日本の防衛問題-1 自衛隊や自衛の措置-JFBA 中国の南シナ海進出と国際社会の対応
2023.02.27-日本経済新聞-https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUA2745K0X20C23A2000000/
トマホーク購入400発予定、首相が提示 米国製ミサイル
岸田文雄首相は27日、
米国製の巡航ミサイル「トマホーク」について日本が400発の購入を計画していると明かした。政府は2023年度に契約を締結し26、27両年度に
海上自衛隊のイージス艦へ配備を目指す。相手のミサイル発射拠点などをたたく「
反撃能力」の行使手段にする。
首相は27日の衆院予算委員会で、
購入数は「400発を予定している」と話した。浜田靖一防衛相は「最大で400発の取得を可能とする方向で米側と調整中」と語った。これに先立つ衆院予算委の理事会でも、与党が野党側に政府の取得数量を示した。
野党側が公表を求めていた。政府は従来、自衛隊の継戦能力が明らかになるため明言を避けていた。
首相が22日の衆院予算委で立憲民主党の泉健太代表の質問へ「関心が高いので改めて検討したい」と答え、公表範囲を広げる考えに転換した。
トマホークは米政府が同盟国などに装備品を有償で提供する「対外有償軍事援助(FMS)」に基づいて調達する。米政府が売却する可能性がある数量を米議会に提示するため、日本政府も購入を探る最大数を説明するように対応を改めた。
政府は国会で審議中の23年度予算案にトマホークの取得経費として契約ベースで2113億円を計上した。キャニスターと呼ぶミサイルの収納容器など関連費用を含む。トマホーク1発あたりの単価は明示しなかった。
21年に米海軍への納入が始まった最新型を買う。艦艇から発射し、射程は1600キロメートル以上になる。地上目標に向かって低空で精密に誘導し、打撃できる。首相は性能に関し「(相手からの)迎撃を回避する飛翔(ひしょう)も可能だ」と強調する。
政府は22年末に決定した国家安全保障戦略など安保関連3文書で反撃能力の保有を打ち出した。相手のミサイルを迎え撃つだけでなく、相手の軍事目標に反撃する能力を持ち相手に攻撃を思いとどまらせる。この手段として長射程の「スタンド・オフ・ミサイル」の整備を急ぐ。27年度までの5年間に契約ベースで5兆円をあてる。
トマホークは早期の配備を見込める長射程弾になる。これまで相手の侵攻を食い止めるために用いる自衛隊のミサイルの射程は
最大で百数十キロメートルほどだった。射程を1000キロメートル超にのばす「12式地対艦誘導弾」能力向上型などの国産弾も26年度から部隊に順次装備するが、量産体制がどの程度整うかは見通しづらい。トマホークを即戦力として活用し台湾有事などに備える。
米政府は英国やオーストラリアにトマホークの供与を認めている。日本にもかつて自衛隊への導入論があったが実現していなかった。
岸田政権は防衛力の抜本的な強化を提唱し、日米で協力して迎撃・反撃を一体的に運用する「統合防空ミサイル防衛(IAMD)」への移行を決めた。これに伴い、自衛隊がトマホークを使うための日米間の調整も進展した。
政府は反撃能力を日本が直接攻撃を受けた武力攻撃事態だけでなく、存立危機事態下でも発動できると解説する。日本と密接な関係にある他国への武力攻撃によって日本の存立が脅かされるといった事態だと判断すれば、集団的自衛権で反撃できる。
首相は27日の衆院予算委でこのイメージを問われ「具体的な例を示すことは難しい」と答弁した。「安全保障という課題の性格上、適切ではない」と言明した。
3文書を巡る22年の与党協議では、朝鮮半島有事で日本海に展開した米軍艦艇がミサイル攻撃を受けた事例があがっていた。
2023.02.17-ROUTERS(KYODO)-https://jp.reuters.com/article/idJP2023021701000697
定期航路外でも撃墜可能
松野博一官房長官は17日の記者会見で、
領空侵犯した気球を空路の安全確保を目的に撃墜可能とした武器使用要件の緩和を巡り、
民間航空機の定期航路外でも撃墜は可能だとの認識を示した。「
気球の高度や経路のみをもって判断するものではなく、保護すべき法益を総合的に判断する」と述べた。
高高度を飛行する気球に関し「
武器を使用しても直接に人に危害が及ぶことはない」と説明。従来の要件だった
正当防衛と緊急避難に該当しなくても、必要な場合には武器使用が許されるとの見解を示した。具体例は「個別具体的な状況による」として示さなかった。
【共同通信】
2023/02.09-Yahoo!Japanニュース(夕刊フジ)-https://news.yahoo.co.jp/articles/0cc8df4279b1b15d4c23fee39d9722570d5d75bc
中国スパイ気球「日本は態勢を整えよ」〝ヒゲの隊長〟佐藤正久氏が指摘 撃墜は困難か 自衛隊を含めた省庁横断的な体制構築が急務
米国が、中国の「偵察気球(スパイ気球)」を撃墜した問題は、
日本に新たな〝脅威〟を突き付けた。今回の気球が、
日本上空付近を通過して北米大陸に向かったとする調査が報じられたうえ、過去に日本上空でも類似の気球が目撃されているからだ。日本は危機に対処できるのか。「ヒゲの隊長」こと、自衛隊OBで自民党の佐藤正久元外務副大臣に聞いた。
「スパイ気球は、中国の『非対象戦(=戦略や戦術が大幅に異なる戦争)』だ。
これまで盲点だった領域で、新たな攻勢を仕掛けてきた」 佐藤氏は、こう危機感をにじませた。
日本の本質的危機の
第1は「
法制度」だ。 国際法上、気球は航空機に位置付けられ、
他国の領空に侵入するのは国際法違反の領空侵犯にあたる。通常、領空侵犯した航空機には、退去を警告したり、強制着陸させたりする。
浜田靖一防衛相は7日の記者会見で、外国の気球が日本の領空に飛来すれば、自衛隊機による緊急発進(スクランブル)を規定する自衛隊法84条に基づき対応する考えを示した。
一般論として、「(国民の)生命と財産を守るために必要であれば、それ(=撃墜)は実施するということだと思う」と述べた。 これに対し、佐藤氏は厳しい見方をする。 「(気球の)攻撃の意図や、スパイ行為の有無を判断するのは困難だ。中国は軍民両用の『デュアルユース』から、すべての先端技術を包括する『マルチユース』に突入している。
中途半端な撃墜判断の基準化や法制化は国民を危険にさらし、現場に難しい対応を強いることになる」
ジョー・バイデン米政権は、スパイ気球が領空侵犯した時点で最新鋭ステルス戦闘機「F22ラプター」を待機させ、
米本土上空を通過した後、領海上空で撃墜した。
日本は同じ対応が取れるのか。佐藤氏が語る。 「昨年12月、新たな『
安保3文書』が閣議決定され、『
反撃能力』の保有が明記されたが、
道半ばだ。気球だけでなく、ドローンや新型飛行体が領空外から日本を攻撃する恐れも高まっている。
手出しは難しい。領空内で有害行為をした後、領空へ出られた場合も対応はできない」
危機の
第2は「
技術や性能の壁」だという。 スパイ気球は
高度2万メートル超の成層圏を飛行し、米軍はF22戦闘機から空対空ミサイルを発射して撃墜した。
「F22の性能でなければ対応できない高度だったのだろう。
自衛隊の戦闘機では対応不能だ」「成層圏を飛行するドローンも開発され、ステルス性能も高まっている。中国が『スキマ』を狙うのは常套(じょうとう)手段だ」 打つ手はあるのか。
佐藤氏は「
法整備と防衛力強化が最優先だが、事態は切迫している。自由主義諸国で
中国の不法行為に『圧力』をかけることも必要だ。今後は、海上保安庁や警察が外国のドローンに対応するケースもあり得る。自衛隊を含めた省庁横断的な体制構築が急務だ」と語った。
2023.01.12-日本経済新聞-https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUA124RV0S3A110C2000000/
日米、反撃能力の「協力深化」 宇宙でも対日防衛-(2プラス2閣僚協議)
【ワシントン=三木理恵子】日米両政府は11日(日本時間12日午前)、
ワシントンで外務・防衛担当閣僚協議(2プラス2)を開いた。
日本が保有を決めた相手のミサイル発射拠点をたたく「反撃能力」について「運用へ日米の協力を深化させる」と表明した。
宇宙空間を米国による対日防衛義務の対象に加えることも確認した。
2プラス2はオンラインで協議した2022年1月以来。
日本は林芳正外相と浜田靖一防衛相、
米はブリンケン国務長官とオースティン国防長官が出席した。ロシアのウクライナ侵攻や中国による台湾有事リスクの高まりを踏まえた対処方針を共同文書にまとめた。
日本の安全保障政策は自立的な防衛力と日米同盟で構成される。今回の協議は22年末に
安保関連3文書をまとめた後、日米の具体的な連携策を確認する初めての場となった。
共同文書は
中国を「
最大の戦略的挑戦」と位置づけた。「自らの利益のために国際秩序を作り変えること」を目標にしているとも指摘した。オースティン氏は「
中国軍は台湾海峡で海空の活動を活発化させて新常態を確立しようとしている」と警戒感を訴えた。
急変する東アジアの安保環境に対応するために
日本が反撃能力の保有を決めたことを「強く支持する」とも明言した。日本への攻撃に着手したミサイルをみつけた場合、米国から提供される衛星情報を基に発射拠点に打撃を与えて防ぐことを想定する。
共同文書は「
日本は自国の防衛を主体的に実施し、地域の平和と安定の維持で役割を拡大する決意を再確認した」と明記した。米側は「日本を含むインド太平洋での戦力態勢を最適化する決意」を示した。
台湾に近い南西諸島の防衛強化策として日米が平時から共同使用する基地や空港・港湾といった施設の拡大方針を共同文書に盛り込んだ。
米国は対中抑止と有事対応を強化するために
沖縄県駐留の海兵隊を改編し、25年までに離島防衛を担う即応部隊「海兵沿岸連隊(MLR)」を設けると打ち出した。侵攻を受けた際に
最前線の島に残って対艦ミサイルなどで戦い、進出を食い止める役割を負う。
宇宙空間に関しては日本防衛義務を定めた日米安全保障条約5条が「一定の場合に発動につながることがあり得る」と記した。
日本の人工衛星が攻撃されれば日米が武力を用いて対抗すると申し合わせた。共同文書で「
宇宙への攻撃は同盟の安全に対する明確な挑戦だ」と言明した。
中国を巡っては
沖縄県・尖閣諸島がある東シナ海での一方的な現状変更の試みに強く反対することでも一致した。台湾海峡の平和と安定を維持する重要性を改めて確認した。
ウクライナ侵攻は「
国際秩序の根幹を揺るがす」との認識を共有した。北朝鮮については「
前例のない数の弾道ミサイル発射」を非難し、連携して対応する方針を確かめた。林氏によると日米の防衛協力の指針(ガイドライン)改定に関する議論はなかった。
2023.01.11-Zqzaq by 夕刊 フジ-https://www.zakzak.co.jp/article/20230111-DYVYAVB6AJM5DP2SE6MYJAUHNA/
日印、初の戦闘機共同訓練へ インド空軍「スホイ30」が茨城・百里基地に到着
航空自衛隊は16日から、
百里基地(茨城県小美玉市)を拠点に、インド空軍と2国間では初めてとなる戦闘機同士の共同訓練を実施する。訓練を前に10日、インド空軍の「スホイ30戦闘機」が同基地に到着し、歓迎式典などが行われた。
両国による戦闘機訓練は2019年11月の外務・防衛閣僚協議(2プラス2)で実施合意に至ったが、新型コロナウイルス感染拡大の影響で先延ばしになっていた。日本としては、中国の覇権拡大を念頭に、インドを日米などの陣営へ引きつける狙いがある。
訓練は26日まで行われ、インド空軍からは4機のスホイ30が参加する。約150人の隊員が来日し、展開や撤収のためC17輸送機2機なども入る。空自からは百里基地の「F2戦闘機」と、小松基地(石川県小松市)の「F15戦闘機」がそれぞれ4機参加する。