徴用工問題-1


2024.01.11-産経新聞-https://www.sankei.com/article/20240111-DD4WPMDE6RL7HOLKE4E52E62GE/
徴用工訴訟、賠償命令がまた確定 韓国最高裁

  【ソウル=時吉達也】日本の朝鮮半島統治期に徴用工として動員されたと主張する韓国人の遺族が日本製鉄に損害賠償を求めた訴訟で、韓国最高裁は11日、同社側の上告を棄却した。1億ウォン(約1100万円)の賠償支払いを命じた1、2審判決が確定した。

  いわゆる徴用工訴訟で原告側勝訴が確定するのは9件目。日本製鉄はすでに2件の訴訟で賠償命令が確定している。
  一方、先月28日に日立造船への賠償命令が確定した同種訴訟で、原告側弁護士は11日、同社が判決確定前に裁判所に預けていた供託金の差し押さえを申請したと明らかにした。供託金が賠償に充てられれば、徴用工訴訟で日本企業の資金が原告側に渡る初の事例となる。
  日韓は1965年の日韓請求権協定で、両国間の請求権問題の「完全かつ最終的」な解決に合意尹錫悦(ユン・ソンニョル)政権は昨年3月、日本企業の韓国内資産が現金化され、日本側に損害が生じる事態を回避するため、政府傘下の財団が賠償金相当額を支払う解決策を発表した。


2023.05.07-毎日新聞-https://mainichi.jp/articles/20230507/k00/00m/030/045000c
元徴用工訴訟 原告の生存者1人が韓国政府の解決金受け取りの意向
【ソウル日下部元美】

  韓国の最高裁(大法院)が日本企業に賠償の支払いを命じた元徴用工訴訟を巡り、韓国の財団が賠償を肩代わりするという韓国政府の解決策に反対してきた原告の生存者3人のうち、1人が賠償金相当額を受け取る意向を示していることが7日、関係者への取材で分かった。実際に財団から受け取れば、生存者では初となる。

  韓国政府は今年3月、元徴用工への支援を行っている「日帝強制動員被害者支援財団」が賠償金相当額を元徴用工や遺族に支払う解決策を発表した。生存者はいずれも高齢。関係者によると、今後、本人の意思が変わらなければ財団が手続きを速やかに進める。
  韓国政府は4月、元徴用工ら15人のうち、10人の遺族が賠償金相当額を受け取る予定だと明らかにした。生存している原告3人はこれまで、韓国政府の解決策には日本企業の関与や日本側の謝罪が無いなどとして受け取り拒否の意向を示していた。【ソウル日下部元美】


2023.04.13-Yahoo!Japanニュース(産経新聞)-https://news.yahoo.co.jp/articles/250d5c307f2318fef4f5d74976a9f5ebd3b4d069
徴用工訴訟 15人中10人の遺族が解決金受領へ

  【ソウル=時吉達也】いわゆる徴用工訴訟問題で、韓国外務省は13日、韓国最高裁で勝訴が確定した15人中10人の原告遺族が、韓国政府傘下の財団からの解決金の受領を14日までに終えると明らかにした。

  生存する原告3人を含む5人はいずれも日本側の謝罪などを求め、財団支出金の受領を拒む意向を示している。
  同省関係者によると、今月7日に原告遺族2人への支給が初めて実施され、遺族側は「判決に関連し、被告企業に代わり韓国政府側から支給を受ける」とする受領申請書を提出。さらに8人への入金が14日午前に予定されており、聯合ニュースは遅延損害金などを含め一人あたり2億ウォン(約2千万円)~2億9千万ウォンが支払われると伝えた。
  韓国外務省の徐旻廷(ソ・ミンジョン)アジア太平洋局長は13日、「(同意した)遺族は問題が早く解決されることを望み、支給を受け入れた」と述べた。
   韓国政府は3月6日、敗訴した日本企業に代わり財団が賠償金を支払う解決策を発表。日韓間の請求権問題が「完全かつ最終的に解決された」と明記した1965年の日韓請求権協定を通じ、日本から経済支援を受けた韓国鉄鋼大手ポスコは同月、財団に40億ウォンを寄付したと発表していた。


2023.03.13-朝日新聞-https://www.asahi.com/articles/ASR3F7443R3FUHBI01Y.html
徴用工訴訟「解決策」の支給金、韓国原告の一部が受け取り拒否を伝達
(ソウル=鈴木拓也)

  徴用工の訴訟をめぐる問題韓国政府が発表した「解決策」について、3人の原告が13日、財団が日本企業に命じられた賠償分を肩代わりする方法での弁済には応じられないとの意思を財団側に伝えた。原告代理人によると、今後の法的な紛争に備えて3人の意思を示す内容証明も送ったという。

  2018年秋の韓国大法院(最高裁)判決は、15人の元徴用工について雇用主だった日本企業の賠償責任を認めた日本側は、賠償問題は1965年の日韓請求権協定で解決済みとの立場で、韓国政府は6日に傘下の財団が寄付金を使って賠償分を原告に支給する「解決策」を発表した。
  日本政府は植民地支配への「反省とおわび」を盛り込んだ歴代内閣の歴史認識の継承を表明。徴用工問題などで悪化していた日韓関係の改善のため、16日に韓国の尹錫悦(ユンソンニョル)大統領が初来日し、岸田文雄首相と会談する予定になっている。
  こうした動きに対して被告企業による直接の賠償を求めてきた原告の李春植さん(99)、梁錦徳さん(92)、金性珠さん(93)の代理人や支援団体が財団に「解決策」を通じた支給は受けないとの3人の意思を伝えた。代理人らは原告が反対の意思を示せば韓国の民法上は、財団が肩代わりする「第三者弁済」はできないと主張している。
  一方で韓国政府は、民法上は原告が支給金を受け取らなくても裁判所に賠償分の金額を供託すれば、原告が賠償を請求する権利は消滅すると解釈している。原告のうち12人は亡くなっており、その遺族の多くが、財団による弁済に応じる意向を示したとしている。(ソウル=鈴木拓也)


2023.03.10-Yahoo!Japanニュース(産経新聞)-https://news.yahoo.co.jp/articles/234ee8f38dcfe08f04d89be3561f79c9ecba712a
徴用工解決策に6割反対、韓国世論調査 支持率は小幅下落

  【ソウル=桜井紀雄】韓国の世論調査会社、韓国ギャラップは10日、いわゆる徴用工訴訟問題で韓国政府が6日に発表した解決策について「日本の謝罪と賠償がなく、反対する」との答えが59%に上ったとする世論調査結果を発表した。「韓日関係と国益のために賛成する」との回答は35%だった。

   調査は8、9日に実施。韓国の財団が賠償金を支払う解決策に関し、反対意見が優勢だったものの、尹錫悦(ユンソンニョル)政権の支持基盤である保守層や60歳以上では賛成が5割前後を占めたという。
  日韓関係については「韓国が一部譲歩してでも可能な限り早く改善すべきだ」との答えは31%にとどまり、「日本に態度の変化がなければ、急いで改善する必要がない」との回答が64%に上った。 尹大統領の支持率は34%と前週から2ポイントの小幅下落。不支持率は3ポイント上昇の58%となった。支持しない理由として最も多かったのが「対日関係や徴用工訴訟問題」(16%)。一方で、支持する理由としても「外交」(8%)や「日本との関係改善」(7%)を挙げた人も多く、結局は政権を支持するかどうかで解決策への評価も割れた形だ。


2023.03.07-Yahoo!Japanニュース(夕刊フジ)https://news.yahoo.co.jp/articles/dcb17b938ba7422aea01055ece8addbce154b202
元徴用工、日韓両政府が解決に舵切りも不安拭えず

  日韓両政府が、いわゆる「元徴用工」訴訟問題の解決に舵を切った。韓国の朴振(パク・チン)外相は6日、韓国政府傘下の財団が日本企業の賠償金を肩代わりする解決策を発表した。岸田文雄首相は同日、日本の朝鮮統治時代の「反省とおわび」を表明した歴代内閣の歴史認識を引き継ぐ意向を示して呼応した。中国とロシア、北朝鮮の軍事的脅威に、日米韓で対峙(たいじ)する意味もあり、ジョー・バイデン米政権も日韓の動きを歓迎した。だが、韓国世論の反対は根強く、今後問題が蒸し返される危険は消えない。韓国の「反日」暴挙は、これ以外にも多々ある。日本の取るべき対応を聞いた夕刊フジの緊急アンケートでも、「(韓国に)外交的対応は不必要だ」という回答が9割超を占めた。

  「韓国政府の措置は、日韓関係を健全な関係に戻すためのものとしては評価する。韓国政府もさまざまな努力を行っている。これを契機に日韓関係を力強く進めていくことにつながると期待している」 岸田首相は6日、韓国政府の解決策をこう評価した。
  韓国側の発表では、韓国政府傘下の財団はまず、韓国最高裁で原告側の勝訴が確定した訴訟3件の賠償金を支出する。現在続いている同種の訴訟についても、判決が確定次第同様の措置をとるという。
  林芳正外相は、韓国側の発表を受け、「日韓共同宣言を含め歴史認識に関する歴代内閣の立場を全体として引き継いでいる」と記者団に語り、韓国側の呼びかけに応えた。日韓の経済団体が新たに設置する財団への日本企業の寄付も容認する姿勢を示した。
  日韓両国は、尹錫悦(ユン・ソンニョル)大統領が今月中旬に訪日し、岸田首相との首脳会談を16~17日に行うことで調整に入った。
  破壊兵器に転用可能な戦略物資について、韓国側の輸出管理に疑わしい事案が続出したため、貿易上の優遇措置を適用する「グループA(『ホワイト国』から改称)」から除外した。徴用工問題とは無関係だが、再指定する方向で検討しているとも伝えられている。

  今回の日韓両国の動きには、米国の影がうかがえる。 バイデン大統領は、韓国政府の解決策を発表を受け、「米国の最も緊密な同盟国同士の協力と友好関係に新たな一章を記すものだ」「自由で開かれたインド太平洋という共通の理念の進歩に寄与する」と強い期待感を示す声明を発表した。 米国政治に詳しい福井県立大学の島田洋一教授は「バイデン氏は、バラク・オバマ政権の副大統領時代から、日米韓の安保体制を強化する意味でも『日韓は和解すべきだ』という基本スタンスを取ってきた。最近、米韓の軍事演習が盛んにおこなわれている。バイデン政権としては、朝鮮半島有事をにらんで、後方支援として日本の役割の重要性を認識している。そういう観点から、韓国に対して『日韓関係のトゲを抜け』と言っていたようだ。韓国側としては米政府の支援があることをいうことで、日本との和解に反対する、野党や左翼勢力の動きを抑えられるという側面もあったのではないか」と話す。 中国やロシア、北朝鮮という「独裁専制国家」の軍事的脅威が高まっている日本の安全保障情勢を考慮すれば、韓国との〝和解〟には意味があったかもしれない。 だが、韓国側の解決策には懸念が存在する。 元徴用工への支払いを行う韓国政府傘下の財団は、賠償金の返還を日本企業に求める「求償権」を得ることになる。韓国外務省は「(行使は)想定していない」といい、日本外務省幹部も「求償権行使は想定されていないと承知している」と述べた。 松本氏歴代内閣の談話を見直すべき時 岸田首相に対し、記者団からは「韓国の政権交代で徴用工に関する合意が覆される懸念はないか」との質問が出たが、岸田首相は「仮定に基づいた質問には答えない」とした。 朝鮮近現代史研究所所長の松木國俊氏は「韓国の元徴用工や議会で多数を占める野党の『共に民主党』が大反対している。合意前からこんな状況で、今後、左派政権が変わったら絶対に蒸し返されることになるだろう。そのとき、韓国政府傘下の財団から元徴用工への支払いについて『肩代わり』という表現が使われていることは大きな問題になる。『本来、日本が支払うべきものを無理やり肩代わりさせられた。それでは国民感情的に納得できない。ちゃんと支払え』と問題が延々と引っ張られる恐れがある」と話す。 岸田首相が、日本の朝鮮統治時代の「痛切な反省」や「心からのお詫び」という表現を含む村山談話(1995年)や日韓共同宣言(98年)など歴代内閣の歴史認識を引き継ぐ意向を示したことも、懸念される。 松木氏は「元徴用工問題は、あくまで韓国内の問題であり、韓国政府の責任で解決すべきであり、日本政府は一切関わってはダメだった。これに関して、過去の謝罪を『引き継ぐ』というと、これからも何かあるたびに、過去を引き継ぐことを日本政府は確認させられることになる。(慰安婦問題など)歴史そのものが近年見直されてきており、歴代内閣の談話などは見直すべき時期に来ている」と話した。 【韓国による主な「反日」暴挙】 韓国国会議長(当時)による「天皇陛下(現上皇さま)への謝罪要求」 韓国海軍駆逐艦による海上自衛隊哨戒機へのレーダー照射事件 日韓の軍事情報包括保護協定(GSOMIA)の破棄決定 いわゆる「元徴用工」訴訟をめぐる異常判決 自衛隊旗(旭日旗)への侮辱 東京五輪の選手村に横断幕を掲げる 東京五輪で「福島産食材」回避の給食センター設置 不法占拠する島根県・竹島への韓国警察庁長官上陸



2023.03.06-日本経済新聞-https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGM0637X0W3A300C2000000/
徴用工、韓国財団が賠償肩代わり-日本、歴代政権の立場継承

  【ソウル=甲原潤之介】韓国政府は6日、元徴用工問題について韓国の財団が原告への賠償を肩代わりする解決策を発表した。日本側は関係改善につながると評価し、1998年の日韓共同宣言など過去の政権が表明した反省とおわびの立場を継承すると改めて確認した。日韓基本条約の締結後、最悪といわれる日韓関係が正常化に向け前進する。

  尹錫悦(ユン・ソンニョル)大統領は「未来志向の韓日関係に進むための決断だ」と述べた。韓悳洙(ハン・ドクス)首相との会議での発言を大統領府が紹介した。
  解決策の対象は元徴用工らが新日鉄住金(現・日本製鉄)と三菱重工業を相手取った3件の訴訟で、2018年に賠償金支払いの判決が確定していた。韓国政府傘下の「日帝強制動員被害者支援財団」が賠償金相当の金額を原告に支払うのが解決策の柱だ。
  財源は韓国企業の自発的な寄付などで調達する。原告は日本の被告企業からの直接賠償を求めて日本企業の資産を現金化する司法手続きを進めてきたが、今回の解決策は日本企業の拠出を前提としない。
  原告の一部は反発しており、財団の給付を受け取らない可能性もある。韓国外務省幹部はその場合でも裁判所への供託によって賠償の履行が可能との見解を示した。同省は原告の説得を続け、日本側の負担なしで問題を処理する方針だ。

  日本政府は賠償問題は1965年の日韓請求権協定によって解決済みで、判決は国際法違反と主張してきた。被告の日本企業による拠出がないことが日本側の受け入れ条件だった。
  2022年に発足した尹政権が問題解決に取り組んだ。ロシアによるウクライナ侵攻で安全保障環境が急変したことも日韓両国の背中を押した。
  岸田文雄首相は6日の参院予算委員会で解決策に関し「日韓関係を健全な関係に戻すものと評価する」と語った。中国や北朝鮮を念頭に「日韓、日米韓の戦略的連携を一層強化していく」とも説明した。バイデン米大統領は「日米韓の結びつきを強めていく」と歓迎する声明を出した。
  日本は韓国側が求めてきた「誠意ある呼応」に一定の配慮を示した
  首相は記者団に「歴史認識に関する歴代内閣の立場を全体として引き継ぐ」と言明した。1998年に当時の小渕恵三首相が「痛切な反省と心からのおわび」を表明した日韓共同宣言を含むとも話した一方で、具体的な文言を改めて読み上げるのは避けた。
  賠償金を肩代わりする財団への日本企業の自発的な寄付には林芳正外相が政府は特段の立場を取らないと容認する姿勢を示した。日本製鉄と三菱重工は財団への寄付について「予定はない」とコメントした。
  元徴用工の解決策に進捗があれば日韓関係の改善が進む。経団連と韓国の全国経済人連合会(全経連)は経済分野などで共同事業を検討する。
  首相は韓国が政権交代などで再び立場を変える可能性を記者団から聞かれると「仮定に基づいた質問には答えない」と述べるにとどめた。


2023.02.20-産経新聞-https://www.sankei.com/article/20230220-QPGOSDBCFZKM7NY67FCK3L4DCM/
徴用工原告団に「亀裂」か 韓国政府案に容認意見が浮上

  【ソウル=時吉達也】いわゆる徴用工訴訟問題で、韓国政府側が日本企業の賠償を肩代わりする解決案に関し、原告の一部で容認する意見が広がりつつある。これに対し、日本側の謝罪や資金拠出が必須だと主張する原告支援団体などは野党との連携を強化し、韓国政府との対決姿勢を一層鮮明にしている。原告団の「亀裂」は問題の長期化につながる恐れもある。

  韓国主要紙の中央日報は15日、韓国政府案について「完璧ではないが、韓国政府が努力してきた事実自体を非難したい考えはない」として支持する複数の原告遺族の意見を伝えた。
  2018年の韓国最高裁判決で勝訴が確定した原告は14人で、存命中の3人以外は遺族が訴訟を引き継いでいる。韓国政府の対日姿勢を「屈辱外交を続けている」と非難する原告支援団体の会見内容などが大きく報じられる一方、こうした遺族の声はこれまで伝えられていなかった。
  別の主要紙、東亜日報も14日、「賠償であれ他の方法であれ、早く問題を解決すべきだ」などと政府案を容認する原告の声を紹介。韓国紙の外交担当記者の一人は「原告代理人や支援団体の意見を反映する『原告側』と、原告の立場は相当違う」と指摘する。
  当事者と支援団体の意見の「ズレ」は、慰安婦問題の「最終的かつ不可逆的」解決を確認した15年の日韓合意の際にも生じていた。支援団体側が合意への反対世論を喚起する一方、当時存命だった元慰安婦47人のうち、35人が合意に基づく支援金の支給に応じた。
  韓国外務省と「賠償肩代わり」の主体となる政府傘下の財団側は、支援団体などを介さずに直接原告と交渉する試みを加速させている。今月28日には政府側と原告関係者の会合が予定されているが、政府側が会合を前に、水面下で原告らとの個人面談を進めていたことが発覚。原告代理人弁護士は「高齢の原告との円滑なやり取りのため代理人に協力を求めておきながら、事前の通知なしに原告と連絡を取るのは不当だ」と反発を強める。

  原告支援団体などは16日、韓国政府案の撤回を主張する野党系議員の会合に参加。徴用工問題の「政治争点化」で加勢を得て、政府に対抗する構えだ。最大野党「共に民主党」幹部は会合で「日本の戦犯企業が払うべき賠償金を韓国企業が背負うのは、解決ではなく屈辱だ」などと述べ、政府案を批判した。


2023.01.12-産経新聞-https://www.sankei.com/article/20230112-XYDTYGIJ7NNR5L4E4WDCLB7HYU/
<特報>徴用工 割れる韓国 国内調整は破綻…「慰安婦」二の舞いも

  【ソウル=時吉達也】日韓最大の外交懸案であるいわゆる徴用工訴訟問題をめぐり、韓国政府が解決に向け「最終的な意見聴取の場」と位置付けた12日の公開討論会が終了した。韓国政府は公式表明した検討案を基にした最終案を速やかに公表する方針だが、国内の原告支援団体などは応じない意向を鮮明にしている。国内の合意形成がないまま外交協議を急げば、世論の反発を受け韓国が日本との政府間合意を覆した慰安婦問題の二の舞いとなる危険が生じる

  「外交部(韓国外務省)との信頼関係は、完全に破綻した状態だ」。原告代理人の林宰成(イムジェソン)弁護士は、討論会でこう切り出した。
  韓国政府は解決案の検討が本格化した昨秋以降、朴振(パクチン)外相が高齢の原告の自宅を訪問するなど、積極的に原告側と接触。支援団体の猛反発を受け、日韓合意(2015年)が事実上ほごにされた慰安婦問題を教訓に、慎重に国内調整を進めてきた。
  しかし、原告側は韓国政府が日本に低姿勢で「屈辱外交」を続けていると不満を強めた。昨年12月には原告の一人が受賞予定だった「人権賞」について、外務省が保留を求め、叙勲が先送りになったことが判明。原告側は「日本に不快感を与えるのを避けたのか」と反発した。
  韓国政府はこれまで、問題解決に向けた対日交渉が順調に進んでいると強調。昨年11月、約3年ぶりに開催された首脳会談後には「解決策が1つ、2つに絞られた」(大統領府高官)などと先行きを楽観する立場を示していたが、国内の調整難航が懸案解決の大きな壁となっている。

  国会議席の6割近くを占める最大野党「共に民主党」と政権与党の対立激化も、国内の世論形成に影を落とす。外務省はこの日の討論会について、当初は超党派の韓日議員連盟が同省と共催すると発表していたが、議連所属の野党議員らが「内部協議がなかった」と反発。最終的に鄭鎮碩(チョンジンソク)議連会長が個人の立場で共催することになった上、野党議員らは討論会に先立つ会見で、政府検討案の撤回を要求した。
  原告側の勝訴が確定した賠償請求訴訟では、韓国内の日本企業資産の売却を命じた裁判所の決定を不服とする抗告手続きが最高裁で進む。間近に迫る資産の「現金化」について、外務省の趙賢東(チョヒョンドン)第1次官は討論会で「前政権でも(文在寅)大統領が現金化が望ましくないとの立場だった」と強調。事態回避に向け野党側に理解を求めたが、見通しは不透明だ。


2023.01.12-日本経済新聞-https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGM118MN0R10C23A1000000/
韓国政府、元徴用工で解決案公表 財団が賠償肩代わり

  【ソウル=甲原潤之介】韓国政府は12日、日韓関係悪化の原因となっている元徴用工問題を巡って公開討論会を開いた。元徴用工を支援する政府傘下の財団が賠償を肩代わりする方策を有力案として公表した。日本との外交対立を避けながら補償を進める解決策の検討作業が最終段階に入った。
  討論会は韓国外務省などが主催し、日韓関係に詳しい大学教授やメディア、経済団体の関係者らが参加した。韓国外務省の徐旻廷(ソ・ミンジョン)アジア太平洋局長が対日交渉の経緯や検討中の有力案を説明した

  同問題は韓国最高裁が2018年、日本製鉄(当時は新日鉄住金)と三菱重工業に元徴用工への賠償を命じたことに端を発する。日本側は賠償問題は1965年の日韓請求権協定で解決済みとの立場で、判決を受け入れていない。
  原告は日本企業の資産を現金化し判決を履行させる手続きを進めている。現金化が実行されれば日本企業に実害が生じ、日韓の外交対立が一層先鋭化する懸念がある。
  韓国政府の有力案は公益法人「日帝強制動員被害者支援財団」を活用する。債務者が第三者と共同で債務を負担する民事手続き「併存的債務引受」の手法などにより、日本企業の代わりに財団が賠償する。韓国企業から寄付を募り補償の原資にする。
  原告は日本企業の資金による賠償や謝罪を求めている。韓国政府は原告の納得を得るため、日本との外交交渉の場で繰り返し「誠意ある呼応」を求めた。日本側が判決の履行にならない形で自発的に財団に寄付をし、謝罪の気持ちを示すことを意味する。

  討論会で徐氏は日本が既に表明している痛切な謝罪と反省を誠実に継承することが重要だと表明した。発言者からは日本側が賠償や謝罪に加わる姿勢を示さないまま解決策をまとめようとする韓国政府を批判する意見が出た。一部の支援団体は討論会を欠席した。観覧者が大声で反発し、騒然とする場面もあった。
  韓国の尹錫悦(ユン・ソンニョル)大統領は22年8月の記者会見で、日本との外交対立を避けて補償をする方針を明示した。同年11月に岸田文雄首相と正式な首脳会談を開き、早期解決をめざす方針で一致した
  韓国政府は解決策の正式決定と原告への賠償を急ぐ構えだ。原告が賠償を受け取らない場合、財団は賠償金を裁判所に供託できる。裁判所が認めれば日本企業の資産の現金化は回避されるが、原告の納得がないまま強引に進めれば尹政権への反発が強まる可能性がある。


2022.11.15-JIJI COM.-https://www.jiji.com/jc/article?k=2022111400786&g=int
「日本の呼応」で難航 徴用工問題、世論うかがう韓国

  【ソウル時事】韓国の尹錫悦大統領は13日、訪問先のカンボジアで岸田文雄首相と会談した。しかし、日米韓、米韓に付随する形で行われ、内容も北朝鮮への対応が中心。懸案の元徴用工問題では早期解決に向け協議継続を確認するにとどまり、日本の謝罪や資金拠出など韓国が要求する「日本の呼応」を巡り交渉が難航しているもようだ。

  14日未明、尹氏はフェイスブックで「韓米日首脳が初めて包括的な共同声明を採択した意味は格別だ」と成果を強調。ただ、日韓首脳会談の内容には触れなかった。9月の国連総会の際、日韓首脳の協議を「懇談」と位置付けた日本側にとっては約3年ぶりの会談だが、韓国は当時既に「会談」と説明。今回は日本側が正式な会談に応じたこと以外の成果は乏しかったと言える。
  関係者によると、元徴用工問題の解決策として韓国の公益法人「日帝強制動員被害者支援財団」が被告企業の賠償金を肩代わりする案が軸になっている。2014年設立の同財団は日韓請求権協定に基づく日本の経済協力を受けた鉄鋼大手ポスコが寄付金の大部分を拠出原告の同意が不要な併存的債務引き受け」の方法での肩代わりが想定され、日韓外交当局間で法的側面など突っ込んだ協議が行われている。
  しかし、一方的な譲歩と映ることを避けたい韓国側は「日本の呼応」を要求。原告側の意向を反映し「被告企業による謝罪と財団への寄付」を提起しているが、日本企業の賠償責任を認められない日本側にはハードルが高い。韓国側では「岸田首相が国会答弁で『未来志向』『反省とおわび』を明記した1998年の日韓共同宣言など従来の政府見解を踏襲する立場を示す」といった「妥協案」も取り沙汰される。
  韓国側は表向き「解決策を一つに絞っているわけではない」と慎重な姿勢だ。韓国外務省は「幅広い関係者が参加するオープンな討論会を検討中」と9月以降説明しているが、具体化していない。年内妥結を視野に置いているものの、岸田政権の支持率が下がり、韓国側もソウル・梨泰院の大規模雑踏事故の対応を巡って政府批判が強まっている。日本との詰めの協議を急ぐ一方で、どのタイミングで世論に解決策を投げ掛けるか、慎重に見極めているとみられる。


2022.09.20-Yahoo!Japanニュース(日テレ NEWS)-https://news.yahoo.co.jp/articles/d230e9384ce2a1363206f8902e38e39edbad14c7
日韓外相会談“徴用工問題”協議継続は確認

  林外相は、アメリカ・ニューヨークで韓国の朴振外相と会談し、両国の懸案であるいわゆる元徴用工問題について、協議を続けることは確認したものの、具体的な進展があったかは明らかにしませんでした。

  会談で、パク外相はいわゆる元徴用工問題について、韓国側の立場を説明し林外相は具体的な解決策を示すよう重ねて求めました。
  韓国側からどのような提案があったかなどは明らかにならず、協議の継続を確認したということが発表されました。 林外相「日韓関係を健全な関係に戻すべく問題の早期解決に向けて、両国間の協議を継続していくということにいたしました」
  日韓両国は関係改善に向けて協議を続けていますが、今のところ具体的な進展は明らかになっていません。


2022.09.05-産経新聞-https://www.sankei.com/article/20220905-3YISDHWFSZPWNLG2JN5GTQYHHY/
徴用工訴訟、政府肩代わり案認めず 韓国官民協議会が終了

  【ソウル=時吉達也】韓国最高裁が日本企業に賠償を命じたいわゆる徴用工訴訟問題で、解決策を協議する官民協議会の第4回会合が5日、開催された。韓国外務省関係者は会合終了後、協議会が「今日で最後になった」と説明した。聯合ニュースなどが報じた。

  韓国政府は協議会で出た意見を基に、近く解決に向けた政府案を策定し、日本政府や原告側に提示する方針。第2回会合後に協議会への全面不参加を表明した原告支援団体などへの意見聴取は、今後も続けるとしている。
  同関係者によると、この日の会合では過去3回の議論を踏まえ、韓国政府が被告企業の賠償を肩代わりする「代位弁済」案は「適切でない」との意見で出席者が一致した。韓国政府は新たな財団の設立や既存の基金の活用を通じ、日韓企業などの拠出金で賠償を肩代わりする案を中心に検討を進めるとみられる。
  また、原告側が要求する日本側の謝罪については「必ず必要だという点は誰も否定しない」(同関係者)とする一方、謝罪の具体的な内容などを協議会が提示するのは困難だとの意見が交わされたという。

  官民協議会は韓国外務省が主宰し、7月に発足した。原告支援団体からは当初、一部の弁護士らが参加していたが、同省が最高裁に対し、日本企業の韓国内資産の売却手続きを先延ばしするよう求める意見書を提出したことに反発。第3回会合から全面不参加となっていた。


2022.08.20-gooニュース(産経新聞)-https://news.goo.ne.jp/article/sankei/world/sankei-_world_korea_NCNEQYZW2RKCVLMMTEWA7SAWOY.html
徴用工訴訟 韓国最高裁、裁判官退官で月内にも判断 現地報道

  【ソウル=時吉達也】いわゆる徴用工訴訟で、賠償を命じられた日本企業の韓国内資産の売却の可否について、韓国最高裁が月内にも判断を示す可能性が浮上した。複数の韓国メディアが裁判官人事を根拠に挙げ、20日までに報じた。

  同訴訟では2018年に韓国最高裁で賠償命令が確定。昨年、すでに差し押さえられていた三菱重工業などの韓国内資産について、地裁などが売却を命じた。この決定を不服とする三菱重工業側の即時抗告は棄却され、今年4月以降、最高裁で三菱側の再抗告に対する審理が行われていた。

  聯合ニュースは、2つの再抗告のうちの1件について、審理を担当する裁判官が9月上旬に退任予定であることを挙げ、「遅くとも8月中には決定が出る見通しだ」と指摘。もうひとつの再抗告に関しても、抗告時期や争点に違いがなく「ほぼ同じ時期に結論が出る可能性が高い」とした。
  手続きをめぐっては、再抗告から4カ月が経過し、最高裁が理由を書かずに略式で棄却できる期限の今月19日を過ぎた。地裁の売却命令を維持するかどうかについて、決定文には具体的な判断理由が盛り込まれることになり、一部の司法関係者は「9月以降まで審理が長期化する可能性もある」との見方を示す。

  韓国政府は7月下旬、問題解決に向け「外交努力を続けている」とする意見書を最高裁に提出。判断の先延ばしを求めているが、売却命令が確定し資産の「現金化」に至れば、「戦後最悪」の日韓関係がさらに悪化するのは必至だ。


2022.07.27-産経新聞-https://www.sankei.com/article/20220727-DGFJ63PF2FJUZKKK5J6LPD2VBA/
韓国外相、徴用工解決へ「責任持ち努力」

  【ソウル=桜井紀雄】韓国の朴振(パク・チン)外相が27日、ソウルで海外メディアと記者会見した。日本との間の最大の懸案である、いわゆる徴用工訴訟問題を巡り、敗訴した日本企業の資産売却に向けた法的手続きが進む中、朴氏は「(資産の)現金化に至る前に解決策を導き出すことが極めて重要だ」と指摘。解決のため、「責任感を持って努力する」と強調した。

  朴氏は、資産の現金化に至れば、「韓日関係は取り返しがつかないほど悪化する」との見方を示した上で、解決策を探るための原告側や専門家を交えた官民協議体で意見集約を進めている現状を説明。具体的解決策については「まだ決まっていない」と述べた。
  朴氏は「韓国側の努力に呼応した日本側の誠意ある措置があってこそ問題をうまく解決できる」とし、日本政府の協力を促した。日本側は1965年の日韓請求権協定で徴用工問題は解決済みとの立場で、韓国政府が国内で完結させ、解決することを求めており、認識の隔たりは埋まっていない。

  朴氏は25日、国会で、徴用工問題について「被害者(原告側)の意見を最大限に尊重し、韓日両国が合理的だと受け入れられる案を模索している」と説明した。だが、原告側には日本企業との直接交渉や日本側の謝罪を求める声も強く、原告側の意見を反映させつつ、日本が受け入れ可能な解決策を導き出すことは極めて困難な状況にある。


2022.05.02-産経新聞-https://www.sankei.com/article/20220502-SXUVSQG7GBPSZOIS6IBZJKUYYQ/
三菱重工の資産にまた売却命令 韓国地裁

  【ソウル=桜井紀雄】韓国のいわゆる徴用工問題と関連し、元朝鮮女子勤労挺身隊の女性らへの三菱重工業に対する賠償命令が確定した訴訟で、中部、大田(テジョン)地裁は、原告側が韓国内で差し押さえた同社の資産である特許権2件の売却命令を新たに出した。韓国メディアが2日、伝えた。

  命令は4月29日付。三菱重工は即時抗告する見通し。この訴訟では、別の原告2人分の特許権と商標権について昨年9月に売却命令が出された。現在は同社が不服として最高裁に再抗告している。最高裁で命令が確定すれば、日本政府が「レッドライン(越えてはならない一線)」とみなす資産の現金化に向けた手続きが可能となる
  韓国の尹錫悦(ユン・ソンニョル)次期政権は、文在寅(ムン・ジェイン)政権が徴用工訴訟の解決を半ば放置することで悪化した日韓関係の改善に積極的な姿勢を示す。ただ、具体的な解決措置が講じられなければ、年内にも資産売却が現実化し、関係改善が遠のく恐れもある。
  三菱重工などに対して2018年に賠償命令が確定した徴用工問題について、日本政府は1965年の日韓請求権協定で解決済みとの立場で一貫している



2021.12.30-Yahoo!Japanニュース(JIJI com.)-https://news.yahoo.co.jp/articles/a2c6c30f54727352189c27e9f4dc5c38438e7b29
日本製鉄資産の売却命令 元徴用工訴訟で2例目 韓国地裁

  【ソウル時事】韓国の大邱地裁浦項支部は30日、韓国最高裁で賠償判決が確定している元徴用工訴訟で、日本製鉄の韓国内資産の売却命令を出した。同支部などが明らかにした。
   元徴用工訴訟で売却命令が出るのは9月の三菱重工業に続き2例目。日本政府は最高裁の確定判決を国際法違反として認めず、日本企業に実害が生じる「現金化」に強く反対してきた。ただ、日本製鉄側は即時抗告するとみられ、実際に売却されるまでには時間がかかる見通しだ

  原告側によると、売却命令の対象は日本製鉄が韓国で設立した合弁会社の株式約19万5000株(額面価格で約9億7400万ウォン=約9400万円)。
  韓国最高裁は2018年、日本の植民地支配を受けていた朝鮮半島から日本本土の製鉄所に徴用された韓国人4人が新日鉄住金(現日本製鉄)を相手取った訴訟で、1人当たり1億ウォン(約970万円)の賠償を命じる判決を確定させた。
  日本製鉄側が賠償に応じないため、地裁支部は19年、合弁会社の株式のうち、日本製鉄所有株について差し押さえを命令。昨年、公示送達を経て効力が発生していた。
   原告側弁護士や支援団体は「判決を履行しない日本製鉄と執行手続きを妨害した日本政府に遺憾を表する」と表明。「今からでも迅速に判決に従い、被害者への法的責任を果たすよう求める」と訴えた。
  日本製鉄の広報担当者は、命令を受け「このような状況に至ったことは極めて遺憾だ」とコメント。元徴用工の問題について「日韓請求権協定により、完全かつ最終的に解決したものと理解している。日韓両政府による外交交渉の状況も踏まえ、適切に対応していく」と表明した。


2021.10.28-Yahoo!Japanニュース(産経新聞)-https://news.yahoo.co.jp/articles/327e279087cf882ce4842cb59bd4ae7b0a0e27cd
徴用工訴訟 動かぬ韓国、原告は1000人超え 最高裁判決から30日で3年

  【ソウル=時吉達也】いわゆる徴用工訴訟問題で、日本企業に賠償を命じた韓国最高裁判決から30日で3年を迎える。韓国で提訴した原告は千人を突破日本企業の資産売却も間近に迫っている。日韓関係のさらなる悪化を回避するため、韓国国内では水面下で解決策が議論されるが、日本政府側との主張の隔たりは大きい。文在寅(ムンジェイン)政権も消極的な対応に終始している。

  原告団によると、2018年の最高裁判決以前に16件提起されていた同種訴訟は、同判決後計70件まで増加。遺族を含む原告は1042人に達した。民事訴訟上の時効成立により、今後さらに増加する可能性は低いとみられる。
   日本企業敗訴の3件の確定判決以降、最高裁の審理は事実上停止状態にある。下級審では原告勝訴が相次ぐ一方、日韓請求権協定を根拠に「訴訟による賠償請求は認められない」とし、最高裁判決を否定する異例の地裁判決も下された。
  「時効成立」で賠償対象を制限する新たな判断も出ている。ソウル中央地裁は「元徴用工らの個人請求権が消滅していない」とする最高裁の初判断から3年が経過した15年に提訴期限を迎えたとして、その後の提訴は無効と結論づけた。
   こうした判断は今後の最高裁審理でも争点になるとみられるが、18年判決後にも裁判官5人が交代し、全13人のうち12人が文政権下で任命された現状を踏まえれば、基本的には日本企業敗訴の確定判決が踏襲される見通しだ。国民大学の李元徳(イウォンドク)教授は「証拠不十分のケースも多く、賠償請求が認められるのは300人程度ではないか」と分析する。

   9月には資産売却命令が出され、「半年後」(原告側)の現金化も現実味を帯びる。政治主導の解決が急がれる中「現実的な解決策の一つ」(朴喆熙(パクチョルヒ)ソウル大教授)とされるのが、韓国政府が賠償を肩代わりする代位弁済」案だ。国会では「対話で解決しようとするなら、いずれはその方向に向かう」(韓日議員連盟の金振杓(キムジンピョ)会長)との声も上がるが、原告代理人の弁護士は28日の記者会見で「代位弁済は判決を無効化させる方策で(受け入れは)不可能だ」と反発を強めた。
  原告側は「被害者と日本企業の協議実現を条件に資産売却手続きを停止すると提案。国会では基金設立による賠償金拠出法案も発議されているが、日韓政府間の協定で問題は「解決済み」とする日本政府側が応じる可能性はいずれも極めて低いとみられる
  文氏は今年の年頭会見で、日本企業の資産売却は「望ましくない」と述べたものの、その後具体的な解決策を提示していない。複数の与党関係者は「現政権に問題に取り組む意思はない。次期政権に先送りされるだろう」と指摘する。


2021.09.28-SankeiBiz-https://www.sankeibiz.jp/business/news/210928/bsm2109281115005-n1.htm
三菱重工の資産売却に1年必要か 挺身隊訴訟巡り韓国紙

  28日付の韓国紙、東亜日報は、元朝鮮女子勤労挺身隊員らが三菱重工業に損害賠償を求めていた訴訟で、韓国中部・大田地裁が同社の商標権と特許権の売却命令を出したことに関し、実際の売却まで「1年程度かかる可能性がある」と伝えた。同社は売却命令に即時抗告する方針だが、棄却されても裁判書類の送付手続きに一定の時間がかかるとしている。

  三菱重工は最高裁まで不服を申し立てることができ、その間は売却できない。売却に関する書類の受け取りを拒否した場合は裁判所が、同社が受け取ったと見なす「公示送達」の手続きを取る見通しだ。
  いわゆる元徴用工や元挺身隊員らによる一連の訴訟で日本企業資産の売却命令は初めてで、韓国メディアの関心は高い。朝鮮日報は1面で、売却が実行された場合は「韓日関係に相当な影響が予想される」と報じた。(共同)


2021.08.11-Yahoo!Japanニュース(朝日新聞)-https://news.yahoo.co.jp/articles/be09564f08a04da9a25017e9ace8b4e72b41058a
元徴用工訴訟、遺族の訴え棄却 請求権の時効成立と判断

  韓国で元徴用工の遺族5人が三菱マテリアルに計1億ウォン(約960万円)の損害賠償を求めた訴訟があり、ソウル中央地裁は11日、原告の訴えを棄却した。

  判決では、2018年秋に韓国大法院(最高裁)が、日本製鉄や三菱重工業に賠償を命じた判決を認め、原告には請求権があるとした。そのうえで、原告が提訴した17年2月は、すでに裁判に訴える権利が消滅していたとの判断を示した
   大法院が日本製鉄に賠償を命じた判決をめぐっては、12年5月に大法院が原告敗訴の高裁判決を破棄。その後、差し戻し審は原告の訴えを認め、18年秋の大法院判決で確定した。今回の判決では、民法が定める請求権の3年の時効の起点は、18年秋の大法院判決ではなく、大法院が高裁判決を破棄した12年5月と認定した
(ソウル=鈴木拓也)


2021.06.14-NHK NEWS WEB-https://www3.nhk.or.jp/news/html/20210614/k10013083821000.html
徴用めぐる訴訟 韓国の原告 訴え退けた1審判決を不服とし控訴

  太平洋戦争中の「徴用」で「強制的に働かされた」と主張する韓国人やその遺族らが、日本企業16社に対して賠償を求めている裁判で、原告側は、訴えを退けたソウルの中央地方裁判所の1審判決を不服として、控訴しました。

  太平洋戦争中の「徴用」をめぐる問題で「強制的に働かされた」と主張する韓国人やその遺族らが、日本企業16社に対して、1人当たり1億ウォン、日本円でおよそ1000万円の賠償を求めている裁判で、ソウルの中央地方裁判所は今月7日、原告の訴えを退ける1審判決を言い渡しました。

  「徴用」をめぐる裁判では、韓国の最高裁判所が2018年に日本企業に賠償を命じる判決を出していて、それ以降、原告の訴えが退けられたのは、今回の裁判の1審判決が初めてでした。
  これについて原告の弁護士は14日「1審判決には納得できない。日本企業は、深刻な人権侵害の責任を負わなければならない」と述べ、控訴したことを明らかにしました。
  「徴用」をめぐっては、すでに勝訴の判決が確定している裁判の原告が日本企業の資産を差し押さえ、売却して「現金化」する手続きを進めています。
  これに対して日本政府は、1965年の日韓請求権協定に基づき解決済みだとして、国際法違反の状態を是正するよう韓国政府に求めていて、企業側も賠償に応じていません。


2021.06.08-東京新聞-https://www.tokyo-np.co.jp/article/109460
元徴用工らの訴え却下 韓国地裁の判決は「日韓関係を考慮」か 現地紙、評価も批判も

  【ソウル=相坂穣】韓国の元徴用工らの訴えを却下した7日のソウル中央地裁の判決は、日本企業に賠償を命じた2018年の最高裁判決を覆し、日本の立場に近い判断になった韓国では8日、バイデン米政権が掲げる日米韓連携の再構築につながるとの見方が出た一方、革新系の与党「共に民主党」は「国民感情とかけ離れた判決。韓国の地位を失墜させる」と批判した。

◆判決「米国との関係も損なわれる」
  地裁の判決は、外交や国際法を重視した点が特徴だ。損害賠償を命じられた日本企業が韓国で保有する資産の強制執行が行われた場合、「国家の安全保障や秩序維持という憲法上の大原則を侵害し、権利の乱用になる」と憂慮。「自由民主主義の価値を共有する日本との関係が損なわれると、同盟国の米国との関係も損なわれる」と指摘した。
  聯合ニュースは、7日の判決について、文在寅ムンジェイン大統領が今年1月、元慰安婦訴訟で同地裁が日本政府に賠償を命じた判決に「困惑している」と述べたことを踏まえ、「司法が日韓関係を考慮した」との見方を紹介した。
  文氏は昨年後半ごろから日本に対話を求めるようになったが、背景には、1月に就任したバイデン米大統領が、オバマ政権の副大統領だった15年、日韓に慰安婦合意を促すなど日米韓の連携強化を重視している影響があるとみられる。
◆保守系「肯定的に働く」、革新系「荒唐無稽」
   保守系大手紙の中央日報は、地裁判決について、文氏が招待された先進7カ国首脳会議(G7サミット)中に目指す菅義偉首相との会談にも「肯定的に働く」と評価。今回、裁判長を務めた金亮澔キムヤンホ部長判事がドイツの民事訴訟に関する論文の執筆経験があり、「裁判所内で党派性を帯びない裁判官との評価を受けている」と紹介した。
   一方、革新系のハンギョレ新聞は「最高裁判決に真っ向から反し、荒唐無稽な論理を結び付けた異例の判決」と批判。「政府内では、今回の判決が韓日関係に特別な影響を及ぼすとは考えない雰囲気だ」などと指摘した。
   韓国の司法は、時の政権の意向や国民世論に影響を受ける傾向が強いとされるが、文政権の残り任期は1年を切っている。原告側は控訴する意向を示しており、上級審では次期大統領の対日政策などにより、異なる司法判断が出される可能性もある。


2020.01.19-Yahoo!Japanニュース(中央日報)-https://news.yahoo.co.jp/articles/1111bb4268a1b5e79fc042684a275b11e76f789e
「慰安婦判決に困惑」…変わった文大統領の態度に日本が当惑

  韓国の文在寅(ムン・ジェイン)大統領が18日、新年記者会見で韓日間の懸案をめぐり、これまでの与党の強硬基調とは異なる緩和した立場を見せた。慰安婦被害者に対する日本政府の賠償責任を認めた韓国裁判所の判決が韓日関係に及ぼす影響については「困惑しているのが事実」という発言もした。
   文大統領は韓日関係に関する質問に対し、「過去は過去として、未来志向的な発展はそれとして進めていかなければいけない」とし「過去のことも事案別に分離して解決方法を探す必要がある」と明らかにした。
  文大統領は「輸出規制と強制徴用判決問題を外交的に解決するため、韓日両国がいくつかの次元の対話をしている」とし「こうした中、慰安婦判決問題がさらに増え、率直に少し困惑しているのが事実」と述べた。
  また、日本政府に慰安婦被害者への慰謝料支払いを命じた最近の裁判所の判決について「2015年の韓日政府間の慰安婦合意が両国政府間の公式的な合意だったという事実を認める」とし「その土台の上で被害者被害者も同意する解決方法を探すよう韓日間で協議する」と明らかにした。
   特に日本が強く反応する強制徴用賠償問題については「強制執行の方式で(日本企業の資産が)現金化されたりする方式は両国関係で望ましいと思わない」と述べた。 文大統領は「こうした段階になる前に外交的な解決方法を探すのが優先だが、ただ原告が同意しなければいけない」とし「原告が同意する方法を両国政府が協議し、韓国政府がその案で原告を説得する形で問題を着実に解決していくことができると考える」と話した。

  ◆2017年には「重大な欠陥を確認」 この日の文大統領の発言はこれまでの対日強硬気流とは異なる。韓国裁判所の判決について「困惑している」と表現したことや、朴槿恵(パク・クネ)政権当時の2015年にあった韓日慰安婦合意を「両国間政府間の公式的合意」と確認した点も、これまでの政府の態度とは差がある。文大統領は2017年12月、「韓日慰安婦合意検討タスクフォース(TF)」調査結果が発表された後、「手続き的にも内容的にも重大な欠陥があったことが確認された」と述べた。

  当時、文大統領は「合意が両国首脳の追認を経た政府間の公式的約束という負担にもかかわらず、私は大統領として国民と共にこの合意で慰安婦問題は解決されないという点を改めて明確にする」と語った。
  当時とはニュアンスが変わった。 2015年12月に両国政府は、日本が10億円を出捐して和解・癒やし財団を設立する内容を骨子とした協議の結果を出した。しかし文在寅政権は「被害者を排除して韓日政府が互いに要求条件をやり取りする方式で問題の解決を図ったのは明らかな誤り」という認識の下、2018年に財団を解散する決定を出した。
  特に文大統領がこの日に明らかにした立場は対日メッセージという解釈が出ている。「日本企業資産の強制的現金化」は日本政府が韓日関係解体のマジノ線とする事案だ。これに関し文大統領も望ましくないとの立場を表明しただけに、最悪は避けようという信号と解釈される。韓日間の強制徴用などの解決法を模索するため水面下チャンネルの構築に入ったのではという見方が出ている。

  日本は突然の韓国政府の態度変化に当惑する雰囲気だ。坂井学官房副長官はこの日午後の定例記者会見で、文大統領の対日関係関連発言をどう評価するかという質問に対し「政府としてはこの発言に留意している」とだけ答えた。解決策を探すために日本と協議するという発言についても「留意すると同時に、韓国側の今後の行動をしっかりと注視していきたい」と評価を留保する立場を示した。
   外務省内では「真意が分からない」とし、韓国政府への不信感を表す声も出ていると、時事通信は伝えた。ある外務省幹部は「韓国側が解決策を出さない限り状況は何も変わらない」と懐疑的な反応を見せた。首相官邸のある幹部も「大事なのは何らかの行動をすること」と文大統領の今回の発言を低く評価した。 共同通信は、強制労役問題に「司法判断を尊重する」との原則を掲げてきた文政権が「日本政府が一層反発を強める元慰安婦訴訟判決が出る中、対立激化を避けるため、資産売却の回避策を模索している可能性がある」と報じた。
  ただ、強制執行方式の現金化を避けることができる妙手があるかは未知数だ。強制徴用事案はすでに大法院(最高裁)の確定判決が出ただけに取り返しがつかないからだ。
  韓国法曹界では「原告が訴訟を取り下げない以上、現金化手続きが進行されるしかない構造」という意見が出ている。 読売新聞も韓国政府が現金化を避けたいという意見を明らかにしたのは初めてだと評価しながらも、「(韓国政府が)日本と原告の双方が受け入れられる案を示せるかは未知数」と伝えた。



2020.12.09-産経新聞 THE SANKEI NEWS-https://www.sankei.com/world/news/201209/wor2012090022-n1.html
日本製鉄資産、売却手続きへ 韓国地裁、公示送達が効力 問題も長期化か

  【ソウル=名村隆寛】韓国でのいわゆる徴用工訴訟で、日本製鉄(旧新日鉄住金)が差し押さえられた韓国内の資産売却に関する書類を、同社が受け取ったとみなす「公示送達」の効力が9日発生し、売却に向けた手続きが可能となった。実際の売却までには時間を要し、問題も長期化する見通しだ。
   書類は資産売却に関して日本製鉄の意見を聞く「審問書」などで、韓国の大邱(テグ)地裁浦項(ポハン)支部がホームページに一定期間掲示したことで日本製鉄が受け取ったとみなされた。同社は「内容を確認の上、適切に対応する」とコメントした。
   裁判所は今後、資産の鑑定などを経て売却命令を出す手続きに移ることができる。命令を出すためには審理を行わねばならず、命令を出しても売却命令書の日本製鉄への送達が必要となる。同社側の即時抗告も見込まれ、資産の売却・現金化はさらに時間がかかる。
   韓国ではこのほか、元女子勤労挺身(ていしん)隊員の訴訟をめぐり、三菱重工業の資産売却に関する公示送達の効力がすでに発生。大田(テジョン)地裁は資産差し押さえに関する公示送達手続きもとり、今月30日までに効力が発生する。
   両社にそれぞれ賠償を命じた韓国最高裁の判決について、日本政府は「請求権問題の『完全かつ最終的』な解決を定めた日韓請求権協定に反している」とし、韓国政府に適切な対応を求めているが、韓国政府は「司法判断を尊重する」との立場を崩していない。
   文在寅(ムン・ジェイン)大統領は最近、北朝鮮との関係改善の好機と見込む東京五輪への協力など、日本との関係改善を探る姿勢も見せる。11月の訪日で菅義偉首相らと会談した韓日議員連盟の金振杓(キム・ジンピョ)会長(与党所属)は徴用工問題について「韓日首脳が決断できるのが最善だが、今できないなら東京五輪が終わるまで縫合(封印)しようと提案した」と述べている。


2020.10.31-産経新聞 THE SANKEI NEWS-https://www.sankei.com/politics/news/201031/plt2010310001-n1.html
【主張】「徴用工」協議 誠意を見せろに耳を疑う

  耳を疑う。解決済みの問題を蒸し返した韓国が、今度は誠意」を見せろと開き直った。いわゆる徴用工訴訟で韓国最高裁が新日鉄住金(現・日本製鉄)に賠償を命じた不当な判決から2年がたった。
  だが、韓国を代表して対外関係に当たるべき文在寅政権は何ら有効な解決策を示さない。これは最大級の非難に値する。
  菅義偉政権は、韓国側が日本企業の資産を現金化して奪う不当な措置をとることを防がねばならない。国際法と国益の尊重を貫き、文政権に翻意を促すべきだ。
  29日の日韓局長協議で「徴用工」問題が取り上げられた。韓国最高裁の判決を受け、日本企業の韓国内の資産現金化手続きが進んでいることに対し、滝崎成樹外務省アジア大洋州局長は「極めて深刻な状況を招くので絶対に避けねばならない」と要求した。
  だが、韓国の金丁漢アジア太平洋局長は「日本政府と被告企業が問題解決に向け、より誠意ある姿勢を見せる必要がある」と述べたという。誠意を見せろというのは、さらに金を出せということなのか。
  何度も繰り返すが、日韓両国は昭和40年の国交正常化時の請求権協定で、一切の請求権問題は「完全かつ最終的に解決された」と約束した。協定に伴い日本は無償3億ドル、有償2億ドルを韓国側に支払った。無償3億ドルは個人の被害補償の解決金を含んでいた。個人補償に不満があるなら、解決するのは韓国政府の責任である。
  この協定は両国関係の基盤だ。それを破壊する不当判決を放置したままの文政権の態度は、常軌を逸している。法よりも「反日」を優先し、「司法の判断」に責任転嫁するのはおかしい。
  局長協議で「意思疎通の継続では一致した」というが、国同士の約束を反故(ほご)にする国と、どうして信頼関係が築け、意思疎通や交渉ができよう。
  「徴用工」問題は、国際法を無視し、歴史を歪曲(わいきょく)した韓国側による完全な言いがかりで日本側は被害者だ。おかしな妥協は禁物である。反日の成功に味をしめた韓国が不当な対日要求をエスカレートさせるに違いないからだ。
  今年の日中韓首脳会議の議長国である韓国は、菅首相の訪韓を望んでいるというが、訪韓できる環境にないことは明らかだ。


2020.8.5-産経新聞 THE SANKEI NEWS-https://www.sankei.com/world/news/200805/wor2008050001-n1.html
韓国、対日対応策を検討 「徴用工」資産現金化問題

   【ソウル=名村隆寛】いわゆる徴用工訴訟で韓国の裁判所が出した新日鉄住金(現・日本製鉄)への資産差し押さえ命令の「公示送達」の効力が4日に発生し、韓国内の日本製鉄の資産の現金化(売却)手続きが可能となったことで、日韓関係は深刻な局面を迎えた貿易、安全保障の分野でも、韓国側に日本との関係改善を図ろうとする兆しは見えない。
   韓国側は現金化に関して傍観の構えだ。韓国外務省報道官は4日の定例会見で「現金化の手続きは司法手続きの一部であり、政府次元で言及することではない」と述べ、司法判断に介入しない姿勢を示した
   それでも、韓国政府は日本製鉄の資産が現金化された場合に、日本政府がどのような「報復措置」に出るかを懸念している。
   韓国外務省報道官は「(日本の)具体的な措置が出たときに実際の対応に出る。状況を鋭意注視している」とした。韓国政府の対応に関し、韓国紙、京郷新聞は「相応の措置で対応するしかない」との外交関係者の話を挙げ、金融制裁が発動されたら韓国側も金融制裁で対抗するなど「日本と同水準の対抗措置」を検討中だと伝えた。
   日韓の火だねは他にもある。韓国政府は日本政府による昨年7月の対韓輸出管理厳格化措置を不当だとし、同9月に世界貿易機関(WTO)に提訴。今年6月には一時中断していた紛争解決手続きを再開した。
   この問題についても、韓国外務省報道官は4日、「(安全保障上の懸念など)日本が提起した疑問は解消済みだ」と自国の正当性を強調した。
   また、昨年8月に破棄の決定を発表しその後、維持決定された日本との軍事情報包括保護協定(GSOMIA)は今月下旬に終了通告期限を迎える。
   同省報道官は、GSOMIAを「いつでも終了させることは可能」とし、維持は「日本の輸出規制措置の撤回の動向次第だ」との認識を示した。
   日本企業の資産現金化をめぐる日本の反発を尻目に、韓国側は逆に日本に圧力をかけ始めている


2020.8.4-NHK NEWS WEB-https://www3.nhk.or.jp/news/html/20200804/k10012549011000.html
「徴用」韓国裁判所 資産売却に向け手続きへ 日本は対抗措置も

  太平洋戦争中の「徴用」をめぐる問題で、韓国の裁判所は、被告の日本企業の資産の差し押さえを命じた書類についてホームページで2か月間公開した結果、4日午前0時をもって、日本側に届いたとみなしました。今後、少なくとも数か月はかかるという見方がある資産の売却に向けた手続きに本格的に入る見通しですが、現金化が行われた場合、日本政府は対抗措置をとることも検討していて、日韓関係のさらなる悪化が懸念されています
  韓国では、最高裁判所がおととし10月、新日鉄住金、今の日本製鉄に対し、太平洋戦争中に「徴用工として日本で強制的に働かされた」と主張する韓国人4人への賠償を命じる判決を言い渡しました。
  これについて日本政府は、日韓請求権協定に基づき解決済みだとして、国際法違反の状態を是正するよう韓国政府に求めていて、日本製鉄も賠償に応じていません。
  こうした中、韓国の裁判所は、原告側の申し立てを受けて、ことし6月、韓国国内にある日本製鉄の資産として、韓国の鉄鋼大手との合弁会社の株式の差し押さえを命じた決定書などをホームページに公開する「公示送達」の手続きをとりました。
  そして、2か月後の4日午前0時をもって日本製鉄側に書類が届いたとみなし、「公示送達」の効力が発生しました。
  日本製鉄側は今後、即時抗告を行うとしています。
  これから資産の売却に向けた手続きに本格的に入る見通しですが、韓国の複数の主要メディアは、資産の鑑定などで少なくとも数か月はかかるという見方を伝えています。
  韓国政府が司法判断を尊重するとの立場を変えていない中、この先、裁判所が資産の売却を命じて現金化が行われた場合、日本政府は対抗措置をとることも検討していて日韓関係のさらなる悪化が懸念されています。
差し押さえを求めた資産とは
  今回の裁判で原告側が差し押さえを求めたのは、日本製鉄と韓国の鉄鋼大手「ポスコ」が、2008年に設立した合弁会社「PNR」の株式です。
  日本製鉄が所有している株式は、全体の3割で、原告側によりますと、差し押さえの対象は、このうちのおよそ8万1000株、額面価格で4億ウォン余り、日本円にしておよそ3600万円相当だということです。
  「PNR」の本社は、韓国南部ポハン(浦項)にある「ポスコ」の本社工場の敷地内にあり、工場から出る廃棄物をリサイクルして鉄を生産する事業を行っています。
  韓国の通信社、連合ニュースは、「PNR」について、従業員が70人余りで、年間の売り上げは日本円でおよそ33億円だと伝えています。
日本製鉄「即時抗告行っていく」
  大手鉄鋼メーカーの日本製鉄は、「徴用をめぐる問題は、国家間の正式な合意である日韓請求権協定により、『完全かつ最終的に解決された』ものと理解している」としたうえで、「日韓両政府による外交交渉の状況なども踏まえ、今後、資産の差し押さえに向けた手続きに対しては、即時抗告を行っていく」としています。
日本政府 出方を注視 対抗措置などの検討を本格化させる方針
  自民党の議員グループは3日、資産が売却され現金化された場合には、直ちに韓国政府に実効性の高い制裁を科すよう求める決議をまとめました。
  日本政府は、一連の手続きは明確な国際法違反で、資産が売却されれば、両国関係が深刻な状況に陥りかねないとして、韓国政府に対し、早期に解決策を示すよう繰り返し求めています。
  そして、今回、まずは韓国側の出方を注視することにしていて、資産の売却に備え、具体的な対抗措置や損害賠償請求などの検討を本格化させる方針です。


2020.6.14-Yahoo!!Japanニュース(朝日新聞 DIGITAL)=https://news.yahoo.co.jp/articles/8e1d4f76294b5ea7615abb10e8818458c929737c
軍艦島元島民「徴用工差別、聞いたことない」施設で紹介

  ユネスコの世界文化遺産に登録された長崎市の軍艦島など「明治日本の産業革命遺産」を説明する施設「産業遺産情報センター」(東京都新宿区)が15日から一般公開される。朝鮮半島出身の徴用工に関し、虐待や差別は聞いたことがない」とする元島民のインタビューが紹介されており、韓国が問題視する可能性もある。

  同センターは3月31日に開所式が行われたが、新型コロナウイルスの感染拡大で翌4月1日から休館となっていた。15日からの一般公開を前に14日、報道陣に公開された。
  日本は2015年の世界遺産委員会で「意思に反して連れてこられ、厳しい環境の下で働かされた多くの朝鮮半島出身者」がいたことを認め、当時の徴用政策について理解できるような措置を講じると説明。同センターの設置も表明していた。
   同センターでは、軍艦島や長崎造船所、八幡製鉄所など登録された23資産について、パネルや動画で解説。「国民徴用令」など「官あっせん、徴用、引き揚げについて理解できる五つの文書」をパネルで列挙した。
   その隣には1965年の「日韓請求権協定」の全文が掲示された。日本側は、元徴用工らへの賠償問題に関し、この協定で解決済みとの立場を取っている。  同じ部屋には、元島民らのインタビューも紹介。父が端島(軍艦島)炭鉱で働いていたという在日韓国人2世の元島民が「いじめられたとか、指さされて『あれは朝鮮人ぞ』とは全く聞いたことがない」などと証言している
   加藤康子センター長は「政治的な意図はない。約70人の元島民へのインタビューで、虐待を受けたという証言はなかった」と説明。今後、インタビューを拡充していくという。
   同センターをめぐっては、韓国側は昨年12月、遺産近くではなく東京に設けられることや、徴用工に関する説明について「遺憾」とする「論評」を出した。その中で、日本は15年に世界遺産登録が決まった際、「(朝鮮半島出身の)強制労役の犠牲者を記憶にとどめる措置をとることを約束した」と主張、日本に「約束通りの措置」を取るよう求めていた。(太田成美)


2020.6.15-Yahoo!!Japan(朝鮮日報 Chosun Online)-https://news.yahoo.co.jp/articles/7376975df3493c307221b50d802977409958c15c
日本、ユネスコ合意破り軍艦島の強制労働を隠ぺい
(1)
  日本政府が15日、韓国人の強制労働で悪名高い長崎県の軍艦島(端島)炭鉱の真実を歪曲した「産業遺産情報センター」(東京・新宿区)の一般公開を強行した。日本政府は2015年、軍艦島が国連教育科学文化機関(ユネスコ)の世界文化遺産に登録された当時、「本人の意思に反する韓国人強制労働」を認め、犠牲者を追悼する内容を含む情報センターの設置を国際社会に約束したが、それを守らなかった格好だ。展示物では逆に「韓国人差別はなかった」とする証言を紹介した。
  安倍晋三首相は2018年の韓国大法院での徴用工に対する賠償判決が韓日請求権協定違反だとして、「韓国が国際法を守らない」と批判してきた。それでいてユネスコを通じ国際社会に約束したことを守らなかった格好だ。今回の一件を巡っては、最悪の韓日関係をさらに危うくする悪材料になりかねないとの懸念が聞かれる。
   日本政府が予算の全額を支援する「産業遺産国民会議」は今回、新宿区の総務省第2庁舎別館に産業遺産情報センターを設けた。同センターは新型コロナウイルスの感染拡大を受け、今年3月末に開所式を行った後は閉館していた。
   一般向けの開館に先立ち、東京特派員共同取材団に公開された同センターは明治時代の産業遺産23カ所を広報する内容だ。面積は1078平方メートルで、大きく3つのゾーンに分かれており、軍艦島関連の展示はゾーン3に集中している。そこには65インチスクリーン7台が設置され、軍艦島炭鉱の歴史と意義を説明している。産業遺産情報センターは出入り口付近に軍艦島の世界文化遺産登録当時に日本政府がユネスコに対して行った「約束」が明記されている。しかし、展示物にはそうした内容が見つからない。むしろ「過酷な条件下での強制労働」を否定する内容を強調している。

  在日僑胞2世で幼いころを軍艦島で過ごした鈴木文雄さんの証言が代表的だ。鈴木さんの発言は「端島炭鉱で働いていた伍長の父を誇らしく思う」との内容だ。そのパネルには鈴木さんが「いじめにあったことがあるか」「むちで打たれたことがあるか」との質問に対し、「いじめにあったことはなく、むしろかわいがられた」「むちで打つことなんてあり得るのか」と答えたとの記述がある。「当時朝鮮人と日本人は同じ日本なので差別はなかった。虐待もなかった」という日本人の証言もスクリーンから流れた。産業遺産国民会議の役員でもある加藤康子センター長は取材陣に対し、「当時の炭鉱労働者の中には虐待を受けた人はいない」と述べた。このほか、軍艦島などで生活した10人余りのインタビュー映像で過去を美化した。
   韓国人に給与を正確に支払ったことを強調する当時の給与袋も展示されていた。また、1940年代の徴用令だけでなく、韓日請求権協定の全文も展示している。産業遺産情報センターの展示は、当時多くの韓国人が差別待遇を受け、つらい労働に苦しんだ事実とは反するもので、日本に有利な証言ばかりを批判しているとの批判を受けている、日本は日帝時代末期に軍艦島のほか、長崎造船所、八幡製鉄所などに4万人の韓国人を強制動員した。  こうした歴史があることから、朴槿恵(パク・クンヘ)政権は日本が2013年に軍艦島を含む「明治日本の産業革命遺産」をユネスコの世界文化遺産への登録を申請したことに反対した。安倍内閣が徴用被害者の暗い歴史に目を向けていないからだった。安倍内閣は朴槿恵政権が問題提起を行い、ユネスコでの賛否対決も辞さないとする立場を示したことで低姿勢に転じた。韓国人の強制労働を認め、そうした内容を含む情報センターの設置を約束した。1940年代に韓国人が本人の意思に反して日本の土を踏み、過酷な環境での労働を強要されたことについて、理解することができるような措置を講じると約束したものだった。
(2)
  しかし、日本はその後、約束を破り続けてきた。日本政府は2017年、ユネスコ世界遺産委員会に最初の報告書を提出した際、「強制労働」という表現を盛り込まなかった。19年の第2次報告書も同様だった。これについて、ユネスコは日本の約束違反を指摘し、登録される施設全体の歴史を理解できるようにすることを勧告した。
   安倍内閣による今回の措置について、日本でも批判が起きている。共同通信は「日本が朝鮮半島を植民地支配していた当時の軍艦島では、多くの朝鮮人労働者が非道な扱いを受けたとされる」「(こうした動きは)過去の事実を覆い隠し、歴史修正主義を助長するとの批判を招きそうだ」と報じた。
   一部からは安倍内閣が韓国の反発が予想される事案を強行することで両国関係が悪化することを助長、放置しているのではないかとの分析も聞かれる。韓国外交部は15日、在韓日本大使館の幹部を呼び、今回の問題について抗議するほか、ユネスコにもこの施設について伝え、日本政府が展示内容を修正するよう求めていく方針だ。
  東京=李河遠(イ・ハウォン)特派員


2020.6.5-ZAKZAK by 夕刊フジ-https://www.zakzak.co.jp/soc/news/
韓国外務省「元徴用工」訴訟でまた妄言 地裁の財産差し押さえ命令決定で「当局間で協議を続けていく」

  韓国外務省が、また妄言を放った-。同国最高裁が、いわゆる「元徴用工」訴訟で、新日鉄住金(現日本製鉄)に賠償を命じる異常判決を出し、大邱(テグ)地裁浦項(ポハン)支部が財産差し押さえ命令の「公示送達」を決めたことについて、同省の報道官が日本と協議する姿勢を示したのだ。日韓外交の勉強をやり直した方がいいのではないか。
  「外交当局間の意思疎通と協議を続けていく」。韓国外務省の金仁●(=轍の車をさんずいに)(キム・インチョル)報道官は4日の記者会見で、こう語った。聯合ニュースが報じた。
  茂木敏充外相が前日、韓国の康京和(カン・ギョンファ)外相に問題解決の通告をしたはずだが、一体、何を寝ぼけているのか。
  戦時中の「徴用」は国際法にも国内法にも合致している。日韓の請求権問題は、1965年の日韓請求権・経済協力協定で「完全かつ最終的に解決」している。日本政府は無償3億ドル、有償2億ドルの計5億ドル(当時のレートで約1800億円)を韓国政府に提供した。
  韓国政府はこの巨額資金と、日本の技術やノウハウをもとに「漢江(ハンガン)の奇跡」を成し遂げた。元徴用工に資金が渡らなかったのは、一方的に韓国政府の問題である。
  ところが、韓国最高裁は2018年10月、これを無視した異常判決を出し、日本企業の資産が現金化される動きが進んでいる
  菅義偉官房長官は4日の記者会見で、「韓国側の判決と関連する司法手続きは明確な国際法違反だ。現金化は深刻な状況を招くため避けなければならない」「韓国側に早期に解決策を示すよう強く求めていく立場に全く変わりはない」と強調した。
  韓国側が、日本企業の資産を現金化すれば、日本政府は対抗措置を発動するしかない。


2020.4.29-産経新聞 THE SANKEI NEWS-https://www.sankei.com/politics/news/200429/plt2004290009-n1.html
韓国が資産現金化なら対抗措置 「徴用工」判決1年半

いわゆる徴用工訴訟をめぐり、韓国最高裁が新日鉄住金(現日本製鉄)に賠償を命じる確定判決を出してから30日で1年半となる。判決は日韓関係の基盤である1965年の日韓請求権協定を覆しただけに、政府は韓国側の責任で解決策を示すよう強く求めてきた。だが、文在寅(ムン・ジェイン)政権は「三権分立」を理由に主体的な関与を避け続け、原告側による日本企業の資産の差し押さえと現金化に向けた手続きが進んだ。
   「旧朝鮮半島出身労働者(元徴用工)の問題は日韓の最大の懸案であり、今後も韓国に国際法違反の状態の是正を強く求めていく」
   菅義偉官房長官は16日の記者会見でこう訴えた。とはいえ、これまで不作為を続けてきた文政権が、にわかに動くとは考えにくい。むしろ、15日の韓国総選挙で与党が圧勝したことで、文政権は対日姿勢をさらに強める可能性がある。
   安倍晋三首相は昨年12月の日韓首脳会談で、文氏に韓国側の責任で解決策を示すよう直接求めた。
   しかし、文氏は今年1月の記者会見で「ともに知恵を集めれば、十分に解決できる余地がある」と述べ、日本側にも解決策を示すよう促した。念頭には、原告への慰謝料として日韓両国の企業が出資する案や、企業と国民から寄付を募る案があったとみられる。
   しかし、日韓請求権協定は、両国民の財産や請求権に関する問題の「完全かつ最終的」な解決を確認している。国交正常化交渉の過程で韓国側は、徴用を含む補償に関し、日本側が提案した個人への支払いを断って、韓国政府への一括供与を求めた。その結果、政府は韓国政府に5億ドルの供与を約束し、実行した。
   日本の企業が拠出すれば、請求権協定との矛盾が生じる。政府に韓国が提示した案を受け入れる余地がないのはこのためだ。
   韓国側が、判決で生じた国際法違反状態を是正しない間に進んだのは、原告による日本企業の財産差し押さえと現金化するための手続きだった。
   資産売却は、原告の申請を受理した裁判所の判断に委ねられているが、「いつあってもおかしくない」(日韓外交筋)とされる。
   現金化に至った場合、日本政府は速やかに対抗措置を講じる考えで、韓国側の資産差し押さえや輸入関税の引き上げなど二桁に上るオプションを検討している。「どの措置を発動するか、最後は政治の判断」(外務省幹部)で、首相が文政権の対応や日本経済への影響を見極めた上で決断するとみられる。


2020.4.16-Yahoo!! Japan ニュース(西日本新聞)-https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20200416-00010017-nishinpc-int
元徴用工解決は期待感薄く 日本の政府関係者「文氏代わらないと」

   日本政府は韓国総選挙の結果を注視するが、悪化した日韓関係は文在寅ムンジェイン)政権の与党の勝敗には直接関係なく、文大統領が代わらなければ変化しない」(政府関係者)と冷めた分析をしている。両国間の最大の課題である元徴用工問題は、差し押さえられた日本企業の資産の現金化が迫りつつあるが、対話の機運は高まっていない。
  「日韓関係は厳しい状況が続いているが、引き続き韓国側に適切な対応を求めていく方針には変わりない」。15日午後、菅義偉官房長官は記者会見で元徴用工問題を念頭に、韓国総選挙の結果にかかわらず、従来の日本の主張を続けていくと強調した。
  元徴用工問題では、日本企業の資産売却手続きが進められており、早ければ今年上半期中にも裁判所の売却命令が出る見通し。残り2年の大統領任期を残す文氏は、元徴用工らの意向を考慮して解決を図るとの立場を崩しておらず、厳しい対日政策を変える気配は見えない。
  これに対し、日本政府は日本企業が実害を被る事態となれば「看過できない」(外務省幹部)として、報復措置も辞さない構えだ。自民党内には、今回の総選挙を機に「韓国与党内にも一定いる親日派に声を上げてもらい、(現金化を)止めてほしい」との声もあるが、一部にとどまっている。
 (東京支社取材班)



2019.9.6-産経新聞 THE SANKEI NEWS-https://www.sankei.com/world/news/190906/wor1909060008-n1.html
「戦犯企業」の製品不買 釜山市議会で条例案可決、徴用工像の設置も審議

【ソウル=名村隆寛】韓国の釜山市議会は6日、本会議を開き、日本での戦前に朝鮮半島出身者を働かせ軍需物資を作った日本企業を「戦犯企業」とし、同市などが該当企業の製品を購入しないことを努力義務とする条例案を可決した。また、慰安婦像や徴用工像などの路上への設置を許可する条例案も可決した。条例の成立で、日韓関係がさらに悪化することは必至だ。
 条例は、三菱重工業をはじめ日本企業284社を戦犯企業と定義。これらの企業が公式に謝罪や賠償をしていないとし、既に購入済みで、使用されている物には「戦犯企業の製品」であることを明記したステッカーを貼ることなどが盛り込まれている。
 釜山市議会では同時に、慰安婦像や徴用工像など「歴史的な事件」を記念する造形物の路上への設置を認める条例案についても審議し、可決した。慰安婦像は2016年末以降、総領事館前に設置されているが、徴用工像は市民団体が何度も設置を試みたものの撤去された。条例が可決、成立したことで、法的な後ろ盾を得て徴用工像の設置への動きが加速するのは必至の情勢だ。
 一方、ソウル市議会でも6日午後に同様の条例案が審議される。「戦犯企業」を標的にした条例案は、これまで韓国の他の地方議会で提出されたが、批判が続いたため成立していない。現時点で、ソウルや釜山を含め17の地方議会で条例制定への動きが出ており、今後、成立が相次ぐ見通しだ。


2019.8.31-NHK NEWS WEB-https://www3.nhk.or.jp/news/html/20190830/k10012056701000.html
LCC ピーチ韓国と結ぶ3路線運休へ 国内の航空会社で初

日韓関係
 関西空港を拠点とするLCC「ピーチ・アビエーション」は、日本と韓国を結ぶ3つの路線をことし10月以降、順次運休することがわかりました。日韓関係が悪化する中、国内の航空会社が韓国路線の運休を決めたのは初めてだということです。
関西空港を拠点としている「ピーチ・アビエーション」によりますと、日韓関係が悪化する中、韓国から日本を訪れる利用客の減少が続いているということです。
 このため、いずれも1日1往復の運航をしている新千歳空港とソウルを結ぶ便をことし10月28日から、関西空港とプサン(釜山)を結ぶ便を来年1月7日から運休し、那覇空港とソウルを結ぶ便は来年1月28日から2月22日までの間で運休を決めました。
 また、1日4往復運航する関西空港とソウルを結ぶ便は、ことし11月11日から12月8日まで減便し、3往復で運航することにしています。
 ピーチ・アビエーションによりますと、日韓関係が悪化する中、国内の航空会社が韓国路線の運休を決めるのは初めてだということです。
 ピーチ・アビエーションは「韓国経済の低迷も踏まえ今後、客足が戻るには時間がかかると判断した」としています。


2019.7.29-産経新聞 THE SANKEI NEWS-https://www.sankei.com/politics/news/190729/plt1907290032-n1.html
徴用工問題「支払いは韓国政府」で合意 外務省、日韓協定交渉の資料公表

外務省は29日、いわゆる徴用工問題をめぐり、1965(昭和40)年に締結された日韓請求権協定の交渉過程で、韓国政府が日本側に示した「対日請求要綱」を公表した。要綱には元徴用工らへの補償請求が明記され、この要綱をすべて受け入れる形で計5億ドルの資金供与と請求権問題の「完全かつ最終的」な解決をうたった請求権協定が締結された。
 対日請求要綱は8項目で構成され、その中に「被徴用韓人の未収金、補償金及びその他の請求権の弁済を請求する」と記載されている。要綱と併せて公表された交渉議事録によると、1961(昭和36)年5月の交渉で日本側代表が「個人に対して支払ってほしいということか」と尋ねると、韓国側は「国として請求して、国内での支払いは国内措置として必要な範囲でとる」と回答した。
 韓国側が政府への支払いを求めたことを受け、日本政府は韓国政府に無償で3億ドル、有償で2億ドルを供与し、請求権に関する問題が「完全かつ最終的に解決されたこと」を確認する請求権協定を締結した。
 しかし、韓国最高裁は昨年、日本企業に元徴用工らへの損害賠償を命じた判決を確定させた。日本政府は「国際法違反」として韓国政府に早期の対応を求めている。


徴用工訴訟問題
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

徴用工訴訟問題とは、第二次世界大戦中日本の統治下にあった朝鮮および中国での日本企業の募集や徴用により労働した元労働者及びその遺族による訴訟問題。元労働者は奴隷のように扱われたとし、現地の複数の日本企業を相手に多くの人が訴訟を起こしている。韓国で同様の訴訟が進行中の日本の企業は、三菱重工業、不二越、IHIなど70社を超える。2018年10月30日、韓国の最高裁にあたる大法院は新日本製鉄(現日本製鉄)に対し韓国人4人へ1人あたり1億ウォン(約1000万円)の損害賠償を命じた。 日本の徴用工への補償について、韓国政府は1965年の日韓請求権協定で「解決済み」としてきたが、大法院は日韓請求権協定で個人の請求権は消滅していないとしたため、日本政府は日韓関係の「法的基盤を根本から覆すもの」だとして強く反発した。安倍晋三首相は「本件は1965年(昭和40年)の日韓請求権協定で完全かつ最終的に解決している。今般の判決は国際法に照らしてあり得ない判断だ。日本政府としては毅然と対応する」と強調した。日韓請求権協定には、両国に紛争が起きた際は協議による解決を図り、解決しない場合は「仲裁」という手続きが定められている。日本政府はこの手続きにより解決しない場合、国際司法裁判所への提訴も視野に入れている。

呼称
安倍晋三首相は2018年11月1日、国会予算委員会でこれまで日本政府が使ってきた「徴用工」という表現の代わりに今後は「旧朝鮮半島出身労働者」という表現を使うと明らかにした。安倍首相は「当時、国家総動員法(1938年制定)の下、国民徴用令には募集、官斡旋、徴用があった」として、2018年10月30日の大法院での原告4名はいずれも「募集」に応じた人たちとした。韓国政府は国家総動員法が施行された後に動員されたすべての労働者を「強制動員被害者」と認定している

徴用工訴訟の経緯
韓国人慰安婦・サハリン残留韓国人・韓国人原爆被害者の対日補償要求(2005年)

韓国政府や韓国メディアは、戦後補償について「完全かつ最終的に解決した」とする1965年日韓請求権協定を当時韓国国民に積極的に周知を行うこと がなかったため、民間レベルではその後も日本政府への戦後補償を求める訴えや抗議活動を行い続けていた。のちに戦後補償がこの協定により完全解決していることは、政府レベルでは韓国側議事録でも確認され、日本政府もこの協定により日韓間の請求権問題が解決したとしてきたが、2005年の盧武鉉政権から、韓国政府は慰安婦、サハリン残留韓国人、韓国人原爆被害者の問題については日韓請求権協定の対象外だったと主張し始めた。また2005年4月21日、韓国の与野党議員27人が、1965年の日韓基本条約が屈辱的であるとして破棄し、同時に日本統治下に被害を受けた個人への賠償などを義務付ける内容の新しい条約を改めて締結するよう求める決議案を韓国国会に提出するとともに、日韓両政府が日韓基本条約締結の過程を外交文書ですべて明らかにした上で韓国政府が日本に謝罪させるよう要求した。

韓国政府が元徴用工の対日補償請求はできないと表明(2009年)
2009年8月14日、ソウル行政裁判所は、大韓民国外交通商部が裁判所に提出した書面に「日本に動員された被害者のための(未払い賃金)供託金は請求権協定を通じ、日本から無償で受け取った3億ドルに含まれているとみるべきで、日本政府に請求権を行使するのは難しい」と記述されていることを明らかにした。韓国政府がこのような見解を示したのは1965年に韓日請求権並びに経済協力協定が締結されて以降、初めてになる。また、ソウル行政裁判所は、韓国の外交通商部から、日本政府は条約締結以前の1946年、日本企業に対して朝鮮人に対する未払い額を供託所に供託するよう指示を行っており、2009年8月現在、日本に供託形態で保管されたままとなっている韓国・朝鮮人への不払い賃金額は、強制動員労務者2億1500万円、軍人・軍属9100万円などで総額3億600万円となっているという説明を受けたことを明らかにした。

韓国大法院、日本企業の徴用者に対する賠償責任を認める(2012年)
韓国政府は元徴用工の対日補償請求はできないと表明していたが、韓国大法院2012年5月23日、日韓併合時の日本企業による徴用者の賠償請求を初めて認めた。元徴用工8人が三菱重工業新日本製鉄を相手に起こした損害賠償請求訴訟の上告審で、原告敗訴判決の原審を破棄し、原告勝訴の趣旨で事案をそれぞれ釜山高法とソウル高法に差し戻した。韓国大法院は「1965年に締結された日韓請求権協定は日本の植民地支配の賠償を請求するための交渉ではないため、日帝が犯した反人道的不法行為に対する個人の損害賠償請求権は依然として有効」とし、「消滅時効が過ぎて賠償責任はないという被告の主張は信義誠実の原則に反して認められない」と主張した。また、元徴用工が日本で起こした同趣の訴訟で敗訴確定判決が出たことに対しても、「日本の裁判所の判決は植民地支配が合法的だという認識を前提としたもので、強制動員自体を不法と見なす大韓民国憲法の核心的価値と正面から衝突するため、その効力を承認することはできない」と主張した。

相次ぐ元徴用工と遺族による裁判
韓国の下級裁判所では元徴用工と元徴用工の遺族が日本企業3社(新日鉄住金三菱重工業不二越)に損害賠償を求める裁判を相次いで起こしている。
2013年2月、富山市の機械メーカー不二越による戦時中の動員に対して、強制動員被害者13人と遺族が計17億ウォン(約1億5000万円)の賠償を求める訴訟をソウル中央地裁に起こした。
2013年3月、日本製鐵(現新日鐵住金)の釜石製鉄所岩手県)と八幡製鐵所福岡県)に強制動員された元朝鮮人労務者ら8人が、新日本製鐵(現新日鐵住金)に8億ウォン(約7000万円)支払いを要求してソウル中央地裁に損害賠償請求訴訟をおこした。2013年7月10日、ソウル高裁は判決で新日鉄住金に賠償を命じたが、その後新日鉄住金は上告した。菅義偉 官房長官は「日韓間の財産請求権の問題は解決済みという我が国の立場に相いれない判決であれば容認できない」とコメントした。
2013年11月8日にソウルで行われた日韓外務次官級協議では、日本の外務審議官杉山晋輔が韓国の外務第1次官である金奎顕(キム・ギュヒョン)に対し、元徴用工問題で韓国大法院で日本企業の敗訴が確定した場合、日韓請求権協定に基づき韓国側に協議を求める方針を伝えた。また韓国側が協議に応じなかったり、協議が不調に終わった場合は国際司法裁判所への提訴のほか、第三国の仲裁委員を入れた処理を検討すると表明した
2015年12月24日現在、確認されただけで係争中の裁判が13件あり、このうち5件で日本企業側に損害賠償を命じる判決が出ており、3件が韓国大法院の判断を待つ状態になっている

韓国憲法裁判所、「日韓請求権協定は違憲」の訴えを却下(2015年)
韓国憲法裁判所2015年12月23日、1965年に締結された日韓請求権協定は違憲だとする元徴用工の遺族の訴えを審判の要件を満たしていないとして却下した。原告である元徴用工の遺族は、韓国政府による元徴用工への支援金支給の金額の算定方法や対象範囲を不服として、支給を定めた韓国の国内法と日韓請求権協定が財産権などを侵害しているとし、韓国の憲法に違反していると告訴していた。韓国憲法裁判所の決定は国内法の不備を認めず、支援金支給に関して日韓請求権協定が「適用される法律条項だとみるのは難しい」とした。また日韓請求権協定が仮に違憲であっても原告の請求には影響しないとし、審判の要件を満たしていないと却下した

中国で三菱マテリアルによる謝罪と賠償による和解(2016年)
1972年、中国と日本は国交正常化において日中共同声明を発表、中国は「日中両国民の友好のために、日本に対する戦争賠償の請求を放棄する」と宣言した。2016年6月1日、中国人による損害賠償請求訴訟において、三菱マテリアル謝罪と一人当たり10万(約170万円)の支払いを行う内容で、北京市で原告と和解を行った。総額で約64億円となり第二次世界大戦後最大規模の和解となった

韓国下級裁判所における判決
2016年8月23日、ソウル中央地方裁判所は新日鉄住金に対し元徴用工遺族らに計約1億ウォン(約890万円)の支払いを命じる判決を出した。
2016年8月25日、ソウル中央地方裁判所は三菱重工業に対し元徴用工遺族ら64人に被害者1人あたり9000万ウォン(約800万円)ずつ賠償するよう命じる判決を出した
2016年11月23日、ソウル中央地方裁判所は不二越に対し元女子勤労挺身隊の5人に1人あたり1億ウォン(約950万円)の支払いを命じる判決を出した。

大法院及び法院行政所
韓国大法院2018年までの約5年間徴用工訴訟について判決を出していなかったが、2018年に韓国の検察当局は朴槿恵政権期に大法院が大統領府や外交省と協議し故意に判決を先送りしてきた疑いがあるとし法院行政所の元幹部などを起訴。2018年12月3日には職権乱用などの容疑で当時大法官(最高裁判事)だった朴炳大の逮捕状をソウル中央地裁に請求したが、ソウル中央地裁は12月7日に逮捕状の請求を棄却した

大法院が新日鉄住金に対し損害賠償を命じる(2018年)
2018年10月30日、韓国の最高裁にあたる大法院は差し戻し審で新日本製鉄(現新日鉄住金)に対し韓国人4人へ1人あたり1億ウォン(約1000万円)の損害賠償を命じた。徴用工訴訟において大法院で結審したのは初めて。これにより、新日鉄住金の韓国内の資産差し押さえの可能性がでてきた。韓国で同様の訴訟が進行中の日本の企業は、三菱重工業不二越IHIなど70社を超えており[1]、この判決以降韓国の政府機関や支援する財団に「訴訟を起こしたい」という問い合わせの電話が鳴り止まない状況が続いている。
2018年10月30日の大法院の判決では提訴期限の基準を示しておらず控訴審の裁判所の判断は分かれている[20]。韓国側は提訴期限の起算点を、1965年(国交正常化時)、2005年8月(韓国が請求権協定に関する見解を表明した時)、2012年5月(大法院が個人的請求権に関する判断を行った時)、2018年10月(大法院が損害賠償を命じる判決を行った時)などを想定しており、日韓請求権協定で全て解決済みだとする日本との損害賠償訴訟をめぐる新たな争点として浮上している

韓国政府に対する集団訴訟
2018年12月、戦時中に日本企業に徴用されたとする韓国人とその遺族が、1965年日韓請求権協定で日本政府から3億ドルの無償支援を受け取った韓国政府に補償責任があるとして、韓国政府に対して1人当たり1億ウォン(約1千万円)の補償金の支払いを求める集団訴訟を提起することが明らかになった

日本の対応
2018年11月1日、自由民主党は日本政府に対し日韓請求権協定に基づく協議や仲裁の速やかな開始を韓国に申し入れるよう求める決議をまとめた。

原告代理人弁護士が新日鉄住金本社へ
2018年12月、原告代理人の韓国人弁護士が東京都 千代田区新日鐵住金本社に侵入したが、警備員から遺憾の意を伝達され阻止された。原告代理人弁護士は、12月にも再び新日鐵住金本社を訪れたが、拒まれたため、進藤孝生社長に対する要請書を受付に残して帰ったのち、記者会見を開き、差押の手続を開始する用意があることを明らかにした。
同月には日本の外務省金杉憲治 アジア大洋州局長が大韓民国 外交部を訪れ、差し押さえに対する遺憾の意を伝えると共に問題の解決に向け協議を行った

個人請求権の解釈
1965年日韓請求権並びに経済協力協定(日韓請求権協定)によって日韓の財産及び請求権問題に関する外交的保護権が放棄されていることについては異論がない。
日本政府は条約締結以降、請求権協定によって日韓の請求権問題は個人請求権も含めて終局的に解決されたという立場を維持している。逆に韓国政府は条約締結以降2000年頃までは請求権協定によって個人請求権が消滅したという立場であったが、その立場を変遷させ2000年には韓国において放棄されたのは外交保護権であり個人の請求権は消滅していないとの趣旨の外交通商部長官の答弁がなされるに至った。
旧朝鮮半島出身労働者の訴訟は当初日本の裁判所で争われたが、最高裁は日本における韓国民の財産請求権は「日韓請求権協定協定第二条の実施に伴う大韓民国等の財産権に対する措置に関する法律」(財産措置法)により消滅しているとし、認めなかった。そのため、今度は韓国の裁判所で争われるようになった。2018年10月30日、韓国の最高裁大法院徴用工の個人賠償請求権を認め、裁判官の多くが徴用工の個人賠償請求権は日韓請求権協定の効力範囲に含まれないと判断した。
韓国の対日請求に関する問題には、徴用工訴訟のほか、慰安婦問題サハリン残留韓国人、韓国人原爆被害者の問題、日本に略奪されたと主張される文化財の返還問題などがある。

日本政府
 日本政府は1965年日韓請求権協定についてその締結の当初から個人請求権は消滅していないと解釈していた。日韓請求権協定締結時の外務省の内部文書には日韓請求権協定第二条の意味は外交保護権を行使しないと約束したもので、個人が相手国に請求権を持たないということではないと書かれていた[31]。このような日本政府の解釈は日韓請求権協定締結前から一貫したものであった。というのも、原爆シベリア抑留の被害者が、日韓請求権協定に先立って締結されたサンフランシスコ平和条約日ソ共同宣言の請求権放棄条項により賠償請求の機会を奪われたと主張し、日本に補償を求める訴訟を提起したからである。この訴訟において、日本はそれらの請求権放棄条項によって個人の請求権は消滅しないから、賠償請求の機会は奪われていないと主張した。韓国との関係に関しても戦後韓国に残る資産を失った日本国民が韓国に対して訴訟を提起する可能性があるため、日本は当初から請求権放棄条項によっては個人の請求権は消滅しないという立場に立っていた。請求権協定締結の1年後である1966年に、協定の交渉担当者の外務事務官谷田正躬は、協定で放棄されるのは外交保護権にすぎないから、日本政府は朝鮮半島に資産を残してきた日本人に補償責任を負わないと解説した
 1991年8月27日、柳井俊二 外務省条約局長が参議院 予算委員会で、「(日韓請求権協定は)いわゆる個人の請求権そのものを国内法的な意味で消滅させたというものではない。日韓両国間で政府としてこれを外交保護権の行使として取り上げることができないという意味だ」と答弁したため、それ以降韓国の個人請求権を根拠にした日本への訴訟が相次ぐようになった
 1992年2月26日、柳井は、請求権協定2条3項により「国及び個人の財産、権利及び利益に対する措置」及び「請求権」に対する外交保護権が消滅したと答弁した。そしてこの「財産、権利及び利益」は協定時の合意議事録で「法律上の根拠により実体法的価値を認められるすべての種類の実体的権利」であることが合意されていて、条約が直接外交保護権を消滅させた「請求権」は実体法上の根拠のないクレームに過ぎないと述べた。そして、実体法上の根拠がある「財産、権利及び利益」についてはそれ自体の外交保護権が放棄されたわけではないものの、「財産、権利及び利益に対する措置」として国内法たる1965年の「財産措置法」によって韓国民の財産権は消滅していることを明らかにした。
さらに、1992年3月9日の予算委員会において柳井は「請求権の放棄ということの意味は外交保護権の放棄であるから、個人の当事者が裁判所に提訴する地位まで否定するものではない」と答えた。また、内閣法制局 長官工藤敦夫は「外交保護権についての定めが直接個人の請求権の存否に消長を及ぼすものではない」とし、「訴えた場合にそれらの訴訟が認められるかどうかまで裁判所が判断する」と述べた
 1993年5月26日の衆議院予算委員会 丹波實外務省条約局長答弁では、日本国内においては韓国民の「財産、権利及び利益」は日韓請求権協定の請求権放棄条項及び日韓請求権協定を日本国内で施行するための財産措置法によって外交的保護権のみならず実体的にその権利も消滅しているが、「請求権」は外交的保護権の放棄ということにとどまり個人の請求権を消滅させるものではないとしている。

2003年に参議院に提出された小泉総理の答弁書でも、同条約を受けて日本国内で成立した財産措置法によって請求の根拠となる韓国国民の財産権は国内法上消滅した
この財産措置法で消滅しているのは韓国民の財産権のみであるから、日本と外国との請求権放棄条項により日本政府が日本国民より賠償請求の機会を奪われたとして訴訟を提起されることはない。また、日韓請求権協定に伴う財産措置法は外交保護権の放棄により韓国から外交ルートで抗議されることもない。実際に日本の裁判所で争われた旧日本製鉄大阪訴訟において、大阪高裁2002年11月19日の判決で協定の国内法的措置である財産措置法による財産権消滅を根拠に一審原告の控訴を棄却している。この裁判はその後上告を棄却され確定した。
 しかし、旧朝鮮半島出身労働者の韓国での訴訟については、韓国は日本の財産措置法を準拠法としていないので、韓国の裁判所ではこれを適用していない。1990年代後半には日本政府に一部不利な判断が出るようになったため、日本政府は次第に戦後補償は請求権放棄条項で解決済みであるとの主張をするようになった。日韓請求権協定に関しても韓国人個人の請求権も含め協定によって一切解決済みとの立場を取っている。
 現在の日本政府の見解は、旧朝鮮半島出身労働者の損害賠償請求権についての実体的権利は消滅していないが、これを裁判上訴求する権利が失われたというものになっている。ただし、日本政府の立場を肯定した2007年 最高裁 西松建設事件の判決は、司法上の救済を否定する一方で被害救済に向けた関係者の自発的努力を促した。これを受けて、西松建設は実際に被害者に対する謝罪と賠償を行った。2007年のサンフランシスコ平和条約に関して政府の立場を肯定した最高裁判決は、判断を左右する条約解釈上の対立点に関する日本政府の立場の変遷を鑑み、同時に被害救済の必要性を指摘している

韓国政府
一方の韓国は日韓請求権協定締結当初は協定によって個人の請求権が消滅したとの立場に立っていた。そもそも韓国政府は日韓請求権協定締結前の交渉において、徴用工の未払金及び補償金は国内措置として韓国側で支払うので日本側で支払う必要はないと主張していた。しかし、1991年日本の柳井俊二 外務省条約局長答弁が大きく報道され日本で個人の請求権を主張する訴訟なども提起されたため、日本では個人請求権は外交保護権放棄条項に含まれていないことが広く知られるようになる。すると韓国はその立場を変遷させ、2000年に韓国においても放棄されたのは外交保護権であり個人の請求権は消滅していないとの趣旨の外交通商部長官答弁がなされるに至った。また韓国政府は2005年に官民共同委員会において日韓請求権協定の効力範囲問題を検討し、植民地支配賠償金や慰安婦問題等の日本政府の国家権力が関与した反人道的不法行為については請求権協定によっては解決しておらず日本政府の法的責任が残っていると結論した。ただし、徴用工については同委員会は明示的に日韓請求権協定の効力範囲外に位置付けず、請求権協定によって日本から受け取った資金に韓国政府が強制動員被害者に対する補償問題を解決するための資金が包括的に勘案されているとし、韓国政府は受け取った資金の相当額を強制動員被害者に使用すべき道義的責任があると判断した
日本製鉄大阪訴訟においては、前述のように日韓請求権協定には韓国民の財産権を消滅させた財産措置法があるため、韓国政府が日本から受け取った資金を充てるか否かの判断の対象にならなかった。しかし、日本の国内法である措置法の効力が及ばない韓国ではこれらの点が大きな争点になった。

大法院
賠償義務判決は2012年5月の大法院で初めて出され、東亜日報によると当時の判事であった金能煥が「建国する心情で判決を書いた」と語ったという。2018年10月30日の韓国大法院判決の多数意見は、徴用工の個人賠償請求権は日韓請求権協定の効力範囲に含まれないと判断した。14人の裁判官の内3人の個別意見は、徴用工の個人賠償請求権は請求権協定の効力範囲に含まれるが、両国間で外交上の保護権が放棄されたに過ぎないとした。この中でサンフランシスコ平和条約についても言及し、個人損害賠償請求権の放棄を明確に定めたサンフランシスコ平和条約と「完全かつ最終的な解決」を宣言しただけの請求権協定を同じに解することは出来ないとしている。また、2人の裁判官の反対意見は、徴用工の個人賠償請求権は請求権協定の効力範囲に含まれ、かつ、請求権協定によって日韓両国民が個人損害賠償請求権を裁判上訴求する権利が失われたとした。その意見によれば、個人損害賠償請求権自体は消滅していないものの、日韓請求権協定によって外交上の保護権が放棄されただけでなく、日韓両国民が個人損害賠償請求権を裁判上訴求する権利も制限されたため、個人損害賠償請求権の裁判上の権利行使は許されないとのことである。今回の大法院判決は、請求内容が日本の違法な植民地支配及び日本企業の反人道的不法行為を前提にした慰謝料であることを指摘している


2019.7.28-Yahoo!!Japanニュ-ス-産経新聞 THE SANKEI NEWS-https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20190728-00000541-san-pol
日韓首脳会談当面見送りへ 徴用工訴訟で建設的な対応ない限り

悪化する日韓関係をめぐり、政府は、いわゆる徴用工訴訟問題などで韓国側が建設的な対応を見せない限り、当面文在寅(ムン・ジェイン)大統領との日韓首脳会談には応じない方針だ。日韓請求権協定に違反する事態を一方的に作り出した韓国側の変化を待つ意向で、9月の国連総会などに文氏が出席した場合でも、現状のままなら直接対話の場を設けない。安倍晋三首相は「ボールは韓国側にある」として責任ある対応を求める姿勢を貫く。
 「国交正常化以来、最悪に近いんじゃないか」 首相に近い官邸関係者は、出口の見えない今の日韓関係をこう語る。
 政府は、半導体材料の対韓輸出管理の厳格化に加え、8月2日にも、貿易上の優遇措置を適用する「ホワイト国」から韓国を除外する政令改正を閣議決定する。一方、韓国側は、日本側の対応を徴用工訴訟への経済報復と批判。日本を世界貿易機関(WTO)に提訴する準備を進めている。
 しかし、韓国側は肝心の徴用工問題について、協定に基づく仲裁委員会の設置要求に応じず、事態を収拾させる動きをみせない。

 6月には、韓国最高裁の確定判決に基づき、原告側が韓国内の日本企業の資産の現金化手続きに入ったことに関連し、韓国政府が日韓企業の出資による解決策を提案。日本側は、請求権問題を「完全かつ最終的に解決」と確認した協定違反は明白として拒否した。
 こうした不誠実な対応を受け、首相は同月28、29両日に行われた20カ国・地域(G20)首脳会議(サミット)で、韓国側が求めた首脳会談を「実のある話し合いはできない」(政府関係者)として拒んだ。
 今後、日韓両首脳の出席が想定される国際会議は、9月の国連総会や10月末からの東南アジア諸国連合(ASEAN)関連首脳会議、11月のアジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議-がある。政府は、韓国が徴用工訴訟の解決につながる前向きな提案をしない限り、これらの場で直接対話に応じない考えだ。
 さらに、年内に中国で日中韓サミットを開く方向で調整しているが、日韓関係のあおりも受け「具体的な日程協議は進んでいない」(外務省関係者)という。

 外務省幹部は「韓国政府が『最高裁判決は尊重するが、請求権問題は協定で解決されている』との声明を出し、政治判断で解決すればいい」と語る。しかし、韓国側が応じる気配をみせないことから、対立は長期化しそうだ。







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徴用工問題-韓国の問題へ
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