露-ロシア問題



2019.8.22-産経新聞 THE SANKEI NEWS-https://www.sankei.com/world/news/190822/wor1908220013-n1.html
露、中距離ミサイル再開発 米の欧州配備警戒、対抗も

米国が今月2日に失効した中距離核戦力(INF)全廃条約が禁じていたミサイルの発射実験を行ったことを受け、ロシアのプーチン大統領は21日、ロシアも「同様のミサイルの開発を再開する」と表明した。米国による同ミサイルの欧州配備を警戒しているとし、そうなれば「相応の対抗措置を取る」と警告した。ヘルシンキでフィンランドのニーニスト大統領と行った共同記者会見で表明した。
 プーチン氏は、米国がルーマニアやポーランドに設置するミサイル防衛(MD)システムから、プログラムを変更するだけで発射できると主張した。
 プーチン氏は一方で、中距離ミサイルに関し、ロシアは再開発するが「米国が地球上のどこかの地域に配備しない限り、配備に踏み切らない」と強調。米国に配備を控えるよう改めて呼び掛けた。(モスクワ 共同)


2019.8.14-YAHOO!!NEWS-読売新聞-https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20190814-00050227-yom-int
ロシア反政権デモ「宣伝するな」グーグルに警告

【モスクワ=工藤武人】ロシアのプーチン政権が、9月のモスクワ市議選を巡る市選管の不正疑惑に端を発した反政権デモの拡大に神経質になっている。11日には露通信監督局が、米情報技術(IT)大手グーグルに対し、傘下の動画投稿サイト「ユーチューブ」が無許可デモの宣伝を許可しているとして抗議した。

 露通信監督局は、動画配信を利用者に伝えるユーチューブの「プッシュ通知」機能が、デモ開催を周知する役割を果たしているとして問題視し、グーグルが対応しなければ「内政干渉や、ロシアの民主的な選挙を阻害する行為とみなす」などと書面で警告した。ロシアでは若い世代を中心にユーチューブが主要な情報源として浸透している.
 露外務省も9日、在モスクワ米大使館がサイトに掲載したデモ開催に関する「警戒情報」が「デモ参加の呼びかけ」にあたるとして、米大使館に抗議した。
 7月中旬から毎週続くモスクワでの反政権デモは規模が拡大しており、今月10日は参加者数が5万人を超えた。タス通信によると、ペスコフ露大統領報道官は13日、一連のデモに関し「政治危機を示すものではない」との認識を示した。


2019.8.13-産経新聞 THE SANKEI NEWS-https://www.sankei.com/world/news/190813/wor1908130012-n1.html
ロシアの爆発は「新型兵器」 米側は「原子力巡航ミサイル」と指摘
(小野田雄一、ワシントン 黒瀬悦成)

 ロシア北西部アルハンゲリスク州の軍事施設で起きた爆発事故で、露国営原子力企業「ロスアトム」のリハチョフ社長は12日、死亡した5人の従業員の葬儀に出席し、「悲劇は新たな特殊製品の実験中に起きた。新型兵器の完成にこぎ着けることが最善の供養になる」と述べた。インタファクス通信が伝えた。
 同社の幹部技術者も国営テレビに対し、事故は小型原子炉の開発に関係したものだったと明らかにした。これらの発言から、爆発事故が原子力を利用した新型兵器開発に関係していたことが確実となった。

 トランプ米大統領は12日、この事故について、ロシアが開発中の原子力推進式巡航ミサイル「9M730ブレベスニク」が爆発したものだとツイッターで指摘した。トランプ氏は「米国にも同様の技術はあるが、より発達している」と誇示し、「爆発は施設の周辺と、より広い地域の大気(汚染)について人々を不安がらせている。良くないことだ!」と批判した。
 爆発事故は8日に発生。現場に近いセベロドビンスク市は事故後、大気中の放射線量の数値が一時急上昇したと発表したが、後にこれを取り下げた。国防省などは「同市の放射線量に目立った変化はなかった」としている。
 米核専門家のルイス氏は、包括的核実験禁止条約機構(CTBTO)の監視システムが計測した結果に基づき、爆発が協定世界時(UTC)で8日午前6時(日本時間同日午後3時)ごろに起きたとする分析を明らかにした。
ルイス氏によると、爆発事故現場の近くに同日、核燃料運搬船「セレブリャンカ」が停泊していたことが商業衛星画像で判明。同氏はCNNテレビに対し、ロシアが原子力巡航ミサイルの実験を行っていたことを示していると語った。
 ロシアが昨年夏、北極海のノバヤゼムリャ列島で原子力巡航ミサイルの実験に失敗した際も、同船が原子力推進装置の残骸の回収作業を行ったという。 プーチン露大統領は昨年3月の年次教書演説で、原子力巡航ミサイルなどの新戦略兵器を開発・保有していると強調し、米国を牽制(けんせい)していた。

原子力巡航ミサイルは事実上無制限の航続距離を持ち、米ミサイル防衛(MD)網に捕捉されない複雑な飛行経路をとることができるとされる。(小野田雄一、ワシントン 黒瀬悦成)


2019.8.11-産経新聞 THE SANKEI NEWS-https://www.sankei.com/world/news/190811/wor1908110012-n1.html
露軍事施設で爆発事故 「原子力ミサイル」との関連を指摘する声も

【モスクワ=小野田雄一】ロシア北西部アルハンゲリスク州の軍事施設で8日、爆発事故が起き、露国営原子力企業「ロスアトム」は10日、この事故で従業員5人が死亡したと明らかにした。同社は「ミサイルを構成する放射性同位体の動力源」に関わる実験中に事故が起きたと説明。周辺地域では事故後に放射線量の上昇が観測されたとの情報もあり、事故はロシアが開発を進める原子力推進式の新型ミサイルとの関連が指摘されている。
 露国防省は8日、「液体燃料式エンジンの実験中に事故が起きた。6人が負傷し、2人が死亡した」「周辺の放射線量に変化はない」と発表していた。
 しかし、現場に近いセベロドビンスク市は事故後、一時的に1時間当たり2マイクロシーベルトの高い放射線量が観測されたと発表。ロイター通信は「同市は9日、発表を説明なく取り下げた」と報じた。露当局はその後、「一連の測定の結果、ここ1週間に同市で放射線量の目立った変化はなかった」と説明。露地元メディアは住民らが放射能の体内蓄積を防ぐためにヨウ素剤を購入していると伝えている。

 露国防省やロスアトムは実験内容やミサイルの種類について詳細を公表していないが、露メディアによると、爆発が起きたのは巡航ミサイルなどの実験施設だった。ロイター通信は「事故は原子力推進式ミサイルの実験中に起きた可能性がある」とする米専門家の見方や、「(放射線量に変化はなかったとする)ロシア側の説明は信用しにくい」とする米政府高官らの見解を伝えた。
 プーチン露大統領は2018年の年次教書演説で、「米国のミサイル防衛(MD)システムでは防げない原子力推進ミサイルの実験に成功した」などと述べていた。


2019.8.10-朝日新聞 DIGITAL-https://www.asahi.com/articles/ASM8B55S4M8BUHBI01B.html
ロシア実験場で爆発、国営原子力企業の職員死亡

ロシア北部アルハンゲリスク州の海軍ミサイル実験場で起きた爆発事故をめぐり、同国の国営原子力企業「ロスアトム」は10日、同社職員5人が死亡、3人が負傷したと明らかにした。国防省は同省職員と関連企業職員の2人が死亡、6人が負傷と発表していたが、5人との関係は不明。ただ同省筋も同日、インタファクス通信にロスアトムの専門家らの死亡を認めた。

爆発は8日、同州セベロドビンスク近郊のニョノクサにあるミサイル実験場で起きた。国防省は液体燃料エンジンの実験中だったと発表したが、ロスアトムは職員らが放射性同位元素を使った装置の実験に立ち会っていたとした。
 インタファクス通信によると、爆発後の放射能レベルについて、国防省が「正常値」とする一方で、セベロドビンスクの市当局は一時的に危険とされるレベルを超えて毎時2マイクロシーベルトに上昇したとしていた。爆発後、実験場が接する広い湾の一帯で1カ月間の航行制限が発表された。専門家からは、爆発はプーチン大統領が開発を明らかにした原子力推進型ミサイルの実験と関係しているとの見方も出ている。


2019.8.8-産経新聞 THE SANKEI NEWS-https://www.sankei.com/world/news/190808/wor1908080009-n1.html
親権剥奪、刑事罰適用…ロシア当局、強硬姿勢強める モスクワ市議会選抗議デモ

【モスクワ=小野田雄一】9月に予定されるモスクワ市議会選(定数45)をめぐる不正疑惑への一連の抗議デモで、ロシア当局がデモ参加者らへの強硬姿勢を強めている。モスクワの検察当局は8日までに、男児(1)を連れてデモに参加したとされる両親から親権を剥奪する手続きを開始。警察当局は参加者らを2千人規模で拘束し、刑事罰の適用も拡大させている。デモの沈静化を狙った当局側の強権的手法にデモ側は反発を強めており、事態の推移は予断を許さない状況だ。
 モスクワ市検察当局は6日、7月27日に行われた無許可デモに1歳の男児を連れて参加し、男児の命を危険な状態に置いたとして、両親からの親権剥奪をモスクワの裁判所に請求したとする声明を発表した。
 声明によると、両親は無許可デモに参加中、男児を第三者に手渡した。この行為は子供の保護を両親に義務付けたロシアの法律に反し、親権剥奪の理由になるとしている。子供を連れていた他のデモ参加者についても捜査を進めるとした。

 露メディアによると、両親の弁護人は「男児を手渡した相手は近親者で、男児に危険はなかった。両親はデモ参加者ではなく近くを通りかかっただけで、違法行為もなかった」と検察側に反論。今後、裁判所が審理して判断する。
 警察当局も圧力を強めている。7月中旬以降に毎週行われているデモには、これまでに計数万人が参加したとみられ、警察当局は秩序維持などの名目で計約1700人を拘束したと発表。露人権団体は拘束者数を2千人以上としている。
 警察・検察当局は従来、拘束者には原則的に罰金や短期収監などの行政罰で対応してきた。しかし事態の沈静化を狙う当局側は無許可デモを「暴動」とみなし、より罰則の重い刑事罰を適用する姿勢を強めている。露メディアによると、既に約10人が刑事事件として立件され、有罪の場合は2〜8年にわたって収監される可能性があるという。

 モスクワ市議会選をめぐっては、反体制派の活動家ら10人以上が、候補者登録に必要な有権者の署名5千人分を市選管に提出したものの、市選管は署名の偽造を理由に登録を却下。反体制派の立候補を阻止するために有効な署名が故意に無効にされた疑いが指摘され、立候補を却下された活動家らの呼びかけで抗議デモが続いている。


2019.8.3-産経新聞 THE SANKEI NEWS -https://www.sankei.com/life/news/190803/lif1908030020-n1.html
シベリアで記録的山火事、ロシア放置 鎮火不能で雨乞いあるのみ

【モスクワ=小野田雄一】6月に世界規模で観測された熱波が原因とみられる山火事がシベリア地方を中心とするロシア東部で多発し、計330万ヘクタール(日本の国土面積の11分の1)が焼失する記録的な被害となっている。露政府は7月31日になってようやく消火活動に本腰を入れ始めたが、効果は限定的で制御不能に近い状態だ。露メディアは、近年の消火関連法の改正で加えられた新たな規定が山火事の放置を招き、被害を拡大させたと指摘している。
 ロシアでは6月ごろからシベリアや極東など広範な地域で山火事が多発。7月末時点で計330万ヘクタールが焼失した。煙はシベリアのノボシビルスクや中部ウラル地方のエカテリンブルクなど大都市まで飛来し、SNS(会員制交流サイト)上には住民らの「煙で呼吸できない」との悲鳴が相次いでいる。当局側に緊急対応を求める署名も50万人分以上集まった。
 露政府は7月31日、航空機を使った消火活動を本格化させるなど対策に乗り出したが、それまでに鎮火した火災は全体の3%にとどまっていた。

 複数の露メディアはその要因として、2015年の消火関連法の改正で「消火費用が山火事による損害を上回る場合、消火しなくてもよい」との規定が加えられ、当局側がその規定を根拠に山火事を放置していたと指摘する。この規定は、財政難や人員不足に対処するため、シベリアなど住民が少なく、消火部隊の派遣が困難な僻地を対象として新設された。
 露メディアは、当局は山火事が小規模だった段階で消火活動をしておくべきだったと指摘。露経済紙コメルサントは7月30日、「これほど大規模になった火災の鎮火はもはや不可能で、できることは雨を願うだけだ」とする専門家の悲観的なコメントを伝えた。

 世界気象機関(WMO)は7月、欧州など各地に地球温暖化に伴う熱波が到来し、世界の6月の気温は観測史上最高を記録したと発表。シベリアの6月の平均気温は、1981年から2010年の平均を約10度上回った。米国のアラスカ州は観測史上2番目に暑い6月となり、フランス南部でも6月末、本土の観測史上最高となる45・9度を記録。シベリア北部などの北極圏では6月以降、大規模な山火事が100件以上起き、WMOは「これほど高緯度での大規模な山火事は異例」との見方を示した。


2019.7.28-産経新聞 THE SANKEI NEWS-https://www.sankei.com/world/news/190728/wor1907280005-n1.html
モスクワ拘束者1300人超に 市議選の不正疑惑に抗議

9月のモスクワ市議選に出馬予定だった独立系候補が出馬を阻まれた疑惑を巡り、野党支持者ら3500人以上が27日、モスクワ市役所前で抗議集会を開こうとして治安当局と衝突した。警官隊は当局が許可していないとして市役所周辺から市民を排除し、1300人以上(野党系サイト)を拘束した。
 独立系候補はプーチン政権に批判的な立場。立候補登録に必要な有権者の署名が実際は有効だったにもかかわらず、モスクワ市選管に「無効」と判断された疑惑が強まっており、20日にも数万人規模の抗議集会が行われたばかり。
 27日は市役所周辺の歩道が封鎖されて通行不能となり、抗議する市民らは「通らせろ」などと訴えた。治安当局は特殊部隊も動員し群衆を立ち退かせる一方で、警棒も振り上げ次々に拘束した。(共同)


2019.7.27-産経新聞 THE SANKEI NEWS-https://www.sankei.com/world/news/190727/wor1907270009-n1.html
露デモ約500人超拘束 モスクワ市議選の候補者排除に抗議

【モスクワ=小野田雄一】モスクワ中心部で27日、9月に予定されるモスクワ市議会選(定数45)の候補者排除に抗議するデモがあり、少なくとも520人が治安当局に拘束された。市議選に関するデモは3週末連続。前回の20日には推定約2万2千人が参加し、近年の政治デモとしては異例の規模だった。
 デモは、汚職追及で知られる反政権派指導者、ナワリヌイ氏周辺の活動家など10人以上が立候補登録を拒否されたことに抗議して行われた。候補者らは登録に必要とされる有権者の署名5千人分を市選管に提出したが、署名の「偽造」を理由に却下された。選管が政権の意を受け、多くの署名を意図的に「無効」とした疑いが指摘されている。
 ロシアでは経済低迷の長期化や公職者の腐敗を背景に、政権が統制する管理選挙に厳しい目が向けられつつある。
 27日のデモは市の許可を受けておらず、治安当局は開始直後から参加者の強制排除に乗り出した。負傷者が出ており、拘束される人数もさらに増えそうだ。


2019年4月8日
露に領土返還の意思は毛頭ない 北海道大学名誉教授・三村 汎
産経新聞・・・正論

ロシアでの世論調査結果は、たしかに信用しがたい。まず、3大世論調査組織のうち2つまでが、官製機関である。次いで、調査方法も適切といいがたい。
     固定電話にかけて設問するので、若年層でなく、自宅にいる年金生活者の声を反映しがちである。
  このような欠陥をもつ調査とはいえ、参考になる点がある。1は時期別の数字の変化が分かること。2は政権がどのような項目について、
     調査を欲しているのかが明らかになることだ。具体例を挙げて説明しよう。
≪人気凋落にあえぐプーチン氏≫
プーチン大統領の人気は多少水増しされているとはいえ、概して高いので、必ず3大機関はこの種の調査を実施する。その結果、ロシア国民間の
     プーチン大統領支持率の相対的な変化が判明する。プーチン氏の人気は、2014年のクリミア併合後に86・2%、15年のシリア空爆開始後に
     89・9%へと急上昇した。ところが現時点では64%へと落ちている。1月には、同氏を信頼すると答えた者は33・4%、「ロシアが誤った方向へ
     進みつつある」とみなす者は45%。全て06年以来、最も悪い数字である。
   プーチン大統領の人気凋落(ちょうらく)傾向の理由は、明らかといえよう。一言でいうと、同大統領がこれまで実施した対外的冒険行使のつけが
     回ってきたのだ。同大統領は、ウクライナやシリアで「勝利を導く小さな戦争」を敢行し、ロシア国民から拍手喝采を浴びた。だが、
     戦争は始めるのは容易だが、終結するのはむずかしい。その後、二正面作戦の泥沼から足を抜け出せないために戦費や駐留費がかさみ、
     ロシア経済を圧迫している。ロシア国民は、対外的成果の美酒に暫しの間酔っていたが、振り返ってみると己の冷蔵庫がすっかり空っぽに
     なっていることに気づかざるを得なかった。彼らは、経済上深刻な“三重苦”に見舞われている。原油価格の暴落、ロシアの通貨ルーブルの
     急降下、先進7カ国による経済制裁である。プーチン政権は、国庫収入を増大させようとして、年金支給年齢の引き上げや付加価値税の増額
     を図ろうとした。ところが、政治的不自由には耐えるロシア国民も、物質的生活水準の低下には抵抗を示す。
   1917年の二月革命も「パンよこせ!」の抗議運動からはじまった。また、2004〜05年、プーチン政権が社会保障関連の諸特典をソビエト期の
     現物支給制から現金化へ移行させたときも、国民は彼らが従来受けとってきた権利や便宜を目減りさせる政策転換とみなし、街頭デモを繰り返した。
≪脈ある交渉は秘密裏に進む≫
領土「引き渡し」の是非を問うべきか、否か。現ロシアで世論調査実施の是非は、プーチン政権の意向次第で決定される。このことを如実に示したのは
     中露間国境線の決定時だった。プーチン政権は04年、中国との領土紛争に終止符を打った。すなわち同政権は、ウスリー川とアムール川の
     合流点の三角州に位置する3つの島(ボリショイ、タラバーロフ、大ウスリー島)の主権帰属先問題に関して、係争3島の全面積を2等分し、
     その半分を中国領と認めることに同意した。
   現文脈で重要なのは、しかしながら、このときプーチン政権は同交渉の経緯をロシア国民に一切知らせず秘密裏に話を進めた事実だった。
     なぜ、そうしたのか。その理由は明らかだろう。もしロシア国民、とくにその極東地域の住民たちが交渉の進行状態を知った場合、必ずや彼らは
     プーチン政権の最終決定に猛反対するに違いない。同政権は、こう危惧したからである。
   実際、同三角州を己の行政下においているハバロフスク地方のビクトル・イシャーエフ知事は、たとえ1平方メートルの土地ですら中国に引き渡すことに
     反対していた。それを熟知していたプーチン政権は中国との交渉を隠密裏に進め、ロシア国民に向かい世論調査を実施し、彼らの意向を前もって
     質(ただ)すつもりなど毛頭示さなかったのだ。
≪世論調査の実施は何を物語るか≫
右の歴史的先例は、北方領土問題解決の展望に関して悲観的なヒントを提供する。というのも、プーチン政権は、日本との国境線画定問題ではまさに
     正反対の手法を取っているからだ。すなわち、北方領土の対日引き渡しの是非をロシア国民の意向を問う世論調査を積極的に実施している。
   筆者は、北方領土の島民たちに同調査を実施している様子をロシア・テレビ「ベドモスチ」で見たが、何と係官が回答者1人ずつに面接し答えを
     書き込む手法だ。このような直接インタビュー方式で領土の対日返還に賛成と答える勇気のある者など現れるはずはなかろう。案の定、
     ロシア人住民の77%、島民の96%が反対と答えた。手法はともあれ、日本との領土交渉に関してはプーチン政権は世論調査を行わせている−
     このこと自体が、島を引き渡さない政権の意向を明確に物語っている。日本側はこのメッセージを厳粛な事実として受け止める必要があろう。
(きむら ひろし)

露のクリミア併合

2019年3月18日
【主張】クリミア併合5年 露の暴挙を忘れてならぬ-産経新聞
ロシアがウクライナ南部のクリミア半島を一方的に併合して18日で5年となる。 ロシアはこの間、自国本土からクリミア半島に架橋し、現地に発電所を
     建設するなど実効支配を強めてきた。ウクライナの領土を強奪した暴挙を日本と国際社会は決して許してはならない。
  ウクライナでは2014年2月、首都キエフなどでの大規模デモで親露派政権が崩壊し、親欧米派が実権を握った。クリミア併合は、これに怒った
     プーチン露政権が強行したことだった。 プーチン政権は、ロシア系住民の多いクリミア半島に軍の特殊部隊を投入し、行政庁舎や議会、
     テレビ放送拠点といった中枢施設を占拠させた。その上で「キエフには民族主義のファシスト政権が発足した。ロシア系住民には危険が迫っている」
     といったプロパガンダ(政治宣伝)を行った。
  ロシアは、クリミアで同年3月に行われた住民投票で「ロシア編入」が支持されたと主張する。しかし、ウクライナ憲法に反し、武力を背景に行われた
     投票を認められないのは当然だ。 旧ソ連で第2の構成国だったウクライナは1994年のブダペスト覚書で、核兵器を放棄する見返りに、
     米英露から安全保障の約束を得た。ロシアがこの合意を踏みにじったことの悪影響は、核不拡散の面でも重大だ。
  プーチン露大統領が、クリミア併合に際し、核戦力を臨戦態勢に置く用意があったと発言した事実も忘れるべきでない。 ロシアは2014年春、
     クリミア併合の余勢を駆って、ウクライナ東部でも親露派武装勢力を支援して同国軍との戦闘をたきつけた。この紛争は1万人超の死者を出し、
     今も終結していない。 昨年11月にはクリミア半島の近海で、ロシアの沿岸警備艇がウクライナ海軍の艦艇に発砲し、3隻を拿捕(だほ)した。
     ロシアは乗員24人の拘束を続けている。 クリミア併合は現在進行形の問題であるとの認識を持ち、対露制裁を維持する必要がある。
  武力による現状変更という意味で、クリミア併合は北方領土問題と同根である。中国が、南シナ海の人工島で軍事拠点化を進めていることも
     然(しか)りだ。 北方領土問題を抱えているわが国こそが、クリミア併合を厳しく糾弾せねばならない。






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