核 問題-2019年7月~2022年10月
2022.10.28-Yahoo!Japanニュース(KYODO)-https://news.yahoo.co.jp/articles/ad5b3bc800a36a2e77d5f3974b3558d0a280c71a
ロシアはウクライナで核使わずとプーチン氏
(共同)
ロシアのプーチン大統領は27日、
ロシアがウクライナで核兵器を使用する意味は「政治的にも、軍事的にもない」と述
べ否定的な考えを示した。
(共同)
2022.10.26-NHK NEWS WEB-https://www3.nhk.or.jp/news/html/20221026/k10013870561000.html
ロシア「汚い爆弾」一方的懸念 ウクライナ側要請 IAEA査察へ
ロシアが放射性物質をまき散らす爆弾いわゆる「汚い爆弾」をウクライナ側が使用する可能性について一方的に懸念を表明する中、
IAEA=国際原子力機関はウクライナ側の要請に応じ査察官を派遣することにしています。
ロシアはこのところ、放射性物質をまき散らす爆弾、いわゆる「
汚い爆弾」をウクライナ側が使用する可能性について一方的に懸念を表明しています。
これについて、IAEA=国際原子力機関のグロッシ事務局長は24日、ウクライナ側の要請に応じ査察官を派遣すると発表し、定期的に査察官が訪れている2つの原子力関連施設で査察を行うことを明らかにしました。
2つの施設がウクライナのどの施設なのか明らかにしていませんが、派遣の準備をしているということです。査察についてはウクライナ側が、ロシア側の主張に根拠がないことを示すためとして、IAEAに求めていました。
一方、ウクライナの原子力発電公社「エネルゴアトム」は25日、南部のザポリージャ原子力発電所にある使用済み核燃料の貯蔵施設付近で、駐留するロシア軍が無許可の工事を行っていると明らかにしました。
工事はこの1週間秘密裏に行われていて、ウクライナ人の職員や現地に駐在しているIAEAの専門家が現場に立ち入るのは禁止されているとしていて「原発で貯蔵する核物質や放射性廃棄物を利用したテロ行為をロシア側が準備していることを示しているのではないか」との見方を示しました。
うした中、国連の安全保障理事会では25日、
非公開の緊急会合が開かれ、
会合を要請したロシアは深刻な脅威だとみずからの主張を繰り返しましたが、
欧米各国は証拠は示されておらずロシアによる虚偽の情報だと非難しています。
松野官房長官「ロシアによる虚偽の主張 認められず」
松野官房長官は午前の記者会見で「政府として『ウクライナが“汚い爆弾”を使用する準備を行っている』とのロシアによる虚偽の主張は認められない立場だ。いかなる口実を用いたとしてもロシアによるさらなるエスカレーションは決して許されるものではない。引き続きG7=主要7か国をはじめとする国際社会と緊密に連携し、ロシアに対し即時に侵略を停止し、部隊をロシア国内に撤収するよう改めて強く求めていく」と述べました。
米 ロシアから核戦力の軍事訓練実施の通知受ける
アメリカ国務省のプライス報道官は25日、記者会見で、ロシア側から、毎年行っている核戦力の軍事訓練を実施すると事前に通知を受けたことを明らかにしました。
そのうえで「ロシアは不当な軍事侵攻を続け、核兵器の無謀な言い回しをしているが、こうした通知によって、われわれは不意を突かれることもなく、誤解のリスクは軽減される。これは重要なことだ」と述べ、ロシアがウクライナへの軍事侵攻を続ける中でも通知を受けたことで米ロの偶発的な衝突のリスク軽減につながると評価しました。
また、国防総省のライダー報道官も「この点においては、ロシアは軍備管理の義務と透明性の約束を順守している」と述べました。
2022.10.17-Yahoo!Japanニュース(KYODO)-https://news.yahoo.co.jp/articles/e47eafe20e7af21e88d38176c7374643d2c7910f
米、核不使用へ中国にも対応要求 「ロシアに明確なメッセージを」
【ワシントン共同】
サリバン米大統領補佐官(国家安全保障問題担当)は16日、
ウクライナに侵攻したロシアが核兵器使用の可能性を示唆していることに関し、
中国を含む各国が「ロシアに核兵器使用を考えてはならないと明確で断固としたメッセージを送る義務がある」と述べ、
中国にも対応を求めた。CNNテレビで語った。
北大西洋条約機構(NATO)や欧米諸国でロシアの核兵器使用への警戒が強まっている。
ウクライナの駐米大使は16日、CBSテレビの番組で、
核兵器が使われれば、核抑止システムが危険にさらされるとの認識を示し「
私たちはロシアに核兵器を使用させてはならない」と訴えた。
2022.04.15-日本経済新聞-https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUE15D2F0V10C22A4000000/
ウラン容器の封印切断 人形峠の原子力機構施設
日本原子力研究開発機構は15日、
人形峠環境技術センター(岡山県鏡野町)のウラン濃縮施設で、六フッ化ウランを詰めた容器の開封がないことを示す封印が切断されていたと発表した。放射性物質の持ち出しなどは確認されていないという。
機構によると、封印はワイヤで、原子力規制委員会と国際原子力機関(IAEA)がそれぞれ容器に設置。容器自体と、IAEAのワイヤに異常はなかった。切断面などを分析した結果、ニッパーなどの工具を使って切断されたとみられるが、時期や経緯は不明。
2月上旬の点検でワイヤに異常がないことを確認。ワイヤの交換作業をしたIAEAの査察官が3月中旬に機構側に指摘した。機構は工具の管理徹底などの再発防止策をとるとしている。〔共同〕
2022.03.02-熊本日日新聞-https://kumanichi.com/articles/575015
核脅威、キューバ危機以来の水準-平和賞受賞のICANなどロ批判
【ロンドン共同】2017年にノーベル平和賞を受賞したNGOの核兵器廃絶国際キャンペーン(ICAN)などは1日、ウクライナを軍事侵攻している
ロシアが核部隊を警戒態勢に置くよう命じたことについて、米国とソ連が核戦争の手前まで行ったとされる1962年のキューバ危機以来、
核の脅威が「最も危険な水準」に達したと批判し、ロシアに命令の撤回を求めた。
ICANのフィン事務局長と、21年の受賞者でロシアの独立系新聞の編集長を務めるムラトフ氏が共同声明を発表した。声明では、
国際社会を「脅迫」しているとしてプーチン大統領を批判。ウクライナからの撤退や核兵器の廃絶を求めた。
2022.03.02-朝日新聞-https://www.asahi.com/articles/ASQ3254N3Q31UHBI06Z.html
「核から守る」中国がウクライナと交わした約束、ロシアにどう対応?
ロシアのプーチン大統領が戦略核の運用部隊に対し、「
特別態勢」
に入るよう指示した。ウクライナが核の脅威にさらされるなか、注目を集めるのが中国の対応だ。背景には、
習近平(シー・チンピン)国家主席がウクライナと約8年前に交わした、核の脅威に関する「約束」がある。
ウクライナと核については、少し複雑な歴史がある。
ウクライナは1990年代前半、米ロに次ぐ世界3位の核保有国だった時期があった。
1991年にソビエト連邦が崩壊し、独立したウクライナ国内には当時、1240発の核弾頭と176発の大陸間弾道ミサイル(ICBM)があったとされる。
残された核をどう扱うか。問題解決へまず動いたのは米国だった。
1992年、ソ連時代の核を保有していたロシア、ウクライナ、ベラルーシ、カザフスタンとリスボンで協議。ロシア以外の3カ国が核弾頭を国外に移し、非核保有国となる議定書に署名した。その後、ウクライナでは安全保障の不安などから非核化を進めることへの異論も一部から出たが、米国は1994年、見返りとなる財政支援を打ち出すことで非核化を受け入れさせた。
この流れに沿って、中国も動いた。中国は1994年12月、「
ウクライナへの安全保証の提供に関する声明」を発表。その内容は、
中国は核不拡散条約(NPT)が認める核保有国として、無条件に核兵器の使用や核の脅威を与える動きをしないことや、他の核保有国にも同様の保証をウクライナに与えるよう呼びかけることだった。つまり、「
中国はウクライナをあらゆる核の脅威から守る」という宣言だ。
2012年に中国共産党総書記に就任し、国を率いる立場になった習氏も、この声明を引き継いでいる。
・・・
202.01.04-NHK NEWS WEB-https://www3.nhk.or.jp/news/html/20220104/k10013413841000.html
核保有5か国「核戦争に勝者なし」声明 核戦争回避と軍縮を強調
国連安保理の常任理事国で、核保有国のアメリカやロシア、中国など5か国は共同声明を発表し、「
核戦争に勝者はいない」
として、軍事的な対立を避けるため、外交的なアプローチを追求する姿勢を示すとともに、核の拡散防止の重要性を訴え、軍縮に努めていく姿勢を強調しました。
アメリカ、ロシア、中国、フランス、イギリスの5か国は3日、核戦争や軍拡競争を防ぐための共同声明を発表しました。
この中で5か国は、「
核兵器の保有国どうしの戦争の回避と、戦略的なリスクの軽減が最も重要な責務だとみなしている」としたうえで「
核戦争に勝者はおらず、決して戦ってはならない」と強調しました。そして、「
核兵器は、防衛や侵略の抑止、戦争を防ぐという目的のために存在しなければならない。われわれの核兵器は、他のいかなる国も標的としていない」としています。
そのうえで、「
こうした兵器のさらなる拡散は防がなければならないと確信している。NPT=核拡散防止条約の義務を果たしていく」として、核保有国として、核の拡散防止に取り組む姿勢を強く打ち出しました。さらに、衝突の防止や相互理解の推進のため、「2国間や多国間の外交的なアプローチを追求し続ける」と強調しました。
今回の声明は、今月4日から開催が予定されていたものの、新型コロナウイルスの影響で、延期が決まったNPTの再検討会議に合わせて用意されたものとみられます。
前回の会議で、核保有国と非保有国の立場の違いが浮き彫りとなったことを踏まえ、共同声明では安全保障面で対立を深めるアメリカと中国も、核保有国として核軍縮に協力して取り組む姿勢をアピールした形です。
米国務省「各国は核兵器について自制する責任ある」
今回の共同声明について、アメリカ国務省の報道担当者はNHKの取材に対し「各国は緊張状態にあるときでさえ、特に、核兵器については自制する責任があることを明確にしている」と述べ、意義を強調しました。
そのうえで、バイデン政権が安全保障上の核兵器の役割を縮小する方向でとりまとめを進めている新たな核戦略の指針「核態勢の見直し」の方針とも一致しているとしています。
アメリカは核兵器の役割の縮小を目指す一方で、非保有国が主導した核兵器禁止条約については、現在の安全保障情勢を考慮しておらず、核軍縮を進める現実的な方法ではないとして一貫して反対の立場を示しています。
アメリカとしては、核保有国が核軍縮に取り組む姿勢をアピールすることで非保有国からの批判を避けるとともに、核軍縮に向けた議論をリードしたい思惑もあるものとみられます。
ロシア外務省「文書はわれわれのイニシアチブで作成」
共同声明について、ロシア外務省のザハロワ報道官は、メディアの質問に答える形で「文書はわれわれのイニシアチブで作成された」と述べました。
そのうえで、「今の厳しい国際安全保障環境において、核保有国の首脳がこうした政治的声明に賛同することは、国際的な緊張を緩和し、軍拡競争を抑制し、信頼の強化につなげて、将来の相互の軍備管理やリスク低減への基礎を築くことにつながると信じている」と、その意義を強調しています。
中国外務省 核兵器について初の共同声明の意義強調
核保有国の5か国による共同声明について中国外務省の傅聡軍縮局長は4日、記者会見し「5か国が初めて出した歴史的な声明で、このとりまとめに中国は積極的な役割を果たした」と述べ、声明の意義を強調しました。
一方で、中国が急速な軍備増強を進めているとアメリカが指摘していることについては「アメリカは今後30年で何兆ドルも費やして、核戦力をアップグレードしようと計画している。安全保障環境の変化に中国が対応するのは自然なことだ」と述べ、反論しました。
さらにアメリカとイギリス、オーストラリアが新たに設けた安全保障の枠組み「AUKUS」でオーストラリアへの原子力潜水艦の配備が計画されていることについて「核不拡散のリーダーと常に主張している3か国が、政策のダブルスタンダードを示したもので、多くの国が同じことをすればNPT=核拡散防止条約の崩壊につながる」と述べ、アメリカなどをけん制しました。
国連事務総長「今後のより具体的な取り組みに期待」
核保有国5か国の共同声明について、国連のグテーレス事務総長は3日、歓迎するとした声明を発表し、「NPT=核拡散防止条約で課せられている義務を含め、不拡散や軍縮に関する合意などを順守する必要があるという核保有国の認識を高く評価する」としました。
そして、核戦争を防ぐための措置を追求する姿勢を示したことについて、「今後のより具体的な取り組みに期待している」として、核保有国の実際の行動に期待を示しました。
そのうえで、グテーレス事務総長は「核をめぐるすべてのリスクを取り除く唯一の方法は、すべての核兵器を取り除くことだ。この目標をできるだけ早く達成するため、核保有国を含むすべての加盟国と協力していく考えを改めて表明する」と強調しました。
ICAN「実際は正反対の行動」
核保有国5か国の共同声明について、2017年にノーベル平和賞を受賞した、
国際NGOのICAN=核兵器廃絶国際キャンペーンのベアトリス・フィン事務局長は、3日、自身のツイッターで「彼らは『よい内容』の声明文を書くが、実際は正反対の行動をとっている。多額の金を投入して近代化を進めながら、核兵器の開発競争を行い、常に核戦争に備えている」と批判しています。
専門家「核軍縮の議論の方向性 主導権とるためではないか」
アメリカやロシアなど、核保有国5か国が出した共同声明について、核軍縮に詳しい長崎大学核兵器廃絶研究センターの広瀬訓 副センター長は「アメリカとロシアは依然として6000発前後の核弾頭を保有しており、中国は拡張してきているなど、5か国に対しては核軍縮に熱心ではないという批判が根強くある。さらに、核兵器の非人道性に注目した核兵器禁止条約が成立、発効したことで、核保有国に対する非常に強い逆風が吹いている。今回の共同声明はNPT=核拡散防止条約の再検討会議を前に、核保有国の立場を明らかにし、3月に予定されている核兵器禁止条約の第1回の締約国会議の前に核軍縮の議論の方向性を決め、主導権をとるために出されたのではないか」と話しています。
そのうえで「声明では、核軍縮は単純に核兵器を削減すればよいという問題ではなく、安全保障が基盤になるという議論の枠組みを確認しておきたいということがにじんでいる。核戦争に勝者はいないことを確認し、核兵器が使われた場合に、どのような恐ろしい結果がもたらされるのか、核保有国も十分に理解し、懸念を共有しているという姿勢を見せている一方、核兵器禁止条約が国際社会の潮流になることを警戒して、あくまでも自分たちが認めている核軍縮の議論の舞台がNPTであるという姿勢を鮮明にしたいということだと思う」と指摘しました。
また、広瀬副センター長は「共同声明が出されたからといって、各国間の関係が急に改善されることは期待できないが、声明は核保有国だけではなく、すべての国々が安全保障環境の改善に向けて協力すべきだというメッセージになっている。日本もNPTの加盟国として、東アジアの安全保障環境の改善に向けて最大限の外交努力を行うべきだ」と述べました。
公明 山口代表 “NPT運用検討会議いずれ開催の必要”
公明党の山口代表は、党の仕事始めであいさつし「声明が出された以上、NPT運用検討会議をいずれ開催し、非保有国も含めた共通認識に高まるよう努力する必要がある。日本は核保有国との信頼関係をつくり上げたうえで、非保有国との橋渡しをさらに前進させていくべきだ」と述べました。
外務省-https://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/kaku/beiro/start.html
米露間の戦略核兵器削減条約(START)
戦略兵器削減条約(START: Strategic Arms Reduction Treaty)交渉は、冷戦期に増大していった米露両国の戦略核戦力を、はじめて削減したプロセスであった。(中距離核については、87年12月に米ソ間で地上配備の中距離核を全廃するINF条約に署名し、88年6月の発効以降、実施している。)これによって両国の戦略核戦力は大幅に減少することとなり、核軍縮の観点からも好ましい動きであったといえる。START(I)プロセスの結果、米露の戦略核弾頭数は冷戦期の約60%となり、STARTは核軍縮の1つの重要な基礎を構成してきたということができる。
1.第1次戦略兵器削減条約(START I)
91年7月に米国及びソ連により署名されたSTART Iは、戦略核の三本柱、すなわち、
両国が配備する大陸間弾道ミサイル(ICBM)、
潜水艦発射弾道ミサイル(SLBM)及び
重爆撃機の運搬手段の総数を、条約の発効から7年後にそれぞれ1600基(機)へ削減することを規定した。
また同条約は、ロシアの保有している重ICBM(破壊力、すなわち発射重量又は投射重量が大きいICBMを指し、多弾頭化されたSS-18がこれに該当する)の上限を154基と規定した。さらに、配備される戦略核弾頭数の総数は6000発に制限され、このうちICBM及びSLBMに装着される戦略核弾頭の総数は4900発を越えてはならない等が規定された。
ソ連の崩壊により、戦略核兵器が配備されていたベラルーシ、カザフスタン、ウクライナ、ロシアと米国の5カ国は、START Iの当事国となること、並びにベラルーシ、カザフスタン及びウクライナは非核兵器国として核兵器不拡散条約(NPT)に加入することが定められた(リスボン議定書)。また、ロシアを除く旧ソ連3カ国は領域内のすべての核兵器を撤去し、ロシアに移管することとし、96年11月にベラルーシからロシアへの核弾頭の移送が完了したことをもって、すべての核弾頭がロシアに移管された(カザフスタンは95年5月、ウクライナは96年6月に完了)。
なお、2001年12月、米露両国は、START Iに基づく義務の履行を完了したことを宣言した。この結果、2001年12月現在のSTART
Iに基づく米露の核弾頭保有数は、
米国:5949発、
ロシア:5518発(米国政府FACTSHEETによる)となっている。
2.第2次戦略兵器削減条約(START II)
START Iの発効を待たずして、92年6月には米国とロシアの間でSTART IIの基本的枠組が合意され、93年1月には、米国及びロシアが配備する戦略核弾頭数を2003年1月1日までに3000~3500発以下に削減すること、そのうちSLBMに装着される核弾頭数を1700~1750発以下にすること、さらにICBMを単弾頭にする、すなわち、多弾頭ICBM及び重ICBM(SS-18)を全廃すること等を規定するSTART
IIが署名された。ただし、97年9月に署名されたSTART II議定書により、削減期限が2007年まで延長された。
2000年4月にロシア議会はSTART II批准法案を可決したが、これには米国がABM条約からの脱退などを行った場合は、START IIから脱退する権利を留保する旨の規定が含まれていた。米国は96年1月にSTART
II条約を批准したもののSTART II条約を修正した同議定書については批准せず、START IIは発効していない。
その後、2002年6月14日、ロシア外務省は米国のABM条約からの脱退を受けて、米国がSTART II条約議定書の批准を拒否し、ABM条約から脱退したことを指摘し、「ロシア政府は、米国の行動、及びSTART
II条約が効力を発する如何なる必要条件も存在しなくなったことに留意し、条約の目的達成に質さない行動を抑制する如何なる国際法上の義務ももはや負わないと考える」旨を表明した。
3.第3次戦略兵器削減条約(START III)
97年3月、ヘルシンキ米露首脳会談の結果発表された「将来の核戦力削減のパラメーター」に関する共同声明において、米露両国は、START IIが発効し次第START
III交渉を開始すること、及びSTART IIIの基本的要素として、2007年12月31日までに双方の戦略核弾頭数を2000 ~2500発にすること、その他戦術核兵器、潜水艦発射巡航ミサイル(SLCM)などについて交渉することに合意した。しかしながら、START
IIが発効しなかったため、START IIIの交渉は進展しなかった。
その後、米露間における戦略核兵器の削減に関する交渉は、新たな米露間の戦略核兵器の削減に関する条約(モスクワ条約)へと繋がっていくこととなる。
2021.10.12-SankeiBiz-https://www.sankeibiz.jp/macro/news/211012/mcb2110120604001-n1.htm
カーン博士死去 「核の闇市場」全貌は闇に
【シンガポール=森浩】
北朝鮮やイランに水面下で核技術などを提供したパキスタンのアブドルカディル・カーン博士が10日、
首都イスラマバードで死去した。85歳だった。
世界規模の核技術・関連部品売買のネットワーク「核の闇市場」を構築し、核不拡散体制を揺るがした。今も続く北朝鮮やイランの核問題の元凶ともいえるが、技術提供が個人の判断によるものなのかなどは不明のまま。全貌は闇に葬り去られた。
カーン博士は1970年代にウラン濃縮機器を手掛けるオランダの「ウレンコ社」の関連会社で勤務した。遠心分離機の技術を持ち出して、
パキスタンに帰国。核開発の責任者となり、98年にイスラム圏初となる核実験を指揮した。
自国の核開発の裏で、カーン博士は「
核の闇市場」経由で
核兵器の設計図、部品などをイランやリビア、北朝鮮に供与。そのためカーン博士は国際社会の警戒感を招いてきた。
米メディアはブッシュ(子)米元大統領が北朝鮮やイランを国際的な秩序を乱す「悪の枢軸」と批判したことを踏まえ、
カーン博士を「枢軸の背後の悪」とも形容した。
英BBC放送(電子版)は死去したカーン博士について「
(欧米などの核保有国が)自国の安全のために核兵器を持つのに、なぜ他国が同じ能力を持つことを否定するのかと疑念を抱いた」と指摘。その上で「
おそらく核兵器開発技術の拡散には他の誰よりも責任がある」と断じた。
核技術供与をめぐっては不明な点が多い。カーン博士は2004年に「全責任は自分にある」と技術提供を認め、パキスタン政府は「金銭目的だった」と結論付けたが、核技術を個人の判断で海外に提供できるのかとの疑問は根強い。
パキスタンは核技術を提供した見返りに、北朝鮮から準中距離弾道ミサイル「ノドン」の技術提供を受けたとも指摘される。真相を語ることを警戒してか、政府は04年以降、カーン博士を事実上の監視下に置いた。
一方、
パキスタン国内でカーン博士は、宿敵インドに対抗するために核実験を成功させた「英雄」だ。新型コロナウイルスに感染し、今年8月下旬に入院したが、その後退院。今月9日に体調を崩し、病院に運ばれていた
政府はカーン博士の死去を受け10日に国葬を実施。
イムラン・カーン首相は博士について「巨大な核を持つ隣国(インド)に対する安全をもたらした」とし、「
国の象徴」とたたえた。
2021.05.26-朝日新聞 DIGITAL-https://www.asahi.com/articles/ASP5L5442P59PITB009.html
第3回
核戦略の主力になった潜水艦 司令官さえ居場所わからず
「
潜水艦がどこを航行しているのか、司令官の私でさえ正確な場所はわからない」
米海軍潜水艦隊のダリル・コードル司令官(中将)は取材にこう強調した。司令官は、核弾頭を搭載した潜水艦発射弾道ミサイル(SLBM)を備える戦略原子力潜水艦を指揮する。
SLBMは大陸間弾道ミサイル(ICBM)と戦略爆撃機とともに核戦力の三本柱を構成する。コードル司令官は「
戦略原潜が米国の核弾頭のおよそ7割を積んでいる」と明かし、「
我々は秘密裏に行動している。世界中の海中を航行しているが、(敵が)見つけるのは難しく、三本柱の中で最も生き残り能力が高い」と語った。
米ジョージア州の海軍基地に戻るオハイオ級原子力潜水艦テネシー=ロイター(米海軍提供)。核搭載可能で、同艦に低出力核弾頭が配備されたという専門家の分析もある
いま、
世界の核戦力の主力は潜水艦になりつつある。
世界最多の核弾頭を持つロシアは潜水艦への搭載がICBMをわずかに上回り、最も多い。仏英は核弾頭のほとんどが潜水艦用だ。
その潮流は米国も同じだ。2011年に米ロ間で戦略核弾頭数を1550発以下とする
新戦略兵器削減条約(新START)が発効した。米国は敵の攻撃に脆弱(ぜいじゃく)な地下サイロに配備されたICBMを450基から400基に減らし、1基に搭載する核弾頭数も最大3発から1発にする単弾頭化を進め、ICBMを真っ先に削減した。条約で上限数を決めた核弾頭の大半がSLBMに搭載されることになった。核戦力の中心をSLBMにすることを決めたのだ。
潜水艦はその「秘匿性」が最大の抑止につながっていると考えられている。
米海軍は東海岸ジョージア州のキングズベイ基地と西海岸ワシントン州のバンゴール基地を拠点に、
計14隻のオハイオ級戦略原潜を保有する。米議会調査局の報告書によると、うち
9隻が太平洋、5隻が大西洋に展開。
整備中の2隻を除く12隻が計約1100発の核弾頭を搭載しているという。
(米国核戦力 現場から)
(世界の核兵器は大きく減りましたが、新たに「質」をめぐる競争が激化しています。米国の核兵器の現状はどうなっているのかを、現場の取材を中心にお伝えします。)
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2021年05月24日
第1回-
そのとき」を待つICBM 米軍基地で見た核発射訓練
一面雪に覆われた真冬の大平原を野生の鹿が駆け、雪化粧の山々を遠くに望む。川は凍り付いている。米西部モンタナ州にあるマルムストローム空軍基地を軍のヘリで飛び立って約20分。雪原にフェンスで囲まれた一画が見えてきた。
米兵が機内の無線で「あれがICBMの発射施設だ」と言うのが聞こえた。
ICBMとは、大陸間弾道間
ミサイルの略。
爆撃機、潜水艦発射弾道
ミサイル(SLBM)とともに、米国の核戦力の三本柱の一つだ。
私は、朝日新聞アメリカ総局スタッフのピーター・ローイとともに、取材許可を求めて昨年後半から米軍と交渉を続けてきた。ワシントンで核政策を取材するなか、秘密のベールに包まれた三本の核戦力の現場をこの目で確かめたかった。年明け、米軍からメールで思いがけない回答が届いた。「取材を受け入れる」――。
軍と細部を詰め、ようやく機密施設に立ち入る特別な許可を得て、軍用ヘリに乗ったのだった。
訪れたのは2月中旬。この日は快晴に恵まれたが、気温は零下10度程度だった。発射施設は横50メートル、奥行き70メートルほどの敷地内にあった。牛を飼う農家が点在するのどかな農村地帯の地下に、
広島に投下された原爆の約20倍の威力がある核兵器が息を潜める。1962年のキューバ危機のころから、一帯に配備され続けている。
その場所はあまりにも場違いな気がした。敵の標的になりえる施設なのに、幹線道路からわずか100メートルほどで、人家も近い。国が買収した土地だけでなく、借地もあり、米ロ間の
新戦略兵器削減条約(新START)に基づく査察もあるため、場所自体は人々の知るところになっていた。
施設の入り口に自動小銃を持った警備兵がいた。私は訪問許可を得ていたが、厳重な身分確認が行われ、携帯電話やカメラなど電子機器の持ち込みは厳禁だった。軍のカメラを使った撮影だけが認められた。
「許可のない立ち入り禁止。(立ち入れば)殺傷能力のある銃器の使用が認められる」「ドローンの飛行禁止」。フェンスには外部にこう警告する看板も掲げられていた。
施設内の巨大なコンクリートの地面にあけられたマンホールのような円形の穴があった。深さ約27メートルの地下サイロ(発射台)への入り口だ。はしごを使って下りた。外は目を開けているだけで痛いくらいの寒さだが、サイロ内の空気は不気味に生暖かい。固体燃料を使ったミサイルの保管に適した気温15~27度に保たれているためだ。
壁には「単独行動禁止。2人ルール義務」と書かれた標識があった。中央に直径約3・6メートルの頑強な金属製の円筒があった。この中で高さ約18メートル、直径約1・7メートル、重さ約36トンのICBM「ミニットマン3」1基が静かに「そのとき」に備える。
この日、そのミサイルは整備中だったが、翌日、マルムストローム基地内の奥まった場所にある整備施設を車で訪れ、実物を間近で見た。
「U.S. AIR FORCE(米空軍)」と表記された巨大な白いトレーラーの荷台に載り、外面が濃い緑色のミサイルがあった。爆発の恐れが常にあり、ミサイルや弾頭を輸送する際は、風の強さなどに細心の注意を払っているという。ランディ・バーティス上級曹長(38)は「絶対に触るな。緊急事態が起きたら、すぐにこの場から離れろ」と言った。
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第2回-2021.05.25
核弾頭積める「祖父世代」の爆撃機 操縦席に乗り込んだ
米南部ルイジアナ州のバークスデール空軍基地で巨大な灰色の軍用機が「キーン」という甲高い音を響かせて離着陸を繰り返していた。十数機が滑走路の傍らで翼を休めているのも見える。
米軍の空の核戦力の中核を担う戦略爆撃機B52だ。翼幅約56メートル、8基のエンジンを搭載し、「BUFF」(Big Ugly Fat Fellow デカくて、醜く、太ったヤツ)との愛称で呼ばれる。1955年の導入以来、主力爆撃機の位置づけは変わっていない異例の長寿機だ。
米空軍が保有する76機のB52のうち、約50機がこの基地を拠点とする。残りのB52は、北部ノースダコタ州のマイノット空軍基地に配備されている。
「我々はアジアでも中東でもどこでも行く。明日あるかもしれない戦争のために、今日も訓練している。(導入から)100年も改良して飛び続けようとしている。航空史に残る偉業だ」
滑走路そばに立った部隊指揮官のマシュー・マクダニエル大佐(45)は誇らしげにそう言った。自身もB52に乗り、イラクやアフガニスタンでの戦争に従軍した。
5人乗りのB52は31トン超の爆弾やミサイルなどを搭載でき、最大航続距離は1万4千キロ超。空中給油を受け、世界中に展開できる。昨年、グアムなどに常駐するのではなく、
米本土の基地を拠点に、中国や北朝鮮、イランなどを牽制(けんせい)する機動的な運用に切り替えた。
マクダニエル大佐に
「B52が搭載可能な核弾頭は基地内のどこにあるのか」と聞くと、「あるともないとも言えない。それは秘密だ」とけむに巻いた。そして、こう言った。「我々はふだん、核弾頭を積んで飛んではいないが、命令に備えて常に準備している」
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第4回-2021.5.27
「ロシアは80%、米国ゼロ」 核兵器近代化のジレンマ
核政策をめぐり、米国は相反するように見える二つの課題に直面している。
核兵器を削減する「核軍縮」と最新型に更新する「近代化」という課題だ。
記者が訪れたモンタナ州の地方都市
グレートフォールズは、核の近代化計画による「
特需」への期待が高まっていた。
市内には、大陸弾道ミサイル(ICBM)を運用する米空軍マルムストローム基地がある。これといった基幹産業はなく、地元経済の3分の1を軍関係の発注や兵士らの消費などに依存する。6万人弱の人口のうち、
基地従業員が約4千人を占め、国防総省の手厚い補助金が都市開発に役立てられている。
新型ICBMを受注する軍事企業ノースロップ・グラマン(NG)の担当者がこの街を何度も訪れ、経済効果を説明した。
NG社のキャシー・ウォーデン最高経営責任者(CEO)は2月、米シンクタンク主催のオンラインイベントで「ICBMは過去50年も配備されてきたが、近代化は次の50年に必要な能力を提供する。今、既に複数の国が保有する核兵器を米国が除去することは短期的な目標に合致しない」と売り込みに余念がない。
ボブ・ケリー市長に話を聞こうとアポを入れると、地元商工会議所の会議室を指定された。商工関係者や軍の支援団体幹部らが同席した。市長は「核兵器の近代化に伴い、さまざまな施設建設などがおこなわれ、地元にとって大きな利益になる。ICBMの基地はいつの時代も、この街で歓迎されてきた」と語った。ICBMの米軍部隊は地元経済と強く結びついていた。
地元には核反対派の市民もいる。ルクレーシャ・ハンフリーさん(72)は自宅を訪れた私に
無数のICBM発射施設を示した地元の地図を見せ、「
米国も世界もいつまでも核兵器に依存するのか」と憤った。広島に原爆が投下された8月6日に核兵器廃絶を求めるデモを仲間十数人と基地の前で10年ほど続けたこともある。だが、この街ではごく例外的な存在のままだ。
ICBMが配備されているモンタナなど地元の州選出の連邦議員らは超党派で「ICBM連合」を結成して、ICBMを1発も減らさずに近代化を進めるよう圧力をかけている。
核軍縮について提言する米NGO「憂慮する科学者同盟」の報告書によると、
ICBM連合の上院議員8人は2007~18年にNGなどの軍事企業から総額130万ドル(約1億4千万円)超の献金を得ていた。核爆撃機や核搭載の潜水艦が拠点を置く州の議員も同様の利害関係がある。
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第5回-2021.5.28
米被爆者うんだ「死の1マイル」 人体実験された一帯
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第6回-2021.5.29
米元国防長官「ICBMは不必要」 偶発的核戦争を懸念
2021.05.26-産経新聞 THE SANKEI NEWS-https://www.sankei.com/article/20210526-ABC5K7R5WJLRTLD6U4NZ5L2GEA/
「米露中三つどもえ 核軍縮複雑に」国連軍縮担当上級代表に聞く
2016年5月に
オバマ米大統領(当時)が被爆地・広島を訪問して27日で5年。世界は「
核兵器のない世界」を目指し、どう取り組むべきなのか。国連の中満泉軍縮担当上級代表(事務次長)に聞いた。
--核兵器を取り巻く世界の現状をどう見ているか
「世界の安全保障環境は非常に悪化している。米国とソ連(現ロシア)が超大国として責任を持ち、軍縮・軍備管理を進めた冷戦期より状況は複雑だ。米露に中国が加わったことで『三つどもえ』となったほか、地域紛争でも核兵器使用のリスクがある。2019年に緊張が高まったインドとパキスタンが領有権を争うカシミール地方の国境地帯での紛争で、核問題の専門家は冷や冷やしながら状況を注視していた」
「軍縮・軍備管理というツールを使わず、軍拡だけが進むなら、世界各国の安全保障が全体として担保されず、危険が一層増すと国連は分析している」
--中国を軍縮の枠組みに取り込むにはどうする
「大国間の軍縮・軍備管理の交渉に国連が直接関与することは、要請がない限り、今後もない。ただ、こうした議論を米露中と定期的に行う機会はある。米露の核弾頭の保有数が圧倒的に多いことを踏まえ、まずは米露が引き続き削減していくのが超大国の責任だといっており、米露も理解してくれている」
「中国は核兵器の先制不使用を宣言している。国連としては、守る意図を持った公式の宣言と理解しているし、歓迎もしている。その上で、中国に軍縮・軍備管理の枠組みに入ってほしいという要望が米露以外の国からも出るのは、大国になった責任があるからで、安全保障の環境を常に安定に保つことは中国の国益にも資することではないか、といっている」
--核不拡散でのイランや北朝鮮との関わり方は
「イランについては核合意が再建され、核開発に再び制限がかかるのを期待している。米国の離脱表明で非常に難しい状況にあったときも、欧州諸国と議論しながらイラン核合意をどのような形で守っていけるのかを議論してきた」
「北朝鮮、朝鮮半島の非核化は、政治的な解決、外交的な対話なしには実現しない。17年に北朝鮮問題が緊迫化した時期には極秘で準備を重ねた上で当時の政治局長(事務次長)が平壌入りして緊張緩和に努めた。国連としてできることは何でもやる用意がある」
--技術革新が核兵器の使用にもたらす影響は
「例えば、核兵器の運用における人工知能(AI)導入、核関連システムに対するサイバー攻撃のように新技術は安全保障に予測不可能な不安定要因につながりかねない。核兵器の破壊力を考えれば、その影響は果てしなく大きい」
「ある国を訪ねたとき、カシミール紛争の際、大規模なサイバー攻撃が起きていれば、瞬く間に事態がエスカレートし、核兵器の発射ボタンが押されていたかもしれない、と懸念する政治家がいた。核兵器使用の『新しいリスク』を考えなければいけない時代が来ている」
--核兵器の開発や実験、保有、使用を全面的に禁じる核兵器禁止条約(TPNW)が1月に発効した
「TPNWは、核拡散防止条約(NPT)で核保有国に義務づけられた軍縮が進まないことへの不満が非常に高まった結果、国連加盟国の約3分の2に当たる122カ国が賛成票を投じて採択された」
「ただ、核保有国が反対するなどTPNWに対しては非常に異なる見方があるのも事実だ。日本も参加していないが、そうした国々には、NPTの枠組みでの核軍縮、(核爆発を伴う実験を禁止する)包括的核実験禁止条約(CTBT)の発効、(核兵器原料の生産施設への査察を義務づける)兵器用核分裂性物質生産禁止条約(FMCT)の交渉入りといった分野で努力を倍増してほしい。それによって核兵器の廃絶に近づくことができるからだ」 (聞き手 ニューヨーク=平田雄介)
なかみつ・いずみ 1963年、東京都出身。早稲田大、ジョージタウン大学大学院を経て89年に国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)入り。その後、国連を一度辞めたのちに2008年に復帰。国連平和維持活動(PKO)局アジア・中東部長などを経て、17年5月から軍縮担当上級代表(事務次長)。
2021.01.22-日本経済新聞-https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGN220QM0S1A120C2000000
核兵器禁止条約が発効 米国や日本は不参加
【ニューヨーク=白岩ひおな】
核兵器の開発、保有、使用を全面禁止する初の国際法規である核兵器禁止条約の発効が22日、南太平洋のサモアから始まった。
2020年10月までに批准した50カ国・地域で現地時間22日午前0時に順次、効力が発生する。米国、英国、フランス、中国、ロシアの核保有五大国のほか、米国の「核の傘」の下にある日本や韓国は参加していない。
これまでに批准したのは51カ国・地域。サモアではかつて、米仏などの核実験が繰り返された。国連本部のあるニューヨークの米東部時間22日午前0時(日本時間同日午後2時)には大半の締約国で発効する。条約はオーストリアやメキシコなどが議論を主導し、17年7月に国連で122カ国・地域の賛成で採択された。20年10月には批准国・地域が発効に必要な50に達し、90日後の発効が決まっていた。
条約は
核兵器を「
使用するという威嚇」
まで法的に禁じる。核兵器の実験や移転、配備の許可も禁止事項に含む。核実験や核兵器の使用で被害を受けた人への支援、影響を受けた環境の修復に向けて必要な措置を取るよう求めている。
核不拡散や核軍縮の交渉義務、原子力の平和利用を求める核拡散防止条約(NPT)よりも踏み込んだ内容だが、これまでに批准した国・地域はいずれも非核保有国で、実効性には課題がある。唯一の戦争被爆国である日本も、北朝鮮や中国など東アジア地域の厳しい安全保障環境から条約の署名・批准には慎重だ。
米国では20日、核軍縮に前向きなバイデン大統領が就任した。8月には核保有国を含むNPTの再検討会議が予定されている。
2020.8.13-NHK NEWS WEB-https://www3.nhk.or.jp/news/html/20200813/k10012565131000.html
核のごみ 寿都町 文献調査応募検討 北海道 処分場に慎重な考え
原子力発電所から出るいわゆる「核のごみ」の最終処分場の選定を巡って、北海道の寿都町は選定の第一段階となる「文献調査」への応募を検討していることを明らかにしました。応募した場合、国が調査対象になりうる地域を示した地図を公表して以降、初めての自治体になります。一方、
北海道は条例で、高レベル放射性廃棄物は「受け入れがたい」などとしていて、町の考えを確認するとしています。
原発の使用済み核燃料から出る
「高レベル放射性廃棄物」いわゆる「核のごみ」は、
極めて強い放射線を出すため、国は、地下深くに埋めて処分する方針です。
この最終処分場の選定を巡っては、国が3年前に調査対象になりうる地域を示した地図を公表し、各地で説明会を開くなどして自治体へ理解を求めてきました。
この選定について、
北海道の寿都町は地図上で町内の大半の区域が処分場の候補地として「好ましい」地域とされているうえ、調査を行った場合、国からの交付金が見込めるとして、片岡春雄町長が、第一段階となる「文献調査」への応募を検討していることを明らかにしました。
今後、応募を行い調査が決まった場合は、およそ2年間の文献調査が行われその後、自治体や住民などの理解が得られれば、現地でのボーリングによる掘削など選定に向けた詳しい調査分析が進められることになります。
町は、今月26日に町議会議員や漁協などの団体の代表との意見交換会を開いたうえで、来月中旬にも応募するか決めることにしています。
応募した場合、国が調査対象になりうる地域を示した地図を公表して以降、初めての自治体になります。
片岡町長は、「地域経済も厳しい状況にあるなか、調査の交付金を町づくりに生かすことを真剣に議論してもよいのではないかと考えた。また核のごみの処分に顔を背けることなく、住民の意見を聞きながら最終的には判断したい」と話しています。
自治体が調査を受け入れると、最初の
文献調査で最大20億円が交付金として支払われることになっています。
一方、北海道は高レベル放射性廃棄物の研究施設の立地は認めているものの、2000年につくった条例で「高レベル放射性廃棄物は道内に受け入れがたい」などとして、最終処分場には慎重な考えを示しており、道では町の考えを確認するとしています。
片岡町長「交付金を町づくりに生かすことを議論」
文献調査を検討する理由について、寿都町の片岡春雄町長は「町の財政を考えると、5年や10年の範囲では、なんとかもつが、そのあとは、必ず資金が底をつくという危機感がある。新型コロナウイルスの影響で地域経済も厳しい状況にあるなか、
調査の交付金を町づくりに生かすことを真剣に議論してもよいのではないかと考えた」と説明しました。
そのうえで「
日本で原発を動かす以上、核のごみは、国内のどこかで処分する必要がある。寿都町が調査に応募した場合、他にも手を挙げる自治体が出てくるのではないか。そのなかで、最もふさわしい場所が選ばれるのが望ましいと思う」と述べました。
また、今後の対応について「まずは、町内の代表者と意見交換をしたうえで、一般の住民に説明する機会も設けたい。住民の理解が得られないまま、調査に応募することはない」と述べ、判断にあたっては、町民の意思を尊重する考えを示しました。
町民からはさまざまな声
寿都町が「核のごみ」の最終処分場の選定で、文献調査への応募を検討していることについて、町民からは慎重な対応を求める声があった一方、「嫌とばかりは言えない」という意見も出ていました。
30代の女性は「子どもがいるので、何かあったときのことを考えると、処分場ができるのは嫌です。町には、お金よりも子どもたちの安全を大事にしてほしい」と町に慎重な対応を求めました。
また、80代の女性も「
交付金は魅力的ですが、処分場ができた場合、将来的に悪影響がないのか不安があります。町は、特に若い世代の意見を聞きながら検討を進めてほしい」と話していました。
一方、30代の男性は「子どもたちのことを考えると、不安がないわけではないが、原発を動かす以上、核のごみは、どこかが引き受けなければならない。今後のことを考えたら、嫌だとばかりも言えないのではないか」と話していました。
北海道 鈴木知事「速やかに考えを確認していく」
北海道は2000年、道北の幌延町に高レベル放射性廃棄物の処分技術を研究する施設を受け入れるにあたり、研究は認めるものの、条例で「高レベル放射性廃棄物は道内に受け入れがたい」などとして、最終処分場には慎重な考えを示しています。
寿都町が文献調査への応募を検討していることについて、鈴木知事は「条例は道議会での議論を踏まえ、将来とも道内に処分場を受け入れる意思がないという考えに立つもので、私としては条例を順守しなければならないと考える。道としては寿都町に対し、速やかに考えを確認していく」というコメントを出しました。
「核のごみ」とは
全国各地の原子力発電所では、運転をすると使用済みの核燃料が発生します。日本ではこの使用済み核燃料を化学的に処理する「再処理」を行って、再び燃料として使うためのプルトニウムなどを取り出す計画です。
ただ、この際、再利用できない高濃度に汚染された廃液や燃料の部材が残り、いわゆる「核のごみ」と呼ばれています。
極めて強い放射線を出し続けることから、国は数万年にわたって人が生活する環境から隔離する必要があるとして、地下300メートルより深くに埋める「地層処分」を行う方針です。
しかし、どこに処分場を作るのか決まらない状況が続いています。
選定の流れ
高レベル放射性廃棄物の地下処分を実施する国の認可法人
NUMO=原子力発電環境整備機構によりますと、
処分場を選ぶまでに3段階に分けて調査を行うとしていて、「文献調査」はその最初の段階です。
文献調査では地下に埋めて処分するのに適切な候補地を探るため、研究論文や地質のデータなどから地層の状況を把握することを目的にしています。
具体的には、該当する地域で火山や活断層がどう分布しているかや、経済的に価値がある鉱物資源がないかなどといったことを2年程度かけて調べるとしています。
仮に、文献調査の評価がまとまり、自治体などの理解を得ることができれば、「概要調査」と呼ばれる第2段階に進みます。この調査では4年程度かけて、地層を掘り出すボーリングを実施するなどして直接、地質や地下水などの状況を調べることになります。
続いて自治体などの理解が得られれば、第3段階の「精密調査」に入ります。この調査は14年程度かけることが想定され掘削した地層を精密に分析し、過去の火山や地震の活動を踏まえ、将来の地層の安定性や今後、掘削の対象となるかもしれない鉱物資源の有無などについて最終的な結果をまとめることになります。
この調査の最終結果を踏まえて、実際に処分場をつくるかどうかは住民の意見や自治体の考えなどを聞いたうえで、決定されることになります。
一方、自治体が調査を受け入れると、
最初の文献調査で最大20億円、第2段階の概要調査で最大70億円が交付金として支払われることになっていますが、国はいずれの段階の調査も自治体の意見を十分に尊重し、反対する場合は次の調査に進むことはないとしています。
NUMO「関心持ってもらえるのはありがたい」
処分を実施する国の認可法人、
NUMO=原子力発電環境整備機構によりますと、北海道寿都町が文献調査に応募した場合、2017年に調査対象になる可能性がある地域を示した全国地図「科学的特性マップ」を国が公表して以降、初めてとなるということです。
NUMOによりますと、自治体からの文献の調査の応募は、最終処分場の選定の方法が今の方式に変わる2014年の前に、高知県東洋町が2007年に応募した例がありますが、この時は住民の反対などで町がすぐに応募を撤回しました。
NUMOは「今のところ寿都町が文献調査への応募を検討しているとの情報は入っていない。最終処分場について、地域に関心を持ってもらえることはありがたく、今後も全国各地で理解活動を進めていきたい」とコメントしています。
寿都町の大部分はマップ上“濃い緑色”
処分を実施する国の認可法人、
NUMO=原子力発電環境整備機構によりますと、北海道寿都町の大部分は「科学的特性マップ」では“濃い緑色”で示されているということです。
この濃い緑は、「科学的に好ましい特性が確認できる可能性が相対的に高く、廃棄物の輸送面でも好ましい」とされるエリアです。
難航する最終処分場の選定
原子力発電所を運転することで発生する高レベルの放射性廃棄物を最終的にどう処分するかは原子力事業の最大の課題とされています。
日本では、2000年に最終処分に関する法律が施行され、処分場の選定作業が本格的に始まりました。
NUMO=原子力発電環境整備機構という処分を実施する国の認可法人が設立され、全国の市町村から候補地を募集し、国も、応募した自治体に最初の2年間だけでも最大20億円の交付金を支払う仕組みを設けました。
しかし、応募は、2007年に高知県の東洋町が唯一行っただけで、その応募は住民の反対などで撤回されました。
また、2006年には、滋賀県余呉町の町長が処分場の誘致を前提に調査に応募する方針を明らかにしましたが、「理解を示す住民の声は小さい」として、応募を断念しています。このほか、秋田県上小阿仁村や長崎県対馬市などでも処分場を誘致する動きがありましたが、いずれも住民の反対で応募するまでには至りませんでした。
候補地選びが難航する中、国の原子力委員会は2012年、国民の合意を得るための努力が不十分だとしたうえで、国が前面に出て候補地選びを行うべきだとする見解をまとめました。
これを受けて国は2014年、自治体の応募を待つ従来の方式に加えて、科学的に有望な地域を示したうえで複数の自治体に処分場の選定に向けた調査を申し入れる方式を取り入れることにしました。
その第一歩として2017年7月に公表されたのが、「科学的特性マップ」と呼ばれるものでした。「科学的特性マップ」は、処分場の選定に向けて将来、調査対象になる可能性がある地域を示した全国地図です。
マップは、処分場としての適性が地域ごとに色分けされていて、このうち、近くに火山や活断層がないなどの科学的な基準から処分場として「好ましい特性が確認できる可能性が相対的に高い地域」は薄い緑色と濃い緑色で示されています。
この緑色の地域は面積にして国土のおよそ3分の2にのぼっています。中でも、海岸から20キロ以内を目安とした地域は、廃棄物の海上輸送に好ましいとして濃い緑で示され、一部でも含まれる市区町村はおよそ900に上ります。
国や
NUMOは、自治体に調査の受け入れの判断を迫るものではないとしたうえで、マップを公表してから全国各地で市民向けの説明会を開き、核のごみの処分に対する理解を深めようとしてきました。
ただ、説明会を開始してすぐの2017年10月には、
NUMOから委託を受けた会社が大学生に謝礼などを約束して動員したことや、
NUMO職員が電力会社の社員に参加を呼びかける不適切なメールを送っていたことが明らかになり、公平性に大きな疑念が生じる事態になりました。
これを受けて説明会は一時、中断され、
NUMOは、運営を原則、直接行うなどやり方を見直しました。その後説明会は再開され、3年間で171回実施されてきました。
高レベル放射性廃棄物はすでに発生していて、
NUMOによりますと、
使用済み核燃料を再処理したあとにでる高レベルの廃液をガラスで固めたものが現在、青森県六ヶ所村と茨城県東海村の施設で合わせておよそ2500本一時保管されています。
2020.6.20-NHK NEWS WEB-https://www3.nhk.or.jp/news/html/20200620/k10012477721000.html
IAEA 査察に全面協力求める決議 イラン強く反発 緊張も
イランが、核物質が保管されている疑いがある施設への査察を拒否している問題をめぐり、
IAEA=国際原子力機関の理事会は、IAEAの査察に全面的に協力するよう求める決議を採択しました。イランは強く反発していて、緊張が高まることが予想されます。
オーストリアの首都ウィーンに本部があるIAEAで開かれていた理事会ではイランが、申告していない核物質が保管されている疑いがある国内2か所の施設に対し、IAEAの査察を拒否している問題が大きな議論となりました。
この中で
イギリス、フランス、ドイツの3か国は、
イランがIAEAの査察に全面的に協力するよう求める決議を提出し、19日、理事会で採決が行われました。
その結果、
ロシアと中国の2か国が反対したものの、賛成多数で可決されました。
アメリカのウォルコット大使は記者会見で、「
これで新たな段階に入った。イランは査察受け入れの義務に従わねばならず、イランの動向を注視していく」と述べました。
これに対し、イランのガリブアバディ大使は「
深く失望している。ヨーロッパの3か国が決議を提出したことは非常に遺憾だ。根拠のない主張で、IAEAに圧力をかけていて、これはアメリカとイスラエルによる罠だ」と強く反発し、対抗措置をとることも示唆しています。
今回の決議の採択で、
イランに査察を求める圧力が強まることになり、今後、イラン情勢の緊張が高まることが予想されます。
英・仏・独の3か国外相が共同声明
イランに対するIAEA=国際原子力機関の決議をめぐり、イギリス、フランス、ドイツの3か国の外相は19日、共同で声明を発表しました。
この中で3か国の外相は、イランが申告していない核物質が保管されている疑いがある国内の施設に対し、IAEAの査察を拒否していることに強い懸念を示しました。
そのうえで、IAEAの理事会が19日、査察に全面的に協力するようイランに求める決議を採択したことについて、「
イランに対しては完全な形でIAEAに協力し、施設への立ち入りを許可するよう求める」としています。
2019.8.16-産経新聞 THE SANKEI NEWS-https://headlines.yahoo.co.jp/videonews/fnn?a=20190816-00422528-fnn-int
“北”発射の飛翔体 政府は警戒・監視
北朝鮮が16日朝、3週間余りで6度目となる飛翔体の発射を行ったことを受け、日本政府は、情報収集と警戒・監視を続けている。
北朝鮮の発射を受け、安倍首相は、「わが国の安全保障に影響を与えるようなものではないことは確認されている。国民の安全を守るために万全を期していく」と述べ、引き続き、十分な警戒態勢をとると強調した。
また、岩屋防衛相は、「北朝鮮がミサイル関連技術の高度化を図っているのは、わが国のみならず、地域全体、国際社会にとっての極めて深刻な課題だ」と指摘し、「あらゆる空からの脅威に対応できるミサイル防衛体制を整えたい」と述べた。
政府関係者によると、16日に発射されたのは、北朝鮮が「新兵器」と発表した、8月10日に発射された飛翔体と飛距離や高度などの特徴が似ていて、「速度は速く、高度は低い、弾道ミサイルと巡航ミサイルの特徴をあわせ持つ新型兵器の可能性がある」という。
一方、自民党は緊急の対策会議を開いた。
自民党の二階幹事長は、「発射の状況の分析によれば、北朝鮮は少なくとも、3種類の新たな弾道ミサイル等の開発の実験・検証を進めていると考えられるところだ」と述べたうえで、「政府もアメリカも表面上は静観だが、着々と性能実験を進め完成度を高めている。看過できない」と指摘し、政府に対し、事態の把握と必要な対応を行うよう求めた。
2019.8.16-産経新聞 THE SANKEI NEWS-https://www.sankei.com/politics/news/190816/plt1908160017-n1.html
北飛翔体、煮え切らない政府に自民から不満
(原川貴郎、石鍋圭)
3週間余りで6回を数えた北朝鮮による飛翔体の発射はミサイル技術の進展に直結し、日本の安全保障上の脅威が増すことを意味する。短距離弾道ミサイルであれば国連安全保障理事会決議違反は明白だが、政府は16日も北朝鮮を非難せず。自民党内では、政府の煮え切らない態度に不満が高まっている。
「わが国の安全保障に影響を与えるようなものではないことは確認されている。引き続き十分な警戒態勢の下、米国などとも連携しながら国民の安全を守るため万全を期していく」 安倍晋三首相は16日午前、首相官邸に到着すると北朝鮮の飛翔体発射について記者団にこう述べた。 岩屋毅防衛相は防衛省で記者団に「北朝鮮がミサイル関連技術の高度化を図っているのは、わが国や国際社会にとって極めて深刻な課題だ」と懸念を示した。
しかし、岩屋氏が防衛省に姿を見せたのは飛翔体発射から約2時間半が経過した午前10時半ごろ。首相官邸での台風10号対策の関係閣僚会議に出席した事情もあるが、情報収集や分析を進める防衛省の幹部会議は岩屋氏の登庁まで開かれなかった。首相も午後には静養先の山梨県鳴沢村の別荘に移動した。
一方、自民党は16日午前に党本部で北朝鮮核実験・ミサイル問題対策本部(本部長・二階俊博幹事長)の会合を開いた。二階氏は「政府や米国は表面上は静観の体(てい)だが、(北朝鮮が)着々と(ミサイルの)性能実験を進め、完成度を高めていると判断せざるを得ない。このことは看過できない」と述べ、緊張感のない政府の対応を疑問視した。
政府が北朝鮮批判を抑えているのは、日本人拉致問題の早期解決に向け、首相が金正恩朝鮮労働党委員長との対話を模索していることや、拉致問題解決に全面的な協力姿勢を示すトランプ米大統領が金氏との対話継続を重視していることへの配慮からだ。
ただ、会合では「トランプ氏に気を使う部分もあるかもしれないが、政府として毅然(きぜん)とした態度を取るべきだ」との意見が相次ぎ、「政府が発射を容認していると国民に見られてしまう」との声も出たという。
ある幹部は、「発射されるたびに日本側は会議を開くだけでいいのか、と言ってやる」と政府を突き上げる考えを示した。 対米関係、国連安保理決議、自民党、世論-。政府は、さまざまな要素のはざまで対応に苦慮しているのが実情だ。(原川貴郎、石鍋圭)
2019.8.2-産経新聞 THE SANKEI NEWS-https://www.sankei.com/world/news/190802/wor1908020037-n1.html
INF条約が失効 トランプ政権、21世紀型の軍備管理体制確立目指す
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【ワシントン=黒瀬悦成】米国と旧ソ連が東西冷戦下の1987年に締結した中距離核戦力(INF)全廃条約が米東部時間2日午前0時(日本時間2日午後1時)に失効した。2021年に期限を迎える米露の新戦略兵器削減条約(新START)も延長が危ぶまれつつあり、世界は米露だけでなく、中国も巻き込んだ21世紀型の軍備管理の枠組みを模索していくことが確実となった。国連のグテレス事務総長は1日の記者会見で、条約失効に関し「世界は、核戦争に対する計り知れぬほど貴重な歯止めを失う」と述べ、懸念を表明した。
トランプ米政権が条約の破棄に踏み切ったのは、ロシアのプーチン政権が条約違反となる新型の地上発射型巡航ミサイル「9M729」を実戦配備したほか、極超音速弾頭兵器など、条約が禁止する射程500~5500キロの地上配備型ミサイル兵器の開発を積極的に進めているためだ。
加えて、条約に加盟していない中国が、「空母キラー」と呼ばれる対艦弾道ミサイル「DF21D」の開発を進め、米軍基地のあるグアムを射程に収める中距離弾道ミサイル「DF26」を配備済みであることも、米政権の危機感を高めた。
ボルトン米大統領補佐官(国家安全保障問題担当)は7月30日、ワシントン市内での講演で、「米国を効果的に守るには、(条約で)縛られている両手をほどかなくてはならない。米国の存亡に関わる脅威が存在する以上、妥協は許されない」と強調した。
トランプ政権が次に進めるのは、米国も従来は条約に縛られ保有できなかったミサイル兵器の開発に着手し中露に対抗する一方、米中露による新たな核軍縮交渉入りを目指すことだ。
米CNNテレビは1日、米国防当局者の話として、米軍が移動式車両から発射される通常弾頭搭載の新型巡航ミサイルの発射実験を数週間以内に実施する見通しだと報じた。
(2)
一方、トランプ大統領は同日、ホワイトハウスで記者団に「ロシアは核(軍縮)条約で何らかの取り組みをしたいと考えている。私も同じだ」と述べ、交渉に前向きな姿勢を示した。
ただ、ボルトン氏は新STARTについて「戦術核やロシアの新型運搬手段に関する取り決めがない欠陥条約だ」と断じ、「決断は下されていないが、延長はされないだろう」との見通しを明らかにした。
トランプ政権は、米露の冷戦構造を引きずる既存の核軍縮条約を全てご破算にすることで、全ての核兵器と運搬手段を対象とした、野心的な軍備管理体制の確立を図りたい考えだ。
2019.7.16-excite ニュース-https://www.excite.co.jp/news/article/Reuters_newsml_KCN1UA2EJ/
アメリカとロシア 中国含む新たな核削減条約模索
米ロ、中国含む新たな核削減条約模索 17日に会合=米当局者
[ワシントン 15日 ロイター] - 米国とロシアの当局者は最終的には中国も含む新たな核兵器削減条約の実現性を模索するために17日にジュネーブで会合を開くことが、米当局者の話で15日明らかになった。
米国代表団はサリバン国務副長官が率い、国家
安全保障会議(NSC)のティム・モリソン氏のほか、国防総省、統合参謀本部、国家安全保障局(NSA)などの当局者が参加する。ロシア代表団はリャブコフ外務次官が率いる。
トランプ米大統領はあらゆる種類の核兵器を網羅する「次世代」軍縮協定をロシアと中国と締結したい考えを示しており、先月末の20カ国・地域首脳会議(G20サミット)に合わせてロシアのプーチン大統領、および中国の習近平国家主席と個別に会談した際、この件に関して協議している。
米ロは現在、軍縮条約を締結しているが中国は参加しておらず、米当局者は中国がどの程度意欲的かは現時点では分からないとしている。
核戦略
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核戦略とは核兵器の準備、抑止及び使用を計画するための戦略・軍事戦略である。
概要
核兵器が発明されるとその破壊力をどのように戦略的に活用すればよいのかという
核戦略の議論がされるようになった。
バーナード・ブロディは核兵器は僅かな使用であっても都市圏を破壊する上に有効な対抗策がないため
「絶対兵器」であると称して核兵器を独特な
軍事力として位置づけた。
アメリカは1950年代に大量報復戦略を打ち出したが、
ベイジル・リデル=ハートはこの核戦略の議論で、核兵器が従来のように実施されてきた戦争の概念を旧式化したと論じた。彼の『抑止か防衛か』では通常軍備の意義を強調しながらも、
戦術核兵器について戦場では威力を発揮するが、戦争そのものの規模が拡大して核戦争になると論じる。
リデル・ハートに続いてオズグードの『
制限戦争』、
キッシンジャーの『
核兵器と外交政策』、シェリングの『紛争の戦略』などによる理論的進歩があり、核兵器によっていかに核抑止を成り立たせ、また戦争においては制限戦争に留めるための戦略理論が構築された。
理論
核兵器は
核分裂反応または
核融合反応によって得られる
核エネルギーを破壊力に利用した
大量破壊兵器の一種であり、核戦略とは
戦略爆撃機や
弾道ミサイルなどの運搬手段を含めたその核兵器の破壊力を活用するための戦略である。
核兵器には超高温の発熱、爆風や衝撃波などの破壊効果、放射線効果、放射性降下物の散乱、電磁パルスなどの影響を及ぼす兵器であり、従来の
火砲などの兵器とは異なる性質を持っている。
核戦略はこのような核兵器の特性に立脚しながら国家の
安全保障や国家の目標達成のために決められるものであり、核兵器の開発、核攻撃の目標の選定、発射官制、核攻撃に対する防護や被害管理などの手段を包括している。ただし留意すべき点として
核兵器には短期間のうちに社会の機能を停止させるほどの物理的破壊力があり、したがって核攻撃がないとしても核兵器の保有によって相手の軍事行動を強く規定することができる。つまり相手国が攻撃的行動を行えば自国が懲罰的な報復を行うことを核兵器によって威嚇することで、相手国の攻撃的行動を思いとどまらせること、すなわち核抑止が可能となるのである。
ただし一般的な抑止の概念を検討すれば、三つの条件が必要であると考えられている。
・相手国に耐え難い損害を与える報復能力
・報復能力を使用する意志
・事態の重大性・緊急性についての相互的認識
以上の三つはまとめて「抑止の三条件」と呼ばれており、核抑止にも適応して考えることができる。ただし抑止の理論的な説明を逸脱するような自暴的な軍事行動を相手国が選択する可能性を否定することはできない。核抑止をより確実に成り立たせるためには核戦力の充実化、政治宣伝または
外交交渉を行う努力を行うことが可能であり、核実験やそれに関連する外交声明によって抑止効果を高めることができる。
核戦略の基本的な考え方については、以下のように分類できる。
核抑止のための核戦略
核兵器を用いて勝利したとしてもその国益は殆ど得られず、かえって被害が拡大するために最終的な勝者が存在しないため、核兵器は核戦争の抑止または核戦争の速やかな終結のためだけに存在するという核戦略。
バーナード・ブロディは1946年の編著『絶対兵器(The Absolute Weapon)』において「今後の軍事機構の主要な目的は、戦争に勝つことではなく、戦争を避けることでなくてはならない」と主張し、戦争抑止のための核戦略構築を提唱した
。
敵国の目的実現拒否のための核戦略
核兵器も政治目標を達成するための兵器であり、通常戦力と同じように敵の核攻撃の被害を最小化し、国民国土を防衛して敵の軍事目標の達成を拒否する核戦略。
限定的・段階的な核攻撃
上記の二者の中間的なものであり、全面核戦争に至らない程度の限定的な地域で、段階的に反応するという核戦略。
柔軟反応戦略
1961年の
柔軟反応戦略 (flexible response strategy)は、
ゲリラ戦から核戦争まであらゆる事態に対して、事態のレベルに応じた軍事力によって抑止する戦略。
アメリカ統合参謀本部議長を務めたマックスウェル・テーラーらが提唱。
ジョン・F・ケネディ政権で採用。
大量報復戦略
大量報復戦略 (massive retaliation strategy)。
1954年のニュールック戦略などを指す。
相互確証破壊(MAD) (詳細は「
相互確証破壊」を参照)
相互確証破壊(Mutual Assured Destruction,MAD、1965年)は最も知られた核抑止理論で、
ロバート・マクナマラによる。元は
確証破壊戦略(Assured Destruction Strategy、1954年)に遡る。
損害限定戦略
1964年には損害限定理論(Damage Limitation)が提唱された。
核先制不使用論
核兵器は破壊力が甚大であるため、先制攻撃が決定的なものとなる。そのため、
先制攻撃を行うのか、いなかという点が、核先制不使用論または核先制使用論として核保有国間で交渉され、思案された
。
en:No first use参照。
戦略防衛構想(SDI)
1983年には
戦略防衛構想(Strategic Defense Initiative, SDI)が提唱された。
核戦略理論の歴史
核兵器は米国で生まれたため、理論的な先駆者も米国である。ここでは米の核戦略の変遷に照らして、現在に至るまでの核戦略の流れを記述する。
核兵器の登場と「核抑止」という概念の芽生え
核兵器が登場し使用されたのは、
第二次世界大戦の終戦間際である。核兵器はこれまでのいかなる兵器よりも巨大な破壊力を持っており、その破壊力の甚大さは関係者に衝撃を与えた。しかしその一方で、核兵器の登場直後は戦略家たちに理論的な革新は意外なほど見られず、核兵器は単なる「威力の巨大な爆弾」とみなされていた。これについては
・当時はまだ核兵器の信頼性が低いものだった
・運搬手段が
爆撃機しかなく、迎撃される可能性が少なからずあった
などの信頼性の低さが根底にあったとされる。つまり、この時点ではいわゆる核戦略と呼べるものは存在しなかった。
しかし1950年代になると、
ソ連もまた核兵器を保有するようになり、また
弾道ミサイルが開発され、米本土が核の脅威にさらされるに至った。そしてとうとう
核抑止が提唱されるようになった。
核抑止理論の初期段階で中心的な役割を担ったのは、
ランド研究所に所属した
バーナード・ブロディである。彼らはいかに核兵器の使用を防ぐかについて「核兵器をより確実に使用できるようになれば、敵国にとっては核兵器の先制使用によって生ずる利益が小さくなる。よって核兵器は使用されにくくなり、核抑止を実現できる」と考え、理論を構築していった。ブロディらの考えは次第に力を得て、米英にも導入されることとなった。
制限戦争論
これらの理論は依然として荒さが目立ち不完全であり、多くの批判にさらされた。おもな批判者としてはブロディ自身や
キッシンジャーが挙げられる。核兵器の登場は、その威力の大きさから全面戦争を不可能にした。というのは、核兵器を使用する目的とその破壊力があまりにもかけ離れていた。それでは核兵器の時代に通常兵器は不要になるのであろうか? この論争において彼らは、核兵器が存在してもなお
朝鮮戦争や
インドシナ戦争が発生し、また核兵器の存在がそれに対してなんら抑止効果を持たなかったことに注目した。
核兵器はあまりに威力が大きすぎ、キッシンジャーが指摘するところによると、相手国を全面戦争へと巻き込むという脅し以上に使用できないのである。ここに核兵器によって互いの戦力が制限された戦争、すなわち
制限戦争(
限定戦争とも)の概念が生まれた。また、制限戦争下では通常兵器もまた必要であることが示された。
一連の議論によって、核兵器が登場した時代での「通常兵器」「制限戦争」の位置づけが生まれ、核抑止理論も深まりを見せた。
制限戦争論は、政治的交渉を重視した。
ゲーム理論が取り入れられ、戦争中の2国であっても交渉の余地が存在する(双方にとって共通の利益が存在する)ことが示唆された。例えば核兵器を両国が持っていれば、互いの核兵器使用による甚大な破壊を回避することは両国の共通の利益となる。したがって、戦争が制限されることと交渉によって制限が生じることには妥当性がある。通常兵器と外交的交渉の重要性は見直されることとなったのである。
戦術核の理論
制限戦争論に関する議論はさらに続いた。戦術核をこの理論にどう組み込むのかという問題が生じてきたのである。当時は(現在もであるが)戦略核と戦術核の境界は不確定であった。
戦術核の使用を
ロバート・オスグッドなどは唱えたが、核兵器の戦術的使用は全面核戦争へと発展する可能性があり、戦術核は使用されるべきではないとブロディや
リデル・ハートなどは論じた。
この論争は完全な決着がつかなかったものの、通常戦力を補強する「ゲタ」としての戦術核の導入もまた
NATO諸国で進んだ。通常戦力をそろえるより戦術核は安価であり、またNATO諸国は
ワルシャワ条約機構の巨大な陸軍と対峙していたためである。
核戦略議論の全盛期
ケネディ大統領が在職中であったころ、すなわち1960年代は、核理論がもっとも活発に議論された時期であり、多様な分析がなされ、理論が生まれた。地上に配置された
ICBMの脆弱さが核抑止を不安定なものにしているとの指摘がなされ、先制核攻撃からの生存が期待できる
SLBMが開発された。米政権においては
マクナマラ国防長官が制限戦争理論に基づく軍備の整備を進めた。
また抑止理論の心理学的な考察もなされた。
チャールス・オスグッドなどは、政治的な緊張緩和に軍縮が有効であり、これをきっかけとして互いがさらなる緊張緩和や軍縮に進むことができるとして、
段階的相互緊張緩和策を唱えた。これは国際関係において無視されがちな「善意」や「信頼」といったものを平和へとつなげる理論として評価されている。
停滞
1970年代以後、核理論への関心は急速に薄れていく。およそ核戦略と呼べるものが研究され尽くしてしまったということもあるが、なにより国際関係の決定要因としての軍事力が相対的に弱まったのである。制限戦争論では国際関係の中核が交渉となったが、軍事力はその交渉の圧力となりにくくなってきたのである。軍事力は、かつては
エスカレーション理論のもと、現状より強力な武力を用いると脅しをかけることで他国に圧力をかけることができた。しかし本来であれば、両国は戦争の激化を防ぐことにこそ共通の利益を見いだせたはずである。すなわち、戦争の激化を留めることこそが利益となるのに、エスカレートによる脅しをかけるのは論理的に矛盾していることが明らかになったのである。
ベトナム戦争で実証されたように、米国は北ベトナムよりはるかに巨大な力を持っていたにもかかわらず、北ベトナムを屈服させることはできなかった。米国は結局、エスカレーションできなかったのである。
これ以後は軍事力だけでなく、国家を多面的にとらえた
国際関係論が構築されていくこととなる。
冷戦終結後
冷戦の終結によって、米国は唯一の核超大国となった。その一方で、新たに第三世界への
核拡散や、
テロリストに核兵器がわたる危険性などが生じてきた。テロリストなどに対しては、従来型の抑止形態は意味をなさなくなっている。そのため新たな核管理の方法が模索されている。
ミサイル防衛(MD)
近年では、新たな拒否的抑止の手段として
イージス弾道ミサイル防衛システムや
パトリオットミサイルなどで多重化された
ミサイル防衛(MD)配備されている。MDは従来からあった拒否的抑止理論に一石を投じるものとして注目される。
次世代兵器
政治的リスクが高く削減圧力が強い核兵器に代わり、
極超音速ミサイルや
対艦弾道ミサイルなど
通常弾頭を使用するが高速なためミサイル防衛網でも対処が難しい兵器システムの開発が進んでいる
日本における核戦略
日本においては、
日米安全保障条約とともに米国から核の傘を提供してもらうことによって核抑止力を得てきた。詳細については「
核抑止」などの記事を参照されたい。なお一部の論者からは、かねてから日本の核武装論が唱えられてきた。これについては
核武装論を参照。
核保有国の一覧
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概要
核保有国の一覧は、核兵器を保有しているか、または保有している疑いが強いと国際社会から見做されている国の一覧
NPT(核拡散防止条約)の核保有国-
アメリカ-
フランス-
イギリス-
中国-
ロシア(
ソ連からの継承)-この
5ヶ国であり
、
国連安保理の常任理事国となっている。
それ以外(NPT非批准)の国々-
インド-
パキスタン-
北朝鮮
核保有が確実視されている国-
イスラエル
核開発疑惑国-
イラン-
シリア-
ミャンマー
NPTは
1970年3月に発効したが、この条約が「特定の国家のみに核保有の特権を与える差別条約である」として加盟しなかった国々もある。NPTの発効後に核実験を行なった国々はインド・パキスタン・北朝鮮である。このうちインド・パキスタンは最初からNPTに加盟しておらず、北朝鮮は
1993年3月にNPT脱退を表明し、その後
2003年1月になって実際に脱退した。
またイスラエルもNPT非加盟国であり、国際社会から核兵器を保有しているとみなされているが、公式には核保有を肯定も否定もしない政策を取っている。その他に
南アフリカは
冷戦期に一度は核兵器を開発したが、その後全ての核を放棄し、
1991年7月にNPTに批准した。
2005年には
イランの核開発疑惑が発生し、現在も続いている。
各国の核兵器の概数
下表は
2018年時点の核保有国(及び疑惑国)と、保有
核弾頭数・初めての核実験の年・NPT及び
CTBT(包括的核実験禁止条約)への対応状況である。各種の核軍縮条約で自身の保有する核兵器数を公開しているアメリカとロシアを除いて保有核弾頭数の大半は概数であり、イスラエルや北朝鮮などかなり信頼性の低いデータも含まれている。
現在の核保有国
五大国(NPT批准国)
アメリカ(詳細は「
アメリカ合衆国の大量破壊兵器」を参照)
アメリカは、各国に先駆けて人類で初めて
第二次世界大戦中に核兵器を開発した国である。
マンハッタン計画の一環として、
カナダ及びイギリスと協力しながら、
ナチス・ドイツの脅威から逃れてきた
亡命ユダヤ人を中心として
原子爆弾の開発を行なった。
1945年には
トリニティ実験として人類初の核実験を実施し、
日本の
広島および
長崎では実際に兵器として使用した。現在においても、実戦で兵器として市街地にて核を使用し、民間人を大量虐殺したのはアメリカのみである。
アメリカは、
ソ連が
1949年に核を保有するまで唯一の核保有国であった。また、アメリカは世界初の
水素爆弾開発国でもある。
1952年には「
アイヴィー・マイク」と称する水爆実験を、
1954年には実戦配備しうる
小型の水爆を完成させた。冷戦期間中を通じて、アメリカは核兵器の近代化と保有数の拡大に努めてきたが、1992年以降は新規の核兵器の配備を行なっていない。
2002年に発表された「核態勢の見直し」(NPR:Nuclear Posture Review)では、ロシアの脅威に基づき核戦力を決定するのをやめ、友好国の
安全保障上、必要最低限の水準の核戦力を維持するとともに、今後は核戦力のみならず、通常戦力と防衛システムを含めた新たな抑止力が必要であるとしている。核による先制攻撃は行わない(核の先制不使用)としていたが、
2005年に発表された
ドクトリンでは、
対テロ戦争において
大量破壊兵器を使用した
テロリストに対しては核による報復もありうると表明している。
なお、
2009年に
オバマ政権は核使用のドクトリンをはっきりとは表明していないが、「国家安全保障戦略における核兵器への依存度を下げ、他国にも同調を促すとしている。同様にオバマは、
プラハでの演説において、核軍縮・核不拡散の流れを主導し、「核兵器のない世界に向けて、具体的な措置を取る」と言明した。しかし一部には、アメリカが保有する核兵器の刷新を図り、核優位の立場を維持する狙いもあるとの指摘も存在する。
オバマの後任として
大統領となった
ドナルド・トランプは、
INF全廃条約を破棄するなど核抑止力の強化に転じている。
フランス(詳細は「
フランスの大量破壊兵器」を参照)
フランスは
1960年に、ほぼ独自の研究成果を元に核実験(
ジェルボアーズ・ブルー)を成功させた。核開発の動機は、
スエズ危機時のソ連と
親米的
自由主義世界との間に生じた外交的緊張を契機として、フランスが自国の外交力・軍事力の貧弱さに気付いたためだとされている。また、植民地時代後の冷戦期に、イギリスに次ぐ大国としての(かつての)地位を保持することも目的としていた(「
フランスの核戦力」の項を参照)。フランスの水爆完成は
1968年である。冷戦後、フランスは175発の核弾頭を削減し、
弾道ミサイル原子力潜水艦(SSBN)と中距離
空対地ミサイルの更新に合わせてそれらの核弾頭も更新した。しかしながら、新しい核兵器を開発中であり、刷新された核部隊が
アフガニスタンでの
不朽の自由作戦中に訓練を行なった。
2006年には、当時
大統領であった
ジャック・シラクが「フランスに対する大量破壊兵器を用いたテロに対しては、核兵器による反撃をもって対応する」と発言している。
2008年3月21日には、大統領の
ニコラ・サルコジはフランスの核兵器保有量を
1⁄3に削減するとした。2009年3月のSSBN「ル・テリブル」の進水式でサルコジは、「核戦力について、核拡散などのリスクが存在するなかで死活的利益を侵す国家からの攻撃に対してフランスを究極的に守るものとして」核兵器を保有する、と語っている。
イギリス(詳細は「
イギリスの大量破壊兵器」を参照)
アメリカがマンハッタン計画で得たデータを引き継ぎ、イギリスは
1952年に核実験
ハリケーンを成功させた。イギリスは
西側の
欧州諸国の中では、最初に核兵器の開発と核実験を実施した国である。イギリスの核開発の目的は、ソ連に対する抑止力という観点からだったようである。イギリスの水爆完成は
1957年である。またイギリスは4隻の
ヴァンガード級原子力潜水艦に装備された
トライデントSLBMシステムを保持している。いまだ議論はあるものの、
イギリス政府は次の10年ほどの間に現在のトライデントシステムを交換することを表明している。核ドクトリンについては、『英国の核抑止に関する将来』とする2006年
12月の
白書で決定している。近い将来における、イギリスや同盟国への直接的な国家間伝統的・戦略的脅威の再出現に備える必要はないとしながらも、国際安全保障環境は予測不可能であり、
2020年代においてもSLBMに基づく独自の核抑止力を保持するとしている。
中国(詳細は「
中華人民共和国の大量破壊兵器」を参照)
中国は五大国の中では最も遅く、
1964年にアメリカおよびソ連の核への抑止力として
アジアで初めて核兵器の開発に成功、
ロプノール周辺において核実験
596を実施した。また、初の水爆実験は
1967年の
第六実験で、原爆開発から32ヶ月での水爆開発は最速である。中国の核兵器保有数は、
中国共産党政権がデータを公表していないために不正確である。
1993年の
アメリカのNSCによる見積りでは当時60から70の核弾頭を保有であった。
2004年の
アメリカ国防情報局による情報ではアメリカを目標としたICBMが20発配備済であった。2006年のアメリカ国防情報局による情報では中国は100以上の核弾頭を保持している。
中国は核兵器の先制不使用を宣言しており、「いかなる時、いかなる状況においても、非核国および
非核地帯に対して核兵器を使用せず、また核兵器による圧力を掛けることもない」と主張している。一方で
中国軍少将の
朱成虎は「
台湾海峡での武力紛争にアメリカが介入し、中国を攻撃するなら、中国は対米核攻撃に踏み切る用意がある」、アメリカとの軍事衝突が起きた場合には「中国は
西安以東のすべての都市が破壊されることを覚悟する。もちろんアメリカも、数多くの都市が中国によって破壊されることを覚悟しなければならない」と発言し、また「
政府はすべての幻想を捨て、あらゆる力を集中して核兵器を増やし、10年以内に
地球人口の半分以上を消滅できるようにしなければならない。」「アメリカは強大な国力を保っているので、徹底的に消滅させないと、将来大患になる。アメリカに対しては、我が国が保有する核の
1⁄10で充分だ。
台湾、日本、インド、
東南アジアは人口密集の地域であり、人口消滅のための核攻撃の主要目標となる。」と発言した。
2021年、アメリカ科学者連盟等の推計によれば、中国は350発の核弾頭を保有している。
ロシア(
旧
ソ連)(詳細は「
核兵器の歴史#ソビエトの核計画」を参照)
アメリカに遅れること4年、ソ連は初めての原爆実験
RDS-1を1949年に実施した。ソ連の核開発は、部分的には
スパイの功績によるところがあるという。ソ連は全世界で2番目に核実験を実施した国である。核開発の直接の目的は、冷戦中にアメリカとの力の均衡を維持するためだった。
1955年には
初のメガトン級の水爆実験を成功させている。また、ソ連は人類史上最大の威力を誇る核兵器「
ツァーリ・ボンバ」を製造している。これは100
Mtの出力があったが、
放射性物質の拡散を防ぐために50Mtまで出力を下げて実験が実施された。ただし、その巨大さゆえに
ICBMに搭載できないなど、非実用的な兵器であったようである。
1991年12月の
ソ連崩壊後は、ソ連が保有していた核兵器は主にロシアに引き継がれた。
ソ連崩壊時の管理体制の緩みから、国外へ核兵器が流出したのではないかという懸念がある。
2009年
5月にロシアが発表した『2020年までの国家安全保障戦略』という国家戦略に関する文書によると、米大統領であるオバマの「核なき世界」の理念には共感を示しつつも、短期的にはロシアの大国としての地位を担保する核兵器を放棄しないことは確実と見られる。
2009年
10月に
ロシア安保会議書記の
ニコライ・パトルシェフが明らかにしたところによると、ロシアは核兵器による先制予防攻撃の条件緩和を検討しているという。これは、拡大する
NATOへの対抗及び国際紛争の力点が大規模衝突から
低強度紛争へ移っていくという予測からだとされている。
その他(NPT非加盟国)
イスラエル(詳細は「
イスラエルの大量破壊兵器」および「
イスラエル国防軍#核兵器の保有について」を参照)
イスラエルも上記の国々同様、NPTを批准していない。 国際社会から核兵器保有はほぼ確実視されているが、公式には保有に関しては肯定も否定もしない政策を取っている。
ディモナで数百発開発し(
モルデハイ・ヴァヌヌの
内部告発)、
インド洋上で南アフリカと合同で核実験を実施済との主張もあるが、真偽は不明である。また、
1979年9月に、
南極近くの
ブーベ島と
プリンス・エドワード諸島の間で大規模な爆発が観測された(
ヴェラ事件)うえ、
放射性物質が降り注いだことから、いずれかの国々が核実験を行ったのではないかとの指摘があったが、これも核実験とは確定されていない。2009年には
ストックホルム国際平和研究所がイスラエルを核兵器保有国と認定した。
天然資源防衛評議会およびアメリカ科学者連盟の情報によると、イスラエルは75発から200発の核弾頭を所有しているものとみられている。
インド(詳細は「
インドの核実験 (1974年)」および「
インドの核実験 (1998年)」を参照)
インドは、これまで一度もNPTを批准していない。
1974年に中国とパキスタンへの抑止力として「
微笑むブッダ」というコードネームで知られる核実験を実施し
、6番目の核保有国となった。当時は
平和目的の核利用と主張していた。その後
1998年に、兵器として利用可能な核実験を行なった。この2回の核実験は、
カシミール問題で深く対立し、
1947年以来3度戦火を交えているパキスタンに対する示威行為であったと考えられている。
パキスタン(詳細は「
パキスタンの核実験 (1998年)」を参照)
パキスタンもインド同様、NPTを一度も批准していない。インドに対抗して1998年に核実験を実施し、公式に7番目の核保有国となった。また、パキスタンの核開発には、中国や北朝鮮、そして日本企業の関与も疑われている。
北朝鮮(詳細は「
朝鮮民主主義人民共和国の大量破壊兵器」および「
北朝鮮核問題」を参照)
1998年
5月30日にパキスタン国内において代理核実験を行ったとする説がある。北朝鮮内部においてもアメリカおよび
韓国に対抗して、
2003年にNPTを脱退表明し、その後は
2006年10月、2009年5月、
2013年2月、
2016年1月と9月、
2017年9月の合計6回の公式核実験を実施した。また博士の
アブドゥル・カディール・カーンの告白より、パキスタンの核技術が流れている疑惑もある。
現在、北朝鮮は最大60発の核弾頭を作ることができる分量の核兵器原料を既に保有しているという。
核開発の疑惑がある国々
イラン(詳細は「
イランの核開発問題」を参照)
1960年代から核開発計画があったとされているが、
2002年に反体制派の暴露により核開発計画が露呈した。2003年には
IAEAの検証活動を通して、
ウラン濃縮など核開発に繋がる原子力活動を国際社会の承認なしに行ってきたことが明らかになり、2006年4月に正式に核開発を認めた。しかしイランはこれを平和利用のみと主張している。2009年4月9日、
大統領の
マフムード・アフマディーネジャードはウラン濃縮用の新型
遠心分離機をテストしたと発表、核兵器開発へ繋がる原子力活動を中止しない姿勢を示した。
シリア
2007年にプルトニウム関連施設が北朝鮮の技術支援で建設されたと考えられている。
アメリカ政府が
2008年4月に北朝鮮との関わりを発表したが、当の北朝鮮当局はこれを否定している。イスラエル・シリア両国によって詳細は明らかにされていないが、当該施設は2007年
9月6日の
イスラエル空軍の空爆で破壊されたと考えられている。
ミャンマー(詳細は「
ミャンマー連邦の大量破壊兵器」を参照)
オーストラリア紙『シドニー・モーニング・ヘラルド』の2009年掲載記事によると、ミャンマーからの2人の
亡命者の証言として、北朝鮮の協力で、極秘裏に核施設を建設している、とされた。
2014年までに原爆を保有することを目指していると報じられた。しかし、2002年にミャンマーはIAEAの査察を受け入れており、それによると核の軍事転用は不可能だとの意見も存在する。
2010年6月4日、
中東の
衛星テレビ局「
アルジャジーラ」は、ミャンマー軍政が核兵器開発に着手した証拠があると報じた。
2012年6月2日に国防相の
フラ・ミンが
セイン政権下で核開発は停止されたとし、同時に平和利用が目的であり、核兵器開発の意図は無かったとしている。
核共有国-
ドイツ-
イタリア-
オランダ-
ベルギー
過去の参加国-
カナダ-
ギリシャ-
トルコ(詳細は「
ニュークリア・シェアリング」を参照)
NATOの核共有協定に基づいて、アメリカは上記4ヶ国に核兵器を備蓄・配備している。なおカナダ(
1984年まで)・ギリシャ(
2001年まで)・トルコ(
2005年まで)もかつて加盟していた。
過去の核保有国
南アフリカ-南アフリカは1974年から
1989年にかけて6発の原爆を製造した。冷戦終結に伴う
アフリカ派遣
キューバ軍撤退など軍事的脅威の減少と、
アパルトヘイト政策終了により誕生が確実視されていた
黒人政権の核保有阻止のため、
1990年に全て解体した。イスラエルと協力したと見られており、1979年にインド洋上で核実験を行なったとされるが(前述の
ヴェラ事件)、真偽は不明である。なお1991年に南アフリカはNPTを批准し、現在は核兵器を保有していない
.
ソ連の一部であった国々(「
ブダペスト覚書」も参照)
ウクライナ(
旧
ウクライナ共和国)-
ソ連崩壊に伴い受け継いだ核戦力は
戦略核弾頭1514~2156発、
戦術核2800~4200発、ICBM30~43基、大型
爆撃機30~43機で、1991年時点では世界第3位の核保有国だった。1994年に核兵器放棄を決定し、1996年までにはそれらの核兵器を自主的に放棄、またはロシアへ移管している。運搬手段であったICBMの解体は2019年時点も完了していない。ウクライナ側の核兵器廃棄交渉担当だったユーリ・コステンコは、ウクライナ国内に残された核兵器の操作権限はロシアが握っていたため使用は不可能であったが、それでもウクライナ国内での解体を目指したものの、ロシアや国内親露派の圧力でロシアへの移送を余儀なくされたと回想している。
クライナ東部紛争(2014年~)を受けて、核兵器再保有論も提起された。また、
国際政治学者の
イアン・ブレマーは、
ロシアがウクライナに侵攻した現実を目の当たりにした世界には「ウクライナも、核があればロシアによる侵攻を防げたはず」と思う国々があるだろうが、それは危険な考えだと語っている。
ベラルーシ(
旧
ベラルーシ共和国)-
ソ連崩壊時には81発の核ミサイル弾頭が領土内に保管されていたが、1996年までには核弾頭は全てロシアに移管された
。
カザフスタン(
旧
カザフスタン共和国)-1400発の核をソ連から受け継いだ。1995年には全てロシアへ移管された
。現在ではこれら3ヶ国は全てNPTに調印しており、もはや核兵器を保有していない。テロリストや他国への核兵器流出を防ぐため、アメリカは旧ソ連諸国の非核化を支援する「
ナン・ルーガー計画」を実施した。130億ドル以上を投じて7,600個以上の核弾頭を解体し、核技術者らに再就職先を確保するなどした。
過去の核兵器開発国
日本(詳細は「
日本の原子爆弾開発」および「
日本の核武装論」を参照)-日本は第二次世界大戦中、
理化学研究所などが核兵器の開発を目指していたが研究レベルであった。大戦末期の1945年8月、広島・長崎両市に世界初の核攻撃をアメリカから受けている。戦後は一部で核武装論も存在するが、
日本政府は
世界初の被爆国として
原子力の平和利用に徹し、核軍縮・不拡散外交としてNPTや包括的核実験禁止条約(CTBT)を批准し、IAEAに協力している
ドイツ(
ヒトラー政権下)(詳細は「
ドイツの原子爆弾開発」を参照)-第二次世界大戦中に研究。
スウェーデン(詳細は「
スウェーデンの原子爆弾開発」を参照)-
武装中立の国是のため開発を行ったが、
1970年にNPTを批准して計画を完全中止。
2001年に発表。
スイス(「
スイスの歴史#1945年以降のスイス」も参照)-武装中立の国是のため開発を行ったが、冷戦終結のため
1988年に核開発を放棄(
1995年発表)。
ブラジル(詳細は「
:en:Nuclear activities in Brazil#The "autonomous" / "parallel" nuclear program (1978–87)」を参照)-
アルゼンチンとの対立から
軍事政権期に核開発計画を進め、
1970年代から
西ドイツや
イラクと核取引を試み、
1984年に中国から手に入れた兵器利用可能な
濃縮ウランを所持し、
1987年にウラン濃縮能力があることを公表。しかし、1990年にアルゼンチンと共同で核兵器開発を禁じた。
アルゼンチン(
詳細は「:en:Argentina and weapons of mass destruction#Nuclear weapons」を参照)-ブラジルとの対立から軍事政権期に核開発計画を進め、
1980年代前半から中国やソ連の濃縮ウランを入手し、
1983年にはウラン濃縮能力があることを公表しかし、1988年にブラジルが計画を放棄したことから1990年に両国共同で核兵器開発の禁止を宣言。
イラク(
フセイン政権下)(詳細は「
イラク武装解除問題」を参照)-イスラエルやイランとの対立からフランスとの協力で開発を行ったが、
イスラエルによる空爆で頓挫。その後核開発疑惑など大量破壊兵器の存在を口実に
侵攻された。
リビア(
カッザーフィー政権下)(詳細は「
大リビア・アラブ社会主義人民ジャマーヒリーヤ国#核開発」を参照)-2003年に核開発計画を公表し、廃棄した。北朝鮮へ核兵器廃棄を求める動きの中で、しばしば「リビア方式」として言及される。
アルジェリア(詳細は「
:en:Algeria and weapons of mass destruction」を参照)-リビアに対抗して中国との協力で開発を極秘で1983年から行ったが、アメリカの圧力で1991年に核施設へのIAEAの査察を受け入れて1995年にNPTに加盟した。
台湾(詳細は「
中華民国の大量破壊兵器」を参照)-中国との対立から開発成功寸前まで行ったが、アメリカ
CIAの工作などで頓挫。開発を行っていた事実を2007年に認めた。
韓国(「
日本の核武装論#韓国」も参照)-中国や北朝鮮との対立から
パク・チョンヒ政権下の1970年代に極秘に核開発を行おうとしたが、
朴正煕の暗殺やアメリカなどによる牽制で頓挫。1991年に
大統領の
盧泰愚が非核化宣言を行った。その後2004年になり、
1982年にも
使用済み核燃料棒から微量の
プルトニウムを抽出していたことや、2000年にウラン濃縮実験を行っていたことが明らかになり、外国メディアから核開発疑惑を持たれた