによる資金調達を行った。
ところが
新型コロナは世界の経済活動に悪影響を及ぼし、
新興国からは資金流出が目立った。足元では感染拡大の中心が新興国に移り、各国とも財政出動や金融緩和を迫られている。
財政赤字体質で債務残高の大きい国は急速に財務が悪化しかねない。
IMFには100カ国以上がコロナ対応で緊急融資を求めている。支援要請に満額で応えられない場合、その「しわ寄せ」は
民間債権者である投資家側にくる。20年に入ってデフォルト状態に陥ったのは中東レバノン、南米エクアドルとアルゼンチンの3カ国だ。いずれも国際金融市場への直接的な影響は小さいが、「
デフォルト連鎖」が
投資家の間で意識されれば、新興国の資金流出を招く恐れがある。
市場は「
デフォルト予備軍」
に警戒を強めている。その一つが中東の産油国バーレーンだ。債務不履行(デフォルト)の確率を取引する金融派生商品、クレジット・デフォルト・スワップ(CDS)市場では、同国のCDS保証料率が4.8%まで上昇した。トムソン・ロイターによると保証料率から計算したデフォルト確率は3割に達する。格付け大手フィッチ・レーティングスは今年、国債のデフォルトが最多になると予想している。
2020.4.25-SankeiBiz-https://www.sankeibiz.jp/macro/news/200425/mcb2004250838001-n1.htm
「優等生」のはずのシンガポールで感染者急増 劣悪な住環境で拡大
シンガポール=森浩】新型コロナウイルス押さえ込みの「優等生」とされた
シンガポールで、外国人労働者を中心に感染者が急増している。人口は約560万人だが、24日までの
感染者は1万1178人で東南アジア最多。日本ともあまり変わらない。
インドやバングラデシュからの労働者が住む寮での感染が8割以上を占め、密集した住環境が影響しているもようだ。経済成長を支えてきた外国人労働者の感染拡大に政府も苦慮している。
2003年から出稼ぎに来ている
バングラデシュ出身のコカンさん(41)は、通信アプリでの取材に、自身が生活を送っていたシンガポール北部の寮についてこう振り返った。
コカンさんも新型コロナに感染し、4月中旬から病院で治療を受けている。
生活していたシンガポール北部の寮は12人が一部屋で生活しており、窓は小さく、天井には2つの扇風機がついているだけで、空気の通りも悪かったという。「洗面台、シャワー、トイレがある場所は1つ。100人以上が共有していた。きちんと掃除されていたとは言い難い」とコカンさんは話した。
シンガポールは1980年代から外国人労働者を積極的に受け入れており、労働者全体の4割弱を外国人(永住権の非保持者)が占める。建設業や製造業などでは、「ワーク・パーミット(WP)所持者」と呼ばれる単純労働専門の外国人労働者なしでは成立しえない事業者も多い。今回、
感染が拡大しているのはWP所持者が中心だ。
シンガポールは水際対策の強化や他者との距離を保つことの徹底などで感染を押さえ込もうとしてきたが、「三密」(密集、密室、密接)がそろっている寮が盲点となった格好だ。リー・シェンロン首相は21日のテレビ演説で、外国人労働者が感染した場合、「シンガポール人と同様に治療する」とし、国としてケアしていくことを強調。合わせて、5月4日までの予定だった学校や大部分の職場の閉鎖を6月1日まで延長すると発表した。
外国人労働者の居住施設での感染拡大は、中東カタールなど他国でも懸念が高まっており、人権団体が環境の改善を呼びかけている
2020.4.21-NHK NEWS WEB-
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20200421/k10012397821000.html
カナダ東部銃撃事件 少なくとも19人死亡 放火も明らかに
カナダ東部で男が銃を発砲して10人が殺害された事件で、警察は20日、死者は少なくとも19人に上るとともに男が複数の住宅などに放火していたことを明らかにしました。
カナダ東部のノバスコシア州で、18日夜から19日にかけて、警察官の服装の男がパトカーに似せた車で移動しながら複数の場所で銃を発砲しました。
この男は、
地元の歯科技工士ガブリエル・ウォートマン容疑者(51)で、
警察との銃撃戦で射殺されました。
警察は当初、この事件で10人が殺害されたとしていましたが、20日の記者会見で、
死者は男も含めて少なくとも19人に上ることを明らかにしました。
そのうえで、「
少なくとも5か所で住宅などの建造物に火が放たれており、事件の現場を完全に検証できていない」と述べ、男が複数の住宅などに放火していたことを明らかにするとともに、死者がさらに増える可能性も示唆しました。
ただ、動機については、「無差別に狙ったようだ」と述べるにとどまり、警察は引き続き動機の解明を進めています。
2020.4.17-産経新聞 THE SANKEI NEWS WEB-https://www.sankei.com/world/news/200417/wor2004170042-n1.html
「停止状態」に陥った中国経済 世界経済悪化が回復シナリオにも影響
【北京=三塚聖平】
中国の2020年1~3月期の国内総生産(GDP)は6・8%減と、四半期ベースで初のマイナス成長となった。湖北省武漢市から広がった新型コロナウイルスの影響で、1月下旬から2月にかけて「停止状態」に陥ったためだ。
中国政府は企業活動の再開を急ぐが、各国の感染拡大による世界経済の悪化懸念が浮上。中国の景気回復シナリオに早くも狂いが生じている。
「春節(旧正月)休暇後に営業を再開します」
北京市内では、今もシャッターを閉ざした店が少なくない。大企業を中心に操業再開が進む一方で、飲食や観光など小規模企業では苦境が続いている。
1月25日の春節直前の20日に、
習近平国家主席が新型コロナの感染阻止を指示。中国経済はマヒ状態に陥った。3月に入ってからは「国内での感染流行のピークは過ぎた」として企業再開に重点を移している。
だが、中国経済は足元で2つのリスクに直面する。
第1は、海外からの感染者の流入や、無症状感染者による「感染第2波」の懸念だ。一部で厳しい防疫措置が残り、経済活動のアクセルを強く踏み込めずにいる。
第2は世界経済の悪化だ。輸出企業が多い広東省では既に「感染拡大で景気が悪化した海外から発注のキャンセルが出ている」(日系企業関係者)。
経済悪化は習政権の信任にも関わるため警戒感が増している。13年ぶりに特別国債を発行する方針を決め、近く包括的な景気刺激策が表明されると予想される。ただ、国家予算を承認する全国人民代表大会(全人代)の日程は未定で、今年の成長目標が示されない可能性も取り沙汰される。
08年のリーマン・ショック直後に4兆元(当時のレートで約57兆円)の大型景気対策を打ち出した中国は、過剰債務問題などの副作用に今も苦しむ。日本総合研究所の関辰一・主任研究員は「中国政府は銀行融資や公共投資の急拡大に対して慎重姿勢を示している。リーマン・ショック時のように世界経済の回復に大きく貢献することは期待薄だ」と指摘する。
2020.4.17-産経新聞 THE SANKEI NEWS WEB-https://special.sankei.com/a/international/article/20200417/0001.html
非常事態は「無期限」 強権強める東欧2カ国
【ロンドン=板東和正】
東欧のハンガリーやポーランドが新型コロナウイルスへの対応に乗じる形で強権的な統治手法を一段と強めている。ハンガリーでは首相の権限を無期限で大幅に拡大。ポーランドは感染拡大が続く中、
反対意見を押し切って5月10日の大統領選を敢行する構えだ。法の支配や表現の自由をめぐって欧州連合(EU)と対立してきた両国への懸念は一層深まりそうだ。
ハンガリーの議会は3月30日、新型コロナの感染拡大を抑制するために宣言された
非常事態を、オルバン首相が無期限で延長できる法案を可決した。非常事態下では学校の封鎖や市民の移動制限などの措置をとることができ、継続には15日ごとの議会承認が必要だった。だが、
今後は議会のチェックは働かなくなる。
2020.4.16-日刊IWJガイド-https://iwj.co.jp/info/whatsnew/guide/39971
「対策を行わなければ新型コロナウィルスによる『死者は約42万人』!?
厚労相専門家チームが推計を発表! しかし政府・自民党は知らぬ存ぜぬ!!」2020.4.16日号 ~No.2772号
━【目次】━━━━━━━━━━━━━
┠■はじめに~
対策を行わなければ新型コロナウィルスによる「重篤患者は約85万人、死者は約42万人」!? 厚労相専門家チームが推計を発表! しかし政府・自民党は知らぬ存ぜぬ!!
┠■【中継番組表】
┠■「
『緊急事態宣言』で感染者は減らない!自粛・補償・感染モニタリングが継続可能な医療・社会体制を構築・維持せよ!」本日午後6時半より、新型コロナウイルス問題に医師・弁護士・元知事の視点から鋭い発言を続けている前新潟県知事・医学博士・弁護士米山隆一氏に岩上安身がインタビュー!
┠■小池百合子東京都知事8000億円を超える緊急対策を発表!医療・生活・経済への支援への効果的な支援が期待!
┠■
世界で新型コロナウィルスの感染者が200万人超え!! 欧州でも100万人超え。日本でも新たな感染者数が発表され、俳優の石田純一さんが感染して入院というショッキングなニュースも!
┠■「人と人との接触が、8割削減できるわけない」発言した自民党・二階俊博幹事長と公明党・山口那津男代表とが「全国民10万円給付」提言! 政府対策への不満の「ガス抜き」!? お金をバラマキながら感染拡大阻止失敗という最悪のシナリオも!?
┠■
世帯への30万円よりも個々人への10万円給付!政府はPCR検査増大に舵を切るべし!まずは人を救え、そして文化も。~4.15社会民主党 福島瑞穂党首定例記者会見(2020年2月22日に党首就任)
┠■コロナ禍の非常時に
自民党幹部が「もたない会社はつぶすから」と本音を明らかに! IWJではチャンネル桜で同党幹部の発言を暴露した安藤裕衆院議員事務所に取材を決行!
┠■「世界のどの国も休業補償していない」と言うのは真っ赤なウソ!! 安倍総理・西村大臣「休業補償はやらない」と厚労省「休業補償はある」との間の矛盾は!?
┠■横浜市が保育園でのコロナ感染発生を「隠蔽」した信じがたい事態!! いったいなぜ、「三密」が避けられない園児や職員、保護者の生命を、コロナ感染の危険にさらすのか!? IWJは横浜市こども青少年局保育教育運営課に直撃取材!
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■はじめに~
対策を行わなければ新型コロナウィルスによる「重篤患者は約85万人、死者は約42万人」!? 厚労相専門家チームが推計を発表! しかし政府・自民党は知らぬ存ぜぬ!!
おはようございます。IWJ編集部です。
4月3日付け
日本経済新聞が取り上げた、厚労省専門家会議の北海道大学教授・西浦博教授のシミュレーションによれば、人と人との接触を8割削減できれば、10日から2週間後に1日約1000人の感染者を出すのをピークに、急激に減少させられるといいます。
しかし、それよりも削減の度合いが不足すると、自粛や休業の効果は出ず、感染者は急カーブで増え続けて、
オーバーシュートしてしまうというのです。
※「欧米に近い外出制限を」 北大教授、感染者試算で提言(日本経済新聞、2020年4月3日)
2020.4.8-Sankei Biz-https://www.sankeibiz.jp/macro/news/200408/mcb2004081517030-n1.htm
新型コロナで国連が途上国支援へ 脆弱国での感染拡大に危機感
【ニューヨーク=上塚真由】新型コロナウイルスの感染拡大をめぐって先進国が自国の対応に追われる中、
国連は、医療態勢が脆弱(ぜいじゃく)な途上国に感染が拡大することへの危機感を強め、国際社会に支援を呼びかけている。
国連は3月25日に、途上国、紛争当事国、難民キャンプなどの感染対策を支援するため、20億ドル(約2100億円)規模の計画を発表し、加盟国に資金拠出を要請した。南米やアフリカ、中東などの国を対象に、支援物資の空輸や、検査のための医療機器の購入などを進める計画だ。
ただ、
6日時点で加盟国から集まった資金は約4億ドルにとどまっている。
日本が最大の1億ドルを拠出したほか、クウェート、EU、ドイツなどが拠出表明しているが、他の先進国にも協力を呼びかけている。
グテレス事務総長は、新型コロナ対策には、途上国支援が欠かせないと繰り返し訴えており、先月25日には、
「途上国で数百万人が感染すれば、ウイルスが突然変異するリスクがあり、ワクチンが開発されても効かなくなる」と指摘。また、同31日には「国連の創設以来、最大の試練に直面している」と強調。
「途上国が感染拡大に対応する力を持ち合わせなければ、ウイルスは山火事のように南半球に広がる恐れがあり、数百万人が死亡する」と述べ、アフリカ大陸で感染が拡大する事態に懸念を示した。
モンテネグロの歴史
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
モンテネグロの歴史は
中世初頭にはじまる。はじまりは、
スラヴ人が現在
モンテネグロと呼んでいる
ローマ帝国の
属州ダルマチアの一部に到来してから後のことである。
歴史
現在のモンテネグロの地には、古く
イリュリア人が住んでいた。6世紀後半ごろに
バルカン半島にスラブ人が住むようになり、
10世紀までに
ドゥクリャ公国という半独立の国を形成した。
1077年に
ローマ教皇の
グレゴリウス7世はドゥクリャ公国を独立国として認識し、ステファン・ヴォイスラヴの建てたヴォイスラヴ王朝の貴族であるミハイロ王をドゥクリャ王として承認した。だが、ドゥクリャ王国は
東ローマ帝国にも貢ぎ物を送った。後
セルビア王国に
大公と呼ばれる
ステファン・ネマニャが現れ、ドゥクリャを支配した。
ゼタ(Zeta)独立公国(近代初期のモンテネグロ国により近い国)は
1360年に独立主権を行使した。その後、バルシチ王朝(
1360年-
1421年)そしてツルノイェヴィチ王朝(
1421年-
1499年)が
ゼタ公国を統治した。
15世紀から
オスマン帝国が南および東から侵攻したが、ゼタ全域を征服することはできなかった。
1516年に
ジュラージュ・ツルノイェヴィチ(英語版)公が、モンテネグロを
ツェティニェの
主教公による
神政政治の
国家にしようとした大主教に賛同し退位した。主教公の職は
1697年からペトロヴィチ=ニェゴシュ家が保持した。主教公は妻帯できないので、主教公の位はおじから甥へと継承された。こうして、オスマン帝国から独立した国家として、
モンテネグロ主教領(
ツルナ・ゴーラ府主教領、
1696年 -
1852年)が成立した。
ペータル2世は恐らく最も影響力を持つ主教公であろう。彼は
19世紀前半までそこを支配した。
1851年に主教公となった
ダニーロ1世は
1852年に結婚してモンテネグロ公(
クニャージ)と自称し、領地を世俗的な公国へと変えた(
モンテネグロ公国)。しかし、これにより宗主国のオスマン帝国との間に不和が生じ、1852年末には軍事衝突を起こした。この事件は後に
ウィーン体制構成国の利権と複雑に絡み合い
クリミア戦争へと発展することになった。
1860年にダニーロ1世が暗殺されると、モンテネグロ人は
ニコラ1世を推戴した。
1861年から
1862年までニコラは
オスマン帝国と戦ったが戦果は挙がらなかった。しかし
1876年、ニコラはセルビア・
ロシア帝国とともに先祖以来の敵を破り、
ベルリン会議によって1900平方マイルの領土を加え、
アンティヴァリの港とモンテネグロの全ての海岸に全ての国の軍艦が集まった。しかし
1876年には
オーストリア=ハンガリー帝国が制海権と沿岸の支配権を握った。
ニコラ1世の治世(
1860年-
1918年)には領土が倍増して国際的に独立が認められ(
1878年)、最初の憲法も制定されて(
1905年)、君主の格式も「公」から「王」に昇格した(
モンテネグロ王国)。そして
バルカン戦争 (
1913年)においても領土を獲得した。モンテネグロは1万の兵を投じて
オスマン帝国領
アルバニアのエーサド・パシャの軍と戦い
シュコダルの町を解放した。しかし列強の干渉で、
シュコダルは新たに独立した
アルバニア公国の領土になった。
世界大戦
モンテネグロ王国モンテネグロは
第一次世界大戦でいくらかの被害を受けた。
オーストリア=ハンガリー帝国によるセルビア侵攻のとき、モンテネグロは
中央同盟軍に対して宣戦する時機を逸したが、5万の陸軍を一度に動かすことができた。オーストリアはモンテネグロとセルビアの合流を阻止するために別動部隊を派遣したが撃退され、堅固に要塞化されたロフテン山の頂から、モンテネグロ軍がカッテロ砲の砲撃を敵に対して行った。
1914年8月10日、モンテネグロ歩兵軍はオーストリア駐屯軍に猛撃を加えたが優勢には回れなかった。オーストリア軍は再度セルビアに侵攻したが、彼らは防衛に成功して
ボスニアの
サラエヴォまで到達した。しかし、三度目の侵攻でモンテネグロ陸軍は兵力の差に屈し、オーストリア軍はセルビアをとうとう抜いた。モンテネグロも
1916年1月の侵攻をうけ同盟軍に占領された。
ニコラ王は
イタリアと
フランスに飛んだ。フランス政府は作戦指揮本部を
ボルドーに移転していた。そして、セルビア軍はモンテネグロをオーストリアから解放した。新たに召集された
ポドゴリツァの国民会議はセルビア軍に管理され、平和と敵との分離を求める王を非難した。そしてニコラ王は廃位され、帰国を禁じられた。セルビアは
1918年11月29日にモンテネグロを併合、モンテネグロはセルビア、
スロベニア、
クロアチアに取り込まれ、後にユーゴスラビア王国を形成することとなる
。
1919年に併合反対派が武装蜂起(
クリスマス蜂起)を起こしたが、セルビア軍により鎮圧された。
戦間期にはユーゴスラビア王アレクサンダル1世が
ユーゴスラビア政府を壟断していた。だが、モンテネグロ王ニコラ1世の孫がモンテネグロの再独立のために国外で奔走した。
第二次世界大戦中にユーゴスラビアは枢軸軍の攻撃を受け、解体された(
ユーゴスラビア侵攻)。モンテネグロはイタリアの占領下に置かれ、
傀儡国家モンテネグロ独立国(
it)が成立したが、イタリアの占領に抵抗するパルチザンが全土で蜂起した。1944年、
ヨシップ・チトーの
パルチザンが勝利し、ユーゴスラビアから枢軸軍は撤退した。
ユーゴスラビア共産党は解放のために戦ったモンテネグロ人の多数派の要求をいれ、モンテネグロ人国家はセルビアや他の海岸部と平等にあつかわれることになった。このことでモンテネグロに於ける社会主義政党の支持が上がった。モンテネグロは
ユーゴスラビアの6つの国の一つとして再編成され
モンテネグロ人民共和国となった。モンテネグロは連邦からファンドを発展途上国として供与されたため経済が改善、旅行者の拠点となったが、連邦内では立ち遅れた箇所であり、なおかつ人口の少ない地域であったために1980年代には経済危機に陥っている。
ユーゴスラビア崩壊後
1980年代からの
冷戦構造の崩壊と
1991年から
1992年のユーゴスラビア共産党の崩壊と複数政党制の導入のため、同じく連邦を形成していたスロベニアとクロアチアは1991年に分離独立を宣言
[1]、80年代終わりの短期間で反政府的な若い指導者が
モンテネグロに現れた。
ミロ・ジュカノヴィッチ、
モミール・ブラトヴィッチそして
スベトザル・マロヴィッチの3人が実質的に共和国を運営した。彼らは全員、いわゆる「反官僚主義革命」の間に権力を一掃し、
スロボダン・ミロシェヴィッチに近づいた若い党員によって、ユーゴスラビア共産党内の幾つかの党運営組織を結成した。3人はみな表面上は共産主義者に献身的であったが、変化の時代に古いものに固執する危険性を理解する融通性も持っていた。複数政党制に代わったとき、彼らはすばやく共産党モンテネグロ支部を
モンテネグロ民主社会党(DPS)に改名した。
旧共産党の地盤相続により、モンテネグロ民主社会党は対抗勢力とはかなりの差をつけ、議会選挙、大統領選挙に圧倒的な勝利を収めた。この政党はモンテネグロの政権を
2006年現在も(連立政権であるが)担っており、政権は磐石である。
1990年代初め、モンテネグロの指導者はミロシェヴィッチの戦争(
ユーゴスラビア紛争)にかなりの助力をした。モンテネグロ予備軍は
ドゥブロヴニク前線で戦った。そこは
ミロ・ジュガノヴィッチ首相がよく訪問したところである。
1992年の4月、住民投票の結果
[# 1]、ブラトヴィッチ大統領とジュガノヴィッチ首相のモンテネグロと、ミロシェヴィッチ政権下のセルビアが、「
ユーゴスラビア連邦共和国」(FRJ、通称・新ユーゴ)として合同することに合意した
。
ユーゴスラビア社会主義連邦共和国から新しく独立した国々を除く、連邦に留まったセルビアとモンテネグロによって新しい連邦は構成されることになった。しかし、まもなく、
ボスニアと
クロアチアでの紛争で行った所行ゆえに、
国際連合はFRJに対する経済制裁を課した。これは国内の生活の様々な局面に影響し、モンテネグロも先の紛争で評判が悪化していたセルビアとの距離を置き始めた。
アドリア海に通じており、かつ
シュコダル湖が
アルバニアとの間の水運を有しているといった地理的位置の有利さゆえ、モンテネグロは密輸活動の結節点になった。モンテネグロの工業生産は全体的に停滞し、主要な経済活動は消費財の密輸になった。特に、
ガソリンと
タバコが多く、どちらも価格はうなぎのぼりであった。政府は非合法活動に目をつぶるどころか、ほとんど自らも参加した。密輸によっていかがわしい人々の中から億万長者が出た。それには高級官僚も含まれていた。ミロ・ジュカノヴィッチは、手広く密輸に手を染め、
イタリアのさまざまな
マフィアの成員に、モンテネグロでの安全圏を提供したことに対して、多くのイタリアの裁判に直面し続けた。マフィアたちは既に密輸の分け前の連鎖に参加していたのである。
1997年の大統領選挙ではこれらが議論の的となりミロ・ジュガノヴィッチが2回に渡る投票の末、僅差で勝利、モミル・ブラトヴィッチ政権は終焉した。以前の密接な同盟者は敵となり、1997年秋の数ヶ月間でモンテネグロには戦争のような雰囲気がかもしだされていた。そしてさらに1998年、新ユーゴスラビア連邦大統領ミロシェビッチはブラトヴィッチを連邦首相に任命したが、ブラトヴィッチはジュガノヴィッチに敵対的行動を取り、先の選挙では憲法違反が存在したと主張した
[3]。しかしそれは、
モンテネグロ社会人民党の分裂を招いた。ブラトヴィッチと彼の支持者たちは社会人民党を離脱してミロシェヴィッチに忠実でありつつけたが、一方のジュガノヴィッチはセルビアとは距離をとり始め、事実上連邦制は機能しなくなっていた
[3]。この距離のため
1999年春の
コソボ紛争において、
北大西洋条約機構がセルビアに激しい爆撃を加えた時、モンテネグロの被害は割に軽微だったものの、数万人のアルバニア避難民が押し寄せる事となった
。 ジュガノヴィッチはこの政策論争で明らかな勝利者となった。ブラトヴィッチは
1997年以降もはや政府を掌握できず、
2001年には政界から引退した。
ゾラン・ジンジッチ率いる新セルビア政権のもと、ミロシェヴィッチは
ハーグの
国際司法裁判所に送られた。
連邦再編から再独立へ
モンテネグロ共和国(2006年)
2003年には、議論と外部の支援ののち、ユーゴスラビア連邦共和国は
セルビア・モンテネグロに改名し、公式に緩やかな
国家連合に再編された。この再編では、最低3年の統合期間を経れば独立が容認されることになっており、モンテネグロ人のいっそうの自立心を成長させるものであった。
ジュカノヴィッチが大統領に就任したころから、分離独立の示唆が行われて来ていたが、急激な独立運動は行われず、モンテネグロ政府も連邦脱退には慎重の姿勢を取ってきた。しかし、
2005年にセルビア外相が分離独立容認の発言をしたことなどから、実質的に分離独立における障害はなくなった。すでに通貨は独自に
ユーロを導入しており、失業率もセルビアの30パーセント以上に対してモンテネグロは20パーセント、インフレ率も抑えられており、経済的にも独立を阻止できる材料はセルビア側に無かった。
2006年には
モンテネグロの独立を問う住民投票が計画された。独立推進派は「
欧州連合(EU)早期加盟は独立が近道」と言うスローガンを掲げ、反対派は「独立しても早期加盟は不可能、市場の縮小で景気が悪化する」として阻止を図った。一方、独立運動によって地域が再び不安定化することを恐れたEUは、通常ならば過半数で独立達成のところを、55パーセント以上という条件を突きつけた。しかし、
5月21日に実施された国民投票では、セルビア人のほとんどが反対票を投じたが、55.4パーセントという僅差ながらも独立賛成票が上回り、独立は承認された。
6月3日夜、共和国議会によって独立宣言が採択され、
ユーゴスラビアに併合された
1918年以来、実に88年ぶりに独立を回復した。かつて
バルカン半島に勢力を築いたユーゴスラビア連邦は、これで完全に解体された。
独立に際し、モンテネグロと
日本の戦争状態が
日露戦争以降続いているかについて、日本の
国会で採り上げられた。2006年2月、日本政府は1904年のモンテネグロによる
宣戦布告に関する文書を見つけられないこと、
ポーツマスでの講和会議にモンテネグロは参加していないことを回答していた。実際には日露戦争時にモンテネグロは
ロシア側に立ち、1905年日本に宣戦布告し、ロシア軍とともに戦うため義勇兵を
満州に派遣していたが
、日本とロシアの講和会議にモンテネグロが含まれていなかったため、書類上は戦争状態が続いていることになっていた。
もっとも、モンテネグロが実際に宣戦布告していたか、宣戦布告が正規のものだったかどうかは、異説がある。しかしながら、独立直後の
2006年6月、日本政府はモンテネグロに外務大臣と首相の特使を派遣し、モンテネグロの独立承認と戦争状態の終了を宣言する文書を届けた。これにより、101年に渡る両国の「戦争状態」が終わった。(参考:
外交上の終結まで長期にわたった戦争の一覧)
モンテネグロ
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
1
面積 13,812平方キロメートル(福島県とほぼ同じ)
2
人口 62万人(2017,世銀統計)
3
首都 ポドゴリツァ(人口約15万人,2011年国勢調査)
4
民族 モンテネグロ人(45%),セルビア人(29%),ボシュニャク(9%),アルバニア人(5%)等(2011年国勢調査)
5
言語 モンテネグロ語(公用語),セルビア語等
6
宗教 キリスト教(正教),イスラム教等
モンテネグロは、
ヨーロッパ南東部、
バルカン半島に位置する
共和制国家。
首都は
ポドゴリツァ(旧憲法では
ツェティニェ。
ユーゴスラビア紛争による
ユーゴスラビア社会主義連邦共和国の解体によって成立した
ユーゴスラビア連邦共和国(1992年-2003年)および
セルビア・モンテネグロ(2003年-2006年)を構成する2つの
共和国のうちのひとつ、
モンテネグロ共和国であったが、
2006年6月3日に独立を宣言した。
南は
アドリア海に臨み、北西を
クロアチアの
ドゥブロヴニクと
ボスニア・ヘルツェゴビナ、北東を
セルビアの
サンジャク地方、南東を
アルバニア、東部を
コソボと接する。
国名
公用語の
モンテネグロ語では
ツルナ・ゴーラと呼ぶ。
モンテネグロ(
Montenegro [ˌmonteˈneɡro])とは
ヴェネト語による名称で、いずれも「黒い山」を意味する。かつて
黒山国とも当てられ、中国語では
黒山(黑山、ヘイシャン)と訳する。- 英語表記は、
Montenegro 。
日本語での表記は
モンテネグロ 。2007年10月の新憲法制定に伴い、それまでの
モンテネグロ共和国から共和国が外された。
歴史(詳細は「
モンテネグロの歴史」を参照)
言語的、文化的には
モンテネグロ人と
セルビア人の違いはほとんどない。宗教も同じ
正教会だが、セルビアで主流の
セルビア正教会の他に、
マケドニア正教会とセルビア正教会に併合された
モンテネグロ正教会も復活して存在する。
ドユラード・ツルノイェヴィッチ公が大主教に賛同して退位し、
1516年に
ツェティニェの
主教公による
神政政治が確立した(
モンテネグロ司教領(1696-1852))。主教公の職は
1697年からペトロヴィチ=ニェゴシュ家が保持した。主教公は、その神政政治という性格から叔父から甥へと継承され、
オスマン帝国の
スルタンに朝貢を続けながら国家を存続させた。主教公は
1852年に世俗的な公へと転化し、
モンテネグロ公国が成立した。これを契機として宗主国オスマンとの武力衝突に発展し、
ロシア帝国の支援を仰ぐことになっていた。
1878年、
露土戦争の講和条約である
サン・ステファノ条約、
ベルリン条約でオスマン帝国からの完全な独立を承認された。1905年に憲法が制定されて、モンテネグロ公はモンテネグロ王と規定しなおされ、国号は
モンテネグロ王国になった。公国および王国の初代
君主は
ニコラ1世で、
1918年までその地位にあった。北を
オーストリア・ハンガリー帝国、南をオスマン帝国に挟まれる地政学的条件を背景として、モンテネグロはロシアとの協調を対外関係の機軸とした。
日露戦争では
1905年日本に宣戦布告し、ロシア軍とともに戦うため義勇兵を
満州に派遣していた。しかし実際には戦闘に参加しなかったことから、その宣戦布告は無視され、講和会議には招かれなかった。そのため国際法上は、
1918年のセルビアによる併合後も、モンテネグロ公国と日本は戦争を継続しているという奇妙な状態になった。
第一次世界大戦では、
セルビアに対していくらかの援助を行った。このためモンテネグロは
オーストリア・ハンガリー帝国に占領されることになり、ニコラ1世は
フランスへと亡命した。その後モンテネグロはセルビア軍によって占領され、
1918年に成立した
スロベニア人・クロアチア人・セルビア人国(のち
ユーゴスラビア王国)に取り込まれた。
1919年に併合反対派が武装蜂起(
クリスマス蜂起)を起こしたが、セルビア軍により鎮圧された。以後は
ユーゴスラビアの中の一地域となった。ニコラ1世とその子孫はモンテネグロ王位を請求し続けたが、実らなかった。
第二次世界大戦でユーゴスラビアはイタリアとドイツによる侵攻を受け、分割された(
ユーゴスラビア侵攻)。モンテネグロはイタリアの占領下に置かれ、傀儡国家
モンテネグロ独立国(イタリア語版)の統治下に置かれた。しかしパルチザンの抵抗の結果、
1944年に枢軸軍は撤退し、モンテネグロは再びユーゴスラビアに復帰した。建設された
ユーゴスラビア社会主義連邦共和国においては連邦を構成する6つの共和国の一つモンテネグロ人民共和国、
1963年からは
モンテネグロ社会主義共和国として存続した。
1991年から始まった
ユーゴスラビア紛争においても
モンテネグロ共和国は
セルビアと歩調を合わせており、最後まで
ユーゴスラビア連邦共和国から離脱しなかった。
1997年の選挙で
ミロ・ジュカノヴィッチが
大統領に就任した頃から、分離独立の示唆が行われて来ていた。
1999年の
コソボ紛争でもセルビアの行動を非難し、アルバニア難民の受け入れに努めた。コソボ紛争後、通貨や関税に関してセルビアから独立し、徐々に独立の動きが強まっていった。
これに対して
欧州連合はモンテネグロの独立がヨーロッパ地域の安定に必ずしも好影響を及ぼさないという立場から、モンテネグロとセルビアの仲介に動き出した。こうした欧州連合の努力により、
2003年2月には3年後の
2006年以降に分離独立の賛否を決める国民投票を実施できるという条件付きで国家連合
セルビア・モンテネグロが成立した。新国家はセルビア・モンテネグロ内で圧倒的にマイノリティーであるモンテネグロに対してセルビアとの間に最大限の平等を保障していたが、それでもモンテネグロは共同国家の運営に対して非協力的であり、モンテネグロ独自の外交機関、軍事指揮系統を有していた。このため連邦国家としてのセルビア・モンテネグロはほぼ有名無実の状態になっていた。
2006年
5月21日に、セルビアからの分離独立の可否を問う国民投票が実施された。欧州連合は、セルビア・モンテネグロでなければ欧州連合への加盟を認めないという立場を取っていたが、投票の直前には「50%以上の投票率と55%以上の賛成」というハードルに切り替えた。一方で独立支持派は「モンテネグロの独立こそが欧州連合加盟への早道」であるとするキャンペーンを展開した。投票の結果、投票率86.5%、賛成55.5%で欧州連合の示した条件をクリアした。
2006年
6月3日夜(日本時間4日未明)に独立賛成派が国民投票の結果に基づき独立を宣言した。
6月5日にはセルビアもセルビア・モンテネグロの継承を宣言して、モンテネグロの独立を追認した。
6月12日には欧州連合がモンテネグロに対する
国家承認を行った。これにより国際的にモンテネグロの独立が認められた。両国の独立により6つの
共和国から構成されていた
ユーゴスラビア社会主義連邦共和国は完全に解体した。
6月16日に日本が国家承認
[5]、
6月28日に
国際連合へ加盟した。
日本との関係では、独立に際して、日露戦争における戦争状態が解消していない事が問題となる可能性が指摘された。これについて日本政府は、2006年に提出された
衆議院議員鈴木宗男の質問主意書に対する
答弁書において「千九百四年にモンテネグロ国が我が国に対して宣戦を布告したことを示す根拠があるとは承知していない。」と回答している。2006年6月3日のモンテネグロ独立宣言に際し、日本政府は、6月16日に独立を承認し、
山中あき子外務大臣政務官を総理特使として派遣した。
UPI通信は、6月16日、ベオグラードのB92ラジオのニュースを引用し、特使は独立承認と100年以上前に勃発した
日露戦争の休戦の通達を行う予定と報道したが
[7]、日本国外務省からは、特使派遣報告をはじめとして日露戦争や休戦に関連する情報は出されていない
[8]。(参考:
外交上の終結まで長期にわたった戦争の一覧)
2007年10月に新憲法を制定し、国名をモンテネグロ共和国からモンテネグロに変更した。2008年には独立後初の大統領選挙でブヤノビッチ大統領が再選され、2010年には独立以前から
首相を務めてきた
ミロ・ジュカノビッチが退陣、
イゴル・ルクシッチが首相となった。2012年には
欧州連合への加盟交渉が開始され、また首相にジュカノビッチが返り咲いている。
2020.3.11-Yahoo!!Japan ニュース-https://news.yahoo.co.jp/byline/kazuhirotaira/20200311-00167143/
新型コロナのデマが情報戦の「武器」になる
新型コロナウイルスをめぐるデマや陰謀論の拡散が、国際情報戦の「武器」として、米国やロシア、中国、イランの間で激しい応酬が続いている。
米国務省は、新型コロナウイルスについて「ロシアが200万件の陰謀論を拡散」と
指摘。さらに米国では、保守派議員などが「中国による生物兵器」との陰謀論を主張する。
一方で、イランの政府系メディア「プレスTV」は、「米国による生物兵器」との
陰謀論を主張し、新型コロナウイルス対策が米国による経済制裁によって阻害されている、と米国批判を展開。
ロシアの政府系メディア「RT」も、「米国による生物兵器」との
陰謀論を後押しする。
さらに中国の政府系メディア「グローバル・タイムズ」は、
「中国の生物兵器」との陰謀論を否定するとともに、米中貿易摩擦などに絡めて、米国が新型コロナウイルスを政治利用しているなどと
批判する。
これらの国際情報戦に加えて、詐欺や悪質商法などのデマも拡散を続ける。
メディアベンチャー「ニュースガード」の調べでは、すでに米欧で新型コロナウイルス関連のデマなどを流すサイトは
117に上り、米国の70を超すサイトだけでも過去3カ月で
5,200万を超すエンゲージメント(いいねや共有)を獲得しているという。
国家レベルの情報戦と詐欺・悪質商法が入り混じるデマ拡散について、元FBI捜査官で米シンクタンク「外交政策研究所(FPRI)」のクリント・ワッツ氏は、その危険度や緊急性に応じた
対応の仕分けが必要だと指摘。
国際的な情報戦は、より長期的な影響が懸念されるが、詐欺や悪質便乗商法などのデマは、感染そのものにかかわる緊急性を要し、より早急な対策が求められるという。
新型コロナウイルスの国際的な感染拡大は、デマの国際的な拡大ももたらす。だがその対策には、時間軸を見据えた取り組みが必要になってきているようだ。
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「200万件の陰謀論ツイート」
ロシアによる虚偽情報のエコシステムがフル稼働している。
米国務省でプロパガンダ対策を担うグローバル・エンゲージメント・センターのコーディネーター、リー・ガブリエル氏は、5日に行われた
上院外交委員会の小委員会で証言に立ち、新型コロナウイルスをめぐって
こう述べた。
米FOXニュース出身のガブリエル氏は、さらに
こうも指摘している。
我々はこれまで、世界中の人々が恐怖を感じる健康危機に乗じて、敵対する国々が勢力拡大をもくろむのを目にしてきた。新型コロナウイルスはその一例にすぎない。
同センターは、これに先立って、今回の新型コロナウイルスをめぐるデマや陰謀論についての報告書をまとめている。
仏AFP通信や
米ワシントン・ポストによると、同センターは、世界保健機関(WHO)が新型コロナウイルスに関する緊急事態宣言(1月30日)を出した前後3週間(1月20日~2月10日)に米国外で投稿されたソーシャルメディアの書き込み2,900万件を分析した。
すると、全体の約7%にあたる200万件が、新型コロナウイルスに関するデマや陰謀論を扱っていた、という。
これらは、シリア内戦、フランスでの政府への抗議デモ「黄色いベスト」運動、チリでの大規模な反政府デモなどに絡んで、ロシアの主張を拡散させてきた数千のアカウントが、今回の新型コロナウイルスに関して投稿を行っているのだという。
これらの投稿は、英語、スペイン語、イタリア語、ドイツ語、フランス語でほぼ同じタイミングで行われ、ロシアのダミーサイトへのリンクや、ロシアの政府系メディア「RT」「スプートニク・ニュース」と同じような論調の内容だったという。
デマや陰謀論の中には「米国が中国を標的にした生物兵器」「ビル・ゲイツ氏の財団が利益を得ている」などの内容も含まれていた。
新型コロナウイルスに関するデマの排除に取り組むフェイスブックやツイッターは、国務省の報告書について、その具体的なデータ提供を求めている。
だが同省は、今のところ開示をしないという姿勢を崩しておらず、
米国務省の主張を裏付ける詳細は不明なままだという。
米国では新型コロナウイルスの感染拡大の一方で、米大統領選の予備選挙も進行中だ。そして、2016年の前回大統領選と同様に、ロシアによる選挙介入への警戒感もある。
14州で予備選挙が行われた候補者選びの山場「スーパーチューズデー」の前日の3月2日には、国務省、司法省、国防総省、国土安全保障省、国家情報長官室、連邦捜査局(FBI)、国家安全保障局(NSA)、サイバーセキュリティ・インフラセキュリティ庁(CISA)は連名で、「我々は警戒態勢を継続し、2020年大統領選を妨害するいかなる試みにも対応する用意ができている」との
共同声明を発表している。
これに先立ち、米情報機関の観測として、ロシアが今回の大統領選では現職のトランプ氏に加え、民主党では左派のバーニー・サンダース氏を後押しする動きがある、とも
相次いで報じられている。
新型コロナウイルスと大統領選。米国はこの二つの情報戦に直面している。
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ロシア、イラン、中国の情報戦
新型コロナウイルスのデマをめぐって、米国の矛先はロシア、そして中国に向いている。
一方で、批判を向けられたロシア、中国、さらに米国の経済制裁下にあるイランは、新型コロナウイルスをめぐる混乱の“元凶”として、米国を名指ししている。
米シンクタンク「外交政策研究所」のプロジェクトマネージャー、
レイチェル・チェルナスキー氏は、これらの国々が政府系のメディアを通じ、米国が新型コロナウイルスを政治的に利用し、ウイルスの感染拡大を悪化させた、との主張を展開しているという。
チェルナスキー氏によると、新型コロナウイルスについて「米国による生物兵器」などの陰謀論を主に展開しているのは、ロシアよりもむしろ、米国による経済制裁を受けているイランなのだという。
イランの政府系メディア「
プレスTV」は、新型コロナウイルスが「中国向けの生物兵器」で、米国のユダヤ人グループやイスラエルが「より致死的なウイルスをイラン向け生物兵器として投入した」、などとしている。
さらに、米国による経済制裁がイランの新型コロナウイルス対策の障害になっている、などの米国批判もあわせて行っている、という。
ロシアの政府系メディア「
RT」は、イランが発信源となっている「生物兵器」などの陰謀論を、さらに拡散する役割を担っている、とチェルナスキー氏は見立てている。
チェルナスキー氏によると、中国は、イラン、ロシアとはややメッセージのトーンが異なるという。新型コロナウイルスの感染源であり、その情報開示や対応をめぐる批判が集中してきた中国は、自国に対するネガティブイメージの払しょくに重きを置いているようだ。
そのため、政府系メディアの「
グローバル・タイムズ」は、新型コロナウイルスの「中国の生物兵器」陰謀論の否定のほかには、中国の監視体制や閉鎖性に対する批判への反論などを主に展開している、という。特に対米関係では、貿易摩擦と絡めて、米国が新型コロナウイルスを政治利用しようとしている、などの主張を行っている、とチェルナスキー氏は指摘する。
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デマ・陰謀論の発信サイト
新型コロナウイルスをめぐるデマや陰謀論を発信する、様々なウェブサイトも特定されつつある。
サイトの信頼度を判定する米メディアベンチャー「ニュースガード」は、2月25日に新型コロナウイルスに関するデマ・陰謀論を発信するサイトの
追跡プロジェクトを開始。
1週間後の3月3日には、米国に加え、英国、フランス、イタリア、ドイツの5カ国で
106のサイトを特定した。10日現在で、その数はさらに増え、
117サイトに上る。
3日の段階で、このうち米国の75サイトの直近90日間のエンゲージメントを調べたところ、合計で5,200万件にのぼったという。
一方で、米国保健福祉省傘下で感染症対策を担う疾病予防管理センター(CDC)と世界保健機関(WHO)のサイトの同じ90日間のエンゲージメントは合わせて36万件だった。
「ニュースガード」が特定したサイトの中には、イラン政府系の「プレスTV」や、ロシア政府系の「スプートニク・ニュース」の仏伊独語版、「RT」の独語版といったものも含まれる。
その一方で、健康に関する陰謀論などを発信する右派サイト「ナチュラルニュース」もある。同サイトは54ものサイトによるネットワークをつくっており、その数は「ニュースガード」が特定した米国サイトの7割を占める。
同サイトは陰謀論の発信とともに、サプリメントなどのネット販売などで知られ、2019年6月にはフェイスブックから
スパム認定による削除措置を受けている。
米国内ではこのほか、やはり陰謀論とサプリメント販売で知られる右派サイト「インフォウォーズ」なども、「ニュースガード」のリストに含まれている。
「インフォウォーズ」はまた、
フェイスブックや
ツイッターによる削除措置の対象とされてきた。同サイトは、2016年の米大統領選をめぐって発砲事件にまで発展した陰謀論「ピザゲート」の発信源の一つでもあった。
※参照:「ネット陰謀論の王」はいかにしてソーシャルメディアから排除されたか(09/08/2018 新聞紙学的)
新型コロナウイルスをめぐるデマ、陰謀論には、政府間の情報戦からネットの物販まで、様々なプレーヤーが入り混じっていることがわかる。
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デマの危険度と仕分け
「外交政策研究所」の特別研究フェロー、
クリント・ワッツ氏は、デマや陰謀論の発信者は多様であり、その危険度、緊急度の違いを理解し、すぐに対処すべきもの、長期的に対応すべきものを仕分けていくことが必要だと述べる。
ワッツ氏は米陸軍、FBIでテロ対策に携わり、2016年の米大統領選直後には、ロシアのフェイクニュースによるプロパガンダ戦略をまとめた報告書を発表。2019年6月に下院情報特別委員会で開かれた「ディープフェイクス」問題をめぐる公聴会でも証言をしている。
※参照:デマニュースはロシアのプロパガンダか、カネのなる木か(11/27/2016 新聞紙学的)
※参照:「ディープフェイクス」に米議会動く、ハードルはテクノロジー加速と政治分断(06/22/2019 新聞紙学的)
ワッツ氏は、今回の新型コロナウイルスをめぐる、喫緊の脅威となるデマや陰謀論として、三つのタイプを挙げる。
・公共の安全への脅威(パニック扇動、疑似科学の流布、偽の治療薬などの販売)
・金融市場への影響(取り付け騒ぎの誘発、市場操作によるパニック発生)
・人種差別の先鋭化(アジア人へのヘイト・挑発・暴力、感染国の市民への暴力や反対運動)
同国では飲酒が禁止されているが、アルコールを飲むことで新型コロナウイルスの予防や治療に役立つとのデマが流れていたという。
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「ウイルス予防商品」への注意
日本でも消費者庁が3月10日、新型コロナウイルスへの予防効果を標ぼうする商品について、商品表示の改善要望と消費者への注意喚起を
発表している。
「新型コロナウイルス 感染予防サプリメント!! ビタミンCとビタミンD」「コロナウイルス対策サプリ、ウイルス感染症の予防、症状軽減にはビタミンC、ビタミンD、亜鉛、マグネシウム、セレンの摂取が重要」「世界的にコロナウイルスは猛威、ウイルス予防に梅肉エキス」などのうたい文句の“いわゆる健康食品”23事業者40商品。
さらに、マイナスイオン発生器・イオン空気清浄機(4事業者3商品)、空間除菌剤(3事業者3商品)も含まれる。
同庁のリリースはこう述べている。
新型コロナウイルスに対する予防効果を標ぼうするウイルス予防商品については、現段階においては客観性及び合理性を欠くものであると考えられ、一般消費者の商品選択に著しく誤認を与えるものとして、景品表示法(優良誤認表示)及び健康増進法(食品の虚偽・誇大表示)の規定に違反するおそれが高いものと考えられます。
発表では、具体的な業者名、商品名は明らかにされていない。
デマや陰謀論との関連は不明だが、このような根拠のない「ウイルス予防商品」もまた、それらの脅威と地続きの身近な問題だ。
2020.3.11-dmenuニュース-http://topics.smt.docomo.ne.jp/article/sankei/politics/sankei-plt2003110041?fm=topics
<独自>硫黄島での日米合同慰霊式中止 新型コロナウイルス感染拡大で
先の大戦末期の激戦地・硫黄島(東京都小笠原村)で
毎年3月に開かれている日米合同の慰霊式が、新型コロナウイルスの感染拡大の影響で今年は取りやめとなったことが11日、分かった。関係者が明らかにした。戦後75年の節目となる今年は、河野太郎防衛相ら日米両政府要人と自衛隊、米軍関係者、戦没者遺族らが出席し、28日に開催を予定していた。
合同慰霊式は日米の硫黄島協会の主催で平成7年から開かれている。東日本大震災が発生した23年に開催を取りやめたことがある。
戦略上の重要拠点だった硫黄島では、昭和20年2月19日に上陸を開始した米軍に対し旧日本軍は地下壕(ごう)を構築して持久戦を展開。激戦は36日間に及び、
戦没者は日米で計約2万9千人。日本側の約2万1900人のうち現在も1万1千柱を超える遺骨が未収容となっている。
2020.2.18-diamond on line-https://diamond.jp/articles/-/229053
新型肺炎が及ぼす世界経済への悪影響はSARSよりも深刻な理由
世界経済に重大な影響を及ぼす
新型コロナウイルスによる混乱
真壁昭夫:法政大学大学院教授
(1)
中国で発生した新型コロナウイルスによる混乱は、中国だけではなくわが国をはじめ世界経済に重大な影響を及ぼしつつある。すでに中国政府は感染の拡大に厳戒体制を敷いている。春節明けの首都北京では、中心街を歩く人の姿がほとんど見られないという。共産党政権は企業に感染対策の徹底を求め、中国の経済活動は通常のレベルにはほど遠い。今後も、経済活動は正常化するためにはかなりに時間を要するとみられる。
1日当たりの感染者数の増加ペースがいく分か和らいだことや、中国の専門家が「4月に肺炎が終息する可能性がある」との見解を示したこともあり、一部の市場参加者は先行きを楽観しつつあるようだが、これからの展開を過小評価することは適切ではない。
新型肺炎が、世界経済の“ヒト・モノ・カネ”の動きに負の影響を与えつつあることは間違いない。中国への依存度の高い韓国経済などにはかなり大きな衝撃となるはずだ。また、来訪客の減少による観光や製造業を中心に、日本への影響も少しずつ顕在化している。
経済評論家の中には、今回の新型肺炎とSARS(サーズ、重症急性呼吸器症候群)を比較する見方があるが、当時の中国経済の状況と現在ではかなり状況が異なることを頭に入れておく必要がある。2003年当時、中国経済はまだ上昇過程にあった。一方、現在、中国経済は減速傾向が明確化している。しかも、中国経済の世界経済に占める割合は4%から16%に上昇している。それだけ中国経済の影響力は高まっている。
(2)
今後、中国では企業の活動が停滞気味に推移し、成長率の低下や過剰な生産能力の増大から債務問題(灰色のサイ)が深刻化する恐れがある。さらに、中国では消費者物価が上昇している。新型肺炎の感染拡大により中国経済の不安定性は一段と高まり得る。米国や欧州各国でも先行きを警戒する経済の専門家が増えている。
新型肺炎が世界経済に与える影響は過小評価できない。
新型肺炎が韓国など世界経済に与える影響
新型肺炎の感染者の増大を受け、消費財の輸出やサプライチェーンの重要拠点となってきた中国では、経済活動に混乱が広がっている。これを受け、世界各国の企業に負の影響が波及し始めた。
その一つに、
中国の半導体需要に依存してきた韓国が挙げられる。新型肺炎は、韓国の半導体業界の業績悪化の一因となり、景気の下方リスクは高まりやすくなっている。昨年から各国で5G通信サービスが開始され、新型のスマホやICチップへの需要が高まるとの期待が膨らんだ。それは、中国経済に依存してきた韓国などにとって経済の安定化を目指す重要な要素の一つだった。
しかし、新型肺炎が、
世界のIT業界の活動に急ブレーキをかけている。アップル製品の組み立てを行ってきた台湾の鴻海(ホンハイ)精密工業や和碩聯合科技(ペガトロン)の工場では、肺炎の影響から全面再開のめどが立っていないようだ。
事態はかなり深刻と考えたほうがいいだろう。中国の半導体需要は、世界全体の50%程度を占める。中国での生産再開に時間がかかると、サムスン電子を筆頭とする韓国の半導体産業は需要だけでなく資材、資金調達、中国以外の国への生産拠点の移転など、かなりの影響が及ぶと考えられる。
足元、韓国の半導体業界は不安定な収益状況から脱し切れていない。昨年10~12月期、サムスン電子の業績には底入れの兆しが見られた。一方、SKハイニックスは前年同期比で営業利益が95%減だった。韓国半導体業界は米中との競争にも対応しなければならない。
新型肺炎の感染による中国経済の減速リスクに韓国が耐えられるか否か先行き不透明感は高まっている。生産・販売の両面で打撃を受け、資金繰りひっ迫に直面する韓国の中小企業も出始めているようだ。さらに、武官が封鎖されたのち、韓国の航空業界では中国便が70%も減少した。
新型肺炎は、日本など主要国にも無視できないリスク要因である。
日本でも観光や自動車の生産に影響が現れている。日産自動車は九州の工場の稼働を一時停止するようだ。中国の操業再開を慎重に考えるわが国の企業も多く、業績への影響は軽視できない。
(3)
新型肺炎と “灰色のサイ”のリスク
新型肺炎の感染が拡大するに伴い、中国では経済の先行き懸念が高まり、企業の資金繰りにもかなりの影響が出ているとみられる。また、
株式、不動産などの資産価格への影響も懸念され、金融市場の安定感にも変化が現れつつあるようだ。その一つとして、“灰色のサイ”と呼ばれる債務問題への懸念がある。
春節の連休明け以降、中国政府は感染対策の徹底を各企業に求め、生産ラインの稼働が遅れている。これは、中国にとって痛手だ。中国では過剰生産能力が顕在化している。景気の減速も重なり、企業や地方政府の債務は膨張している。債務のリスクを抑えるには、とにかく生産を続け、企業収益を確保しなければならない。それが難しくなると信用リスクは上昇するだろう。
信用不安などを食い止めるために、中国政府はかなり強力に資産価格を支えようとしているとみられる。春節の連休明けとともに、中国の本土の株式は大きく下げて取引が再開された。その後、中国本土株は徐々に持ち直している。チャートを見ると、時折、急速に株価が一本調子で上昇するなど特異な動きが目立つ。この動きは、一部の投資家に先行きへの安ど感を与えているだろう。
この動きに関して、市場参加者の間では、“国家隊”と呼ばれる公的資金などを用いた株価の下支え措置が影響しているとの見方が多い。当局が大手投信会社に株を売らないよう要請したとも報じられている。共産党政権は、株価安定に神経をとがらせているといえる。
中国の株式市場における個人投資家の存在感は大きい。2016年、上海取引所の全取引に占める個人の割合は約86%だった。新型肺炎の感染拡大から生産活動をはじめ中国経済に下押し圧力がかかれば、信用不安などから株を売る人が増えるだろう。それを受け、“売るから下がる、下がるから売る”
という負の連鎖が起き、売り圧力が不動産にも波及する可能性がある。
不動産バブルの崩壊や景気減速への懸念がさらに高まると、資金を海外に持ち出そうとする人が急増するだろう。そうしたリスクを抑えるために、中国人民銀行は銀行に対する特別融資を行っている。見方を変えれば、当局は金融システムと資産価格の安定を支えることを通して、灰色のサイ問題の懸念封じ込めに必死とみられる。
(4)
先行き懸念 一段と高まる世界経済
今後の展開を考えた時、新型肺炎の影響から、
中国を中心に世界経済の減速懸念は徐々に高まる可能性がある。中国では生産の混乱に加え、消費者物価指数の上昇も顕著だ。1月、中国の消費者物価指数は前年同月から5.4%上昇した。豚肉価格の高騰に加え、春節を迎えて消費が増加する中で新型肺炎の防疫が物流を混乱させたことなどが響いた。
中国では、景気の減速や企業業績の悪化から雇用・所得環境は不安定化しており、新車販売台数は減少傾向にある。その中で物価が上昇すれば、中国の個人所費は一段と落ち込むだろう。それは、中国経済に依存してきた東南アジアや南米の新興国、さらにはオーストラリアなどの資源国の景気減速の一因となり得る。また、韓国と並んで中国の需要を重視してきたドイツにも自動車業界を中心に逆風が吹くだろう。
新型肺炎が米国経済に与える影響も軽視できない。その一つとして、近年の米国経済を支えてきたIT先端企業のビジネスモデルの不安定性は高まりつつあるとみられる。すでに米中の貿易摩擦などにより世界のサプライチェーンが混乱した。新型肺炎はそれに拍車をかけているとみるべきだろう。その結果、自らは先端のテクノロジー開発に注力し、中国にあるホンハイの工場で生産(組み立て)を行うことで高付加価値の製品を世界に供給してきたアップルの成長期待は低下する恐れがある。
また、建設機械やエネルギー需要などでも、米国企業の収益下振れリスクは増大しつつあると考えられる。中国の物流が停滞したり、消費がさらに落ち込んだりすることによって、農産品を中心に中国の対米輸入が伸び悩み、トランプ大統領が重視する対中貿易赤字の削減が思うように進まなくなることもあるだろう。それは、米国の対中圧力の増大につながり、世界経済を下押ししかねない。
足元の世界経済は米国の個人消費に支えられ、どうにか安定感を保っているというべき状況にある。その中で米国の企業業績の懸念が高まれば、徐々に労働市場の改善は鈍化し、個人消費は鈍化する可能性がある。
新型肺炎は世界各国の先行きの景気に関する不安を高める要因の一つと考えるべきだ。
(法政大学大学院教授 真壁昭夫)
2020.2.15-産経新聞 THE SANKEI NEWS-https://special.sankei.com/a/international/article/20200215/0004.html
中国からの入国制限が世界で拡大 中国は見直し求め外交攻勢
【北京=三塚聖平】肺炎を引き起こす新型コロナウイルス蔓延(まんえん)で、感染源である中国からの入国を制限する動きが広がっている。すでに130以上の国・地域が、入国拒否やビザ発給停止など、何らかの対応措置を取った。
人的往来で制限が続けば中国経済へのマイナス影響も避けられないとして、習近平指導部は各国の首脳との電話会談など外交攻勢を強め、制限の見直しを働きかけている。
中国国家移民管理局の発表では、新型肺炎を受けて何らかの入国制限措置をとっている国・地域は14日現在で130に達した。米国やオーストラリアなどは、14日以内に中国に滞在した外国人の入国も認めないなど、厳しい措置をとる。中国と陸続きのロシアやモンゴル、北朝鮮は、国境閉鎖などの対応をとった。
2020.2.9-NHK NEWS WEB-
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20200209/k10012279051000.html
タイ 現役兵士の銃乱射で26人死亡 衝撃広がる 動機の詳細不明
タイ東北部で陸軍兵士の男が銃を乱射しショッピングモールに立てこもった事件で、これまでに26人が死亡、50人以上がけがをしました。男は治安部隊によって射殺されましたが、現役の陸軍兵士による大規模な銃の乱射事件という異例の事態にタイでは衝撃が広がっています。
タイ東北部の都市ナコンラチャシマで現地時間の8日午後3時半ごろ、タイ陸軍に所属する兵士の男が上官の住宅を襲撃し上官らを射殺したあと、ショッピングモールとその周辺で銃を乱射しました。
男はその後、週末でにぎわっていたショッピングモールの建物の中でおよそ15時間にわたって立てこもりましたが、9日朝治安部隊との銃撃戦の末、射殺されました。
タイのプラユット首相は9日午後、現地で会見を開き、これまでに26人が死亡、57人がけがをしたと発表しました。
一方、男の動機についてプラユット首相は「不動産の売買をめぐって金銭トラブルを抱えていたようだ」と明かしたものの、なぜ直接関係のない大勢の人々に向けて銃を乱射したのか、詳しいことはわかっていません。
現役の兵士による大規模な銃の乱射事件という異例の事態にタイ国内では衝撃が広がっていて、警察や軍は関係者から話を聴くなどして、事件のいきさつや男の動機について詳しく調べることにしています。
映像には激しい銃撃音も
ショッピングモールに取り残された人たちの救出にあたった治安部隊が撮影した映像には、腹ばいになった隊員たちが吹き抜け部分を利用して銃を構える様子などが捉えられています。
治安部隊によりますと、抵抗する男との間で銃撃戦になったということで、映像には連続した激しい銃撃音も記録されています。
男は地元の基地に所属する現役の兵士で、基地から機関銃など6丁の銃と大量の銃弾を盗み出して犯行に及んでおり、治安部隊にとって非常に危険な状況だったことがわかります。
2020.2.6-産経新聞 THE SANKEI NEWS-https://special.sankei.com/a/international/article/20200206/0001.html
カンボジアに中国の「植民地」 乱開発…地元民に不満蓄積 森浩
中国が世界各地で巨大経済圏構想「一帯一路」などを通じて影響力を増す中、「中国の事実上の植民地」(シンガポール紙ストレーツ・タイムズ)とされる都市がカンボジアにある。人口の半分が中国人とされ、カジノなど街には中国語の看板があふれる。チャイナ・マネーは雇用を生み出したが、ひずみも顕在化しつつある。新型コロナウイルスへの対応でカンボジアが中国を支持し、両国の密接ぶりが浮き彫りになる中、中国に翻弄される現状を探った。
カンボジア南部シアヌークビル。首都プノンペンから車で5時間、飛行機で約40分の距離にある港町だ。中心部「金のライオン像広場」に到着し、周囲を見渡すと、中国語の看板とカジノのネオンが目に入った。中国食材を専門に取り扱うスーパーもあり、道端では中国人とおぼしき男性が、中国の国民的缶飲料である「王老吉」を飲んでいた。街の雰囲気は中国の地方都市だ。
2020.1.15-Yahoo!!Japanニュース(産経新聞)-https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20200115-00000582-san-asia
カンボジア野党指導者初公判 首相就任35年フン・セン氏、弾圧強化に懸念の声
【プノンペン=森浩】カンボジアで、政府転覆を図ったとして国家反逆罪に問われた旧最大野党「救国党」創設者、ケム・ソカ氏の初公判が15日、首都プノンペンの裁判所で開かれた。
首相在任35年を迎えたフン・セン氏は中国の後ろ盾を背景に独裁色を強め
、旧野党陣営の弾圧を強化。自身は「あと10年、首相にとどまる」と宣言しており、旧野党陣営は弾圧継続への懸念を強めている。
ケム・ソカ氏は救国党党首だった2017年9月、外国政府と協力して政権の転覆を画策したとして逮捕され、自宅軟禁下に置かれていた。ケム・ソカ氏逮捕で救国党は解散を余儀なくされ、18年7月の下院選では与党・人民党が全125議席を独占した。
この日の公判では証拠の開示などが行われ、判決までには約3カ月かかる見通し。ケム・ソカ氏は15日、自身のフェイスブックで「私の活動は人権と民主主義に基づき、平和的に行われていた」とし、起訴内容を否認する意向を示した。
欧米などの国際社会は政権による野党弾圧に批判を強めており、欧州連合(EU)は武器以外の品目を無関税でEUに輸出できる協定の見直しを検討している。EUは2月にも見直しについて判断を示す見通しで、公判の行方を注視している。
フン・セン氏は、1985年1月に当時のプノンペン政権閣僚評議会議長(首相)に就任して以降、強権的な手法を維持する。ケム・ソカ氏の訴追もその一環だ。2017年には野党寄りの英字紙に巨額の税金を課して発行停止に追い込んでもいる。
特に締め付けが強化されたのは昨年夏ごろだ。フランスで事実上の亡命生活を送っていた政敵、サム・レンシー氏が帰国を表明したため、反対勢力結集を懸念し、旧野党陣営の70人以上を拘束した。
元救国党幹部のミーチ・ソバンナラ氏も違法な抗議活動を行ったとして昨年8月に逮捕され、12月に釈放された。ソバンナラ氏は「カンボジアは民主国家なのか。警察官も裁判官も検察官も与党の息がかかった人物。三権分立も機能していない」と批判する。フェイスブックで政権を批判した文章をシェア(共有)しただけで逮捕された例もあったという。
弾圧に対して欧米諸国が反発を強め、経済制裁が検討されても、フン・セン氏が強気の姿勢を崩さない背景には中国の支援がある。昨年1~8月にカンボジア政府が認可した投資総額60億ドル(約6600億円)のうち、中国は35・31%と2位の日本(7・87%)を大きく引き離す。人権問題に口を挟まず投資を続ける中国はフン・セン氏にとって好都合なパートナーだ。
フン・セン氏は14日に首相就任35年を迎え、プノンペンで開かれたパーティーでの演説で首相職を退く意向はないことを宣言。「カンボジアは民主国家であり、父から子への権力移譲はない」として、息子が後を継ぐという噂を否定したが、「フン・センの後継者はフン・センだ」と述べ、首相の座は簡単に明け渡さないことも強調した。
ソバンナラ氏は「フン・セン氏の権力基盤は強固で、首相から退く意向はない。今後も自由は奪われ続けるだろう」と懸念。日本など諸外国がさらに圧力を強化するよう求めている。
2020.1.11-NHK NEWS WEB-
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20200111/k10012242341000.html
オマーン国王死去 イランと良好関係 “後継者にいとこ“と報道
中東のオマーンで半世紀近く国家元首の座にあった
カブース国王が79歳で亡くなりました。国営メディアは国王の親族が後継者として選ばれたと伝えていて、イランなどとの対立が続くアラブ諸国の中で中立的な立場を保ってきた独自の外交路線が新体制でも引き継がれるか注目されます。
オマーンの国営メディアは11日、カブース国王が10日夕方に79歳で亡くなったと伝えました。カブース国王は1970年の即位以降、半世紀近くもの間、首相や外相それに国防相などを兼任して絶対的な権力を維持し、アラブ湾岸諸国の首脳の中で重鎮と位置づけられてきました。
外交面ではほかのアラブ湾岸諸国がペルシャ湾の対岸のイランを脅威と見なす中、中立的な立場からイランとも良好な関係を保ち、イラン核合意では当時の
アメリカのオバマ政権との間で交渉の調整役を担ったとされています。
さらにおととしにはアラブ諸国と対立するイスラエルのネタニヤフ首相の異例の極秘訪問を受け入れ、パレスチナ問題をはじめ地域の安定化に向けて意見を交わして存在感を発揮してきました。
国営メディアはカブース国王の後継者として、いとこのハイサム遺産文化相が選ばれたと伝えています。
中東ではイランとサウジアラビアなどのアラブ湾岸諸国の間の緊張が続いていて、新しい国王が独自の外交路線を引き継ぎ、今後もオマーンが中東の貴重な橋渡し役となるか注目されています。
安倍首相「深い悲しみ禁じえない」 安倍総理大臣は「カブース国王の崩御の報に接し、深い悲しみを禁じえない。謹んで哀悼の意を表する。国王は中東地域の平和と安定のために多大な貢献をされ、世界各国から深い尊敬を集めた指導者だった。国王の崩御は国際社会にとって大きな損失であり、オマーン国民の皆様がこの深い悲しみを乗り越えるにあたり、日本は常にオマーンと共にある」という談話を発表しました。
2020.1.7-msn news(産経新聞)-
https://www.msn.com/ja-jp/news/world
トルコ、リビア暫定政権支援へ部隊派遣 代理戦争…混迷深まる
【中東支局】国家分裂状態にある北アフリカのリビア情勢をめぐり、
トルコのチャブシオール外相は6日、シラージュ暫定政権を支援するため、軍事専門家や技術支援要員らの部隊を派遣すると明らかにした。ロイター通信が伝えた。ロシアやエジプトなどの後押しを受けて暫定政権側と交戦する有力軍事組織「リビア国民軍」(LNA)はこれに強く反発。トルコの介入により、周辺国の代理戦争と化しているリビア情勢は、いっそう混迷の度合いを深めている。
トルコ議会は今月初め、暫定政権側の要請を受ける形で、リビアへの派兵を承認。エルドアン大統領は5日、暫定政権が拠点とする首都トリポリへの軍部隊派遣が進んでいると述べた。産油国であるリビアへの影響力を強め、将来のエネルギー確保につなげる狙いもあるとみられる。
一方、LNAは6日、暫定政権の勢力下にあった中部の要衝シルトを制圧したと発表。LNAを率いるハフタル司令官は、トリポリへの攻勢も強めている。
トルコは、部隊の派遣は「停戦を実現し政治的解決を促す」ためだとしているが、軍事的に劣勢の暫定政権側がトルコの支援で勢力を回復すれば、戦闘がさらに激化する可能性もある。