医療問題-サル痘-1(エムボックス)
2024.10.06-産経新聞(KYODO)-https://www.sankei.com/article/20241006-A64EVPE75ZPQHGP3F5XF5FI3HU/
コンゴでワクチン接種開始 エムポックス(サル痘)、対策本格化
エムポックス(サル痘)の感染が拡大しているコンゴ(旧ザイール)の
東部ゴマで5日、米国や欧州連合(EU)が供与したワクチン26万5千本の接種が始まった。AP通信が報じた。
世界保健機関(WHO)が8月中旬に緊急事態宣言を出してから1カ月半以上が経過し、ようやく感染拡大対策が本格化する。
日本政府もワクチン提供でコンゴ政府と合意している。
アフリカでは今年、コンゴを中心に16カ国で、疑い例を含め3万4千件以上の感染が判明し、
800人以上が
死亡している。
(共同)
2024.08.20-産経新聞-https://www.sankei.com/article/20240820-QKO3FQXNNNO2NICJZMJOO3WWB4/
エムポックス(サル痘)感染が世界で拡大 アフリカ外でも重症化 監視体制強化へ
【パリ=板東和正】発熱や頭痛などを引き起こすウイルス感染症「エムポックス(サル痘)」の
感染がアフリカや欧州、アジアなどで広がっている。今年に入って致死率や感染速度が高まり、
世界保健機関(WHO)や各国が警戒を強化。監視体制の構築や
ワクチンの備蓄を進めている。
今年、1万8000人感染か
エムポックスはアフリカのコンゴ(旧ザイール)を中心に拡大。アフリカ連合(AU)の疾病対策センター(CDC)の16日の報告書によると、AUの12カ国での感染者数は今年に入り、
疑い例を含めて約1万8000人と既に昨年(1万5000人弱)を超えた。
死者数は541人と昨年(738人)より少ないが、感染速度が高く今年末までに昨年を上回る恐れもある。CDCは
「大陸レベルで対応すべき最優先課題」と危機感を示した。
感染はアフリカが大半だが、他国でも流行している。
スウェーデン保健当局は15日、エムポックスウイルスでより重症化しやすいタイプ「クレード1」の感染者が国内で見つかったと発表。
アフリカ外でのクレード1の感染確認は初めてで、欧州連合(EU)の欧州疾病予防管理センター(ECDC)は16日、
エムポックスの警戒レベルを引き上げると表明した。
フィリピンやパキスタンでも感染が確認されており、
中国税関総署は15日付でエムポックスの感染地域からの渡航者や物品に対する水際対策を実施すると発表した。
WHOのテドロス事務局長は14日、
エムポックスについて「国際的に懸念される公衆衛生上の緊急事態」に相当すると宣言。
WHOとして最高度の警告を発し、感染拡大防止に向けた対策強化を各国に促した。
接触感染で流行加速の可能性
エムポックスを巡っては、WHOが2022年7月にもアフリカなどでの感染拡大を受けて緊急事態を宣言。
23年に入り感染が欧州やアジアなどにも広がったが、新規感染者数が徐々に減少し、WHOは同年5月に緊急事態を終了させた。
今年のエムポックスは22~23年に比べてクレード1の感染が増加したほか、感染経路も多様化。欧州メディアによると、以前は男性同士の性的接触を通じた感染が中心とされたが、
現在は汚染された物を触った手を介してウイルスが体内に入る接触感染などで流行が加速した可能性がある。家庭内感染が多く、
女性や子供の感染者が目立つ。
WHOはワクチンの普及を訴えているが、
アフリカ諸国では財政難などからワクチンの備蓄が遅れており、感染拡大を防げない恐れがある。
エムポックス
発熱や頭痛、リンパ節の腫れのほか、発疹などの症状がでる感染症。
自然に回復することが多いが、クレード1に感染すると重症化しやすい。以前はサル痘と呼ばれたが、世界保健機関(WHO)が偏見を避けるために
動物などの固有名詞を病名に付けない方針を示し「mpox」への変更を推奨。厚生労働省は昨年、
「エムポックス」にする方針を決めた。
2024.08.16-産経新聞-https://www.sankei.com/article/20240816-6GNVARGK35JQNFM477WTG37WPU/
エムポックス(サル痘)検査体制を確認 WHOの緊急事態宣言で政府が対策会議
政府は16日、世界保健機関(WHO)がエムポックス(サル痘)の緊急事態を宣言したことを受けて関係省庁対策会議を開き、
国内の検査や患者受け入れ体制を維持し、感染状況などの情報収集に努めることを確認した。
厚生労働省によると、国内でエムポックス感染が疑われる患者が発生すれば、都道府県の地方衛生研究所で検査。重症者は国立国際医療研究センターなど全国7カ所の医療機関で抗ウイルス薬の投与を受けられる体制が構築されているという。
WHOによると、アフリカのコンゴ(旧ザイール)では今年に入り1万5600件以上の感染と537人の死亡が報告され、他の複数国でも感染が拡大している。
WHOは14日、「国際的に懸念される公衆衛生上の緊急事態」を宣言。武見敬三厚労相は15日、
日本製のワクチンや接種針をコンゴに供与する準備を進めていると明らかにした。
2024.08.16-産経新聞(KYODO)-https://www.sankei.com/article/20240816-HQD3MV45DNOMDJ7VT5VVU2YGJI/
エムポックス(サル痘)、アフリカ外で初の重症型感染を確認 スウェーデン当局が発表
スウェーデン保健当局は
15日、
アフリカで感染が拡大するエムポックス(サル痘)のウイルスで、
より重症化しやすいタイプの「クレード1」感染者を国内で確認したと明らかにした。
アフリカ外でクレード1の感染が確認されたのは初めて。流行地域に滞在中、感染したとみている。
また米国立衛生研究所(NIH)は15日、経口薬テコビリマットの臨床試験で、クレード1感染による症状の持続期間を短縮する効果が示せなかったと発表した。ただ、
コンゴ(旧ザイール)で試験に参加した患者の死亡率は1・7%で、国全体の3・6%より格段に低かった。
入院し栄養や水分の補給を受けられたためとみられる。
クレード1は、主に性交渉を通じて2022~23年に世界各地へ拡大したクレード2と違い、家庭内感染が多く、致死率も高いとされる。
世界保健機関(WHO)は14日、アフリカでの患者増加を受け「国際的に懸念される公衆衛生上の緊急事態」を宣言した。
(共同)
2023.04.06-東京新聞-https://www.tokyo-np.co.jp/article/242577
サル痘感染者、100人に迫る 厚労省「疑い症状相談を」
今年に入って
ウイルス感染症「サル痘(エムポックス)」の国内の感染者が急増し、昨年夏以降の累計で100人に迫っている。厚生労働省は6日「発疹などのサル痘が疑われる症状があれば、医療機関に相談してほしい」と呼びかけた。
サル痘は昨年、欧米を中心に拡大し、WHOによると、
今月4日までに8万6千人超が感染、112人が死亡した。昨夏のピーク時には1週間当たり7千人超の感染が確認されたが、最近は100人前後で推移する。
国内では昨年7月25日に初めて感染者を確認。昨年は計8人だったが、今年1月以降、海外渡航歴がない人の感染が増加し、4月4日時点で昨年からの累計は95人となっている。
2022.08.14-東京新聞-https://www.tokyo-np.co.jp/article/195796
サル痘ってどんな病気? 患部への接触に注意 手洗い、マスク…コロナ対策有効 天然痘ワクチンにも効果期待
(森耕一)
ウイルス感染症「サル痘」が欧米を中心に広がっています。新型コロナウイルスに疲れ果てた世界は、新たな不安に包まれています。一方で専門家は
「コロナのような広がり方はしない」と指摘します。冷静に受け止めるため、サル痘の基本知識をまとめます。
(森耕一)
「これまでと違う広がり方でウイルスが拡散しており、その状況についてまだほとんど分かっていない」。世界保健機関(WHO)のテドロス事務局長が先月、サル痘の拡大に「公衆衛生上の緊急事態」を宣言しました。世界では三万人を超える感染者が確認されています。
◆なぜ流行
サル痘のウイルスはコロナウイルスの倍以上の三百ナノメートル(ナノは十億分の一)の大きさで、オルソポックスウイルスに属します。かつて世界で猛威を振るった致死率の非常に高い天然痘と同じグループです。皮膚の炎症などの症状も似ています。
ウイルスが持つ遺伝物質は、コロナでは一本の鎖状のRNAですが、
サル痘では二本鎖のDNAです。DNAウイルスは一般にRNAウイルスと比べて変異は起こりにくいとされます。
一九五八年、研究のため飼育されていたサルから初めて見つかり、サル痘と名付けられました。野生ではもともと中央、西アフリカの熱帯雨林周辺に生息するネズミやリスの仲間がウイルスを持っており、正確な命名ではないとの指摘もあります。
こうした動物にかまれたり引っかかれたり、肉を食べたりすることなどで人に感染し、七〇年代以降、アフリカの十一カ国で数百人程度の小規模な集団感染が繰り返し起きてきました。今回は旅行者などによってウイルスが運ばれた可能性があります。
人間の移動が盛んになったことに加え、自然開発などの影響でウイルスを持つ野生動物と接する機会が増え、新たなパンデミックが起こる−。新型コロナにサル痘が続く状況は、人類に警鐘を鳴らしています。
◆どう感染?
WHOによると、
サル痘の主な感染ルートは、感染者と肌が触れ合う接触をし、病気の部位や体液に触れることです。そのほか、
感染者が使用した洋服やシーツに触れること、せきなどの飛沫(ひまつ)を至近距離で浴びることが感染につながる恐れもありますが、コロナウイルスのように広範囲に微小な飛沫が広がる「エアロゾル」による感染は起きないとみられます。
欧州では同性での性交渉をする男性に感染者が多いという研究もあり、
性的な接触による感染が多いとみられます。ただWHOは、
肌が患部に触れるような接触であれば、性交渉でなくても誰でも感染する恐れがあることを強調しています。
アフリカで過去の感染では、性別や年齢を問わず感染が起きていました。今回も感染が拡大している地域では、女性や子どもが家庭内などで感染するケースも出ています。
重要なのは、距離を取り、マスクをして、手などを清潔に保つというコロナウイルスへの対策の多くは、サル痘にも有効だということです。
アルコール消毒液が有効なのも同じです。
◆症状は?
感染後は一〜二週間の潜伏期間があり、最初に現れる症状は多くのウイルス感染症と似ています。
発熱、頭痛、リンパ節の腫れ、倦怠感(けんたいかん)、体の痛みなど。数日後には、多くの患者に、この病気の特徴的な症状が現れます。顔、手脚、口、陰部などに痛みを伴う発疹が起こり、水膨れが膿(う)む状況が続きます。
多くの場合、症状はそれほど重くなく
、二〜四週間程度で自然に回復します。ただ、子どもや病気治療中の人など免疫が弱い状態の人では重症化することもあります。
サル痘は天然痘と同じグループなので、天然痘のワクチンで予防効果が期待できます。天然痘は、人類が初めて撲滅に成功した感染症で、いまは予防接種は行われていませんが治療や予防の知見が蓄積されています。
バイオテロに使われる恐れがあるとして政府はワクチンを備蓄しており、これをサル痘でも使えるようにしました。治療薬も天然痘の抗ウイルス薬を使用できるようにしました。
WHOは感染が拡大している地域では、リスクの高い人、医療従事者らへのワクチン接種を推奨しています。日本でも必要になった場合に備えておくことは重要です。
欧米では、サル痘を巡る差別も問題になっています。テドロス氏は「
偏見や差別はどんなウイルスにも劣らず危険だ」と訴えます。WHOは「
同性愛者への差別に基づいた誤った情報がネット上で広まっている」と警鐘を鳴らします。偏見はワクチン、検査などの必要な対策から人々を遠ざけます。これも、人類が感染症との闘いで学んできた重要な教訓です。
2022.08.06-NHK NEWS WEB-https://www3.nhk.or.jp/news/html/20220806/k10013756421000.html
「サル痘」国内3例目 米軍横田基地所属の20代男性の感染確認
欧米などを中心に報告が相次いでいる「サル痘」に、
東京のアメリカ軍横田基地に所属する20代の男性が感染していることが確認されました。
感染が確認されたのは東京のアメリカ軍横田基地に所属する20代の男性です。
厚生労働省によりますと、男性は頭痛や体の痛み、それに発疹などの症状があり、4日に基地内の医療機関を受診したということで、その後、都の検査を受けて5日にサル痘への感染が確認されました。
現在は基地内の医療機関に入院しているということです。男性は、最近の海外への渡航歴はないということですが、
発症前に海外から国内を訪れていた人との接触歴があるということです。
厚生労働省は、自治体やアメリカ軍と協力して感染ルートや国内で接触した人がいないかなどを調べています。
サル痘は先月、WHO=世界保健機関が「
国際的に懸念される公衆衛生上の緊急事態」を宣言したあとも欧米を中心に広がり続け、CDC=アメリカ疾病対策センターの今月4日時点のまとめで
世界88の国と地域で2万6864人の感染が確認されています。
日本での感染確認は、これで3例目となります。
2022.08.05-BBC NEWS JAPAN-https://www.bbc.com/japanese/62431505
米政府、サル痘で「公衆衛生の緊急事態宣言」を発令
アメリカ政府は4日、サル痘のアウトブレイクについて、米全土に公衆衛生の緊急事態を発令した。これにより、ワクチンや治療薬、連邦政府からの物資供給を加速させ、感染拡大を抑える。
世界保健機関(WHO)は7月23日に、各地でサル痘の感染が広がっていることを受け、「国際的に懸念される公衆衛生上の緊急事態」だと宣言した。
保健当局によると、
アメリカではこれまでに6600人以上が感染している。
症例の約25%はニューヨーク州に集中。同州は先週、独自に緊急事態宣言を発令していた。次いで感染者の多いカリフォルニア州とイリノイ州も、今週に入って緊急事態を宣言した。
米疾病対策センター(CDC)によると、サル痘は今年に入り、
全世界で2万6000件以上の感染が確認されている。
一方、公衆衛生の専門家の間には、緊急事態宣言により、感染者への風当たりが強くなると懸念する声もある。誰でもサル痘に感染する可能性があるが、今回のアウトブレイクでは男性と性的交渉を持った男性に感染が集中している。
しかし、
サル痘は純粋な性感染症ではなく、患者との濃厚接触からでも感染する可能性があるという。
サル痘に感染すると非常に痛くてかゆい発疹が現れ、全身に広がる。そのほか、発熱や頭痛といった症状も確認される。
天然痘と似ているが、通常は症状は軽く、成人は治療や入院せずに回復する。しかしWHOは、感染拡大により幼い子供の死亡例が出ていると警告している。
保健当局はすでに、サル痘ウイルスにさらされるリスクが最も高い人に、ワクチン接種を勧めている。一部の同性愛やバイセクシュアルの男性、医療従事者などが含まれる。
こうした中、アメリカではサル痘のワクチンが不足しているとの報道も出ている。
米保健福祉省は先週、500万回分以上のワクチンを追加発注したと説明。来年5月までに供給されると述べた。
また今週初めには、ホワイトハウスが全国のサル痘対策についての連携・監視室を設置したと発表。こ国内でHIVウイルスの感染予防イニシアチブを成功させた、デミトリ・ダスカラキス氏などが参加している。
このところジョー・バイデン大統領には、サル痘の感染拡大について対策を取るべきだという重圧がかかっていた。公衆衛生当局は、感染は特に、男性と性交渉を持った男性の間で広がっていると指摘している。
サンフランシスコなど性的マイノリティー(LGBT)の人が多く住む都市では、LGBTコミュニティーを守る対策が十分に取られていないと、政治家らが声を上げている。
新型コロナウイルスの出現時とは違い、サル痘のワクチンはすでに開発されている。しかし、ワクチン接種を受けようとした人の多くが長い列に長時間並んだ挙句、品切れだと言われている。
バイデン大統領はもっと早くアメリカ全土への緊急事態を宣言すべきだったのでないか、そうすれば感染の広がりを防げたのではないかと、批判的な声も出ている。
サンフランシスコは1日に公衆衛生の緊急事態宣言を発令した。発令に際し、ロンドン・ブリード市長は1980年代のHIVウイルス危機を思い起こさせ、当時、市は危機を無視ししていたと指摘。「とても怖い状態だ」と述べた。
2022.07.30-JIJI COM-https://www.jiji.com/jc/article?k=2022073000155&g=int
サル痘、アフリカ以外で初の死者 ブラジルとスペイン
【サンパウロ時事】ブラジル保健省は29日、
サル痘に感染して南東部ベロオリゾンテで入院していた41歳の男性が敗血症性ショックのため死亡したと発表した。また、
スペインからの報道によると、同国政府も30日、感染者2人の死亡を公表した。アフリカ大陸以外での死者は初めてとみられる。
サル痘は今年、アフリカ以外に感染が拡大した。世界保健機関(WHO)の25日の発表によると、アフリカでは今年、既に中央アフリカで2人、ナイジェリアで3人の感染者が死亡している。
2022.07.26-NHK NEWS WEB-https://www3.nhk.or.jp/news/html/20220725/k10013735611000.html
「サル痘」感染 国内初確認 症状などあれば受診を 厚生労働省
欧米などを中心に報告が相次いでいる
「サル痘」に東京都内の男性が感染していたことがわかりました。国内で「サル痘」の感染者が確認されたのは初めてです。
男性はヨーロッパで感染したと見られ、厚生労働省は欧米などに滞在した人で、発疹などの症状がある場合は、念のため医療機関を受診するよう呼びかけています。
感染が確認されたのは東京都内に住む30代の男性です。厚生労働省によりますと、今月15日以降、
けん怠感や発疹、発熱、頭痛の症状が出て、25日に医療機関を受診し、
都の検査で「サル痘」への感染が確認されたということです。
国内でサル痘の感染者が確認されたのは初めてです。現在は、都内の医療機関に入院していて、容体は安定しているということです。
国籍は明らかにしていません。男性は先月下旬にヨーロッパに渡航し、今月中旬に日本に帰国したということで、
現地で「サル痘」の感染者との接触があったということです。
厚生労働省は、
男性がヨーロッパで感染したとみて、自治体とともに詳しい感染ルートや国内で接触した人がいないかなどを調べています。
WHO=世界保健機関によりますと、これまでに欧米などの75の国と地域で、1万6000人余りの「サル痘」の感染者が確認され、WHOは「国際的に懸念される公衆衛生上の緊急事態」を宣言しています。
海外で確認されている感染者の大半は
男性で、主に同性間の性交渉を通じて、感染が広がっていると見られるということです。感染から発症までの「潜伏期間」は、通常7日間から14日間とされ、厚生労働省は欧米など「サル痘」の報告が相次いでいる国や地域に滞在した人で、発疹や発熱などの症状がある場合は念のため、かかりつけ医などを受診するよう呼びかけています。
小池知事「感染疑いの場合は医師の診断を直ちに受けてほしい」
東京都の小池知事は25日夜、記者団に対して、「本日、欧州から戻った海外渡航歴のある30代の男性が、国内で初めてサル痘の患者として確認された。都の健康安全研究センターの検査で判明した。患者は現在、都内の医療機関に入院中だ」と述べました。
そのうえで小池知事は、「サル痘は動物から感染するほか人から人へ感染することがある。患者の体液や患部との接触が主な感染ルートになっていて、世界で感染が拡大している」と述べました。
そして、「都の健康安全研究センターや各保健所、医療機関などですでに連携していて、疑い患者が出たら検体の確保や報告などを速やかに行う態勢を構築している。あまり心配しすぎることはないが、手指衛生など感染予防を心がけていただき、感染が疑われるような場合には、医師の診断を直ちに受けてほしい。引き続き、国と連携をとりながら、都として適切に対応していく」と述べました。
専門家「対策徹底すれば感染拡大は最小限に抑えられる」
サル痘の感染者が国内で初めて確認されたことについて、サル痘に詳しい岡山理科大学の森川茂教授は、「感染者が確認された国が世界で75か国まで広がっていた中で、日本から海外へ出張や旅行ができる状況だったので、国内でもいつ感染者が確認されてもおかしくなかった。入国の際に症状が出ていなければ、検疫では見つけられなかった可能性が非常に高い。今回のケースについて、まだ詳しいことは分からないが、例えば、海外から帰国後、数日以内に発症したというのであれば、広がらずに収束させることができると思う」としています。
そのうえで、「国や行政機関の対応としては、患者の隔離や濃厚接触者の調査、また、濃厚接触者がいる場合は21日間は発症しないかを調べることなどを徹底すれば、感染拡大は最小限に抑えられる。新型コロナウイルスのように飛まつによって簡単に感染するウイルスではないので心配しすぎる必要はないが、患者さんが直接、触れた場所に触れると間接的に感染リスクがあるので、アルコールの消毒などの対策が有効だ」と話しています。
国は治療体制などの整備進める
「サル痘」の感染者が国内で確認された場合に備え、厚生労働省は治療や検査体制などの整備を進めてきました。治療薬については、まだ国内で承認された薬がないため「サル痘」と症状が似た天然痘の薬でアメリカの製薬会社が開発した「テコビリマット」という飲み薬を研究目的として投与できる仕組みを作っています。
EU=ヨーロッパ連合では「サル痘」の薬としても承認されていて、現時点で東京の国立国際医療研究センターなど、4か所の医療機関で投与が受けられるということです。
ワクチンについても「サル痘」に対して、およそ85%の発症予防効果があるとされる天然痘のワクチンの使用を承認するか、今月29日に専門家部会を開いて審議を始めることにしています。検査については、すべての都道府県の地方衛生研究所で実施できる体制をすでに整備したということです。
検査で陽性となった人がいれば、全国に58か所ある感染症の指定医療機関などで優先的に受け入れるよう自治体に通知していて、感染者の家族など感染したリスクが高い人には毎日、保健所を通じて健康状態を確認することも求めています。
世界の現状は
WHOによりますと、「サル痘」はこれまでに75の国と地域で、合わせて
1万6000人余りの感染者が確認され、
5人が亡くなっています。
CDC=アメリカ疾病対策センターのまとめによりますと、今月20日の時点で確認された感染者の数は、
▽スペインで3125人と最も多く、続いて
▽アメリカで2890人、
▽ドイツで2268人、
▽イギリスで2208人、
▽フランスで1567人などとなっています。
WHOは、今回の感染拡大について、「
男性と性的関係がある男性、特に、複数のパートナーとの性的関係を持つ男性の間で集中的に広がっている」とする一方で、
「サル痘」は密接な接触によって誰もが感染する可能性があり、
特定のグループの人たちの病気ととらえずに警戒すべきだとしています。
2022.07.24-NHK NEWS WEB-https://www3.nhk.or.jp/news/html/20220723/k10013733021000.html
WHO「サル痘」で緊急事態を宣言 “世界に急速に拡大している”
欧米などを中心に報告が相次ぐ
「サル痘」についてWHO=世界保健機関は、日本時間の23日夜に記者会見し、
感染の拡大が続いているとして「
国際的に懸念される公衆衛生上の緊急事態」を宣言しました。WHOは現在、新型コロナウイルスとポリオの感染拡大について緊急事態の宣言を継続していて「
サル痘」は3つ目となります。
WHOは今月21日、各国の専門家や保健当局の担当者による緊急の委員会を開催し、欧米などを中心に感染が拡大する「
サル痘」の状況について検討しました。
この検討結果を受けて23日、スイスのジュネーブで記者会見したテドロス事務局長は専門家などの委員会では、さまざまな意見が出され、宣言を出すべきかどうか全会一致の結論には至らなかったものの、
サル痘の感染拡大についてはわからないことも多く、世界中に急速に拡大しているなどとして「国際的に懸念される公衆衛生上の緊急事態」の宣言に踏み切ったと述べました。
WHOは現在、新型コロナウイルス、それにポリオの感染拡大について緊急事態の宣言を継続していて「
サル痘」は3つ目となります。
WHOによりますと
サル痘は、
これまでに75の国と地域で1万6000人余りの感染者が確認され5人が亡くなっています。
テドロス事務局長は、適切な対策を講じれば感染拡大は防げると述べ、まだ感染が確認されていない国も含めてウイルスの監視態勢を強化し、さらなる感染拡大を防いでいくべきだと訴えました。
なぜいま?宣言に踏み切った背景は
WHOは先月にも専門家による委員会を招集して、緊急事態を宣言すべきかどうか検討しましたが、見送りました。
その時の感染者の数は、
およそ3000人。
ところがその後も感染者は増え続けこれまでに75の国と地域で1万6000人余りにのぼっています。
テドロス事務局長は記者会見で、WHOが招集した専門家などによる委員会では
サル痘は
一般的に症状が軽いとされ、死者もこれまでに5人となっていて緊急事態宣言を出す必要があると捉えていない専門家もいて全会一致の結論には至らなかったと明らかにしました。
ただ
サル痘は、感染のしかたなどについてまだわからない点も多い上、急速に広がっているとして、みずからの判断で緊急事態の宣言に踏み切ったとしています。
今後、必要な対応は
会見でテドロス事務局長は欧米などでの今の感染状況について「今回の感染拡大は、男性と性的関係がある男性、特に、
複数のパートナーと性的関係を持つ男性の間で集中的に感染者が発生している。これは適切なグループに対して適切な戦略を講じれば、感染拡大を止めることができることを意味する」と述べました。
一方で、
サル痘は
、密接な接触によって誰もが感染する可能性があり、特定のグループの人たちの病気ととらえずに警戒するべきだとしていてテドロス事務局長は、偏見や差別はウイルスと同じように危険だとしています。
そして各国がとるべき対策として、
サル痘が確認されている国では、感染を止める対策の実施や重症化リスクが高い人への対応を求めているほか
サル痘が確認されていない国などでも、保健当局が協力して信頼できる検査態勢を構築することなどを求めています。
国内の対応は
厚生労働省によりますと、
日本では集計が開始された2003年以降、サル痘の感染は報告されていません。
サル痘は感染症法上、
狂犬病などと同じ「4類感染症」に指定され、診断した医師は患者の発生を保健所に届ける必要があります。
サル痘は、現在、欧米だけでなく、
日本に近い韓国やシンガポール、タイ、台湾でも感染者が確認されています。
厚生労働省は都道府県などに対し事務連絡を出し、疑わしい患者があれば報告し、指定医療機関への入院体制を確保するよう求めています。
サル痘のウイルスは、
水疱に含まれている液体などから新型コロナウイルスと同じようにPCR検査で調べることができることから、国立感染症研究所のほか、各自治体の地方衛生研究所でも検査体制の整備が進められています。
2022.05.27-産経新聞-https://www.sankei.com/article/20220527-ZSXVGIE2RVIFLCDIMZ3LKH3SZQ/
サル痘拡大 「極めて異常」WHOがヒト間の感染警告
【ロンドン=板東和正】
天然痘に症状が似ている「サル痘」の感染が欧米や中東で拡大している。
世界保健機関(WHO)はヒトからヒトへの感染を認め、流行地域の
アフリカに関わりのない感染者が相次いで確認されているのは「
極めて異常」と指摘。
子供や免疫力が低下した人が感染すれば重症に陥る恐れがあるとし、各国に感染者の隔離などを呼びかけている。
ロイター通信によると、
サル痘の感染は27日時点で英国やフランスなど欧州のほか、北米、オーストラリア、中東のイスラエル、アラブ首長国連邦(UAE)に拡大。アフリカ以外で感染が確認されたのは少なくとも20カ国にのぼり、200人以上が感染している。死者は報告されておらず、日本での感染も確認されていない。
サル痘はこれまで主にアフリカ西部や中部の熱帯雨林地域で流行してきた。そのため、アフリカへの渡航歴がない感染者が相次いでいる事態を受け、WHOは21日の声明で「極めて異常な出来事だ」と指摘。感染者が確認された米国のバイデン大統領も22日、「誰もが心配すべきことだ」と懸念を表明した。
WHOなどによると、
サル痘は1958年に実験用のサルから最初に確認された感染症で、発熱や体の痛みのほか、顔や手足に発疹が出る。大半は軽症のまま終わり数週間で治るが、子供や妊婦、免疫力が低下した人が感染すれば重症に陥る恐れがある。
サル痘はウイルスを保有した野生動物に触れることで感染する。感染者との身体的接触のほか、感染者の飛沫(ひまつ)や体液に触れて感染する場合もある。
WHOは欧米などのサル痘の流行を受け、「入手可能な情報では、
密接な身体的接触によりヒトからヒトへの感染が起きていることが示されている」と分析。感染者は今後も増加し、
感染が確認されていない国にも広がる可能性があると指摘した。感染者の発見や隔離を急ぎ、感染拡大の抑制が急務と強調した。
こうした中、
英国やベルギーなどの政府機関は、感染者らに数週間の隔離を指示。サル痘に特化したワクチンはないが、複数の国は天然痘のワクチンを備蓄しており、国民に接種する計画を立てている。天然痘ワクチンはサル痘に対しても、最大85%の効果を発揮するとみられてい
一方、サル痘の感染が欧米などで拡大した要因は不明だ。ただ、英紙フィナンシャル・タイムズなどによると、
欧米で若年層が天然痘ワクチンの予防接種を受けておらず、サル痘への免疫力が低いことが理由として考えられる。また、
サル痘ウイルスが変異したことで感染力が強まったとの見方もあるという。