習氏(中国の主相)の問題-1


2023.12.04-朝日新聞-https://www.asahi.com/articles/ASRD44H29RD4UHBI00R.html?iref=comtop_BreakingNews_list
習氏が上海視察、「経済リードせよ」 地方出身者にも割安な住居を
(北京=林望)

  中国共産党機関紙の人民日報は4日、習近平(シーチンピン)国家主席が5日間にわたって上海を視察し、金融や貿易、科学技術分野などで全国をリードするよう求めたと伝えた。地方出身者の住宅難が社会問題になるなか、賃貸型の住宅整備の取り組みも見学して支持した。
 習氏が本格的な地方視察で上海に入るのは4年ぶり。米中対立を背景に中国が目指す「自立自強」の実現に向け、経済都市・上海に発破をかけた形だ。
  11月28日から今月2日までの視察で、習氏は上海先物取引所や先端技術の開発機関が集まる浦東新区のイノベーション地区などを訪問。「経済、金融、貿易、交通・物流、科学技術の五つの国際的なセンターを作り上げるのは上海の重要な使命だ」号令した
  「住宅は投機のためのものではなく、人が住むためのものだ」と強調してきた習氏は、市内で地方出身者向けに比較的安価な賃貸住宅を提供するプロジェクトの現場などに足を運んだ。
ロックダウンは語らず
  習氏は「都市建設には(戦略的な)高みだけではなく、温かみも必要だ」と強調。「地方出身の労働者は上海に貢献している。(地元の住民と)同じようにこの都市の主人だ」として、「多様化、多元化する人民の住宅へのニーズを常に満足させ、彼らが安心して暮らせるようにせねばならない」と指示した。
  習氏は5日にわたる視察で、上海を中心とする長江デルタ経済圏の発展を図る会議に出席したほか、尖閣諸島を含む東シナ海のパトロールを担う海警総隊の指揮所などにも足を運んだ
  上海では昨春、ゼロコロナ政策のもと長期間にわたる都市封鎖(ロックダウン)が実施され、苦しんだ多くの市民が体制への失望と不信を深めた。コロナ禍以降、習氏の上海視察は初めてだが、国営メディアはゼロコロナ政策についての発言は伝えていない。(北京=林望)


2023.11.05-産経新聞-https://www.sankei.com/article/20231105-6DNTCR5TXRCF5IMZ4OUAHADQAY/?outputType=theme_weekly-fuji
李克強氏急死の波紋…「新たな天安門」「台湾進攻」 ケント・ギルバート

  中国の李克強前首相の急死が波紋を広げている。12年に発足の習指導部で党序列2位となり、13年に温家宝氏の後任として首相職を10年間にわたり務めた。今年3月に退任したばかりだった。静養中の上海で亡くなったという。68歳とまだ若いうえ、当初は胡錦濤前国家主席の後継者との声もあった大物だけに中国国内のショックは計り知れない。

  李氏は経済通で、その政策は「リコノミクス」と呼ばれ、一時注目を集めた。ただ、習近平国家主席が権力集中を強めるなか、習氏と李氏の間には、意見の隔たりがあったとされる。経済運営などの権限を次々に奪われたようだ。
  中国経済は危機に見舞われている。中国国家統計局が今月18日に発表した23年7~9月期の実質国内総生産(GDP)も前年同期比4・9%増で、4~6月期の6・3%増を下回り、成長が減速している。
  21年に不動産開発大手の中国恒大集団の経営危機が発覚して以降、不動産不況が顕在化した。8月には「優等生」とされてきた同「碧桂園」も巨額の赤字を発表していた。今月26日には世界の金融機関でつくるクレジットデリバティブ決定委員会が、社債について「支払い不履行」と認定した。
  若者の失業率も悪化しており、現在の中国で若者たちは希望も持てない状況にある。習氏は、李氏に国民の支持が集まり、脅威となることを恐れていたのかもしれない。専制的なリーダーは、権力の一極集中を進めれば進めるほど、自らの首を絞める。周囲をイエスマンで固めることで、正しい判断ができずに、自ら過ちを犯していることに気づかなくなる。
  ロシアのウラジーミル・プーチン大統領によるウクライナ侵攻などは典型的だろう。強権的体制下では軌道修正も許されず、少しでも妥協、緩和をすれば一気にほころびが生じて、政権存続の危機につながりかねない。
  習氏が異例の「3期目」入りを果たした昨年10月の共産党大会では、胡前国家主席が退席するシーンも印象的だった。地盤を確立する過程で「政敵」として疎ましく思う人物も多いのだろう。李氏の退任も実質的に「粛清」に近い形にみえた
  重要な政策通を失ったことで、中国経済に潜む課題が今後さらに表面化することも予想できる。一方、中国共産党内の権力闘争や、経済不況のあおりを受けるのは国民にほかならない。中国各地で追悼ムードも広がっている。李氏の出身地である安徽(あんき)省では、数百人が献花に列をなしたという。
  1989年の天安門事件は、「改革開放」「自由化」路線を進めた胡耀邦元総書記の追悼集会が民主化要求集会に発展したものといわれる。中国国内では昨年11月に習政権のゼロコロナ政策に白紙を掲げて抗議する「白紙革命」も異例の規模で拡大した。今回の追悼ムードも「新たな天安門」に発展する可能性もゼロではないだろう。
  習指導部は、国内に鬱積する不満をそらすため、周辺諸国に軍事的威圧を強める可能性もある。日本も警戒が必要だ。「裸の王様」となった習氏が犯す「過ち」は、台湾侵攻かもしれない。

ケント・ギルバート
  米カリフォルニア州弁護士、タレント。1952年、米アイダホ州生まれ。71年に初来日。著書に『強い日本が平和をもたらす 日米同盟の真実』(ワニブックス)、『いまそこにある中国の日本侵食』(ワック)、『わが国に迫る地政学的危機 憲法を今すぐ改正せよ』(ビジネス社)など。


2023.10.28-読売新聞-https://www.yomiuri.co.jp/world/20231028-OYT1T50041/
「世渡り下手」の党エリート、「習近平氏一強」に翻弄され冷遇の最後…李克強氏死去

(1)
 【北京=比嘉清太】中国の 李克強リークォーチャン 前首相は、かつて 習近平 国家主席と共産党最高指導者の後継を競ったエリートだった。しかし、その党キャリアの後半は、改革開放政策推進の原動力でもあった党の集団指導から習氏一強への転換に 翻弄 され、退任からわずか7か月後に急死するという結末となった。

中国「ブレーキ機能」失う
  李氏は26日、上海のプールで遊泳中に心臓発作を起こしたとの情報が伝えられている真偽は不明だが、引退後も周到な警護下にあるという元党指導者が病院に緊急搬送されて亡くなったとすれば極めて異例だ。
  李氏の退任自体、意外感を伴っていた。昨秋の党大会後、首相退任に先立ち党指導部から引退した当時、李氏は67歳で、従来の「68歳定年」慣例に基づけば残留も可能だった。
  国営メディアは「一部の指導者は自発的に身を引くことを表明した」と伝えた。引退した李氏や 汪洋ワンヤン 前人民政治協商会議主席らを指すとみられる。ただ「李氏は健康上の理由で辞任したようだが、内心は嫌気が差したのだろう。習氏も強いて慰留しなかったはずだ」との見方を示す党関係者もいた。
  今年8月には、李氏が観光地の甘粛省敦煌を訪れた際に観光客に笑顔で手を振っているとされる動画がSNSで広く共有された。引退した党指導者が国民の前に姿を見せるのは異例で、健在ぶりを誇示したものとみられる。
  李氏は、 胡錦濤フージンタオ 前国家主席の政治基盤だった「共産主義青年団」(共青団)の押しも押されもしないエースだった。抜群の記憶力や堪能な英語力で知られ、後継者レースでは、胡氏の意中の人とみられていた。
  しかし秀才肌の李氏は、党内での世渡りは不得手だったようだ。党幹部によると、次世代指導者候補に名を連ねた際、ライバルの習氏が当時の党指導者や長老へのあいさつ回りに余念がなかったのに対し、李氏は「腰が重かった」。これが、江沢民 元国家主席ら長老らの不興を買い、習氏との評価が逆転したという。
(2)
  李氏は、常に習氏の「警戒対象だった」(党関係者)とされる。習氏は2012年からの1期目で、経済政策などを李氏が率いる国務院(中央政府)の頭越しに決める党の作業グループを次々と設立。集団指導体制の下、首相が総書記に劣らぬ存在感だった過去の政権と様変わりし、習政権を「習―李体制」と評する声は早々と消えた。
  経済博士号を持つ李氏は、市場主導の構造改革を主張し「リコノミクス」(李克強経済学)と呼ばれたが、民営企業への統制を強めた習氏主導の政策にかき消された。20年5月の全国人民代表大会(全人代=国会)での首相内外記者会見では、習氏が貧困対策の成果をアピールする中、「月収1000元(約2万円)の人が6億人いる」という実態をあえて明らかにした。
  だが、それもせめてもの自己主張にすぎなかったのだろう。毎年の全人代で、汗だくになって政府活動報告を読み上げる姿は、習氏の威風の下で事務方を務める印象を増幅させた。
  党内では、党指導者は引退後も現役政権へのご意見番を務めるのが慣例となってきた。李氏の急死は、政権内にわずかに残っていた「ブレーキ機能」がほぼ失われたことを象徴する。
  李氏と同世代の旧友は「本来はかなり開明的な考えの持ち主だが、習氏に抑えつけられ、何もできなかった」と嘆き、こう言い切った。「我々は改革開放の受益者だが、もはやその時代は終わった」


2023.10.24-産経新聞-https://www.sankei.com/article/20231024-PQHM3FXRPJKE7FT7P7DU2VNE3A/
習氏、引き締めの手を緩めず 異例の長期政権、不透明感増す

  【北京=三塚聖平】中国の李尚福(り・しょうふく)国防相が24日解任されたことは、中国政治を巡る不透明感が強まっていることを鮮明にした。中国共産党の習近平総書記(国家主席)は異例の3期目体制に入って権限集中を進めているが、長期政権を維持するために政権内部でも引き締めの手を緩めないとの姿勢を鮮明にしている。

  李氏の人事について、中国メディアの記者は「何が起きているか全く分からない」と指摘する。中国外務省報道官も「状況を把握していない」などと答えるにとどめてきた。
  7月には秦剛外相(当時)が1カ月間動静不明となった後に外相職を解任されたが、いまだに理由については明らかにされていない北京の外交筋は「外相や国防相が理由も明かされずに突然いなくなるような状況は、世界的に見ても正常なものではない」と指摘する。以前にも増して人事のブラックボックス化が強まっている。
  2012年に発足した習指導部は「トラもハエもたたく」と宣言し、腐敗を理由に政敵を次々と失脚させて政権を脅かす動きを封じてきた。習氏に有力な対抗勢力は既に見られないが、問題があると判断すれば政権要職であっても躊躇なく交代させるという姿勢を明確にしている。
  ただ、人事の異変による影響が一部で生じているという指摘もある。外交トップの王毅共産党政治局員兼外相は9月、出席が予想されていた米ニューヨークの国連総会には行かず、ロシアを訪問してプーチン大統領らと会談した。秦氏解任で外相兼務となった王氏の手が回らなくなっていると北京の外交筋は見ている。
  一方で、李氏の交代を機に停滞していた米中の軍当局間の対話が本格的に再開するか注目される。李氏はロシアとの武器取引を巡り米国の制裁対象に指定されており、バイデン米政権は不測の軍事衝突回避のため米中国防相会談を求めてきたが中国側は拒否してきた経緯があるからだ。ただ、中国側は米国が台湾への武器売却を進めていることなどに反発しており、対話再開が進むかは不透明だ


2023.09.23-産経新聞-https://www.sankei.com/article/20230923-LEF24RQUMRGYXFBJ64OYI7MR3Y/?outputType=theme_weekly-fuji
習政権に何が起きているのか 孤立化恐れて国際会議を欠席
(元内閣参事官・嘉悦大教授 高橋洋一)

  中国の習近平国家主席8月21日から24日にかけて、南アフリカ共和国を公式訪問し、シリル・ラマポーザ大統領と首脳会談を行ったほか、BRICS首脳会議に出席した。ところが、9月6日にインドネシアにて開かれた東南アジア諸国連合(ASEAN)プラス3(日中韓)首脳会議、9月9、10日にインドで開かれた20カ国・地域(G20)首脳会議には欠席した。南アには行っていることから、健康問題ではないだろう。

それではASEANプラス3とG20の欠席の理由は何か。
  習氏にとって国際会議は、中国の世界に対する優位性を自国民にアピールする場だ。BRICS首脳会議では、アルゼンチン、エジプト、イラン、エチオピア、サウジアラビア、アラブ首長国連邦(UAE)の6カ国が2024年1月1日にBRICSに加わることが決まった。ここでは習氏は主役であり、さぞかし気持ちが良かっただろう。
  その習氏が、ASEANプラス3を欠席したのは格が下とみていることなどが理由だろう。それに加えてASEANプラス3直前に中国が公表した地図に、ASEAN諸国など国際社会の非難が広がったこともある。沖縄県の尖閣諸島を中国名の「釣魚島」と表記し、南シナ海のほぼ全域を自国のものとし、インドとの係争地も自国領、中露国境に位置する大ウスリー島のロシア領部分も中国領とした。ここまで領土拡大志向をあからさまにすると、相手も黙っていられない。
  日中韓でも韓国の尹錫悦(ユン・ソンニョル)大統領は前任の文在寅(ムン・ジェイン)氏と異なり中国に手厳しい。ここでも四面楚歌(そか)となる可能性があった。議長国のインドネシアくらいは懐柔できるが、出席する気がなくなったのだろう。

  そしてG20については、議長国がインドだったため、習氏の言う通りにならず、ロシアのプーチン大統領も欠席、それに引き換え先進7カ国(G7)は勢ぞろいなので、習氏が孤立化を恐れたためと思われる。
  中国の国内経済が悪いのも、成果のない外遊を許さない背景だ。中国恒大の問題でも分かるように、不良債権は深刻で、新たな経済指標も芳しくない。中国国家統計局が15日発表した8月の主要70都市の新築住宅価格動向によると、前月比で価格が下落したのは全体の74%にあたる52都市だった。
  こうした状況があることから、11月に米カリフォルニア州サンフランシスコ市で開催予定のアジア太平洋経済協力(APEC)首脳会議も習氏は欠席との観測が浮上していた。APECは米国、カナダ、中国、日本、オーストラリア、ロシア、台湾などインド太平洋を取り囲む21カ国・地域の枠組みだ。
  だが、サリバン米大統領補佐官と中国外交トップの王毅政治局員が地中海のマルタで2日間にわたり会談した。米中首脳会談を模索しているとみられ、習氏がAPECに出席する可能性も残されている(元内閣参事官・嘉悦大教授 高橋洋一)


2023.09.08-産経新聞-https://www.sankei.com/article/20230908-OB6S6HEHGJLGPH7W2URQFBVRPY/
習氏なぜ「重視」のG20を欠席? 議長国インドと緊張関係、健康配慮説も

  【北京=三塚聖平】インドで9~10日に開かれる20カ国・地域首脳会議(G20サミット)を中国の習近平国家主席が欠席する。中国は対米もにらんでG20の枠組みを重視し、首脳会議にはトップの国家主席が必ず出席してきた。中国政府は理由を明らかにしておらず、異例の欠席により世界で臆測が広がっている。

  G20サミットは2008年に、先進国と新興国がグローバルな金融危機対応を協議する場としてワシントンで初開催された。当時、中国は4兆元(当時のレートで約57兆円)もの大型景気対策を打ち出して世界経済の回復にも貢献した。
  中国外務省の毛寧(もうねい)報道官は4日の記者会見で習氏の欠席理由には触れず、G20について「中国は一貫して高度に重視し積極的に関与してきた」と強調した。実際、中国はこれまで、日米欧の先進7カ国(G7)への対抗軸の一つとしてG20の枠組みを重視していると受け止められていた。
  習氏はなぜ「重視」する同会議を欠席するのか。香港英字紙、サウスチャイナ・モーニング・ポスト(電子版)は1日、「インドとの緊張に加え、習氏がG20で温かい歓迎を受ける可能性は低いと中国政府が結論を下したのではないか」という専門家の見方を伝えた。
  中印関係は20年に両軍が係争地で衝突して以降冷え込んでいる。さらに、G20サミットには対中圧力を強める米国だけでなく、対中政策で米国と歩調を合わせる同盟国などの首脳もそろう。北京の外交関係者は「習氏のメンツに関わるようなことがあってはならないと周囲が考えたのではないか」とみる。
  今回のG20サミットに合わせて習氏とバイデン米大統領による米中首脳会談の開催が取り沙汰されていた。しかし、11月に米サンフランシスコで開催されるアジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議での首脳会談開催を念頭に双方が準備を進める中、G20でのバイデン氏との接触は機が熟していないと中国側が考えた可能性もある。
  習氏が外遊の機会を減らしているという分析も聞かれる。70歳を迎えた習氏の健康への配慮や、外遊機会を厳選することで権威強化につなげる狙いがささやかれる。
  一方、習氏が先進国主導の国際秩序への対抗軸として、G20よりもロシア、インド、ブラジル、南アフリカとの新興5カ国(BRICS)首脳会議や、ロシアとともに主導する上海協力機構(SCO)を重視するようになった側面もありそうだ。


2023.07.22-産経新聞-https://www.sankei.com/article/20230722-MUIENEY35NLO5FXCBP3RRBW7DY/
「習氏は台湾侵攻成功に懐疑的」 ウクライナの反攻が影響とCIA長官

  【ワシントン=渡辺浩生】バーンズ米中央情報局(CIA)長官は21日までに、台湾侵攻の準備を続ける中国の習近平政権が侵攻の成功に懐疑的になっているとの分析を示した。ロシアがウクライナの侵略に難航する状況を受け、台湾侵攻に伴う犠牲が許容できるかとの疑問があるという。西側の支援を受けたウクライナの反攻の成功が、中国の抑止に結びつくことを強調したといえる。

  バーンズ氏は今年2月、習氏が2027年までに台湾侵攻の準備を整えるよう軍部に指示していたとの情報を明らかにしている。20日、コロラド州で開かれたシンポジウムでバーンズ氏は、27年をめぐる発言を「紛争が差し迫っているとか避けられないという意味ではない」と指摘。そのうえで「習氏と人民解放軍指導層は、台湾への全面的な侵攻が許容できる犠牲でうまく成功するか懐疑的になっている」と述べた。
  バーンズ氏は、習氏ほどプーチン露大統領のウクライナ侵略を注視する外国指導者はいないと指摘。小規模のウクライナ軍が高い士気を維持して大規模な露軍への反撃に成功し、露側のシステム上の欠陥も明らかになったことが、台湾を想定する際の疑問につながっていると分析した。
  さらに「プーチン氏だけでなく習氏も、バイデン大統領がウクライナへの強固な支援に西側を結束させ、対露制裁の経済的な負担も進んで受け入れていることを過小評価した」と指摘、そうした要因も「中国指導層を躊躇(ちゅうちょ)させている」との見方を示した。しかし、「台湾を支配しようとする習氏の決意を米情報機関の誰も過小評価していない」とも強調した。
  バーンズ氏は6月にウクライナを訪問。ウクライナ軍が同月着手した反攻作戦の見通しについて、露軍が築いた強固な防衛線に阻まれ「長く厳しい道のりとなる」と予測した。ただ、ロシア側には兵士の低い士気に加え、露民間軍事会社「ワグネル」トップのプリコジン氏の反乱に伴う指導層の混乱など「構造的な脆弱(ぜいじゃく)性」があるとし、「ウクライナ軍が前進できることに私は楽観的だ」と強調。反攻を支える機密情報の提供に努めると述べた。


2023.07.22-産経新聞-https://www.sankei.com/article/20230722-HYI7QXEQMFLG7L22QZZDO2TATY/
習氏、軍幹部に「党の絶対的指導堅持」指示 ワグネル反乱も踏まえ引き締めか

  【北京=三塚聖平】中国人民解放軍の幹部を集めた会議が20、21両日に北京で開かれ、習近平国家主席(中国共産党総書記)「軍に対する党の絶対的指導を堅持」するよう指示した。22日付の中国共産党機関紙、人民日報が伝えた。6月下旬にロシアで民間軍事会社「ワグネル」の武装反乱が起きたことも踏まえ、中国軍の引き締めを図る狙いがうかがわれる。

  中国軍の最高指導機関である党中央軍事委員会の主席も務めている習氏は「党と軍の全面的な厳格統治を持続的に推進しなければならない」と訴えた。中国軍制服組トップの何衛東(かえいとう)・中央軍事委副主席は、習氏が不動の権力と権威を固めたことを意味する「二つの確立」を「固く支持する」ことを全軍に求めた。
  習氏は2012年に党総書記と中央軍事委主席に就任すると、反腐敗闘争を通じて軍内部でも対抗勢力を排除して権力集中を進めた。ただ、ロシアのプーチン政権を襲ったワグネルの武装反乱を巡っては露軍高官の関与も取り沙汰されている。習氏は会議で「戦争への備えと戦闘能力の強化」も求めており、米国との対立が激化する中で改めて軍の引き締めに力を入れる必要に迫られた形だ。


2023.02.06-HEAD TOPICS-https://headtopics.com/jp/123042001322269657929-35016042
【中国観察】「国家安全」重視強める習政権 反スパイ法を年内改正へ

  昨年10月、北京市で開かれた習近平指導部の10年間の成果を示す展覧会で置かれた「総体的国家安全観」に関する展示(三塚聖平撮影) 中国がスパイ行為の摘発を強化するため、「反スパイ法」の改正作業を進めている。

  スパイ行為の定義を現行法よりも広げ、当局の権限を拡大したのが特徴だ。
  習近平国家主席は「国家安全」を重視する姿勢を強めているが、その定義はあいまいで、当局の恣意(しい)的な判断で摘発対象となることが懸念されている。中国国内で活動する日本人など外国人にも影響が及ぶ恐れが強まっている。
  スパイ行為の定義を拡大 中国の立法機関、全国人民代表大会(全人代)の常務委員会は昨年末、反スパイ法の改正案を公表した。2014年に施行された現行法は全40条で構成されていたが、改正案は全71条と大幅に拡充されている。



2022.12.26-Yahoo!Japanニュース(BUSNESS INSIDER)-https://news.yahoo.co.jp/articles/3c7c26823023d4ecd0e8fbe69731c8549052970a
中国はなぜゼロコロナ政策を「大転換」したのか。習近平政権を揺るがす「Z世代の反乱」その実態
岡田充

(1)
  中国政府が厳格なゼロコロナ政策を大転換した。移動禁止など厳格な規制に反発する若者たちの抗議デモが、反体制運動に発展するのを警戒した政策転換だった。

  「安定と安全」を強調する習近平政権にとって、最大の脅威はアメリカや台湾ではない。中国の将来を担う18歳から29歳までの「Z世代」の反乱だ。 3期目をスタートした政権に重くのしかかる課題になる。
いきなり飛び出した「共産党打倒」
  それが起きたのは11月27日の夜。習近平氏の母校でもある北京の清華大学や上海の街頭で、言論抑圧への抗議の意思を表す「白紙」を掲げた若者たちの間から、「共産党下台(打倒)」「習近平下台」を叫ぶスローガンが飛び出したのだ。
  商店や飲食店への出入り、地下鉄に乗るにもPCR検査の陰性証明提示を義務付けられる厳しい規制がほぼ3年にも及び、窒息感を募らせた若者たちが政策転換を求めた理由は納得できる。 だが、批判の矛先がただちに共産党と習氏に向けられたのには、いかにも唐突感があった。
  中国では高度成長に伴い、地方政府による土地収用や環境破壊をもたらす企業誘致に反対する抗議運動が、年間10万件にも上るとされてきた。しかし、その標的は地方政府や企業に向き、共産党による統治に向けられることはなかった。
  これまでの抗議運動はある意味、民衆の不満の「ガス抜き」でもあった。 それが突如として、共産党に矛先が向けられる形になったのは、軍が学生らデモ隊を武力弾圧して死者を出した天安門事件(1989年)などを経験していないZ世代にとって、要求すべきレベルの「値ごろ感」が掴めなかったからではないか。
公然と掲げられた横断幕
  「共産党打倒」が飛び出す前には「伏線」もあった。
  中国共産党第20回党大会(10月16~22日)開始の3日前、首都・北京の高架橋に「習独裁体制」やコロナ政策を批判する横断幕が公然と掲げられた。その様子をとらえた映像はすぐに削除されたが、ソーシャルメディアを通じ中国全土に拡散した。
   党大会で「習独裁」が強化されることに、党内の一部から批判が出ていることはメディアでも報道されていた。だが、白昼の、北京の公衆の面前で習批判の横断幕が掲げられたのは、政権にとってショックだったに違いない。
  習氏は党大会でゼロコロナ政策の正しさを再確認したばかりだ。だから、抗議デモが起きたからといって、ただちに当局がゼロコロナ政策を見直す可能性は低いと筆者は見ていた。
  今回の「白紙」抗議は、2020年夏に香港で起きた抗議デモの際に生まれたスタイルの「模倣」でもあった。それだけに、中国の政府当局はこのデモが香港の民主派や対中人権批判を強める欧米と連携する展開を警戒したはずだ。
(2)
体制批判を封じる「分断策」
  白紙デモ翌日の11月28日、警察・司法を管轄する共産党中央政法委員会は「敵対勢力の浸透、破壊活動や社会秩序を乱す違法な犯罪行為を、法に基づき断固取り締まる」との方針を示した。抗議活動が体制批判に発展しないよう芽を摘む姿勢を示した。
  その一方、コロナ対策責任者の孫春蘭副首相は11月30日、オミクロン株の弱毒性やワクチン接種の進捗を挙げ、「感染対策は新情勢を迎えている」と発言、規制の見直しを示唆した。
  ゼロコロナ政策を大幅に見直して一般大衆の反発を抑えつつ、白紙デモのような反体制的な批判は徹底して取り締まる「分断策」への方針転換だ。 これを習氏の発言が裏書きした。
  習氏は12月1日、欧州連合(EU)のミシェル大統領(欧州理事会議長)と会談した際、「3年間のコロナ禍で主に学生のいらだちが募っている」と述べ、Z世代の不満を認識していたことを示した。 また、習氏は感染拡大が広がるオミクロン株について「致死率が低い」とも述べ、EU高官はこれらの発言から中国が規制緩和に動く感触を得たという。
「伸縮自在」の習ガバナンス
  日本を含めて西側諸国では、習氏に独裁者のイメージがつきまとう。 しかし、その統治スタイルについて、朱建栄・東洋学園大教授は次のような分析を筆者に示す。
  「(習氏は)逆らえない流れに直面すると、弾力的に政策大転換を図るガバナンス・スタイルが身についている。文化大革命で父親が迫害され、自身も農村に下放させられた経験からだろう」 具体的な事例として、朱教授は武漢市で最初にコロナ発生を「内部告発」した李文亮医師への対応を挙げる。
  李氏が虚偽情報を流したとして処分を受けると、その名誉回復を求める声が全国に広がり、それを受けて習氏は、李氏を市民にとって最高の栄誉と位置づけられる「烈士」に認定した。
  朱教授はこの習氏のやり方を「収放自如(伸縮自在)」のガバナンスと呼び、機動的な政権運営を展開できるスタイルと分析する。今回の政策転換もまさにその好例かもしれない。
(3)
Z世代の「5人に1人」が失業
  さて、ここでZ世代の反乱の背景を経済の側面から考えてみたい。
  コロナ禍が収まらない中、中国では生産や物流に大きな悪影響が及び、主要31都市の7月の失業率は6.0%。このうち16~24歳の若年層の失業率は19.9%と過去最高を記録した(日本総研アジア・マンスリー、9月29日付)。
  およそ5人に1人が失業者ということになる。 また、香港拠点のエコノミストは、中国の成長率(国内総生産[GDP]の前年比伸び率)について、2022年は従来の2.9%から2.8%に、2023年は4.3%から4.0%に下方修正している(日本経済新聞、11月27日付)。
  コロナによるロックダウン(都市封鎖)で落ち込む生産、経済停滞の打撃を最も受けたのが、Z世代だった。 Z世代は世界的に見ても、政治や選挙の流れを左右するパワーを持っている。
  例えば、2022年11月のアメリカ中間選挙では、苦戦が予想された民主党が健闘した。AP通信の出口調査によると、民主党への投票者はZ世代(18~29歳)で53%と、共和党より13ポイント多かった(日本経済新聞、11月9日付)。
  近現代史の中国を見ても、政治潮流を左右してきた原動力は大学生中心の世代だった。
  1919年に北京で発生した抗日・反帝国主義の学生運動「五四運動」がそうだし、天安門事件もそうだった。今回の白紙デモを見て、天安門事件の再来を想起した人もいたはずだ。
起き上がった「寝そべり族」?
  中国で2021年に大ヒットした歌がある。 「寝そべりは王道」と題するこの歌は、激しい競争社会の中、Z世代が「家や車を買わず、恋愛・結婚もせず、子どもも作らない」ライフスタイルを貫く自分たちを「寝そべり族」と自虐的に呼ぶ内容だった
  寝そべり族は「経済的物質主義より心の健康を優先させる」「資本家に搾取される奴隷になるのを拒否する」と主張することから、新たな「サボタージュ」「抵抗運動」とみる向きもある。
  1960年代後半、高度経済成長の最中の日本に登場した既成価値観や性規範に反抗するカウンターカルチャー、いわゆる「ヒッピー」とも共通点がある。彼らはやがてベトナム反戦運動に参加し、一部は過激化していった。筆者を含む「団塊の世代」だ。
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崩れた「微妙なバランス」
  1人当たりのGDPが1万ドルを超え(2019年)、中産階級が育ち始めた中国で、人工知能(AI)技術などを駆使した監視社会や統制強化に反対する声が爆発しないのはなぜか。 多くの中国人がそれを受け入れてきた理由として、梶谷懐・神戸大学教授は共著『幸福な監視国家・中国』の中で、「豊かさと利便性」と「監視」のバーター取引がある、という仮説を提示する。
  この仮説を援用するなら、ゼロコロナ政策は民衆を窒息寸前に追い込み、取引の微妙なバランス(均衡)を破壊、それがデモにつながったという説明が成立する。
  さて、今回の抗議活動は、一党独裁打倒を目指す運動に発展する契機になるのだろうか。筆者はただちにそうはならないと考える。
  理由は大まかに三つ挙げられる。 第一に、先鋭化する米中対立の中で「民主」の旗を掲げるのは、欧米側を利することになることを多くの民衆は知っており、「民主」の旗は挙げにくい。
  第二に、経済成長によって豊かになった生活と社会は、「失うものはない」貧しかった30年前とは異なる。豊かさを実現した共産党の支配を全面的に否定するのは難しい。
  第三に、習体制や共産党に挑戦する勢力が党内外に存在しないことだ。 習氏は前述の第20回党大会で、建国100年にあたる2049年に中国を「世界一流の社会主義強国」に発展させ、「中華民族の偉大な復興」を実現する夢を描く。
  そのためには経済成長を維持し、「高まる人々の新たな生活の質の改善」という要求に応えねばならない。 ゼロコロナ政策を大転換した途端、北京をはじめ中国各地では感染が爆発的に広がったと伝えられており、頼みの経済回復への道のりは遠いように見える。長期政権をスタートさせた習政権にとっては厳しい試練が続くことになる。
岡田充







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