医療問題-1


2024.07.22-産経新聞-https://www.sankei.com/article/20240722-J7JPWKB72JML5NIBK4ZB5HULGM/
小林製薬トップ2人辞任へ 後任社長に山根氏 23日に取締役会で決定 紅麹問題で引責

  紅(べに)麹(こうじ)」サプリメントとの関連が疑われる健康被害が起きた小林製薬のA会長(84)とB社長(53)が辞任する方針を固めたことが22日、分かった。23日に開く取締役会で決め、公表する。後任の社長には山根聡専務(64)を充てることで調整している。被害把握から公表まで約2カ月かかった対応に批判が出ており、創業家出身の経営トップ2人が責任を取る形で、一線から身を引くことになった

    小林製薬の対応については外部の委員で構成する「事実検証委員会」が調査しており、公表遅れによる幹部の経営責任を認定するか注目されていた。22日で発覚から4カ月となった。
  小林製薬は1月15日に医師からの報告で健康被害を把握したが、原因物質の特定などを優先して3月22日まで公表しなかった。サプリの原料からは青カビ由来の物質「プベルル酸」が検出され、健康被害の症例の一つに挙げられる腎障害との関連が指摘されている。
  4月に設置した検証委は公表遅れの原因や製造過程の管理体制、内部統制システムを調査。委員を務めるのは弁護士で、貝阿弥誠氏、北田幹直氏、西垣建剛氏。調査結果を基に、取締役会の対応が適切だったかを検証している。客観性を担保するためA会長、長男のB社長、山根専務の3人は検証に加わらず、外部取締役4人が担う。
  小林製薬は発覚当初の3月、腎疾患と関連が疑われる死者は5人と発表。しかし6月、腎疾患以外の症例も調査対象にする方針に転換した結果、因果関係の調査が必要な死亡疑い事例が当初発表分を含めると計100人となった。医療機関を受診した人は延べ2千人以上に達する。


2024.07.16-産経新聞-https://www.sankei.com/article/20240716-BUN2F6SFJVHBTNF4XUL3WQNOXY/
激辛チップスに潜む危険性 昨年は米で死亡事故も 水を飲むのは逆効果 有効なのは乳製品

  激辛のポテトチップスを食べた都立高校の生徒15人16日、体調不良を訴え、複数人が病院に搬送された。チップスに含まれる唐辛子の辛味成分「カプサイシン」の過剰摂取が原因とみられる。昨年9月には、激辛トルティーヤチップスを我慢しながら食べるSNS上の挑戦企画に参加した米国の少年=当時(14)=が死亡しており、激辛チップスの危険性が改めて浮き彫りとなった。

メーカーは注意喚起
  近年はSNS上で激辛料理に挑戦する企画なども多く触発された若者がその危険性を認知せずに激辛料理を食べる例も増えているという。16日に体調不良を訴えた高校生らが食べた激辛チップスについても、メーカー側が「食べすぎるとおなかが緩くなる場合がある」などと注意喚起をしていた。だが、そうした注意する表記が、かえって若者の挑戦心を煽った側面もありそうだ
  激辛チップスを食べて昨年9月に亡くなった米国の少年について、検査当局は今年5月、カプサイシンを大量に摂取し、心臓に異常が起きたことが死亡原因と報告した。チップスには大人用で子供は食べないように注意が書かれていたが、子供も購入できる状態だった
  死亡した少年の他にも病気になったり、病院に搬送されたりした子供の報告があったという。日本でも、令和元年7月に長野市の高校の生徒9人が、文化祭で食べた激辛料理が原因で病院に搬送された例もあるなど、各国で同様の事例が散見される。
辛味緩和に牛乳など効果
  農林水産省によると、カプサイシンはカプサイシノイドと呼ばれる炭素、水素、酸素、窒素からなる天然の有機化合物の一つで、唐辛子などに含まれる辛みをもたらす成分であると説明。舌の感覚神経を刺激して、辛みを感じさせ、水にはほとんど溶けず、油やアルコール、酢には溶けやすい性質を持つとしている。
  強い辛味を感じた際、多くの人が水を飲むことで対処するが、カプサイシンは水では溶けにくく、その成分を洗い流すことはできず、「かえって逆効果」(スナック菓子を製造・販売するジャパンフリトレー)という
  農水省は、カプサイシンの辛味を緩和するには乳製品が有効で、乳製品に含まれている成分が舌に接触するカプサイシンを吸着してくれるという。辛いものを食べる際には、ヨーグルトや牛乳などの乳製品を一緒に食べることを推奨しており、ジャパンフリトレーは「冷凍バターは、バターの乳成分と冷凍による冷却効果で辛さを和らげる」と薦めている。


2024.07.16-産経新聞-https://www.sankei.com/article/20240716-JTYAQ7OPBFMPTEIR3ALHZMETEM/
「18禁!食べないで」激辛ポテトチップスに表示 茨城のメーカー製造か、都立高生体調が不良

  東京都大田区の都立六郷工科高校で16日、激辛ポテトチップスを食べた生徒らが体調不良を訴え14人が搬送された問題で、生徒らが食べたのは茨城県の菓子メーカーが製造した「18禁」と書かれた銘柄のポテトチップスとみられることが捜査関係者への取材で分かった。

  この製品を製造している会社のホームページでは、「18禁!辛すぎますので、18歳未満の方は食べないでください」「高血圧、体調不良、胃腸の弱い方は絶対に食べないでください」「辛さに弱い方はもちろん、強い方も注意してお召し上がりください」などと警告している。
  警視庁蒲田署などによると、男子生徒1人が持ち込み、生徒約30人が16日午前8時半ごろから1人1枚程度を分けて食べたあと、一部が「口が痛い」「胃が痛い」「気持ちが悪い」などと体調不良を訴えた
  学校が「辛いお菓子を食べた生徒が体調不良を訴えている」と119番通報した。ポテトチップスを食べた生徒のうち、15人が体調不良を訴え、男性生徒1人と女子生徒13人の計14人が近くの病院に搬送された。いずれも症状は軽いという。


2024.07.10-産経新聞-https://www.sankei.com/article/20240710-O2UTN2SRDFOYHLZPBQ7YTVQ5JA/
手術なしで男性から女性に、性別変更認める 特例法「外観要件」巡る差し戻し家事審判

  例法の要件のうち「変更後の性器部分に似た外観を持つ」(外観要件)とする規定を満たさないとされた当事者が、戸籍上の性別を男性から女性に変更するよう求めた差し戻し家事審判で、広島高裁は10日、性別の変更を認める決定を出した。

  最高裁大法廷は昨年10月、二つある手術要件のうち「生殖機能がない」との規定(生殖能力要件)は、憲法13条が保障する「意思に反して身体への侵襲を受けない自由」への制約が重大だとして違憲無効と決定。もう一つの外観要件については高裁段階での審理が必要として差し戻していた。
  審判の申立人は西日本在住で戸籍上は男性、性自認は女性の50歳未満の社会人昨秋の生殖能力要件を違憲とした最高裁決定に続き、性的少数者の権利を尊重する司法判断といえ、国は特例法の要件見直しを迫られそうだ


2024.07.07-産経新聞-https://www.sankei.com/article/20240707-4UGFNCGWEFPULBUV36KOSFYS4E/
紅麹サプリ、増え続ける死者数 小林製薬の報告遅れ、取締役会の機能不全を露呈
(清水更沙)

  小林製薬が製造・販売した「紅麹(べにこうじ)」成分のサプリメントを摂取した人の健康被害を巡り、因果関係が疑われる死者数の大半を厚生労働省に報告していなかったことが分かってから約1週間。当初5人としていた死者数は4日現在で、遺族からの相談件数が215人、このうち調査中が84人まで増えた。取締役会が形骸化していたことが判明し、コーポレートガバナンス(企業統治)が厳しく問われている。

  「もう小林製薬だけに任せておくわけにはいかない。厚労省が直接、調査にかかわる計画をしっかり同社に立てさせる」
  武見敬三厚労相がそう怒りをあらわにしたのは6月28日。死者数の報告は3月末の「5人」から更新されていなかったが、実際には6月27日までに新たに170人分の相談が遺族から同社に寄せられ、うち76人について因果関係を調べていることが判明した。
  食品衛生法施行規則では「健康被害と疑われる情報(医師が診断)を把握した場合は提供に努める」と定める。厚労省はこの規定に基づき、小林製薬からも当然、すべての被害情報が上がってくるものと考えていたが、裏切られた形だ。
  同社は6月中旬に同省からの指摘を受けて「これまでは腎疾患と診断された事例のみを報告対象としていた」と釈明し、「死亡との関連性を調査している対象事例数」をすべて報告することに基準を変更。その後、報告数は日々増えている。
  独自の判断で情報を抱え込んでいた同社の姿勢について、中央大の青木英孝教授(コーポレートガバナンス論)は「被害を小さく見せたい意図があったと捉えられかねず、厚労省の指摘がなければ公表されなかった可能性もある。確認中の情報だったとしても報告すべきだった」と批判する。
  同社は1月中旬に最初の健康被害を把握してから製品の自主回収まで2カ月以上かかり、被害について、社外取締役を含む取締役会には、3月22日の公表直前まで議題に上がっていなかった。
  このため同社は同28日の取締役会で、再発防止策や品質管理体制、情報共有・発信のありかたなどを定期的な議題に追加することを決定。「取締役会による監督機能の強化を図る」としていた。「170人」についても「取締役会に適宜報告していた」と説明するが、厚労省には報告していなかった
  関西大の亀井克之教授(リスクマネジメント論)は「(この件数の未報告は)許容できるレベルではない。結局は(社長ら執行役員で構成する)経営執行会議などで重要なことが決まり、取締役会は追認の場になっているのではないか」と指摘する。
(清水更沙)


2024.07.04-産経新聞-https://www.sankei.com/article/20240704-EPEE6P5LRVM3HPX2BSLFIZZ4ME/
摂取後死亡の調査81人に 小林製薬の紅麹サプリ問題

  小林製薬の紅麹サプリメントを巡る健康被害の問題で、厚生労働省は4日、摂取後に死亡したと同社が遺族から相談を受け因果関係などを調査している人数が2日時点で5人増え、計81人になったと明らかにした。国会内で立憲民主党が開いた会合で報告した。

  同社によると、調査対象の人の死亡原因には腎疾患以外にがんや脳梗塞などが含まれる。問題の紅麹原料が製造された時期より前に亡くなった人もいる
  厚労省によると、遺族からの相談は計194人分あり、うち110人はサプリを摂取していなかった。残る84人のうち3人は医師への調査が終わり因果関係はないとの診断結果だった。
  同社は3月以降、死亡事例を5人としてきたが、6月13日に厚労省から追加事例の有無について問い合わせを受け、同月27日になって遺族からの相談が170人分あると同省に報告した。


2024.06.28-産経新聞-https://www.sankei.com/article/20240628-SPSAVSUD3JII3HID3IGMVQVCC4/
「紅麹」死亡相談76人の小林製薬、独断で健康被害の報告対象絞り込み 情報抱え込む姿勢
(牛島要平)

  小林製薬が製造・販売した「紅麹(べにこうじ)」成分のサプリメントを摂取した人の健康被害問題で、死亡についての相談が新たに76人に上ることが分かった同社はこれまで「腎疾患以外と診断されているものは報告対象外」と独自に判断して数を絞り込み、国には「5人」と報告していた。情報を抱え込んで公開しない悪癖がまたも露呈し、危機管理への姿勢がさらに厳しく問われそうだ。

  同社が死者数を「5人」と発表したのは3月29日。その後、厚生労働省への新たな報告はなかった。 『5人』という数字がずっと続いているが、変化はないか」
  不審を感じた厚労省食品監視安全課の担当者が今月13日、同社に問い合わせたところ、「変わりない」との回答だった。ところが翌日、同社から「ほかに調査中の事例がある」と一報があり、27日朝になって「76人」との報告があったという。
  同社は28日、厚労省への報告後の発表で「これまでは腎疾患と診断された事例のみを報告対象としていた」と釈明。これに対して、厚労省は取材に「特段の範囲を設けていたわけではないが、法令上、医師の診断で健康被害が疑われる事例はすべて報告することになっている」と話した。
  報告すべき人数を報告していなかった同社に対し、武見敬三厚労相は「調査は小林製薬に任せておけない」と怒りをあらわにした
  ところが、同社は報告漏れの落ち度を認めていない。発表では「被害発生状況の把握方法の変更」を表明し、「腎疾患に焦点を当てて(摂取と被害の)関連性を判定していたことが、必ずしも実態を正確に把握するものではないことを認識した」と説明した。
  理由として「入院や死亡の原因が腎疾患でなくても、高齢者や基礎疾患のある患者で摂取の間接的な影響があった可能性もある」とした。報告対象を独断で腎疾患の患者に絞っていたことについての言及はしていない
  同社は1月中旬に医師から最初の被害情報が寄せられて2カ月以上にわたり、国など行政に報告していなかった健康にかかわる情報を一刻も早く公表する必要性をいまだに理解していない疑いが濃厚となったことで、信頼回復はさらに遠のいたといえる
(牛島要平)


2024.05.21-産経新聞(KYODO)-https://www.sankei.com/article/20240521-NQGLWSMNQJOGXJTHWIFQB2ECL4/
英最大の薬害で政府が補償へ エイズや肝炎、3千人死亡

  英国で1970~90年代に、汚染された血液製剤や輸血により約3万人がエイズウイルス(HIV)やC型肝炎に感染し、約3千人が死亡した英史上最大規模の薬害があり、調査委員会は20日、政府の責任を認める最終報告書を公表した。英メディアによると、政府は総額約100億ポンド(約1兆9800億円)規模の補償案を発表する見通し。

  スナク首相は謝罪を表明し、包括的な補償を約束した。血液製剤の危険性や輸血による肝炎発症のリスクは当時から指摘されており、調査委は「病院や政府が患者の安全を最優先にしなかった」と指摘。「被害の大部分は避けることができた」と断じた。
  同様の薬害はフランスや日本でも社会問題となったが英国では調査や補償の動きが遅れた。2017年に当時のメイ政権が調査開始を表明。当事者への聞き取りを進めたが、証拠隠滅などによって難航した。(共同)


2024.05.13-産経新聞-https://www.sankei.com/article/20240513-JYNTLTEKFBMJDB5KWW2Q5TFWX4/
芸能ニュースからサポート詐欺ひっかかり… 患者情報2003人分漏洩の疑い 近大病院医師、私物パソコンに無断保存

  近畿大学病院(大阪府大阪狭山市)13日、産婦人科を受診した患者2003人分の氏名や診察情報などの個人情報が漏洩(ろうえい)した可能性があると発表した。非常勤医師だった40代男性が無断で私物パソコンに保存し、ウイルス感染を装う「サポート詐欺」の被害に遭ったという。

  同病院によると、男性医師が今年2月末、大阪府内の別のクリニックで当直勤務中、私物のパソコンで芸能ニュースを閲覧していたところ「ウイルス感染」を示す警告メッセージが表示された指示に従って操作しているうちにパソコンが遠隔操作され、ウイルス除去の名目でプリペイドカードを購入させられるサポート詐欺の被害を受けた。この間、パソコン内のデータは、詐欺犯側が入手可能な状態だった。現時点では個人情報の悪用は確認されていない、としている。
  男性医師は患者情報の一部を利用する研究の承認を大学側から受けていたが、氏名などの持ち出しは許可されていなかった同病院は男性医師が内規に違反して情報を持ち出し、保存方法が不適切だったとして、3月末で非常勤の契約を打ち切った
  この問題について、近大は患者側からの相談を受け付けるコールセンター(0120・700150、午前10時~午後7時)を開設、来月12日まで毎日対応する。


2024.05.10-産経新聞-https://www.sankei.com/article/20240510-YDZOTEGJJFPN7J2B4JEAC43NGY/
「紅麹」問題で傷ついたブランド 小林製薬の新戦略「ヘルスケアで成長路線」があだに
(牛島要平)(桑島浩任)

  「紅麹(べにこうじ)」成分のサプリメントを摂取した人の健康被害問題を巡り、特別損失38億円を計上した小林製薬。紅麹事業に乗り出した背景には、低迷する日用品分野から、利益率の高いヘルスケア分野に軸足を移す成長戦略があった。健康被害と紅麹の関係はまだ解明されていないが、経験の浅い事業により、ブランドは大きく傷ついた。安全管理が十分だったかが問われる中、信頼回復までの道のりは遠い。「ユニークな案件は調査せず、スピード重視で開発に取り組んできた」

  同社が1年間に創出した新製品のテーマ数は、令和2年を100としたときに5年に113まで増えたという。小林章浩社長は紅麹問題が発覚する前の今年2月、経営状況を説明する会見で、こう誇らしそうに述べた。
  隠れたニーズをいち早くとらえた商品開発力は同社の強みだった。芳香剤「ブルーレットおくだけ」発熱時の冷却シート「熱さまシート」など、コマーシャルでおなじみの商品は多い。
  ただ、スピード重視の経営路線は近年、曲がり角を迎えていた。5年12月期連結決算では、売上高に対する営業利益率が14・9%で、平成29年12月期(14・6%)以来の低い水準だった。国内事業で37%を占める「日用品」分野の売上高は前期比0・3%減の490億円。日用品は新型コロナウイルス禍で買い控えが進んでいた
  一方、経営を牽引(けんいん)するようになっていたのが、国内事業比率の51%を占めるようになった医薬品やスキンケア、食品などの「ヘルスケア」分野で、7・6%増の670億円だった。利益率も高かった

  近年、同社はヘルスケア分野を伸ばす方針を進めていた。平成28年に下着大手のグンゼから譲渡を受けた紅麹事業にも期待をかけた。令和3年2月には、今回の自主回収対象となった機能性表示食品の「紅麹コレステヘルプ」を発売した。
  そこに落とし穴があった。小林製薬は社名に「製薬」を冠するものの医師の処方箋が必要な医療用医薬品は扱わず、薬局で買える一般用医薬品を展開。口から体に入る薬や食品の経験が十分だったとはいいがたい。大阪の製薬企業幹部も「正直、同業だと意識したことはない」と話す。
  紅麹菌を扱った経験もなかった。小林社長らは問題発覚後の今年3月の記者会見で「グンゼから技術をしっかり手順書として引き継いだ。技術者にも一緒に入社してもらい、(安全面は)大丈夫と認識していた」と説明した。しかし、国立医薬品食品衛生研究所の合田幸広名誉所長「生き物である菌類を扱うには長い経験が必要で、工場や生産システムごと引き継がないといけない。食品事業を理解していないと言わざるを得ない」と指摘する。
  紅麹原料をつくっていた大阪工場(大阪市、昨年12月に閉鎖)では、床に落ちた原料の一部を出荷するなどずさんな工程管理も判明している。ブランド再建には安全管理についての徹底検証が急務となっている。(牛島要平)

真壁昭夫・多摩大特別招聘教授「2つの責任、果たしていない」
  経営戦略として有望な事業分野に進出する企業は多い。ただ、サプリメントのような食品は日用品とはまったく別の分野。小林製薬にノウハウがなかったとすれば、十分な準備が必要だった。因果関係はまだ不明だが、健康被害を巡る一連の経緯をみていると、準備不足だった可能性が高い
  企業が製品を供給する以上、安全な製品をつくる「製造者責任」と、安全性について消費者への「説明責任」がある。小林製薬はこの2つの責任を十分果たしているようにはみえない。
  結果として、企業としてもっとも重要な社会の信頼を失い、ブランドはかなり厳しい状況に追い込まれている。経営陣に責任を果たさせるコーポレートガバナンス(企業統治)の機能を見直さなければ、再生は難しい。 
  一方、消費者は「この製品は信用できるか」という意識を持って自分の身を守ることが必要だ。サプリの成分などは公開されているので、情報を積極的に取る姿勢を持ってほしいし、疑問点があれば消費者庁などに問い合わせてほしい
(聞き手 牛島要平)

機能性表示食品市場も縮小傾向に
  健康志向の高まりによって年々売り上げを伸ばしていた機能性表示食品の市場にも、紅麹配合サプリメントの健康被害問題によって逆風が吹いている。メーカー各社は「紅麹と無関係の商品も避けられている」と肩を落とす。
  調査会社インテージ(東京・千代田区)が全国のドラッグストアやスーパーなど約6千店を対象に集計したデータによると、機能性表示食品の販売額は平成29年の156億円から令和5年には3倍以上の491億円に拡大。今年も3月までは1週間ごとの集計でおおむね前年同期比10~20%増と好調に推移していた。
  潮目が変わったのは3月22日、小林製薬が紅麹配合サプリメントの健康被害を公表してからだ。直前の週間販売額は10・3億円(前年同期比16・8%増)だったが、25~31日は8・7億円(同7・7%減)と減少に転じている。健康被害が相次いで報告された後の4月8日の週には8・3億円(同17・1%減)となるなど、消費者の不安が反映された結果となった。
  機能性表示食品全体のイメージ悪化に各社は頭を悩ませている。主にアミノ酸関連の機能性表示食品を展開する味の素の担当者は「当社に紅麹を使用する商品はないが、関係ない商品も大きく影響を受けている」と話す。同社は独自の品質保証システムによって医薬品に近い基準で商品を製造しているが、消費者には企業ごとの管理体制の違いを把握するのは難しく、一様に避けられてしまっているのが現状だ。
  アサヒグループホールディングスも店頭販売、通販ともに影響を受けている。担当者は「ホームページへの情報掲載や商品に同梱する手紙などで安全性を伝えていきたい」としている。(桑島浩任)


2024.05.08-産経新聞-https://www.sankei.com/article/20240508-4U6T3FLWNVKBRI3DCAOSQKVKIE/
薬処方ミスで障害賠償命令 約2億円、北海道・八雲町の病院 失語症など発症

  北海道八雲町が運営する八雲総合病院が薬の処方を誤ったため血栓症を発症し重度の障害を負ったとして、北海道南部の女性(59)と夫が町に約2億8千万円の損害賠償を求めた訴訟の判決で、函館地裁は8日、町に約1億9400万円の支払いを命じた

  町側は処方と発症の因果関係を争っていた。判決理由で五十嵐浩介裁判長は、約6年8カ月間で計34回の処方のうち、最後の処方が発症につながったと判断。また加齢で血栓症のリスクが上昇したのに、検査や経過観察を怠る注意義務違反があったと認定した。
  判決によると、病院は過多月経などを訴えて受診した女性に対し2007年3月~13年11月、経口避妊薬を処方した。14年1月から意識障害が進行して血栓症と診断され、同6月、右半身のまひや失語症のため1級の身体障害者手帳の交付を受けた
  八雲総合病院の竹内伸大事務長は「弁護士と協議して対応を決めたい」とコメントした。


2024.04.26-産経新聞-https://www.sankei.com/article/20240426-YJ6LVNT5F5L63IPPRGHO4JL47I/
小林製薬の紅麹サプリ 健康被害者の約半数に基礎疾患 大阪市の調査

  小林製薬(大阪市)が製造・販売した「紅麹(べにこうじ)」成分入りサプリメントによる健康被害問題で、大阪市は26日、第2回対策本部会議を開き、健康被害事例の解析結果や製品の回収状況を報告した。

  4月12日までに調査が完了した健康被害から約300例を抽出し、解析した結果、健康被害を訴えた人の約半数に高血圧症や脂質異常症といった基礎疾患があった。症状は、医療機関で受診したものの入院が必要ない「軽度」が約7割。ほとんどは指定された量を摂取していたという。
  また、健康被害を訴えた人が残していた製品を大阪健康安全基盤研究所が検査したところ、青カビから発生する天然化合物「プベルル酸」とみられるピーク(波形)を検出。一方、健康被害の報告がない製品では確認されなかった。
  25日時点で販売数量(約103万個)のうち約8万6千個が回収されたことも報告された。
  市は原因物質の特定に向け、国と連携して製品などの検査を実施する。本部長の横山英幸市長は「製品を可能な限り回収しつつ、厚生労働省と役割分担をしながら原因究明にあたるよう尽力してほしい」と指示した。
  会議には、横山氏のほか市の幹部や大阪健康安全基盤研究所の研究員ら計11人が出席した。


2024.04.21-産経新聞-https://www.sankei.com/article/20240421-NA7R6VYN5VMG5ERNUPHK777TRA/
小林製薬 紅麹サプリ自主回収から1カ月 被害深刻も謎多い原因
(牛島要平、桑島浩任)

  小林製薬が「紅麹(べにこうじ)」成分を含む機能性表示食品のサプリメント「紅麹コレステヘルプ」など3製品の自主回収を発表して22日で1カ月がたった。サプリ摂取後の腎疾患などの健康被害は死者5人に上るなど、社会に大きな不安を与えている原因を巡っては国の研究機関を中心に究明が進むが、まだ謎が多い同社は対応の遅れを批判され、機能性表示食品の制度見直しの議論が始まるなど、波紋は広がり続けている

因究明続く
  厚生労働省によると、同社から報告のあった健康被害は18日現在で死者5人入院(すでに退院した事例を含む)240人、医療機関を受診した人は1434人に上る。紅麹サプリ摂取との因果関係は不明なままだ。
  国立医薬品食品衛生研究所で紅麹原料のサンプルを分析した結果、会社側が報告していた青カビから発生する天然化合物「プベルル酸」以外に、通常のサプリには含まれない複数の化合物を新たに検出。ただプベルル酸が人体に影響を与えるかどうかも含めて未解明の部分が多い
ずさんな品質管理
  紅麹原料は同社の大阪工場(大阪市、昨年12月に閉鎖)でつくられていた。厚労省と同市は今年3月30日、食品衛生法に基づき同工場を立ち入り検査した。工場は製造・品質管理に関する指針「GMP(適正製造規範)」の認証を取得しておらず、誤って床に落下した原料を一部出荷するなど、ずさんな品質管理も判明している。
  紅麹原料は子会社や協力会社でサプリに製品化されていたほか、他のサプリ・食品メーカーなど52社、そこから173社の計225社(重複含む)に卸された小林製薬はこれらの企業にも製品の自主回収を求め、業界は混乱。厚労省によると、225社の製品で過去3年間、健康被害は報告されていない

制度見直しへ
  一方、小林製薬は最初に医師から症例報告があった1月15日から、自主回収まで2カ月以上かかった同社のコーポレートガバナンス(企業統治)だけでなく、行政への健康被害の報告義務があいまいな機能性表示食品制度のあり方を問い直す動きにもつながった
  消費者庁は今月19日、機能性表示食品制度のあり方を巡る専門家検討会で議論を開始5月末をめどに方向性を取りまとめる。食品安全に詳しい科学ジャーナリストの松永和紀さんは機能性表示食品制度は、事業者が安全性を評価し提供する情報を基に、消費者が摂取するかどうかを判断する仕組みの根幹から問題がある。機能性(効果)のエビデンス(科学的根拠)も弱いものがたくさんある。(制度を)廃止するのか、ガイドラインをより厳しくして第三者の目を入れるのかを考えるべきだと指摘する。
(牛島要平、桑島浩任)


2024.04.19-産経新聞-https://www.sankei.com/article/20240419-HTEA2MUE7VKALLWSHLL7JSAR6E/
女性特有の悩み、対話で分かりあう 都内でトークイベント「カバーしあって」:フェムケアプロジェクト

  国際女性デーを記念して、産経新聞社のフェムケアプロジェクトが主催するイベントが3月31日、東京都内で開かれた。「知るって、やさしい一歩!」をテーマに、女性の健康や周囲の人との対話から生まれる相互理解について、多彩なゲストが語り合ったイベントは3部構成で行われ、第1部はフジテレビアナウンサーの梅津弥英子さんと産婦人科医の高尾美穂さんが対談した

  2児の母親である梅津さんは朝の情報番組「とくダネ!」を担当した際、子供の入学式のために番組を休むことをためらっていたところ、先輩の男性アナウンサーが休暇取得を後押ししてくれたエピソードを披露
  高尾さんは「人口が減少していく時代には、女性を含め、働く人が多様になり、さまざまな事情で仕事を休むことが想定される。お互いにカバーし合えることが大切」と語り、職場でのコミュニケーションのあり方を巡って意見を交わした。
  第2部は食品大手の明治の協賛で、アイドルグループAKB48の元メンバーでタレント・実業家の川崎希さんと、川崎さんの夫でモデルのアレクサンダーさんが登壇。産婦人科医の吉形玲美さんとともに、女性特有の健康課題について話し合った。
  「月経痛で体調が悪いときには『横になりたいから子供の面倒を見てほしい』と夫にストレートに伝えるようにしている」と語る川崎さんに、アレクサンダーさんは「妻の月経が始まる2、3日前には痛み止めを用意するようにしている」と応じ、理解を示した。
  吉形さんは月経が起きるメカニズムなどを解説し「月経痛だけでなく、月経前症候群も含め、月の半分以上が不調だという女性もいる。そういうことを周囲の人が知っておいてくれることが、当事者の安心につながる」と語り掛けた。
  イベントを締めくくる第3部では、文化放送の人気番組「カラフルブーケ」の公開収録が行われた。
  パーソナリティーの福井セリナさんと、ゲストでタレントの鈴木奈々さんがセルフケアなどを話題に、トークを繰り広げた。


2024.04.19-産経新聞-https://www.sankei.com/article/20240419-4FRNZK3T4VKMTC247NU6ORAWEI/
「想像よりつらい」生理痛の疑似体験会 アサヒグループ、社長ら顔ゆがめる

  女性の月経(生理)に対する理解を深めてもらおうと、東京都墨田区のアサヒグループホールディングス(HD)本社で、グループ全体の社内に向けた生理痛の疑似体験会が開かれた。男性役員や社員ら約100人が参加し、下腹部に電気的な刺激を与える専用の装置を使って特有の痛みを経験した。

  生理前に感じる心身の不調を和らげる機能性表示食品などを扱う「アサヒグループ食品」の社員が発案。体験した同社の川原浩社長は、痛みの波に何度も前かがみになりながら、「想像よりはるかにつらい。経験したことのないしつこい痛みで、立っていられない」と顔をゆがめていた。
  生理痛の痛みは、大阪大学発のベンチャー企業「大阪ヒートクール」(大阪府箕面市)が展開する疑似体験装置「ピリオノイド」を使って再現した。筋電気刺激(EMS)を発するパッドを下腹部に装着すると、1秒おきに3秒間ほど、下腹部が収縮するような痛みの波が体験できる。痛みの強度は3段階あり、ランダムに味わうことも可能だ。
  川原社長「生理の痛みや悩みを女性が周囲に打ち明けられない環境は、絶対にあってはならないと痛感した。男性も女性も互いを尊重し、理解し合える社会の仕組みを作っていかなければ」と力を込めた。
  体験会は、グループ全体が令和3年から取り組む「DE&I(多様性・公平性・包括性)」推進活動の一環として開かれた。アサヒグループHDでは「生理痛は、感じ方にも表現の仕方にも個人差があり、女性同士でも分かりにくい。今後も男女それぞれの健康課題に着目したイベントを通じて互いの理解を深めていきたい」としている。


2024.04.09-産経新聞-https://www.sankei.com/article/20240409-2CGNG3PTTROS7LL5ZAZAODLUMQ/
紅麹の自主回収商品が山積みで中小企業は「死活問題」 巨額補償費は小林製薬の経営に打撃
(牛島要平、清水更沙、田村慶子)

  小林製薬が製造・販売した「紅麹(べにこうじ)」成分のサプリメントを摂取した人に健康被害が広がっている問題で、同社の原料を使った紅麹商品を扱う企業も、自主回収を要請されている。特に中小企業にとって影響は深刻で、経営者は困惑を隠せない。小林製薬が支払う補償費は巨額に上る見込みで、経営への打撃も必至だ

  「こっちは死活問題なんです」・・・岡山県備前市でみそを製造・販売する「馬場商店」の馬場敏彰社長は怒りをあらわにした。倉庫には自主回収や出荷停止をした製品が千個以上、山積みされている。
  人気商品「紅糀(こうじ)みそ」をはじめ、小林製薬の紅麹原料を使った商品は約10種類。顧客からの問い合わせの電話が鳴りやまず、日によっては千件近くに上る。紅麹自体への風評被害も出ており、紅麹商品の製造は断念せざるを得ない状況だ。
  紅麹商品は全年間売上高の約2割の約2千万円を占める。馬場氏は「これだけ紅麹が悪者になってしまった以上、つくり続けるのは無理だ。地道につくってきたのに、一瞬で(成果が)なくなった」と肩を落とした。
  一方、沖縄県浦添市の食品会社「海洋食品」は、紅麹で製造する沖縄の伝統食「豆腐よう」を回収。今後は紅麹を使わない豆腐ようを開発する方針だが、担当者は「悪いイメージがついていないといいが」と不安をのぞかせる。
  別の食品会社は紅麹原料を着色料として使った商品を回収。担当者は「回収や問い合わせ対応にかかった費用などの補償は(小林製薬との)今後の話し合い」と話す。
  小林製薬は大阪工場(大阪市、昨年12月で閉鎖)で紅麹原料を昨年1年間で18・5トン製造。このうちサプリ用に6・9トン、食品用に9・2トンをメーカーなど52社に直接卸していた。間接的に仕入れていた企業は173社に上る。さらに、これらの企業から商品を調達していた企業にも影響は及んでいる。
  小林製薬の小林章浩社長は3月29日の記者会見で「基本的には商品の回収にかかった費用や廃棄する費用を補償する。回収費として当初18億円を見込んでいたが、それ以上の費用がかかると想定している」と話した。
  自主回収だけでなく、健康被害を受けた消費者の治療費への補償も発生する見込み。同社が2月に発表した令和6年12月期連結決算の業績予想は最終利益205億円(前期比0・8%増)だが、補償費が大きな負担となって業績を圧迫する懸念が強まっている
(牛島要平、清水更沙、田村慶子)



2024.03.30-産経新聞-https://www.sankei.com/article/20240330-5CLW4BD34VLSDFOVDQQULHUWFE/
小林製薬「回答控える」繰り返す 4時間半の検査後 30人以上の報道陣も門扉閉ざされ
(吉田智香、桑島浩任)

  小林製薬の紅麹(べにこうじ)成分が入ったサプリメントを巡る健康被害問題は30日、厚生労働省と大阪市が食品衛生法に基づき、同社大阪工場(同市淀川区)への立ち入り検査を実施し、新たな局面に入った。市は当初、原料を製造していた同工場の閉鎖を理由に立ち入りに慎重な姿勢だったが、サプリ摂取者の死亡が相次ぎ判明。早期の原因究明のため国に協力する形になった。

  30日午前10時50分ごろ、車両2台に分乗した大阪市の担当者5人が大阪工場に到着。直後にスーツ姿の厚生労働省の担当者十人余りが無言で工場敷地内に入った。 工場前には30人以上の報道陣が集まったが、門扉は固く閉ざされ、内部の様子は確認できなかった
  小林製薬の山下健司・執行役員(製造本部長)は約4時間半に及んだ検査の後、報道陣の取材に応じ「(検査に)全面的に協力し、誠実に対応を進めていきたい。このたびは多大なるご迷惑、ご不安をおかけし、申し訳ございません」と陳謝した。一方、検査の詳細や今後の予定については「回答を控える」と繰り返した。
  同社のサプリ3商品の回収を命じた27日、市の担当者は「工場に立ち入っても衛生状況を確認できるわけではない。(稼働していれば)即座に立ち入りをしていた」と述べていた。
  29日にはサプリ摂取との関連が疑われる5人目の死者が確認され、武見敬三厚労相は立ち入り検査の方針を表明した。原因究明に向けた国の強い姿勢を示す狙いがあったとみられ、市幹部は「国が主導している」と漏らす
  市は紅麹原料の卸先がある30以上の自治体に調査を依頼しており、報告を受けて流通経路などを確認する方針だ。(吉田智香、桑島浩任)


2024.03.29-産経新聞-https://www.sankei.com/article/20240329-W66KIUQPAJMC5API2THF7PQEMY/
「未知の成分」はプベルル酸か 健康被害原因の可能性 小林製薬の紅麹サプリ

  小林製薬(大阪市)の「紅麹(べにこうじ)」成分入りの機能性表示食品サプリメントを巡り摂取者の健康被害が相次いでいる問題で、同社は29日の記者会見で、原料などから確認された原因物質の可能性がある「未知の成分」について、プベルル酸とみられると明らかにした。プベルル酸は、青カビから生成される天然化合物。

  同社はすでに厚生労働省に報告しており、29日の会見で「われわれが分析し、解析したものとの合致性が高いということで報告した」と説明。昨年12月に閉鎖した大阪工場で生成または混入された可能性があり、経緯を調査しているという。


2024.03.28-YahooJapan!ニュース(YTV)-https://news.yahoo.co.jp/articles/895fa6665b80dacc9f2f197e12a6f0e8c1a75d3a
【速報】小林製薬「紅麹」健康被害 新たに2人が腎疾患で死亡 死亡者はあわせて4人に 会社が発表

  小林製薬の「紅麹」を含むサプリを摂取した人が腎臓の病気を発症した問題で、サプリを使用していた人が新たに2人、腎疾患で死亡していたことがわかりました
   小林製薬の「紅麹」を使ったサプリメントをめぐっては、摂取した人が腎臓の病気を発症するなど影響が広がっています。  

  これまでに「紅麹コレステヘルプ」を摂取していた2人が腎臓の疾患を発症し、死亡していたことがわかっていましたが、小林製薬は28日、サプリを摂取した2人が腎臓の疾患を発症し、死亡していたと発表していました。  
  これで一連の問題で死亡した人は4人になりました。小林製薬では、詳しい因果関係などについて確認を進めています。  
  小林製薬は「製品をお持ちの場合は使用を中止していただき、体調不良を感じられる方はお客様センターへ相談してほしい」としています。
■小林製薬の自主回収関する問い合わせ
<小林製薬の通信販売を通じて購入>
  ■対象製品:紅麹コレステヘルプ 15日分・30日分 ・・・
  ■問い合わせ先:小林製薬通信販売 紅麹健康相談受付センター  電話番号:0120‐58‐5090  受付時間:午前9時~午後5時(土日・祝日は除く) ※4月末までは土日・祝日も対応 <ドラッグストアなどの店舗やECサイトにて購入>
  ■対象製品:紅麹コレステヘルプ 20日分、ナイシヘルプ+コレステロール、ナットウキナーゼさらさら粒GOLD ・・・
  ■問い合わせ先:小林製薬 紅麹健康相談受付センター  
  
電話番号:3月22日~26日 0120‐5884‐12  3月27日以降  0120‐880‐220  受付時間:9時~17時(土日・祝日は除く) ※4月末までは土日・祝日も対 応


2024.03.27-産経新聞-https://www.sankei.com/article/20240327-3MT3NWCG55BLDFCVN6TLK64X4Q/
「ちゅ~る」は関係ありません 小林製薬「紅麹」健康被害でいなばペットフードが公表

  ペット用おやつ「ちゅ~る」シリーズを販売する「いなばペットフード」(静岡市清水区)は26日、小林製薬が製造した「紅麹(こうじ)」成分が入ったサプリメントを摂取した人に健康被害が確認された問題を受けて、「(「ちゅ~る」シリーズなど)使用の紅麹色素については、小林製薬が供給している関連原料と一切の関係はない」と公式サイトで明らかにした。

  「ちゅ~る」はまぐろやかつお、ささみをペースト状にしてスティック袋に入れた猫用、犬用のおやつ。原材料に「紅麹色素」を使用していると表示されており、X(旧ツイッター)上で飼い主らから不安の声が上がっていた。
  一連の健康被害問題では、小林製薬の紅麹原料でつくった製品の自主回収に踏み切った企業が相次いでいる


2024.03.27-産経新聞-https://www.sankei.com/article/20240327-EG7RSTNXWZNGZCMDUFUC3QG5DE/
発酵食品に使われてきた紅麹、伝統的製法に〝死角〟か 小林製薬のサプリ健康被害
(牛島要平)

  「紅麹(こうじ)」を使った小林製薬のサプリメントをめぐり、健康被害が相次いで報告されている。古くから発酵食品などに利用されてきた紅麹は、健康への有効性が近年確認され、サプリや加工食品への活用が進んできた同社は伝統的な製法で紅麹菌を培養し、ほかの製法よりも「安全性が高い」と確認していた

  麹はコメや麦、大豆などの発酵に用いられ、みそ、しょうゆなどの発酵食品に利用されてきた。紅麹はコメを紅麹菌で発酵させた赤色の麹で、中国・台湾などで酒の醸造や薬膳の材料として用いられている。日本でも、沖縄の「豆腐よう」の製造に欠かせない
  近年の研究で、紅麹の成分に血液中の悪玉コレステロールを下げる作用が確認され、サプリ原料として利用が広まった食品の着色や風味付けにも幅広く使われている。 ただ、一部の紅麹菌はカビ毒の「シトリニン」をつくる。欧州連合(EU)欧州委員会では紅麹由来のサプリメントでシトリニンの基準値を設定し、スイスでは紅麹を成分とする食品や薬品の売買は違法とされている。
  小林製薬は平成28年にグンゼから紅麹事業の譲渡とともに譲り受けた紅麹菌株を使い、大阪工場(大阪市)でコメに紅麹菌を植え付けて培養する伝統的な「固体培養法」を採用。紅麹を粉末状にして出荷していた液体の中で麹菌を繁殖させる「液体培養法」のような成分の濃縮が起こらないため安全としてきた
  小林製薬は「シトリニンをつくらないことが確認できた菌株を選定した」としており、健康被害の報告を受けた原料検査でもシトリニンは検出されなかった。ただ、一部で「未知の成分」が含まれていた。「細かな構造が把握できないが、カビから生成されるものと似ている」という。
  企業向けに出荷した原料のうちサプリメント用からはこの未知の成分を検出したが、食品用には別の種類の原料を出荷しており、この成分が含まれないことを確認した。紅麹の製造で「死角」があったのか、一刻も早い解明が待たれる(牛島要平)


2024.03.27-産経新聞-https://www.sankei.com/article/20240327-3YT7MI3L2ZOQDDDNEOGPFUSFLU/
「紅麹」サプリ摂取で2人目の死亡事例報告 厚生労働省、大阪市に廃棄命令措置など通知

  小林製薬が販売した「紅麹」成分が入ったサプリメントを摂取した人に健康被害が確認された問題で、厚生労働省は26日、同社にヒアリングした結果、2人目の死亡事例が報告されたと明らかにした。

  厚労省は大阪市に対し、食品衛生法に基づく製品の廃棄命令などの措置を取るよう通知した。


2024.03.24-産経新聞-https://www.sankei.com/article/20240324-RL4GHSWHMNO27PHUSOMAVRBLRU/
紅麹、約50社に供給 飲料や食品自主回収相次ぐ 小林製薬、他社製品に波及

  小林製薬は24日、健康被害の恐れがある米麹(こうじ)の一種「紅麹」について、飲料や食品メーカーなど約50社に供給していたと明らかにした。日本酒や菓子への使用を想定し、食品原料を扱う商社を通じて平成28年から販売していた。小林製薬が22日に紅麹を使ったサプリメントの自主回収を決めたことを受け、メーカー各社でも回収の発表が相次いだ

  小林製薬は、紅麹のサプリを摂取した40~70代の男女13人から腎疾患などの報告が出ているとして、約30万袋を自主回収する。ただ、同社の生産量全体のうち自社で使用していたのは2割程度で、残りの8割は飲料や食品メーカーに供給していたという。品質問題が供給先の他社製品にも波及した格好だ。


2024.03.22-産経新聞-https://www.sankei.com/article/20240322-ENNGGYC42BLEXOLYR3TQBNSG5E/
小林製薬サプリ、問題の「未知の成分」はカビの一種か 構造分析急ぐ

  小林製薬(大阪市)が販売した「紅こうじ」成分配合のサプリメントを摂取した人から、腎疾患などの健康被害が相次いで報告された問題で、同社の調査で判明した原因物質の可能性がある「未知の成分」について、同社は会見で「カビ類から生成される成分に似ている」と言及した。一方で「特定はできていない」と強調。他の可能性も含めて調査を継続するとしている。

  同社によると、問題のサプリは「紅麹(べにこうじ)コレステヘルプ」。自主回収の対象となったサプリに使われたすべての紅こうじ原料などのデータを調べたところ、通常の製造工程では含まれることのない「未知の成分」の存在を示す分析結果が出た
  同社は会見で、この成分の構造を分析しているとしつつ、「カビ類から生成される成分と似ている」と述べた。
  紅こうじ関連食品の健康被害を巡っては、紅こうじ菌株が生産するカビ毒として「シトリニン」の存在が知られているが、サプリからシトリニンは検出されなかった


2024.03.21-産経新聞-https://www.sankei.com/article/20240321-IKATP5WWCVLJNMIHQCAO4LATQY/
同じ医師のがん治療手術で男女3人死亡 出血性ショック 岐阜の病院が医療事故と公表

  東海中央病院(岐阜県各務原市)は21日までに、同じ外科医によるがんの手術中、大量出血などで患者が死亡した3件の事案を医療事故と確認したと明らかにした。「高難度に分類される手術の実施は慎重に判断することが求められる」などとする再発防止策を公表し、国の医療事故調査制度に基づき、第三者機関「医療事故調査・支援センター」に報告した

  病院によると、手術は平成28年2月、30年8月、令和4年2月に行われた。いずれも同じ男性外科医によるがん治療の手術で、男女3人が出血性ショックで亡くなった。外科医は昨年6月に退職した。
  平成30年を除く2件は当初、院内の検討会で医療事故に当たらないと判断したが、県の指導を受け、第三者を交えて昨年から調査を実施した。
  松井春雄院長は「再発防止に職員一丸となって取り組む」とのコメントを出した。


2024.03.12-産経新聞-https://www.sankei.com/article/20240313-6CZQFSGFUNL55CNR7GZXDETUKE/
糖尿病歴見落とし、カテーテルで多数死亡…問題相次ぐ神戸徳洲会に神戸市が異例の改善命令
(吉国在、喜田あゆみ)

  神戸市垂水区の神戸徳洲会病院で、糖尿病患者が適切な治療を受けられないまま死亡するなど、医療事故が疑われる事例が次々と明らかになっている。神戸市は今年2月、安全管理体制の是正を求め、病院を運営する医療法人「徳洲会」(大阪市、東上震一理事長)に対し、医療法人には異例となる医療法上の改善命令を出した。市は昨年8月にも、カテーテル治療による患者の死亡が多発した問題を受け、病院を行政指導している。なぜ同じ病院で、こうした不可解な患者の死亡例が相次ぐのか。

カテーテル治療の問題を内部告発
  一連の問題の端緒となったのは、昨年6月と7月、神戸市保健所宛てに届いた2通の告発書だ。告発書は、主に昨年1月以降、同病院でカテーテル治療を受けた男女13人について、6人が死亡し、7人の症状が悪化したと指摘。13人のうち12人に循環器内科の男性医師が関わり、中には処置のわずか数時間後に息を引き取った事例があると記載されていた。
  市は、告発書の内容が専門的かつ詳細である点を踏まえ、調査が必要と判断。同7月、同病院に対し医療法に基づき3度にわたる立ち入り検査を実施した。この結果、安全管理体制に複数の不備があるとして翌8月、市は文書による行政指導を行った。病院は10月に是正計画書を提出している。
  市が最も問題視するのは、この行政指導の約1カ月後に起きた糖尿病患者の死亡例だ。
カルテ見落とし、遺族に虚偽説明
  市は翌11月6日、改善状況を確認するため立ち入り検査を行った。その際に市の担当者が偶然発見したのが、同患者の死亡例が記載された「インシデント・アクシデントレポート」だった。市によると、この70代男性患者は、別の医療機関で新型コロナウイルスの治療後、神戸徳洲会病院に再入院。この際、主治医である院長が電子カルテに記載された持病を見落として、適切にインスリンの投与などが行われず同9月に死亡していた。
  院長は、6日の立ち入り検査で市に対し「対応を終了し、問題のない事例だ」と回答した。ところが、実際は、病院側は当初、遺族に死因は肺炎とのみ説明。同院で通院時から継続していた糖尿病の治療を中断していた事実は伝えていなかった
  院長は、再度の立ち入り検査があった15日までに遺族へ連絡し、「血糖値コントロールがうまくいかず、死亡につながった可能性がある」とこれまでの説明を翻したという。また、院内の医療安全調査委員会で医療事故かどうか継続調査が必要と判断されたにもかかわらず、十分な検証を実施しないまま放置していた。
行政指導中にも立て続けに問題発生
  これだけにとどまらない。昨年10月、80代男性患者が気管支鏡検査の数時間後に死亡。院内から検証を求める意見が出たのに原因究明しない▽今年1月、90代男性が血圧を上昇させる薬剤の追加投与が間に合わずに死亡▽昨年9月と10月に死亡した2人の患者について主治医がカルテの記載を怠る-といずれも行政指導中に問題が立て続けに起きた
  市はこうした経緯を踏まえ、ガバナンスが機能していないと判断。2月20日、医療法人徳洲会に対し、医療法に基づく改善命令を出した。改善命令は、医療事故を防ぐための行政上の措置で、病院に改善措置計画書の提出を求め、従わない場合は業務停止を命じることができる。改善命令は全国的にも異例で、兵庫県内では初めてという。
  改善命令の骨子は、患者の安全を最優先する医療安全管理体制の実現のため必要な措置を抜本的に講じる▽医療事故などが起きた場合の対策を実施する▽カルテの未記載を防止する対策を講じる-など。
  市の担当者は20日の記者会見で、「行政指導中にもかかわらず同じことを繰り返している」と病院の安全管理体制を批判。糖尿病患者の死亡例について「隠そうとしたと捉えられても仕方がないのではないか」と厳しく指弾した。
「怠慢というより忙しすぎる」現場の実態解明が急務
  病院は2月以降、一時的に救急患者の受け入れを停止。今月5日には、医療法人徳洲会が改善命令に対する改善措置計画を提出した。病院の担当者は「市の指摘通り、職種間の連携不足や、カルテの未記載などのコンプライアンス上の問題がある。真摯(しんし)に受け止めて適切に対処していきたい」と釈明した。
  病院の調査に関わった市の幹部は、産経新聞の取材に対し、問題の背景について「医師一人一人が受け持っている患者がかなり多い。怠慢というよりは、全員が忙しすぎて、組織の力が機能していない」との見解を示している。
  患者の安全に詳しい名古屋大医学部の長尾能雅教授は「短期間に重大な問題が多発する事例に共通するのは、内部で問題視された事案に対し、上層部による適切な判断がなされていないことだ。対処が後手に回って、患者の安全を基軸にしたガバナンスが機能していないのではないか」と指摘する。
  その上で「今回のような事案が起きた場合は、抜本的な改革が必要だ。患者安全の専門家をリーダーとする外部の有識者らで構成する第三者のチームが客観的な目で調査しなければならない」とし、「現場や幹部へのヒアリングを行い、ガバナンスの実態を丁寧にひもといて問題点を浮き彫りにする必要がある」と話した。
(吉国在、喜田あゆみ)


2024.02.20-産経新聞-https://www.sankei.com/article/20240220-EWBI5SESH5IHHAM44WDM3KKH2A/
神戸徳洲会病院に業務改善命令 糖尿病患者の死亡など相次ぐ 「不適切な治療」と認定

  神戸徳洲会病院(神戸市垂水区)で昨年9月以降、糖尿病の入院患者が適切な治療を受けられずに死亡するなどした問題で、同市は20日、運営する医療法人徳洲会に医療法に基づく改善命令を出した。市によると、法人は事実を認め、「真摯(しんし)に改善に取り組む」と話しているという。

  同病院ではカテーテル治療後に複数の患者が死亡していたことが発覚し、市は昨年8月に病院を行政指導だが、その後も医療安全対策が改善されていなかったなどとして、行政処分に踏み切った。
  病院側は市に改善計画書を提出し、改善がみられなければ一部業務停止などの罰則の対象となる。同法による改善命令は兵庫県内では初めて。
  市などによると、昨年8月、糖尿病の70代の男性患者が新型コロナウイルスに感染し、同病院から別の大学病院に転院。その後、神戸徳洲会病院に再入院したが、インスリン投与などの処置が適切に行われず、同9月に死亡した。主治医は電子カルテに記載された持病を見落とした。
  病院は当初、遺族に対し死因を肺炎としていたが、市の立ち入り調査後には「血糖値のコントロールができなかったことが死因の可能性がある」と説明したという。
  今年1月には、市内の福祉施設から心肺停止状態で搬送された90代男性に、血圧を上昇させる薬剤を投与していたが、薬剤が切れた後に死亡。病院は追加分の薬剤を準備していなかった。ほかにも複数の患者の電子カルテで記載漏れが確認されるなどしている


2024.02.13-産経新聞-https://www.sankei.com/article/20240213-RADPMGIWDFPA7G26I6PMIU7WOE/
人に移植できるブタ3頭、国内初誕生 細胞や臓器、遺伝子改変で拒絶反応回避 明大発企業

  明治大発のベンチャー企業「ポル・メド・テック」は12日、細胞や臓器を人に移植できるように遺伝子を改変したブタ3頭が11日に生まれたと発表した。人への移植を目的に開発されたブタの日本での誕生は初めてという。当面は動物実験で安全性を確認する。

  同社は昨年9月、移植用ブタの開発で先行する米バイオ企業から、人の体内で拒絶反応が起きないように10種類の遺伝子を改変した細胞を輸入。翌月に遺伝的に同じ個体を作り出す体細胞クローニング技術で受精卵を作製し、代理母となるブタの子宮に移植した。
  クローンブタ3頭は帝王切開手術で生まれた。成長の推移を確認後、国内の研究機関に提供し、サルなど他の種類の動物に臓器を移植する研究に使う予定。
  同社創業者の長嶋比呂志明大専任教授(発生工学)は「人への移植に向けた課題を考える契機にしたい」。動物の細胞や臓器の人への移植は「異種移植」と呼ばれ、臓器提供者不足の解決策として期待
される。







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