TPP(環太平洋パートナーシィップ協定)問題-1
(環太平洋戦略的経済連携協定)



2023.07.16-産経新聞-https://www.sankei.com/article/20230716-EUVZNT46JJMATFMW6I7BWGHJZU/?dicbo=v2-nMQCerX
TPP新規加盟「威圧的な国は対象外」 後藤担当相、中国念頭か

  16日の閣僚級会合で英国の新規加盟が正式に決まった環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)は、英国の次に加入を申請した中国の扱いに焦点が移る。ただ、国内市場の開放などに多くの課題を抱える中国の加盟を安易に認めれば、高水準の自由貿易協定であるTPPの特長が失われかねないとの懸念は根強い。後藤茂之TPP担当相は同日の会合後の記者会見で、「威圧的な対応や法令順守に的確な対応をしていないエコノミー(国・地域)は対象にできない」と強調。中国が念頭にあるとみられる。

  TPP加盟国の経済規模は英国が加わっても、世界の国内総生産(GDP)の15%程度にとどまる。TPPを主導する日本は米国に復帰を促しているが、「日米交渉の場でTPPの話題を出しても5分後には『ノー』といわれる」(政府関係者)という。労働組合に支えられている米民主党政権にとって、自由貿易の推進は自国の労働者の失職につながりかねないと警戒しているためだとみられる。
  米国の復帰がかなわない中、TPPは粛々と拡大を図る。発足時のメンバー以外で初めて加盟国となる英国に続き、2021年9月に加入を申請したのが中国と台湾だ。
  中国は世界第2位の経済規模をうたい文句に加入をもくろむ。しかし、国有企業への不透明な補助金や電子商取引(EC)でのデータの囲い込み、知的財産権の不十分な保護など、数々の問題が指摘される。その中国は台湾の加盟に強硬に反対しており、こちらも簡単には進みそうもない
  TPPにはエクアドル、コスタリカ、ウルグアイのほか、今月にはロシアによる侵略を受け続けるウクライナも加入を申請した。


2023.07.16-産経新聞(KYODO)-https://www.sankei.com/article/20230716-TA4MPTCDLFOB5J6WOA7KBMYG44/
英TPP加盟を承認 発効後初の拡大、12カ国に

  環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)に加盟する日本やオーストラリアなど11カ国は16日、ニュージーランド・オークランドでの閣僚級会合で、英国の新規加盟を正式に承認した。12カ国体制となる。協定が2018年に発効して以来、加盟国が増えるのは初めて。

  今後は同じく新規加盟を申請している中国や台湾、ウクライナなどの取り扱いが焦点となる
  英国の加盟でTPPの経済圏がアジア太平洋から欧州に広がり、参加国の国内総生産(GDP)の合計は世界全体の12%から15%に高まる。英国と経済連携協定(EPA)を締結済みの日本にとって直接的な恩恵は限定的だが、先進7カ国(G7)の一角が新たに加わることでTPPの影響力が増すことが期待される。
(共同)


2023.03.31-産経新聞-https://www.sankei.com/article/20230331-PTVQDQFWHBIJFD44A3EQ3WT3VQ/
英TPP加盟合意、米国復帰には課題も
(西村利也)

  英国が環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)に加盟することで、日本が主導する自由貿易体制の拡大が期待される。これを機にさらに加盟国を増やし、米国と中国の対立激化による自国優先の保護貿易主義の拡大や、ロシアのウクライナ侵攻でもたらされた世界の分断の是正に向けた呼び水としたい考えだ日本は英国とともに米国のTPP復帰を促し、アジア太平洋地域で影響力を高める中国を牽制(けんせい)する狙いだが、円滑に進めるには大きな課題も残る

  野村哲郎農林水産相は31日の閣議後記者会見で、英国のTPP加盟による日本の農業への影響は「ほとんどない」と説明した。すでに英国とは経済連携協定(EPA)を締結している。
  英国のTPP加盟は「世界の分断、保護貿易主義が浸透する中、自由貿易体制の拡大方向と存在感を示せた意義は大きい」と、オウルズコンサルティンググループの菅原淳一プリンシパルは強調する。
  また菅原氏は、新規にTPPに加盟するには、高い水準の自由化とルールを守らなければいけないという先例を、「加盟申請している中国などに示した意味も大きい」と指摘する。国有企業への優遇制限や知的財産権の保護の徹底などTPPの求めるルール水準を満たしていない中国に対し、改めて加盟条件の厳しさを突き付けた。
  一方、米国をTPP復帰に向かわせるには困難な状況が続く。「バイデン米政権の支持基盤である労働組合がTPP加盟に反対しており、短期的に復帰する可能性は低い」(政府通商担当者)。TPPが定める環境や電子商取引(EC)のルールについて、規制を強化したい米国は内容が不十分とみており、「復帰を促すにはルール見直しが必要になりそうだ」(菅原氏)。
  米国は中国のTPP加盟は当面ないとみて、TPP復帰を急がず、日米など14カ国が参加する新経済圏構想「インド太平洋経済枠組み(IPEF)」の推進による対中包囲網の強化を図る構えとみられる。(西村利也)


2023.03.31-JIJI com.-https://www.jiji.com/jc/article?k=2023033100132&g=eco
TPP 英国加盟合意

  日豪など環太平洋連携協定(TPP)に参加する11カ国は31日、オンライン形式で閣僚会合を開き、英国の加入を認めることで合意した。2018年末のTPP発効後、加入は初めて。TPPは太平洋を囲む11カ国の枠組みから、英国を加えた12カ国に広がり、欧州連合(EU)に迫る巨大経済圏となる

  
参加国は31日の会合後、「英国の加入交渉の実質的な妥結を歓迎した」との閣僚共同声明を発表した。加入に必要な協定の条文を確定させ、7月の署名を目指す。英国の加入は、各国の国内手続きを経て正式に決まる。
  TPPは自由貿易協定(FTA)の一つ。農産品や工業品で関税を撤廃・削減するほか、投資、電子商取引など幅広い分野のルールを定めている。
  英国の加入でTPP参加国のGDP(国内総生産)の合計は世界全体の12%(11.8兆ドル)から15%(15兆ドル)に拡大し、EUの17兆ドルに迫る
  日本政府によると、加入交渉を通じ、日本は21年に発効した日英経済連携協定(EPA)で英国から得られなかったコメの関税撤廃を獲得した。工業品の一部では、EPAで約束した関税撤廃時期の前倒しを英国から引き出した。後藤茂之経済再生担当相は31日の閣議後記者会見で「わが国が譲歩したものは一切ない」と強調した。


2023.03.29-産経新聞-https://www.sankei.com/article/20230329-I62OUVA7JJMHTIUBTSX33XQYGU/
英TPP加盟、大筋合意へ、発足11カ国以外で初、年内に正式承認見込み

  英国の環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)加入について、日本やオーストラリアなど11カ国が近く大筋合意する見通しであることが29日、分かった。複数の日本政府関係者が明らかにした。新規加入が実現すれば、2018年の発足時のメンバー以外では初めてとなる。日本政府は英参加を足掛かりに、太平洋地域で影響力を強める中国を牽制(けんせい)するとともに、トランプ政権時代に離脱した米国のTPP復帰に向けて機運を高めたい考えだ。

  加盟には全参加国の正式な承認が必要となる。年内にも、各国の閣僚がルールや新規加盟を議論する最高意思決定機関「TPP委員会」で承認する見込みだ。
  TPPは、モノの関税だけでなくサービスや投資などの自由化を進めている。電子商取引(EC)や知的財産権の保護などルール分野でも厳格なルールを定めており、高い水準の自由貿易を推進する枠組みだ。今後は、英国同様に加盟を申請している中国や台湾への対応が焦点となる。
  中国のTPP加盟について、日本は慎重姿勢を崩していない。国有企業に対する優遇措置の実施や知的財産権の保護の徹底が図られていないなどとして、中国はTPPが定めるルール水準に適合していないとみている。一方、日本は英加盟を好機とし、米国へのTPP復帰を強く働き掛けていきたい考えだ。
  英国は21年2月にTPPへの加盟を正式に申請し、中国と台湾のほかウルグアイなどが続いた。英国の審査はこうした国々に対しての試金石となるため、加盟国が慎重に協議していた。



2022.12.01-日本経済新聞-https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGN01D9H0R01C22A2000000/
ウルグアイ、TPP加盟を申請 メルコスル各国は反発

  【サンパウロ=宮本英威】ウルグアイ政府は1日までに、日本を含む11カ国が参加する環太平洋経済連携協定(TPP)への加盟を申請した。同国のラカジェポー大統領がツイッターへの投稿で明らかにした。寄託国のニュージーランドに申請書類を提出した

  ウルグアイなど4カ国で構成する関税同盟のメルコスル(南米南部共同市場)は加盟国単独での域外国との貿易交渉を原則禁止する。ほかの3カ国であるブラジル、アルゼンチン、パラグアイは「法的措置を含む対応を検討する」という内容の声明をウルグアイに送付していた。
  ラカジェポー氏は投稿で「(TPPは)我が国と国民により多くの機会をもたらす。ウルグアイは世界に開かれている」と表明した。TPPを構成する東南アジア諸国などに向け、牛肉をはじめとする農畜産品の輸出を増やす狙いだ。
  ウルグアイは単独で中国とも自由貿易協定(FTA)の締結を模索している。
  TPPには中南米からメキシコ、チリ、ペルーが加わる。21年12月にエクアドル、22年8月にはコスタリカが加盟を申請した。


2021.11.13-Yahoo!Japanニュース(産経新聞)-https://news.yahoo.co.jp/articles/af383f6243f7868630f45c1ee72a96c12aefa651
TPP加盟めぐり中台が支持訴え APEC首脳会議

  【シンガポール=森浩、北京=三塚聖平】日米中や台湾など21カ国・地域でつくるアジア太平洋経済協力会議(APEC)の首脳会議が12日、オンライン形式で開かれ、首脳宣言を採択して閉幕した。環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)をめぐり、加入を申請した中国と台湾が支持取り付けを狙った

  TPP加入には既存の加盟国による全会一致の承認が必要。APECにはTPP加盟全11カ国が参加していることから、格好のアピールの場となる。 首脳会議で中国の習近平国家主席は、「高水準のアジア太平洋地域の自由貿易区を、早く打ち立てなければならない」と主張。「デカップリング(切り離し)ではなく融合を堅持しなければならない」とも指摘し、地域経済の一体化の重要性を訴えるとともにTPP加入に意欲を見せた。
  台湾からは首脳会議に蔡英文総統の代理として半導体世界大手「台湾積体電路製造」(TSMC)の創業者、張忠謀氏が出席。張氏は13日、首脳会議でTPP加入への支持を求めたことを明らかにし、「(台湾は)透明性の高い市場経済を有しており、TPPの高い基準を満たす」と主張した

  首脳会議ではバイデン米大統領が「自由で開かれたインド太平洋」実現のため、「公正な貿易と投資を推進する」と強調した。国有企業の優遇策などを取る中国を牽制した形だ。 採択されたAPEC首脳宣言では、コロナ禍で打撃を受けた経済への対応を最優先課題」とし、「世界貿易機関(WTO)を中核とするルールに基づく多国間貿易が重要な役割を果たす」と強調した。


2021.10.20-産経新聞ーhttps://www.sankei.com/article/20211020-JJNUCJWO2FMBRMGLVPDWF7ATKQ/
中国と台湾のTPP加入 参加国や米国で温度差

  【シンガポール=森浩、ニューヨーク=平田雄介】中国と台湾が相次いで環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)加入を申請したことを受け、参加11カ国の判断が注目されている。加入には参加国による全会一致の承認が必要だが、中国をめぐる姿勢に温度差がある。米国はTPP不参加国ながら中国阻止に動く可能性もあり、一連の交渉は米中対立が反映される展開ともなりそうだ。

  中国の申請に対して、東南アジアの複数のTPP参加国は比較的前向きな反応を示している。関税撤廃で貿易活発化への期待感があるほか、中国が各国に対して展開したロビー活動が奏功しているという側面もありそうだ。

  マレーシアは9月の声明で、中国の加入で「2国間の貿易や投資が一段と高みに達する」と期待を寄せた。南シナ海の領有権をめぐって中国と対立するベトナムも経済的な連携を期待し、「経験や情報を共有する用意がある」と前向きな姿勢を見せている。
  加入交渉をめぐっては議長国の態度も重要だ。中国外務省によると、来年の議長国シンガポールも中国の加入申請に「支持」を表明したという。
  中国と対立が深まるオーストラリアは慎重姿勢をあらわにする。豪州が昨年、新型コロナウイルスの発生源について第三者による調査を求めたことを契機に、中国は豪州産品に高関税を課す事実上の報復措置を取った。
  テハン貿易相は中国の加入申請について、貿易自由化などで「高い水準」を満たす必要があるとの原則を強調。TPPをめぐる交渉より前に、「(2国間の)閣僚級協議で解決すべき重要な問題がある」と述べた。

  南北アメリカ大陸のTPP参加国では、ペルーとチリが巨大経済圏構想「一帯一路」に賛同して中国の影響力が強まっている一方、メキシコとカナダは最大の貿易相手国である米国と関係が深い。
  中国外務省によると、チリはアラマン外相が中国加入に支持を表明した。一方、メキシコは「迅速に対応し、他国と協調して取り組む」とし、カナダも「新規加入の決定はあくまで加入国による協議次第」と慎重姿勢を示している。
  注目されるのが、米国の動向だ。昨年7月発効の通商協定「米国・メキシコ・カナダ協定」には、いずれかの国が「非市場経済国」と自由貿易協定(FTA)を締結した場合、同協定が解消されるとの項目がある。米国はこの取り決めを持ち出し、両国に中国のTPP加入阻止を働きかける可能性がある。
  米国務省のプライス報道官は中国加入をめぐって、「非市場的な貿易慣行が考慮されるだろう」と述べ、参加国に慎重な判断を促す立場を示唆した。台湾については「民主主義の価値を信奉している」と指摘し、加入にふさわしいとする立場を表明。各国の思惑が交錯し、中台のTPP参加をめぐる議論は長期化する可能性がある。


2021.10.06-フーカス台湾-https://japan.cna.com.tw/news/apol/202110060001.aspx
謝駐日代表、台湾のTPP加入支持呼び掛け 自民議連の会合
楊明珠/編集:齊藤啓介

  (東京中央社)台北駐日経済文化代表処の謝長廷(しゃちょうてい)代表(大使に相当)は5日、自民党の議員連盟『絆』を紡ぐ会」の会合に出席し、台湾の環太平洋経済連携協定(TPP)加入支持を呼び掛けた

  謝氏は、現在の台日関係について、安全保障面で運命共同体の隣国同士だと指摘。経済面でも民主主義や自由といった普遍的価値を共有する信頼できるパートナーだとの認識を示した。
  また台湾がTPPに加入できた場合、台日に相互利益をもたらすと強調。中国がメンバーになったら必ず台湾の加入を否決するとし、台湾は中国よりも先に加入しなければならないと訴えた。
  高市早苗政調会長は、日本と価値観を同じくする仲間だとして、台湾のTPP加入を応援する立場を表明した。
  山谷えり子元拉致問題担当相は、来年はTPP議長国がシンガポールになるとして、日本が議長国の間に台湾加入の土台を作りたいとの考えを示した。
  また中国の軍用機が連日、台湾の防空識別圏に進入していることに触れ、台湾を守ることは日本を守ることだと述べたほか、米国の台湾関係法のような法律を検討する必要があると語った。
  超党派議員連盟「日華議員懇談会」(日華懇)の古屋圭司会長は、台湾は日本にとって極めて重要な国だと強調。一方で福島など5県産食品を台湾が輸入禁止にしている問題については、早期解決に期待を寄せた。
楊明珠/編集:齊藤啓介


2021.09.24-FNNプライムオンライン-https://www.fnn.jp/articles/-/243552
台湾がTPP加入申請 「今年は日本がTPP議長国」緊密な関係強調 中国「断固反対」と反発

  TPP(環太平洋経済連携協定)に、台湾が加入を申請したことについて、中国外務省は強く反発した。中国外務省・趙立堅報道官「中国は、台湾がいかなる公式な協定や組織に参加することを断固として反対する」中国外務省の趙立堅報道官は、「中国は世界に一つしかなく、台湾は中国の不可分の一部分である」と述べ、台湾がTPPへの加入を申請したことについて強く反発した。

  一方、これに先立ち会見を行った台湾当局は、このタイミングでの申請について「ことしは日本がTPPの議長国である」ことを理由に挙げ、日本との緊密な関係を強調した。また、台湾の蔡英文総統はツイッターに、「われわれは全てのルールを受け入れる用意があり、日本人の友人たちにぜひ支持してほしい」と日本語で投稿し、加盟に向けた協力を呼びかけた。
  台湾が加入を申請したことについて、アメリカを訪問中の茂木外務相は、記者団に「台湾はわが国にとって基本的価値を共有して密接な経済活動を有する、極めて重要なパートナー」と評価したうえで、「わが国として、まず歓迎したい」と語った。


2021.09.17-NHK NEWS WEB-https://www3.nhk.or.jp/news/html/20210916/k10013263621000.html
中国 TPPへの加入 正式申請と発表

  中国政府は16日夜、日本をはじめとする11か国が参加するTPP=環太平洋パートナーシップ協定への加入を正式に申請したと発表しました。アジア太平洋地域での影響力を高めるねらいとみられますが、中国はTPPに参加する国と貿易面の摩擦も抱えており、加入に向けた協議は曲折も予想されます。

  中国政府は16日夜、王文涛商務相がTPP=環太平洋パートナーシップ協定への加入を正式に申請するための書面を、協定の取りまとめ役のニュージーランドの担当相に提出したと発表しました。
  中国は去年11月、東アジアを中心に15か国が参加するRCEP=地域的な包括的経済連携に合意し、TPPについても習近平国家主席が「加入を積極的に検討する」と述べて意欲を示していました。
  対立するアメリカが、トランプ前政権時代にTPPから離脱し、バイデン政権になっても早期の復帰に慎重な姿勢を示す中、中国としてはTPPへの加入を目指すことでアジア太平洋地域での影響力を高めるねらいがあるとみられます。
  TPPには日本をはじめとした11か国が参加していて、ことし2月にイギリスが加入を申請しています。
  ただ中国はTPPに参加するオーストラリアなどと貿易面での摩擦を抱えていて、加入に必要なすべての参加国の同意を得られるかは不透明です。
  またTPPには貿易や投資のルールについて、国有企業に対する行き過ぎた優遇措置の是正や知的財産の保護など高い自由化を求める規定があるため、中国の加入に向けた今後の交渉には曲折も予想されます。
  中国政府がTPP=環太平洋パートナーシップ協定への加入を正式に申請したと発表したことについて、日本政府の関係者はNHKの取材に対し「協定の取りまとめ役のニュージーランドを通じて、事実関係を確認中だ」と述べました。


2021.06.02-Yahoo!Japanニュース(産経新聞)-https://news.yahoo.co.jp/articles/140513b128add712c2a8491a1bf3d4bce69a9e51
英国のTPP加入交渉は経済安全保障の布石 供給網でも対中牽制

  環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)に参加する11カ国は2日、閣僚級会合TPP委員会をオンライン形式で開き、2月に加盟を申請した英国の加入について交渉を始めることで合意した。

  加入が決まれば、発足メンバー以外で初の参加国となる。TPPへの英国加入の動きは、参加国増加による経済圏の拡大にとどまらない
  インド太平洋地域での、自由で開かれたルールに基づくサプライチェーン(供給網)の構築強化につながる。 委員会はTPPの運営などに関する最高意思決定機関で、今年は日本が議長国を務める。日本政府関係者によると、参加11カ国の全てが英国との交渉入りに賛成した。
  これを受け、英国との交渉のための作業部会が2日に設置された。貿易・投資ルールや関税に関して英国と協議する作業は、数カ月以内に始まる見通し。最終的な加入の可否判断は、来年以降になりそうだ。
  英国の加入が認められればTPPが世界の国内総生産(GDP)に占める比率は13%から16%に高まるが、その意義はこの数字をはるかに上回る
   欧州連合(EU)から昨年末に完全離脱した英政府は、外交や安全保障政策で、インド太平洋地域でのプレゼンス(存在感)を高める方針を打ち出してきた。
  英海軍の最新鋭空母「クイーン・エリザベス」を核とする空母打撃群は今年、インド洋や南シナ海、太平洋を航行し、日本の海上自衛隊などと合同演習を行う
  覇権的な海洋進出を強める中国を牽制する狙いがあるとみられる。 英政府の動きは、TPP参加という通商面でも共通する。英国経済に詳しい第一生命経済研究所の田中理主席エコノミストは、空母のインド太平洋地域派遣について「対中包囲網への参加をアピールし、TPP参加の推進力にする狙いもあるのではないか」と見る。
   加えて、英国がTPPに加入し欧州とアジアを結ぶ結節点の役割を担うことになれば、他のEU各国も刺激を受ける。さらに、足元では参加に消極的な米国は英国と近く、米国再加盟の可能性も高まる。 もっとも、英国の加入承認には、協定発効済みの全参加国の賛同が必要だ
  TPP加入を「前向きに検討する」(李克強首相)と表明している中国の影響力を大きく受けている参加国もあり、協議の難航も予想される。 議長を務めた西村康稔経済再生担当相は会議終了後の記者会見で、「国益にかなった最善の結果を得られるよう取り組む」と語った。参加国をまとめ、英国加入を実現させる意気込みが求められる。(那須慎一)


2021.01.02-nippon com.-https://www.nippon.com/ja/news/kd728934564722999296/
英、TPP加入を正式申請 経済圏拡大に向け春交渉へ

  【ロンドン共同】英国は1日、日本などが参加する環太平洋連携協定(TPP)への加入を正式に申し入れた。発足時の参加国11カ国以外で加入申請は初めて。今春から交渉に入る見通しだ。加入の可否の判断は来年以降になる可能性がある。日本などの加盟国は、英国加入によってTPP経済圏を拡大したい考え。日本が復帰を期待する米国や、TPP加入に意欲を示す中国の動向が今後の焦点となる。
  今後、TPPの意思決定機関であるTPP委員会が英国の加入手続きの開始を決めれば、加入交渉のための作業部会が設置される。委員会の全メンバーの承認を得られれば、英国のTPP加入が決まる。


環太平洋パートナーシップ協定(CPTPP)
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』


  環太平洋パートナーシップ協定(英語: Trans-Pacific Partnership Agreement、略称: TPP)はオーストラリアブルネイ、カナダチリ、日本、マレーシア、メキシコ、ニュージーランド、ペルー、シンガポール、ベトナム、米国の間で2016年2月4日に署名された経済連携協定 (EPA) である。 2017年1月、アメリカ合衆国は、TPPから離脱した。アメリカ合衆国の離脱後、CPTPPと区別する必要がある場合は「TPP12(TPP Twelve)」と通称されているアメリカ合衆国の離脱後、残った国々は、TPPの一部の規定の発効を停止した新たな貿易協定を交渉し、新協定は「環太平洋パートナーシップに関する包括的及び先進的な協定(略称: CPTPP; TPP11」として、2018年12月30日に発効した。

概要
  PPは、2005年にブルネイ、チリ、ニュージーランド、シンガポールによって署名された環太平洋戦略的経済連携協定(TPSEPまたはP4)の拡大として始まった。2008年からは、より広範な合意のための議論にオーストラリア、カナダ、日本、マレーシア、メキシコ、ペルー、米国、ベトナムなどの国々が追加で参加し、交渉国は12カ国となった。
  2017年1月20日、アメリカ合衆国大統領ドナルド・トランプはTPP離脱をアメリカ合衆国通商代表に指示する大統領覚書(Memorandum)に署名し、アメリカ合衆国通商代表部が協定の寄託国であるニュージーランド政府に脱退を通知した。他のTPP11カ国は2017年5月に協定復活に向けて交渉を行うことに合意し、新しい協定は、『環太平洋パートナーシップに関する包括的及び先進的な協定(略称: CPTPP; TPP11)』として、2018年1月に合意に達した。2018年3月、11カ国はCPTPPに署名した。
  中央日報レコードチャイナ、アメリカのワシントンポストなどの各国新聞各紙は、「アメリカ合衆国の離脱後は、日本が主導した」と報道している。
  CPTPPは2018年12月30日に、メキシコ、日本、シンガポール、ニュージーランド、カナダ及びオーストラリアの間で発効し、ベトナムについては2019年1月14日に発効、2021年9月19日にペルーについて発効した。残り未締結の3か国(ブルネイ、マレーシア、及びチリ)はそれぞれの国が批准を通知してから、60日後に個別に、当該国について協定は発効する。
  当初のTPPには、非関税障壁と関税障壁の両方を下げ、投資家対国家の紛争解決(ISDS)メカニズムを確立するための措置が盛り込まれていた。アメリカ国際貿易委員会、ピーターソン国際経済研究所、世界銀行、グローバル・アフェアーズ・カナダ首席エコノミスト事務所は、最終的な協定が批准されれば、すべての加盟国にとって純然たるプラスの経済的成果につながるとした一方で、タフツ大学の2人のエコノミストによる代替手法を用いた分析では、協定が加盟国に悪影響を及ぼすとした。 多くのオブザーバーは、この貿易協定は地政学的な目的、すなわち、加盟国の中国貿易への依存度を下げ、加盟国を米国に近づけることに役立っただろうと主張している
原協定、TPP交渉からCPTPPの発効まで
原協定(「TPSEP」も参照)
  環太平洋パートナーシップ協定の原協定(英語: Trans-Pacific Strategic Economic Partnership Agreement, TPSEP)は、シンガポールブルネイチリニュージーランドの4か国の経済連携協定(EPA)として始まり、2005年7月(ブルネイは8月)に署名され2006年5月28日にシンガポール、ニュージーランドについて、7月12日にブルネイについて、11月8日にチリについて発効した。
  当初は、Pacific Three Closer Economic Partnership (P3-CEP) として知られ、2002年メキシコロス・カボスで開かれたAPEC首脳会議でチリ、シンガポール、ニュージーランドの3か国間で交渉が開始された。2005年4月に開かれた5回目の交渉会合から、ブルネイが完全な交渉当事者として加わった。この原加盟4か国は Pacific-4 (P4) と呼ばれる。また、拡大交渉中のTPP協定と区別するために、原協定 (original agreement) は、P4協定 (P4 Agreement) と呼ぶことがある。
  加盟国間の全ての関税の90%を撤廃、産品の貿易・原産地規則・貿易救済措置・衛生植物検疫措置・貿易の技術的障害・サービス貿易・知的財産政府調達(自治体による公共事業や物品・サービスの購入など)、競争政策を含む、自由貿易協定の全ての主要な項目をカバーする包括的な協定となっている。目的の一つは、「加盟国の戦略的提携によってマーケットにおけるプレゼンスを上げること」である(CHAPTER 16 STRATEGIC PARTNERSHIP Article 16.2: Objectives 2. (d))。
  条文は、ニュージーランド政府サイト上で公開されており、日本語への私訳も複数存在している(日本政府からは、農林水産省から第3章の仮訳が公開されているのみである)。

原協定の拡大(日本のTPP交渉については、日本のTPP交渉及び諸議論の項を参照)
  原協定の第20章 最終規定の第1条および第2条において、「別段の合意が無い限り、この協定に投資に関する章と金融に関する章を盛り込むことを目的として、この協定の発効(2006年5月28日)から遅くても2年後までに交渉を開始する」と定められている。これに従い協定の拡大交渉会合が開かれている。
  拡大交渉に伴い、拡大交渉中の協定は 環太平洋パートナーシップ協定 (Trans-Pacific Partnership, TPP) と表現されるようになったが、内容は、環太平洋パートナーシップ協定 (Trans-Pacific Strategic Economic Partnership Agreement, TPSEP, P4) の拡大である。ただし当初は原協定(TPSEP)に基づく拡大交渉として開始されたが、最終的には、原協定とは法的にまったく別の協定となったため、TTPにはTPSEPとの関連を規定する規定は一切ない。
拡大交渉会合開始までの流れ
  2008年2月4日、アメリカ合衆国通商代表部(以下、USTR)代表(当時)のスーザン・シュワブは、アメリカが投資と金融に関する交渉に参加すると表明した。
  その後、リーマン・ショックから1週間後にあたる2008年9月22日に、USTR代表のスーザン・シュワブは、原加盟国4か国の代表と共に交渉の立ち上げの声明を出し、アメリカは最初に追加された交渉国となった。
  翌日の2008年9月23日に、オーストラリアは参加の検討を発表した。
  なお、アメリカは、参加表明に先立ち日本、オーストラリアなど数カ国に一緒に参加することを外交ルートなどを通じ呼びかけたが、日本は、当時の経済産業大臣・二階俊博(自公連立政権)が参加に意欲をみせたものの、参加は見送っている。
  2009年11月14日に、アメリカは改めて参加の意思を示し、その中で、大統領バラク・オバマは初めてTPPに係合する意向を発表し、USTR代表のロン・カークは輸出拡大と雇用確保などのメリットを強く訴えている。
  2010年3月14日に、ペルー貿易観光大臣のペレスは交渉参加を発表した
TPP協定の署名
  2015年9月26日9月28日の日程で、アメリカ合衆国ジョージア州アトランタにおいて首席交渉官会合が開催され、続いて9月29日10月5日の日程で閣僚会合が開催され、最終日の10月5日にTPP交渉が大筋合意した。
  2015年11月5日に、TPP協定の全体が暫定条文の形で初めて公表された。
  2016年2月4日、ニュージーランドオークランドにおいて、TPP協定が12カ国により署名された。
  調印式会場のあるオークランドでは、約2万人の人々がTPPに反対するために抗議活動を行った。反TPP運動の主催者らは、TPPがニュージーランドの国家主権を侵害し、地元の企業を犠牲して海外の企業を利すると主張した。
米国の離脱表明
  2017年1月、アメリカ合衆国がTPPを離脱。TPP協定は米国抜きでは発効できず、合意した市場開放や貿易・投資ルールを適用するには協定の見直しが必要となった。
  TPP協定については、日本が2017年1月20日に、ニュージーランドが2017年5月11日協定の受諾のための国内手続きを完了した旨を通報したが他の国は米国の離脱表明後手続きを進行させていない。
CPTPP作成までの経緯
  2017年5月21日、ベトナムにおいて開催された閣僚会合でアメリカを除いた加盟国11か国でTPP協定を早期に発効する事を確認。新協定「TPP11」の発効を目指す事となった。
  2017年7月12日-14日、神奈川県箱根町において首席交渉官会合が開催され、早期発効に向けた具体策が話し合われた。
  2017年8月28日-30日、オーストラリアのシドニーにおいて首席交渉官会合が開催。医薬品データを8年間保護する項目の凍結が固まったほか、著作権の保護期間延長や政府調達の規制緩和などの凍結や修正で、50程度の要望が出た。
  2017年9月21日-22日、東京都内において首席交渉官会合を開催。
  2017年9月、日本、オーストラリアと共に「TPP11」を引っ張ってきたニュージーランドの政権が選挙で交替。TPP慎重派の労働党が政権についた。
  2017年10月30日-11月1日、浦安市舞浜において首席交渉官会合を開催。8月の会議で50程度出されたアメリカ合衆国の復帰まで、実施を棚上げする凍結項目を絞る作業が行われた。ニュージーランドの新政権もTPP11の発効を支持する方向に政策転換をした。
  2017年11月、ベトナムのダナンで開催されたAPEC閣僚会合に合わせて開催された、TPP署名11か国の閣僚会合において、一旦は11月9日に大筋合意が宣言されたが、カナダが大筋合意を否定するとともに、首脳会合の開催を拒否。11月10日夜に再開された閣僚会合でようやく大筋合意が再確認されたが、首脳会合は開催されなかった。
  この大筋合意では、オリジナル版TPPの内容のうち、20項目に関してアメリカ合衆国が復帰するまで実施を「凍結」をすることとし合意し、新名称を「包括的及び先進的な環太平洋パートナーシップ協定」にすること、CPTPPの略称も使うことを発表した。また4項目についてはなお協議することとされた。

  2018年1月22日-23日、東京において首席交渉官交渉が行われ、継続交渉とされた4項目のうち、マレーシア、ブルネイの経過措置起算日については凍結で合意、ベトナムの労働、カナダの文化例外については、発効後の取り扱いについて各国とサイドレターを取り交わすことで合意した。それにより凍結項目が確定し、英文の法技術的チェック(リーガルスクラブ)も終了したことから、新協定のテキストが確定したことが確認され、署名式を2018年3月8日チリで行うことで一致したと発表された。カナダのトルドー首相も、世界経済フォーラム(ダボス会議)において、2018年1月24日にTPP11への署名の意向を表明。
  TPP11は、参加11か国の人口は合わせて約5億人(世界の約6%)、GDP合計は、日本円にして約1100兆円(世界全体の13%)規模の経済連携協定となる。
  2018年1月25日、アメリカのトランプ大統領は訪問先のスイスで受けた米テレビCNBCのインタビューで、就任時「永久に離脱する」としていたTPPへの参加を「より有利な条件であればやる」と復帰を検討する用意があると表明した
  2018年3月8日、チリのサンティアゴにおいて、アメリカを除く11か国によるTPP11の署名式が行われた。これにより、人口5億人の貿易圏が誕生することとなった
CPTPPの発効
  オーストラリアが2018年10月31日、CPTPPについての国内手続を完了した旨の通報をし、CPTPPの締約国が6か国になったことにより、CPTPPは2018年12月30日に、メキシコ、日本、シンガポール、ニュージーランド、カナダ及びオーストラリアの間で発効した。
  ベトナムは、2018年11月15日にCPTPPについての国内手続を完了した旨の通報したので、ベトナムについてはその批准の60日後の2019年1月14日に発効した。
  ペルーは、2021年7月21日にCPTPPについての国内手続を完了した旨の通報したので、ペルーについてはその批准の60日後の2021年9月19日に発効した。
  残り未締結の3か国(ブルネイ、マレーシア、及びチリ)はそれぞれの国がCPTPPについての国内手続を完了した旨の通報してから、60日後に個別に、当該国について協定は発効する。
環太平洋パートナーシップに関する包括的及び先進的な協定 (CPTPP)
  TPP11として合意された「環太平洋パートナーシップに関する包括的及び先進的な協定」(CPTPP) は、法的には環太平洋パートナーシップ協定 (TPP) とは別の条約として作成された。本文7か条と附属書が1本で構成されている。
本文
  第1条 : TPP協定の組込み。-TPPの条文が「必要な変更を加えた上で、この協定に組み込まれ、この協定の一部をなす」と規定している。なおTPPのうち加入・脱退等に関する4か条を除外している。これはTPPとCPTPPがそれぞれ異なる条約である以上、CPTPPにはCPTPP固有の運用規定が必要となるからである.
  第2条 : 特定の規定の適用の停止-附属書に定める特定の規定の適用を停止する。
  第3条 : 効力発生-6か国が、関係する国内法上の手続を完了した旨を書面により寄託者に通報した後60日で発効する。当初の6か国に含まれなかった署名国については、それぞれの国が関係する国内法上の手続を完了した旨を書面により寄託者に通報した後60日後に個別に、当該国について協定は発効する。
  第4条 : 脱退-締約国は6月の予告で脱退できる。
  第5条 : 加入-国又は独立の関税地域は、CPTPPの効力発生の日の後、締約国と当該国又は独立の関税地域との間で合意する条件に従って加入することができると規定。TPPのように加入交渉についての詳細な規定はしていない。
  第6条 : 本協定の見直し-TPP協定の効力発生が差し迫っている場合又はTPP協定が効力を生ずる見込みがない場合には、いずれかの締約国の要請に応じ、本協定の改正及び関係する事項を検討するため、本協定の運用を見直す。
  第7条:正文(英、西、仏)-附属書(適用停止中のTPP規定)-付属書において、CPTPPでは適用を停止している22(うち11は、知的財産権関係)のTPPの規定を示している。
  第9章投資」及び第18章「知的財産」での適用停止が目立つ。-投資章の適用停止は、たとえば資源採掘やインフラ建設・運営(空港、高速道路等)のコンセッション契約を締結した投資家は、相手国政府に契約違反があっても、その違反が同時にTPP投資章の義務への違反でないかぎり、投資家対国家の紛争解決 (ISDS) に訴えられない。
  知的財産章では、TPP交渉の最終段階で米豪間の激しい対立を生んだ、生物製剤特許の保護や「ミッキーマウス延命策」とも揶揄される著作権の保護期間延長(作者の死後70年)など、もっぱらアメリカ合衆国の強い関心を反映した条項が停止された。他方で、電子商取引・国有企業・労働・環境といった新しい分野を規律する章は、ほぼそのままである。-附属書で、TPPの項目のうち適用を停止している規定の主な範囲は次のとおり。
  ・第5章「税関当局及び貿易円滑化」中「急送貨物」・第9章「投資」中、「投資に関する合意」「投資の許可」の定義。また「請求の仲裁への付託」、「仲裁人の選定」、「準拠法」・第10章国境を越えるサービスの貿易」中「急送便サービス」・第11章金融サービス」中「適用範囲」・第13章電気通信」中「電気通信に関する紛争の解決」・第15章政府調達」中「参加のための条件」、「追加的な交渉」・第18章知的財産」中「対象事項」、「不合理な特許期間の調整」「開示されていない試験データその他のデータの保護」「生物製剤」「著作権及び関連する権利の保護期間」「技術的保護手段」「権利管理情報」「衛星放送用及びケーブル放送用の暗号化された番組伝送信号の保護」「法的な救済措置及び免責」「インターネット・サービス・プロバイダ」など・第20章環境」中「保存及び貿易」・第26章透明性及び腐敗行為の防止」中、「医薬品及び医療機器に関する透明性及び手続の公正な実施」の項・ブルネイ・ダルサラームマレーシアが留保した部分
協定作成以後の協議
  2018年7月18日 - 19日、神奈川県箱根町において首席交渉官会合が開催され、
1-各国の国内手続に関する情報交換 2-各国・地域からの新規加入希望を歓迎し、これらの国・地域に対して積極的に情報提供を行う等の協力を行うことにつき確認し、発効後の対応等について引き続き協議を行うこと 3-TPP委員会等の運営・・・・・についての協議がおこなわれた。
  2018年11月20日-21日、東京において首席交渉官交渉が行われた。国内手続中の各国の状況の確認、第1回TPP委員会の運営の協議、新規加盟国・地域に対する基本的な方針等について議論が行われた。このなかで新規加入の手続きについては、CPTPPでは細かく規定はないが、TPP協定に準じて、ワーキンググループを立ち上げて、そのワーキンググループで交渉して、最終的に加入の是非を委員会で判断するということで概ね合意がされた。またTPP委員会の議長国のローテーションは2019年は日本、2020年以降は、協定の批准の順にメキシコからローテーションすることも概ね合意がされた。いずれも2019年1月に開催される第1回TPP委員会で正式に決定することになっている。
CPTPPの発効後-CPTPPの発効後の税率の適用関係
  CPTPPは、最初の6カ国とその後の5カ国とで発効時期が異なるため、特に段階的引下げを行う品目の場合の適用関係が問題になる。これについてはCPTPP協定によって適用されるTPP協定附属書2-Dの4の規定により、協定の発効日(2018年12月30日)の後、新たに発効する国(新締約国)については、日本を含む当初の締約国が適⽤する関税撤廃のスケジュールは、新締約国の発効日を起点として適⽤する、協定の発効日(2018年12月30日)に発効したものとして適⽤する(キャッチアップする)のいずれかを、その都度、決定することとなっている。
  ベトナムについては、 1) メキシコとベトナムはお互いにキャッチアップしない(2) メキシコ以外の締約国(日本、シンガポール、ニュージーランド、カナダ、オーストラリア)とベトナムはお互いにキャッチアップする () と決定されている。
  なお当初の締約国がキャッチアップをした場合は、新締約国には選択権はなくキャッチアップを⾏う義務があり、当初の締約国がキャッチアップをしない場合は、新締約国はキャッチアップを⾏うかどうか選択できる。
  ペルーについては、2021年7月21日に国内手続を完了した旨を通報し、9月19日に発効した。ペルーについては、すべての締約国とお互いにキャッチアップする。
CPTPP委員会
第1回 CPTPP委員会
  協定発効を受けて第1回CPTPP委員会が、11か国の閣僚級で2019年1月19日午後に東京で開催された。
  この委員会には、CPTPP署名国が参加するが開催日までに締約国となっている7か国が正規メンバーとなり残りの4か国はオブザーバーになるとされ、委員会の決定として、移行期間としての2019年に関する特別措置で、この移行期間において、CPTPPが未だ効力を生じていない署名国は、委員会の会合、高級事務レベル会合、他の全ての小委員会及びその他の補助機関の会合並びに加入作業部会に参加することができることが決定された。
  また、委員会の議長について、2019年は、日本、2020年以降は1年交代でCPTPP協定の関係する国内法上の手続を完了した旨を書面により寄託者に通報した締約国の順番(従って2020年はメキシコ、2021年は日本となり、2027年のペルーまで決定されたことになる)に従って行うこととなった。
  CPTPPの加入手続、国と国との間の紛争解決のパネルの手続規則、投資家と国との間の紛争解決の行動規範も採択された。
  さらに委員会終了後出席した閣僚による「協定を拡大していく強い決意を確認した」とする閣僚声明。が発表された。
第2回 CPTPP委員会
  第2回CPTPP委員会は、2019年10月7-9日に、ニュージーランドのオークランドにおいて開催された。第1回とは異なり、各国の首席交渉官レベルで行われ、日本からは梅本首席交渉官が出席した。また並行して分野別に設置されている物品貿易、SPS、労働、国有企業等12の小委員会等の会合が開催され、関係省庁担当官が出席した。委員会は、TPP委員会の手続規則と紛争処理のパネル議長の登録簿の作成に関する決定の二つの決定を採択した。また、11か国の共同声明を採択し、「全ての署名国による協定の早期発効のための努力を支持し、促進する。」「他のエコノミーにより継続的に示されているTPP11加入への関心を歓迎」を行った。ただし新規加盟交渉について具体的な交渉開始についての発表はされなかった。なお議事内容について委員会報告書が公表されている。
第3回 CPTPP委員会
  第3回CPTPP委員会が、2020年8月5日にテレビ会議方式にて閣僚級で開催された。協定各章の規定の着実な実施のため、物品貿易、SPS、TBT、競争力及びビジネスの円滑化等15の小委員会等の会合もテレビ会議方式にて行われた。またCPTPP参加11か国閣僚声明が発表された。
  CPTPPへの新規加入については、正式申請が見込まれていたタイが、2020年中の申請は困難な状況になっており、イギリス、台湾等も正式申請を行っていないため、閣僚声明で「TPP11協定への加入についての関心を温かく歓迎するに留まり、正式決定はされなかった。
第4回CPTPP委員会
  複数のメディアの報道によると、2021年5月26日の記者会見において、日本の西村康稔経済再生担当相が、第4回CPTPP委員会が、2021年6月2日に、オンライン形式で開催されると発言した。。日本は、2021年においてCPTPP委員会の議長国である。委員会では、イギリスのCPTPP加入申請への対応を議論され、加入交渉開始が決定される見込みとも報道された。
  第4回CPTPP委員会が、2021年6月2日にテレビ会議方式にて閣僚級で開催された。CPTPP加入手続に基づき、イギリスの加入手続の開始及び加入作業部会(議長:日本、副議長:豪州及びシンガポール)の設置についての委員会決定を採択した。この決定は、まだ受諾が完了していない署名国も、作業部会の決定に参加できないことを条件に加入作業部会の会合に出席し、かつ参加することができるとしている(決定パラ5)。なお、加入作業部会にはイギリスの政府の代表者を含まない一方、加入の条件を交渉するため又はその他の理由のため、加入作業部会はその会合に英国を招請することができるとしている(決定パラ6)。
  今回の会合の際に小委員会等の会合が開催されたかについての言及は、6月2日の日本政府の結果概要の発表にはない。またCPTPP参加11か国閣僚声明が発表された。
第5回 CPTPP委員会
  第5回CPTPP委員会が、2021年9月1日にテレビ会議方式にて閣僚級で開催された。
  電子商取引章の規定の実施の促進等を行うための電子商取引に関する小委員会の設置についての委員会決定を採択した。またCPTPP参加11か国閣僚声明が発表された。
  小委員会等の会合の開催については、閣僚共同声明に「委員会会合に先立ち、本年オンライン形式で開催した17の本協定の補助機関」述べられている。
イギリスのCPTPP加入交渉
  第4回CPTPP委員会での加入手続の開始決定を受けて、加入交渉が2021年6月21日に開始された。
  2021年9月1日、イギリスの加入作業部会第1回会合は、今後1か月程度を目途に開催を目指すと日本の西村康稔経済再生担当相が、第5回CPTPP委員会後の記者会見において発表した。
  2021年9月28日、イギリスの加入作業部会第1回会合が、オンライン形式で開催され、イギリスが加盟基準に適合するための具体的な取り組み状況を説明した。
合意条項
ISDS条項
  主権国家は環境保護、食品衛生、薬価上限、知的財産に関する国内法に基づく決定、公益事業に関連する規制など様々な規制を設けている。
  TPPに含まれるISDS条項によれば、それらの規制が企業の将来的収益を損ねると判断される(若しくはTPPの取り決めに違反している)場合、企業が損害賠償を求めて、主権国家を訴えることが可能となる。
  裁判は特別法廷で行われ、政府側が負けた場合は訴えた企業に賠償金を支払い、仮に政府側が勝ったとしても、裁判にかかる弁護士料など諸費用を政府が負担させられる可能性もある。初期のリークされた文書では、特別法廷員にかかる費用の下限は1時間あたり375ドルであったが、最終合意文書ではその費用限度は撤廃された。特別法廷がその裁量で以って、その額を決めることができる。よってその賠償金と特別法廷員にかかる費用などは、訴えられた国家の納税者に負担をかけるだろう。
  ISDSによる特別法廷で、政府側が賠償金を支払うことを命じられた場合は、その国の有権者に課される「隠れた税金」となる。それは、政府によってではなく多国籍企業などの企業側によって課される税金である。
  これまでの判例では、特別法廷は訴えられた側と訴えた側両者に対して、弁護士・特別法廷員料など特別法廷に関連する支出を支払うよう命じている。特別法廷に関連するコストの平均は、政府側が約440万ドル、申し立てた側が約450万ドルとなっている。
  バーニー・サンダースドナルド・トランプという、一見すると政治に関する立場が大きく違う両者が、反TPPでは一致を見ている。左側は「(TPPによって)非民主的な大企業による逸脱行為が正当化される」、右側は「TPPが国家主権を侵食する」と唱え、TPPやTTIPに反対する。
  NAFTA以後の貿易協定(TPPなど)は、特定の集団にアドバンテージを与え、その他には不利益となるものだった。
  NAFTAに含まれる条項はゼネラルモーターズ(GM)のような多国籍企業がメキシコに工場を移し、メキシコで自動車を製造した後にその自動車を米国に売りつけることを容易にするものだった。これはGMの収益のためはよい知らせだった。だが米国国内の自動車製造会社にとっては、(メキシコの安い労働力と争わなければならないために)その会社の従業員の賃金カットもしくはリストラせざるを得なくなった。NAFTAは米国の労働者にとっては悪い知らせだった。
  トランプは、キャリアナビスコで大規模解雇が行われ雇用がメキシコへ移っていることを指摘しつつ、「サンダースは、米国が貿易で大損してることをわかっている」と述べている。
  NAFTAでは、貿易の特定の領域に関しては自由どころか保護が強くなった。処方薬の特許や本・映画・ソフトウェア・音楽の著作権の保護期間などである。2016年4月時点で、米国国民は一人あたりにして年間およそ1300ドルを薬剤購入に費やしている。これが本当に自由貿易ならばその10分の1の費用ですむだろう。
  カリフォルニア大学バークレー校の研究者らはTPPを以下のように説明しているTPPは環境労働(基準)、ヘルスケア医療に関しての規制権を大企業に握らせるための協定であり、大企業の利益になるが環境や労働者を保護しない性格をもち、仕事がアウトソースされるために中低所得者を害する協定である。2016年アメリカ合衆国大統領選挙でのアメリカ合衆国大統領候補であるバーニー・サンダース民主党)とドナルド・トランプ共和党)、両者ともにTPPに反対している。

  2016年4月米国ニューヨーク市長ビル・デブラシオがTPP反対の声を上げた。デブラシオは強い口調で語る。「TPPに反対する熱意が我々にあるのは当然だ。我々米国国民は以前にもこの手の映画(すなわち北米自由貿易協定、NAFTA)を見ているのだから。NAFTAがどれだけひどいものだったか我々は見てきている。その過ちを繰り返すことはない。」「物欲に囚われ米国の中間層を犠牲にした。それがNAFTAだった。NAFTAによって米国の百万もの雇用が失われた。ここニューヨークでも何万という職が海外にもっていかれた。中流生活を送っていた人々がラグを処分させられる破目になった。勤労・誠実だった人々から突如として全てを奪った。それがNAFTAだったのであり、同様にTPPも米国に悪影響をもたらすと考えるべきだろう。よって我々はTPPに反対すべく立ち上がっているのだ。」

  TPP交渉に関連した文書・電子メールなどが非公開となっている。しかしながら国際法の観点から条約法に関するウィーン条約を尊守し、交渉過程で何かしらの(直接的・間接的)不正が存在したかどうかを確認することは重要である。例えば同意に至る交渉・調整過程で何らかの詐欺的行為、(直接的または間接的)買収があった場合には、ウィーン条約の49条・50条に則り自国の同意を無効にする根拠となる。脅迫などがあればウィーン条約51条に則り、自国の同意は法的拘束力を失う。
  米国離脱後の締結されたCPTPP(TPP11)において、TPP協定の投資に関する規定のうち、「投資に対する合意」及び「投資の許可」違反を理由とする仲裁申立てに関する規定を凍結した。
特許・著作権保護
薬剤特許、新薬剤保護など
  政府側は提出された薬剤の認可に関する申請書を速やかに処理しなければならない。特許薬剤の認可では、政府による認可プロセスが遅れる等して実質的な特許期間が短くなった場合には政府が特許期間を延長しなければならない。18.48条より
  新薬剤の認可プロセスにおいて、政府側が申請者にその薬剤の効能と安全性に関係するデータを提出するよう求めた場合には、その薬剤は保護される。保護されれば、(データ保持者の許可が無い限りは)第三者がそのデータに基づく類似薬剤を販売できない。18.50条より
  新薬剤の保護期間は最短で5年、バイオ医薬品の保護期間は最短で8年。
  認可された薬剤の安全と効能に関するデータを第三者が使用する場合は、政府が、仮に特許を侵害するような薬剤の販売がなされたという申し立てがあった場合の対応策をとるための十分な時間と機会を特許保持者に与えなければならない。その場合には対応策は(差止請求権の行使など)迅速であり、法的対応策あるいは行政手続きといったものになる。18.51条より
  CPTPP(TPP11)において、特許・著作権保護に関する規定については、上記に掲げた項目すべてを含む13項目を凍結した。
転職・起業の制限
  18.78条には企業秘密の公開・取得・無断使用の罰則に関する条項が盛り込まれている。 企業秘密の公開・取得・無断使用に対する罰則規程によって、従業員が会社を辞め(同じ産業の)別の会社で働くことができなくなる場合がある。
  会社勤務の労働者はその会社の企業秘密にアクセスできる。仮にその労働者がその会社を辞め(もしくは解雇され)、同じ産業の別の会社で働き始めたとする。この場合、その労働者は既に知っている企業秘密を新しく勤め始めた会社に持ち込むことが物理的に可能になる。 よってTPP18.78条が定める企業秘密の公開・取得・無断使用に該当することになり、その労働者が企業秘密を漏洩させる意図が無いとしても、罰則規定の対象になりうる。これはより高い賃金を目指して別の企業に移ろうとする労働者にとっては厳しい。逆に、企業側にとっては労働者の賃金を固定できる道具となる。
ラチェット(Ratchet)条項
  2013年11月23日、ラチェット条項の導入に合意した。この条項は、国が自国の産業を守る為、外資を規制する等が、一部の例外を除いて出来なくなる仕組み。原則、法律で再び規制すること等を禁止する。日本経済新聞は、「日本企業が安心して進出できる環境が整いそう」と報じた。
TPPの為替操作防止条項
  2015年11月6日、米財務長官は、TPPに異例の為替関連条項が盛り込まれたことに関して発言。「貿易相手国が為替操作に従事することを防ぐ新たな手段が米政府に与えられる」として、このTPP為替条項を歓迎した。
  また、為替介入についての報道で、「一部の国は輸出競争力を高めるため自国の通貨を堂々と落としたりもする。 日本のアベノミクスも例外でない。為替市場への介入は程度の差があるだけだ。このため為替レート政策を含むことになればTPP妥結が難しいという観測が多かった。しかしこの部分に対する米国の立場は強硬であり、結局、相当部分が貫徹された。」と、米国側の意見が通りTPPに為替操作防止条項が入ったと報道した
原協定加盟国-シンガポール、ブルネイ、チリ、ニュージーランドの4か国は原協定(TPSEP)の加盟国である。
拡大交渉参加国-アメリカオーストラリアベトナムペルーは参加を表明し、拡大交渉会合に第1回から参加している。次いで、マレーシアコロンビアカナダも参加の意向を明らかにした。その内、マレーシアが交渉国として認められた。同時にカナダ、メキシコも交渉に参加し、最後に日本が交渉に参加した。








このTopに戻る





WTC,WHO,RCEP,APEC,WES etc.-1
ASEANの問題-1             2プラス2問題-1
COP25 -COP26の問題-1       NATO(北大西洋条約機構)-1
UNSC(国連安全保障理事会)-1    TPP(環太平洋パートナーショップ)-1
クワッド-1
monomousu   もの申す
最近のニュース
TOPにもどる