日本の問題-1
2023.06.01-産経新聞-https://www.sankei.com/article/20230601-NSCST4I2YJJM3NZ5R6452HF5JY/
<特報>政府が外交政策発信強化 海外メディア招請、中露に対抗
(岡田美月)
政府がグローバルサウス(GS)と呼ばれる新興国・途上国などを対象に、日本の外交政策の発信強化を進めている。広島市で5月19~21日に開かれた先進7カ国首脳会議(G7広島サミット)では、
海外メディアを日本に招請するプレスツアーを実施。
ロシアや中国が自国に有利な「ナラティブ(言説)」の浸透を図る地域に向けて日本の立場を発信することで、
中露の影響力拡大に対抗する狙いがある。
政府はスリランカ、モンゴル、クック諸島、アルゼンチン、メキシコ、カザフスタン、サウジアラビア、トルコ、フィリピン、南アフリカの計10カ国の記者のほか、アラブ首長国連邦(UAE)、マレーシア、ケニアの計3カ国のテレビ局関係者を日本へ招いた。
日本の外交政策や社会情勢などを取り上げた記事や番組の制作を行う約束で、政府が渡航費や宿泊費を負担。招請された各国のメディア関係者はサミット開催期間を含む約1週間、広島など日本各地を訪れ、取材した。外務省担当者は「
GSへ発信力のあるメディアに日本の考え方を知って発信してもらうことが狙いだ」と説明する。
政府がGS諸国に対する政策発信を強化する背景には、ロシアによるウクライナ侵略が続く中、ロシアが事実とは異なるナラティブの拡散を続けている実情がある。ロシアが影響力の拡大を図るアフリカなどの途上国の間では、世界的な食料・エネルギー問題は対露制裁をはじめとするG7の政策が招いた危機だとする誤った見方が浸透していると指摘されている。
ロシアが関与する言説はロシア語の通じる旧ソ連圏で特に浸透しやすい。旧ソ連のカザフスタンから招請された記者はロシア語による発信も行っているといい、外務省幹部は「日本の立場を伝えてもらう意義がある」と期待を込める。
政府のプレスツアーは、中国をにらんだ取り組みでもある。
招請されたスリランカは相手国を借金漬けにして権益を奪う中国の「債務のわな」に陥ったとされる国の一つだ。政府は日本を含むG7と中国の開発金融の手法には透明性や公平性の観点から大きな違いがあると「丁寧に説明した」(政府関係者)という。
中露は偽情報や誤情報を含むナラティブを通じ、国際的な世論操作を強めている。政府にはこうした動きをにらんだ継続的な対処が求められる。
(岡田美月)
2023.05,29-Yahoo!Jpanニュース(毎日新聞)-https://news.yahoo.co.jp/articles/a7357ec871dc13844653635ca011147a1e859d2e
日朝ハイレベル協議「内容は差し控える」 首相、首脳会談に意欲
【古川宗、畠山哲郎】
岸田文雄首相は29日、
北朝鮮による拉致問題について
「私自身、直接向き合う覚悟でこの問題に臨むと申し上げてきた。それを具体的に、進めていきたいと考えている」と話し、改めて
問題解決に意欲を示した。27日に自身が言及した日朝首脳会談実現に向けた
「直轄のハイレベル協議」の内容については「具体的内容は、今後の交渉に影響を及ぼす恐れがあるため差し控える」とするにとどめた。29日に官邸で記者団の取材に答えた。
首相は27日、
北朝鮮による拉致問題の「国民大集会」で「首脳会談を早期に実現するため、私直轄のハイレベルで協議を行っていきたい」と表明し、金正恩(キム・ジョンウン)朝鮮労働党総書記との首脳会談実現に意欲を示していた。
拉致問題を巡り、日朝両政府は2014年5月、北朝鮮による拉致被害者の再調査と日本の独自制裁の一部解除を柱とする「ストックホルム合意」を発表。北朝鮮は同年7月、再調査を行う「特別調査委員会」を設置した。
しかし16年1月、北朝鮮は4回目の核実験を行い、2月には「人工衛星」打ち上げと称して事実上の弾道ミサイルを発射。日本はストックホルム合意に基づき解除した制裁を復活させ、北朝鮮は、同月に調査の中止と調査委の解体を表明した。
安倍晋三元首相は19年5月、拉致問題で進展がなければ首脳会談には応じないとの従来方針を転換。拉致被害者の高齢化などを踏まえ、問題解決の糸口を探るために「(金氏と)条件を付けずに向き合わなければならない」と踏み込んだ。後任の菅義偉前首相や岸田首相も「条件を付けずに直接向き合う」と述べ、安倍氏の路線を引き継いだが、
首脳会談は行われていない。
【古川宗、畠山哲郎】
2023.04.29-産経新聞-https://www.sankei.com/article/20230429-3GLDRCYRENM3DMFA2GE3C35V2Y/
ウクライナ再建へ「最初の一歩」 日本、地雷探知機引き渡し
【キーウ(キエフ)=渡辺浩生】
ロシアに侵略されるウクライナで
日本製地雷探知機などの引き渡し式が行われた。
戦争と同時並行で進められる国の再建で最初の障害といえるのが、地雷や不発弾の処理。
日本は過去の国際貢献で培ってきた経験や技術を生かし、ウクライナの復興を支えていく考えだ。
「地雷処理は復興のいの一番のステップ」。日本の松田邦紀駐ウクライナ大使は25日、首都キーウ郊外で行われた地雷探知機と不発弾収集用トラックの引き渡し式で、こう強調した。
日本が供与した地雷探知機「ALIS」は金属探知と地中レーダーを組み合わせ、地雷の位置を正確に把握できる。性能は旧紛争地のカンボジアやボスニア・ヘルツェゴビナで証明済みだ。処理済み爆発物を運搬する車両は、いすゞ自動車のトラックにクレーンを取り付けたもの。現地の工場で製造され、約30台が供与される。
非常事態庁によると、
ウクライナの国土はロシアの侵略で約3割(17万4000平方キロ)が地雷などの爆発物で「汚染」され、「世界最大の地雷原」(シュミハリ首相)ともいわれる。
特に東・南部の戦闘の前線や露軍の占領地近くでは農地で地雷に触れ死傷する人が後を絶たない。南部ミコライフ州のマキシム・ホロベッツさん(36)は「農作業も命がけだ」と語る。地雷や不発弾は穀物生産だけでなく、破壊された町やインフラの再建の足枷ともなっている。
引き渡し式に出席したウクライナの非常事態庁のクルク長官は
「爆発物処理は非常に危険で困難な作業」と述べ、
職員70人以上が死亡、約200人が負傷したと明かした。除去に10年以上かかるといわれる中、
日本は安全で効率的な爆発物撤去で復興ペースを高め、「将来の投資と経済発展につなげる」(松田大使)考え。処理チームへの訓練支援にも力を入れている。
ウクライナは国内外のノウハウを集約して地雷対策を進める「人道的地雷対策センター」も設立。日本は諮問委員会の一員として助言も行い、戦後復興も視野に存在感を高めていく。
また、ハルシチェンコ・エネルギー相は26日、松田大使と会談し、日本の発電機提供に「冬季に再び予想されるロシアの攻撃に備えることができる」と謝意を表した。ロシアの発電所攻撃で冬の電力不足に対処するため日本は発電機を供与しており、最終的に約1500台に上るとみられる。
26日はチェルノブイリ原発事故の発生から37年にあたり、ハルシチェンコ氏は記者団に「核の安全と原子力の平和利用の大切さを理解するのは日本とウクライナだけだ」と述べ、エネルギー安全保障でも日本の協力を求める考えを示した。
2023.04.28-産経新聞-https://www.sankei.com/article/20230428-QLZ2SR7XTRLNRFMUCAZ5I4AJOU/
防衛相が海保統制 武力事態の要領発表 5月に初訓練
政府は28日、
有事の際に防衛相が自衛隊法に基づいて海上保安庁を指揮する手順を定めた
「統制要領」を発表した。
武力攻撃事態と認定された場合、閣議決定を経て防衛相が海保長官を指揮し、海保を統制下に入れる。海保は国民保護や捜索・救難、港湾施設の治安維持などを担う。
防衛省と海保は、武力攻撃事態を想定した初の共同対処訓練を実施し、運用能力の強化を図る。5月に机上、6月に実動での演習をそれぞれ行う。
海保法25条に海保の非軍事性が定められていることを踏まえ、統制要領は、防衛相による統制下でも警察機関として従来通りの活動を行うことを明記し、自衛隊への編入や「準軍事化」を否定した。
政府は昨年12月に決定した国家安全保障戦略などの「安保3文書」で、統制要領の必要性に触れた上で「必要な連携要領を確立する」との方針を掲げていた。
2023.04,27-産経新聞-https://www.sankei.com/article/20230427-SXL6ZHLWHRLAHOH6QA5NJ5DSRI/
<独自>政府、7月にポーランドでウクライナ地雷除去訓練で調整
政府は、ロシアによる侵攻が続くウクライナへの支援として、
露軍が放置した地雷など爆発物の除去作業の訓練を7月にポーランドで実施する方向で調整に入った。
国際協力機構(JICA)を通じて地雷対策で協力してきたカンボジアと連携し、ウクライナ政府職員に地雷除去のノウハウを提供し、復旧・復興を後押しする。複数の政府関係者が27日、明らかにした。
訓練はウクライナ非常事態庁の職員を対象に行う。同庁職員は今年1月、JICAの支援で日本の大学教授らが開発した地雷探知機「ALIS」を導入しているカンボジアと日本を訪問し、地雷除去の訓練に参加した。7月の訓練はこれに続く第2弾で、カンボジアの専門家とともにALISの使用方法を指導する。
ウクライナ側は自国内で訓練を行い、ALISを扱える人員を増やして地雷除去を急ぎたい考え。ただ、東欧地域は冬季だと積雪の影響で訓練が実施できず、日本外務省はウクライナ全土の危険情報を最高度の「レベル4」に引き上げて退避勧告を出しているため、夏季にウクライナに隣接するポーランドで訓練を行うことになった。
政府は4月下旬、JICAを通じてウクライナ政府に4台のALISを供与した。訓練ではこの機材が使用される。JICAなどによると、地雷や不発弾はウクライナ全国土の約3割に当たる約17万4千平方キロに残り、完全な除去には数十年かかるとの見方もある。
2023.04.24-産経新聞-https://www.sankei.com/article/20230424-G2XDS7AIOBPONAAF74AAEAM6AY/
<独自>維新・鈴木宗男氏がロシア訪問計画 大型連休中
参院懲罰委員長を務める日本維新の会の鈴木宗男参院議員が、
大型連休中にロシアへの訪問を計画していることが24日、分かった。複数の与野党関係者が明らかにした。参院議院運営委員会理事会で26日に渡航の可否を判断する見通し。
関係者によると、渡航は5月に入ってからで、モスクワを訪れる予定だという。
ロシア側との独自のパイプを生かし、ロシア政府高官と会う可能性もある。
岸田文雄首相が3月下旬にロシアから侵略をうけるウクライナを電撃訪問し、同国への支援を表明した後だけに、鈴木氏のロシア訪問が実現した場合は注目を集めそうだ。
2023.04.19-産経新聞-https://www.sankei.com/article/20230419-UIM4XJ4H2JMJRGN25FVNI5SKUM/
武力衝突激化のスーダンから邦人待避に向け自衛隊機派遣へ 改正自衛隊法で要件緩和
政府は19日、正規軍と民兵組織の武力衝突が激化するアフリカ北東部スーダンに在留する
邦人の国外退避のため、自衛隊機派遣の準備を始めた。松野博一官房長官が同日午後、首相官邸で緊急記者会見を開いて発表した。日本政府関係者によると、
スーダンに滞在している邦人は63人。松野氏は、
大使館員を含めたスーダンに滞在している邦人について「生命、身体に被害が及んでいるとの情報には接していない」と述べた。
政府は同日、村田隆内閣危機管理監をトップとする官邸対策室を設置した。林芳正外相が自衛隊機の派遣準備を浜田靖一防衛相に要請した。
現地の戦況を見極めたうえで派遣時期などを判断する。政府は、
自衛隊が海賊対処活動の拠点を置くアフリカ東部・ジブチに輸送機を派遣する方向で検討している。
松野氏によると、スーダンでは首都ハルツームを含む全土で武力衝突が起き、多数の死傷者が出ている。現地の全ての邦人と連絡が取れているものの、水や食料の不足や治安情勢の悪化が著しい。松野氏は会見で「G7(先進7カ国)をはじめとする主要国とも緊密に連携しつつ、政府として在留邦人の安全確保に全力で対応する」と述べた。
海外で有事などが起きた際の邦人退避を巡っては、
2021(令和3)年8月にアフガニスタン情勢が悪化した際、自衛隊機による邦人退避が遅れて批判を受けたことから、岸田文雄首相が自衛隊法改正の検討を指示。昨年4月に改正自衛隊法が成立し、救出要件が緩和された。邦人輸送の際に迅速な判断の支障となる「安全に実施」するとの規定を見直したほか、外相と防衛相が協議して危険回避の対策を講じられれば、自衛隊派遣が可能になった。
スーダン情勢について、林氏は16日に談話を発表し、
「深い憂慮」を示して全ての当事者に即時の暴力停止を求めた。18日まで長野県軽井沢町で開かれたG7外相会合でも停戦を呼びかけたが、実現していない。