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ここは、2021年07月12日~のニュースです
エネルギ-基本計画の問題-1


2023.10.25-NHK NEWS WEB-https://www3.nhk.or.jp/news/html/20231025/k10014234411000.html
被害額2億7000万円も… 各地で狙われる太陽光発電
(水戸放送局記者 藤田梨佳子/清水嘉寛)

  東日本大震災以降、環境への影響が少ない再生可能エネルギーの電力源として、太陽光発電の普及が進んでいます。しかしいま、各地で窃盗グループの標的となっています。

  盗まれるのは、送電用の銅線ケーブルです。茨城県など北関東を中心に4か月あまりの間に、被害額が2億7000万円に及んだケースもあります。取材を進めると、損害保険会社や事業者たちに“想定外”の影響をもたらしていることもわかりました。なぜ、狙われるのか。真相に迫りました。
(水戸放送局記者 藤田梨佳子/清水嘉寛)
防犯カメラが捉えた犯行の一部始終
  ことし2月に撮影された、茨城県小美玉市の太陽光発電施設の防犯カメラの映像です。時間はまだあたりが暗い午前4時。施設の外を歩く、複数の人影が見えます。数分後、グループの一人が施設の中に侵入しました。太陽光パネルの下をはっていく様子がわかります。
  さらに、黒いケーブルのようなものを複数人で施設の外に運び出し……。その後、用意した車にケーブルをのせ、あたりが明るくなった朝6時、車で走り去りました。盗まれたのは、送電用の銅線ケーブル。長さは600メートルで、被害額は400万円近くにのぼりました。
  太陽光発電事業者;「犯人グループは、車や人の通りの死角になっている場所から入ったと思う。銅線を切断して、すべて抜き取っていった」
 「盗みやすい」-ことし7月、茨城県内の別の太陽光発電施設で金属ケーブルを盗んだとして、カンボジア人のグループが逮捕されました。警察によりますと、このうち数人は小美玉市の施設の防犯カメラに映っており、「盗んだケーブルは買い取り業者に販売した」、「太陽光発電施設は盗みやすい」などと供述したといいます。
 なぜ太陽光発電が標的に?-いま、こうした銅線ケーブルを狙った盗難が、東北や関東、東海地方で多発しています。要因の一つに、銅の価格上昇があります。楽天証券経済研究所によりますと、コロナ禍で低迷した経済が回復したことなどから、銅の価格は3年前のおよそ1.6倍以上になっています。換金目的とみられる窃盗が増えています。また、事業用の太陽光発電施設の数が多いことや、人目に付かない場所に設置されていることも、要因になっています。とくに茨城県は、全国で2番目に多い242の施設があり、農地の周りや山間部などに設置されています。見つかるリスクが少ないため、犯罪グループの標的になっているのです。
 盗まれたケーブル81km 被害2億7000万円-茨城県内の太陽光発電施設の被害は、ことし8月末までで去年の2倍以上の886件。施設数の3倍以上の件数です。警察が裏付け捜査をした、去年10月から4か月余りの間の76件の被害では、エリアは茨城や栃木、群馬、埼玉、千葉の5県の太陽光発電施設に及び、被害総額は約2億7000万円にのぼることがわかりました。盗まれたケーブルの総延長は81キロメートル。東京の東端と西端を結んだ距離はおよそ90キロのため、東京横断に近い長さです。
 分裂する犯行グループ-裁判を傍聴すると、逮捕されたグループの中には、外国人実習生として日本で働いていたものの、その後、在留資格を失った人もいました。これまで、日本人による同様の犯罪はありますが、ベトナムやタイなど外国人のグループも逮捕されています。
  捜査関係者によりますと、外国人の場合、グループが分裂しながら、新たな窃盗グループを形成しているケースがあり、この動きは拡大しているということです。
  捜査関係者は「縦系列の組織がなく、仲間を募りながら増えていく。いたちごっこの状況」といいます。
 対応に追われる損保会社-被害が広がる中、事業者が契約している損害保険会社では、対応に追われています。銅の価格が上昇した去年秋ごろから、支払いが急増したといいます。東京に本社のある大手損害保険会社では、ことし4月から8月までの盗難による保険金の支払い件数は、すでに前年度1年間を上回りました。太陽光発電部門の保険事業は、盗難の影響で赤字になっているといいます。
  損保ジャパン 企業財産グループ 北野雄一課長代理:「自然災害や、太陽光パネルの電気的な故障を想定していた保険でしたが、そういった事象とは別の盗難に伴う保険金支払いが急増したことで、いただいている保険料よりも、お支払いさせていただく保険金のほうが上回っている状況です。想定外です。(盗難の補償を)お引き受けする厳しさは、より高まってきます」-また、保険で修繕した太陽光発電施設が再び金属盗難の被害にあい、保険で直すという悪循環もみられるということです。
  この保険会社では、盗難の被害が続いた場合や、防犯対策が不十分な場合は、補償の対象外にせざるをえないこともあるといいます。
 防犯対策のコストかさむ-盗難被害を補償する保険の適用条件が厳しくなり、事業者にも不安が広がっています。-茨城県常陸太田市にある施設では、この5年間で3回被害にあいました。発電ができなくなった損失額は6000万円に上りましたが、保険で賄うことができたため、何とか事業を継続できました。防犯対策も強化し、防犯カメラや侵入を検知するセンサーなどに総額1千万円あまりかけています。会社では今後、盗難被害が増えると保険が対象外となるおそれがあるため、さらに警備会社と契約し、24時間、人を常駐させることを検討しています。
  しかし、人件費だけで年間1千万円余りが見込まれていて、二の足を踏んでいます。
  太陽光発電事業者 現場責任者-今は保険に加入しているから、金銭的な被害は最小限にとどまっていますが、防犯対策などの条件によっては、加入させてもらえなくなるかもしれないですね。なるべく、お金をかけずに対策をしたいが、なかなか難しいのが現状です」
 手口は大胆に-事業者が防犯対策に力を入れる一方で、犯罪グループの手口は大胆になってきています。最近は、防犯カメラの電源の切断や、カメラの死角から侵入するなど、対策をかいくぐるケースが出ています。被害の調査をしている損害保険会社の担当者は、こう話します。
  SOMPOリスクマネジメント 伊達秀さん-「事件の後に、防犯カメラの画像データを1週間ぐらいさかのぼって見てみると、下見をしている形跡が見つかることは珍しくないです。外から見れば侵入しやすいとか、警備会社と契約していないというのはすぐわかるので、ここは狙えると思ってしまえば、規模に関係なく狙われてしまうのが現実です」
 有効な対策は-すきをつくらないようにセンサーを張り巡らせる 侵入すると警報音がなるようにする 警備会社と契約し、異常があればすぐに駆けつけてもらう-などということです。
 盗難金属の換金にストップ-茨城県警は、盗まれた金属の換金を止める取り組みを進めています。茨城県は工場などが比較的多く、鉄くずを買い取る業者も多いためです。盗まれた金属は、盗品かどうかの区別が難しく、業者が気付かずに買い取ってしまうおそれがあるといいます。そこで、警察官が県内すべての金属リサイクル業者を訪れ、買い取りをする際の本人確認の強化や、取り引き内容の帳簿への記載を呼びかけています。
夏場の電力を補完 再エネへの影響は?
  太陽光発電施設は東日本大震災以降、再生可能エネルギーへの関心が高まったため、普及が進んできました。業界にとっては“想定外”ともいえる金属盗難の増加が、エネルギーの今後にどのような影響を与えるおそれがあるのでしょうか。
  主に関東地方に電力を供給している東京電力エナジーパートナーでは、太陽光発電は、夏場の電力を補完するエネルギーとしても活用しています。被害が増加している状況について「再生可能エネルギーの普及を阻害するもので、社会的課題として実効性のある対策が必要だ」として、強い懸念を示しています。
業界団体は今後の新規参入に懸念
  太陽光発電の業界団体も不安を抱いています。国の今後の再生可能エネルギーの計画では、2030年までに太陽光発電の電力構成割合を、2021年の時点からおよそ2倍に増やそうとしています。いっそうの事業拡大が求められていますが、盗難が相次ぐいまの状況では、防犯対策のコストの増加や、保険の補償の対象外となるリスクがあるとみています。
  業界団体では、新規参入のハードルを高める要因になりかねないとして、国の協力も必要だとしています。

一般社団法人太陽光発電協会 シニアアドバイザー 杉本完蔵さん-太陽光発電施設の盗難問題は、決して事業者だけの話ではなく、社会的なインフラとして守っていかないといけない。そのための制度的な支援があれば、積極的に事業者も防犯対策を進められると思う。業界をあげて国と一緒になって対策をとっていきたい」
取材後記-茨城県警担当を3年続けてきましたが、その間に、農業用水のバルブ、グレーチング、マンホール、アルミ製のフェンスなど、さまざまな金属が盗まれる被害が後を絶ちませんでした。太陽光発電施設の銅線が集中的に狙われ、全国では毎日1件以上の被害が出ているといいます。
  被害が止まらない中、再生可能エネルギーの大きな柱になっている太陽光発電を被害からどう守っていくのか、今後も取材していきたいと思います。
(藤田梨佳子)

私が取材した太陽光発電施設の現場責任者は、「再発防止や事件の解決につなげてほしい」と取材に協力してくれました。盗むために下見する姿が、複数回にわたって防犯カメラに記録されていた映像をみると、事業者の対策の難しさを実感しました。今後も業界団体の動きについて、取材を継続していきたいと思います。(清水嘉寛)(9月22日「いば6」、10月10日「おはよう日本」、10月18日「首都圏ネットワーク」で放送)


2022.01.17-Yahoo!Japanニュース(産経新聞)-https://news.yahoo.co.jp/articles/7246bd14253effcc134f2ea00ea7aec19733b678
国内海洋ガス田30年ぶり新規開発へ 島根・山口沖 令和14年生産開始目指す

  石油・天然ガス開発の国内最大手であるINPEXは17日、3月から島根・山口沖で、石油・天然ガス田開発の前段階となる試掘を指す探鉱事業を始めると発表した。探鉱や開発の成功が前提となるが、国内の海洋油ガス田としては約30年ぶりの新規案件となる。現在、世界規模で原油や液化天然ガス(LNG)などエネルギー価格が高騰する中、天然ガスの国内自給率増に貢献するだけでなく、自国で少量でもエネルギー生産できることは経済安全保障上の観点からも重要といえる。今後、商業化できる埋蔵量が確認されれば、令和14年をめどに生産を開始できる見込みだ

  石油・ガス田の探鉱を行う場所は、島根県浜田市から沖合約130キロ、山口県萩市から沖合約150キロ、水深約240メートルに位置し、生産開始以降はパイプラインで供給する計画。年間のガス生産量は国内天然ガス消費量の1・2%に相当する約93万トン。天然ガスを実際に生産できれば、国内自給率を現状から1・1ポイント増の3・4%へ押し上げることになる。
   開発に当たっては、INPEXと独立行政法人石油天然ガス・金属鉱物資源機構(JOGMEC)が半分ずつ、計330億円を出資する。 国内の海洋における天然ガスの探鉱はこれまでも各地で行ってきたが実現は難しく、商業化できているのは平成2年から生産する新潟県岩船沖のみとなっているのが現状
  今回開発する地点では、23年度に行った3次元物理探査船「資源」による探査やINPEXによる調査結果などを踏まえ、26年度から3年間、経済産業省の委託事業として掘削調査を実施。天然ガスの存在確認に成功していた。

  日本は、石油・天然ガスのほぼ全量を輸入に頼っているのが現状だ。ただ、エネルギーの安定供給の必要などもあり、昨年10月に閣議決定したエネルギー基本計画では、国内生産や日本企業が海外で権益を持つ事業を含めた「自主開発比率」(元年度は34・7%)を12年に50%以上、22年に60%以上まで引き上げる目標を掲げており、今回の開発も貢献することになる。

   脱炭素に向け、化石燃料である天然ガスの需要が減少するとの見方もあるが、燃焼時に二酸化炭素(CO2)を排出せず今後、多くの活用が見込まれる水素は天然ガスから製造できることから、水素の国産化にも貢献できると期待される。



2021.07.12-NHK NEWS WEB-https://www3.nhk.or.jp/news/html/20210712/k10013135341000.html
2030年時点の発電コスト 太陽光が最安に 原子力を初めて下回る

  経済産業省は、2030年時点の太陽光の発電コストが原子力のコストよりも下がり電源別で最も安くなるとの見通しを示しました。太陽光パネルの値下がりが主な要因で、原子力を下回るのは初めてとなります。

  国の「エネルギー基本計画」の改定に向けて、経済産業省は2030年時点で発電所を新たにつくった場合の発電コストについて分析し、12日の審議会で示しました。
  それによりますと、1キロワットアワー当たりのコストは、
▽事業用の太陽光で8円台前半から11円台後半
▽原子力は11円台後半以上
▽LNG火力は10円台後半から14円台前半
▽石炭火力は13円台後半から22円台前半となっています。
  6年前の試算で最も安かった原子力は、安全対策のための費用が膨らみ、発電コストは1円以上、上がりました。一方、太陽光は4円程度下がり、最も安くなりました。発電コストで太陽光が原子力を下回るのは初めてとなります。
  ただ、太陽光発電は天候による発電量の変動が大きく、実際にはバックアップのために火力発電を確保する必要がありますが、その費用は計算に含まれていません。このため、経済産業省は発電以外にかかる全体的なコストについても議論していくとしています。


東シナ海ガス田問題
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

  東シナ海ガス田問題は、東シナ海での日本国と中華人民共和国(中国)のガス田開発に関わる問題である。

概要
  問題となっている海域には中国側の調査で春暁(日本名:白樺)、断橋(日本名:楠)、天外天(日本名:樫)、平湖、冷泉(日本名:桔梗)、龍井(日本名:翌檜)、残雪、残雪北の8ガス田が確認されているが、春暁(白樺)、断橋(楠)においてはその埋蔵地域が日中中間線の日本側海域に掛かっているため両国間の問題になっているほか、日本政府は天外天(樫)、龍井(翌檜)についても資源が中間線を越えて広がっている可能性を指摘している。

  日本は2005年経済産業省が中国に対抗し民間開発業者への試掘権付与手続きを行うなどしていたが、その後経産大臣二階俊博親中派議員が配置されたこともあり一転してソフト路線となり、現場に海軍を配置して強硬に開発を推し進める中国に対して傍観するしかない状況となった。地区を限定して共同開発する話もあったが、その後一方的に共同開発より格下の「出資」扱いとされてしまった。対中関係を配慮するばかりに、この問題における出遅れや対応の遅さが指摘されている。
主張する海域の違い
  問題となっているガス田は、両国の排他的経済水域内にあり、日本はその権益の範囲を現在国際的に一般的な日中中間線とするのに対し、中国は1970年代頃までの国際法上の解釈に基づく大陸棚の先端沖縄トラフまでを主張している。
  こうした排他的経済水域に関わる問題は、国連海洋法条約において「関係国の合意到達の努力」に委ねられているが、解決が見られない場合は調停を要請できる。それでも解決が見られない場合は各裁判所に要請する事ができる。当条約は平和的解決を要求しているが、条文には強制力がないため、関係国がこれに応じない場合調停や裁判所での解決ができない。日本・中国共に国連海洋法条約に批准しており、日本は国際司法裁判所国際海洋法裁判所に付託する事を中国に要請しているが、中国はこれに応じていない。
経緯
  中国政府は、この海域の資源開発研究を30年以上前から続けており、1999年に平湖ガス田(全体が日中中間線より中国側にあるガス田)で天然ガスの生産を開始している。
  中国は経済成長により電力需要が逼迫していることから、春暁(白樺)、天外天(樫)両ガス田でも日本の抗議にもかかわらず採掘施設の建設を進め、2005年9月下旬には、日中中間線から4キロメートルの位置で天外天ガス田の生産を開始した。なお、11月にも操業を始めるとみられる春暁(白樺)の採掘施設は、中間線から1.5キロメートルしか離れていない。
日本政府の対応と中国の反応
2004年
  6月、中国が春暁(白樺)の本格開発に着手したことがわかり、春暁(白樺)・断橋(楠)付近の海域を独自に調査。春暁(白樺)・断橋(楠)は地下構造が中間線を挟んで日本側につながっており、天外天(樫)、龍井(翌檜)もその可能性があることを日本政府は確認した。このため、中国が日中間で地下構造がつながっているガス田の採掘を始めると日本側の資源まで吸い取られてしまう可能性が高いとして問題視している。そして、外交ルートを通じて当該海域での開発作業の即時中止と、地下構造のデータ提供を求め続けているが、2005年現在、中国側はデータ提供を拒んでいる。
2005年
  7月、当時の中川昭一経済産業大臣は帝国石油に試掘権を付与した。日本の資源を守る目的があるとされた。試掘権付与手続きと平行して、日本政府は中間線付近の5ガス田に日本名を命名した。春暁は「白樺」、断橋は「楠」、冷泉は「桔梗」、天外天は「樫」、龍井は「翌檜(あすなろ)」とし、公文書などでも使用を始めた。しかし小泉首相は中川を農水大臣に横滑りさせ、親中派として知られる二階俊博を経済産業大臣に任命する。二階は中国を刺激しないように外交ルートを通じての話し合いに終始し、結果的に日本による試掘は頓挫することになった。
  中国側は日本の抗議に対し日中共同開発を提案していたが、日中中間線より日本側の領域のみの共同開発としているため、日本政府は受け入れを拒否した。2005年10月、同問題についての日中局長級協議で、日中中間線をまたぐ春暁など4ガス田に限って共同開発する提案を中国側に行った。中国政府は「日本の行為(試掘権付与)は中国の主権と権益に対する重大な挑発かつ侵害」「強烈な抗議」と自国の行為を棚に上げて反論している。中国は、中国海軍の最新鋭艦であるソヴレメンヌイ級駆逐艦を含む5隻程度の艦隊でガス田周辺の警備を行っており、管轄の南京軍区や東海艦隊は、ガス田開発問題が表面化して以降、日本との突発的な軍事衝突に備えて第一級警戒態勢を布き、幹部の無許可での移動を禁じていると言われている。
2008年
  6月8日、中国政府は春暁ガス田の共同開発相手として日本企業の参加も認めると伝えてきた。
  東シナ海ガス田が全て操業を開始したとしても、大消費地の上海周辺の需要量から、1-2年の需要を賄なう程度の埋蔵量しかないのではないかと推定されており、日本はもちろん、中国側から見ても決して採算性のある事業ではない。そのことから、中国の真の狙いは、ガス田の開発それ自体より、日中中間線付近に複数のプラットフォームを建設することにより、日中中間線近くの海上に「事実上の中国領土」を人工的に作り上げ、第一列島線の一部でもある東シナ海の制海権と軍事的優位を確立することにあるのではないかと推定されている。
 6月18日、日中両政府がガス田問題で合意。共同プレス発表で、(1)「白樺(しらかば)(中国名・春暁)」に日本が開発に参加する(2)「翌檜(あすなろ)(中国名・龍井)」南側の日中中間線をまたぐ海域での共同開発区域付近での共同開発--との合意内容を明らかにした。両政府は、具体的な合意内容は条約交渉を経て確定するとした。「樫(中国名・天外天)」と「翌檜」本体、「楠(くすのき)(中国名・断橋)」は共同開発の合意に至らず、「共同開発をできるだけ早く実現するため、継続して協議を行う」とした。
2009年
  1月4日、『産経新聞』が、2007年6月18日の日中両政府間の政治合意後も、中国が「樫」(天外天)で単独開発をしている事実をスクープした。
  2008年7月、海上自衛隊のP3C哨戒機が、樫(天外天)のプラットホーム周辺の海域が茶色く濁っているのを確認し、変色した海域が拡大したり、海面が激しく泡立ったりしたのも把握した。また、同月頃にパイプやドリルを使い、樫(天外天)で掘削を開始した。掘削は最短で1カ月程度で終わるとされることから、石油と天然ガスの採掘に入ったとの見方が強いと報じた。そして、同日、中国外務省の報道局長は「天外天(樫)が中国の海域であることは争いがなく、作業を行うのは固有の権利で日本との間に共同開発の問題は存在していない」と強く反発した。
2010年
  5月16日、『産経新聞』は、中国が2010年から圧力外交に転じ、日本に対して「白樺」ガス田(中国名・春暁)を共同開発より格下の「出資」とするように要求したと報じた。親中派の鳩山由紀夫首相は関係閣僚と協議してこの要求を受け入れ、出資比率の5割超を中国側に譲る方針を決めたことを報じた。
  3月18日中国海軍は、沖縄沖ノ鳥島近海で軍事訓練を実施、艦載ヘリによる日本の海上自衛隊護衛艦への異常接近行為や、日本側哨戒機に中国艦が速射砲の照準を合わせるなどの武力示威行為をおこなった。4月10日にも東シナ海で中国海軍の武力示威行動が発生した。
  4月20日海上自衛隊のP3C哨戒機に速射砲の照準を合わせ、撃墜の威嚇行動を取っていたことも判明した。
  5月3日、中国の海洋調査船が日本の排他的経済水域EEZ)内で調査中の海上保安庁測量船に接近し、調査の中止を要求する事態が発生したため、日本側は中国政府に厳重抗議をおこなった。
2016年
  2016年10月川村泰久外務報道官は新たにガス田開発施設2基の活動なされている可能性が高い炎の確認がなされたとし、同月12日までに金杉憲治外務省アジア大洋州局長により駐日中国大使館に対して「一方的な資源開発は認められない」との抗議がなされた。
2019年
  菅義偉官房長官は2019年3月22日の記者会見で、東シナ海の「日中中間線」付近で中国の移動式掘削船がガス田の試掘とみられる活動をしていることに対して、日本政府が外交ルートを通じて中国政府に抗議したことを公表した。
関連する国連海洋法条約の条文
国連海洋法条約
第5部 排他的経済水域
  第74条 向かい合っているか又は隣接している海岸を有する国の間における排他的経済水域の境界画定
  1.向かい合っているか又は隣接している海岸を有する国の間における排他的経済水域の境界画定は、衡平な解決を達成するために、国際司法裁判所規程  第38条に規定する国際法に基づいて合意により行う。
  2.関係国は、合理的な期間内に合意に達することができない場合には、第15部に定める手続に付する。
  3.関係国は、1の合意に達するまでの間、理解及び協力の精神により、実際的な性質を有する暫定的な取極を締結するため及びそのような過渡的期間において最終的な合意への到達を危うくし又は妨げないためにあらゆる努力を払う。暫定的な取極は、最終的な境界画定に影響を及ぼすものではない。
  4.関係国間において効力を有する合意がある場合には、排他的経済水域の境界画定に関する問題は、当該合意に従って解決する。
第6部 大陸棚
 第77条 大陸棚に対する沿岸国の権利
  1.沿岸国は、大陸棚を探査し及びその天然資源を開発するため、大陸棚に対して主権的権利を行使する。
  2・の権利は、沿岸国が大陸棚を探査せず又はその天然資源を開発しない場合においても、当該沿岸国の明示の同意なしにそのような活動を行うことができないという意味において、排他的である。
  3.大陸棚に対する沿岸国の権利は、実効的な若しくは名目上の先占又は明示の宣言に依存するものではない。
  4.この部に規定する天然資源は、海底及びその下の鉱物その他の非生物資源並びに定着性の種族に属する生物、すなわち、採捕に適した段階において海底若しくはその下で静止しており又は絶えず海底若しくはその下に接触していなければ動くことのできない生物から成る。
 第78条 上部水域及び上空の法的地位並びに他の国の権利及び自由
  1.大陸棚に対する沿岸国の権利は、上部水域又はその上空の法的地位に影響を及ぼすものではない。
  2.沿岸国は、大陸棚に対する権利の行使により、この条約に定める他の国の航行その他の権利及び自由を侵害してはならず、また、これらに対して不当な妨害をもたらしてはならない。
 第79条 大陸棚における海底電線及び海底パイプライン
  1.すべての国は、この条の規定に従って大陸棚に海底電線及び海底パイプラインを敷設する権利を有する。
  2.沿岸国は、大陸棚における海底電線又は海底パイプラインの敷設又は維持を妨げることができない。もっとも、沿岸国は、大陸棚の探査、その天然資源の開発並びに海底パイプラインからの汚染の防止、軽減及び規制のために適当な措置をとる権利を有する。
  3海底パイプラインを大陸棚に敷設するための経路の設定については、沿岸国の同意を得る。
  4.この部のいかなる規定も、沿岸国がその領土若しくは領海に入る海底電線若しくは海底パイプラインに関する条件を定める権利又は大陸棚の探査、その資源の開発若しくは沿岸国が管轄権を有する人工島、施設及び構築物の運用に関連して建設され若しくは利用される海底電線及び海底パイプラインに対する当該沿岸国の管轄権に影響を及ぼすものではない。
  5.海底電線又は海底パイプラインを敷設する国は、既に海底に敷設されている電線又はパイプラインに妥当な考慮を払わなければならない。特に、既設の電線又はパイプラインを修理する可能性は、害してはならない。
 第80条 大陸棚における人工島、施設及び構築物
 第60条の規定は、大陸棚における人工島、施設及び構築物について準用する。
 第81条 大陸棚における掘削
  沿岸国は、大陸棚におけるあらゆる目的のための掘削を許可し及び規制する排他的権利を有する。








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