裁判-法律問題-1
2023.06.03-産経新聞-https://www.sankei.com/article/20230603-N64I5G7Q2JK6JMG4DOEC4DNWOQ/
「なぜ殺されなければ‥元少年は真相明らかにして」 神戸高2刺殺 逃亡11年の末に7日初公判、遺族も参加
(弓場珠希)
神戸市北区で平成22年10月、高校2年の堤将太さん=当時(16)=が刺殺された事件で、
11年にわたる逃亡の末に殺人罪で起訴された当時17歳の元少年の男(30)=愛知県豊山町=の裁判員裁判が7日、神戸地裁で始まる。
弁護側は殺意を否認する方針で、刑事責任能力も争点になる見通し。事件には不明な点も多く、男が法廷で何を語るのかが注目される。裁判に参加する遺族も
「将太がなぜ殺されなければならなかったのか。真相を明らかにしてほしい」と訴える。
起訴状などによると、男は平成22年10月4日午後10時45分ごろ、神戸市北区の路上で、折りたたみ式ナイフ(刃体の長さ約8センチ)で将太さんの右鎖骨上部などを多数回突き刺すなどし、失血死させたとされる。
将太さんは交際相手だった当時中学3年の女子生徒と路上で会話中に襲われたという。男は将太さんと面識はなかったとみられ、ナイフは事件の6日後に現場近くの側溝で発見された。
発生から約11年となる令和3年8月、難航していた捜査が一気に動いた。現場近くに当時住み、愛知に転居していた男が周囲に「人を殺したことがある」と漏らしたとの情報提供を受け、兵庫県警が殺人容疑で逮捕したのだ。男は当初、「(将太さんが)女子生徒と一緒にいるところを見て腹が立った」という趣旨の供述をし、容疑を認めていたとされる。
神戸地検は刑事責任能力を調べるための鑑定留置を経て刑事責任能力を問えると判断し、昨年1月に殺人罪で起訴。弁護側の求めで実施された精神鑑定でも責任能力があるとの結果が出ている。
少年法適用に憤り
「事件の時に何が起こっていたか、まだ知らないことがあるかもしれない。なぜ息子が殺されたのか。なぜ(男が)11年間も逃げたのか。法廷で真相を明らかにしてほしい」
初公判を前に、将太さんの父、敏(さとし)さん(64)は産経新聞の取材にこう心境を明かす。
自宅には野球のグラブをつけて照れくさそうに写る将太さんの写真が飾られている。写真を囲むように並ぶペットボトルは、将太さんが大好きだったコーラを友人らが供え物として持ってきてくれたものだ。
事件当時、男は未成年だったため、少年法の規定が適用される。殺人のような重大事件であっても死刑や無期刑は減軽され、公判開始後も匿名扱いが続く見通しだ。
「
30歳の男に少年法を適用してどうする」。将太さんの写真を前に、敏さんは憤りを隠さない。司法制度が加害者を守り、被害者をないがしろにしているとの思いばかりが募る。
しかも、
事件が平成26年の改正少年法施行より以前に起きたため、未成年時の犯罪は有期刑の上限が15年にとどまる。判決は6月23日の予定だが、敏さんは「科せられる一番重い刑を科してほしい」と訴える。
闘い続ける覚悟
将太さんは家族思いで、気持ちの優しい性格だった。亡くなる前に両親に宛てた手紙には《家族の役に立つようなことをしていきたい。本当にここまで育ててくれてありがとう》と記されていた。
なぜ息子の命が奪われなければならなかったのか-。敏さんは考えれば考えるほど身体の底から激しい怒りがこみ上げる。
「息子が訴えたかったこと、どれだけ痛かったか、怖かったかを伝えないといけない」。被害者参加制度を利用し、法廷では男に直接問いただすつもりだ。
ただ、
最も苦しんだのは天国にいる将太さんのはず。事件の真相を知り、犯人に厳罰が与えられるまで闘い続けることが父親の使命だと覚悟している。法廷では「冷静に向き合いたい」と敏さんは語った。
(弓場珠希)
2023.06.02-日本経済新聞-https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUF3084E0Q3A530C2000000/
キヤノン製インクカートリッジ、再生インク会社が敗訴
プリンターに使うインクカートリッジの仕様を変えてリサイクル品の販売を妨げたのは独占禁止法に違反するなどとして、
リサイクル品製造・販売大手のエコリカ(大阪市)がキヤノンに仕様変更の差し止めと3000万円の損害賠償などを求めた訴訟の判決が2日、大阪地裁であった。
谷村武則裁判長は仕様変更について「違法ではない」などとして、エコリカ側の請求を棄却した。
争点は、キヤノンが2017年に発売したカートリッジのインク残量を表示するICチップの仕様変更が独禁法の禁じる「抱き合わせ販売」や「競争者に対する取引妨害」に該当するかどうかだった。
訴状などによると、エコリカは使用済みカートリッジを家電量販店などで回収し、インクを再注入して純正品より安い価格で販売。
キヤノンがICチップの仕様を変更したことで、リサイクル品はプリンターで「インクなし」と表示されるようになった。
エコリカ側は、キヤノンにとって競合するリサイクル品を販売できなくすることで市場への参入を妨害しているとし、仕様変更は独禁法違反に当たると主張。一方、
キヤノン側は、残量データの初期化はできなくても印刷は可能な設計で、リサイクル品の開発も可能と反論。仕様変更は正当として請求を退けるよう求めていた。
谷村裁判長は、インク残量が表示されなくてもカートリッジの本質的な機能に大きな影響を与える問題ではないとの見方を示し、消費者が「純正品の購入を余儀なくされているわけではない」と指摘。独禁法が禁じる「抱き合わせ販売」には該当しないと判断した。
またICチップの仕様変更が「競争者に対する取引妨害」にあたるということもできないとして、エコリカ側の請求を退けた。
判決後、エコリカの宗広宗三社長は大阪市内で記者会見し「主張が認められず、納得できない。できれば控訴したい」と話した。キヤノンは「当社の主張が受け入れられて良かったと考えている」とのコメントを出した。
2023.05.31-産経新聞-https://www.sankei.com/article/20230531-KAIGGLM6VNIHNJH5GLG6UNXTTI/
法廷でブルーリボンバッジ着用禁止、裁判官判断の違法性認めず
裁判官が、
北朝鮮による拉致被害者の救出を願う「ブルーリボンバッジ」の着用を禁じたのは憲法が保障する表現の自由に反するなどとして、大阪府内の男性3人が国に計390万円の損害賠償を求めた訴訟の判決が31日、大阪地裁であり、
達野ゆき裁判長は違法性を認めず、請求を棄却した。
原告は不動産会社「フジ住宅」(大阪府岸和田市)の今井光郎会長(77)ら3人。
争点は、法廷の秩序を守る目的で裁判官に与えられた「法廷警察権」をいかに評価するかだった。
訴状によると、平成30年5月、大阪地裁堺支部で、原告らが民事訴訟を傍聴しようとした際、裁判長の命令を受けたとする職員からブルーリボンバッジを外すよう指示されたという。民事訴訟は、在日韓国人の女性が民族差別表現を含む資料を職場で配られたとして、フジ住宅に損害賠償を求めたもので、後に賠償命令が確定している。
フジ住宅訴訟では、女性の支援者とフジ住宅の支援者が別のバッジ着用を巡ってトラブルになっており、裁判長は「メッセージ性のあるバッジは外す」と指示。この対象にブルーリボンも含まれ、判決まで着用は認められなかった。
原告側は拉致被害が日韓で起きたことを踏まえ「ブルーリボンはフジ住宅訴訟の争点と全く関係がない」として、
法廷警察権の乱用にあたると主張。一方、国側は、
着用を認めれば「裁判所に対する中立性、公平性に疑問を抱かせ、当事者間の喧噪(けんそう)につながる可能性があった」として、
正当な法廷警察権の行使だと反論していた。
2023.05.30-産経新聞-https://www.sankei.com/article/20230530-KFKR5WBAYFPW5JI22BXRFN3C4Q/
杉田水脈氏に33万円賠償命令、ジェンダー研究者の請求一部認める 大阪高裁
女性研究者4人が、慰安婦問題やジェンダーに関する研究について事実無根の非難をされ、名誉を傷つけられたとして、自民党の杉田水脈(みお)衆院議員に計1100万円の慰謝料などを求めた訴訟の控訴審判決が30日、大阪高裁であった。清水響裁判長は研究者側の請求を棄却した1審京都地裁判決を取り消し、杉田氏に33万円の賠償を命じた。
提訴したのは、大阪大の牟田(むた)和恵名誉教授ら4人で、清水裁判長は牟田氏の請求の一部を認めた一方、ほかの3人の請求は棄却した。
1審判決によると、牟田氏らの研究グループは平成26~29年度、日本学術振興会の科学研究費助成を受けて慰安婦問題やジェンダーなどに関する研究を実施。杉田氏は30年3~7月、自身のツイッターやインターネットテレビなどで研究について「捏造(ねつぞう)はダメ」「国益を損なう」などと発言した。
昨年5月の1審京都地裁判決は、杉田氏の発言は「批判的な意見や論評」と判断。「感情的な表現ではあるが、表現方法として相当な範囲を逸脱したとまではいえない」として原告側の請求を退けた。
原告側は判決を不服として控訴し、「科研費制度への意見ではなく、合理性を欠く」と主張。一方、杉田氏側は「国会議員の政治活動として科研費制度に意見を述べたに過ぎない」と反論していた。
2023.05.29-産経新聞-https://www.sankei.com/article/20230529-EZACSWMNGFNVFDFTHNPUZ6JFNA/
ALS患者嘱託殺人「共謀も実行もない」 初公判で無罪主張の元医師
全身の筋肉が徐々に動かなくなる難病のALS(筋萎縮性側索硬化症)の女性患者に対する嘱託殺人罪などで起訴された
元医師、A直樹被告(45)の初公判が29日、京都地裁(川上宏裁判長)で開かれた。
A被告は、共犯として起訴された知人の医師、B被告(45)を挙げ「一緒にいたことに間違いないが、共謀も実行もしていない」と無罪を主張。弁護側は「実行したのはB被告だ」と訴えた。
起訴状によると、
A被告はB被告と共謀し令和元年11月30日、ALSで寝たきりだった京都市中京区の無職、林優里(ゆり)さん=当時(51)=に依頼され、胃瘻(いろう)から致死量の薬物を投与。急性薬物中毒で死亡させたとしている。
検察側の冒頭陳述によると、両被告は友人を装い林さんの自宅を訪問。いったん外に出た介護士の入室を防ぐため、寝室のドアをA被告がふさぎ、B被告が薬物を投与して殺害したと指摘した。
またB被告が、安楽死を希望する内容をツイッターに投稿していた林さんと、平成30年からやり取りを開始。令和元年8月に安楽死を持ち掛け、同10月に林さんから殺害の依頼を受けたと明らかにした。その後、B被告は報酬の送金先をA被告の口座に指定したという。
これに対し弁護側は「殺したのはB被告で、共謀はしていない」と主張した。A被告は今回の事件とは別に、平成23年に父親=当時(77)=を殺害したとして、母の淳子被告(78)、B被告とともに殺人罪で起訴。B被告による単独犯だとして無罪を訴えたが、地裁は今年2月、懲役13年の判決を言い渡していた。A被告側は判決を不服として控訴している。
「知人医師の頼み聞くしかない状況」
検察側は初公判で、事件の約3カ月前からB被告が交流サイト(SNS)を通じ、死亡した林優里さんに安楽死を持ち掛けていたと明らかにした。A被告も共謀していたと強調したが、無罪を訴える弁護側と真っ向から主張がぶつかる形となった。
検察側によると、B被告は安楽死について肯定的意見をツイッターで発信。令和元年8月に「安楽死させることができる」というメッセージを林さんに送ると、その後は「山本」と名乗り、病死に見せかけて安楽死させる方法を説明していた。一方で、林さんにメッセージの削除も求めていた。
同年11月中旬には、B被告がA被告に「京都で1時間で終わる仕事がある」とメールを送信。数日後、A被告名義の口座に林さんから130万円が振り込まれ、事件の日を迎えたという。
検察側は両被告の関係性を「親密かつ良好だった」と主張。B被告が安楽死などに関心があったことを「A被告も認識していた」と指摘し、「共謀にあたる」と主張した。これに対し弁護側は「B被告による犯行」と反論。「B被告が何をしたのか知ったのは、林さんの部屋を出て説明を受けた後だった」と共謀を否定した。
ただ、A被告は平成20年当時、厚生労働省の医系技官だったB被告の指南で「韓国の医大を卒業した」と虚偽申請し、医師免許を不正に取得。父親殺害を巡る公判で「(B被告と)秘密を共有しなければいけない関係になった」と供述していた。弁護側はこの日も「B被告の頼みを聞くしかない状況だった」と説明した。
今後は事件当時の両被告の関係性も焦点になるとみられる。B被告の公判日程は未定のままだ。
2023.05.25-産経新聞-https://www.sankei.com/article/20230525-V5PE6PCKARPPXLQSGQTWXQEBI4/
両親殺害の19歳長男、公判で氏名非公開に 佐賀地裁決定
佐賀県鳥栖市の住宅で両親を殺害したとして、長男(19)が殺人罪で起訴された事件で、佐賀地裁(岡崎忠之裁判長)は25日までに
、長男や被害者の氏名などを「被害者特定事項」として公判で非公開にする決定を出した。決定は17日付。
長男は
少年法で起訴後の実名公表が可能な「特定少年」に当たり、佐賀地検が今月1日に起訴した際に「改正少年法の趣旨や付帯決議の内容を踏まえ、殺人という重大事件であることを考慮した」として実名を公表した。
事件は3月9日に発生。起訴状によると、鳥栖市の実家で両親をナイフで複数回刺すなどし、失血死させて殺害したとしている。
2023.04.25-Yahoo!Japanニュース(TBS News DIG.)-https://news.yahoo.co.jp/articles/87d7ec6bcbda351d8800816425441f906c389304
横浜地裁が植松聖死刑囚の再審請求を棄却 弁護側は即時抗告 相模原市の障害者施設45人殺傷事件
相模原市の障害者施設で45人を殺傷したとして、
死刑が確定している植松聖死刑囚(33)の再審請求について、横浜地裁が
棄却していたことがわかりました。
植松聖死刑囚(33)は2016年7月、以前働いてた相模原市の障害者施設「津久井やまゆり園」で入所者45人を殺傷したとして死刑が確定しています。 植松死刑囚は去年4月、「障害者に対する自分の考えを改めて主張したい」などと再審請求していましたが、弁護側への取材で、横浜地裁が今月18日に再審請求を棄却する決定をしていたことがわかりました。
植松死刑囚は「がっかりした」などと話しているということです。 弁護側はきのう、棄却の決定を不服として横浜地裁に
即時抗告しました。
TBSテレビ
2023.04.21-産経新聞-https://www.sankei.com/article/20230421-QKHNRIGTQBIGPMA7KNG2U5XZLQ/#:~
拘置所での色付き眼鏡禁止は「違法」 国に賠償命令 大阪地裁
目の負担を軽減させる「色付き眼鏡」の使用を拘置所や刑務所で禁じられたのは不当として、
元受刑者の男性と弁護人が国に約490万円の損害賠償を求めた訴訟の判決が20日、大阪地裁であった。
徳地淳裁判長は、弁護人との接見時に使用を認めなかった対応を違法として、国に計37万5千円の支払いを命じた。
判決によると、男性は令和元年、大阪拘置所に収容された際の検査では視力が両目ともに0・03だった。薄紫色のついた自身の眼鏡を使用したいと求めたが、大阪拘置所は「目の動きがわからず、動静の視察に支障がある」として認めず、男性は1カ月半にわたって裸眼で過ごした。その後、弁護人が薄い色の眼鏡を用意したが、実刑判決後に収容された大阪刑務所で使用が認められなかった。
徳地裁判長は、拘置所を管理する上で一定の制限を必要とすることは認めたが、弁護人の接見時に使用を禁じた点について「証拠書類を見ながら打ち合わせをすることができなくなる」として違法と判断。大阪刑務所で使用を禁じた措置についても、「明らかに過剰。適切に視力を矯正して日常生活を送る権利を侵害した」とした。
2023.04..08-産経新聞-https://www.sankei.com/article/20230408-PP2VYMVKR5N65AHBGXC2ICCMGI/-
袴田事件再審 検察、新たに有罪立証せず 早期無罪の公算
昭和41年に静岡県の一家4人が殺害された事件で死刑が確定後、釈放された袴田巌さん(87)の再審公判で、検察当局が新たに有罪立証をしない方向で検討していることが7日、関係者への取材で分かった。静岡地裁で今後予定されている再審公判で、無罪判決が早期に言い渡される可能性が高くなった。
袴田さんを巡っては今年3月13日、東京高裁が差し戻し審で再審開始を認め、東京高検が最高裁に不服を申し立てる特別抗告を断念し再審開始が確定。4月10日には再審公判の進行などについて静岡地裁、静岡地検、弁護団による初の3者協議が行われる予定で、早ければこの協議で地検が立証方針を示す見込み。
差し戻し審での争点は、事件から1年2カ月後に現場近くのみそタンクから見つかり、確定判決で犯行時の着衣とされた「5点の衣類」に付着した血痕の変色状況だった。
高裁は、衣類を「事件の中心的な証拠」とし、1年以上みそに漬けられた衣類の血痕は黒色などに変わるとした弁護側の主張を認め、再審開始を決めた。この決定では衣類が捜査機関に捏造(ねつぞう)された可能性にも触れていたことから、検察当局には反発もあった。
再審では当初の確定判決までに提出されていた証拠と、再審請求の際に提出された新たな証拠を合わせて審理する。関係者によると、検察当局は、争点が衣類の血痕の変色状況の1点に絞られていた状況で特別抗告を断念している上、衣類以外の証拠から袴田さんの有罪立証を続けることは困難と判断しているもようだ。
一方、弁護団によると、弁護側は袴田さんが高齢であることを踏まえ、再審公判では袴田さんに対する被告人質問や、新たな証人尋問は行わず、早期の結審を訴える方針という。
2023.03.31-産経新聞-https://www.sankei.com/article/20230331-J2QEMLUJPRLSLCXFH2YAQQC4DI/
一気飲み近大生死亡 元学生16人に賠償命令、大阪地裁
平成29年に近畿大2年の登森(ともり)勇斗(はやと)さん=当時(20)=がテニスサークルの飲み会で一気飲みした後に死亡したのは、
参加者らが適切な救護措置を怠ったことが原因だとして、
両親が当時の学生18人に計約1億500万円の損害賠償を求めた訴訟の判決が31日、大阪地裁であり、達野ゆき裁判長は16人に救護義務違反を認定して賠償を命じた。
賠償を命じられたのは、
飲み会の参加者10人(計約4220万円)と、飲み会後に呼ばれて介抱した6人(計約2530万円)。残る2人は登森さんを飲食店から運び出す際に同行しておらず、「関与の度合いが低い」と判断した。
被告側は「危険な状態と認識していなかった」と主張したが、達野裁判長は、一気飲み後に登森さんが周囲の呼びかけに応じなくなったことなどから「放置すれば急性アルコール中毒で死亡する危険性を認識していた」と認定。すぐに救急車を呼ぶといった措置を怠ったと指摘した。
一方、両親の「飲酒を強要された」との訴えに対しては「
飲酒を重ねて求めたり、飲酒を断ることにペナルティーを設けたりした事情はない」と強要を否定、登森さんの過失を考慮して賠償額を減額した。
判決によると、
登森さんは29年12月、大阪府東大阪市内の飲食店で、ビールやショットグラス約20杯分のウオッカを一気飲み。意識がない状態で別の学生宅に運ばれ、翌朝に救急搬送されたが死亡した。近大も被告だったが、近大が再発防止に努めるとの内容で和解が成立している。
判決を受け、両親は「被告らの責任が軽減され、受け止められない。二度とこのような事件が起きないことを強く願う」とコメントした。
2023.03.29-産経新聞-https://www.sankei.com/article/20230329-GNMZGI6FSVI4RA2G3Y4ZMZU2HM/
睡眠薬入り酒飲ませ女性客に乱暴 ミシュラン「一つ星」店主に実刑判決 大阪地裁
女性客2人に睡眠薬入りの酒を飲ませ、店内で乱暴したなどとして、
準強制性交などの罪に問われたA被告(47)の判決公判が29日、大阪地裁で開かれ、大寄淳裁判長は懲役6年6月(求刑懲役10年)を言い渡した。
A被告は事件当時、大阪市浪速区の日本料理店「榎本」の店主。同店は飲食店を星の数で格付けするガイド本「ミシュランガイド京都・大阪」で一つ星を獲得していた。
判決理由で大寄裁判長は、店で提供する酒などに睡眠薬を混入して女性客に摂取させて犯行に及んでいることから、「飲食店への信頼に乗じた卑劣な犯行」と指弾。一方で被害者に解決金を支払っていることなどを考慮した。
判決によると、A被告は令和3年12月~4年2月、店内で女性客2人を抵抗できない状態にした上で乱暴するなどした。
2023.03.23-産経新聞-https://www.sankei.com/article/20230323-FALS4PL2ZBJ4TPU5UCFAA4XYJU/
小4自殺予見可能性認めず 沖縄・豊見城
沖縄県豊見城(とみぐすく)市で平成27年、市立小4年の男子児童=当時(9)=が自殺したのは、
学校側がいじめへの適切な対応をしなかったためだとして、両親が市などに計約7800万円の損害賠償を求めた訴訟の判決で、那覇地裁は23日、いじめを否定する趣旨の教育長の発言で両親が精神的苦痛を受けたとして、市に44万円の支払いを命じた。
福渡裕貴裁判長は、学校側が予見できなかったとして、自殺に対する責任は否定した。
男児の自殺に関し、市教育委員会の第三者委員会が30年、いじめが主要因の一つになった蓋然(がいぜん)性を認める報告書をまとめていた。原告側は記者会見で、いじめと自殺の関係を判断しなかったとして判決を批判した。
判決によると、
男児は27年5月以降、ズボンを下ろされたり、腰に巻いた服を「格好つけるな」と言われ引っ張られたりした。10月、
自宅で首をつり、1週間後に死亡した。
2023.03.24-Yahoo!Japanニュース(テレ朝News)-https://news.yahoo.co.jp/articles/30581816382384112bef26cd49e3ae09b37b489c
【速報】ベトナム人元実習生(24)の双子の嬰児遺棄事件 最高裁が逆転無罪判決
テレビ朝日報道局
技能実習生だったベトナム人の女性が死産した双子の遺体を遺棄した罪に問われた裁判で、
最高裁は2審の有罪判決を破棄して逆転無罪の判決を言い渡しました。
死産翌日に事件発覚
熊本県芦北町(あしきたまち)で技能実習生だったベトナム人の女性(24)は、2020年11月、実習先の寮で死産した双子の遺体を遺棄した罪に問われました。
女性は「妊娠がわかれば帰国させられる」と考え、周囲に相談せず、死産の翌日に病院を受診したことで事件が発覚しました。
女性の行為が「遺棄」にあたるのか?
裁判で争点になったのは、遺体を二重にした段ボール箱に入れて接着テープで封をした女性の行為が「遺棄」にあたるのかどうかです。
女性側は「埋葬する意思のもと行った安置である」として無罪を主張していましたが、1審の熊本地裁は「遺体を段ボールに入れて部屋に置き続けた行為は遺棄にあたる」として懲役8カ月執行猶予3年の有罪判決を言い渡しました。
一方、2審の福岡高裁は、「死産から遺体が見つかるまでの期間は1日と9時間に留まり、部屋に置き続けた行為は遺棄にあたらない」と判断し、1審判決を破棄しました。
そのうえで、「他者が遺体を発見することが困難な状況を作ったことは遺棄にあたる」として、懲役3カ月執行猶予2年の有罪判決を言い渡しました。
「すべての女性のために」最高裁で逆転無罪
この判決を不服として女性側は上告していて、最高裁は24日、2審の有罪判決を破棄して逆転無罪の判決を言い渡しました。 最高裁は先月、判決の変更に必要な手続きである弁論を開いていて、その後の会見で女性は「妊娠を誰にも言えずに苦しんでいる技能実習生や、1人で子どもを出産せざるを得ないすべての女性のためにも、無罪判決が言い渡されることを願っています」と語っていました。
テレビ朝日報道局
2023.03.21-NHK NEWS WEB-https://www3.nhk.or.jp/news/html/20230321/k10014014521000.html
「袴田事件」再審開始確定 弁護団 “一刻も早く無罪判決を”
57年前、静岡県で一家4人が殺害されたいわゆる「袴田事件」で
死刑が確定した袴田巌さんの再審=裁判のやり直しを認めた東京高等裁判所の決定について、検察は「承服し難い点があるものの、申し立て事由があるとの判断に至らなかった」として
最高裁判所に特別抗告せず、
袴田さんの再審開始が確定しました。
弁護団は「
一刻も早く袴田さんに無罪判決を聞かせたい」として今後、裁判所に対し迅速に裁判を進めるよう働きかけていく考えです。
57年前の1966年に今の静岡市清水区で一家4人が殺害された事件で
死刑が確定した袴田巌さん(87)について、東京高等裁判所は今月13日、「有罪の根拠とされた証拠に合理的な疑いが生じた」として再審を認める決定をしました。
この決定を不服として最高裁判所に特別抗告する場合、20日が期限でしたが、東京高等検察庁は「承服し難い点があるものの、法の規定する申し立て事由があるとの判断に至らなかった」として特別抗告しませんでした。
これにより死刑確定から40年余りを経て袴田さんの再審開始が確定し、静岡地方裁判所でやり直しの裁判が開かれることになりました。
弁護団は「一刻も早く袴田さんに無罪判決を聞かせたい」として今後、裁判所に対し、迅速に裁判を進めるよう働きかけていく考えです。
死刑が確定した事件で再審が開かれるのは5件目で、過去4件はいずれも無罪が言い渡されています。
2023.03.20-産経新聞-https://www.sankei.com/article/20230320-WWMTBOPHXJICPD7Z7JN6S7IZVM/
死刑再審、過去4件は全て無罪
東京高検が最高裁への特別抗告を断念したことで、昭和43年に袴田巌さんに死刑判決を下した静岡地裁で、再審公判が開かれることになった。検察側・弁護側の双方が改めて主張をし、新たに判決が言い渡されるが、
無罪となる可能性が極めて高い。
公開の法廷で行われる再審公判では、検察側が改めて有罪を主張し、死刑を求刑することもできる。しかし、再審自体が確定判決の有罪認定に「合理的な疑いが生じる明白な新証拠」が見つかった場合に認められるもののため、検察官が有罪主張を放棄することも珍しくない。
地裁が出した再審公判の判決に不服がある場合、検察側は通常の刑事裁判と同じく控訴・上告することが可能だ。ただ、
死刑確定後の再審公判で無罪判決が言い渡されたケースは過去に4件=
免田事件、財田川(さいたがわ)事件、松山事件、島田事件=あるが、
いずれも検察側が控訴することなく無罪判決が確定している。
2023.03.17-REUTERS-https://jp.reuters.com/article/idJP2023031701000508
乳児の頭部傷害で父親に無罪
大阪市福島区の自宅で2017年11月、生後2カ月だった長男の頭部に衝撃を与える暴行を加え、
急性硬膜下血腫などの重傷を負わせたとして傷害罪に問われた父親で写真家A被告(59)に大阪地裁は17日、無罪判決を言い渡した。
末弘陽一裁判長は判決理由で、長男の血腫の量は多いとは言えず「重い暴行があったとは考え難い」と指摘した。
求刑は懲役5年だった。長男は一時入院したが回復し、命に別条はなかった。 公判で検察側は、医師の証言を基に、頭を前後に激しく動かして初めて硬膜下血腫が生じると指摘。泣きやまない長男にいらだったことが動機で、揺さぶり以外には説明がつかないとした。
一方、被告は長男が喉に何かを詰まらせたと思い「吐かせるため背中をたたいただけ」と説明。暴行していないとして無罪を主張していた。
末弘裁判長は被告の主張のような軽微な外力が原因の可能性を指摘。被告が長男の容体急変後にすぐに消防に通報して経緯を説明したことなどから、検察側の見解には疑問が残り「犯罪の証明がない」と結論付けた。
【共同通信】
2023.03.15-NHK NEWS WEB(関西)-https://www3.nhk.or.jp/kansai-news/20230315/2000071866.html
和歌山 少女放置死の罪 母親の再婚相手に懲役6年判決
和歌山市のアパートで、16歳の少女に対し、少女の母親とともに暴力を振るうなどしたうえ、
放置して死亡させたとして保護責任者遺棄致死の罪に問われた母親の再婚相手に対し、和歌山地方裁判所は、「被害者の心身の苦痛や絶望の大きさは計り知れない」などとして
懲役6年の判決を言い渡しました。
和歌山県有田市の無職、A被告(41)は、おととし(令和3年)6月、和歌山市のアパートで、鶴崎心桜さん(16)に対し、少女の母親とともに暴力を振るうなどしたうえ、放置して死亡させたとして保護責任者遺棄致死の罪に問われました。
15日の判決で、和歌山地方裁判所の松井修 裁判長は、「被害者は、母親から苛烈な虐待を受け、被告からも暴力を振るわれるなどして極度に衰弱して死に至った。心身の苦痛や絶望の大きさは計り知れない」と指摘しました。そのうえで、「119番通報などをしなかったのは、保身を考えた判断であり、相応の非難に値する」として懲役6年の判決を言い渡しました。検察の求刑は、懲役8年でした。
この事件では、少女の母親も保護責任者遺棄致死の疑いで書類送検されましたが、すでに死亡し、不起訴となっています。
2023.03.13-NHK NEWS WEB-https://www3.nhk.or.jp/news/html/20230313/k10014006661000.html
袴田巌さんの再審認める決定 東京高裁 証拠“ねつ造”疑い言及
57年前、静岡県で一家4人が殺害された、いわゆる「袴田事件」で、
無罪を主張しながらも死刑が確定した、袴田巌さんについて、東京高等裁判所は再審=裁判のやり直しを認める決定をしました。有罪の根拠とされた証拠について、決定は「
捜査機関が隠した可能性が極めて高い」と、“ねつ造”の疑いに言及しました。
袴田巌さん(87)は、57年前の1966年に今の静岡市清水区で一家4人が殺害された事件で、
死刑が確定しましたが、
無実を訴え、裁判のやり直しを求めています。
9年前、静岡地方裁判所が再審を認める決定を出し、袴田さんは死刑囚として初めて釈放されましたが、その後の
東京高裁は一転して再審を認めず、さらに最高裁が審理が尽くされていないと判断したことから、東京高裁で再び審理が行われる、異例の展開をたどっていました。
最大の争点は、
逮捕から1年以上あとに現場近くのみそタンクから見つかった衣類についた血痕の色の変化です。
衣類は有罪判決の決め手となった証拠ですが、
袴田さんが隠したものかどうかを検証するため、1年以上みそに漬かった状態でも血痕に赤みが残るかどうか、弁護側と検察の双方が主張を繰り広げました。
13日の決定で、東京高裁の大善文男裁判長は、弁護側が示した実験結果などについて、「1年以上みそに漬けられると血痕の赤みは消えることが、専門家の見解からも化学的に推測できる。袴田さんが犯行時に着ていたという確定判決の認定には合理的な疑いが生じる」として、「無罪を言い渡すべき明らかな証拠」にあたると判断し、再審開始を認めました。
さらに、「衣類は事件から相当な期間が経過したあとに第三者がタンクに隠した可能性が否定できず、事実上、捜査機関による可能性が極めて高い」と厳しく批判しました。また、袴田さんの釈放についても、「
無罪になる可能性や再審開始決定に至る経緯、袴田さんの年齢や心身の状況に照らして相当だ」として、引き続き認めました。
決定に不服がある場合、5日以内に検察は最高裁判所に特別抗告することができますが、決定が確定すれば、裁判がやり直されることになります。
東京高裁の前では支援者らから喜びの声
東京高等裁判所の前では、再審を認める決定が出された直後の午後2時すぎ、裁判所から出てきた
弁護士が「再審開始」や「検察の抗告棄却」と書かれた紙を掲げると、集まった支援者らから大きなどよめきが起きました。そして、「よくやった」とか「よかった」といった喜びの声があがっていました。
その後、袴田さんの姉のひで子さんが、裁判所から笑顔で出てきて、
「再審が認められ本当にうれしいです。56年間闘ってきて、この日がくるのを心待ちにしていました。これでやっと肩の荷が下りた感じがします」と話していました。また、弁護団の小川秀世弁護士は「当然の決定だと思いますが、本当にうれしいです。
検察に対しては特別抗告をしないよう要請します」と涙を流しながら話していました。
そして、ひで子さんと小川弁護士が抱き合って喜びを分かち合うと、支援者から大きな拍手が送られていました。このあと、袴田さんの支援者20人余りは午後3時前に東京高等検察庁の前に集まり、プラカードを掲げながら「検察は再審開始決定に従え」とか「袴田さんに真の自由を」などとシュプレヒコールをあげていました。
弁護団長「検察官の主張ことごとく排斥 画期的だ」
再審を認める決定を受け、袴田さんの姉のひで子さんと弁護団、それに支援する日弁連=日本弁護士連合会が会見を開きました。この中でひで子さんは「再審開始になることを願って今まで生きてきたので、大変うれしく思っています。家に帰ったら本人に『よい結果が出たから安心しなさい』と言うつもりです。早く死刑囚でなくなることを願っています」と喜びを語りました。
また、西嶋勝彦弁護団長は「決定は、高裁での審理の争点だった血痕の色について検察官が行った実験には信用性がないと判断した。これまで争われてきた論点についても検察官の主張をことごとく排斥していて、画期的だ」と述べました。そのうえで「それぞれの証拠を総合評価して、無実になる可能性があることを明言していて、速やかにやり直しの裁判に移行するべきだと表明していると思う」と強調しました。
また、日弁連の再審法改正実現本部で本部長代行を務める鴨志田祐美弁護士は、
「再審手続きを定めた法律には証拠開示について明文化した規定がなく、再審開始を認める決定が出ても、検察官が不服を申し立てることができるため、審理が長引き、取り返しのつかない悲劇を生み出している。法改正しかないということを世の中に訴えていきたい」話していました。
東京高検「主張認められず遺憾 適切に対処したい」
再審の開始を認める決定を受け、東京高等検察庁の山元裕史次席検事は「検察官の主張が認められなかったことは遺憾である。決定の内容を精査し、適切に対処したい」というコメントを出しました。
きょうの袴田さんの様子は
支援者によりますと、袴田巌さんは、13日は午前9時半ごろに起床し、朝食にみかんやりんごなどの果物を食べたということです。ひで子さんが袴田さんのひげをそったり、髪を整えたりしていました。ひで子さんは決定文を受け取るため東京高裁に向かい、袴田さんは同行しません。ひで子さんが「きょうは東京へ行ってくるから。一晩、泊まってくるからね」と伝えると、袴田さんは「あ、そう」と応じていました。
午後は、支援者の運転する車で、幼少期に足を運んでいた浜松市浜北区の「岩水寺」を訪れました。袴田さんは寺の本堂の前でさい銭箱にお金を投げ入れると、静かに手を合わせ、線香をあげていました。また、寺の近くにある大きな仏像の前でも手を合わせていました。そして記者から「きょうはどんな日ですか」と声をかけられると、「勝つことだね。勝つ日だと思うがね」などと話していました。
識者「『疑わしきは被告人の利益に』という考え方に」
決定について、元裁判官で刑事裁判の経験が長い、半田靖史弁護士は「
『血痕の赤みが失われるか化学的に説明する』という最高裁から与えられた課題について、高裁は専門的な知見によって合理的に裏付けられたと認定した。
『疑わしきは被告人の利益に』という考え方に立ち、誰が衣類を隠したのかはっきりわからなくても、血痕に赤みが残っているのはおかしいとさえ言えればよいと判断した」と評価しました。
その上で、「検察が行った実験も弁護側の理論を裏付けるものと判断された。検察は立証の機会をたっぷり与えられていたので、潔く結論を受け入れるべきではないか」と指摘しました。
袴田事件 今後の手続き
再審開始を認めた東京高裁の決定に不服がある場合、検察は5日以内に最高裁判所に特別抗告することができます。今回は週末を挟むため、特別抗告の期限は今月20日となります。特別抗告が行われれば、再審開始の判断は最高裁に委ねられることになり、審理が続きます。
一方、13日の決定が確定すれば、静岡地方裁判所でやり直しの裁判が行われ、無罪に大きく近づくことになります。
過去の再審判断と法改正の動き
過去にも死刑や無期懲役が確定した事件で再審開始が認められ、無罪となったケースがあります。
死刑が確定した事件では、
▼1948年に熊本県で夫婦2人が自宅で殺害された免田事件や、
▼1954年に静岡県で当時6歳の女の子が連れ去られて殺害された島田事件などで無罪が言い渡されました。
無期懲役が確定した事件では、
▼1990年に栃木県で当時4歳の女の子が殺害された足利事件や、
▼1997年に東京電力の女性社員が殺害された事件などで、
再審によって無罪が言い渡され、その後、確定しています。
最近では、大阪 東住吉区の住宅で11歳の女の子が死亡した火事で殺人などの罪で無期懲役が確定し、服役していた母親が、2016年に再審で無罪となっています。また、先月27日には、39年前に滋賀県日野町で起きた強盗殺人事件で無期懲役が確定し、服役中に死亡した男性について、大阪高等裁判所が再審開始を認める決定を出しました。
再審が認められるまでに長い年月がかかっていることから、日弁連=日本弁護士連合会は「法制度の不備がえん罪被害を救済する妨げになっている」として、再審手続きに関する法律を速やかに改正するよう求めています。
先月公表した意見書では、
▼再審の手続きでも通常の裁判と同じように裁判所が検察に対して証拠の一覧表を提出するよう命じられるようにするほか、
▼手続きが長期化しないよう、裁判所が再審を認めた場合には検察による不服の申し立てを禁止すべきだとしています。
ボクシング界の支援団体「感無量のひと言」
元プロボクサーの袴田巌さんに対して、ボクシング界は支援団体を設立して拘置所で袴田さんに面会したり、再審を求めるデモを行ったりするなど、長年にわたって活動してきました。再審を認める決定について、支援団体の中心メンバーで元東洋太平洋バンタム級チャンピオンの新田渉世さんは、「感無量のひと言だ。ほかの支援者や弁護団の活動のたまものだが、ボクシング界でも精いっぱい支援してきたのでうれしい。まだ確定ではないが、ボクシング界の大先輩である袴田さんに勝利の見込みが出てきたので、おめでとうと伝えたい」と喜びを話しました。その上で、「検察には特別抗告をしないように求めていきたい」と話していました。
再審開始決定のポイント
東京高等裁判所は、9年前に静岡地方裁判所が出した再審開始の決定に「誤りはない」として改めて再審開始を認めました。決定のポイントです。
【最大の争点は「5点の衣類」血痕はなぜ赤かったのか】
最大の争点は、死刑判決の決め手となった
「5点の衣類」についた血痕の色の変化です。「5点の衣類」は事件から1年2か月後、裁判も始まっていた時期に現場近くのみそタンクから見つかり、衣類についた血痕の色は当時の捜査資料に「濃い赤色」などと記され、赤みが残っていたとされます。
過去の死刑判決では、
衣類は袴田さんが犯行当時着ていてその後隠したものだと認定されましたが、弁護側は「1年以上みそにつかっていたら血痕は黒く変色するはずで、赤みがあるのは袴田さんが逮捕された後、発見される直前に誰かが入れたものだからだ」と主張。血痕のついた布をみそに長期間つける実験結果の報告書や「血液がみその成分に1年2か月さらされると化学反応が進み、赤みを失う」とする専門家の鑑定書を提出しました。
決定はこれらの証拠を丹念に分析し「弁護側の専門家の見解は化学的に十分信用することができる」として赤みは失われるはずだと判断。「実験の報告書などの『新証拠』が、過去の裁判で出されていたら袴田さんは有罪にはなっていなかった」と指摘しました。
一方、高裁の審理では検察も血痕がついた布をみそに漬ける実験を行い「一部には赤みがみられ、赤みが残る可能性を十分に示すことができた」と主張していました。これについて決定は「検察が提出した実験結果の写真は、被写体の赤みが増すとされる白熱電球の下で撮影された」と指摘したうえで、実際に裁判官が肉眼で確認した実験の様子なども踏まえ「赤みが残ったと認めるのは困難だ」と一蹴しました。
さらに「検察の実験はみそタンクよりも赤みが残りやすい条件で行われたにもかかわらず、赤みが残らない結果が出た。弁護側の専門家の見解をかえって裏付けるものだ」と述べました。そして
「5点の衣類」について「事件から相当な時間がたった後袴田さん以外の第三者がみそタンクに隠した可能性が否定できず、袴田さんを犯人と認定することはできない」と結論づけました。
【“ねつ造”の疑いを指摘】
では、誰が
「5点の衣類」をみそタンクに入れたのか。決定は「第三者」について「事実上、捜査機関の者による可能性が極めて高い」とする厳しい見方を示しました。
9年前に静岡地方裁判所が再審開始を決定したときも
「5点の衣類」について「長期間、みその中に隠されていたにしては、血痕の赤みが強すぎて不自然だ」として「重要な証拠が捜査機関によりねつ造された疑いがある」と批判していました。
【今後の焦点は検察の対応】
9年ぶりに開いた再審の扉。今後は検察が13日の決定の取り消しを求めて、最高裁判所に特別抗告するかが焦点となります。特別抗告した場合、再審を認めるかどうかの判断は最高裁に委ねられ、さらに時間がかかります。
日弁連などは再審開始決定が出されても検察が繰り返し抗告できる今の法制度に課題があると訴えています。死刑判決が誤っていた可能性を示唆した13日の決定は、再審をめぐる法制度や捜査機関の問題点も浮き彫りにしたといえます。
2023.03.02-NHK NEWS WEB-https://www3.nhk.or.jp/news/html/20230302/k10013996071000.html
“リニア談合事件”2審も建設元幹部と法人に有罪判決 東京高裁
リニア中央新幹線の工事で談合をした罪に問われ、
無罪を主張していた大成建設と鹿島建設の元幹部2人と、法人としての2社に対し、東京高等裁判所は1審に続いて有罪判決を言い渡しました。
大成建設の元常務執行役員、A被告(72)と鹿島建設の元専任部長、B被告(65)、それに、法人としての大成建設と鹿島建設は、2014年から、翌年にかけて、JR東海が発注したリニア中央新幹線の駅の工事の入札で、事前に受注業者を決めるなど談合をしたとして、
独占禁止法違反の罪に問われました。
裁判で、元幹部や法人は「JR東海が事前に受注業者を決めていた」などとして、談合した事実はないと無罪を主張していました。
2日の、2審の判決で、東京高等裁判所の石井俊和裁判長は「JR東海は、一貫して競争原理の導入によるコストダウンを追求していて、当初から受注業者を決めていたわけではない」と指摘し、被告側の主張を退けました。
そのうえで、「見積価格だけでなく、内訳まで連絡し、条件が変更されたあとも、各段階で価格連携を行うなど、各社の事業活動を相互に強く拘束し、公正で自由な競争を大きく害した」などとして、1審に続いて、・・・
▽元幹部2人に、懲役1年6か月、執行猶予3年、・・・
▽法人2社に、罰金2億5000万円の、
有罪を言い渡しました。
この事件で公正取引委員会に不正を自主申告した「大林組」と「清水建設」は、それぞれ罰金2億円と罰金1億8000万円の判決が確定しています。
2023.03.01-産経新聞-https://www.sankei.com/article/20230301-O7A7CTYGMJPQDMTHJY4K4IOJ3U/
日の丸バッジ、法廷着用禁止は「違法」と提訴 メッセージ性理由に裁判長が外すよう指示
大阪高裁の法廷で、裁判長が「日の丸バッジ」の着用を禁じたのは権限の乱用だとして、
男性3人が国に対し、計330万円の損害賠償を求める訴訟を大阪地裁に起こしていたことが1日、分かった。同日、第1回口頭弁論が開かれ、国側は争う姿勢を示した。
訴状によると、
原告は令和3年4月、高裁での民事訴訟を傍聴しようとした際、書記官から服の胸元に着けていた日の丸バッジを外すよう指示された。
指示の趣旨を確認したところ、
裁判長から「メッセージ性があるバッジにあたるため、外さないと傍聴を許さない」との命令が出ているという回答だった。同年11月の判決まで着用は認められなかったという。
原告側は「日本を象徴する日の丸に敬意を示し、バッジを着用していた」と、
法廷の秩序を害する恐れはないと主張。平成11年に国旗国歌法が成立していることに加え、公共施設で日の丸を掲揚することも一般的であることを踏まえ、「裁判長の命令は思想信条の自由を侵害する不当な行為で、権限の逸脱、乱用だ」としている。
原告3人が傍聴しようとした民事訴訟は、在日韓国人女性が職場で民族差別表現を含む資料を配られたとして、勤務先のフジ住宅(大阪府岸和田市)に損害賠償を求めた訴訟の控訴審。この訴訟ではフジ住宅への賠償命令が確定している。
フジ住宅の訴訟を巡っては、1審大阪地裁堺支部で審理中、同じく
「メッセージ性があるバッジ」を理由に、
北朝鮮による拉致被害者の救出を願う「ブルーリボンバッジ」の着用が禁止され、国に損害賠償を求める訴訟が別に起こされている。
フジ住宅訴訟の1審段階では、日の丸バッジの着用に関しては指摘されていなかったという。
2023.03.01-Yahoo!Japanニュース(日テレNEWS)-https://news.yahoo.co.jp/articles/8f69ac05cc9a4e2f0d569304d870fd12dbd08b43
4630万円“振り込みミス”事件 男に有罪判決…弁護人は即日控訴
山口県阿武町の4630万円の振り込みミスに端を発した事件の裁判で、
25歳の男に執行猶予付きの有罪判決が言い渡されました。
判決を受けたのは田口翔被告(25)です。この事件は去年4月、阿武町が新型コロナ対策の給付金4630万円を誤って田口被告の口座に振り込み、その後、田口被告が別の口座に振り替え、不法の利益を得たとして「
電子計算機使用詐欺の罪」に問われていたものです。
判決公判で山口地裁は、
田口被告が自身に無関係な振り込みだと認識していた点に触れ「振り込み依頼が許されないにもかかわらず、振り込み依頼する旨の虚偽の情報を与えた」などとし、懲役3年、執行猶予5年の
有罪判決を言い渡しました。
田口被告の弁護人は判決を不服として即日控訴しました。