裁判-法律問題-1


2024.11.21-産経新聞-https://www.sankei.com/article/20241121-TRDM2FKGIVOPJEND2UFCDQZ3FU/
「かわいそうな木村さん」首相襲撃被告に検事が人格否定発言か 取り調べ問題相次ぐ

  和歌山市の漁港で令和5年4月、岸田文雄前首相の演説会場に爆発物が投げ込まれた事件で、殺人未遂罪などで起訴された無職、A被告(25)の取り調べ中に和歌山地検の検事が人格を否定するような発言をしたとして、弁護人が最高検などに抗議していたことが21日分かった。

  弁護人によると、検事は逮捕後の取り調べで、被告が引きこもりの生活をしていたことを指摘し「かわいそうな木村さん」などと発言した。
  同年5月中旬、被告から「侮辱するような不適切な言動が複数あった」との申告があった。弁護人は口頭で和歌山地検に抗議するとともに、最高検監察指導部にも苦情を申し入れたという。
  起訴状によると、被告は5年4月15日、和歌山市の雑賀崎漁港で、選挙応援に訪れた岸田氏らを殺害する目的で手製の爆発物を演説会場に投げて爆発させ、近くにいた警察官や聴衆の2人に軽傷を負わせたなどとしている。事件の裁判員裁判は来年2月4日から和歌山地裁で開かれる予定。
  検察の取り調べを巡っては、令和元年参院選広島選挙区の買収事件を巡り、最高検が昨年12月、取り調べが不適正だったとする調査結果を公表大阪地検特捜部が逮捕・起訴したものの元不動産会社社長が無罪になった問題でも、関係者を取り調べた検事が特別公務員暴行陵虐罪で刑事裁判にかけられるなど、問題が相次いでいる。


2024.11.18-産経新聞-https://www.sankei.com/article/20241118-UJV4IHQD7NPUXCZG3Q4CIK7ZMY/
自転車で信号無視の10歳児が車と衝突 「過失割合100%」 保護者に賠償リスク
(弓場珠希)

  10歳児童が運転する自転車と乗用車の衝突事故で、過失割合は自転車が100%-。修理費用を巡る訴訟で、こんな判決が下された。幼児からお年寄りまで、幅広い年齢層に利用される自転車だが、道路交通法上はれっきとした「車」。今月1日施行の改正法では16歳以上の違反運転に厳罰が科されるようになった。最も身近な交通手段ともいえる自転車の運転マナー向上につながるか

3つのポイント
  事故現場は信号機のある交差点。男性が運転する乗用車の対面信号は青を示していた。向かって左側に塀があり、見通しは悪い。男性はアクセルペダルを踏まず、徐行して進入。すると左側から赤信号を無視した10歳児の自転車が飛び出してきて、車とぶつかった。車はほぼ停止状態だったため、児童にけがはなかった。
  乗用車の運転手は児童側に修理費用を求めて提訴。大阪簡裁は「本件事故の原因は児童にある」との判断を示し、児童側の過失を認定した。
  判決のポイントは3つ。1つ目は乗用車側が交差点の手前で速度を落とし、徐行していた点。
  2つ目はドライブレコーダーの映像から認定した児童側の運転の状況だ。自転車は歩道上を徐行せずに走行し、児童は前方の信号が赤であることを確認しなかった。
  3つ目は、車側の事故の予見可能性。この点について裁判所は、現場が見通しの悪い交差点で、赤信号を無視して自転車が飛び出してくることを予見できるとはいえないと指摘した。
  児童側は判決を不服として控訴したが、大阪地裁で行われた控訴審でも「児童と男性の過失割合は100対0」と認定された。児童側は上告している。
「まず家庭内で教育を」
  11月1日に施行された改正道交法では、16歳以上による自転車の「ながら運転」の罰則が強化され、酒気帯び運転に対する罰則が新設された。ながら運転で事故を起こすなど交通の危険を生じさせた場合は、1年以下の懲役か30万円以下の罰金。酒気帯び運転は3年以下の懲役か50万円以下の罰金とした。
  こうした罰則強化の背景には、自転車が絡む交通事故の増加がある。警察庁の統計によると、令和5年に発生した自転車関連の事故は7万2339件で、前年より2千件以上増えた。
  自転車の事故に詳しい大阪弁護士会の杉田章弁護士は「自転車が加害側となる交通事故が認知され始めた」とし、厳罰化が事故抑止につながると評価する。
  一方、今回の訴訟で加害側とされた10歳児のような、処罰対象とならない年齢層でもマナー向上は必須。だが免許制度のない自転車では、利用者への周知の機会がどうしても限られる。杉田弁護士は「まずは親世代への呼びかけを進め、家庭内での教育を促す必要がある」と話した。
(弓場珠希)


2024.11.12-産経新聞-https://www.sankei.com/article/20241112-2UE5FVEWWVKTBHMWZG47XXHZHI/
194キロ死亡事故「加速感楽しんでいた」 裁判員裁判で男性被告

  大分市の一般道で令和3年、時速約194キロで乗用車を運転し右折車と衝突、男性会社員=当時(50)=を死亡させたとして、自動車運転処罰法違反(危険運転致死)罪に問われた男性被告(23)12日、大分地裁の裁判員裁判の被告人質問で、スピードを出す理由を「エンジンやマフラー音、加速する感覚を楽しんでいた」と述べた。

  被告は死亡事故を起こすまで、高速道路で時速200~210キロ、事故現場の県道で170~180キロ出した経験があると説明。弁護側からの質問に、事故時は「150キロくらい出ている感覚だった」と供述した。
  一方、供述調書には、事故直前に感覚では200キロ近く出ていたと述べていたことを検察側から問われると「覚えていない」と答えた。


2024.10.30-産経新聞-https://www.sankei.com/article/20241030-SB4LU6JBHFLGDN7L2K2IVQPQZU/
「見えないナイフで心刺された」女性競輪選手、先輩選手からの性被害訴え損賠提訴

  競輪の男性選手から性的関係を強要されるなどの性被害を受け、心的外傷後ストレス障害(PTSD)や躁鬱の症状を生じたなどとして、女性競輪選手が30日、男性や一般社団法人「日本競輪選手会」、競輪を統括する公益財団法人「JKA」を相手取り、計約2100万円の損害賠償を求める訴訟を神戸地裁に起こした。

  女性側は昨年1月、選手会に被害を相談したが、選手会は「裁判で白黒をつけてからの話」と判断を回避。女性側は今年9月に再調査を求めたが、今月11日、「同意がなかったとはいえない」として男性の不処分を女性側に通知していた女性は選手会に退会届を出したが、受理されていないという。
  訴状によると、女性は選手会の兵庫支部に所属していた令和3年10月31日、宴席で当時40代の男性選手から繰り返し卑猥な発言をされキスをされたほか、その後ホテルに連れ込まれ、性的関係を強要された上、口外しないよう脅されるなどした女性は心身に不調が生じてレースを欠場するなどし、PTSD、躁鬱、睡眠障害などの診断を受けたという。
  女性側は訴えで、同支部には「有名・有力選手による支配的関係が存在している」とし、パワーハラスメントやセクシュアルハラスメントが横行していたと指摘。「ハラスメント行為によって(選手としての)未来を絶たれたという無念さ、精神的苦痛は筆舌に尽くしがたい」と主張した。
  選手会やJKAに対しては、ハラスメントの事実把握や防止に向けた取り組みを怠った結果、性被害が起きたと訴えた。
  女性選手は提訴後に神戸市内で記者会見し「見えないナイフで心が刺されているくらい苦しい」と心情を吐露。「提訴することで泣き寝入りしている方の背中を押せると思った」と話した。

選手会は「誠実に対応してきた。訴状が届いておらずコメントは差し控える」とし、JKAも「訴状が届いていない」とした。


2024.09.30-産経新聞-https://www.sankei.com/article/20240930-C7UZIGMY5BPDJFYAEIHAUKRW6U/
「頂き女子りりちゃん」2審は懲役8年6月 名古屋高裁、恋愛詐欺マニュアル販売

  「頂き女子りりちゃん」を名乗って恋愛詐欺のマニュアルを販売し、自身も男性の好意につけ込み計約1億5500万円をだまし取ったとして、詐欺罪などに問われたA被告(26)の控訴審で、名古屋高裁(田辺三保子裁判長)は30日、懲役9年、罰金800万円とした1審名古屋地裁判決を破棄し、懲役8年6月、罰金800万円を言い渡した

  地裁判決によると、令和3~5年、男性3人から計約1億5500万円を詐取。別の女=詐欺罪で有罪確定=にマニュアルを販売した詐欺幇助罪や、だまし取った金を隠して脱税した所得税法違反の罪も認定された。


2024.09.25-産経新聞-https://www.sankei.com/article/20240925-ZEGNQIS6FZMQVHHGDWN62AEABA/
「ルフィ」広域強盗事件で26歳男に懲役9年 多額の金品奪い悪質と東京地裁立川支部

  「ルフィ」と名乗る男らが指示したとされる広域強盗事件のうち、東京都稲城市の住宅で現金約3500万円を奪ったとして、強盗致傷などの罪に問われた無職、N被告(26)の裁判員裁判で、東京地裁立川支部は25日、懲役9年(求刑懲役13年)の判決を言い渡した。

  中島経太裁判長は「高額の報酬欲しさから闇バイトを探して事件に加わった」と指摘。交流サイト(SNS)で集められた被告らが指示役に従って多額の金品を奪っており、悪質だと述べた
  判決によると、2022年10月20日、他の男らと共謀し、稲城市の住宅に侵入して3人に暴行を加え、現金や金塊を奪った。また同年11月7日、山口県岩国市の住宅に押し入って金品を奪おうとしたが、住人が抵抗したため未遂に終わった。


2024.09.24-産経新聞-https://www.sankei.com/article/20240924-FTIC33CC45IM5JRWOJZTNYUYIE/
歯ブラシやコップから覚醒剤反応、警察官証言 紀州のドン・ファン公判

  「紀州のドン・ファン」と呼ばれた和歌山県田辺市の資産家、野崎幸助さん=当時(77)=に対する殺人罪などに問われた元妻、B被告(28)の裁判員裁判の第5回公判が24日、和歌山地裁(福島恵子裁判長)で開かれた。捜査に携わった和歌山県警の警察官への証人尋問が行われ、野崎さんの歯ブラシやコップなどから覚醒剤の陽性反応があったことを明かした

  野崎さんの死因は、致死量の覚醒剤を摂取したことによる急性覚醒剤中毒。平成30年5月24日夕以降に口から覚醒剤を摂取したとされる。
  警察官の証言によると、野崎さん宅を調べた結果、1階の掃除機2つのヘッド部分に加え、2階の洗面台にあった野崎さんの歯ブラシやコップなどから覚醒剤の陽性反応があった翌年7月に被告の所持品を調べたところ、サングラスや靴、上着などからも陽性反応があったという。
  また、野崎さんや家政婦、経営する会社の従業員らの携帯電話を解析したものの、覚醒剤の入手をうかがわせる記録は見つからなかった。検察側の冒頭陳述で、被告は密売サイトで覚醒剤を注文していたと指摘されている
  被告は「私は社長を殺していませんし、覚醒剤を摂取させたこともありません」無罪を主張している。


2024.09.12-産経新聞-https://www.sankei.com/article/20240912-QF4UOLERQVLXZKBEVWWJVKQVOA/
紀州のドン・ファン元妻、きょう殺人罪の初公判 B被告は何を語る

  「紀州のドン・ファン」と呼ばれた和歌山県田辺市の資産家、野崎幸助さん=当時(77)=を殺害したとして、殺人罪などに問われた元妻B被告(28)の裁判員裁判が12日午前10時40分から和歌山地裁で始まる。関係者によると、弁護側は起訴内容を全面的に争い無罪を主張する方針。被告が法廷で何を語るのかが注目される。・・・酒類販売業や不動産業などを興して一代で財を成した野崎さんは平成30年5月24日、自宅で急性覚醒剤中毒で死亡した。同年2月、50歳以上も離れた被告と結婚したばかりだった

50歳以上離れた「年の差婚」
  捜査関係者によると、被告のスマートフォンを解析した結果、「覚醒剤」「殺人」などの検索履歴が見つかったほか、任意捜査の段階では「(野崎さんが2階で倒れているのを見つけるまで)2階に上がっていない」と説明していたのに、健康管理アプリに2階と1階を行き来することを示すデータがあったことが判明した。
  また覚醒剤摂取は夕食前後と推定されるが、この間に野崎さんと被告が2人きりだったことを防犯カメラなどで確認。事件前に被告が覚醒剤の密売人と接触した形跡もあった、としている。
間接証拠積み上げ
  直接証拠は乏しいとされ、検察側はこうした間接証拠を積み上げることで被告以外に犯人はいないと主張し、対する弁護側は被告の犯人性を示す証拠にはならないと訴えるとみられる。
  公判は予備日を含めて25回の審理日程が組まれ、12月12日に判決が言い渡される予定。
  被告は今月2日、野崎さんとの結婚前に、勤務していた札幌市内のキャバクラで出会った別の男性から現金約2980万円をだまし取ったとする詐欺の罪で、和歌山地裁で懲役3年6月の有罪判決を受けた。
遺産は13億円
  野崎さんの遺産は約13億円といわれる。妻だった被告には遺産の相続権があるが、殺人罪などで刑に処せられた場合は欠格事由に該当し、相続人となることができない。
  起訴状によると、30年5月24日、殺意を持って何らかの方法で野崎さんに致死量の覚醒剤を摂取させ、急性覚醒剤中毒により死亡させたとされる。

和歌山資産家殺害事件
  和歌山県田辺市の資産家で酒類販売会社の社長だった野崎幸助さんが平成30年5月24日、自宅で死亡した。和歌山県警は令和3年4月、殺人などの疑いで元妻、B被告を逮捕し、和歌山地検が同5月に起訴した。同6月に別の男性から現金をだまし取ったとする詐欺罪で追起訴。野崎さんは生前、女性関係や半生を本に著し、欧州の伝説上の色男になぞらえ「紀州のドン・ファン」と呼ばれてテレビや週刊誌で話題となった。


2024.09.02-産経新聞-https://www.sankei.com/article/20240902-HWEPVUE6Q5OATMBNASOF4QE774/
「体目当て」主張は「無罪の根拠にならない」と一蹴 紀州のドン・ファン元妻に詐欺で実刑

  「紀州のドン・ファン」と呼ばれた和歌山県田辺市の資産家、野崎幸助さん=当時(77)=に対する殺人罪などで起訴された元妻のB被告(28)が、別の男性=当時(61)=から現金計約2980万円をだまし取ったとして詐欺罪に問われた事件で、B被告を懲役3年6月とした2日の和歌山地裁判決は、被告側の主張を全面的に退けた

  この日もこれまでの公判と同じく、黒いノースリーブのワンピースにマスク姿で出廷した被告。腰に届くくらいの長い髪を肩にかけながら証言台に座り、福島恵子裁判長が実刑の判決主文を読み上げると、被告は少し身じろぎして座り直し、判決理由にじっと耳を傾けた。
  被告側は海外留学など噓の名目で金を受け取ったことは認めており、男性が噓を信じてだまされていたか否かが争点だった。被告は受け取った金を旅行やブランド品の購入に充てていた。
  男性は証人尋問で「噓だと分かっていたら金を払わなかった」と証言。一方で弁護側は、男性は噓にだまされたのではなく、被告の体目当てで願いに応えていたと主張し、「詐欺罪は成立しない」と訴えていた。
  判決理由で福島裁判長は、男性の証言は留学を応援するメールを送っていたことなど客観的な証拠と整合し、「信用できる」と指摘。「(被告に)性的な行為を要求したことはない」といった男性の法廷証言に虚偽があり、実際には性的な意図があったとしても「(被告の名目が)噓だと分かっていたことの根拠にはならない」とした。
  その上で「(男性には)若い好みの女性の歓心を得たいという気持ちがあったと考えられるが、そうした感情を利用して大金をだまし取る違法性を軽く見ることはできない」と指摘。ただ量刑を決める際には、被告が当時は未成年の19歳だったことも考慮した。


2024.08.30-産経新聞-https://www.sankei.com/article/20240830-QQAL3OXJWRNOJIWJQADBTSH3YQ/
木村花さん中傷、投稿画像捏造による母親への「逆提訴」退ける 大阪地裁

  プロレスラーの木村花さん=当時(22)=が交流サイト(SNS)で誹謗(ひぼう)中傷を受け自殺した問題で、母親から偽画像に基づいて不当に「投稿者」と特定されたとして、女性ら一家4人が母親らに計880万円の損害賠償を求めた訴訟の判決が30日、大阪地裁であり、山本拓裁判長は、女性らの請求を棄却した。

  訴訟では当初、母親側が女性らを中傷の「投稿者」だとして約300万円の損害賠償を求めて提訴したが、訴訟の中で母親側が中傷の証拠としたツイッター(現X)の投稿画像が第三者に捏造(ねつぞう)されたものだったことが判明。女性らが不当な訴訟を起こされたとして、「逆提訴」していた。この日の判決では母親側の請求も棄却された。
  訴訟記録によると、母親は花さんの死後に、ツイッターの投稿画面とされた画像を入手。「息してるー? ってもう遅いかWWW」などと記されており、ツイッター社に発信者情報の開示を求める訴訟を起こした上で、投稿者を特定したとして女性らを提訴した。
  しかし、女性らは「投稿しておらず、画像は捏造」と反論。画像には投稿日時などが記載されておらず、「捏造であることは容易に知りえた」と指摘した上で、「家族間で投稿の有無の確認を余儀なくされて信頼関係や絆を破壊された」と訴えていた。
  母親側は和解を打診したが、条件で折り合わなかった。花さんはテレビ番組出演をきっかけに誹謗中傷され、令和2年5月に自殺。母親の響子さん(47)が刑事・民事で投稿者らの責任を追及し、侮辱罪での略式命令や賠償命令が出たケースもある。


2024.07.03-産経新聞-https://www.sankei.com/article/20240703-VZJAMAZQAZMVVF4E2GJ5HDILEI/
「これで安心」原告の92歳男性が亡き妻に手話で報告、旧優生保護法訴訟 最高裁違憲判決
(橘川玲奈)

  旧優生保護法下で障害などを理由に国が強制した不妊手術を巡る訴訟最高裁大法廷(裁判長・戸倉三郎長官)が3日、旧法を違憲とし、国の賠償責任を認める統一判断を初めて示した旧法制定から70年あまり。判決により被害者の全面救済への道が開かれたが、長すぎる歳月により、この世を去った当事者もいる。原告らには喜びとともに、やるせなさも交錯する

「妻も天国から喜んでいると思います」
  判決後、手話でそう話した原告の一人の小林宝二(たかじ)さん(92)=兵庫県明石市=の傍らには、89歳で亡くなった妻の喜美子さんの遺影があった。この日の最高裁判決を迎えることなく、令和4年6月に亡くなった。
  ともに聴覚障害を抱え、一緒に提訴に踏み切った妻。「この判決を待っていました」。宝二さんは判決後、手話で喜美子さんの思いを代弁した。
「赤ちゃん、だめ」
  兵庫県出身の2人は知人の紹介で知り合い、昭和35年に結婚した。間もなく、喜美子さんの妊娠が分かった。
  「男の子かな、女の子かな」「どちらでもいいな」。職場で障害者差別を受けていたという宝二さんにとって、妻の妊娠は「跳び上がるほどうれしかった」。だがある日、宝二さんが仕事から自宅に帰ると、喜美子さんの姿はなかった。10日ほどして戻った喜美子さんは、泣いていた。 「赤ちゃん、捨てた」。喜美子さんは多くを語らなかったが、腹には大きな傷痕があった。
  宝二さんの母は喜美子さんの妊娠を喜んでおらず、母親が中絶手術をさせたと思った。激怒し、身ぶりで問いただすと、母親は「赤ちゃん、だめ」と答えるばかり。宝二さんは「あんたたちは耳が聞こえないから、子供なんて育てられない」と言われているように感じたという。 
  夫妻はその後も子供を望んだ。「子供がいたら、とてもかわいがるのに」と話したこともある。だが、子宝に恵まれないまま、長い歳月だけが過ぎていった。
「元に戻して」
  喜美子さんが受けた手術が中絶手術ではなく、旧優生保護法に基づく不妊手術と分かったのは、手術から約60年後の平成30年だった。全日本ろうあ連盟の調査を通じ、初めて旧法を知った。
  「私たちは皆、だまされていた。取り返しのつかないことがされてしまった」と宝二さん。  2人の夢は永遠にかなわなくなった。兵庫県の他の障害者とともに同年、2人は神戸地裁に提訴した。
  「私の体を元に戻してください」。喜美子さんは繰り返し訴えたが、令和3年8月、神戸地裁は旧法が違憲とは認めたものの、賠償請求は棄却。喜美子さんが亡くなったのは、その翌年だ。
  辛酸をなめてきた宝二さんを含め、全面救済される道を開いた最高裁判決だが、提訴後、今回の判決を迎えるまでに亡くなった原告は他にもいる
  国に対応を引き延ばされ「苦しみは長くなった」と振り返る宝二さん。「今日で闘いを終わりにしたい。これで安心できます」と手話を交えながら、遺影を慈しむように見つめた。(橘川玲奈)


2024.07.03-産経新聞-https://www.sankei.com/article/20240703-C5MONLQDYJJUBKKQAZ5ELQ2E6U/
国に賠償命令、除斥期間適用せず 旧優生保護法で最高裁大法廷判決

  旧優生保護法下で障害などを理由に不妊手術を強制されたのは憲法違反だとして、各地の被害者らが国に損害賠償を求めた5件の訴訟の上告審判決で、最高裁大法廷(裁判長・戸倉三郎長官)は3日、国の上告を棄却した。国の賠償責任を認める判断が確定した。

  原告はいずれも手術から20年以上が経過しているが、不法行為から20年で損害賠償請求権が消滅すると定める民法(当時)の「除斥期間」を適用しない判断を示した。
  旧法での強制不妊手術を巡っては平成30年以降、39人が全国12地裁・支部で訴訟を起こした。
  大法廷が審理したのは先行の5訴訟。いずれも高裁段階で旧法を「違憲」と判断し、4件が国に賠償を命じた。この中でも、除斥期間の適用を制限する範囲については判断が分かれていた
  被告の国側は、除斥期間の例外を広く認めれば「法秩序を著しく不安定にする」と指摘。原告らには例外を認める「特段の事情」はなく、賠償請求権はすでに消滅していると主張していた。
  原告側は「被害から20年たったというだけで、責任を負わないことが許されていいのか」として、除斥期間を適用しないよう求めていた。
旧優生保護法
  昭和23年に「不良な子孫の出生を防止する」との目的で制定された。障害などのある人に対し、本人の同意がなくても都道府県の審査会が決定すれば不妊手術や人工妊娠中絶手術を認めた
  平成8年に差別に当たる条文が削除され、母体保護法に改称。国の統計によると、不妊手術をされたのは約2万5千人このうち約1万6千人は本人の同意がなかった
  31年4月、1人当たり320万円を支給する一時金支給法が議員立法により成立。今年3月には、一時金の請求期限を5年延長する改正法が成立した。


2024.06.04-産経新聞-https://www.sankei.com/article/20240604-IBTQE3PTVJITJJQTEFPDMIFDRU/
新潟女性殺害で東京高検が上告断念「理由見いだせず」死刑求刑も無期判決 被告側は上告

  新潟県新発田市で2014年、女性会社員=当時(20)=にわいせつ行為をした上で殺害したとして殺人などの罪に問われ、一審に続き東京高裁判決が無期懲役としたA被告(41)について、東京高検は4日、「理由を見いだせなかった」として上告を断念したと明らかにした検察側は死刑を求刑していた。被告側は5月に判決を不服として上告している。

  東京高裁判決によると、14年1月、新発田市内で面識のない女性会社員の車に乗り込み、わいせつな行為をして約1週間のけがを負わせ、何らかの方法で殺害した。
  被告は別事件で4人の女性に性的暴行を加え、うち1人を死亡させたとして強姦致死罪などで無期懲役が確定している。


2024.06.04-産経新聞-https://www.sankei.com/article/20240604-2MNNNMUAIJPYPAGGJDKWX2MD7E/
スポーツカー時速120キロ走行で衝突 女児死亡させた医師に執行猶予付きの有罪判決

  スポーツカーで交差点を時速約120キロで走行し、衝突した軽乗用車に乗っていた9歳女児を死亡させたなどとして、自動車運転処罰法違反(過失致死傷)の罪に問われた医師、A被告(37)に広島地裁福山支部(松本英男裁判官)4日、禁錮3年、執行猶予5年(求刑禁錮3年)の判決を言い渡した

  広島県警福山東署は被告を同法違反の危険運転致死傷容疑で書類送検したが、検察側は当時の道路状況などから危険運転罪を適用しなかった
  起訴状などによると、令和4年6月、広島県福山市の制限速度50キロの市道交差点で、時速約120キロで運転していた被告のスポーツカーが、反対車線から右折しようとした軽乗用車に衝突し、女児を死亡させたなどとしている。


2024.05.28-産経新聞-https://www.sankei.com/article/20240528-X3XRQ6SHY5M75FAYCMZBWWSU74/
「キャバクラは嘘ありき、分かるでしょ?」紀州のドン・ファン元妻 被告人質問詳報

  「紀州のドン・ファン」と呼ばれた和歌山県田辺市の資産家、野崎幸助さん=当時(77)=に対する殺人罪などで起訴された元妻のB被告(28)が、別の男性=当時(61)=から現金計約2980万円をだまし取ったとして詐欺罪に問われた事件で、27日に開かれた第3回公判では被告人質問が行われた。B被告は、男性が被告の噓を信じてだまされたという検察の主張に対し、「噓は突っ込みどころ満載で、元銀行員の男性をだませる自信はない。体目当てで金を払うのは愛人関係でよくあること」と真っ向から反論した。

  検察側の冒頭陳述などによると、2人は平成26年秋、被告が美容専門学校に通いながら勤務していたキャバクラで知り合った。被告は「美容師になりたい。学費のために働いている」と伝えた。
  被告によると、2人はほどなく「愛人のような関係」に発展。男性が学費などを負担する約束でキャバクラを辞めたといい、「月20万円のお手当と、週に1回くらいカラオケで会うたびに10万円のお小遣いをもらうようになった。会うときには体を触られた」と話す。
  「お手当」はその後、35万円まで増え、賃貸タワーマンションも契約してもらい、「孫」として住んでいた。 しかし、被告はこれに飽き足らず、「美容関係の会社社長に認められ、海外留学できる」として準備金などの名目で約1500万円、「学校で出場したコンテストでモデルの髪を傷めた」として慰謝料などの名目で約1175万円を男性に求め、支払ってもらう。今回、詐欺として立件された内容の一部だ。
  金が入れば旅行やブランド品の購入に費やしたというが、金に困っていたわけではない。「男性は資産が何億もあるお金持ち。1千万円くらいは大したことないだろう」と考えており、被告にとって男性は、求めれば求めるだけ金をくれるような存在だった。海外留学の準備をしていたことやモデルとトラブルがあったこと自体は事実だが、話を大幅に誇張したといい、求める金額は「適当に決めた」という。
  気前よく金をくれるならなぜ噓をつく必要があったのか-。検察側から問われ、被告が指摘したのは夜の世界における「暗黙の了解」と男性の性格だった。
  「露骨に金だけを求められるのを嫌がる。キャバクラは噓ありきの世界。夢を見たい、疑似恋愛を楽しみたいタイプと思っていた」男性は約1500万円という高額な振り込みについても、資料などを確認することはなかったといい、「バレバレの噓に話を合わせてくれたはずだ」と訴えた。
  一方、今月17日に行われた証人尋問で、男性は「噓だと分かっていたら金を払わなかった」と強調。「(被告に対し)性的な行為を要求したことはない」と反論した。
  被告はこれに対し「男性が噓をついている」と強調。「男性が払った金には、私の体を触る対価と口止め料が含まれている。オレオレ詐欺のように善良な市民から金をだまし取ったわけではない」と憤りを見せ、こう言い放った。
  「裁判が始まるまでは噓を反省し、金は返そうと思っていたけれど、今はそういう気持ちも薄れました」
  被告は、30年5月24日に殺意を持って致死量の覚醒剤を野崎さんに摂取させて殺害したとする殺人罪などでも起訴されている。被告と野崎さんは同年2月に結婚したばかりだった。この殺人事件の裁判が始まる見通しは立っていない

  27日の被告人質問の主なやりとりは以下の通り。・・・弁護人「お手当は当初20万円。なぜ35万円までアップしたのか」・・・被告「体の触られ方がエスカレートしたから」・・・弁護人「一番ひどかったのは」・・・被告「(留学名目の)1500万円が振り込まれた後」・・・弁護人「お手当がその後下がったのは」・・・被告「抵抗したから。でもそれからも、お手当がゼロにならないように、先があるように期待させていた」

  検察官「なぜ金が欲しかったのか。例えば旅行の予約に必要だったのでは」・・・被告「いえ。海外旅行はお金が入ってから『行きたいな』と」・・・検察官「留学名目の1500万円は何に使った」・・・被告「海外旅行や国内旅行、ブランド品」・・・検察官「なぜ噓をついたのか。『ちょうだい』では駄目なのか」・・・被告「男性は露骨に言われるのを『つまらない』と嫌がっていた。噓ありきで疑似恋愛を楽しみたいタイプ」・・・検察官「男性が噓だと分かっていると思う根拠は」・・・被告「私の噓は事実に話を盛ったもの。1500万円という金額は突っ込みどころ満載で、『分かるでしょ?』という感じ」・・・検察官「詐欺ではないと思っているのか」・・・被告「愛人関係ではよくあることじゃないかな。全面的に信じて支払ったら詐欺ですけど、男性には体を触るのと口止めの目的があった」


2024.05.27-産経新聞-https://www.sankei.com/article/20240527-TJMBQBRS6RN2BDT4Q6B5BSSLSQ/
3千万円は「夢の応援」か下心か 紀州のドン・ファン元妻、B被告 被告人質問へ

  「紀州のドン・ファン」と呼ばれた和歌山県田辺市の資産家、野崎幸助さん=当時(77)=に対する殺人罪などで起訴された元妻のB被告(28)が、別の男性=当時(61)=から現金計約2980万円をだまし取ったとして詐欺罪に問われた事件の第3回公判が27日、和歌山地裁(福島恵子裁判長)で開かれる。午前11時に開廷し、被告人質問が行われる予定。被告側は詐欺罪の成立を争っており、本人が何を語るか注目される。

  起訴状によると、平成27年3月~28年1月、3回にわたり札幌市の男性から海外留学の準備金名目などで約2980万円を詐取したとされる。
  今月10日の初公判で被告は「お金を受け取ったことは事実で(名目について)噓をついたが(被害男性は)それを分かった上で、私の体をもてあそぶためにお金を払った」と主張した。
  これに対し、17日の第2回公判に証人出廷した被害男性は「噓だと分かっていたら金を払わなかった」と強調。被告に対して「性的な行為を要求したことはない」と反論した。
  検察側の冒頭陳述や証人尋問によると、2人は26年秋、被告が美容専門学校に通いながら勤務していたキャバクラで知り合った。
  被告は「美容師になりたい。学費のためにキャバクラで働いている。親は学費を出してくれない」と説明。これを聞いた男性は「早貴の夢を応援したい」学費や生活費などとして金を振り込むようになった。
  その後、被告は「美容関係の会社の社長に認められ、海外留学できる」「学校で出場したコンテストでモデルの髪を傷めた」などと噓をついて計約2980万円の支払いを求め、男性はこれに応じた。
  一方、被告は27~28年の2年間だけで、フランスやモルディブ、シンガポールなど7カ国への海外旅行を予約。多額の金が振り込まれたはずの口座の残高は28年12月時点で約6万円だった。
  被告は30年2月に「紀州のドン・ファン」と呼ばれた野崎さんと結婚。しかし、野崎さんは同年5月に自宅で死亡した。和歌山地検は令和3年5月、殺意を持って致死量の覚醒剤を野崎さんに摂取させて殺害したとする殺人罪などで被告を起訴した。この殺人事件の公判期日は未定。

B被告は詐欺事件当時未成年(19歳)でしたが、殺人という重大事件の被告であることなどを考慮し実名としています。


2024.05.24-産経新聞-https://www.sankei.com/article/20240524-KVXKKY7IJ5NO5HZ7JUDBS3Q63Y/
日の丸バッジは民族差別訴えへの「批判的な意思表明」 相次ぐ法廷着用禁止「違法性なし」

  法廷で裁判官が「日の丸バッジ」の着用を禁じたのは権限の乱用だとして、男性3人が国に損害賠償を求めた訴訟で、大阪地裁は22日、男性側の請求を棄却バッジを「単に国籍や民族的出自を表明するにとどまらない」として、メッセージ性を有するものと扱った裁判官の判断を適法とした。同様の訴訟は北朝鮮による拉致被害者の救出を願う「ブルーリボンバッジ」でも提起されたが、違法性を認めない司法判断が続いている。一連の訴訟の背景に何があったのか。

「正当な法廷警察権の行使」
  日の丸が〝否定〟されたのは令和3年4月、男性らが大阪高裁で民事訴訟の控訴審を傍聴しようとしたときだった。書記官から「メッセージ性がある」との理由で胸元の日の丸バッジを外すよう指示された。その後の期日でも禁止令は続いた。
  傍聴しようとしたのは、在日韓国人女性が、職場で民族差別的な文書を配布されたとして不動産会社に損害賠償を求めた訴訟。この訴訟では1審が審理された大阪地裁堺支部でバッジを巡るトラブルが起きていた。
  審理の途中から、女性側の支援者が「STOP!HATE HARASSMENT」と書かれた缶バッジを着けるようになり、これに対抗する形で不動産会社側の支援者が富士山などが描かれた缶バッジを着用。堺支部は双方に対し、メッセージ性があるバッジを外すよう要請した
  この要請後、女性側の支援者が不動産会社側にブルーリボンバッジも外すよう求めて、いさかいが発生した。堺支部はブルーリボンも「メッセージ性があるバッジ」に含まれると判断。法廷の秩序を守る目的で裁判官に与えられた「法廷警察権」に基づいて着用を認めなかった。
  不動産会社の会長らは2年11月、この対応の違法性を訴えて国を提訴。拉致被害が日韓で起きたことを踏まえ、「ブルーリボンは(不動産会社訴訟の)争点と全く関係ない」と主張したが、昨年5月の大阪地裁に続き、今年1月の大阪高裁も実際に起きたいさかいを重視し、正当な法廷警察権の行使と結論付けていた。
「国旗否定は国家否定」
  日の丸バッジの着用禁止令はこうした経緯の余波を受けた形だが、男性側によると、ブルーリボンとは異なり、堺支部で日の丸バッジを外すよう指示されたことはなく、男性らは着用したまま傍聴。そのことでトラブルは起きなかったという。
  男性らはブルーリボンバッジ訴訟とは別に、日の丸バッジの着用を禁じた違法性を訴えて大阪地裁に提訴。公共施設で日の丸を掲げるのは一般的で、米国や韓国では法廷内でも国旗が掲揚されていることを指摘し、「禁止命令は思想信条の自由への侵害」と訴えた。
  原告の1人は意見陳述で「もし私が韓国人や中国人で母国の国旗のバッジを着けていたら、同じように外せと命じたのか」と疑問を呈し、「そのようなことをすれば国際問題になる。国旗の否定は国家や国民の否定と同じ」と強調した。
  今月22日の判決。松本展幸裁判長は、不動産会社訴訟を巡る経緯に照らせば、日の丸バッジの着用は「在日韓国人女性側への批判的な意思や、不動産会社側に賛同する意思を表明すると解される行為」と言及。いさかいを未然に防止するための措置で「違法な公権力の行使とは認められない」と判示した。原告側は控訴する方針。
  日の丸はときに個別訴訟への批判・賛同の意思表示になりえるとの司法判断といえるが、大阪地裁や大阪高裁が入る建物の屋上では、日の丸がはためいている


2024.05.17-産経新聞-https://www.sankei.com/article/20240517-A6L6ARKWNZPS3O42KYSS4TQSHI/
「清楚で純粋な女性だと…」紀州のドン・ファン元妻、B被告公判、詐欺被害の男性が証言

  「紀州のドン・ファン」と呼ばれた和歌山県田辺市の資産家、野崎幸助さん=当時(77)=に対する殺人罪などで起訴された元妻のB被告(28)について、事件前に別の男性=当時(61)=から現金計約2980万円をだまし取ったとする詐欺罪の第2回公判が17日、和歌山地裁(福島恵子裁判長)で開かれた。この被害男性の証人尋問が行われ、「噓だと分かっていたら金を払わなかった」と被害を訴えた。

  起訴状によると、平成27年3月~28年1月、3回にわたって札幌市の男性から海外留学の準備金名目などで約2980万円を詐取したとされる。
  10日の初公判で被告は「お金を受け取ったことは事実で噓をつきましたが、(被害男性は)それを分かったうえで、私の体をもてあそぶためにお金を払った」と述べ、詐欺罪の成立を争う姿勢を示した。
  これに対し、男性は法廷で、被告の印象について「清楚で純粋な女性だと思っていた」と述べた。警察から被告の噓を知らされたときの心情について「絶句。声も出なかった」と振り返り、被告への処罰感情をあらわにした。
  検察側の冒頭陳述によると、被告は札幌市内の美容専門学校に通いながらキャバクラに勤務。26年秋に客だった男性と知り合い、海外留学のほか、「出場したコンテストでモデルの髪を傷めた」などと噓をついて、金を要求していた。
  27年~28年の2年間だけでも、フランスやモルディブ、シンガポールなど7カ国への海外旅行を予約。ただ浪費の結果からか、多額の金が振り込まれたはずの口座の残高は28年12月時点で、約6万円となっていた。
  被告は、30年5月24日に殺意を持って致死量の覚醒剤を野崎さんに摂取させて殺害したとする殺人罪などでも起訴されている。被告と野崎さんは同年2月に結婚したばかりだった。
  野崎さん殺害事件については、令和3年5月の起訴から約3年が経過しているが、裁判が始まる見通しは立っておらず、それに先立つ形で詐欺罪の公判が開かれている。

  B被告は詐欺事件当時は未成年(19歳)でしたが、殺人という重大事件の被告であることなどを考慮し実名とします。


2024.05.10-産経新聞-https://www.sankei.com/article/20240510-B4Z4MJTGYFJ2HFI5DZDZHSCJII/
被害男性との接点はキャバクラ、紀州のドン・ファン元妻「モデルの髪を傷めた」と相談か

  「紀州のドン・ファン」と呼ばれた和歌山県田辺市の資産家、野崎幸助さん=当時(77)=に対する殺人罪などで起訴された元妻のB被告(28)について、事件前に別の男性から現金約2980万円をだまし取ったとする詐欺罪の初公判が10日、和歌山地裁で開かれた

  検察側は冒頭陳述で、B被告は当時、美容専門学校に通いながらキャバクラに勤務していたと説明。客だった被害者に「学校で出場したコンテストでモデルの髪を傷めた」と相談し、弁償金や留学費用などの名目で現金をだまし取ったと指摘した。
  B被告は起訴内容について「お金を受け取ったことは事実で噓をついたが、(被害男性は)それを分かったうえで、私の体を弄ぶためにお金を払った」と述べ、弁護側は詐欺罪の成立を争う姿勢を示している。
  起訴状によると、平成27年3月~28年1月、3回にわたって札幌市の男性=当時(61)=から計約2980万円を詐取したとされる。当時19歳だったが家裁送致時点で20歳以上だったため検察官送致(逆送)され、起訴された。
  B被告は、30年5月24日に殺意を持って致死量の覚醒剤を野崎さんに摂取させて殺害したとする殺人罪などでも起訴されている。B被告と野崎さんは同年2月に結婚したばかりだった。
  野崎さん殺害事件については、令和3年5月の起訴から約3年が経過しているが、いまなお裁判官と検察側、弁護側が争点や証拠を絞り込む手続きを進めているとみられる。


2024.05.08-産経新聞-https://www.sankei.com/article/20240508-KBNAZCJ5NRLRJGY6XKSJIW4EGM/
大学生ビル転落死、15歳少年は「無罪」 監禁の故意を認めず 大阪家裁

  美人局(つつもたせ)の手口で誘い出した男子大学生(22)をビルから転落死させたとして、監禁致死の非行内容で家裁送致された高校生の少年(15)について、大阪家裁(野口卓志裁判長)は8日、「監禁の故意は認められない」として刑事裁判の無罪に当たる不処分とした。

  この事件ではすでに中学3年の女子生徒(14)が初等・中等(第1種)少年院送致となっている。少年らは、ビルの外階段6階踊り場に男子大学生を誘い込んだ上、踊り場やエレベーターに立ちふさがり、上に逃げた男子大学生を追いかけていた
  野口裁判長はこうした行為が客観的には監禁に当たるとしつつ「少年はもともとビルに入ったことがなく、6階より上に逃げ場がないと認識していたとはいえない」として、故意の立証が不十分と判断した。
  少年は、女子生徒や当時13歳の別の少年と共謀の上、2月12日、男子大学生を大阪市中央区のビルから脱出困難にし、隣接するビルへの飛び降りなどを余儀なくさせて死亡させたとして、家裁送致されていた。


2024.05.01-産経新聞-https://www.sankei.com/article/20240501-4YMOAQ6775M3HIQULTQQE4GLUU/
「紀州のドン・ファン」詐欺事件初公判 元妻、法廷で何を語る?

  「紀州のドン・ファン」と呼ばれた和歌山県田辺市の資産家、野崎幸助さん=当時(77)=の不審死から約6年殺人などの罪で起訴された元妻、B被告(28)が事件前、別の男性から現金をだまし取ったとする詐欺罪の初公判が10日、和歌山地裁で開かれる。殺人罪の審理は開始の見通しが立たず、黙秘しているとされる被告。法廷で何を語るのか注目される

  金融や酒類販売業などで財を成し、女性関係を赤裸々につづった著書で話題を集めた野崎さんは、平成30年2月に被告と結婚。県警などによると、同5月、自宅で倒れた状態で見つかり、体内から致死量を超える覚醒剤成分が検出された。遺体に注射痕はなく、野崎さんがよく飲んでいたというビールの瓶約2千本からも、覚醒剤成分は確認されなかった
  起訴状によると、被告は27年3月から28年1月にかけて3回にわたり、札幌市の男性=当時(61)=から海外留学の準備金などの名目で計約2980万円を詐取30年5月24日、殺意を持って致死量の覚醒剤を野崎さんに摂取させ、殺害したとしている。


2024.04.23-産経新聞-https://www.sankei.com/article/20240423-GXD2TYLQZVMBHPQVFZN4OSTQYY/
妻子殺害、夫に無期求刑 大分地検「あまりにも人命を軽視」 妊娠7カ月の胎児も死亡

  大分市昨年8月、妻=当時(38)=と息子=同(9)=を刺殺したとして、殺人罪に問われた夫で無職、A被告(67)の裁判員裁判論告求刑公判が23日、大分地裁で開かれ、検察側は「あまりにも人の命を軽視した事案だ」として無期懲役を求刑した。検察側冒頭陳述によると、妻は妊娠7カ月で胎児も死亡した。

  A被告は19日の初公判で起訴内容を認めていた。
  起訴状によると、昨年8月8~9日、自宅で妻の李東娜さんの背や胸を、養子の佑馬君の胸をそれぞれナイフで刺し、失血死させたとしている。


2024.04.23-産経新聞-https://www.sankei.com/article/20240423-5GC5A5O34FNBZOIMBYGSA3B6O4/
認定こども園の前園長ら業過致死罪認める 静岡の3歳バス置き去り死事件初公判

  静岡県牧之原市の認定こども園「川崎幼稚園」令和4年9月、園児の河本千奈ちゃん=当時(3)=を通園バスに放置し熱中症で死亡させたとして、業務上過失致死罪に問われた前園長、A被告(74)と元クラス担任のB被告(48)は23日、静岡地裁(国井恒志裁判長)の初公判でいずれも起訴内容を認めた。

  起訴状によると、A被告は4年9月5日、降車時の人数確認を怠り、千奈ちゃんが取り残されたままなのに窓を閉め切ったバスを施錠、B被告は保護者に連絡を取るなどして所在確認をせず、同日午後2時5分ごろまで車内に閉じ込めて熱中症で死亡させたとしている。
  A被告がバスを運転し、園児6人と送迎補助員の女性が乗車。到着後、園児を順次降車させたが、千奈ちゃんが残されていることに気付かなかった


2024.04.03-産経新聞-https://www.sankei.com/article/20240403-LPA2AN2BMRIJDMVFFMDHC7VLKA/
SNS不適切投稿のA判事を罷免 11年ぶり8人目 弾劾裁判所

  交流サイト(SNS)に殺人事件の遺族を傷つける投稿をしたなどとして訴追された仙台高裁のA判事(58)=職務停止中=について、裁判官弾劾裁判所(裁判長・船田元衆院議員)は3日、罷免判決を言い渡した。A氏は法曹資格を失った。弾劾裁判所は主文の言い渡しを後に回し、判決理由の朗読から始めていた。

  裁判官弾劾法は、罷免事由を「裁判官としての威信を著しく失うべき非行」があった場合などと定めている。
  罷免判決盗撮で罰金刑を受け、平成25年に罷免された大阪地裁判事補(当時)以来で、8人目。A氏は、SNS投稿を理由に訴追された初めての例だった。
  訴追状によると、A氏は平成29年~令和元年、女子高生殺害事件の遺族やペットの返還をめぐる民事訴訟の当事者に対し、侮辱したり、社会的評価を不当におとしめたりする投稿をSNSなどにしたなどとされる。
  裁判官訴追委員会側は、A氏が一般読者からの注目を集めることを期待し、投稿に及んだと指摘。「司法に対する国民の信頼を損なわせた程度は非常に大きい」として、罷免にすべきだと主張していた。
  A氏は弾劾裁判で、投稿は判例紹介などが目的だったとし、遺族を傷つけたことを謝罪今月12日の任期満了で裁判官を退官する意向を示していたが、弁護側は「罷免事由にはあたらない」と主張していた。

■弾劾裁判
  国会の裁判官訴追委員会の訴追を経て、開かれる。弾劾裁判所は衆参各7人の国会議員で構成され、審理に関わった国会議員の3分の2以上が賛成した場合罷免の判決を言い渡す。審理は原則として公開の法廷で行われる。判決は言い渡しと同時に確定し、法曹資格を失う不服申し立ての方法はない。判決から5年経過し、弾劾裁判所が相当の理由があると判断した場合は、法曹資格が回復する


2024.02.15-産経新聞-https://www.sankei.com/article/20240215-ILE2PETXO5J3TBCZKVKYNXGGSY/
吉野家の紅しょうが直食い男に実刑判決「身勝手で悪質」 懲役2年4月、罰金20万円 大阪地裁

  大手牛丼チェーン「吉野家」の店舗で、共用の紅しょうがを自身の箸で容器から直接食べたとして、器物損壊と威力業務妨害罪に問われた建築業、A被告(35)の判決公判が15日、大阪地裁で開かれた。高橋里奈裁判官は「身勝手で悪質な犯行」とし、懲役2年4月、罰金20万円(求刑懲役3年6月、罰金20万円)を言い渡した。

  A被告は営利目的で大麻を栽培し、所持したとする大麻取締法違反罪でも起訴されていた。
  高橋裁判官は量刑理由で、A被告が「店舗への悪影響を顧みなかった」と非難。吉野家の事件後に大麻を栽培するなどしており、「規範意識が乏しく、刑事責任は重い」と指摘した。
  判決によると、A被告は令和4年9月29日未明、大阪市住之江区内の店舗で共用の容器に入った紅しょうがを自身の箸で直接口にかき込むようにして食べ、紅しょうがを汚損するとともに、同店の業務を妨害した。
  食べる様子は知人の男(35)=威力業務妨害罪で罰金30万円の略式命令=が動画撮影し、交流サイト(SNS)で拡散された。


2024.01.26-産経新聞-https://www.sankei.com/article/20240126-NUPVX5BWMZKLZJTBRL2DKE7TOY/
安田純平さんの旅券発給拒否処分を取り消し 東京地裁

  シリアで拘束され、2018年10月に解放されたフリージャーナリストの安田純平さんが、外務省がパスポートの発給を拒否したのは違法だとして、国に処分取り消しなどを求めた訴訟の判決が25日、東京地裁であった。品田幸男裁判長は発給拒否は「裁量権の逸脱または乱用にあたる」とし、処分を取り消した。

  安田さんは15年にトルコからシリアに入国し、武装組織に拘束された。約3年4カ月後に解放され、帰国。新しいパスポート発給を申請したが、外務省が拒否した。
  品田裁判長は「海外渡航の自由への制約は、合理的でやむを得ない限度しか許されない」と指摘。安田さんに5年間の入国禁止措置を課していたトルコと近隣国だけでなく、それ以外の国への渡航まで制限したことは違法だと判断した。


2024.01.25-産経新聞-https://www.sankei.com/article/20240125-NFHYMZEMNZOF5NXBCRVPMCJ3RQ/
A被告に死刑判決、責任能力を認定

  36人が死亡、32人が重軽傷を負った令和元年の京都アニメーション放火殺人事件で、殺人罪などに問われたA被告(45)の裁判員裁判の判決公判が25日、京都地裁で開かれ、増田啓祐裁判長は求刑通り死刑を言い渡した。最大の争点となっていた被告の刑事責任能力については「心神喪失でも心神耗弱でもなかった」として完全責任能力を認定した。

  事実関係については争いがなく、弁護側は被告が精神疾患の「妄想性障害」で、犯行には妄想が大きく影響していると主張。事件当時は責任能力がなかったか、あっても限定的だったとして、無罪か刑の減軽を求めていた。
  被告はこれまでの公判で、京アニの小説コンクールで自作小説を落選とされたのに、アイデアを盗用されたことなどが動機だと述べている。また京アニとも関係する「闇の人物」に終始監視されており、こうした付きまといから逃れるためには事件を起こすしかなかったとも説明した。
  小説の盗用や「闇の人物」の監視は被告が抱いていた妄想で、責任能力の判断では、こうした妄想が事件にどの程度影響したかが争点だった。
  判決で増田裁判長は、被告の妄想が動機につながっていることを認定起訴後に精神鑑定を行った医師の意見を踏まえ、被告が妄想性障害だったことも認めたそのうえで被告の性格について「独善的で猜疑心が強く、攻撃的な性格傾向を有していた」と指摘。京アニへの恨みから放火による大量殺人を選択したのは、被告の攻撃的な性格傾向に基づいており、犯行自体に「妄想の影響はない」と判断した。


2024.01.25-毎日新聞-https://mainichi.jp/articles/20240125/k00/00m/040/012000c
京アニ放火殺人の判決、主文後回し A被告への求刑は死刑
【久保聡】

  36人が犠牲になった2019年の京都アニメーション放火殺人事件で、殺人などの罪に問われたA被告(45)の裁判員裁判の判決公判が25日午前、京都地裁で始まった増田啓祐裁判長は主文の言い渡しを後に回し、判決理由の朗読から始めた。平成以降で最多の犠牲者を出した放火殺人事件で、裁判員らが導いた結論に注目が集まる。

  検察側は死刑を求刑し、弁護側は無罪を求めている。最大の争点は被告の刑事責任能力の有無や程度。A被告は事件当時、精神障害による妄想があり、行動や動機にどのような影響を与えていたのかが焦点となっている。
  検察側は、被告の攻撃的な性格によって起こされた事件とし、妄想の内容は「犯行に及ばなければ自分に危害が及ぶといった差し迫ったものではない」などと指摘。妄想はほとんど影響せずに完全責任能力があったとし、「類例を見ない凄惨(せいさん)な事件」と強調した。
  一方、弁護側は被告の精神障害は重度で「10年以上にわたって妄想の世界の圧倒的な影響を受けていた」と指摘。「事件当時は善悪の区別や行動を制御する能力が失われていた」として、心神喪失状態で刑事責任は問えないと主張している。絞首刑による死刑は残虐で選択すべきではないとも述べた。
  被告は放火に伴う重いやけどから回復し、事件の1年5カ月後に起訴された。起訴状によると、19年7月18日午前、京アニ第1スタジオ(京都市伏見区)にガソリンをまいて火を放ち、社員ら36人を殺害、32人に重軽傷を負わせたとされる。
  23年9月の初公判で、被告は「当時はこうするしかなかった。現在ではやり過ぎたと思っている」起訴内容を認めた。公判では被告人質問に多くの時間が割かれ、被告は自らの主張について詳述した。
  被告は事件の動機として「京アニに自作の小説が盗用された。京アニが許せなかった」と述べた。事件直前には実行をためらいつつ、過去の放火事件を模倣したと説明。「小説一つでここまでしなければならなかったのか。浅はかだった」と後悔を語り、極刑を受け入れる意向も示した。公判の最終盤には犠牲者の遺族に謝罪する場面もあった。
  公判では刑事訴訟法の規定に基づき、犠牲者19人と負傷者32人の名前が伏せられて審理された。希望した遺族らは被害の深刻さや処罰感情を法廷で直接訴えた。「被告は死をもって償ってほしい」などと厳しい意見が相次いだ
  審理は143日間と長期にわたり、被告の精神鑑定の内容などを検討する複雑な審理となった。動機や経緯刑事責任能力の有無や程度量刑――の3段階に分けられ、論点を明確にする仕組みが導入された。
  争点の責任能力については、検察側の中間論告・弁護側の中間弁論が実施され、裁判員らが公判の途中段階で非公開の「中間評議」で協議。量刑を検討する前に判決に向けた一定の結論を出していたとみられる。【久保聡】


2024.01.25-産経新聞-https://www.sankei.com/article/20240125-J6ZT427TIVNFHI7Z5ROH3TML6E/
京アニ放火、A被告にきょう判決 責任能力と量刑、司法の判断は

  36人が死亡、32人が重軽傷を負った令和元年の京都アニメーション放火殺人事件で、殺人罪などに問われたA被告(45)の裁判員裁判の判決公判が25日午前10時半から、京都地裁(増田啓祐裁判長)で開かれる。「日本の刑事裁判史上突出して多い被害者数だ」として死刑を求刑した検察側に対し、弁護側は刑事責任能力を争い、妄想性障害の影響で心神喪失か心神耗弱の状態だったとして無罪や刑の減軽を主張している。

  被告はこれまでの公判で、京アニの小説コンクールに落選し、アイデアを盗用されたことなどが動機だと述べている。盗用は青葉被告が抱いていた妄想の一つで、こうした妄想が事件にどこまで影響を与えていたかが最大の争点となった。
  被告には起訴前後、異なる専門医による2回の精神鑑定が行われた。責任能力を巡る審理では、起訴前の鑑定医が被告は性格に著しい偏りがある「妄想性パーソナリティー障害」との鑑定結果を示し、妄想は犯行に直接影響していないと説明した。一方で起訴後の鑑定医は、被告は重度の「妄想性障害」だとし、犯行の背景に関連していると証言した。また公判では被告が事件直前、現場周辺で犯行を逡巡(しゅんじゅん)したことも明かされた。被告は「こんな悪党でも良心の呵責(かしゃく)がある」と述べた。
  検察側はこうした点を踏まえ、被告が善悪を区別し、それに従って行動できたとして、完全責任能力があったと主張。論告では犯行の計画性や社会的影響の大きさを指摘し「うまくいかない人生の責任を京アニに転嫁した。理不尽そのもので身勝手極まりない」と述べた。
  これに対し弁護側は、被告が10年以上妄想の世界で生き、その影響で善悪の区別や行動を制限する能力が失われていたと主張。心神喪失が認められなかったとしても「責任能力は大きく減退していた」と強調した。このほか死刑(絞首刑)の残虐性や、スタジオの構造が影響して火の回りが早くなり、被害が拡大した面があるとして酌量を求めた。


2024.01.18-産経新聞-https://www.sankei.com/article/20240118-XPDZBWXPFNNHDFCDNQV4T4CVCQ/
甲府殺人放火事件、当時19歳の被告に死刑判決 特定少年で初

  甲府市で令和3年10月に同じ高校に通っていた女性の50代の両親を殺害したうえ放火し、殺人や現住建造物等放火などの罪に問われたA被告(21)の裁判員裁判の判決で、甲府地裁は18日、求刑通り死刑を言い渡した。被告は事件当時19歳の特定少年で、令和4年4月の改正少年法施行以降、特定少年として起訴された被告に死刑判決が出されるのは全国初

  犯行は3年10月12日午前3時半ごろ、被害者宅に侵入し、1階の寝室で寝ていた両親になたで襲い掛かり、頭などに繰り返したたきつけ、ナイフで胸などを複数にわたって刺すなどし、失血死させた。さらに、女性の妹の頭をなたで殴り、大けがを負わせたのちに、ライターオイル約1リットルを、台所や倒れていた両親の周囲にまいて火をつけ、住宅を全焼させた女性と妹は2階から飛び降り、逃げ出せた
  裁判は昨年10月から甲府地裁で21回開かれ、被告の事件当時の責任能力の程度などが争点となった。
  検察側は「女性への恋愛感情が実らず、怒りを募らせ、女性を傷つけるために家族を殺害しようとした」と説明。そのうえで「両親が無抵抗となった後も、異常な執拗(しつよう)さで攻撃を加えており、冷酷で生命軽視が甚だしい」と強く非難した。さらに「犯行から2年たつが、被告からは内省の態度が表れることもない」として死刑を求めた。
  これに対し、弁護側は「被告は事件当時、精神障害により行動制御能力などが著しく減退していた」として、心神耗弱状態だったと主張。さらに特定少年であったことから、「適切な教育や処遇で変わることができる」として、極刑回避を求めていた。


2024.01.06-読売新聞-https://www.yomiuri.co.jp/national/20240106-OYT1T50094/
散歩中の女性が猟犬4頭にかまれる、飼い主に罰金命令

  散歩中の60歳代の女性が猟犬にかまれて重傷を負った事件で、三重県の伊勢区検は5日、飼い主の男(67)を業務上過失傷害罪で伊勢簡裁に略式起訴したと発表した。昨年12月20日付。伊勢簡裁は同27日、罰金50万円の略式命令を出した。

  起訴状などによると、男は昨年4月9日、度会町の空き地で猪などを追わせるために猟犬5頭を放ち、猟犬の位置を十分把握しないまま狩猟を継続。うち4頭が散歩中の女性の頭部などにかみつき、全治半年の重傷を負わせたとされる。付近には舗装された林道や家屋があり、通行人に危害を与える可能性がある状況だったとしている。
  一方、津地検伊勢支部は、鳥獣保護法違反の疑いについては不起訴(起訴猶予)とした。
  昨年12月20日付。


2023.12.21-Tahoo!Japanニュース(テレ NEWS)-https://news.yahoo.co.jp/articles/c0937ef247a55516d4e7f122342675db8d212c65
G被告「配信は二度とやりたくない」  被告人質問で語られた“裏側”

  YouTube上で俳優らを常習的に脅迫した罪などに問われている、G被告(52)の3度目の裁判が行われました。被告人質問で、G被告は「配信は二度とやりたくない」などと語りました。

   「G!G!」 21日午後、支持者が名前を連呼する中、G被告を乗せたとみられる車が、東京地裁に入りました。 記者 「裁判所の前には、G被告の旗が立っていて、裁判所の中を見てみると、その裁判の傍聴をしようという人が多く集まっています」
  G被告は、去年、YouTubeに配信した動画で、俳優の綾野剛さんなどを常習的に脅迫した罪などに問われています。21日、3度目の裁判では、暴露系ユーチューバーだった頃の“裏側”が語られました。
  G被告は、黒髪・黒スーツ・黒ネクタイという姿で、背筋を伸ばし、証言台の前に座りました。その冒頭、「脅迫とされた行為について、反省しています。被害者には、申し訳なかったなという気持ちでいっぱいです」と述べたG被告。
  そして、語られたのは、配信を始めた経緯についてです。ドバイで生活をしていた際、金を借りていた友人2人に、こう誘われたといいます。
  G被告 「暴露系をやれば、収益でお金を稼げる、と」 弁護側 「それに対して、なんと答えた?」 ・・・G被告 「『やらないです』と即答しました。自分の中で、やりたくない気持ちがありました」 ・・・しかし  G被告 「返済を迫られていて、断りにくかった」 こうして誕生したという、“暴露系ユーチューバー”G。続けるうちに「芸能界の闇が深く、被害者を見てきたので、ある程度、世の中に示さないとダメだなと思った」といいます。 「正義感を感じていた」という一方で・・・ 弁護側 「撮影・配信していた時の気持ちは?」 ・・・G被告 「正直しんどかった。『おまえらしくない。やらされているのでは?』と(知り合いは)みんな気づいていた」 “配信のスタイルや戦略などは、友人らが決めていた”といいます。・・・G被告 「暴露系やるなら、怒鳴るスタイルでやれ、と言われた」 「自分は指示に従うだけ」で、配信でどの芸能人を取り上げるのかも「すべて友人が選んでいた」と話しました。 検察側 「人気が出ると思った?」 - G被告 「正直、出ないと」 今後、配信の予定があるかどうか聞かれると -  G被告 「正直、二度とやりたくないです」 検察側 「法廷で誓えますか?」  - 被告 「誓います。二度としません」 はっきりと答えました。  - G被告 「本当におかしなことをやってきたと思って、二度とやらないと決めて、十分反省したうえで、日本での新しい一歩を踏み出したいと思います。本当に、すみませんでした」
次回の裁判は、来年2月に開かれます。


2023.12.19-産経新聞-https://www.sankei.com/article/20231219-X2HUQ6BL4ZPYRBHFBROEL45K4Q/
「後悔」も「音は自動で流れた」 迷惑系配信者 A 初公判で起訴内容を一部否認

  大阪・ミナミの飲食店で、動画を撮影しながら大音量で音楽を流して店員の業務を妨害したとして、威力業務妨害罪に問われた米国籍の「迷惑系」ネット配信者AことA被告(24)の初公判が19日、大阪地裁(安福幸江裁判官)で開かれたA被告は「撮影をしたのは否認しない。自分の行動に後悔もしている。ただ、音声は自動で流れたものだ」と起訴内容を一部否認した。

  この日、A被告は白いカッターシャツに黒のパンツ姿で出廷。裁判官が被告の名前などを確認すると「イエス」「OK」などと視線を下げながら力のない声で答えていた。
  起訴状によると、9月12日午前1時半ごろ、大阪市中央区道頓堀の飲食店で、ほかの客がいるのに、スマートフォンで動画撮影しながら大音量で音楽などを流し、店員に被告への対応を余儀なくさせたとしている。
  A被告は日本国内で迷惑行為を繰り返し、動画でライブ配信。視聴者から収益を得る「迷惑系配信者」として交流サイト(SNS)で知られていた。
  大阪市内のホテル建設予定地に侵入したとする建造物侵入容疑で9月に大阪府警南署に逮捕され、その後、威力業務妨害容疑で再逮捕。建造物侵入事件については、大阪地検が不起訴(起訴猶予)としている。


2023.12.15-毎日新聞-https://mainichi.jp/articles/20231215/k00/00m/040/283000c
「人をバカにして」 頂き女子裁判傍聴 被害男性の怒りと葛藤
【田中理知】

  「頂き女子りりちゃん」が作った恋愛詐欺マニュアルをもとに、男性2人から計1065万円だまし取ったとして詐欺罪に問われた大学生、A被告(21)に対し、名古屋地裁は15日、懲役3年執行猶予5年(求刑・懲役4年6月)の判決を言い渡した

  「一度会って話をしたい気持ちもある。でも(刑務所に)入って反省してほしい気もした」。愛知県内の40代男性は、法廷で判決を聞き複雑な気持ちになった。今年2月にA被告と出会い、デートを重ねていたという。
  男性によると、A被告とはマッチングアプリを通じて知り合った。「かな」と名乗った被告とは、アニメ好きなど共通の趣味が多く意気投合した。連絡先を交換し、実際に会うようになった。 「好きだよ」「一緒にいるとうれしい」。毎日メッセージが届き、仕事の合間には電話をくれた。親に捨てられたなどとつらい境遇を打ち明けられた。「『守ってほしい』と言われ、守りたいと思った」と振り返る。
  数十万単位で金も貸していたという。「友だちの『みくちゃん』にお金を貸していて家賃が払えないとか、学費が支払えないと言われた」と話し、「彼氏だから出して」と言われるまま支払った。 5月中旬、突然連絡が途絶え、その日にA被告は詐欺容疑で逮捕された。「なんで……。だまされたのか……」。警察へ相談に行くと、「同じようなケースがある」と署員に言われたという。 数十万単位で金も貸していたという。「友だちの『みくちゃん』にお金を貸していて家賃が払えないとか、学費が支払えないと言われた」と話し、「彼氏だから出して」と言われるまま支払った。
  5月中旬、突然連絡が途絶え、その日にA被告は詐欺容疑で逮捕された。「なんで……。だまされたのか……」。警察へ相談に行くと、「同じようなケースがある」と署員に言われたという。
  裁判でA被告は反省しているようにも見えた。でも最終意見陳述でA被告が、被害者への謝罪の方法として「どうしたら異性から嫌悪感を抱かれないか教えてあげたい」などと話したことに言葉を失った。
  「自分がかわいくて、被害者は二の次。人をバカにしていたんだ」【田中理知】


2023.12.08-産経新聞-https://www.sankei.com/article/20231208-DKSL5XLOAVJN5CHQDURVCI73CQ/
女性に売春させ虐待、暴行死 37歳男に懲役20年求刑 宇都宮地裁

  令和元年、当時24歳の女性を栃木県さくら市のアパートに監禁、暴行して死亡させ、遺体を宮城県白石市の山林に埋めたとして傷害致死などの罪などに問われた住所不定の無職、海部学被告(37)の裁判員裁判公判が8日、宇都宮地裁であり、検察側は懲役20年を求刑した。弁護側は減軽を求めて結審した。判決は来年1月11日。

  検察側は論告で、海部被告は女性に売春させて金を得るために長期間にわたり虐待していたと指摘。日常的に激しい暴行を加えており「危険性や残虐性の点で際だって悪質な行為」と非難した。
  弁護側はこれまで、暴行と死亡の関係が不明だとして傷害致死罪について否認。最終弁論では、同罪が成立しても懲役9年程度が妥当だと主張した。海部被告は最終意見陳述で「遺族に申し訳ない」と語った。


2023.12.08-産経新聞-https://www.sankei.com/article/20231208-N4KSMIC3BJOJRIIH6LPSGTDGM4/
妻子3人殺害の元警官、死刑確定へ 福岡、最高裁判決

  福岡県小郡市の住宅で平成29年に妻子3人を殺害したとして殺人罪に問われ、一、二審判決で死刑とされた元県警警察官、A被告(45)の上告審判決で、最高裁第3小法廷(長嶺安政裁判長)は8日、被告側の上告を棄却した。死刑が確定する。被告側は、第三者による犯行の可能性があるなどとして無罪を主張していた。

  5人の裁判官全員一致の結論。判決理由で長嶺裁判長は「3人の命を奪った結果は重大。確定的で強固な殺意に基づき、生命を軽視する態度が甚だしい」と指摘。被告について「自身の罪と向き合う姿勢を示さず、反省悔悟の情をうかがうことはできない。死刑はやむを得ない」と述べた。
  一、二審判決によると、29年6月5日深夜~6日朝、自宅で妻の由紀子さん=当時(38)=と、小学4年の長男、涼介君=同(9)、小学1年の長女、実優さん=同(6)=の首を絞めるなどし、いずれも窒息死させた。
  裁判員裁判で審理された一審福岡地裁判決は「従前からの鬱憤が爆発し、被告が妻を殺害したと合理的に推測できる」と指摘。検察側の求刑通り死刑とした。二審福岡高裁判決も支持した。


2023.12.06-産経新聞-https://www.sankei.com/article/20231206-6X63LFHXZVNT7J35WUYW5W2KLI/
被害拡大「ツキがなかった」 被告、遺族感情を逆なで

  京都アニメーション放火殺人事件で、殺人罪などに問われたA被告(45)は6日、被告人質問で遺族に初めて償いの言葉を述べた。一方、想像以上に被害が拡大したことについて「運、ツキがなかった部分があるのは否定できない」と発言。京アニへの恨みは今もあると述べるなど、遺族や被害者の感情を逆なでするような投げやりな態度も見せた。

  「申し訳ありません」・・・この日、法廷で繰り返し謝罪の言葉を口にした被告。第1スタジオの凄惨(せいさん)な状況を後で知り「絶句した記憶がございます」とも述べた。一方、遺族らに目線を送ったり、頭を下げたりすることはなく、終始うつむきながら話していた。
  これまでの公判で弁護側は、第1スタジオの構造が被害の拡大要因の一つだと主張。被告はこの日、第1スタジオにらせん階段があったことは知らなかったとした上で、「それによって火が速く回ったと聞いた。運、ツキがなかった部分があるのは否定できない」「らせん階段じゃなかったら(火は)1階に広がるだけで、2、3階の人は無事」などと語った。
  また謝罪の言葉が遺族に届くものであるかと問われた被告は「それは(聞く側の)取り方による。自分の問題でない」と早口でまくし立てる場面もあった。
  事件の動機形成に関し、被告は法廷で京アニによる小説の盗作を主張している。認識を問われた被告はこの日も「京アニも(盗作を)やってきたという思いはあります。正直に申し上げます」と主張。京アニによって犯罪に追い込まれたのかと問われると「今でもそういう呵責(かしゃく)は消えない」と訴えた。
  質問に先立ち検察官は、重いやけどで手術を49回受け、右手の人さし指を失った被害者がつづった書面を読み上げた。「鏡を初めて見たときの絶望感を忘れない。死を選ぶのも、生を選ぶのも、この体で生きることがつらい」との苦しみが明かされた。







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