裁判-法律問題-1
2022.06.22-REUTERS-https://jp.reuters.com/article/idJP2022062201001134
大崎事件、再審認めず
鹿児島県大崎町で1979年に男性の遺体が見つかった「
大崎事件」の第4次再審請求審で、鹿児島地裁は22日、「
弁護団の新証拠は無罪を言い渡すべき明らかな証拠には当たらない」として、
殺人罪などで懲役10年が確定、服役した
原口アヤ子さん(95)の再審開始を認めない決定をした。元夫(故人)の再審開始も認めなかった。弁護団は福岡高裁宮崎支部に即時抗告する方針。
原口さんは捜査段階から一貫して否認し、事件への関与を示す直接証拠はなかったが、81年に判決が確定。刑期満了で出所後の95年に初めて再審請求した。第4次請求審は今年1月に審理が終結した。
2022.06.17-JIJI com-https://www.jiji.com/jc/article?k=2022061700861&g=soc
5歳児餓死、母親に懲役5年 「長期間の苦しみ与えた」―福岡地裁
福岡県篠栗町で
2020年4月、当時5歳の三男に十分な食事を与えず餓死させたとして、保護責任者遺棄致死罪に問われた母親のA被告(40)の裁判員裁判の判決が17日、福岡地裁であった。
冨田敦史裁判長は「長期間飢えの苦しみを与えた犯行態様はあまりにもむごい」として懲役5年(求刑懲役10年)を言い渡した。A被告は起訴内容を認め、執行猶予付き判決を求めていた。
事件では、知人のB被告(49)も同罪などで起訴され、公判前整理手続き中。福岡県警や検察側によると、B被告はA被告の生活費を搾取し、一家の食事を管理するなど、A被告を実質的に支配していたとされる。
冨田裁判長は判決で、三男が異常に痩せ細っていたことをA被告が明確に認識していたと指摘。「B被告の指示に背くことが困難な状況にあったことを踏まえても、親族に助けを求めるなどして三男に十分な食事を与えることは可能だった」と述べ、一定の非難を免れないとした。
一方で、B被告から実質的に支配されていた被害者の側面があると言及。A被告が罪を認め、深い反省や悔悟の態度を示していることなどから、懲役5年が相当と判断した。
2022.06.11-dmenuニュース-https://topics.smt.docomo.ne.jp/article/yomiuri/nation/20220611-567-OYT1T50125
餓死の5歳児「ママごめんね」…呼吸止まる数時間前、最期の言葉を絞り出す
福岡県篠栗町で2020年4月、5歳の三男を餓死させたとして、
保護責任者遺棄致死罪に問われた母親のA被告(40)の裁判員裁判が10日、福岡地裁(冨田敦史裁判長)であった。
共犯で起訴された知人のB被告(49)が検察側証人として出廷。A被告と面識があることは認めたが、他の全ての質問には「これから私の裁判があるので答えません」などと証言を拒否した。
起訴状では、A、B両被告は共謀し、19年8月頃からA被告の三男・
翔士郎ちゃんの食事を減らすなどして痩せ細らせ、20年3月下旬頃には重度の低栄養状態になっていたのに放置し、同4月18日に自宅で餓死させたとしている。
これまでの公判でA被告側は、B被告が「暴力団関係者に知り合いがいる」などの作り話をしたためA被告がマインドコントロールされ、生活全般を支配されていたと主張。翔士郎ちゃんに食事を与えないよう指示もされ、逆らえなかったと述べていた。
9日にあった被告人質問などで、
A被告は自宅で翔士郎ちゃんの呼吸が止まった際も、B被告には連絡したが、119番はできなかったと説明。「何をするにもB被告の許可が必要だった。病院に行くのも許されないと思った」と述べた。
また、衰弱して動けなくなった翔士郎ちゃんが、
呼吸が止まる数時間前に「
ママ、ごめんね」
と最期の言葉を絞り出したことを明らかにしていた。
2022.06.10-産経新聞-https://www.sankei.com/article/20220610-X2GRX4EMFFOJTJ4CSZXLP5FYCA/
マインドコントロールの知人女出廷も証言せず 5歳児餓死、母の公判
福岡県篠栗(ささぐり)町で令和2年、5歳の三男を餓死させたとして
保護責任者遺棄致死の罪に問われた母、A被告(40)の裁判員裁判公判が10日、福岡地裁で開かれ、共謀したとして同罪などで起訴された知人のB被告(49)が証人出廷した。A被告との面識を問われ「ある」と答えたが、他の質問には「私の裁判があるので、お答えしません」と述べた。
検察側はB被告がA被告一家の生活を実質的に支配し、食事量を制限していたと指摘。弁護側はA被告が「マインドコントロールされた状態だった」と主張している。
起訴状などによると、2人は共謀して元年8月ごろからA被告の三男、翔士郎(しょうじろう)ちゃんの食事量を減らし、2年4月18日、餓死させたとしている。
B被告はA被告と分離して審理される。
2022.06.07-産経新聞-https://www.sankei.com/article/20220607-C52BGMECVZNEJIMMPDC3SIE5RM/
東名あおり運転、懲役18年判決の被告が控訴
神奈川県大井町の東名高速道路あおり運転死傷事故で、
自動車運転処罰法違反(危険運転致死傷)などの罪に問われ、懲役18年の判決を受けたA被告(30)が、判決を不服として控訴したことが7日、横浜地裁への取材で分かった。控訴は6日付。
地裁は6日の判決で、被害車両の直前で急減速する妨害運転を4回繰り返し、後続車による追突事故を起こしたとして、危険運転致死傷罪が成立すると認定。弁護側は被告の運転と事故に因果関係はないとして同罪の成立を争っていた。
判決によると、平成29年6月5日、パーキングエリアで静岡市の萩山嘉久さん=当時(45)=に駐車位置を非難され、逆上して追走。あおり運転で停止させ、後続トラックの追突で萩山さんと妻の友香さん=当時(39)=を死亡させたほか、娘2人にけがをさせた。
2022.06.06-JIJI com-https://www.jiji.com/jc/article?k=2022060600081&g=soc
5歳児餓死、母親が認める 保護責任者遺棄致死罪―福岡地裁
福岡県篠栗町で2020年4月、当時5歳の三男に十分な食事を与えず餓死させたとして、
保護責任者遺棄致死罪に問われた母親のA被告(40)の裁判員裁判の初公判が6日、福岡地裁(冨田敦史裁判長)であった。A被告は罪状認否で起訴内容を認めた。判決は17日の予定。
事件では、知人のB被告(49)も同罪などで起訴され、公判前整理手続き中。福岡県警によると、
B被告はA被告の生活費を搾取し、一家の食事を管理するなど、碇被告を心理的に支配していたという。
検察側は冒頭陳述で、A被告は三男の生存を第一に担う立場でありながら、「安易にB被告を信じ込み、世話を放棄した」と指摘。長期にわたり飢えの苦しみを与えたことは悪質だと主張した。
弁護側は、A被告はB被告にマインドコントロールされ、実質的に生活を支配されており、「重い実刑を科すのは相当ではない」と訴えた。
起訴状によると、両被告は共謀し、
19年8月ごろから三男に与える食事の量や回数を減らすなどして重度の低栄養状態に陥らせた上で放置し、20年4月に餓死させたとされる。
2022.05.25-東京新聞-https://www.tokyo-np.co.jp/article/179474
クルド人難民の不認定取り消し判決、古川法相「今後精査する」-
(望月衣塑子)
札幌高裁が20日、
トルコ国籍のクルド人男性の難民不認定処分を取り消した判決について、古川禎久法相は24日の閣議後会見で「上告も含め、今後、判決を精査して対応する」と述べるにとどまった。
この判決を受けて
男性を難民認定するかについては「個別の事案をお答えすることは差し控える」と回答を避けた。また、これまでの
クルド人の難民認定数について古川法相は「入管庁では国籍・地域ごとに集計している」とし、民族別の集計はしていないと説明した。
(望月衣塑子)
2022.05.16-NHK NEWS WEB-https://www3.nhk.or.jp/news/html/20220516/k10013628421000.html
新型コロナ「東京都の時短命令は違法」賠償は認めず 東京地裁
新型コロナの緊急事態宣言の期間中、営業時間の短縮要請に応じていないとして東京都から特別措置法に基づく時短命令を受けた
飲食店の運営会社が命令は不当だとして都に賠償を求めていた裁判で、東京地方裁判所は「
命令を出す必要があったとは認められず違法だ」とする判決を言い渡しました。一方で都に過失があったとまではいえないとして賠償を求める訴えは退けました。
飲食店の運営会社「グローバルダイニング」は緊急事態宣言が出されていた去年3月、東京都から「午後8時以降も営業を続け感染リスクを高めている」として、特別措置法に基づき営業時間を短縮するよう命令を受けたのは不当だと主張して都に賠償を求めていました。
16日の判決で東京地方裁判所の松田典浩裁判長は「
原告の飲食店は感染対策を実施していて、夜間営業を続けていることで直ちに感染リスクを高めていたとは認められない。都からはこうした状況で命令を出したことの必要性や判断基準について合理的な説明もなかった。原告に不利益となる命令を出す必要が特にあったとはいえず違法だ」と指摘しました。
賠償求める訴えは退け 憲法違反の主張も認めず
一方で「都が意見を聞いた学識経験者はこぞって命令の必要性を認めていたうえ、最初の事例で参考にする先例もなかった。都知事が裁量の範囲を著しく逸脱したとまでは言い難い」として、都に過失はなかったと判断し賠償を求める訴えは退けました。
また会社は特措法や命令が営業の自由や法の下の平等などを保障した憲法に違反しているとも主張していましたが、判決は「命令で営業を規制することは特措法の目的に照らして不合理な手段とはいえない」として憲法には違反しないと判断しました。
コロナ対策の特措法に基づく命令をめぐる裁判で判決が言い渡されたのは今回が初めてです。
都が「命令」出した当時の状況は
東京都には去年1月8日から3月21日にかけて、新型コロナウイルスの特別措置法に基づいて緊急事態宣言が出されていました。この間、都は、都内の飲食店などに対して、営業時間を午後8時までにするよう要請していました。
都が、グローバルダイニングに対して要請に応じていないとして「命令」を出したのは去年3月18日です。緊急事態宣言が解除される3日前でした。
東京都内では、この前年の2020年11月ごろから感染者数が増加し始め、2020年の大みそか、12月31日に初めて1000人を超えました。
その後、年が明けて去年1月7日に2500人を超えていわゆる第3波で最も多くなりましたが、その後は徐々に減っていき、都がグローバルダイニングに「命令」を出した3月18日は323人でした。
7日間平均でみると▽第3波で最も多いのは1月11日の1861.1人だったのに対して、▽都がグローバルダイニングに「命令」を出した3月18日はおよそ6分の1の297.1人でした。
運営会社社長「なぜすべて認めてくれなかったのか」と控訴
判決について「グローバルダイニング」の長谷川耕造社長は「主張の75%は認められたがなぜすべて認めてくれなかったのか」として、控訴したことを明らかにしました。
そのうえで「私たちのケースでは正当な理由がなく命令が出されたということが認められたので、今後、ほかの店についても行政は緻密に判断してくれるようになると思う」と話しました。
また、弁護団の倉持麟太郎弁護士は「判決は、同調圧力の中で『我慢すべきだ』という風潮や、『なんとなく』従うという社会の空気がある中、感染防止の効果を考えて判断すべきという最後の一線を守った。社会の風潮にも影響を与えると思う」と話していました。
都の担当者「判決文を精査したうえで今後の対応検討」
東京地方裁判所が特別措置法に基づいて東京都が出した時短命令は必要があったとは認められず、違法だと指摘したことについて、都の担当者は「判決文を精査したうえで今後の対応を検討する」と話しています。
判決のポイント
感染対策を理由に行政が営業を制限したことが妥当だったかどうかが争われた今回の裁判。判決のポイントです。
命令を出す必要があったか
判決が都が出した命令を違法と判断した最大のポイントは「命令を出す必要性」です。
特別措置法では、新型コロナのまん延を防ぎ、国民の生活や経済の混乱を回避するために「特に必要があるとき」に限り、命令を出せると定めています今回の命令が出された当時、都内では2000あまりの飲食店が夜間営業を続けていました。
判決はこうした状況をふまえ、原告の飲食店がそのうちの1%ほどにすぎず、座席の間隔を空けたり、換気や消毒を行ったりするなど感染対策もしていたことなどから「夜間営業を続けたとしてもただちに人の流れを増大させ、市中の感染リスクを高めていたとは認められない」と指摘しました。
また、緊急事態宣言が3日後には解除されると発表されていたことも挙げ「対象地域の感染者数は大幅に減少し、医療提供体制のひっ迫状況も緩和されていた。こうした状況であえて4日間しか効力がない命令を出す必要性について合理的な説明がなかった」としてグローバルダイニングに命令を出す必要が特にあったとはいえず、違法だと認めたのです。
賠償を認めなかった理由は
一方で、訴えが退けられたのはなぜでしょうか。
判決はまず、グローバルダイニングには命令を出す必要はなかったが、▽学識経験者がこぞって命令の必要性を認め、▽先例もない中、感染防止対策を確実に実行することが重要とされていた都が飲食店側の考え方を優先して命令を控えることは難しかったと判断し、都に過失があったとまではいえないとしたのです。
憲法違反の主張については
裁判では特措法や命令が営業の自由などを保障した憲法に違反するかどうかも争われましたが、判決は「特措法の目的を考えると命令による規制が不合理とはいえず、憲法には違反しない」と指摘しました。
また、原告は「夜間営業を続ける考えを社長が表明したことを問題視して出された命令で、表現の自由に違反する」とも主張しましたが、これについては「命令は会社への報復や見せしめではなく、違法な目的があったとは認められない」として認めませんでした。
専門家「意味のある判決」
今回の判決について、憲法が専門で、新型コロナと法律の関係に詳しい慶應義塾大学の大林啓吾教授は「裁判所が命令を出す際の必要性について細かく判断しており、今後、同じようなケースで命令を出す際には慎重に検討しないといけないという指標が示された」と話しています。
また、判決が命令は違法だとしながら、賠償を認めなかった点については「今回の命令が初めてのケースだったことが大きい。逆にいえば、今後、同じような状況で命令が出された場合、賠償も認められる可能性が出てきたということだ」と指摘しました。
そのうえで今回の裁判について「これまでのコロナ対策が合理的であったかや、憲法に違反するかどうかが司法に投げかけられたテストケースであり、裁判所がある程度踏み込んだ判決を出したことは意味があるものだと思う」と話しています。
官房長官「コメントは差し控えたい」
松野官房長官は午後の記者会見で「地方自治体に関わる訴訟で詳細は承知しておらず、政府としてコメントは差し控えたい」と述べました。そのうえで「新型コロナ対策はこれまでも専門家からの分析や評価をもらいながら対策を進めている。引き続き感染状況などを踏まえ、専門家の意見も聞きつつ適切に対応していきたい」と述べました。
小池知事「命令は必要かつ適正なものだった」
判決を受けて東京都の小池知事は16日の夜、コメントを出しました。
この中で小池知事は「命令を発出した当時、新規感染者数は下げ止まり、入院患者数も増加の兆しを見せていた。政府の新型コロナウイルス感染症対策分科会では、飲食の場は感染リスクが高いとされており、飲食店に対する営業時間の短縮要請は、感染拡大防止において極めて重要な取り組みであった」としています。
そのうえで「都は特別措置法に基づき、都内の飲食店に対して営業時間の短縮を要請した。その順守状況を現地で確認のうえ、繰り返しの要請に応じていただけない店舗に対して命令を実施した。この命令は、医療や経済、法律などの専門家から妥当であるとの意見を得るとともに、国とも情報を共有しつつ発出したものである」としています。
そして「こうしたことから今回の命令は、都としては、感染防止対策上、必要かつ適正なものであったと認識している」とするコメントを出しました。
都の担当者「違法指摘は不服」
都の担当者は判決の受け止めについて記者団の取材に応じました。
この中で、原告のグルーバルダイニングに時短命令を出してから4日間で緊急事態宣言の期間が切れる中、命令の必要性について合理的な説明がなされていないと判決で指摘されたことについて「残り期間が少ないから命令に応じる必要がないとなれば、緊急事態宣言の期間の終盤は要請に従わなくてもいいとなりかねない」と反論しました。
また、原告への命令について「都の対策審議会では原告が要請に応じないことに対して他の店から不公平感が生じていると指摘があり、原告の売り上げが増加し店舗に客が流れているという報道もあった。原告以外の店舗でも売り上げを増やすために夜間営業をする可能性があった」と述べ、命令を出したことは必要だったという認識を示しました。
都の担当者は「判決で違法だと指摘されたことについては不服だ」としたうえで「営業時間を1日、2日、守っていないからといって出したわけではなく、繰り返し要請して、やむなく命令を出している。今後も丁寧にやっていきたい」と述べました。
2022.03.31-NHK NEWS WEB-https://www3.nhk.or.jp/news/html/20220331/k10013560621000.html
4月1日「改正少年法」施行 どう変わるのか 課題は
成人年齢の引き下げに合わせて、20歳未満の「少年」が事件を起こした場合などの処分や手続きを定めた
少年法も改正され、4月1日に施行されます。
改正少年法 ここが変わる
「少年」の健全な育成を目的とする少年法は、刑罰を与えることよりも立ち直りを重視して、20歳以上の「大人」とは異なる特別な手続きを定めています。
4月1日に施行される改正法では、成人となる18歳と19歳を新たに「特定少年」と位置づけ、引き続き保護の対象とする一方、社会で責任ある立場になるとして17歳以下とは区別して取り扱われます。
「少年」の場合、警察や検察の捜査を受けたあとは家庭裁判所に送られ、「公開の裁判」ではなく「非公開の審判」で裁判官が本人から話を聞いて、立ち直りのためにふさわしい処分を判断します。
「特定少年」も警察や検察の捜査を受けたあと家庭裁判所に送られますが、家庭裁判所から検察に送り返す「逆送」という手続きの対象事件が拡大され、一定の重さの罪を犯した場合は原則として大人と同じ裁判を受けることになります。
これまでは殺人や傷害致死など、故意に人を死亡させた罪が対象でしたが、「特定少年」については新たに、強盗や強制性交、放火など、法定刑の下限が1年以上の罪も対象になります。
裁判では原則として20歳以上と同様に扱われ、刑期に幅を持たせて言い渡す「不定期刑」は適用されません。
また、少年法では立ち直りの妨げにならないよう、少年の名前など本人と推定できる情報を報じることは禁止されていますが、「特定少年」が起訴された場合は、実名などを報じることも可能になります。
一方、少年の立ち直りへの影響を懸念する声もあり、改正法は成人年齢の引き下げによる社会や国民の意識の変化なども踏まえて5年後、見直すかどうか検討されることになっています。
被害者遺族「改正法 犯した罪と向き合うきっかけに」
少年犯罪の被害者や遺族でつくる団体の代表を務める武るり子さん。武さんの長男の孝和さんは、26年前、高校1年生のときに文化祭で別の高校の少年たちから暴行を受け、命を落としました。しかし、立ち直りを重視する少年法の規定によって、当時息子を死なせたのが誰なのかも伝えられず、少年が刑罰を受けることもありませんでした。
その後、同じような思いを抱く遺族とともに少年法の改正や被害者の権利の拡大などに取り組み、今回の法改正の議論にも法制審議会の部会の委員として参加しました。成人年齢の引き下げに合わせ、少年法の対象年齢も引き下げてほしいという訴えはかないませんでしたが、18歳と19歳が「特定少年」と位置づけられ、逆送の範囲が拡大されることや、起訴された場合に実名などの報道が可能となることに「“起訴されたら大人と同じだ”と自覚させ、少年犯罪の抑止にもつながる」と期待を寄せています。
また「遺族がいちばん苦しむのは少年が責任を負わず、逃げることだ。改正法は少年が自分の罪に向き合うきっかけになる」と話しています。一方、立ち直りへの影響を懸念する声に対しては「本当の意味での立ち直りができていれば、社会は受け入れると思う。そのためには社会の厳しさや、被害者と向き合う大切さをしっかり教える必要がある」として、少年院などの教育を充実させるべきだとしています。
“立ち直りに支障出るのでは” 懸念の声も
法改正によって少年の立ち直りに支障が出るのではないかと懸念する声もあります。
プロの総合格闘家で国内外の大会に出場している山本聖悟さん(26)は10年前、17歳のときに暴走族の仲間とともに4人を殴って現金およそ1万円を奪ったとして強盗傷害の疑いで逮捕され、少年院に送られました。当時について山本さんは「軽い気持ちでやってしまった。悪いことと悪くないことを理解できない未熟な部分があった」と振り返ります。
改正少年法では、18歳以上の「特定少年」が強盗傷害の罪を犯すと原則として逆送され、立ち直りの教育を受ける少年院ではなく、少年刑務所で服役する可能性が高まります。
山本さんは、定期的に相談に乗ってもらえる支援者の存在もあって立ち直ることができたと感じています。しかし、誰もがそうした支援につながるわけではない中、実名が報じられる可能性があることは「事件によってはやむをえないと思うが、立ち直りが難しいと諦めてしまう人や、社会から否定されたとしてまた悪いことをしようと思う人もいるかもしれない」と懸念しています。
そのうえで「多くの人に支えられて今の自分がある。頑張って立ち直ろうとする少年を受け入れてくれる大人がいれば、名前が報じられても少年たちは希望をもって社会に出ることができると思う」として、法律を厳しくするのであれば少年たちを支える社会の仕組みも整えてほしいと話していました。
「特定少年」対象に 新たな矯正教育プログラム導入へ
成人年齢の引き下げや少年法の改正に伴い、国は少年院に入っている18歳と19歳の人を対象にした新たな矯正教育プログラムを導入することにしています。
法務省によりますと、改正少年法で扱いが厳しくなる18歳と19歳の「特定少年」に対しては「大人へのステップ」と名付けられた教材をもとに、担当の教官のほか少年どうしでも意見交換しながら、成人としての自覚や責任を学ぶ授業を行います。被害者の視点や被害弁償なども学び、みずからが犯した罪について深く考えさせるということです。
また、立ち直りに向けて少年院を出たあと就職しやすいよう職業訓練の内容も見直しました。多くの職場でパソコンのスキルが求められることを受けて、ICT技術の科目を新設。電子ブロックやタブレットを使いながら、プログラミングを学ぶ授業が取り入れられます。
このほか、製品の企画から販売までを実践しながら学ぶ科目なども導入されます。
法務省矯正局の西岡潔子少年矯正課長は「自分がした非行を振り返り、責任を自覚することと、社会で居場所を見つけるためのさまざまな教育を行うことは少年の処遇における車の両輪だ。不断に見直し、充実させる必要がある」と話しています。
専門家「立ち直りと処罰 バランス保たれる運用を」
改正少年法について、元裁判官で少年法に詳しい立教大学元教授の廣瀬健二さんは「少年法にはもともと少年をどのように立ち直らせるかという面と、被害者などの思いを踏まえどう処罰するかという両方の面があり、そのバランスはとれたものになっている」としています。
そのうえで「犯罪の実情をしっかりと見極め、厳しい処罰の必要があるか適正に判断するとともに、被害者に対しても結果やプロセスをより丁寧に説明することが求められる。立ち直りと処罰のバランスが保たれる運用を期待したい」と話しています。
また、少年事件や子どもの権利に詳しい金矢拓弁護士は「少年の実情にかかわらず対象となる罪だというだけで逆送されるようなことがないか、実名が報道されたために仕事に就けない少年が増えないかなど、弊害がどこまで生じるか注視する必要がある」としています。
そのうえで「法の趣旨や国民の感情と矛盾が生じていないか検証するために、特定少年の起訴や判決に関するデータや、立ち直りや再犯の状況について広く情報を共有していくことが求められる」と指摘しています。
2022.03.29-日本経済新聞-https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUE281U20Y2A320C2000000/
日大の田中前理事長に有罪判決、所得税法違反 東京地裁
所得税法違反(脱税)の罪に問われた日本大学前理事長、田中英寿被告(75)の判決公判で、東京地裁(野原俊郎裁判長)は29日、
「業者からの現金受領を隠蔽する目的で脱税に及んでおり、動機は身勝手で酌量すべき事情はない」として懲役1年、執行猶予3年、罰金1300万円(求刑懲役1年、罰金1600万円)の有罪判決を言い渡した。
田中前理事長は初公判で「反省している」などと起訴内容を認め、弁護側は執行猶予付き判決を求めていた。田中前理事長は判決後、弁護人を通じて「判決を厳粛に受け止めております」とコメントを出した。控訴しない方針という。
野原裁判長は判決理由で「日大の各種業務を受注している関係業者らから、取引で利益を得たことへの謝礼などの趣旨で多額の現金を受け取っていた」と田中前理事長のリベートの受領を認定した。
過去の税務調査で申告漏れを指摘され、現金を所得として申告する必要性を認識していたにもかかわらず、妻に指示して所得から除外して申告するなどしたと認定し「単純ではあるが大胆な手口だ」と非難した。
その上で「国内最大規模の教育機関である学校法人の理事長という立場での犯行で、適正な申告納税制度への社会的信頼に与えた影響を軽視できない」と述べた。一方、起訴内容を認めて修正申告したことなども考慮し執行猶予をつけた。
日大は判決を受け「公共性の高い学校法人の理事長として決して許すことのできない行為で、極めて遺憾。ガバナンス改革等を進め、信頼回復に向けて誠心誠意努力していく」とのコメントを発表した。
判決によると、田中前理事長は日大医学部付属板橋病院(東京・板橋)の建て替え工事などで業者選定を差配した元理事、井ノ口忠男被告(64)=背任罪で起訴=や大阪市の医療法人元理事長の籔本雅巳被告(61)=同=らから受け取ったリベートなど2018年と20年分の所得計約1億1800万円を隠し、約5200万円の所得税を免れた。
日大は事件を受け、前理事長の全ての役職を解任し「永久に決別する」と宣言。外部有識者の「再生会議」で理事らの選出方法が適切か検討するほか、第三者委員会で事件の背景について調査している。いずれも近く答申や報告書を公表するとしている。
日本私立学校振興・共済事業団は日大への21年度分の私学助成金を全額不交付とした。事業団の規定などにより、5年間で最大300億円超の減収となる可能性がある。
在学生、抜本的改善求める
日本大学は前理事長らの事件を受けてガバナンス(統治)改革に着手し、新体制下で立て直しを図る。在学生からは経営体質の抜本的な改善を求める声が上がる。
日大によると、2022年実施の一般選抜(一般入試)志願者数は前年より4178人少ない9万3770人だった。就職活動のため会社説明会を回り始めたばかりという経済学部3年の男子学生(22)は「大学のイメージ悪化による影響が心配」としつつ「事件と関係のない学生や教員が迷惑を被らないよう、健全な大学に生まれ変わってほしい」と願う。
日大への21年度分の私学助成金が全額不交付となることについて、法学部1年の男子学生(20)は「学費が上がるのでは」と不安だったが、大学側から値上げは実施されないと聞き「ひとまずホッとした」という。
事件の発覚直後は日大の学生と名乗ることに抵抗を感じていたが、「家族や友人から『気にしなくていい』と励まされ、今は前を向いている」と語った。
2022.03.23-Yahoo!Japanニュース(メーテレ)-https://news.yahoo.co.jp/articles/0bcde030ca220b7097077fdd50be980505aff51b
中3刺殺事件、加害少年は「深い非行性に基づくものではない」 少年院送致決定の名古屋家裁
愛知県弥富市の中学校で去年、3年生の男子生徒が刺殺された事件で、
名古屋家庭裁判所は23日、家裁送致されていた同級生の少年について、少年院に送致することを決めました。
少年院への送致が決まったのは、弥富市の中学3年生の少年(15)です。 少年は、去年11月、弥富市内の中学校で同級生の男子生徒(当時14歳)を殺害したとして逮捕され、去年12月、殺人と銃刀法違反の非行内容で家庭裁判所に送致されていました。
刑事責任能力の有無などを調べる鑑定留置が行われた後、観護措置が再開されていました。
名古屋家裁は23日の少年審判で、少年院への送致を決めました。
理由について名古屋家裁は、鑑定の結果、少年には他人の行動の理由を読み取ったり、行動を抑制したりする力に乏しいなどの特徴を持つ発達障害の一つ「自閉スペクトラム症」の影響があると認定しながらも、「理不尽かつ身勝手な動機で尊い命を奪ったことは強い非難を免れない」と指摘。
一方で、「必ずしも深い非行性に基づくものではなく、犯行当時14歳という年齢を考えると、少年院での矯正教育が相当」としました。
その上で、少年院への収容期間については、「5年程度を要する」との意見を付けました。
2022.03.15-産経新聞-https://www.sankei.com/article/20220315-6T7IGX5SXZMH7E4WZ3H6X3SLPQ/
東住吉女児焼死 再審無罪確定の母親への賠償命じる 大阪地裁
平成7年に大阪市東住吉区で小学6年の女児=当時(11)=が焼死した火災で、殺人などの罪で無期懲役が確定し、その後再審無罪となった母親のAさん(58)が、国と大阪府に計約1億4500万円の損害賠償を求めた訴訟の判決で、大阪地裁は15日、府に約1220万円を青木さんに支払うよう命じた。国への請求は棄却した。
Aさんは、内縁の夫だった男性=再審無罪=と共謀し、保険金目当てで自宅に放火、長女のめぐみさんを殺害したとして、殺人などの罪に問われ、18年に無期懲役が確定。捜査段階での自白が有罪認定の最大の根拠とされたが、28年に始まった大阪地裁の再審公判では、捜査段階で虚偽の自白を強要されたことや、放火ではなく自然発火の可能性などが認められ、無罪となり、確定した。
訴状などによると、Aさんへの取り調べでは捜査員による違法な捜査が行われたと指摘。連日深夜まで及んだ取り調べでAさんが犯行を否認すると、
警察官が「何を言うてるんや」などと怒声を飛ばした。亡くなっためぐみさんの写真を見せるなどして自白を迫った結果、犯行を認める虚偽の供述をしたとされる。
また、警察官の違法な取り調べを検察側が「黙認した」と主張。検察側は公判で取調報告書の開示を拒むなどしており、起訴自体が違法だとも訴えていた。
国や府はこれまでの裁判で、Aさんに対する当時の捜査や起訴について「違法性はなかった」と主張。地裁は昨年11月、国賠訴訟では異例の和解勧告を出したが、国側が協議に出席せず、決裂していた。
大阪府警の田畑修治監察室長は「判決書の内容を精査した上で、今後の対応を決めたい」とコメントした。
■東住吉女児焼死火災
平成7年7月22日夕、大阪市東住吉区の木造2階建て民家の1階ガレージから出火。入浴中だった小学6年、青木めぐみさん=当時(11)=が焼死した。大阪府警は保険金目当てに放火し、めぐみさんを殺害したとして、同年9月、殺人などの容疑で、母親のAさんと内縁の夫を逮捕。2人は無罪を主張したが、18年に無期懲役が確定した。大阪地裁と大阪高裁が再審開始を認め、
27年に約20年ぶりに釈放。28年には大阪地裁で2人に再審無罪判決が出て、確定した。
2022.03.11-産経新聞-https://www.sankei.com/article/20220311-N3GI76U6ZJNG5PSHNKQ2KBVGEA/
強制不妊、国に賠償命令 東京高裁、大阪に続き2件目
旧優生保護法(昭和23年~平成8年)下で不妊手術を強制されたのは憲法違反として
70代男性が国に3千万円の損害賠償を求めた訴訟の控訴審判決が11日、東京高裁であった。平田豊裁判長は請求を退けた1審東京地裁判決を取り消し、旧法を違憲と判断して国に1500万円の賠償を命じた。国への賠償命令は先月の大阪高裁判決に続き2件目。控訴審で国の敗訴が相次ぎ、改めて救済に向けた対応を迫られそうだ。
一連の訴訟では、不法行為から20年が経過すると損害賠償請求権が消滅する「除斥(じょせき)期間」が適用されるかどうかが争点となった。
判決理由で平田裁判長は、旧法下で行われた不妊手術について「差別的思想に基づくもので正当性を欠き、極めて非人道的」と非難し、国は賠償責任を負うと指摘した。
除斥期間の起算点は「手術時」にあるとする一方、除斥期間を理由に被害者の請求権を消滅させるのは「正義・公平の理念に反する」と述べた。
その上で、平成31年4月24日に「一時金救済法」が施行・成立したことによって、「社会全体が不法行為を明確に認識することが可能になった」と指摘。一時金の支給期間(5年間)と同様に、施行日から5年間が経過するまでは、被害者の請求権が消滅しないとの考えを示した。男性は30年5月に提訴していた。
旧法をめぐる訴訟は全国9地裁・支部に起こされ、既に判決が出た5地裁はいずれも賠償請求を退けていた。厚生労働省は「判決内容を精査し、関係省庁と協議した上で適切に対応する」とコメントした。
2022.02.22-産経新聞-https://www.sankei.com/article/20220222-4QFVL5YL2JLWRM7EWZ5Y34CC7M/
国会議員の過失も認定 強制不妊訴訟で国に初の賠償命令 大阪高裁
旧優生保護法(昭和23~平成8年)下の昭和40年代に不妊手術を強いられ、憲法が保障する自己決定権を侵害されたとして、
聴覚や知的障害のある70~80代の男女3人が国に計5500万円の損害賠償を求めた訴訟の控訴審判決が22日、大阪高裁であった。太田晃詳(てるよし)裁判長は、1審大阪地裁判決を取り消し、旧法を高裁段階で初めて違憲と認定した上で、国側に計2750万円の賠償を命じた。1審は「除斥期間」の規定に基づいて、手術から
20年で損害賠償請求権が消滅したと判断したが、2審は
「著しく正義、公平の理念に反する」として認めなかった。
全国9地裁・支部で起こされた訴訟で初めての賠償命令。判決は旧法を「非人道的かつ差別的。憲法の理念に照らし是認できない」と指摘し、「子を産み育てる意思決定の自由を侵害した」として幸福追求権(憲法13条)や法の下の平等(同14条)に違反すると認定。立法した国会議員にも過失があると断じた。国による被害者救済のあり方にも影響しそうだ。
原告は、いずれも大阪府内の聴覚障害のある高齢夫婦と、知的障害のある近畿在住の70代女性の計3人。
争点は、不法行為から提訴まで20年で損害賠償請求権が消滅する「除斥期間」の起算点だった。判決理由で太田裁判長は、起算点を1審判決の昭和40年代から旧法が改正された平成8年9月に変更したと判示。20年の期間自体は28年9月に経過したと認定しつつも、被害者差別や偏見を助長した国側の責任を重くとらえた。
こうした国側の非によって、原告側は、損害賠償請求に関する情報へのアクセスが制限され、提訴できない環境下に置かれ続けたと指摘。その上で提訴が著しく困難な場合は時効が成立せず、訴訟の機会を改めて認める民法上の時効停止の考え方に照らし、原告らが相次いで提訴した30、31年時点では除斥期間の適用が制限されると判断した。
2022.02.14-NHK NEWS WEB-https://www3.nhk.or.jp/news/html/20220214/k10013482711000.html
遠山元財務副大臣 起訴内容認める 貸金業法違反事件の初公判
公明党の衆議院議員だった遠山清彦元財務副大臣が、
日本政策金融公庫の新型コロナ対策の特別融資を、
貸金業の登録を受けずに複数の企業などに違法に仲介した罪に問われている事件の初公判が開かれ、
遠山元議員は起訴された内容を認め「
政治不信を招いたことを深く反省しています」と陳謝しました。
公明党の衆議院議員だった元財務副大臣の遠山清彦被告(52)は新型コロナの影響で業績が悪化した企業を支援する日本政策金融公庫の特別融資を貸金業の登録を受けずに複数の企業などに違法に仲介したとして、元政策秘書ら3人とともに貸金業法違反の罪に問われています。
14日、東京地方裁判所で開かれた初公判で起訴内容が読み上げられると、遠山元議員ははっきりとした口調で「そのとおりです。間違いございません」と述べ「自身の行いはもとより政治不信を招いたことを深く反省しています」と陳謝しました。
このあと検察は冒頭陳述で、遠山元議員は合わせて111回にわたって融資を仲介していたとしたうえで「新型コロナ対策の特別融資を希望する人が増える中、遠山元議員は事務所の業務として公庫とやり取りするよう秘書に指示した。謝礼の趣旨で受け取った現金は投資信託の購入費用や生活費などに使っていた」などと主張しました。
また公庫の対応についても言及し「国会議員や秘書からの紹介の場合は窓口を本店に集約したうえで管轄する支店に連絡していた。支店の融資課長などは融資希望者と直接面談しアドバイスを行うほか、審査の手続きを迅速かつ丁寧に進めていた。融資が決まると先に紹介者の国会議員や秘書に結果を報告していた」と述べました。
検察の冒頭陳述 詳細
検察が冒頭陳述で主張した遠山元議員による融資の仲介の実態についての詳細です。
<融資の仲介の実態とは>
検察は元議員が仲介を始めた経緯について「日本政策金融公庫の新型コロナ対策の特別融資を希望する人が急増している中、公庫に対する紹介の依頼が増えると考え、議員事務所の業務として対応をするよう秘書に指示した」と主張しました。
そして「おととし4月上旬ごろ、知人で政治ブローカーの牧厚被告が融資希望者を遠山元議員に継続的に紹介する見込みとなった。紹介の依頼は元議員の支援者以外からも幅広く受け付け、公庫側に合わせて111回にわたり、融資希望を伝えるとともに希望者に公庫の担当者を紹介していた」と説明しました。
次回の裁判では仲介を行った経緯について、遠山元議員側が見解を説明するものとみられます。
<公庫側も“特別”対応>
検察は公庫側の対応についても言及しました。検察は「国会議員や秘書からの紹介の場合は、窓口を本店の担当部門に集約していて、本店から管轄する支店に紹介者の氏名、融資希望者の氏名などを連絡していた。支店の融資課長などが融資希望者と直接面談し、希望に沿うべくアドバイスを行うほか、審査の手続きを迅速かつ丁寧に進めていた」と主張しました。
そのうえで「融資が決定すると先に紹介者に結果を報告し、特に融資を否決する場合や希望額より低くなる場合には、その理由についても紹介者に丁寧に説明していた」と述べました。
こうした検察の主張について日本政策金融公庫は、NHKの取材に対し「本日初公判が行われたことについては報道により承知しておりますが、司法当局の対応についてはコメントすることではないと考えています」と答えています。
官房長官「疑念を持たれることはあってはならない」
松野官房長官は午後の記者会見で「公判中の個別の刑事事件に関わることについては政府としてコメントを差し控えたい。一般論として言えば政策金融において国民に融資判断への疑念を持たれるようなことはあってはならず、財務省で適切に対応するものと考えている」と述べました。
2022.01.31-朝日新聞-https://www.asahi.com/articles/ASQ107DKPQ10TIPE00V.html
「放課後デイ」の少女に淫行 元施設経営者に猶予付き判決 福岡地裁
障害のある子どもを預かる「放課後等デイサービス」の施設を利用していた少女(当時13)に対する児童福祉法違反(淫行させる行為)の罪に問われた、施設の運営会社元役員で元実質的経営者A被告(41)=福岡県春日市=に対し、福岡地裁は31日、
懲役2年6カ月執行猶予5年(求刑懲役2年6カ月)の判決を言い渡した。
判決によると、A被告は自宅で2019年8月15、16日、被害者の少女が18歳未満と知りながら性交した。柴田寿宏裁判官は「『先生』と呼ばれる立場を利用し、
『愛している』などと甘言を用いて被害児童をその気にさせた。
道義的にも厳しい非難を免れない」と指摘した。
公判では少女が意見陳述し、「
たくさんの言葉を私の心をもてあそぶように言ってきて、だまされ続けた。心の傷は癒えないままで情緒不安定になり、人への慢性的な不信を感じながら毎日を過ごしている。もう私の目の前に一生現れないでください」と訴えていた。
判決言い渡し後、柴田裁判官は「あなたのしたことは罪深いことだということをよく自覚して、二度とこういうことがないようにして下さい」と説諭した。
放課後デイは、障害がある小学生から原則高校生までを放課後や長期休暇中に預かり、生活能力を高める訓練などをする施設だ。児童福祉法改正で国が制度化した2012年4月以降、施設数は増えているが、今回のように職員による虐待も相次いで発覚している。
2022.01.28-毎日新聞-https://mainichi.jp/articles/20220128/k00/00m/040/384000c#
ジャパンライフ元会長に実刑 裁判長「顧客の財産ないがしろに」
磁気健康器具の販売預託商法で顧客から現金をだまし取ったとして詐欺罪に問われたジャパンライフ(東京都、破産手続き中)の元会長、A被告(79)に対し、東京地裁は28日、
懲役8年(求刑・懲役10年)の判決を言い渡した。浅香竜太裁判長は「
顧客の大切な財産をないがしろにし、ジャパンライフの延命を図った」と非難した。
同社は磁気健康器具を購入した顧客がオーナーとなって第三者に貸し出せば配当金が得られる「レンタルオーナー制度」を全国展開していた。判決は、各地で開催する説明会でA元会長や幹部らが講師となり、老後への不安を巧みに突く営業活動を繰り返して契約を次々と結んだと指摘。顧客が返金を求めても、A元会長が社員に応じないよう指示したと認定した。
2017年3月に消費者庁から2度目の業務停止命令を受けた後は自転車操業に陥っていたとし、「
遅くともここで立ち止まって被害拡大を少しでも食い止めるべきだった」とした。A元会長は起訴内容を認めて反省を示していたが、「ワンマン体制の下で行われた大型詐欺。被告がその責任を一手に担うべきで、長期の実刑は避けられない」と結論付けた。
判決によると、A元会長は17年7~12月、元本保証や配当金支払いを継続できないと認識しながら、顧客延べ23人から計約1億6500万円をだまし取った。
同社を巡っては、元社長ら12人が出資法違反に問われ、全員の有罪判決が確定している。全国ジャパンライフ被害弁護団連絡会代表の石戸谷豊弁護士は判決後に記者会見し、「これまでの判決は執行猶予が付き軽すぎたが、初めて妥当な判決が出た。被害者の無念が少しは晴れるのではないか」と話した。【遠藤浩二】
2022.01.20-滋賀NHK NEWS (NHK NEWS WEB)-https://www3.nhk.or.jp/lnews/otsu/20220120/2060009770.html
愛荘町の傷害致死事件 共犯に問われた元少年 無罪主張
愛荘町で同居していた男性に十分な食事を与えなかったり暴行を繰り返したりして死亡させたとして、傷害致死などの罪に問われている元少年の裁判員裁判の初公判が開かれ、
元少年は「食事制限に関与していない」などと
無罪を主張しました。
この事件は、3年前に愛荘町のアパートで岡田達也さん(当時25)が同居していた20歳の元少年と56歳の女から暴行されて死亡したとされるもので、元少年は女と共謀して岡田さんを金属の棒などで殴りけがを負わせたほか、十分な食事をさせず免役力を著しく低下させて死亡させたなどとして、傷害致死などの罪に問われています。
また、この事件の前にも、別の男性に母親とともに胸や腹などを何度も殴った上、食事を与えずに衰弱させて後遺症が残る脳損傷のけがをさせたとして、傷害の罪にも問われています。20日に大津地方裁判所で開かれた裁判員裁判で、
元少年は「女と共謀していないし、食事制限にも関与していない」などと述べ、傷害致死と傷害の罪について、
無罪を主張しました。
一方、検察は冒頭陳述で、「
被告と女が被害者に対して長期間にわたり日常的に暴力をくわえ、食事を制限するなどの虐待を繰り返して衰弱させ、岡田さんを死亡にまで至らせた」などと述べました。
これに対して弁護側は「傷害や傷害致死に至るような暴行はなく、共謀もしていない」などとして無罪を主張しました。
2022.01.13-産経新聞-https://www.sankei.com/article/20220113-CGAPVU2UZ5ME5HME3SLQHEZB74/
小6焼死再審無罪、国賠和解決裂 国が出席せず
大阪市東住吉区で平成7年、女児=当時(11)=が死亡した
火災で殺人罪などに問われ、再審無罪が確定した母親のAさん(57)が国と大阪府に損害賠償を求めた訴訟の大阪地裁の和解協議は、国が応じないことから決裂する見通しとなった。Aさん側の代理人が明らかにした。
大阪地裁が昨年11月に和解を勧告して以降、国は協議に応じず欠席を続けた。12日の協議で地裁は、国の態度が変わらなければ協議を打ち切るとの意向をAさん側に伝えたという。
地裁は昨年11月、国と府がAさんの無罪を認め、冤罪(えんざい)の再発防止策に取り組むとする条件で和解を勧告していた。
Aさんは内縁の夫とともに保険金目的で女児を殺害したとして無期懲役の判決を受け、再審で28年、虚偽の自白を強いられたなどとして無罪判決を受け確定した。
2022.01.06-NHK NEWS WEB-https://www3.nhk.or.jp/news/html/20220106/k10013417801000.html
岡山 津山 小3女児殺害事件 被告に無期懲役判決 岡山地裁
18年前、岡山県津山市の住宅で小学3年生の女の子を殺害した罪などに問われた被告に、岡山地方裁判所は「
捜査段階での自白は信用できる」などと指摘し、
検察の求刑どおり無期懲役の判決を言い渡しました。
平成16年、津山市の小学3年生の女の子が自宅で腹を刺されるなどして殺害された事件では、14年近くがたった平成30年に別の事件で服役中のA被告(43)が逮捕され、殺人などの罪で起訴されました。被告は逮捕直後、「自分が刺した」などと自白しましたが、その後「うその供述だった」と否認に転じ、裁判員裁判では捜査段階での自白の信用性が争点となりました。
検察が自白は信用できるとして無期懲役を求刑したのに対し、被告側は「直接的な証拠が無く犯人ではない。自白した内容も報道などで知り得た情報で、事実と矛盾している」などとして無罪を主張していました。
6日の判決で岡山地方裁判所の倉成章 裁判長は「被告が供述した被害者を殺害した状況は、犯人だからこそ供述できたと考えるのが合理的だ。被告の自白は信用できる」などと指摘しました。そのうえで「何の落ち度もない被害者がかけがえのない人生を奪われた絶望感や恐怖ははかり知れない。犯行は極めて身勝手で同情できる理由は一切無い」などと述べ、検察の求刑どおり無期懲役の判決を言い渡しました。
遺族のコメント「有罪判決にひとまずほっとした」
判決のあと、亡くなった女の子の遺族の代理人を務める弁護士2人が記者会見し、涙を流しながら判決を聞いていた遺族の様子を明らかにしたうえで、「有罪判決が出て、ひとまずほっとしています。判決が確定するまで裁判を見守りたいと思います」という遺族のコメントを読み上げました。
そのうえで吉沢徹弁護士が「遺族は本当のことを知りたいと話していた。被告はまだすべてを話しておらず、事件の真実が分からないまま裁判が終わってしまった。被告が控訴すれば、また一から裁判が始まるので、判決が確定するまで、一緒に頑張っていきたい」と話しました。
検察「適正で妥当な判決」
岡山地方検察庁の野村安秀次席検事は、報道陣の取材に対し「主張がおおむね受け入れられた。適正で妥当な判決だと考えている」と述べました。
被告側「たいへん遺憾」
被告の代理人を務める賀川進太郎弁護士が判決を受けて会見し「無罪だと思っていたので、たいへん遺憾だ。ここまで客観的な証拠がないのに有罪になるのは珍しい」と述べました。
また、裁判で検察が取り調べのやりとりを記録した書類を読み上げ、その内容をもとに裁判所が有罪とした点について「供述調書にサインをしなくても、取り調べのやりとりを記録した書類が証拠になるというのは岡山地裁で過去に例がなく、今後の裁判にも影響を与える」と述べ、控訴したことを明らかにしました。
裁判員「書類もとに判断」
判決のあと、裁判に参加した裁判員3人が記者会見を行いました。このうち20代の会社員の男性は「悩んだこともあったが、自分の意見を言うことができてよかった。裁判員は良い経験になった」と話しました。また、30代の会社員の男性は、取り調べの際の様子などを録画した映像が裁判所に証拠として採用されず、取り調べのやりとりを記録した書類をもとに判断したことについて「映像がないと被告の表情がわかりづらい部分もあったが、書類をもとに取り調べのやりとりなどを振り返ることができたのはよかった」と話していました。
専門家「自白の信用性を分析的に判断」
裁判を傍聴した刑事訴訟法が専門の岡山大学法学部の原田和往教授は被告の捜査段階での自白の信用性が争点となった今回の裁判について「裁判所は、左手で1度被害者のおなかを刺しその後、右手に持ち替えて胸を3回刺したという被告の供述が被害者の傷あとと整合性がとれるという点を評価したのではないか」と指摘しました。
その上で「取り調べの際の様子などを録画した映像が採用されなかったことは裁判所の判断に影響するものではなく、取り調べのやりとりを記録した書類をもとに供述の内容を慎重に検討し、自白の信用性について分析的に判断できたのではないか」と話しています。
2021.12.21-毎日新聞-https://mainichi.jp/articles/20211221/k00/00m/040/038000c
3人の死刑執行 2019年12月以来2年ぶり 法務相
古川禎久法相は21日、
死刑囚3人の刑を執行したと発表した。死刑の執行は2019年12月以来約2年ぶりで、岸田政権発足後初めて。記者会見で「誠に身勝手な理由から、被害者の尊い人命を奪った極めて残忍な事案。慎重な上にも慎重な検討を加えた上で、執行を命令した」と述べた。
執行されたのは、兵庫県加古川市で04年に親類や隣人計7人を刺殺したとして殺人罪などで死刑が確定した藤城康孝死刑囚(65)=大阪拘置所=と、群馬県で03年にパチンコ店従業員2人を相次いで殺害し所持品などを奪ったとして強盗殺人罪などで死刑が確定した高根沢智明死刑囚(54)と小野川光紀死刑囚(44)=いずれも東京拘置所。
確定判決などによると、藤城死刑囚は04年8月、伯母の藤城とし子さん(当時80歳)宅に侵入し、とし子さんら7人を刺殺するなどした。高根沢、小野川両死刑囚は03年2月と4月、根本常久さん(同47歳)と石橋真さん(同25歳)を絞殺し、所持品を奪った。3人の死刑確定から執行までの期間は6年6カ月~16年5カ月。人権団体「アムネスティ・インターナショナル日本」によると、小野川死刑囚は第2次再審請求中だった。
法務省によると、死刑囚は、再審開始決定を受けて釈放中の袴田巌元被告(85)=特別抗告審で最高裁が高裁に審理を差し戻し=を含めて108人で、59人が再審請求中という。
20年は死刑の執行がなく、2年の空白期間ができた。この間、東京オリンピック・パラリンピックが新型コロナウイルス禍で1年延期されて21年7~9月に開かれた。20年4月に予定された刑事司法分野の国際会議「第14回国連犯罪防止刑事司法会議」も21年3月に延期して京都市で開かれ、国際的な催しが続いた。
死刑廃止が世界の潮流になる中、視線が日本に集まる時期に死刑を執行すれば、厳しい批判にさらされる可能性があった。このため、法務省は執行のタイミングを慎重に計っていたとみられる。制度存続に強い姿勢をみせた形ともいえる。
古川法相は会見で「極めて悪質、凶悪な犯罪について死刑もやむを得ないと世論の多数が考えている。死刑を廃止することは適当ではない」と述べた。一方、アムネスティ・インターナショナル日本は「世界の7割以上の国が死刑を廃止している潮流に背を向け、日本を孤立させる」との声明を発表した。
【
山本将克、近松仁太郎】
法相別の執行命令数(執行された死刑囚の氏名公表が始まった2007年12月以降)
法 相 在任期間(年・月)執行人数
鳩山 邦夫(07・8~08・8) 13 ・保岡 興治(08・8~08・9) 3 ・森 英介(08・9~09・9) 9 ・千葉 景子(09・9~10・9) 2 ・柳田 稔(10・9~10・11) 0 ・仙谷 由人(10・11~11・1) 0 ・江田 五月(11・1~11・9) 0 ・平岡 秀夫(11・9~12・1) 0 ・小川 敏夫(12・1~12・6) 3 ・滝 実(12・6~12・10) 4 ・田中 慶秋(12・10~12・10) 0 ・滝 実(12・10~12・12) 0 ・谷垣 禎一(12・12~14・9) 11 ・松島みどり(14・9~14・10) 0 ・上川 陽子(14・10~15・10) 1 ・岩城 光英(15・10~16・8) 4 ・金田 勝年(16・8~17・8) 3 ・上川 陽子(17・8~18・10) 15 ・山下 貴司(18・10~19・9) 4 ・河井 克行(19・9~19・10) 0 ・森 雅子(19・10~20・9) 1 ・上川 陽子(20・9~21・10) 0 ・古川 禎久(21・10~ ) 3
※仙谷氏は官房長官兼務
2021.12.06-FNNプライムオンライン-(関西テレビ)-https://www.fnn.jp/articles/-/281356
「紀州のドン・ファン」遺言書の筆跡は別人か 野崎さん兄ら新たに鑑定書提出 田辺市への寄付は無効と裁判
「
紀州のドン・ファン」と呼ばれた
資産家の男性の遺言書をめぐって、
男性の兄たちが「遺言書の筆跡は別人のものだ」とする鑑定書を、新たに提出したことが分かりました。
「
紀州のドン・ファン」と呼ばれた、
和歌山県田辺市の野崎幸助さん(当時77)は3年前、急性覚醒剤中毒で死亡し、
元妻の須藤早貴被告(25)が殺人などの罪で起訴されています。
田辺市によると野崎さんは、13億円とされる遺産を全て田辺市に寄付するという遺言書を残していましたが、
野崎さんの兄たちは遺言書が無効だとして裁判を起こしています。
弁護士によると、兄たちは「遺言書の筆跡は別人のものだ」とする鑑定書を和歌山地裁に提出していましたが、11月、新たに2通の鑑定書を提出したということです。田辺市は「裁判中のためコメントを差し控える」と話しています。
2021.11.22-Yahoo!Japanニュース(神戸新聞)-https://news.yahoo.co.jp/articles/96c6f9d99bfe35acd4f3d8d1e9c0b6035f287fcd
丹波・中2女子遺棄 被告の男に実刑、懲役3年10月判決 神戸地裁
兵庫県丹波市の林道で中学2年の少女(13)の遺体が見つかった事件で、死体遺棄や未成年者誘拐、自殺ほう助などの罪に問われた住所不定、無職の男(24)の判決公判が22日、神戸地裁であった。
野口卓志裁判長は懲役3年10月(求刑懲役4年6月)を言い渡した。
判決によると、
男は5月上旬、ツイッター上で自殺願望を示していた兵庫県内の少女にダイレクトメッセージ機能で連絡し、一緒に練炭自殺すると提案。県内で
少女と合流して車で丹波市内まで連れ去り、道具をそろえるなどして少女の自殺を手伝った。自身も一緒に死のうとしたが、直前でやめ、亡くなった少女を林道に遺棄した。
量刑の理由で野口裁判長は「
少女の自殺の意思は確定的ではなく、思いとどまる可能性は十分にあった」と指摘。生きるよう説得もせず、会って短時間で自殺の環境を整えた男の態度を「生命を軽視するもの」と断じた。
これまでの公判で男は起訴内容を認め、「
少女の将来を考えていれば、死ぬのを止められたかもしれない。取り返しのつかないことになってしまい、本当に申し訳ありませんでした」と謝罪。少女の母親は「死んで楽になろうと思わないで、罪を背負って生きてください」と述べていた。
初公判の際、長い前髪で顔全体が隠れていた男。少女の遺族から「顔を出して謝罪すべき」と指摘されており、判決宣告時には髪を分け、顔を出していた。
◇厚労省は自殺対策などの情報をまとめたサイト「まもろうよ こころ」(https://www.mhlw.go.jp/mamorouyokokoro/)で、電話やSNSに対応した複数の相談窓口を紹介している。
2021.11.20-Yahoo!Japanニュース(朝日新聞)-https://news.yahoo.co.jp/articles/51eeafe71e1e310859bc6df5653c7600a49927d8
BLMデモ銃撃、3人死傷させた白人男性に無罪 「正当防衛」認定か
米ウィスコンシン州で昨夏、ブラック・ライブズ・マター(BLM)関連のデモに参加していた3人を銃で撃って死傷させたとして、殺人などの罪に問われた
白人男性(18)に対し、地元の陪審団は19日、無罪の評決を言い渡した。弁護側による、「正当防衛」の主張を認めたとみられる。米国では裁判が詳しく報じられており、抗議活動などが起きる可能性もある。
事件は
昨年8月25日、同州ケノーシャで発生した。この2日前、黒人男性が警官に背後から複数回にわたって拳銃で撃たれる事件があり、抗議デモが活発になっていた。
隣接するイリノイ州に住むカイル・リッテンハウス被告は、暴徒からケノーシャを守るための「自警団」のような組織を知人らと作り、殺傷能力の高い半自動ライフル銃「AR15」型の銃を持って、路上にいた。その銃で36歳と26歳の男性を殺害し、27歳の別の男性も殺そうとしたなどとして、五つの罪に問われた。
亡くなった2人は武器を持っていなかったが、弁護側はリッテンハウス被告が発砲するまでの間、路上で追いかけられて銃を奪われそうになったり、スケートボードで殴られたりしたことを強調。発砲は身を守るための行動だったとして、無罪を主張した。
評決を出すためには全員で意見を一致させる必要があり、12人で構成される陪審団は、16日から4日間にわたって評議をしていた。
検察側は控訴することができず、これで無罪が確定した。評決が法廷で読み上げられる間、リッテンハウス被告は次第に表情を崩して涙ぐみ、言い渡しが終わると弁護人と抱き合った。
2021.11.16-朝日新聞-https://www.asahi.com/articles/ASPCJ3QXMPC4PIHB01Z.html
神戸5人殺傷、無罪判決に地検が控訴 「心神喪失」に不服
神戸市北区で2017年、親族や近隣住民計5人が殺傷された事件で、神戸地検は16日、
殺人や殺人未遂などの罪に問われた男性被告(30)を無罪(求刑無期懲役)とした
一審の神戸地裁判決を不服として、大阪高裁に控訴した。
神戸地裁は4日の判決で、事件当時の被告について、「哲学的ゾンビ」を殺せば知人女性と結婚できると思い込み、「妄想などの精神症状の圧倒的影響下にあった疑いを払拭できない」と指摘。「
(刑事責任能力が認められない)心神喪失状態にあったとの合理的疑いが残る」と判断した。検察側は、被告は心神耗弱状態で、善悪を判断する能力は残っていたと主張していた。
被告は17年7月、自宅で祖母の南部観雪(みゆき)さん(当時83)と祖父の達夫さん(同)を金属バットで殴るなどして殺害し、母親(57)にも重傷を負わせたうえ、近くにいた辻やゑ子さん(当時79)を包丁で刺殺。近所の女性(69)にも重傷を負わせたとして、起訴されていた。
(岩本修弥)
2021.11.11-産経新聞-https://www.sankei.com/article/20211111-GJ4GAM2U5RIGDOM3ZL5E5GPLEA/
明浄学院事件、控訴断念 元部下との共謀立証難しく
「
誰が事件の全体像を描き、主導したのか。裁判官に理解させることができなかったのが、反省点だ」10月28日の
無罪判決後、ある検察幹部は公判をこう振り返った。
学校法人明浄学院の資金21億円の横領に共謀したとして業務上横領罪に問われ、
大阪地裁で無罪を言い渡された東証1部上場の不動産会社「プレサンスコーポレーション」(大阪市)の山岸忍前社長(58)について、大阪地検は11日、控訴を断念したことを明らかにした。
判決から控訴期限まで14日。検察当局は、ぎりぎりまで控訴を検討した。ポイントは、プレサンスコーポレーションの山岸忍前社長の元部下が任意段階の取り調べで、前社長との共謀を認めていたことだった。
元部下は、逮捕前に共謀をいったん認め、逮捕後に共謀を否定。さらに地裁が「強引」と認定した検事の取り調べを受け、改めて認める方向に転じていた。
判決はこうした変遷を踏まえ、元部下の証言を「信用できない」とは判断したが、共謀を認めた逮捕前の証言の任意性までもが否定されたわけではなかった。
検察内部では、「証拠のすべてが否定されたわけではない」として、元部下が前社長に示したとされるメモや資料といった客観証拠と、証言の整合性を洗い直して控訴審に臨むべきとの声も上がった。しかし最終的には「元部下の供述という共謀立証の柱が折れており、地裁判決を覆すのは厳しい」との考えに傾き、控訴を断念した。
控訴断念の決定を受け、
山岸前社長は「検察庁にようやく真相を理解してもらえたことに、ただほっとしている」とコメントした。
2021.11.09-NHK NEWS WEB-https://www3.nhk.or.jp/news/html/20211109/k10013340111000.html
点滴に消毒液 3人殺害の罪 元看護師に無期懲役の判決 横浜地裁
横浜市の病院で、入院患者3人の点滴に消毒液を混入して殺害した罪などに問われた
元看護師に対し、横浜地方裁判所は、「結果は極めて重大だが、更生の可能性があり、死刑を選択するのは、ちゅうちょせざるをえない」と述べ、死刑の求刑に対し、無期懲役の判決を言い渡しました。
横浜市神奈川区の旧「大口病院」の元看護師、A被告(34)は、5年前の2016年9月、70代から80代の入院患者3人の点滴に消毒液を混入し、殺害した罪などに問われました。
これまでの裁判員裁判で、被告は起訴された内容を認め、被告の当時の精神状態や刑の重さが争点になり、検察が死刑を求刑したのに対し、弁護士は心神こう弱状態で、無期懲役が相当だと主張していました。
9日の判決で横浜地方裁判所の家令和典裁判長は、被告の当時の精神状態について「『ASD=自閉スペクトラム症』の特性を有し、うつ状態と認められるが、完全責任能力が認められる」と述べたうえ、「被害者は苦痛の中で命を奪われており、結果は極めて重大だ」と指摘しました。
一方で、犯行にいたる経緯について「被告は、もともとの特性から看護師には向いていないと自覚していたが、急変時に無理な延命措置をしないとされた大口病院の業務なら、自分にもつとまると考えた。しかし、実際には患者の家族がみとりに間に合うよう延命措置を講じなければならないことがあり、亡くなった際には家族にどなられて強い恐怖を感じた。ストレスをため込んだ被告は、一時的な不安軽減のため患者を消し去るほかないと考え、短絡的な犯行を繰り返した。こうした動機の形成過程には被告の努力では、いかんともしがたい事情が色濃く影響している」と述べました。
そのうえで、「反省して罪を償いたいと述べており、更生の可能性が認められ、死刑を選択するのは、ちゅうちょを感じざるをえない」として、無期懲役を言い渡しました。
裁判長「生涯をかけて償ってほしい」
無期懲役の主文が言い渡されたとき、被告は証言台の前に座り、裁判長のほうをじっと見つめていました。そして裁判長が「裁判所の判断です。わかりましたか」と尋ねると、被告は「はい」と小さな声で答えました。言い渡しの際、検察官の後ろに座っていた遺族は、じっと被告のほうを見ていました。
最後に裁判長は「それぞれの犯行について慎重に検討しました。苦しい評議でしたが、われわれ全員で出した結論が無期懲役です。生涯をかけて償ってほしい」と語りかけ、閉廷しました。
遺族コメント「判決に納得いかない」
判決について被害者の1人、西川惣藏さん(88)の長女は弁護士を通じて、「3人を殺害したという事実や、完全な責任能力があることなどはすべて認められたのに、謝罪を述べたことや、公判の最後に死んで償うと述べたこと、被告人の経歴、性格などから無期懲役の選択がされたという判断には、納得がいきません。極刑がすべてではなく、無期懲役が厳しい刑罰であることは十分理解していますが、裁判所の価値判断によって結論が出されたという印象を拭い去れません。死刑が選択されなかったことを納得できる理由は判決の中で説明されていませんでした。被告人は、少なくとも生きていくことは許されたわけですが、では、これからどうやって償っていくのかという思いです」とするコメントを出しました。
また亡くなった八巻信雄さん(88)の長男の信行さん(61)は、弁護士を通じて、「判決には納得できない。あまりに身勝手な動機で罪のない人を殺しておきながら、死刑にならないのはおかしい。検察には控訴してほしい」というコメントを出しました。
病院コメント「被害患者と遺族に心よりお詫び」
判決を受けて、A被告が勤務していた横浜市の旧「大口病院」、今の「横浜はじめ病院」はコメントを出しました。この中で、「患者様に寄り添い、守るべき病院において看護師がこのような恐ろしい行為に及んだことが認定される結果となりました。改めまして、被害にあわれた患者様およびご遺族の皆様には心よりお詫び申し上げます。今はただ、事件によりお亡くなりになられた患者様のご冥福を、心よりお祈り申し上げます」としています。
横浜地検「上級庁とも協議のうえ適切に対応したい」
判決について、横浜地方検察庁の安藤浄人次席検事は「判決内容を精査し、上級庁とも協議のうえ、適切に対応したい」としています。
元裁判官「元看護師の特性を酌むべき事情として考慮」
無期懲役の判決について、元刑事裁判官で法政大学法科大学院の水野智幸教授は「元看護師には完全責任能力があったと認めた一方で、複数のことが同時に処理できないなどASD=自閉スペクトラム症の特性があり、本人の努力ではいかんともしがたい事情が犯行に影響したと判断している。死刑はやむをえない事情がない場合に限り言い渡されるもので、今回は3人の命が失われたことは重大だとしながらも、元看護師の特性を酌むべき事情として考慮したといえる」と話しています。
2021.11.05-読売新聞-https://www.yomiuri.co.jp/national/20211105-OYT1T50088/
死刑執行当日の告知は「違憲」…死刑囚2人が国を異例の提訴、執行に従う義務ないと主張
死刑囚に当日まで執行を伝えないのは憲法に違反するとして、
死刑囚2人が4日、国に慰謝料など計2200万円の支払いと、執行に従う義務がないことの確認を求める訴訟を大阪地裁に起こした。
死刑囚の代理人弁護士によると、死刑執行の告知のあり方を問う訴訟は異例という。
訴状などによると、告知時期に関する法令上の規定はなく、法務省の運用に委ねられている。かつては前日までに告知され、家族らとの面会時間も設けられていたが、遅くとも2000年以降は「心情の安定を著しく害する」として当日の告知が続けられているという。
死刑囚側は、不服を申し立てる権利が奪われ、適正な手続きがなければ生命は奪われないと定めた憲法31条に反すると主張。国連の自由権規約委員会からも見直しを検討するよう勧告されているとしている。
法務省によると、10~11年に死刑制度の存廃などを議論する省内の勉強会で告知時期が検討されたが、運用は変更されていない。同省は「適切に対応したい」としている。
2021.11.04-NHK NEWS WEB-https://www3.nhk.or.jp/news/html/20211104/k10013334551000.html
5人殺傷事件で無罪判決 「心神喪失だった疑いが残る」神戸地裁
4年前、
神戸市で祖父母と近所の女性の3人を殺害し、母親など2人に大けがをさせたとして、殺人などの罪に問われた、30歳の被告に対し、
神戸地方裁判所は「事件当時、被告は心神喪失の状態だった疑いが残る」として、
無罪を言い渡しました。
無罪が言い渡されたのは30歳の被告です。
被告は平成29年7月、神戸市北区の自宅などで、いずれも83歳の祖父と祖母、それに近所の79歳の女性を包丁で刺すなどして殺害し、母親や別の近所の女性にも大けがをさせたとして、殺人などの罪に問われていました。
裁判で被告は、5人を襲ったことを認めましたが、弁護側は当時、
精神疾患の影響で責任能力がなかったとして
無罪を主張し、
検察は無期懲役を求刑していました。
4日の判決で、神戸地方裁判所の飯島健太郎裁判長は「妄想などの精神障害の圧倒的な影響下で犯行に及んだと考えられ、事件当時、被告は心神喪失の状態だった疑いが残る」と述べて、無罪を言い渡しました。
被告の弁護士「裁判員と裁判官が判断したこと」
無罪判決について、被告の弁護士は「裁判員と裁判官が判断したことです。弁護人としてやるべきことはやったので、われわれは従うだけです」と話していました。
神戸地検「判決内容を検討 適切に対応したい」
無罪判決について、神戸地方検察庁の山下裕之次席検事は「判決内容をよく検討し、上級庁とも協議のうえ、適切に対応したい」とコメントしています。
裁判員「協議を重ねた結果、このような結果に」
判決のあと、裁判員と補充裁判員を務めた2人が会見を行いました。
40代の会社員の男性は「ご遺族や被害者には納得のいかない判決になったと思いますが、協議を重ねた結果、法律に基づきこのような結果になりました」と話していました。
補充裁判員を務めた30代の会社員の男性は「精神疾患はほかの人からは見えないからこそ判断が難しく、鑑定した医師の結果も違ってきたのだと思います。公判を通じて得られた情報や自分の常識をもとに、ずっと考え続ける裁判でした」と話していました。
遺族「ただただ絶望 責任能力の制度と運用見直すきっかけに」
無罪判決について、近所に住んでいて事件で亡くなった、辻やゑ子さんの長女と長男は「判決を聞き、ただただ絶望しています。何の罪もない3人が命を奪われたのに、到底納得がいきません。私たちと同じような思いをする人がいなくなるよう、責任能力という制度と運用を見直すきっかけにしてほしいです」などとコメントしています。
2021.11.01-朝日新聞-https://www.asahi.com/articles/ASPC16SRQPC1UTIL039.html
証拠のデータ破損問題 捜査の適法性「裁判官は予断持たずに判断を」-
(新屋絵理)
薬物事件の証拠品となるDVD内の動画データが破損していた問題で、
覚醒剤取締法違反(使用)罪に問われた被告の男の弁護団が1日、東京地裁での初公判に合わせて会見し、破損の原因や捜査の適法性について「
裁判官は警察の不正はないはずという予断を持たずに判断してほしい」と訴えた。
この日の初公判で無罪を主張した弁護側は、
被告が逮捕された昨年1月8日、車にあったペットボトルを警察官から渡されて被告が飲み、その水に、被告の知人女性が使った覚醒剤が混じっていた可能性があると指摘。「
被告自らがすすんで摂取していない」
と訴えた。女性は被告の確保中に逃げ出したという。
そのうえで、
破損した映像データには、被告や女性、警察官の行動が記録されていたはずと説明。警察が女性を取り逃がしたり警察官が被告を転倒させたりしたなど「不都合な場面があった」と述べた。
弁護側 「無理な捜査、ぼろが出る」と批判
被告の逮捕後に検察側が押収したペットボトルや水を分析したところ、覚醒剤成分や被告のものとみられる唾液(だえき)成分が検出されたという。弁護側はこの水は被告が当時飲んだものだと主張し「無理な捜査には必ずぼろが出る」とも述べた。
これに対し
検察側は、被告が飲んだペットボトルは未開封と反論。映像は取り押さえる直前までしか撮影していないと主張した。
検察側の解析などでは警視庁愛宕署で保管中にデータが破損しており、弁護団が同署警察官を証拠隠滅容疑で告発している。この警察官らの証人尋問も今後行われる予定。(
新屋絵理)
証拠管理「内規でなく立法化を」 専門家が指摘
捜査機関の証拠管理は、検察や警察の内規に委ねられているのが実態だ。警察の捜査の心構えなどを定めた
国家公安委員会規則「犯罪捜査規範」は、捜査資料について「適切に管理し保管の必要がなくなれば確実に破棄」すると規定。警察庁の通達では、証拠を帳簿に記して管理するよう求めている。
ただ今回の場合、破損したデータを含む計14枚のDVDは事件から1年以上帳簿に記載されず、保管されていたのも警察署内の鍵のかかっていないロッカー内だったという。
龍谷大学の斎藤司教授(刑事訴訟法)は「
国家権力を使って集めた証拠は、捜査機関だけのものではない」と説明。今回の裁判は証拠管理のあり方も問われているとしたうえで、「安全な証拠管理を目指すため、内規ではなく新たに立法化すべきだ」と指摘した。(
新屋絵理)
2021.11.02-朝日新聞-https://www.asahi.com/articles/ASPC17L2GPBPUTIL047.html
最高裁国民審査、全員信任 夫婦同姓「合憲」4判事は不信任7%超
10月31日に行われた
最高裁裁判官の国民審査について、総務省が1日、結果を公表した。
対象の裁判官11人で解職される人はいなかった。約5860万の投票があり、投票率は55・69%(前回53・34%)だった。
×印が有効票の半数を超えると解職される仕組みで、白票は信任と扱われる。×印の割合が最も高かったのは深山(みやま)卓也氏、最も低いのは安浪亮介氏。7%を超えたのは、6月の最高裁決定で夫婦別姓を認めない民法規定を合憲とする多数意見に加わった深山氏、林道晴氏、岡村和美氏、長嶺安政氏の4人だった。
11人は裁判官15人(長官、判事14人)のうち2018年1月~今年9月に就任した判事。これまで24回の
国民審査で、最も×が多かった人は15・17%(1972年審査)。
(
阿部峻介)
2021.10.28-日本経済新聞-https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUF282UO0Y1A021C2000000/
プレサンス前社長「適正な判決」 横領事件で無罪
学校法人「明浄学院」(大阪府熊取町)の資金を着服したとして、業務上横領の罪に問われ、
大阪地裁で無罪判決を受けた不動産会社「
プレサンスコーポレーション」(大阪市)の山岸忍前社長は28日、大阪市内で記者会見し、「適正な判決をいただいてうれしく思う」と述べた。
その上で大阪地検特捜部の捜査に関し、「もっと丁寧な捜査をしてほしかった」と話した。「プレサンス社を『こうしていきたい』という夢がたくさんあった。それを(逮捕と起訴で)奪われたのは本当に悔しかった」とも語った。
山岸氏の弁護人を務めた中村和洋弁護士は「控訴を断念すべきだ」と訴えた。秋田真志弁護士は捜査について「
関係者の自白を強要するなど問題のある取り調べが浮き彫りとなった」と指摘。「(取り調べの録音・録画など)可視化が有効に機能した」と意義を強調した。また、「
自らつくった仮説に固執する捜査を続けた。(2010年の証拠改ざん事件から)特捜部が全く変わっていなかったことを露呈した」とも述べた。
2021.10.27-読売新聞-https://www.yomiuri.co.jp/national/20211027-OYT1T50107/
同僚の水筒に猛毒リシン混入、女に有罪判決…被害者と不倫「無視され嫌がらせ」と指摘
猛毒の物質「リシン」を同僚だった男性の水筒に入れたとして、
器物損壊罪に問われた会社員の女(30)(兵庫県姫路市)の判決が26日、神戸地裁であり、野口卓志裁判官は「被害者から無視されるようになったと感じ、嫌がらせをしようと考えた動機は自己の感情の発散で身勝手だ」として懲役1年、執行猶予3年(求刑・懲役1年)を言い渡した。
判決などによると、女は3月26日、当時勤務していた神戸市長田区の建設会社の事務所で、同僚だった男性の水筒にリシンを入れ、水筒を使用不能にするなどした。
野口裁判官は、女が被害者と不倫関係にあったとし、「関係がはっきりしない状態のまま無視されるようになったと感じて恨みを募らせた」と指摘した。
2021.10.22-JIJI COM-https://www.jiji.com/jc/article?k=2021102200161&g=soc
元看護師に死刑求刑 検察「身勝手、残虐」―入院患者3人殺害・横浜地裁
横浜市の大口病院(現・横浜はじめ病院)で2016年、入院患者3人の点滴に消毒液を混入し殺害したとして、
殺人罪などに問われた元看護師のA被告(34)の裁判員裁判の論告求刑公判が22日、横浜地裁(家令和典裁判長)であった。
検察側は「身勝手な動機に基づく計画的、残虐な犯行で、酌量の余地はない」として死刑を求刑した。
A被告は起訴内容を認めており、刑事責任能力の程度が争点。判決は11月9日の予定。
検察側は論告で、動機は終末期医療患者らが勤務時間中に死亡し、家族対応を迫られるのを避けるためだったと指摘。事件当時、被告には軽度の自閉スペクトラム症の特性があったが、事件には影響せず完全責任能力があったと主張した。
その上で、「
看護師という社会的弱者を守る立場にありながら、3人を殺害した結果は極めて重大で、生命軽視の姿勢が顕著だ」と非難した。
弁護側は最終弁論で「事件当時、被告は統合失調症の影響で心神耗弱状態だった」と反論。罪悪感と後悔の念を持ち、遺族にも謝罪したとして、無期懲役が相当と訴えた。A被告は最終意見陳述で「罪の重さを痛感し胸が苦しくなる。死んで償いたいと思っている」と述べた。
これに先立ち、それぞれの遺族が意見陳述し、「悔しくてならない。看護師の手によって命が奪われるなど絶対にあり得ない」などと話した。
起訴状によると、A被告は16年9月15~19日、大口病院に入院していた男性患者2人=いずれも当時(88)=と女性患者=同(78)=の点滴袋に消毒液を入れるなどして殺害。同月18、19日には、別の患者4人の点滴袋などに消毒液を混ぜたとされる。
2021.10.14-NHK NEWS WEB-https://www3.nhk.or.jp/news/html/20211014/k10013307471000.html
娘を小屋に10年余監禁し衰弱死 両親の懲役13年の判決確定へ
大阪 寝屋川市で、10年余りにわたって娘を自宅の敷地内の小屋に閉じ込めて、衰弱死させたとして、両親が監禁などの罪に問われた裁判で、
最高裁判所は無罪を主張する被告側の上告を退け、懲役13年が確定することになりました。
大阪 寝屋川市の柿元泰孝被告(59)と妻の柿元由加里被告(56)は、33歳の長女を自宅の敷地内に建てた小屋に10年余りにわたって閉じ込め、平成29年に衰弱させて死亡させたとして、
監禁と保護責任者遺棄致死の罪に問われました。
裁判で2人は「
精神疾患を患う娘の療養のためだった」などと、無罪を主張しましたが、1審の大阪地方裁判所は去年「
極めて狭い空間で想像を絶する長期間にわたって行動の自由を奪い、心身の成長を妨げていて、療養のためとは到底いえない」と指摘したうえで「極度に痩せ衰えて明らかに衰弱しているのに、発覚を恐れて適切な保護を怠った」として、
求刑どおり懲役13年を言い渡しました。
2審も同じ判断をしたため、被告側が上告していましたが、最高裁判所第3小法廷の戸倉三郎裁判長は14日までに退ける決定をし、懲役13年の判決が確定することになりました。
2021.10.06-Yahoo!Japanニュース(産経新聞)-https://news.yahoo.co.jp/articles/1bd360de9222285e3ac60d7836de035fb7dd702c
「嘘ついたら先生とキス」 仲裁めぐる教諭発言の違法性認める
奈良市の市立小学校で平成29年、
当時4年の女子児童がいじめを受けて不登校になったのは、学校側が不適切な対応をとったためだとして、女児側が市に330万円の損害賠償を求めた訴訟の判決が6日、奈良地裁であり、井上直樹裁判官は担任教諭(33)の発言の一部に違法性があったと認め、市に11万円の支払いを命じた。
判決によると、女児は29年4月、奈良市立小に転入し、同年6月から不登校になった。女児は同級生の女児からいじめを受けたと主張。同月、相談を受けた担任の男性教諭は、教室に女児と同級生を呼び出し、指切りで仲直りを約束させた上、「
噓をついたら先生とキスをする」などと発言した。
判決理由で井上裁判官は、教諭の発言について「
内容的にも、児童を仲裁する場という状況としても相当性を欠き、不法行為と認められる」と指摘した。 訴訟の中で市側は教諭の発言自体は認めており、「
和やかに和解の約束をさせようと思うあまり発言したが、セクハラといわれても仕方がない」と説明していた。 判決を受け、市は「弁護士と相談のうえ(対応を)検討したい」とコメントした。
2021.10.01-日本経済新聞-https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUF010IQ0R01C21A0000000/
患者3人殺害認める、元看護師 点滴連続中毒死で初公判
横浜市の旧大口病院(現横浜はじめ病院・休診中)で
2016年、入院患者の男女3人の点滴に消毒液を混入し殺害したとして、殺人罪などに問われた元看護師、A被告(34)は1日、横浜地裁の裁判員裁判初公判で「
全て間違いありません」と起訴内容を認めた。
被告の弁護人は「被告は犯行当時、統合失調症で、心神耗弱の状態にあった」と述べた。検察側は冒頭陳述で「被告は患者が亡くなった際に家族の対応をしなくてすむよう、自分の勤務外に殺害を決意した」と述べ、精神鑑定の結果などから完全責任能力が認められると主張した。公判では、刑事責任能力の程度が焦点となる。
起訴状によると、16年9月15~19日ごろ、いずれも入院患者の
興津朝江さん(当時78)、西川惣蔵さん(同88)、八巻信雄さん(同88)の点滴に消毒液「ヂアミトール」を混入し、同16~20日に殺害。殺害目的で同18~19日ごろ、点滴袋5個に消毒液を入れたとされる。
神奈川県警は18年7~8月、3人に対する殺人容疑で被告を3回逮捕。同11月に殺害目的で点滴に消毒液を混入したとして、殺人予備容疑で追送検した。3カ月間の鑑定留置を実施した上で、同12月に起訴した。
被告は、横浜市内の看護学校を卒業し08年に看護師として市内の総合病院に就職。次第に不眠に悩まされるようになった。
捜査関係者によると、逮捕後の取り調べに「働き始めたころから、容体が急変した患者の対応が苦手だった」と供述。うつ病と診断され15年4月ごろ依願退職した。すぐに旧大口病院へ再就職した。事件発覚後に退職し、別の病院で働いたが間もなく辞めた。〔共同〕
2021.09.24-NHK NEWS WEB-https://www3.nhk.or.jp/news/html/20210924/k10013274301000.html
愛知県知事リコール署名偽造事件で初公判 事務局長ら認否留保
愛知県知事のリコール=解職請求をめぐり、アルバイトを使って署名を偽造したとして地方自治法違反の罪に問われている、
リコール活動団体の事務局長とその次男の初公判が開かれ、2人は認否を留保しました。
おととし愛知県などが開催した国際芸術祭「あいちトリエンナーレ」で「表現の不自由」をテーマにしたコーナーが設けられたことについて、美容整形外科「高須クリニック」の高須克弥院長が会長を務める団体「愛知100万人リコールの会」が去年、愛知県の大村知事のリコールを求める署名活動を行いましたが、県の選挙管理委員会に提出された署名のうち83%が有効と認められませんでした。
この署名活動をめぐって、
団体の事務局長、田中孝博被告(60)と次男の雅人被告(29)は、去年10月下旬、佐賀市内でアルバイトを使って署名を偽造したとして、地方自治法違反の罪に問われています。
24日、名古屋地方裁判所で初公判が開かれ、起訴された内容について2人は「弁護士に説明してもらいます」などと話し、弁護士は認否を留保すると述べました。
このあと検察は「
事務局長は、去年9月末の時点で署名が6000筆余りにとどまっていたことから、このままではリコールは成功しないと考えた。
署名の偽造を次男に伝え、偽名を使わせて名簿業者から愛知県民80万人分の名簿データを購入させた。また、事務局長は署名を書き写す人を集めるよう広告関連会社の代表に依頼した際『
いちいち本人に確認しないし、みんなやっている。署名簿が返ってきたあと廃棄すれば、ばれない』と話していた。
アルバイト代金は団体の口座から小切手や現金で支払われ、次男が署名用紙などを佐賀市まで運び、作業内容を指示したりしていた」と述べました。
また、田中事務局長が名簿の購入やアルバイト代金のためにリコール活動団体の口座から合わせて1500万円余りを引き出していたと述べました。
裁判を傍聴した「請求代表者」は
裁判の傍聴には当時、署名活動を担った人たちも訪れました。
愛知県豊田市の元大学教授、伊藤幸男さんは、署名集めの中心を担う
「請求代表者」として、街頭に立ち署名活動を行いました。
しかし、選挙管理委員会に提出された署名に偽造されたものが大量に含まれていたことが発覚したあと、田中事務局長や団体の高須克弥会長から詳しい説明がなく、伊藤さんは一日も早く真相が明らかになることを望んできました。
裁判の前、
伊藤さんは「偽造がわかった時は非常にショックでした。リコール制度は民主主義の重要な柱で、署名を偽造することは、本人の意思を無視しているので、あってはならないことだ。田中事務局長は素直に認めて反省や謝罪のことばを述べるか、関心があります」と話していました。
伊藤さんは裁判を傍聴したあと、報道各社の取材に応じ「きょうの検察官の説明を聞いて、具体的にどのような作業が行われていたのか確認することができた」と話しました。
さらに田中事務局長らに対しては「認否を留保するのにとどまったことは残念に思う。真面目に署名活動に参加したボランティアや応援してくれた人の名誉のためにも、事務局長らには誠意をもって県民に謝罪をしてほしい」と思いを語りました。
2021.09.16-朝日新聞-https://www.asahi.com/articles/ASP9J6G4MP9JPTIL00K.html
滋賀県、確定無罪判決を否定する主張 国賠求める女性「怒り心頭」
滋賀県の湖東記念病院で2003年に死亡した男性患者への殺人罪で服役後、
再審無罪が確定した
元看護助手の西山美香さん(41)が国と県に計約4300万円の国家賠償を求めた訴訟で、県が無罪判決を否定する内容の主張をしていることが分かった。16日に大津地裁であった非公開の手続き後、原告側が会見で明らかにした。
昨年3月の再審の無罪判決は、西山さんの捜査段階の自白について、取り調べた県警の男性刑事が西山さんの恋愛感情などを利用して誘導したと認定。被害者が
致死性不整脈で死亡した可能性があり「殺害されたという事件性が証明されていない」と結論づけた。無罪判決は翌月に確定した。
だが、県は、15日に地裁へ提出した準備書面で「取り調べ担当官に好意と信頼を寄せて虚偽の殺害を自白することなど、根本的にあり得ない」とし、捜査の違法性を否定。「被害者を心肺停止状態にさせたのは、原告である」と主張した。
再審の無罪判決で、裁判長は「取り調べや証拠開示などが一つでも適切に行われていれば、逮捕・起訴はなかったかもしれません」と説諭したが、「
滋賀県警としては、承服し難い」とも反論した。
西山さんは昨年12月、捜査の違法性を明らかにするとして、国賠訴訟を起こした。国は6月、「検事が有罪と認められる嫌疑があると判断したことには十分な理由があり、起訴の判断が合理性を欠くとはいえない」とし、検事の捜査に違法性はなかったとする書面を地裁に提出している。
16日の会見で、西山さんは「県の書面の内容はうそで、怒り心頭だ」と語った。代理人の井戸謙一弁護士は「予想外で大変不当」と強調。県の準備書面について「無罪とした刑事確定判決の判断を正面から否定するもの」「美香さんを再び馬鹿にし、その名誉を甚だしく毀損(きそん)するもの」などとし、県の代理人に撤回を求めたという。
無罪判決をめぐっては、県議会で昨年6月、滝沢依子・県警本部長が
代表質問に対し「結果として(西山さんに)大きなご負担をおかけし、大変申し訳ない」と謝罪していた。県警
監察官室は取材に対し、準備書面について「個別の案件についてはコメントを差し控える」とした。(安藤仙一朗)
大阪市東住吉区で1995年、女児(当時11)が死亡した火災で、再審無罪となった母親の青木恵子さん(57)が国と大阪府に損害賠償を求めた訴訟が16日、大阪地裁で結審した。判決は来年3月15日。
青木さんは保険金目的で放火したなどとして殺人罪などで起訴され、無期懲役の判決を受けた。その後、大阪地裁の再審で2016年8月、自白は誘導された疑いがあるなどとして無罪判決を受け、確定した。
青木さんは、違法な取り調べで自白を強要され、精神的な苦痛を受けたとして提訴。国や府は、違法な捜査はなかったとして請求棄却を求めている。今年2月の証人尋問で、取り調べを担当した元警察官は「(青木さんを)今でも犯人だと思いますか」と問われ、「思います」と答えた。
青木さんは16日の口頭弁論で「『娘殺しの母親』の汚名を着せられたのに、国や府からは謝罪もない」と訴えた。(米田優人)
元刑事裁判官の水野智幸・法政大法科大学院教授の話
民事裁判は、刑事裁判から独立して認定できるので、国や滋賀県、大阪府がどのような主張をするかは法的に自由だ。ただ、いずれの事件も無罪判決が再審で確定し、違法な捜査があったと認めている。無罪判決を否定するような主張をするのは、「私たちは納得していない」というポーズであり、間違いを認めない姿勢の表れだ。
裁判が長引くと無罪になった人の負担が増え、救済も遅れる。
捜査機関側は素直に誤りを認めて謝罪し、事件を検証するべきだ。
2021.09.13-Yahoo!Japanニュース(産経新聞)-https://news.yahoo.co.jp/articles/2229c7df1a4c6974818ad0227fdc85c64cccdfe7
福岡・飯塚事件再審請求 「新証言」行方は 15日に3者協議
平成4年に福岡県で7歳の女児2人が殺害された「
飯塚事件」が、新たな展開を見せている。
死刑が確定し20年に執行された久間三千年(くま・みちとし)元死刑囚=執行時(70)=の妻が7月、福岡地裁に2度目の再審請求を申し立て、
弁護団は事件当日に2人の女児を乗せた白い色の不審な車を目撃したとする、確定判決の目撃証言とは異なる「新証言」を提出した。
死刑執行後の再審請求は、再審開始が認められれば初のケース。司法の判断が注目される。
■再鑑定は不可能
飯塚事件の特徴は、元死刑囚が捜査段階から全面否認を貫いたことだ。 第1次再審請求審では、有力な証拠とされた科警研の付着物のDNA型鑑定が、再審無罪が確定した「足利事件」とほぼ同時期に同じ手法で行われたため、その信用性が最大の争点となった。
ただ、飯塚事件では鑑定試料が残されておらず、再鑑定が不可能なことが判明。第1次再審請求の1、2審決定では、DNA型鑑定について「慎重に評価すべきだ」とする一方、血液型鑑定や車の目撃証言、被害者の着衣から採取した繊維が元死刑囚の車のシートと一致する可能性が高いとする鑑定結果などから、「犯人であることが重層的に絞り込まれている」として請求を棄却した。
最高裁第1小法廷も今年4月、「DNA型鑑定の証明力が別の証拠の評価を左右するとはいえず、再評価は必要ない」として退けた。
■女の子乗せた車見た
今回、弁護団が提出した新証言は、当時40代の男性が情報提供した。内容は以下のようなものだ。 《女児が行方不明になった日の午前11時ごろ、遺留品発見現場から約15キロ離れた国道で車を運転中、白いワンボックスタイプの軽自動車を追い抜いた際、後部座席にランドセル姿の女の子2人がいるのを見た。運転手は30~40代ぐらいで丸刈り、色白の男。その日、報道で女児2人が行方不明となったのを知り、翌朝に110番通報したが、警察が聴取に来たのは1週間後だった》
確定判決では、新証言と同日時に遺留品の発見現場近くの山道で「不審な紺色のワゴン車が停車しているのを見た」との地元男性の証言が、有力な証拠の一つとされた。男性は「メーカーはトヨタや日産ではない」「車体にラインがなかった」などと車の特徴を9つ挙げ、元死刑囚の車の特徴に当てはまっていた。
弁護団は「一瞬の目撃で9つも車の特徴を述べることはあり得ない」などと指摘し、事前に元死刑囚の車を把握していた捜査官による「誘導だ」と主張する。これに対し、検察側は第1次再審請求審で、「捜査の進展に従って目撃証言が詳細になるのは自然かつ合理的だ」と反論している。
■証拠開示を
弁護団の德田靖之弁護士は、「
再審開始のハードルは著しく高いだろう」としつつ、「今回の新証言について、当時県警が動いたのか、動いたのであればどの程度か、それを知るために証拠開示が非常に大事。裁判所がどの程度、開示の重要性を認識するかがポイントだ」と指摘する。 今月4日に東京都内で行われた弁護団による再審請求の報告集会では「
むちゃなことを言っているのではなく、裁判が間違っているからやり直してほしいと願っているだけです」などとする元死刑囚の妻のメッセージが代読された。 弁護団は、新証言の存在をテコに、福岡県警が当時、適切な捜査をしたかを検証するため、証拠開示を求める方針。
15日には、福岡地裁と福岡地検、弁護団で第2次再審請求の審理計画などを話し合う3者協議が行われる予定だ。(村嶋和樹、塔野岡剛)
◇ 飯塚事件 平成4年2月20日、福岡県飯塚市で小学1年の女児2人が登校中に行方不明になり、翌21日に同県甘木市(現・朝倉市)の山中で遺体が発見された。県警は6年9月、死体遺棄容疑で久間三千年・元死刑囚を逮捕。
その後、殺人罪などで起訴された。元死刑囚は一貫して無罪を主張したが、福岡地裁は11年9月、死刑を言い渡した。最高裁は18年9月に元死刑囚の上告を棄却、20年10月に刑が執行された。翌21年に元死刑囚の妻が再審を請求したが今年4月に請求棄却が確定。7月に第2次再審請求を申し立てた。
2021.09.07-産経新聞-https://www.sankei.com/article/20210907-GRUWN62HJJI6LNOAVXY5MV4BYA/
アイドル賃金未払い訴訟、遺族の請求棄却 「イベント参加は任意」
愛媛県を拠点に活動していた農業アイドルグループのメンバーで、平成30年3月に自殺した大本萌景(ほのか)さん=当時(16)=の遺族が、大本さんがイベントで行った
販売応援業務の報酬額が最低賃金額を下回っていたとして、所属していた
「Hプロジェクト」(松山市)を相手取り、約8万8000円の未払い賃金などの支払いを求めた訴訟の判決が7日、東京地裁であった。佐藤卓裁判官は「
イベントへの参加は任意で、労働基準法上の労働者だったとは認められない」とし、遺族側の請求を棄却した。遺族側は控訴する方針。
判決理由で佐藤裁判官は、大本さんはイベントの約1割に参加せず、不参加を理由に罰金が科されることもなかったと指摘。販売応援についても「
売り場の雰囲気を盛り上げる活動で、販売活動そのものとはいえない」と結論づけた。
判決後に会見した遺族側の代理人弁護士は「
10代のアイドルと所属事務所の力関係を一切無視しており、労働力の搾取を容認する判決だ」と批判した。
2021.09.07-NHK NEWS WEB-https://www3.nhk.or.jp/news/html/20210907/k10013247711000.html
秋元司衆院議員に懲役4年の実刑判決 IR汚職事件 東京地裁
IR・統合型リゾート施設の事業をめぐる汚職事件で、収賄と証人買収の罪に問われた秋元司衆議院議員に東京地方裁判所は「
大臣に次ぐ要職にありながら特定の企業と癒着し、至れり尽くせりの特別待遇を受けていた」として
懲役4年の実刑判決を言い渡しました。
IRを担当する内閣府の副大臣だった衆議院議員の秋元司被告(49)は、中国企業などから合わせておよそ750万円相当の賄賂を受け取ったとして
収賄の罪と、贈賄側に裁判でうその証言をするよう依頼し、現金を渡そうとしたとして証人買収の罪に問われ、全面的に無罪を主張していました。
判決で、
東京地方裁判所の丹羽敏彦裁判長は「
贈賄側の証言は、携帯電話のメッセージなどの客観的な証拠からも信用できる」などとして、
議員会館で渡された現金300万円や、そのほかの利益供与はいずれも賄賂に当たると判断しました。
また、
証人買収の罪については
秋元議員が積極的に主導したと認定しました。そのうえで「
大臣に次ぐ要職にありながら特定の企業と癒着し、露骨な接待を受けて至れり尽くせりの特別待遇を受けていた。さらに証人買収という卑劣な手段で前代未聞の司法妨害を行った。公人としての倫理観はおろか、この種の犯罪に関する最低限の順法精神もなく、長期の実刑は免れない」と指摘し、懲役4年と追徴金およそ750万円の判決を言い渡しました。
これについて弁護団は、控訴したということです。
7日夜 保釈認められる
実刑判決により東京拘置所に収監された秋元議員は7日夜、裁判所から保釈が認められました。保釈金1億円はすでに全額納付しているということです。
一方、この事件で秋元議員とともに収賄の罪に問われた
元政策秘書の豊嶋晃弘被告(42)には懲役2年執行猶予4年が言い渡されました。
判決の影響は
秋元議員は実刑が確定すれば、公民権が停止され、失職します。また、収賄の罪で有罪判決が確定した場合は、執行猶予が付いても公民権が停止され、失職しますが、秋元議員側は控訴したため、直ちに失職することはありません。
政治とカネをめぐっては去年以降、自民党に所属していた現職や元職の国会議員が相次いで起訴されています。
河井元法務大臣がおととしの参議院選挙をめぐる大規模買収事件の1審で実刑判決を受けたほか、吉川元農林水産大臣も現職当時の収賄事件で在宅起訴され裁判が続いています。
また、ことし7月には「桜を見る会」をめぐる問題で、
東京地検特捜部が安倍前総理大臣を不起訴とした処分の一部を検察審査会が「不起訴不当」と議決し、特捜部が再捜査しています。
失った国民からの信頼をどのように回復させるのか、厳しく問われていると言えます。
加藤官房長官「コメント差し控える」
加藤官房長官は、閣議のあとの記者会見で「判決は承知しているが、個別事案における裁判所の判断なので、政府として、コメントはこれまでも差し控えさせていただいているところだ」と述べました。
赤羽国土交通相「公正性 透明性を確保し審査」
IRを所管する赤羽国土交通大臣は「個別の事案の裁判所の判断については、国土交通大臣としての所感は差し控える」と述べました。
そのうえで、赤羽大臣は
、IR事業の今後の手続きの進め方について「当然のことだが、公正性、透明性をしっかりと確保しながら、その審査の過程や結果については、国民の皆様に十分、納得がいただけるように情報公開を進めて、説明責任を果たしたい」と述べました。
今回の汚職事件を受けて、政府は、収賄などの不正行為を防止するため、整備する地域を選定する際の基本方針を見直し、国や自治体の職員などがIRの事業者と面談する際は複数の職員で対応するほか、面談記録を作成し、一定期間、保存するといったルールを盛り込みました。
そして、
IRの誘致を目指す自治体からの整備計画の申請は、10月1日から受け付けることにしています。
萩生田文部科学相「党としても重く受け止めて対応」
萩生田文部科学大臣は閣議のあとの記者会見で「かつて自由民主党に所属した国会議員なので、党としてもきっと重く受け止めて対応していくことになるだろう。司法の中でさまざまなやり取りがあるだろうから、それをまずは見守っていきたい」と述べました。
自民 森山国対委員長「極めて大きな問題」
自民党の森山国会対策委員長は、国会内で記者団に対し「かつての
同僚議員が議員在職中に行った行為に
有罪の判決が出されたことは極めて大きな問題だ。国会議員一人一人が、自覚して政治活動に取り組んでいくことが大事なことだと改めて思う」と述べました。
また、記者団から衆議院選挙などへの影響について問われたのに対し、森山氏は「もう党員でないので、コメントは差し控えたい」と述べました。
自民 世耕参院幹事長「党内でコンプライアンスの徹底を」
自民党の世耕参議院幹事長は記者会見で「実刑判決が出たことを重く受け止めなければならない。今回の事案は政治家が当然守るべき法律を守っていなかったことに尽きる。改めて党内でコンプライアンスの徹底を図っていくことが重要だ」と述べました。
自民 岸田前政調会長「党としても重く受け止め信頼回復を」
自民党の岸田前政務調査会長は国会内で記者団に対し「現職の
国会議員に対する大変重い判決だ。本人は自民党を離党しているが、
党は公認などを行った責任もある。党としても重く受け止め、政治の信頼回復に努めなければならない」と述べました。
公明 山口代表「司法ゆがめた責任 深く自覚すべき」
公明党の山口代表は、記者会見で「自民党をすでに離党してるとはいえ、IR政策の担当副大臣だったことから、責任は極めて重い。特に
証人買収の罪まで有罪とされたことは、立法府にある人間が、司法の過程をもゆがめたということであり、責任を深く自覚すべきだ」と述べました。
立民 枝野代表「当然 議員辞職すべき」
立憲民主党の枝野代表は、党の役員会で「最初に立件された事件に加え、証拠隠滅や言い逃れをするために、さらに罪が指摘される経緯を見ても、秋元議員は、なぜいまだに現職にとどまっているのかと思う。当然、議員辞職すべきだ」と述べました。
立民 安住国対委員長「自民の責任で議員辞職させるべき」
立憲民主党の安住国会対策委員長は、記者団に対し「秋元議員は、かつて所属していた自民党の責任で議員辞職させるべきだ。裁判での証言を邪魔するような買収工作をしたという悪質性も指摘されているのに、自民党は秋元議員に対し、何ら処分をしてこなかった。だらしない、厳しさのない政党だ」と述べました。
判決の認定
秋元司衆議院議員は、カジノを含むIR=統合型リゾート施設の実現に向けた活動に力を入れてきました。平成28年12月には、衆議院内閣委員会の委員長としてIRの整備を推進する法案を採決。
よくとし
、IRなどを担当する国土交通省や内閣府の副大臣に就任しました。7日の判決は、政府が推進してきた、IR事業への参入をめぐって業者との間に癒着があったと判断しました。
1 最大の争点「議員会館の300万円」は
裁判所が「最大の争点」としたのは、衆議院が解散した平成29年9月28日に、秋元議員が議員会館で中国企業の元顧問らから、現金300万円の賄賂を受け取ったかどうかです。
裁判で検察は、元顧問ら2人の裁判での証言や、賄賂の金額や訪問をうかがわせる2人の携帯電話のメッセージなどから現金の授受があったと主張。
一方、秋元議員側は、スマートフォンのアプリの歩行記録のデータや、当日のスケジュール表に面会予定がないことなどを挙げ「面会はしておらず、現金は受け取っていない」と真っ向から反論しました。
これについて判決は「
現金を渡したという贈賄側の元顧問らの証言はメッセージなどの客観的な証拠からも裏付けられている。中国企業側がIR事業の推進を期待していたことは明らかだ」と指摘し、秋元議員も有利な取り計らいを受けたい趣旨だと知りながら現金を受け取ったと認定しました。
一方、弁護側の主張については「スケジュール表は行動記録ではなく、アプリのデータも秋元議員の動きと一致しないところが複数ある」として、証拠としての証明力は乏しいと判断しました。
2 証人買収について
次に、元顧問ら2人に対し、裁判でうその証言をするよう依頼し、現金を渡そうとした証人買収の罪についてです。
判決は、すでに有罪判決が確定している協力者の証言や、現金の帯封から秋元議員の指紋が検出されたことなどから「秋元議員が証人買収を主導した」と認めました。一方、秋元議員の主張は「不合理極まりなく、全く信用できない」と退けました。
3 接待などの賄賂性
さらに、
中国企業側から講演料として振り込まれた200万円や、マカオや北海道への旅費なども賄賂にあたると認定されました。判決は200万円の振り込みについて「
講演料の名目だったとしても秋元議員との関係を深めるためで賄賂であることは明らかだ」と指摘。
また、旅費などについては「中国企業側はIR事業に参入するために職務権限のある秋元議員に接待をしており、旅行のぜいたくぶりは際立っている。秋元議員も無償の接待という意図を容易に理解できる状況だった」と述べました。
4 猶予か実刑か 明暗分けたのは“証人買収”
起訴されたすべての内容について検察の主張を認めた裁判所。そのうえで、懲役4年の実刑とした最大の決め手は
証人買収でした。
まず、収賄については「およそ半年の間に贈賄側との関係を深め、立法関連の情報提供などの便宜もはかった。IR事業を所管する省庁で大臣に次ぐ要職にありながら、特定の企業と癒着し、社会の信頼を大きく損なった」と批判した一方、「秋元議員が贈賄側に強く賄賂を求めたわけでなく、IR事業参入に特段の成果をもたらしていない」として、執行猶予の余地があったと述べました。
しかし、裁判長は語気を強め「
あろうことか、保釈直後から贈賄側の買収という前代未聞の司法妨害におよび、その道は閉ざされた」と厳しく指摘しました。
さらに「
一連の収賄事件の結論を根本から覆す危険性さえあったといっても過言ではない。重要な公職にありながらたび重なる買収工作に応じ、責任を追及されると買収という卑劣な手段に出た」と痛烈に批判。
そして「公人としての倫理観はおろか最低限の順法精神すら欠如していて、長期の実刑は免れない」と結論づけました。
秋元司議員の弁護士「問題点が非常に顕著な判決」
判決を不服として、
秋元司議員の弁護士は控訴しました。弁護団によりますと、秋元議員は判決について「
全く納得できず、すぐに控訴したい。受け取ってもいない300万円のことで有罪とされ強い怒りを覚える」と話していたということです。
記者会見した弘中惇一郎弁護士は「議員会館での300万円の授受が最大の争点だった。
客観的な証拠は複数あったが、裁判所は、
スケジュール表に記載されていない人が来ることもあったという一般論や、中国企業の元顧問らの妄想をもとに判断し、携帯電話のアプリについても信用できないとした。問題点が非常に顕著な判決だ」と述べました。