経済問題-2023年7月~2023年11月


2023.11.24-毎日新聞-https://mainichi.jp/articles/20231124/k00/00m/020/289000c
金融庁、ビッグモーター処分 30日付で保険代理店登録取り消し
【杉山雄飛】

  金融庁は24日、自動車保険の保険金不正請求問題を起こした中古車販売大手ビッグモーター(東京)に対し、保険業法に基づく保険代理店の登録取り消し処分を出した。処分は30日付。登録取り消しは保険代理店に対する最も重い処分で、金融庁(旧金融監督庁)が発足した1998年以降で初めて。ビッグモーターは12月から保険を販売できず、今後3年間は代理店登録できなくなる。

  ビッグモーターは、修理車両を故意に傷つけるなどして保険金を不正請求する行為を繰り返していた。金融庁は9月から11月10日まで保険業法に基づく立ち入り検査を実施。検査では、保険契約の重要事項を説明せずに販売したケースや、保険加入を条件に車両価格を値引くなどの不適切な販売が多数確認された。
  金融庁によると、同社は2016年10月から約7年間で取締役会を1回しか開催せず、兼重宏行前社長と長男の宏一前副社長が経営方針を決定。20年の新型コロナウイルス禍で中古車販売が大幅に減少したことをきっかけに「利益至上主義の経営」にかじを切り、保険販売を管理する保険部の人員を23人から12人に削減したほか、保険対応のコールセンターを廃止するなど保険販売の管理や教育が機能しない状況になっていた
  金融庁の担当者は「まれに見るひどい状況で、損保業界の信頼を失墜させかねない。保険販売の第一線を担う保険代理店にふさわしくない」と処分の理由を説明した。
  ビッグモーターに対しては、国土交通省も10月、全国34の整備工場に対する事業停止処分を決定。ビッグモーターの経営が悪化する中、伊藤忠商事と国内投資ファンドなどが、創業家が経営に関与しないことを条件に買収交渉を始めている【杉山雄飛】


2023.11.16-産経新聞-https://www.sankei.com/article/20231116-HKX3R7VTMBKRPNHSIIKZ22SBNU/
<独自>企業の損金扱い交際費、1人5000円から増額へ 6年度税制改正で物価高対策

  企業の飲食を伴う交際費について、政府・与党が令和6年度の税制改正で、経費(損金)として算入し税負担を減らすことができる上限額を現在の1人1回5千円から増額する検討に入ったことが16日、分かった。物価高で上昇した外食費に追いつくよう、適正金額に引き上げる。新型コロナウイルス禍後の企業交流を促す狙いもある。

企業交流促す
  交際費については、1人1回5千円までの飲食なら、交際費から除外して損金として扱える。2次会を別の店で同5千円以下に抑えればこれも損金となる。だが、5千円を超えるとこの店でかかった費用全てが損金対象外となる。その場合でも資本金100億円以下の企業なら、飲食費の50%を損金に算入できる。
  企業の法人税は、益金から損金を差し引いた金額に対して税率をかけて徴収される。このため企業は、損金を多く算入できれば、税負担を軽減することができる。
  交際費から除外できる5千円以下という水準は、デフレ下の平成18年度税制改正で決まり、据え置かれている。ただ、材料や光熱費などの上昇で外食費も上昇。物価と賃金の好循環を目指す中、政府・与党内では「もう5千円はそぐわない」との声が出ている。
2万円へ増額要求
  上限額に関し、日本商工会議所は2万円に引き上げるよう要求。与党内には1万円程度を目安とする意見も出ている。一方で、財政悪化などを懸念して慎重な意見もあり、与党の税制調査会が年末にかけて調整する。
  交際費を巡っては、中小企業が最大で年間800万円までを損金に算入できる特例措置の期限が今年度末となっており、これを延長するかどうかも焦点となる。
  交際費にかかる減税措置の拡充は、コロナ禍後に会食を通じて企業交流を活発にすることで、社会経済活動の正常化を本格軌道に乗せる後押しになるとの期待がある。同時に、回復の足取りが重い中小飲食事業者の賃上げ原資の確保につながるとみる向きもある。

2023.11.14-読売新聞-https://www.yomiuri.co.jp/economy/20231114-OYT1T50071/
保険金不正請求のビッグモーター、鈴木金融相が保険代理店登録の取り消し方針を示す

  中古車販売大手ビッグモーターによる保険金不正請求で、鈴木金融相は14日の記者会見で、保険業法に基づき、ビッグモーターの保険代理店登録を取り消す方針を示した。従業員が故意に自動車を傷つけ、修理代金を水増し請求する不正の横行が悪質だと判断した。


2023.11.07-産経新聞-https://www.sankei.com/article/20231107-KRBNLABOWVNOZE3YSTAMJBXSW4/
2024年問題 バス停に「乗務員不足で臨時ダイヤ」の表示 建設、医療にも影響
(福田涼太郎、古賀達朗)

  残業規制強化で人手不足が深刻になると懸念される「2024年問題」。物流だけでなく、交通や建設、医療など、さまざまな分野への影響が懸念されている。

小田急バス、週243減便
  10月中旬の平日正午ごろ、JR吉祥寺駅(東京都)前のバス停で、乗客が長い列を作っていた。電光掲示板には「乗務員不足のため一部路線を臨時ダイヤで運行しております」と減便を伝えるテロップが流れている。
  同駅発着の路線を多く持つ小田急バスは、8~9月に複数の運転手が新型コロナウイルスなどに感染し、人員確保が難しくなり順次減便。10月28日には同駅発着の平日便など、週計243便を減らしたままの便数でダイヤ改正に踏み切った。
  近隣からバスで買い物に来た60代主婦は「バスは駅へ行くのに欠かせない足なので、これ以上減ると困ることになりそう」と話す。
  同社は運転手の処遇改善や他社からの出向受け入れなど対策を進めているが、担当者は「業界全体で運転手のなり手が少なく、政策的な支援が必要だ」と頭を悩ませる。
  日本バス協会の試算では、現在の路線網を維持した場合、7年後には3万6千人の運転手が不足する見込み。同様の問題はタクシーなど交通業界全体に及んでおり、一般ドライバーが自家用車を使って有償で乗客を運ぶ「ライドシェア」の導入議論も活発化している。
  残業規制強化で人手不足がさらに深刻になると懸念される2024年問題」の主な要因には、少子化などによる担い手の減少が挙がる。
  情報サービス大手のシンクタンク、リクルートワークス研究所が実施した職種別の担い手需給予測では、トラックや交通業の運転手を含む輸送・機械運転・運搬は令和6年段階で需要に対して約9万人が不足。そのほか、建設は約3万人不足、保健医療専門職は需給がほぼ均衡となった。不足幅は徐々に拡大していく予測。また、2024年問題は加味されておらず、実際はさらなる状況の悪化が見込まれるという。

建設業、人手不足が倒産の要因に
  最近では人手不足が2025年大阪・関西万博の会場建設にも影響していることで、注目を浴びている建設業界。従来の3K(キツい・汚い・危険)のイメージに、長時間労働なども重なって新卒応募の減少が進む。
  帝国データバンクの調査によると、今年に入って建設関連企業の倒産件数は、過去5年で最悪のペースとなっている。倒産要因の最多は資材価格高騰だが、担い手不足や給与への不満による従業員の離職などで「受注や施工そのものがままならないケースが目立ち始めた」(同社)。今後、地方では住宅建設や道路の修繕が進まない事態が相次ぐ恐れもあるという。
  急務となるのは、週休2日の確保や長時間労働の改善、賃上げなど。適正な工期での受発注の促進など一部で対策は進むが、従事者の減少に歯止めはかかっていない。
  医療現場も例外ではない。厚生労働省の令和4年実施の調査で、新たな時間外労働時間の主な上限値となる年960時間を超える勤務医は改善されつつ、なお2割を超えた。
  同省は負担緩和に向けて医師数を増やす施策を進めているが、高齢化などで医療ニーズも増加。首都圏にある大学病院の担当者は「例えば当直明けに手術をするのは避けようなどの意識は芽生えてきているが、専門医の数がそもそも不足していて負担を軽減できない。病院側だけで解決できる話ではない」と話す。
  不足する医師は地域や診療科によって偏りがあるため一概には言えないが、今後は夜間救急の休止や手術の延期、地元の病院で出産ができないなどの影響も懸念される。
働き手重視の意識改革を
  担い手需給予測を担当したリクルートワークス研究所の古屋星斗主任研究員は、今回の働き方改革は持続性の観点から必要と強調。その上で「生活の根幹を担うサービスの低下は人々の生活にかかる時間を削る。生活と経済、両方の効率低下を招いて悪循環となるが、それでは経済成長は見込めない。今後は『働き手は神様』との意識で臨むべきだ」と語った。(福田涼太郎、古賀達朗)


2023.11.05-産経新聞(by夕刊フジ)-https://www.sankei.com/article/20231105-IJGPYOFGTBCX5LF2FE3KKTSIIU/?outputType=theme_weekly-fuji
「経済、経済、経済」連呼型演説にみる日本経済への認識の違い
(政治評論家・伊藤達美)

  臨時国会で、経済政策に関する活発な論戦が繰り広げられている。このような骨太な政策論議が行われる国会は、久しぶりではないか。岸田文雄首相は、所信表明演説で「経済、経済、経済」と連呼した。これを受けた野党の代表質問を、興味深く聞いた。
  立憲民主党の泉健太代表は「給付、給付、給付」、日本維新の会の馬場伸幸代表は「改革、改革、改革」、玉木雄一郎代表も「賃上げ、賃上げ、賃上げ」と応じた。

  このやり取りに、日本経済の現状、とりわけ「需給ギャップ」に対する認識の違いが端的に表れていると感じた。
  岸田首相「新しい経済ステージに向けた確かな息吹が生まれてはいるものの、国民の消費や投資動向は力強さに欠ける」との認識を示した。要するに、需給ギャップは回復しつつあるものの、後戻りをしかねない状況にあるとみているということだ。その認識が所得税減税も含め「あらゆることをやる」と、前のめりの経済対策をまとめようとする姿勢につながっている。
  これに対し、立憲民主党と日本維新の会「『デフレ脱却』を通り越して『インフレ懸念』まで見え始めている」との認識だ。過度の経済対策は、さらなる物価高を招きかねないとして、経済対策は限定的であるべきとの立場だ。
  立憲民主党がこだわるのは、対策の重点化とスピード感だ。所得税減税「バラマキ」であり、実施が遅れるので反対。「給付」なら、それができる。だから、「給付、給付、給付」となる。
  「改革」を叫ぶ日本維新の会は「日本経済は穏やかな回復基調に乗りつつある」と現状を最も楽観的にとらえる。
  同党が主張するのは、社会保険料の減免や、ひとり親世帯への給付などだ。低所得者層対策や、現役世代の可処分所得を増加させるなど、「経済や財政の構造改革こそ重要」との考え方なのだろう。
  国民民主党は「需給ギャップは解消していない」との認識だ。そのため、所得税、消費税、法人税、石油税などの減税が必要と訴える。対策の規模は15兆円。立憲民主党が7兆円規模、日本維新の会が10兆円規模としているのに対し、かなり大きい。デフレ脱却への方向性は岸田首相と同じだが「危機感が足りない」として批判を強める。各党とも岸田首相の示す経済対策に疑問を呈する点で一致しているが、その認識と処方箋のベクトルは正反対だ。
  重要なのは、国会論戦を通じて各党の主張の違いが明らかになることで、論点が整理され、やがて一つの方向性が見いだされていくことだ。これが民主主義のプロセスであり、国会に期待されているところではないか。さらに深掘りした論戦を繰り広げてもらいたい。(政治評論家・伊藤達美)


2023.11.05-産経新聞(夕刊フジ)-https://www.sankei.com/article/20231105-2NQYRLGDCJBZTJE3L77XMP4HHY/?outputType=theme_weekly-fuji
利権まみれで電気代を高騰させる再エネ政策を見直せ
(平井宏治)


  2022年5月に成立した経済安全保障推進法の柱となる4施策の1つが、「基幹インフラ役務の安定的な提供の確保」である。サイバー攻撃や物理的な破壊などの妨害から、電力など国民生活の基盤となる14の基幹インフラのサービス提供を守ることが目的である。ところが、「懸念国」企業と彼らに協力する日本人により、基幹インフラの安全性の確保と逆行する事態が静かに進行している。背景にあるのが「再エネ利権」だ。

  民主党政権の菅直人首相(当時)は11年、固定価格買取制度(FIT制度)を始めた。電力会社が、再生可能エネルギーで発電した電気を一定期間、国が決めた価格で買うことを約束する制度だ。われわれの先祖は、時に厳しい自然との苦闘の歴史を通じて自然観を身につけ、人間の都合で森を伐採したりすることは罰当たりなことだとされていた。
  ところが、FIT制度は、山の樹木を切り倒し、太陽光パネルを敷き詰めることで、たちどころに現金が手に入る錬金術である。世界中から投機マネーが流れ込み、先祖が大切に守ってきた二酸化炭素を吸収する木々が伐採され、太陽光パネルが敷き詰められている。10年後には、寿命が来る大量の廃パネルの再処理問題が残っている。
  FIT制度維持のために、太陽光発電や風力発電などの高価な再エネ発電の買い取りに必要な費用をまかなう再エネ賦課金制度が導入された。再エネ賦課金は、電気料金に上乗せされて全電気利用者から強制徴収される「実質的な税金」に他ならない。電気利用者から再エネ業者への実質的な贈与だ。
  全世界における太陽光発電用の多結晶シリコンの8割は中国製で、そのうち半分以上が新彊ウイグル自治区で生産される。

  英国では、ウイグル人が、強制労働で石英を手作業で砕く作業に従事させられていることを報告する論文が発表された。米国は、ウイグル人権法に基づき中国製太陽光パネルの輸入を実質的に止めた。欧州も同様の動きをしている。行き場を失った中国製太陽光パネルの輸出先が日本である。
  巨利を得る再エネ企業が、再エネ議連所属国会議員の政治団体に政治献金を行い、経済的見返りを得る国会議員は「二酸化炭素削減は国際社会からの要請」と言い、国会議員ビジネスに熱狂する。
  洋上風力発電事業をめぐる、日本風力開発とA衆院議員=受託収賄と詐欺の罪で起訴済み、自民党を離党=の汚職事件は「再エネ利権」の氷山の一角だ。こうして、基幹インフラである電力事業は、再エネ利権のために基幹インフラ役務の安定的な提供の確保とは逆方向に進んでいる。
  日本保守党は、その重点政策の中で「再エネ賦課金の廃止」を明示している。同党は、エネルギー分野への外国資本の参入を禁止する法整備も打ち出した。参政党は「再エネの賦課金や公的支援の見直し、および技術開発への積極的な支援」を訴えている。利権まみれで電気代を高騰させる再エネ政策を見直すべきだ。

平井 宏治ひらい・こうじ) 
  経済安全保障アナリスト。1958年、神奈川県生まれ。早稲田大学大学院ファイナンス研究科修了。82年、電機メーカー入社。外資系投資銀行、M&A仲介会社、メガバンクグループの証券会社、会計コンサルティング会社で勤務後、2016年にアシストを設立。M&Aや事業再生の助言支援に携わりながら、経済安全保障に関する書籍の出版、メディアへの寄稿や講演会を行う。著書に『経済安全保障リスク』(育鵬社)、『トヨタが中国に接収される日』(WAC)など。


2023.11.04-産経新聞-https://www.sankei.com/article/20231104-OCWHU7HECRPHDKGJDWRLNKXRWA/
「年収の壁」超え、対策で6割前向き 企業は苦慮「不公平感生じる」
(田辺裕晶、田村慶子)

  配偶者に扶養されるパート従業員らが社会保険料の負担を避けるため働く時間を抑える「年収の壁」問題で、政府が10月に導入した新たな対策に企業の戸惑いが広がっている保険料を負担してでも年収を増やした他の従業員との間で不公平感が生じるためだ。助成金申請をためらう企業も多く、第3号被保険者制度にメスを入れる抜本的な対応を求める声が強い。

  「助成金は、もともと『年収の壁』を超えて働いている従業員には支給されない。制度としては使い勝手が悪く、申請には二の足を踏んでいる」中華料理チェーン「餃子の王将」を展開する王将フードサービスの広報担当者は、こう漏らす。総合スーパーのイトーヨーカ堂やライフコーポレーション、コンビニエンスストアのローソンといった多くのパート従業員を抱える流通大手でも、申請は「未定」または「検討中」だという。
  政府の対策は人手不足が深刻化した企業の要請に応じたもの。それでも申請をためらうのは、一部の労働者を優遇する制度設計のため「同一労働同一賃金の原則を崩し、現場で不公平感が生じる」(大手スーパー担当者)恐れがあるからだ。
  助成制度は令和7年度末までの暫定措置であり、将来打ち切られる恐れがあるのに従業員に働き方の変更を求めてよいのかという迷いもある。一方、野村総合研究所の調査では、政府の対策で年収の壁を超えても手取り額が減らなくなった場合、配偶者がいるパート女性の6割強が今より年収が多くなるよう働きたいと答えた。「就業時間延長や、転職促進による収入増加で一定の効果が期待できる」という。
  ただ、主婦やパート従業員ら第3号被保険者は収入が一定額になるまで保険料を取られない現行制度には不満も根強い。助成金申請を保留する企業の担当者は、政府が7年に予定する次期年金制度改正で「抜本的な改革を求めたい」と訴えた。
(田辺裕晶、田村慶子)


2023.10.24-産経新聞-https://www.sankei.com/article/20231023-4CGIENUXVJODDMF34WFBRFLSBA/
三井住友海上、ビッグモーターと解約 損保全7社、代理店委託ゼロに

  中古車販売大手ビッグモーターによる自動車保険の保険金不正請求問題を受け、三井住友海上火災保険は23日、ビッグモーターとの保険代理店委託契約を11月30日付で解約すると発表した。代理店契約を結ぶ損害保険会社7社がいずれも解約することになり、ビッグモーターが代理店業を続けるのは困難となった。

  中古車の購入客は、インターネットで申し込むなどして自ら保険に加入する必要がある。委託契約を結んでいたのは、三井住友海上に損害保険ジャパン、東京海上日動火災保険、あいおいニッセイ同和損害保険を加えた大手4社と、共栄火災海上保険、日新火災海上保険、AIG損害保険の中堅3社
  損保側の幹事役だった損保ジャパンは解約を決めているものの、時期はビッグモーターと協議中だ。12月1日付で、既存の契約を他の代理店へ移管することにしている。


2023.10.16-産経新聞-https://www.sankei.com/article/20231016-HZE5ZM7TVBKKHGFKPGPPVNH4JE/
全銀システム障害、原因はプログラムミス 容量不足生じる

  三菱UFJ銀行など全国10の金融機関で他行宛ての振り込みに遅れが出た全国銀行データ通信システム(全銀システム)障害は、プログラムの設定ミスで部分的な容量不足が生じたことが原因であることが16日、分かった。システムを運営する全国銀行資金決済ネットワーク(全銀ネット)は、稼働前に十分な試験を実施したのかどうかが問われそうだ。

  障害は、10日午前に発生した。一部の自治体で児童手当が届かないなど計506万件の取引に影響が出た。関係者によると、7~9日の3連休に実施した中継コンピューターの更新に伴って、機器の基本ソフト(OS)が32ビットから64ビットに変更されたが、必要な容量が確保できない取引が発生したとみられる。
  全銀ネットの辻松雄理事長が18日に記者会見し、障害の詳しい原因や再発防止策を説明する方針だ。


2023.10.13-産経新聞-https://www.sankei.com/article/20231013-3PEAHPYJVBK43K65DUIUESFBEQ/
全銀システム障害、油断が復旧の遅れに 半世紀トラブルなく
(黄金崎元)

  銀行間の資金決済を担う全国銀行データ通信システム(全銀システム)の障害は復旧に丸2日を要した。10金融機関で送金や着金ができなくなるなど計約506万件の取引に影響を与えた昭和48年の稼働以来、半世紀にわたり、大規模な障害を起こさなかったが、その油断が復旧の遅れにつながったとの見方も出ている。
  全国銀行資金決済ネットワーク(全銀ネット)が運営する全銀システムは1千以上の金融機関が接続し、1日平均12兆円以上の送金を処理する国内決済の基幹インフラだ。

  7~9日の3連休に金融機関と全銀システムをつなぐ「中継コンピューター(RC)」の更新作業を行っていた。そこで振り込みデータに付与されている銀行間手数料が正しく計算されているかどうかをチェックする機能に不具合が発生した
  今回は令和5~11年にかけ、24回に分けて進める更新作業の第1陣で、三菱UFJ銀行やりそな銀行など14金融機関で実施していた。
  RCは各行で2台ずつ配備されている。保守期限があるため今回の更新作業は同時に行われ、2台とも障害を起こした。障害が起きた場合は片方がバックアップする体制になっていたが、両方とも同じ原因による不具合が発生したため、補完できなかった。今後は「更新方法やバックアップ体制を考える必要がある」(全銀ネット関係者)。
  復旧に丸2日かかったのは、他の金融取引への影響を避けるため取引が多い昼間にできなかったからだ。リスクを小さくするため、プログラムを更新前の状態には戻さず、あえて改修する方法を選択した

  半世紀にわたり、全銀システムは安定稼働していたが、東洋大の野崎浩成教授は「運用に精通している人材がどれだけいるのかを含め、バックアップ体制を再検証する必要がある」と指摘する。過信がバックアップ体制を甘くして、復旧を遅らせた可能性がある。
  京都大の岩下直行教授も「うまくいっていたからといって、『神聖にして侵すべからず』とするのではなく、イノベーションに踏み切らないといけない」と注文を付ける。
  今回の障害を巡っては、送金処理の情報発信や影響が出た金融機関数を訂正するなど現場の混乱ぶりがうかがえた。全銀ネットは加盟する銀行のトップが理事として集まる寄り合い組織で、理事長は全国銀行協会の副会長兼専務理事が務める。組織の統率力の不在や、ガバナンス(企業統治)の課題が浮き彫りになった。(黄金崎元)


2023.10.11-NHKNEWS WEB-https://www3.nhk.or.jp/news/html/20231011/k10014221601000.html
全銀ネットのシステム不具合 きょうも復旧の見通し立たず

  金融機関どうしの資金のやり取りを担うシステムに不具合が発生し、10日、11の金融機関で他行宛ての振り込みができなくなりましたが、11日になっても復旧の見通しは立っておらず、システムを運営する団体は他行宛ての振り込みが遅延する可能性があるとしています。

  振り込みが遅延する可能性があるのは、・・・三菱UFJ銀行りそな銀行埼玉りそな銀行関西みらい銀行山口銀行北九州銀行三菱UFJ信託銀行日本カストディ銀行JPモルガン・チェース銀行もみじ銀行商工組合中央金庫・・・の11の金融機関です。
  一般社団法人、全銀ネット=「全国銀行資金決済ネットワーク」は、金融機関どうしの資金のやり取りを担うシステムに10日の朝、不具合が見つかりこの影響で11の金融機関で他行宛ての振り込みができなくなったとして、10日の夜までにおよそ140万件の取り引きに影響が出たことを明らかにしていました。
  全銀ネットは11日になっても復旧する見通しが立っていないとしていて別の手段で振り込みができるよう対応するとしていますが、振り込みの取り引きが通常より遅延する可能性があるとしています。


2023.10.10-産経新聞-https://www.sankei.com/article/20231010-VYSXCLDSVRO2BOXATEQUCLAW5M/
全銀システム障害140万件に影響 振り込みできず

  銀行業界でつくる全国銀行資金決済ネットワーク(全銀ネット)は10日、「全国銀行データ通信システム(全銀システム)」で障害が発生したと発表した。三菱UFJ銀行など11行で、午前8時半ごろから他行宛ての振り込み取引ができない状況に陥ったATMでの現金の引き出しなどはできる。全銀ネットによると、約140万件の取引に影響が及んだという。10日午後8時時点で全面復旧の見通しは立っていない。

  システム障害が発生しているのは、三菱UFJ銀に加え、りそな銀、埼玉りそな銀、関西みらい銀、山口銀、北九州銀、三菱UFJ信託銀、日本カストディ銀、JPモルガン・チェース銀、もみじ銀と商工組合中央金庫の11行。銀行利用者に影響が出る障害は昭和48年の稼働以来初めて。
  全銀ネットの関係者によると、全銀システムと各行をつなぐ中継コンピューターが保守期限を迎えたため、3連休中にシステムの更改作業を行っており、その後に障害を検知した。現在、詳しい原因を調べている
  10日は140万件に影響が及んだが、バックアップ手段を使って、100万件が同日中に着金した。残りの40万件は10日夜間や翌日に処理する。11日以降の取引については「代替えで対応する」(全銀ネット)
  みずほ銀行も障害が発生した金融機関に振り込みする場合に遅延が起きたという。


2023.10.10-産経新聞-https://www.sankei.com/article/20231010-BYUXSGFBBBLTFAQSHMX2UTU3NU/
<独自>ビッグモーターが損保ジャパンに〝捏造情報〟で取引再開促す

  中古車販売大手ビッグモーター(BM)の自動車保険の保険金不正請求問題で、損害保険大手3社が昨年6月にBMへの事故車斡旋(あっせん)を止めた後、BMが損害保険ジャパンに対し、競合他社が保険契約の獲得に動いている旨の情報を伝えていたことが10日、分かった。競合他社はこうした事実はなかったと否定しており、BMが捏造した情報を使って取引再開を促した可能性がある。損保ジャパンもBMの不正追及より、自社の利益を優先して事故車の斡旋再開を決めたとみられる。

  BMによる情報を受けて損保ジャパンは保険契約を競合他社に奪われることを危惧情報の精査をせず、昨年7月25日に3社で唯一、再開に踏み切った
  損保各社はBMと代理店委託契約を結び、事故車の修理を斡旋する見返りに自動車損害賠償責任保険(自賠責保険)を割り振られていた損保ジャパンと東京海上日動火災保険、三井住友海上火災保険は昨年6月に不正を受け斡旋を停止した。
  関係者によると、BMはその後、大手4社のうち残る1社のあいおいニッセイ同和損害保険から「将来に向けて提案があった」などという情報を損保ジャパンに水面下で〝耳打ち〟。自賠責保険をあいおいニッセイ同和に割り振るという情報もあったという。
  また、あいおいニッセイ同和だけでなく、同じグループの三井住友海上が不正疑惑の追加調査を望んでいないとも伝えた。疑念に駆られた損保ジャパンは三井住友海上に事実関係を照会。三井住友海上は「事実無根だ」という趣旨の回答をした。
  それでも、昨年7月6日の損保ジャパンの役員会議では、専務執行役員だった中村茂樹氏が「不穏な動きがある。三井住友海上があいおいニッセイ同和と連携しているのは間違いない」と発言。白川儀一社長はBMの不正は「クロが推測される」としながら、関係悪化を恐れ斡旋再開を決めた。
  同月11日にBMの当時の兼重宏行社長が損保ジャパンを訪れる予定だったため、損保ジャパンは判断を急いだ可能性もある。飯豊聡副社長は役員会議で「プライドの高い兼重社長が当社に来ること自体、(斡旋の停止などで)相当にお灸は効いている」と述べ、追加調査で関係悪化を招くことは避けるべきとした。
  金融庁も同様の情報を入手。今年9月、三井住友海上に対して新たな報告徴求命令を出し、一連の経緯について説明を求めている錯綜する情報を精査し、斡旋再開の真相をつまびらかにする構えだBMは損保ジャパンに早期の取引再開を促すために揺さぶりをかけたかについて「回答を控える」としている。


2023.10.01-NHK NEWS WEB-https://www3.nhk.or.jp/news/html/20231001/k10014212041000.html
「インボイス制度」1日から始まる 現場ではどう対応?

  消費税の納税額の正確な把握を目的とした新しい税額控除の方式、「インボイス制度」が10月1日始まりました。制度に登録する小規模事業者は、新たに納税の義務を負うことになることから、国は負担を軽減するための経過措置を設けるとともに、事業者向けの説明会を開催するなどして、引き続き、制度への理解を求めていくことにしています。
  「インボイス」は事業者どうしの取り引きで発行される新しい形式の請求書やレシートで、10%と8%、それぞれの税率ごとの消費税額がいくらかなどを記載します。
  「インボイス制度」は、食品など一部の品目で、消費税の税率を8%に据え置く軽減税率が導入される中、納税額を正確に把握することなどを目的に、10月1日始まりました。
  これからは、事業者が仕入れなどで取り引き先に払った消費税額の控除や還付を受ける際、インボイスが発行されていることが条件となり、インボイスを発行する事業者は国への登録が必要です。一方、年間の売り上げ1000万円以下の小規模事業者が登録をする場合、これまでは免除されていた国への消費税納付の義務を新たに負うことになります。
  国は登録した小規模事業者の当面の負担を抑えるため、国への消費税の納付額を3年間軽減する経過的な措置を設けています。また制度に登録していない事業者と取り引きする事業者についても、あわせて6年間、消費税の納付額から一定割合の控除が認められる経過措置がとられます。
  1日以降も、事業者がインボイスを発行するための登録は可能になっていて、国は今後も説明会を開くなどして制度への理解を求めることにしています。

  インボイス制度の開始に合わせ、都内を走る個人タクシーのおよそ6割が加盟する「東京都個人タクシー協同組合」では、10月1日から制度に登録しているタクシーは「黄色」、登録していないタクシーは「白」と、車両の上に設置する「あんどん」の色を使い分けることなどを加盟事業者に依頼しています。タクシーを業務で利用して経費処理しようとする場合に、支払った消費税分の控除を受けられるかどうか、利用しようとする人が見分けられるようにするためです。この組合の場合、99%以上の個人タクシーがインボイス制度への登録を行っているということです。
  一方、制度に登録しない判断をした個人タクシーの事業を、不当に制限することは認められません。組合は公正取引委員会などとも協議を重ねた上で対応を決めたということです。
  東京都個人タクシー協同組合の櫻井敬寛理事長は、「加盟する事業者の多くが法人を顧客としているため、何らかの対応が必要だと判断しました。慣れない制度なのでさまざまな問い合わせも来ると思いますが、できるだけ丁寧に対応していきたい」と話していました。
絵本の出版社「会社が負担を受け入れる」
  東京・文京区にある絵本や紙芝居の出版社、「童心社」は「いないいないばあ」や「おしいれのぼうけん」など、世代を超えて愛される多くの作品を世に出してきました。作家やデザイナー、イラストレーターなど、取り引き先の8割が、年間の売り上げ1000万円以下の事業者で、インボイス制度に登録した場合、これまで免除されていた消費税納付の義務を負うことになります。この会社では、ことしの初め、「制度が始まってからもインボイス発行は求めず、取り引き条件は変更しない」と取り引き先に書面などで伝えたということです。取り引き先の負担を考え、対応を決めたということですが、会社が国に納める消費税の額は、経過措置が実施されることを考慮して最初の3年間で年に400万円ほど、最終的には年に2000万円ほど今までより増える試算です。
  少子化で絵本などの売り上げが減る中、先行きに不安があるため会社は経費削減などを進めたいとしています。
童心社の後藤修平社長は「広く知られている先生でも収入面は厳しく、今より負担が増えれば生活できなくなる可能性もあります。先生ごとに特色があって、ほかに変えればよいというわけにはいきませんし、会社が負担を受け入れる以外に選択肢はありません。
  劇的な策は無いですが、負担に耐えられる経営体質に変えていきたい」と話していました。
  童心社から紙芝居の作品を出版している作家の松井エイコさんは「安心して作品をつくることに集中してくださいと言われたようで、私たちを守ろうとしてくれていると感じ、深い敬意を持ちました」と話していました。
専門家「多くの国民が共有すべき新しい社会変革」
  国税庁の元職員で税制度や税務行政に詳しい中央大学法科大学院の酒井克彦教授は、「インボイス制度が物価にもたらす影響もあると思われることから、消費者も決して“単なる観客”ではいられない。制度に登録するかしないかや、それにともなってどれだけ消費税分を上乗せするかしないかなどを、すべての事業者が悩んで検討した結果が今後の価格などに反映されるわけで、こうした事情を理解した上で、多くの国民が共有すべき新しい社会変革だと認識する必要がある」と指摘しました。その上で、「現場では多くの課題が出てくると思われるが、それらを一つずつ解決しながら前に進むことが求められ、国は今後、より柔軟な行政や税の執行のあり方を考えていくことが必要だ」と話していました。


2023.09.30-産経新聞-https://www.sankei.com/article/20230929-PIEPCN5VXJNX7KR27UVJ6TAE2A/
「住宅情報館」も除草剤散布 川崎の店舗、街路樹枯れる

  不動産仲介などを手がける「住宅情報館」の生田店(川崎市多摩区)前で令和4年、街路樹が枯れているのが確認され、店側が川崎市に除草剤をまいたと認めたことが29日、市への取材で分かった。店側は原状回復の意向を示しているという。市は、本社の関与があったかどうかは不明としている。

  市によると、樹木の維持管理業者が見つけて4年11月、市に連絡した。市が同月中に調べたところ、低木22本と高木2本の葉などが枯れており、店側の説明で、店長が4年7月に除草剤をまいていたことが判明した。
  川崎市では、ビッグモーターの川崎店前で街路樹が伐採されたことが発覚。神奈川県警と警視庁は今月、川崎店前などでの器物損壊容疑で東京都港区のビッグモーター本社を家宅捜索した。


2023.09.25-産経新聞-https://www.sankei.com/article/20230925-EDQOTMAX5NPSZDHBOEGPGWIJKI/
学校給食停止 提供元の会社が破産 コロナ、食材高騰で経営難に

  広島市中区の食堂運営会社「ホーユー」が学校給食の提供を突然停止した問題を巡り、広島地裁は25日、同社の破産手続き開始を決定した。破産管財人が明らかにした。負債総額は約16億8千万円。新型コロナウイルスの影響による売り上げの減少と食材の値上がりで業績が悪化した。

  ホーユーは9月に入り、契約する全国約150施設のうちおよそ半数への食事提供を中止していた。従業員への給与未払いも明らかになった


2023.09.25-産経新聞-https://www.sankei.com/article/20230925-I7AERXRSKBKPFGNMPKX66QCF2Q/
10月から「年収の壁」解消策 首相表明、人手不足懸念
(大島悠亮)

  配偶者に扶養されるパート従業員らが社会保険料の負担を避けるため、働く時間を抑える「年収の壁」の解消に向け、岸田文雄首相は25日、支援強化パッケージを週内に決め、来月から実施する考えを表明した。働き手が就労調整せずに済む環境を整え、企業の人手不足解消につなげる狙いがある。政府は当初、年末の策定を目指していたが、今年度の最低賃金が軒並み引き上げられたことも踏まえ、策定を前倒しした。

  首相は、従業員101人以上の企業で社会保険料の納付義務が生じる「106万円の壁」に関し、手当の創設や賃上げで労働者の収入を増加させる取り組みを行った事業主に、従業員1人当たり最大50万円を支給する助成金制度を創設すると言及した。
  パッケージには、従業員100人以下の企業で会社員の夫らの扶養から外れて社会保険料の納付義務が生じる「130万円の壁」について、保険者の判断で2年までは130万円を超えても扶養にとどまれる内容も盛り込まれる見通しだ。
  厚労省は「106万円の壁」を意識する層は約61万人に上ると推計している。子育て世帯に対象者が多いことも踏まえ、政府が6月に策定した「こども未来戦略方針」では、対策のパッケージについて「当面の対応を本年中に決定した上で実行」するとしていた。
  ただ、先月出そろった各都道府県の今年度の最低賃金では、10月以降の全国加重平均額が前年比43円増の1004円となった。昨年と同じ労働時間で働いても年収が増え、「壁」を意識する働き手が増える可能性が出てきたことから、対策の策定を急いだ。年末に予想される人手不足を少しでも和らげる狙いがある。

  一方で、政府が今回の対策パッケージを「当面の措置」としたのは、5年に1度行う年金制度改革を2年後の令和7年に控えていることも念頭に置いている
  厚労省は21日の社会保障審議会(厚労相の諮問機関)年金部会で「年金の壁」の制度改正に向けた議論をスタートさせた。審議会では、年収が増えても手取りが減少しない制度案が複数提示された。
  サラリーマン世帯の専業主婦は昭和60年の年金改正で、自ら保険料を支払う必要のない国民年金の「第3号被保険者」の対象となっているが、会合では、自営業者らが保険料を自ら負担していることを踏まえ、「不公平感が強い」といった異論が相次いだ。
  厚労省は来年には制度見直し案をまとめたい考えだ。複雑化した制度は分かりにくい現状もあり、国民の納得が得られる見直しが求められる。
(大島悠亮)


2023.09.21-産経新聞-https://www.sankei.com/article/20230921-CSLQ5BWMVNOEFPTLOMM566AZHU/
日野自動車、商用車連合復帰へ 豊田会長表明、不正で除名

  日本自動車工業会の豊田章男会長(トヨタ自動車会長)は21日、オンラインで記者会見し、トヨタなどがつくる商用車連合に日野自動車を復帰させると表明した。エンジン試験データを改ざんした不正を理由に昨年除名されていた。

  豊田氏は、日野自が信頼回復に取り組んでおり、世間からの評価も踏まえたと説明した。脱炭素や物流の課題解決に向けて「日野の力も必要だ」と指摘した。
  商用車連合はトヨタ、いすゞ自動車、スズキ、ダイハツ工業の共同出資会社「コマーシャル・ジャパン・パートナーシップ・テクノロジーズ(CJPT)」(東京)で、日野自は昨年8月に除名された


2023.09.21-産経新聞-https://www.sankei.com/article/20230921-XY2SOTTSSVH2NJFFB3FZSAWL5E/
知らぬ間にギフトカードを大量購入 アマゾンで不正アクセス被害、SNS投稿相次ぐ

  通販大手アマゾンのアカウントに不正アクセスされたというSNSへの投稿が、9月に入って相次いでいる知らない間にギフトカードを大量に購入されたという被害を訴えるものが多く、セキュリティーを強化するために2段階認証を設定していても破られたケースもある。手口の詳細は不明だが、専門家は被害を防ぐには、不審なメールやサイトへの注意が必要だとしている。

  「アカウントやられてアマギフ50000円買われた」-「私もやられました。請求くるまで全然気付かなかった」
  被害の多くに共通するのは、気付かぬうちに換金性が高いギフトカードを購入され、クレジットカードの請求が届いて驚く、という点だ。2段階認証を導入しているため安心していたり、アマゾンの注文履歴を非表示に設定されて気付くのが遅れたというケースもあった
  一連の不正アクセスの手口はまだ明らかになっていないが、警察庁が21日発表した今年上半期のサイバー犯罪状況では、メールやSMS(ショートメッセージサービス)で偽サイトに誘導し、IDやパスワードを盗み取るフィッシングと呼ばれる手口の被害が増加。情報セキュリティー会社トレンドマイクロの成田直翔さんによると、令和元年頃からネットバンキングを狙ったフィッシング詐欺が増え「その後は携帯電話事業者、さらに通販サイトへと被害の裾野が広がってきている」という。
  少しでも被害を防ぐには、アマゾンからの注文確認メールや、注文履歴から非表示にされているものがないかの確認が必要成田さんは「偽サイトは見た目もURLも本物に似せているため、見分けるのは難しい」と指摘。アマゾンを装った偽SMSも確認されており、「正規のサイトをブックマークし、そこからアクセスすることを心がけてほしい」と呼び掛ける。
  アマゾンは「身に覚えのない注文など不明な点があったら、カスタマーサービスに連絡してほしい。速やかに調査し適切に対応する」としている。


2023.09.21-産経新聞-https://www.sankei.com/article/20230921-ELOWKDYBAFMTXGP2R6RGOTMDSI/
日本テレビ、スタジオジブリを子会社化 株式取得

  宮崎駿監督のアニメーション映画などを製作するスタジオジブリ(東京都小金井市)は21日、同社で記者会見を開き、日本テレビがスタジオジブリの株式を取得し、子会社化すると発表した。スタジオジブリ社長の鈴木敏夫氏は「ジブリは長く後継者不足に悩んできたが、日本テレビさんに経営を任せることにした」と話した。

  会見には鈴木氏のほか、日本テレビの杉山美邦会長らが出席。鈴木氏によると、最初は宮﨑駿監督の長男、宮崎吾朗氏にスタジオジブリの全てを任せることを考えたが、吾朗氏が「1人では無理だ」と固辞。「そこで都合のいい話だけれど、日本テレビさんに経営を任せて、ジブリは製作に専念するということになった」と説明した。
  杉山会長は「『金曜ロードショー』の縁もあり、日本テレビにとっても有り難い話。本日午前の取締役会で賛同を得た」と明らかにした。
  株式取得の契約締結日は10月6日。子会社化後のスタジオジブリの役員は、取締役名誉会長に宮﨑駿氏、代表取締役議長に鈴木氏、代表取締役社長に福田博之氏(日本テレビ取締役専務執行役員)、代表取締副社長に中島清文氏、常務取締役に宮崎吾朗氏。
  鈴木氏は「議長」という肩書きについて、会見で「カストロ議長をイメージした。何をやるかは分からない」と話した。


2023.09.19-産経新聞-https://www.sankei.com/article/20230919-Y3ZFHLFZNBORHOOVFHSQIIHMFU/
金融庁、ビッグモーターに立ち入り検査、損保ジャパンも

  中古車販売大手ビッグモーター(BM)による自動車保険の保険金不正請求問題金融庁は19日午前、BMと損害保険ジャパンへの立ち入り検査を始めた。事故車の修理で故意に車体を傷付けて保険金を水増し請求していたBMと、同社の不正を知りながら取引を再開した損保ジャパンとのもたれ合いの実態解明を急ぐ。

  午前9時ごろ、多くの報道陣が詰めかける中、10月から本社・本店となるBM多摩店(東京都多摩市)に金融庁の検査官が立ち入り検査に入った。多摩店には保険代理店業務を統括する機能がある。午前10時ごろには損保ジャパン本社(東京都新宿区)にも検査官が検査に入った。
  損保ジャパンなど損害保険大手3社は昨年6月、不正請求の疑いが浮上したことを受けてBMへの事故車の斡旋(あっせん)を停止したが、同7月に損保ジャパンだけが再開した
  金融庁は再開の経緯に強い関心を寄せており、同社が不正の温床となった「完全査定レス」と呼ばれる簡易調査を導入した事情も詳しく調べる方針だ。
  損保ジャパンの親会社、SOMPOホールディングス(HD)の監督責任も焦点となる。損保ジャパンの取締役を兼務しているSOMPOHDの桜田謙悟会長兼グループ最高経営責任者(CEO)が不正を把握した時期や対応も確認し、ガバナンス(企業統治)が機能していたかどうかも調べる。
  金融庁は立ち入り検査で問題が認められれば、保険契約者保護の観点から業務改善命令などの行政処分を出す。


2023.09.17-朝日新聞-https://www.asahi.com/articles/ASR9K6QFZR97UHBI00S.html?iref=comtop_BreakingNews_list
シャープ買収の鴻海元会長、台湾総統選の署名開始 中国の介入焦点に

  来年1月の台湾総統選に向け、大手電機メーカー「鴻海(ホンハイ)」の郭台銘(テリー・ゴウ)元会長(72)が17日、無所属での立候補に必要な約29万人分の署名集めに乗り出した。4人が立候補を表明する中、民進党政権の打倒を掲げ、他の非与党陣営に統一候補の実現を迫る考えだ。過去に選挙への介入を図ってきた中国の今後の動きも焦点になる。

  郭氏は17日、中央選挙委員会に署名活動の実施を届け出た副総統候補には著名俳優の頼佩霞氏(60)を選んだが、陣営は「野党共闘」が実現すれば、副総統候補を差し替えるとしている。署名集めは11月2日までで、規定数に達した場合、11月20~24日に立候補を届ける必要がある。
  総統選にはほかに、民進党・蔡英文(ツァイインウェン)政権の継承を目指す頼清徳(ライチントー)副総統(63)、最大野党・国民党の侯友宜(ホウユーイー)新北市長(66)、第3勢力・台湾民衆党の柯文哲(コーウェンチョー)前台北市長(64)が党公認で立候補を予定する。台湾メディア「美麗島」の9月上旬の世論調査では、頼氏が他候補の約2~4倍に上る4割近い支持を得ている


2023.09.13-読売新聞-https://www.yomiuri.co.jp/economy/20230913-OYT1T50182/
エアバス用エンジンに亀裂の恐れ、日本メーカーにも巨額負担の可能性

  【ニューヨーク=小林泰裕】米航空防衛大手RTX(旧レイセオン・テクノロジーズ)は、欧州エアバス機向けエンジンに不具合が見つかり、大規模点検を行うと発表した。米メディアによると、点検のため2026年まで年平均約350機のエアバス機が運航停止になる可能性がある。

  対象は傘下企業が製造した航空機エンジン600~700基で、エアバス製「A320neo」に搭載されている。欧米メディアによると、部品に亀裂が生じる恐れがあるという。
  ANAホールディングスは運航する機体の1割強にあたる33機が点検対象になると明らかにしたが、当面の運航に影響はないと説明している。日本航空には対象の機体はないという。
   エンジンの開発に参画するIHIは業績に影響が出るとの見通しを発表した。金額は算定次第としたが、SMBC日興証券は、IHIの関連費用は8・8億ドル(約1300億円)に達する可能性があると指摘した。開発に関わる川崎重工業や三菱重工業にも負担が発生する恐れがある


2023.09.06-毎日新聞-https://mainichi.jp/articles/20230906/k00/00m/040/245000c
街路樹枯死疑い ビッグモーター3店舗に初の強制捜査、神奈川県警
【柿崎誠】

  中古車販売大手「ビッグモーター」の全国各地の店舗前で街路樹が枯れるなどした問題で、神奈川県警は6日、器物損壊容疑で県内3店舗に家宅捜索に入った。捜査関係者への取材で判明した。街路樹の問題を巡り、同社に強制捜査が入るのは全国で初めて。

  家宅捜索が行われたのは川崎店(川崎市川崎区)と藤沢店(藤沢市)、平塚四之宮店(平塚市)。街路樹を管理している県などが被害届を提出していた。いずれも同社は県などの聞き取りに対し店舗前での除草剤散布や伐採を認めている。
  ツツジ6本が伐採された川崎店には6日夜、複数の捜査員が店舗内に入り、店内のパソコンを確認したり、カメラで撮影したりしていた。
  捜査関係者によると、同社の街路樹の問題を巡っては、警視庁など約10の警察本部に計二十数件の被害届が出ている。【柿崎誠】


2023.08.31-読売新聞-https://www.yomiuri.co.jp/economy/20230831-OYT1T50117/?dicbo=v2-Jg9uBxB
セブン&アイ、「そごう・西武」の売却を最終決定…臨時取締役会で決議

  セブン&アイ・ホールディングスは31日、傘下の百貨店「そごう・西武」を9月1日付で米投資ファンドに売却することを最終決定した。同日午前9時に開いた臨時取締役会で決議した。

  売却額は、そごう・西武の企業価値として見積もられた2500億円から、負債額などを踏まえて2200億円程度に減額するほか、そごう・西武に対する貸付金の約1600億円のうち、900億円程度を放棄する見通しだ。
  一方、売却に反発するそごう・西武労働組合は同日、西武池袋本店(東京都豊島区)でストライキを実施している。大手百貨店でのストは61年ぶりで、同店は全館で臨時休業となった。


2023.08.25-RESPONSE-https://response.jp/article/2023/08/25/374516.html
ビッグモーター保険金問題で「臭い物に蓋」…東京海上も代理店契約を解除、金融庁は損保ジャパン立ち入りへ[新聞ウォッチ]

  中古車販売大手のビッグモーターによる保険金の不正請求疑惑の発覚を受け、保険代理店契約を結んでいる東京海上日動火災保険でも10月1日付で委託契約を解除するという。

◆三井住友海上火災保険も契約終了を視野に協議
  東京海上は不正請求を受けて導入する再発防止策も発表。今後は修理工場ごとの修理費の推移を分析するシステムを開発し、著しく修理費が高い場合には社員が立ち会う仕組みを導入するそうだ。
  すでに損害保険ジャパンが契約の解除で合意したほか、三井住友海上火災保険も契約終了を視野に協議を進めており、「臭い物に蓋をする」ことで、持ちつ持たれつともいわれている癒着の関係を断ち切りたいとする狙いが透けて見える。
◆損害保険ジャパンに対し金融庁が立ち入り検査を検討
  その損害保険ジャパンに対し、監督官庁の金融庁が、保険業法に基づく立ち入り検査を9月にも行う方向で検討しているそうだ。きょうの産経や東京が報じており、「ビッグモーターへの出向者の役割や事故車両の斡旋再開の経緯を中心に、癒着の構図を解明。保険契約者の保護に関わる問題があれば、業務改善命令などの処分を視野に入れる」とも伝えている。
  金融庁と損保業界との官民のただならぬ関係も気がかりだが、一連の不正のツケが,回り回って、結果的にバカ高い保険金を支払うことにもなる保険契約者をどう守るのかどうかも問われている。


2023.08.24-産経新聞-https://www.sankei.com/article/20230824-MZZDNMMTRBI7NOC6NKFNBGI44I/
東京海上日動がビッグモーターを代理店から除外へ 既加入者は別の代理店で取り扱い

  東京海上日動火災保険は24日、自動車保険金の不正請求が明らかになった中古車販売大手ビッグモーターを代理店から除外するため、委託契約を10月1日付で解約すると発表した。損害保険ジャパンに続く動きで、ビッグモーターは東京海上や損保ジャパンの保険を販売できなくなる。大手損保の相次ぐ解約でビッグモーターの社会的信頼はさらに低下しそうだ。

  ビッグモーターを通じて東京海上の保険に加入した人の契約は引き続き有効で、契約者の意向を踏まえて他の代理店で取り扱う。対象の契約者には書面で案内する。
  東京海上は、事故で車が破損した契約者に特定の修理工場を紹介する制度の見直しも併せて発表した。大手損保とビッグモーターが持ちつ持たれつの関係になる一因になったと指摘されている。今後は契約者が基準を満たす近隣の工場を選べるようにする。東京海上は「顧客の利便性を高めるため」と説明している。


2023.08.23-読売新聞-https://www.yomiuri.co.jp/economy/20230823-OYT1T50117/
自動車修理代の水増し、上場企業に飛び火…グッドスピードに保険金不正請求の疑い

  中古車販売業のグッドスピードは23日、過去の保険金の請求を巡り損害保険会社から調査協力を求められていると発表した。同社は開示資料で「調査協力を求められ対応していることは事実であり、詳細については調査中」と説明。ビッグモーターによる保険金不正請求問題が他社にも広がる可能性が出てきた。

  グッドスピードは2002年創業で、成長企業向けの東証グロース市場に上場している。本社は名古屋市で、愛知県など東海地区を地盤とし、スポーツ用多目的車(SUV)を中心に中古車の販売や買い取りを手がけている。
  関係者によると、同社は事故車の修理費を水増しして保険金を請求していた疑いが出ている。一部の損保会社は金融庁にもこうした事実関係を報告したという。
  ビッグモーターによる保険金の不正請求問題の発覚後、大手損保は他の事業者でも同様の事例がないか調査を行っていた。


2023.08.23-産経新聞-https://www.sankei.com/article/20230823-S57ZZ4WZ5FMNHFHUEHCQDBEJMQ/
ビッグモーター幹部、除草剤散布認め謝罪 茨城・埼玉の5店舗

  茨城県と埼玉県は23日、中古車販売大手ビッグモーターが、両県の計5店舗前の植え込みに除草剤をまいていたことを認め、同社幹部から謝罪を受けたと明らかにした。店舗前では街路樹の枯死や消失がみられ、両県は同社に原状回復を求める。

  茨城県内で除草剤がまかれたのはつくば市、阿見町、ひたちなか市の3店舗。このうちつくば市の店舗に関して、県警に器物損壊容疑で被害届を提出する方針。残りの2店舗は除草剤がまかれたとみられる時期から、同容疑の時効を迎えている可能性が高いといい、断念した。
  埼玉県では同社幹部が県に2店舗の散布を報告。当初否定していた八潮店(八潮市)に関し、前店長が令和4年7月から月1回程度、切り株の周りにまいていたことを新たに認めた。八潮店を巡っては3年夏にケヤキの枯死が確認されて県が伐採した経緯があり、県は切り株の調査も行う方向で調整する。


2023.08.22-Yahoo!Japanニュース(東洋経済)-https://news.yahoo.co.jp/articles/2e739badf5a5ec1db7324e994cc84a804921eb94
ビッグモーター不正が開けた「パンドラの箱」。中古車販売グッドスピードも保険金水増し請求
中村 正毅 :東洋経済 記者

(1)
  ビッグモーターによる保険金不正請求問題の火の手が、ついに同業大手にも広がり始めた。東証グロース上場で中古車販売大手のグッドスピードが、事故車修理費用(保険金)を水増し請求していることが新たにわかった。

  損害保険会社がビッグモーター以外の中古車販売会社を対象に、これまでの修理案件を改めて精査する中で疑義のある案件が表面化し、すでに金融庁に任意で報告したもようだ。
  ■グッドスピードは「過失」と主張
  グッドスピードは愛知県を地盤に店舗展開しており、SUV(スポーツ用多目的車)の販売に強みを持つ。中古車の買い取りのほか、車検整備、板金塗装、保険代理店事業も手掛けており、事業構造はビッグモーターとほぼ同じだ。保険の幹事会社はあいおいニッセイ同和損害保険が務めている
  水増し請求について、グッドスピードは事務ミスといった「過失」によるものだと弁明しているもようだ。故意なのか、また保険契約獲得の見返りに修理費の査定を甘くしてもらうといった損保との癒着があったのかどうか、という調査・検証はまさにこれから進めることになる。
  グッドスピードは水増し請求の疑義について「担当者が不在のため、コメントできない」としている。
  そもそも、ビッグモーターによる不正が発覚したときから、同業者においても水増し請求が顕在化するのは時間の問題とみられていた。「板金業界ではこれまでにも保険金請求に当たって、過剰な修理や実際に施工した工数以上の請求といったことは、業者の規模にかかわらず常態的に行われてきた」(ビッグモーターが公表した調査報告書)からだ。
  実際に2022年末から2023年6月にかけて、トヨタ自動車系列の販売会社ネッツトヨタ茨城とトヨタカローラ静岡で、板金塗装作業の内容を偽って保険金を水増し請求したとして、謝罪文を公表する事態が起きている。さらに言えば、系列販売会社による不正は板金だけではない。
  車検整備においても、2021年にトヨタ系列の15社16店舗で速度計の検査を省略するなどといった不正があったことが判明している。2022年にはホンダ系列でも不正車検が発覚し、東京都内の一部店舗が自動車整備事業の指定を国土交通省から取り消されている。車検や板金における個別の不正行為は、もはや枚挙に暇がない状況にあるわけだ
(2)
  自動車、整備・板金、損保の各業界がときにもたれ合い、不正行為が水面下で横行するという状況で、大きな懸念の一つが自動車保険全体の保険料への影響だ。
  ■保険料の”過払い金”が発生している可能性
  ビッグモーターの不正問題では、保険料計算の目安となる「参考純率」を決める損害保険料率算出機構が、「不適切な請求が判明したケースについては保険会社にそれらの報告を求め、参考純率の算定に反映」する方針を示している。不正の規模によっては保険料の“過払い金”が発生している可能性があるわけだ。
  一方で不正請求の規模は、「ビッグモーターで年間数億円とみられ、保険料への影響は平均で数十円程度ではないか」(大手損保役員)との見方がある。そのため、大手損保各社では保険料への影響は限定的と見越していたものの、完成車メーカーの系列会社をはじめとして今後不正請求が相次いで発覚するようなことになれば、その影響はもはや無視できなくなる
  ビッグモーターの不正問題をきっかけにして、自動車修理をめぐる「パンドラの箱」が開いてしまった今、騒動に群がるようにして国会議員たちも大きな関心を示している。かつて、公正取引員会からカルテルの疑いで注意を受けた「修理単価(レバーレート)」についても、不正請求の背景にあるのではと問題視する声が政府・与党内で急速に強まっていることもあり、火の手は収拾がつかないほど広がり始めている
中村 正毅 :東洋経済 記者


2023.08.19-日刊スポーツ(KYODO)-https://www.nikkansports.com/general/news/202308190001234.html
ビッグモーター90億円返済 銀行が借り換えに応じずも内部留保に余裕あり

  中古車販売大手ビッグモーター(東京)が取引銀行に対し、返済期限が迫っていた借入金90億円を18日までに返済したことが19日、分かった
  銀行が借り換えに応じていなかった内部留保に余裕があり、直ちに資金繰りが行き詰まる状況ではないものの、自動車保険の不正請求問題で販売不振に陥っており、会社存続を巡る正念場が続いている。

  ビッグモーターは10日に銀行団との会合を東京都内で開き、三井住友銀行など3メガバンクと地方銀行の広島銀行に借り換えを要請。一連の問題でガバナンス(企業統治)不全が露呈し、金融庁や国土交通省が調査に乗り出している状況などを踏まえ、4行は借り換えを認めなかった
  関係者によると、大手監査法人デロイトトーマツグループのデロイトトーマツファイナンシャルアドバイザリーが、ビッグモーターの経営再建を手伝っているが、道は険しい。ビッグモーターは中古車の買い取りや販売が半減。信販会社のジャックスやプレミアグループが自動車ローンの新規受け付けを止めたこともあって、業績の悪化に拍車がかかっている。(共同)


2023.08.16-産経新聞-https://www.sankei.com/article/20230816-CVLJSQQZ7FPJTOAYIAUDINLKUE/
元店長が除草剤散布を指示 神奈川のビッグモーター

  中古車販売大手ビッグモーターの店舗周辺で街路樹が枯れていた問題を巡り、神奈川県内の2店舗で元店長が除草剤散布を従業員に指示していたことが分かった。16日に同社幹部から説明を受けた県担当者が記者団に明らかにした。幹部は県側に「本社から各店舗へ統一的な指示は確認できなかった」とも報告した。

  県によると、2店舗は平塚四之宮店(平塚市)と藤沢店(藤沢市)。元店長の2人は、いずれも倒木の危険があるとして、県が伐採した当時務めていた。
  同社幹部の説明では、昨年11月に伐採した平塚四之宮店の元店長は同社の調査に対し、除草剤散布の指示を認めた一方で「歩道までまけと言ったつもりはなかった」と釈明したという。


2023.8.16-産経新聞-https://www.sankei.com/article/20230816-FFGA2K27VRLLXMXTA5AYW4STN4/
ビッグモーター都内9店舗付近で除草剤

  中古車販売大手ビッグモーターの店舗周辺で街路樹が不自然に枯れるなどしている問題で、東京都が実施した都内14店舗付近にある街路樹の土壌調査の結果、うち9店舗で除草剤の成分を検出したことが16日、都への取材で分かった。都は被害届の提出について警視庁に相談する方針で、ビッグモーター側への聞き取りも検討している。

  都はこれまでに、都内18店舗のうち8店舗で、近くの街路樹が枯れたり、作為的に伐採されたりしているのを確認。都道に面していて街路樹のある14店舗の付近で土壌調査をしていた。


2023.08.15-産経新聞-https://www.sankei.com/article/20230814-2UDVKFGHHZIU5PTDJJSWJKXDXU/
ビッグモーターの90億円借り換え要請、銀行団は応じず

  中古車販売大手、ビッグモーターの借入金90億円の借り換えをめぐり、取引のある銀行団が要請に応じない方針を伝えていたことが14日、わかった。自動車保険の不正請求問題を受けて、顧客離れが進んでおり、融資のリスクが大きいと判断した。週内に借り入れ期限を迎えるが、ビッグモーターは現預金を取り崩して返済する見通しだ。

  ビッグモーターは不正問題で販売が大きく落ち込んだため、10日に銀行団と東京都内で会合を開き、借り換えを要請していた。取引銀行は三井住友銀行、三菱UFJ銀行、みずほ銀行の3メガバンクのほか、地方銀行の広島銀行など
  関係者によると、ビッグモーターの業績は令和4年9月期の売上高は約5900億円で最終利益は約185億円。4年9月末時点で現預金は約320億円ある。同社は現預金から借入金を返済する見込み。
  ビッグモーターを巡っては、信販会社大手ジャックスが自動車ローンの新規受け付けを停止。中古車検索サイト「グーネット」も車の情報掲載を取りやめた。
  ビッグモーターの和泉伸二社長は7月の記者会見で、車の販売や買い取りの台数が通常時と比べて半減したと明かしており、事業を取り巻く環境は厳しさを増している。


2023.08.11-東京新聞-https://www.tokyo-np.co.jp/article/269582
ビッグモーターに賠償命令 水戸地裁、不当解雇認定

  中古車販売大手ビッグモーター(東京)の茨城県内の店舗に勤務していた車両整備士の30代男性が、上司の個人的な感情を理由に解雇されたとして、同社に約450万円の損害賠償を求めた訴訟の判決で、水戸地裁が不当解雇と認定し請求通りの賠償を命じた。11日、関係者への取材で分かった。

   同社は判決を不服として控訴。取材に「係争中の件に関しては回答を控える」とコメントした。判決は2月8日付。原告の男性は取材に「突然首にされて金銭や精神面で地獄だった。今回の判決が希望になればうれしい」と訴えた。
  判決によると、男性は2015年に同社と労働契約を締結。修理工程の管理などを担った。後に着任した工場長は「他の従業員が男性の意見に従うことが多く、自分の意見が聞いてもらえない」と感じ、エリアマネジャーにその旨を報告した。
  マネジャーと工場長は21年3月、男性と面談し、退職届を提出するよう求めた。男性は拒否し業務を続けたが、帰るよう言われ以後は出勤しなかった。会社側は、解雇ではなく、男性が退職を申し出たと主張していた。


2023.08.10-産経新聞-https://www.sankei.com/article/20230810-YL5IAZ2SENOVJPNKTIEQUP64RM/
ビッグモーター、銀行団に90億円借り換え要請 地行継続へ資金支援求める

  中古車販売大手、ビッグモーター(東京)は10日、取引のある銀行団と東京都内で会合を開き、8月半ばに期限を迎える借入金90億円の借り換えを要請した。同社は自動車保険の不正請求問題などを受けて販売が低迷しており、事業継続に向けて資金支援を求めた形だ。

  取引銀行は三井住友銀行、三菱UFJ銀行、みずほ銀行の3メガバンクのほか、地方銀行の広島銀行など。ビックモーターは会合で銀行団に現在の経営状況を説明した。各行はその場で結論を出さず、持ち帰って取引の継続を慎重に判断する方針を示した。


2023.08.08-media-https://www.hibiki-firm.com/businesssuccession42#:
響く税理士教会-コラム

インボイス制度は廃止される?
  令和5年10月よりインボイス制度の開始が行われることが発表されてから数年経ちます。これまでの間に、インボイス制度に対しては様々な意見があり、特に廃業に追い込まれる事業者が増加することが危惧されてきました。しかしながら、インボイス制度は廃止の予定は無く、特例等を利用しながら、事業者は適応をすることが求められています。
インボイス制度に対する各業界の反応
  インボイス制度に対しては様々な意見がありますが、政党としてインボイス制度を推進しているのは、2022年の参院選時点で自由民主党、公明党、日本維新の会であり、その他の政党においてはインボイス制度に対して不支持である姿勢を示しています。また、不支持の姿勢を示している団体が多くあります。日本税理士会連合会や全国青色申告会総連合、全国商工団体連合会等、日本経済に大きく寄与している団体が、不支持をしています。
不支持の姿勢、廃止の声を挙げている政党や団体が多くあるのは、何故なのでしょうか。
  インボイス制度の仕組みや、廃止の声の理由を紹介していきます。

インボイス制度とは
  インボイス制度とは、複数税率に対応した消費税の仕入税額控除の方式です。インボイス制度開始以後は、税務署長に申請して登録を受けた課税事業者であるインボイス発行事業者が交付するインボイス等の保存が仕入税額控除の要件となります。インボイスを交付することが出来る事業者は、インボイス発行事業者に限られます。インボイス発行事業者となるためには、登録申請手続を行い、登録を受ける必要がありますは、この登録には課税事業者であることが要件となります。
インボイス制度の目的
  インボイス制度の目的は、取引の透明性を高めて消費税額を正確に事業者同士が把握することといわれていますが、これとは別に益税の解消が大きな目的であるといわれています。益税とは、消費者が支払った消費税が国や地方自治体に納められず、事業者の手元に合法的に残ることをいいます。
  消費税は商品を購入した場合、購入をした消費者が負担をし、購入代金と共に消費税を受け取った事業者が消費者の代わりに納める、負担者と納税者が異なる間接税の仕組みが採られています。
  しかし、購入代金と共に消費税を受け取った事業者が、消費税の免税事業者に該当をする場合には、受け取った消費税を納める必要がありません。この仕組みにより従来の税制では、消費者が負担した消費税が合法的に事業者の手元に残る場合が多く見受けられました。
  しかしインボイス制度の下では、インボイスを発行するためには課税事業者である必要が発生します。これによりインボイスを発行したいと考える免税事業者は、課税事業者になる必要がある、つまり消費税を納める義務が発生するため、益税を得ることが出来なくなる、ということです。
  言い換えれば、インボイス制度の導入によって、益税となっていた事業者の手元にあった消費税が納付され、国の収入が増加することが見込まれるということになります。
廃止の声が大きい理由
  益税が解消されることで、国の収入の増加が見込まれるのであれば、多くの税金が国民に還元されるようになり、メリットがあるように見えます。それにも関わらず、多くの政党や団体が不支持ないし廃止を求めているのは、そのメリット以上に事業者への影響が大きいことが懸念されているためです。
業務負担の増加
  まず廃止の声が大きい理由のひとつに、各事業者の業務負担の増加が挙げられます。インボイス制度による業務負担は、売手側と買手側、双方が必要となります。
売手側の業務負担
  売手は買手に対して、正確な適用税率や消費税額等を伝えるために、買手から求められた場合にはインボイスを交付する必要があります。
  このインボイスの交付を行うためには、事前に納税地を所轄する税務署長に対して登録申請書を提出し適格請求書発行事業者になる必要があります。また、適格請求書発行事業者となりインボイスを交付する際にも、現行の区分記載請求書に加え、登録番号、適用税率及び消費税額等の記載が必要となり、書類やデータの書式を変更する必要があります。
買手側の業務負担
  買手は仕入税額控除の適用を受けるために、原則として、売手である登録事業者から交付を受けたインボイスの保存等が必要となります。
  免税事業者や消費者等の請求書発行事業者以外の者から行った課税仕入は、原則として仕入税額控除の適用を受けることが出来ないことから、インボイスと認められる請求書と、それ以外の請求書とを明確に分けて区分経理を行う必要があります。
消費税納税額の増加
  税制の変更には上記のような業務負担の増加は往々にして伴うものですが、廃止の声が大きい理由の最たるものとして挙げることが出来るのが、消費税納税額の増加に伴う、免税事業者への影響です。
免税事業者は課税事業者になる必要がある
  現行の制度において免税事業者である事業者が、インボイスを発行するためには、課税事業者となり登録事業者になる必要があります。上記の益税の解消についてご紹介しました通り、免税事業者は、課税事業者になると消費税を納める義務が発生します。
  現行の制度において益税が発生していることが、そもそも平等ではなく解消すべきという考え方に基づいてインボイス制度が支持されていますが、免税事業者が得ていた益税は、合法なものであり、現行の制度に従ったものになります。
  例えば990万円(税込)の収入と550万円(税込)の経費がある免税事業者の利益は、現行の制度においては差額の440万円(税込)となります。この免税事業者が同額の収入と経費のまま課税事業者となると、利益の440万円(税込)のうち40万円は納税すべき消費税額に相当するため、利益は400万円となります。
  同じ事業活動を行う場合において、免税事業者が課税事業者になるということは、税額負担の増加及び資金の流出を伴うものであり、事業経営に大きな打撃を与えるものとなります。
課税事業者になることを選択しなかった場合
  インボイス制度の開始に伴い、インボイスを発行する事業者になるかは、事業者の判断に任せられており、免税事業者が課税事業者になることは強制ではありません。しかし、インボイスを発行することが出来ないということは、取引先が仕入税額控除を適用する取引として認識することが出来ません。
  取引先の立場からすると、同じ規模の取引を行うのであれば、インボイスを発行することが出来る事業者と取引を行った方が、取引先の税負担が軽減されます。このように取引先の税負担の観点から、インボイスを発行することの出来ない事業者は、取引をすることを拒否される可能性が高まります。
  よって、免税事業者が課税事業者になることを選択せずに、インボイスを発行することが出来ない場合は、市場において不利な状況になることが予測されています。

まとめ
  インボイス制度の導入は、インボイスを発行するための事務手続きの負担増加のみならず、現行の制度において免税事業者であった、取引規模の小さい事業者の負担増加による廃業が懸念されています。
  法人では約1割、個人事業者では約5割が免税事業者であるといわれています。実に多くの事業者の廃業が懸念されるため、インボイス制度の廃止の声が大きくなることは、自明のことでしょう。
  今後のインボイス制度に関する発表についても、目が離せません


2023.08.07-読売新聞-https://www.yomiuri.co.jp/economy/20230807-OYT1T50244/
東芝TOBは8日開始、「物言う株主」の影響力排除へ…提示価格に「安すぎる」との声も

  東芝は7日、国内投資ファンドの日本産業パートナーズ(JIP)などの国内連合が8日から株式公開買い付け(TOB)を始めると発表した。期間は9月20日まで。価格は1株当たり4620円で、買収総額は2兆円規模となる。

  TOBの成立には、東芝株の3分の2以上(議決権ベース)の取得が必要になる。成立すれば、JIPは年内にも東芝を完全子会社化する方針で、東芝株は上場廃止となる。
  東芝の島田太郎社長は7日、オンラインの記者会見で「TOBへの応募をお願いしたい。中長期的視点で会社を変革する」と述べた。
  東芝はTOBにより、株主還元の拡充を求める海外ファンドなど「物言う株主」の影響力の排除を目指す。2015年に不適切会計問題が発覚して以降続いていた東芝の経営の混乱は、収拾に向かって動き出すことになる。
  ただ、市場ではJIPが提示した価格は「安すぎる」との声も上がっており、TOBの成否が注目される。
  東芝取締役会は3月にTOB賛同を表明し、6月に株主に応募を「推奨する」と発表した。JIPは当初、7月下旬をめどにTOBを始める方針だったが、各国の競争当局などによる承認手続きが遅れ、開始時期を「8月中」に延期していた。


2023.08.07-産経新聞-https://www.sankei.com/article/20230807-ZDM5XV2PRVN4VGGVP6SIFLBNQA/
<独自>ジャックスが自動車ローンの新規受付停止 ビッグモーター不正で

  中古車販売大手ビッグモーターの自動車保険金の不正請求問題で、信販大手ジャックスがビッグモーターの自動車ローンの新規受付を7日に停止したことが分かった。

  ジャックスは産経新聞の取材に、「各報道を踏まえての総合的判断」と説明した。同様の動きが今後広がる可能性があり、ビッグモーターの経営への影響は避けられない。
  ビッグモーターをめぐっては、損害保険ジャパンが保険代理店の委託契約の終了で合意。東京海上日動火災保険も解約に向けて協議している。


2023.08.06-NHK NEWS WEB-https://www3.nhk.or.jp/news/html/20230804/k10014152821000.html
日銀決定後の円安 いったいなぜ?【経済コラム】
(経済部記者 西園興起)

  日銀が7月28日にいまの大規模緩和の枠組み、イールドカーブ・コントロールをより柔軟に運用することを決めてから市場は複雑な動きをみせています。長期金利が9年ぶりの水準まで上昇した一方で、為替市場では円安が進みました。国債の金利が高くなるとその国も通貨が買われやすくなるといわれていますが、その逆をいく動きです。日銀の決定後になぜ円安が進んだのか、取材しました。

(経済部記者 西園興起)
そもそも、今回の修正って?
  今回の日銀の決定をおさらいしてみましょう。簡単に言うと、日銀は、これまで、10年国債の長期金利が0.5%のラインを超えることは許さないと厳しく抑え込んできましたが、これからは、多少これを超えても大丈夫ですよと考え方を変えたということです。
  ただし1%を超えることは認めない。つまり防衛ラインを引き上げて柔軟に対応できるようにしたわけです。
YCCの“形骸化”?
  この運用の「柔軟化」、何を意味しているのか。市場関係者10人に聞いたところ、全員が「YCCの形骸化」と答えました。1%の金利水準まではある程度、市場の需給に委ね、あらかじめ決まった利回りで市場から無制限に国債を買い入れる「指し値オペ」を徐々に減らしていく。
  何としてでも金利を低い水準に抑え込んできたイールドカーブ・コントロールのそもそもの考え方を見直しつつあるということです。
三井住友銀行 鈴木浩史チーフ・為替ストラテジスト
  「10年ものの金利をコントロールすることに無理が生じている状況だが、それを少しずつ市場の需給に委ねていくというのは自然な発想だ。足元では海外の運用先があまりなく、金利が上昇すれば日本国債を買いたいという国内勢も多い。投機筋からいわゆる“YCCアタック”を受けているわけでもないので追い込まれ感もなく、今回の日銀の決定は絶妙のタイミングだったと思う。将来に向けて、YCCを形骸化させる第一歩だろう」
長期金利は上昇、でも為替は…
  日銀の決定を受け、債券市場では国債を売る動きが強まり、8月3日には長期金利が一時、0.655%と2014年1月以来の水準まで上昇しました。日本国債の金利が上がると、投資家は、ドルを円に替えて日本国債を買う動きを強めるのではないか。
  このような連想から当初、円高につながるとみる投資家が多く、実際に7月28日の日銀の会合の前に、日銀が長期金利の一段の上昇を容認するとの情報が伝わると円高ドル安が進む場面もありました。
  そして28日の決定で日銀は、これまでにないねらいを打ち出しました。日銀は、長期金利の上限を厳格に抑えると金融市場の変動に影響が出るおそれがあると指摘し、今回決めた運用の柔軟化によってこうした動きを和らげることが期待できるとしています。
  植田総裁は、「為替をターゲットとしていないことに変わりはないが、金融市場の変動をなるべく抑えるという中に為替市場も含めて考えている」と述べ、金融緩和策を柔軟に運用する目的の1つに為替市場の変動を抑えることがあるという考えを示しました。
  これ以上の円安をけん制するねらいがあったとの見方も出ています。ただ、市場では、従来のパターンとは異なる動きが見られました。日銀の決定後、長期金利が上昇したのに、為替市場では一転して円安が進んだのです。
  7月28日の午後に1ドル=138円台前半まで上昇していた円相場は、8月3日には、一時、143円台後半まで値下がりしました。
なぜ、円安?
  長期金利が上昇する中、なぜ円安が進んだのか。市場関係者の間ではさまざまな見方が出ています。
  【日銀の金融緩和が長引くと受け取った】
   植田総裁は、7月28日の会見で、「基調的な物価上昇率が2%に届くというところには、まだ距離があるという判断は変えていない。イールドカーブ・コントロールのもとで、粘り強く金融緩和を継続する必要がある」と述べています。
   これを額面通り受け取ったという見方です。また、日銀は金融政策決定会合後、週が明けた7月31日に金利の急上昇を抑えるために、臨時に国債を3000億円分、買い入れるオペ(金融市場調節)を実施しました。この「臨時オペ」は、ことし2月22日以来となりますが、こうしたことも緩和を継続する姿勢のあらわれではないかとの見方もあります。
  【実質金利で見ている】
   また、実質金利で為替が動いているという指摘もありました。実質金利とは、金利を物価上昇率との関係から見たもので、見かけの金利(名目金利)から、物価変動(予想物価上昇率)の影響を差し引いた金利のことを指します。
   植田総裁は、これまで、「インフレが上振れすることで実質金利がさらに低下する」と何度も発言しています。
   イールドカーブ・コントロールは、名目金利を一定水準に抑える政策ですが、物価が上昇するという見方が高まると、実質金利は低下し、これによって緩和効果が一段と高まると考えられています。今回、日銀は、名目金利の一段の上昇を容認しましたが、市場がそれ以上に物価が上がると考えれば、植田総裁が言うように実質金利がさらに低下し、この結果、円安につながるということになります。
  みずほ証券の小林俊介チーフエコノミストは、「足元では消費者物価指数が3%を超え、賃金も上がってきている。これによって今後、宿泊や飲食などのサービス価格がさらに上昇するとの見方が出ている。物価が上振れて推移する状況が続けば、実質金利の低下を招くことになるのではないか」と指摘しています。
  このほか、日本の潜在成長率の低迷、財政健全化の遅れ、貿易赤字が続いているという構造的な要因で円安が続いているので、YCCの修正は時間稼ぎにしかならないのではないかという指摘もありました。
日銀副総裁「為替市場のボラティリティーは重要な要素」
  日銀の内田副総裁は、8月2日、千葉市で開かれた記者会見で、円安に進んだ為替の動きについて問われると、7月28日に決定した政策運営の柔軟化を踏まえ、次のように答えました。
  「今回の措置は、基本的には今後も物価面での上振れ方向の動きが続いた場合に起こり得る副作用を防ぐという趣旨で事前に行ったということなので。去年12月前後に起きたことを思い出せば、起きたことの1つは、債券市場を中心に機能に影響を及ぼしたゆがみ。もう1つは、金利の市場で上限があることに伴って、為替市場を含めた金融市場のボラティリティー(変動)に影響を与えてしまったということだ。そういったことが起こらないようにしたという意味で、今回の措置で為替市場を含めた金融市場のボラティリティーというのは重要な要素だった」
  為替の動きについてはコメントしないとした上で、今回の日銀の決定の背景には、過度な為替の変動を防ぐ目的があったということを明確に認めた形です。
  日銀の決定のあとに円安が進んだ為替市場、日銀の想定どおりに大きな変動が抑えられることになるのか、そして円安の傾向に歯止めがかかるのか。市場の思惑を反映して複雑な動きを続ける市場がこの先どう動くのか引き続き見ていきたいと思います。
注目予定
  7日には7月28日まで開かれた日銀の金融政策決定会合について政策委員の「主な意見」が公表されます。イールドカーブ・コントロールの柔軟運用を決めたこの会合でどのような議論が交わされていたか、委員の発言に注目です。また、大手企業の四半期決算の発表も相次ぎます。
  さらに、週後半にはアメリカの7月の消費者物価指数が発表されます。アメリカの金融政策を決める判断材料となるだけに、その結果に注目が集まります。


2023.08.03-産経新聞-https://www.sankei.com/article/20230803-SJFPVO5S4BJRBE7ZOIBY4UNFDE/
ビッグモーター店舗前の植栽帯を舗装 イオンモール、石川

  イオンリテールは3日、石川県かほく市の「イオンモールかほく」内にあるビッグモーター店舗前の植栽帯がコンクリートで舗装されていることを確認したと発表した。経緯を確認した上で法的措置も検討するとしている。

  イオンリテールによると、ビッグモーターを巡る一連の報道を受けて従業員が調査した。舗装されていたのはイオンが植栽活動の一環で整備していたスペースだという。


2023.08.02-産経新聞-https://www.sankei.com/article/20230802-SRJNWA2CNVKULF3LT4N26SCONE/
ビッグモーターが給与補塡 保険金不正請求で客離れ 社員の流出阻止か

  中古車販売大手ビッグモーター(東京)が社員の歩合給を補塡(ほてん)する方針であることが2日、関係者への取材で分かった。保険金不正請求問題で顧客が離れ、販売台数などに応じて決まる歩合給の大幅な減少が見込まれるため。8月以降の半年間、問題への批判が強まる前の実績を参考に埋め合わせる。社員が相次いで流出し内部崩壊するのを防ぐ狙いもあるとみられる。

  和泉伸二社長が2日までに社員に通知した。和泉氏は「現場で対応していただいている全社員の皆さまには、多大な負担をおかけして心苦しい限りだ」との認識を示した上で「社員の生活の安定向上を図る」と強調した。


2023.07.29-読売新聞-https://www.tokyo-np.co.jp/article/266436?rct=economics
LINE削除、従業員証言重要に ビッグモーターの追及本格化

  国土交通省は中古車販売大手ビッグモーター(東京)への立ち入り検査を踏まえ、道路運送車両法に基づく行政処分を視野に追及を本格化する。整備料金の不当請求を巡る調査が主眼だが、違法行為の有無を書類上の記録だけで判断するのは難しい。同社は社内連絡用のLINE(ライン)アカウント削除を指示しており、従業員の証言が重要となりそうだ。

  6月に外部弁護士がまとめた調査報告書は、各種書類や写真、ラインを使った画像や文章のやりとりを基に、道路運送車両法が禁じる整備料金の水増し請求の疑いを指摘。国交省が立ち入りに踏み切る端緒となった。
  国交省は今後、立ち入りで把握した車の写真や整備中の車両、見積書や納品書などを精査。報告書に示された「不要な板金作業や部品交換」などの有無や実態について確認を進める。
  道路運送車両法は実際にしていない整備や依頼のない整備での料金請求を禁じている。こうした行為が整備記録に残されることは考えにくく、書類だけで見抜くことは難しい。立証には画像や関係者の協力が不可欠だ。


2023.07.26-産経新聞-https://www.sankei.com/article/20230726-OUUUCAJFKVP6PL6T3IHSAXIZNY/
ヤマダデンキが領収書を差し替え 顧客に大阪・枚方市補助金の申請計89万円を不正誘導

  家電量販店のヤマダデンキが、大阪府枚方市の「省エネ家電買い換え補助金」対象外の市外店舗で発行したレシートを補助対象の市内店舗で手書き領収書に差し替えて購入者に渡し、補助金を申請するよう誘導していたことが26日分かった。市は同日、不正に申請された31件計89万円を不交付にすると発表。このうち15件計44万円はすでに交付されており、同社が市に代理弁済する。交付されなかった16件計45万円は同社が顧客に補塡(ほてん)するという。

  同社は「領収書を差し替えれば補助金を申請できると安易に考え、顧客を誘導してしまった」と不正を認めており、関係者を処分する方針。
  同補助金は、市内の実店舗でエアコンや冷蔵庫などの省エネ家電を購入した市民に最大3万円を交付する事業。昨年11月~今年2月に申請を受けた約2500件分を交付した。2月に市職員が手書き領収書の発行店と保証書の店舗が異なることに気づき、同社に調査を求めて不正が判明した。
  同社によると「テックランドニトリモールNew枚方店」(同市北山)の店長が北関西営業部長に報告の上、市外の3店舗に「枚方店で手書き領収書に差し替える」と呼びかけた。このうち2店が、枚方市からの客に枚方店で領収書を差し替えるよう誘導していた。


2023.07.25-産経新聞-https://www.sankei.com/article/20230725-AJH4EWNXHZNLJKVGYNAVETNUC4/
ビッグモーター店舗ひっそり、兼重社長辞任発表に従業員「びっくり」

  中古車販売大手ビッグモーターの兼重宏行社長が、保険金不正請求問題発覚後に初めて記者会見を開いた25日、東京都内の店舗にかつてのような客の出入りや活気はなく、販売用に展示された中古車もわずかになっていた。

  記者がタクシーを利用し、駅からやや距離のある幹線道路沿いの店舗にやってくると、タクシーの男性運転手は「売り物の車が減っている。以前は高級外車などがたくさんあったのだけど」と驚きを口にした。現在、値段がつけられている中古車は軽自動車も含めて3台だった。
  店のある通り沿いにはほかにも自動車店がいくつか軒を連ねており、スタッフが忙しく動き回っていたが、午前9時から営業しているはずのビッグモーターの店舗だけはほとんど人の出入りがみられない。
  午前11時、兼重氏の記者会見が始まったころも、同社が「くつろげるショールーム」とアピールしてきた商談コーナーには中年の男女2人の客がいるばかりで、店内はひっそりとしていた。従業員は若い男性が5人ほど。うち1人が「いらっしゃいませ」とにこやかな笑みを浮かべて記者を出迎えてくれたが、名刺を差し出すと途端に表情を曇らせた。
  代わって先輩とみられる別の男性従業員が店の外で取材に応じた。20代の買い取り部門の営業職だという。兼重氏が会見を開く情報は店長を通して昨日の夜、入ってきたばかりだと明かした。
  「問題が明らかになってから、店には『上の人間を辞めさせろ』という苦情の電話が殺到している。この状況がどうなるかは、いまやっている会見しだいだろう」
  インターネットでの会見の生中継が終了するころ、店を訪れると男性は再び取材に応じた。会見で兼重氏が社長を辞任すると発表したことについて、「全然想像していなかった。びっくりした」と率直な感想を口にした。
  兼重氏は会見で現場で行われていた不正を知らなかったと述べたが、その点について男性は「事実だと思う。いまの会社は、上と現場で情報共有ができていない」とも話した。
  男性によると問題発覚以降、車の買い取りを希望して店を訪れる客の数は4分の1程度まで減ったという。「新体制になって今月中には上から指示が降りてくるはず。これからどうなるのか、まだ私たち現場は全く分からない」。男性が苦笑いを浮かべて話す奥では別の従業員が一人、炎天下のなかワンボックスカーのトランクを開けて淡々と作業を行っていた。


2023.07.24-産経新聞-https://www.sankei.com/article/20230724-ZXMOHFUJJNIOBKH3TPSOH4BV4Q/
ビッグモーターに37人出向 損保ジャパン、担当部長も 金融庁、報告命令視野

  損害保険ジャパンが中古車販売大手ビッグモーター(東京)平成23年以降、計37人の出向者を出していたことが24日、分かった。自動車保険の保険金の不正請求が横行した時期に事故車両の修理を担う板金塗装部門の担当部長を務めた者もいた。不正行為を見抜けなかった責任を問う声があり、金融庁は保険業法に基づく報告徴求命令を損保ジャパンに出すことも視野に、運営実態を調べる。

  損保ジャパンは「不正を認識していた出向者はいない」と説明しているが、客観的な視点が必要だとして外部弁護士による調査を検討している。
  担当部長はビッグモーターが損保各社との修理代の交渉を一括して行う「PT本部」を新設した際、従業員に見積書の読み方を指導する業務を担当した。ビッグモーターの外部弁護士の調査報告書は「PTによる(修理代の)初期見積もりはあらかじめ過大な内容となる傾向にあった」と指摘していた。


2023.07.20-産経新聞-https://www.sankei.com/article/20230720-Q5HKPFOQHBP4VF7VGPVK2DQBV4/
「不適切な内容」ビッグモーター、社長のメディア批判LINEを謝罪

  中古車販売大手ビッグモーター(東京)の兼重宏行社長が、保険金不正請求問題の報道を巡り、全店の店長に宛ててメディア批判を含む文書をLINEで送信していたことについて、同社の広報担当者は20日夜、産経新聞の取材に回答する形で、「文章については、当社兼重社長が従業員向けに送ったものになります」と事実関係を認めた。

  文書は、今回の不正請求問題の報道を「世間の関心を集めるため」などと、強い不満を訴える内容で書き出されていた。広報担当者は産経新聞に「前半部分に不適切な内容が含まれていることについて猛省しております」と、兼重氏のメディア批判について謝罪する内容の回答を寄せた。
  兼重氏が19日に全店長にLINEで送信したメディア批判を含む文書について、産経新聞はビッグモーターに電話やメールで問い合わせていた。


2023.07.19-産経新聞-https://www.sankei.com/article/20230719-CXJ7UHPVFRJOZC74QCNTDK4A24/
パナソニック、空調生産で「脱中国」 大部分を国内移管
(桑島浩任)

  パナソニックホールディングス(HD)は19日、日本国内で販売するビル用エアコンの生産の大部分を海外から大泉工場(群馬県大泉町)に移管すると発表した。これまで中国・大連を中心に約9割を海外で生産していたが、地政学リスクへの対応や生産リードタイム(所要時間)短縮のため国内回帰を決めた。同社は6月に家庭用エアコン生産の国内回帰を発表しており、生産拠点の中国依存からの脱却を進めている。

  生産移管によって大連での生産はなくなり、ビル用エアコンの9割以上を大泉工場で生産する。移管のための投資額は約20億円で、来年3月末に完了する。生産リードタイムは3分の2に短縮される見込み。
  同社設備ソリューションズ事業部の池田博郎事業部長は「部材高騰に加えて、日本に輸入する際の円安による損失が大きかった」と理由を説明。ビル向けなどの業務用空調は生産の自動化率が低く、手作業による高度な技術が必要なことから、いまだに「職人の領域」とされ、国内回帰で熟練工を育てる狙いもある。
  業務用空調はほかにも大型施設向けの吸収式冷凍機や学校・病院向けのガスヒートポンプなどがあり、池田氏は「ほかの分野の国内回帰も検討していく」とした。
  同社は家庭用ルームエアコンについても、省エネ性能が高い高級、中級モデルの生産を令和6年度までに草津工場(滋賀県草津市)に移管すると6月に発表している。投資額は約100億円で、部品の共通化や生産工程へのロボット導入による自動化を同時に進め、生産リードタイムを4分の1に短縮して約40億円の収益改善を見込んでいる。
  米中貿易摩擦や新型コロナウイルスの感染拡大によるロックダウン(都市封鎖)など、さまざまなリスクが顕在化していることから、製品を販売する地域で生産する「地産地消」が今後さらに進むとみられている。
(桑島浩任)


2023.07.18-産経新聞-https://www.sankei.com/article/20230718-E4MNLYBB6RKQBE47APZJZ4P45A/
ローム、3千億円出資 東芝買収で

  電子部品大手のロームは18日、東芝の買収を目指す日本産業パートナーズ(JIP)を中心とする企業連合に参画し、計3千億円を拠出すると発表した。JIP陣営にまず1千億円を出資し、今後、2千億円の優先株の引き受けも予定する。ロームは、注力する半導体事業に関して「東芝との協業にも関心を持っている」とコメントした。

  JIP陣営は7月下旬にもTOB(株式公開買い付け)を実施し、東芝を買収する計画非上場化した後に企業価値を高め、再上場を目指す。東芝側も株主にTOBへの応募を推奨している。


2023.07.09-産経新聞(KYODO)-https://www.sankei.com/article/20230709-D7AOGVBW4VMPDP4XFUMQ7LU3ZU/
中国、車の値下げ防止撤回 独禁法抵触を警戒

  中国自動車工業協会は8日、主要な車メーカー16社と6日に合意した過度な価格競争を防ぐとする項目を撤回した。値下げ合戦を抑制する狙いだったが、発表した声明で「独占禁止法の精神に反する」と指摘し、独禁法を順守するよう16社に求めた。消費者からの批判も影響した可能性がある。

  合意は、中国の比亜迪(BYD)や米テスラ、日系メーカーと合弁を組む企業らが名を連ね「異常な価格で市場の公平な競争秩序を乱さない」としていた。
  合意のうち、誇大広告や虚偽の宣伝を防止するなどと定めた他の項目は残すとみられる。(共同)







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