裁判-法律問題-1



2022.01.20-滋賀NHK NEWS (NHK NEWS WEB)-https://www3.nhk.or.jp/lnews/otsu/20220120/2060009770.html
愛荘町の傷害致死事件 共犯に問われた元少年 無罪主張

  愛荘町で同居していた男性に十分な食事を与えなかったり暴行を繰り返したりして死亡させたとして、傷害致死などの罪に問われている元少年の裁判員裁判の初公判が開かれ、元少年は「食事制限に関与していない」などと無罪を主張しました。

  この事件は、3年前に愛荘町のアパートで岡田達也さん(当時25)が同居していた20歳の元少年と56歳の女から暴行されて死亡したとされるもので、元少年は女と共謀して岡田さんを金属の棒などで殴りけがを負わせたほか、十分な食事をさせず免役力を著しく低下させて死亡させたなどとして、傷害致死などの罪に問われています。
  また、この事件の前にも、別の男性に母親とともに胸や腹などを何度も殴った上、食事を与えずに衰弱させて後遺症が残る脳損傷のけがをさせたとして、傷害の罪にも問われています。20日に大津地方裁判所で開かれた裁判員裁判で、元少年は「女と共謀していないし、食事制限にも関与していない」などと述べ、傷害致死と傷害の罪について、無罪を主張しました。
  一方、検察は冒頭陳述で、「被告と女が被害者に対して長期間にわたり日常的に暴力をくわえ、食事を制限するなどの虐待を繰り返して衰弱させ、岡田さんを死亡にまで至らせた」などと述べました。
  これに対して弁護側は「傷害や傷害致死に至るような暴行はなく、共謀もしていない」などとして無罪を主張しました。


2022.01.13-産経新聞-https://www.sankei.com/article/20220113-CGAPVU2UZ5ME5HME3SLQHEZB74/
小6焼死再審無罪、国賠和解決裂 国が出席せず

  大阪市東住吉区で平成7年、女児=当時(11)=が死亡した火災で殺人罪などに問われ、再審無罪が確定した母親のAさん(57)が国と大阪府に損害賠償を求めた訴訟の大阪地裁の和解協議は、国が応じないことから決裂する見通しとなった。Aさん側の代理人が明らかにした。

  大阪地裁が昨年11月に和解を勧告して以降、国は協議に応じず欠席を続けた。12日の協議で地裁は、国の態度が変わらなければ協議を打ち切るとの意向をAさん側に伝えたという。
  地裁は昨年11月、国と府がAさんの無罪を認め、冤罪(えんざい)の再発防止策に取り組むとする条件で和解を勧告していた。Aさんは内縁の夫とともに保険金目的で女児を殺害したとして無期懲役の判決を受け、再審で28年、虚偽の自白を強いられたなどとして無罪判決を受け確定した。


2022.01.06-NHK NEWS WEB-https://www3.nhk.or.jp/news/html/20220106/k10013417801000.html
岡山 津山 小3女児殺害事件 被告に無期懲役判決 岡山地裁

  18年前、岡山県津山市の住宅で小学3年生の女の子を殺害した罪などに問われた被告に、岡山地方裁判所は「捜査段階での自白は信用できる」などと指摘し、検察の求刑どおり無期懲役の判決を言い渡しました

  平成16年、津山市の小学3年生の女の子が自宅で腹を刺されるなどして殺害された事件では、14年近くがたった平成30年に別の事件で服役中のA被告(43)が逮捕され、殺人などの罪で起訴されました。被告は逮捕直後、「自分が刺した」などと自白しましたが、その後「うその供述だった」と否認に転じ、裁判員裁判では捜査段階での自白の信用性が争点となりました。
  検察が自白は信用できるとして無期懲役を求刑したのに対し、被告側は「直接的な証拠が無く犯人ではない。自白した内容も報道などで知り得た情報で、事実と矛盾している」などとして無罪を主張していました。
  6日の判決で岡山地方裁判所の倉成章 裁判長は「被告が供述した被害者を殺害した状況は、犯人だからこそ供述できたと考えるのが合理的だ。被告の自白は信用できる」などと指摘しました。そのうえで「何の落ち度もない被害者がかけがえのない人生を奪われた絶望感や恐怖ははかり知れない。犯行は極めて身勝手で同情できる理由は一切無い」などと述べ、検察の求刑どおり無期懲役の判決を言い渡しました。
遺族のコメント「有罪判決にひとまずほっとした」
  判決のあと、亡くなった女の子の遺族の代理人を務める弁護士2人が記者会見し、涙を流しながら判決を聞いていた遺族の様子を明らかにしたうえで、「有罪判決が出て、ひとまずほっとしています。判決が確定するまで裁判を見守りたいと思います」という遺族のコメントを読み上げました。
  そのうえで吉沢徹弁護士が「遺族は本当のことを知りたいと話していた。被告はまだすべてを話しておらず、事件の真実が分からないまま裁判が終わってしまった。被告が控訴すれば、また一から裁判が始まるので、判決が確定するまで、一緒に頑張っていきたい」と話しました。
検察「適正で妥当な判決」
  岡山地方検察庁の野村安秀次席検事は、報道陣の取材に対し「主張がおおむね受け入れられた。適正で妥当な判決だと考えている」と述べました。
被告側「たいへん遺憾」
  被告の代理人を務める賀川進太郎弁護士が判決を受けて会見し「無罪だと思っていたので、たいへん遺憾だ。ここまで客観的な証拠がないのに有罪になるのは珍しい」と述べました。

また、裁判で検察が取り調べのやりとりを記録した書類を読み上げ、その内容をもとに裁判所が有罪とした点について「供述調書にサインをしなくても、取り調べのやりとりを記録した書類が証拠になるというのは岡山地裁で過去に例がなく、今後の裁判にも影響を与える」と述べ、控訴したことを明らかにしました。
裁判員「書類もとに判断」
  判決のあと、裁判に参加した裁判員3人が記者会見を行いました。このうち20代の会社員の男性は「悩んだこともあったが、自分の意見を言うことができてよかった。裁判員は良い経験になった」と話しました。また、30代の会社員の男性は、取り調べの際の様子などを録画した映像が裁判所に証拠として採用されず、取り調べのやりとりを記録した書類をもとに判断したことについて「映像がないと被告の表情がわかりづらい部分もあったが、書類をもとに取り調べのやりとりなどを振り返ることができたのはよかった」と話していました。
専門家「自白の信用性を分析的に判断」
  裁判を傍聴した刑事訴訟法が専門の岡山大学法学部の原田和往教授は被告の捜査段階での自白の信用性が争点となった今回の裁判について「裁判所は、左手で1度被害者のおなかを刺しその後、右手に持ち替えて胸を3回刺したという被告の供述が被害者の傷あとと整合性がとれるという点を評価したのではないか」と指摘しました。
  その上で「取り調べの際の様子などを録画した映像が採用されなかったことは裁判所の判断に影響するものではなく、取り調べのやりとりを記録した書類をもとに供述の内容を慎重に検討し、自白の信用性について分析的に判断できたのではないか」と話しています。



2021.12.21-毎日新聞-https://mainichi.jp/articles/20211221/k00/00m/040/038000c
3人の死刑執行 2019年12月以来2年ぶり 法務相

  古川禎久法相は21日、死刑囚3人の刑を執行したと発表した。死刑の執行は2019年12月以来約2年ぶりで、岸田政権発足後初めて。記者会見で「誠に身勝手な理由から、被害者の尊い人命を奪った極めて残忍な事案。慎重な上にも慎重な検討を加えた上で、執行を命令した」と述べた。

  執行されたのは、兵庫県加古川市で04年に親類や隣人計7人を刺殺したとして殺人罪などで死刑が確定した藤城康孝死刑囚(65)=大阪拘置所=と、群馬県で03年にパチンコ店従業員2人を相次いで殺害し所持品などを奪ったとして強盗殺人罪などで死刑が確定した高根沢智明死刑囚(54)と小野川光紀死刑囚(44)=いずれも東京拘置所。
  確定判決などによると、藤城死刑囚は04年8月、伯母の藤城とし子さん(当時80歳)宅に侵入し、とし子さんら7人を刺殺するなどした。高根沢、小野川両死刑囚は03年2月と4月、根本常久さん(同47歳)と石橋真さん(同25歳)を絞殺し、所持品を奪った。3人の死刑確定から執行までの期間は6年6カ月~16年5カ月。人権団体「アムネスティ・インターナショナル日本」によると、小野川死刑囚は第2次再審請求中だった。
  法務省によると、死刑囚は、再審開始決定を受けて釈放中の袴田巌元被告(85)=特別抗告審で最高裁が高裁に審理を差し戻し=を含めて108人で、59人が再審請求中という。

  20年は死刑の執行がなく、2年の空白期間ができた。この間、東京オリンピック・パラリンピックが新型コロナウイルス禍で1年延期されて21年7~9月に開かれた。20年4月に予定された刑事司法分野の国際会議「第14回国連犯罪防止刑事司法会議」も21年3月に延期して京都市で開かれ、国際的な催しが続いた。
  死刑廃止が世界の潮流になる中、視線が日本に集まる時期に死刑を執行すれば、厳しい批判にさらされる可能性があった。このため、法務省は執行のタイミングを慎重に計っていたとみられる。制度存続に強い姿勢をみせた形ともいえる。
  古川法相は会見で「極めて悪質、凶悪な犯罪について死刑もやむを得ないと世論の多数が考えている。死刑を廃止することは適当ではない」と述べた。一方、アムネスティ・インターナショナル日本は「世界の7割以上の国が死刑を廃止している潮流に背を向け、日本を孤立させる」との声明を発表した。
山本将克、近松仁太郎

法相別の執行命令数(執行された死刑囚の氏名公表が始まった2007年12月以降)
法  相 在任期間(年・月)執行人数
  鳩山 邦夫(07・8~08・8) 13 ・保岡 興治(08・8~08・9) 3 ・森  英介(08・9~09・9) 9 ・千葉 景子(09・9~10・9) 2 ・柳田  稔(10・9~10・11) 0 ・仙谷 由人(10・11~11・1) 0 ・江田 五月(11・1~11・9) 0 ・平岡 秀夫(11・9~12・1) 0 ・小川 敏夫(12・1~12・6) 3 ・滝   実(12・6~12・10) 4 ・田中 慶秋(12・10~12・10) 0 ・滝   実(12・10~12・12) 0 ・谷垣 禎一(12・12~14・9) 11 ・松島みどり(14・9~14・10) 0 ・上川 陽子(14・10~15・10) 1 ・岩城 光英(15・10~16・8) 4 ・金田 勝年(16・8~17・8) 3 ・上川 陽子(17・8~18・10) 15 ・山下 貴司(18・10~19・9) 4 ・河井 克行(19・9~19・10) 0 ・森  雅子(19・10~20・9) 1 ・上川 陽子(20・9~21・10) 0 ・古川 禎久(21・10~   ) 3
※仙谷氏は官房長官兼務


2021.12.06-FNNプライムオンライン-(関西テレビ)-https://www.fnn.jp/articles/-/281356
「紀州のドン・ファン」遺言書の筆跡は別人か 野崎さん兄ら新たに鑑定書提出 田辺市への寄付は無効と裁判

  「紀州のドン・ファン」と呼ばれた資産家の男性の遺言書をめぐって、男性の兄たちが「遺言書の筆跡は別人のものだ」とする鑑定書を、新たに提出したことが分かりました。

  「紀州のドン・ファン」と呼ばれた、和歌山県田辺市の野崎幸助さん(当時77)は3年前、急性覚醒剤中毒で死亡し、元妻の須藤早貴被告(25)が殺人などの罪で起訴されています。
  田辺市によると野崎さんは、13億円とされる遺産を全て田辺市に寄付するという遺言書を残していましたが、野崎さんの兄たちは遺言書が無効だとして裁判を起こしています。
  弁護士によると、兄たちは「遺言書の筆跡は別人のものだ」とする鑑定書を和歌山地裁に提出していましたが、11月、新たに2通の鑑定書を提出したということです。田辺市は「裁判中のためコメントを差し控える」と話しています。


2021.11.22-Yahoo!Japanニュース(神戸新聞)-https://news.yahoo.co.jp/articles/96c6f9d99bfe35acd4f3d8d1e9c0b6035f287fcd
丹波・中2女子遺棄 被告の男に実刑、懲役3年10月判決 神戸地裁

  兵庫県丹波市の林道で中学2年の少女(13)の遺体が見つかった事件で、死体遺棄や未成年者誘拐、自殺ほう助などの罪に問われた住所不定、無職の男(24)の判決公判が22日、神戸地裁であった。野口卓志裁判長は懲役3年10月(求刑懲役4年6月)を言い渡した

  判決によると、男は5月上旬、ツイッター上で自殺願望を示していた兵庫県内の少女にダイレクトメッセージ機能で連絡し、一緒に練炭自殺すると提案。県内で少女と合流して車で丹波市内まで連れ去り、道具をそろえるなどして少女の自殺を手伝った。自身も一緒に死のうとしたが、直前でやめ、亡くなった少女を林道に遺棄した。
   量刑の理由で野口裁判長は「少女の自殺の意思は確定的ではなく、思いとどまる可能性は十分にあった」と指摘。生きるよう説得もせず、会って短時間で自殺の環境を整えた男の態度を「生命を軽視するもの」と断じた。
   これまでの公判で男は起訴内容を認め、「少女の将来を考えていれば、死ぬのを止められたかもしれない。取り返しのつかないことになってしまい、本当に申し訳ありませんでした」と謝罪。少女の母親は「死んで楽になろうと思わないで、罪を背負って生きてください」と述べていた。
   初公判の際、長い前髪で顔全体が隠れていた男。少女の遺族から「顔を出して謝罪すべき」と指摘されており、判決宣告時には髪を分け、顔を出していた。

◇厚労省は自殺対策などの情報をまとめたサイト「まもろうよ こころ」(https://www.mhlw.go.jp/mamorouyokokoro/)で、電話やSNSに対応した複数の相談窓口を紹介している。


2021.11.20-Yahoo!Japanニュース(朝日新聞)-https://news.yahoo.co.jp/articles/51eeafe71e1e310859bc6df5653c7600a49927d8
BLMデモ銃撃、3人死傷させた白人男性に無罪 「正当防衛」認定か

  米ウィスコンシン州で昨夏、ブラック・ライブズ・マター(BLM)関連のデモに参加していた3人を銃で撃って死傷させたとして、殺人などの罪に問われた白人男性(18)に対し、地元の陪審団は19日、無罪の評決を言い渡した。弁護側による、「正当防衛」の主張を認めたとみられる。米国では裁判が詳しく報じられており、抗議活動などが起きる可能性もある。

  事件は昨年8月25日、同州ケノーシャで発生した。この2日前、黒人男性が警官に背後から複数回にわたって拳銃で撃たれる事件があり、抗議デモが活発になっていた。
  隣接するイリノイ州に住むカイル・リッテンハウス被告は、暴徒からケノーシャを守るための「自警団」のような組織を知人らと作り、殺傷能力の高い半自動ライフル銃「AR15」型の銃を持って、路上にいた。その銃で36歳と26歳の男性を殺害し、27歳の別の男性も殺そうとしたなどとして、五つの罪に問われた。
  亡くなった2人は武器を持っていなかったが、弁護側はリッテンハウス被告が発砲するまでの間、路上で追いかけられて銃を奪われそうになったり、スケートボードで殴られたりしたことを強調。発砲は身を守るための行動だったとして、無罪を主張した。
  評決を出すためには全員で意見を一致させる必要があり、12人で構成される陪審団は、16日から4日間にわたって評議をしていた。検察側は控訴することができず、これで無罪が確定した。評決が法廷で読み上げられる間、リッテンハウス被告は次第に表情を崩して涙ぐみ、言い渡しが終わると弁護人と抱き合った。


2021.11.16-朝日新聞-https://www.asahi.com/articles/ASPCJ3QXMPC4PIHB01Z.html
神戸5人殺傷、無罪判決に地検が控訴 「心神喪失」に不服

  神戸市北区で2017年、親族や近隣住民計5人が殺傷された事件で、神戸地検は16日、殺人や殺人未遂などの罪に問われた男性被告(30)を無罪(求刑無期懲役)とした一審の神戸地裁判決を不服として、大阪高裁に控訴した。

  神戸地裁は4日の判決で、事件当時の被告について、「哲学的ゾンビ」を殺せば知人女性と結婚できると思い込み、「妄想などの精神症状の圧倒的影響下にあった疑いを払拭できない」と指摘。「(刑事責任能力が認められない)心神喪失状態にあったとの合理的疑いが残る」と判断した。検察側は、被告は心神耗弱状態で、善悪を判断する能力は残っていたと主張していた。
  被告は17年7月、自宅で祖母の南部観雪(みゆき)さん(当時83)と祖父の達夫さん(同)を金属バットで殴るなどして殺害し、母親(57)にも重傷を負わせたうえ、近くにいた辻やゑ子さん(当時79)を包丁で刺殺。近所の女性(69)にも重傷を負わせたとして、起訴されていた(岩本修弥)


2021.11.11-産経新聞-https://www.sankei.com/article/20211111-GJ4GAM2U5RIGDOM3ZL5E5GPLEA/
明浄学院事件、控訴断念 元部下との共謀立証難しく

  「誰が事件の全体像を描き、主導したのか。裁判官に理解させることができなかったのが、反省点だ」10月28日の無罪判決後、ある検察幹部は公判をこう振り返った。学校法人明浄学院の資金21億円の横領に共謀したとして業務上横領罪に問われ、大阪地裁で無罪を言い渡された東証1部上場の不動産会社「プレサンスコーポレーション」(大阪市)の山岸忍前社長(58)について、大阪地検は11日、控訴を断念したことを明らかにした

  判決から控訴期限まで14日。検察当局は、ぎりぎりまで控訴を検討した。ポイントは、プレサンスコーポレーションの山岸忍前社長の元部下が任意段階の取り調べで、前社長との共謀を認めていたことだった。
  元部下は、逮捕前に共謀をいったん認め、逮捕後に共謀を否定。さらに地裁が「強引」と認定した検事の取り調べを受け、改めて認める方向に転じていた。
  判決はこうした変遷を踏まえ、元部下の証言を「信用できない」とは判断したが、共謀を認めた逮捕前の証言の任意性までもが否定されたわけではなかった。
  検察内部では、「証拠のすべてが否定されたわけではない」として、元部下が前社長に示したとされるメモや資料といった客観証拠と、証言の整合性を洗い直して控訴審に臨むべきとの声も上がった。しかし最終的には「元部下の供述という共謀立証の柱が折れており、地裁判決を覆すのは厳しい」との考えに傾き、控訴を断念した。
  控訴断念の決定を受け、山岸前社長は「検察庁にようやく真相を理解してもらえたことに、ただほっとしている」とコメントした


2021.11.09-NHK NEWS WEB-https://www3.nhk.or.jp/news/html/20211109/k10013340111000.html
点滴に消毒液 3人殺害の罪 元看護師に無期懲役の判決 横浜地裁

  横浜市の病院で、入院患者3人の点滴に消毒液を混入して殺害した罪などに問われた元看護師に対し、横浜地方裁判所は、「結果は極めて重大だが、更生の可能性があり、死刑を選択するのは、ちゅうちょせざるをえない」と述べ、死刑の求刑に対し、無期懲役の判決を言い渡しました。
  横浜市神奈川区の旧「大口病院」の元看護師、A被告(34)は、5年前の2016年9月、70代から80代の入院患者3人の点滴に消毒液を混入し、殺害した罪などに問われました。
  これまでの裁判員裁判で、被告は起訴された内容を認め、被告の当時の精神状態や刑の重さが争点になり、検察が死刑を求刑したのに対し、弁護士は心神こう弱状態で、無期懲役が相当だと主張していました。

  9日の判決で横浜地方裁判所の家令和典裁判長は、被告の当時の精神状態について「『ASD=自閉スペクトラム症』の特性を有し、うつ状態と認められるが、完全責任能力が認められる」と述べたうえ、「被害者は苦痛の中で命を奪われており、結果は極めて重大だ」と指摘しました。
  一方で、犯行にいたる経緯について「被告は、もともとの特性から看護師には向いていないと自覚していたが、急変時に無理な延命措置をしないとされた大口病院の業務なら、自分にもつとまると考えた。しかし、実際には患者の家族がみとりに間に合うよう延命措置を講じなければならないことがあり、亡くなった際には家族にどなられて強い恐怖を感じた。ストレスをため込んだ被告は、一時的な不安軽減のため患者を消し去るほかないと考え、短絡的な犯行を繰り返した。こうした動機の形成過程には被告の努力では、いかんともしがたい事情が色濃く影響している」と述べました。
  そのうえで、「反省して罪を償いたいと述べており、更生の可能性が認められ、死刑を選択するのは、ちゅうちょを感じざるをえない」として、無期懲役を言い渡しました。
裁判長「生涯をかけて償ってほしい」
  無期懲役の主文が言い渡されたとき、被告は証言台の前に座り、裁判長のほうをじっと見つめていました。そして裁判長が「裁判所の判断です。わかりましたか」と尋ねると、被告は「はい」と小さな声で答えました。言い渡しの際、検察官の後ろに座っていた遺族は、じっと被告のほうを見ていました。
  最後に裁判長は「それぞれの犯行について慎重に検討しました。苦しい評議でしたが、われわれ全員で出した結論が無期懲役です。生涯をかけて償ってほしい」と語りかけ、閉廷しました。
遺族コメント「判決に納得いかない」
  判決について被害者の1人、西川惣藏さん(88)の長女は弁護士を通じて、「3人を殺害したという事実や、完全な責任能力があることなどはすべて認められたのに、謝罪を述べたことや、公判の最後に死んで償うと述べたこと、被告人の経歴、性格などから無期懲役の選択がされたという判断には、納得がいきません。極刑がすべてではなく、無期懲役が厳しい刑罰であることは十分理解していますが、裁判所の価値判断によって結論が出されたという印象を拭い去れません。死刑が選択されなかったことを納得できる理由は判決の中で説明されていませんでした。被告人は、少なくとも生きていくことは許されたわけですが、では、これからどうやって償っていくのかという思いです」とするコメントを出しました。
  また亡くなった八巻信雄さん(88)の長男の信行さん(61)は、弁護士を通じて、「判決には納得できない。あまりに身勝手な動機で罪のない人を殺しておきながら、死刑にならないのはおかしい。検察には控訴してほしい」というコメントを出しました。
病院コメント「被害患者と遺族に心よりお詫び」
  判決を受けて、A被告が勤務していた横浜市の旧「大口病院」、今の「横浜はじめ病院」はコメントを出しました。この中で、「患者様に寄り添い、守るべき病院において看護師がこのような恐ろしい行為に及んだことが認定される結果となりました。改めまして、被害にあわれた患者様およびご遺族の皆様には心よりお詫び申し上げます。今はただ、事件によりお亡くなりになられた患者様のご冥福を、心よりお祈り申し上げます」としています。
横浜地検「上級庁とも協議のうえ適切に対応したい」
  判決について、横浜地方検察庁の安藤浄人次席検事は「判決内容を精査し、上級庁とも協議のうえ、適切に対応したい」としています。
元裁判官「元看護師の特性を酌むべき事情として考慮」
  無期懲役の判決について、元刑事裁判官で法政大学法科大学院の水野智幸教授は「元看護師には完全責任能力があったと認めた一方で、複数のことが同時に処理できないなどASD=自閉スペクトラム症の特性があり、本人の努力ではいかんともしがたい事情が犯行に影響したと判断している。死刑はやむをえない事情がない場合に限り言い渡されるもので、今回は3人の命が失われたことは重大だとしながらも、元看護師の特性を酌むべき事情として考慮したといえる」と話しています。


2021.11.05-読売新聞-https://www.yomiuri.co.jp/national/20211105-OYT1T50088/
死刑執行当日の告知は「違憲」…死刑囚2人が国を異例の提訴、執行に従う義務ないと主張

  死刑囚に当日まで執行を伝えないのは憲法に違反するとして、死刑囚2人が4日、国に慰謝料など計2200万円の支払いと、執行に従う義務がないことの確認を求める訴訟を大阪地裁に起こした。
  死刑囚の代理人弁護士によると、死刑執行の告知のあり方を問う訴訟は異例という。
  訴状などによると、告知時期に関する法令上の規定はなく、法務省の運用に委ねられている。かつては前日までに告知され、家族らとの面会時間も設けられていたが、遅くとも2000年以降は「心情の安定を著しく害する」として当日の告知が続けられているという。

  死刑囚側は、不服を申し立てる権利が奪われ、適正な手続きがなければ生命は奪われないと定めた憲法31条に反すると主張。国連の自由権規約委員会からも見直しを検討するよう勧告されているとしている。
  法務省によると、10~11年に死刑制度の存廃などを議論する省内の勉強会で告知時期が検討されたが、運用は変更されていない。同省は「適切に対応したい」としている。


2021.11.04-NHK NEWS WEB-https://www3.nhk.or.jp/news/html/20211104/k10013334551000.html
5人殺傷事件で無罪判決 「心神喪失だった疑いが残る」神戸地裁

  4年前、神戸市で祖父母と近所の女性の3人を殺害し、母親など2人に大けがをさせたとして、殺人などの罪に問われた、30歳の被告に対し、神戸地方裁判所は「事件当時、被告は心神喪失の状態だった疑いが残る」として、無罪を言い渡しました。無罪が言い渡されたのは30歳の被告です。

  被告は平成29年7月、神戸市北区の自宅などで、いずれも83歳の祖父と祖母、それに近所の79歳の女性を包丁で刺すなどして殺害し、母親や別の近所の女性にも大けがをさせたとして、殺人などの罪に問われていました。
  裁判で被告は、5人を襲ったことを認めましたが、弁護側は当時精神疾患の影響で責任能力がなかったとして無罪を主張し、検察は無期懲役を求刑していました。
  4日の判決で、神戸地方裁判所の飯島健太郎裁判長は「妄想などの精神障害の圧倒的な影響下で犯行に及んだと考えられ、事件当時、被告は心神喪失の状態だった疑いが残る」と述べて、無罪を言い渡しました。
被告の弁護士「裁判員と裁判官が判断したこと」
  無罪判決について、被告の弁護士は「裁判員と裁判官が判断したことです。弁護人としてやるべきことはやったので、われわれは従うだけです」と話していました。
神戸地検「判決内容を検討 適切に対応したい」
  無罪判決について、神戸地方検察庁の山下裕之次席検事は「判決内容をよく検討し、上級庁とも協議のうえ、適切に対応したい」とコメントしています。
裁判員「協議を重ねた結果、このような結果に」
  判決のあと、裁判員と補充裁判員を務めた2人が会見を行いました。
  40代の会社員の男性は「ご遺族や被害者には納得のいかない判決になったと思いますが、協議を重ねた結果、法律に基づきこのような結果になりました」と話していました。
  補充裁判員を務めた30代の会社員の男性は「精神疾患はほかの人からは見えないからこそ判断が難しく、鑑定した医師の結果も違ってきたのだと思います。公判を通じて得られた情報や自分の常識をもとに、ずっと考え続ける裁判でした」と話していました。
遺族「ただただ絶望 責任能力の制度と運用見直すきっかけに」
  無罪判決について、近所に住んでいて事件で亡くなった、辻やゑ子さんの長女と長男は「判決を聞き、ただただ絶望しています。何の罪もない3人が命を奪われたのに、到底納得がいきません。私たちと同じような思いをする人がいなくなるよう、責任能力という制度と運用を見直すきっかけにしてほしいです」などとコメントしています。


2021.11.01-朝日新聞-https://www.asahi.com/articles/ASPC16SRQPC1UTIL039.html
証拠のデータ破損問題 捜査の適法性「裁判官は予断持たずに判断を」-(新屋絵理)

  薬物事件の証拠品となるDVD内の動画データが破損していた問題で、覚醒剤取締法違反(使用)罪に問われた被告の男の弁護団が1日、東京地裁での初公判に合わせて会見し、破損の原因や捜査の適法性について「裁判官は警察の不正はないはずという予断を持たずに判断してほしい」と訴えた。

  この日の初公判で無罪を主張した弁護側は、被告が逮捕された昨年1月8日、車にあったペットボトルを警察官から渡されて被告が飲み、その水に、被告の知人女性が使った覚醒剤が混じっていた可能性があると指摘。「被告自らがすすんで摂取していないと訴えた。女性は被告の確保中に逃げ出したという

  そのうえで、破損した映像データには、被告や女性、警察官の行動が記録されていたはずと説明。警察が女性を取り逃がしたり警察官が被告を転倒させたりしたなど「不都合な場面があった」と述べた
弁護側 「無理な捜査、ぼろが出る」と批判
  被告の逮捕後に検察側が押収したペットボトルや水を分析したところ、覚醒剤成分や被告のものとみられる唾液(だえき)成分が検出されたという。弁護側はこの水は被告が当時飲んだものだと主張し「無理な捜査には必ずぼろが出る」とも述べた。
  これに対し検察側は、被告が飲んだペットボトルは未開封と反論。映像は取り押さえる直前までしか撮影していないと主張した。
  検察側の解析などでは警視庁愛宕署で保管中にデータが破損しており、弁護団が同署警察官を証拠隠滅容疑で告発している。この警察官らの証人尋問も今後行われる予定。(新屋絵理
証拠管理「内規でなく立法化を」 専門家が指摘
  捜査機関の証拠管理は、検察や警察の内規に委ねられているのが実態だ。警察の捜査の心構えなどを定めた国家公安委員会規則「犯罪捜査規範」は、捜査資料について「適切に管理し保管の必要がなくなれば確実に破棄」すると規定。警察庁の通達では、証拠を帳簿に記して管理するよう求めている。
  ただ今回の場合、破損したデータを含む計14枚のDVDは事件から1年以上帳簿に記載されず、保管されていたのも警察署内の鍵のかかっていないロッカー内だったという。
  龍谷大学の斎藤司教授(刑事訴訟法)は「国家権力を使って集めた証拠は、捜査機関だけのものではない」と説明。今回の裁判は証拠管理のあり方も問われているとしたうえで、「安全な証拠管理を目指すため、内規ではなく新たに立法化すべきだ」と指摘した。(新屋絵理


2021.11.02-朝日新聞-https://www.asahi.com/articles/ASPC17L2GPBPUTIL047.html
最高裁国民審査、全員信任 夫婦同姓「合憲」4判事は不信任7%超

  10月31日に行われた最高裁裁判官の国民審査について、総務省が1日、結果を公表した。対象の裁判官11人で解職される人はいなかった。約5860万の投票があり、投票率は55・69%(前回53・34%)だった。

   ×印が有効票の半数を超えると解職される仕組みで、白票は信任と扱われる。×印の割合が最も高かったのは深山(みやま)卓也氏、最も低いのは安浪亮介氏。7%を超えたのは、6月の最高裁決定で夫婦別姓を認めない民法規定を合憲とする多数意見に加わった深山氏、林道晴氏、岡村和美氏、長嶺安政氏の4人だった。
   11人は裁判官15人(長官、判事14人)のうち2018年1月~今年9月に就任した判事。これまで24回の国民審査で、最も×が多かった人は15・17%(1972年審査)。
阿部峻介


2021.10.28-日本経済新聞-https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUF282UO0Y1A021C2000000/
プレサンス前社長「適正な判決」 横領事件で無罪

  学校法人「明浄学院」(大阪府熊取町)の資金を着服したとして、業務上横領の罪に問われ、大阪地裁で無罪判決を受けた不動産会社「プレサンスコーポレーション」(大阪市)の山岸忍前社長は28日、大阪市内で記者会見し、「適正な判決をいただいてうれしく思う」と述べた。

  その上で大阪地検特捜部の捜査に関し、「もっと丁寧な捜査をしてほしかった」と話した。「プレサンス社を『こうしていきたい』という夢がたくさんあった。それを(逮捕と起訴で)奪われたのは本当に悔しかった」とも語った。
  山岸氏の弁護人を務めた中村和洋弁護士は「控訴を断念すべきだ」と訴えた。秋田真志弁護士は捜査について「関係者の自白を強要するなど問題のある取り調べが浮き彫りとなった」と指摘。「(取り調べの録音・録画など)可視化が有効に機能した」と意義を強調した。また、「自らつくった仮説に固執する捜査を続けた。(2010年の証拠改ざん事件から)特捜部が全く変わっていなかったことを露呈した」とも述べた。


2021.10.27-読売新聞-https://www.yomiuri.co.jp/national/20211027-OYT1T50107/
同僚の水筒に猛毒リシン混入、女に有罪判決…被害者と不倫「無視され嫌がらせ」と指摘

  猛毒の物質「リシン」を同僚だった男性の水筒に入れたとして、器物損壊罪に問われた会社員の女(30)(兵庫県姫路市)の判決が26日、神戸地裁であり、野口卓志裁判官は「被害者から無視されるようになったと感じ、嫌がらせをしようと考えた動機は自己の感情の発散で身勝手だ」として懲役1年、執行猶予3年(求刑・懲役1年)を言い渡した。
  判決などによると、女は3月26日、当時勤務していた神戸市長田区の建設会社の事務所で、同僚だった男性の水筒にリシンを入れ、水筒を使用不能にするなどした。
  野口裁判官は、女が被害者と不倫関係にあったとし、「関係がはっきりしない状態のまま無視されるようになったと感じて恨みを募らせた」と指摘した。


2021.10.22-JIJI COM-https://www.jiji.com/jc/article?k=2021102200161&g=soc
元看護師に死刑求刑 検察「身勝手、残虐」―入院患者3人殺害・横浜地裁

  横浜市の大口病院(現・横浜はじめ病院)で2016年、入院患者3人の点滴に消毒液を混入し殺害したとして、殺人罪などに問われた元看護師のA被告(34)の裁判員裁判の論告求刑公判が22日、横浜地裁(家令和典裁判長)であった。検察側は「身勝手な動機に基づく計画的、残虐な犯行で、酌量の余地はない」として死刑を求刑した。

  A被告は起訴内容を認めており、刑事責任能力の程度が争点。判決は11月9日の予定。
  検察側は論告で、動機は終末期医療患者らが勤務時間中に死亡し、家族対応を迫られるのを避けるためだったと指摘。事件当時、被告には軽度の自閉スペクトラム症の特性があったが、事件には影響せず完全責任能力があったと主張した。
  その上で、「看護師という社会的弱者を守る立場にありながら、3人を殺害した結果は極めて重大で、生命軽視の姿勢が顕著だ」と非難した。
  弁護側は最終弁論で「事件当時、被告は統合失調症の影響で心神耗弱状態だった」と反論。罪悪感と後悔の念を持ち、遺族にも謝罪したとして、無期懲役が相当と訴えた。A被告は最終意見陳述で「罪の重さを痛感し胸が苦しくなる。死んで償いたいと思っている」と述べた。
  これに先立ち、それぞれの遺族が意見陳述し、「悔しくてならない。看護師の手によって命が奪われるなど絶対にあり得ない」などと話した。
  起訴状によると、A被告は16年9月15~19日、大口病院に入院していた男性患者2人=いずれも当時(88)=と女性患者=同(78)=の点滴袋に消毒液を入れるなどして殺害。同月18、19日には、別の患者4人の点滴袋などに消毒液を混ぜたとされる。


2021.10.14-NHK NEWS WEB-https://www3.nhk.or.jp/news/html/20211014/k10013307471000.html
娘を小屋に10年余監禁し衰弱死 両親の懲役13年の判決確定へ

  大阪 寝屋川市で、10年余りにわたって娘を自宅の敷地内の小屋に閉じ込めて、衰弱死させたとして、両親が監禁などの罪に問われた裁判で、最高裁判所は無罪を主張する被告側の上告を退け、懲役13年が確定することになりました。

  大阪 寝屋川市の柿元泰孝被告(59)と妻の柿元由加里被告(56)は、33歳の長女を自宅の敷地内に建てた小屋に10年余りにわたって閉じ込め、平成29年に衰弱させて死亡させたとして、監禁と保護責任者遺棄致死の罪に問われました。
  裁判で2人は「精神疾患を患う娘の療養のためだった」などと、無罪を主張しましたが、1審の大阪地方裁判所は去年「極めて狭い空間で想像を絶する長期間にわたって行動の自由を奪い、心身の成長を妨げていて、療養のためとは到底いえない」と指摘したうえで「極度に痩せ衰えて明らかに衰弱しているのに、発覚を恐れて適切な保護を怠った」として、求刑どおり懲役13年を言い渡しました。

  2審も同じ判断をしたため、被告側が上告していましたが、最高裁判所第3小法廷の戸倉三郎裁判長は14日までに退ける決定をし、懲役13年の判決が確定することになりました。


2021.10.06-Yahoo!Japanニュース(産経新聞)-https://news.yahoo.co.jp/articles/1bd360de9222285e3ac60d7836de035fb7dd702c
「嘘ついたら先生とキス」 仲裁めぐる教諭発言の違法性認める

  奈良市の市立小学校で平成29年当時4年の女子児童がいじめを受けて不登校になったのは、学校側が不適切な対応をとったためだとして、女児側が市に330万円の損害賠償を求めた訴訟の判決が6日、奈良地裁であり、井上直樹裁判官は担任教諭(33)の発言の一部に違法性があったと認め、市に11万円の支払いを命じた。

  判決によると、女児は29年4月、奈良市立小に転入し、同年6月から不登校になった。女児は同級生の女児からいじめを受けたと主張。同月、相談を受けた担任の男性教諭は、教室に女児と同級生を呼び出し、指切りで仲直りを約束させた上、「噓をついたら先生とキスをする」などと発言した。
  判決理由で井上裁判官は、教諭の発言について「内容的にも、児童を仲裁する場という状況としても相当性を欠き、不法行為と認められる」と指摘した。 訴訟の中で市側は教諭の発言自体は認めており、「和やかに和解の約束をさせようと思うあまり発言したが、セクハラといわれても仕方がない」と説明していた。 判決を受け、市は「弁護士と相談のうえ(対応を)検討したい」とコメントした。


2021.10.01-日本経済新聞-https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUF010IQ0R01C21A0000000/
患者3人殺害認める、元看護師 点滴連続中毒死で初公判

  横浜市の旧大口病院(現横浜はじめ病院・休診中)で2016年、入院患者の男女3人の点滴に消毒液を混入し殺害したとして、殺人罪などに問われた元看護師、A被告(34)は1日、横浜地裁の裁判員裁判初公判で「全て間違いありません」と起訴内容を認めた。

  被告の弁護人は「被告は犯行当時、統合失調症で、心神耗弱の状態にあった」と述べた。検察側は冒頭陳述で「被告は患者が亡くなった際に家族の対応をしなくてすむよう、自分の勤務外に殺害を決意した」と述べ、精神鑑定の結果などから完全責任能力が認められると主張した。公判では、刑事責任能力の程度が焦点となる。
  起訴状によると、16年9月15~19日ごろ、いずれも入院患者の興津朝江さん(当時78)、西川惣蔵さん(同88)、八巻信雄さん(同88)の点滴に消毒液「ヂアミトール」を混入し、同16~20日に殺害。殺害目的で同18~19日ごろ、点滴袋5個に消毒液を入れたとされる。
  神奈川県警は18年7~8月、3人に対する殺人容疑で被告を3回逮捕。同11月に殺害目的で点滴に消毒液を混入したとして、殺人予備容疑で追送検した。3カ月間の鑑定留置を実施した上で、同12月に起訴した。
  被告は、横浜市内の看護学校を卒業し08年に看護師として市内の総合病院に就職。次第に不眠に悩まされるようになった。
  捜査関係者によると、逮捕後の取り調べに「働き始めたころから、容体が急変した患者の対応が苦手だった」と供述。うつ病と診断され15年4月ごろ依願退職した。すぐに旧大口病院へ再就職した。事件発覚後に退職し、別の病院で働いたが間もなく辞めた。〔共同〕


2021.09.24-NHK NEWS WEB-https://www3.nhk.or.jp/news/html/20210924/k10013274301000.html
愛知県知事リコール署名偽造事件で初公判 事務局長ら認否留保

  愛知県知事のリコール=解職請求をめぐり、アルバイトを使って署名を偽造したとして地方自治法違反の罪に問われている、リコール活動団体の事務局長とその次男の初公判が開かれ、2人は認否を留保しました。

  おととし愛知県などが開催した国際芸術祭「あいちトリエンナーレ」で「表現の不自由」をテーマにしたコーナーが設けられたことについて、美容整形外科「高須クリニック」の高須克弥院長が会長を務める団体「愛知100万人リコールの会」が去年、愛知県の大村知事のリコールを求める署名活動を行いましたが、県の選挙管理委員会に提出された署名のうち83%が有効と認められませんでした。
  この署名活動をめぐって、団体の事務局長、田中孝博被告(60)と次男の雅人被告(29)は、去年10月下旬、佐賀市内でアルバイトを使って署名を偽造したとして、地方自治法違反の罪に問われています。
  24日、名古屋地方裁判所で初公判が開かれ、起訴された内容について2人は「弁護士に説明してもらいます」などと話し、弁護士は認否を留保すると述べました。
  このあと検察は「事務局長は、去年9月末の時点で署名が6000筆余りにとどまっていたことから、このままではリコールは成功しないと考えた。署名の偽造を次男に伝え、偽名を使わせて名簿業者から愛知県民80万人分の名簿データを購入させた。また、事務局長は署名を書き写す人を集めるよう広告関連会社の代表に依頼した際『いちいち本人に確認しないし、みんなやっている。署名簿が返ってきたあと廃棄すれば、ばれない』と話していた。アルバイト代金は団体の口座から小切手や現金で支払われ、次男が署名用紙などを佐賀市まで運び、作業内容を指示したりしていた」と述べました。
  また、田中事務局長が名簿の購入やアルバイト代金のためにリコール活動団体の口座から合わせて1500万円余りを引き出していたと述べました。
裁判を傍聴した「請求代表者」は
  裁判の傍聴には当時、署名活動を担った人たちも訪れました。
  愛知県豊田市の元大学教授、伊藤幸男さんは、署名集めの中心を担う「請求代表者」として、街頭に立ち署名活動を行いました。
  しかし、選挙管理委員会に提出された署名に偽造されたものが大量に含まれていたことが発覚したあと、田中事務局長や団体の高須克弥会長から詳しい説明がなく、伊藤さんは一日も早く真相が明らかになることを望んできました。
  裁判の前、伊藤さんは「偽造がわかった時は非常にショックでした。リコール制度は民主主義の重要な柱で、署名を偽造することは、本人の意思を無視しているので、あってはならないことだ。田中事務局長は素直に認めて反省や謝罪のことばを述べるか、関心があります」と話していました。
  伊藤さんは裁判を傍聴したあと、報道各社の取材に応じ「きょうの検察官の説明を聞いて、具体的にどのような作業が行われていたのか確認することができた」と話しました。
  さらに田中事務局長らに対しては「認否を留保するのにとどまったことは残念に思う。真面目に署名活動に参加したボランティアや応援してくれた人の名誉のためにも、事務局長らには誠意をもって県民に謝罪をしてほしい」と思いを語りました。


2021.09.16-朝日新聞-https://www.asahi.com/articles/ASP9J6G4MP9JPTIL00K.html
滋賀県、確定無罪判決を否定する主張 国賠求める女性「怒り心頭」

  滋賀県の湖東記念病院で2003年に死亡した男性患者への殺人罪で服役後、再審無罪が確定した元看護助手の西山美香さん(41)が国と県に計約4300万円の国家賠償を求めた訴訟で、県が無罪判決を否定する内容の主張をしていることが分かった。16日に大津地裁であった非公開の手続き後、原告側が会見で明らかにした。

  昨年3月の再審の無罪判決は、西山さんの捜査段階の自白について、取り調べた県警の男性刑事が西山さんの恋愛感情などを利用して誘導したと認定。被害者が致死性不整脈で死亡した可能性があり「殺害されたという事件性が証明されていない」と結論づけた。無罪判決は翌月に確定した。
  だが、県は、15日に地裁へ提出した準備書面で「取り調べ担当官に好意と信頼を寄せて虚偽の殺害を自白することなど、根本的にあり得ない」とし、捜査の違法性を否定。「被害者を心肺停止状態にさせたのは、原告である」と主張した。
  再審の無罪判決で、裁判長は「取り調べや証拠開示などが一つでも適切に行われていれば、逮捕・起訴はなかったかもしれません」と説諭したが、「滋賀県警としては、承服し難い」とも反論した。
  西山さんは昨年12月、捜査の違法性を明らかにするとして、国賠訴訟を起こした。国は6月、「検事が有罪と認められる嫌疑があると判断したことには十分な理由があり、起訴の判断が合理性を欠くとはいえない」とし、検事の捜査に違法性はなかったとする書面を地裁に提出している。
  16日の会見で、西山さんは「県の書面の内容はうそで、怒り心頭だ」と語った。代理人の井戸謙一弁護士は「予想外で大変不当」と強調。県の準備書面について「無罪とした刑事確定判決の判断を正面から否定するもの」「美香さんを再び馬鹿にし、その名誉を甚だしく毀損(きそん)するもの」などとし、県の代理人に撤回を求めたという。
  無罪判決をめぐっては、県議会で昨年6月、滝沢依子・県警本部長が代表質問に対し「結果として(西山さんに)大きなご負担をおかけし、大変申し訳ない」と謝罪していた。県警監察官室は取材に対し、準備書面について「個別の案件についてはコメントを差し控える」とした。(安藤仙一朗)

  大阪市東住吉区で1995年、女児(当時11)が死亡した火災で、再審無罪となった母親の青木恵子さん(57)が国と大阪府に損害賠償を求めた訴訟が16日、大阪地裁で結審した。判決は来年3月15日。
  青木さんは保険金目的で放火したなどとして殺人罪などで起訴され、無期懲役の判決を受けた。その後、大阪地裁の再審で2016年8月、自白は誘導された疑いがあるなどとして無罪判決を受け、確定した。
  青木さんは、違法な取り調べで自白を強要され、精神的な苦痛を受けたとして提訴。国や府は、違法な捜査はなかったとして請求棄却を求めている。今年2月の証人尋問で、取り調べを担当した元警察官は「(青木さんを)今でも犯人だと思いますか」と問われ、「思います」と答えた。
  青木さんは16日の口頭弁論で「『娘殺しの母親』の汚名を着せられたのに、国や府からは謝罪もない」と訴えた。(米田優人)
元刑事裁判官の水野智幸・法政大法科大学院教授の話
   民事裁判は、刑事裁判から独立して認定できるので、国や滋賀県、大阪府がどのような主張をするかは法的に自由だ。ただ、いずれの事件も無罪判決が再審で確定し、違法な捜査があったと認めている。無罪判決を否定するような主張をするのは、「私たちは納得していない」というポーズであり、間違いを認めない姿勢の表れだ。裁判が長引くと無罪になった人の負担が増え、救済も遅れる捜査機関側は素直に誤りを認めて謝罪し、事件を検証するべきだ。


2021.09.13-Yahoo!Japanニュース(産経新聞)-https://news.yahoo.co.jp/articles/2229c7df1a4c6974818ad0227fdc85c64cccdfe7
福岡・飯塚事件再審請求 「新証言」行方は 15日に3者協議

  平成4年に福岡県で7歳の女児2人が殺害された飯塚事件」が、新たな展開を見せている。
  死刑が確定し20年に執行された久間三千年(くま・みちとし)元死刑囚=執行時(70)=の妻が7月、福岡地裁に2度目の再審請求を申し立て、弁護団は事件当日に2人の女児を乗せた白い色の不審な車を目撃したとする、確定判決の目撃証言とは異なる「新証言」を提出した。
  死刑執行後の再審請求は、再審開始が認められれば初のケース。司法の判断が注目される。
■再鑑定は不可能
  飯塚事件の特徴は、元死刑囚が捜査段階から全面否認を貫いたことだ。 第1次再審請求審では、有力な証拠とされた科警研の付着物のDNA型鑑定が、再審無罪が確定した「足利事件」とほぼ同時期に同じ手法で行われたため、その信用性が最大の争点となった。 ただ、飯塚事件では鑑定試料が残されておらず、再鑑定が不可能なことが判明。第1次再審請求の1、2審決定では、DNA型鑑定について「慎重に評価すべきだ」とする一方、血液型鑑定や車の目撃証言、被害者の着衣から採取した繊維が元死刑囚の車のシートと一致する可能性が高いとする鑑定結果などから、「犯人であることが重層的に絞り込まれている」として請求を棄却した。 最高裁第1小法廷も今年4月、「DNA型鑑定の証明力が別の証拠の評価を左右するとはいえず、再評価は必要ない」として退けた。
■女の子乗せた車見た
  今回、弁護団が提出した新証言は、当時40代の男性が情報提供した。内容は以下のようなものだ。 《女児が行方不明になった日の午前11時ごろ、遺留品発見現場から約15キロ離れた国道で車を運転中、白いワンボックスタイプの軽自動車を追い抜いた際、後部座席にランドセル姿の女の子2人がいるのを見た。運転手は30~40代ぐらいで丸刈り、色白の男。その日、報道で女児2人が行方不明となったのを知り、翌朝に110番通報したが、警察が聴取に来たのは1週間後だった》 確定判決では、新証言と同日時に遺留品の発見現場近くの山道で「不審な紺色のワゴン車が停車しているのを見た」との地元男性の証言が、有力な証拠の一つとされた。男性は「メーカーはトヨタや日産ではない」「車体にラインがなかった」などと車の特徴を9つ挙げ、元死刑囚の車の特徴に当てはまっていた。 弁護団は「一瞬の目撃で9つも車の特徴を述べることはあり得ない」などと指摘し、事前に元死刑囚の車を把握していた捜査官による「誘導だ」と主張する。これに対し、検察側は第1次再審請求審で、「捜査の進展に従って目撃証言が詳細になるのは自然かつ合理的だ」と反論している。
■証拠開示を
  弁護団の德田靖之弁護士は、「再審開始のハードルは著しく高いだろう」としつつ、「今回の新証言について、当時県警が動いたのか、動いたのであればどの程度か、それを知るために証拠開示が非常に大事。裁判所がどの程度、開示の重要性を認識するかがポイントだ」と指摘する。 今月4日に東京都内で行われた弁護団による再審請求の報告集会では「むちゃなことを言っているのではなく、裁判が間違っているからやり直してほしいと願っているだけです」などとする元死刑囚の妻のメッセージが代読された。 弁護団は、新証言の存在をテコに、福岡県警が当時、適切な捜査をしたかを検証するため、証拠開示を求める方針。15日には、福岡地裁と福岡地検、弁護団で第2次再審請求の審理計画などを話し合う3者協議が行われる予定だ。(村嶋和樹、塔野岡剛)
   ◇ 飯塚事件 平成4年2月20日、福岡県飯塚市で小学1年の女児2人が登校中に行方不明になり、翌21日に同県甘木市(現・朝倉市)の山中で遺体が発見された。県警は6年9月、死体遺棄容疑で久間三千年・元死刑囚を逮捕その後、殺人罪などで起訴された。元死刑囚は一貫して無罪を主張したが、福岡地裁は11年9月、死刑を言い渡した。最高裁は18年9月に元死刑囚の上告を棄却、20年10月に刑が執行された。翌21年に元死刑囚の妻が再審を請求したが今年4月に請求棄却が確定。7月に第2次再審請求を申し立てた。


2021.09.07-産経新聞-https://www.sankei.com/article/20210907-GRUWN62HJJI6LNOAVXY5MV4BYA/
アイドル賃金未払い訴訟、遺族の請求棄却 「イベント参加は任意」

  愛媛県を拠点に活動していた農業アイドルグループのメンバーで、平成30年3月に自殺した大本萌景(ほのか)さん=当時(16)=の遺族が、大本さんがイベントで行った販売応援業務の報酬額が最低賃金額を下回っていたとして、所属していた「Hプロジェクト」(松山市)を相手取り、約8万8000円の未払い賃金などの支払いを求めた訴訟の判決が7日、東京地裁であった。佐藤卓裁判官はイベントへの参加は任意で、労働基準法上の労働者だったとは認められない」とし、遺族側の請求を棄却した。遺族側は控訴する方針。

  判決理由で佐藤裁判官は、大本さんはイベントの約1割に参加せず、不参加を理由に罰金が科されることもなかったと指摘。販売応援についても「売り場の雰囲気を盛り上げる活動で、販売活動そのものとはいえない」と結論づけた。
  判決後に会見した遺族側の代理人弁護士は「10代のアイドルと所属事務所の力関係を一切無視しており、労働力の搾取を容認する判決だ」と批判した。


2021.09.07-NHK NEWS WEB-https://www3.nhk.or.jp/news/html/20210907/k10013247711000.html
秋元司衆院議員に懲役4年の実刑判決 IR汚職事件 東京地裁

  IR・統合型リゾート施設の事業をめぐる汚職事件で、収賄と証人買収の罪に問われた秋元司衆議院議員に東京地方裁判所は「大臣に次ぐ要職にありながら特定の企業と癒着し、至れり尽くせりの特別待遇を受けていた」として懲役4年の実刑判決を言い渡しました。

  IRを担当する内閣府の副大臣だった衆議院議員の秋元司被告(49)は、中国企業などから合わせておよそ750万円相当の賄賂を受け取ったとして収賄の罪と、贈賄側に裁判でうその証言をするよう依頼し、現金を渡そうとしたとして証人買収の罪に問われ、全面的に無罪を主張していました。

  判決で、東京地方裁判所の丹羽敏彦裁判長は「贈賄側の証言は、携帯電話のメッセージなどの客観的な証拠からも信用できる」などとして、議員会館で渡された現金300万円や、そのほかの利益供与はいずれも賄賂に当たると判断しました。

  また、証人買収の罪については秋元議員が積極的に主導したと認定しました。そのうえで「大臣に次ぐ要職にありながら特定の企業と癒着し、露骨な接待を受けて至れり尽くせりの特別待遇を受けていた。さらに証人買収という卑劣な手段で前代未聞の司法妨害を行った。公人としての倫理観はおろか、この種の犯罪に関する最低限の順法精神もなく、長期の実刑は免れない」と指摘し、懲役4年と追徴金およそ750万円の判決を言い渡しました。
  これについて弁護団は、控訴したということです。
7日夜 保釈認められる
  実刑判決により東京拘置所に収監された秋元議員は7日夜、裁判所から保釈が認められました。保釈金1億円はすでに全額納付しているということです。
  一方、この事件で秋元議員とともに収賄の罪に問われた元政策秘書の豊嶋晃弘被告(42)には懲役2年執行猶予4年が言い渡されました。
判決の影響は
  秋元議員は実刑が確定すれば、公民権が停止され、失職します。また、収賄の罪で有罪判決が確定した場合は、執行猶予が付いても公民権が停止され、失職しますが、秋元議員側は控訴したため、直ちに失職することはありません。
  政治とカネをめぐっては去年以降、自民党に所属していた現職や元職の国会議員が相次いで起訴されています。
  河井元法務大臣がおととしの参議院選挙をめぐる大規模買収事件の1審で実刑判決を受けたほか、吉川元農林水産大臣も現職当時の収賄事件で在宅起訴され裁判が続いています。
  また、ことし7月には「桜を見る会」をめぐる問題で、東京地検特捜部が安倍前総理大臣を不起訴とした処分の一部を検察審査会が「不起訴不当」と議決し、特捜部が再捜査しています。
  失った国民からの信頼をどのように回復させるのか、厳しく問われていると言えます。
加藤官房長官「コメント差し控える」
  加藤官房長官は、閣議のあとの記者会見で「判決は承知しているが、個別事案における裁判所の判断なので、政府として、コメントはこれまでも差し控えさせていただいているところだ」と述べました。
赤羽国土交通相「公正性 透明性を確保し審査」
  IRを所管する赤羽国土交通大臣は「個別の事案の裁判所の判断については、国土交通大臣としての所感は差し控える」と述べました。
  そのうえで、赤羽大臣は、IR事業の今後の手続きの進め方について「当然のことだが、公正性、透明性をしっかりと確保しながら、その審査の過程や結果については、国民の皆様に十分、納得がいただけるように情報公開を進めて、説明責任を果たしたい」と述べました。
  今回の汚職事件を受けて、政府は、収賄などの不正行為を防止するため、整備する地域を選定する際の基本方針を見直し、国や自治体の職員などがIRの事業者と面談する際は複数の職員で対応するほか、面談記録を作成し、一定期間、保存するといったルールを盛り込みました。
  そして、IRの誘致を目指す自治体からの整備計画の申請は、10月1日から受け付けることにしています。
萩生田文部科学相「党としても重く受け止めて対応」
  萩生田文部科学大臣は閣議のあとの記者会見で「かつて自由民主党に所属した国会議員なので、党としてもきっと重く受け止めて対応していくことになるだろう。司法の中でさまざまなやり取りがあるだろうから、それをまずは見守っていきたい」と述べました。
自民 森山国対委員長「極めて大きな問題」
  自民党の森山国会対策委員長は、国会内で記者団に対し「かつての同僚議員が議員在職中に行った行為有罪の判決が出されたことは極めて大きな問題だ。国会議員一人一人が、自覚して政治活動に取り組んでいくことが大事なことだと改めて思う」と述べました。
  また、記者団から衆議院選挙などへの影響について問われたのに対し、森山氏は「もう党員でないので、コメントは差し控えたい」と述べました。
自民 世耕参院幹事長「党内でコンプライアンスの徹底を」
  自民党の世耕参議院幹事長は記者会見で「実刑判決が出たことを重く受け止めなければならない。今回の事案は政治家が当然守るべき法律を守っていなかったことに尽きる。改めて党内でコンプライアンスの徹底を図っていくことが重要だ」と述べました。
自民 岸田前政調会長「党としても重く受け止め信頼回復を」
  自民党の岸田前政務調査会長は国会内で記者団に対し「現職の国会議員に対する大変重い判決だ。本人は自民党を離党しているが、党は公認などを行った責任もある。党としても重く受け止め、政治の信頼回復に努めなければならない」と述べました。
公明 山口代表「司法ゆがめた責任 深く自覚すべき」
  公明党の山口代表は、記者会見で「自民党をすでに離党してるとはいえ、IR政策の担当副大臣だったことから、責任は極めて重い。特に証人買収の罪まで有罪とされたことは、立法府にある人間が、司法の過程をもゆがめたということであり、責任を深く自覚すべきだ」と述べました。
立民 枝野代表「当然 議員辞職すべき」
  立憲民主党の枝野代表は、党の役員会で「最初に立件された事件に加え、証拠隠滅や言い逃れをするために、さらに罪が指摘される経緯を見ても、秋元議員は、なぜいまだに現職にとどまっているのかと思う。当然、議員辞職すべきだ」と述べました。
立民 安住国対委員長「自民の責任で議員辞職させるべき」
  立憲民主党の安住国会対策委員長は、記者団に対し「秋元議員は、かつて所属していた自民党の責任で議員辞職させるべきだ。裁判での証言を邪魔するような買収工作をしたという悪質性も指摘されているのに、自民党は秋元議員に対し、何ら処分をしてこなかった。だらしない、厳しさのない政党だ」と述べました。
判決の認定
  秋元司衆議院議員は、カジノを含むIR=統合型リゾート施設の実現に向けた活動に力を入れてきました。平成28年12月には、衆議院内閣委員会の委員長としてIRの整備を推進する法案を採決。
  よくとし、IRなどを担当する国土交通省や内閣府の副大臣に就任しました。7日の判決は、政府が推進してきた、IR事業への参入をめぐって業者との間に癒着があったと判断しました。
1 最大の争点「議員会館の300万円」は
  裁判所が「最大の争点」としたのは、衆議院が解散した平成29年9月28日に、秋元議員が議員会館で中国企業の元顧問らから、現金300万円の賄賂を受け取ったかどうかです。
  裁判で検察は、元顧問ら2人の裁判での証言や、賄賂の金額や訪問をうかがわせる2人の携帯電話のメッセージなどから現金の授受があったと主張。
  一方、秋元議員側は、スマートフォンのアプリの歩行記録のデータや、当日のスケジュール表に面会予定がないことなどを挙げ「面会はしておらず、現金は受け取っていない」と真っ向から反論しました。
  これについて判決は「現金を渡したという贈賄側の元顧問らの証言はメッセージなどの客観的な証拠からも裏付けられている。中国企業側がIR事業の推進を期待していたことは明らかだ」と指摘し、秋元議員も有利な取り計らいを受けたい趣旨だと知りながら現金を受け取ったと認定しました。
  一方、弁護側の主張については「スケジュール表は行動記録ではなく、アプリのデータも秋元議員の動きと一致しないところが複数ある」として、証拠としての証明力は乏しいと判断しました。
2 証人買収について
  次に、元顧問ら2人に対し、裁判でうその証言をするよう依頼し、現金を渡そうとした証人買収の罪についてです。
  判決は、すでに有罪判決が確定している協力者の証言や、現金の帯封から秋元議員の指紋が検出されたことなどから「秋元議員が証人買収を主導した」と認めました。一方、秋元議員の主張は「不合理極まりなく、全く信用できない」と退けました。
3 接待などの賄賂性
  さらに、中国企業側から講演料として振り込まれた200万円や、マカオや北海道への旅費なども賄賂にあたると認定されました。判決は200万円の振り込みについて「講演料の名目だったとしても秋元議員との関係を深めるためで賄賂であることは明らかだ」と指摘。
  また、旅費などについては「中国企業側はIR事業に参入するために職務権限のある秋元議員に接待をしており、旅行のぜいたくぶりは際立っている。秋元議員も無償の接待という意図を容易に理解できる状況だった」と述べました。
4 猶予か実刑か 明暗分けたのは“証人買収”
  起訴されたすべての内容について検察の主張を認めた裁判所。そのうえで、懲役4年の実刑とした最大の決め手は証人買収でした。
  まず、収賄については「およそ半年の間に贈賄側との関係を深め、立法関連の情報提供などの便宜もはかった。IR事業を所管する省庁で大臣に次ぐ要職にありながら、特定の企業と癒着し、社会の信頼を大きく損なった」と批判した一方、「秋元議員が贈賄側に強く賄賂を求めたわけでなく、IR事業参入に特段の成果をもたらしていない」として、執行猶予の余地があったと述べました。
  しかし、裁判長は語気を強め「あろうことか、保釈直後から贈賄側の買収という前代未聞の司法妨害におよび、その道は閉ざされた」と厳しく指摘しました。
  さらに「一連の収賄事件の結論を根本から覆す危険性さえあったといっても過言ではない。重要な公職にありながらたび重なる買収工作に応じ、責任を追及されると買収という卑劣な手段に出た」と痛烈に批判。
  そして「公人としての倫理観はおろか最低限の順法精神すら欠如していて、長期の実刑は免れない」と結論づけました。
秋元司議員の弁護士「問題点が非常に顕著な判決」
  判決を不服として、秋元司議員の弁護士は控訴しました。弁護団によりますと、秋元議員は判決について「全く納得できず、すぐに控訴したい。受け取ってもいない300万円のことで有罪とされ強い怒りを覚える」と話していたということです。

  記者会見した弘中惇一郎弁護士は「議員会館での300万円の授受が最大の争点だった。客観的な証拠は複数あったが、裁判所は、スケジュール表に記載されていない人が来ることもあったという一般論や、中国企業の元顧問らの妄想をもとに判断し、携帯電話のアプリについても信用できないとした。問題点が非常に顕著な判決だ」と述べました。







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