LGBT(同性婚)問題-1
2024.03.19-産経新聞-https://www.sankei.com/article/20240319-KGJ7UGHRHFAMHBYVHZBMOYBU5Q/
邦題は「トランスジェンダーになりたい少女たち」 4月3日発売決定 出版社には賛否の声
大手出版社KADOKAWAが発行を中止した米書「IRREVERSIBLE DAMAGE」が、「トランスジェンダーになりたい少女たち SNS・学校・医療が煽る流行の悲劇」の邦題で、4月3日に発売される。
発行準備を進めていた産経新聞出版が19日、公表した。定価(税込み)は2530円。すでに通販のアマゾンなどで予約開始されており、注目を集めている。
同書は米ジャーナリスト、アビゲイル・シュライアーさんによるノンフィクション。ブームに煽られ性別変更したものの、手術などで回復不可能なダメージを受け後悔する少女らを取材している。日本語版にあたっては、精神科医の岩波明氏が監訳・解説を担当した。
昨年末にKADOKAWAが
「あの子もトランスジェンダーになった」の邦題で発行予定だったが、
「差別を助長する」という一部の強い批判や同社本社前での抗議集会の予告などを受け、発行中止となった経緯がある。
産経新聞出版にも
「トランスジェンダーの人を差別するような本は出版されるべきではない」と
出版中止を求めるメールや手紙が届いている一方、「脅迫や圧力に屈してはいけない。ぜひ読んでみたい」という激励の声も寄せられている。
2024.03.17-産経新聞-https://www.sankei.com/article/20240317-E5RUQ2TUW5LTRJPUT3ZXIQIEQ4/
性同一性障害学会が日本性別不合学会に 学会理事長「改名きっかけに知ってほしい」
心と体の性が一致しないトランスジェンダーの研究を推進する「GID(性同一性障害)学会」は17日、
沖縄県で開かれた学会総会で、名称を「日本GI(性別不合)学会」に改名すると正式に発表した。
トランスジェンダーは障害ではないとの考えが広まり、既に国際的な診断名として使われていないことを踏まえた。
同学会理事長の中塚幹也・岡山大大学院教授は学会総会後の取材に「医療だけで解決できる問題ではなく、社会が変わらないと当事者の生きづらさは変わらない。今回の改名をきっかけに知ってもらいたい」と話した。
学会は1999年に研究会として創設以降、GID(性同一性障害)という名称を採用。2013年に米国の精神医学会が性同一性障害を「性別違和」と名称変更したほかWHOも改名するなど、「障害」という言葉を使わない国際的な広まりを受け、学会内で検討が続いていた。
2023.12.23-産経新聞-https://www.sankei.com/article/20231223-TFXAL24VUJEXJJ2YMUSMHWIWGI/
サイレンにスマホ撮影、罵声、中指‥「男性は女性になれない」デモに過激な妨害
(奥原慎平)
戸籍上の性別変更を可能にした性同一性障害特例法の廃止を訴えるデモ活動が23日、東京・新宿で行われ、
参加者の女性らが「性別は変えられない」「女性の尊厳を守れ」「性別は気持ちではない」などと訴えた。
現場では、心と体の性別が一致しないトランスジェンダーが性別を変更する権利が脅かされるとしてデモ活動を妨害する人々も現れ、休日の繁華街で聞くに堪えない罵詈雑言を浴びせていた。
午後1時前のJR新宿駅前。コーンで仕切られたスペースに20人弱の女性が集まった。
女性団体「女性の権利と尊厳を取り戻す会」が主催するデモの参加者だ。
平成16年施行の特例法に基づき性別適合手術を経て性別変更が認められても、元男性と女性トイレや女性更衣室などを女児や成人女性が共有することなどに強い拒否感
を覚えている。
参加者の多くはサングラスやマスクで顔を隠している。インターネット上に顔が公開される恐れがあるためだという。
周囲はデモの開始前から、虹色のフラッグを掲げた人々が参加者の数倍の規模で取り囲んでいる。「ヘイトデ~モ中止!」「トランス差別者、かーえーれ!」と罵声を浴びせ、スマートフォンやビデオカメラで参加者を撮影する。
多くの警察官が警備する中、デモ行進が始まった。妨害者の側がデモ参加者に接近してメガホンで大声を張り上げるので、参加者が訴える内容がなかなか聞き取れない。ようやくデモの参加者側がメガホンの音量を上げ、「性別の定義を変えるな」「女性の尊厳を守れ」と訴えると、妨害する側も「かーえーれー」とボリュームを上げて対抗する。
妨害する側の行為は眉をひそめる内容だった。「とっとと帰れって言ってんじゃねーか」と大声を発する女性。「ファン、ファン、ファン」とサイレンを大音量で鳴らす女性。「うわー」「うわー」「うわー」と叫びながら、デモの参加女性にスマホを近づける男性もいた。
デモの参加者に親指を下げ、中指を立てる人たちも少なくなかった。
デモ参加者の訴えを周囲に聞かせない狙いがあるという。通行人に向かい、「悪質なトランスジェンダー差別が行われています」「どうか皆さま、耳を貸さないようにお願いします」となどと頭を下げている。
今回のデモ活動は事前に警察から許可を得たものだ。こうした妨害行為を、参加者はどう感じているのか。
主催団体の共同代表を務める青谷ゆかりさんは「意見や立場が違う人がいるのは分かる。でも、このようなカウンター(反対)行為を行うのではなく、お互いどう考えているのか議論すべきだ。カウンター行為は反対だ」という。同じく共同代表の白瀬詩織さんも「われわれの主張が広がれば、賛同者が増えてしまうから都合が悪いと考えているのではないか。まずは聞いてほしい」と語った。
デモの開始前、記者がデモ参加者にあいさつをしていると、
ある男性が記者にスマートフォンを向けてきた。撮影されているのだろうか。その場を離れると、その男性から指を差され、「これが産経新聞だ」と周囲に伝えている。デモの取材中、記者に対する威圧的な行為はなかったものの、妨害する人々の一部は取材する記者の顔も事前に把握していたことに恐怖を覚えた。
(奥原慎平)
2023.11.21-産経新聞-https://www.sankei.com/article/20231120-EFBL3IELIZA7BHNGZ7VEW24KB4/
LGBT法 自民支持層の7割が反対「女性スペース守られない」「議論が拙速」 「くらするーむ政治部!」
産経新聞グループのマーケティング会社「産経リサーチ&データ」は、岸田政権が今年6月に成立させ、施行したLGBT理解増進法の是非について調査した。その結果、「反対」「どちらかと言えば反対」が61.2%にのぼり、その理由(複数回答)は「女性スペースの安全が守られないと思うから」が79.8%で最多だった。自民党支持者に限っても「反対」「どちらかと言えば反対」は69.6%と全体よりも高く、保守層を中心に批判的な傾向が目立った。
同社のウェブ上のアンケートモニターサイト「くらするーむ政治部!」の登録者を対象に11月17日午後~11月20日午前まで実施、全国の1751人(男性1238人、女性513人)から回答があった。
LGBT法の是非については「反対」(40.4%)、「どちらかと言えば賛成」(30.3%)、「どちらかと言えば反対」(20.8%)、「賛成」(8.6%)の順で約6割が反対側だった。男女別では、男性の「反対」が47.2%でより高かったが、女性は「どちらかと言えば賛成」(43.1%)、「反対」(24%)、「どちらかと言えば反対」(22%)、「賛成」(10.9%)の順で、賛成側が過半数を上回っていた。
「反対」「どちらかと言えば反対」の理由を3つ選ぶ設問は、全体では「女性スペースの安全が守られないと思うから」(79.8%)、「法律制定までの議論が拙速だったから」(64.3%)、「立法化するほどのLGBT差別が日本にはないから」(53.2%)の順。男性はほぼ同様の傾向だったが、女性はトップの「女性スペースの安全が守られないと思うから」が84.7%で突出していた。
賛成側の理由は「LGBTに対する理解が進むから」(88.2%)、「立法化したほうがよいLGBT差別が日本にはあるから」(63.1%)、「小中学生のうちから性の多様性について知ってほしいから」(50.4%)が男女ともに上位を占めた。
支持政党別では、反対の立場が自民支持(69.6%)、日本維新の会支持(61.2%)と保守系政党の支持層で高く、「支持政党なし」層では42.1%だった。自民支持層の反対理由は、全体の傾向とほぼ同様だった。
一方、「女性用の公衆トイレや公衆浴場に、身体は男性で心の性別は女性の方が入ることについてどう思いますか」の問いでは、男女ともに「反対」(54.5%)が最も多かったが、男性(57.4%)より女性(47.4%)のほうが割合は少なく、「仕方がない」と答えた女性も16%いた。また、「手術などで外形的特徴が女性であれば構わない」は男性30.7%、女性34.7%だった。
回答者全体の政党支持率は「積極的支持」「消極的支持」を合わせると、自民38.2%、立憲民主3.5%、維新14%、国民民主2.6%、支持政党なし25.8%。岸田文雄内閣の支持率は「支持する」「どちらかといえば支持する」は30.4%だった。自民支持率は前回調査(11月3日~6日)の40.8%から2.6ポイント、岸田内閣の支持率は35.9%から5.5ポイント減り、7月の調査開始以来最低となった。
通常の世論調査は、調査エリアごとの性別・年齢構成になど合わせて、電話番号を無作為に発生させるRDD方式で電話をかけ、回答数が得られるまで調査を行うなどの手続きを踏むが、「くらするーむ政治部!」ではインターネットアンケートのみに限定、国民の「今感じていること」に焦点をあて、スピード感を持った調査に取り組んでいる。今回調査の年齢の割合は60代31.9%、50代23.4%、70代22.8%、40代11.5%、30代4.1%で50代以上が多かった。
主な質問と選択肢は次の通り
岸田政権が今年6月に成立させ、施行したLGBT理解増進法についてお聞きします。この法律は、基本理念に「性的指向およびジェンダーアイデンティティーを理由とする不当な差別はあってはならない」と盛り込み、国に国民の理解増進に関する施策の策定を促しています。
ただ、差別の定義ははっきりとせず、女性だと自称する男性が女性専用スペースに入ることを正当化しかねないという懸念や、学校において子供の理解を増進させる教育・啓発を行うよう定めたことなどが疑問視されています。一方で、「差別は許されない」の文言が無くなったことなどで、より強制力のある法律を求める声もあります。
1、
あなたはLGBT理解増進法についてどう思いますか・・・○賛成・・・○どちらかと言えば賛成・・・○反対・・・○どちらかと言えば反対
2、
「賛成」「どちらかと言えば賛成」と答えた方にお聞きします。その理由を3つ選んでください・・・○身近にLGBTで悩んでいる人がいるから・・・○女性スペースの安全は今後も守られると思うから・・・○立法化したほうがよいLGBT差別が日本にはあるから・・・○LGBTに対する理解が進むから・・・○法律制定までに議論が活発だったから・・・○他国にも同様の法律があるから・・・○小中学生のうちから性の多様性について知ってほしいから
3、
「反対」「どちらかと言えば反対」と答えた方にお聞きします。その理由を3つ選んでください・・・○身近にLGBTで悩んでいる人がいないから・・・○女性スペースの安全が守られないと思うから・・・○立法化するほどのLGBT差別が日本にはないから・・・○LGBTに対する理解が進むとは思えないから・・・○法律制定までの議論が拙速だったから・・・○他国には同様の法律がないから・・・○小中学生のうちから性の多様性について教えるのは適切ではないから
4、
女性用の公衆トイレや公衆浴場に、身体は男性で心の性別は女性の方が入ることについてどう思いますか。1つ選んでください。・・・○賛成・・・○反対・・・○仕方がない・・・○手術などで外形的特徴が女性であれば構わない
2023.05.30-NHK NEWS WEB-https://www3.nhk.or.jp/news/html/20230530/k10014082521000.html
同性婚認めないのは憲法違反 違憲判断は全国2件目 名古屋地裁
同性どうしの結婚が認められていないのは憲法違反かどうかが争われた裁判で、名古屋地方裁判所は「同性カップルに対し、その関係を国の制度として公に証明せず、保護するのにふさわしい枠組みすら与えていない」などとして憲法に違反するという判断を示しました。
愛知県に住む30代の男性のカップルは、同性どうしの結婚を認めていない民法などの規定は、婚姻の自由や法の下の平等を定めた憲法に違反すると主張して、国に賠償を求める訴えを起こしていました。
これに対し、国は裁判で「同性どうしの結婚は憲法で想定されていない」などと争っていました。30日の判決で、名古屋地方裁判所の西村修裁判長は、多くの自治体がパートナーシップ制度を導入している現状などを踏まえ、「男女間の結婚を中核とした伝統的な家族観は唯一絶対のものではなくなり、わが国でも同性カップルに対する理解が進み、承認しようとする傾向が加速している」と指摘しました。
そのうえで「同性愛者を法律上の結婚制度から排除することで、大きな格差を生じさせ、何ら手当てがなされていないことについて合理性が揺らいでいると言わざるをえず、もはや無視できない状況に至っている」と述べました。
そして「同性カップルに対し、その関係を国の制度として公に証明せず、保護するのにふさわしい枠組みすら与えていない」などとして、個人の尊厳と両性の平等に基づいて配偶者の選択などに関する法律を制定するよう定めた憲法24条2項に違反するという判断を示しました。
さらに、「性的指向という自分で選択や修正する余地のないことを理由に婚姻に対する直接的な制約を課している」などとして法の下の平等を定めた憲法14条にも違反すると判断しました。
一方で、「伝統的な家族観が今なお失われておらず、同性婚への反対意見もあることを考えると国会が正当な理由なく長期にわたって立法措置を怠っていたとはいえない」として国に賠償を求める訴えは退けました。
同様の裁判は、名古屋のほか札幌、大阪、東京、福岡の全国5か所で起こされていて、憲法違反の判断は札幌に次いで2件目です。
同性婚訴訟 これまでの判決は
同性婚をめぐる集団訴訟は、札幌、東京、名古屋、大阪、福岡の全国5か所で起こされ、これまでに札幌地裁と大阪地裁、東京地裁で判決が言い渡されました。
裁判所の判断は、・・・
▽「違憲」が1件、
▽憲法に違反しない「合憲」が1件、
▽「違憲状態の指摘」が1件と分かれています。
おととし3月、最初の判決となった札幌地裁は、「異性愛者と同性愛者の違いは意思によって選択できない性的指向の差でしかないのに、同性愛の人は婚姻による法的な利益の一部さえ受けられない。合理的な根拠を欠く差別的な取り扱いだ」と指摘し、同性どうしの結婚を認めないのは、法の下の平等を定めた憲法14条に違反するという初めての判断を示しました。
賠償を求める訴えは退けました。
続く去年6月の大阪地裁は、「婚姻の自由を定めた憲法24条は、男女の間での結婚を想定したものだ」としたうえで、憲法14条についても「同性カップルと異性カップルが受けられる利益の差は現在ある制度で緩和されつつある」などとして「合憲」と判断しました。
ただ、「憲法が同性婚や、それに準ずる制度を禁止していると解釈すべきではない。国の伝統や国民感情、時代ごとの夫婦や親子関係などを踏まえ民主的に決められるべきだ」と指摘し、今後、社会状況の変化によっては同性婚などを認める立法措置を取らないと憲法違反になりうると言及しました。
去年11月の東京地裁判決は「どのような法制度にするかは国会の裁量に委ねられている」として今の法律の規定が憲法に違反するとまでは言い切れないとしました。
一方で、個人の尊厳と両性の本質的平等を定めた憲法24条2項について検討し、「同性パートナーと家族になるための法制度が存在しないことは、同性愛の人に対する重大な障害であり、個人の尊厳と両性の本質的平等を定めた憲法に違反する状態だ」という考え方を示しました。
30日の名古屋地裁の判決は、法の下の平等を定めた憲法14条と、個人の尊厳と両性の本質的平等を定めた憲法24条2項の両面から憲法に違反すると明確に指摘し、札幌や東京よりさらに踏み込んだ判断となりました。
原告弁護団「婚姻平等へさらに大きな一歩」
判決のあと、原告の弁護団が裁判所から出てきて集まっていた人たちに「違憲判決をとりました」と伝えました。
そして、弁護団のメンバーが「違憲判決 婚姻平等さらに前進」などと書かれた大きな紙を掲げると、支援者らは歓声を上げ、拍手をして喜んでいました。
原告弁護団の水谷陽子弁護士は「どの地裁判決よりも踏み込んだ判断をしてもらった。婚姻平等へ向けてさらに大きな一歩を踏み出すことができました」と話していました。
原告「判決きっかけに理解を」
判決の直後、裁判所から出てきた原告の鷹見彰一さん(仮名)が取材に応じました。鷹見さんは「『やった』と思いました。多くの方々の応援があって裁判を続けてこられたので本当にうれしいです」と話しました。そのうえで「時代とともに、考え方が変わってきている。きょうの判決をきっかけにより多くの方に実態を理解してもらいたい。最終的には国会議員の方々に受け止めてもらってしっかりと動いてもらいたい。LGBTに限らず多種多様な方が互いを尊重し、助け合って生きていけたらいいなと思います」と話しました。
原告「公正な判断に感謝」
判決の後、原告カップルのうちの1人、鷹見彰一さん(仮名)が名古屋市内で記者会見を行いました。鷹見さんは「この判決がゴールではないものの、ここまで応援してくださって本当にありがとうございますということを何より伝えたいです。道のりは長いかと思いますが、国会議員に訴えかけていくなどできることもたくさんあるので、もっともっと頑張っていきたいなと思います」と話しました。
また、鷹見さんはもう1人の原告でパートナーの大野利政さん(仮名)のコメントを読み上げました。コメントでは「私たちが主張してきたことを真摯(しんし)に受け止めていただけた結果かと思います。公正な判断をしていただけたことに本当に感謝しています。2人で作成した意見陳述の内容も踏まえてくださった判決内容で頑張ってきたかいがあったと胸をなで下ろしています」と今回の判決に対する受け止めを述べたうえで、「世界的にも大きく出遅れている日本ですがこの判決が後押しとなりほんの少しスタートラインが見えてきたように感じます。まだまだ本当の喜びを得るまで時間がかかるかもしれませんが、この喜びを糧に頑張り続けたい」などとしました。
また、裁判を担当した弁護団は「本判決は、国に対する立法措置を直接に要求するもので、憲法に違反することを明示したことは同性カップルの婚姻の法制化に向けて極めて大きな意義を有する。政府と国会は『慎重な検討を要する』と逃げるのではなく、本判決が指摘した社会の変化にしっかりと向き合い、その責任を果たすべきだ」などとする声明を出しました。
松野官房長官「継続しているほかの訴訟の判断も注視」
松野官房長官は午後の記者会見で「政府としては婚姻に関する民法などの規定が憲法に反するとは考えておらず、国の主張が受け入れられなかったと承知している。現段階では確定前の判決であり、ほかの裁判所で同種の訴訟が係属していることから、その判断も注視していきたい」と述べました。
そのうえで、「同性婚の導入をめぐる課題については、国民各層の意見、国会における議論の状況、同性婚に関する訴訟の動向、地方自治体におけるパートナーシップ制度の導入や、運用の状況などを注視していく必要がある」と述べました。
自民 萩生田政調会長「現行憲法では想定されず」
自民党の萩生田政務調査会長は、与党政策責任者会議のあと、記者団に対し「同様の裁判は全国5か所で行われていて判断が分かれている。現行憲法下では、同性カップルに婚姻の成立を認めることは想定されていないというのが政府の立場であり、わが党も同様に考えている」と述べました。
公明 高木政調会長「野党も含めて議論深めていければ」
公明党の高木政務調査会長は、与党政策責任者会議のあと、記者団に対し「公明党はこの問題に関して、基本的に認める方向性で議論してきたので、今後も党内議論をしっかり深めていきたい。ただ、公明党だけの考えでは解決できないので、与党として、ほかの野党も含めて、議論を深めていければと思う」と述べました。
専門家「国や立法 行政に議論や法整備求めるメッセージ」
判決について、家族法が専門の早稲田大学の棚村政行教授は、「同性カップルがいかに不利益を受けているかに焦点をあて、社会の意識や家族の変化も踏まえながら、性的マイノリティーの人たちが不当な差別を受けてはいけないこと、実質的に家族として共同生活を営んでいるのに形式的に権利を否定されていることを人権侵害だと強く示したものでとても画期的だ」と評価しました。
そのうえで、「日本ではこれまで性的マイノリティーの人権についてきちんと議論してこなかった。進展がみられない現状を受けて司法が人権のとりでとしての役割を果たさなければいけないと強い決意で判断したとみられる。国や立法、行政に議論や法整備を求めるメッセージであり、国は性的マイノリティーの人たちが生きづらさを感じていることを重く受け止め、きちんとした制度づくりをしてほしい」と指摘しました。