日本とドイツの問題-1
2023.0318-産経新聞-https://www.sankei.com/article/20230318-EOHAPBKBSJP4HFQNK25U7JPSLA/
日独、経済安保で協力強化 初の政府間協議
岸田文雄首相は18日、
ドイツのショルツ首相と公邸で会談した。その後、両首脳と主要閣僚が参加する「政府間協議」の初会合を官邸で開き、
中国を念頭にサプライチェーン(供給網)の強靱(きょうじん)化など経済安全保障分野の協力強化で一致した。ドイツと日本は昨年と今年の先進7カ国(G7)議長国で、5月に広島市で開く首脳会議(サミット)に向けた連携も確認した。
岸田首相は会談で、「日本とドイツはかつてないほど強固な関係を維持できている」と強調。ショルツ氏も「両国間の協力を続けたい」と応じた。
両首脳はウクライナに侵攻したロシアへの制裁やウクライナ支援の継続を改めて確認し、ロシアによる核兵器の使用はあってはならないとの認識を共有した。
政府間協議では経済安保を中心に議論し、安全で持続可能で強靱なサプライチェーン構築のため、鉱物資源や半導体、電池などの戦略分野の協力強化で一致した。また、
国家主導の不正な技術獲得などに対抗することも確認した。中国への機微技術の流出が念頭にある。政府間協議は、日独が幅広い分野で協力するための対話の枠組み。日本側は林芳正外相や高市早苗経済安全保障担当相ら、ドイツ側も副首相や外相、国防相などが出席した。
首相は共同記者会見で、「
産業立国であり、基本的な価値を共有する日独が経済安全保障分野で主導的な役割を果たす必要がある」と述べた。
2023.03.18-産経新聞-https://www.sankei.com/article/20230318-3QMHRLYMVZK3PIWCIHRLP77EW4/
日独、中国依存リスク低減へ G7で足並み
(田村龍彦)
18日に
日独両政府が経済安全保障分野などの協力で一致した背景には、
覇権主義的行動を強める中国への警戒感がある。ロシアのウクライナ侵略でロシアにエネルギー供給などを頼る危うさが浮き彫りになっただけに、
工業国である日独両国が中国依存リスクの低減に動いている。
ドイツはかつては中国寄りの姿勢が目立っていた。
18日に日本と初めて実施した政府間協議も中国とは以前から実施していたものだ。ただ、
ショルツ首相は日本を重視する姿勢を示しており、昨年も中国より先に日本を訪れて岸田文雄首相と会談した。
今回行った政府間協議は複数の閣僚が出席する必要があるが、ドイツ側から訪日を申し出たという。
ウクライナ侵略でドイツをはじめとする欧州諸国はエネルギーなどのロシア依存からの脱却を迫られた。同時に、ロシアと歩調を合わせ、
欧米の民主主義国と異なる動きを見せる中国に、サプライチェーン(供給網)や商品の販売先として依存する危うさが改めて認識されるようになった。
ドイツにとって中国はハイテク産業に必要なレアアース(希土類)などの供給元であると同時に、電気自動車(EV)などの主要市場でもある。
米国は半導体の輸出規制などを進め、中国経済のデカップリング(切り離し)に動いている。中国と経済的結びつきが強い日独両国は米国と同じ対応は難しいとはいえ、依存度の低減が欠かせない。
岸田首相は先進7カ国(G7)議長国として、
1月にフランス、イタリア、英国、カナダ、米国の5カ国を訪問した。唯一残っていたドイツと首脳会談や政府間協議を行って協力を確認し、5月に広島市で開く首脳会議(サミット)に向けた「重要な一歩」(政府関係者)としたい考えだ。
サミットでは経済安保が主要テーマの一つとなる見込みで、外務省幹部は「
G7で結束して動くには、中国と経済関係が深いドイツとの連携が欠かせない」と強調する。
(田村龍彦)