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IT・メデイア問題-1



2022.06.06-首都圏ナビ(NHK)-https://www.nhk.or.jp/shutoken/newsup/20220622b.html
太陽フレアとは?最悪の被害想定 携帯・テレビ 2週間断続的障害も

「太陽フレア」と呼ばれる太陽の表面の爆発現象です。「太陽フレア」が活発になった場合、どのような被害が考えられるのか。
総務省は、最悪携帯電話が2週間にわたって断続的に利用できなくなるなど被害想定の報告書をまとめました。


太陽フレアとは 過去に大規模停電も
  太陽は活動の周期があり、3年後の2025年ごろに活発になり、「太陽フレア」と呼ばれる太陽表面の巨大な爆発現象が増えると見込まれています。

  「太陽フレア」によって、過去には大規模な停電などが起きています。
  総務省によりますと、1989年にカナダでおよそ10時間に及ぶ大規模な停電が起きて600万人に影響が出たほか、2003年にはスウェーデンでも1時間の停電が起き5万人が影響を受けました。また、位置情報を提供するGPSの精度が低下することも知られています。
  日本では同じ2003年にJAXA=宇宙航空研究開発機構の人工衛星の一部の機能に障害がでたことがあります。
被害の想定は
  総務省の有識者会議は21日、被害想定の報告書をまとめました。
  それによりますと、太陽フレアによって地球上の磁気が乱れることで、最悪、携帯電話やテレビなどの放送が2週間、断続的に利用できなくなったり視聴できなくなったりするおそれがあるということです。
  また、GPS衛星の精度に誤差が生じ、カーナビゲーションシステムが正常に機能しなくなるおそれも指摘しています。さらに対策を講じていない電力設備では誤作動が起き、広域停電が発生するおそれもあるとしています。
予報や警報の導入など提言
  こうした被害を防ぐためには太陽フレアはいつどの程度発生するか知る必要があります。
  東京・小金井市にある情報通信研究機構では3年前から24時間体制で太陽フレアを監視。太陽の観測データや上空の電波の伝わり具合などをもとに、毎日専門家が予報会議を開いています。
  24時間先までの太陽フレアの状況について「静穏」「活発」などの予報をまとめています。ただ課題もあります。
NICT・情報通信研究機構 石井守センター長
  「これまでの予報が(影響ではなく)現象中心のもの。ただそれではちょっとわかりにくい。特に影響を受ける事業者の方にとって、それじゃ何が起こるのかわかりにくい」。このため報告書では、社会的にどのような影響があるか知らせる予報や警報を導入することや通信などの分野では影響を受けやすい周波数を避け、有線通信などの代替手段を確保することなどを提言しています。
NICT・情報通信研究機構 石井守センター長
  「産業界にはこのようなシナリオがあることを理解してもらい、少しずつインフラを整備していってほしい」
専門家「対応できる人材育成を」
  茨城大学で30年近く、太陽活動の研究を行ってきた野澤恵教授に、太陽フレアについて聞きました。
茨城大学理工学研究科地球環境科学領域 野澤恵教授
  「これから太陽活動がどんどん大きくなりますので、そのときにいろいろな災害が起こってくるのかもしれないと思っています。20年前には、人工衛星が太陽フレアによって姿勢を失い、最終的には運用することができなくなって、燃え尽きてしまったという例があります」
  野澤教授の研究室では、太陽活動の予測に生かそうと、太陽の表面を撮影できる望遠鏡を大学の屋上に設置しています。
  太陽が出ている日には、2分に1度、表面を撮影します。撮影された太陽の写真に、黒っぽい点が写っていました。これは強い磁場のある「黒点」と呼ばれるものです。
  太陽フレアはこの周りでしばしば起こるとされていますが、最近、この黒点が増え、地球に影響が出るのではないかと懸念を強めているといいます。
茨城大学理工学研究科地球環境科学領域 野澤恵教授
  「(太陽活動で放出されるものが)地球に正面衝突してしまった場合、その時の危険、ダメージがすごく高いので、そのあたりをなんとかうまく予測したいと思っています」。さらに野澤教授が大切だと考えているのは、太陽フレアに対応できる若手人材の育成です。
  この研究室には学部や大学院の学生6人が所属していて、太陽フレアによる人工衛星の軌道変化や、太陽フレアを観測しやすい電波望遠鏡などについて、それぞれ研究を進めています。
  ただ野澤教授は、ここ20年ほど太陽活動が落ち着いていたため、この分野に興味を持つ学生はあまり多くなかったといいます。一方で、携帯電話やGPSなどへの依存が深まる現代社会では、若手人材の育成はさらに必要性が増していると考えています。
茨城大学理工学研究科地球環境科学領域 野澤恵教授
  「太陽自体は非常に大きな現象なので、われわれとしては、起こってしまったものはしょうがないけれども、できるだけ被害を小さくすることを考えています。大切なのは、起こったときに対応する人材の育成だと思っています。企業や一般の人に対して、どう伝えていくか、橋渡しが重要だと考えていますので、そういった人材の育成を考えています」


2022.05.17-Yahoo!Japanニュース(IT media NEWS)-https://news.yahoo.co.jp/pickup/6426749
「月額0円」廃止 楽天モバイルを悩ませた“3つの誤算”
(1)
   楽天モバイル5月13日に発表した新料金プラン「Rakuten UN-LIMIT VII」で、現在の料金プラン「Rakuten UN-LIMIT VI」にある、月額0円で利用できる仕組みを廃止したことが波紋を呼んでいるようだ。そもそもなぜ楽天モバイルは月額0円という仕組みを導入し、なぜそれを廃止することとなったのだろうか。振り返ると見えてくるのは、楽天モバイルに相次いで降りかかった“誤算”の数々である。

多くの批判も集めた「月額0円」の廃止
  2021年4月に、自らインフラを持つ携帯電話会社として本格サービスを開始した楽天モバイル。
  以前MVNOとして提供していたサービスと合わせると契約数は2022年3月時点で568万、MVNOの契約数を除いても491万と、間もなく500万に到達する勢いで急速に利用者を増やしているのだが、その原動力の1つとなっているのが料金プラン「Rakuten UN-LIMIT VI」の存在だ。
  このプランは使用した通信量に応じて料金が変わる段階制を採用しており、どんなに利用しても月額3278円、月当たりの通信量が1GB以下であれば月額0円という、従来の常識を覆す内容となっている。
  月額0円でも、国内通話が無料になる「Rakuten Link」が使える、「楽天市場」で買い物をする時のポイント付与率が1%増えるなどのメリットがあることから、月額0円での運用を前提に、楽天モバイルをサブ回線で使うべく契約している人も多い。
   だがそうした人達に衝撃を与えたのが、楽天モバイルが2022年7月1日より提供予定の新料金プラン「Rakuten UN-LIMIT VII」である。これは要するに、Rakuten UN-LIMIT VIから月額0円で利用できる仕組みをなくしたもので、どんなに通信量を抑えても月額1078円かかってしまう。
   もちろん楽天市場でのポイント付与率がさらに1倍追加されるなど、新料金プランにはいくつかメリットも追加されているのだが、月額0円での利用を前提にしていた人にとっては大幅値上げでしかない。そうしたことから新料金プランはSNSなどで多くの批判を集めているようだが、なのであればなぜ、楽天モバイルはこれまで「月額0円」という仕組みを提供してきたのか? という疑問もわくのではないだろうか。
(2)
1つ目の誤算「ネットワーク整備の遅れ」
  これまでの同社の動向を振り返ると、そこには3つの誤算があったと筆者は見る。1つ目の誤算は“ネットワーク整備の遅れ”だ。
  実は楽天モバイルが携帯電話会社としてサービスを開始したのは、本サービス開始より半年ほど前の2019年10月。なのだが、新規参入である同社は基地局整備に関するノウハウが不足しており、ネットワーク整備が大幅に遅れ総務省から何度も指導を受けるなど、満足にサービスを提供できる状況になかった。
  そこで同社は5000人に対象を絞り、サービスを無料で利用できる代わりにネットワーク改善のため意見を募る「無料サポータープログラム」という、ほぼ試験サービスというべき形でのスタートを余儀なくされたのである。
   その後2020年4月に楽天モバイルは本格サービスを開始したのだが、当時の人口カバー率は20%台で、多くのエリアを提携するKDDIのネットワークへのローミングで賄わざるを得ない状況だった。そこで楽天モバイルは料金的メリットを前面に打ち出して加入者を集める戦略を取ったのである。
   本格サービス開始当初に打ち出した料金プラン「Rakuten UN-LIMIT」は、月額3278円で楽天モバイル回線内であればデータ通信が使い放題と、当時としてはかなりお得な料金設定だった。だが同社はそれに加えて、300万人まで1年間、Rakuten UN-LIMITを無料で利用できるという大盤振る舞いのキャンペーンを実施したのである。
2つ目の誤算「政府主導の携帯料金引き下げ」
  一連の内容を見るに、楽天モバイルは無料キャンペーンでユーザーを増やすと同時にインフラ整備を加速させることで、本格サービス開始後の1年後にはRakuten UN-LIMITの料金でユーザーが満足できる環境が整うと踏んでいたとみられる。だがそこでもう1つ、“政府主導の携帯料金引き下げ”という誤算が起きることとなる。
   その契機となったのは、かねてより携帯料金引き下げに熱心だった菅義偉氏が2020年9月に内閣総理大臣に就任したこと。それ以降、菅前政権が政治的圧力をかけて携帯各社に料金を大幅に引き下げるよう迫り、結果としてNTTドコモがRakuten UN-LIMITと同じ料金(発表当時)で20GBの通信量が利用できるオンライン専用プラン「ahamo」を投入して楽天モバイル以上の評判を呼んだのである。
   その理由は、すでに全国津々浦々で利用できる携帯大手の充実したネットワークを、大容量かつ低価格で利用できるため。携帯電話は何よりネットワークにつながることが重視されるだけに、使い放題ではないとはいえ、エリア面での充実度が高い携帯大手が低価格かつ大容量の料金プランを投入したことは、ネットワークに弱みのある楽天モバイルを窮地に追い込んだのである。
   とりわけ懸念されたのが、無料キャンペーンが終了するユーザーが出てくる2021年4月以降、楽天モバイルからahamoなどに乗り換えるユーザーが続出してしまう可能性である。そこで楽天モバイルが2021年、ユーザーを逃さないために打ち出した一手が、新しい料金プランのRakuten UN-LIMIT VIに、月額0円で利用できる仕組みを導入することだったわけだ。
(3)
3つ目の誤算「想定以上の赤字」
  つまり楽天モバイルの「月額0円」は、ネットワーク整備の遅れで実施した無料キャンペーンで獲得した顧客を、低価格プランを投入してきた他社へ逃さないために取ったやむを得ない手段であり、できればやりたくなかったというのが本音だともいえる。それだけに同社はどこかのタイミングで料金の見直しを検討していたとみられるが、それが1年と少しという短期間での決行となったのには、3つ目の誤算“赤字幅の拡大”がある。

  ネットワーク整備を急ぐ必要に迫られた楽天モバイルは、2020年8月に基地局整備を5年前倒しすることを発表、実際には半導体不足の影響を受けて約4年の前倒しとなったものの、それでも2022年4月時点で人口カバー率97.2%と、エリアを急拡大させたことは確かだ。ただその分設備投資費用も前倒しでかかることとなり、短期間で見れば赤字幅も大幅に増加。実際、楽天モバイルを主体とした楽天グループのモバイルセグメントは、2021年度の営業損失が約4212億円。2022年度第1四半期だけでも1350億円と、前年同期比で374億円増加している。
   一方で、無料キャンペーンや「月額0円」の影響で契約者は急拡大したものの、それに伴いローミングエリアで利用する人が増えたことでKDDIへの支払い費用も急増。楽天グループ代表取締役会長兼社長の三木谷浩史氏が、決算説明会で「ローミング費用が高い」と漏らす機会が増えるなど、ローミング費用が経営の重しとなっている様子を伺わせていた。
   その具体的な額は示されていないが、貸し出し元となるKDDI代表取締役社長の高橋誠氏は、2022年度は楽天モバイルからのローミング収入が「500億円程度減ると思う」と話していた。それゆえ2021年度は、少なくとも500億円以上のローミング費用がかかっていたと推察できる。
   それに加えて競争激化によるRakuten UN-LIMIT VIの提供により、当初想定していなかった月額0円で利用し続ける顧客も増え、経営の負担になっていたことは確かだろう。そして一連の赤字は楽天グループ全体の経営にも影響を与えており、ここ最近“改悪”との声が増えている、スーパーポイントアッププログラムでのポイント還元率低下などの形で消費者にも影響が出てきている。
   そうしたことから楽天モバイルは赤字の早期解消のため、顧客拡大から収益改善へと舵を切る必要が出てきたといえる。2021年3月には日本郵政グループなどから大規模な資金調達を実施したのに加え、2021年10月には39都道府県の一部でKDDIとのローミングを終了させることを打ち出し、ローミング料負担の解消に手を付けてきた。そしてより収益改善を急ぐべく手を付けたのが、今回の新料金プラン導入による月額0円の廃止なのである。
   それゆえ今回の措置は楽天モバイルのビジネスにプラスに働く一方で、月額0円を目当てに利用していたユーザーに与えた衝撃も決して小さくなく、ユーザー離れが懸念される所でもある。実際、サービスの性質こそ違えど月額0円から利用できるという点では共通している、KDDIの「povo2.0」に乗り換える人も増えているようで、同サービスでは5月14日、申し込みが集中して本人確認に時間がかかる旨のリリースを出すに至っている。
   そのこと自体は楽天モバイルも想定済みだろうが、「お金を払ってもいいから利用を継続したい」というユーザーがどの程度残るのか、そして月額0円という武器を失った後、顧客獲得が従来通り進むのかという点はまだ見えていない。収益改善に道筋は付けつつあるが、それによって失うものも大きく、茨の道はまだまだ続くというのが正直な所ではないだろうか。
-ITmedia NEWS


2022.05.10-Yahoo!Japanニュース(産経新聞)-https://news.yahoo.co.jp/articles/d4bc80b3602443f9e73034ab2017eae220f89728
G7デジタル相会合開幕 デジタルインフラ強靭化で共同宣言へ

  日米欧の先進7カ国(G7)デジタル相会合が独デュッセルドルフで10日開幕した。ロシアによるウクライナ侵攻で、インターネット環境を支える光ファイバーなどデジタルインフラが被害に遭っていることを受け、デジタルインフラを守る重要性を強調するサイバーレジリエンス(強靭化)の「共同宣言」をまとめる見通しだ日米欧の先進7カ国(G7)デジタル相会合が独デュッセルドルフで10日開幕した。

  ロシアによるウクライナ侵攻で、インターネット環境を支える光ファイバーなどデジタルインフラが被害に遭っていることを受け、デジタルインフラを守る重要性を強調するサイバーレジリエンス(強靭化)の「共同宣言」をまとめる見通しだ。
  会合は11日まで開かれる。G7各国のデジタル相のほか、ウクライナのデジタル転換相を兼務するフョードロフ副首相もオンラインで参加。ウクライナが現在直面しているサイバー攻撃やデジタルインフラの被害状況などを踏まえた上で、サイバー強靭化を実現させるための政策対応を優先させる方向で各国が一致する方向だ。
   関係者によると、共同宣言で掲げるサイバー強靭化の趣旨も踏まえて、日本政府は情報通信や電力など14分野の重要インフラについてサイバー防衛を官民で連携して推進するための「重要インフラ行動計画」の改定作業を今夏に向けて進める。

  会合では、共同宣言のほか、デジタル化による環境保護の強化を目指す「デジタル化と環境」、中国などを念頭においたデジタル保護主義への反対を再確認し、「データ・フリー・フロー・ウィズ・トラスト(信頼性のある自由なデータ流通、DFFT)」を推進する「データ」などのテーマについて閣僚宣言を取りまとめる見通しだ。。


2022.04.23-JIJI com-https://www.jiji.com/jc/article?k=2022042300284&g=int
違法コンテンツ排除義務付け IT規制法案で合意―EU

  【ブリュッセル時事】欧州連合(EU)の加盟国と欧州議会は23日未明、インターネット上の交流サイト(SNS)や検索エンジン、通販サイトなどのサービスを提供するIT企業に対し、違法なコンテンツの排除を義務付ける「デジタルサービス法案(DSA)」の最終案で合意した。加盟国と欧州議会それぞれの承認を経て施行する。

  オンラインサービスの規制を包括的に見直し、米グーグルや米メタ(旧フェイスブック)など巨大IT企業への取り締まりを強化する。
  フォンデアライエン欧州委員長はツイッターで、合意は「歴史的だ」と歓迎。新たなルールは「オンライン(サービスの)利用者を守り、表現の自由とビジネスチャンスを確保する」と強調した。
  DSAは欧州委員会が2020年末、巨大IT企業に公正な競争維持を義務付ける「デジタルマーケット法案(DMA)」と共に提案。ヘイトスピーチ(憎悪表現)、テロの扇動、児童ポルノといった違法コンテンツや、偽物などの違法商品の削除を義務化する。
  違反した企業には最大で全世界売上高の6%相当の制裁金を科す。EU域内に月間4500万人以上の利用者を持つ巨大ITには、偽情報などの有害コンテンツの拡散防止を含め、さらに厳格な対策を義務付ける。
  加盟国と欧州議会はDMAについても、3月下旬に最終案で合意した。


2022.03.21-産経新聞-https://www.sankei.com/article/20220321-WMEDCQPLRVMDNOM3B7FQIRHAQM/
ウクライナ侵攻の現実、3Dで伝える 東大院教授がデジタル地図で発信
(中井芳野)

  ロシア軍によるウクライナ侵攻の被害は、病院や住宅といった一般市民の生活拠点にも及んでいる。ロシア側は「一般市民への攻撃はない」と強調するが、避難者が撮影した写真や衛星画像は、ウクライナで起きている卑劣な現実を突きつける東京大大学院の渡邉英徳(わたなべ・ひでのり)教授(情報デザイン)らは現地の画像やデータの一部に3D加工などを施し、位置情報を加えた「デジタル地図」を作った。「悲惨な現状を正確に伝えたい」と渡邉教授は訴える。

  キエフの約50キロ北西にあるボロディアンカのマンション群。渡邉教授らが手掛けた3D画像には、高層マンションの中央部分が崩壊し、真っ二つになった様子が写っている。画像を180度回転させて拡大すると、最上階の一室には炎が上がっていた。建物周辺には黒焦げのがれきが散乱し、市民を巻き込んだ侵攻の生々しさを物語る。
  このマンションは今月上旬、ロシア軍に砲撃された。地元メディアによると、約100人が生き埋めになった可能性がある。
  ウクライナ上空からマンション一帯を写したドローン映像などをドイツ人男性が3Dデータに加工。渡邉教授は同データをデジタル地図に落とし込み、ズームイン・アウトの機能を付けることで、攻撃されたマンションを近くから眺めているような状態にした。
  渡邉教授はほかに2つの3D画像も公開している。空襲警報のたびに住民が逃げ込む東部ドネツクの地下シェルターと、キエフでロシア戦車によって押しつぶされた車の様子。素材となる画像やデータは、いずれも避難生活を続ける一般市民が「世界中に現状を知ってほしい」と渡邉教授のもとに送ったものだ。

  デジタル地図には他に、破壊された病院やショッピングモールなどが写る約90枚の衛星画像を落とし込んだ。渡邉教授らは、入手した画像と地図を照らし合わせ、パズルのように位置を当てはめていった。
  丹念な作業により、写真1枚では分からなかったロシア軍の侵攻の実態も浮かび上がる。
  例えば2月27日、キエフの北方約80キロでロシア軍の車列を写した2枚の衛星画像。少なくとも車列が約3・6キロにわたり続いていることが推測される。ただ今月に入ると車列の画像は見当たらず、今度はキエフの数十キロ圏内にある複数の近郊都市に、戦車が点在する様子が捉えられていた。
  渡邉教授は「画像1枚だけでは戦車がそこに配備されているという情報しかないが、全体の地図から経過を見ることで、キエフを着々と包囲しているのがよく分かる」と説明する。
  ウクライナ侵攻は「情報戦」も激化し、SNS(会員制交流サイト)ではデマやフェイク(噓)の情報も混在している。渡邉教授は「正確な被害を発信することで、侵攻による悲惨な現状を多くの人に知ってもらいたい」と話している。
(中井芳野)


2022.03.21-Yahoo!Japanニュース(NEWSポストセヴン)-https://news.yahoo.co.jp/articles/caac8a6ef686402a62ba9515443e825aa5756fc6?page=1
ロシアvsウクライナのサイバー戦争 今回の“主役”は軍よりも「民兵」
(1)
   プーチン大統領の指示のもとウクライナに侵攻したロシア軍は、ミサイルによる無差別攻撃を展開するなどして、民間人の被害も広がっている。そうしたなか、ウクライナ側はサイバー空間からの“反撃”を試みている現代の戦争は、陸海空軍の戦力だけで結果が決まるものではない。ロシア側とウクライナ側の間で、どのような攻防が繰り広げられているのか。世界のサイバー戦情勢に詳しい国際ジャーナリスト山田敏弘氏がレポートする。

  ウクライナのミハイロ・フョードロフ副首相は、ロシアによるウクライナ侵攻が始まると、ロシアに対してサイバー攻撃で抵抗するIT軍の創設を宣言。国内外にいるウクライナ人などに参戦を呼びかけた。
  実は、ウクライナには、アメリカなどのようなサイバー軍や部隊は存在しない。そのため、国民だけでなく、サイバー攻撃やネットでの反ロシア活動をできる人たちと共に戦う「民兵」を募集したのである。実は、ウクライナは他国に比べてIT技術の高い人が多い。こうした活動によって、世界中から寄付なども集まり、情報戦またはプロパガンダが激化する様相になっている
   ちなみに今回、世界屈指のサイバー攻撃能力を持つとされるロシアのサイバー部隊がほとんど目立った活動をしていないように見える。これまで散々、ウクライナにサイバー攻撃を仕掛けてきたにもかかわらず、である。
   その理由の一つには、ロシアの侵攻が始まる数か月前の2021年10月の時点で、世界最強であるアメリカのサイバー軍の関係者がウクライナ入りしており、さまざまな対策を実施していたからだ(アメリカ政府はこの時点ですでにロシアのウクライナ侵攻に対抗する準備をしており、水面下ではアメリカ側とロシアのサイバー攻撃の攻防も起きている)
   とにかく、軍などのサイバー部隊は目立っていない。そんなこともあって、今回、ウクライナ側においてもロシア側においても、目立った活動をしているのは、個人ハッカーや、民間のサイバー攻撃組織などだ。
   では今、どんなサイバー「民兵」たちが動いているのか。
(2)
「Attack!」ボタンを押すだけでロシアの“標的”を攻撃
  今回のウクライナ紛争では数多くのサイバー攻撃集団が立ち上がっている。
  有名なのは、「Anonymous(アノニマス)」や、冒頭で述べた「IT Army of Ukraine(ウクライナIT軍)」だろう。主な戦術は、ロシアの政府機関や団体などへのDDoS攻撃(大量のデータを送りつけて負荷を与えてシステムをダウンさせる攻撃)や、ウェブサイトの改ざんである。「Anonymous(アノニマス)」は、以前からハクティビスト(ハッカーとアクティビストを足した言葉)として知られるハッカーの集合体で、今回は、反ロシアの平和主義活動を行なっている。リーダーもおらず、各自が攻撃を行なう。ロシアの政府系機関や国営メディアを攻撃して、一瞬であるが、DDoS攻撃で公式サイトをダウンさせたと主張している。
   また先日、ロシアの国営テレビ局をハッキングして乗っ取り、ウクライナ内部の映像をロシア国民に見せつけた、というニュースがあった。だがこれは日本でいうNHKの地上波放送を乗っ取ったというようなものとは全く違う。もしそうなら凄まじい偉業だが、実際は、オンライン上の配信サービスで流れる映像を、短い時間だけ差し替えることに成功したということである。こうした攻撃を大きく見せて喧伝するのも、彼らの手段である。

   「IT Army of Ukraine(ウクライナIT軍)」は、拠点をウクライナに置き、ツイッターなどで世界にメッセージを発信している。最近も、国連でロシア寄りの立場を見せる4カ国を名指しして、敵は誰なのかを明確にしようとしている。ちなみにそれらの国々とは、北朝鮮、エリトリア、シリア、ベラルーシである。
   IT軍に参加したいハッカーたちはオンライン上のフォームに得意分野や経歴を記載して登録し、電力網や水供給システムなど重要インフラのセキュリティを担当したり、ウクライナ軍による偵察活動などを支援している。
   また、ある裕福なウクライナ人が、ロシアの政府機関などをサイバー攻撃で破壊するための「脆弱性」を10万ドルで募集していたり、DDoS攻撃を行なうためのマルウェア(不正なプログラム)を提供している人もいる。ロシア国内の鉄道のチケットシステムを一時的に停止させた例も報告されている。
   またある組織は、DDoS攻撃のためのサイトを提供。このウェブサイトの参加ユーザーは、サイト上の「Attack!(攻撃!)」ボタンをクリックするだけで、設定されたロシア国内の標的へのサイバー攻撃に自動で参加できるようになっている(別掲写真)。「ドローンのようにプーチンの部隊を破壊しよう」「ウクライナに栄光を!」とメッセージが記載されている。
(3)
  同じくウクライナのためにロシアに対してDDos攻撃やハッキングを攻撃手法としている組織は多い。ウクライナを拠点に反ロシアのサイバー活動をしているのは、別掲の【表1】のような組織だ。
   こうしたグループや個人の中には、情報統制で戦争の実態が伝わっていないロシア国民に、ロシアの攻撃で被害を受けるウクライナの窮状を伝えるメールなどを送りつけるなどしている人たちもいる。
   また国外を拠点にして、ウクライナのために動いている組織もある。「Belarusian Cyber Partisans(ベラルーシ・サイバー・パルティザン)」は、ランサムウェア攻撃(身代金要求型ウィルス)でロシアに攻撃を仕掛けている。ランサムウェアは攻撃相手のコンピューターの情報を勝手に暗号化してしまって使えなくしてしまうため、敵のシステムを不全にするには効果がある。
   またフランスに拠点を置き、普段は中国への攻撃を行なっている「AgainstTheWest」はランサムウェアだけでなく、ハッキングによって情報搾取も実施する。最近では、ランサムウェアを感染させて内部の情報を盗む手口が主流だが、この「AgainstTheWest」はそういう攻撃も行なっていると見られている。
   さらにフィンランドには、「NB65-Finland」という組織がいて、ロシアへDDoS攻撃や、ウェブサイトやサーバーにハッキングを実施している。トルコからも、「Monarch Turkish Hacktivists」というハクティビスト組織が参加している。
   一方でロシア側にも、ウクライナへ攻撃する組織が存在している。
ロシア側の“民兵”はフェイクニュースを量産
   そもそも、ロシア政府は、情報機関が犯罪組織や民間企業などを駆使してサイバー攻撃を実施しているとみられている。ロシアといえば、旧ソ連のKGB(ソ連国家保安委員会)が有名だが、実は、ソ連が崩壊した後も、KGBは生き残ったと言っていい。KGBはソ連崩壊後、主に国内を担当する部門が現在のFSB(ロシア連邦保安庁)となり、国外諜報部門がSVR(ロシア対外情報庁)として任務を続けている。こうした組織が政府系サイバー攻撃を担当している。  また、それ以外にも軍のスパイ機関であるGRU(ロシア連邦軍参謀本部情報総局)という組織もサイバー攻撃を実施している。
(4)
  ただ今回のウクライナ紛争では、やはりロシアのサイバー「民兵」が活発に動いている。では、どんな組織が存在しているのか。有名なのは、「UNC1151(Ghostwriter)」で、ウクライナを貶めるために捏造記事や偽記事、フェイクニュースなどをばら撒く活動も確認されている。それ以外は別掲の【表2】に一覧にした。
   加えて、ロシアを拠点にこれまでランサムウェア攻撃を世界中で行なってきた組織、例えば有名組織の「Conti」も参戦を宣言している。ただこの「Conti」は先日、ウクライナ側からのサイバー攻撃を受けて、内部情報を暴露されるという失態が話題にもなっている。
   こうした組織は、DDoS攻撃というシンプルなものよりも、ハッキングでターゲットのシステムに入り込んで情報を奪う工作を行なっている。先に述べた「UNC1151」に加えて、「SandWorm」「Zatoichi」といった組織は偽情報などを拡散させる活動が確認されている。「Zatoichi」と「Killnet」などについては、アノニマスに対しても攻撃を行なっていると宣言している。普段はランサムウェア攻撃を行なっている「CoomingProject」はフランスに拠点を置いているとされ、「ロシア政府をサイバー攻撃するものは報復する」と表明している。
   このように、さまざまなサイバー部隊が入り混じって、サイバー空間上で「ウクライナvs.ロシア」の戦いが繰り広げられているのが実態である。
   民間のこうした争いは紛争が長期化するにつれて、激化していく可能性がある。今後、どのように展開していくのか注目したい。


2022.03.13-日本経済新聞-https://www.nikkei.com/article/DGXZQOFD1322C0T10C22A3000000/
デンソー独法人にサイバー攻撃 機密情報公開で脅迫か

  トヨタ自動車系の部品メーカー、デンソーは13日、ドイツの現地法人がサイバー攻撃を受けたことを明らかにした。身代金を請求するウイルス「ランサムウエア」の感染を確認した。攻撃を仕掛けたとみられる犯罪グループがデンソーを脅迫する声明を出している。デンソーは現時点で事業に影響は出ていないとしており、主要顧客であるトヨタ自動車も「工場稼働など影響はない」としている。

  デンソーによると、ドイツで自動車部品の開発や販売を手掛けるデンソー・オートモーティブ・ドイツが10日に不正アクセスを確認し、現地当局に被害届を出した。感染拡大を防ぐため、独法人のサーバーやパソコンはネットワークから切り離す対応を取った。
  情報セキュリティー会社、三井物産セキュアディレクション(東京・中央)の吉川孝志氏によると、ランサムウエアを使う新興サイバー犯罪グループ「Pandora(パンドラ)」のインターネット上の闇サイトに13日、「デンソーの機密データを盗み、公開する」との趣旨の声明が掲載された。

  データは1.4TB(テラバイト)分、15万7千件超で、内容は設計図や発注書の画像、メールやプリンターの印刷データなどとみられるという。デンソーは身代金要求の有無については明言しておらず、「詳細は確認中」としている。一方、国内外のすべての生産拠点への影響は確認されておらず、通常稼働を続けるとしている。
  サイバー攻撃を巡っては、2022年2月に小島プレス工業(愛知県豊田市)が攻撃を受け、トヨタ自動車の国内全工場が一時停止する被害が出ている。デンソーでは21年12月にメキシコ工場もランサムウエアによる攻撃を受け、インターネット上でハッカー集団が犯行声明を出していた。同攻撃による事業への影響はなかったとしている。


2022.03.03-読売新聞-https://www.yomiuri.co.jp/world/20220303-OYT1T50086/
メディア統制強めるロシア、「戦争」「侵攻」削除命令…閲覧できないサイトも

  【モスクワ=田村雄】ロシアのプーチン政権が、ウクライナ侵攻を巡り報道統制を強めているウクライナ東部の虐げられた住民を救う「平和維持活動」という、政権が描く筋書きに合わない情報は排除されている。侵攻に対する批判が国内で高まることを政権は警戒しており、公式発表に基づいて報道するようメディアに厳命している。

  ロシア通信監督局は2月26日、ウクライナでのロシアの軍事作戦を戦争侵攻などと報じたとして、独立系の新聞やラジオ、インターネットテレビ合わせて10社に記事の削除を命じた。昨年のノーベル平和賞受賞者ドミトリー・ムラトフ氏が編集長を務める「ノーバヤ・ガゼータ」も含まれる。
   同局は「砲撃や民間人の犠牲に関し、事実と一致しない情報を信頼できる情報として伝えた」と理由を説明した。そして記事を削除しなければ、ウェブサイトの閲覧を制限し、最高500万ルーブル(約520万円)の罰金を科すと警告した。タス通信によると、10社のうち2社のウェブサイトは1日、閲覧できなくなった。

   プーチン政権はウクライナ侵攻を「特殊軍事作戦」と呼ぶ。攻撃対象は軍事施設に限っており、「民間人に脅威を与えていない」と主張する。
   ロシアのテレビや新聞は世論を誘導する手段で、プーチン政権を批判するような報道は許されない。戦時下でメディアへの締め付けはさらに強まっている。
   政府はウクライナ侵攻に関する報道では、公式発表のみを引用するようメディアに命じており、侵攻を正当化する画一的な内容の報道が繰り返されている。
   ウクライナ東部ハリコフでは1日、中心部が攻撃され民間人に多数の死傷者が出た。これについて政府紙「ロシア新聞」は、「ハリコフを爆撃したのはウクライナ軍だ」と報じた。
   ロシア国営テレビは、ウクライナ政府軍が東部の親露派武装集団の支配地域を攻撃し、多くの被害が出ていると伝えている。ウクライナの民間人の被害などについて主要メディアは伝えていない。
   一方、SNSはテレビや新聞ほど当局の監視が厳しくなく、侵攻に抗議する民意の形成や街頭での抗議活動の拡大につながっている。このため政府は、ツイッターやフェイスブックの接続速度を遅くしている。露有力紙コメルサントによると、ロシアで閲覧できるウクライナのニュースサイトは、ウクライナ侵攻が始まった後、減らされた。


2022.02.28-産経新聞-https://www.sankei.com/article/20220228-RRUU7FAPGJOQ7KB2RJFWPSBTNY/
アノニマス犯行声明 露政府サイトにサイバー攻撃か

  米CNNなどは26日、ロシア政府のウェブサイトの一部が接続しにくい状況になっていると報じた。CNNによると、原因は明らかになっていないが、国際ハッカー集団「アノニマス」が25日、ツイッター上で、ロシア政府や国営放送のウェブサイトへのサイバー攻撃をしていると声明を出した。

  アノニマスは26日にもツイッターへの投稿で「ロシアの人々がプーチンの国家検閲機関から解放されるように、作戦を継続している」などと主張している。
  ロイター通信によると、ロシアのウクライナ侵攻開始後、ウクライナ政府などのウェブサイトがサイバー攻撃を受け、ロシアの関与が疑われていた。ウクライナ政府は26日、ロシアのサイバー攻撃から守るために「IT部隊」を創設した。
  ロシア大統領府はアノニマスからの攻撃について否定している。


2022.02.09-IT media ビシネスOnline-https://www.itmedia.co.jp/business/articles/2202/09/news072.html
“ネット受信料”導入への布石か NHK「テレビ持たない人」配信実験
(1)
  「テレビ離れ」が指摘されて久しい近年は若年層を中心に、テレビ受信機そのものを持たない人が増えている。NHKは4月以降、そうした人らに対して番組や情報をインターネットで配信し、どう受け止められるかを調査する。受信料に支えられるNHKにとって、テレビを持たない人の増加は将来の経営危機に直結する。実証実験は「ネット受信料」導入への布石との指摘も上がるが、課題は多い。
見られ方が多様化
  「紅白が紅白でなくなった日」(スポーツニッポン)、「紅白衝撃最低」(東京中日スポーツ)-。
  1月3日のスポーツ紙各紙に大きく躍ったのは、昨年大みそかに放送された「第72回NHK紅白歌合戦」第2部の平均世帯視聴率が34.3%(ビデオリサーチ調べ、関東地区)だったことを伝える見出しだ。過去最低だった令和元年の37.3%を下回り、史上最低となった。

  もっとも、NHKはこの数字を悲観しているわけではない。番組をネット配信する「NHKプラス」では、1月7日までの配信期間中に、過去最高だった昨年の東京五輪開会式を上回る68万人が紅白を見ていたためだ。正籬(まさがき)聡放送総局長は「見られ方が多様化し、リアルタイムでテレビを見るのではなく、(スマホやパソコンなど)いろんな端末で広がっている。一定の存在感は示すことができた」と振り返った。
  ただ、NHK放送文化研究所が2年11月に行った世論調査では、テレビに親近感を持つ人は若い世代ほど低い。
  若年層からは「テレビは持っていない。好きな俳優が出るDVDをパソコンで見られれば十分」(20代女性)、「15年以上使っている今のテレビが壊れたら次は買わない」(30代女性)との声もあがる。テレビを持たない人は今後も増えることがうかがわれる。
  では、ネットの番組配信を加速させればよいかというと、話はそう単純ではない。民放の見逃しサイト「TVer(ティーバー)」は会員登録や利用料が不要だが、「NHKプラス」の利用はNHKの受信契約者に限られる。テレビを持っていない人や未契約者は、ネットでもNHKの番組に触れることができないのだ。
(2)
実証実験で知見得る
  こうした背景を踏まえて注目されているのが、テレビを持たない人やほとんど見ない人を対象に、NHKが来年度行う実証実験だ。1回あたり最大3千人を対象に1週間から3カ月かけて行う予定で、対象や方法を変えて複数回、番組や番組に関する情報を提供し、それがどのように受け取られるかを調査する。得られた知見は民放とも共有するという。

  この実験をめぐっては、ネットで番組を見ることが可能な人から集める「ネット受信料」の将来的な導入を、NHKが目指して行うのではないかとの指摘が絶えない。前田晃伸会長は、「ネット受信料を前提にした実証ではない」と否定し、あくまで総務省から実施を求められたためだと強調するが、放送法に詳しい立教大学社会学部の砂川浩慶教授は「視野に入れているだろう」とみる。
  とはいえ、ネット受信料を取るためには高いハードルがある。NHKの国会答弁では、現行の受信料はNHKの放送サービスに対する対価ではなく、組織を支える「特殊な負担金」という位置づけだ。地上契約に上乗せされる“2階”部分の衛星契約は「衛星放送」というサービスに対する対価といえるが、砂川教授は「同じ番組をネットで見られるだけでは新たなサービスといえず、現行のNHKプラスのままでネット受信料を取るのは難しい」と指摘する。
  新たなサービスを加えるには予算も必要だが、そもそもネット配信は、放送法が定めるNHKの本来業務でなく放送を補完する位置づけで、使える予算に限りがある。
  逆に、ネット配信が本来業務の一部となれば、ネットにつながる人から受信料を取れる可能性があるが、砂川教授は「若い人が、受信料を払って今のままのNHKプラスを見るようになるとは思えない」と一刀両断。放送法改正だけでなく、魅力的なサービスの付加も必要だと指摘している。


2022.01.24-河北新報-https://kahoku.news/articles/knp2022012401001655.html
日本のスマホ料金、最安に 一部プラン、米英仏など6カ国で

  日本のスマートフォン料金がデータ容量2ギガバイトと20ギガバイトのプランで、欧米や韓国を含む主要6カ国の中で最安となったことが24日、ICT総研の調査で分かった。政府による料金値下げ要請を受け、NTTドコモなど携帯各社が割安プランの提供を始めたことが影響した。

  調査対象は日本と米国、英国、フランス、ドイツ、韓国で、携帯電話の回線網を持つ事業者の月額料金の平均値を比べた。昨年12月時点で日本は2ギガバイトのプランが1477円、20ギガバイトのプランが2445円となり、最も安かった。
  日本は5ギガバイトが2376円、データ容量無制限が6169円。



2021.12.28-産経新聞-https://www.sankei.com/article/20211228-N3BEE5GREROSDH4C6MQGLIF77I/
〈独自〉経済安保法案、情報漏洩で民間に罰則検討 中国への流出防止

  政府が来年の通常国会への提出を目指す経済安全保障推進法案で、機微技術の情報などを共有する民間に対し、情報漏洩(ろうえい)に関する罰則を設ける方向で検討していることが分かった。官民が連携して取り組む施策で民間に罰則を導入するのは異例だが、情報管理を厳格にして中国などへの流出を防ぐ必要があると判断した。複数の政府関係者が28日、明らかにした。

  政府は経済安保推進法案の4本柱の一つに「官民技術協力」を掲げる。官民が持つ技術情報を活用し、経済安保分野の中核となる人工知能(AI)や量子技術などの先端技術を育成・支援する枠組みだ。
  実施に当たり、政府が保有する機微技術の情報や政府の目指す方針などを民間に伝える。特定秘密に指定された情報などについては官民ともに秘密保持に関する罰則が伴う。一方、そこまでには至らない情報の取り扱いの場合、政府側の職員は国家公務員法の守秘義務違反などに問われ、罰金や懲役といった罰則が科されるが、民間側への規定は原則として存在しない。防衛装備品の共同開発などでも、契約上の制約にとどまっているのが実情だ。
  ただ、AIや量子技術をはじめ機微情報が流出すれば安全保障などに重大な影響を及ぼす可能性があることから、経済安保推進法案では民間にも罰則を設ける方向だ。対象となる情報の範囲や罰則の詳細な内容などは今後の議論で詰める。
  罰則の導入には「民間の萎縮を招く」との指摘もあるが、米欧をはじめ海外では一般的で、むしろ日本の対応の甘さが指摘されている。政府関係者は「経済安保の重要性はますます高まる。情報管理を徹底する観点から最低限の手立ては必要だ」と説明する。

  機微技術に関する情報管理をめぐっては、アクセスを限定する「セキュリティー・クリアランス(適格性評価)」の導入・拡大を求める声も政府・与党内にはある。ただ、民間人でも配偶者や父母などの戸籍を調査されるなど人権に関わる懸念が焦点化する可能性があることから、経済安保推進法案では設けない方向だ。


2021.12.07-Yahoo!Japanニュース(フオーカス台湾)-https://news.yahoo.co.jp/articles/28e211934449273c120283395237c1eef93244a5
ラインペイ情報漏えい、台湾では利用者7万人に影響

  (台北中央社)スマートフォン決済大手の「LINE(ライン)ペイ」の決済情報が漏えいした問題で、6日、台湾の利用者向けに告知が発せられた。

  これによると、台湾では7万1631人の利用者が影響を受けた。被害などは確認されていないという。人材の教育を改善し、再発を防ぐとしている。
  グループの職員がソフトウェア開発のプラットフォーム上に情報を公開してしまった。情報はすでに削除されたが、外部から閲覧された記録があるという。 漏えいした情報はLINE内部で使用されている顧客の識別番号や参加した利用促進キャンペーン、決済額、決済日時など。氏名や住所、電話番号、クレジットカード番号、銀行口座などの情報は含まれていないとしている。
  ラインペイは2014年に台湾でのサービスを開始。台湾で980万人の利用者を抱え、サービスを提供している場所は32万カ所を超えている。
呉家豪/編集:楊千慧


2021.11.25-日本経済新聞-
身代金払わず2億円で新システム 徳島サイバー被害病院

  サイバー攻撃を受け患者約8万5千人分の電子カルテが閲覧できなくなった徳島県つるぎ町の町立半田病院が、犯人が復元の代わりに要求している「身代金」を支払わない方針を決めたことが25日分かった。約2億円をかけ新システムに切り替えゼロからカルテを再構築する。兼西茂つるぎ町長が取材に明らかにした。

  兼西町長は「支払ったとしてもデータが100%復元できるとは限らない。少しでも早く通常の態勢に戻さなければならない」と話し、来年1月の復旧を目指す考えを示した。海外では企業などへの身代金要求型サイバー攻撃で支払いに応じる例もあるが、つるぎ町は犯人側への資金提供は自治体の姿勢として理解を得られないと判断した。
  また病院のシステムに入るためのIDとパスワードがインターネット上に漏洩していたことも関係者への取材で判明。県警は不正指令電磁的記録供用の疑いもあるとみて捜査を始めた
  病院によると、電子カルテシステムが10月31日、データを暗号化し復元する代わりに身代金を要求するコンピューターウイルス「ランサムウエア」に感染。プリンターが勝手に印刷を始め、「データを盗んで暗号化した。データは公開される。復元してほしければ連絡しろ」と英語で脅迫文と連絡先が書かれていた。

  病院は外部のセキュリティー会社に復旧を依頼したが、データは戻らず3週間以上が経過した病院は一部の診療科を除き新規患者の受け入れを停止。現在も再診患者から名前や年齢、病歴などを職員が聞き取り紙カルテを作成する作業が続いている
  病院ではテレワークなどに使われる米フォーティネット製の「VPN(仮想私設網)」と呼ばれるシステムの機器の古いタイプを使っていた。
  この機器を巡っては、過去に欠陥が見つかり数万社分の認証情報が流出、日本企業も含まれていた。ハッカーは認証情報を悪用してシステムに侵入。ランサムウエアに感染させた可能性がある。〔共同〕


2021.11.22-IT media News(産経新聞)-https://www.itmedia.co.jp/news/articles/2111/22/news052.html
盗聴防止へ量子暗号強化 経済安保145億円

  政府が経済安全保障の強化に向け、盗聴が不可能とされる「量子暗号通信」の研究開発を加速する。2021度補正予算案に約145億円を計上し、実証実験や人工衛星の活用などを進める方針だ。量子暗号通信を巡っては、覇権主義的な行動を強める中国が実用化で日本などに先行している。岸田文雄政権としては、機微技術の一つである量子暗号通信の早期実用化を後押しすることで、経済安保や新産業の育成につなげる狙いがある

  量子暗号通信は、電子や光など極小の物質の世界で起きる現象を利用した技術。重要な文書や画像などのデータを暗号化し、解読に必要な使い捨ての「鍵」を素粒子の一つである光子(光の粒)に乗せて送受信する

  光子はこれ以上分割できない性質があるため、第三者が送信の途中で盗み見して鍵が壊れると複製が不可能になり、鍵の盗聴に気付く仕組みだ。軍事転用される可能性があり、経済安保の観点から機微技術として注目されている

  総務省は補正予算案で経済安保に約250億円を計上した。このうち約145億円を量子暗号通信の研究開発推進に充てる。
  具体的には、国立研究開発法人の情報通信研究機構に「テストベッド」と呼ばれる実証実験環境を整備する事業に約90億円を計上。多数の人工衛星を協調して運用する「衛星コンステレーション」での量子暗号通信の活用のために約50億円を投じる。産官学の連携で、技術開発を加速させる狙いだ。日本は量子技術の基礎研究で優位性を発揮してきたが、戦略投資を進める中国と比べ、実用化が遅れているとされる。

  首相は、量子暗号通信について、経済安保に加え、日本の新たな成長分野としても期待をかける。11月19日の産経新聞などのインタビューでは「量子暗号などは日本が世界をリードできるポテンシャルのある分野だ。国として優先的に研究資金を投入する」と述べた。
  政府は4月の菅義偉前首相とバイデン米大統領との会談でも量子技術の研究開発での協力を確認しており、今後、同盟国との連携なども重要になる。


2021.11.19-朝日新聞-https://www.asahi.com/articles/ASPCM675RPCMULFA021.html
経済同友会事務局に不正アクセス メールなど計4千件流出か

  経済同友会は19日、事務局員に貸与しているパソコン数台で不正アクセスが確認されたと発表した。会議のメモや資料、出席者との間で交わされたメールなど計4千件ほどが流出した可能性があるという。流出が疑われる情報は会議出席者の氏名や年齢、所属企業の住所などで、銀行の口座番号やマイナンバーなどは含まれていないとみている。

  経済同友会は同日、警視庁などに報告。安全確認などのため現在、会員専用サイトなど一部のシステムの運用を止めているという。
  同会によると、今年8月以降計3回、経済同友会が使うクラウド型などのサーバーで不正アクセスが起きた可能性を知らせる警報が鳴った。システム管理会社に通報のうえ、専門業者などに調べてもらったところ、今月15日に不正アクセスをされた可能性が高いという報告を受けたという。内部情報を狙った「標的型攻撃」の可能性が高いとみている。(伊藤弘毅)

2021.11.17-朝日新聞-https://www.asahi.com/articles/ASPCK5SVWPCKUTIL01V.html
ヤフー、メディアへの配信料に読者評価反映 課題解決記事の支援狙い

  ヤフーは17日、ヤフーニュースに配信される記事の配信元の新聞社やテレビ局など各媒体社に支払う配信料に、読者の評価を反映させる新方式を導入したと発表した。今年6月から各記事に「学びがある」「わかりやすい」「新しい視点」のボタンを付け、読者が評価できるようにしており、このデータを評価に活用する。

  ヤフーは配信料を閲覧数(ページビュー)に基づいて支払ってきた。2016年4月から、丁寧な取材に基づく良質な記事を支援したいとして「課題解決につながる」と評価した記事には配信料を加算している。新方式でこの取り組みを強化し、10月配信分から始めた。配信料を加算された媒体数は450から620に増えたという。
  ヤフーの執行役員でメディア統括本部長の片岡裕氏は「ヤフーニュースがユーザーの課題解決や行動につながるサービスとなるためには媒体各社からの良質で多様な記事が大切です」とのコメントを発表した。
   ヤフーニュースは約650媒体が1日あたり約7千本の記事を提供する国内最大級のニュースサイト。ヤフーは媒体社に支払っている配信料の詳細を明かしていない。(赤田康和


2021.11.12-goo ニュース-https://news.goo.ne.jp/article/fnn/world/fnn-269001.html
中国“独身の日”取引額 アリババ過去最高9兆6000億円

  中国で「独身の日」とされるネット通販セールで、アリババグループが、過去最高の取引額を記録した。
  アリババは、1日から11日までのセール期間中の取引額が、2020年を400億元以上上回る、5,403億元、日本円にして、およそ9兆6,000億円と、過去最高を記録したことを発表した。
  2021年は、当局によるIT企業への締め付けが強まる中でのセールとなったが、アリババグループのセールだけで、過去最多となる、およそ29万のブランドが参加したという。
  ライブコマースを中心に活発な売買が繰り広げられたとみられ、消費意欲の健在ぶりが表れた形になった。


2021.11.10-Yahoo!Japaニュース(産経新聞)-https://news.yahoo.co.jp/articles/20a80772aa4c8c86ae15f7a8b955cf6ed2a98946
中国恒例の「独身の日」セール 習政権のIT統制で変化

  【北京=三塚聖平】中国で「独身の日」と呼ばれる11日に、インターネット通販各社による毎年恒例の値引きセールが行われる。最大手のアリババ集団の取引額は昨年8兆円規模だったが、今年は「最も低調」(ロイター通信)になると指摘される

  習近平政権がアリババへの圧力を強めているためで、同社も「公益」など政権の方向性に沿ったメッセージを発し、例年とは異なる商戦になる。 アリババ幹部は10月下旬のオンライン会見で「取引額中心から、持続可能な発展の指標へと焦点を移している」と強調した。
  従来は取引額の上昇をアピールしており、昨年もセール期間中の累計取引額が4982億元(約8兆8千億円)だったと誇った。今年は最終的な累計取引額を発表しない可能性すら指摘される。
  変化の背景には、IT業界への統制強化の動きがある。習政権は社会への影響力が大きくなった国内IT大手を警戒し、特にアリババへの風当たりを増した。
  中国当局は4月、独占禁止法違反で過去最大の182億元超の罰金を科す決定を出している。 同社は現在、習政権の政策に積極姿勢を見せる。社会全体を豊かにするために大企業に寄付などを求める「共同富裕」が今夏に注目されると、同社は促進事業として2025年までに1千億元を拠出すると発表。
  習政権が温暖化対策を重視する中、今年のセールでは環境負荷の小さいグリーン家電などを強調する。 中国では独身を意味する数字の「1」が4つ並ぶ11月11日を「独身の日」と呼び、09年にアリババがセールを開始。当初は「独身者が自分にプレゼントを贈る」とされたが、競合他社も追随して独身者にとどまらないセールになった。
  アリババは、一大消費イベントとして盛り上げて利用者を拡大。10月の国慶節(建国記念日)や、1~2月の春節(旧正月)と並ぶ商戦期となった。膨大な利用者によりメーカーに対する力を増し、大々的な値引きを実現させて消費者を引き付けた。
  この日のセールで生活必需品をまとめ買いする中国人も多い。アリババ傘下には電子決済サービス「アリペイ」があり、膨大なユーザーは自社のサービスで抱え込んでいる。 一方、アリババは自社サイトで商品を販売する業者に、競合他社に出店しないよう迫る「二者択一」と呼ばれる行為を行っていたことも問題視されている。


2021.11.10-日本経済新聞-https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUC093PU0Z01C21A1000000/
ドコモ通信障害、影響延べ1290万人 役員報酬返上

  NTTドコモは10日、10月に起きた大規模通信障害について、音声通話やデータ通信サービスが利用しづらくなった契約者はのべ約1290万人に達したと発表した。混乱を招いた責任を取り、井伊基之社長ら役員計8人が役員報酬の一部を自主返上する。井伊社長は同日開いた決算説明会で謝罪し、「二度と起きないように再発防止を行っていきたい」と述べた。

  ドコモは同日、総務省に原因や再発防止策を報告した。総務省は法令上の「重大な事故」と判断しており、今後、行政指導などを含めて必要な対応を検討する。
  大規模通信障害は10月14日、自動販売機の通信設備などで利用する「IoT」端末向けのサーバーの切り替え工事で不具合が起きたことに端を発し、携帯電話を含めたネットワークに負荷がかかり、全国で影響が出た。
  通信を利用しづらい時間は29時間を超えたが、ドコモは補償について「24時間以上停止した場合は返金するという約款だが、今回は完全な停止が2時間20分だったため対象にあたらない」と説明した。
  ドコモは工事手順を見直すほか、IoT端末と携帯電話利用者のネットワークを分離し、「仕組みの中で、(同じ通信障害が)起きないように歯止めをかける」(小林宏常務執行役員)という。
NTT4~9月、連結純利益25%増
  NTTが10日発表した2021年4~9月期の連結決算(国際会計基準)は、営業利益が前年同期比横ばいの1兆92億円だった。顧客企業がデジタルトランスフォーメーション(DX)に向けたIT(情報技術)投資を増やし、NTTデータなどのシステム受注が好調だった。売上高にあたる営業収益は同3%増の5兆8876億円。純利益は同25%増の6758億円で同期間として過去最高だった。
  一方で、NTTドコモの営業利益は同12%減の4963億円だった。格安スマホを提供する仮想移動体通信事業者(MVNO)から受け取る接続料の引き下げが進み、通信料収入が減ったほか、端末販売の割引コストがかさんだ。売上高にあたる営業収益は同1%増の2兆3162億円で、純利益は同12%減の3449億円だった。
  NTTはあわせて、発行済み株式数の約7%にあたる2億7877万株を17日に消却すると発表した。資本効率の改善を目的としている。


2021.11.03-NHK BEWS WEB-https://www3.nhk.or.jp/news/html/20211103/k10013332971000.html
米ヤフー 中国からサービス撤退 IT企業への統制強化の中で

  中国でIT企業を念頭に個人情報の取り扱いを厳しくする法律が施行される中、アメリカのヤフーは、11月1日付けで中国におけるブログやアプリなどのサービスから撤退しました。

  これはアメリカのヤフーが2日、NHKの取材に対し明らかにしました。
  ヤフーによりますと、中国では、電化製品などの話題を扱うブログや、スマートフォン向けの天気予報アプリなどのサービスを展開していましたが、今月1日付けで撤退したということです。
  理由について、会社は「中国におけるビジネス環境や法的環境が厳しさを増しているため」だと説明しています。
  中国のインターネット利用者はおよそ10億人に上るとされ、ネット通販やキャッシュレス決済などのサービスが広く普及する中、大量の個人情報を集めるIT企業が影響力を増しています。
  こうした中、中国政府は11月1日に、大量の個人情報を集めるIT企業を念頭に、顧客の個人情報の保護を義務づける法律を施行し、統制を強化しています。
  また、中国におけるインターネットサービスをめぐっては、10月、アメリカのIT大手、マイクロソフト傘下のリンクトインも、年内に中国版の交流サイトを閉鎖すると発表しています


2021.11.01-Yahoo!Japanニュース(産経新聞)-https://news.yahoo.co.jp/articles/b39f2f6205883d4564e53dba6f6441b6d28d58a8
中国が個人情報保護法施行 データ統制強める習政権

  【北京=三塚聖平】中国で1日、個人情報に特化した初の法律となる「個人情報保護法」が施行された。個人情報の海外持ち出しを厳しく制限するもので、中国で活動する外資系企業も対応を迫られている習近平政権は、国家安全や国内産業の強化を狙いデータに関する統制を強めている

  同法は、一定数を超える個人情報を処理する企業に対し、中国で収集した個人情報の中国内での保存を義務付けた。国外に提供する場合には、当局による審査を必要とした。違反すれば、最大で5千万元(約8億9千万円)、または前年度の売上高の5%以下の罰金を科すと定めている。
  米アップルは1日までに同法施行に関して既に積極的に準備を行った」との声明を発表した。
  習政権は、2017年に「サイバーセキュリティー法(インターネット安全法)」、今年9月に「データセキュリティー法(データ安全法)」をそれぞれ施行。今回の個人情報保護法を加えた3法で、中国のデータ関連法制の基本的な仕組みが整うと指摘される。
  現在は、対立が続く米国を念頭に置いてデータ統制を急いでいる。中国の国家インターネット情報弁公室は10月29日、データの海外持ち出しに関する規制案を発表。10万人以上の個人情報を持ち出す際には事前の審査を義務付けた。
  9月上旬には、中国政府が滴滴出行(ディディ)など中国配車サービス大手を呼び出し、データに関する法律を順守する
よう指導した。


2021.10.27-NHK NEWS WEB-https://www3.nhk.or.jp/news/html/20211027/k10013323381000.html
米 中国通信大手の事業免許 “安全保障上の懸念”で取り消しへ

  アメリカの通信当局は、中国の通信大手「チャイナテレコム」について、安全保障上の懸念が大きいとして、事業免許を取り消す方針を決定したと発表しました。
  アメリカの通信当局、FCC=連邦通信委員会の26日の発表によりますと、中国の通信大手「チャイナテレコム」について、アメリカでの事業免許を取り消す方針を決定したということです。

  今後60日以内に、チャイナテレコムのアメリカの子会社に対し、国内向けと国外向けの通信サービスの提供を中止するよう命じるとしています。
  今回の決定の理由について、FCCは「チャイナテレコムのアメリカの子会社は中国政府に統制されていて、スパイ活動や、アメリカに有害な活動に利用されるおそれがあり、安全保障上の懸念が大きいためだ」としています。
  チャイナテレコムは、ことし1月、中国の人民解放軍などとつながりが深いとされる企業への投資を禁じた、トランプ前政権下の大統領令に沿う形で、ニューヨーク証券取引所での上場が廃止されていました。

  バイデン政権は、中国のハイテク企業に対し、アメリカ人による株式投資の禁止措置を拡大したほか、サプライチェーンからの排除を進めるなど、締めつけを強めています。


2021.10.19-Yahoo!Japanニュース(読売新聞)-https://news.yahoo.co.jp/articles/ccc4ad0b8158ccd08c3a176c00b99bd63bd07865
【独自】ドコモ大規模通信障害、総務省「重大な事故」と判断…行政指導も検討

  NTTドコモで14日に発生した大規模な通信障害について、総務省が電気通信事業法が定める「重大な事故」に当たると判断したことが18日、分かった。総務省は事態を重くみて、ドコモに対し、来月13日までに事故の詳細を報告するよう求める。行政指導も検討する

  同法などでは、3万人以上が119番といった緊急通報を1時間以上利用できない状態が生じた場合、「重大な事故」に位置付けている。該当した際は、影響人数や原因などの詳細を報告するよう義務付けている。
  今回の障害は14日午後5時頃に起きた。一部の通信回線では翌15日午後10時頃まで、約29時間にわたって通話やデータ通信がしにくい状態が続いた。
  影響の全容は把握できていないものの、少なくとも約200万ユーザーが2時間以上サービスを使えない状態だったことが確認されたため、総務省は「重大な事故」に当たると判断した。
  大規模な通信障害を巡っては2018年12月に、ソフトバンクでも、約4000万人の契約者のうち約3000万人が通話やデータ通信をできなくなる問題が発生。総務省は19年1月にソフトバンクに行政指導を行った。


2021.10.18-産経新聞-https://www.sankei.com/article/20211018-ULLUPTMPKRMPJEMTRBKYL57J4Q/
「暗号資産」16億円詐取か 大阪府警、無登録交換容疑で6人逮捕

  国に無登録で暗号資産(仮想通貨)の交換業を営んだとして、大阪府警サイバー犯罪対策課は18日、資金決済法違反の疑いで、東京都新宿区、ウェブ広告会社社長のA容疑者(26)ら計6人を逮捕したと発表した。6人はマッチングアプリなどを通じて知り合った人から投資を募っていたが、扱っていた暗号資産は実際には無価値だったという。府警は全国の延べ約1千人から約16億円をだまし取ったとみて詐欺容疑なども視野に調べる。

  逮捕容疑は共謀し、令和元年12月~2年3月、東京都や愛知県などに住む30~50代の男性5人からビットコインなど既存の暗号資産を集め、独自に開発した暗号資産「ArkCash(アークキャッシュ)」や「Biomex(バイオメックス)」と、金融庁に無登録で交換したとしている。府警は6人の認否を明らかにしていない。
  同課によると、6人は暗号資産を発行して資金を集める「ICO(イニシャル・コイン・オファリング)」と呼ばれる手法を悪用したとみられる。山田容疑者が中心となり、元年に暗号資産の交換を開始。マッチングアプリなどを通じて知り合った人物に、「この暗号資産は値上がりする」などと呼びかけて勧誘したという。だが、購入客からは投資した後、連絡が取れなくなったり、換金できなくなったりするなどの訴えが相次いでいた。
  府警は10月上旬までに、暗号資産の自動売買システムの販売をめぐって契約に必要な書面を渡さなかったなどとして、特定商取引法違反の疑いでA容疑者ら男女5人を逮捕していた。


2021.10.15-Yahoo!Japanニュース(TBS News)-https://news.yahoo.co.jp/articles/d8a0ae97c5a06a6217b47891c02edc4d3684e185
「リンクトイン」中国で事業撤退 米大手SNS中国から消える

  アメリカのIT大手マイクロソフト傘下のSNS「リンクトイン」は14日、中国での事業を撤退すると発表しました。
   リンクトインはビジネス上のネットワーク構築などに使われ、200を超える国と地域に7億7000万人以上の利用者がいるとされています。リンクトインは中国での事業について、「非常に困難な運用環境と、より厳格な法令上の要求に直面した」として撤退を発表しました。
   ツイッターやフェイスブックなどは、中国で位置情報をごまかす手段を使わない限り利用できず、ウォール・ストリート・ジャーナルは、リンクトインの撤退で「中国で公式に運営されるアメリカの大手SNSがなくなる」と伝えています。
   ウォール・ストリート・ジャーナルによりますと、リンクトインは最近、禁止された内容が含まれるとの理由で人権活動家ら複数の利用者にプロフィールが中国で閲覧制限されていると通知していたということです。(15日08:35)


2021.10.06-THE WALL STREET JOURNAL-https://jp.wsj.com/articles/facebook-needs-to-empower-parents-not-censor-political-speech-11633495023
【社説】FBは親の管理権限を強化すべきだ
(フェイスブックに必要なのは政治的発言の検閲ではない)

  フェイスブックは誰もが悪口を言いたくなる企業になった。1人の従業員が盗み出した社内文書をきっかけに、この巨大ソーシャルメディア企業を米国の病の元凶だと非難する動きが始まった。同社は確かにミスを犯した。しかし、政敵に対する検閲を望む政治家のご都合主義の主張と、真の問題とを分けて考えることが重要だ。

   社内文書をリークしたフェイスブックの元従業員、フランシス・ホーゲン氏が証言した5日の米議会公聴会では、その両方が示された。ホーゲン氏が抱くもっともな懸念の一つは、フェイスブックが十代の若者の精神衛生に及ぼす悪影響だ。10代の若者が精神面の弱さを持ち、特に仲間や有名人の影響を受けやすいことは、親にとって驚くべきことではない。
   ホーゲン氏が示した文書によって、フェイスブックが10代の若者への悪影響を知りながら、ほとんど対策を講じてこなかったことが明らかになった。同社の内部調査によると、10代の82%が過去1カ月に、体形に関する不満、不安感、気分の落ち込みといった精神的な問題を経験していた。不安や家族内のストレス、孤独感を経験した者のうち半数は、気を紛らすためにインスタグラムを使っていると答えた。米国の10代の約2割はインスタグラムの利用によって一層気分が悪くなったと答え、42%は気分が改善されたと答えた。

   ある社内スライド資料は、「自分の生活に満足していないティーンは満足しているティーンよりも(インスタグラム)によって気分が悪くなると答える確率が高い」「心が落ち込んでいるか傷つきやすい状態にあるティーンは、インターネット上で見るコンテンツから一層影響を受けやすい」と指摘している。多くのティーンには、サポートを受けたい時に頼れると思う親友やメンターがいない。
   これは政府が解決できない問題だが、取り組む意欲のある政治家はいる。彼らはアルゴリズムについて通信品位法230条の責任免除の対象から除外することや、規制当局による精査のためフェイスブックにアルゴリズムの提出を義務付けることを提案している。必要なのは、アルゴリズム担当局というわけだ。
   もっと良い考えは、利用者がニュースフィードを管理する権限と、子どもがネット上で目にするコンテンツに関して親が管理する権限を強化することだ。概してハイテク企業は、子どもがネット上で見るものを親が管理する権限の強化に抵抗しており、とりわけソーシャルメディアのアプリはそうした傾向が強い。これこそ、議会の圧力が役立つ可能性のある部分だ。

   残念なことだが、多くの政治家にとっての主な関心事は、フェイスブックに「偽情報」を検閲させることにある。ホーゲン氏は賛成しているようだ。同氏の議会証言に著名な民主党の広報担当幹部であるビル・バートン氏が介在したとみられる点は注目に値する。リチャード・ブルーメンソル上院議員(コネティカット州)は、フェイスブックは「大手たばこメーカーが経験したのと同じような瞬間、審判の時に直面している」と述べた。
   民主党は、フェイスブックのマーク・ザッカーバーグ最高経営責任者(CEO)を攻撃し、同社に規制を加えると脅すことが奏功するのを見てきた。ザッカーバーグ氏はかつて検閲に抵抗していたが、近年フェイスブックは特定の意見に基づく「ファクトチェック(真偽検証)」を導入し始めたり、気候変動や新型コロナウイルスといった問題で、進歩的正統派と意見を異にする記事の検閲を行ってきている。ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)のオピニオン欄も一度と言わず標的にされてきた。
   フェイスブックはターゲット広告で収益を得ており、当然のことながら、病みつきになるようなコンテンツをユーザーに提供し続ける理由がある。しかし、そのプラットフォームが増幅させ得る、より根深い文化的問題のための政治的なスケープゴートにされてしまった。議会はフェイスブックにユーザーの発言を一層規制するよう脅すのではなく、ソーシャルメディアのユーザーや親たちに権限を持たせる方法を検討すべきである。


2021.10.05-NHK NEWS WEB-https://www3.nhk.or.jp/news/html/20211005/k10013292841000.html
フェイスブック社 世界的な障害の原因は “設定変更”

  5日未明、SNSのフェイスブックやインスタグラムなどが6時間以上にわたって世界的に利用できない状態になったことについて、フェイスブック社は、障害の原因がネットワークの通信を調整するバックボーンルーターの設定の変更」にあったことを、明らかにしました。
  フェイスブック社は、5日未明にフェイスブックやインスタグラムなどで発生した障害について、エンジニアのコメントを発表し、この中で「ネットワークの通信を調整するバックボーンルーターの設定変更により、通信が中断する問題が発生した。この通信の中断が、データセンターの通信にも連鎖的な影響を及ぼし、サービスを停止させた」としています。
  ネットワーク通信や情報セキュリティーに詳しい大阪大学の猪俣敦夫教授によりますと、障害が起きていた時間帯に接続の状況を調べたところ、フェイスブック側が複数のIPアドレスをまとめて管理するシステムと、外部との接続部分に通信障害が生じ、アクセスできない状態が起きていたということです。

  障害の影響が数時間に及んだことについて、猪俣教授は「1つのネットワークが切断されたときに、別の空間に緊急的に移行する体制をつくっておかなくてはいけない。おそらく今回もそうした体制が作られていたと思うが、移行がうまくいかなかったのだろう」と指摘し、システム障害が発生した際には、確実に復旧できるバックアップ体制の充実が重要だとしています。


2021.09.23-Goo!ニュース(AFPBB NEWS)-https://news.goo.ne.jp/article/afpbb/world/afpbb-3367504.html
リトアニア、中国製スマホの使用に注意喚起

  【AFP=時事】リトアニア国防省は22日、中国製スマートフォンにセキュリティー上の欠陥やデータ流出の恐れがあると警告し、公共機関や消費者に対し使用に注意するよう呼び掛けた。

   リトアニアの国家サイバーセキュリティ―センターは、中国の通信機器大手・華為技術(ファーウェイ)とIT・電子機器大手・小米科技(シャオミ)の5G(第5世代移動通信システム)対応モデルを分析し、「サイバーセキュリティーリスク」を発見したと明らかにした。
   同省のマルギリス・アブケビチュウス次官はAFPに対し「われわれが話しているリスクは現実のものだ」と語った。
   同氏はリトアニアで約200の公共機関が中国製端末を使用しているとした上で、公共部門全体が中国製端末を使用すべきではないと主張した。「リスク軽減のための最善策だ」
   国家サイバーセキュリティ―センターの報告書によると、シャオミ製端末は「台湾独立万歳」や「フリーチベット」といった言葉を検出・検閲できたという。
   シャオミの広報は英BBCに対し「ユーザーが送受信するデータを検閲することはない」と述べたとされる。
   同報告書によると、ファーウェイ製端末は、ウイルスに感染したアプリを提供している恐れのあるサードパーティーのアプリストアにユーザーを自動転送しているとされる。ファーウェイはリトアニアの主張を否定している。 【翻訳編集】AFPBB News


2021.09.13-日本経済新聞-https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUE110A80R10C21A9000000/
VPN認証情報また流出 日本は1000社、中小企業中心

  世界中でテレワークなどに使われている米フォーティネット社製の「VPN(仮想私設網)」と呼ばれる機器の認証情報が数万社分流出したことが13日までに分かった。日本企業が約千社含まれ、多くは中小企業とみられる。放置すればハッカーに侵入され情報を盗まれる恐れがある。同社は流出を認め、パスワード変更などの対策を取るよう呼び掛けている。
  同社製のVPN機器を巡っては、昨年11月にも認証に必要な情報であるIDやパスワードが大規模に流出。日本の複数の大学や警察庁も不正アクセスを受けており、被害が拡大した。
  同社は今回、8万7千台分の情報が流出したとしているが、データの重複が多く、実際は半分以下の可能性がある。VPNはテレワークなどで外部からネットワーク内部に安全に接続するために利用され、新型コロナウイルスの流行で利用が急増した。
  認証情報が流出した原因について同社は、機器の欠陥を突かれたためと説明。欠陥は2019年に解決済みとし、古い機器をそのまま使っている企業が攻撃を受ける可能性がある。
  警察庁が9日に発表した今年1~6月の調査では、盗んだデータを暗号化し金銭を要求する「ランサムウエア」の被害に遭った61件のうち約3分の2に当たる40件が中小企業だった。また感染経路が分かった31件のうち約半数の17件がVPN機器からの侵入だった。
  サイバーセキュリティー企業「S&J」の三輪信雄社長は「ハッカー集団は手当たり次第に攻撃を仕掛けており、セキュリティー対策が甘くなりがちな中小企業の被害が今後目立ってくるのではないか」と話している。〔共同〕


2021.09.11-産経新聞-https://www.sankei.com/article/20210911-EW6EAT3OLFOBDGHN6TMFPOW7HM/
台北駐日経済文化代表処代表・謝長廷(75)(11)中国発フェイクニュースと外交官の死

《3年前、台風の被害をめぐって台湾の駐大阪代表が自殺する痛ましい事件が起きた》
  当時61歳で命を絶った蘇啓誠(そ・けいせい)氏は、台北駐大阪経済文化弁事処の処長(台湾の大阪総領事に相当)でした。2018(平成30)年9月14日、事件の第一報を聞いたとき、非常にショックを受けました。私は東京にいて、13日の夜に蘇氏と電話で話したばかりだったからです。蘇氏とは15日に大阪での会議で会う予定でした。蘇氏は対日関係に長年携わってきた優れた外交官。2カ月前に沖縄にある那覇分処処長から異動したばかりでした。
  結論から先に言えば、中国発のフェイクニュースに台湾の世論やメディアが振り回され、蘇氏に非難の声が集中したことが背景です。痛ましい事件で、フェイクニュースに対する憤りはいまもなお消えていません。
《どのようなフェイクニュースが中国から流されたか》
  (同年9月上旬に)激しい暴風雨を伴った台風21号の影響で、(沖合にある)関西国際空港の連絡橋に大型貨物船が衝突。(往来が難しくなり)旅行客らがターミナルに取り残されるという大事故が起きました。
  このとき、中国メディアが「中国の駐大阪総領事館がバス15台を緊急手配して、中国人を優先して救出したと相次いで報じました。これがフェイクニュースです関空側が救出措置として、高速船やバスで旅行客らを避難させたのが確認されている事実で、中国のバスは空港には行っていません
  一方、救出を待ちながら関空で孤立していた台湾の旅行客は不安を感じていたし、台湾メディアは中国の大阪総領事館にはできて、なぜ台湾の大阪弁事処は救出に行けないのかと、強硬に批判を繰り返したのです。
《冷静に判断すればフェイクニュースと見抜けたのではないか》
  当時はまだ、台湾は中国発のフェイクニュースに対する経験が少なかった。中国側から「中国の救出バスは『自分は中国人だと認識する』ことを条件に台湾人の一部も乗車を許した」とのフェイクニュースまで流れました。(台湾を自国の一部と主張する中国の)微妙な中台問題をついた情報操作でしたね。
  台湾の観光団体は台風接近で旅程を変更するなどしたため、関空には台湾の旅行客はあまりいませんでした。避難情報が少ない中で、台湾の旅行客も中国語のフェイクニュースを信じてしまったようです。
《中国側の狙いは何か》
  この事件以前、中国人の団体旅行客が海外の空港で、航空便が大幅に遅延したことでロビーに集まり、大声で中国の国歌を歌って空港係員をつるし上げるといった、国際常識では考えにくい問題を起こしたことがありました。そうした問題の再発や国内での反発を懸念したのか、中国は自国民を優先的に救出したとの〝美談〟を作り上げた恐れがあります。サイバー部隊とみられる出所不明の何千件ものネット攻撃が台湾の大阪弁事処に一気に向けられたことも圧力になりましたね。
《事実ではない非難に、蘇氏は耐えられなかったのか》
  台湾メディアには、私が蘇氏の責任を追及したなどとするフェイクニュースを流したケースもありました。私は蘇氏の責任と考えておらず、一部のメディアがフェイクニュースに踊らされて非難していただけでした。最後に話した日、蘇氏は自分を陥れようとしている人がいるとも訴えていました。大阪弁事処には大量の抗議ファクスも届いていました。顧問弁護士とも相談していましたが、蘇氏を救うことができなかったことは本当に悲しいことです。
(聞き手 河崎真澄)


2021.08.29-現代ISメデア-https://gendai.ismedia.jp/articles/-/86242
韓国発の「縦読みマンガ」は本当に世界基準か?比べてわかった「日本マンガ」の優位性
(吉田 仁平-株式会社ビーグリー 代表取締役社長)

(1)
  スマホ画面を縦にスクロールするだけで読める韓国発のマンガ、「ウェブトゥーン」。Netflixで配信されるや話題をさらった『梨泰院クラス』や、アジア7か国で1位にチャートインした『わかっていても』もウェブトゥーンが原作だ。短期間のうちに世界的認知度を得たウェブトゥーンが、日本のマンガの牙城に及ぼす影響は? 電子コミック黎明期から独自の視点で業界を見つめてきた、株式会社ビーグリー代表取締役社長の吉田仁平氏が解説する。

縦スクロールが現代人にフィット?
  ウェブトゥーンが浸透した理由としてまず挙げられるのは、ユーザーが縦にスクロールしていくだけでよい使い勝手のよさ
  日本は世界中のどの国よりもマンガを読む習慣が根付いている国ですが、ウェブトゥーンを扱うプラットフォームの皆さんが積極的な広告投資をすると同時に大量の新作が流入してきたのも大きい。
  彼らが提供しているマンガアプリは最初の数話は無料でそれ以降は課金というビジネスモデルですが、“最初は無料”というハードルの低さから流入した若いユーザーが、あっという間に縦スクロールのマンガに慣れていきました。この循環もウェブトゥーンの浸透に拍車をかけたのでしょう。
  また、絵やセリフが詰まった日本のマンガと比べると、ひと目で入ってくる情報量が少ないんですよね。要はエネルギーをかけずにサクサク消化できるので、隙間時間にちょっと読むのに適している。この辺りが、現代人の暮らしにフィットしたのだと思います。

  なかには、「ウェブトゥーンが世界に浸透し、やがて日本のマンガが危機的状況を迎えるのでは」という声もあります。
  たしかに、日本のマンガは開きが逆日本は右開き、海外は左開き)で、ほぼ白黒なので、世界基準ではそこが見づらさに繋がっているんじゃないか? オールカラーじゃないと興味を惹きにくいんじゃないか? という話は以前からありました。
  そういう部分を解決した上で世に出たウェブトゥーンのほうが、海外で受けるという見方もあるでしょう世界のスマホ普及率を見ていると、今までマンガを読む習慣がなかった国においても抵抗なく受け入れられる可能性もある。そういう意味で、非常に有用な方法論だと思います

(2)
日本のマンガとどう違うのか?
  一方で、見開き単位でみせる日本のマンガのほうがコマ割りに工夫の余地があり、より表現の幅が広いとも感じています。複数の編集者からも「歴史が浅い分、ウェブトゥーンの縦スクロールならではの間の取り方や表現は、まだ見開き単位でみせるマンガの深みにまで達していない」という声が聞こえてきています。

  作品のジャンルが多彩なのも特徴です。現在、弊社の海外事業推進室に籍を置くオーストリア出身のマクシミリアン・メンスドルフ(以下、マックス)は、欧米のポップカルチャーに比べて、日本のマンガ業界は新しい作品を生み出すリスクを負うことを厭わないように感じると語り、次のように続けてくれました。

  「日本ではほぼ無名の作家が描いたオリジナル作品が突如大ヒットに繋がった例が沢山ありますが、欧米の作品は過去の有名なIP(知的財産)をベースにしたものが多いので、そうはいきません。これは作り手が、消費者は知っていることにしか興味がないものと捉えていることの証左。いわば信頼感の欠如を示していると思います。
  最近では、欧米のこのような傾向を指して、stuck culture(動かない文化)という言葉がネット上で広まっています。
  しかし、日本のアニメやマンガが世界的に大成功していることから、今まで見たことがない新しいコンテンツを求める声が高まっていることは確かです。いまが、日本のマンガが世界のエンターテインメントの中で存在感を強めていくチャンスだと思います


  マックスがこう語るように、今年4月30日には、劇場版『鬼滅の刃 無限列車編』が北米で公開され、週間興行収入で全米1位を記録しました。国内においても、鬼滅1作でコミックの市場規模がピュッと伸びたほど。改めて日本マンガのヒット作は、世界的な社会現象を起こし得るコンテンツなんだと思う出来事でした
(3)
作家のマインドも多様化している
  ここまで日本のマンガとウェブトゥーン、それぞれの特徴について触れてきましたが、両者は二項対立ではなく、多様性の時代にマンガという大きな枠組みの中で並び立つものだと思います。

  マンガ家や編集者といったクリエイターの中にも、従来の形にこだわらず、「ウェブトゥーンなら、あんなこともこんなこともできるんだ」と好奇心旺盛な方が沢山いらっしゃいます。
  もちろん、「私はこれからも(デジタル作画でなく)紙に描く」という方もいますし、あるベテランの作家さんで一度はウェブトゥーンに興味を持ったものの、「これは自分のようなマンガ家がやるより、動画を作っている人の方が向いている」と仰った方もいます。

  世の中には右開きのマンガを縦スクロールでも読めるようコマを配置しなおした作品もあります。実はこの作業より、ウェブトゥーンで作った作品を紙の単行本に起こすほうが難しいんです。
  なぜなら、日本のマンガのほうが情報量が多いため縦スクロールに直す際には情報を削ればよいのですが、ウェブトゥーンを紙に起こす時は情報を足さなければならず、何をどう伝えるかを改めて考えてコマを配置しなければならないからです変換誤差が起きやすいとも言えるでしょう。
  紙の単行本にする時にハードルが高いとなると、連載作品が紙書籍で出版されることが当たり前の世代のマンガ家にとっては二の足を踏むところですが、若いマンガ家の中には、「広く世界の人に見てもらえるのであれば、ウェブトゥーンで作品を発表して、単行本にならなくてもいい」と仰る方もいて、描き手のマインドも多様化しているように感じます。
(4)
「マンガ文化」を発展させるために
  ユーザーとクリエイターの多様化するニーズに応えながらマンガ文化を発展させるため、業界内では「マンガ家の支援」も進んでいます。例えば「コミックDAYS」による読者から著者へ金銭的な応援もできる「作家さんサポート機能」の提供や、「ジャンプ」編集部員が漫画制作ノウハウを公開するオンラインカリキュラム「ジャンプの漫画学校」などです。
  我々も、新人マンガ家発掘ドキュメントバラエティー『THE TOKIWA』(日本テレビ、現在huluで配信中)の企画によって、当社が運営する電子コミックサイト「まんが王国」でのデビュー機会を創出したり、そこに至る一連のストーリーも含めてユーザーに届ける試みを実施しました。

  2020年秋に老舗出版社のぶんか社の株式を取得しています。これは、マンガを創る機能とストア機能を掛け合わせて新しいものづくりができないかと考えたからです。
  このように、今後は単純に作品を生み出すだけでなく、それを「どう届けるか」という部分を広げていくことが業界の役割としてより重要になると考えています。そのひとつが海外進出です。既に海外展開を開始している「LINE」や「ピッコマ」だけでなく、国内でも「パピレス」や「ブックウォーカー」といったプレーヤーが海外サイトを手掛け始めています。
  とはいえ、マンガには翻訳やローカライズの問題をはじめ権利関係やコストの問題がつきまとい、まだごく一部の作品しか海外に出て行っていないのが実情です。
  先のマックスの部署では、海外サービスの市場調査や作品のローカライズ管理を行っており、自前の翻訳ラインをある程度整えて翻訳作業を開始しているので、ゆくゆくはまだ翻訳されていない日本のマンガをどんどん海外に配信していきたいと思っています。

  そして、意欲のある方が作った作品を、より多くのユーザーに見ていただく環境やそれをマネタイズする環境を整え、意欲が成果に跳ね返るバリューチェーンを構築していきたいですね。
  今後、ウェブトゥーンが世界基準になっていくかどうかは現時点では何とも言えませんが、けして無視できない存在。今後もマーケットの動向を注視していきたいと思っています。


2021.08.23-IT MEDIA NEWS(産経新聞)-https://www.itmedia.co.jp/news/articles/2108/23/news053.html
Yahoo!ニュースに中傷コメント投稿 男性に罰金

  ニュース配信サービス「Yahoo!ニュース」のコメント欄に、大阪府高槻市の北岡隆浩市議について事実無根の内容を投稿して中傷したとして、茨木区検が名誉毀損(きそん)の罪で、同市に住む30代の介護士の男性を略式起訴していたことが、22日分かった。略式起訴は5月13日付。茨木簡裁は同月27日、罰金10万円の略式命令を出した。

  起訴状などによると、男性は2018年10月、インターネットニュースのコメント欄にアイツの遊説場所に出くわしたら、幸運を呼ぶ痰壺(たんつぼ)みたいなのを買わされそうになって、なんであんなのが市議してるんだろうと気持ち悪かった」などと虚偽の文章を投稿し、名誉を傷つけたとしている。
  男性がコメントを投稿した記事は、同年6月に発生した大阪北部地震で、高槻市立小学校のブロック塀が倒壊して女児が下敷きになり死亡した事故をめぐり、北岡氏が行った住民監査請求が却下されたという内容。18年10月、産経新聞社が自社のニュースサイトで配信し、Yahoo!ニュースに転載された。
  北岡氏は投稿を受け、19年11月、大阪府警に刑事告訴。府警は21年4月に名誉毀損容疑で男性を書類送検していた。

  インターネット上での誹謗(ひぼう)中傷が原因のトラブルが後を絶たない。被害者が損害賠償や刑罰を求めようにも、匿名の投稿者を特定する手続きのハードルが高いうえ、費用がかかり、多くの被害者が泣き寝入りを強いられてきた。自らについての虚偽の内容を投稿した人物の特定に長い年月と労力がかかったという大阪府高槻市の北岡隆浩市議も「心をすり減らした」と振り返る。
  北岡氏がYahoo!ニュースに虚偽の内容を書き込まれたのは18年のこと。「今回の投稿は明らかなうそ。政治活動への影響も出るので見過ごせなかった」と同年11月、代理人弁護士を通じてヤフーに投稿者についての情報開示を求めた。ヤフーが開示を拒否したため、北岡氏は19年1月、東京地裁に発信者の開示を求めて提訴。ヤフーは「投稿は北岡氏の社会的評価を低下させるものではない」などと争ったが、19年5月に同地裁から開示命令が出された。

  翌6月に同社から開示された情報には、面識のない男性の名前が記載されていた。北岡氏はこれを元に、同年9月、損害賠償を求めて大阪地裁に提訴。書き込みから約2年がたった20年8月、男性と和解し、解決金も支払われたが、北岡氏は「裁判で投稿を正当化する内容ばかり主張され、さらに心は傷ついた」と刑事告訴に踏み切った。

  20年5月にはテレビ番組に出演していた木村花さんがSNSで誹謗中傷を受けた後に死去。今夏の東京五輪でも、選手のSNSに試合内容や採点方法をめぐって国内外から誹謗中傷が書き込まれるなど被害はとどまらない。

  総務省が委託運営するネット上の書き込みに関する相談窓口「違法・有害情報相談センター」によると、20年度に寄せられた相談は5407件。センターが設立された10年から約4倍に増加した。最も多い相談内容は、個人情報を流されたり、名誉を傷つけられたりするものだった。
  こうした動きを受け、国も投稿者特定の手続きを簡略化するため、法改正に向けた検討を進めている。

  ネット中傷問題に詳しいアークレスト法律事務所の野口明男弁護士は「手続きが煩雑で多額の費用もかかり、被害者は泣き寝入りをせざるを得ないこともあった。負担が減れば、対抗策をとれる被害者も増える」と指摘。「侮辱罪や名誉毀損(きそん)罪などで立件できても法定刑が軽く、民事訴訟でも損害賠償額は数十万円と安い。こうした点の見直しも進めば、軽い気持ちで投稿する人が減ることにもつながるのでは」と話している。(北野裕子)


2021.08.12-産経新聞-https://www.sankei.com/article/20210812-VRQFXX6VDNMNFEIIYCOFP4MNUU/
中国の採掘業者、壊滅も ビットコインで全面禁止令
(西見由章)

  暗号資産(仮想通貨)の代表格である「ビットコイン」の運営に、大きな地殻変動が起きている必要なコンピューター処理を行い、新たな仮想通貨を生み出すマイニング(採掘)という作業を中国の習近平政権が全面禁止したためだ。背景には世界的な普及を狙うデジタル人民元との競合を避けたい思惑がある中国の採掘業者はかつて世界全体のコインを生み出す能力のうち4分の3を占めるなど運営を牛耳ってきたが、壊滅に追い込まれる可能性が出てきた。
轟音(ごうおん)立て
  「ビットコインの採掘と取引に打撃を与える」。中国国務院(政府)は5月、「金融リスクの断固とした予防・制御」に向けてそう宣言した。政府は従来もコインの国内取引を規制してきたが、採掘事業の禁止令は初めてだ。中国人民銀行(中央銀行)は6月、仮想通貨の関連業者に資金を提供しないよう金融機関を指導。範一飛副総裁は7月の記者会見で、ビットコインなどの仮想通貨が「投機や資金洗浄(マネーロンダリング)の手段」になっていると指弾した。

  4月に最高値の6万4800ドル(約710万円)をつけた1ビットコインの価格は、中国当局の規制強化に前後して暴落し、一時3万ドルを割り込んだ。
  仮想通貨の運営は、取引承認に必要な演算処理を行う世界各地の採掘業者が支えている大規模な採掘用コンピューターには大量の電力が必要となるため、安価で安定した電力が得られる場所に採掘業者が集中。2017年ごろから中国四川省の水力発電所や新疆(しんきょう)ウイグル自治区の火力発電所付近では、雨後のタケノコのように採掘拠点が建設され、19世紀の米西部金鉱に採掘者が殺到した「ゴールドラッシュ」にも例えられた

  記者は17年7月に四川省カンゼ・チベット族自治州の山間部を訪問。道路脇に落ちて横転した乗用車や巨大な落石跡を横目に見ながら険しい山道を2時間ほど車で走ると、水力発電所の敷地内に設置された採掘拠点を発見した。プレハブ2棟の内部には採掘用コンピューターがぎっしり詰め込まれ、数十の大型冷却ファンが「ヒューン」という轟音を立てながら回転していた。
  四川省でのビットコイン採掘事業に参画していた北京の起業家は当時、産経新聞の取材に「豊水期に電力が余って操業時間を短縮していた水力発電所が、採掘拠点の建設によって活性化し、雇用が生まれ、地域経済が好転した」と地元へのメリットを語った。地元当局も採掘業者を積極的に誘致していた。
デジタル人民元に軸足
  だが、中国誌・財新(電子版)は7月、当局の採掘禁止令によって国内の業者が次々と廃業している様子を報道。採掘事業で数十億元(数百億円)の資産を築いたという男性は、隣国のカザフスタンやカナダ、米国に視察スタッフを送って採掘拠点の移転を計画していると明かした
  地元当局との間でウィンウィンの関係だったはずの採掘事業を、中国当局が切り捨てるのはなぜか。仮想通貨に詳しい近畿大の山﨑重一郎教授は「豊富な電力資源を利用して手っ取り早く外貨を稼ぐという段階が終わり、デジタル人民元(の普及)に軸足を移すようになった」と分析する。
  中国が発行準備を進めるデジタル人民元と、民間が運営するビットコインなどの仮想通貨。中国政府にとっては国民の決済情報を直接把握できるデジタル人民元と比べて、ビットコインなどの仮想通貨は法規制が及びにくく、取引価格の乱高下が金融リスクにもつながりかねない目障りな存在だ。
電力消費も注視
  ビットコインの採掘が大量の電力を消費している点も中国当局は注視している。英ケンブリッジ大によると、ビットコインの年間電力消費量は5月時点の推計で約130テラワット時に達し、スウェーデンやアルゼンチンの年間電力消費量に匹敵する。中国の習近平国家主席は昨年9月、温室効果ガスの排出量を60年までに実質ゼロにすると宣言し、エネルギー消費の抑制を打ち出している。

  ケンブリッジ大によると、中国がビットコインを生み出す能力は19年9月時点で世界全体の75・5%を占めていたが、21年4月には46・0%まで低下。以前は4%前後だった米国が2位の16・9%と中国を急追しているほか化石燃料が豊富で電力が安いカザフスタンも8・2%と存在感を増す中国当局が採掘を禁止した今年5月以降、国外への拠点移転がさらに急ピッチで進むのは必至だ。
  「中国のビットコイン採掘時代は終焉(しゅうえん)した」。財新が引用した業界関係者の言葉だ。もっとも、海外に採掘拠点を移転した中国の業者は、ビットコイン運営において一定の影響力を保ち続けるとみられる。

  中国当局による採掘禁止令がビットコインに与える影響について、山﨑教授は「中国以外の業者はライバルが減り、より少ない電力で競争に勝てるようになって新規参入が増える。ビットコインのシステムが不安定化することはないだろう」と予測している。(西見由章)


2021.08.10-Yahoo!Japanニュース(夕刊フジ)-https://news.yahoo.co.jp/articles/a9ca02146f56923fa5877fa5c30488abf3dd7a4c
金ドル交換停止から50年…覇権通貨ドルにしがみつく人民元、取り入って収益を目論む米金融資本
(産経新聞特別記者・田村秀男

【お金は知っている】
   1971年8月15日(日本時間16日)米ニクソン大統領(当時)が金とドルの交換停止を発表した。

  ひと月前の訪中宣言と合わせ、世界を震撼(しんかん)させたニクソンショック第2弾である。以来、50周年ということもあって経済メディアが特集記事を載せているが、基軸通貨ドルの地位が揺らぎ、中国人民元がじわり台頭しているという筋立てが目立つ
   現実は逆である。米国はドルから金の軛(くびき)を取り外したことで、ドル建ての金融市場を爆発的に膨張させ、金融覇権国の座を不動にした。

  人民元は習近平政権の対外宣伝をうのみにすればいかにもパワーがありそうだが、だまされてはいけない。実質的には対ドル従属通貨であり、米国が金融で対中強硬策をとれば暴落しかねない。共産党幹部の子弟や一族が自由に米国に居住してドル資産を増やそうとし、その道が閉ざされることを恐れている。

   冒頭の話に戻す。基軸通貨ドルは第二次大戦で荒廃した西側世界の復興に欠かせないので、世界で流通するようになった復興が進むにつれて欧州各国のドル保有量が増える。中でも、米国に挑戦的だったフランスのドゴール大統領が手持ちのドルを約束通り金に交換するように米政府に要求し、ケンタッキー州フォートノックスの合衆国金塊貯蔵所に保管されていた金塊を軍用輸送機で運び出すにおよんで、金ドル交換を打ち切った。

   この日以来、ドル札はもはや株券やその他市場で取引される証券と同じ信用証書に過ぎなくなった。市場で流通する金融資産がドルで表示されている限り、ドル札にいつでも交換できる。証券類はドル札やドル預金と同等に、つまり貨幣(マネー)に転化した。金融機関の主役は預金を集める銀行から証券類を扱う投資銀行(証券会社)へと交代していく。
    70年代初めから、証券業を中心にニューヨーク・ウォール街では金融革命が徐々に起こり、80年代には金融市場の自由化が進んだ。90年代から金融商品は多様化し、2001年から爆発的に増殖していく。価格変動のリスクを対象にする保険商品が開発され、種類も多様化する。これがデリバティブ(金融派生商品)である。米国は金融商品の幅を無限に広げることで世界から余剰資金を集め、基軸通貨の地位を維持できるシステムを築き上げ、世界に君臨するようになった。

   米国の国内総生産(GDP)と金融資産市場の規模・・・金融機関負債・・・。

  一目瞭然、80年代から実体経済であるGDPを大きく上回るようになり、その差は拡大していく。コロナ禍の昨年はさらに跳ね上がった。中間層以下の所得層が依拠するGDPは萎縮し、富裕層が潤う金融資産が膨らみ、格差がさらにひどくなった
   他方、中国はドルに寄生することで人民元の価値を維持している。米金融資本はといえば、そんな中国に取り入って収益をむさぼろうとしている。
(産経新聞特別記者・田村秀男


2021.07.29-NRI(ナレッジ・インサイト・ソリューションサービス・サスティナビリティ・ニュース)-https://www.nri.com/jp/knowledge/blog/lst/2021/fis/kiuchi/0729
中国企業への統制拡大でチャイナリスクが急浮上

IT企業への統制強化が断行される
  グローバル投資家の間では、中国企業への株式投資に関わるリスク、いわゆる「チャイナリスク」への警戒がにわかに高まってきた。これが足元での中国株価の大幅下落や3か月ぶりの対ドルでのデジタル人民元安をもたらしている。さらに中国の成長鈍化観測と合わせて、この「チャイナリスク」は日本株にも重しとなってきた。
  中国当局が進めているIT企業への規制強化は、ユーザーのプライバシー保護、他企業に対する優越的地位の取り締まりなど、先進国で行われているものと共通する部分もあり、それ自体がサプライズとは言えない。

  しかし、規制、統制強化のスピードがあまりにも速いこと、そしてIT以外の産業にも先行き幅広く及んでいき、終わりが見えないことへの懸念が、「チャイナリスク」への強い警戒をもたらしている。
  中国政府は7月26日にネット業界に対する半年間の集中取り締まりを始めたことを突如発表した。「今年前半のアプリの取り締まりを踏まえ、さらにネット業界の問題を整理する」と説明している。

  昨年来、中国当局はIT業界に対する統制強化をにわかに強めている。その起点となったのは、EC最大手のアリババグループ傘下で決済アプリであるアリペイを提供するアント・グループの昨年11月の上場延期だ。その後、アント・グループの金融ビジネスは、事実上解体されようとしている。
  当局は今年4月に、アリババグループに巨額の罰金を科し、またネット企業大手のテンセントなど他社にも相次いで指導や罰金処分などを行っている。7月に入ってからは、米国に上場したばかりの配車サービス大手、滴滴出行(ディディ)に対して「違法に個人情報を収集している」としてアプリのダウンロードの禁止を命じた(コラム「中国ネット企業への統制強化と米中間で進む資金のデカップリング」、2021年7月8日)。

  7月24日には、国家市場監督管理総局が、国内ネット音楽配信市場における独占行為で、テンセントに対し独占禁止法違反で是正措置と罰金50万元の支払いを命じたと発表している。
統制強化は教育産業にも
  そして、当局の規制・統制強化は、まったく別の業界にも及び始めている。前週末には、小中学生向け学習塾を非営利団体化することを柱とする規制策が公表されたのである。教育産業はネット企業の利益拡大を助けるネット広告の大口顧客であるが、その観点以外に当局は、学習塾など義務教育以外の教育ビジネスが教育費の上昇を後押ししており、それが教育を受ける機会の不平等を生じさせるとともに、養育費の上昇を通じて出生率を高めることを妨げている、としている。
  IT業界、教育産業以外に、今後は過剰債務などの大きなリスクを抱える不動産業界や医療業界などにも、当局の統制強化が広まるとの観測が、投資家の間で浮上している。不動産業界では既にそうした動きが見られ始めている。
中国側からも米中デカップリングを促す動き
  昨年までは、投資家にとっての「チャイナリスク」とは、IT関連の中国企業が、米国政府によって米国や先進国市場から締め出され、また、半導体など中国企業のサプライチェーンを遮断されることを意味した。
  しかし現在では、中国当局による中国企業への統制強化の方が、より深刻な「チャイナリスク」となっている。中国当局は、中国企業の海外での上場、あるいは海外での中国企業の活動に対しても統制を強めている。7月23日には、中央銀行の中国人民銀行が、ネット決済事業者に対して、国内外での新規株式公開(IPO)など経営上の様々な「重大事項」について事前報告を義務づける、新たな規則を公表している。
  中国企業の海外での上場や海外での活動を規制することは、中国企業の資金調達や市場拡大を制約し、その成長を妨げることにもつながる。それにもかかわらず、中国当局が統制を強化する理由には、海外で活動する中国企業から、中国の個人データなどビッグデータが米国などに流出することへの警戒があるだろう。
  従来は、米国で活動する中国企業が、米国での情報を不当に集め、中国に流していると米国政府は批判していた。米国側だけでなく、中国側からも情報流出を警戒して米中間の経済活動を切り離す、「デカップリング」を進め始めたのである。そうしたもとでは、中国企業に投資するグロース投資家に対する中国当局の配慮も、次第に低下しているように見える。
国民に支持されるかどうかが鍵に
  中国政府が中国企業に対する統制強化を進めるのは、巨額の利益を上げ、また個人データを蓄積する企業が、中国政府の経済あるいは政治的な統制にとって脅威となり始めているからだ。それに加えて、巨額の利益を上げる企業への統制強化を通じて国民の支持を集める狙いもあるようだ。
  この点、習近平国家主席がかつて断行した、腐敗取り締まりキャンペーンとも似ているように感じられる。それは、不正に利益を上げた政治家などを取り締まることで、国民の支持を得る狙いであるとともに、習近平国家主席の政敵を排除し、政権基盤の安定化に資することを狙ったのだろう。
  しかし、中国企業に対する統制強化の場合には、果たしてそれが国民の支持を集めるかどうかは分からない。確かに、巨額の利益を上げるIT企業に対する統制を強化し、収益環境を損ねれば、それによって留飲を下げる国民も中にはいるかもしれない。
  しかし、ネット企業への統制強化は、サービスの低下にもつながるのである。また、教育産業が急成長している背景には、エリート大学に入学し限られた高給の職を子供に得させたい、という親の願いがある。そうしたニーズを無視して、学習塾など教育産業への規制を強化すれば、それは国民からの反発を生む可能性もあるだろう。
  中国企業に対する統制強化は、このように国民の利便性を直接低下させる可能性があることに加えて、イノベーションを阻害することを通じて、中国経済の潜在力を低下させてしまう可能性もある。これも、国民にとっては大きな不利益となる。
  中国政府が急速に進める企業への統制強化は、中国が再び先進国グループと袂を分かち、独自の政治・経済体制の追求を進めていることの一端のようにも見える。ただし、それがどこまで進められるかは、今後の中国経済のパフォーマンスと中国国民からの支持に大きくかかっているのではないか。


2021.0705-日本経済新聞-https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGN044JN0U1A700C2000000/
米でまたサイバー攻撃、1000社影響も ITサービス狙う

  【シリコンバレー=佐藤浩実】IT(情報技術)サービスを狙う大規模なサイバー攻撃の脅威が高まっている。4日までに米IT企業カセヤの法人向けソフトウエアが標的となり、利用企業の間でランサムウエア(身代金要求型ウイルス)の被害が拡大していたことがわかった。影響は1000社に及ぶとの指摘もあり、米連邦捜査局(FBI)が捜査に乗り出している。

  フロリダ州に本社を置くカセヤによれば、攻撃は2日に発覚した。企業がソフトの更新を管理・配信する際に使う「Kaseya VSA」と呼ぶソフトが狙われ、3万6000社の顧客のうち約40社が被害を受けたという。同社は顧客に対し、サーバーを停止して、ソフトを使ったり、怪しいリンクをクリックしたりしないよう呼びかけている。

  問題を深刻にしたのは、被害者の多くが様々な企業のシステム運用や保守を手掛ける「マネジメントサービス・プロバイダー(MSP)」だったことだ。攻撃やサーバー停止の影響はMSPの顧客にも及び、カセヤと直接取引のないスウェーデンのスーパーマーケット大手「コープ」がレジを動かせずに数百店舗の一時閉店を迫られる事態が発生した。
  米セキュリティー会社のハントレス(メリーランド州)は中小企業を中心に1000社以上が今回の攻撃の影響を受けたと指摘している。同社は、5月にブラジルの食肉大手JBSに攻撃を仕掛けたロシアのハッカー集団「REvil」がカセヤ製ソフトへの攻撃にも関与したとみている。
  イデン大統領は3日、訪問中のミシガン州で記者団に「最初はロシア政府の(今回の攻撃への)関与はないと考えていたが、まだ確信はない」と述べた。関連機関が調査を進めている。
  米国では2020年に、ソーラーウインズ製ソフトへのハッキングを通じて国家機関や企業のネットワークへの侵入をはかる大規模なサイバー攻撃が発覚した。ITのサプライチェーンを狙う攻撃は増えており、当局は警戒を強めている。企業のシステムを暗号化し、復元する代わりに金銭を要求するランサムウエアの被害も相次いでいる。








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