新型コロナウイルスの変異種2020年12月から2021年06月


2021.06.30-産経新聞-https://www.sankei.com/article/20210630-CT3NOBDKOZJNJCS3SMT75N6I6Y/
豪州、東南アジアでインド株猛威 ワクチン遅れも一因

  【シンガポール=森浩】オーストラリアや東南アジアで感染力が強いとされる新型コロナウイルスのインド型変異株(デルタ株)の流行が拡大し、相次いで行動制限など規制が強化されている。各国は欧米に比べて遅れているワクチン接種の拡大も急ぎ、デルタ株を押さえ込みたい考えだ。

  豪州のフライデンバーグ財務相は6月28日、「パンデミック(大規模感染)は新たな局面を迎えた」と語り、国内でのデルタ株の拡大に危機感を示した。豪州は国境を閉じるなどして新型コロナ感染拡大の押さえ込みに「成功」してきたとされる。だが、最大都市シドニーでは16日に旅客機の国際線乗務員を送迎するバス運転手のデルタ株感染が確認されて以降、市中で急拡大。この間の同市の感染者数が100人以上となった。
  シドニー全域では26日から2週間の都市封鎖(ロックダウン)が約13カ月ぶりに実施され、5月に解除された公共機関でのマスク着用義務も再び導入された。シドニーを抱えるニューサウスウェールズ州政府はデルタ株について「防御策を講じても、ウイルスは反撃の方法を理解しているようだ」と対策の難しさを指摘した。

    インドネシアではデルタ株流行で医療崩壊が懸念されている。感染者は6月中旬から急増し、累計で210万人超に上る。5月のイスラム教の断食明けの大祭「レバラン」で人が移動し、デルタ株が広がったとみられている
  首都ジャカルタでは患者急増で隔離施設のベッド使用率が93%に達した。酸素など医療用物資の不足も深刻だ。国際赤十字・赤新月社連盟(IFRC)は6月29日、医療機関が逼迫(ひっぱく)しているとして「大惨事の瀬戸際」と警告した

  タイでは5月に国内で初めて確認されたデルタ株が急速に拡大。保健省によると、既に感染者の10%がデルタ株だという。首都バンコクでは6月28日から30日間、レストランの店内飲食を再び禁止したほか、20人以上の集まりを制限するなど規制が強化された。

  一方、英統計専門サイト「アワー・ワールド・イン・データ」によると、豪州、インドネシア、タイのいずれもワクチンの接種完了者は29日時点で人口の5%前後にとどまる。

  各国はデルタ株に対処するため、ワクチン確保とともに、接種専用施設の拡充を急いでいる。豪州では英アストラゼネカ製ワクチンを接種計画の中心に位置づけたが、血栓が生じる懸念から対象を60歳以上に絞ったことも接種率の低迷に影響した。政府は28日、全成人希望者への接種可能とすることを決め、接種を推進したい考えだ。


2021.05.16-Yahoo!Japanニュース(産経新聞)-https://news.yahoo.co.jp/articles/4b812a064e6283eb4627b012672a3f0ebc07320f
インド駐在員の帰国加速 現地邦人向けに無料PCR検査も

  新型コロナウイルスが猛威を振るっているインドで、現地の日系企業が駐在員らの帰国を加速させている。変異株の感染に歯止めがかからない中、一部地域では医療体制が崩壊、亡くなった在留邦人もいる。日系企業はインドへの進出意欲を強めていただけに、対応が長期化すれば打撃は大きい。

  三井物産は14日、インドの駐在員や出向者とその帯同家族について、日本への一時帰国を決めたと発表した。インドに戻る時期は、現地の状況を見極めた上で今後判断する。テレワークや在宅勤務によって現地での業務を継続していたが、感染の拡大を受け全面的な一時帰国を判断した。インド総代表など数名が現地に残って業務は継続するという。
   日本の外務省は2日、インドに関するスポット情報で「(インドでは)通常期待されている医療サービスを受けられないリスクが従来よりも高くなっている」と注意喚起し、一時帰国を含めた対応を促した。
   ただ、日本貿易振興機構(ジェトロ)によると、食料や水などのライフラインが確保され、日本航空や全日本空輸が定期便を運航していることから「いつでも日本に帰ることができる、という安心感」からパニックに陥っていないという。

   しかし、日本政府が変異株の流行阻止へインドからの水際対策を強化するなど、状況は悪化。ジェトロもインド国内にある5カ所の事務所について、代表だけを残し日本人職員を全員帰国させる。ある大手商社幹部は、「状況に応じて現地で帰国するか判断してくれといえる状況ではなくなった」と打ち明ける。
   こうした中、インド日本商工会は17日から、首都ニューデリー近郊のホテルに、日本人専用の新型コロナウイルスのPCR検査施設を設ける。インド在留日本人が帰国前に必要な検査と陰性証明取得を速やかに実現できるよう支援する。
   インドでは検査予約や結果判明に時間がかかるケースがあるが、日本政府は出国前72時間以内に受けた検査での陰性証明を専用書式で要求しており、対応を求める声が出ていた。
   同商工会によると、検査は日本政府の支援で、1人1回、無料で受けられる。フライト予約の取得者限定で、フライト5日前の午後3時までに予約し、出発予定の2日前の午前中に会場で受診する。
   一方、日航と全日空は15日、インド日本商工会のホームページなどにインド路線の運航計画の変更情報を掲示。全日空関係者は「入国制限や隔離など各国の新型コロナの規制の情報や、運航再開時期などの情報は常に提供している」と話している。


2021.0506-NHK NEWS WEB-https://www3.nhk.or.jp/news/html/20210506/k10013016391000.html
東京都内 変異ウイルスの割合70%超 施設内での感染確認相次ぐ

  東京都内では変異ウイルスの検査で、感染力の強い「N501Y」の変異があるウイルスへの感染が新たに確認された人は初めて70%を超えました。保育園や大学の運動部の寮など、施設内で起きたクラスターで新たな感染の確認が相次いでいます。東京都は今月3日に都に報告があった変異ウイルスの検査の結果を発表しました。
  それによりますと10歳未満から90代までの男女257人と、年齢が分からない人3人の合わせて260人が、感染力の強い「N501Y」の変異があるウイルスに感染していたことが新たに確認されました。
  検査の対象になったのは354人で、変異ウイルスと確認された人の割合は73%となり、都が検査の対象人数を公表して割合が分かるようになった先月13日以降では初めて70%を超え、最も高くなりました。
  260人の年代別は10歳未満が25人、10代が15人、20代が77人、30代が50人、40代が40人、50代が33人、60代が9人、70代が4人、80代が2人、90代が2人、不明が3人です。
  感染経路がほぼ特定されているのは41人で、「施設内」が35人、「家庭内」が5人、「知人」が1人です。
  このうち「施設内」では、これまでも都に報告されていた保育園でのクラスターで新たに園児17人の感染が確認され、累計で25人となりました。
  また大学の運動部の寮のクラスターでも新たに男子学生14人の感染が確認され、累計で35人となるなど、「施設内」で起きたクラスターで新たな感染の確認が相次いでいます。
  これで都内で変異ウイルスの感染が確認されたのは合わせて3406人となりました。
  このうち6人の死亡が確認されています。



2021.05.03-Yahoo!Japan(産経新聞)-https://news.yahoo.co.jp/articles/5d3f2de137d6b0b6732b741b5c1ed8b1670b26a3
変異株拡大、増える子供の感染 小児医療にも迫る危機

  新型コロナウイルスの感染力が強い英国型変異株が広がる大阪など関西圏で、子供にも感染が広がり始めている。子供は大人に比べて感染しにくいとされてきたが、最近は保育園などでのクラスター(感染者集団)の発生も相次いでおり、専門家は「コロナをめぐる小児科医療の正念場は、これからかもしれない」と警戒感を強めている。(地主明世)

  「大型連休中は人と接触する活動を控え、対策の徹底をお願いしたい」。吉村洋文知事は3日、府庁で記者団にこう述べ、感染予防の徹底を訴えた。
   大阪府の担当者は最近の傾向として、「児童施設関連のクラスターが増えている印象はある」と語る。府内では3月以降の「第4波」で感染者が急増。厚生労働省に新型コロナ感染症対策を助言する専門家組織は4月末、関西圏での変異株の割合が8割程度となり「置き換わったと推定される」との見解をまとめた。
   こうした変化に合わせ、増え始めたのが子供の感染者数だ。従来株が主流だった「第3波」(昨年10月~今年2月)では、感染者のうち10歳未満は2・7%、10代は7・3%で計1割。だが、第4波の変異株感染者の年齢別割合をみると、10歳未満が6%、10代は12・9%で、合わせて18・9%に達する
   厚労省の資料でも、3月中旬の変異株の確認数は10歳未満が40代に次いで多く、15%を占めた。担当者は「変異株は全年齢で広がりやすいと考えて、対策をしてほしい」と話す。
■他の感染症との併発も  医療現場では、数字に表れていない危機を警戒する声もある。
  「コロナ陽性で入院している小児患者が増えてきている」と話すのは、兵庫県立こども病院(神戸市中央区)で感染症内科部長を務める笠井正志医師だ。同県内の10歳未満の新規陽性者数は3月下旬は1日平均3・5人だったが、4月中旬には16・7人に急増。現在は、せきなどの症状が出る「RSウイルス感染症」が同時流行中の地域もあり、子供が併発して入院に至るケースも。「基礎疾患のある子供には危険な状況」だという。
   ただ、同県でも各医療機関の病床は「大人のコロナ患者で埋まっている」。このため、こども病院には県内各地の小児患者が集まっているといい、笠井部長は「このままではうちもパンクする」と打ち明けた。
■基本の対策の徹底を
  変異株が広がる中でも、予防の基本はやはりマスク着用と手洗い、うがいだという。ただ、幼い子供に徹底させるのは難しい。
  「子供はマスクを着けられず、うがいもまだできない。あちこち走り回っては触り、屋外でも地面に寝転がることだってある」と話すのは、1歳の娘を持つ神戸市の会社員の女性(32)。「できる範囲で消毒などをしているが、限界はある」
  子供の感染予防は、どうすればいいのか。笠井部長は「10歳未満の感染ルートは、家族や学校などがほとんど。まずは大人が感染しないようにすることだ」と強調。「子供専用の病床はもともと少なく、感染が広がったり重症化したりすれば、医療崩壊はあっという間だろう。学校の一斉休校の可能性も排除せず、子供の感染動向を注視していくべきだ」と話した。


2021.05.03-NHK NEWS WEB-https://www3.nhk.or.jp/news/html/20210503/k10013011731000.html
東京都 変異ウイルス感染60%に若い世代へ感染拡大

  東京都内の新型コロナウイルスの感染者への検査で、60%に当たる649人が、感染力の強い「N501Y」の変異があるウイルスに感染していたことが新たに確認されました。大学の部活動で変異ウイルスのクラスターが発生するなど、若い世代への感染が広がっています。
  東京都は3日、先月29日までの3日間に都に報告があった変異ウイルスの検査の結果を発表しました。それによりますと、新型コロナウイルスへの感染が判明し変異ウイルスの検査の対象になった1087人のうち、60%に当たる649人で感染が確認されました。
  変異ウイルスへの感染が拡大している中で、3日分をまとめて発表したため検査の数が通常より多く、1日の発表人数としてはこれまでで最も多くなりました。

  649人の年代別は、▽10歳未満が27人、▽10代が61人、▽20代が193人、▽30代が106人、▽40代が84人、▽50代が86人、▽60代が28人、▽70代が16人、▽80代が28人、▽90代が13人、▽分からない人が7人です。
  感染経路がほぼ特定されているのは129人で-「施設内」が106人、「家庭内」が22人、「知人」が1人です。
  このうち「施設内」では、大学の運動部でクラスターが発生し、男子学生52人と職員の男性1人の合わせて53人の感染が確認されました。この部での感染確認は合わせて59人になりました。また、有料老人ホームで入所者と職員合わせて35人、保育園で園児8人の感染がそれぞれ新たに確認されました。
  これで都内で変異ウイルスの感染が確認されたのは、合わせて2822人となりました。このうち死亡したのは5人です。


2021.04.30-産経新聞 THE SANKEI NEWS-https://www.sankei.com/life/news/210430/lif2104300047-n1.html
国内死者、5カ月間で5倍に 全国1万人超 変異株猛威

  新型コロナウイルスによる死者が、全国で1万人を超えた感染拡大の「第3波」に入った昨年11月下旬以降に急増し、2千人から5カ月間で5倍に膨らんだ。若年層の感染者が家庭内や高齢者施設などに持ち込み、高齢者に広がる傾向がみられる。感染力の強い変異株が蔓延(まんえん)する中、重症化率や死亡率の悪化も指摘され、医療逼迫(ひっぱく)に拍車がかかるとの懸念が渦巻く。

  29日時点の死者は1万204人。都道府県別では東京1889人▽大阪1448人▽北海道856人▽神奈川816人▽埼玉745人-と、感染者の多い大都市圏が上位を占める。
  国内で初めて死者が確認されたのは昨年2月13日厚生労働省の集計では7月28日に千人になるのに166日間、11月24日に2千人に達するのにさらに119日間かかったが、その後、増加ペースが加速。今年1月23日には5千人を超え、そこから3カ月余りで倍増した。最近は1日50~60人台のペースで推移する。
  4月28日時点の判明分では、男性5425人、女性3796人と男性が1・4倍多い。年代別では80代以上が6083人(65%)、70代が2213人(23・7%)、60代が689人(7・4%)と高齢になるほど多い。30代は19人、20代は3人、10代以下は0人。死亡率も80代以上13・8%、70代5・1%、60代1・4%と高齢ほど高くなる。
  感染者は20代が最多で、年代が上がるごとに少なくなるが、高齢者は持病を抱えていることなどから重症化リスクが高いとされる。高齢者施設などで相次ぐクラスター(感染者集団)の発生も、高齢者の死者の増加につながっている。


2021.04.27-Newsweek Japan-https://www.newsweekjapan.jp/stories/world/2021/04/134.php
インド、二重変異株の猛威で1日に感染34万人「医療は崩壊した」
(1)
  <インドでの1日あたりの感染者数が世界最悪を記録した。医療関係者たちは、二重変異株が感染爆発を招いた可能性を指摘する>

  感染第2波が猛威を振るうインドで4月25日、新型コロナウイルスの過去24時間の新規感染者数が34万9691人に達した。世界最多記録を4日連続で更新している。世界の新規感染者数の3人に1人がインドに集中している計算になる。死者は2700人を上回った。事態を受けてインド政府は首都デリーのロックダウンを1週間延長し、5月3日未明までとした。
  医療システムは逼迫し、混迷を極める。ヒンドゥー紙は、デリーの国営病院が満床となり、ストレッチャーをベッド代わりに利用する「混沌とした光景」が広がっていると報じる。通常のベッドを2人の患者で共有する場合も見られ、入院できただけでも幸運だとされている。

  英BBCは動画のなかで、重症の夫を医師に診てもらおうと10時間もストレッチャーを引き続けた女性を間近で捉えている。女性は意識を失いつつある夫の名を呼び続けるが、多くの患者がひしめく院内で診察は適わなかった。女性はそのまま病院の待合いスペースで夫を看取った。
  デリーでも病院の満床が相次いでいる。印ニュースメディアのNDTVによると、以前利用されていた500人規模の仮設収容施設をインド政府が再稼働させ、国境警察を動員して看護に当たらせる計画が持ち上がっている。これとは別に結婚式場を陽性者の待機所に転用するなど、使える限りのあらゆる物資を投入した総力戦が続く。
  インドでは医療機関のほか街頭でも感染率の抜き取り調査を行なっており、インディアン・エクスプレス紙によると陽性率は36〜37%に達している。
圧倒的に酸素足りず、現地医師は「医療全体が崩壊した」と語る
  状況を一層深刻にしているのが、重症患者に必要な医療用酸素の不足だ。BBCは、多くの州で医療体制が危機的状況を迎えるなか、少なくともデリーの2つの大病院で酸素が尽き、最大700名が影響を受けたと報じている。

  現地NDTVの報道によるとデリーの私立病院では23日夜、病床への酸素の供給圧力が弱まったことで入院患者25名が死亡した。大部分の地域で酸素の生産が需要に追いつかず、この病院でも酸素輸送車の到着が大幅に遅延していた。
  混乱は他の病院にも広がっており、ロイターは4月23日、「過去24時間の死者も記録上最多の2263名へ跳ね上がり、ニューデリーを含む北部および西部インド各地の(医療)当局は、ほとんどの病院が満床となり酸素が尽きていると警告した」と伝えている。
(2)
  インド政府は酸素不足を解消すべく、病院など国内551ヶ所に酸素工場を新設する資金を原則として承認した。さらに、空になった低温輸送車を大型輸送機で空輸し、国内流通の改善を図っている。政府は港湾に対し、酸素関連製品の関税を免除し、最優先で輸入手続きを進めるよう指示した。

  タイムズ・オブ・インディア紙の報道によると、工業用酸素の転用などにより供給量は一部改善しているものの、依然として厳しい状況が続く見通しだ。インド政府はすでに、製薬など限られた業種を除き、工業用酸素の供給を大幅に制限している。

  現地病院では酸素のみならず、ベッド、医薬品、ワクチンなどあらゆる資材が足りていない。ムンバイの病院に勤めるある医師はガーディアン紙に対し、「医療システム全体が崩壊しており、医師たちは疲弊しきっている」と語った。

  医師の病院ではコロナ用に病棟を用意したが病床数は圧倒的に足りず、通路と地下も患者で埋まっており、さらに救急車で車椅子でと人々は絶え間なく担ぎ込まれる。だが酸素さえなく、医師は「私たちに他に何ができるのか」と戸惑いを隠さない。
強力な感染力を持つ二重変異株が後押しか
  インド国内では3月に大規模な宗教行事と選挙キャンペーンが実施されおり、感染拡大が憂慮されていた。これとは別に、インド国内では「B.1.617」と呼ばれるいわゆる二重変異株の確認例が増えており、感染爆発の契機になった可能性がある。

  米ブルームバーグは、このウイルス株は感染力が通常よりも約20%強く、さらに、抗体の免疫作用を50%以上低下させるとしている。
  カタールのアルジャジーラは「インド政府はまだ確認していないものの、ゲノム解読の結果は、この(二重変異)株が(感染爆発の)元凶である可能性を示唆している」と報じている。1月にはほとんど見られなかった二重変異株が4月にはインドでの症例の52%を占めるようになっており、この動きとも一致する。

  インドの医療研究者もブルームバーグに対し、再生産数をシミュレートした結果、「再生算数の大幅な増加は、これらの変異によって説明できると我々は考えています」とコメントしている。ただし、原因を断定するにはゲノム解析の実施数を現在の5倍程度にまで増やす必要があり、確定には時間を要するものと見られる。
(3)
日本でも確認の二重変異株、その特性とは
  問題の二重変異株について日本政府は22日、5件の感染例が国内で確認されたと発表している。二重変異株は通常の株とどのように違い、なぜ懸念されているのだろうか?

  ウイルスは常に変異を繰り返しており、変異自体は必ずしも珍しいものでもなければ、常に「凶悪」な方向に変化するとも限らない。二重変異株自体も、2つどころか、元々のコロナウイルス株から11〜15箇所ほど変異している。B.1.617が「二重」変異株と呼ばれるのは、このうち憂慮すべき大きな変異が2つあるためだ。
  1つ目は「L452R」と呼ばれる変異で、これはカリフォルニア変異株と共通の内容だ。ウイルスがヒトの細胞にとりつくトゲ(スパイク)の部分が変異し、より感染力が増している。452番目のアミノ酸がロイシン(略号L)からアルギニン(R)に変わっているため、このように呼ばれる。
  2つ目の変異は「E484Q」と呼ばれるもので、南アフリカおよびブラジル変異株に見られる変異「E484K」と同じ箇所の変異だ。484番目のアミノ酸がグルタミン酸(E)からグルタミン(Q)に変異している。リシン(K)に変化した南ア・ブラジル型と同じ特性を持つことが懸念されており、そうであれば人体の免疫を回避する特性を持ち、ワクチンの効力低下を招く可能性がある。

  現段階で確定的な情報はないものの、少なくともアストラゼネカ製の「コビシールド」ワクチンは、引き続き効力を有する可能性があるようだ。ヒンドゥー紙は、少人数の回復期患者およびワクチン接種者の血しょうを使った予備研究段階の実験結果を紹介している。記事は「コビシールド・ワクチンの接種者たちがB.1.617二重変異株に対して保護されることがインドで初めて確認された」と述べている。変異によってワクチンの効力が低下したとしても、一定程度までであればワクチン自体の有効性は保持される。
  ただし、これはあくまで少数のサンプルを対象にした予備調査に過ぎない。このほかワクチン製造各社もデータを公表しているが、第三者による査読済みの論文は現時点でいずれのワクチンに関しても発表されておらず、さらなる研究が待たれる。


2021.04.26-Yahoo!Japanニュース(産経新聞)-https://news.yahoo.co.jp/articles/822c70f48042386001fd6d6b9b256a5e7af2a36f
中東もコロナ再拡大 トルコ過去最悪 変異株は85%

  【カイロ=佐藤貴生】新型コロナウイルス感染の再拡大は中東でも目立っている。トルコでは今月21日には1日当たりの死者数が362人を記録。最近では新規感染者数も6万人を超え、いずれも過去最悪の状態が続く。英国由来の変異株の感染が広がり、全体の85%を占めるといわれる。
  トルコでは1日当たりの新規感染者数が3月前半までは1万人台で推移していた。現地の医療関係者はロイター通信に、3月に政府が規制を緩和したことが現在の感染拡大を引き起こした「最大の過ち」だったとの見方を示した。
   政府は今月中旬に始まったイスラム教ラマダン(断食月)に合わせ、平日の夜間外出禁止の時間帯を拡大したほか、週末の終日外出禁止措置も強化した。
   ラマダンは親類や知人と旧交を温める機会だが、トルコの50代のジャーナリストは「今年は自粛する人も少なくないと思う」と予測した。半面、「外出禁止の時間帯でも多くの人が外に出ていた」とし、規制で疲れている人々がさらに厳しいルールを守るかは疑問だという見方を示した。

   トルコは昨年11月、中国医薬集団(シノファーム)製のワクチンを1億回分購入する契約を結んだが、エルドアン大統領は3月下旬、予定通りに届いていないとして中国側に早期の納入を促してもいる。  イランでも3月には1万人以下だった1日当たりの新規感染者が、2万人前後に急増するなどしている。


2021.04.18-NHK NEWS WEB-https://www3.nhk.or.jp/news/html/20210418/k10012981911000.html
大阪府 新型コロナ 過去最多1220人感染確認 6日連続で1000人超

大阪府は18日、府内で新たに1220人が新型コロナウイルスに感染したことが確認されたと発表しました。

1日の感染者数としては16日の1209人を上回ってこれまでで最も多く、6日連続で1000人を超えました。

また3人の死亡が新たに確認されたと発表しました。


2021.04.16-JIJI COM.-https://www.jiji.com/jc/article?k=2021041600780&g=soc
国内感染、新たに4532人 大阪最多1209人、兵庫も―新型コロナ

  国内では16日、47都道府県と空港検疫で4532人の新型コロナウイルス感染者が新たに確認された。新規感染者が4000人を超えたのは3日連続。1209人の感染が判明した大阪府をはじめ、兵庫(510人)、新潟(40人)、石川(35人)各県もこれまでで最も多かった。

  全国で確認された死者は大阪で16人など計46人。厚生労働省によると、重症者は前日比39人増の670人だった。
  大阪では、新規感染者が4日連続で1000人を超えた。重症者数は274人と過去最多を連日更新し、府の病床確保計画に基づく重症病床の使用率は102.2%に達した。現在、医療体制に比較的余裕のある滋賀県に対し、看護師派遣を要請している。
  東京都では667人の感染が判明した。500人を上回ったのは4日連続。都内の新規感染者の直近1週間平均は542.0人で、前週比122.9%。この日判明したのは20代が200人で最も多く、30代132人、40代119人と続いた。65歳以上は69人。都基準の重症者は前日比6人増の43人。


2021.04.09-SankeiBiz-https://www.sankeibiz.jp/business/news/210409/bse2104091848003-n1.htm
変異株、封じ込め失敗なら「経済損失3~4倍」の試算

  新型コロナウイルスの緊急事態宣言が全面解除されてからわずか3週間で蔓延防止等重点措置」が東京都を含む各地に広がることになり、持ち直しかけた景気に冷や水を浴びせた。感染力が強い変異株の流行による経済的な損失は、従来株と比較して3~4倍に上るとの試算も出ている。重点措置の内容自体は2度目の宣言と大きな違いがなく、感染拡大の抑制に失敗すれば対象地域の拡大などで損失が一層増えかねない。

  「宣言解除で5、6人の飲み会予約がちらほら入るようになったが、よくしゃべる客を見るとまた感染者数が増えると心配だ」(東京都のレストラン経営者)
  内閣府が3月25~31日に実施した景気ウオッチャー調査では、個人消費の挽回に期待しつつ感染再拡大を懸念する声が相次いだ。不安は的中。人の動きが活発化したことで街角の景気実感を示す指数は2カ月連続で大幅に改善したものの、その後は急転直下で自粛要請が強まる結果になった。
   一方、感染力が強い変異株の封じ込めはこれまでより強力な経済活動の制限が必要になると指摘され、飲食店などサービス業の業績悪化や個人消費の落ち込みも深刻になる恐れがある
   東大の藤井大輔特任講師と仲田泰祐准教授の推計では、宣言を再発令した場合の損失は従来株のみの流行なら東京都内だけで今後1年間に1兆1242億円。これに対し変異株が比較的穏やかに増えた米国のようなケースで2兆113億円、急速に増えた英国のようなケースで3兆7619億円に跳ね上がる。

   ただ、国民の自粛疲れは深刻で、重点措置の発令後も感染再拡大を抑制できるか心もとない。第一生命経済研究所の永浜利広首席エコノミストの試算では、6都府県に拡大した重点措置の影響で、個人消費は1906億円押し下げられる。対象地域が広がれば損失はさらに拡大する見込みだ。都道府県を越えた移動自粛の徹底やワクチンの接種加速など、迅速な対応で変異株をブロックできなければ、反転攻勢が期待されていた新年度の景気は出足からつまずく。(田辺裕晶)


2021.04.02-Yahoo!Japanニュース(読売新聞)-https://news.yahoo.co.jp/articles/e69746c8226108cf97a6c0ef2460cc4d2661a38b
変異型感染者の4割、兵庫と大阪に集中…首都圏などに拡大の可能性も

  新型コロナウイルスの「まん延防止等重点措置」の適用が決まった大阪府、兵庫県では、感染力が高いとされる変異ウイルスの報告が増加し、感染の再拡大に影響している。
  新型コロナに関する基本的対処方針分科会の尾身茂会長は1日、記者会見で「関西圏で増えた変異ウイルスが他の地域にも広がる懸念がある」と指摘した。西村経済再生相は「不要不急の移動については、ぜひ自粛をお願いしたい」と強調した。

  3月31日に開かれた厚生労働省の助言機関に示されたデータでは、兵庫県では3月15~21日の1週間の感染者431人のうち181人に変異ウイルスの検査を行い、128人が陽性だった。852人が感染した大阪府では187人を検査し、52人が該当した。
  一方、宮城県では124人を検査して1人、東京都では87人を検査して6人が変異ウイルスと判明した。
  国内で確認された変異ウイルスの感染者は累計801人(3月30日時点)で、約4割を兵庫と大阪の感染者が占める変異ウイルスの9割超が、感染力が高いとされる英国型だ。


2021.04.02-ラジオ関西トッピクス-https://jocr.jp/raditopi/2021/04/02/271290/
兵庫、コロナ新規感染者の8割が「英国型変異株」に感染 独自検査で判明

  兵庫県は1日、神戸市以外3月15~21日の7日間に新型コロナウイルスの感染者と判明した人のうち、76.9%に当たる70人分の検体を調べたところ、このうち80%の56人分で変異株の疑いがあったと発表した。いずれも「英国型」。変異株の感染状況を把握するために兵庫県が独自に行っている、新型コロナウイルス検体のスクリーニング検査による。その後、国立感染症研究所でゲノム解析して、由来などを調べた

  変異株はいずれもイギリスから感染が広がっている「英国型。井戸敏三知事は1日に開いた記者会見で、「いずれも聞いている話だ」と前置きして「変異株は、以前と違って10代やそれ以下の子どもたちにもうつる。これが家庭での感染数を増やしている。長期間の入院が必要で、病床ひっ迫を招いている」と述べた。
   独自検査は兵庫県健康科学研究所(加古川市)で行われた。3月1日~7日までの1週目で66.7%、14日までの2週目で52.6%だったため、3月に入って急増していることになる。1月末からの合計で164の検体が検査されたうち、約40%にあたる67の検体が変異株と判明、井戸知事は「変異株が従来のウイルスから変異株への置き換えが他の地域より先行しているのではないか」と危機感を示している。
  神戸市も1日、同じ期間で感染が判明した人のうち、63.7%に当たる109人分の検体を調べ、57人分(52.3%)からイギリス由来の変異株が見つかったと発表した。


2021.03.31-Yahoo!Japanニュース(KYODO)-https://news.yahoo.co.jp/articles/2d5b33c5e40058a63fa61f1acf6b428445f45731
変異株34都道府県で確認 国内129人増、新型コロナ

  厚生労働省は31日、感染性が高いとされる新型コロナウイルス変異株の感染者が、30日までに34都道府県で確認されたと発表した。変異株の感染者数は、前週から129人増えて計678人。空港検疫ではこれまでに123人が報告され、計801人となった。

   地域別では、大阪で25人増えて計130人となった。北海道も25人増加して計38人、兵庫が20人増えて計181人。前週から新たに報告があったのは福井、愛知、三重、奈良、和歌山、高知、福岡、大分の8県だった。  3種類の変異株のうち、国内での報告が多かったのは英国株で、前週より126人増加した。


2021.03.19-SankeiBiz-https://www.sankeibiz.jp/macro/news/210319/mcb2103192000024-n1.htm
変異種猛威で「第3波」 仏独伊と英で明暗

  【パリ=三井美奈】フランス政府は18日、新型コロナウイルスの「第3波」拡大を受け、パリを含む16市・県で20日から4週間、都市封鎖を行うと発表した。欧州ではワクチン接種が進む英国で感染者が激減する一方、フランスやドイツは変異株の猛威で感染拡大に歯止めがかからず、明暗が分かれている。

  フランスの都市封鎖は昨年3月以降、3度目。今回はパリ内外や北部パドカレ県など感染が深刻な地域に限り、人口の約3分の1にあたる2000万人が対象になる。必需品以外の店舗は原則、閉鎖。地域間の長距離移動を禁止する。16市・県以外の地域では夜間外出禁止令の実施を続ける。
  散歩や運動の外出は自宅から10キロ圏内で時間制限なく認められるが、19日、パリの花屋の店主は「明日から店舗を閉め、窓口販売にする。封鎖の度に店員の配置見直しに苦労する」と話した。
  仏政府の17日の発表で、1日当たりの感染者は3万8000人。昨年12月、2度目の都市封鎖後に約1万人に減ったが、再び増加した。カステックス首相は18日、感染者の約4分の3を英国の変異株が占めるとし、「変異株は感染力が強く、より危険だ」と述べた。患者は低年齢化して入院期間も長くなり、救急治療室が逼迫(ひっぱく)していると訴えた。
  ドイツでは感染症対策を担う研究機関、ロベルト・コッホ研究所が17日、「英国の変異株が感染の72%を占める」と発表。1週間前は55%だったとして危機感を強めた。ドイツは昨年12月、店舗閉鎖や移動規制を導入。一部で緩和されたが、感染拡大で延長が続く。
  イタリアも15日、首都ローマがある中部ラツィオ州など大半の州で都市封鎖に入った。必需品以外の商店や飲食店が閉鎖され、移動が規制された。
  一方、英国ではワクチン接種の進展に伴い、感染者が激減。1日当たりの感染者は18日の発表で約6300人。1月初めの水準の約10分の1になった。


2021.03.19-沖縄タイヌス-https://www.okinawatimes.co.jp/articles/-/723661
社説[緊急事態宣言解除へ]変異株対策を徹底せよ

  政府は首都圏1都3県に発令している新型コロナウイルス緊急事態宣言を、21日の期限で解除すると発表した
  菅義偉首相は対策本部で「新規感染者数が8割以上減少し、病床使用率も改善されている」と解除の根拠を説明した。数値に一定の改善がみられるのは確かだ。だが、全面的に好転したわけではない。

  1都3県の新規感染者数は他の地域と比べ依然として高い水準にある。特に東京や埼玉では再び増加の動きに転じており、決して安心できない状況だ。現時点で最も警戒しなければならないのは、感染性が高いとされる新型コロナウイルスの変異株の拡大である。厚労省によると、16日までに沖縄を含む26都道府県で399人から変異株が検出され、全国へ広がっている。

  一部のウイルスには、これまでに開発されたワクチンの効果が弱まる可能性が指摘される。専門家は今後、変異株が流行の主流となる可能性が高いとみている。リバウンド(感染再拡大)へとつながる恐れがあり心配だ。
  政府は変異株対策として、スクリーニング検査の抽出割合を現在の10%から40%程度に引き上げるというが、それで十分なのか気になる。解除を受け4都県は、飲食店への営業時間の短縮要請を現在の午後8時から段階的に緩和する。政府はこれまで飲食店に的を絞った対策を進めてきた。それが有効だったかどうかを検証し、今後に生かしてもらいたい。

  緊急事態宣言の発令から2カ月半。首都圏では「コロナ疲れ」「自粛疲れ」が広がる。新規感染者数が下げ止まる中で宣言を解除するのは、再延長してもさらなる改善は難しい、と宣言による効果の限界を認識した上での判断だ。ただ、新年度を控えたこれからの時期は、人事異動や入社、入学などで人の流れが大きくなる。
  東京大の研究チームは、解除後に市民の気が緩み歓送迎会や花見などの宴会が盛んに行われた場合、再び感染者数が急増し、緊急事態宣言の再発令が必要な状態になると分析した。
  菅首相は「引き続き緊張感を持って対応いただくことが極めて重要」と述べたが、いったん緩んだ人々の気持ちを再び引き締めるのは難しい。政治に今求められるのは、なぜ危機感を持ち続けなければならないのか、国民に響く具体的なメッセージを送ることだ。

  県独自の緊急事態宣言が解除されて2週間余りになる県内でも、クラスター(感染者集団)の発生が相次ぐなど感染拡大の傾向がみられる。18日は新たに43人の感染が確認された。直近1週間の人口10万人当たりの新規感染者数は全国で3番目と高水準だ。医療提供体制の逼(ひっ)迫(ぱく)も続いている。
  ワクチン接種スケジュールは不透明で、一般向けの接種はまだ見通せない。いま一度気を引き締め、自分や周りの人の命を守る行動を再確認したい。


2021.03.12-Yahoo!Japanニュース(産経新聞)-https://news.yahoo.co.jp/articles/073b9c1f05c1a424da969ca96fc76b2ce52aa537
広がるコロナ変異株 大阪府が「積極調査」で全国最多に

  感染力が強いとされる新型コロナウイルスの変異株が国内で広がっている。大阪府は12日、変異株を調べる簡易検査で新たに11人の陽性が確認され、計103人になったと発表。うち確定数は9日時点の国のまとめで全国最多の62人に上り、今回7人増えて69人となった。府は変異株疑いの過去の感染者とその周辺を追跡する「積極的疫学調査」の結果とみるが、変異株が感染第4波の主流になるとの指摘もあり、警戒を強めている。

  変異株は感染力が強く、死亡リスクも高いとの報告がある。厚生労働省によると、9日までに空港検疫を除き21都府県で271人が確認され、1カ月前の65人と比べ4倍超に増えた。都道府県別では大阪の62人に次いで埼玉41人、兵庫38人。東京の14人や京都の19人などと比べても、都市部で大阪の数が際立つ。
   吉村洋文大阪府知事は11日、記者団に「検体を徹底的に調べたことで、判明数が多いということだろう。数が出ること自体がまずいことではない」と説明。「変異株は既存株に取って代わると思う。検査能力を高め、できるだけ早く押さえ込むことが重要だ」と強調した。

   確定までには、コロナ感染が確認された検体のうちウイルス量が多いものについて、自治体で簡易検査を実施。変異株の陽性と判明した検体を国立感染症研究所でゲノム解析し、条件を満たせば確定する。吉村氏が強化する方針を示したのは、この簡易検査だ。
   府内では、大阪健康安全基盤研究所(大安研)のほか、医療機関や検査会社なども加わり簡易検査を行っている。103人のうち59人は1医療機関が採取した検体から判明し、濃厚接触者など関連が追えている1つのグループという。
   変異株感染が確定した69人を年代別にみると、10代以下34人▽20代2人▽30代4人▽40代15人▽50代8人▽60代以上6人-となり、若年層が目立つ。  府は積極的疫学調査のため、感染研や大安研の専門家らでつくる支援チームを保健所に派遣。簡易検査で変異株陽性が判明すると、調査範囲を拡大し、濃厚接触者でなくても行動歴をさかのぼって調べている。
   府の担当者は「変異株の大半はつながりが追えている。現時点でただちに市中感染が広がっているとはいえない」と話す。一方、ある幹部は「感染拡大が速いだけでなく重症化率が高いとすれば、現在の病床確保計画では追いつかない。とてつもない脅威だ」と警戒感を示している。


2021.03.10-東京新聞 TOKYO WEB-https://www.tokyo-np.co.jp/article/90688
コロナ変異ウイルス、21都府県で345人感染確認 尾身会長「早晩、主流になる」

  厚生労働省は10日、新型コロナウイルス変異株が、9日までに21都府県で検出されたとの集計結果を発表した。感染者数は国内271人、空港検疫74人で計345人となった。変異株の感染力は強いとされ、厚労省は急速に拡大するリスクを懸念。政府の新型コロナ対策分科会の尾身茂会長は10日の衆院厚生労働委員会で「早晩、変異株が主流になる」と指摘、警戒感を示した。

  国が監視を続ける主な変異株は、英国、南アフリカ、ブラジルで報告されている3種類。日本では現在、英国株が大半を占めるが、南ア株とブラジル株は感染力の増加に加えて、一部のワクチンの効果が弱まる可能性があるなど免疫に影響を及ぼす恐れが指摘される。
  厚労省によると、報告数が最も多いのは大阪の62人。次いで、埼玉41人、兵庫38人、新潟32人となった。
  6日以降に国内で確認された変異株の感染者77人は全て英国株だった。感染者の情報を共有するために国が開発したシステム「HER―SYS」(ハーシス)に入力があった分を集計したという。(共同)

変異株が確認された都府県と感染者数は次の通り(10日現在)
  大阪【62】、埼玉【41】、兵庫【38】、新潟【32】、神奈川【22】、京都【19】、東京【14】、静岡、広島【7】、福島、鹿児島【5】、岐阜【4】、群馬、岡山【3】、山梨、滋賀【2】、茨城、栃木、千葉、石川、長野【1】、空港検疫【74】、合計【345】


2021.03.03-産経新聞 THE SANKEI NEWS-https://www.sankei.com/life/news/210303/lif2103030042-n1.html
宣言延長の背景に新型コロナ変異株の脅威 リバウンド、第4波の懸念も
(1)
  新型コロナウイルスの感染拡大に伴い首都圏1都3県に発令されている緊急事態宣言について、菅義偉首相が3日、期限の7日以降も継続する方針を表明した。政府や1都3県が解除に慎重な姿勢を示す背景には、感染力が強いとされる変異株の脅威がある。2月中旬ごろから全国的な広がりが鮮明になり、クラスター(感染者集団)の発生も相次いでいる。専門家らの間でも将来的に従来株を上回り、リバウンド(感染再拡大)や第4波を引き起こす要因になるとの懸念が強まっている。(伊藤真呂武)

  「専門家から今後、変異株による感染が急速に拡大するリスクを抱えていることが伝えられた。気を緩めると感染が再拡大する可能性があり、もう一段の感染抑制が重要だ」。東京都の小池百合子知事は2月26日の都のモニタリング会議で、変異株とリバウンドへの強い危機感を示した。
  国内での変異株の確認は、今月2日時点で空港検疫を除き165件。検査手法が普及した影響もあるとみられるが、2月は134件に上り、昨年12月の3件、今年1月の21件から急増。1月中は4都県だったが、福島から鹿児島までの17都府県に拡大した。

  新潟県では、保育園で英国型変異株によるクラスターが発生。保育士や園児、その家族計34人に感染が広がり、うち23人から英国型が見つかった。県の担当者は「結果待ちも含め、全員が変異株とみている。県外から持ち込まれ、広まった可能性が高い」と話す。
  こうした中、宣言が先行解除された神戸市で行われた変異株用PCR検査の結果が注目を集めている。

  1月29日~2月18日に感染者の約6割に当たる357件の検体を調べたところ、31件の英国型変異株を検出。検体数に占める割合は1月29日~2月4日に4・6%だったが、2月5~11日には10・5%に上昇。12~18日は15・2%に増加した。19日以降は変異株疑いの割合が約半数に及ぶ可能性があるという。
(2)
  西村康稔経済再生担当相は2日の会見で、神戸市の検査結果に絡み、「変異株の脅威も大きな懸念の一つ。通常以上に変異株確認の検査を増やしている。モニタリングを強化していく」との意向を示した。
   欧州の感染状況を踏まえ、近い将来、従来株から変異株に流行の主体が移るというのが専門家の共通認識になっている。国立国際医療研究センターの大曲貴夫国際感染症センター長は「変異株により新規陽性者数が再度増加する局面を確実に捉え、変異株の流行伝播(でんぱ)を徹底的に封じ込めることが重要」と指摘する。
   東京医科大の濱田篤郎教授(渡航医学)は「変異株の感染者は全体としては少ないが、既に全国的に流行している可能性がある」として、変異株の蔓延(まんえん)が第4波のきっかけになることを危惧する。
   厚生労働省の2月26日の公表資料では、宣言解除の目安となる「直近1週間の人口10万人当たりの新規感染者数」が12県で前週より増加しており、濱田氏は「変異株が関係しているかもしれない。特に関東や関西では変異株の動きに注意が必要だ」と強調した。


2021.02.12-REUTERS-https://jp.reuters.com/article/health-coronavirus-britain-idJPKBN2AB200
英国型コロナ、再び変異 ワクチン効果脅かす恐れ=科学者

  [ロンドン 11日 ロイター] - 英遺伝科学者は11日、同国で確認された初の新型コロナウイルス変異株が変異しており、いずれワクチンの効果を阻害する恐れがあるとし、懸念を表明した。

  新型コロナゲノミクスの英コンソーシアムのディレクター、シャロン・ピーコック氏はBBCに対し、ロンドン近郊ケントで確認された感染力の強い変異株について、ワクチンがこれまでのところ効果を発揮しているものの、「再び突然変異を始めており、ワクチンの効果を脅かす恐れがある」と警鐘を鳴らした。
  英政府の科学諮問委員会は9日、国内で新たに2種類の新型コロナ変異株が確認され、うち1種類は南ア型とブラジル型に類似しており、「懸念される」と発表した。
  ジョンソン首相は10日、ウイルスの突然変異に合わせ繰り返しワクチン接種が必要になるだろうと述べた。
  ピーコック氏はこの変異株がいずれ「世界を席巻する」公算が大きく、新型コロナとの闘いが「今後10年ほど続くと想定する」と語った。


2021.02.08-産経新聞 THE SANKEI NEW -https://www.sankei.com/life/news/210208/lif2102080025-n1.html
南ア変異株に効果限定的か アストラゼネカのワクチンで英報道

  【ロンドン=板東和正】英紙フィナンシャル・タイムズ(電子版)は8日までに、オックスフォード大と英製薬大手アストラゼネカが共同開発した新型コロナウイルスのワクチンについて、南アフリカの変異株に感染した軽症者への効果は限定的だったと報じた。同大などが約2千人を対象にワクチンの効果を分析した研究で判明した。
  アストラゼネカはロイター通信に「重症者や入院患者への効果は確認できていない」と説明した。英BBC放送によると、南アは7日、研究の結果を受け、アストラゼネカ製のワクチン接種を一時見合わせることを決めた。南アは同ワクチンを100万回分調達しており、今週から接種を開始する予定だった。オックスフォード大の担当者は、南アの変異株に対応できるワクチンを今年秋までに準備したい考えを示している。
  一方、感染力が強いとされる変異株をめぐっては、感染した場合の死亡率が高くなる恐れも指摘されている。英政府は1月22日、60代の1千人が感染した場合の死者数について、従来型を10人とすると、英国で確認された変異株では13人か14人になる可能性があると発表した。


2021.02.08-産経新聞 THE SANKEI NEWS-https://www.sankei.com/life/news/210208/lif2102080043-n1.html
変異株封じのカギは首都圏 多い子供、高い感染力警戒
(1)
  感染力が強いとされる新型コロナウイルスの変異株が8日、兵庫県などで新たに11人確認され、国内事例49人、空港検疫43人となった。首都圏を中心に市中感染の疑い例が37人に上り、埼玉県では2つのクラスター(感染者集団)も発生。政府は民間検査機関などにも変異株を調べるゲノム(全遺伝情報)解析の協力を求める方針で、早期に実態を把握し、全国的な感染拡大につながらないよう警戒を強めている。
■市中感染疑い37人
  「水際の段階を越え、市中感染しているということを前提として(対策を)やったほうがいい」。埼玉県の大野元裕知事は8日、英国型の変異株の感染確認が県内で続いていることに改めて危機感を示した。
  日本での変異株確認は英国型79人、南アフリカ型9人、ブラジル型4人の計92人。昨年12月25日に空港検疫で初めて英国型が見つかったが、政府の入国停止措置などに伴い、国内での感染確認が増加。埼玉県25人、東京都、静岡県、兵庫県各4人の計37人が海外渡航歴がなく、感染源の不明な市中感染とみられる。
  今月5日と8日に埼玉県で確認された英国型の11人は同一施設の利用者や従業員らで、10歳未満の子供7人と40~60代の男女4人。濃厚接触者計64人の検査も進めており、さらに感染が広がる恐れがある。
  「子供の感染者が多いのを注視したい」と話すのは東京医科大の濱田篤郎教授(渡航医学)。英国では、英国型は従来株と異なり、子供も大人と同様に感染しやすいとの評価が示されており、濱田氏は「こうした特徴を反映しているのかもしれない」と指摘する。
(2)
■民間もゲノム解析
  厚生労働省の担当者は「県内で市中感染が広く起こっている証拠はない」との見解を繰り返す一方、「(変異株は)感染を広げやすいと指摘されており、極めて関心を高く持って調査している」という。
  埼玉県では、英国型13人の職場関連クラスターも発生。東京都在住の40代男性の感染確認を機に、同僚6人の感染が相次いで判明した。6人は男性の濃厚接触者ではなく、変異株の感染力の高さを示している可能性がある。
  従来株と同様、首都圏から地方への感染伝播(でんぱ)を懸念する声もあり、いかに封じ込めるかが重要だ。政府は変異株の検査体制を強化。田村憲久厚労相は7日、国立感染症研究所に限っているゲノム解析を民間検査機関などにも依頼し、感染者の割合や市中感染の広がりを確認する意向を示した。


2021.01.29-TBS NEWS-https://news.tbs.co.jp/newseye/tbs_newseye4186175.html
3人から市中“初”確認の「変異ウイルス」 東京医科歯科大学が発表

  東京医科歯科大学は、附属病院に入院していた新型コロナの患者3人から変異ウイルスが確認されたと発表しました。市中感染の可能性があるということです。
   東京医科歯科大学によりますと、3人は附属病院に去年11月下旬から先月下旬までに入院していた患者で、検体をゲノム解析したところ、イギリスなどで流行している変異ウイルスであることが分かったということです。
   大学側によりますと、これまでに市中で確認されている変異ウイルスとは別のもので、空港検疫では確認されていましたが、市中での確認は初めてだということです。
   うち2人は重症化しているということで、東京医科歯科大学は、ウイルスの特性や感染力などについて引き続き解析が必要だとしています。


2021.01.23-東京新聞-https://www.tokyo-np.co.jp/article/81601
「コロナ変異種は死亡率高まる可能性」と英ジョンソン首相 ワクチンは有効

  【ロンドン=藤沢有哉】ジョンソン英首相は22日の記者会見で、英国で確認された新型コロナウイルスの変異種について「より高い死亡率に関連する可能性を示すデータがある」と述べ、従来型よりも死亡リスクが高い恐れがあることを明かした。同席したバランス首席科学顧問は「確かな証拠はまだない」と補足しつつ、国内で使われるワクチンは有効と説明した。

  英政府はこれまで、この変異種は従来型より感染力が強いが「重症化率や死亡率を高める証拠はない」との見解だった。だが、諮問機関が分析結果を報告。バランス氏によると、60代の感染者1000人あたりの死者は従来型の場合は約10人だが、変異種は13~14人に増えると推計される。
  計算上は死亡率が3割ほど高まるが、同氏は「(分析データの)数値には不確かな点も多く、さらなる作業が必要だ」と強調。英製薬大手アストラゼネカ製など、英国で使われる2種類のワクチンは従来型も含めて有効と説明した。

  この変異種は昨年9月に英南東部で確認。その後、英国はコロナ感染が急拡大し、累計死者数は22日時点で欧州最多の約9万6000人に上る。英BBC放送によると、50カ国以上で同じ変異種が確認されている。(ロンドン・藤沢有哉)


2021.01.22-TBS News-https://news.tbs.co.jp/newseye/tbs_newseye4180941.html
都内女児、変異ウイルス感染 市中感染か

   東京に住む10歳未満の女の子が、イギリスなどで流行している変異ウイルスに感染していたことが確認されました。
   厚生労働省によりますと、イギリスなどで流行している変異ウイルスへの感染が確認されたのは、都内に住む10歳未満の女の子で、今月19日に陽性が判明し、無症状ですが21日から入院しています。
   女の子は、新型コロナの感染が確認された40代の男性の濃厚接触者で、この男性から感染したとみられていますが、2人とも海外滞在歴はないということです。
   一方、22日までに陽性が判明した都内のおよそ1500人の検体を調べたところ、女の子のほかに、変異ウイルスは検出されなかったということで、厚生労働省は「市中感染した可能性があるが、現時点で面的な広がりはない」としています。

   「この変異種は日本に広がっていると考えた方が良いと思います。2次感染、3次感染が起こってるというふうに考えた方が良い。今、残されている我々の手段は『流行をなんとしてでも抑える』。それは行動変容かもしれないし、ワクチンかもしれないし、別の方法かもしれないけれど、とにかく、『流行を抑える』、これ以外に変異株を防ぐ方法はないです」(日本医科大学 北村義浩 特任教授)


2021.01.21-NHK NEWS WEB(静岡 NEWS WEB)-https://www3.nhk.or.jp/lnews/shizuoka/20210121/3030010092.html
変異ウイルス 県内で4人目確認

  静岡県などは、イギリスで感染が広がる変異した新型コロナウイルス感染が確認された県内の60代の男性の濃厚接触者の女性1人が新たに変異ウイルスへの感染が確認されたと発表しました。
  県内で変異ウイルスへの感染が確認されたのはこれで4人目です。
  静岡県では今月18日、20代の女性とその濃厚接触者の40代の女性、それに60代の男性の3人が変異ウイルスに感染したことが確認されました。
このうち60代の男性の濃厚接触者である60代の女性については、結果を確定するための遺伝子を解析する検査が行われていましたが、検査の結果変異ウイルスへの感染が確認されたということです。
  21日午後6時ごろから会見した静岡県や、厚生労働省などによりますと女性は軽症で現在、自宅療養中で、不特定多数との接触はないとしています。
  県内で変異ウイルスへの感染が確認されたのは、これで4人目です。
  県によりますと今月18日に感染が確認された20代の女性と60代の男性の感染経路は引き続き調査中だということです。
  県疾病対策課の後藤幹生課長は「感染が確認された県内4人目の女性の濃厚接触者は確認されていません。変異株のこれ以上の拡大はないとみています。基本的な感染予防策は従来と同様なので、3密の回避やマスクの着用などの徹底をお願いします」と話していました。
  また県は変異ウイルスの感染状況を調査する方針を示している国の通知に応じて県内で最近、採取したおよそ10検体を国立感染症研究所に送ったことを明らかにしました。


2021.01.16-朝日アピタル-https://www.asahi.com/articles/ASP1J3C3KP1JUHBI002.html
感染歴ある女性、変異型で再感染 ブラジル当局確認

  南米ブラジルの保健省は15日、新型コロナウイルスの感染歴があるアマゾナス州の女性(29)が再感染し、検査の結果、日本で見つかったのと同じ変異ウイルスを確認したと発表した。女性は軽症だったという。
  発表によると、女性は昨年3月に感染が確認され、昨年12月30日に再び陽性と診断された。日本で、アマゾナス州から渡航した男女から変異ウイルスが見つかったことを受けて調べたところ、12月の感染は同じタイプの変異ウイルスだったという。
  ウイルスを調べているフィオクルス財団によると、変異ウイルスは昨年11~12月にアマゾナス州で発生したとみられる。同州では今年に入って感染者が急増し、医療状況が逼迫(ひっぱく)している。医療用酸素も不足し、一部の病院では、患者が呼吸困難で死亡したと報じられている。ただ、変異ウイルスが感染拡大の原因かは明らかでないという。
  保健省によると、ブラジルでは累計で839万人超の陽性が確認され、死者は20万人を超えている。15日の新規感染者は6万9198人、死者は1151人だった。(サンパウロ=岡田玄)


2021.01.15-朝日新聞-https://www.asahi.com/articles/ASP1H6HLJP1HUTIL02Q.html
全国の感染者、6日ぶりに7千人超 重症者は過去最多に全国の感染者

  新型コロナウイルスの国内感染者は15日午後9時半現在で、新たに7133人が確認された。都市部を中心に感染者は高止まりし、6日ぶりに7千人を超えた。死者は全国で78人増。厚生労働省によると、14日時点の重症者は前日より14人増えて全国で934人と、過去最多を12日連続で更新した。
  東京都の感染者は2001人で、9日の2268人以来、6日ぶりに2千人を上回った。年代別の最多は20代で458人。30代の355人、40代の303人と続き、65歳以上の高齢者は334人だった。
  大阪府では568人の感染が確認された。500人を超えるのは3日連続。千葉県では過去最多の504人の感染が確認された。愛知県では352人の感染が確認された。3日連続で300人を超えた。
  茨城県の大井川和彦知事は、県として独自の緊急事態宣言を出すと発表した。県内全域の飲食店に午後8時~午前5時の営業自粛を求める。期間は18日~2月7日。政府への緊急事態宣言の要請については「もう少し様子を見る」とした。
  厚労省は15日、新たに10~40代の7人が変異ウイルスに感染していたことがわかったと発表した。このうち4人が英国、3人が南アフリカの変異ウイルスだった。


2021.01.14-外務省 海外安全ホームページ-https://www.anzen.mofa.go.jp/od/ryojiMailDetail.html?keyCd=104617
ブラジル国サンパウロ州からの日本入国者に対する検疫措置の強化(空港検疫での新型コロナウイルス検査陰性証明の提出)

  1月6日、日本政府はブラジル国サンパウロ州を検疫措置強化の対象地域に指定しました。これにより、1月10日以降1月末まで、同州から日本に入国するすべての渡航者は、サンパウロ出発前72時間以内に実施した新型コロナウイルス検査陰性証明の提出を求められます。

 今般、ブラジル国サンパウロ州において新型コロナウイルス変異種が確認されたことに伴い、日本政府は同州を検疫措置強化の対象国に指定しました。
 これにより、2021年1月10日午前0時(日本時間)から同年1月末まで、ブラジル国サンパウロ州から日本に入国するすべての渡航者(日本人を含む)は、サンパウロ州出発前72時間以内に実施した新型コロナウイルス検査陰性証明の提出を求められます。
日本人については、検査陰性証明を所持していなくても日本に入国できますが、同証明を提出できない場合、検疫所長の指定する場所(検疫所が確保する宿泊施設に限る)で14日間待機することを要請されます。
なお、過去14日以内にサンパウロ州等の本件検疫措置の対象国・地域での滞在歴がなく、サンパウロ州以外の地域(リオデジャネイロ等)から第三国を経由して日本に入国する方については、経由地が対象国・地域に指定されていない場合や、経由地が対象国・地域に指定されている場合であっても経由地で入国を伴わない場合には、本件検疫措置の対象外(検査陰性証明は不要)とされています(対象国・地域でのトランジットが入国を伴う場合は、本件検疫措置の対象となり、経由地での出発時間を起点とする、72時間以内に実施された検査陰性証明が必要となる由です。)。
本件検疫措置の対象国・地域については、以下の厚生労働省HPを御確認ください。
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000121431_00209.html

 検査陰性証明は原則として所定フォーマットを使用する必要があります。
所定フォーマットに対応する医療機関がない場合、任意のフォーマットでの提出も可能ですが、所定フォーマットと同じ内容が記載されていなければなりません。
証明フォーマットは以下のリンクからダウンロードできます。使用言語は英語または日本語で、現地医療機関が必要事項を記入し、医師による署名又は押印が必要です。
https://www.mofa.go.jp/mofaj/files/100091340.docx
検査陰性証明に関する詳細については、以下の外務省HPを御確認ください。
https://www.mofa.go.jp/mofaj/ca/fna/page25_001994.tml

 新型コロナウイルスに関する各種規制や検疫措置等は、領事メールやHP等を通じてお知らせするように努めていますが、各種規制等は随時更新されていますので、御自身に関係する規制等については、改めて関係当局に最新情報を確認されることをお勧めいたします。

【参考】
●検疫に関する問い合わせ窓口
厚生労働省新型コロナウイルス感染症相談窓口
日本国内から:0120-565-653
海外から:+81-3-3595-2176(日本語、英語、中国語、韓国語に対応)

●新型コロナウイルス関連情報(ブラジル当局による各種規制等)
当館HPに新型コロナウイルス関連のブラジル当局による各種規制や、ブラジルにおける感染状況等の各種情報を掲載していますので、ご利用ください。
https://www.rio.br.emb-japan.go.jp/itpr_ja/11_000001_00011.html

【問い合わせ先】
在リオデジャネイロ日本国総領事館
Praia do Flamengo, 200-10andar, Rio de Janeiro, RJ, Brasil 22210-901
電話: (55-21) 3461-9595
Fax : (55-21) 3235-2241
領事班メールアドレス: consular@ri.mofa.go.jp
総領事館HP: https://www.rio.br.emb-japan.go.jp/itprtop_ja/index.html

・このメールは、在留届にて届けられたメールアドレス及び「たびレジ」に登録されたメールアドレスに自動的に配信されています。

・外務省海外旅行登録「たびレジ」とは
在外公館からの最新の安全情報等を受信できる無料配信サービスです。
https://www.ezairyu.mofa.go.jp/tabireg/

・帰国、転居等により在留届の記載内容に変更がある場合
帰国・転出届または変更届をメール、FAXまたは郵送にて当館まで提出してください。
帰国・転出届:https://www.rio.br.emb-japan.go.jp/files/100132186.xlsx
変更届:https://www.rio.br.emb-japan.go.jp/files/100132187.xlsx

・「たびレジ」簡易登録をされた方でメールの配信を停止したい方は、以下のURLから停止手続をお願いします。
https://www.ezairyu.mofa.go.jp/tabireg/simple/delete


2021.1.11-JIJI com-https://www.chunichi.co.jp/article/183553
新たな変異種を確認 羽田、ブラジルから到着の4人

  厚生労働省は十日、ブラジルから羽田空港に到着した男女四人で新型コロナウイルスの変異種を確認したと発表した。国立感染症研究所の脇田隆字(たかじ)所長は、英国や南アフリカで報告されている変異種との共通部分はあるが、異なる部分もあるため新しいタイプとみているとの見解を明らかにした。感染力や重症化率が高いとの証拠はなく、調査中という。
  四人は二日、ブラジル北西部のアマゾナス州から到着し、空港検疫で陽性となった。うち十代女性は無症状で、十代男性が発熱、三十代女性がのどの痛みと頭痛がある。四十代男性が呼吸状態の悪化で入院している。
  英国や南アフリカで報告されている変異ウイルスは、いずれも人への感染に関わる表面のタンパク質に変異が生じていて、感染力が高まっているとの研究がある。今回ブラジルに滞在歴のある四人から見つかったウイルスには、このタンパク質にさらに別の変異もあると判明した。ただブラジルで広がっているのかどうかは不明という。


2021.01.10-産経新聞 THE SANKEI NEWS-https://www.sankei.com/life/news/210110/lif2101100049-n1.html
新型コロナ、変異種流入で感染爆発 数カ月後「数人でも危険」 東大教授警告

  感染力が強いとされる新型コロナの変異ウイルスが国内に流入した場合、数カ月後に爆発的な感染拡大を起こす可能性が高いことが10日、東京大大学院の飯野雄一教授(生物科学)のシミュレーションで分かった。国内では英国と南アフリカの変異ウイルスへの感染が計30人確認され、うち23人は空港検疫で見つかったが、7人は入国後の陽性確認や国内での感染が発覚。飯野氏は「数人の流入でも相当危うい。緊急事態宣言再発令の機会に、感染拡大を確実に抑える必要がある」と警戒を促している。(伊藤真呂武)

  英国の変異ウイルスは、従来の1・7倍感染力が強いとされる。同国では昨年9月に見つかり、すでに従来ウイルスを上回る新規感染者が出ている。現時点で日本国内の感染者数を推定するのは困難とみられる。
  飯野氏は従来ウイルスが蔓延(まんえん)した状態で、変異ウイルスが国内に流入した想定で、1日当たりの新規感染者数の推移を分析した。
  流入時に従来ウイルス約300人、変異ウイルス10人だった場合、4カ月後に新規感染者数は計約1千人になるが、半年後には約2千人に拡大、この時点で変異ウイルスが従来ウイルスを逆転する。
  同じ条件で変異ウイルスが100人で始まった場合には、4カ月後に変異ウイルスが大半を占め、新規感染者が約3千人に、半年後には約1万3千人に膨れ上がることが推計された。
  全員が人との接触を50%減らすことで感染を抑制できるが、短期間で止めるとすぐに増加に転じることも判明。十分に抑えるには、数カ月以上削減を継続する必要がある。飯野氏は「変異ウイルスをこれ以上流入させないために、空港検疫の強化を徹底することも重要だ」と強調する。

 今回の宣言下では、飲食店の時短営業やイベントの人数制限、テレワークの徹底などが求められる。飯野氏は「変異ウイルスが流入していた場合は、より強い規制が必要。75%の接触削減を行えば、50%削減した場合より短期間で同等の減少効果が得られる」と指摘する。一方、東京都で先週2千人を超える新規感染者が出た日が相次いだことを踏まえ、「全体的にこのシミュレーションより感染拡大傾向が前倒しになる可能性がある」としている。


2021.01.10-産経新聞 THE SANKEI NEWS-https://www.sankei.com/world/news/210110/wor2101100018-n1.html
新型コロナ変異種、世界に拡大 収束に向けたシナリオ狂い生じる
(1)
  【ロンドン=板東和正】感染力が強いとされる新型コロナウイルスの変異種感染が欧米やアジアなど世界に広がっている。一部の変異種はワクチンの有効性に影響を与える恐れも懸念されており、収束に向けたシナリオに狂いが生じる可能性もある。
  変異種の脅威が注目されたのは昨年12月下旬。英政府がロンドンなどで変異種の感染事例が1千件以上確認されたと発表し、50以上の国・地域が英国からの入国・入域制限を決めた。しかし英国の変異種は年末から年明けにかけ、各地に拡大していった。
  ロイター通信などによると今月8日時点で、英国の変異種の感染者は34カ国・地域で確認されている。フランスやドイツ、米国などの欧米のほか、韓国や日本などのアジア、中東諸国でも見つかった。

   変異種が広がった欧州諸国では感染者数が急増している。1日当たりの新規感染者数が約6万人にのぼる英国では、ロンドンを含むイングランドで新規感染者の3分の2近くが変異種によるものとみられている。ロンドンのカーン市長は、感染拡大が「制御不能」となっていると宣言した。

  世界保健機関(WHO)のクルーゲ欧州地域事務局長は7日、欧州はパンデミック(世界的流行)のさらなる拡大を許すかどうかの「岐路に直面している」と強調。「(変異種の)感染を遅らせなければ、すでに逼迫(ひっぱく)する医療体制をさらに追い詰める」と規制の強化を呼びかけた。
  ジョンソン英首相はイングランド全域で4日に開始したロックダウン(都市封鎖)を2カ月以上継続することも検討している。
  一方、英国型とともに世界に広がりつつあるのが南アフリカで最初に確認された変異種だ。ロイターなどによると、南アの変異種は今月8日時点で英国やオーストリア、日本、中国など10カ国で確認された。
  南アの変異種は英国型よりも、新型コロナの収束を遅らせる危険性があると警戒されている。英国型の変異種の感染力は従来型より最大70%高いとみられるが、英国のハンコック保健相は、南アの変異種はその英国型よりも感染力が高いと指摘している。
(2)
  南アでは変異種が昨年10月ごろに最初に確認され、12月に入り感染者が急増。3日の新規感染者数が約4400人だったのに対し、31日は約1万8千人と4倍超となった。累計感染者数は27日にアフリカで初めて100万人を上回った。
  ワクチンの有効性を不安視する声もある。英メディアによると、英製薬大手アストラゼネカなどが開発したワクチンの臨床試験(治験)に関わったシャビール・マディ氏は「南アの変異種はワクチンの効果を弱める可能性がある」と述べた。南アの変異種は英国の変異種に比べ、ウイルスが体内に侵入する上で重要な役割を果たすタンパク質に、より多くの変異があり「ワクチンが誘発する免疫反応の影響を受けにくくなる恐れがある」(英レディング大のサイモン・クラーク准教授)ためだ。
  米製薬大手ファイザーは8日、同社のワクチンについて、英国と南アの両方の変異種に効果があるとの1次試験結果を公表したが、今回の結果は外部の専門家のチェックを受けておらず、さらなる確認が必要になるとみられている。


2021.01.10-NHK NEWS WEB-https://www3.nhk.or.jp/news/html/20210110/k10012807261000.html
【国内感染】新型コロナ 45人死亡 6081人感染確認 (10日22時)

  10日はこれまでに全国で6081人の感染が発表されています。また、愛知県で9人、大阪府で7人、北海道で6人、兵庫県で4人、千葉県で3人、東京都で3人、神奈川県で3人、京都府で2人、大分県で1人、岐阜県で1人、広島県で1人、栃木県で1人、熊本県で1人、福岡県で1人、長崎県で1人、高知県で1人の、合わせて45人の死亡の発表がありました。
  国内で感染が確認された人は、空港の検疫などを含め28万8751人、クルーズ船の乗客・乗員が712人で、合わせて28万9463人となっています。
  亡くなった人は国内で感染した人が4067人、クルーズ船の乗船者が13人の合わせて4080人です。各自治体などによりますと、国内で感染が確認された人は、累計で次のとおりです。( )内は10日の新たな感染者数です。
東京都は7万4944人(1494)大阪府は3万4452人(532)▽神奈川県は2万7343人(729)▽愛知県は1万9438人(343)▽埼玉県は1万7824人(414)▽北海道は1万4717人(188)▽千葉県は1万4203人(388)▽兵庫県は1万2088人(269)▽福岡県は1万1346人(284)▽京都府は5937人(146)▽沖縄県は5903人(74)▽広島県は4069人(53)▽静岡県は3360人(127)▽茨城県は3140人(84)▽岐阜県は3037人(64)▽群馬県は2872人(74)▽宮城県は2623人(63)▽栃木県は2510人(118)▽熊本県は2451人(82)▽奈良県は2315人(46)▽岡山県は1807人(32)▽長野県は1609人(68)▽三重県は1563人(43)▽滋賀県は1546人(25)▽宮崎県は1295人(49)▽鹿児島県は1245人(17)▽石川県は1227人(19)▽福島県は1225人(46)▽長崎県は1034人(18)▽大分県は829人(8)▽和歌山県は763人(15)▽山梨県は748人(16)▽高知県は732人(7)▽富山県は716人(10)▽山口県は706人(21)▽愛媛県は662人(32)▽新潟県は661人(21)▽佐賀県は588人(9)▽青森県は561人(2)▽山形県は433人(3)▽岩手県は429人(12)▽香川県は427人(13)▽福井県は397人▽徳島県は229人(3)▽島根県は227人(3)▽秋田県は173人(6)▽鳥取県は165人です。

  このほか、▽空港の検疫での感染は2009人(11)、▽中国からのチャーター機で帰国した人と国の職員や検疫官などの感染は合わせて173人です。
  厚生労働省によりますと、新型コロナウイルスへの感染が確認された人で、人工呼吸器や集中治療室などで治療を受けるなどしている重症者は、10日時点で852人(+25)となっています。
  一方、症状が改善して退院した人などは、10日時点で、▽国内で感染した人が22万536人、▽クルーズ船の乗客・乗員が659人の合わせて22万1195人となっています。



2020.12.30-BBC NEWS Japan-https://www.bbc.com/japanese/55481446
米国でも変異種の感染報告 バイデン氏はワクチン接種に「遅れ」と批判

  アメリカで29日、イギリスで発見された新型コロナウイルスの変異種への感染が初めて報告された。感染したのはコロラド州の20代の男性で、最近の渡航歴はないという。現在は隔離生活をしている。
  アメリカの保健当局は、この男性の接触者を特定するとともに、他にも変異種への感染者がいないか調査しているアメリカではこれまでに1900万人以上が新型ウイルスに感染し、33万7000人以上が死亡。どちらも世界で最多となっている。こうした中、ジョー・バイデン次期大統領は、ドナルド・トランプ大統領のワクチン接種事業が予定より遅れていると批判している。
  専門家によると、新型ウイルスの変異種は、これまでのものより感染力が非常に強いが、危険度は高くないとされている。アメリカの保健当局は先週、変異種がすでに国内で広がっているとの見方を示していた。

  コロラド州のジャレド・ポリス知事は29日、発見された感染者はデンヴァー近郊のエルバート郡で隔離されていると説明した。また、保健当局が「徹底的な調査」を行っており、これまでのところ陽性が確認された濃厚接触者はいないと述べた。
  イギリスで発見された変異種は他国にも広がっている。先週末にはカナダで2件の報告があり、北米で初めて確認された。
  メリカでは現在、米ファイザーと独ビオンテック製、および米モデルナ製の2種類のワクチンが認可を受け、接種事業が始まっている。
  政府は12月末までに2000万人にワクチンを接種させる目標を掲げていたが、疾病対策センター(CDC)によるとこれまでに210万人しか接種できていない。バイデン氏は、ワクチン接種事業は「アメリカが直面する最も大変な事業だ」と説明した。
  29日の演説でバイデン氏は、「トランプ政権のワクチン流通計画は非常に遅れている」と批判。「正しい方向に進めるよう、大きな転換を図るつもりだ」と述べた。
  これに対しトランプ大統領はツイッターで、連邦政府が届けたワクチンの州内での流通方法は「各州に任されている」と述べた。「我々はワクチンを開発し、その後の手続きが迅速に行われるようにお金をつぎ込んだだけでなく、各州に送り届けた」
「来年3月まで改善はない」
  バイデン氏は、1月20日の就任から100日以内に、1億人のアメリカ国民にワクチンを受けさせると約束している。そのため、1日当たりの接種数を「現在の5~6倍にあたる1日100万回まで引き上げる」必要があると話した。「こうした改善をもってしても(中略)アメリカの大半の人々がワクチンを接種するには何カ月もかかるだろう」
  その上でバイデン氏は、「物事が良くなる前に悪化する、厳しい時期が訪れる」と警告した。「この状況が転換するには時間がかかる。来年3月に入るまで改善は見られないだろう


2020.12.28-産経新聞 THE SANKEI NEWS-https://www.sankei.com/life/news/201228/lif2012280012-n1.html
韓国でも変異種を初確認、英国から入国の3人

  【ソウル=桜井紀雄】韓国防疫当局は28日、英国から入国した3人が新型コロナウイルスの変異種に感染していることが判明したと発表した。韓国での変異種の確認は初めて。3人はロンドンに居住する家族で、22日に入国した。変異種は従来のウイルスに比べて感染力が最大70%高いとされる。
  変異種の拡散を受け、韓国政府は23日から英国との航空便の運航を停止しているが、28日に停止期間を来年1月7日まで延長することを決めた。全ての入国者を対象に、隔離解除前にも検査を実施するなど、防疫措置を強化する。
  英国から入国した別の一家4人も陽性と判定され、変異種かどうかを調べている。4人のうち、80代男性が死亡後に感染が判明し、残る3人も検査を受けた。
  一方、カナダでは東部オンタリオ州の2人が変異種に感染したことが確認されたと保健当局が26日発表した。2人に渡航歴はなかったという。


2020.12.26-毎日新聞-https://mainichi.jp/articles/20201226/k00/00m/040/319000c
全ての国・地域からの新規入国を原則一時停止に 1月末まで コロナ水際対策

  新型コロナウイルスの変異ウイルスの感染者が世界各国で増えている状況を踏まえ、出入国在留管理庁は26日、全ての国・地域からの外国人に対して条件付きで認めていた新規入国について、28日午前0時から来年1月末までの間、原則として一時停止すると発表した。また、日本人の国外からの帰国者についても同期間、11月1日から条件付きで認めていた14日間の待機措置の免除を取り消す。

   同庁は26日夜、新型コロナ対策の水際対策強化に関する新たな措置として3点を発表した。
   まず、原則として全ての国・地域からの新規入国を拒否する。ただ、2国間で取り決めがある中国や韓国、台湾、タイ、ベトナムなど11カ国・地域の在留資格のあるビジネス関係者や留学生などについては例外的に新規入国を認める。
   同庁は原則として一時停止する理由について「複数の国で変異ウイルスが発見されており、予防的な措置として対策することにした」と説明している。
   また、これまで日本人や在留資格保持者を対象に、全ての国や地域への短期出張からの帰国・再入国時に、一定の条件で14日間の待機措置の免除を認めてきたが、28日から来年1月末までこの免除を認めず、待機を求めることにした。
   さらに、国内で変異ウイルスの感染者が確認されたと政府当局が発表している国・地域から帰国する日本人や在留資格保持者に関しては、30日から来年1月末まで、出国前72時間以内の陰性の検査証明を求めるとともに、入国時の検査を実施するとした。この証明を提出できない人に対しては、検疫所長の指定する宿泊施設などで14日間待機することを要請する。
【村上尊一】


2020.12.26-産経新聞 THE SANKEI WEB-https://www.sankei.com/life/news/201226/lif2012260024-n1.html
強い感染力のコロナ変異種 ワクチンの有効性は…

  日本国内で25日に確認された英国の新型コロナウイルスの変異種は従来と比べ、強い感染力が特徴とされる。ウイルスが変異すること自体は珍しくなく、これまでに確認された新型コロナウイルスの変異は数千に及ぶ。なぜ感染力が高まったのか。開発されたワクチンへの影響はないのか。変異種の特徴をまとめた。
高い感染力
  変異ウイルスは今月、英国の公衆衛生機関や学術機関が連携したチームが報告した。変異は9月下旬に発見され、チームは「海外から持ち込まれたことを示すデータはなく、英国内で進化した可能性が極めて高い」とした。
  日本の国立感染症研究所によると、新型コロナの発生源とされる中国湖北省武漢市で報告されたウイルスと比べ、変異種は、ウイルスの「設計図」であるゲノム(全遺伝情報)の29塩基に違いがあった。これによって実際に起きた変異は計23あるとされる。うち一部はウイルスがヒトの細胞に侵入する足掛かりとなり、ウイルスの表面に突起状にあるスパイクと呼ばれるタンパク質の形を変化させていた。
  実は、このスパイクに生じる変異が、新型コロナの感染力を増強させる可能性があることはすでに指摘されていた。
  今年9月に米科学誌セルに掲載された研究成果によれば、変異によってスパイクに起きる構造変化に伴い、ウイルスはヒト細胞に結合し、その内部に侵入しやすくなっていた。今回の変異種で確認され、「N501Y」と呼ばれるスパイク変異の一つもこのタイプだと考えられており、感染力の強さの原因となった可能性がある。南アフリカで急増している変異種でも同様の変異が見つかっている。

  変異種の感染力について、英政府は既存のタイプより最大70%強いと発表。英ロンドン大衛生熱帯医学大学院の研究者が23日にオンラインで発表した未査読の論文によると、入院データや死者数などをもとに56%強いと推定している。

ワクチン有効性は
  ワクチンへの影響はあるのか。
   米製薬大手ファイザーなどが開発するワクチンは、変異があったスパイクタンパク質を標的とする抗体が生じ免疫ができるタイプ。ウイルスの表面には、ヒトの免疫がウイルスだと認識する目印が数十あり、そのうちの一部が変異しても、残りの部分に抗体は作用する。このため1つの変異でワクチン効果が激減するとは考えにくいという。
  また、重症化の報告などはなく、ワクチンの有効性に影響するデータは見つかっていない。
  新型コロナウイルスは、遺伝情報をRNA(リボ核酸)に格納しており、増殖する際に起きる「コピーミス」によって、変異は日常的に起こる。すでに何千もの変異が確認され、スパイクタンパク質だけでも約4千の変異が見つかっているが、英医学誌「ブリティッシュ・メディカル・ジャーナル」に掲載された記事によると、感染力が強くなる変異が起きた事例は少ないという。
  ただ、日本国内で変異種が独自に進化する可能性はある。新型コロナは季節性インフルエンザほど迅速に変異することはないとされているが、今後の推移を注視する必要はありそうだ。


2020.12.25-読売新聞-https://www.yomiuri.co.jp/national/20201225-OYT1T50220/
国内初のコロナ変異種、英から到着の男女5人から…1人が倦怠感・4人は無症状

  厚生労働省は25日、国内の空港で確認された新型コロナウイルスの感染者5人から、英国で感染が急拡大している変異種が見つかったと発表した。国内で英国と同様の変異種が確認されたのは初めて。

  発表によると、変異種への感染が確認されたのは、18~21日に英国から羽田、関西両空港に到着した男性4人、女性1人。空港検疫で感染が判明した。
  5人の年代は10歳未満1人、10歳代1人、40歳代2人、60歳代1人。5人のうち1人が倦怠けんたい感を訴えているが、4人は無症状で、いずれも宿泊施設で療養している。

   国立感染症研究所が検体を調べたところ、英国で見つかっている変異種と遺伝子配列が一致したという。
   変異種の初確認を受け、厚労省は26日以降、変異種が見つかっている英国と南アフリカからの入国者については空港検疫で陰性であっても指定の宿泊施設で待機を求め、入国から3日後に改めてウイルス検査を実施。陰性と確認されれば、入国から2週間が経過するまで自宅などでの待機を要請する。
   25日夜に記者会見した田村厚労相は「感染拡大の可能性をなくすために万全を期す」と述べた。

   ◆変異種=増殖に伴って遺伝情報が変異したウイルス。大半の変異はウイルスの感染力や重症度に影響しない。英国で見つかった新型コロナウイルスの変異種は、表面にある突起の先端部の形が変わり、感染力が従来よりも最大70%増した可能性がある。ただ、重症化しやすいとの報告はなく、ワクチンの効果が減るとのデータはない。


2020.12.24-Newsweek(ロイター)-https://www.newsweekjapan.jp/stories/world/2020/12/post-95255.php
イギリスで別のコロナ変異種確認、感染力さらに強い恐れ 南アから流入か

  ハンコック英保健相は23日、国内で別の新型コロナウイルス変異種が確認されたと発表した。すでに検出されているものよりもさらに変異が進み、感染力が一段と増している可能性があり、「極めて懸念される」と述べた。
  同相によると、新たな変異種は過去数週間に南アフリカに渡航したコロナ感染者と接触があった2人から検出された。
  さらに、新たな変異種と接触があった人、過去14日間に南アへの渡航歴がある人、これら渡航歴があると人と接触した人全員の隔離を求め、南アからの入国を直ちに制限するとした。

  英国ではすでに感染力が70%高いとみられるコロナ変異種が拡大し、政府は対応に追われている。
  南ア保健省は先週、新型コロナ変異種が確認され、最近の感染急拡大の引き金になっている可能性があるとの認識を示していた。
  ハンコック氏はさらに、感染抑制に向けた措置を強化し、26日からイングランド南部全域をロックダウン(都市封鎖)にほぼ相当する最も厳格な制限下に置く方針を表明した。
  また、英製薬大手アストラゼネカがコロナワクチンの完全な治験データを規制当局に提出したと明らかにし、承認に向けた下地が整ったと述べた。


2020.12.22-産経新聞 THE SANKEI NEWS-https://www.sankei.com/life/news/201222/lif2012220067-n1.html
新型コロナの変異種、国内侵入リスクに留意必要 厚労省の専門家組織指摘

  新型コロナウイルス対策を厚生労働省に助言する専門家組織は22日の会合で、英国などで見つかった感染力が強くなったとされるウイルスの変異種について、「国内では確認されていないが、(国内に入る)リスクについて留意が必要」との評価を示した。
  日本は英国からの原則入国禁止措置を続けているが、空港検疫では英国に滞在歴のある感染者が複数見つかっている。変異種の侵入で感染が急拡大すれば、さらなる医療逼迫(ひっぱく)につながるとして、検疫などでの監視体制の強化を求めた。
  感染状況については、関東圏で増加が継続し、特に東京の感染継続が周辺自治体の感染拡大にも影響していると分析。早い時期に飲食店への時短要請をした北海道以外では明らかな減少が見られず、「大都市での感染を抑制しなければ、地方での感染を抑えることも困難になる」とした。
  また飲食をする場が感染拡大の主な要因だとして、忘年会や新年会を控え、年末年始の買い物も混雑を避ける必要性を訴えた。


2020.12.22-産経新聞THE SANKEI NEWS-https://www.sankei.com/world/news/201222/wor2012220020-n1.html
英国からの入域、40以上の国・地域が制限 変異種拡大で

  【ロンドン=板東和正】強い感染力があるとみられる新型コロナウイルスの変異種が英国で拡大している問題で、各国が水際の厳戒態勢を強化している。英BBC放送によると、欧州や北米、中南米、中東やアジア、アフリカの40以上の国・地域が21日までに、英国からの入国・入境制限を決めた。世界保健機関(WHO)は21日、変異種の感染力が従来のウイルスよりも強い可能性があるとして徹底した対策を求めた。
  変異種は英国のほか、イタリアやオランダ、デンマーク、アイスランドといった欧州各国、さらに南アフリカ、オーストラリアでも確認された。感染拡大への警戒からフランスやドイツやカナダ、トルコ、クウェート、コロンビア、チリなどが英国からの入国停止を発表。英国と欧州大陸を結ぶ高速鉄道ユーロスターも21日から運行停止した。

  WHOのテドロス事務局長は21日、ジュネーブでの記者会見で、変異自体は想定されたことで、過度に特別視するものではないと指摘。「(変異種が)現時点で重症率や致死率を上げるという根拠はない」と強調した。WHOで緊急事態対応を統括するライアン氏は変異種に対して、ワクチンが有効だと述べた。WHOは、マスク着用や他人との距離の確保といった従来の新型コロナ対策も変異種に効果があるとみている。
  一方、変異種は1人の感染者が平均で何人にうつすかを示す指標「実効再生産数」が1・1から1・5に上昇する懸念があるとWHOは指摘。ライアン氏は会見で、「感染力が従来のウイルスに比べて強い可能性があり、感染者数に影響を与えうる」とも語った。
  さらにWHOは21日、南アフリカで検出された変異種は、英国のものとは別だとの見解を示している。
  フランスによる入国停止措置により、英仏海峡の英側にあるドーバー港周辺でトラックの渋滞が発生。物流にも影響がおよび、英国内で食料品などが不足する恐れがある。ジョンソン英首相は同日、50万人がワクチン接種を終えたとして感染収束に自信を見せた。


2020.12.21-BBC NEWS JAPAN-https://www.bbc.com/japanese/features-and-analysis-55391842
新型ウイルスの変異種、いまわかっていること

  新型コロナウイルスの変異種が、イギリスで急速に広がっている政府は警戒レベルに「ティア4」(自宅待機)を新設何百万人もが対象となっている。イングランド、スコットランド、ウェールズでは、クリスマス時期の人々の交流を厳しく制限。イギリスからの渡航を禁止する国も出ている。
  新型ウイルスの変異種は、イングランドに存在していなかった。それが一体どうやって、数カ月のうちに非常によくみられる種になったのか。
  政府の諮問委員らは、今回の変異種は他の変異種より感染力が強いとの見方について、「そこそこ」有力だとしている。まだすべてが初期段階で、予測不可能な部分が大きく、不明なことも多い。
  ウイルスは常に変異している。大事なのは、ウイルスの動きに変化があるのかに、しっかり注目することだ。
変異種をめぐる懸念
  今回の変異種は、次の3点がみられることから注目を集めている。
   新型ウイルスの他の変異種と急速に入れ替わっている
   新型ウイルスの重要と思われる部分に影響を与える変異をしている
   変異の一部は新型ウイルスの感染力を強めることが研究で確認されている
  これらは、ウイルスがより広がりやすいことを示している。
  ただ、はっきりしたことはわかっていない。新たな変異種は、単に時と場所が適しているだけで広がり得る。例えば、最近まで警戒レベルがティア2(屋内での他世帯との集会が禁じられ、パブやレストランの営業も制限される)にとどまっていたロンドンは、そうした環境に当てはまる。とは言え、今回のティア4新設では、変異種の拡大の抑制が理由の1つとされている。
  COVID-19ゲノミクスUKコンソーシアムのニック・ローマン教授は、「研究施設での実験は必要だが、(結果を受けて拡大のスピードを抑える対応を取るまで)何週間、何カ月と待つべきなのか? この状況ではそうではないだろう」と話した。
拡大の勢い
  今回の変異種が最初に見つかったのは9月だった。11月にはロンドンで確認された感染の約4分の1が、この新たな変異種だった。12月中旬になると、感染の3分の2近くが変異種となった。
  いかに変異種が勢力を増してきたかは、ミルトン・キーンズ・ライトハウス研究所などの施設におけるウイルス検査の結果が物語っている。

  数学者らは、他の変異種と対比することで、今回の変異種の強さを測ろうとしている。だが、人の行動の影響とウイルスの影響を、明確に分けることは困難だ。ボリス・ジョンソン首相が言及した数値として、変異種は最大70%伝染力が強いというものがある。首相は、これがR値(実効再生産数)を0.4上昇させる恐れがあると述べた。R値は1人の感染者が何人に感染させるかの平均で、感染が拡大または縮小のどちらの状況にあるのかを示す。
  この70%という数字は、インペリアル・コレッジ・ロンドンのエリック・ヴォルツ博士が18日の発表で述べたものだ。
  同博士は発表で、「明言するには早過ぎるが、(中略)これまでの状況から、非常に素早く広がっており、(従来の変異種による)過去の拡大よりスピードが速いことがわかる。注視していくことが重要だ」と話した。
  今回の変異種の感染力がどれくらい上回っているとみられるのか、はっきりした数値はない。科学者には、70%よりもっと高い数字を取材で示した人もいるし、ずっと低い数字を挙げた人もいる。また、そもそも感染力が他のものより強いのかも、明らかではない。
  英ノッティンガム大学でウイルスを研究するジョナサン・ボール教授は、「今回のウイルスの伝染力が本当に強いのかについて有力または確固とした意見を形成するには、公開されているデータは量的に不十分だ」と述べた。
どれくらい広がっているのか
  今回の変異種は、英国内の患者から出現したか、変異に対する監視力の劣る国から持ち込まれたと考えられている。
  北アイルランドを除くイギリス各地で見つかっているが、ロンドン、サウス・イースト、イングランド東部にかなり集中している。国内の他の地域では、まだ感染急増は起きていないとみられる。
  世界のウイルスのサンプルの遺伝子コードを監視しているネクストストレインのデータは、デンマークとオーストラリアで確認された感染について、イギリス由来とみられることを示している。感染はオランダでも報告されている。
  南アフリカで出現した同様の変異種は、変異に共通点はあるが、今回のものとは別とみられている。
こうしたことは過去にもあった?
  答えはイエスだ。世界の多くの場所で発見されている新型ウイルスは、中国・武漢市で最初に検出された新型ウイルスと同じではない。
  ヨーロッパでは今年2月、変異種D614Gが出現。これまでに世界で広がっている新型ウイルスは、圧倒的にこの変異種だ。
  A222Vという名の変異種は欧州全域に拡大した。スペインで夏休み期間に出現したとみられている。
変異についてわかっていること
  新たな変異種に関する初期段階の分析によると、重要な影響を与え得る17種類の変化が特定されている。
  変化はウイルスのスパイクタンパク質で確認されている。ウイルスが人体の細胞に入り込む際に、扉を開ける鍵のような役割を果たすタンパク質だ。
  N501Yと呼ばれる変異は、スパイクタンパク質の最も大事な部分である、受容体結合ドメイン(RBD)を変える。
  RBDは、スパイクタンパク質の中で、人体の細胞の表面に最初に触れる部分だ。こうした変化によってウイルスが人体の細胞に簡単に入り込めるようになるのであれば、そのウイルスは強化されていると考えられる。前出のローマン教授は、「重要な適応をしているように思える」と話した。
  一方、スパイクタンパク質の一部が失われる、H69/V70削除と呼ばれる変異も、これまで何度か出現している。新型ウイルスに感染したミンクからも、この変異が見つかっている。ケンブリッジ大学のラヴィ・グプタ教授の研究は、こうした変異によってウイルスの感染力が2倍に高まることが実験で確認されたとしている。
  同教授はまた、この変異が、新型ウイルスに感染して回復した人の血液から取った抗体の攻撃力を弱める可能性もあるとしている。グプタ教授は、「(変異が)急速に増えており、政府が懸念している。私たちも、多くの科学者も心配している」と話した。
どこから来たのか
  変異種は異常なほど高度に変異している。
  出所に関する有力な説として、新型ウイルスに太刀打ちできないほど弱体化した免疫システムをもつ患者の体内で出現したというものがある。
  そうした患者の体は、新型ウイルスの変異の温床になったとされる。
致死率を上げるのか
  致死率の上昇を示唆する研究はない。だが、そうした観点での監視は必要だ。いずれにしろ、病院にとっては感染が増えるだけで大変なことになる。
  今回の新たな変異種が、より多くの人をより素早く感染させるとすれば、病院で治療を必要とする人が増えることになる。
ワクチンは効くのか
  新型ウイルスのワクチンは、ほぼ確実に効く。少なくとも現時点では。ワクチンの効果が疑われるのは、先行している3種類のワクチンすべてが、現存のスパイクタンパク質に対して免疫反応を生み出すからだ。
  ワクチンは免疫システムを訓練し、ウイルスのいくつかの異なる部分を攻撃できるようにする。そのため、スパイクタンパク質の一部が変異しても、ワクチンは効果を発揮するはずだ。
  「ただ、さらなる変異を許した場合には懸念が生じる」と、ケンブリッジ大学のグプタ教授は言う。「このウイルスは、ワクチンから逃げ延びる過程にあるのかもしれない。それに向けて、最初の数歩を進んだところだ」
  ウイルスがワクチンの効果の一部からでも逃れ、人体に影響を与え続ける場合、そのウイルスはワクチンを逃げ延びたことになる。これは新型ウイルスに起こっていることの中で、最も懸念すべきことだろう。
  今回の変異種は、新型ウイルスがより多くの人に感染しながら、同時に適応も続けていることを改めて示している。
  英グラスゴー大学のデイヴィッド・ロバートソン教授は18日の発表で、「新型ウイルスはおそらく、ワクチンを逃げ延びる変異をするだろう」と結論づけた。
  それはつまり、インフルエンザのように、絶えずワクチンを最新のものにしていく必要があることを意味する。私たちにとって幸いなのは、接種が始まった新型ウイルスのワクチンは、簡単に手を加えられることだ。


2020.12.20-Yahoo!Japanニュース-https://news.yahoo.co.jp/byline/kimuramasato/20201220-00213465/
新しい変異株が猛威ふるう英で3度目の都市封鎖「もうワクチンしかない」世界はウイルス制圧戦争に突入した

クリスマス中の都市封鎖はもう不可避だ
  [ロンドン発]ボリス・ジョンソン英首相は19日緊急記者会見を開き、新型コロナウイルスの新しい変異株が急速に広がるロンドンやイングランド南東部、東部に警戒レベル4の都市封鎖(ロックダウン)を発動しました。感染力の強いこの変異株については14日、マット・ハンコック保健相が報告していました。

  今回は地域限定とは言うものの、イギリスが都市封鎖を実施するのはこれで3度目。みんな3家族までは一緒に過ごせるクリスマスを楽しみに頑張ってきただけにショックは相当なものです。警戒レベル1(中)、2(高)、3(最高)は3家族が12月25日だけ集まることができます。
  ジョンソン首相は今回の変異株について「感染者を重症化させ、死亡率を押し上げるという証拠はないが、はるかに簡単に感染するようだ」と報告。新興呼吸器系ウイルス脅威諮問グループ(NERVTAG)の初期の分析ではこの変異株は感染者1人から何人に感染するかを示す再生産数(R)値を0.4以上押し上げます
最大70%感染しやすい
  まだ不確実性は残るものの、これまで主流だった株より最大70%も感染しやすいそうです。すでにイギリスでは高齢者から集団予防接種が始まりましたが、ワクチンの効き目に影響があるかどうかはまだ分かりません。イングランド主席医務官のクリス・ホウィッティ氏は世界保健機関(WHO)に報告しました。

  ホウィッティ氏の説明ではイングランド公衆衛生サービスのゲノム監視を通じて新しい変異株を特定。急速な感染拡大、モデリングデータからNERVTAGがこの変異株はより迅速に広がる可能性があると判断しました。
  変異株が死亡率を押し上げるか、ワクチンや治療に影響があるのかどうか調査が進められています。筆者は少し前からロンドンの南東にあるケント州で異様に感染が広がっているのを不思議に思っていました。
  “コロナ除け”でロンドンから避難してきた人が感染を広げているのかと漠然と考えていましたが、その陰で感染力の強い変異株が猛威をふるっていたのです。
新型コロナウイルスは平均2週間に1度変異している
  日本の国立感染症研究所(感染研)によると、新型コロナウイルスは一本鎖プラス鎖RNAウイルスで全長29.9 キロベース(kb)。塩基1個を1b(ベース)と表すので29.9kbとは29.9×1000(k)=2万9900個の塩基がつながっていることを意味しています。
  ウイルスが増殖する時、遺伝情報をコピーしますが、この時、文字(塩基)を写し間違えてしまうことがあります。これが変異です。新型コロナウイルスにはミスプリを見つけて正しい文字に置き換える校正機能が備わっているため、インフルエンザウイルスほど速く変異はしないものの平均14日間に1度変異します。
  ミスプリは完全には防げませんが、文字(塩基)が1つだけ入れ替わっても作られる単語(アミノ酸)が同じ場合、構成されるタンパク質は変わらず、短編小説(RNA)の物語は全く変わりません。自動車のボディーがいくら傷ついても、そのモデル自体やエンジン、ハンドルの機能が変わらないのと同じです。
  ウイルスにとってミスプリはサバイバルのために欠かせない現象です。生存していくためには環境に適応できるようアミノ酸の配列を変える必要があるからです。新型コロナウイルスの変異について米ロスアラモス国立研究所が調べた変異株(D614G、いわゆる「欧州株」)が有名です。
  新型コロナウイルスは表面に他のウイルスとは異なる「王冠(コロナ)」のような突起(スパイク)を持っています。この突起はスパイクタンパク質から成り、標的となる細胞表面の受容体(レセプター)結合と細胞侵入の中心的な役割を果たしています。
  ロスアラモス国立研究所は世界中の患者から採取した新型コロナウイルスのゲノム情報を解析。その結果、スパイクタンパク質の変異を特定し、欧州で被害を広げたD614Gが他の地域でも最も優位的な変異株になっていることを突き止めました。今回の変異株はその「欧州株」を上回る恐れがあるので警戒が必要です。
「ワクチン接種を可能な限り迅速に展開することが重要だ」
 英免疫学会元会長でインペリアル・カレッジ・ロンドンのピーター・オープンショー教授は次のように警鐘を鳴らします。
  「このニュースを真剣に受け止めるのは正しい。3万のヌクレオチド(リン酸・糖・塩基でできている)の遺伝暗号に23の変異が起きている今回の変異株は約40〜70%感染性が高いようだ。倍加時間も6~7日で制御することが重要だ」
  「感染力が高まる理由はまだ明らかではない。ウイルス複製の増加によるものか、鼻や肺の内側を覆う細胞への結合の改善によるものなのかを知る必要がある。まだ証拠はないものの、過去の感染またはワクチン接種によって生成された免疫をウイルスが回避しないと考える十分な理由がある」
  「イギリスで35万人がすでに米ファイザーと独ビオンテックのワクチンの1回目接種を受けていることは注目に値する。最も脆弱な人々への感染の影響を制御し、最前線の労働者を保護するために、ワクチン接種を可能な限り迅速に展開することが重要だ」
  英ウォーリック医科大学のジェームズ・ギル名誉臨床講師は「新型コロナウイルスの遺伝暗号を監視する任務を負った全国の研究所による作業でこの新しい変異株を検出して対処することができた。現在の状況では非常に強力な措置を講じることが正しい」と評価しています。
  「科学と医学はデータによって進歩する。データに従わずに行動することは愚かであり、危険でもある。データは新しい変異株のため感染が増加していることを示唆しているので、さらに新しいデータを収集するため、いま制限を強化するのは賢明な判断だ」
「都市封鎖でもこの変異株には対抗できない」
  英イーストアングリア大学ノリッジ医学部のポール・ハンター教授は「新しい変異株は単一の変異によるものではなく、23の変異があり、その多くはウイルスが細胞に侵入するために使用するスパイクタンパク質に関連している。この亜種は9月にロンドンまたはケント州で発生したと考えられている」と解説します。
  「ウイルスが変異して感染性が高まるのは驚くべきことではないが、私が予想していたより憂鬱なニュースだ。R値が0.4以上増加するのは非常にまずい。2度目の全国都市封鎖が実施された11月、私たちが達成できた最高のR値は0.8から1.0の間だった」
  「全国都市封鎖に戻ったとしてもR値を1.0未満に下げるにはまだ十分ではない。3月と4月の全国都市封鎖に戻ってもR値を1.0未満に下げるかどうかさえ不確かだ。おそらく私たちが今期待できるのは、ジョンソン首相が発表した措置によって流行がそれほど急速に増加しないことだけだ」
  「いま展開しているワクチン接種プログラムでは接種しないことを選択した人々を保護する可能性はさらに低いことを意味している。新しい変異株がイギリス全土に広がるのは避けられない。海外に広まったという証拠はまだ分からないが、時間の問題であり、他の国でも同様の問題が発生するのではないかと思う」
  2メートルの感染防止距離、マスク着用、手洗い、3密(密閉・密集・密接)回避、換気という個人対策とクラスター(感染者の集団)対策という保健師の職人芸に頼る日本のコロナ対策。感染力が強い変異株の発生で水際作戦の強化は避けられず、東京五輪開催のハードルは一段と高くなったと言わざるを得ないでしょう







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