自然界の問題-海洋熱波問題-1
2023.06.07-Yahoo!Japanニュース(FNN ニュースプライム)-https://news.yahoo.co.jp/articles/729e788846033489771d2
北極海の氷 2030年代消失も 地球温暖化の影響で
地球温暖化の影響により、
早ければ2030年代の夏の時期に北極海の氷が初めて解けてなくなる可能性があることが最新の研究でわかった。 これは、韓国の浦項工科大学などの研究チームが6日、イギリスの科学雑誌「ネイチャー・コミュニケーションズ」に発表したもの。
研究チームが、2019年までのおよそ40年間の観測データをもとにシミュレーションを行った結果、早ければ2030年代の9月にも北極海の氷が初めて解けてなくなり、秋以降は回復するものの、その後も頻繁に氷の消失が起こる可能性があるという。
研究チームは、温室効果ガスの増加が原因と警鐘を鳴らしている。
2022.07.20-JAMSTICウオッチ-https://www.jamstec.go.jp/aplinfo/kowatch/
最近の海洋熱波・寒波(2022/7)
最近の水温の状況
最近の日本周辺の海面の水温の状況を見てみます。
今年6月19日と7月13日の海面の水温の
平年との差を見たものです。平年より高い場所が赤っぽい色、低い場所では青っぽい色になっています。
同じく水深100mです。
水深100mでも海面と同じ変化が見られれば、水温の平年との差が天気だけでなく海流の影響を受けている可能性が高くなります。
6月に比べ7月は海面で平年より温度が高いところが広がっています。この高い海面水温が各地の大雨にどう影響しているかは気になるところです(「
豪雨の鍵をにぎる東シナ海」参照)。
特に暖水渦の影響を受けている北海道南東では平年より高い水温になっています(
「暖水渦が引き続き強い」(親潮ウォッチ2022/7)参照)。
海面でははっきりしませんが、黒潮大蛇行の冷水渦で平年よりかなり冷たい水が存在します。また、黒潮大蛇行の影響で黒潮が関東・東海沖近くを流れ、沿岸で平年より温度が高くなっています。今後の日本周辺の水温については、「
季節ウォッチ」も参考にしてください。
海洋熱波・海洋寒波
海洋熱波とは、数日から数年にわたり急激に海水温が上昇する現象です。その発生頻度は過去100年間で大幅に増加しており、海洋生態系に与える影響が危惧されています(
[プレスリリース] 北海道・東北沖で海洋熱波が頻発していることが明らかに)。
海洋熱波でよく用いられている基準を使って日本周辺の海面での海洋熱波・寒波の発生状況を見たものです。同じく、水深100mでの海洋熱波・寒波の発生状況です。
数字が1以上になっている所が統計的に10%以下しか発生しない高い温度である海洋熱波が発生している所です。数字が大きいほど強い海洋熱波であることをしめしています。平年よりどれだけ水温が高いのかを温度差でしめしているのに対し、その中でもまれな温度変化をしめしています。
日本周辺の海面では、北海道周辺、日本海、東シナ海が海洋熱波になっています。昨年の夏の北海道周辺の海洋熱波がその後の赤潮に影響を与えた可能性があり、今年も注意が必要かもしれません。一方、水深100mでは、海面ほど海洋熱波の範囲は広くありません。黒潮大蛇行による冷水渦では極端な海洋寒波になっています。
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[1]この記事では、今年の値はJCOPE2Mを使っています。平年の値はJCOPE2M再解析の1993~2020年の平均を使っています。JCOPE2M再解析データは学術研究利用では
無償で公開しています。
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[2]「
黒潮大蛇行で夏の関東蒸し暑く」(杉本周作、新学術研究領域・気候系のHOTSPOT2研究成果紹介)
[3]JCOPE2Mの1993~2020年のデータを使い、統計的に10%以下(90パーセンタイル)の高温が5日以上続いた場合に海洋熱波としています。平年との差が海洋熱波の基準(90%タイルと気候平均の差)の2倍以上である場合は2,3倍以上である場合は3とカテゴリー化しています。笹川平和財団・海洋危機ウォッチ「
【研究紹介】 海洋熱波 -marine heat waves-」参照。逆に統計的に10%以下(10パーセンタイル)の低温が5日以上続いた場合には海洋寒波としています。
[4]「
道東海域における赤潮発生メカニズムと考えうる防除対策」(
北海道大学大学院水産科学研究院准教授◆山口 篤, 海洋政策研究所Ocean Newsletter)
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