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イラン(ペルシャ)-1



2021.06.21-新潟日報-https://www.niigata-nippo.co.jp/world/world/20210621624076.html
米に制裁の全面解除要求

  【テヘラン共同】18日のイラン大統領選で当選した反米保守強硬派のライシ司法府代表(60)は21日、米国は全ての対イラン制裁を解除し、核合意の義務を果たさなければならないと訴えた。米国が要求している弾道ミサイル開発や中東での工作活動の制限については「交渉の余地はない」と述べ、拒否すると表明した。首都テヘランで当選後初めて記者会見した。

  核合意再建に向けて続く米国との間接協議を巡っては、「イランの国益が保証される限り」継続する考えを示した。米国が制裁を解除したとしても、バイデン米大統領と会談する考えはないとも強調した。


2021.06.21-朝日新聞-https://mainichi.jp/articles/20210621/k00/00m/030/024000c
イラン核合意 大統領選ライシ師勝利で混沌 協議再開日程は不明

  米国のイラン核合意への復帰に向けた合意当事国の英仏独露中とイラン、議長役の欧州連合(EU)は20日、ウィーンで次官級の合同委員会を開催。協議をいったん休止して自国に戻り、その後再開することを確認した。協議の再開日程は明らかにされていない。イラン大統領選で反米保守強硬派のライシ司法府代表が勝利し、協議の行方は混沌としている。

  ロイター通信によると、欧州の高官は20日、「引き続き前進しているが、最も困難な問題を解決する必要がある」と、米国とイランとの間になお隔たりがあることを指摘した。
  ライシ政権が誕生すれば、核合意の再建はさらに難しくなるとみられている。一方で、イランでは最高指導者ハメネイ師が主要政策の最終決定権を持っているため、イランが交渉上の立場を大きく変えることはないとの見方もある。

  EUのボレル外務・安全保障政策上級代表(外相)は20日、「(イラン大統領)選挙の結果が交渉プロセスを損なう最後の障害とならないことを願う。私の知る限りではそうはならないだろう」と述べ、ライシ師の当選後も合意は可能だとの見解を示した。
  ただ、交渉が長引けば、イランが核合意違反を重ねることになり、米国の合意復帰がさらに困難になる可能性も指摘されている。【ベルリン念佛明奈】


2021.06.10-産経新聞 THE SANKEI NEWS-https://www.sankei.com/article/20210610-XDVW3VQFQJJHZAEGWKAQMTDVDY/
イラン「反米」加速の恐れ 大統領選まで1週間

  【カイロ=佐藤貴生】18日投票のイラン大統領選まで11日で1週間となる。穏健派の有力候補は事前審査で失格となり、反米の保守強硬派の実力者であるライシ司法府代表が圧倒的優位を維持している。2015年の核合意締結を主導した穏健派のロウハニ大統領は合意を立て直して対米関係を改善する道筋を描くが、反米保守派が次期大統領になれば米国との協議は停滞する恐れがある。合意をめぐる米イラン交渉は時間との戦いという色合いを帯びてきた。

  イランでは5日、大統領選の候補者7人のテレビ討論会が行われ、ロイター通信によると保守派に属する5人が、米国の高圧的な政策に屈したとして穏健派のヘンマティ前中央銀行総裁を批判した。
  ヘンマティ氏は、保守強硬派がイランを国際社会から孤立させた上、国内経済を支配していると反論。経済を牛耳る革命防衛隊を念頭に置いた発言とみられる。イスラム聖職者のライシ師は失点を重ねるサッカーのゴールキーパーになぞらえてロウハニ政権を批判し、「私がいなければ失点がさらに続く」と訴えた
  イランのメディアによると、討論会後にテヘラン大が行った世論調査では、視聴者の56%はライシ師が勝ったと回答。2位のヘンマティ氏は8%にとどまり、大きな差がついた。

  穏健派の有力候補だったラリジャニ前国会議長は、最高指導者ハメネイ師の影響下にある「護憲評議会」の事前審査で失格となっており、保守強硬派に反対する有権者の多くは大統領選で棄権するとみられる。保守強硬派に軸足を置くハメネイ師の威光を背景にライシ師が勝利し、8月に任期切れとなるロウハニ師の求心力は選挙後にさらに低下する可能性が高い。


2021.05.26-産経新聞 THE SANKEI NEWS-https://www.sankei.com/article/20210526-MOXSYCE3OVK4ZLB4QOQ7CDM3II/
反米保守候補が最有力に イラン大統領選 核合意維持に障害も

  【カイロ=佐藤貴生】6月18日投票のイラン大統領選で同国内務省は25日、反米保守強硬派の実力者であるライシ司法府代表ら7人が立候補資格を得たと発表した。穏健派の有力候補は失格となり、ライシ師が事実上の最有力候補。選挙戦は予定を前倒しして同日解禁され、保守強硬派が対米批判を強める公算が大きい。保守強硬派が勝利すれば、2015年のイラン核合意の維持がさらに困難になる可能性がある。

  イランのメディアによると大統領選には592人が立候補し、最高指導者ハメネイ師の影響下にある「護憲評議会」が適性を審査して候補を絞り込んだ。穏健派の有力者ラリジャニ前国会議長のほか、保守強硬派のアハマディネジャド前大統領も失格となった。
  ライシ師は革命体制を強権で支える司法府でキャリアを積んだ。17年の前回選で穏健派のロウハニ現大統領に敗れたが、ハメネイ師の指名で19年に司法府トップに就任、同師の評価も高いといわれる。次期最高指導者の候補にも浮上しており、保守強硬派の牙城である革命防衛隊とも親密な関係にあるとされる。
  イランのメディアによると、立候補資格を得た7人のうち5人が保守派で、票の分散を避けてライシ師に候補を一本化するとの観測もある。穏健派ではヘンマティ中央銀行総裁が出馬を認められた。
  一方、核合意再建のため米国と間接協議を続けるロウハニ大統領は、イランの核開発を検証する国際原子力機関(IAEA)との限定的な協力が期限切れを迎えたのを受け、24日にIAEAとの協力を1カ月間延長した。米国が科した経済制裁の解除を実現し、穏健派の影響力を取り戻す狙いがうかがえる。

  ただ、8月に任期が切れるロウハニ師の求心力低下は著しい。ライシ師は以前、制裁解除を当て込んだロウハニ師の核合意締結は失敗し、「貧富の差が拡大した」と批判していた。
  このため、次期大統領がライシ師ら反米保守強硬派になれば核合意に背を向ける公算が大きく、「対米関係の改善は望めない」(エジプトの政治評論家アハメド・サイード氏)との見方が多い。敵対するイスラエルやアラブ諸国との摩擦により中東の不安定化が加速する恐れもある。

  イランのイスラム教シーア派の指導層は選挙の投票率を体制信任の指標と位置づけているが、経済低迷や穏健派の有力候補が出馬を阻まれたことで投票率は下がるとの見方が出ている。


2021.04.28-Yahoo!Japanニュース(Wedge)-https://news.yahoo.co.jp/articles/a1b3193e86412b08f5e0c517745ff62928929d2d
ペルシャ湾でイランが米艦を挑発、背景に強硬派対穏健派の国内権力闘争
(1)
  ペルシャ湾で4月、イラン革命防衛隊の高速艇が米艦船に異常接近して挑発する事件が相次いだことが分かった。2度目は米艦船が警告射撃に踏み切っており、偶発的な衝突の懸念が高まっている。事件の背景にはイラン核合意への米復帰に反対する革命防衛隊などの保守強硬派とロウハニ大統領ら穏健派との権力闘争が激化していることがあるようだ。
「軍事部門が国家を牛耳る」と内幕暴露
  米海軍の発表としてロイター通信やニューヨーク・タイムズなどが報じるところによると、ペルシャ湾北部海域で26日夜、イラン革命防衛隊の高速艇3隻が米第5艦隊所属の哨戒艇「ファイアボルト」など2隻に異常接近、一時は60メートルまで近づくなど挑発を繰り返した。

  「ファイアボルト」はイラン高速艇に無線で何度も近づかないよう要求したが、従わないため警告射撃に踏み切った。この警告射撃で高速艇が離れたことから衝突などには至らなかったという。これに先立って2日にも同湾でイラン高速艇による米艦船に対する挑発が3時間にわたって続けられたという。

   同紙によると、こうしたイラン側の挑発行為は2015年に23回、16年に35回、17年に14回あったものの、18年以降はほとんど影を潜めた格好になっていた。軍事専門家はイランの挑発行動が米側の過剰反応を招くなど、偶発的な衝突につながる恐れがあると警告している。
   なぜ今になって再び、イランの挑発行動が顕在化しているのか。この理由について中東のアナリストらは「ウィーンで再開されたイラン核合意への米復帰協議と連動している。米復帰に反対する革命防衛隊や聖職者などの保守強硬派の思惑を反映した動きだ。米国との緊張激化の状況を作って、ロウハニ政権の復帰協議をぶち壊そうとしている」と分析している。

   イランの権力闘争が関係しているとの見方だが、この権力闘争の内幕は、はからずも最近国外にリークされたザリフ外相の秘密の音声録音から明らかになった。この録音は外相と経済学者との間で3月に交わされたもので、そのコピーが最近、ロンドンのペルシャ語ニュース・チャンネルにリークされた。
   ザリフ外相はこの中で「イランは軍事部門に牛耳られており、彼らのせいで外交を犠牲にしてきた」と指摘、外相としての役割が厳しく規制され、政府の決定は最高指導者のハメネイ師や革命防衛隊によって命じられていると心情を吐露している。

   さらに、米国に暗殺された国民的な英雄、革命防衛隊のエリート部隊の司令官ソレイマニ将軍について、ロシアと結託してイラン核合意をつぶそうとしたと批判。ロウハニ政権の了承を得ずに、ロシア軍機がシリア向けに軍備増強できるようイラン領空の通過を認め、イランの地上部隊をシリアに派遣したなどと非難している。
   ザリフ外相は同司令官については、公式には敬う姿勢を見せてきたが、実際には相当敵対していたことが明らかになったわけで、伝えられてきた権力闘争の姿が浮き彫りになった。イランの国会議長が録音のリークについて、捜査を開始するよう要求する騒ぎになっている。外相の英雄をけなした発言は6月の大統領選挙で、穏健派候補に不利に働くのではないかと懸念されている。
(2)
米、対イラン制裁解除のリストを提出
  こうしたペルシャ湾の軍事的な緊張の高まりの一方で、ウィーンでの核合意をめぐる協議では米側がこのほど、対イラン制裁の解除項目についてのリストを提示した。報じられるところでは、このリストにはイラン側が要求していた石油の輸出や銀行取引の再開などが含まれているという。

   イランはバイデン米政権との直接交渉を拒否し、欧州連合(EU)の仲介による間接交渉が行われている。協議は主に(1)米国の核合意復帰と対イラン制裁解除(2)イランの合意破りの是正が焦点。米側が制裁リストを提示したのは大きな進展だが、合意を離脱したトランプ前政権はテロ活動や人権などの分野で新たに1500を超える制裁を追加しており、制裁の解除は容易ではない。

   ロウハニ政権とバイデン政権は大統領選挙でイランに反米の強硬派政権を誕生させないという点では基本的には一致しており、革命防衛隊などの圧力をかわしながら協議を進める意向と見られている。だが、こうした両政権の思惑に反対しているのは保守強硬派だけではない。イランと敵対するイスラエルの動きも協議の行方を左右する重要なファクターとなるだろう。

   今月だけで3回にわたって書いてきたように、イスラエルとイランはこれまで、「影の戦争」と呼ばれる暗闘を激化させてきた。イスラエルによるものと思われる作戦にはイランの科学者の暗殺やナタンズの核施設への破壊工作に加え、イランの石油タンカーや船舶に対する攻撃などが含まれているイランもイスラエルの民間船への報復攻撃などに出ている。

   22日には、イスラエル南部のネゲブ砂漠にあるディモナ原子力センターを狙ったと見られるミサイル攻撃が隣国シリアから行われた。同センターに被害はなかったが、イスラエルは直ちにダマスカス近郊を報復攻撃した。センターを攻撃したのはシリアの親イスラエル勢力だったとされる。
   また24日にもシリア沖でイランのものと見られる石油タンカーが無人機の攻撃を受け、3人が死亡したという。イランは経済制裁を避けてシリアに石油を密売しており、このタンカーもそうした密売船だったと受け止められている。イスラエルの無人機だった可能性が指摘されている。

   イラン核合意への米復帰協議が加速すれば、それに呼応した形で革命防衛隊やイスラエルによる交渉を妨害する軍事的な動きも活発化するという相関関係になっている。イラン情勢を見るには当面、この相関関係に注意しなければならない。
佐々木伸 (星槎大学大学院教授)


2021.04.16-Yahoo!Japanニュース(KYODO)-https://news.yahoo.co.jp/articles/31269801a58428572f592bba5b1efcadd665b444
イラン、濃縮度60%ウラン製造 過去最高、重大な核合意違反

  【ウィーン共同】国営イラン放送によると、イラン原子力庁のサレヒ長官は16日、中部の核施設で同日未明、濃縮度60%のウランを製造したと明らかにした。核兵器級に一気に近づく重大な核合意違反。イランの核開発史上、最も高い水準になる。核合意再建に向けたウィーンでの米イラン間接協議は継続する方針だが、米欧の反発は避けられないとみられる。

  イランは14日、60%の濃縮ウランの製造に着手したと発表。イスラエルの関与が疑われる11日の核施設での破壊工作に対抗する措置だと主張していた。15年の核合意は濃縮度の上限を3.67%と定めたが、1月には20%にまで引き上げていた。


2021.04.12-産経新聞 THE SANKEI NEWS-https://www.sankei.com/world/news/210412/wor2104120014-n1.html
イラン核施設で「大規模爆発」 イスラエルへの報復言明

  【カイロ=佐藤貴生】イラン中部ナタンズの核施設で11日、電気系統に異常が生じ、同国原子力庁のサレヒ長官は「テロ攻撃」を受けたと述べた。ザリフ外相は12日、破壊工作にイスラエルが関与したとして「報復する」と述べた。

   イランは先週、ウィーンで米国側と核合意をめぐる間接協議を開始ザリフ氏は両国の関係改善の兆候が出てきたことにイスラエルが反発したとの見方を示唆した。イランの報復の程度によっては協議が停滞する恐れもある。
   米紙ニューヨーク・タイムズ(電子版)によると、ナタンズの施設では「大規模爆発」が起きて電力システムが破壊され、ウランの濃縮能力が大きな打撃を受けた。施設では10日、ウラン濃縮を加速させうる改良型の遠心分離機が稼働したばかりだった。高濃縮ウランは核兵器に転用できる。

   イスラエル政府は関与の有無を明言していないが、同国メディアでは対外特務機関モサドが行ったとの見方が出ている。米高官は自国の関与を否定した。
   11日にはオースティン米国防長官がイスラエルを訪問、同国のガンツ国防長官とイラン核問題などを協議した。ネタニヤフ首相とも会談する予定。


2021.02.26-東京新聞 TOKYO Web-https://www.tokyo-np.co.jp/article/88365
米バイデン政権、初の軍事攻撃 シリアの親イラン武装組織を空爆、22人死亡か

  【ワシントン=金杉貴雄】米国防総省は25日、シリア東部にある親イラン武装組織の拠点を空爆したと発表した。イラクで米軍駐留基地が今月、ロケット弾で攻撃されたことへの対抗措置で、バイデン政権での軍事攻撃は初。AP通信は、在英人権監視団体の話として、武装組織の22人が死亡したと伝えた。

  国防総省は、空爆はバイデン大統領が承認し、イラクの親イラン武装組織「カタイブ・ヒズボラ」などが使用する複数の建造物を破壊した、と説明。米国人と有志連合を守る明確なメッセージを送るとともに「シリア東部とイラクの緊張状態を悪化させないように熟慮した」と強調した。

  ロイター通信は、関係者の話として、バイデン氏は提示された幅広い空爆の選択肢のうち、小規模な作戦を選んだと伝えた。

  イラク国内では、米軍などが使う軍事施設が3回にわたりロケット弾攻撃を受け、15日には北部アルビルにある施設への攻撃で、2人が死亡、米兵など数人がけがを負っていた。
  一方、バイデン氏は25日、サウジアラビアのサルマン国王と就任後初の電話協議を行った。米メディアによると、米情報機関は近く、2018年のサウジ人記者ジャマル・カショギ氏殺害事件に関する調査報告書を公表する予定で、ムハンマド皇太子の関与が指摘されているという。


2021.02.22-産経新聞 THE SANKEI NEWS-https://www.sankei.com/world/news/210222/wor2102220023-n1.html
イラン、核検証の継続に合意 23日から抜き打ち査察停止も譲歩か

  【カイロ=佐藤貴生、ワシントン=住井亨介】イランの核合意の履行状況を検証してきた国際原子力機関(IAEA)のグロッシ事務局長は21日、イラン側高官らと会談し、同国が表明した通りに23日から「抜き打ち査察」の受け入れを停止する方針を確認したと述べた。ただ、IAEAとイランは受け入れ停止後も約3カ月間、「必要な検証と監視活動」を行うことで合意したとする共同声明を発表。イラン側が譲歩したとみられる。

  新たな合意に基づくIAEAの具体的な活動内容は不明。グロッシ氏は暫定的な措置で、査察の規模は縮小されると述べた。また、核合意維持のために「政治交渉が必要だ」と強調し、米・イランなど関係国の交渉進展に期待を示した。
  イランはバイデン米政権に対し、トランプ前政権が科した経済制裁の21日までの解除を求めたが、米側が応じなかったため、対抗措置として抜き打ち査察の受け入れを停止する方針。2015年の核合意に基づく「追加議定書」で規定されたもので、イランが受け入れを停止すれば未申告施設の査察ができなくなる。
  イランメディアによると、同国原子力庁は3カ月の間、核開発活動に関して収集したデータをIAEA側に引き渡さず、米が制裁を解除しなければ「永久に破棄する」としている。イランは査察の制限は核合意の破棄を意味しないと主張しており、同国内のIAEAの査察官の数も維持される見通しだ。

  イランは査察の制限で米側の制裁解除を狙った。一方、サリバン米大統領補佐官(国家安全保障問題担当)は21日、CBSテレビ番組で「バイデン大統領はイランとの交渉のテーブルに着く用意がある」と発言。イラン側は対話の機運があるとみて、譲歩した可能性がある。


2021.02.17-産経新聞THE SANKEI WEB-https://www.sankei.com/world/news/210217/wor2102170009-n1.html
イラクの米軍主導有志連合拠点にロケット攻撃 親イラン系勢力か

  【ワシントン=黒瀬悦成】イラク北部クルド自治区アルビルで15日夜、米軍駐留拠点の付近がロケット弾攻撃を受け、駐留米軍施設の請負業者1人が死亡し、米兵1人を含む少なくとも9人が負傷した。ブリンケン国務長官は16日、イラクのカディミ首相と電話で会談し、攻撃への「憤り」を表明するとともに、イラク政府と連携して実行勢力を特定し、責任を取らせる考えを表明した。

  イラク駐留米軍の報道官によると、複数のロケット弾はアルビル国際空港にある米軍主導の有志連合の基地に向けて発射され、うち3発が基地内に着弾したとしている。
  バイデン政権発足後、イラクの米軍関連施設への大規模攻撃は初めて。これまで名前を知られていない武装グループが犯行声明を出したが、現地からの報道ではイラク政府はイランの支援を受けたイスラム教シーア派武装組織との見方をとっている。
  ホワイトハウスのサキ報道官は16日、実行犯は現時点で特定されていないと述べた。一方、国務省のプライス報道官は「米国には対抗する権利がある」と語り、報復攻撃の用意があることを強調した。
  トランプ前政権は昨年1月、親イラン系のシーア派武装組織を指揮してイラクの米大使館や米軍施設に対する攻撃を繰り返していたイラン革命防衛隊の精鋭コッズ部隊のソレイマニ司令官を殺害し、イランの対米テロの遂行能力は著しく減衰したとみられていた。
  今回の攻撃が親イラン系武装勢力の犯行だとすれば、イランに核合意復帰を求めるバイデン政権の出方を探る狙いがあるとみられる。バイデン政権は前政権と同様、イランによる対米攻撃を容認しない考えを打ち出しており、米国とイランの関係が一気に緊張する可能性もある。


2021.02.17-産経新聞THE SANKEI NEWS-https://www.sankei.com/world/news/210217/wor2102170003-n1.html
イラン、IAEA抜き打ち査察受け入れ停止を通告 制裁解除求め圧力

  イラン核合意の検証に当たる国際原子力機関(IAEA)のグロッシ事務局長は16日、イランが未申告の施設に対する抜き打ち査察の受け入れを23日に停止すると通告してきたことを加盟国に報告した。関係筋が明らかにした。実際に停止すれば、イランの核開発を十分に確認することが困難になる恐れがある。

  イランは米国の制裁解除に向けて圧力をかける狙いとみられる。グロッシ氏は査察継続を目指しており、解決策を見いだすためイラン訪問を提案したという。引き続きイラン側と協議を続ける。
  イランは2015年に成立した核合意に基づき、IAEAの抜き打ち査察を認める「追加議定書」を暫定的に履行している。15日にIAEAに対して、追加議定書を含めた透明性を確保するための措置を23日に停止すると伝えてきたという。
  イランのザリフ外相は7日、バイデン米政権が21日までに対イラン制裁を解除しなければ、IAEAの抜き打ち査察の受け入れを停止する方針だと警告し、早期の制裁解除を迫っていた。(共同)


2020.01.05-産経新聞 THE SANKEI NEWS-https://www.sankei.com/world/news/210105/wor2101050021-n1.html
韓国タンカー拿捕で米制裁による資産凍結に圧力か イラン

  【ソウル=桜井紀雄、カイロ=佐藤貴生】イラン革命防衛隊は4日、原油輸送の大動脈である中東・ホルムズ海峡近くのペルシャ湾で同日朝、韓国船籍の石油タンカー1隻を拿捕(だほ)したと発表した。タンカーをイラン南部の港に移送し、船員を拘束した。タンカーは石油化学製品を積載しており、イラン側は「海洋環境に関する法律に違反した」と主張している。
  韓国政府は付近海域にいた海軍部隊の駆逐艦をホルムズ海峡近海に急派した。韓国外務省は5日、駐韓イラン大使を呼んで抗議。船員らを速やかに解放するよう求めている。近く外務省幹部らをイランに派遣するほか、崔鍾建(チェ・ジョンゴン)第1外務次官が10日にもイランを訪れ、イラン政府と協議する。
  韓国外務省や韓米メディアによると、タンカーは韓国籍の5人を含め、ミャンマーやインドネシア、ベトナム国籍の計20人が乗船し、サウジアラビアからアラブ首長国連邦(UAE)の港に向かっていた。
  イラン外務省は、韓国政府に「船員は安全だ」と説明。拿捕について「海洋汚染を調査せよとの(イランの)裁判所の命令に従った措置だ」と主張している。韓国にあるタンカー所属会社は「海洋汚染の可能性はない」と反論している。
  イランと韓国をめぐっては、米国による2018年の対イラン制裁の強化に伴い、韓国の銀行にある原油の代金70億ドル(約7200億円)以上が凍結された。イラン側は5日、資産の凍結には「根拠がない」と強く反発。拿捕によって米制裁を揺さぶる狙いとの見方が浮上している。
  イランと韓国は、凍結資産を新型コロナウイルスのワクチン代など人道目的に充て制裁を回避する案を検討していたとされ、協議を詰める方針だったという。


2021.01.03-Yahoo!Japanニュース(産経新聞)-https://news.yahoo.co.jp/articles/0f34308422f211d13370413b51be8d293062a728
イラン司令官殺害から1年 保守強硬派台頭で対米関係悪化

  【カイロ=佐藤貴生】イラン革命防衛隊の精鋭「コッズ部隊」のソレイマニ司令官が米軍に殺害されてから3日で1年となった。イランは報復は限定的なものにとどめたが、国内では反米の保守強硬派が台頭して対米関係は悪化し続けた。次期米大統領就任を確実にしたバイデン前副大統領はトランプ政権が離脱したイラン核合意に復帰すると表明、対話を模索する意向だが、先行きは不透明だ。
   イランの首都テヘランで1日に行われた殺害1年の式典で、コッズ部隊を率いる後継のガアニ司令官は「抵抗の道を歩み続ける」と述べ、改めて米国に報復する決意を示した。
   ソレイマニ司令官は昨年1月3日、イラクの首都バグダッドで米軍の無人機攻撃により死亡した。イランは同8日、イラクの駐留米軍基地に弾道ミサイルを撃ち込んで報復したが、イラク側に事前通告したとされ米兵に犠牲者はなかった。
   イランと米国の間では緊張が続く。先月20日にバグダッドの米国大使館近くに多数のロケット弾が撃ち込まれた際、トランプ大統領はイランが仕掛けたとして、「米国人が1人でも殺害されたらイランの責任だ」と報復を示唆した。
   イランでは司令官殺害後の昨年2月、国会選で反米の保守強硬派が全議席の7割超を確保。欧米との対話に前向きなロウハニ大統領らの求心力は急落した。
   昨年12月には核合意で規定する国際原子力機関(IAEA)の査察を拒否し、ウランの濃縮度を20%に高めるよう求める法律が成立。この段階になると核兵器転用可能な90%への引き上げ作業が容易になる。
    バイデン氏はイラン側の核合意順守を条件に合意に復帰する意向で、イランが核開発を拡大すれば実現は困難になる。同国を敵視するイスラエルも米の合意復帰に懸念を示している。
   イラン指導部は司令官殺害を国民の結束に利用しており、今年6月の大統領選で保守強硬派の大統領が誕生するとの見通しがある。そうなればイランが米国との対立を強めることは確実で、バイデン氏が関係改善に動くのは難しくなる。



2020.12.03-産経新聞 THE SANKEI NEWS-https://www.sankei.com/world/news/201203/wor2012030029-n1.html
イラン国会、核開発拡大を法制化 反米保守強硬派が影響力

  【カイロ=佐藤貴生】イランで2日、政府に核開発の拡大を義務付ける法律が成立した。来年1月に米次期大統領に就任する見通しのバイデン前副大統領は、イランの合意順守を条件にトランプ政権が離脱した合意に復帰する意向で、イランが合意違反を加速すれば復帰が困難になる。
  イランの核科学者ファクリザデ氏が11月下旬に暗殺され、同国指導部はイスラエルが関与したとして報復を明言。反米保守派の発言力が強まっている。
  英BBC放送(電子版)によると、法律は核合意当事国の英仏独が合意に定められたイランとの原油や金融の取引を2カ月以内に履行しなければ、国際原子力機関(IAEA)の査察を停止するよう政府に求めた。履行しない場合、ウランの濃縮度を現状の約4・5%から20%に上げる作業も始めるよう要求した。
  合意の規定上限は3・67%で、ウランは濃縮度90%になれば核兵器転用が可能。欧州の企業はトランプ政権が科した制裁に抵触するとしてイランとの取引を手控えてきた。
  反米の保守強硬派が多数派のイラン国会が1日に法案を可決し、憲法違反の有無を審査する護憲評議会が2日に承認し、法律として成立した。保守穏健派のロウハニ大統領は制定に反対していた。
  イランでは来年6月実施の大統領選で反米の保守強硬派が勝利するとの観測があり、そうなれば米・イランの関係改善は遠のく公算が大きい。


2020.12.01-TBS NEWS-https://news.tbs.co.jp/newseye/tbs_newseye4139893.html
“使われた武器はイスラエル製”イラン国営放送 核科学者暗殺で

  イラン人核科学者の暗殺をめぐりイランの国営放送は使用された武器に「イスラエルの軍需企業のロゴが確認された」として、武器はイスラエル製だったと報じました。
  襲撃を受け殺害されたイランの核科学者モフセン・ファクリザデ氏の葬儀が首都テヘランで11月30日に行われました。
  こうしたなか、この殺害事件についてイランの国営放送は「現場から押収された武器にイスラエルの軍需企業のロゴや仕様が確認された」として、使われた武器はイスラエル製だったと報じました。ただ、情報の出所は「匿名」だとしています。
  これまでもザリフ外相がイスラエルの関与を主張しているほか、イラン政府の報道官も同様の見方を示していました。
  事件をめぐっては現地の著名なジャーナリストが科学者の殺害直後とされる映像をツイッターに投稿し、60人以上の工作員が動員された緻密な計画だったと指摘。一方で国家安全保障最高評議会は、電子機器を使った無人の攻撃だったと述べるなど情報が錯そうしています。
  これまでのところイスラエルのネタニヤフ首相は事件についてコメントしていませんが、ロイター通信によりますと、イスラエル政府の閣僚の1人は「だれがやったのか見当もつかない。別に口止めされている訳でもない」と述べているということです。
  イランでは2010年以降、ファクリザデ氏とは別に4人の科学者が暗殺されていて、いずれもイスラエルの関与が指摘されていますが、実行犯は判明していません。


2020.10.19-goo ニュ-ス(AFP-BB News)https://news.goo.ne.jp/article/afpbb/world/afpbb-3310573.html
イランとの武器取引に制裁科すと警告 米国務長官

  【AFP=時事】イランに対する武器取引の禁止を定めた長年にわたる国連の措置が解除されたとのイラン政府の発表を受け、マイク・ポンペオ米国務長官は18日、イランへの武器取引は国連の決議違反に当たるとの見解を示し、制裁につながると警告した。
  ポンペオ氏は声明で「米国はイランへの、またイランからの通常武器の供給、販売、または移転に本質的に寄与したいかなる個人または団体に対し、米国内当局を動員し制裁を科す構えができている」と断言。「中東の平和と安定を目指しテロとの戦いを支持するすべての国は、イランとのいかなる武器取引も控えるべきだ」と述べた。
  対イランの通常兵器の禁輸措置は、イランが2015年、世界の主要国と結んだ核合意を承認した国連決議に基づき、10月18日から段階的に解除されることが定められていた。イランはこれでロシアや中国などから武器を調達することが可能となり、段階的解除について、イランとの武器取引の無期限凍結を維持しようとしてきた敵国、米国に対する外交上の勝利と称賛した。
  ドナルド・トランプ米大統領は2018年、米国をイラン核合意から離脱させ、一方的な対イラン制裁を再び科している。
  ポンペオ氏は声明で「各国はここ10年間、国連のあらゆる措置の下、イランへの武器輸出を控えてきた。今、この禁止措置に反する国はいかなる国でも、平和と安全の促進よりも、対立と緊張をあおることを非常に明確に選択するということになる」と明言した。
【翻訳編集】AFPBB News


2020.5.29-Yahoo!!Japanニュース(JIJI COM)-https://news.yahoo.co.jp/articles/e293f34cd42a843035de6bdda3688d86d7d18b18
駆け落ちした10代少女を父親が斬首、激しい非難の声 イラン

  【AFP=時事】イランで15歳年上の男性と駆け落ちした10代少女が父親に首を切られ殺害される事件が発生し、国内で激しい非難の声が上がっている。ハッサン・ロウハニ(Hassan Rouhani)大統領は27日の閣議で遺憾を表明し、同様の暴力事案に対応する法案を早急に通す意向を示した。
  地元メディアによると、死亡したのはロミナ・アシュラフィ(Romina Ashrafi)さん。アシュラフィさんは21日、北部ギラン(Gilan)州ターレシュ(Talesh)の自宅で就寝中に父親によって斬首されたとみられている。
   男性が親族の女性を殺害するいわゆる「名誉殺人」とみられるこの事件はイラン国内で広く報じられており、地元紙エブテカール(Ebtekar)は一面で「安全でない父親の家」という見出しで報じた。
   報道によると父親が男性との結婚を許さなかったため、アシュラフィさんは家出。しかし、父親が警察に通報した後、アシュラフィさんは自宅に戻ったという。  またアシュラフィさんは当局に発見された際、自宅に戻れば命の危険があると訴えていたとイランメディアは伝えている。
   ただ、一般の人々を最も憤慨させていることは、父親が寛大な刑罰に処される可能性が高いことだとエブテカールは指摘。父親は3~10年の禁錮刑を言い渡される見通しだが、処罰が著しく軽減される可能性もあり、同紙はイランの「家父長制度」における「慣行化された暴力」の問題を強く批判している。
   ツイッター(Twitter)ではアシュラフィさんの名前を表すペルシャ語のハッシュタグが登場し、事件を非難する投稿が多く寄せられている。
   イランの法律では、女性が結婚できる年齢は13歳からと定められている。
【翻訳編集】 AFPBB News


2020.5.17-産経新聞 THE SANKEI NEWS WEB-https://www.sankei.com/world/news/200517/wor2005170001-n1.html
【主張】イランの米挑発 ウイルス禍に付け込むな

   米国は現在、新型コロナウイルスの最大の感染国となり、対策に追われている。そうした状況を受けて揺さぶりをかけたものとみられており、ウイルス禍を軍事行動の機会としたならもってのほかだ。
   トランプ米大統領は、嫌がらせがあれば「撃沈し破壊するよう指示した」と表明し、革命防衛隊の幹部も「米軍を破壊する」と応じた。革命防衛隊はさらに、イラン初の軍事衛星を打ち上げた。米政府はこれは弾道ミサイルの発射実験であり、国連安全保障理事会の決議違反だと猛反発している。
   今年1月、米軍がイラン革命防衛隊の精鋭部隊司令官を殺害し、イランが報復としてイラクの米軍駐留基地をミサイル攻撃した。
   米・イラン危機は、一触即発の事態が続いているとの認識が必要だ。トランプ大統領は、米議会が可決した政権の対イラン戦争行為を制限するための決議案に拒否権を行使している。
   イラン南部のオマーン湾では、イラン海軍艦船が訓練中、別のイラン艦船のミサイルが命中し、多数が死亡する事故も起きた。誤射とはいえ、危険極まりない。


2020.2.26-NHK NEWS WEB-https://www3.nhk.or.jp/news/html/20200226/k10012302621000.html
イラン 水たばこの提供禁止 新型ウイルスの感染拡大で


新型コロナウイルスの感染拡大が懸念されているイランでは、伝統的なしこう品で社交の場には欠かせない水たばこの提供が一部で禁止されるなど感染を防ぐ取り組みが続いています。
  イラン保健省は26日、これまでに新型コロナウイルスへの感染が確認されたのは前日より44人増えて139人、このうち死亡した人は4人増え19人となったと明らかにしました。死者の数は、中国を除くと最も多くなっています。
  こうした中、国営通信によりますと、首都テヘランの警察は、26日からレストランやカフェで、客に水たばこを提供することを禁止したということです。
  水たばこは伝統的なしこう品で社交の場には欠かせませんが、吸い口やホースなどの器具が使い回しされることから今回の禁止は感染を食い止める措置とみられています。水たばこの禁止は国内の複数の州でとられたということです。
  イランでは感染が確認されて以降映画館が閉鎖されたり、中には、結婚式を禁止にする都市も出てきていて、各地で人が集まることによる感染を防ぐ取り組みが続いています。


2020.2.21-産経新聞 THE SANKEI NEWS WEB-https://www.sankei.com/world/news/200221/wor2002210026-n1.html
強硬派躍進、要因は「司令官殺害で国民が怒り」 イラン革命防衛隊元幹部インタビュー

【テヘラン=佐藤貴生】イラン革命防衛隊の元幹部、キャナニモガッダム・ホセイン氏は20日までに産経新聞の取材に応じ、同隊の精鋭「コッズ部隊」のソレイマニ司令官が1月初旬に米軍に殺害されて有権者の怒りが高まったため、国会選では反米の保守強硬派が躍進するとの見通しを示した。
  ホセイン氏は「ソレイマニ司令官の暗殺を受け、最高指導者ハメネイ師が米国への報復を誓い、みなが怒りを覚えた。国民は保守強硬派に投票すると思う」と述べ、選挙により国会の議席の6割程度を保守強硬派やそれに近い勢力が占めると予測した。
  ホセイン氏によると、保守強硬派はイラン革命の指導者ホメイニ師を信奉しており、革命防衛隊の隊員らからも支持を受けている。首都テヘランの識者の間では、国会選を受けて革命防衛隊が内政・外交政策にいっそう大きな影響力を持つとの見方が多い。
  革命防衛隊はハメネイ師に直属する反米保守の牙城。イラクやレバノンでイスラム教シーア派の民兵組織を支援するエリート組織で、米国が強く批判してきた。国内での影響力強化により、イランと米国の関係がさらに悪化する可能性がある。
  ホセイン氏は、イランがソレイマニ司令官殺害を受けてイラクの駐留米軍基地に報復としてミサイル攻撃を行って以降、米国は目立った軍事行動を取っていないと指摘。両国は現在、「停戦のような状態にある」と評し、11月の米大統領選までは「互いの動きを監視しながら、この状態が続くのではないか」と述べた。
 ■キャナニモガッダム・ホセイン氏 イラン革命防衛隊の元幹部。イラン・イラク戦争(1980~88年)で部隊司令官を務め、その後も陸軍司令官としてイラクの反体制派勢力に対する工作などを担当。現在は保守系政党の事務局長を務める。


2020.2.10-NHK NEWS WEB-https://www3.nhk.or.jp/news/html/20200210/k10012279411000.html
イラン 人工衛星搭載のロケット打ち上げと発表

イラン政府は、9日、人工衛星を搭載したロケットを打ち上げたと発表しました。衛星は、予定していた軌道にはのらなかったということですが、アメリカは、こうしたロケット技術が長距離弾道ミサイルの開発に応用されるおそれがあるとして繰り返し非難しています。
  イラン政府は9日、首都テヘランの東部にあるセムナン州のホメイニ宇宙センターで、人工衛星を搭載したロケットを打ち上げたと発表しました。
  衛星は、高度530キロの軌道に投入される予定でしたが、国防軍需省の報道官は、スピードが足りず、軌道にはのせられなかったと説明していて、今後、原因を詳しく調べるとしています。
  ロケットを打ち上げる目的についてイランは、人工衛星を使い詳細な地形のデータを集めて地図を作ったり、災害に見舞われた地域の被害を確認したりするためだとして、平和利用を強調しています。
  また、今月11日に、親米の王制を打倒したイスラム革命から41年となる記念日を迎えるのを前に、今回のロケットの打ち上げを国威発揚を図る場と位置づけていたものとみられます。
  これに対し、イランと対立するアメリカは、こうしたロケット技術が長距離弾道ミサイルの開発に応用されるおそれがあるとして繰り返し非難していて、去年9月には、ロケットや人工衛星を開発するイラン宇宙機関などを制裁対象に加えています。


2020.2.6-IZA イザ-産経新聞-http://www.iza.ne.jp/kiji/world/news/200206/wor20020623580020-n1.html
ウクライナ機撃墜 ブラックボックスで攻防 関係国にいらだち

【カイロ=佐藤貴生】イランの首都テヘランでウクライナの旅客機が撃墜されてから、8日で1カ月になる。イランは当時の状況解明の鍵を握るブラックボックスを解析できないとしながら、他国には渡さない構えだ。ウクライナや57人が犠牲になったカナダはいらだちを強めており、ブラックボックス引き渡しをめぐる綱引きが続いている。
 カナダ外務省が5日に出した声明によると、同国はブラックボックスを解析能力のあるフランスへ直ちに送るようイラン側に要求した。ウクライナのゼレンスキー大統領も引き渡しを求めているが、イラン側は4日、他国と協力して調査する姿勢を示すにとどめた。
 ブラックボックスは操縦室のボイスレコーダー(音声記録装置)とフライトレコーダー(飛行記録装置)で構成され、イランが墜落直後に回収した。しかし、損傷している上に「世界で最も先進的装置」で解析に必要な機材がないとして、イランは1月後半に米仏の航空事故調査当局に機材を送るよう要請。両国から「前向きな返答はない」としていた。
 米紙ウォールストリート・ジャーナル(電子版)は1月下旬、ブラックボックスの解析で新たな事実が確認されるかは不明だとする一方、調査の「妨害者」という印象がイランのさらなる国際的孤立を招くとの見方を示した。
 ウクライナのテレビ局は今月2日、撃墜の瞬間を目撃したとされるイランの航空会社の操縦士が、「ミサイルのような光が見えた」「爆発だ」などと述べ、管制塔に確認を求める音声記録を公表。ゼレンスキー氏は「イランが当初から(撃墜を)知っていたことを示している」と述べた。
 イランはウクライナ側に供与した「極秘の証拠」がリークされたとし、一切の資料の提供を拒否する姿勢を示すなど態度を硬化させており、原因究明はさらに遅れることが予想される。

ウクライナ旅客機撃墜 
 1月8日早朝、イランの首都テヘランでウクライナ国際航空の旅客機が離陸直後に墜落、乗客乗員176人全員が死亡した。関与を否定していたイラン側は11日、防空システムの担当官が巡航ミサイルと誤認し、独断で短距離ミサイルを発射したと認めた。撃墜の数時間前、イランは革命防衛隊の精鋭部隊司令官がイラクで米軍に殺害された報復としてイラク駐留米軍基地をミサイルで攻撃し、反撃に備えて警戒態勢をとっていた。


2020.1.13-BBC news japan-https://www.bbc.com/japanese/51087590
イランで2日連続の反政府デモ 旅客機撃墜を受け

イラン政府がウクライナ航空機の撃墜を認めたことを受け、イランの首都テヘランなど数都市で11日夜に抗議デモが起こり、12日も続いた。撃墜では乗客乗員176人が全員死亡し、大半がイラン人だった。
  イラン政府は当初、首都テヘランの近郊で8日に起きたウクライナ機墜落への関与を否定。アメリカとの緊張が高まる中、11日午前に一転、「意図せず」撃墜したと認めた。
  これを受け同日夜、テヘランなど数都市で抗議デモが発生。最高指導者を批判する声が上がった。
  デモ開始から2日目となった12日には、デモ参加者と治安部隊との間で衝突が発生し、治安部隊が催涙ガスを使ったと報じられた。
米国旗を踏まない学生たち
  抗議デモには、警察の機動隊や、イランの精鋭部隊である革命防衛隊のメンバー、私服の治安当局職員らが多数出動した。
  それでも、デモ参加者たちは抗議行動を継続。政府系のファルス通信は、テヘラン市内各地で最大計1000人が抗議デモに参加したと伝えた。
  テヘランのシャヒード・ベヘシュティー大学では、多くの学生たちが、地面に描かれたアメリカとイスラエルの国旗を踏まないように歩いた。政府のプロパガンダへの拒否を象徴するもので、その様子は動画で確認できる。
  ソーシャルメディアに投稿されたいくつかの動画では、デモ参加者たちが「政府は敵はアメリカだとうそをついている、私たちの敵はすぐここにいる」などと、反政府の声を上げているのがわかる。デモ参加者の多くは女性だ。
  別の動画には、テヘランのアーザーディー広場でデモ参加者たちが手をたたいたり、声を張り上げたりしている様子が映っている。BBCペルシャ語によると、同広場では治安部隊が催涙ガスを発して、鎮圧に乗り出したという。
メディアからも「恥を知れ」
  2つの大学の近くでは11日、市民らが集まり、犠牲者に追悼の意を表明した。夕方になって抗議デモへと変わり、当局は解散させようと催涙ガスを使ったとされる。追悼集会は、国内の多くの新聞が取り上げた。記事には「恥を知れ」、「許されない」といった見出しがつけられた。
政府寄りの1紙は、「正直な」間違いの告白だとして政府を称えた。
12日にはテヘランで、アメリカによるドローン攻撃で殺害された、革命防衛隊のカセム・ソレイマニ司令官を支持し、アメリカとイギリスに抗議するデモもあった
  イランは8日未明、ソレイマニ氏殺害への報復として、イラクにある米軍2基地にミサイルを発射。それから間もなくして、イランからウクライナの首都キーウ(キエフ)に向けて離陸したウクライナ機が撃墜された。

米英の反応
アメリカのドナルド・トランプ大統領は12日、ツイッターで、「イラン指導者へ、抗議者たちを殺すな」と呼びかけた。
トランプ氏は、「イランではすでに何千人も殺害、投獄されていて、世界が見ている。さらに大事なことに、アメリカが見ている。インターネットを再び使えるようにし、記者を自由に歩かせろ! 偉大なイラン国民の殺害をやめろ!」とツイートした。


2020.1.13-日本経済新聞-https://www.nikkei.com/article/DGXMZO54339420T10C20A1FF8000/
イラン革命防衛隊、民間機撃墜で謝罪「最高レベルの警戒態勢下で誤射」と釈明

【ドバイ=木寺もも子】イラン革命防衛隊のサラミ司令官は12日、首都テヘラン周辺で起きたウクライナ機撃墜の経緯について「我々は過ちを犯した。人生でこれほど恥ずかしかったことはない」と国会で述べ、謝罪した。誤射は米軍からの攻撃に備え「最高レベルの警戒態勢にあった中で起きた」とも釈明した。
  革命防衛隊の航空部隊を率いるハジザデ司令官によると、8日未明にイラクにある米軍駐留拠点を攻撃した後、革命防衛隊は反撃に備えて極度の緊張状態にあった。同日午前6時ごろにウクライナ機を米軍の巡航ミサイルと誤認した防空システムの操作員は、通信の障害のため司令部と連絡が取れないまま、10秒ほどの時間で独断で撃墜を決断したという。
  ハジザデ氏は米国との緊張が緩和するまでイラン国内で民間機の飛行を禁止すべきだと求めていたが、認められなかったことも明らかにした。革命防衛隊内部や政府機関との間で意思疎通が円滑に行われていなかった可能性が高い。
  ハジザデ氏によると、革命防衛隊は8日のうちに誤射を認識していた。だが、イランは誤射の可能性を指摘する欧米に「真っ赤なウソだ」などと反発し、事実を公表したのは11日になってからだった。戦争につながりかねない軍事行動の独断やその後の混乱を受け、ミスを犯した革命防衛隊をイラン政府が十分に統制できていないとの見方も広がっている。


2020.1.11-NHK NEWS WEB-https://www3.nhk.or.jp/news/html/20200111/k10012242451000.html
イラン軍 撃墜を認める ウクライナ機墜落 人為的なミスで

ウクライナの旅客機がイランの空港を離陸後、まもなく墜落し180人近くが死亡した事故で、イラン軍は声明を発表し、誤って撃墜したことを認めました。
イラン軍「ウクライナ機 重要な軍施設に接近してきた」
  アメリカとイランの軍事的な緊張が高まっていた今月8日、イランの首都テヘラン近郊の空港を離陸したウクライナ国際航空の752便が墜落して、180人近い乗客乗員全員が死亡し、欧米各国はイランが誤ってミサイルで撃墜したとの見方を示しています。
  イラン側はこれを全面的に否定していましたが、イラン軍は11日、声明を発表し「ウクライナの旅客機は革命防衛隊の重要な軍施設に接近してきていた。こうした中で人為的なミスによって攻撃された」として、イラン軍が誤って旅客機を撃墜したことを認めました。
  そのうえで犠牲者と遺族に対し「哀悼の意を表するとともに、人為的ミスが起きたことを謝罪する」としています。
イラン軍「米が反撃を警告 当時 高レベルの軍事態勢」
  またイラン軍は声明で当時はイランがアメリカ軍のイラクの拠点を攻撃した直後だったことに言及し「アメリカの大統領や軍高官らがイランへの反撃を警告していたことから、イランでは当時、高度なレベルの軍事態勢をとっていた」としています。
  イランのザリーフ外相は11日、ツイッターで、「軍による内部調査の予備的な結論が出た。アメリカの冒険主義によって引き起こされた危機の際に起きた人為的なミスがこの悲劇につながった」と述べました。
  墜落したウクライナ機の乗客にはイラン国籍の82人とカナダ国籍の57人、またウクライナ、スウェーデン、アフガニスタン、ドイツ、イギリス国籍の人が含まれ、9日にはカナダのトルドー首相やイギリスのジョンソン首相がイランの地対空ミサイルで誤って撃墜されたという見方を示していました。
  またアメリカのトランプ大統領も誤って撃墜されたことを示唆し、ポンペイオ国務長官も10日、「イランのミサイルによって撃墜された可能性があると考えている」と話していました。


2020.1.10-Yahoo!!Japanニュース-https://news.yahoo.co.jp/byline/takahashikosuke/20200110-00158320/
墜落のウクライナ旅客機はイランが撃墜か。米CBSニュースやNYタイムズ紙が報道。イランは強く否定
(高橋浩祐-世界にかける橋-より)

イランの首都テヘランの空港近くで1月8日に墜落し、乗客乗員の計176人全員が死亡したウクライナ国際航空の旅客機は、イランによってあやまって撃墜された可能性がある、と米CBSニュースやニューヨークタイムズ紙が9日に報じた。
  CBSニュースは、アメリカの当局者がイランによるウクライナ機の撃墜について確信を得ていると報じた。ニューヨークタイムズ紙も、イランがあやまってウクライナ機を撃墜したと米当局者が強い確信を持っていると報道した
  CBSによると、ウクライナの旅客機が爆発する寸前に、イランの地対空ミサイル2発が発射されたのをアメリカの軍事衛星が確認したという。
  CBSの担当記者はツイッターで、「アメリカ当局者はウクライナ国際航空752便がイランによって撃墜されたことに確信を持っている。アメリカの情報当局は、起動中のレーダーの信号をキャッチした。そして、おそらく(イラン軍の)SA-15地対空ミサイルである2発の発射時の赤外線を(アメリカの)衛星が探知した。その後すぐに、爆発による別の赤外線探知が続いた」と述べている。

CBSによると、イランの航空当局は「アメリカ当局の結論は全く真実ではない」と述べたという。イラン革命防衛隊に関連するウェブサイトも「アメリカ情報当局の陰謀」と指摘し、イランによるウクライナ機撃墜を否定しているという。
  一方、トランプ大統領は9日午前、ホワイトハウスでこのウクライナ機墜落について問われ、「私は疑いを持ってきた」「それは悲劇的なことだ。しかし、相手側の誰かがあやまちを犯したかもしれない」などと述べ、イランによる撃墜を示唆している。
  カナダのトルドー首相も同日、同盟国や自国のインテリジェンス(機密情報)に基づき、ウクライナ機がイランによって撃墜されたとの見方を示した。
(関連記事:カナダのトルドー首相「イランがウクライナ機を撃墜」 - Y!ニュース
  墜落したのはボーイングの小型旅客機「737-800」型機。イランのメディアは技術的な問題が原因と伝えていた。このため、イランによるアメリカへの報復攻撃とは無関係との見方が広がっていた。ウクライナのプリスタイコ外相のツイッターでの発表によると、国別の死者数の内訳は、イラン人82人、カナダ人63人、ウクライナ人11人、スウェーデン人10人、アフガニスタン人4人、ドイツ人3人、英国人3人となっている。日本人はいなかった。

BBCによると、イラン当局は9日、このウクライナ機から回収したブラックボックスをアメリカ政府やボーイングに渡す予定はないと発表した。
米ミドルベリー国際大学院モントレー校不拡散研究センターのジェフリー・ルイス博士はツイッターで「これ(=撃墜)は驚くべきことではないだろう。軍隊が攻撃に備えて警戒している時に、まさにこの種のミスが起きるのだ」と指摘している。


2020.1.9-産経新聞 THE SANKEI NEWS WEB-https://www.sankei.com/world/news/200109/wor2001090012-n1.html
イラン、報復後に米へ書簡 反撃なければ攻撃せず

イラン革命防衛隊が8日にイラクの米軍駐留基地を弾道ミサイルで攻撃した直後、イラン政府がトランプ米政権に対して自制を求める書簡を送っていたことが8日、分かった。米国がイランに反撃しなければ、イランは対米攻撃を継続しないという内容で、米国に「理性的な行動」を要請していた。イラン政府筋が共同通信に明らかにした。
 米国の利益代表部を務めるスイスを通じ米国に送付された。イランが、イラクの米軍駐留基地へのミサイル攻撃という武力行使で国際社会に衝撃を与える一方、米国との本格的な紛争勃発を回避しようと裏で働き掛けていた実態が明らかになった。
 トランプ米大統領は8日の演説で、イランには軍事力を用いたくないとして反撃を否定。イランの書簡が米国の方針決定に影響を及ぼした可能性がありそうだ。(共同)


2020.1.8-日本経済新聞-https://www.nikkei.com/article/DGXMZO54152470Y0A100C2MM0000/
イラン、イラクの米軍基地に報復攻撃

【ワシントン=永沢毅】米国防総省は7日、イラクにある米軍の駐留基地がイランから十数発の弾道ミサイルの砲撃を受けたと発表した。中西部アンバル州のアサド空軍基地と北部アルビルの基地の2カ所が標的となった。被害状況は確認中だとしているが、米CNNは米国人の被害はないと伝えた。同省は「米国人とパートナー、同盟国を守るために必要なあらゆる手段をとる」と表明した。

イランは米軍によるイラン革命防衛隊司令官の殺害を受け、米国への報復措置に出た形だ。トランプ大統領はこれまでイランが報復に動いた場合は反撃する方針を示しており、今後の展開次第では大規模な軍事衝突に発展する恐れがある。
国防総省によると、攻撃は米東部時間7日午後5時半(日本時間8日午前7時半)ごろ。「少なくとも2カ所の米軍や有志連合が駐留する基地を狙って発射されたのは明白だ」と説明した。米メディアによると砲撃は計15発で、10発がアサド空軍基地に、1発がアルビルの基地にそれぞれ着弾。4発は外れたという。
アサド空軍基地はイラク最大規模の基地で、イラク軍支援にあたる米海兵隊が駐留する。アルビルには過激派組織「イスラム国」掃討作戦に加わる有志連合が駐留している。この数日のイランからの警告を踏まえて防衛のための適切な措置をとり、警戒レベルを引き上げていたとしている。
一方、イラン国営テレビは「イラン革命防衛隊が数十発のミサイルでアサド空軍基地を攻撃した」と報じた。米MSNBCは第2波の攻撃が始まったと伝えた。

ホワイトハウスによると、トランプ氏は報告を受けて状況を注視している。エスパー国防長官、ポンペオ国務長官ら安全保障チームと協議した。米メディアによると、トランプ氏は国民向けテレビ演説を検討したが、同日の実施は見送った。
イランは先に殺害された革命防衛隊の精鋭「コッズ部隊」のソレイマニ司令官の遺体埋葬の儀式など服喪期間が7日に終わったのを受け、報復措置に踏み切った。イラン最高安全保障委員会のシャムハニ事務局長は13の報復シナリオがあると予告していた。
米軍は12月末から段階的に中東への増派を繰り返し、イランの報復に備えて防衛体制を強化していた。AP通信によると、約5000人の駐留米軍は従来のイラク軍への訓練業務を一時停止し、イランからの防衛に専念する体制に入っている。


2020.1.7-産経新聞 THE SANKEI NEWS WEB-https://www.sankei.com/world/news/200107/wor2001070021-n1.html
中東緊張「今世紀で最も高いレベル」 国連事務総長、自制求める

【ロンドン=板東和正】国連のグテレス事務総長は6日、中東で米イランの緊張が高まっていることを受け、国際社会の緊張状態が「今世紀で最も高いレベルにある」と危機感を表明した。グテレス氏は、中東の緊張の高まりが関係国を「予想もできない結果や深刻なリスクを招くような決定に導く」として、「最大限の自制をし、対話を再開しよう」と各国に平和的な解決を呼びかけた。
 一方、米欧の軍事同盟、北大西洋条約機構(NATO)は同日、ブリュッセルの本部で臨時の大使級会合を開催。ストルテンベルグ事務総長は会合後に記者会見し、「イランはさらなる暴力と挑発を控えなければならない」と訴えた。
 NATOの会合では、米国が、イラン革命防衛隊の精鋭「コッズ部隊」のソレイマニ司令官を殺害した経緯などを説明。米国側の説明に特に異議を唱えた出席者はいなかったという。ストルテンベルグ氏は会見で、「われわれは、さまざまな異なるテロリスト集団を支援するイランを非難することで一致している」と述べ、米国を支持する姿勢を強調した。ただ、イランが米国への報復攻撃に踏み切った場合、NATO条約に基づき集団的自衛権を発動するかどうかについては明言を避け、現時点で臆測を述べることは「緊張緩和に寄与しない」との発言にとどめた。
 また、国際原子力機関(IAEA)は同日、イランが欧米など6カ国と2015年に結んだ核合意の履行を停止する第5段階の措置として、無制限にウラン濃縮を行うと表明したことについて「イランでの検証や監視活動を継続する」との声明を出した。イランの表明などをめぐり、欧州連合(EU)は10日、臨時の外相理事会を招集し、対応を協議する方針だ。


2020.1.6-NHK NEWS WEB-https://www3.nhk.or.jp/news/html/20200106/k10012236111000.html
イラン ウラン濃縮活動強化を発表 IAEAとの関係は維持

アメリカが一方的に離脱したイラン核合意をめぐり、イラン政府は5日、アメリカによる経済制裁に対抗するため、ウラン濃縮度も含め核合意で定められた制限に従わず、濃縮活動を強化すると発表しました。ただ、濃縮度の具体的な数値は示さず、IAEA=国際原子力機関との関係についてもこれまでどおり維持するとしています。
  イラン政府は5日、核合意をめぐり声明を発表しました。この中で、イランは核合意で定められた遠心分離機の数の制限に従わず、その結果、ウラン濃縮度を含め、濃縮活動の運用面での制限はなくなるとしています。
  ただ、濃縮度の具体的な数値は示さず、必要性に応じて計画を進めるという表現にとどめています。
  また、懸念されていたIAEA=国際原子力機関との関係については、これまでどおり維持するとしているほか、アメリカの制裁が解除され、イランが核合意の利益を確保できるならば、再び合意を順守するとしています。
  イランはアメリカが経済制裁を再開させたことで、核合意で約束された経済的利益が守られていないとして、段階的に対抗措置をとっていて、今回が5回目です。
  イランとしては核合意の完全な崩壊は避けつつ脅威を高めることで、ヨーロッパなど各国から経済支援策を引き出したい思惑があるものとみられます。
中国 発表に一定の理解
イラン政府が核合意で定められた制限に従わず、ウラン濃縮活動を強化すると発表したことについて、中国外務省の耿爽報道官は6日の記者会見で、「イランは外部要因によってやむをえず核合意の制限を低下させたが、同時に核合意を全面的に順守したい希望を表明するなど、自制的な態度も示している」と述べて、一定の理解を示しました。
  そして「問題の根本的な原因はアメリカが一方的に核合意を破棄し極度の圧力をかけていることにある」としたうえで、「関係国は冷静さと理性を保ち、核合意に関する意見の違いを外交と対話で解決するべきだ」と述べて、アメリカとイランの双方に対話への復帰を呼びかけました。
  またアメリカがソレイマニ司令官を殺害したことについて、耿報道官は「軍事的な冒険行為」だとして改めて批判したうえで、「アメリカに対し武力を乱用しないよう求め、関係国には事態の悪化を避けるため冷静さを保ち、対話で問題の解決をはかるよう促す」と述べて、アメリカとイランの双方に重ねて自制を求めました。


2020.1.5-Yahoo!!Japanニュース (産経新聞 THE SANKEI NEWS)-https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20200105-00000517-san-cn
ソレイマニ司令官殺害 中露はイラン支持、鮮明に

【ベイルート=佐藤貴生】イラン革命防衛隊の精鋭「コッズ部隊」のソレイマニ司令官が米軍に殺害されたことを受け、中露両政府の外相が4日までにイランのザリフ外相と会談し、ともに米国を非難した。トランプ米政権がイランの報復に備えて中東への米軍部隊の増派を決めるなか、中露がイランを支持する意向を示した形で、3カ国は米国への対抗を基盤に今後も連携していくとみられる。
  ロイター通信によると、ザリフ氏は3日にラブロフ露外相と電話で会談した。ラブロフ氏はソレイマニ氏の殺害に弔意を示し、両外相は「米国の行動は国際法に違反している」との見解で一致した。一方、ザリフ氏と4日に電話会談した中国の王毅外相は、米国は軍事力の乱用を停止して対話による解決を目指すべきだと述べた。
 ソレイマニ氏の殺害を受け、イランは米国に報復すると警告している。その時期や手段は不明だが、イランとしては、どのような事態になっても中露を後ろ盾に米国に対抗していく狙いとみられる。
  トランプ政権が中東での軍備増強に乗り出しイランとの軍事的な緊張が高まった昨春以降、中露はほぼ一貫してイランを支援。3カ国は先月末、オマーン湾などで初の合同軍事演習を行っている。


2020.1.4-NHK NEWS WEB-https://www3.nhk.or.jp/news/html/20200104/k10012235421000.html
米 中東地域に3000人増派 イランに対話呼びかけも

アメリカ政府は、イランの司令官を殺害したことでアメリカ軍に対する脅威が高まっているとして、中東地域におよそ3000人の兵士を新たに派遣することを明らかにしました。一方でホワイトハウスの幹部は、イランが報復措置をとらないようくぎを刺すとともに、アメリカとの交渉のテーブルにつくよう呼びかけました。
  アメリカ国防総省の報道官は3日、中東でアメリカ軍に対する脅威が高まっていることを受けた予防的な措置として、中東地域におよそ3000人のアメリカ軍の兵士を新たに派遣することを明らかにしました。
  国防総省によりますと、派遣されるのはアメリカ南部、ノースカロライナ州を拠点とする陸軍第82空てい師団の即応部隊で、中東のクウェートに展開するということです。
  一方、トランプ大統領は南部フロリダ州で演説し、「われわれは昨夜、戦争を止めるために行動を起こした。戦争を始めるために行動を起こしたのではない」と述べ、イランとの戦争は望まないという考えを改めて示しました。
  また、ホワイトハウスで安全保障政策を担当するオブライエン大統領補佐官は電話での記者への説明の中で、「イランが事態をエスカレートさせることを選択すれば非常に貧しい決定だ。それに代わる道筋は核開発をやめ、普通の国のようにふるまい、アメリカとの交渉のテーブルにつくことだ」と述べ、イランが報復措置をとらないようくぎを刺すとともに、アメリカとの交渉のテーブルにつくよう呼びかけました。
  ただ、イランは報復措置に踏み切る構えで緊張の高まりは避けられない情勢です。

サッカー米男子代表 中東ドーハでのキャンプ延期
アメリカサッカー連盟は3日、アメリカとイランの間で緊張が高まっていることを受けて、中東カタールの首都ドーハで予定されていた男子の代表チームのキャンプを延期すると発表しました。
  キャンプは今月5日から25日まで予定されていましたが、連盟は「当該地域で問題が起きている」として延期を決めたということです。
  カタールでは再来年にサッカーワールドカップが開催されることになっていて、連盟は「近い将来、カタールでプレーする機会を見つけたい」としています。


2020.1.4-NHK NEWS WEB-https://www3.nhk.or.jp/news/html/20200103/k10012234571000.html
司令官殺害 イランは報復措置の考え アメリカとの衝突に懸念

アメリカ国防総省はトランプ大統領の指示で、イランの精鋭部隊、革命防衛隊の司令官への攻撃を実施し、殺害したことを明らかにしました。イランの最高指導者は報復措置を取る考えを示しており、アメリカとイランの衝突につながることへの懸念が高まっています。イラクの首都バグダッドの国際空港近くで3日、車列が攻撃を受け、複数の死傷者がでました。
  アメリカ国防総省は声明を発表し、イランの精鋭部隊、革命防衛隊の実力者として知られるソレイマニ司令官を標的にした攻撃を実施し、殺害したことを明らかにしました。
  攻撃はトランプ大統領の指示で行われたということで、国防総省は、ソレイマニ司令官がイラクなどでアメリカの外交官や軍人を攻撃する計画を進め、多くのアメリカ人を死傷させたと主張しています。
  そして「今回の攻撃はこの先のイランによる攻撃を防ぐためだった」として攻撃の正当性を強調したうえで「アメリカは、国民と国益を守るためには世界のどこにおいても必要なあらゆる措置を取る」と警告しています。
  これに対し、イラン国内からはアメリカを強く非難する発言が相次いでいます。
  このうちイランの最高指導者ハメネイ師は「ソレイマニ司令官の殉職は、アメリカに抵抗する意欲を倍増させるものだ。犯罪者には厳しい報復が待ち受けている」と述べ、アメリカに対して報復措置をとる考えを示しました。
  また、ロウハニ大統領は、「アメリカによる身の毛もよだつ犯罪行為に対しイランは間違いなく仕返しをする」と述べています。
  こうした中、イラクの首都バグダッドにあるアメリカ大使館は3日、「緊張が高まっている」として、イラクに滞在しているアメリカ国民に対し、直ちに国外に退避するよう呼びかけました。
  アメリカ軍が直接、イラン国民からも人気が高い当局の実力者を殺害し、イランが報復措置に言及していることで、両国の衝突につながることへの懸念が高まっています。
  イラク政府が公表した攻撃のあとの現場の写真には、暗闇の中で路上で自動車とみられるものが燃え上がっている様子が収められていて、周囲には部品のようなものが散乱しています。
  また別の写真には、ガードレールの脇に燃えている物体が収められていますが、原形をとどめないほど壊れ何が燃えているのかは確認できません。
特殊任務の司令官 国民からの人気高い人物
殺害されたソレイマニ司令官は、イランの最高指導者ハメネイ師直轄の「革命防衛隊」の精鋭部隊を率い、国民から「英雄」と呼ばれるほど人気の高い実力者として知られていました。
  ソレイマニ司令官の精鋭部隊は「コッズ部隊」の名で呼ばれ、中東でイランの影響力を拡大させる工作活動を指揮するなど外国での特殊任務を担っていて、司令官自身、イラン国内で絶大な影響力を持つと評価されています。
  ハメネイ師からの信頼が厚く、大統領選挙への出馬を取り沙汰されたこともあります。ソレイマニ司令官の殺害を受けてハメネイ師に加えて、政界の有力者も相次いで声明を出し、このうちラリジャニ議長はソレイマニ司令官を「国民的な英雄だ」としたうえで「イラン国民は彼の死を黙って見過ごさない」と怒りをあらわにしました。

  またイラン政府に近いことで知られるテヘラン大学のマランディ教授は、国営テレビの電話インタビューで「ソレイマニ司令官はイラン国民から広く尊敬を集め、極めて人気がある人物だ。ソレイマニ氏への攻撃はアメリカの大きな計算違いだ。イラクにいるアメリカ人は直ちに国を離れたほうがよい」と述べて、イラクにいるアメリカの外交官や軍人らを標的にした報復攻撃が考えられるとして、強く警告しました。
  イランの国営テレビは司令官の殺害を受けて、テレビ画面の左上に黒い帯を表示し国をあげた追悼の意を表しました。

トランプ大統領「イランは交渉では負けなかった」
アメリカがイランの精鋭部隊、革命防衛隊の司令官を殺害したことを受けて、トランプ大統領は3日、ツイッターに「イランは決して戦争に勝たなかったが、交渉では負けなかった」と書き込みました。
  真意はわからないものの、トランプ大統領としてはイランに圧力を強めることで、アメリカとの交渉のテーブルに引きずり出そうというねらいがあるのではないかという見方も出ています。


アメリカ合衆国とイランの関係
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』


アメリカ合衆国イランの関係英語: Iran–United States relations)は、政治的には19世紀後半の半ばにナーセロッディーン・シャーが初めての公式大使としてミールザー・アボルハサン・シーラーズィーをワシントンD.C.に派遣したことに始まる。一方、合衆国も1883年サミュエル・ベンジャミンをイランへの初めての公式外交使節に任じている。
以後、イランとアメリカ合衆国は第二次世界大戦後の時代まで政治的・文化的な同盟国であり、この政治的同盟関係は1979年まで維持された。しかし一連の事件により、両国間の関係は緊張状態に入ることになった。

1950年代:石油国有化運動と転機
1952年から53年、民主的に選出されたナショナリスト首相モハンマド・モサッデグは急速に勢力を伸ばし、一時はモハンマド・レザー・シャーを短期亡命に陥れた(のち帰国し権力奪取)。1952年の諸事件は石油国有化運動、すなわちモサッデグによるアングロ・イラニアン石油会社(AIOC)(現ブリティッシュ・ペトロリアム)の国有化政策に端を発する。同社は20世紀初に英国によって設立され、英国85%・イラン15%の割合で利権を分割する協定を結んでいたが、イラン政府に財務報告を提出していなかった。アングロ・イラニアン石油会社による利権の独占の嫌疑により、イラン議会は同社の国有化を満場一致で可決した。この当時アングロ・イラニアン石油会社は英帝国最大の企業であった。
  合衆国と英国は、現在はCIAも認めている秘密作戦「アジャックス作戦」(: TPAJAX Project)を展開した。これはテヘランの合衆国大使館の指揮によるもので、反モサデッグ勢力の組織化を援助し、シャーを帰国させるというものであった。しかし作戦は失敗、シャーはイタリアに亡命した。その後同様の試みが行われて1953年イランクーデターが成功。モサッデグ政権は崩壊し、シャーは短期の亡命から帰国した。こののち、政府に対するシャーの権限を制約する憲法上の規定を撤廃。シャーはアメリカの支援下で専制君主として急速な近代化政策を開始し、一方でイランにおける民主主義の萌芽は独裁のもとに潰えた。
モハンマド・レザー・シャーはその支配において、合衆国から多大な支援を受け、アメリカから大量の兵器を購入した。自身しばしばホワイトハウスを公式訪問し、歴代大統領からの賞賛を得ている。シャーとワシントンの緊密な関係、大胆かつ急速な西洋化政策は、イラン人の一部、特に強硬なイスラーム保守層の慷慨を招くこととなる。
1979年のイラン・イスラーム革命以前、イランはペルシャ湾岸における重要な親米国家であり、イランは合衆国における最大の留学生数を持つ国の1つであった。
1979年イスラーム革命
1979年イラン・イスラーム革命が勃発。シャーは再度の亡命を余儀なくされた。新たに指導者となったアーヤトッラー・ホメイニーは直後から合衆国を「大悪魔」、「不信仰者の国」と痛罵した。
  合衆国のジミー・カーター政権はシャーに対するこれ以上の支援供与を拒否し、シャーの政権復帰に関心を持たないことを表明した。しかし当時を患っていたシャーが治療のため合衆国入国を申請すると困惑し、最終的にカーターは不承不承、入国を認めている。結局、このことはシャーが合衆国の傀儡であったというイラン人の印象を強める結果に終わった。
  イスラム革命時に、革命政権がアメリカ政府に対して、革命政権の承認、モサッデグ政権の打倒と傀儡のパフラヴィー政権の樹立、パフラヴィー政権時代の不平等な関係を平等互恵の関係に変更し、パフラヴィーが私物化した財産をイランに返還し、パフラヴィー元皇帝の身柄をイランに引き渡すことを要求したが、カーター大統領はその要求を拒否して、イランの在米資産を接収した。革命運動の一部の勢力はアメリカ政府の姿勢に対する反発で、1979年11月にアメリカ大使館を占拠し大使館員を人質にして、アメリカ政府に対する要求を継続した。カーター大統領はアメリカ大使館占拠事件に対して、1980年4月にイランに対する国交断絶と経済制裁を実施した。
1979年イランアメリカ大使館人質事件(詳細は「イランアメリカ大使館人質事件」を参照)
  1979年11月4日イマーム戦列支持ムスリム学生団が、アーヤトッラー・ホメイニーの支持のもとテヘランのアメリカ大使館を占拠した。これは大使館によるスパイ行為のためであった。52人のアメリカ人が444日間にわたって人質となった。1980年4月7日、合衆国はイランとの国交を断絶。1981年4月24日以降、スイス政府がテヘランの利益代表部を通じて合衆国の権益を代行した。一方、合衆国におけるイランの権益は、ワシントンD.C.のパキスタン大使館内に設けられたイラン利益代表部によって代行されることになった。
  1981年1月19日アルジェ合意により、オランダハーグイラン・合衆国損害裁定委員会が、合衆国とイラン相互の主張を処理するために設置された。ただしハーグを通じての合衆国とイランの接触は、法的問題に限定された。条約調印の1981年1月20日、人質は解放された。(「在合衆国イラン・イスラーム共和国利益代表部」も参照)

テロ支援国家指定
アメリカ政府は1984年にレーガン大統領がイランをテロ支援国家と指定し、2020年現在まで指定を継続している。
イラン・コントラ事件1986年、ロナルド・レーガン政権はイランに対する武器売却を、ニカラグアの武装勢力コントラを通じる形でおこない、売却資金をコントラへの支援とした。
プレイング・マンティス作戦
1988年4月にアメリカ合衆国とイランは直接交戦している。イランが行ったペルシア湾への機雷敷設に対し、アメリカ海軍が報復として攻撃を行ったものである。作戦名はプレイング・マンティス作戦4月14日に作戦は行われ、イランのフリゲートが撃沈された。なお、交戦は1日で終了した。
1988年イラン航空655便撃墜事件(詳細は「イラン航空655便撃墜事件」を参照)
1988年7月3日合衆国の巡洋艦ヴィンセンスが誤ってイラン航空エアバスA300B2を撃墜するという事件が発生。子供66人を含む6カ国あわせて290人の一般人が死亡した。ホルモズ海峡を越えたイラン領空内でのスケジュールにある民間航空機の撃墜であり、イラン側は強く抗議した。1996年2月22日、合衆国は撃墜によるイラン人犠牲者248人に対する補償6180万ドルの支払いに同意した。ただし3000万ドル以上と見積もられる航空機自体の補償は2020年現在に至るまでなされていない。
ヒズボラによる諸爆破事件
合衆国はイランを背景に持つヒズボラによる反合衆国テロ攻撃関与を非難した。これはアメリカ人17人が死亡した1983年4月アメリカ合衆国大使館爆破事件、レバノンで平和維持軍241人が死亡した1983年ベイルート海兵隊宿舎爆破事件、1996年のフバル・タワー爆破事件などである。
合衆国地方裁は2003年、1983年4月アメリカ合衆国大使館爆破事件について、イラン政府に支援されたヒズボラと呼ばれる当時の新組織によるものであるとの判決を下している。
  ベイルート爆破事件での死亡者241人の遺族による訴訟で、連邦地方裁判事ロイス・C・ランバースは2003年5月、同事件におけるイラン・イスラーム共和国の責任を宣告している。ランバースはヒズブッラーがイラン政府支援のもとに創設されたものであり、1983年の時点でイランに完全に依存していたこと、同事件の実行にあたってもイラン情報省とイラン安全保障部門の援助があったものとしている
  またフバル・タワー爆破事件についても、連邦裁判所がアリー・ハーメネイーの認可のもとに行われたものとする調査結果を出している
経済関係の変容
イスラーム革命以前、アメリカ合衆国はイランにおける最大の経済的・軍事的パートナーであった。したがって、急速なインフラストラクチャー産業の近代化にあたって、3万にものぼるアメリカ人がイランに居住し、技術的や教育的、あるいは顧問的役割を果たした。逆にこの結果として、あまりにも急速な近代化がイラン国民の多くに不安と不満を醸成し、1979年の革命につながったとの指摘もある。
  凍結されたイラン資産の問題はイラン政府の過敏に反応するところである。1979年のアメリカ大使館人質事件以降、合衆国は在合衆国の銀行預金、金、その他のイラン資産総計約120億ドルを凍結した。合衆国政府当局によれば、これらの凍結資産の大部分は、大使館のアメリカ人人質解放の取引にあたって凍結解除されたとされる。しかし若干の資産が革命以降の法的諸問題のため凍結解除が保留されている。これらの資産は、イラン政府の主張によれば100億ドル近くにのぼる。一方、合衆国政府の主張でははるかに少額であるとされる。
   イランと合衆国の経済的関係は、合衆国の制裁により、主にイラン側の食糧医薬品の輸入、合衆国側の食糧、カーペットの輸入に限られる。「合衆国に対する非常かつ重大な脅威」を抑止するための、イランに対する経済制裁1995年クリントン政権によって発動され、1995年の大統領令は合衆国企業およびその海外子会社のイランでのあらゆる商取引を禁じるもので「イラン石油資源開発に関する金融契約」も禁止された。加えて1996年、イラン・リビア制裁法(5カ年。2001年・2006年にさらに5カ年更新)により、年あたり2000万ドル以上をイランの石油天然ガス出資する外国企業にも、義務的・裁量的双方の制裁を科した。イランに対する経済制裁はブッシュ政権オバマ政権に継続されている。
2000年から2004年
2003年以降、合衆国はイランの核開発計画に関する情報を収集するため、イラクから無人偵察機を飛ばした。伝えられるところではほとんど新情報を入手できなかったが、イラン政府はこれを不法な主権侵害行為として正式に抗議している。
合衆国政府およびイラン政府相互の懸案
両国間の関係改善には深刻な障害が存する。合衆国政府の抱きうる懸案は以下の通り。・・・・・・・
軍事行動への脅威と緊張:2005年 - 2006年
合衆国によるイラン武力攻撃のおそれをめぐって
合衆国のイランに対する公式の立場は「イランの核武装は受け入れられない」ということであり、一方的武力攻撃および先制核攻撃を含む「あらゆるオプション」を「排除しない」というものである。しかしながら、合衆国政府は即時の攻撃準備については否定している。これはヨーロッパ3カ国、のいわゆるEU3カ国による濃縮活動停止協議中に、合衆国が濃縮活動を核兵器生産のためと主張したことに起因する。
  2020年現在、合衆国はイランの隣国4カ国イラクトルコアフガニスタンパキスタンにきわめて大規模な軍事的プレゼンスないし数十年にわたる軍事協力の歴史をもつ。
  ジョージ・W・ブッシュ大統領は2006年8月31日、ウラン濃縮停止要求に対するイランの抵抗には「結果が必要だ」とし、イスラエルとイランに支援されたヒズボラ戦争に見られるように「世界は現在、イランの過激な体制からの重大な脅威に直面している」と述べた。
対イラン戦術核兵器使用計画をめぐって
2005年3月、合衆国は非核保有国に対する先制攻撃予防戦争における核兵器の使用を含むドクトリンの改訂をおこなった。
同8月、元CIA職員フィリップ・ジラルディ]]は、副大統領ディック・チェイニー戦略軍にさらなる9・11型のテロ攻撃があった際に発動する非常事態計画を準備するよう指示し……イランに対する通常兵器および戦略核を用いた大規模空爆を含む……現実に合衆国に対する直接のテロ行動に関わっているイランには無条件で……」と述べたとする。小型核兵器による攻撃の理由は、目標が装甲され地下深く非核弾頭での破壊が困難であるためである。
イランの核開発計画に関わる要因
2003年以来、合衆国はイランが核兵器開発を計画していると主張。これに対し、イランは核開発計画は発電のみを目的にしていると反論している。
  2005年6月、合衆国国務長官コンドリーザ・ライスIAEA事務局長モハメド・エルバラダイについて、イランに対する姿勢をより強固にせねば、3期目の選出はないだろう」と述べている。合衆国とイランはともに核拡散防止条約(NPT)関係国である。2005年5月の1ヵ月にわたる会議上、IAEAは核燃料およびその処理について報告が不十分であるとして、イランがNPT保障措置管理に違反していると発表している。これに対し、NPT第4条では、非核兵器保有国に対して非軍事的原子力エネルギー開発の権利を認めており、さらに合衆国および他の公認の核兵器保有国は第6条違反であるとする反発があった。第6条は核軍縮を定める規定であるが、2020年現在で核兵器保有国がそれを行っていないとするものである。
  2003年から2006年初にかけて合衆国とイランの関係は逐次緊張を増した。この時期、IAEAによる核関連施設への査察が継続しており、これはイランが自発的に加盟したNPT追加条項に基づくものである。
  2006年3月8日、合衆国およびEU3カ国代表は、イランが未濃縮六フッ化ウランの保有を指摘、十分な濃縮が行われれば最大10個の原子爆弾製造が可能であり、これは「安全保障理事会が行動すべき時」と声明を発表した。ただし未濃縮ウランは、加圧水型原子炉ブーシェフル原子力発電所では使用できず、また濃縮がなければ原子爆弾にも使用できない。
合衆国・イラン間の緊張における石油その他戦略的諸要因
ステファン・ズーンズは共和党民主党とも、中東において合衆国の経済的戦略的構想に対し非協力的な産油国(すなわちイラン)を封じ込め、孤立させ、軍事的な威嚇への衝動があると述べている
  合衆国・イラン間で増大する緊張は、エネルギーにかかわる地政学的要因に起因するものであり、ほとんどの西洋世界のエネルギー的安全保障の将来にかかわる。これはすなわち最終的には、世界の1日の石油需要の40%が運ばれるホルムズ海峡の支配権に関わるためである
  この要因を持たないことにより、北朝鮮の核問題はイランほどには世界的な注意を引かなかったのである。

2003年から2006年の合衆国によるイラン主権侵害の疑い
合衆国無人偵察機によるイラン領空侵犯の疑い
2003年以降、合衆国はイランの核開発計画に関する情報を収集するため、イラクから無人偵察機を飛ばした。伝えられるところではほとんど新情報を入手できなかったが、イラン政府はこれを不法な主権侵害行為として正式に抗議している。合衆国のRQ-7 ShadowとHermes UAVはイランに墜落している。
2006年対イラン制裁
合衆国はイランの核開発、およびイラン政府によるイラクにおけるシーア派民兵に対する後方支援および財政的支援を問題として、国際的制裁を呼びかけた。後者についてイラン政府はこれを否定している。合衆国政府は2006年9月8日、合衆国金融機関関連の銀行を除いて、間接的取引を含めたイラン銀行との取引を禁ずる制裁を発動した。財務次官スチュアート・リービーの発表によれば、主要イラン国有銀行として、サーデラート・イラン銀行がヒズボラを含むテロ集団に対する資金移転を行った疑いがあるとされたためである。この時点ではイラン金融機関は合衆国の金融市場での直接の取引は禁止されたが、第三国を通じての取引は可能であった。その後サーデラート・イラン銀行による取引は第三国経由でも凍結されているが、リービーによればイランのその他の銀行に対しては適用されないとされている。右の制裁はイランおよびヒズボラに対するブッシュ政権の新たな努力であり、リービーは2001年以降、ヒズボラ支配下の組織にサーデラート・イラン銀行を通じて、イランから直接に5000万ドル以上が流入しているとする。その上で、合衆国政府はイランとの取引を行わないようヨーロッパ銀行および金融機関を説得したいとしている。
2007年の合衆国による在イラク・イラン総領事館襲撃事件
1月12日、合衆国の武装部隊がイラクアルビールのイラン総領事館を襲撃し、5人のスタッフの身柄を拘束する事件が起こった。
  報道によれば、合衆国部隊ははじめに建物周辺にヘリコプターで着陸、領事館のゲートを突破して警備員を武装解除、その後複数の文書および機材を没収し、5名の領事館員の身柄を拘束していずれかへと連れ去ったという。
  周辺住民は外出することができなかったといい、外出した3人は逮捕された。取材に対し、外出した夫が部隊に逮捕されたと周辺住民の女性が確認している。この事件について、ロシア外務省のミハイル・カミーニンは領事関係に関するウィーン条約違反であるとして非難している。また同地域を管轄するイラクのクルディスターン地域政府も衝撃と容認しがたい旨を表明している。一方、米国防総省のスポークスマン、ブライアン・ウィットマンは、当該建物は領事館や政府施設ではないと仏AFPに対して回答している。またイラク外相のホーシュヤール・ズィーバーリーは当該建物はイラン政府の認証を受けた政府機関であるが正式な接受を伴わない経過中のオフィス(リエゾンオフィス)であるとし、同条約36条違反には当たらないとした。
  イラク関連木曜聴聞会では、デラウェア選出民主党上院議員で、上院外交委員長をつとめるジョー・バイデンが、コンドリーザ・ライス国務長官に対し、ブッシュ政権には国境を越えての作戦権限はないと表明している。バイデンは「現在、大統領に対して与えられた権限は、イラクでの武力行使のそれであってイラク以外に対するものではない、と私は考える。このような行動には議会の承認が必要である。この点を強調しておきたい」とした。
  木曜朝、イラン外務省はイラク外務省に書簡を送付し、イラン・イラク関係へのブッシュ政権の干渉を停止させるよう依頼し、総領事館襲撃について抗議している。同書簡では「我らはイラク政府が先述の個人の自由の回復のため即刻処置を講じ、合衆国部隊のこのような手段を断罪するよう希望する。本件を追求し、逮捕者の解放に当たることはもとよりイラク政府およびイラク領クルディスターン自治政府当局の責任である」と述べられている。
イランからの関係修復の表明
イラン政府はイスラム革命時から1989年にホメイニー師が死去するまではアメリカに対して強硬な姿勢だったが、その後は、アリー・ハーメネイー師、ハーシェミー・ラフサンジャーニー大統領、、モハンマド・ハータミー大統領、マフムード・アフマディーネジャード大統領などが、アメリカがイランに対する敵視政策を止め、アメリカもイランも互いに相手国を理解し、相手国の立場を尊重し、平等互恵の関係を追求する政策に転換するなら、イランはいつでもアメリカとの関係を修復すると表明している。ラフサンジャーニー大統領は1996年のアトランタオリンピックに選手を派遣した。ハータミー大統領は文明の対話を提唱し、2001年9月11日のアメリカに対する武力行使を非難し、被害を受けた人々に哀悼を表明した。アフマディーネジャード大統領はイラク国民が選挙で選出した議会と政府の樹立後の、イラク治安の回復に協力すると表明している。
核開発問題(詳細は「イランの核開発問題」を参照)
  イランの核開発については、イラン政府は常に、イランの核開発は平和利用の原子力発電のためであり、軍事目的の核兵器を開発する意思は無いと主張している。しかし、国連安保理常任理事国であるアメリカ、ロシア中国、イギリス、フランスの5か国の政府とドイツ政府は、イラン政府の主張は本音・真実ではなく、軍事目的の核兵器の開発のための偽装であるとの疑いを持ち、国連安保理は2006年12月、2007年3月、2008年3月にイランを制裁する決議を採択した。しかし、イラン政府は国連安保理の制裁決議は受け入れないと表明し、イランの平和利用目的の核開発は誰にも妨害させない、誰も妨害できないと主張している。アメリカの国家情報会議(NIC)は、イランは2003年に核兵器の開発を中止しているので、アメリカ政府が主張するイランの核兵器開発疑惑は事実ではないと政府に報告した。
核エネルギー開発に関する非欧米の見方
  欧米がこの問題や、その他の事柄でイランを極度に危険視してとりあげるのは、イランが欧米に依存しない、イスラムという価値観に基づく体制だからである、という見方がイランではある(下記の「イランの主張」参考)。 一方、日本ではイランが危険な国であるかのような論調があるが、アフマディネジャド大統領は一貫して核兵器を持つつもりは無いとし、「核爆弾は持ってはならないものだ」とアメリカのメディアに対してはっきりと言い切っている(Newsweek誌2009年10月7日号)。その上で、アメリカの学生と大統領自身がニューヨークで交流するなど欧米に対して対話する努力を積極的に行い、アジア南米ヨーロッパなど様々な国のトップなどとも交流し、国内でも女性の閣僚指名(女性の権利の向上)などの画期的な改革を行うなど、様々な努力を行っている。また、イランは中国とも同盟を結んでいる。そのため、イランに理解を示す国々は日本ではあまり知られていないが数多くあり、イランが危険だから核エネルギー開発も阻止されなければならないという論理は決して世界共通とはいえなく、トルコブラジルベネズエラキューバエジプト、その他の非同盟諸国もイランの平和的核エネルギー開発を支持している。2009年10月にトルコのレジェップ・タイイップ・エルドアン首相はイランを訪れ、アフマディネジャド大統領と会談した際に「核エネルギーの開発はイランの権利である」というイランの立場に理解を示し、当然であるとの姿勢を示した。また、 非同盟諸国は2006年9月の首脳会議でイランによる平和利用目的の核開発の権利を確認する宣言等を採択した。
2009年~2010年対イラン干渉
2009年のイランの反アフマディネジャド派の大規模なデモにはイギリス大使館の関係者が関与していたことが報道されているが[48]、イラン情報省海外担当次官は、大統領選挙後のデモの発生にアメリカとヨーロッパのの財団・機関が関与していた事実があったとし、「ソフトな戦争」を仕掛ける60の欧米団体の実名をイランのメディアに対して公表している。 その中で、担当次官は「こうした欧米の財団・機関は(イランの)体制転覆計画遂行のために「民間外交」「学術交流」「メディア交流」などを用いて、専門家や芸術家、大学教授、政治関係者、メディア関係者など、特定の社会階層の人々を誘惑・捕獲する計画を実行してきた。そうすることで、彼らは「ソフトな戦争」というアプローチの下、社会一般に影響を及ぼそうとしてきたのだ」と述べている。
  大統領選挙後、日本の新聞でもアメリカがイランの体制の根幹にゆさぶりをかける、という内容の記事が掲載されたことがあり、米Newsweek誌2010年2月3日号でもアメリカ政府関係者がこの頃のデモに関して「反体制派の力を強め、支配層内部に亀裂を広げるために行動すべきだ」、「(このイランの混乱のチャンスを利用すれば)イランが内政と外交の両面でかなり行儀のいい国になる-その可能性がある以上、リアリストもこのチャンスを逃すわけにいかないことは分かるはずだ」とイランへの内政干渉を完全に肯定し、イラク、アフガニスタン侵攻時にみられたのと同じく「西欧化」を押し付けようとする覇権主義的な発言をしている。 また、イランで民間人の交流もあまりないアメリカの人間がイラン国内で捕まる事件が起こっていることに関して、アフマディネジャド大統領は「イランの法を犯すなと助言してもらいたい」とアメリカのメディアに対して警告している。

  2010年2月の31周年目のイラン・イスラム革命勝利記念日の行進には数千万人の体制派のイラン国民が参加し、同二月ハーメネイ師が「イラン・イスラム共和国は今年、覇権主義者との闘争(長年に渡る内政干渉と国際的な干渉)において、数十回目の勝利を遂げ、彼らを打ち負かした」と強調し、今年もイランは革命を守りぬいたことをその声明で述べた
  2010年2月23日、反体制派組織『ジョンドッラー』(「神の兵士」の意)の首領アブドルマーレク・リーギーが逮捕された。会見にあたったヘイダル・モスレヒー情報相は「このテロリストは2008年6月から7月にかけて、ジブラルタル海峡を渡って欧州の某国に渡航、そこでイランで破壊活動をするようこの男に要請がなされた」と説明した。続けて情報相はリーギーが逮捕の24時間前にアフガニスタンの米軍基地にいたところを撮影した写真を示し、さらにアメリカによって提供された同テロリストの身分証明書ならびにパスポートを見せた上で、「われわれは米英ならびに覇権体制の諜報機関に警告する。テロリストへの支援はやめよ」と語った。
  2010年2月27日付、リーギーは米当局が彼の率いるテロ集団に対して、各種武器や爆弾、通信機器などを提供していたことを認めた。さらに「アメリカ中央情報局(CIA)の幹部らは、イランと敵対し、同国に対抗する能力をもった組織であれば、いかなる組織であれ、それを支援するという考えをもっている。アメリカが〔直接〕イランに対して軍事攻撃を仕掛けることは困難だからだ」とも語り、ドバイの米関係者らは彼に対し、「イラン問題こそ問題だ」と明言、アメリカは彼に、「今や問題はターリバーンでも、アルカーイダでもない」と言ったという
イランの主張
また、上記と同じ声明の中で最高指導者ハーメネイー師は、「我々は覇権主義、支配体制、数カ国による世界征服に反対であり、それに立ち向かう。この数カ国の政府が、世界の運命をもて遊ぶのを許しはしない」と述べ(革命以前のイランはアメリカの傀儡を受けるパーレヴィ皇帝の圧制が敷かれていた)、イランに対する核問題、人権民主主義に関する虚言や口実探しの最大の原因は、イラン国民の(彼らへの)抵抗と(体制への)断固とした立場にあるとし、「現在、アメリカは再度、過去と同様、自らの役人をペルシア湾に送り込み、虚言を繰り返そうとしているが今やこのような言葉を信じる者は誰もいない。なぜならアメリカは、地域の国民の利益を考えたことはなく、その逆で、可能な限り、地域を自らの不当な利益の下で蹂みつけにしている」と述べた。さらに、本当に好戦的なのはアメリカであると強調し、「アメリカは、ペルシア湾を兵器庫にし、イラクアフガニスタンを攻撃し、パキスタンをも侵略している。このような状況の中で、イラン・イスラム共和国に対して虚言を浴びせている」と述べた。
  2010年1月には、イラン政府が自国への欧米の干渉政策の理由を、さらに具体的に述べている。イランの情報省海外担当次官は、イラン国営通信とのインタビューの中で、米英をはじめとする覇権主義体制がイラン人民によるイスラーム革命に対してなぜ敵意を抱いているのかということについて、「この(イスラムの価値観に基づく)革命(体制)は、短期間のうちに世界中の大衆に認知され、歓迎を受けた。そのため、米英をはじめとする覇権体制の諜報機関による体制転覆計画の標的となってしまったのだ。彼らはイラン・イスラーム共和国に対して侵略的な「ソフトな体制転覆」(実際的な戦争などでない内政干渉など)計画を企てた。この目的を達成するために、これまでにかなりの額の予算が正式に認められ、割り当てられている。」と述べ、アメリカ、ヨーロッパの干渉についてのイラン政府の見方を示した。
対イラン制裁(2010年)
2010年2月16日クリントン米国務長官は中東歴訪を終え帰国した。国連安保理による対イラン制裁の強化に向け、湾岸諸国の協力を取り付けるのが狙いとみられていた。カタールでは「イランは軍事独裁に向かっている」と発言、サウジアラビアなどでも同じような発言を繰り返した。オバマ政権は、政権発足以来対イラン外交の強化を方針としてきたが、一転して制裁などの強硬姿勢を前面に押し出している。2010年7月1日、オバマ政権はイランの金融・エネルギー部門と取引する企業への制裁強化を柱とする対イラン制裁法案に署名、同法は成立した。イランにガソリンを輸出する企業や、核開発にも関与する革命防衛隊と取引する金融機関への制裁を盛り込んでおり、米国の対イラン独自制裁としては史上最も厳しい内容である








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