スリランカ民主社会主義共和国-1(インドに横に位置するセイロン島)(sri・lanka)


2024.10.23-産経新聞-https://www.sankei.com/article/20241023-T6WSP7N2SNKBBIVT5FTH6YFGCY/
中国の債務の罠が生むゾウ被害 スリランカの国際空港近くで群れに遭遇、命失う住民相次ぐ

  草原の間を抜ける立派な幹線道路で車を走らせていると、道路わきのガードレールの先に野生ゾウの群れが現れた9月に訪れたインド洋の島国スリランカでの出来事だ

  車をとめて、車窓からしばらくながめていたが、人間を見て動き出す様子はない。子ゾウを守るように10頭ほどの大きなゾウたちが草をはみ続けていた。
  スリランカに生息するのはアジアゾウの中で最大の亜種スリランカゾウ。かつて密猟などで数を減らしたものの、保護が進み、今では全土で約7千頭にまで数が増えてきた。一方で、開発により生息地を追われ、人間との摩擦も生んできた
  ゾウに出くわした場所は、スリランカ南東部にあるマッタラ・ラジャパクサ国際空港のすぐ近くだ。スリランカが中国からの巨額借金で建設したが、ほとんど利用されておらず、米誌フォーブスにかつて「世界で最も空いている空港」と揶揄(やゆ)されたこともあるスリランカは国際社会からの相次ぐ借金が返せなくなり、2022年に事実上のデフォルト(債務不履行)に陥った。2国間債務で最大の債権国、中国の外交圧力を受け、近くにあるハンバントタ港の運営は中国に引き渡してしまい、こうした事業は「債務の罠(わな)」の典型といわれている。
  近くの商店の男性店主が、約10年前にそんな「無用の長物」が開業して以降相次ぐゾウ被害を教えてくれた。1カ月ほど前の夕方、付近の民家の前に大きなゾウが現れ、在宅中の主婦が大声を出したところ、侵入防止用の電線を壊して近づいてきた。主婦が常備していた爆竹を鳴らして追い払おうとすると、ゾウはさらに凶暴になり、主婦を殺してしまったという。
  スリランカでは昨年だけで170人余りがゾウの被害で命を落としたと報道されている。店主は「このあたりでは、空港や道路、港の開発ですみかを失ったゾウがウロウロしている。毎月のように人が殺され、農作物の被害もひどい」と打ち明けた。
  生息地を追われたのはゾウだけではない、車を走行中、多くのクジャクやサル、それにキツネにまで出会った。道路沿いには「危険 クジャクが前方に」と注意を呼び掛ける道路標識が並ぶ。
  空港や港といった大型公共事業の借金の返済に追われ、スリランカ国民の生活は苦しさを増した。しかも、こうした事業には汚職疑惑がつきまとう。その結果、9月の大統領選では、国会(一院制、225議席)にわずか3議席しかもたない左派マルクス・レーニン主義政党の党首が当選した。
  人間の生活圏をゾウが徘徊(はいかい)し、人命が失われていることだけを取っても、国民の怒りは理解できる。
  案内人の男性は「ゾウをきちんと観光資源として活用すれば、人々の暮らしをよくするはずだ。それなのに、政治家は自分の懐のことばかり考えている」と不満をぶちまけていた


2024.09.23-産経新聞-https://www.sankei.com/article/20240923-XYWQSHB2ARKPJL4IBED5LP3BUM/
スリランカ大統領選、左派野党党首が当選 親中傾斜か、現職らを破る

  【コロンボ=岩田智雄】インド洋の島国、スリランカ21日に投票された大統領選挙は22日、左派連合・国民人民勢力(NPP)を率いる野党・人民解放戦線(JVP)のディサナヤカ党首(55)が現職のウィクラマシンハ大統領(75)らを破って当選した。スリランカの選挙管理委員会が発表した。

  経済危機への対応策が争点だったが、スリランカを支援する国際通貨基金(IMF)や債権国との今後の関係が注目される。
  ウィクラマシンハ氏は、IMFや中国、日本など債権国との合意で経済再建を進めたが、増税など痛みを伴う改革や政治の汚職疑惑が国民の反発を招き、落選した。
  ディサナヤカ氏は、改革を見直すため、IMFとの再交渉を掲げる。ただ、NPPは国会(一院制、225議席)に3議席しか持たない。地元メディアによると、同氏は当選を受け、早期に解散総選挙に打って出ることを改めて表明した。
  JVPは、マルクス・レーニン主義を掲げ、1970~80年代に武装闘争を展開した歴史がある。現在は穏健化しているとはいえ、国政指導者としての経験がないディサナヤカ氏が国際社会とどう関係を築くのか見通せない隣国インドでは対中傾斜への警戒感がくすぶる
  スリランカは、巨額債務で2022年にデフォルト(債務不履行)に陥り、中国に南部ハンバントタ港の運営権を引き渡したのは「債務(さいむ)の罠」の典型とされる


2023.11.29-産経新聞-https://www.sankei.com/article/20231129-5FJEZDQAIRNRFE3QOLAXOZ473A/
スリランカ債務軽減で合意 日印ら17カ国、中国不参加

  財務省は29日、経済危機に陥っているスリランカの債務負担を巡り同国と日本など17の債権国の間で、負担軽減策が基本合意に達したと発表した。繰り延べや金利の見直しが柱で、元本の削減は入っていないという。ただ、債権額が最も大きい中国は合意に入っておらず、スリランカの経済再生には不透明さが残る

  合意した17カ国は、日本のほか、インドやフランスなどが含まれている数週間以内に正式契約を結び、国際通貨基金(IMF)の金融支援につなげる。中国など今回の合意に参加していない債権国に対しては、透明性を確保するため、同等の条件で対応するよう促した
  スリランカは、テロや新型コロナウイルス禍で主力産業の観光が打撃を受けて財政が悪化し、対外債務の支払いを停止する事態に陥った公的な対外債務は2023年3月末時点で113億ドル(約1兆7千億円)に上る。中国は42%を占め、日本が24%、インドが15%、フランスが4%と続く。


2023.05.25-産経新聞-https://www.sankei.com/article/20230525-Y2GZ2WB3MNNIBEPXTHTLOSIVWE/
中国の「債務のわな」解決へ協議 日スリランカ首脳会談

  岸田文雄首相は25日、スリランカのウィクラマシンハ大統領と官邸で会談した。経済危機に直面するスリランカの債務再編に向け、全ての債権国が参加する透明で公平な協議が重要だとの考えで一致した。同国は、途上国を借金漬けにして権益を奪う中国の「債務のわな」に陥っているとされ、中国に責任ある対応を求める狙いがある。

  首相は会談冒頭、スリランカは「『自由で開かれたインド太平洋』の実現のための重要なパートナーだ」として、「両国の包括的パートナーシップのさらなる発展に向けて議論をしていきたい」と表明した。
  ウィクラマシンハ氏は「日本の助けなしに債務再編をこれほど迅速に行えなかった」と述べ、過剰債務問題の解決に向けた日本の支援に謝意を伝えた。
  政府は4月、フランスやインドと共同でスリランカの債務再編に向けた債権国の協議体を発足させた。今月から本格的な議論を始めたが、最大の債権国である中国はオブザーバー参加にとどまり、中国の対応が最大の焦点となっている。
  スリランカは中国の巨大経済圏構想「一帯一路」関連の投資を受けて対中債務が増加。返済に行き詰まり、2017年に南部ハンバントタ港の運用権を中国側に99年間貸与することとなった。22年には、新型コロナウイルス感染拡大で外貨獲得の主力産業だった観光業が影響を受けて外貨不足に陥り、デフォルト(債務不履行)状態となった。


2023.04.13-中央日報-https://s.japanese.joins.com/JArticle/303216
「デフォルト」スリランカ、サル10万匹の中国輸出を検討…「食用・実験用」懸念

  デフォルト(債務不履行)に陥ったスリランカ国内のサル約10万匹を中国に輸出することを検討している。

  13日(現地時間)のエコノミーネクストなどスリランカメディアによると、スリランカ農業相は前日、中国が自国の動物園およそ1000カ所で飼育する観覧用のサルとしてスリランカのサル「トークマカク」を要請してきた、と明らかにした。続いて「こうした要請を検討するために委員会を構成した」と伝えた。ただ、販売価格など輸出契約条件は具体的に伝えられていない。
  トークマカクは体長43-55センチで体格が小さい。スリランカに200万-300万匹が生息するというが、この国では「招かざる客」となっている。数十匹ずつ群れをつくって農産物に被害を与えるからだ。

  スリランカ当局は今年、イノシシ、クジャクなどと共にトークマカクを保護動物リストから削除した。これに先立ちシリセーナ前大統領は「サルが作物の3分の1をつぶしている」とし、大々的なサル狩りを許容することにした。
  しかしトークマカクはスリランカでは多いが、世界自然保護連盟(IUCN)から絶滅危機動物に指定されている。動物団体はスリランカのサル輸出政策に反発し、「中国がそれほど多くのサルを一度に要請したのには他意があるのでは」と疑惑を提起した。
  スリランカ動物権利保護団体「環境財団」側は「中国がなぜそれほど多くのサルを望むのか知りたい」とし「食用、医療研究用など他の目的があるかもしれない」と憂慮した。
  一方、スリランカは昨年、燃料や医薬品など輸入代金を支払えないほど外貨保有額が枯渇し、危機を迎えている。財政政策の失敗とコロナ後に急増した対外負債が重なったからだ。昨年4月にデフォルトを宣言したスリランカはIMFと救済金融交渉をし、IMFは先月20日、4年間・30億ドル(約4000億円)の救済金融を支援すると明らかにした。



2022.08.19-産経新聞-https://www.sankei.com/article/20220819-EZ64N7NRM5MGJB5IVQUWZT6BVE/
中国の慎重姿勢に…スリランカ大統領、日本主導の債務協議を希望

  経済危機に陥っているスリランカのウィクラマシンハ大統領は18日、ロイター通信のインタビューに対し、債務再編協議を主導するよう日本に依頼する考えを示した9月に訪日し、岸田文雄首相と会談することも検討しているという。

  主要債権国は日本や中国、インドなど。スリランカは国際通貨基金(IMF)と金融支援交渉を続けながら、並行して債権国との協議も進めている。だが中国は債務の圧縮に慎重な姿勢を続けており、先行き不透明感が強い
  インドと中国は領土問題を抱えて対立。スリランカへの影響力を高めようとしのぎを削っており、債務を巡る交渉が難しくなっている。ウィクラマシンハ氏はスリランカ屈指の親日政治家として知られ、日本の主導で円滑に協議を進めたい考えだとみられる。(共同)


2022.08.16-NHK NEWS WEB-https://www3.nhk.or.jp/news/html/20220816/k10013774421000.html
スリランカに中国調査船入港 隣国インド「監視目的」と警戒感

  インド洋の島国スリランカの港に、16日、中国の調査船が入港しました。中国は、海洋調査の船だとしていますが、隣国インドではインドの弾道ミサイルなどの監視が目的ではないかという見方も伝えられ、警戒感が出ています。

  中国外務省によりますと、中国の調査船「遠望5号」が16日、スリランカ南部のハンバントタ港に入港しました。船は、海洋調査が目的で、必要な物資の補給が完了するまで、しばらく停泊するとしています

  一方、インドメディアは、この船は、インドの弾道ミサイルや人工衛星などの発射を監視するのが目的だとする見方を伝えていて、インド洋一帯を偵察する可能性があるなどとも報じています。
  船が入港したハンバントタ港は、中国の巨大経済圏構想「一帯一路」に基づいて建設が進められたものの、融資の返済が滞ったことを理由に、運営権が99年間にわたって中国側に譲渡されています
  インドでは、この港が、インド洋でのアジアと中東を結ぶシーレーン、海上交通路の要衝に位置することから、今回の調査船の寄港は、中国がこの地域に影響力を強める動きではないかと警戒感が出ています。
中国外務省報道官「国際法に沿って海洋調査活動」
  中国の調査船がスリランカの港に入港したことについて、中国外務省の汪文斌報道官は16日の記者会見で、インドで警戒感が出ていることを念頭に「『遠望5号』は国際法と国際的な慣例に沿って海洋調査活動を行っており、いかなる国の安全保障や経済的利益にも影響せず、第三者による干渉を受けるものでもない」と述べました。


2022.07.21-中日新聞-https://www.chunichi.co.jp/article/511831
スリランカ新大統領に首相を選出 ウィクラマシンハ氏

  【コロンボ共同】経済危機の混乱が拡大するスリランカの議会は20日、新大統領にウィクラマシンハ首相を選出した。21日に正式に就任する見通し。

  国民生活の立て直しに向け、国際通貨基金(IMF)や主要債権国である中国や日本、インドとの金融支援交渉の陣頭指揮を執る。混乱収束に導くためには、安定した挙国一致内閣の成立が求められるが、曲折もありそうだ。 スリランカでは13日にラジャパクサ大統領(当時)が国外逃亡し政権が崩壊。ウィクラマシンハ氏はラジャパクサ一族が実権を握る与党スリランカ人民戦線(SLPP)の支持を得たことが最大の勝因となった。


2022.07.15-産経新聞-https://www.sankei.com/article/20220715-BZYY5GWPJZJLLOCKMUJHNYPNKU/
スリランカ大統領、正式辞任 国民の不満解消は未知数

  【シンガポール=森浩】経済危機に直面しているスリランカのアベイワデナ議会議長は15日、抗議デモ激化を受けて国外逃亡したラジャパクサ大統領の辞表を受理したと正式発表した。アベイワデナ氏は新大統領が7日以内に選出されるとの見通しを示したが、経済危機収束に妙手はなく、政権交代で国民の不満が解消されるかは見通せない。

  ラジャパクサ氏は13日未明に妻、護衛2人と軍用機でモルディブに逃亡し、14日にシンガポールに移動した。シンガポールから辞任に関する文書をアベイワデナ氏側に送ったという。シンガポール外務省によると、ラジャパクサ氏は亡命を希望していないといい、他国に移動する可能性がある。
  次期大統領は議会での投票によって選出される。当初、投票は20日に予定されていたが後ろ倒しになる見通し。新大統領には暫定大統領を務めるウィクラマシンハ氏や、野党の統一人民戦線(SJB)党首で2019年大統領選でラジャパクサ氏に敗れたプレマダサ氏らの名前が挙がっている
  政権に抗議するため最大都市コロンボの大統領公邸などを占拠していたデモ隊は14日に撤収した。

  スリランカは経済危機を受けて国際通貨基金(IMF)に支援を要請したが、国内の混乱で交渉に遅れが出そうだ。IMFのライス報道官は14日、「できるだけ早く対話を再開したい」と述べ、政局の安定を求めた。


2022.07.14-NHK(国際ニュースナビ)-https://www3.nhk.or.jp/news/special/international_news_navi/articles/qa/2022/07/14/23764.html
スリランカで経済危機 なぜ大統領が国外脱出?いったい何が?

  スリランカで大統領公邸が占拠され、デモ隊が公邸のプールで泳ぎジムでトレーニング。大規模な抗議デモを受けて、大統領は国外に脱出する事態に。一体何が起きてるの?
  そもそもスリランカってどんな国?解説します。

スリランカってどこにある?
  インドの南、インド洋に浮かぶ島国です。
  面積は北海道より少し小さいぐらい、人口はおよそ2200万。
  最大都市のコロンボは南西部の沿岸に位置する国の経済の中心地で、首都はコロンボ郊外のスリジャヤワルデネプラ・コッテです。
そもそもスリランカってどんな国?
  多民族国家で、人口のおよそ75パーセントを仏教徒中心のシンハラ人が占めています。このほか、ヒンズー教徒が中心のタミル人が15パーセントあまり。イスラム教徒が10パーセント近く、キリスト教徒も7パーセントあまり暮らしています。
  仏教寺院などの世界遺産があるほか、イギリスやオランダの植民地だった時もあり、ヨーロッパ風の風情もあります。紅茶や宝石が有名で、観光客にも人気です。
いま何が起きているの?
  スリランカでは経済危機が深刻化し、ことし3月以降、政権の退陣を求めるデモが繰り返し起きていました。
  そして、7月9日には大規模な抗議デモが広がり、最大都市コロンボではデモ隊の一部がゴタバヤ・ラジャパクサ大統領の公邸を占拠する事態に発展。公邸に入った人たちがプールで泳いだり、ジムでトレーニングをしたり、ベッドに寝転がったりする様子が世界中に配信され、衝撃を与えました。
  大統領は事前に公邸を出て不在でしたが、こうした事態を受けて、辞任する意向を議会に伝えたのです。
なぜ経済危機が起きたの?
  スリランカはインフラ整備を進めるため借金を繰り返し、対外債務の残高は2021年末の時点で507億ドル(日本円でおよそ7兆円)に膨らんでいます。
  新型コロナウイルスの影響による観光客の激減なども重なり、深刻な外貨不足に陥りました。
  また、ロシアによるウクライナ侵攻で原油価格が高騰する中、外貨不足で輸入が滞り、ガソリンなどの燃料費も高騰。食品や医薬品などの生活必需品の輸入も滞るようになっています。
  こうした経済危機の根本的な原因は財政運営や農業政策の失敗、それに汚職にあるとしてラジャパクサ政権に対する不満が高まっていました。
ラジャパクサ政権、何が問題だったの?
  国民の間ではラジャパクサ一族が権力を独占しているという批判が出ていました。
  ゴタバヤ・ラジャパクサ氏は2019年の選挙で勝利し大統領に就任しましたが、2015年まで2期10年にわたって大統領を務めた兄のマヒンダ・ラジャパクサ氏の元で国防次官を務めていました。兄弟で合わせて10年以上大統領として実権を握り、首相や財務相に親族をあてるなど一族支配を強めてきました。
  また、ラジャパクサ政権は兄弟ともに中国に近いとされ、中国企業などによる大規模な開発事業で国の借金を増やす一方、私腹を肥やしてきたという批判にもさらされています。
  2017年には中国からの融資を受けて南部ハンバントタに建設した港の運営権がローンの返済が滞ったことを理由に99年間にわたって中国側に譲渡され、いわゆる債務のわなの典型例といわれています
今後どうなるの?
  大統領が辞任すれば、長年、スリランカの政治の要職を占めてきたラジャパクサ一族による支配が終わることを意味します。ただ、誰が大統領になってもこれだけ政治的、経済的な混乱が広がった国のかじ取りをするのは簡単ではありません。
  政府は財政再建策を8月にも発表するとしていますが、当面は海外からの支援に頼らざるを得ないのが実情で、IMF=国際通貨基金との間で資金融資の協議を進めているほか中国やインド、ロシア、それに日本などに支援を求めています。
  深刻な燃料不足や50%以上にもなる急激なインフレは今後も悪化する見込みで、仮に新たな政権が誕生しても人々の生活の改善には長い時間がかかるとみられます。


2022.07.14-NHK NEWS WEB-https://www3.nhk.or.jp/news/html/20220714/k10013716621000.html
スリランカ大統領が国外脱出 混乱さらに続く可能性

  経済危機が続くスリランカでは、政府に対する大規模な抗議デモを受けて、ラジャパクサ大統領が13日、国外に脱出しました。しかし、今後権力がスムーズに移行されるかは予断を許さない情勢で混乱がさらに続く可能性も出ています。

  深刻な経済危機に陥るスリランカでは、政府に対する市民の抗議デモが広がり、ラジャパクサ大統領は辞任する意向を示したうえで、13日の未明、家族とともに軍用機で、近隣国のモルディブに脱出しました。このあと、第三国へ向かう可能性があるとみられています
  ラジャパクサ大統領は13日、議会の議長を通じて13日付けで辞任する意向を改めて表明するとともに、憲法の規定に基づき、大統領の権限をウィクラマシンハ首相に委譲しました。
  最大都市コロンボでは、大統領が国外に逃れたことに反発するデモ隊の一部が首相府にもなだれ込んだほか、治安部隊との衝突も起きるなど混乱が続き、政府は非常事態を宣言したほか、夜間の外出禁止令を発令しました。
  しかし、日付が変わった14日になっても政府や議会から、大統領が正式に辞表を提出したという発表はありません。また大統領が辞任しても権力がスムーズに移行されるかは予断を許さない情勢で、混乱がさらに続く可能性も出ています。


2022.07.10-NHK NEWS WEB-https://www3.nhk.or.jp/news/html/20220710/k10013711201000.html
スリランカ 大統領が辞任の意向示す 混乱収束は見通せない情勢

  経済危機が続くスリランカで大統領の退陣を求める抗議デモで混乱が広がったのを受けラジャパクサ大統領が辞任する意向を示しました。
しかし、燃料不足や物価の高騰による市民生活への影響が深刻化する中、混乱が収束に向かうかは見通せない情勢です。

  スリランカは膨大な借金の返済で外貨が不足して経済危機に陥り、ことし3月以降、政府に対する抗議デモが続いてきました。
  最大都市コロンボなどでは9日、これまでで最大規模の抗議活動が行われ、大統領の退陣を求めるデモ隊の一部がゴタバヤ・ラジャパクサ大統領の公邸を占拠したほか、治安部隊との衝突も起きました。
  こうした事態を受け、ラジャパクサ大統領は、今月13日に辞任する意向を議会に伝え、5月に就任したばかりのウィクラマシンハ首相も辞任の意向を表明しました。
  ラジャパクサ大統領は、兄で元大統領のマヒンダ・ラジャパクサ氏と、兄弟で大統領職を合わせて10年以上も務めてきましたが、経済運営の失敗などから、政府の要職を担ってきたラジャパクサ一族への批判がかつてないほど強まっていました。
  今後、大統領と首相がともに辞任したあと、議会のアベイワルデナ議長が暫定大統領に就く見通しですが、デモ隊は公邸の占拠を続けていて、燃料不足や物価の高騰による市民生活への影響が深刻化する中、混乱が収束に向かうかは見通せない情勢です。


2022.07.06-Yahoo!Japanニュース(JIJI com)-https://news.yahoo.co.jp/articles/7d67ab84db579e4652a9d4ebac9f7bb6fd6193e5
スリランカが「破産」宣言 燃料不足、危機長期化

  【ニューデリー時事】経済危機に直面しているスリランカのウィクラマシンハ首相は5日、議会で演説し、国の「破産」を宣言した。

  危機的状況は来年も続く見通しで、混乱の長期化は必至。ガソリンなどの燃料が極度に不足しており、AFP通信によると、給油所で自動車に乗って数日間列に並んでいた60歳の男性が車内で死亡しているのが5日見つかった。

   首相は議会で、金融支援獲得に向けた国際通貨基金(IMF)との交渉について説明。地元紙デーリー・ミラー(電子版)によると、「過去には発展途上国として(IMFと)協議してきたが、今は破産国家として協議しているため、交渉はより困難で複雑になる」と述べた。年末にインフレ率が60%に達するとの見通しを示し、「2023年も困難に直面するはずだ。これは真実であり現実だ」と強調した。


2022.05.19-bloomberg-https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2022-05-19/RC3XUCT0AFB501
スリランカがデフォルト、債務再編完了まで支払い停止-インフレ悪化

  スリランカが同国史上初めて、デフォルト(債務不履行)に陥った経済は急速に悪化、インフレ率は今後数カ月で40%に加速する見通しで、国内では抗議デモや政治危機が起きている。

  ウィーラシンハ中銀総裁は19日、債務再編完了までドル建て債務の支払いを行わない「事前調整型デフォルト」にスリランカが陥ると述べた。2023年と28年に満期を迎えるドル建て債の利払いは当初、4月18日が期限で7800万ドル(約100億円)相当。30日間の支払い猶予期間は今月18日に終了している。
  同国は食料や燃料など広範な品目の不足を和らげるための輸入代金確保で困難を抱えている。自国通貨安と経済危機が背景だ。ウィーラシンハ総裁はコロンボで記者会見し、インフレ率が今後数カ月で40%に達する見通しで、変動の大きい品目を除いた基調的なインフレの動向を金融当局として監視していると語った。


2022.05.10-NHK NEWS WEB-https://www3.nhk.or.jp/news/html/20220510/k10013618291000.html
経済危機のスリランカ 首相が辞任 市民が大統領辞任も求める

  経済が危機的な状況に陥っているインド洋の島国スリランカで、政府に対する抗議デモが続く中、マヒンダ・ラジャパクサ首相が辞任しました。抗議する市民は大統領の辞任も求めていて、混乱が一層、深まっています。

  スリランカでは、コロナ禍で外国人観光客が激減するなどして外貨が不足し、エネルギーの供給が滞っているほか、物価の急激な上昇で経済が危機的な状況に陥っていて、政府に対する抗議デモが激しくなっています。
  こうした中、政府は治安を回復するためだとして令状なしの逮捕や拘束を可能にする非常事態宣言を出すなどして事態の沈静化を進めていましたが、9日、マヒンダ・ラジャパクサ首相が責任をとる形で辞任しました。
  しかし、首相が辞任したあとも最大都市のコロンボなどでは、市民による抗議活動が続いていて、地元メディアは政府の支持者とデモ隊が衝突するなどし、これまでに100人以上がけがをし、死者も出ていると伝えています
  抗議する市民は、一族の支配による政治で財政赤字が続き経済危機を招いたとして、首相の弟のゴタバヤ・ラジャパクサ大統領の辞任も求めていて、混乱が一層、深まっています。


2022.04;06-産経新聞-https://www.sankei.com/article/20220406-PG4HHT7LPBN55BG2D2FNC2MJCA/
親中スリランカ、経済危機深刻化 対中債務が財政圧迫

  【シンガポール=森浩】インド洋の島国スリランカが経済危機に陥り、国内の混乱が拡大している。物資不足や物価高に不満をためた市民が大統領官邸を襲撃する事件が発生した。対中債務が財政を圧迫する中経済危機に対して中国とインドが支援を表明シーレーン(海上交通路)の要衝スリランカをめぐる駆け引きが激しさを増している。

  スリランカでは新型コロナウイルス禍で主要産業である観光業が大打撃を受けたことなどで、輸入代金の決済や対外債務支払いに使う外貨準備が減少した。ロイター通信によると、1月末時点の外貨準備高は約23億ドル(約2850億円)で、2年で7割減という異常事態に陥っている。

  国内では特に燃料不足が深刻で、発電所の稼働が停滞し、3月31日には1日13時間の計画停電が行われた。ガソリンスタンド前の長蛇の列も常態化。3月上旬に最大都市コロンボで列に並んでいたプラディプさん(51)は「こんなことは内戦期(1983~2009年)にもなかった。停電で冷房もかけられず、高齢者が続々と体調を崩している」と憤った。
  国内ではゴタバヤ・ラジャパクサ大統領の政権運営に不満を抱く市民によるデモが相次ぐ。3月31日に暴徒化した市民が大統領官邸を襲撃した。事態の収束を図るため、ゴタバヤ氏と実兄のマヒンダ・ラジャパクサ首相を除く全閣僚が辞任。今月5日にはアリ・サブリ新財務相が就任からわずか1日で辞意を表明するなど、政界の混乱も拡大している。
  苦境のスリランカに追い打ちを掛けるのが、財政を圧迫する対中債務だ。全対外債務に占める割合は1割程度だが、政府発表に計上されない「隠れた債務」が問題視されている

  スリランカは近年、ラジャパクサ一族の主導で中国の融資を積極的に受け入れ、高速道路などのインフラ整備を続けた。一方で、債務や金利の返済が拡大し、2017年には南部ハンバントタ港の運営権を中国側に99年間貸与する事態に陥った。それでもスリランカは中国傾斜をやめず、コロンボでは中国資本による大規模開発事業「コロンボ・ポートシティ」の建設が進む。債務膨張は確実な状況だ。
  ゴタバヤ氏は今年1月に中国の王毅(おう・き)国務委員兼外相と会談し、対中債務の支払いの条件緩和を求めた。経済危機に対し、中国は緊急融資や食料支援を決めたと報じられたが、債務の扱いは不明だ。
  一方、近隣のインドも食料や医薬品の支援を決め、中国に対抗する構えを見せる。近年、中国接近が続いていたスリランカへの影響力拡大を狙っている。

  スリランカの野党国会議員、ビジタ・ヘラス氏は産経新聞の取材に「ラジャパクサ一族は『戦略的に重要だ』と称して、中身を検討しないまま中国の事業を次々と推進してきた」と指摘。「経済危機に直面する中、政権は中国との密接な関係を見直すべきときだ」と語気を強めた。


2022.04.02-産経新聞-https://www.sankei.com/article/20220402-RXDTN7Y43RPF3GQJSUPU7KTFOA/
親中スリランカで非常事態宣言 経済危機

  【シンガポール=森浩】インド洋のスリランカは1日、経済危機に反発する市民の抗議活動が拡大していることを受け、全土に非常事態を宣言した。対中債務返済に苦しむスリランカは外貨が急激に減少し、物資不足が深刻化。市民の不満が拡大している。

  ラジャパクサ大統領は宣言について「公共の秩序を守り、必要な物資やサービスを維持するために必要」と主張した。
  スリランカ経済は新型コロナウイルス流行による観光業の打撃や無計画な減税などにより、急速に悪化している。輸入代金の決済や対外債務支払いに使う外貨準備高は1月末時点で約23億ドル(約2800億円)で2年間で7割落ち込んだ

  国内では発電用の燃料が足らず、3月31日には13時間の計画停電を実施した。医療品不足も拡大している。同日には最大都市コロンボで不満を抱いた市民が大統領官邸を襲撃し、約50人が逮捕された。
  スリランカ政府は国際通貨基金(IMF)の支援要請に向けた調整を進めているが、事態の好転につながるかは不明だ。


2022.01.12-REUTERS-https://jp.reuters.com/article/breakingviews-sri-lanka-idJPKBN2JM0AU
コラム:スリランカの対中債務問題、ウォール街にも波及へ
コラムニストによって提供されたいかなる見解又は意見は当該コラムニスト自身の見解や分析であって、ロイターの見解、分析ではありません。

  [ムンバイ 11日 ロイター BREAKINGVIEWS] - スリランカは中国の「債務のわな外交」の見本例だ。従って、金融危機が深刻化するスリランカが中国に債務緩和を求めたのは理にかなっている。ラジャパクサ大統領の選択肢としては他に、インドなどの諸外国にばらばらに資金援助を求める、もしくは緊縮策を強いられることを覚悟で国際通貨基金(IMF)による救済を再び仰ぐ可能性があり得る。しかしスリランカの資金難をより上手に解決できるのは、同国として初めて対外デフォルト(債務不履行)を起こす道かもしれない。

  西側諸国は、中国をスリランカの債務問題における一番の悪役と見なしている。これは2017年以来のことだ。当時、戦略的に重要なスリランカのハンバントタ港は、物議を醸したデット・エクイティ・スワップ(債務と株式の交換)に基づく99年間のリースにより、中国国有企業の手に渡った。
 急スピードでスリランカの債権国になった中国だが、財務省の公式データによると、スリランカの対外債務に占める割合は10%と、日本並みにとどまっている。
  ただ、より大きな問題は米ウォール街やその他の機関投資家に対する債務だ。昨年4月時点で、スリランカの対外債務350億ドル(約4兆0250億円)のうち47%を市場での借り入れが占めている。今年返済期限を迎える45億ドルの半分以上はドル建て債券に絡んでいる。
  しかしパンデミックによりスリランカの観光産業は閉ざされ、観光客数が近い将来に完全回復することは見込み難い。2030年3月償還の国債(表面利率7.55%)は現在、元本1ドルに対して0.5ドルで取引されている。

  実際のところ、当局者らは負け戦を戦っている。外貨準備は中国が通貨スワップによって急きょ支えた結果、昨年12月時点で31億ドルに増えた。しかし1月18日には5億ドル、7月には10億ドルのドル建て債が返済期限を迎える。2025年までに返済義務のある債務も積み上がっている。
  一方、資金難と、それによる生活必需品の出荷遅延により、スリランカ国民は2桁台のインフレに加え、エネルギーから食品に至るあらゆる物資不足に見舞われている。このことは政府の深刻な歳入不足に輪を掛けている。
  危機がここまで来た今となっては、突如として政府支出を削るよりはソブリン債でデフォルトを起こす方が傷は浅いかもしれない。その場合、有力債権者は痛みを分かち合う代わりに、スリランカを国際資本市場から締め出すことになる。これはスリランカにとって、中国依存の拡大と同じぐらい心配な対外債務の増大を断ち切る機会になるだろう。
●背景となるニュース
  *スリランカのラジャパクサ大統領は、コロンボを訪問した中国の王毅国務委員兼外相に対し、深刻化する金融危機を乗り切るために債務再編に応じるよう求めた。大統領府が9日に発表した。大統領は、「新型コロナウイルスのパンデミックに起因する経済危機の解決」のために中国が債務再編に応じれば、「大きな助けになる」と述べた。
  *大統領は中国に対し、スリランカ向け輸出の条件緩和や、中国人観光客によるスリランカ旅行の許可も求めた。
(筆者は「Reuters Breakingviews」のコラムニストです。本コラムは筆者の個人的見解に基づいて書かれています)
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2021.11.25-NHK NEWS WEB-https://www3.nhk.or.jp/news/html/20211125/k10013360711000.html
スリランカの港 一転して中国企業が開発 各国の警戒高まるか

 スリランカ政府日本やインドと協力して開発を進めるとしていたコロンボ港について、一転して中国の企業が開発を進めることになったと明らかにしました。スリランカでは海洋進出の動きを強める中国の存在感が増していて、各国の警戒が一層高まりそうです。

  スリランカ政府は主要な港の1つ、コロンボ港の東コンテナターミナルの開発について入札の結果、中国の企業が行うことが決まり、工事などの発注を閣議決定で承認したと24日、発表しました。
  コロンボ港をめぐってスリランカ政府はおととし5月、日本やインドと協力して開発を進めるとする覚書に署名しましたが、ことし2月に合意内容を一方的に変更し事実上、破棄していました。

  スリランカでは経済の混乱が続く中、中国の存在感が増していて、南部のハンバントタ港はローンの返済が滞ったことを理由に運営権が99年間にわたって中国側に譲渡され、いわゆる「債務のわな」の典型例とされています

  スリランカはアメリカや日本などが提唱する「自由で開かれたインド太平洋」と、中国の巨大経済圏構想「一帯一路」が重なる地域にあり、海洋進出の動きを強める中国に対する各国の警戒が一層高まりそうです。


スリランカの国
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
 

スリランカ民主社会主義共和国(通称スリランカ)は、南アジアインド亜大陸の南東にポーク海峡を隔てて位置する共和制国家
  首都スリジャヤワルダナプラコッテ1948年2月4日、イギリスから自治領英連邦王国)のセイロンとして独立。1972年にはスリランカ共和国に改称し、 
  英連邦内の共和国となり、1978年から現在の国名となった。人口は約2120万(2016年)である[2]島国で、現在もこの国が占める主たる島をセイロン島
  と呼ぶ。国名をスリランカに改称したシリマヴォ・バンダラナイケは世界初の女性首相である。また、国民の7割が仏教徒上座部仏教)である。

スリランカ同時爆発事件   出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』-2019.4.23
スリランカ同時爆発事件(スリランカどうじばくはつじけん)は、2019年4月21日にスリランカの最大都市コロンボをはじめとした国内の8か所で、同時多発的に
  発生した爆発事件の総称である。コロンボを含む、国内の複数の都市にあるキリスト教教会や高級ホテルが標的とされた。少なくとも36カ国の外国人と3人
  の警察官を含む290人が死亡し、500人以上が負傷した[1]

犠牲者国籍別犠牲者数2019年4月22日現在、290人の死亡者と重症を含む少なくとも500人の負傷者が確認されている。最も多く犠牲となったのはスリランカ人
  であり、その他少なくとも36人の外国人の死亡が確認された。 現在確認されている外国人の死者は、イギリス人が8名、インド人が6名、デンマーク人が3名、 
  中国人オーストラリア人トルコ人がそれぞれ2名ずつ、ポルトガル人オランダ人バングラデシュ人日本人がそれぞれ1名ずつである。 米国務省は、
  数人のアメリカ人が死亡したとしているが、具体的な人数は公表していない。また、パキスタンポーランドモロッコ国籍の死亡者もいるとみられている。

犯人
スリランカ政府報道官は、国内のイスラム過激派「ナショナル・タウヒード・ジャマア(NTJ)」の犯行との見方を示した[4]。22日までにスリランカ国籍の24人が逮捕
  された[5]

日本経済新聞
スリランカ爆破テロ、ISが犯行声明 
南西ア・オセアニア2019/4/23 20:44

【ニューデリー=黒沼勇史】スリランカの最大都市コロンボなどで起きた連続爆破テロ事件で、中東の過激派組織「イスラム国」(IS)が23日、系列メディアを通じて        犯行を認める声明を出した。ツイッター上に流した声明文には「各国市民を標的にしたのはISの戦士だ」と明記した。
  今回のテロ事件を巡っては、3都市でほぼ同時刻に自爆テロが起きた手口から、ISの関与が疑われていた。スリランカ政府も22日、自国のイスラム過激派組織
     「ナショナル・タウヒード・ジャマア(NTJ)」が関与したとの見方を示す一方、国際的なテロ組織の支援なしには実行できなかったとも指摘していた。
     スリランカ政府は米連邦捜査局(FBI)などに捜査協力を求めている。スリランカ警察は23日、高級ホテルやキリスト教会など8カ所で起きた一連の
     テロ事件で、これまでに外国人を含む死者が321人、負傷者が約500人に上ったと公表した。日本人1人も犠牲になっている。

タミル・イーラム解放のトラ
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』


タミル・イーラム解放のトラとは、かつてスリランカ武装闘争を行っていたタミル人テロ組織である。タミル・タイガーとも表記される。「イーラム」はスリランカ
  を意味するタミル語で、トラは獅子(シンハ)つまりライオンの子孫を意味するシンハラ族に対抗するものであり、かつて南インドに強勢を誇ったタミル族の
  王朝・チョーラ朝の紋章でもあった。
概要
  スリランカ北部と東部にタミル人の独立国家タミル・イーラムを建国し、スリランカからの分離独立の獲得を主張して設立された[2]インド共産党毛沢東主義派
     と連携している[3]という説がある。宗教的には世俗主義マルクス・レーニン主義の影響を受けている[4][5][6]
  リーダーはヴェルピライ・プラバカラン。兵力は約9,000名とされていたが、2004年カルナ派分離により、2006年時点で約4,000名と推定された[7]
     世界タミル協会、世界タミル運動、在カナダ・タミル人協会連盟等の国際組織から合法的に開設された銀行口座を通して資金援助を受け、外貨獲得の
     ために相手を問わない武器輸出を行っていた独立国家共同体(CIS)諸国や2006年から07年にかけて北朝鮮からも対戦車砲などの武器を調達していた。
  保有武器は小火器が主体だが、戦車や、高速艇や潜水艇等の船舶、COIN機を中心とした小型航空機も有していた。
  スリランカ北部と東部の沿岸州で軍事行動を展開していたが、ノルウェーを仲介して成立した停戦が破棄された後、政府軍の攻撃で組織的な軍事行動の
     範囲を狭め、2008年11月には約20年ぶりに政府軍が北部の西海岸を奪還、事実上の首都として機能してきたキリノッチも陥落した。
  そして2009年5月17日にLTTEは敗北宣言をし、スリランカ政府とLTTEの四半世紀以上に亘る内戦は事実上終わりを告げた。19日にはプラバカラン議長の
     遺体が発見された[8]。24日にはLTTEの国際関係部門のトップが声明を出し、議長の死亡を公式に認めた。声明では「我々は暴力に頼ることを諦め、
     民主的なプロセスを経てタミル人の民族自決権獲得を目指すことで合意した」としている[9]
設立の背景
  スリランカ
は多民族国家であり、人口の約74%がシンハラ人、約13%は古くから住んでいる「スリランカ・タミル人」、約5%がイギリス植民地時代に
  プランテーションへの労働力として移住させられてきた「インド・タミル人」である[10]。植民地時代、シンハラ人(主に仏教徒)はイギリスの支配に対立・抵抗
     を続けたのに対し、比較的従順だったタミル人(主にヒンドゥー教徒)がイギリス政府に重用されていた[11]
  1947年の議会選挙では1人1票制が採用され、シンハラ人がセイロン(当時)政府で多数派を得た。1944年に設立されていた全セイロン・タミル会議(ACTC)
     はレバノン型の権力分割(50:50)を主張していたが、高地ではシンハラ人よりもインド・タミル人が多数派であり、独立直後の政府にとって脅威であった
     ため、受け入れられることはなかった[12]。その後インド・タミル人は1948年制定の『セイロン市民権法』により公民権を失い、1949年の『国会選挙法』
     により選挙権を失った。[13]さらに1956年ソロモン・バンダラナイケ政権は「シンハラオンリー法」を採択し、タミル人への差別が始まった[11]
  セイロン政府は、悪化するスリランカ経済に対する不満をそらすために、シンハラ政策を推し進め[14]、1965年にはシンハラ人による反タミル人・キャンペーン、
     民族浄化を提唱するスリランカ人民解放戦線が創設された。1970年に就任したシリマヴォ・バンダラナイケも、1978年に大統領に就任した
     ジュニウス・リチャード・ジャヤワルダナもタミル人政策には着手しなかった[11]。1972年制定のスリランカ共和国憲法でも、
     1978年制定のスリランカ民主主義共和国憲法でも、『仏教に至高の地位を与える』という条項は残り、タミル人への差別は続いた。
  「スリランカ#国民」も参照

LTTEの設立
  タミル人の穏健派は、ACTCタミル統一戦線(TUF)→タミル統一解放戦線(TULF)という変遷を経て、政治的手法を用いながらインドタミル・ナードゥ州
     及びスリランカのタミル人居住区から成る統一タミル人国家の創設を主張した[12]
  一方、1970年になると、タミル人に著しく不利な「大学入学の標準化政策」の阻止を目的に、武装した若者による過激派も形成されていく。1972年、タミル人の
     言語と教育を守るためには武器をとるのが唯一の方法と考えた当時18歳のプラバカランは、タミルの新しいトラ英語: Tamil New Tiger, TNT)を設立、
     1975年にジャフナ市長を暗殺する。
  1975年5月5日、TNTを母体にタミル・イーラム解放のトラ(LTTE)が設立され、ヴェルピライ・プラブハカランが議長及び軍司令官に指名された。その後、
     1977年1981年シンハラ人によるタミル人への暴動が起き、タミル人のLTTEを始めとする武装団体への支持が高まっていった[13]

闘争の経緯
1980年代
に入ると、スリランカ政府は穏健タミル政党であるTULFを非合法化し、タミル人との対話を完全に断絶してしまう[14]。一方、LTTEはゲリラの訓練を
     インド南部で行い[11]、訓練キャンプを各地に設立し、本格的な武装闘争を展開し始める。
  1983年7月23日、LTTEは地雷を用いた初めてのゲリラ攻撃を行い、政府軍兵士13人を殺害する。これをきっかけに7月25日、コロンボで大規模なシンハラ人
     によるタミル人への暴動(7月暴動、黒い7月)が起き、LTTEは分離独立運動を活発化していく[12]。当初劣勢だった政府軍は、装備の充実に努め、
     1987年までにはLTTEを北部のジャフナに追い詰めることができた。
  しかし、ここで親タミル的なインドが介入し、タミル人に物資を空中投下し、スリランカ政府に停戦の圧力を加えた。当時のスリランカ大統領ジャヤワルダナは、
     これに激怒し一時は宣戦布告も考えたが、結局交渉に入った。交渉での合意に従い、タミル人には自治権が与えられ、武装解除の義務を負うことと
     なった。停戦の監視には、インド平和維持軍英語版(IPKF)が当たった。停戦後、平和が訪れたかに見えたが、今度はシンハラ人民族主義者が
     テロ活動を展開した。LTTEも、これを好機と見て武装闘争を再開した。インド平和維持軍は、LTTEに対して大規模な行動に出ることに決め、
     1988年5月には5万5千人の部隊をスリランカに駐屯させた。
  1989年に当選したラナシンハ・プレマダーサ大統領は、大きくなりすぎたインド平和維持軍のプレゼンスを排除するために、LTTEとの交渉を再開し、
     休戦が発表された。存在意義を失ったインド平和維持軍は、スリランカ政府の執拗な要請の下、1990年3月に撤退した。同時にプレマダーサは、政府
     や与党統一国民党(UNP)要人へのテロを繰り返していたシンハラ人民族主義者組織であったスリランカ人民解放戦線(JVP)への掃討作戦を行い、
     4,500人から20,000人以上の死亡者が出たものの、JVPは武力闘争を放棄した。この間、LTTEもテロ活動を再開し、1991年5月21日には
     元インド首相ラジーヴ・ガンディーを、1993年5月1日にはプレマダーサ大統領を暗殺した。
  1994年チャンドリカ・クマーラトゥンガが大統領に当選し、三度LTTEとの交渉を再開したが決裂し、政府軍は大攻勢を展開して、1995年にLTTEの拠点
     ジャフナを奪取した。攻勢は継続されたが、決定的な勝利を収めることはできず、LTTEのテロにより治安情勢は顕著に悪化し、1998年には非常事態
     導入された。1999年12月18日にはクマーラトゥンガ大統領の暗殺未遂が起き、これによりクマーラトゥンガは視力を失った。
  2000年以降はノルウェーの調停で停戦していたが、LTTEの爆弾テロが止まらなかったため2006年スリランカ軍が北部拠点の空爆を開始、政府は
     停戦破棄を否定したがLTTEは停戦崩壊を宣言した。これを受け政府側も2008年1月3日にノルウェー政府に対し停戦破棄を通告、同16日に失効した。
     インドのライバルである中華人民共和国パキスタンの大々的な援助をとりつけたマヒンダ・ラージャパクサ政権はLTTEの完全殲滅を目指し、
     各所で攻勢を掛けた。最終的に2009年5月17日、LTTEは敗北宣言を出したがその後も政府側の攻撃は続き、プラバカラン以下23名のLTTE幹部
     は19日までに全員死亡した。







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