露-ロシア問題


2019.12.7-産経新聞 THE SANKEI NEWS-https://www.sankei.com/world/news/191207/wor1912070016-n1.html
中露の蜜月、象徴するパイプライン稼働 「準軍事同盟」エネも協調
(1)
【モスクワ=小野田雄一】ロシアの東シベリアから中国に天然ガスを輸出する両国間で初のガス・パイプライン「シベリアの力」がこのほど稼働した。世界屈指の天然ガス生産量を誇るロシアだが、従来の輸出は欧州向けが大半だった。「シベリアの力」は、欧米との関係悪化を背景に、ロシアが経済や軍事など各分野で中国と結束を強めていることを象徴する事業だ。
 2日に操業を始めた「シベリアの力」は、東シベリア産のガスを極東アムール州経由で中国の黒竜江省に運ぶ。ロシア国内のルートは全長3000キロに及ぶ。ガス売買の契約期間は30年で、年間最大380億立方メートルのガスが輸送される。
 中露が8年越しの交渉を経て、このパイプラインの建設に合意したのは2014年5月だった。ロシアが同年3月、ウクライナ南部クリミア半島を併合し、米欧に経済制裁を科されたことが交渉に弾みをつけた。
 プーチン政権は国際的孤立からの脱却を図ろうと、中国などアジア諸国との関係を重視する「東方シフト」にかじを切った。「シベリアの力」はその象徴的な事業だとされた。
 ロシアは伝統的に欧州方面を主要なガス輸出先としており、ウクライナを経由するソ連時代からのルートや、バルト海底のパイプライン「ノルドストリーム」でガスを輸出している。「ノルドストリーム2」やトルコを経由する「トルコストリーム」も近く完工する見通しだ。
 しかし、露経済紙ベドモスチによると、欧州のガス需要は増加傾向にあるものの、ロシアからの輸入は減少している。欧州諸国がエネルギー安全保障や価格の観点からガス調達を多角化しているからだ。
 ノルドストリーム2をめぐっては、米国が「ロシア依存リスクを高める」と欧州諸国に警告し、事業に参加する欧州企業への制裁も検討している。米国には、自国産の液化天然ガス(LNG)の欧州向け輸出を増やしたい思惑があるとされる。 こうした状況で、プーチン政権がガスの対中輸出にかける期待は大きい。
(2)
近年の中露両国は「準軍事同盟」と称されるほどに関係を深め、米欧への対抗姿勢を鮮明にしている。今年7月には、中露の爆撃機などが日本海上空で初の合同パトロール飛行を行い、露軍機が竹島(島根県隠岐の島町)周辺の日本領空を侵犯した。ロシア国内の軍事演習には2年連続で中国軍が参加している。
 その一方、ロシアにとっては、中国との関係が深まるほど、ロシアが中国の「弟分」として埋没する危険性がつきまとう。
 「シベリアの力」をめぐっては、ロシアが弱みを抱えた状況で契約が結ばれたため、ガス価格などでロシア側が大幅に譲歩した可能性が指摘されている。
 4日付のベドモスチ紙は、事業の採算性に疑問を投げかけつつ、「14年はロシアが兄(庇護=ひご=者)を必要とした時期だった」とし、政治的な思惑がパイプライン建設につながったと分析した。


2019.11.7-産経新聞 THE SANKEI NEWS-https://www.sankei.com/column/news/191207/clm1912070004-n1.html
【赤の広場で】DVはロシアの伝統か

先日、帰宅途中の路上で、若い男性が同年代の女性を怒鳴り散らしている光景に出くわした。横目で見ていると、突然、男性が女性を強く平手打ちした。女性は泣き叫び、通行人が割って入って男性を諭していたが、男性は女性に激しい言葉を浴びせ続けていた。
 ロシアでは「女は殴られることで男の愛を感じる」という趣旨の格言があるほど、男性中心の価値観が根強い。2017年には家庭内暴力(DV)の罰則が一部軽減された。露紙は先月、国連の統計などを基に、ロシアでは年間1万〜1万4千人(!)の女性が家族の手で殺害されていると伝えた。
 国連など国際社会はロシアに女性の人権状況を改善するよう求めているが、露政府は最近、「ロシアのDVは大きな問題ではない。問題が誇張されている」と反論。リベラル派議員らがDVから女性を守る法案を準備していることに対しても、保守派の議員や市民団体が「伝統的価値観の破壊につながる」と反発するなど、状況の改善は当面、期待薄だ。
 ただ、地下鉄で女性に席を譲ったり、階段で老婦人の荷物を肩代わりして運んだりする若い男性を見かけることも多い。ロシアの若者の価値観は欧米化しつつあるといわれ、この傾向が将来的な状況改善につながることを願う。(小野田雄一)


2019.11.19-NHK NEWS WEB-https://www.sankei.com/world/news/191119/wor1911190001-n1.html
【ロシアを読む】学校でライフル組み立て…進む“軍国化”教育 
(1)
愛国精神を育むとの名の下に、ロシア政府が幼少期から青年期の子供たちに対する軍国主義的な教育政策を強化している。露教育省は10月、学校現場に対し、児童・生徒にライフル銃の分解や組立を体験させるよう勧奨。ある学校では児童に反テロをテーマとした絵画を描く課題が出された。国防省も子供を愛国教育プログラムで組織化する活動を進めている。こうした動きに対し、露メディアは「文化ではなく軍事を通した愛国教育は子供の成長に悪影響を及ぼしかねない」と警鐘を鳴らしている。(モスクワ 小野田雄一)
■ 複数の露メディアは10月末、ライフル銃「AK47」の開発者で、11月10日が生誕100周年となるカラシニコフ氏を記念するためとして、露教育省が各地の小中高校に対し、カラシニコフ氏の伝記やAK47の組立・分解などを体験させるよう勧奨したと報じた。
 勧奨文書によると、カラシニコフ氏やAK47を学ばせる目的は「ロシア人の国民的自己認識の基礎としての精神的・道徳的な愛国主義の形成」「児童における国民的・市民的・文化的アイデンティティーの陶冶(とうや)」だという。
 どの程度の数の学校で実際にカラシニコフ氏に関する教育が実施されたのかは不明だが、教育省の勧奨は実質的には命令に近い性質があるとされるため、かなりの数の児童が銃の組立などを体験したとみられている。
■  一方、シベリア西部の都市チュメニの学校では10月下旬、絵画コンクールを開くためとして、教師が小学2年生のクラスに「反テロ」をテーマにした絵を描いて提出するよう命じた。地元メディアによると、保護者らは「小学2年生にテロの概念は理解できない」などと困惑しているという。

 露国家反テロ委員会は昨年5月、児童らによる反テロをテーマとした絵画コンクールを極東沿海地方の自治体と共催しており、チュメニの絵画コンクールもこうした文脈の中で企画されたとみられる。
 同委員会のサイトに掲載されているコンクールに出展された絵画は、子供特有の筆運びで描かれた人物像の横に、刃物や銃、爆発物が描かれているものが多く、アンバランスな印象を受けざるを得ない。
■  国防分野でも、軍事的な愛国教育が加速している。
(2)
露経済紙「RBK」は7月、露国防省が40億ルーブル(約68億円)をかけて首都モスクワ近郊に「軍事愛国心教育センター」を建設する方針を決めたと伝えた。
 同紙によると、センターの完成後は、近隣の男子高校生に対して週1回、18歳以上の男性の義務である兵役に向けた基礎訓練が行われることになる。訓練参加が義務となるか任意となるかは検討中という。
 さらに国防省が精力的に進めてるのが、青少年に愛国心を植え付けることを主眼に、16年から全国的に展開しているプログラム「ユナルミヤ(若き軍隊)」だ。8〜18歳の少年少女を対象に、戦史研究やスポーツ活動、登山やキャンプなどを通じて愛国的な人格の涵養(かんよう)を図るとうたうユナルミヤには、既に55万人以上が参加している。
 戦前のドイツで、ナチスの支配を支えた青少年教化組織、ヒトラー・ユーゲントを想起させる運動だ。
■  露政府がこうした愛国主義教育を進める背景には、14年のクリミア併合で国際的に孤立し、経済制裁による景気低迷も続く中、ロシアの“正しさ”を若者層に植え付け、政府に対する疑問や反感を芽生えさせないようにする狙いがあるとみられている。しかし、こうした軍国主義的な愛国教育の強化をめぐっては、露国内に危惧も根強い。
  教育省による銃組立体験の勧奨について、10月30日付の経済紙ベドモスチは「ロシア政府は近年、学校教育よりも愛国教育を重視する姿勢を示してきたが、教育省の勧奨から明らかになったのは、愛国教育の優れたツールが銃の組立と分解だということだ」と皮肉を込めて報道。「もちろん偉大な同胞の伝記を学ぶことは愛国主義の涵養に役立つが、現在のロシアではあまりにも軍事寄りに偏っている」とも指摘した。
 別の経済紙コメルサントも「(教育省の勧奨は)軍国主義化への傾斜を示している。ロシアではなぜ、愛国主義が芸術や科学ではなく軍事と結びついてしまうのかという、お決まりの疑問を呼び起こすものだ」とする人権活動家シェルバク氏の見解を伝えた。
 ベドモスチは別の記事でも、近年のロシア政府の教育政策は、子供に積極的な愛国教育を施していたソ連時代を彷彿(ほうふつ)させるとも指摘。「ソ連時代の愛国教育がソ連を崩壊から救えなかったことを思い出すべきだ。幼すぎる子供への“ワクチン接種”(愛国教育)は有害にもなりうるのだ」と警告している。


2019.11.19-NHK NEWS WEB-https://www3.nhk.or.jp/news/html/20191119/k10012182331000.html
ロシア ウクライナ軍艦船3隻返還 交渉有利に進めたいねらいか

ロシアが1年近く拿捕(だほ)していたウクライナ軍の艦船3隻を返還しました。両国は5年前のロシアによるクリミア併合後、ウクライナ東部で続く紛争の解決を目指して、近くフランス、ドイツの仲介で首脳会談を開く予定で、ロシアには今後の交渉を有利に進めたいねらいがあると見られます。
  ウクライナでは5年前、ロシアが南部のクリミアを併合したあと、両国の国境に近い東部でロシアを後ろ盾とする親ロシア派と欧米寄りのウクライナ政府軍の紛争が続いています。
  この紛争の解決を目指し、両国は来月9日、フランスとドイツの仲介のもと、およそ3年ぶりとなる首脳会談を開きますが、これを前にロシアは18日、拿捕していたウクライナ海軍の艦船3隻を返還しました。
  3隻は小型警備艇2隻とタグボート1隻で、去年11月、クリミア沖の黒海でロシアの国境警備船に銃撃された後、拿捕されました。
  ロシアはことし9月、拿捕した艦船に乗っていたウクライナの兵士を同じ数の兵士やジャーナリストと引き換えに解放していて、今回の返還の理由については「必要な捜査が終了した」と説明しています。
  これについてプーチン大統領は18日、フランスのマクロン大統領との電話会談で艦船の返還に言及したうえで「ウクライナ政府は義務を果たすべきだ」と述べたということで、返還と引き換えに今後の交渉を有利に進めたいねらいがあると見られます。


2019.11.3-産経新聞 THE SANKEI NEWS-https://www.sankei.com/world/news/191103/wor1911030023-n1.html
露「ネット主権法」施行 有事に国外から切り離し 情報遮断に危惧

【モスクワ=小野田雄一】ロシア政府は3日までに、国外からのサイバー攻撃など“脅威”が起きた際に国内のインターネットを国外から切り離すことを可能にする「ネット主権法」を施行した。政府は通信経路を一元管理し、必要に応じて特定のサイトへの接続を遮断したり、国外からの情報流入を防いだりすることが可能になる。露国内では「定義が曖昧な脅威の名の下に政権に都合の悪い情報を遮断することが真の狙いだ」との危惧が強まっている。
 同法は国外からのサイバー攻撃や情報干渉に備え、国外との接続を切断しても稼働できる露独自のネットを構築するとの名目で成立し、今月1日に施行された。通信を一元的に監視・管理するセンターを設立するほか、通信監督当局の権限を強化し、通常時は通信事業者が行う不適切な情報へのアクセス遮断などを、必要に応じて当局側の判断で行えるようにする。
 露メディアによると、法の施行に先駆けて通信監督当局や露連邦保安局(FSB)が中部ウラル地方で実証実験を行ったが、結果は公表されていない。運用に必要な専用設備も通信事業者に行き渡っておらず、遮断が可能になるのは約1年後の見通しという。運用に伴う通信速度の低下や想定外のトラブルが起きる懸念も指摘されている。

 ネットの防衛を掲げる同法だが、露国内の危惧は根強い。ロシアではネットの発達により、政権の統制下にあり国民の主要な情報源だったテレビの影響力が低下。露政府はネット上の反政府機運の高まりや他国のロシア批判報道などに神経をとがらせ、ネット規制を強化しているためだ。
 露政府は今年、国家や政府への「不敬な投稿」や「フェイクニュース」に罰則を科す法律を施行。10月には通信監督当局が中国の厳格なネット統制システムを研究する方針を表明し、露ネット利用者には「自由なネットが奪われる」と危機感が高まっている。
 1日付の露リベラル紙ノーバヤ・ガゼータは「ネット主権法は(クリミア併合に端を発した)2014年以降のロシアの孤立主義の論理的帰結だ。ロシアのネットは以前のようには存在しなくなる」と懸念した。


2019.10.9-産経新聞 THE SANKEI NEWS-https://www.sankei.com/world/news/191009/wor1910090016-n1.html
デモ参加者弾圧で政権批判 ロシア社会に広がる異変
(1)
【モスクワ=小野田雄一】多数の拘束者が出たモスクワ市議会選の抗議デモに関連し、ロシア社会に異変が起きている。聖職者や教師、研究者など幅広い同業者グループが、政権側に対して拘束者の刑事裁判の中止や釈放を求める請願を相次いで公表したのだ。政権側の決定に無批判的とされてきた露社会で起きたこの現象を、専門家は「国民が公正さを求め始めた」と分析。ただ、露政権側が権威主義的体質を見直す可能性は低いとみられている。
■ 一連の請願の引き金となったのは、デモ警戒中の警察官への暴行罪で起訴された俳優、パベル・ウスチノフ被告(23)の事件だ。弁護側は「現場近くで人を待っていただけだ。暴行をしていない証拠の動画もある」と主張した。しかし裁判所は9月16日、動画を証拠採用せず、禁錮3年6月の実刑を下した。
 この判決に対し、ロシア正教会の司祭約200人が17日、判決の見直しや他の被告の釈放を求める請願をインターネット上で公表。露正教会はプーチン政権との関係が深く、複数の露メディアは「ロシア史上初の異例の動きだ」と伝えた。
 同時期には教師グループ3500人も「現在の状況では生徒に正しさとは何かを教えられない」とし、公正な裁判や法執行を求める請願を公表。心理学者や科学者、医師、出版関係者、報道関係者らのグループも同様の請願を行っている。
 ウスチノフ氏をめぐっては、拘束直後から10万人分以上の釈放を求める署名がネット上で集まっていた。
(2)
ロシアでは近年、ネットや言論統制の強化、住民の意向を無視した行政決定、治安機関の権限強化など政権側の権威主義的体質に不満が高まっている。今回の一連の請願も、こうした機運の表れとみられる。
■ 判決への批判が強まる中、政権側は態度を変化させた。治安機関「国家親衛隊」のゾロトフ隊長や、露政権与党「統一ロシア」のトゥルチャク総評議会書記らが判決を見直すべきだとの見解を表明。30日に開かれた控訴審で、ウスチノフ氏は禁錮1年(執行猶予2年)に減刑された。反発を恐れた政権側の意向が判決に反映されたのは確実だ。
 露経済紙ベドモスチは「ソ連崩壊後、国民は社会の運営を権力者の恣意(しい)に任せてきたが、万人に公平な社会システムがより望ましいと理解しはじめた」とする政治学者、マカルキン氏の見解を紹介。一方で「政権側が権威主義体質を根本的に改めることはないだろう。それが現政権の権力基盤だからだ」とする社会評論家、クリーシン氏の見方も伝えている。
 9月8日に行われたモスクワ市議会選では、政権側が反体制派の立候補を妨害した疑惑が浮上。計10万人以上が抗議デモに参加し、2千人以上が拘束された。一部の拘束者は警察官への暴行罪などで起訴された。


2019.9.21-産経新聞 THE SANKEI NEWS-https://www.sankei.com/world/news/190921/wor1909210021-n1.html
北朝鮮の増長に露が警告か 密漁の大規模摘発

【モスクワ=小野田雄一】北朝鮮による密漁に比較的寛容だったとされるロシアが北朝鮮漁船の大規模摘発を実施したことに関し、北朝鮮に対する不満の高まりが背景にあるとの指摘が出ている。露専門家は、密漁や一連のミサイル発射実験といった北朝鮮の“増長”に対して露政府が強硬対応にかじを切った可能性があるとみている。
 露連邦保安局(FSB)は9月12日、日本海でのロシアの排他的経済水域(EEZ)でイカを密漁していたとして北朝鮮漁船16隻を拿捕(だほ)し、乗組員250人超を拘束したと発表した。17〜18日にも漁船2隻とモーターボート11隻を拿捕し、161人を拘束した。
 FSBによると、17日の摘発では北朝鮮側の乗組員が銃撃などで抵抗し、露国境警備隊員4人が負傷したという。ロシアは法執行官の生命を脅かしたとする刑事罰の適用も視野に捜査を進めている。
 日本海の一部では、北朝鮮や中国による乱獲などで水産資源が減少しているとされ、これまでも日本のEEZに侵入した北朝鮮漁船による密漁が問題となってきた。 露メディアによると、北朝鮮漁船は以前からロシアのEEZで密漁を行ってきたが、ロシア側は摘発してもすぐに解放することが多かった。ただその結果、近年は北朝鮮漁船の密漁が拡大していたという。
 露経済紙ベドモスチは「露政府は、核問題でのロシアの支援に感謝せず、(ロシアとの)国境付近でミサイル発射を繰り返し、ロシア漁船を拿捕するなど非友好的な態度を示している北朝鮮に不満を募らせている」とする専門家の見解を紹介した。


2019.9.10-産経新聞 THE SANKEI NEWS-https://www.sankei.com/world/news/190910/wor1909100002-n1.html
【遠藤良介のロシア深層】プーチン流「疑似民主主義」
(1)
ロシアの地方知事らがクレムリンでプーチン大統領と面会する際、ある物を非常に恐れている。「緑のファイル」と呼ばれる。プーチン氏がこれを手に現れたら、知事は近くクビになるか、そうでなくとも相当に厳しい叱責を受ける。
 緑のファイルはプーチン氏のえんま帳である。書類には、当該地方の問題点や知事の評点が詳細に記されている。大統領府や情報機関が調べた現地情勢に加え、世論調査や住民の「直訴」も反映されている。
 住民の抗議機運が強いなど知事の働きぶりに「難あり」と判断されれば、緑のファイルの出番となる。
 8日にロシアで統一地方選が行われた。今回は州や共和国、特別市など85ある連邦構成体(自治体)のうち16構成体で知事など首長の選挙があった。首都モスクワの市議選など地方議会の選挙も多数行われた。
 強権体制のイメージが強いため、こうした選挙が行われていること自体が意外かもしれない。選挙は確かに行われているのだが、実態は管理選挙による「疑似民主主義」である。
 首長の直接選挙は2004年に廃止され、12年に復活された。11年末からモスクワで大規模な反政権デモが起き、政権は懐柔策として選挙を再開したのだ。ただ、首長の解任権はプーチン氏にあり、事実上の任命制が続いている。
 8日に首長選が行われた16構成体のうち実に13カ所では、前任の首長が任期途中で解任され、プーチン氏によって新たな「首長代行」が任命されていた。その地方と全く縁のない者が据えられることも多い。
 ロシアの選挙では現職が圧倒的に有利だ。報道での露出度が非常に高く、政権や地方当局は、公務員や国営企業の従業員を投票に大量動員できるためである。
 プーチン氏は「選挙は危うい」と思われる首長を事前に退任させ、「首長代行」を有利な現職の立場で選挙に臨ませるのである。
(2)
反体制派の立候補登録には、地方議員の署名を多数集めねばならないといった高いハードルがある。対抗馬は親大統領の「体制内野党」からの候補者だけであり、仮にプーチン氏が決めた与党候補が敗北しても打撃は限定的だ。
 今回の統一地方選については「与党圧勝の勢い」と報じられている。それはしかし、事前の首長すげ替えを含むさまざまな策を弄し、政権が必死のてこ入れを行った結果だ。もはや20年近くとなったプーチン体制の綻びは、今回の選挙結果をもっても変わらない。
 モスクワ市議選(定数45)をめぐっては7月、反体制派の10人以上が市選管に候補者登録を拒否された。議会に議席を持たない政党の候補者には大量の有権者署名を提出することが義務づけられており、それに不備があったとされる。
 モスクワでは8月にかけて断続的に抗議デモが起き、多い時には5万人が参加。治安当局に拘束された者は2千人を優に超える。
 中央集権の進んだロシアで、モスクワ市議会が重要な役割を担ってきたとはいえない。それにもかかわらず、人々が公正な選挙や地方自治を求め、声を上げ始めた事実は重い。
 「疑似民主主義」の限界を認識せねば、政権は遅かれ早かれ手痛いしっぺ返しを受けるのではないか。(外信部編集委員兼論説委員)


2019.9.6-産経新聞 THE SANKEI NEWS-https://www.sankei.com/world/news/190905/wor1909050020-n1.html
ロシア「平和条約進展なし」 11月にも再び日露首脳会談

【ウラジオストク=小野田雄一】ロシアのウシャコフ大統領補佐官は5日、同日行われた日露首脳会談での平和条約締結問題に関する協議の結果について、記者団に「これまでと同じ状況だ」と述べ、大きな進展はなかったとの認識を示した。インタファクス通信が伝えた。
 ウシャコフ氏はまた、11月にチリで開かれるアジア太平洋経済協力会議(APEC)の場で、両国の協力に関して日露首脳が「深い意見交換」を行うことで合意したとも明らかにした。


2019.9.3-産経新聞 THE SANKEI NEWS-https://www.sankei.com/world/news/190903/wor1909030003-n1.html
露「領土交渉急がず」 首脳の加速合意2カ月後

日露平和条約締結交渉をめぐり、ロシアが今年1月の国家安全保障会議で「交渉を急がず、日本側のペースで進めない」との方針を決めていたことが2日、分かった。安倍晋三首相とプーチン露大統領が昨年11月に締結交渉の加速化で合意した2カ月後の決定で、以後、露側は交渉に否定的な言動を繰り返すようになった。5日には露極東ウラジオストクで日露首脳会談が予定されており、首相は首脳外交で打開策を見いだす考えだ。
 日露外交筋が明らかにした。同筋によると、ロシアは1月中旬、条約締結交渉を議題の一つとした安保会議を開催。第二次大戦の結果、北方四島がロシア領となったことを日本が認めることや、性急に交渉を進めず、徹底的な検討が必要であることなどを交渉方針として決めた。プーチン氏もこの内容を了承しているという。

 条約締結をめぐっては、首相とプーチン氏が昨年11月14日のシンガポールでの会談で、1956(昭和31)年の日ソ共同宣言を基礎に交渉を加速化することで合意。12月1日のブエノスアイレスでの会談では、河野太郎、ラブロフ両外相を交渉責任者に指名した。
 しかし、安保会議直後の今年1月22日にモスクワで開かれた首脳会談では、プーチン氏が共同記者発表で「相互に受け入れ可能な決定を得るためには、綿密な作業が控えている」と交渉に後ろ向きな考えを示した。

 プーチン氏はその後、モスクワで開かれた財界人との非公開会合で「(交渉の)勢いは失われた」(3月14日)と述べ、露国営テレビのインタビューでも「(島を日本に引き渡す)計画はない」(6月22日)と明言するようになった。
北方四島での共同経済活動は、6月の大阪での首脳会談で観光とごみ処理の2分野でパイロット(試行)事業の実施で合意するなど一定の進展が見られるが、ロシア側は北方四島の実効支配を強める動きを続けている。8月2日にはメドベージェフ首相が択捉(えとろふ)島を訪問し、河野氏が抗議の談話を出したが、5日には露軍が国後(くなしり)島の周辺海域で射撃訓練を開始した。


2019.8.22-産経新聞 THE SANKEI NEWS-https://www.sankei.com/world/news/190822/wor1908220013-n1.html
露、中距離ミサイル再開発 米の欧州配備警戒、対抗も

米国が今月2日に失効した中距離核戦力(INF)全廃条約が禁じていたミサイルの発射実験を行ったことを受け、ロシアのプーチン大統領は21日、ロシアも「同様のミサイルの開発を再開する」と表明した。米国による同ミサイルの欧州配備を警戒しているとし、そうなれば「相応の対抗措置を取る」と警告した。ヘルシンキでフィンランドのニーニスト大統領と行った共同記者会見で表明した。
 プーチン氏は、米国がルーマニアやポーランドに設置するミサイル防衛(MD)システムから、プログラムを変更するだけで発射できると主張した。
 プーチン氏は一方で、中距離ミサイルに関し、ロシアは再開発するが「米国が地球上のどこかの地域に配備しない限り、配備に踏み切らない」と強調。米国に配備を控えるよう改めて呼び掛けた。(モスクワ 共同)


2019.8.14-YAHOO!!NEWS-読売新聞-https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20190814-00050227-yom-int
ロシア反政権デモ「宣伝するな」グーグルに警告

【モスクワ=工藤武人】ロシアのプーチン政権が、9月のモスクワ市議選を巡る市選管の不正疑惑に端を発した反政権デモの拡大に神経質になっている。11日には露通信監督局が、米情報技術(IT)大手グーグルに対し、傘下の動画投稿サイト「ユーチューブ」が無許可デモの宣伝を許可しているとして抗議した。

 露通信監督局は、動画配信を利用者に伝えるユーチューブの「プッシュ通知」機能が、デモ開催を周知する役割を果たしているとして問題視し、グーグルが対応しなければ「内政干渉や、ロシアの民主的な選挙を阻害する行為とみなす」などと書面で警告した。ロシアでは若い世代を中心にユーチューブが主要な情報源として浸透している.
 露外務省も9日、在モスクワ米大使館がサイトに掲載したデモ開催に関する「警戒情報」が「デモ参加の呼びかけ」にあたるとして、米大使館に抗議した。
 7月中旬から毎週続くモスクワでの反政権デモは規模が拡大しており、今月10日は参加者数が5万人を超えた。タス通信によると、ペスコフ露大統領報道官は13日、一連のデモに関し「政治危機を示すものではない」との認識を示した。


2019.8.13-産経新聞 THE SANKEI NEWS-https://www.sankei.com/world/news/190813/wor1908130012-n1.html
ロシアの爆発は「新型兵器」 米側は「原子力巡航ミサイル」と指摘
(小野田雄一、ワシントン 黒瀬悦成)

 ロシア北西部アルハンゲリスク州の軍事施設で起きた爆発事故で、露国営原子力企業「ロスアトム」のリハチョフ社長は12日、死亡した5人の従業員の葬儀に出席し、「悲劇は新たな特殊製品の実験中に起きた。新型兵器の完成にこぎ着けることが最善の供養になる」と述べた。インタファクス通信が伝えた。
 同社の幹部技術者も国営テレビに対し、事故は小型原子炉の開発に関係したものだったと明らかにした。これらの発言から、爆発事故が原子力を利用した新型兵器開発に関係していたことが確実となった。

 トランプ米大統領は12日、この事故について、ロシアが開発中の原子力推進式巡航ミサイル「9M730ブレベスニク」が爆発したものだとツイッターで指摘した。トランプ氏は「米国にも同様の技術はあるが、より発達している」と誇示し、「爆発は施設の周辺と、より広い地域の大気(汚染)について人々を不安がらせている。良くないことだ!」と批判した。
 爆発事故は8日に発生。現場に近いセベロドビンスク市は事故後、大気中の放射線量の数値が一時急上昇したと発表したが、後にこれを取り下げた。国防省などは「同市の放射線量に目立った変化はなかった」としている。
 米核専門家のルイス氏は、包括的核実験禁止条約機構(CTBTO)の監視システムが計測した結果に基づき、爆発が協定世界時(UTC)で8日午前6時(日本時間同日午後3時)ごろに起きたとする分析を明らかにした。
ルイス氏によると、爆発事故現場の近くに同日、核燃料運搬船「セレブリャンカ」が停泊していたことが商業衛星画像で判明。同氏はCNNテレビに対し、ロシアが原子力巡航ミサイルの実験を行っていたことを示していると語った。
 ロシアが昨年夏、北極海のノバヤゼムリャ列島で原子力巡航ミサイルの実験に失敗した際も、同船が原子力推進装置の残骸の回収作業を行ったという。 プーチン露大統領は昨年3月の年次教書演説で、原子力巡航ミサイルなどの新戦略兵器を開発・保有していると強調し、米国を牽制(けんせい)していた。

原子力巡航ミサイルは事実上無制限の航続距離を持ち、米ミサイル防衛(MD)網に捕捉されない複雑な飛行経路をとることができるとされる。(小野田雄一、ワシントン 黒瀬悦成)


2019.8.11-産経新聞 THE SANKEI NEWS-https://www.sankei.com/world/news/190811/wor1908110012-n1.html
露軍事施設で爆発事故 「原子力ミサイル」との関連を指摘する声も

【モスクワ=小野田雄一】ロシア北西部アルハンゲリスク州の軍事施設で8日、爆発事故が起き、露国営原子力企業「ロスアトム」は10日、この事故で従業員5人が死亡したと明らかにした。同社は「ミサイルを構成する放射性同位体の動力源」に関わる実験中に事故が起きたと説明。周辺地域では事故後に放射線量の上昇が観測されたとの情報もあり、事故はロシアが開発を進める原子力推進式の新型ミサイルとの関連が指摘されている。
 露国防省は8日、「液体燃料式エンジンの実験中に事故が起きた。6人が負傷し、2人が死亡した」「周辺の放射線量に変化はない」と発表していた。
 しかし、現場に近いセベロドビンスク市は事故後、一時的に1時間当たり2マイクロシーベルトの高い放射線量が観測されたと発表。ロイター通信は「同市は9日、発表を説明なく取り下げた」と報じた。露当局はその後、「一連の測定の結果、ここ1週間に同市で放射線量の目立った変化はなかった」と説明。露地元メディアは住民らが放射能の体内蓄積を防ぐためにヨウ素剤を購入していると伝えている。

 露国防省やロスアトムは実験内容やミサイルの種類について詳細を公表していないが、露メディアによると、爆発が起きたのは巡航ミサイルなどの実験施設だった。ロイター通信は「事故は原子力推進式ミサイルの実験中に起きた可能性がある」とする米専門家の見方や、「(放射線量に変化はなかったとする)ロシア側の説明は信用しにくい」とする米政府高官らの見解を伝えた。
 プーチン露大統領は2018年の年次教書演説で、「米国のミサイル防衛(MD)システムでは防げない原子力推進ミサイルの実験に成功した」などと述べていた。


2019.8.10-朝日新聞 DIGITAL-https://www.asahi.com/articles/ASM8B55S4M8BUHBI01B.html
ロシア実験場で爆発、国営原子力企業の職員死亡

ロシア北部アルハンゲリスク州の海軍ミサイル実験場で起きた爆発事故をめぐり、同国の国営原子力企業「ロスアトム」は10日、同社職員5人が死亡、3人が負傷したと明らかにした。国防省は同省職員と関連企業職員の2人が死亡、6人が負傷と発表していたが、5人との関係は不明。ただ同省筋も同日、インタファクス通信にロスアトムの専門家らの死亡を認めた。

爆発は8日、同州セベロドビンスク近郊のニョノクサにあるミサイル実験場で起きた。国防省は液体燃料エンジンの実験中だったと発表したが、ロスアトムは職員らが放射性同位元素を使った装置の実験に立ち会っていたとした。
 インタファクス通信によると、爆発後の放射能レベルについて、国防省が「正常値」とする一方で、セベロドビンスクの市当局は一時的に危険とされるレベルを超えて毎時2マイクロシーベルトに上昇したとしていた。爆発後、実験場が接する広い湾の一帯で1カ月間の航行制限が発表された。専門家からは、爆発はプーチン大統領が開発を明らかにした原子力推進型ミサイルの実験と関係しているとの見方も出ている。


2019.8.8-産経新聞 THE SANKEI NEWS-https://www.sankei.com/world/news/190808/wor1908080009-n1.html
親権剥奪、刑事罰適用…ロシア当局、強硬姿勢強める モスクワ市議会選抗議デモ

【モスクワ=小野田雄一】9月に予定されるモスクワ市議会選(定数45)をめぐる不正疑惑への一連の抗議デモで、ロシア当局がデモ参加者らへの強硬姿勢を強めている。モスクワの検察当局は8日までに、男児(1)を連れてデモに参加したとされる両親から親権を剥奪する手続きを開始。警察当局は参加者らを2千人規模で拘束し、刑事罰の適用も拡大させている。デモの沈静化を狙った当局側の強権的手法にデモ側は反発を強めており、事態の推移は予断を許さない状況だ。
 モスクワ市検察当局は6日、7月27日に行われた無許可デモに1歳の男児を連れて参加し、男児の命を危険な状態に置いたとして、両親からの親権剥奪をモスクワの裁判所に請求したとする声明を発表した。
 声明によると、両親は無許可デモに参加中、男児を第三者に手渡した。この行為は子供の保護を両親に義務付けたロシアの法律に反し、親権剥奪の理由になるとしている。子供を連れていた他のデモ参加者についても捜査を進めるとした。

 露メディアによると、両親の弁護人は「男児を手渡した相手は近親者で、男児に危険はなかった。両親はデモ参加者ではなく近くを通りかかっただけで、違法行為もなかった」と検察側に反論。今後、裁判所が審理して判断する。
 警察当局も圧力を強めている。7月中旬以降に毎週行われているデモには、これまでに計数万人が参加したとみられ、警察当局は秩序維持などの名目で計約1700人を拘束したと発表。露人権団体は拘束者数を2千人以上としている。
 警察・検察当局は従来、拘束者には原則的に罰金や短期収監などの行政罰で対応してきた。しかし事態の沈静化を狙う当局側は無許可デモを「暴動」とみなし、より罰則の重い刑事罰を適用する姿勢を強めている。露メディアによると、既に約10人が刑事事件として立件され、有罪の場合は2〜8年にわたって収監される可能性があるという。

 モスクワ市議会選をめぐっては、反体制派の活動家ら10人以上が、候補者登録に必要な有権者の署名5千人分を市選管に提出したものの、市選管は署名の偽造を理由に登録を却下。反体制派の立候補を阻止するために有効な署名が故意に無効にされた疑いが指摘され、立候補を却下された活動家らの呼びかけで抗議デモが続いている。


2019.8.3-産経新聞 THE SANKEI NEWS -https://www.sankei.com/life/news/190803/lif1908030020-n1.html
シベリアで記録的山火事、ロシア放置 鎮火不能で雨乞いあるのみ

【モスクワ=小野田雄一】6月に世界規模で観測された熱波が原因とみられる山火事がシベリア地方を中心とするロシア東部で多発し、計330万ヘクタール(日本の国土面積の11分の1)が焼失する記録的な被害となっている。露政府は7月31日になってようやく消火活動に本腰を入れ始めたが、効果は限定的で制御不能に近い状態だ。露メディアは、近年の消火関連法の改正で加えられた新たな規定が山火事の放置を招き、被害を拡大させたと指摘している。
 ロシアでは6月ごろからシベリアや極東など広範な地域で山火事が多発。7月末時点で計330万ヘクタールが焼失した。煙はシベリアのノボシビルスクや中部ウラル地方のエカテリンブルクなど大都市まで飛来し、SNS(会員制交流サイト)上には住民らの「煙で呼吸できない」との悲鳴が相次いでいる。当局側に緊急対応を求める署名も50万人分以上集まった。
 露政府は7月31日、航空機を使った消火活動を本格化させるなど対策に乗り出したが、それまでに鎮火した火災は全体の3%にとどまっていた。

 複数の露メディアはその要因として、2015年の消火関連法の改正で「消火費用が山火事による損害を上回る場合、消火しなくてもよい」との規定が加えられ、当局側がその規定を根拠に山火事を放置していたと指摘する。この規定は、財政難や人員不足に対処するため、シベリアなど住民が少なく、消火部隊の派遣が困難な僻地を対象として新設された。
 露メディアは、当局は山火事が小規模だった段階で消火活動をしておくべきだったと指摘。露経済紙コメルサントは7月30日、「これほど大規模になった火災の鎮火はもはや不可能で、できることは雨を願うだけだ」とする専門家の悲観的なコメントを伝えた。

 世界気象機関(WMO)は7月、欧州など各地に地球温暖化に伴う熱波が到来し、世界の6月の気温は観測史上最高を記録したと発表。シベリアの6月の平均気温は、1981年から2010年の平均を約10度上回った。米国のアラスカ州は観測史上2番目に暑い6月となり、フランス南部でも6月末、本土の観測史上最高となる45・9度を記録。シベリア北部などの北極圏では6月以降、大規模な山火事が100件以上起き、WMOは「これほど高緯度での大規模な山火事は異例」との見方を示した。


2019.7.28-産経新聞 THE SANKEI NEWS-https://www.sankei.com/world/news/190728/wor1907280005-n1.html
モスクワ拘束者1300人超に 市議選の不正疑惑に抗議

9月のモスクワ市議選に出馬予定だった独立系候補が出馬を阻まれた疑惑を巡り、野党支持者ら3500人以上が27日、モスクワ市役所前で抗議集会を開こうとして治安当局と衝突した。警官隊は当局が許可していないとして市役所周辺から市民を排除し、1300人以上(野党系サイト)を拘束した。
 独立系候補はプーチン政権に批判的な立場。立候補登録に必要な有権者の署名が実際は有効だったにもかかわらず、モスクワ市選管に「無効」と判断された疑惑が強まっており、20日にも数万人規模の抗議集会が行われたばかり。
 27日は市役所周辺の歩道が封鎖されて通行不能となり、抗議する市民らは「通らせろ」などと訴えた。治安当局は特殊部隊も動員し群衆を立ち退かせる一方で、警棒も振り上げ次々に拘束した。(共同)


2019.7.27-産経新聞 THE SANKEI NEWS-https://www.sankei.com/world/news/190727/wor1907270009-n1.html
露デモ約500人超拘束 モスクワ市議選の候補者排除に抗議

【モスクワ=小野田雄一】モスクワ中心部で27日、9月に予定されるモスクワ市議会選(定数45)の候補者排除に抗議するデモがあり、少なくとも520人が治安当局に拘束された。市議選に関するデモは3週末連続。前回の20日には推定約2万2千人が参加し、近年の政治デモとしては異例の規模だった。
 デモは、汚職追及で知られる反政権派指導者、ナワリヌイ氏周辺の活動家など10人以上が立候補登録を拒否されたことに抗議して行われた。候補者らは登録に必要とされる有権者の署名5千人分を市選管に提出したが、署名の「偽造」を理由に却下された。選管が政権の意を受け、多くの署名を意図的に「無効」とした疑いが指摘されている。
 ロシアでは経済低迷の長期化や公職者の腐敗を背景に、政権が統制する管理選挙に厳しい目が向けられつつある。
 27日のデモは市の許可を受けておらず、治安当局は開始直後から参加者の強制排除に乗り出した。負傷者が出ており、拘束される人数もさらに増えそうだ。


2019年4月8日
露に領土返還の意思は毛頭ない 北海道大学名誉教授・三村 汎
産経新聞・・・正論

ロシアでの世論調査結果は、たしかに信用しがたい。まず、3大世論調査組織のうち2つまでが、官製機関である。次いで、調査方法も適切といいがたい。
     固定電話にかけて設問するので、若年層でなく、自宅にいる年金生活者の声を反映しがちである。
  このような欠陥をもつ調査とはいえ、参考になる点がある。1は時期別の数字の変化が分かること。2は政権がどのような項目について、
     調査を欲しているのかが明らかになることだ。具体例を挙げて説明しよう。
≪人気凋落にあえぐプーチン氏≫
プーチン大統領の人気は多少水増しされているとはいえ、概して高いので、必ず3大機関はこの種の調査を実施する。その結果、ロシア国民間の
     プーチン大統領支持率の相対的な変化が判明する。プーチン氏の人気は、2014年のクリミア併合後に86・2%、15年のシリア空爆開始後に
     89・9%へと急上昇した。ところが現時点では64%へと落ちている。1月には、同氏を信頼すると答えた者は33・4%、「ロシアが誤った方向へ
     進みつつある」とみなす者は45%。全て06年以来、最も悪い数字である。
   プーチン大統領の人気凋落(ちょうらく)傾向の理由は、明らかといえよう。一言でいうと、同大統領がこれまで実施した対外的冒険行使のつけが
     回ってきたのだ。同大統領は、ウクライナやシリアで「勝利を導く小さな戦争」を敢行し、ロシア国民から拍手喝采を浴びた。だが、
     戦争は始めるのは容易だが、終結するのはむずかしい。その後、二正面作戦の泥沼から足を抜け出せないために戦費や駐留費がかさみ、
     ロシア経済を圧迫している。ロシア国民は、対外的成果の美酒に暫しの間酔っていたが、振り返ってみると己の冷蔵庫がすっかり空っぽに
     なっていることに気づかざるを得なかった。彼らは、経済上深刻な“三重苦”に見舞われている。原油価格の暴落、ロシアの通貨ルーブルの
     急降下、先進7カ国による経済制裁である。プーチン政権は、国庫収入を増大させようとして、年金支給年齢の引き上げや付加価値税の増額
     を図ろうとした。ところが、政治的不自由には耐えるロシア国民も、物質的生活水準の低下には抵抗を示す。
   1917年の二月革命も「パンよこせ!」の抗議運動からはじまった。また、2004〜05年、プーチン政権が社会保障関連の諸特典をソビエト期の
     現物支給制から現金化へ移行させたときも、国民は彼らが従来受けとってきた権利や便宜を目減りさせる政策転換とみなし、街頭デモを繰り返した。
≪脈ある交渉は秘密裏に進む≫
領土「引き渡し」の是非を問うべきか、否か。現ロシアで世論調査実施の是非は、プーチン政権の意向次第で決定される。このことを如実に示したのは
     中露間国境線の決定時だった。プーチン政権は04年、中国との領土紛争に終止符を打った。すなわち同政権は、ウスリー川とアムール川の
     合流点の三角州に位置する3つの島(ボリショイ、タラバーロフ、大ウスリー島)の主権帰属先問題に関して、係争3島の全面積を2等分し、
     その半分を中国領と認めることに同意した。
   現文脈で重要なのは、しかしながら、このときプーチン政権は同交渉の経緯をロシア国民に一切知らせず秘密裏に話を進めた事実だった。
     なぜ、そうしたのか。その理由は明らかだろう。もしロシア国民、とくにその極東地域の住民たちが交渉の進行状態を知った場合、必ずや彼らは
     プーチン政権の最終決定に猛反対するに違いない。同政権は、こう危惧したからである。
   実際、同三角州を己の行政下においているハバロフスク地方のビクトル・イシャーエフ知事は、たとえ1平方メートルの土地ですら中国に引き渡すことに
     反対していた。それを熟知していたプーチン政権は中国との交渉を隠密裏に進め、ロシア国民に向かい世論調査を実施し、彼らの意向を前もって
     質(ただ)すつもりなど毛頭示さなかったのだ。
≪世論調査の実施は何を物語るか≫
右の歴史的先例は、北方領土問題解決の展望に関して悲観的なヒントを提供する。というのも、プーチン政権は、日本との国境線画定問題ではまさに
     正反対の手法を取っているからだ。すなわち、北方領土の対日引き渡しの是非をロシア国民の意向を問う世論調査を積極的に実施している。
   筆者は、北方領土の島民たちに同調査を実施している様子をロシア・テレビ「ベドモスチ」で見たが、何と係官が回答者1人ずつに面接し答えを
     書き込む手法だ。このような直接インタビュー方式で領土の対日返還に賛成と答える勇気のある者など現れるはずはなかろう。案の定、
     ロシア人住民の77%、島民の96%が反対と答えた。手法はともあれ、日本との領土交渉に関してはプーチン政権は世論調査を行わせている−
     このこと自体が、島を引き渡さない政権の意向を明確に物語っている。日本側はこのメッセージを厳粛な事実として受け止める必要があろう。
(きむら ひろし)

露のクリミア併合

2019年3月18日
【主張】クリミア併合5年 露の暴挙を忘れてならぬ-産経新聞
ロシアがウクライナ南部のクリミア半島を一方的に併合して18日で5年となる。 ロシアはこの間、自国本土からクリミア半島に架橋し、現地に発電所を
     建設するなど実効支配を強めてきた。ウクライナの領土を強奪した暴挙を日本と国際社会は決して許してはならない。
  ウクライナでは2014年2月、首都キエフなどでの大規模デモで親露派政権が崩壊し、親欧米派が実権を握った。クリミア併合は、これに怒った
     プーチン露政権が強行したことだった。 プーチン政権は、ロシア系住民の多いクリミア半島に軍の特殊部隊を投入し、行政庁舎や議会、
     テレビ放送拠点といった中枢施設を占拠させた。その上で「キエフには民族主義のファシスト政権が発足した。ロシア系住民には危険が迫っている」
     といったプロパガンダ(政治宣伝)を行った。
  ロシアは、クリミアで同年3月に行われた住民投票で「ロシア編入」が支持されたと主張する。しかし、ウクライナ憲法に反し、武力を背景に行われた
     投票を認められないのは当然だ。 旧ソ連で第2の構成国だったウクライナは1994年のブダペスト覚書で、核兵器を放棄する見返りに、
     米英露から安全保障の約束を得た。ロシアがこの合意を踏みにじったことの悪影響は、核不拡散の面でも重大だ。
  プーチン露大統領が、クリミア併合に際し、核戦力を臨戦態勢に置く用意があったと発言した事実も忘れるべきでない。 ロシアは2014年春、
     クリミア併合の余勢を駆って、ウクライナ東部でも親露派武装勢力を支援して同国軍との戦闘をたきつけた。この紛争は1万人超の死者を出し、
     今も終結していない。 昨年11月にはクリミア半島の近海で、ロシアの沿岸警備艇がウクライナ海軍の艦艇に発砲し、3隻を拿捕(だほ)した。
     ロシアは乗員24人の拘束を続けている。 クリミア併合は現在進行形の問題であるとの認識を持ち、対露制裁を維持する必要がある。
  武力による現状変更という意味で、クリミア併合は北方領土問題と同根である。中国が、南シナ海の人工島で軍事拠点化を進めていることも
     然(しか)りだ。 北方領土問題を抱えているわが国こそが、クリミア併合を厳しく糾弾せねばならない。







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