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裁判-法律問題-2023年3月~2023年11月


2023.11.28-産経新聞-https://www.sankei.com/article/20231128-IJYN7WBT6BM45EVBOIP6UG6YDA/
裁判官の弾劾裁判が異例の長期化 私的な表現と罷免の是非は?

  ツイッターなどの交流サイト(SNS)への投稿などで不適切な表現をした裁判官を罷免することができるのか? 事態は長期化の様相を呈している

  仙台高裁のA判事(57)=職務停止中=は令和3年6月、国会の裁判官訴追委員会から訴追され、2年以上経過した現在も裁判官弾劾裁判所(裁判長・船田元衆院議員)での審理が続いている。訴追の理由は、A裁判官のSNSへの投稿や発言などの職務に関係ない私的な表現行為が「裁判官としての威信を著しく失うべき非行があったとき」(裁判官弾劾法)に該当する、というものである。
  A裁判官が平成29年に東京都の女子高生殺害事件に関して「遺族には申し訳ないがこれでは単に因縁つけているだけですよ」との文章を掲載したことや、平成30年に犬の所有権をめぐる民事裁判で飼い主を冷やかすようなツイートをしたことなどが問題視されている。A裁判官は裁判の技術を分かりやすく伝えた法曹界のベストセラー「要件事実マニュアル」の著者であり、また、司法を身近に感じてもらうためにSNSを活用するなど、積極的な情報発信を行う裁判官として知られている。
  憲法上、司法権の独立を図るために裁判官の身分は厚く保障され、公の弾劾によらなければ、裁判官は心身の故障で執務できない場合を除き、罷免されない」とされている。公の弾劾については、「国会は、罷免の訴追を受けた裁判官を裁判するため、両議員の議員で組織する弾劾裁判所を設ける」「裁判官の罷免の訴追は、各議院においてその議員の中から選挙された同数の訴追委員で組織する訴追委員会がこれを行う」と定められている。
  訴追委員会への訴追請求は日本国民であれば誰でもすることができ、訴追委員会が「弾劾事由あり」と判断すれば、弾劾裁判所へ訴追され、裁判が開始される裁くのは衆参各院から7人ずつ選ばれた計14人の国会議員であり、弾劾裁判制度は司法への民主的コントロールの究極の手段とも言われている
  一連のA裁判官の表現行為が遺族ら関係者への配慮を欠いた不適切なものであることは否定できない。ただ、このことと罷免までできるかについては、より慎重な考察が必要である
  「裁判官としての威信を著しく失うべき非行」については、「裁判官としての地位を剥奪することが正当化されるほどの重大かつ明白な非違行為」に限定されるべきである、との解釈もある。実際、過去に裁判官が罷免された事案は7件のみであり、いずれも、収賄、職権乱用、児童買春、ストーカー行為、盗撮など、重大かつ明白な非違行為であった。
  また、弾劾裁判は一審制であり再審理がないため、より厳格かつ慎重な審理がなされなければならない。罷免されると法曹資格自体を失い、検察官・弁護士にもなれないという重大な不利益が生じる。
  今回の弾劾裁判は、司法の独立・裁判官の身分保障・表現の自由などさまざまな重要な要素を含んでいる。「私的なツイートでクビになるなら、裁判官は権力者の顔色ばかりうかがうようになってしまう」「裁判所が裁判官による情報発発信やSNS利用を抑制しようとしている」との意見がある一方で、「表現の自由をはき違えている」「こんな人が裁判官でいいのか」との批判もある。
  近年のSNSを巡る問題については拡散しやすく深刻な被害につながることから、厳しく対応していこうとの流れがあることも事実である。弾劾裁判の今後の行方が注目される。

堀内恭彦(ほりうち・やすひこ)
  弁護士。昭和40年、福岡市生まれ。福岡県立修猷館高校、九州大学法学部卒。弁護士法人堀内恭彦法律事務所代表。企業法務を中心に民事介入暴力対策、不当要求対策、企業防衛に詳しい。九州弁護士会連合会民事介入暴力対策委員会委員長などを歴任。九州ラグビーフットボール協会理事(スポーツ・インテグリティ担当)、九州大学ラグビー部監督。


2023.11.27-産経新聞-https://www.sankei.com/article/20231127-5B5FHJWNCJLLPAGYX55C2EBPLE/
「差し控えたい。後で答える」A被告、被害者側の質問に留保繰り返す

  36人が死亡し、32人が重軽傷を負った令和元年7月の京都アニメーション放火殺人事件で、殺人罪などに問われたA被告(45)の裁判員裁判は27日午後、被告人質問が行われた。A被告は冒頭では事件についての後悔と苦悩を率直に語っていたが、被害者参加制度を利用して法廷に立った遺族や代理人の質問には一転して「差し控えたい」「後で答える」と繰り返し、回答を留保した。

  この日は弁護人に続いて検察官が質問。被告が以前、精神鑑定を受けた医師の前で、自身の量刑に関して「極刑以外ありえない。(裁判を)早く終わらせたい」と発言したことについて現在の心境を問う場面があった。
  ここで被告が弁護人と打ち合わせをした後、被告の供述態度は一変。これ以降はほとんどの質問に応じなくなった。
  事件で亡くなった寺脇(池田)晶子さん=当時(44)=の夫は「京都アニメーションの作品を見て感銘を受け、小説を書き始めたんですよね」と、これまで被告が法廷で語ってきた内容を確認したが、被告は「そうですが、これ以上の答えは差し控えたい」と述べるにとどめた。
  別の被害者の代理人は、被告が「質問に答えることが責務」と供述していたことを踏まえ、「方針を変えたのはなぜか」とただしたが、裁判長が弁護側の異議を認め、この質問は打ち切られた。


2023.11.13-産経新聞-https://www.sankei.com/article/20231113-3X4UCWUUQJNAJEJJBVIXLQEBXE/
池袋暴走、元院長側への賠償命令確定 保険会社支払い

  平成31年の東京・池袋の乗用車暴走事故妻子を亡くした松永拓也さん(37)ら遺族が、車を運転していた旧通産省工業技術院元院長のA受刑者(92)=禁錮5年の実刑確定=保険会社に損害賠償を求めた訴訟で、A受刑者側に計約1億4千万円の支払いを命じた東京地裁判決が13日までに確定した。A受刑者に代わり、保険会社が全額を支払う。

  控訴期限の10日までに遺族側、A受刑者側のいずれも控訴しなかった。10月27日の地裁判決は「アクセルを踏み続けており、注意義務違反の程度は重大」と指摘。原告となった遺族9人のうち、松永さんと両親、義理の父の計4人に対する賠償責任を認めた。
  刑事裁判の確定判決によると、A受刑者がブレーキと間違えてアクセルペダルを踏み込んで交差点に進入松永さんの妻、真菜さん=当時(31)=と長女、莉子ちゃん=同(3)=が亡くなった他、9人が重軽傷を負った。


2023.11.09-産経新聞-https://www.sankei.com/article/20231109-JCIEY5IHGFOLHNE4BT6IBAUAYE/
停止求めたのにAV販売続き「人格権を侵害」 出演者がメーカーを提訴

  出演したアダルトビデオ(AV)の販売停止を求めたのに販売が続き、人格権を侵害されたとして、現在はタレントや作家として活動する男性(34)が9日、東京のビデオメーカー「ホットエンターテイメント」に計1320万円の損害賠償などを求め、東京地裁に提訴した。

  訴状によると、男性は「大島薫」の芸名を使い、AVに出ていた。平成26年7月の撮影に参加し、メーカーは同年10月に作品の販売を始めた。
  業界健全化を目指す第三者機関が30年、作品の流通停止を求めることができる出演者向けの窓口を設けたため、男性は令和2年9月に停止を申請。だが販売や配信は続き、写真集などが無断販売され「性的な尊厳に関わる人格権を侵害された」としている。
  男性側は慰謝料の支払いのほか、4年施行のAV出演被害防止・救済法に基づく予防措置として、関連する動画などの記録の廃棄も求めた。


2023.11.07.-産経新聞-https://www.sankei.com/article/20231107-KL2PHBHIXFPSBM2KH4HNAJKTVA/
糖尿病の女性に無罪判決 低血糖で対向車に衝突 神戸地裁

  低血糖の症状を感じながら車の運転を継続し人身事故を起こしたとして、自動車運転処罰法違反(過失傷害)の罪に問われた女性被告(30)に、神戸地裁(松田道別裁判官)は7日、走行中に低血糖の症状を感じたことを認めるに足りる証拠はないとして、無罪(求刑禁錮1年2月)を言い渡した。

  判決理由で松田裁判官は、走行中に低血糖の症状を感じた事実を認定するには合理的な疑いが残り、運転中止義務違反は認められないと指摘するなどした。 判決によると、女性は令和3年10月17日夜、神戸市北区内で車を運転中に、1型糖尿病に伴う低血糖の症状によって意識朦朧状態になり、対向の乗用車と衝突。乗用車の運転手と同乗者2人の計3人に重軽傷を負わせたとしている。


2023.10.30-産経新聞-https://www.sankei.com/article/20231030-BASFCSOL2VKFTPPBDIMNXW6DNY/
元大阪狭山市議に懲役6年 主催した小学生向けキャンプで女児にわいせつ

  主催する小学生向けキャンプで、参加していた複数の女児の体を触るなどしたとして、強制わいせつの罪に問われた元大阪府大阪狭山市議のA被告(55)に大阪地裁堺支部(荒木未佳裁判長)は30日、懲役6年(求刑懲役7年)の判決を言い渡した。

  荒木裁判長は「被害女児の保護者は市議という地位を信頼していた」と指摘。「被告の監督下にあることを悪用した犯行で、極めて卑劣で狡猾(こうかつ)だ」と批判した。
  判決によると、A被告は令和2年4月~3年8月、主催する「けんちゃんキャンプ」に参加していた10~13歳の女児ら6人の体を触るなどした。
  保護者らは代理人弁護士を通じ「証言以外の証拠が乏しく、報復などを恐れながら被害を訴えた。有罪判決が下り、勇気を出して闘ってよかった」とコメントした。


2023.10.27-朝日新聞-https://www.asahi.com/articles/ASRBW5GVGRBWUTIL00Q.html
池袋暴走事故、運転の受刑者側に1億4千万円の賠償命令 東京地裁
(遠藤隆史)

  東京・池袋で2019年に起きた乗用車の暴走事故で、妻子を亡くした松永拓也さん(37)ら遺族が、車を運転していたA受刑者(92)=禁錮5年の実刑判決が確定=と保険会社に計約1億7千万円の損害賠償を求めた訴訟で、東京地裁(平山馨裁判長)は27日、受刑者側に約1億4600万円の支払いを命じる判決を言い渡した。
  判決は、A受刑者には運動機能の低下を伴う持病があり、「運転は最小限度とするよう医師から指導されていた」と指摘。それでも運転を続けた結果、アクセルとブレーキを的確に操作するという最も基本的な注意義務に違反して2人の命を奪ったと認定し、死亡慰謝料や逸失利益などを支払うよう命じた

「ひとまずの道義的な謝罪すらせず」
  判決は、A受刑者が「ひとまずの道義的な謝罪すらしないまま、刑事事件で相応の証拠が出そろった後も過失を認めず、不合理な弁解を続けた」と指摘。「刑事手続きで防御権が保障されていることを踏まえても、遺族の心情を逆なでする行為で、被害者側が受け入れるに足るだけの真摯(しんし)な謝罪がされていないことは、慰謝料算定の重要な事情だ」と述べた。 確定した場合は保険会社が支払うことになる。
  判決を受けた会見で松永さんは「(受刑者の)病気と事故の因果関係を認めてもらえた。(妻と子には)『争い事は終わったよ』と伝えたい」と話した。
  事故は19年4月に発生し、松永さんの妻真菜さん(当時31)と長女莉子ちゃん(同3)が死亡旧通産省工業技術院元院長のA受刑者は自動車運転死傷処罰法違反(過失運転致死傷)の罪に問われた。東京地裁は21年、受刑者がブレーキとアクセルのペダルを踏み間違えて赤信号の交差点に突入したと認定し、禁錮5年の実刑判決を言い渡した。受刑者が控訴せず確定した。(遠藤隆史)


2023.10.27-朝日新聞-https://www.asahi.com/articles/ASRBW76K8RBVUTIL02S.html
袴田さん再審、検察は高検が専従サポート 「有罪主張を粛々と行う」
(菅尾保、本間久志)

  袴田巌さん(87)の再審公判が始まった1966年11月の初公判で無罪を訴えてから、57年後に再び迎えた初公判有罪主張を維持する検察側と、全く違う犯人像を描く弁護側が真っ向から対立し、今後十数回の審理が続く見通しだ

  検察側は、静岡地検を主体に再審公判の準備を進めた。東京高検の検事5人ほどが専従でサポートし、有罪立証について地検と高検、最高検の3庁で幹部を含む約20人態勢で検討してきた。
  「有罪主張を粛々と行う」静岡地検の奥田洋平・次席検事は閉廷後、報道陣の取材にそう話した。確定判決で有罪の根拠の一つとされた自白調書を公判に証拠提出しなかった点は「現在の地検の判断として、立証に利用しない」と述べた。
  検察幹部は取材に「自白を唯一の頼りに強引に起訴した事案ではない」と説明。袴田さんの犯人性について「相応の疑いがあるのは間違いない」とした。
  静岡県警は「答える立場になくコメントは差し控える」と答えた。静岡県警の幹部は取材に「当時を知る人は県警にもういない。裁判を見守るしかない」と漏らした。

  秀子さんと巌さんの弁護団も閉廷後、記者会見を開いた。 秀子さんは、初公判で行った陳述について「巌は無実だから、無罪と言うしかない。最後はね、やっぱり声が震えてきた。自然に声が震えてきた」と振り返った。今後の意気込みを尋ねられ、「あと11回だろうが15回だろうが、頑張って参ります」と力を込めた。
  弁護団の田中薫弁護士は「待ち焦がれた日を、巌さんと一緒に(法廷で)迎えられなかったのは残念だ」。10人以上の弁護士が順番にマイクを握り「検察側の冒頭陳述は57年前と変わっていない」などと批判した。
  記者会見は、支援者たちも見守った。傍聴した安間孝明さん(65)は「巌さんの人生を取り戻す歴史的な瞬間に立ち会えた」と話した。(菅尾保、本間久志)


2023.10.24-産経新聞-https://www.sankei.com/article/20231024-HO7DSCDF3VI7LLZCR2XI3DQZCY/
ALS事件元医師の母親、夫殺害の罪で2審も懲役11年判決 「重要な役割果たした」

  ALS(筋萎縮性側索硬化症)患者への嘱託殺人罪などで起訴された元医師の息子らと共謀して夫=当時(77)=を殺害したとして、殺人罪に問われた無職、A被告(78)の控訴審判決公判が24日、大阪高裁で開かれた。坪井祐子裁判長は懲役11年とした1審京都地裁の裁判員裁判判決を支持し、被告側の控訴を棄却した。

  弁護側は、A被告が殺害計画を認識していたとする1審判決の事実認定に誤りがあるとして、改めて無罪を主張。認識していたとしても、計画の一端を担う幇助(ほうじょ)としての役割に過ぎないと訴えていた
  坪井裁判長は、A被告が夫の死亡前から火葬場の下調べなどをしていたことから「計画段階から犯行の実現に向けた行動を取っており、重要な役割を果たした」と指摘。1審判決に続き共謀関係にあったと認定した。
  判決によると、A被告は息子のB被告(46)=殺人罪で懲役13年の判決、控訴中=と、その知人で医師のC被告(45)=同罪などで起訴=と共謀して平成23年3月、東京都内のマンションの一室などで夫の靖さんを何らかの方法で殺害した。


2023.10.19-産経新聞-https://www.sankei.com/article/20231019-O4PKCCE7UBLFBJTGRORZMF3KVI/
「非常に陰湿」 女児虐待死で母親の交際相手に懲役14年 岡山

  岡山市で交際相手の娘の西田真愛ちゃんを虐待して6歳で死亡させたとして、逮捕監禁致死罪などに問われたA被告(40)の裁判員裁判で、岡山地裁は19日、懲役14年(求刑懲役18年)の判決を言い渡した。本村暁宏裁判長は、虐待をより過酷にエスカレートさせていったと指摘し「非常に陰湿」と非難した。

  本村裁判長は判決理由で、無抵抗の真愛ちゃんを日常的に虐待して死なせたと認定。真愛ちゃんはA被告らに対する恐怖のあまり本来の子どもらしい無邪気さを失ったとして「終わりの見えない虐待にさらされ続けた絶望は察するに余りある」と述べた。
  その上で「わずか6歳の被害者の未来が奪われた結果は極めて重大だ。経緯や動機に酌量の余地はない」とした。


2023.09.28-産経新聞-https://www.sankei.com/article/20230928-4W4SS56MNZP7BEPMLUTVQTODN4/
ひき逃げ巡り逆転無罪 東京高裁、中3死亡事故で3度目の判決

  長野県佐久市で平成27年3月、中学3年の男子生徒が死亡した事故で、道交法違反(ひき逃げ)の罪に問われた男性被告(50)の控訴審判決公判が28日、東京高裁で開かれた。田村政喜裁判長は懲役6月の実刑とした1審長野地裁判決を破棄し、逆転無罪を言い渡した。

  被告がこの事故で刑事裁判を受けるのは3度目被告は27年に自動車運転処罰法違反(過失運転致死)罪で執行猶予付き有罪判決、31年に道交法違反(速度超過)罪で公訴棄却判決が言い渡され、それぞれ確定。遺族がひき逃げでの立件を求め、長野地検が昨年1月に在宅起訴していた。
  判決などによると、事故は27年3月23日午後10時ごろに発生。中学生だった和田樹生(みきお)さん=当時(15)=が被告の車にはねられ、その後、死亡した。
  今回の裁判では、事故直後にコンビニに立ち寄った行動が救護義務違反に当たるかが争点だった。田村裁判長は「被告の行動を全体的に見れば、ただちに救護措置をしなかったとはいえない」と判断した。
  被告は車を止めた後、飲酒運転の発覚を防ぐために近くのコンビニで口臭を防止する商品を購入していた。1審判決は、この行為で被告が「救護措置を遅延させた」として、救護義務違反にあたると判断したが、2審判決は、被告がすぐに車を止めて被害者の捜索をしていたこと、コンビニから戻って被害者に人工呼吸をしたことなどから「救護義務を行う意思を一貫して持っていた」と指摘した。


2023.09.27-朝日新聞-https://www.asahi.com/articles/ASR9W4D3QR9TPTIL004.html
救済法対象外の原告らを「水俣病」と認定 国やチッソに賠償命じる
(森下裕介)

  メチル水銀を含む水が流された不知火海(しらぬいかい)沿岸で暮らしていたのに、水俣病被害者救済法(特措法)に基づく救済を受けられなかったとして、大阪府などに住む128人が国や熊本県、原因企業チッソに損害賠償を求めた訴訟の判決が27日、大阪地裁であった。達野ゆき裁判長は、沿岸で暮らした原告ら全員を水俣病と認め、1人あたり275万円の賠償を命じた。

  同種訴訟は、熊本や新潟、東京地裁でも起こされ、初の地裁判決。原告らを幅広く水俣病と認め、特措法の運用見直しを迫る形となった。
  水俣病は1956年に公式確認された。公害健康被害補償法に基づく認定患者は3千人。95年に「政治決着」で約1万人に一時金260万円などが支払われたほか、2009年施行の特措法に基づき、特徴的な症状がある約3万8千人に一時金210万円などが支払われた。対象から漏れたり、申請できなかったりした原告らが提訴した。
  水俣病は、汚染された魚介類を食べることなどでメチル水銀に曝露(ばくろ)し、発症するとされる。熊本県などは特措法に基づき、不知火海沿岸のうち、水俣湾周辺の一部地域に、68年までに1年以上住んだことなどを救済の要件としてきた。
  判決は、毛髪の水銀値の調査などを踏まえ、低濃度でも長期間、メチル水銀に曝露すれば発症する可能性があるほか、長期間たってから発症することもあるとした。
  その上で、魚介類の流通状況などから、特措法の対象地域外でも、不知火海でとれた魚介類を継続的に多食していればメチル水銀を摂取したと推認できると判断。水俣湾に仕切り網が設置された74年までに魚介類を多食し、感覚障害もある原告らについて水俣病と認めた。
  国や県は、責任が認められるとしても、不法行為から20年たつと賠償請求権がなくなる民法の「除斥期間」の適用を主張していた。判決は、除斥期間の起算点を水俣病と診断された時とし、除斥期間が経過した原告はいないと判断した。
  一方、国と県は、60年1月以降に水質二法などで規制権限を行使しなかったことの責任を負うと指摘。同月以前に曝露したと認めた原告6人についてはチッソのみの賠償責任を認めた(森下裕介)


2023.09.27-産経新聞-https://www.sankei.com/article/20230927-UVCTDNQUL5LOVFTJOKOHHXRAY4/
性的暴行と盗撮…千葉県警元警部に懲役13年、卑劣な証拠隠滅
(前島沙紀)

  「警察官としての知識や経験、立場を悪用したと認めるに足りる証拠はない」
  27日の判決公判で、千葉地裁の品川しのぶ裁判長はこう述べた検察側による「警察官として得た知識を悪用した」との主張を退けた形だが、元千葉県警捜査4課警部で課長補佐だったA被告(46)が犯行後に証拠を隠滅する中で犯罪捜査で得た経験が全く生かされなかったと言い切れるのか、疑問が残った。

  これまでの公判では、A被告が性的暴行に及んだ際、バスタオルなどで被害者の目を隠して顔を見られないようにしたり、犯行後にシーツや被害者の体を洗ったりして、犯行の証拠をなくそうとしていた数々の卑劣な行為が明らかにされた
  犯罪者が証拠をなくそうと考えるのは自然な話だ。弁護側も「(証拠隠滅は)一般人でも思いつく単純なもので、(警察官としての立場を)悪用していない」としたが、犯罪捜査や犯人の逮捕に従事する警察官である以上、潜在的に証拠隠滅の意識は強かったのではないか。8月の公判では被害者2人が書面で意見を陳述したが、一人は「(A被告は)警察官であり、ばれずに行為をすることは知っていたはずで悪質だ」と指摘した。
  さらにA被告をめぐっては、昨年8月に盗撮をしたとして現行犯逮捕された後に求められた自身のDNAの提出を約20日間にわたり拒否していたことも判明した。「何かが出てしまうかと恐れ、DNA自体を取られたくない」。DNA型鑑定で過去の性犯罪が明るみに出ることを危惧していたのだ。警察官という立場が全く影響しなかったと言い切れるとは思えない。

  厳罰化の傾向にある性犯罪は、心身に一生消えることのない深い傷を負わせる「魂の殺人」といわれる
  「目が覚めると、見知らぬ人が馬乗りになっていて、包丁を見せつけている強烈な光景と激しい恐怖は忘れられない」「包丁を見るたびに自殺してしまうのではないかと思う」。性的暴行の被害者2人は書面での意見陳述でこう訴えた。「犯人が警察官と聞いて、人々を守る立場の人がこのようなことをするのだと社会を信じられなくなり、絶望した」との声もあった。
  A被告は犯行の詳細について「あまり覚えていない」と何度も発言したが、被害者にとっては消したくても消し去れない記憶で、苦しみは計り知れない。
  27日の公判でA被告は、求刑を4年下回る懲役13年という判決に、少しうつむいた様子で耳を傾けていた。被害者はもとより、この日の判決が指摘した「法の順守を社会から強く期待される立場」を裏切って多くの人々に絶望感を与えたA被告の責任は懲役刑より重いものがある
(前島沙紀)


2023.09.22-読売新聞-https://www.yomiuri.co.jp/national/20230922-OYT1T50170/
「漫画村」元運営者の星野路実氏「漫画はアップロードしておらず無罪」…再審請求へ

  海賊版サイト「漫画村」(閉鎖)元運営者で、著作権法違反(公衆送信権の侵害)などで懲役3年の実刑が確定し、服役した星野 路実 氏(31)(東京都)が22日、福岡市で記者会見し「漫画はアップロードしておらず無罪」として、27日にも福岡地裁に再審請求を行うと説明した。

  確定判決では、共犯者の供述などを踏まえ、星野氏らが「キングダム516話」をサーバーにアップロードしたなどとして同法違反に当たると認定した。星野氏は、他の海賊版サイトにアップロードされた漫画を漫画村でみられるように特別な設定をしただけで、アップロードはしていなかったと主張アップロードしていないことを示す専門家による解析結果2点を提出するという。
  プログラマーの星野氏は会見で控訴しなかった理由について、「拘置所ではパソコンは使えず、証拠集めができなかった。最短で自由にパソコンに触れられる手段を選んだ」とし「判決は証拠を基に判断せず、法律の解釈をゆがめて有罪にした。新たな技術が出たときに解釈をゆがめて有罪にすると何がやっていいことかわからず、新しいものは出てこない。再審ではこうした点もただしたい」とした。


2023.09.20-朝日新聞-https://www.asahi.com/articles/ASR9N6V6MR9NOXIE04B.html?iref=comtop_BreakingNews_list
児童養護施設の入所少女と性交 元ホーム長に実刑判決 強姦罪は無罪
(中村英一郎)

  神奈川県内の児童養護施設で、入所していた少女と性交したとして、児童福祉法違反罪に問われた元施設ホーム長(37)の判決が20日、横浜地裁川崎支部であった。幅田勝行裁判長は「信頼につけ込み、少女の性的自由を踏みにじった。養護施設職員らへの信頼を失墜させ、社会に与えた影響は小さくない」と述べ、懲役3年6カ月を言い渡した。

  被告は2021年、職員の立場を利用し、入所していた中学生の少女と宿直室で性交したとする児童福祉法違反罪と、別の小学生の少女と性交したとする強姦(ごうかん)罪で起訴された。弁護側は、少女2人が虚偽の被害を申告したとして無罪を主張。検察側は、少女2人の供述は信用できるとして、懲役12年を求刑していた。
  幅田裁判長は、児童福祉法違反事件について、少女の供述は「おおむね一貫している」として有罪と認定した。一方、強姦事件については、少女の供述が変遷しており「時期を特定する根拠とするには信用性が乏しく、合理的な疑いが残る」とし、無罪とした
  横浜地検の塩沢健一次席検事は「判決内容を精査し、適切に対応したい」とコメントした。(中村英一郎)


023.09.09-産経新聞-https://www.sankei.com/article/20230909-4OYAKBOUBBMXPHXI53UZCGL27E/
岡山女児殺害、被告の無期懲役確定へ 最高裁が上告棄却

  岡山県津山市で平成16年9月、小学3年の女児=当時(9)=を殺害したとして殺人や強制わいせつ致死などの罪などに問われた無職、A被告(44)について、最高裁第1小法廷(深山卓也裁判長)は、被告の上告を棄却する決定をした。7日付。無期懲役とした1、2審判決が確定する。

  事件を巡っては発生から約14年後の30年5月、別事件で服役中の被告が逮捕された。物証が乏しく、被告が捜査段階で殺害を認めた際の自白の信用性が争われた。
  令和4年1月の1審岡山地裁判決は、関係証拠から自白の内容は信用できるとして被告を犯人と認め、求刑通り無期懲役を言い渡した。2審広島高裁岡山支部判決も支持した。
  1、2審判決によると16年9月3日、女児宅に侵入し、わいせつ行為をしようと女児の首を両手で絞めたが抵抗され、刃物で胸や腹を多数回突き刺して殺害した。


2023.09.05-読売新聞-https://www.yomiuri.co.jp/national/20230905-OYT1T50072/
「京アニ」放火殺人、A被告が起訴事実認める…弁護側は「心神喪失」と無罪主張

  36人が死亡、32人が重軽傷を負った2019年7月の京都アニメーション放火殺人事件で、殺人など五つの罪で起訴されたA被告(45)の裁判員裁判の初公判が5日、京都地裁(増田啓祐裁判長)で開かれた。A被告は罪状認否で「私がしたことに間違いありません」と認めた上で、「事件当時はこうするしかないと思っていた。こんなにたくさんの人が亡くなると思っておらず、現在はやり過ぎたと思っています」と述べた。

  被告の弁護側は、事件当時は善悪を判断して行動を制御する責任能力が損なわれており、刑事罰に問えない心神喪失の状態だったとして無罪を主張。もしくは、責任能力が減退した心神耗弱の状態で刑を軽減するよう求めた。公判では動機の解明も焦点となる。
  事件で重いやけどを負ったA被告はこの日、車いすに乗って出廷した。起訴状では、A被告は19年7月18日午前、京都市伏見区の京アニ第1スタジオにガソリンをまいて放火し、36人を殺害、34人を殺害しようとしたなどとされる。34人のうち32人は重軽傷を負い、他の2人にけがはなかった。
  検察側は冒頭陳述で、A被告が京アニに応募した小説からアイデアを盗まれたとの妄想を募らせ、「人生がうまくいかないのは京アニのせいだ」として、筋違いの恨みによる 復讐ふくしゅう を決意したと主張した。事件当日は、ガソリンスタンドでガソリンを購入してバケツに移し、スタジオに侵入した上で、社員がいる方向にガソリンをまいて浴びせ、「死ね」と叫びながらガスライターで点火したとした。
  検察側は「小説を盗作されたり、公安から監視されたりしているといった妄想があったが、その妄想に支配されていたわけではなく、完全責任能力はあった」と強調した。
  A被告は事件時に全身にやけどを負い一時意識不明の重体になった。その後治療が進められ、事件から約10か月が過ぎた20年5月に京都府警が逮捕。翌月に京都地裁で行われた勾留理由開示手続きにはストレッチャーに横たわったまま出廷し、質問に答えた。
  裁判は、11月上旬に検察側と弁護側が意見を述べる「中間論告」と「中間弁論」、12月上旬に「最終論告」と「最終弁論」を行い、結審する見通し。来年1月25日の判決まで予備日を含めて最大32回開かれ、143日間に及ぶ長期審理となる。
  裁判では遺族らの希望に沿い、被害者の一部は匿名で審理される。また、複数の遺族が被害者参加制度を利用し、A被告に直接質問するとみられる。


2023.08.17-産経新聞-https://www.sankei.com/article/20230817-JVJ33BKSTFOBNALUSSZZ2FGXL4/
妹を殺した犯人と対峙した115分 身勝手な男を変えた兄の一言
(西山瑞穂)

  大阪市北区のカラオケパブ「ごまちゃん」で令和3年6月、オーナーの稲田真優子(まゆこ)さん=当時(25)=を殺害したとして、殺人罪で懲役20年が確定した元常連客のA受刑者(58)。法廷では認否を黙秘しながら、死刑を望む発言や検察批判を繰り返した。そんなA受刑者と今年2月以降、大阪拘置所で7度も面会を重ねていたのが真優子さんの兄だった。「殺したいほど憎い相手」と対峙(たいじ)した115分。アクリル板越しに何が語られたのか。

「真優子を安らかに…」
  2月9日、拘置所の面会室。真優子さんの兄、雄介さん(31)は初めてA受刑者と間近に対面した。何度も面会を希望し、ようやく受け入れた。昨年10月に1審大阪地裁は懲役20年(求刑無期懲役)を言い渡し、宮本受刑者は翌月、控訴した。
  「なぜ控訴したのですか」。おずおずと問いかけると「権利ですから」。その回答に歯止めが利かなくなり、積もりに積もった怒りの感情をぶつけた。A受刑者はその間笑みを浮かべているように見え、面会終了のタイマーの音で席を立つと言い放った。「また来るなら、お菓子くらい差し入れてください」
  やんちゃで10代で家を出た雄介さんにとって、親孝行で自分の店を持つために頑張っていた真優子さんは、妹ながら「かがみのような存在」。喪失感にさいなまれる中、昨年9月に始まった1審の公判でA受刑者は終始、遺族の感情を逆なでした。
  初公判では「これって何か意味ありますか」と冒頭の手続きを遮り、起訴内容の認否を問われると黙り込む一方、「迷わずに死刑判決をお願いします」と発言。論告求刑公判では、雄介さんがA受刑者に向かって約10秒間、頭を下げ、「これ以上、傷つけないでほしい。真優子を安らかに休ませてください」と懇願した後、約50分にわたって「検察側には推測しかない。ある意味残念」などと持論を展開した。
7度目の面会
  今年5月以降の控訴審の法廷には現れなかったA受刑者。その半面、拘置所での面会は1度で終わらず続いていた。「はらわたが煮えくり返るくらい嫌な思いをしても、真優子の苦しみに比べたらどうってことない。聞き手を演じて知りたいことを引き出そう」。雄介さんがそう決心し、通い続けたからだ。
  面会は当初の2回は20分間で、その後は15分間。身の上話、家族との関係、拘置所での生活などを話すうちに、事件や裁判に関する質問にも少しずつ答えるようになった。雄介さんは面会を終えるたびに、そのやりとりを書き起こした。
  《宮本さんはなぜ犯行を認めないのか》、《認めてないわけじゃない。私ですよ。その点はあらがっていません》、《罪に向き合っていない》、《お兄さんはそう言うけど、私はもう2年もここにいるんですよ。誰よりも向き合っていると思っています》、《事件を起こして、真優子や遺族、自分の家族に思うことはあるか》、《ないです》
  裁判で弁護人は無罪を主張したが、アクリル板越しの会話はA受刑者は「犯人」だということが互いの前提。自尊心が強く、どこまでも自分本位で、他人の気持ちを理解するような心はないのではないか。雄介さんが抱いたのはそんな印象
だった。
  しかし、4日後に控訴審判決を控えた7月6日、「最後かもしれない」と臨んだ7度目の面会。いびつであっても築いてきた関係を踏まえ、雄介さんは心情に訴えかけた。
被告の目に涙が
  「あなたがのうのうと生きるのは許せないが、内省がない中で仮に死刑になっても罪を償ったとは思わない。僕も真優子に心配をかけないよう変わる努力をするから、一緒に変わりましょうよ」 時間ぎりぎりまで言葉を重ねると、突然A受刑者の目に涙が光るのが見えた。
  「取り返しのつかないことをしたと思っています。申し訳ないです」、控訴を棄却した同月10日の控訴審判決を受け入れ、確定した。
  謝罪は表面的なものだったかもしれない。何を言われようと、許すつもりは毛頭ない。ただ、今は宮本受刑者を少しでも変え、出所後に再犯させないことが使命だという思いもあり、まず一歩を踏み出せたとは思う。
  「今はそこにしか救いを見いだせないんです。真優子はもう戻ってこないから」。事件から2年超。雄介さんは絞り出すようにつぶやいた。(西山瑞穂)


2023.08.16-日本経済新聞(KYODO)-https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUF160ZR0W3A810C2000000/
堺の母子殺害、ブラジル人の夫を起訴 現地検察

  【サンパウロ=共同】堺市東区の集合住宅で昨年8月、母子が刺殺された事件で、ブラジル連邦検察は15日、ブラジル国籍の夫、A容疑者(34)を母子に対する殺人罪などで起訴した。バルボサ被告が、母親を娘の前で先に殺害したなどの罪状も公表した。

  日本の警察当局から提供された情報を基にした検察の起訴資料によると、被告は昨年8月21日、堺市の自宅で朝食中に妻、荒牧愛美さん(当時29)を長女、リリィちゃん(同3)の面前で複数回刃物で刺して殺害、その後逃亡するためにリリィちゃんも刺殺した。
  動機については、荒牧さんが被告の暴力的な言動を理由に離婚を望み、被告が離婚により日本に滞在できるビザを失うことを恐れたためだと指摘した。
  逃亡の際に被告は自宅を施錠、発覚までの時間を稼ぐために荒牧さんのスマートフォンで自宅に来ない方がいいとの趣旨のメールを荒牧さんの母親に送信したという。
  被告は同月22日に出国しブラジルに逃亡。荒牧さんとリリィちゃんは24日、洋間で倒れているのが見つかった。大阪府警が国際手配し、ブラジルの連邦警察が今年7月に逮捕した。日本とブラジルとの間では犯罪人引き渡し条約が結ばれていないため、日本政府はブラジル当局に代理処罰を要請した。連邦警察は被告の勾留を続けるとしている。


2023.07.14-Yahoo!Japanニュース(YTV)-https://news.yahoo.co.jp/articles/b639d3d49b51c283b4d278e95f0331334f61ff29
【速報】3歳男児に熱湯かけ虐待死 母親の交際相手の男に懲役10年の実刑判決 傷害致死罪と認定
(1)
  2年前、大阪府摂津市で当時の交際相手の3歳の子どもに熱湯をかけて殺害したなどの罪に問われた男(25)に対し、大阪地裁は14日、懲役10年の実刑判決を言い渡しました。  暴行罪については起訴内容の通り認定し、争点となっていた殺人罪については「意図的に熱湯をかけたものの、殺意は認められない」として、傷害致死罪と認定しました。
   無職のA被告(25)は2021年8月、大阪府摂津市のマンションで当時の交際相手の長男・新村桜利斗ちゃん(当時3)に熱湯を浴びせ続けて、全身に重いやけどを負わせて、殺害した罪に問われていました。  また、この2か月前にもクッションで桜利斗ちゃんの頭を殴って、ソファーから転倒させるなどした暴行の罪にも問われていました。

■裁判の争点は“殺人罪”が成立 するか否か
  裁判で争点となったのは殺人罪が成立するかどうかでした。
  これまでの裁判で、A被告は桜利斗ちゃんの頭を殴って転倒させるなどした暴行の罪については認めたものの、殺人の罪については「桜利斗ちゃん対して熱湯を浴びせ続けた事実はありません。殺意もありません」と起訴内容を否認していました。
  弁護側も「目撃者はおらず、桜利斗ちゃんにシャワーをかけ続けたという具体的な証拠は何もない。被告人は高温の湯を出した状態で桜利斗ちゃんを浴室に15分~20分程度放置したが、脱水症状になる可能性を把握していただけだ」として、殺人罪は成立せず、傷害致死罪にとどまると主張していました。
  一方、検察は「桜利斗ちゃんの重いやけどは全身の90%以上におよんでいて、A被告が殺意を持って、意図的に熱湯をかけ続けたことは明らかだ。裸の幼児に60度または75度の熱湯をかけるという危険極まりない虐待の方法をあえて選択した残酷な行為で、同種の事案の中でも類を見ない悪質さだ」などとして、懲役18年を求刑しました。
■被告が語った背景「懲らしめるため」「嫉妬心」
  6月に行われた被告人質問の中で、A被告は「(桜利斗ちゃんが)トイレトレーニングに失敗したので、懲らしめることにした。直接熱湯をかけようとは思っておらず、熱いシャワーを浴槽に向けて出しっ放しにし、サウナ状態にして浴室に閉じ込めた」などと説明しました。
  そのうえで、「桜利斗ちゃんは浴室の外に出ようとしていたが、10回ほど外から鍵を閉め直すうちに反応が無くなって、浴室の扉を開けたら倒れていた」などと証言しました。
  4日、審理の最後に裁判長から尋ねられたA被告は「伝えたいことがあります」と切り出すと、当時、交際していた桜利斗ちゃんの母親に向けて書いた文章を読み上げました。
  この中で、A被告は「桜利斗ちゃんはママのことが大好きで、事件当日、私と2人で家で留守番している時もバラエティパックのチョコレートを皿に取り分けて、“これママの分”と言っていました。とてもやさしい子でした」と話しました。
  そのうえで、「私はあなたの知らないところで、桜利斗ちゃんをいじめていました。3人で暮らすようになって、桜利斗ちゃんよりもあなたへの愛情が深くなって、私を見てほしいという嫉妬心があったのかもしれません。桜利斗ちゃんのことが嫌いだったわけではありませんが、自分の息子のように愛情をもって接することはできず、最低だったと思います。本当にすみませんでした」などと時折、やや声を震わせながら、読み上げました。
(2)
■判決のポイントは―
  大阪地裁は14日、A被告に懲役10年の実刑判決を言い渡しました。坂口裕俊裁判長は暴行の罪については起訴内容の通りに認定しました。
  一方で、争点となっていた殺人の罪については「殺意が認められない」として、傷害致死罪と認定しました。
  判決の中ではまず、「被害者が何らかの理由で浴室で意識を失ったとしても、60度や75度の熱湯に触れれば、起きるはずで、少なくとも5分以上はお湯を浴びていたことからすれば、A被告が意図的にお湯をかけたということは認められる」と桜利斗ちゃんにA被告が意図的に熱湯をかけた事実については認めました

   しかし、「被告人が60度または75度のお湯をかけて、被害者が死ぬと考えていたかについては疑問が残り、殺意があったとまで認められない」として、殺人罪ではなく傷害致死罪にあたると判断したということです。
   そのうえで、坂口裁判長は「被告の行為に殺意がなかったとはいえ、残酷というほかなく、傷害致死罪の同種の事件の中でも重いものだ。被告人は裁判の中で信用できない供述を繰り返しており、反省の態度もみられない。前科がないとしても、主文の通りの実刑判決はやむを得ない」と指摘しました。
   A被告は青のストライプシャツに、黒のカーディガンとスラックス姿で法廷に現れました。判決が読み上げられると、時折、うなづきながら静かに耳を傾けていました。


2023.07.10-産経新聞-https://www.sankei.com/article/20230710-TJRGIWQE5ZNG5NO7N27ZOKLEPY/
袴田さん再審 有罪立証「裁判を愚弄」 「何の配慮もない」弁護団怒り
(緒方優子)

  「裁判制度を愚弄するものだ」昭和41年に静岡県で一家4人が殺害された事件で死刑が確定し、裁判のやり直しが決まった袴田巌さん(87)の再審公判は、静岡地検が10日、有罪立証の方針を示したことで、長期化が避けられない状況となった。釈放からすでに9年。再審開始が確定した後もなお争う姿勢を見せる検察側に、弁護団からは怒りの声が上がった。(緒方優子)

  「検察側は袴田さんが無実だとわかっているにもかかわらず、審理を長期化しようとしている」
  地検が静岡地裁に立証方針を示したことを受け、弁護団は静岡市内で会見。事務局長の小川秀世弁護士は「再審請求の審理にも本当に時間がかかって、ようやくここまでたどりついた」とした上で「人の人生を何だと思っているのか。本当に腹立たしい限りだ」と検察側の姿勢を批判した。
  弁護団は4月以降、再審公判に向けた検察側、裁判所との3者協議で、袴田さんが高齢であることなどから、早期の公判開始と判決を求めてきた。ところが、検察側は初回の協議で立証方針の決定には3カ月かかると説明。期限としていたこの日、改めて争う姿勢を示したことで、弁護団側が目指していた年内の結審、無罪判決言い渡しは見通せない状況となった。
  弁護団は地検に対し「冤罪(えんざい)の被害者に対する何の配慮もない非道な行為」だとして、有罪立証を断念するよう求める抗議書を提出した。
  弁護団の会見に同席した袴田さんの姉、ひで子さん(90)は「こういうこともあるだろうとは思っていた」としつつ「裁判で最終的に勝っていくしかないでしょう。頑張っていきます」と語った。
  再審公判で再び争点になるとみられるのが、事件から1年2カ月後にみそタンクから発見され、確定判決で犯行着衣とされた「5点の衣類」に付着した血痕だ。再審開始を認めた3月の東京高裁決定は、血痕の色調などから「5点の衣類」が捜査機関によって捏造(ねつぞう)された可能性にも踏み込んだが、検察側はこの日の立証方針で、改めてこの点を強く否定した
  弁護団側は再審公判で、「5点の衣類」は「事件とは無関係の捏造証拠で、袴田さんのものでもない」とし、証拠から排除するよう求める方針。小川氏は「捜査機関による違法な捜査や証拠の捏造について強調していきたい」と語った。

立証断念、早期判決ケースも
  近年再審が行われた事件では、検察側が有罪立証の方針を維持した場合は審理が長期化する一方、有罪立証を断念したケースでは、初公判からわずか10日で判決が言い渡されたこともある。また立証方針によらず、有罪とした捜査の妥当性を検証するための証拠調べに一定の時間を要した事例もあった。
  昭和42年に茨城県利根町布川(ふかわ)で男性が殺害された「布川事件」の再審では、検察側が改めて有罪を立証。新たに遺留品のDNA型鑑定を請求したが、裁判所に却下され、最終的に無罪が確定した。公判は平成22年7月に始まり、途中、東日本大震災で期日が約2カ月延期されたこともあって、判決までに10カ月超を要した。
  一方、検察側が有罪立証を断念し、裁判所に異例の「無罪を求める意見書」を提出した東京電力女性社員殺害事件(平成9年発生)の再審は、即日結審。10日間のうちに無罪判決が言い渡された。
  検察側が有罪立証を行わなかったものの、弁護側が有罪となった過程を明らかにするため、捜査段階の記録を詳細に調べるよう裁判所に求めたケースもある。
  平成2年に栃木県足利市で女児が殺害された「足利事件」。殺人罪に問われ、無期懲役が確定した男性の再審公判では、弁護側の請求で有罪の決め手となった「噓の自白」を録音したテープの再生や、当時の担当検事らの証人尋問が行われ、判決まで約5カ月かかった。



2023.07.03-Yahoo!Japanニュース(NBS NEWS)-https://news.yahoo.co.jp/articles/51fcbe20c50c4d4bbe6112fc127021546bc0a3c0
死刑判決が確定へ 2010年兵庫・姫路3人死亡に関わった男の上告棄却「実行役の中では中核的な存在」最高裁判所

  2010年、兵庫県姫路市で、男性3人の殺害や死亡に関わったとして、殺人などの罪に問われた男に対し、最高裁は死刑を言い渡した1審、2審を支持し、男側の上告を棄却しました。

  1審判決などによりますと、A被告(56)は2010年、兵庫県姫路市で男性を監禁の末に拳銃で殺害するなど、男性3人を死亡させました。3人のうち2人の遺体が見つかっていないものの、焼却炉に人の骨が残っていたことから、A被告が2人を殺害した後に遺体を燃やしたとして、1審、2審ともに死刑が言い渡され、A被告側が上告していました。
  3日の判決で最高裁第二小法廷は、A被告から、男性を拳銃で撃って殺害したと打ち明けられた関係者の証言などを踏まえ、「実行役の中では中核的な存在」などとして、A被告側の上告を退けました。 これで、A被告の死刑判決が確定することになります。


2023.06.09-REUTERS(KYODO)-https://jp.reuters.com/article/idJP2023060801000769
軽井沢バス事故、社長ら実刑

  2016年1月に長野県軽井沢町で大学生ら15人が死亡、26人が重軽傷を負ったスキーバス事故で、長野地裁は8日、業務上過失致死傷罪に問われた運行会社社A被告(61)に禁錮3年、運行管理者だったB被告(54)に禁錮4年の判決を言い渡した。死亡した運転手の経験不足を把握していたとして「事故は予見できた」と判断した。

  大野洋裁判長は判決理由で、A被告について「運転手に必要な技量を習得させず、注意義務を怠った」と指摘。荒井被告は「運転手が以前の会社で大型バスの運転をしていないと聞いていたのに、実際の技量を把握しなかった」と述べた。
  その上で、冬季の夜間に峠道などの難所を長時間運転することになるのに、運転手を漫然と業務に従事させたとして「それぞれの過失の競合で事故が発生した」と認定した。
  判決によると、16年1月15日午前1時50分ごろ、軽井沢町の国道でバスの土屋広運転手=当時(65)=がギアやブレーキ操作を的確に行うことができず下り坂で加速、カーブを曲がりきれずに転落した。
【共同通信】


2023.06.07-神戸新聞-https://www.kobe-np.co.jp/news/jiken/202306/0016443509.shtml
被告の元少年「複数回刺した」 殺意は否認、弁護人は心神耗弱主張 神戸・高2刺殺事件初公判

  神戸市北区で2010年10月、高校2年の堤将太さん=当時(16)=が刺殺された事件で、殺人罪で起訴された当時17歳の男(30)に対する裁判員裁判の初公判が7日、神戸地裁(丸田顕裁判長)で開かれた。男は「複数回刺したが殺すつもりはなかった」と殺意を否認し、弁護人は事件当時、善悪の判断能力などが著しく低い「心神耗弱」だったと主張した。

  起訴状などによると、被告の男は10年10月4日夜、同市北区筑紫が丘4の路上で、近くに住んでいた堤さんをナイフ(刃渡り約8センチ)で複数回突き刺すなどし、殺害したとされる。冒頭陳述で検察側は、被告の男が複数回突き刺した点などから「死亡させる危険が高い行為と分かっていた」と指摘。精神鑑定の結果などから事件当時、完全責任能力があったとした。
  検察側は、男は事件前に青森県の高校で交際していた少女が好んだ「同年代の不良のように見える男性」を憎んでいたと説明。女子生徒と歩道で話していた堤さんとは面識がなかったとみられるが、そうした憎しみの対象と捉え、危害を加えることを決めたとした。
  一方、弁護側は事件に至った理由として「当時は不良のような人たちに命を狙われていると思っていた」などと述べ、事件の時期は妄想や幻聴があり、「通常の精神状態ではなかった」と主張した。
  事件では発生から約11年後の21年8月、兵庫県警が愛知県豊山町に住んでいた元少年の男を殺人容疑で逮捕。神戸地検は男の精神鑑定を行い、昨年1月に起訴した。弁護側の求めで、2回目の鑑定も実施されていた。
  丸田裁判長は冒頭、被告の男を匿名とする方針を説明。被告の男は事件当時17歳で未成年を対象にした少年法に基づいたとみられ、「反対意見があるのも踏まえて判断した」と述べた。


2023.06.05-Yahoo!Japanニュース(UバクUTY)-https://news.yahoo.co.jp/articles/613d1128485453f394f4b53c50ea34da19126fca
マニラで男性2人を保険金目的で殺害 最高裁は上告を棄却 A被告の死刑が確定へ

  フィリピンの首都マニラで山梨県内の男性2人を保険金目的で殺害した罪などに問われた男について、最高裁判所は上告を退ける判決を言い渡しました。 これにより被告の死刑が確定することになります。

  笛吹市のA被告(49)は2014年と2015年、フィリピンの首都マニラで共犯者らを通じて実行犯を雇い、韮崎市の鳥羽信介さんと笛吹市の中村達也さんを保険金目的で殺害した罪などに問われています。
  1審と2審では死刑が言い渡され、5月に最高裁で開かれた弁論で弁護側は首謀者は共犯の男でA被告は犯行に関与していないと無罪を主張していました。
  このため裁判は事件の首謀者の認定をどのように判断するのかが焦点になっていました。
   6月5日の判決で最高裁は、「人命軽視の態度が甚だしく殺害態様は冷酷」と指摘し「A被告が犯行を発案し、終始、主導的に関与した首謀者」と認定し上告を退けました。
  これによりA被告の死刑が確定することになります。 一連の事件では共犯とされる男女3人の実刑判決が確定しています。
テレビ山梨


2023.06.03-産経新聞-https://www.sankei.com/article/20230603-N64I5G7Q2JK6JMG4DOEC4DNWOQ/
「なぜ殺されなければ‥元少年は真相明らかにして」 神戸高2刺殺 逃亡11年の末に7日初公判、遺族も参加
(弓場珠希)

  神戸市北区で平成22年10月、高校2年の堤将太さん=当時(16)=が刺殺された事件で、11年にわたる逃亡の末に殺人罪で起訴された当時17歳の元少年の男(30)=愛知県豊山町=の裁判員裁判が7日、神戸地裁で始まる弁護側は殺意を否認する方針で、刑事責任能力も争点になる見通し。事件には不明な点も多く、男が法廷で何を語るのかが注目される。裁判に参加する遺族も「将太がなぜ殺されなければならなかったのか。真相を明らかにしてほしい」と訴える。

  起訴状などによると、男は平成22年10月4日午後10時45分ごろ、神戸市北区の路上で、折りたたみ式ナイフ(刃体の長さ約8センチ)で将太さんの右鎖骨上部などを多数回突き刺すなどし、失血死させたとされる。
  将太さんは交際相手だった当時中学3年の女子生徒と路上で会話中に襲われたという。男は将太さんと面識はなかったとみられ、ナイフは事件の6日後に現場近くの側溝で発見された。
  発生から約11年となる令和3年8月、難航していた捜査が一気に動いた。現場近くに当時住み、愛知に転居していた男が周囲に「人を殺したことがある」と漏らしたとの情報提供を受け、兵庫県警が殺人容疑で逮捕したのだ。男は当初、「(将太さんが)女子生徒と一緒にいるところを見て腹が立った」という趣旨の供述をし、容疑を認めていたとされる。
  神戸地検は刑事責任能力を調べるための鑑定留置を経て刑事責任能力を問えると判断し、昨年1月に殺人罪で起訴。弁護側の求めで実施された精神鑑定でも責任能力があるとの結果が出ている。
少年法適用に憤り
  「事件の時に何が起こっていたか、まだ知らないことがあるかもしれない。なぜ息子が殺されたのか。なぜ(男が)11年間も逃げたのか。法廷で真相を明らかにしてほしい」
  初公判を前に、将太さんの父、敏(さとし)さん(64)は産経新聞の取材にこう心境を明かす。
  自宅には野球のグラブをつけて照れくさそうに写る将太さんの写真が飾られている。写真を囲むように並ぶペットボトルは、将太さんが大好きだったコーラを友人らが供え物として持ってきてくれたものだ。
  事件当時、男は未成年だったため、少年法の規定が適用される。殺人のような重大事件であっても死刑や無期刑は減軽され、公判開始後も匿名扱いが続く見通しだ。
  「30歳の男に少年法を適用してどうする」。将太さんの写真を前に、敏さんは憤りを隠さない。司法制度が加害者を守り、被害者をないがしろにしているとの思いばかりが募る。
  しかも、事件が平成26年の改正少年法施行より以前に起きたため、未成年時の犯罪は有期刑の上限が15年にとどまる。判決は6月23日の予定だが、敏さんは「科せられる一番重い刑を科してほしい」と訴える。
闘い続ける覚悟
  将太さんは家族思いで、気持ちの優しい性格だった。亡くなる前に両親に宛てた手紙には《家族の役に立つようなことをしていきたい。本当にここまで育ててくれてありがとう》と記されていた。
  なぜ息子の命が奪われなければならなかったのか-。敏さんは考えれば考えるほど身体の底から激しい怒りがこみ上げる。「息子が訴えたかったこと、どれだけ痛かったか、怖かったかを伝えないといけない」。被害者参加制度を利用し、法廷では男に直接問いただすつもりだ。
  ただ、最も苦しんだのは天国にいる将太さんのはず。事件の真相を知り、犯人に厳罰が与えられるまで闘い続けることが父親の使命だと覚悟している。法廷では「冷静に向き合いたい」と敏さんは語った。
(弓場珠希)


2023.06.02-日本経済新聞-https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUF3084E0Q3A530C2000000/
キヤノン製インクカートリッジ、再生インク会社が敗訴

  プリンターに使うインクカートリッジの仕様を変えてリサイクル品の販売を妨げたのは独占禁止法に違反するなどとして、リサイクル品製造・販売大手のエコリカ(大阪市)がキヤノンに仕様変更の差し止めと3000万円の損害賠償などを求めた訴訟の判決が2日、大阪地裁であった。谷村武則裁判長は仕様変更について「違法ではない」などとして、エコリカ側の請求を棄却した。

  争点は、キヤノンが2017年に発売したカートリッジのインク残量を表示するICチップの仕様変更が独禁法の禁じる「抱き合わせ販売」や「競争者に対する取引妨害」に該当するかどうかだった
  訴状などによると、エコリカは使用済みカートリッジを家電量販店などで回収し、インクを再注入して純正品より安い価格で販売。キヤノンがICチップの仕様を変更したことで、リサイクル品はプリンターで「インクなし」と表示されるようになった
  エコリカ側は、キヤノンにとって競合するリサイクル品を販売できなくすることで市場への参入を妨害しているとし、仕様変更は独禁法違反に当たると主張。一方、キヤノン側は、残量データの初期化はできなくても印刷は可能な設計で、リサイクル品の開発も可能と反論。仕様変更は正当として請求を退けるよう求めていた
  谷村裁判長は、インク残量が表示されなくてもカートリッジの本質的な機能に大きな影響を与える問題ではないとの見方を示し、消費者が「純正品の購入を余儀なくされているわけではない」と指摘。独禁法が禁じる「抱き合わせ販売」には該当しないと判断した。
  またICチップの仕様変更が「競争者に対する取引妨害」にあたるということもできないとして、エコリカ側の請求を退けた。
  判決後、エコリカの宗広宗三社長は大阪市内で記者会見し「主張が認められず、納得できない。できれば控訴したい」と話した。キヤノンは「当社の主張が受け入れられて良かったと考えている」とのコメントを出した。


2023.05.31-産経新聞-https://www.sankei.com/article/20230531-KAIGGLM6VNIHNJH5GLG6UNXTTI/
法廷でブルーリボンバッジ着用禁止、裁判官判断の違法性認めず

  裁判官が、北朝鮮による拉致被害者の救出を願う「ブルーリボンバッジ」の着用を禁じたのは憲法が保障する表現の自由に反するなどとして、大阪府内の男性3人が国に計390万円の損害賠償を求めた訴訟の判決が31日、大阪地裁であり、達野ゆき裁判長は違法性を認めず、請求を棄却した

  原告は不動産会社「フジ住宅」(大阪府岸和田市)の今井光郎会長(77)ら3人。争点は、法廷の秩序を守る目的で裁判官に与えられた「法廷警察権」をいかに評価するかだった
  訴状によると、平成30年5月、大阪地裁堺支部で、原告らが民事訴訟を傍聴しようとした際、裁判長の命令を受けたとする職員からブルーリボンバッジを外すよう指示されたという。民事訴訟は、在日韓国人の女性が民族差別表現を含む資料を職場で配られたとして、フジ住宅に損害賠償を求めたもので、後に賠償命令が確定している。
  フジ住宅訴訟では、女性の支援者とフジ住宅の支援者が別のバッジ着用を巡ってトラブルになっており、裁判長は「メッセージ性のあるバッジは外す」と指示。この対象にブルーリボンも含まれ、判決まで着用は認められなかった。
  原告側は拉致被害が日韓で起きたことを踏まえ「ブルーリボンはフジ住宅訴訟の争点と全く関係がない」として、法廷警察権の乱用にあたると主張。一方、国側は、着用を認めれば「裁判所に対する中立性、公平性に疑問を抱かせ、当事者間の喧噪(けんそう)につながる可能性があった」として、正当な法廷警察権の行使だと反論していた


2023.05.30-産経新聞-https://www.sankei.com/article/20230530-KFKR5WBAYFPW5JI22BXRFN3C4Q/
A氏に33万円賠償命令、ジェンダー研究者の請求一部認める 大阪高裁

  女性研究者4人が、慰安婦問題やジェンダーに関する研究について事実無根の非難をされ、名誉を傷つけられたとして、自民党のA衆院議員に計1100万円の慰謝料などを求めた訴訟の控訴審判決が30日、大阪高裁であった。清水響裁判長は研究者側の請求を棄却した1審京都地裁判決を取り消し、A氏に33万円の賠償を命じた。

  提訴したのは、大阪大の牟田(むた)和恵名誉教授ら4人で、清水裁判長は牟田氏の請求の一部を認めた一方、ほかの3人の請求は棄却した。
  1審判決によると、牟田氏らの研究グループは平成26~29年度、日本学術振興会の科学研究費助成を受けて慰安婦問題やジェンダーなどに関する研究を実施。A氏は30年3~7月、自身のツイッターやインターネットテレビなどで研究について「捏造(ねつぞう)はダメ」「国益を損なう」などと発言した。
  昨年5月の1審京都地裁判決は、A氏の発言は「批判的な意見や論評」と判断。「感情的な表現ではあるが、表現方法として相当な範囲を逸脱したとまではいえない」として原告側の請求を退けた。
  原告側は判決を不服として控訴し、「科研費制度への意見ではなく、合理性を欠く」と主張。一方、A氏側は「国会議員の政治活動として科研費制度に意見を述べたに過ぎない」と反論していた。


2023.05.29-産経新聞-https://www.sankei.com/article/20230529-EZACSWMNGFNVFDFTHNPUZ6JFNA/
ALS患者嘱託殺人「共謀も実行もない」 初公判で無罪主張の元医師

  全身の筋肉が徐々に動かなくなる難病のALS(筋萎縮性側索硬化症)の女性患者に対する嘱託殺人罪などで起訴された元医師、A直樹被告(45)の初公判が29日、京都地裁(川上宏裁判長)で開かれた。A被告は、共犯として起訴された知人の医師、B被告(45)を挙げ「一緒にいたことに間違いないが、共謀も実行もしていない」と無罪を主張。弁護側は「実行したのはB被告だ」と訴えた。
  起訴状によると、A被告はB被告と共謀し令和元年11月30日、ALSで寝たきりだった京都市中京区の無職、林優里(ゆり)さん=当時(51)=に依頼され、胃瘻(いろう)から致死量の薬物を投与。急性薬物中毒で死亡させたとしている。

  検察側の冒頭陳述によると、両被告は友人を装い林さんの自宅を訪問。いったん外に出た介護士の入室を防ぐため、寝室のドアをA被告がふさぎ、B被告が薬物を投与して殺害したと指摘した。
  またB被告が、安楽死を希望する内容をツイッターに投稿していた林さんと、平成30年からやり取りを開始。令和元年8月に安楽死を持ち掛け、同10月に林さんから殺害の依頼を受けたと明らかにした。その後、B被告は報酬の送金先をA被告の口座に指定したという。
  これに対し弁護側は「殺したのはB被告で、共謀はしていない」と主張した。A被告は今回の事件とは別に、平成23年に父親=当時(77)=を殺害したとして、母の淳子被告(78)、B被告とともに殺人罪で起訴。B被告による単独犯だとして無罪を訴えたが、地裁は今年2月、懲役13年の判決を言い渡していた。A被告側は判決を不服として控訴している。
「知人医師の頼み聞くしかない状況」
  検察側は初公判で、事件の約3カ月前からB被告が交流サイト(SNS)を通じ、死亡した林優里さんに安楽死を持ち掛けていたと明らかにした。A被告も共謀していたと強調したが、無罪を訴える弁護側と真っ向から主張がぶつかる形となった。
  検察側によると、B被告は安楽死について肯定的意見をツイッターで発信。令和元年8月に「安楽死させることができる」というメッセージを林さんに送ると、その後は「山本」と名乗り、病死に見せかけて安楽死させる方法を説明していた。一方で、林さんにメッセージの削除も求めていた。
  同年11月中旬には、B被告がA被告に「京都で1時間で終わる仕事がある」とメールを送信。数日後、A被告名義の口座に林さんから130万円が振り込まれ、事件の日を迎えたという。
  検察側は両被告の関係性を「親密かつ良好だった」と主張。B被告が安楽死などに関心があったことを「A被告も認識していた」と指摘し、「共謀にあたる」と主張した。これに対し弁護側は「B被告による犯行」と反論。「B被告が何をしたのか知ったのは、林さんの部屋を出て説明を受けた後だった」と共謀を否定した。

  ただ、A被告は平成20年当時、厚生労働省の医系技官だったB被告の指南で「韓国の医大を卒業した」と虚偽申請し、医師免許を不正に取得。父親殺害を巡る公判で「(B被告と)秘密を共有しなければいけない関係になった」と供述していた。弁護側はこの日も「B被告の頼みを聞くしかない状況だった」と説明した。
  今後は事件当時の両被告の関係性も焦点になるとみられる。B被告の公判日程は未定のままだ。


2023.05.25-産経新聞-https://www.sankei.com/article/20230525-V5PE6PCKARPPXLQSGQTWXQEBI4/
両親殺害の19歳長男、公判で氏名非公開に 佐賀地裁決定

  佐賀県鳥栖市の住宅で両親を殺害したとして、長男(19)が殺人罪で起訴された事件で、佐賀地裁(岡崎忠之裁判長)は25日までに、長男や被害者の氏名などを「被害者特定事項」として公判で非公開にする決定を出した。決定は17日付。

  長男は少年法で起訴後の実名公表が可能な「特定少年」に当たり、佐賀地検が今月1日に起訴した際に「改正少年法の趣旨や付帯決議の内容を踏まえ、殺人という重大事件であることを考慮した」として実名を公表した。
  事件は3月9日に発生。起訴状によると、鳥栖市の実家で両親をナイフで複数回刺すなどし、失血死させて殺害したとしている。


2023.04.25-Yahoo!Japanニュース(TBS News DIG.)-https://news.yahoo.co.jp/articles/87d7ec6bcbda351d8800816425441f906c389304
横浜地裁がA死刑囚の再審請求を棄却 弁護側は即時抗告 相模原市の障害者施設45人殺傷事件

  相模原市の障害者施設で45人を殺傷したとして、死刑が確定しているA死刑囚(33)の再審請求について、横浜地裁が棄却していたことがわかりました。

  A死刑囚(33)は2016年7月、以前働いてた相模原市の障害者施設「津久井やまゆり園」で入所者45人を殺傷したとして死刑が確定しています。 A死刑囚は去年4月、「障害者に対する自分の考えを改めて主張したい」などと再審請求していましたが、弁護側への取材で、横浜地裁が今月18日に再審請求を棄却する決定をしていたことがわかりました。 A死刑囚は「がっかりした」などと話しているということです。 弁護側はきのう、棄却の決定を不服として横浜地裁に即時抗告しました。
TBSテレビ


2023.04.21-産経新聞-https://www.sankei.com/article/20230421-QKHNRIGTQBIGPMA7KNG2U5XZLQ/#:~
拘置所での色付き眼鏡禁止は「違法」 国に賠償命令 大阪地裁

  目の負担を軽減させる「色付き眼鏡」の使用を拘置所や刑務所で禁じられたのは不当として、元受刑者の男性と弁護人が国に約490万円の損害賠償を求めた訴訟の判決が20日、大阪地裁であった。徳地淳裁判長は、弁護人との接見時に使用を認めなかった対応を違法として、国に計37万5千円の支払いを命じた

  判決によると、男性は令和元年、大阪拘置所に収容された際の検査では視力が両目ともに0・03だった。薄紫色のついた自身の眼鏡を使用したいと求めたが、大阪拘置所は「目の動きがわからず、動静の視察に支障がある」として認めず、男性は1カ月半にわたって裸眼で過ごした。その後、弁護人が薄い色の眼鏡を用意したが、実刑判決後に収容された大阪刑務所で使用が認められなかった。
  徳地裁判長は、拘置所を管理する上で一定の制限を必要とすることは認めたが、弁護人の接見時に使用を禁じた点について「証拠書類を見ながら打ち合わせをすることができなくなる」として違法と判断。大阪刑務所で使用を禁じた措置についても、「明らかに過剰。適切に視力を矯正して日常生活を送る権利を侵害した」とした。


2023.04..08-産経新聞-https://www.sankei.com/article/20230408-PP2VYMVKR5N65AHBGXC2ICCMGI/-
袴田事件再審 検察、新たに有罪立証せず 早期無罪の公算

  昭和41年に静岡県の一家4人が殺害された事件で死刑が確定後、釈放された袴田巌さん(87)の再審公判で、検察当局が新たに有罪立証をしない方向で検討していることが7日、関係者への取材で分かった。静岡地裁で今後予定されている再審公判で、無罪判決が早期に言い渡される可能性が高くなった。

  袴田さんを巡っては今年3月13日、東京高裁が差し戻し審で再審開始を認め、東京高検が最高裁に不服を申し立てる特別抗告を断念し再審開始が確定。4月10日には再審公判の進行などについて静岡地裁、静岡地検、弁護団による初の3者協議が行われる予定で、早ければこの協議で地検が立証方針を示す見込み。
  差し戻し審での争点は、事件から1年2カ月後に現場近くのみそタンクから見つかり、確定判決で犯行時の着衣とされた「5点の衣類」に付着した血痕の変色状況だった。
  高裁は、衣類を「事件の中心的な証拠」とし、1年以上みそに漬けられた衣類の血痕は黒色などに変わるとした弁護側の主張を認め、再審開始を決めた。この決定では衣類が捜査機関に捏造(ねつぞう)された可能性にも触れていたことから、検察当局には反発もあった。
  再審では当初の確定判決までに提出されていた証拠と、再審請求の際に提出された新たな証拠を合わせて審理する。関係者によると、検察当局は、争点が衣類の血痕の変色状況の1点に絞られていた状況で特別抗告を断念している上、衣類以外の証拠から袴田さんの有罪立証を続けることは困難と判断しているもようだ。
  一方、弁護団によると、弁護側は袴田さんが高齢であることを踏まえ、再審公判では袴田さんに対する被告人質問や、新たな証人尋問は行わず、早期の結審を訴える方針という。


2023.03.31-産経新聞-https://www.sankei.com/article/20230331-J2QEMLUJPRLSLCXFH2YAQQC4DI/
一気飲み近大生死亡 元学生16人に賠償命令、大阪地裁

  平成29年に近畿大2年の登森(ともり)勇斗(はやと)さん=当時(20)=がテニスサークルの飲み会で一気飲みした後に死亡したのは、参加者らが適切な救護措置を怠ったことが原因だとして、両親が当時の学生18人に計約1億500万円の損害賠償を求めた訴訟の判決が31日、大阪地裁であり、達野ゆき裁判長は16人に救護義務違反を認定して賠償を命じた

  賠償を命じられたのは、飲み会の参加者10人(計約4220万円)と、飲み会後に呼ばれて介抱した6人(計約2530万円)。残る2人は登森さんを飲食店から運び出す際に同行しておらず、「関与の度合いが低い」と判断した。
  被告側は「危険な状態と認識していなかった」と主張したが、達野裁判長は、一気飲み後に登森さんが周囲の呼びかけに応じなくなったことなどから「放置すれば急性アルコール中毒で死亡する危険性を認識していた」と認定。すぐに救急車を呼ぶといった措置を怠ったと指摘した。
  一方、両親の「飲酒を強要された」との訴えに対しては「飲酒を重ねて求めたり、飲酒を断ることにペナルティーを設けたりした事情はない」と強要を否定、登森さんの過失を考慮して賠償額を減額した。
  判決によると、登森さんは29年12月、大阪府東大阪市内の飲食店で、ビールやショットグラス約20杯分のウオッカを一気飲み。意識がない状態で別の学生宅に運ばれ、翌朝に救急搬送されたが死亡した。近大も被告だったが、近大が再発防止に努めるとの内容で和解が成立している。
  判決を受け、両親は「被告らの責任が軽減され、受け止められない。二度とこのような事件が起きないことを強く願う」とコメントした。


2023.03.29-産経新聞-https://www.sankei.com/article/20230329-GNMZGI6FSVI4RA2G3Y4ZMZU2HM/
睡眠薬入り酒飲ませ女性客に乱暴 ミシュラン「一つ星」店主に実刑判決 大阪地裁

  女性客2人に睡眠薬入りの酒を飲ませ、店内で乱暴したなどとして、準強制性交などの罪に問われたA被告(47)の判決公判が29日、大阪地裁で開かれ、大寄淳裁判長は懲役6年6月(求刑懲役10年)を言い渡した。

  A被告は事件当時、大阪市浪速区の日本料理店「榎本」の店主。同店は飲食店を星の数で格付けするガイド本「ミシュランガイド京都・大阪」で一つ星を獲得していた。
  判決理由で大寄裁判長は、店で提供する酒などに睡眠薬を混入して女性客に摂取させて犯行に及んでいることから、「飲食店への信頼に乗じた卑劣な犯行」と指弾。一方で被害者に解決金を支払っていることなどを考慮した。
  判決によると、A被告は令和3年12月~4年2月、店内で女性客2人を抵抗できない状態にした上で乱暴するなどした。


2023.03.23-産経新聞-https://www.sankei.com/article/20230323-FALS4PL2ZBJ4TPU5UCFAA4XYJU/
小4自殺予見可能性認めず 沖縄・豊見城

  沖縄県豊見城(とみぐすく)市で平成27年、市立小4年の男子児童=当時(9)=が自殺したのは、学校側がいじめへの適切な対応をしなかったためだとして、両親が市などに計約7800万円の損害賠償を求めた訴訟の判決で、那覇地裁は23日、いじめを否定する趣旨の教育長の発言で両親が精神的苦痛を受けたとして、市に44万円の支払いを命じた。福渡裕貴裁判長は、学校側が予見できなかったとして、自殺に対する責任は否定した。

  男児の自殺に関し、市教育委員会の第三者委員会が30年、いじめが主要因の一つになった蓋然(がいぜん)性を認める報告書をまとめていた。原告側は記者会見で、いじめと自殺の関係を判断しなかったとして判決を批判した。
  判決によると、男児は27年5月以降、ズボンを下ろされたり、腰に巻いた服を「格好つけるな」と言われ引っ張られたりした。10月、自宅で首をつり、1週間後に死亡した。


2023.03.24-Yahoo!Japanニュース(テレ朝News)-https://news.yahoo.co.jp/articles/30581816382384112bef26cd49e3ae09b37b489c
【速報】ベトナム人元実習生(24)の双子の嬰児遺棄事件 最高裁が逆転無罪判決
テレビ朝日報道局

  技能実習生だったベトナム人の女性が死産した双子の遺体を遺棄した罪に問われた裁判で、最高裁は2審の有罪判決を破棄して逆転無罪の判決を言い渡しました。

死産翌日に事件発覚
  熊本県芦北町(あしきたまち)で技能実習生だったベトナム人の女性(24)は、2020年11月、実習先の寮で死産した双子の遺体を遺棄した罪に問われました。 女性は「妊娠がわかれば帰国させられる」と考え、周囲に相談せず、死産の翌日に病院を受診したことで事件が発覚しました。
女性の行為が「遺棄」にあたるのか?
  裁判で争点になったのは、遺体を二重にした段ボール箱に入れて接着テープで封をした女性の行為が「遺棄」にあたるのかどうかです。
  女性側は「埋葬する意思のもと行った安置である」として無罪を主張していましたが、1審の熊本地裁は「遺体を段ボールに入れて部屋に置き続けた行為は遺棄にあたる」として懲役8カ月執行猶予3年の有罪判決を言い渡しました。
  一方、2審の福岡高裁は、「死産から遺体が見つかるまでの期間は1日と9時間に留まり、部屋に置き続けた行為は遺棄にあたらない」と判断し、1審判決を破棄しました。 そのうえで、「他者が遺体を発見することが困難な状況を作ったことは遺棄にあたる」として、懲役3カ月執行猶予2年の有罪判決を言い渡しました。
「すべての女性のために」最高裁で逆転無罪
  この判決を不服として女性側は上告していて、最高裁は24日、2審の有罪判決を破棄して逆転無罪の判決を言い渡しました。 最高裁は先月、判決の変更に必要な手続きである弁論を開いていて、その後の会見で女性は「妊娠を誰にも言えずに苦しんでいる技能実習生や、1人で子どもを出産せざるを得ないすべての女性のためにも、無罪判決が言い渡されることを願っています」と語っていました。
テレビ朝日報道局

2023.03.21-NHK NEWS WEB-https://www3.nhk.or.jp/news/html/20230321/k10014014521000.html
「袴田事件」再審開始確定 弁護団 “一刻も早く無罪判決を”

  57年前、静岡県で一家4人が殺害されたいわゆる「袴田事件死刑が確定した袴田巌さんの再審=裁判のやり直しを認めた東京高等裁判所の決定について、検察は「承服し難い点があるものの、申し立て事由があるとの判断に至らなかった」として最高裁判所に特別抗告せず、袴田さんの再審開始が確定しました。

  弁護団は「一刻も早く袴田さんに無罪判決を聞かせたい」として今後、裁判所に対し迅速に裁判を進めるよう働きかけていく考えです。
  57年前の1966年に今の静岡市清水区で一家4人が殺害された事件死刑が確定した袴田巌さん(87)について、東京高等裁判所は今月13日、「有罪の根拠とされた証拠に合理的な疑いが生じた」として再審を認める決定をしました。
  この決定を不服として最高裁判所に特別抗告する場合、20日が期限でしたが、東京高等検察庁は「承服し難い点があるものの、法の規定する申し立て事由があるとの判断に至らなかった」として特別抗告しませんでした。
  これにより死刑確定から40年余りを経て袴田さんの再審開始が確定し、静岡地方裁判所でやり直しの裁判が開かれることになりました。
  弁護団は「一刻も早く袴田さんに無罪判決を聞かせたい」として今後、裁判所に対し、迅速に裁判を進めるよう働きかけていく考えです。
  死刑が確定した事件で再審が開かれるのは5件目で、過去4件はいずれも無罪が言い渡されています


2023.03.20-産経新聞-https://www.sankei.com/article/20230320-WWMTBOPHXJICPD7Z7JN6S7IZVM/
死刑再審、過去4件は全て無罪

  東京高検が最高裁への特別抗告を断念したことで、昭和43年に袴田巌さんに死刑判決を下した静岡地裁で、再審公判が開かれることになった。検察側・弁護側の双方が改めて主張をし、新たに判決が言い渡されるが、無罪となる可能性が極めて高い

  公開の法廷で行われる再審公判では、検察側が改めて有罪を主張し、死刑を求刑することもできる。しかし、再審自体が確定判決の有罪認定に「合理的な疑いが生じる明白な新証拠」が見つかった場合に認められるもののため、検察官が有罪主張を放棄することも珍しくない。
  地裁が出した再審公判の判決に不服がある場合、検察側は通常の刑事裁判と同じく控訴・上告することが可能だ。ただ、死刑確定後の再審公判で無罪判決が言い渡されたケースは過去に4件免田事件、財田川(さいたがわ)事件、松山事件、島田事件=あるが、いずれも検察側が控訴することなく無罪判決が確定している。


2023.03.17-REUTERS-https://jp.reuters.com/article/idJP2023031701000508
乳児の頭部傷害で父親に無罪

  大阪市福島区の自宅で2017年11月、生後2カ月だった長男の頭部に衝撃を与える暴行を加え、急性硬膜下血腫などの重傷を負わせたとして傷害罪に問われた父親で写真家A被告(59)に大阪地裁は17日、無罪判決を言い渡した末弘陽一裁判長は判決理由で、長男の血腫の量は多いとは言えず「重い暴行があったとは考え難い」と指摘した。

  求刑は懲役5年だった。長男は一時入院したが回復し、命に別条はなかった。 公判で検察側は、医師の証言を基に、頭を前後に激しく動かして初めて硬膜下血腫が生じると指摘。泣きやまない長男にいらだったことが動機で、揺さぶり以外には説明がつかないとした。
  一方、被告は長男が喉に何かを詰まらせたと思い「吐かせるため背中をたたいただけ」と説明。暴行していないとして無罪を主張していた。
  末弘裁判長は被告の主張のような軽微な外力が原因の可能性を指摘。被告が長男の容体急変後にすぐに消防に通報して経緯を説明したことなどから、検察側の見解には疑問が残り「犯罪の証明がない」と結論付けた。
【共同通信】


2023.03.15-NHK NEWS WEB(関西)-https://www3.nhk.or.jp/kansai-news/20230315/2000071866.html
和歌山 少女放置死の罪 母親の再婚相手に懲役6年判決

  和歌山市のアパートで、16歳の少女に対し、少女の母親とともに暴力を振るうなどしたうえ、放置して死亡させたとして保護責任者遺棄致死の罪に問われた母親の再婚相手に対し、和歌山地方裁判所は、「被害者の心身の苦痛や絶望の大きさは計り知れない」などとして懲役6年の判決を言い渡しました。

  和歌山県有田市の無職、A被告(41)は、おととし(令和3年)6月、和歌山市のアパートで、鶴崎心桜さん(16)に対し、少女の母親とともに暴力を振るうなどしたうえ、放置して死亡させたとして保護責任者遺棄致死の罪に問われました。
  15日の判決で、和歌山地方裁判所の松井修 裁判長は、「被害者は、母親から苛烈な虐待を受け、被告からも暴力を振るわれるなどして極度に衰弱して死に至った。心身の苦痛や絶望の大きさは計り知れない」と指摘しました。そのうえで、「119番通報などをしなかったのは、保身を考えた判断であり、相応の非難に値する」として懲役6年の判決を言い渡しました。検察の求刑は、懲役8年でした。
  この事件では、少女の母親も保護責任者遺棄致死の疑いで書類送検されましたが、すでに死亡し、不起訴となっています


2023.03.13-NHK NEWS WEB-https://www3.nhk.or.jp/news/html/20230313/k10014006661000.html
袴田巌さんの再審認める決定 東京高裁 証拠“ねつ造”疑い言及

  57年前、静岡県で一家4人が殺害された、いわゆる「袴田事件」で、無罪を主張しながらも死刑が確定した、袴田巌さんについて、東京高等裁判所は再審=裁判のやり直しを認める決定をしました。有罪の根拠とされた証拠について、決定は「捜査機関が隠した可能性が極めて高い」と、“ねつ造”の疑いに言及しました。

  袴田巌さん(87)は、57年前の1966年に今の静岡市清水区で一家4人が殺害された事件で、死刑が確定しましたが、無実を訴え、裁判のやり直しを求めています
  9年前、静岡地方裁判所が再審を認める決定を出し、袴田さんは死刑囚として初めて釈放されましたが、その後の東京高裁は一転して再審を認めず、さらに最高裁が審理が尽くされていないと判断したことから、東京高裁で再び審理が行われる、異例の展開をたどっていました。
  最大の争点は、逮捕から1年以上あとに現場近くのみそタンクから見つかった衣類についた血痕の色の変化です。衣類は有罪判決の決め手となった証拠ですが、袴田さんが隠したものかどうかを検証するため、1年以上みそに漬かった状態でも血痕に赤みが残るかどうか、弁護側と検察の双方が主張を繰り広げました。
  13日の決定で、東京高裁の大善文男裁判長は、弁護側が示した実験結果などについて、「1年以上みそに漬けられると血痕の赤みは消えることが、専門家の見解からも化学的に推測できる。袴田さんが犯行時に着ていたという確定判決の認定には合理的な疑いが生じる」として、「無罪を言い渡すべき明らかな証拠」にあたると判断し、再審開始を認めました。
  さらに、「衣類は事件から相当な期間が経過したあとに第三者がタンクに隠した可能性が否定できず、事実上、捜査機関による可能性が極めて高い」と厳しく批判しました。また、袴田さんの釈放についても、「無罪になる可能性や再審開始決定に至る経緯、袴田さんの年齢や心身の状況に照らして相当だ」として、引き続き認めました。
  決定に不服がある場合、5日以内に検察は最高裁判所に特別抗告することができますが、決定が確定すれば、裁判がやり直されることになります。
東京高裁の前では支援者らから喜びの声
  東京高等裁判所の前では、再審を認める決定が出された直後の午後2時すぎ、裁判所から出てきた弁護士が「再審開始」や「検察の抗告棄却」と書かれた紙を掲げると、集まった支援者らから大きなどよめきが起きました。そして、「よくやった」とか「よかった」といった喜びの声があがっていました。

  その後、袴田さんの姉のひで子さんが、裁判所から笑顔で出てきて、「再審が認められ本当にうれしいです。56年間闘ってきて、この日がくるのを心待ちにしていました。これでやっと肩の荷が下りた感じがします」と話していました。また、弁護団の小川秀世弁護士は「当然の決定だと思いますが、本当にうれしいです。検察に対しては特別抗告をしないよう要請します」と涙を流しながら話していました。
  そして、ひで子さんと小川弁護士が抱き合って喜びを分かち合うと、支援者から大きな拍手が送られていました。このあと、袴田さんの支援者20人余りは午後3時前に東京高等検察庁の前に集まり、プラカードを掲げながら「検察は再審開始決定に従え」とか「袴田さんに真の自由を」などとシュプレヒコールをあげていました。
弁護団長「検察官の主張ことごとく排斥 画期的だ」
  再審を認める決定を受け、袴田さんの姉のひで子さんと弁護団、それに支援する日弁連=日本弁護士連合会が会見を開きました。この中でひで子さんは「再審開始になることを願って今まで生きてきたので、大変うれしく思っています。家に帰ったら本人に『よい結果が出たから安心しなさい』と言うつもりです。早く死刑囚でなくなることを願っています」と喜びを語りました。
  また、西嶋勝彦弁護団長は「決定は、高裁での審理の争点だった血痕の色について検察官が行った実験には信用性がないと判断した。これまで争われてきた論点についても検察官の主張をことごとく排斥していて、画期的だ」と述べました。そのうえで「それぞれの証拠を総合評価して、無実になる可能性があることを明言していて、速やかにやり直しの裁判に移行するべきだと表明していると思う」と強調しました。
  また、日弁連の再審法改正実現本部で本部長代行を務める鴨志田祐美弁護士は、「再審手続きを定めた法律には証拠開示について明文化した規定がなく、再審開始を認める決定が出ても、検察官が不服を申し立てることができるため、審理が長引き、取り返しのつかない悲劇を生み出している。法改正しかないということを世の中に訴えていきたい」話していました。
東京高検「主張認められず遺憾 適切に対処したい」
  再審の開始を認める決定を受け、東京高等検察庁の山元裕史次席検事は「検察官の主張が認められなかったことは遺憾である。決定の内容を精査し、適切に対処したい」というコメントを出しました。
きょうの袴田さんの様子は
  支援者によりますと、袴田巌さんは、13日は午前9時半ごろに起床し、朝食にみかんやりんごなどの果物を食べたということです。ひで子さんが袴田さんのひげをそったり、髪を整えたりしていました。ひで子さんは決定文を受け取るため東京高裁に向かい、袴田さんは同行しません。ひで子さんが「きょうは東京へ行ってくるから。一晩、泊まってくるからね」と伝えると、袴田さんは「あ、そう」と応じていました。
  午後は、支援者の運転する車で、幼少期に足を運んでいた浜松市浜北区の「岩水寺」を訪れました。袴田さんは寺の本堂の前でさい銭箱にお金を投げ入れると、静かに手を合わせ、線香をあげていました。また、寺の近くにある大きな仏像の前でも手を合わせていました。そして記者から「きょうはどんな日ですか」と声をかけられると、「勝つことだね。勝つ日だと思うがね」などと話していました。
識者「『疑わしきは被告人の利益に』という考え方に」
  決定について、元裁判官で刑事裁判の経験が長い、半田靖史弁護士は「『血痕の赤みが失われるか化学的に説明する』という最高裁から与えられた課題について、高裁は専門的な知見によって合理的に裏付けられたと認定した。『疑わしきは被告人の利益に』という考え方に立ち、誰が衣類を隠したのかはっきりわからなくても、血痕に赤みが残っているのはおかしいとさえ言えればよいと判断した」と評価しました。
  その上で、「検察が行った実験も弁護側の理論を裏付けるものと判断された。検察は立証の機会をたっぷり与えられていたので、潔く結論を受け入れるべきではないか」と指摘しました。
袴田事件 今後の手続き
  再審開始を認めた東京高裁の決定に不服がある場合、検察は5日以内に最高裁判所に特別抗告することができます。今回は週末を挟むため、特別抗告の期限は今月20日となります。特別抗告が行われれば、再審開始の判断は最高裁に委ねられることになり、審理が続きます。
  一方、13日の決定が確定すれば、静岡地方裁判所でやり直しの裁判が行われ、無罪に大きく近づくことになります。
過去の再審判断と法改正の動き
  過去にも死刑や無期懲役が確定した事件で再審開始が認められ、無罪となったケースがあります。
死刑が確定した事件では
1948年に熊本県で夫婦2人が自宅で殺害された免田事件や、
1954年に静岡県で当時6歳の女の子が連れ去られて殺害された島田事件などで無罪が言い渡されました。
無期懲役が確定した事件では
1990年に栃木県で当時4歳の女の子が殺害された足利事件や、
1997年に東京電力の女性社員が殺害された事件などで、
再審によって無罪が言い渡され、その後、確定しています。
  最近では、大阪 東住吉区の住宅で11歳の女の子が死亡した火事で殺人などの罪で無期懲役が確定し、服役していた母親が、2016年に再審で無罪となっています。また、先月27日には、39年前に滋賀県日野町で起きた強盗殺人事件で無期懲役が確定し、服役中に死亡した男性について、大阪高等裁判所が再審開始を認める決定を出しました。
  再審が認められるまでに長い年月がかかっていることから、日弁連=日本弁護士連合会は「法制度の不備がえん罪被害を救済する妨げになっている」として、再審手続きに関する法律を速やかに改正するよう求めています。
  先月公表した意見書では、
再審の手続きでも通常の裁判と同じように裁判所が検察に対して証拠の一覧表を提出するよう命じられるようにするほか、
手続きが長期化しないよう、裁判所が再審を認めた場合には検察による不服の申し立てを禁止すべきだとしています。
ボクシング界の支援団体「感無量のひと言」
  元プロボクサーの袴田巌さんに対して、ボクシング界は支援団体を設立して拘置所で袴田さんに面会したり、再審を求めるデモを行ったりするなど、長年にわたって活動してきました。再審を認める決定について、支援団体の中心メンバーで元東洋太平洋バンタム級チャンピオンの新田渉世さんは、「感無量のひと言だ。ほかの支援者や弁護団の活動のたまものだが、ボクシング界でも精いっぱい支援してきたのでうれしい。まだ確定ではないが、ボクシング界の大先輩である袴田さんに勝利の見込みが出てきたので、おめでとうと伝えたい」と喜びを話しました。その上で、「検察には特別抗告をしないように求めていきたい」と話していました。
再審開始決定のポイント
  東京高等裁判所は、9年前に静岡地方裁判所が出した再審開始の決定に「誤りはない」として改めて再審開始を認めました。決定のポイントです。
 【最大の争点は「5点の衣類」血痕はなぜ赤かったのか】
   最大の争点は、死刑判決の決め手となった「5点の衣類」についた血痕の色の変化です。「5点の衣類」は事件から1年2か月後、裁判も始まっていた時期に現場近くのみそタンクから見つかり、衣類についた血痕の色は当時の捜査資料に「濃い赤色」などと記され、赤みが残っていたとされます。
  過去の死刑判決では、衣類は袴田さんが犯行当時着ていてその後隠したものだと認定されましたが、弁護側は「1年以上みそにつかっていたら血痕は黒く変色するはずで、赤みがあるのは袴田さんが逮捕された後、発見される直前に誰かが入れたものだからだ」と主張。血痕のついた布をみそに長期間つける実験結果の報告書や「血液がみその成分に1年2か月さらされると化学反応が進み、赤みを失う」とする専門家の鑑定書を提出しました。
  決定はこれらの証拠を丹念に分析し「弁護側の専門家の見解は化学的に十分信用することができる」として赤みは失われるはずだと判断。「実験の報告書などの『新証拠』が、過去の裁判で出されていたら袴田さんは有罪にはなっていなかった」と指摘しました。
  一方、高裁の審理では検察も血痕がついた布をみそに漬ける実験を行い「一部には赤みがみられ、赤みが残る可能性を十分に示すことができた」と主張していました。これについて決定は「検察が提出した実験結果の写真は、被写体の赤みが増すとされる白熱電球の下で撮影された」と指摘したうえで、実際に裁判官が肉眼で確認した実験の様子なども踏まえ「赤みが残ったと認めるのは困難だ」と一蹴しました。
  さらに「検察の実験はみそタンクよりも赤みが残りやすい条件で行われたにもかかわらず、赤みが残らない結果が出た。弁護側の専門家の見解をかえって裏付けるものだ」と述べました。そして「5点の衣類」について「事件から相当な時間がたった後袴田さん以外の第三者がみそタンクに隠した可能性が否定できず、袴田さんを犯人と認定することはできない」と結論づけました。
【“ねつ造”の疑いを指摘】
   では、誰が「5点の衣類」をみそタンクに入れたのか。決定は「第三者」について「事実上、捜査機関の者による可能性が極めて高い」とする厳しい見方を示しました。
  9年前に静岡地方裁判所が再審開始を決定したときも「5点の衣類」について「長期間、みその中に隠されていたにしては、血痕の赤みが強すぎて不自然だ」として「重要な証拠が捜査機関によりねつ造された疑いがある」と批判していました。
 【今後の焦点は検察の対応】
   9年ぶりに開いた再審の扉。今後は検察が13日の決定の取り消しを求めて、最高裁判所に特別抗告するかが焦点となります。特別抗告した場合、再審を認めるかどうかの判断は最高裁に委ねられ、さらに時間がかかります。
   日弁連などは再審開始決定が出されても検察が繰り返し抗告できる今の法制度に課題があると訴えています。死刑判決が誤っていた可能性を示唆した13日の決定は、再審をめぐる法制度や捜査機関の問題点も浮き彫りにしたといえます。


2023.03.02-NHK NEWS WEB-https://www3.nhk.or.jp/news/html/20230302/k10013996071000.html
“リニア談合事件”2審も建設元幹部と法人に有罪判決 東京高裁

  リニア中央新幹線の工事で談合をした罪に問われ、無罪を主張していた大成建設と鹿島建設の元幹部2人と、法人としての2社に対し、東京高等裁判所は1審に続いて有罪判決を言い渡しました

  大成建設の元常務執行役員、A被告(72)と鹿島建設の元専任部長、B被告(65)、それに、法人としての大成建設と鹿島建設は、2014年から、翌年にかけて、JR東海が発注したリニア中央新幹線の駅の工事の入札で、事前に受注業者を決めるなど談合をしたとして、独占禁止法違反の罪に問われました。
  裁判で、元幹部や法人は「JR東海が事前に受注業者を決めていた」などとして、談合した事実はないと無罪を主張していました。
  2日の、2審の判決で、東京高等裁判所の石井俊和裁判長は「JR東海は、一貫して競争原理の導入によるコストダウンを追求していて、当初から受注業者を決めていたわけではない」と指摘し、被告側の主張を退けました。
  そのうえで、「見積価格だけでなく、内訳まで連絡し、条件が変更されたあとも、各段階で価格連携を行うなど、各社の事業活動を相互に強く拘束し、公正で自由な競争を大きく害した」などとして、1審に続いて、・・・元幹部2人に、懲役1年6か月、執行猶予3年、・・・法人2社に、罰金2億5000万円の、
有罪を言い渡しました。
  この事件で公正取引委員会に不正を自主申告した「大林組」と「清水建設」は、それぞれ罰金2億円と罰金1億8000万円の判決が確定しています。


2023.03.01-産経新聞-https://www.sankei.com/article/20230301-O7A7CTYGMJPQDMTHJY4K4IOJ3U/
日の丸バッジ、法廷着用禁止は「違法」と提訴 メッセージ性理由に裁判長が外すよう指示

  大阪高裁の法廷で、裁判長が「日の丸バッジ」の着用を禁じたのは権限の乱用だとして、男性3人が国に対し、計330万円の損害賠償を求める訴訟を大阪地裁に起こしていたことが1日、分かった。同日、第1回口頭弁論が開かれ、国側は争う姿勢を示した。

  訴状によると、原告は令和3年4月、高裁での民事訴訟を傍聴しようとした際、書記官から服の胸元に着けていた日の丸バッジを外すよう指示された。
  指示の趣旨を確認したところ、裁判長から「メッセージ性があるバッジにあたるため、外さないと傍聴を許さない」との命令が出ているという回答だった。同年11月の判決まで着用は認められなかったという。
  原告側は「日本を象徴する日の丸に敬意を示し、バッジを着用していた」と、法廷の秩序を害する恐れはないと主張。平成11年に国旗国歌法が成立していることに加え、公共施設で日の丸を掲揚することも一般的であることを踏まえ、「裁判長の命令は思想信条の自由を侵害する不当な行為で、権限の逸脱、乱用だ」としている。
  原告3人が傍聴しようとした民事訴訟は、在日韓国人女性が職場で民族差別表現を含む資料を配られたとして、勤務先のフジ住宅(大阪府岸和田市)に損害賠償を求めた訴訟の控訴審。この訴訟ではフジ住宅への賠償命令が確定している。
  フジ住宅の訴訟を巡っては、1審大阪地裁堺支部で審理中、同じく「メッセージ性があるバッジ」を理由に、北朝鮮による拉致被害者の救出を願う「ブルーリボンバッジ」の着用が禁止され、国に損害賠償を求める訴訟が別に起こされているフジ住宅訴訟の1審段階では、日の丸バッジの着用に関しては指摘されていなかったという。


2023.03.01-Yahoo!Japanニュース(日テレNEWS)-https://news.yahoo.co.jp/articles/8f69ac05cc9a4e2f0d569304d870fd12dbd08b43
4630万円“振り込みミス”事件 男に有罪判決…弁護人は即日控訴

  山口県阿武町の4630万円の振り込みミスに端を発した事件の裁判で、25歳の男に執行猶予付きの有罪判決が言い渡されました。

  判決を受けたのはA被告(25)です。この事件は去年4月、阿武町が新型コロナ対策の給付金4630万円を誤ってA被告の口座に振り込み、その後、A被告が別の口座に振り替え、不法の利益を得たとして「電子計算機使用詐欺の罪」に問われていたものです。
  判決公判で山口地裁は、A被告が自身に無関係な振り込みだと認識していた点に触れ「振り込み依頼が許されないにもかかわらず、振り込み依頼する旨の虚偽の情報を与えた」などとし、懲役3年、執行猶予5年の有罪判決を言い渡しました。 A被告の弁護人は判決を不服として即日控訴しました。







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