中国の全人代-1


2024.07.18-産経新聞-https://www.sankei.com/article/20240718-3MQF5MI2XZMX5B6IPRK4JSNWAQ/
<速報>中国共産党が秦剛・前外相の党役職を解く 辞職申し出を受け入れ 重要会議「3中総会」閉幕

  【北京=三塚聖平】中国共産党の重要会議である第20期中央委員会第3回総会(3中総会)が18日、閉幕した。中国国営新華社通信が伝えた会議の概要を記したコミュニケによると、西側諸国と異なる独自の発展モデルである「中国式現代化」の推進や、「さらなる改革の全面的深化」に関する決定を採択した。

  昨年7月に外相職を解かれた秦剛(しん・ごう)氏の党中央委員職を解いた。秦氏による辞職の申し出を受け入れる形とした。また、6月下旬に中央政治局会議が決めた李尚福(り・しょうふく)前国防相の党籍を剝奪する処分を確認した。中国人民解放軍では汚職疑惑が伝えられている。
  3中総会は15日から北京で非公開で行われていた 3中総会は、党として中長期の経済政策を方向づける場とされる1978年の第11期3中総会は改革開放路線への転換を決めたことで知られる。


2024.07.15-産経新聞-https://www.sankei.com/article/20240715-6G3PYME5CRINHL2W2EFPX4F2CA/
中国共産党の重要会議「3中総会」開幕 会場周辺は厳戒態勢

  【北京=三塚聖平】中国共産党の重要会議である第20期中央委員会第3回総会(3中総会)15日、北京で開幕する。会期は18日まで。党として中長期の経済政策を方向づける場とされており、不動産不況や少子高齢化、地方財政の悪化といった経済・社会課題の解消につなげる改革を打ち出すことができるかが焦点となる。

  15日朝、会場となる北京中心部の施設周辺は、多数の制服警官や私服の警備関係者を配置する厳戒態勢が敷かれていた。関係者が乗っているとみられる車両が施設に向かう様子も見られた。
  会議は非公開で行われ、閉幕後に国営メディアを通じて会議の概要を記したコミュニケが発表されるのが通例となっている。
  3中総会では、習近平共産党総書記(国家主席)が唱える西側諸国と異なる独自の発展モデルである「中国式現代化」の推進のほか、「さらなる改革の全面的深化」の検討などが主要議題となる。人事調整も行われることが見込まれており、昨年7月に外相職を解かれた秦剛(しん・ごう)氏に残る党中央委員の役職を外す可能性がある。中国人民解放軍の汚職疑惑もあって、党内の引き締めを図るとみられる。
  3中総会は、党大会の翌年の秋に開催されるのが慣例となっている。これに従えば、習氏の3期目続投を決めた2022年の第20回党大会の翌年に当たる23年に第20期3中総会が開かれるとみられていたが、遅れていた。


2024.03.05-産経新聞-https://www.sankei.com/article/20240305-CVAAE4CTJNPZZPNJZUJBSGNU5U/
全人代、「平和統一」の表現消える 台湾メディア警戒

  【台北=矢板明夫】中国の李強首相は5日開幕した全人代での政府活動報告で「『台湾独立』分離活動と外部からの干渉に断固として反対し、祖国統一の大業を推進する」などと述べ、ほぼ従来の主張を繰り返した。台湾の対中関係者はその文面を細かく分析し、中国の対台湾政策の変化を読み取ろうとしている。

  中台関係をめぐっては先月14日、中国福建省近くで台湾が実効支配する金門島の海域で、台湾当局が追跡中だった中国の漁船が転覆し、2人が死亡した。その後、中国は報復措置として周辺海域におけるパトロールを常態化させ、中台間の緊張が高まっている
  台湾当局関係者は、李氏の政府活動報告で「金門に対する台湾の支配を否定する踏み込んだ発言」を警戒していたが、報告書は金門問題について触れなかった。与党、民主進歩党の幹部は「ほっとした」と安堵した
  一方で、李氏はこの日、中台の将来について、前任者の李克強氏が昨年の政府活動報告で使った「平和統一」という表現ではなく、「統一」の2文字だけ言及した。この変化について、一部の台湾メディアは「軍事侵攻を視野に入れることを示唆している」と解説している。台湾の国防部長(国防相に相当)の邱国正氏は5日、記者団に対し「私たちは軍事的対立を全く望んでいない。平和を希望し、彼ら(中国)と軍備競争をしない」と応じた。
  1月に行われた台湾の総統選では、中国と距離を置く民進党の頼清徳副総統が当選した。以降、中国当局は台湾海峡上空に設定する民間機の飛行路を台湾寄りに変更するなど圧力を強化しており、こうした動きは今後も続きそうだ


2023.03.10-JIJI COM.-https://www.jiji.com/jc/article?k=2023031000635&g=int
習国家主席、異例の3期目 満票で長期政権始動―中国全人代

  【北京時事】中国の全国人民代表大会(全人代、国会に相当)は10日、北京の人民大会堂で全体会議を開き、習近平国家主席を満票で3選した。昨年10月に共産党総書記として異例の3期目入りを果たした習氏は党・国家・軍の3ポストのトップに就き、長期政権を本格始動させた。

  「賛成2952票。習近平同志を国家主席に選出する」。司会が宣言すると、人民大会堂には大きな拍手が30秒近く鳴り響いた。習氏は自らもゆっくりと拍手し、一礼した後、11日に首相に選出される見通しの党序列2位李強・政治局常務委員らと握手を交わした。
  党機関紙・人民日報(電子版)は習氏の当選直後に社説を発表し、満票の選出について「全党、全軍、全国各民族の共通の願いを反映している」と称賛。習氏を、建国の父、毛沢東らに使われた呼称である「領袖(りょうしゅう)」で呼んだ。
  習氏は10日、国家の中央軍事委員会主席にも3選。また、王岐山国家副主席の後任には韓正・筆頭副首相が選出された。韓氏は昨秋、最高指導部から外れたが、今後は外交面などで習氏を支えるとみられる。1期目の習指導部で、反腐敗闘争を通じて習氏の政敵を次々と失脚に追い込んだ王氏は、要職を退くことになった。習氏は韓氏の選出後、王氏とも固く握手を交わした。


2023.03.05-産経新聞-https://www.sankei.com/article/20230305-DCXZMYGPQRJNNF6IZBEVA32JFQ/
中国、ちぐはぐ政策 積極財政と債務リスク解消追求

  【北京=三塚聖平】5日に開幕した中国の全国人民代表大会(全人代)では経済の回復を進める方針が示されたが、積極的な財政政策で景気を下支えすると同時に、「ゼロコロナ」政策で悪化した地方政府の財政改善を指示するなどちぐはぐさも目立つ景気悪化が深刻化する中、矛盾した経済政策を打ち出さざるを得ない習近平政権の苦しい状況がうかがわれる。

  李克強首相は5日の政府活動報告で「景気の全般的な好転を促す」と訴えた。昨年、中国経済はゼロコロナ政策の打撃で急激に悪化し、経済成長率は3・0%と政府目標の「5・5%前後」を下回った。現在、景気回復は習政権の求心力維持に欠かせない喫緊の課題となっており、今年の目標を前年より低い「5%前後」としたのも確実な達成を目指すためとみられる。
  財政赤字の国内総生産(GDP)に対する比率は3・0%に設定。前年より0・2ポイント引き上げて財政出動を拡大する構えを見せたが、李氏は同時に「地方政府の債務リスクを防止、解消する」とも指示した。ゼロコロナ政策下で大規模なPCR検査などの支出を余儀なくされ、財政状況が悪化した地方政府に債務残高の削減を求めた形だ。
  政府活動報告は、景気回復へ「外資の誘致」を積極化させる方針とともに、経済安全保障を重視し「産業チェーンの脆弱(ぜいじゃく)部分を重点的に補強する」と表明した。米国が半導体の輸出規制など中国とのデカップリング(切り離し)を進めていることが念頭にあるが、欧米では中国投資に伴う技術移転の強要への警戒も強く、外資誘致が習政権の青写真通りに進むかは不透明だ


2023.03.05-日本経済新聞-https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGM042MP0U3A300C2000000/
2023年全人代の政府活動報告要旨
(北京=川上尚志、上海=若杉朋子)

  中国の第14期全国人民代表大会(全人代、国会に相当)の第1回会議で、李克強(リー・クォーチャン)首相が5日に実施した政府活動報告の要旨は次の通り。

  【2022年の回顧】第20回党大会が成功裏に開催され、社会主義現代化国家を全面的に建設する壮大な青写真を描いた。新型コロナウイルスの感染被害の抑制、経済成長の維持、安全保障の確保を実行した。感染症対策と経済・社会の発展を両立させ、ウイルスの変異と防疫状況に応じて感染症対策を適時に調整した。国内総生産(GDP)は3%伸びた。
  【過去5年の回顧】習近平(シー・ジンピン)同志を核心とする党中央の力強い指導の下、激動する世界情勢、新型コロナの感染拡大、中国経済の成長鈍化など多くの試練に耐え抜いた。貧困脱却堅塁攻略戦に勝利し、予定どおりに小康社会(ややゆとりのある社会)を全面的に完成させ、最初の100年の目標を実現し、第2の100年の奮闘目標に向けて進み始めた。
  「習近平の新時代の中国の特色ある社会主義思想」を導きとして、(習氏の権威を高め党員に忠誠を事実上義務付ける)「二つの確立」の決定的な意義をしっかりと把握し、(習氏の党の核心としての地位と習氏を中心とする党中央の権威を守る)「二つの擁護」を徹底した。
  質の高い発展を進め、科学技術イノベーションで多大な成果を収めた。改革開放を推進し、人民の生活水準は不断に高まった。新型コロナ感染症対策では決定的な大勝利を収めた。
  【直面する課題】貿易成長の原動力が弱まり、外部からの抑圧がエスカレートしている。国内経済は需要不足が際立つ。民間の投資と企業の先行きが不透明で、多くの中小・零細企業が困難を抱える。雇用対策は非常に困難で、一部の地方政府の財政難が深刻になっている。不動産市場が数多くのリスクを抱え、一部の中小金融機関のリスクが顕在化している。科学技術のイノベーションの能力が伸び悩んでいる。

  形式主義・官僚主義が依然として目立ち、一部の地方政府に政策実施の硬直化やノルマの上乗せがみられ、一部の幹部は職務を怠り、職権を乱用し、現実を見ていない。大衆の意思を無視し、大衆の合法的な権利や利益を軽んじるなどの問題がある。
  【23年の方針】習近平同志を核心とする党中央の力強い指導の下、「習近平の新時代の中国の特色ある社会主義思想」を導きとし、「中国式現代化」を着実に推進する。質の高い発展の推進に力を入れ、国内と国際という二つの大局、感染症対策と経済・社会発展、発展と安全を統一的に考慮する。
  【23年の経済目標】経済成長率目標は5%前後とする。都市部の新規就業者数は1200万人前後とし、都市部調査失業率は5.5%前後とする。消費者物価の上昇幅は3%前後とする。住民所得の伸び率は経済成長率とほぼ同ペースに保つ。
  【財政】財政赤字の対GDP比は3%とする。優遇税制を見直し、現行の減税や料金引き下げなどの措置について、延長すべきものは延長し、調整すべきものは調整する。
  【技術開発】戦略的な新興産業を大きく育成し、産業チェーンの脆弱な部分を重点的に補強する。科学技術政策は「自立自強」を焦点とする。新型挙国体制を整え、重要な核心技術を巡る難関を乗り越えるうえで政府主導を徹底し、技術革新における企業の主体的地位を際立たせる。
  【雇用】雇用優先政策を各地で徹底し、若者、特に大学新卒者の就職支援により優先的に取り組む。
  【新型コロナ】健康維持と重症化予防を指針とし、高齢者や子ども、基礎疾患のある人の感染予防と治療を重点的に行う。ワクチンと薬の開発を進め、医療需要を充足する。
  【内需拡大】消費の回復・拡大を優先させる。耐久財消費を安定させ、個人向けサービス消費の回復を促す。今年の地方政府特別債は3兆8000億元とする。
  【産業】製造業の重要産業チェーンに関して、国を挙げて重要な核心技術を巡る難関を乗り越える。先端技術の研究開発と応用・促進を加速する。デジタル経済を大いに促進し、監理体制を整備し、プラットフォームエコノミーの発展を後押しする。
  【企業改革】国有企業現代コーポレートガバナンスを整備する。民間経済と民間企業の成長を奨励・サポートし、中小・零細企業と自営業者の発展を後押しする。
  【外資誘致・活用】市場参入規制を緩和し、現代サービス業を一層開放する。環太平洋経済連携協定(TPP)などへの加入交渉を推進し、制度型開放を拡大する。外資企業をしっかりサポートし、指定重要外資プロジェクトの着地を促す。開かれた中国大市場は、必ずや各国企業に中国でのさらなる成長機会をもたらすだろう。
  【金融】監督管理を強め、地域性・系統性金融リスクを回避する。大手不動産企業の経営危機に効果的に対処し、負債比率を改善し、無計画な拡大経営を防ぎ、不動産の安定成長を促す。地方政府の債務リスクを防止・解消し、債務期限構造を改善し、利息負担を低減し、新規発行額を抑え、債務残高を削減する。
  【食糧】作付面積を確保し、新たに食糧5000万トン増産計画を実施する。(テクノロジーを活用した農業である)アグリテックと農機導入を強化する。
  【環境】クリーンで高効率な石炭利用と関連技術の研究開発を進め、新型エネルギー体系の整備を急ぐ。
  【民生】住宅保障体系の整備を強化し、マイホームの購入や買い替えを支援し、市民や若年層が抱える住宅難を解消する。養老サービスを充実させ、出産を支援する政策体系を拡充する。
  【軍事】「習近平の強軍思想」を貫徹し、(27年の)中国人民解放軍の創設100年の奮闘目標の達成に向け、闘争・戦備・建設を推進する。訓練・戦備を全面的に強化し、軍事戦略指導を刷新し、実戦化軍事訓練に力を入れ、各方面で軍事闘争を統一的に進める。
  【香港・台湾】「一国二制度」などの方針を揺るがず貫徹し、法に基づく香港・マカオの統治を堅持する。新時代の党の台湾問題解決の基本方策を貫徹し、「独立」反対・祖国統一促進を貫き、祖国の平和的統一への道を歩む。
  【外交】独立自主の平和外交政策を遂行し、各国との友好協力を発展させる。世界平和の建設者、世界発展の貢献者、国際秩序の擁護者であり続ける。国際社会とともにグローバルの発展とセキュリティーのイニシアチブを実践し、人類運命共同体の構築を推進し、世界の平和と地域の安定を守っていく。
(北京=川上尚志、上海=若杉朋子)







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