日本の防衛問題-1      自衛隊や自衛の措置-JFBA  中国の南シナ海進出と国際社会の対応



2022.09.19-Yahoo!Japanニュース(集英社オンライン)-https://news.yahoo.co.jp/articles/a73684e235557e3d577aa6ef91866da25ffff9af?page=1
迷走する日本のミサイル防衛。導入が決まった新イージス艦が“令和の戦艦大和”と揶揄される理由
( 文/世良光弘)
(1)
  防衛省は陸上配備型迎撃ミサイルシステム「イージス・アショア」を代替するイージス・システム搭載艦を2027年度末に1隻就役させ、28年度末にもう1隻を就役させると発表した。ただしこの最新鋭のイージス・システム搭載艦はも導入スペックもコストも規格外の大きさ。自衛隊関係者からは早くも「令和の戦艦大和」「無用の長物」との声が上がっている。

  日本の最新型イージス艦導入が迷走している。
  「防衛力を5年以内に抜本的に強化するためにきわめて重要な取り組みになる」と浜田靖一防衛相が最新鋭イージス・システム搭載艦の建造計画をぶち上げたのは2022年9月1日のこと。
  イージス艦は弾道ミサイルや戦闘機の探知・撃墜、海上や陸上の目標攻撃など、陸海空の戦闘力を合わせ持つことから、現代戦の「ゲームチェンジャー」とも呼ばれる。
  そのため、防衛省は27年度に一隻、28年度に二隻目の就航を目指しており、その導入費用は5000億円を超えるとされる。  

  しかし、新型イージス艦がビッグなのは導入コストだけではない。そのサイズも建造費に負けず劣らず、超ビックなのだ。 まず、新型艦のスペックだが、全長210m、幅40m、基準排水量約2万トンになる予定だ。海自イージス艦「まや」型で8200トン、中国がアジア最大と豪語する「055型」で1.3万トン、コスト増で3隻しか建造されなかったアメリカの「ズムウォルト級」ミサイル駆逐艦ですら1.5万トンほどだ
  さらに言えば、新型イージス艦は軽空母にも転用できる海自最大のヘリ護衛艦「いずも」の排水量1万9550トンすらも上回っている。乗員110名で運用し、居室は個室を基本とする。大型化することで洋上の揺れを軽減し、長期間にわたって迎撃態勢をとれるようにする狙いがあるとはいえ、その船体はあまりにも巨大だ。
  かくして、新型イージス艦はネット上などで「令和の戦艦大和」と呼ばれることになった。太平洋戦争で海軍の威信をかけた超弩級戦艦「大和」の全長263mには及ばないものの、艦幅(大和は38.9m)では上回っており、このロマンあふれる命名はけっして大げさとは言えないだろう。
(2)
地上用のレーダーを無理やり搭載
  それにしても、新型イージス艦はどうしてここまで巨大化したのか?
  2隻の新型イージス建造計画は住民の反対などによって2020年に撤回された地上型ミサイル迎撃システム「イージス・アショア」(秋田、山口の陸自演習場に配備予定)の代替案として浮上したものだった。
  そのため、新型イージス艦には「イージス・アショア」のレーダーとして防衛省が購入契約を結んでいたロッキード・マーチン社製の「SPY-7」がそのまま搭載されることになった。
  しかし、この「SPY-7」はもともと地上用で、艦艇に搭載するにはいささか大きすぎる。 にもかかわらず、無理やりに積み込もうとしたために、いたずらにサイズが巨大化したという経緯がある。導入検討のプロセスでは、安定性を重視するとして巨大で奇抜な「多胴船」(複数の船体で上部構造を支える船)案が浮上したほどだ。
  また、「多機能化」を求める海自の意向も、新型イージス艦の巨大化に拍車をかけた。

  迎撃の対象となる中距離ミサイル(射程500~5500キロ)は北朝鮮からの弾道ミサイル(約100発)に加え、中国の弾道ミサイル(約1900発)や巡航ミサイル(約300発)、超極音速滑空ミサイルなど、多様だ
  そのすべてに対応しようと、イージス艦本来の任務としての艦隊防空任務に加え、敵からの弾道ミサイルを撃ち落とすスタンダードミサイル「SM-3」、巡航ミサイルなどを落とすための長距離艦対空迎撃ミサイル「SM-6」、さらには敵地への反撃能力としてミサイル基地などを破壊するための改良予定の「12式地対艦誘導弾」(射程約1000キロ)の開発および装備を計画している。
  いわば、「弁慶の7つ道具」よろしく多様な装備を載せようと「冗長性」を重んじたため、玉虫色の「イージス搭載大型艦」計画になってしまったというわけだ。
「大艦巨砲主義」への疑問
  「令和の大和」と呼ばれる新型イージス艦だが、本家の「大和」は1937年に起工され、世界最大の46センチ主砲3基9門を備える世界有数の巨艦として、太平洋戦争開戦直後の1941年に就役した。 しかし、日本海軍が真珠湾を航空兵力で攻撃したことでわかるように、時代の主役は航空母艦と艦載機によって制海権を確保するといった「航空主兵」となっていった。
  そのため、圧倒的なアウトレンジから砲弾を撃ち込む能力をもつ「大和」も海戦の機会にほとんど恵まれないまま、1945年に航空機支援なしの水上特攻を強いられ、鹿児島県坊ノ岬沖で散華した。 「大和」はその冗長性を生かして導入された最新の冷房施設や冷蔵庫、ラムネ製造機などが他艦乗組員の垂涎の的になる一方で、一般の将兵からは「出撃しない大和ホテル」、「無用の長物」と揶揄されることが多かったという。

  現代の巨大イージス艦に話を戻そう。激変する安全保障環境に対応するため、さまざまな装備を搭載しようという企図は一見、合理的である。だが、新型イージス艦はそのためにずんぐりとした歪な巨体となってしまった。
  既存のイージス艦8隻や他の水上艦が30ノット(時速55.6キロ)にもかかわらず、新型イージス艦は巨船であるがゆえに18ノット(33.34キロ)にすぎず、これでは鈍重すぎて敵潜水艦から守るために護衛なしの単艦行動は難しいだろう。
  また、1隻を常時海上で運用するには最低3隻(補給・休養、メンテナンスのローテ)が必要となる。つまり、海自構想のように2隻を日本海に常駐させるには6隻の建造が絶対条件なのだ。 そうなると、AIやIT技術を駆使して1艦110名体制で運用できるとしても、全体の任務を遂行するにはローテ上、最低500名以上の乗員が必要となるはずだ。
  それでなくても海自は乗員の充足率低下に悩まされているだけに、専門スキルが要求されるイージス艦乗員の養成・確保は生やさしいいものではないだろう。 新艦建造にあたり、海自は乗員の居室は個室にして居住性の向上を図れるとアピールするが、その議論が本質からずれていると感じるのは私だけではないはずだ。このままでは鳴り物入りで導入される新型イージス艦も「令和の大和」として「無用の長物」に成り下がるリスクは否めない。
(3)
今から陸地配備に戻せないのか
  そこで提案がある。艦はいったん設計、建造されると、後から機能を継ぎ足すのは困難だ。かといって、あらかじめ冗長性を持たせ、大型化すればそれでよしとする論もあまりに安易だ。
  ならば、ここは原点だった陸地配備に戻り、人口密集地を避けたうえで島嶼部にイージス・アショアを配置してみてはどうだろうか。 島嶼部だと迎撃後のブースターも海上に落下するので、住民の反対運動も起きにくい。陸上なので、仮想敵の脅威に対応するミサイルなどの追加配備もたやすい。すでに航空自衛隊の警戒監視レーダーサイトがある新潟県佐渡島や山口県萩市沖合にある見島などは有望な候補地となると思われる。
  現在、アメリカは弾道ミサイルのほか、巡航ミサイルや極超音速ミサイルにも対応するため、グアム島にイージス・アショアを配備する計画を進めている現状だ。
  しかし、わが国は地上配備をやめ、ロマンあふれる「令和の大和」を日本海に浮かべようとしている。 本当にこのまま、「大砲巨艦主義」のまま、新型イージス建造を進めてよいのか? ことは国民の生命と安全に関わる。防衛省は説明責任を果たし、国民が納得できる落としどころを示すべきだろう。
( 文/世良光弘)


2022.09.15-Yahoo!Japanニュー(読売新聞)-https://news.yahoo.co.jp/articles/4672ad092cbb07a3493c26668c6aa82824281c84
日米防衛相会談、日本側が「反撃能力」保有検討を伝達…米は「強い支持」表明

  【ワシントン=天野雄介】浜田防衛相は14日(日本時間15日未明)、訪問先の米国でオースティン国防長官と会談し、自衛目的で敵のミサイル発射基地などを破壊する「反撃能力」の保有を検討する方針を伝えた。オースティン氏は「強い支持」を表明した。対面での会談は浜田氏就任後初めて。

  両氏は、中国が台湾への軍事的圧力を強めるなど、東アジアの安全保障環境が厳しくなっていることを背景に、日米の連携をさらに緊密にしていくことで一致した。
  浜田氏は会談で、「自分の国は自分で守るという意思と能力が何よりも重要だ」と述べ、年末の国家安全保障戦略など3文書改定に向け、日本の防衛力を抜本的に強化し、防衛費の「相当な増額」に取り組むことも伝達した。

  オースティン氏は、核戦力を含む軍事力で同盟国の日本を守る「拡大抑止」について、「米国のコミットメント(関与)は揺るぎない」と強調した。沖縄県・尖閣諸島は対日防衛義務を定めた日米安全保障条約第5条の適用対象になることもあらためて明言した。両氏は拡大抑止の信頼性を担保するため、閣僚レベルでも議論を深めていくことを確認した。
  両氏は、日本の排他的経済水域(EEZ)への弾道ミサイル着弾を含む中国軍の台湾周辺での大規模軍事演習を強く非難した。オースティン氏は「中国の台湾海峡や日本海域における挑発的な行動は地域に不安定をもたらし、前例を見ないものだ」と指摘。両氏はロシアによるウクライナ侵略も踏まえ、力による一方的な現状変更を許容せず、日米が緊密に連携していくことで一致した。
  両氏は、10月下旬から海上自衛隊鹿屋航空基地(鹿児島県)に一時展開する予定の米軍の無人偵察機「MQ9」について、収集した画像データなどを日米共同で分析することを決定した。東・南シナ海での海洋進出を強める中国に対する監視態勢を強化する狙いがある。
  防衛装備品の技術協力を巡っては、中露が開発を進める極超音速兵器に対処するため、将来的な迎撃ミサイルの開発につながる要素技術の共同研究の検討を開始することで合意した。


2022.08.31-産経新聞-https://www.sankei.com/article/20220831-LE3B2D7BVNISXNQVBL65QPX4MM/
<独自>長射程ミサイル1500発規模整備へ 防衛省

  防衛省が、相手の射程圏外から攻撃できる長射程の「スタンド・オフ・ミサイル」を1500発以上整備する方向で検討していることが31日、分かった。複数の政府関係者が明らかにした。防衛省は同日、令和5年度当初予算の概算要求を決定。過去最大の5兆5947億円を計上し、さらに多数の事業について金額を決めない「事項要求」とした。日本への攻撃を相手に躊躇させる「反撃能力」としての活用を念頭に、スタンド・オフ・ミサイルの量産化へ向けた関連費用を盛り込んだ。
「反撃能力」保有へ長射程ミサイル大幅強化
  政府は、年末にかけて進める国家安全保障戦略や防衛計画の大綱など戦略3文書の改定作業で反撃能力の保有に踏み切る見通しで、スタンド・オフ・ミサイルはその中心となる。
  防衛省が導入するスタンド・オフ・ミサイルで主となるのは、陸上自衛隊に配備されている国産ミサイル「12式地対艦誘導弾」の改良型だ。飛距離を現行の百数十キロから中国大陸まで届く1000キロ以上に延伸する。

  反撃能力の攻撃対象は日本へ発射される兆候のある敵ミサイルの拠点だけでなく、戦闘の初期段階で制空権に関わる対空レーダーや飛行場なども想定される。島嶼(とうしょ)防衛で敵の艦艇や上陸部隊を遠方から狙うために確保しておかなければならない数量も必要で、標的を外したり、迎撃されたりするものを計算した上で1500発以上が必要と見積もる。

  概算要求では防衛力強化の7つの柱として、スタンド・オフ防衛能力総合ミサイル防空能力無人アセット(装備品)防衛能力(陸海空や宇宙、サイバー空間、電磁波といった新領域を含む)領域横断作戦能力指揮統制・情報関連機能機動展開能力持続性・強靱(きょうじん)性-を掲げた。

  このうち、5年度予算の目玉となるスタンド・オフ防衛能力は12式改良型の地上発射型ミサイルを早期に実用化できるよう関連経費272億円を計上。事項要求で積み増しを図る。
  現時点での要求額5兆5947億円は、概算要求として過去最大だった前年度の5兆4898億円を上回るが、大半が事項要求だ。
  政府が6月に策定した経済財政運営指針「骨太の方針」では、北大西洋条約機構(NATO)が防衛費の基準とする国内総生産(GDP)比2%以上に触れ、「5年以内の抜本的強化」を求めた。日本の場合、GDP比2%は約11兆円。政府は戦略3文書を改定する年末にかけて財源も含めて検討し、防衛費の総額を確定させる。


2022.08.26-産経新聞-https://www.sankei.com/article/20220726-GEAAK4CB2VKGTGA5LHRCWN3XEQ/?dicbo=v2-171966f2eaa516e87038c142c5383dfd
米、日本に空対空ミサイル 400億円、売却承認

  米政府は25日、日本への中距離空対空ミサイル(AMRAAM)の売却を承認し、議会に通知したと発表した。日本は150基の売却を求めていた。関連機器などを含め総額2億9300万ドル(約400億円)になると見込んでいる。

  国防総省傘下の国防安全保障協力局は、日本が既に同ミサイルを保有しており、問題なく運用できると指摘。「アジア太平洋地域の政治的安定と経済発展に寄与する主要同盟国の安保を向上させる」とした。(共同)


2022.08.22-Yahoo!Japanニュース(TBS NEWS DIG.)-https://news.yahoo.co.jp/articles/206e3387fdfa63a97d54bdea985b3e2e27a78c99
防衛費5兆5947億円「事項要求」でさらなる増額確実視 23年度概算要求

  防衛省が、財務省に対して来年度の予算要求をする概算要求額が判明しました。およそ5.6兆円の概算要求は過去最大となります。

  防衛省の来年度予算の概算要求額は5兆5947億円で、2021年度の5兆4898億円を上回り、過去最大となります。

  これに加えて政府が「国家安全保障戦略」などいわゆる「三文書」について年末までに見直す方針で、具体的な金額を示さない「事項要求」が多数盛り込まれているため、さらなる増額は確実です。
   防衛力を抜本的に強化するため、敵の射程圏外から攻撃する「スタンドオフ防衛能力」の強化やドローンなど「無人化装備」の充実などが大きな柱となっています。
  自民党は夏の参院選の公約で防衛予算を対国内総生産(GDP)比で2%以上とすることも念頭に、5年以内に防衛力を抜本的に強化する考えを明記しています
  金額にすると、5兆円程度の増額となりますが、岸田総理はこれまで防衛力の強化について内容と予算と財源をセットで考えないといけない」としており、今後、年末に向けて激しい議論が予想されます。
TBSテレビ


2022.08.21-産経新聞-https://www.sankei.com/article/20220821-3Y6SRFLIZBK3NOH3WTGVFLZXKI/
<独自>長射程ミサイル、国産中心 反撃能力を念頭

  防衛省が、敵の射程圏外から攻撃できる島嶼防衛用の長射程の「スタンド・オフ・ミサイル」について、陸上自衛隊に配備された「12式地対艦誘導弾」の能力向上型を踏まえた国産ミサイルを中心とする方針を固めたことが21日、分かった。複数の政府関係者が明らかにした。政府が保有を検討する「反撃能力」としての活用も念頭に置く。年末の来年度当初予算案編成に向けて数量など詳細の検討を進める。

  防衛省がスタンド・オフ・ミサイルとして中心的な活用を想定するのは、12式を戦闘機から発射できる「空発型」や艦上から発射できる「艦発型」などに改良し、飛距離を伸ばした能力向上型。同省は明らかにしていないが、現行数百キロの射程を延伸し1000キロ以上を目指す。他にも変則軌道で敵の迎撃を回避する「高速滑空弾」と、音速の5倍以上の速度で進む「極超音速誘導弾」を想定し、研究開発を進めている。

  これらはいずれも国産ミサイルだ。防衛省は当初、F35Aステルス戦闘機にノルウェー製巡航ミサイル「JSM」を、改修したF15に米製空対地ミサイル「JASSM(ジャズム)」と、米製空対艦ミサイル「LRASM(ロラズム)」の搭載を計画した。しかし、昨年には改修費高騰を理由にロラズムを見送り、JSMも米製機材の不足で納入が遅れている状況にある。
  輸入ミサイルは戦闘機に搭載するための改修作業が必要になるが、国産は戦闘機に合わせて量産可能で経費が抑制でき、安定供給が見込める。防衛省は12式改良型について令和8年度以降の導入予定を1~2年前倒しして早期の装備化を図りたい考えだ。
  また、艦発型の12式について、地上配備型迎撃システム「イージス・アショア」の代替措置として建造する「イージス・システム搭載艦」からも発射できるようにする
  
【スタンド・オフ・ミサイル】 相手の対空ミサイルなどの圏外となる離れた場所から攻撃できる通常より射程の長いミサイル。各国のレーダーやミサイル技術の進展で、相手の射程圏外の安全な場所から攻撃する重要性が高まっている。日本では離島が侵攻された際、作戦に当たる自衛隊員のリスクを減らすための島嶼防衛用として導入が検討されている。


2022.08.16-産経新聞-https://www.sankei.com/article/20220816-JDLXAXRCGNP7PK4LRJEJYEKKJY/
<独自>防衛省「認知領域」を追加 来年度から 分析・発信態勢強化へ

  防衛省が来年度から、これまで新領域と位置付けていた宇宙、サイバー、電磁波に新たに「認知領域」を加え、これらの戦力を組み合わせた「領域横断作戦能力」の構築を目指す方針を固めたことが16日、分かった。複数の政府関係者が明らかにした。海外の偽情報を分析し、自国に有利になるよう正しい情報を積極的に発信するため、関連経費を来年度当初予算の概算要求に盛り込み、情報収集・発信態勢を強化する。

  防衛省は平成30年策定の「防衛計画の大綱」で従来の陸海空の領域に対し、宇宙、サイバー、電磁波の3つを新領域と位置付け、それぞれ専門部隊を創設。政府が年末にかけて進める国家安全保障戦略や防衛大綱など戦略3文書の改定を念頭に、来年度当初予算の概算要求では4番目の新領域として「認知領域」を加える。
  防衛省は今年度、海外の情報収集に当たる「グローバル戦略情報官」を新設。各国の公式発表や報道、交流サイト(SNS)上の偽情報などに軍事上の関係があるものがないか調査分析している。情報発信については「戦略的コミュニケーション」の観点から部局横断チームを設置し、昨年夏ごろから情報発信を強化。米国などとの共同訓練についてSNS上で中国語などでも発信し、同盟国側の結束をアピールしている。
  来年度当初予算では、こうした調査分析と情報発信を担う人員拡充や組織の一元化などの態勢強化を図る。そして自衛隊が従来の陸海空に加え、認知領域と宇宙、サイバー、電磁波の各領域の戦力を組み合わせた「領域横断作戦」を遂行できる態勢を目指す。
  認知領域をめぐっては、ウクライナに侵攻したロシアが偽情報をまいてウクライナ国民を混乱させたこともあり、日本政府内で関心が高まっていた


2022.08.11-日本経済新聞-https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUA112DN0R10C22A8000000/
日米の戦闘機10機が訓練 沖縄周辺で中国念頭

  航空自衛隊は11日、米空軍と沖縄周辺で9日に共同訓練を実施したと発表した。双方で計10機の戦闘機が参加した。空自と米空軍は、中国軍が台湾周辺で大規模軍事演習を開始した4日にも戦闘機計5機による共同訓練をしていた。今回は規模を拡大し、中国へのけん制を強く示す狙いとみられる。

  空自によると、那覇基地からF15戦闘機が4機とレーダー監視を担う南西航空警戒管制団、米空軍からは沖縄県・嘉手納基地のF15が6機それぞれ訓練に加わった。日米の共同対処能力の向上を目的としており、戦術訓練に当たったという。〔共同〕


2022.08.11-産経新聞-https://www.sankei.com/article/20220811-6ZTJ7RGBXJN63DA65PARKB5PME/
<独自>中国軍測量艦が北日本周辺海域で活動 台湾周辺演習中に

  中国人民解放軍が台湾周辺の空・海域で大規模演習を行っていた4日から10日までの間に中国海軍の測量艦が北日本の周辺海域を航行していたことが11日、分かった。日米両国など世界の関心が台湾周辺に集まる中で、情報収集が容易になると判断した可能性もある。複数の政府関係者が明らかにした。

  北日本を航行していたのは中国海軍のシュパン級測量艦1隻。2日に宗谷海峡を東進した後、北方領土周辺海域を航行。その後、北海道沿いに南下し、東北沖を航行している。
  これに先立ち、同艦は7月29日には対馬海峡を通過しており、日本列島を周回するような航路を取っている。海上自衛隊第2航空群(青森県八戸市の八戸基地)のP3C哨戒機などが動向を追っている。
  測量艦は、潜水艦航行に必要な海底地形、海流、水温や塩分濃度などのデータを収集する。防衛省などによると、中国海軍のシュパン級は全長約130メートルで、9隻を保有。7月20日には同型艦が鹿児島県の屋久島から口永良部島周辺にかけての日本領海に侵入したのを確認した。

  北日本の周辺海域での中国海軍艦艇の動きをめぐっては、6月に情報収集艦1隻が北海道沖と東北・三陸沖を往復する動きが確認されている。情報収集艦はレーダーの電子情報を収集する艦艇で、今回の測量艦と合わせて幅広い情報収集活動を行っていることが浮き彫りになった。
  一方、中国軍で台湾方面を管轄する東部戦区は10日、4日から台湾周辺の空・海域で行っていた軍事演習を終了したと発表した。この間、中国軍は実弾を使った演習を実施。4日には沖縄県・波照間(はてるま)島沖の排他的経済水域(EEZ)に弾道ミサイル5発が着弾している。


2022.08.07-日本経済新聞-https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUA070H10X00C22A8000000/
邦人退避、輸送力に懸念 「台湾有事」想定の机上演習

  日本戦略研究フォーラム6、7両日、台湾有事を想定した机上演習を開いた。防衛相経験者や国会議員、自衛隊の元幹部などが参加した。中国が軍事行動に踏み切った場合、邦人退避や国民保護の備えは十分か。輸送力不足などの課題がみえてきた

「2027年、中国の世論工作で台湾内で独立派と統一派が衝突し、台湾総統が襲撃された。続いて沖縄県・尖閣諸島に漁民が上陸し、中国軍の特殊兵のもようだとの情報が入る」

  「中国は台湾周辺にも弾道ミサイルを撃ち込む。日本政府は邦人に中国や台湾から自主的な退避を呼びかけたものの情勢の悪化で民間の船舶や航空機は使えない。台湾に1500人、中国には11万人の日本人がいる」

  演習はこんなシナリオを想定した。国家安全保障会議(NSC)の9大臣会合を模し、刻々と変わる情勢にどう臨むかについて討論した。
  参加者がまず直面したのは邦人輸送の安全確保と有事認定のジレンマだ。
  尖閣の状況を日本が攻撃を受けた武力攻撃事態だと認定すれば、日本と中国の対立関係が決定的になる。中国が統一を目指す台湾から自衛隊機で邦人を退避させようとすれば、中国から攻撃されるなどのリスクが増す。

  演習で首相役は「邦人の安全な輸送が最優先だ」と話した。警戒監視を続けながら、邦人退避に全力を尽くすよう促した。
  一方で防衛相役は「事態認定が遅れれば状況が困難になる」と強調。NSCの途中で尖閣に上陸した漁民の武装が確認できたとの情報が入り、武力攻撃事態にあたると決めた。
  輸送力の不足も浮かんだ。今回は台湾と尖閣周辺の双方で本格的な交戦状態に発展したと仮定した。
  石垣島など先島諸島に残る住民の避難が急務になる局面では自衛隊に頼らざるを得ない。防衛相役は尖閣や先島諸島の防衛を最も優先する方針を示し、住民避難については前線部隊への物資輸送の帰りに支援する道を探った。


2022.08.05-NHK NEWS WEB-https://www3.nhk.or.jp/news/html/20220805/k10013754251000.html
中国 “軍事演習区域に日本のEEZ含まれる見解は存在しない”

  中国軍は4日、台湾を取り囲むように大規模な演習を始め、台湾の周辺海域に向けて弾道ミサイルを発射しました。
弾道ミサイルの一部は日本のEEZ=排他的経済水域の内側に落下しましたが、中国側は「両国は関連海域で境界を画定しておらず、演習区域に日本のEEZが含まれるという見解は存在しない」と主張しています。

  中国軍は4日、台湾を取り囲むように合わせて6か所の海域と空域で「重要軍事演習」を始め、台湾東部の海域に向けて複数のミサイルを発射したほか、台湾海峡に向けて長距離の実弾射撃演習を行ったと発表しました。
  これについて、台湾国防部は、中国軍が4日、台湾の北部や南部、それに東部の周辺海域に向けて11発の弾道ミサイルを発射したと発表しました。
  日本政府は発射された弾道ミサイルのうち、5発が日本のEEZの内側に落下したと推定されるとして中国側に抗議しました。
  日本側の抗議に対し、これまでのところ中国政府の公式な反応はありませんが、日本側が演習区域に日本のEEZが含まれているとして懸念を伝えたことについて、中国外務省の華春瑩報道官は、4日の記者会見で「両国は関連海域で境界を画定しておらず、演習区域に日本のEEZが含まれるという見解は存在しない」と主張しました。
  一方、国営の中国中央テレビに出演した軍事専門家は、弾道ミサイルの一部が初めて台湾の上空を通過したという見方を示しました。演習は7日まで行われ、台湾周辺では緊張した状況が続いています。
台湾 蔡英文総統「演習は台湾海峡の現状を破壊」
  中国による大規模な軍事演習について、台湾の蔡英文総統が4日夜動画で談話を発表しました。
  蔡総統は「演習は台湾海峡の現状を破壊し、われわれの主権を侵すだけでなく、インド太平洋地域に高度の緊張をもたらし、海運と空運の安全や国際貿易に空前の脅威となっている」として、中国に自制を厳しく要求しました。
  そして「われわれから紛争を引き起こすことはないが、主権と安全は断固守り、民主主義と自由の防衛ラインは堅守する。冷静さを保って軽率な動きをせず、理性をもって挑発を避けるが、引き下がることは絶対にない」と強調しています。

  さらに「民主主義の台湾を支持し、一方的で非理性的な軍事行動を共同で制止するよう国際社会に呼びかける」としたうえで「台湾海峡の平和は地域のメンバーに共通の責任がある。われわれは台湾海峡両岸の現状維持に力を尽くし、建設的な対話にも開放的な態度をとり続けている」と述べ、対等な対話に応じるよう中国に求めました。
台湾総統府 中国に自制を厳しく求める
  台湾総統府は、中国軍の大規模な演習について「船舶や航空機が多く行き交う国際航路で軍事行動をとり、台湾海峡の現状とインド太平洋地域の平和と安定を一方的に破壊している」と非難し、中国に自制を厳しく求めています。

  一方、台湾の市民に対しては「弾道ミサイル発射の動向は即時把握し、防御システムを立ち上げているので安心してほしい」と呼びかけています。
  国防部も中国軍による弾道ミサイルの発射について随時、情報を発表し、市民の不安が増幅するのを防ごうとしているとみられます。
  市民生活はほぼふだんどおりですが、台湾を発着する民間の航空便の一部は、演習区域を避ける遠回りの航路をとっているため遅れが出ています。
  また台湾のテレビ局は、船で離島に出かけるのをキャンセルした観光客の話や、客が減ったという遊覧船の船長の話などを伝えています。
  台湾当局は運輸の安全確保に加えてサイバー攻撃やフェイクニュースの対策などに取り組み、中国が台湾の市民の心理や社会の秩序を乱すことを全力で防ぐと強調しています。
中国軍の戦闘機 台湾海峡の「中間線」越えも
  台湾国防部の発表によりますと、台湾海峡では4日、中国軍の戦闘機延べ22機が「中間線」を越えて台湾側の空域に進入しました。
  台湾海峡の「中間線」は中台両軍の偶発的な衝突を避けるための境界線とされ、これを越えて相手側に近づく飛行は挑発の度合いがより高いとみなされます
  しかし中国軍の戦闘機は3日も延べ22機がこの線を越え、2日連続で台湾側に進入しました。
  中国当局は最近「中間線」の存在を認めないという立場を公然と示すようになっていて、多数の戦闘機による連日の飛行によって「中間線」の消失を事実上ねらっているとみられます。
  台湾にとっては「中間線」が維持できなければ防衛ラインが後退することになります。
  一方、台湾軍の金門防衛指揮部によりますと、中国福建省の沿岸に位置し台湾が実効支配する金門島周辺の上空に4日、中国軍のものとみられる無人機4機が接近し、台湾軍が警告のための信号弾を発射しました
  これらの離島では3日も同様の事案が確認されています。


2022.08.04-産経新聞-https://www.sankei.com/article/20220804-E6TNT6FWB5OYTHKMJZJDUFBUIE/
中国ミサイル5発が日本のEEZに落下 日本政府抗議

  中国人民解放軍は4日、台湾周辺で実施すると公表していた「重要軍事演習」を開始した。日本政府は中国軍が発射した弾道ミサイル5発が日本の排他的経済水域(EEZ)に着弾したと発表した。岸信夫防衛相によると、中国の弾道ミサイルが日本のEEZに着弾したのは初めてとみられる。外務省の森健良事務次官は4日夜、中国の孔鉉佑(こう・げんゆう)駐日大使と電話会談を行い、強く抗議するとともに「軍事訓練の即刻中止を求める」と申し入れた。

  台湾の国防部(国防省に相当)によると、弾道ミサイル「東風」計11発が発射されたという。日本政府が確認したミサイルは計9発。EEZに着弾した5発は、沖縄県の波照間島南西沖に中国が設定した訓練海域に落下したと推定される。また、同県の与那国島北北西沖のEEZ外にも落下したとみられる。
  防衛省は9発のうち、2発は中国内陸部から、7発は福建省や浙江省の沿岸部から発射されたと発表した。飛距離は約350~700キロだった。
  森氏は孔氏との電話会談で、中国軍のミサイル発射について「EEZを含むわが国近海に落下したことは、わが国の安全保障、国民の安全にかかわる重大な問題だ」と非難した。さらに「中国の行動は地域および国際社会の平和と安定に深刻な影響を与えるものだ」と抗議した。
  演習は台湾を取り囲む6つの空・海域で7日昼まで実施。中国人民解放軍で台湾方面を管轄する東部戦区は4日、同戦区のロケット軍の部隊が台湾東方の海域に向けミサイルを発射し、全て目標に命中したと発表した。また、陸軍部隊が台湾海峡で長距離の実弾射撃訓練を行ったことも明らかにした。

  今回の演習をめぐり、中国メディアは「台湾封鎖」と強調した。ペロシ米下院議長の訪台に伴う報復措置として台湾への威圧を強めている。

  東南アジア諸国連合(ASEAN)加盟国外相は4日の声明で、米中関係緊迫を受け「予測不可能な結果」につながる恐れに懸念を表明。当事者に自制を求めた。
  中国の欧州連合(EU)代表部は、先進7カ国(G7)外相が3日に中国の軍事演習に懸念を示した声明に対する報道官談話で「中国の主権や領土保全を侵犯するいかなる行為にも中国人は必ず倍返しする」と強調した。


2022.07.27-Yahoo!Japanニュース(REUTERS)-https://news.yahoo.co.jp/articles/1df8150e990e214ecff818bdd1f3ecf85ba21742
ロシア、8月末に極東で軍事演習 中国軍参加するか焦点

  [ロンドン 26日 ロイター] - ロシア国防省は、極東地区(東部軍管区)8月30日から9月5日にかけて戦略軍事演習「ボストーク」を実施すると発表した。演習が実施される地域にはシベリアの一部のほか、中国との国境に近いハバロフスクなどが含まれる

  国防省は一部の外国部隊も参加するとしたが、具体的な国名は明らかにしていない。
  ベラルーシで昨年実施された演習にはアルメニア、インド、カザフスタン、キルギスタン、モンゴルの軍隊が参加した。
   国防省は声明で、ロシアはウクライナで「特別軍事作戦」を展開しているものの、こうした軍事演習を実施する能力は損なわれていないと強調。「ウクライナにおける特別軍事作戦に投入されているのはロシア連邦軍の一部にすぎない」とし、演習には必要な要員や機材が全て動員されるとした。

  米中央情報局(CIA)のバーンズ長官は先週、2月のウクライナ侵攻開始以降、ロシア軍の死者は1万5000人と、旧ソ連によるアフガニスタン侵攻による死者数とすでに同水準に達しているとする米政府の推計を発表している。
  英王立国際問題研究所(チャタムハウス)の軍事専門家マシュー・ブーレグ氏は「ウクライナには東部軍管区からもすでに多くの兵士が動員されており、機材なども投入されている」とし、今回のボストークでロシアが何を実施できるか注意深く見守っていると述べた。
  18年に実施されたボストークには中国軍を含む約30万人が参加。今回も中国が参加するか、参加する場合はどの程度の規模になるのか、中ロ関係を推し測る上で重要な手がかりになるとみられている。


2022.07.24-東京新聞-https://www.tokyo-np.co.jp/article/191538
「騒音負担、改めて認識」 木更津市長らがオスプレイ体験搭乗 陸自駐屯地

  陸上自衛隊木更津駐屯地(千葉県木更津市)で二十二日、渡辺芳邦市長や市議ら二十八人が、暫定配備されている輸送機V22オスプレイに体験搭乗した。市議会の基地政策特別委員会の要望に防衛省が応じた。(山本哲正)

   渡辺市長は暫定配備が始まる前の二〇一六年には、同駐屯地で米海兵隊MV22オスプレイに乗っているが、陸自のV22は初めて。約二十分のフライトを終えて機体から降りると、「MVとそれほど差はない。(プロペラを傾斜させる)転換モードの離着陸は安定感があった」と感想を記者団に語った。また騒音について「かなりある。この影響が経路下の皆さんに影響、負担を与えているんだろうと改めて認識した」と述べた。

   防衛省は陸自に十七機を配備する計画。佐賀空港(佐賀市)を最終的な配備地とすることを目指し、木更津への暫定配備期間は、配備が始まった二〇年七月から「五年以内を目標」としている。今年三月には九機目が配備された。岸信夫防衛相は、今年一月に同駐屯地でオスプレイに搭乗した際、「スケジュール通りに進めたい」と強調している。
  体験機会の提供などにより、オスプレイ配備に対する態度が軟化しないかと心配する声も市民から出ている。これに対し、渡辺市長は「オスプレイ運航の回数が増えてきているので改めて影響を確認したいと搭乗した。佐賀の結果は別にして、木更津からは五年で出ていっていただく約束。これからもそうお願いしていく」と答えた。
   市議会基地政策特別委は、委員会に説明に来る防衛省側に「機会があれば搭乗したい」と申し入れていた。一月に搭乗した岸氏からの勧めもあり、依頼を重ねて実現した。オスプレイの運用、性能などの理解を深め、今後の調査研究の参考にするとしている。同省北関東防衛局から「『木更津駐屯地に関する協議会』の委員も搭乗しては」と誘いがあり、会長の渡辺市長らも参加した。
   同駐屯地は一七年二月以降、米軍オスプレイの定期整備も行っており、これまでに整備を終えて普天間飛行場に帰還したのは五機。整備中は三機となる。


2022.07.22-日本経済新聞-https://www.nikkei.com/article/DGXZQODK2152H0R20C22A7000000/
[社説]中ロ連携の深化に危機感示した防衛白書

  ロシアのウクライナ侵攻は力による一方的な現状変更であり、アジアを含む国際秩序の根幹を揺るがしている。政府が22日に公表した2022年版の防衛白書はこんな危機意識を示し、防衛力を早急に強化すべきだと説いた

  中国、ロシア、北朝鮮に囲まれた日本の安全保障環境は厳しさを増しており、白書が示した認識はおおむね妥当だろう。政府は年末の国家安保戦略の改定に向け、防衛費の増額などに関する議論に本格的に乗り出す。国民にその必要性を丁寧に説明し、有効な手立てを検討してもらいたい。

  岸信夫防衛相は巻頭で国際社会がいま「戦後最大の試練」を迎えていると言明した。ロシアのウクライナ侵攻はその一因だが、ロシアが東アジアでも軍事活動を活発にしているのは気がかりだ。
  白書がとりわけ注目したのはロシアと中国の軍事協力の深化で、「懸念を持って注視する」と記した。両軍の艦艇10隻は21年10月、日本列島をほぼ一周する異例の行動をみせた。今年5月には両軍の爆撃機が日本周辺を長距離にわたって共同飛行した。
  米国は中国との競争を重視する方針を掲げながらも、当面はウクライナ支援に力を割かざるを得ない。日本が果たすべき役割はその分、重みを増す。
  中ロが期せずして同じタイミングで挑発的な行動に出る可能性も排除できない。政府はそうした事態も念頭に、備えを怠ってはならない。

  先の参院選で自民党は防衛費の増額を訴えたが、使い道を具体的に明らかにしなかった。厳しい財政状況で増額が必要ならば、政府・与党は早期に道筋を示して国民の理解を得るよう努めるべきだ。
  白書は中国に関して昨年と同じ表現で「安全保障上の強い懸念」を示した。台湾との軍事バランスが中国有利に傾き、その差は広がっていると指摘した。
  台湾有事が日本と無縁ではないとの認識は浸透しつつある。日本経済新聞社の世論調査でも、現行法で、あるいは法改正をしてでも台湾有事に備えるべきだと9割以上の人が回答している。
  白書はミサイル発射を繰り返す北朝鮮を引き続き「重大かつ差し迫った脅威」と位置付けた。台湾、朝鮮半島いずれの有事への備えでも米国や友好国との共同軍事訓練の拡充は有効だ。現行法に抜け穴がないかも点検すべきだ。


2022.07.05-JIJI COM-https://www.jiji.com/jc/article?k=2022070500382&g=pol
「ロシア艦監視の可能性」 中国軍艦の尖閣接続水域進入―松野官房長官

   松野博一官房長官は5日の記者会見で、中国とロシアの海軍艦艇が沖縄県・尖閣諸島周辺の日本の接続水域を同じ時間帯に航行したことについて、中国艦が同諸島の領有権を主張する独自の立場から、同諸島に近づいたロシア艦への監視活動を行った可能性があるとの見方を示した。

  松野長官は会見で「航行の目的について確たることを答えることは差し控えたい」としつつ、「ロシア艦は悪天候を避けるために当該海域を航行し、中国艦はロシア艦の航行に対応してこのような(監視目的の)航行を行った可能性もある」と説明した。


2022.07.02-産経新聞-https://www.sankei.com/article/20220702-JU6JXG2JLFNL3ANMZAGER3XMEU/
<独自>中国情報収集艦が北海道・東北間を往復 自衛隊や米軍監視か

  日本列島を周回する形で航行している中国海軍の情報収集艦1隻が北海道沖と東北・三陸沖を往復する動きを見せていたことが2日、関係者の話で分かった。ロシア海軍の情報収集艦も同様の動きをしており、いずれも自衛隊や米軍の動きを警戒・監視したとみられる。

  北海道沖-三陸沖の間を往復したのは、中国海軍のドンディアオ級情報収集艦で、6月16日に津軽海峡を通過した後いったん南下。反転して北上し、北海道南部沖を航行して再び南下した。同艦はこれに先立ち、同月13日に対馬海峡を東に向けて通過。その3日後に津軽海峡を通過し、さらに10日後には伊豆諸島に到達した。北海道沖や三陸沖での活動に重点を置いていたものとみられる。
  同海域ではロシア海軍のバルザム級情報収集艦1隻も5月18日から6月7日までの期間に同様の動きを見せており、いずれも航空自衛隊千歳基地(北海道)や米空軍三沢基地(青森県)などの通信を傍受するとともに、レーダーの電子情報を収集していたとみられる。防衛省関係者は「中国とロシアが別個に収集した情報を共有する可能性もある」と分析する。
  これとは別に、6月にはロシア海軍艦隊が北海道東岸沖から南下して伊豆諸島を通過し、一部は19日に沖縄県の沖縄本島-宮古島間を、残りは今月2日に与那国島-西表島の間を北上した。ロシア艦隊の後を追う形で対馬海峡と津軽・宗谷海峡を通過した中国海軍艦隊が「北海道東岸沖-伊豆諸島-宮古海峡」のルートを航行している。
  岸信夫防衛相は「短期間に同様の航路でわが国を周回する形で航行することは両国による軍事プレゼンスの誇示だ。懸念を持って注視する」と注視する姿勢を示している。


2022.06.23-産経新聞-https://www.sankei.com/article/20220623-7BQUXUDXBRPI7EWFFDU4ZBUVPM/
中国爆撃機3機が沖縄通過 太平洋へ、空自緊急発進

  防衛省統合幕僚監部は23日、中国軍のH6爆撃機3機が同日午後、沖縄本島と宮古島の間の海域を抜け、東シナ海と太平洋を往復したと発表した。航空自衛隊の戦闘機が緊急発進(スクランブル)して監視に当たった。

  日本周辺では今月中旬、中国海軍艦艇が列島を周回するような航行や、沖縄を通過して太平洋へ移動するのが確認されている。防衛省は、海と空の両面で活動に警戒を続けている。
  防衛省によると、沖縄を通過した爆撃機3機は編隊を組んで太平洋に入り、別々に周回するように飛行。再び3機で東シナ海を中国大陸方向に戻った。


2022.06.21-産経新聞-https://www.sankei.com/article/20220621-NNE53SM7VRKOLP3TYBY3SC26B4/
中露艦隊が日本列島を周回 動き活発化、共同行動の可能性
(市岡豊大)

  中国やロシアの海軍艦隊が6月中旬、日本列島を周回するような動きを相次いで見せている中国艦隊4隻は対馬海峡から日本海を北上し、二手に分かれて太平洋側へ抜けた後に合流して南下した。ほぼ同じ時期に、ロシア艦隊5隻は北海道沖から太平洋を南下して東シナ海から日本海へ抜けた。日米に対する牽制を狙った中露の共同行動の可能性もあり、海上自衛隊が警戒監視を続けている。

  海自は中国海軍のミサイル駆逐艦2隻と補給艦1隻が21日午前3時ごろ、伊豆諸島の海域を西進したことを確認した。この3隻は別の情報収集艦1隻と計4隻で今月12~13日に対馬海峡を北上。日本海で二手に分かれ、駆逐艦2隻が16~17日に宗谷海峡を、補給艦と収集艦の2隻が16日に津軽海峡をそれぞれ通過した後、収集艦以外の3隻が19日午後2時ごろ、宮城・金華山の東約220キロを南進した。
  一方、ロシア海軍のフリゲート艦3隻と駆逐艦1隻、ミサイル観測支援艦1隻の計5隻は15日、北海道・襟裳(えりも)岬の南東約280キロで確認され、16~17日には犬吠埼の南東約180キロを南西へ進み、伊豆諸島の海域を南西へ航行。沖縄本島と宮古島の間の宮古海峡を通過し、21日には東シナ海から日本海へ抜けた。伊豆諸島付近では別の2隻も加わり計7隻となった。
  中露の各艦隊は日本列島を周回するように動いた。松野博一官房長官は21日の記者会見で「関連動向について引き続き注視するとともに、警戒監視活動などに万全を期す」と述べた。
  日本周辺での中露艦隊の動向をめぐっては、昨年10月、中露計10隻で列島を時計回りに一周する共同行動を取った。途中、中国のミサイル駆逐艦が艦載ヘリコプターの発着艦を実施。露国防省は中国海軍と初の「合同パトロール」を7日間にわたり実施したと発表し、岸信夫防衛相は「わが国への示威活動を意図している」と懸念を示した。
  今回は中露艦隊が別々に動いているが、同時期に長距離を航行していることから中露が連携している可能性もある。防衛省は今回の中露の行動の狙いを分析し、動向に警戒を強めている。(市岡豊大)


2022.06.12-佐賀新聞(KYODO)-https://www.saga-s.co.jp/articles/
風力発電が安保に影響か-自衛隊のレーダー探知に支障 

  全国で立地が進む風力発電設備が、ミサイルなどを感知する自衛隊のレーダーの支障となることが分かり、防衛省が一部の事業者に計画の変更を相次いで要請していたことが11日、複数の関係者への取材で判明した。政府が設定した洋上風力発電の「有望な区域」の一部で設置しないよう求めた事例もあった。政府は設置の運用見直しも含め検討する方針だ。

  防衛省は防衛上の理由から具体的な事例を明らかにしていないが、既に10件以上の事業が計画の変更や調査の対象となった。ただ陸上で防衛を理由に設置を制限する法律はなく、安全保障上の「穴となりかねない状況」(政府関係者)だ。計画変更を要請された民間事業者からは、風力発電を推進する経済産業省と安全保障を担当する防衛省の連携不足を指摘する声が上がった。

  防衛省などによると、自衛隊が使用する各種レーダーは、物体に対して電波を発信し、反射した電波を受信して、その物体の位置を特定する。しかし風力発電設備の大型風車がある場合、電波が遮断されたり、風車から受けるレーダーの反射が大きくなってミサイルや航空機などの物体が発する微弱な電波が風車からの反射波に埋もれたりして、探知が困難になる。
  陸上の風力発電設備は沿岸部や山間部などで立地が進むが、レーダーの測定範囲と一部が重複。神埼市の脊振山など全国28カ所にある警戒管制レーダーや無線通信などを阻害する可能性がある。高さ100メートル超に及ぶ設備もあり、気象庁のレーダーによる観測に支障が出たケースもある。レーダーや自衛隊の訓練などを理由に計画を変更した事業者は「決められたルールの中で計画を立てていたのに、突然指摘されて困った。経産省と防衛省で連携すべきだった」と証言した。
  政府が「再生可能エネルギー拡大の切り札」と位置付ける洋上風力では、経産省が全国の適地5カ所を促進区域に指定。これらに続く「有望な区域」などの設定も進むが、青森県沖の有望な区域内で地対空ミサイルのレーダーに影響が出る箇所があるとして、防衛省が関係者らに風力発電を設置しないよう求めた
  防衛省関係者は、北朝鮮の相次ぐミサイル発射や、中国やロシア機による領空侵犯の恐れが近年増加傾向にあるとして「風力発電の導入と防衛を両立するため、制度設計の見直しも含め検討していきたい」と話した。(共同)


2022.06.10-SankeiBiz-https://www.sankeibiz.jp/article/20220610-FEZV223L2NNEBPUSJSZHFMTOMQ/
ロシア艦艇5隻確認 三陸沖で演習の可能性も 岸防衛相「注視」

  岸信夫防衛相は10日の記者会見で、海上自衛隊が9日に北海道東方の太平洋上でロシア海軍の艦艇5隻を確認したと発表した。露国防省は海軍太平洋艦隊が10日までに太平洋で大規模演習を行うと発表しており、同演習の一環とみられる。ロシアは三陸沖の海域などでミサイル発射などを目的とする警報を出していることから、岸氏は同海域でも大規模演習を行う可能性があるとして「注視する必要がある」と述べた。

  露国防省の発表によると、太平洋での演習には艦艇40隻以上、航空機最大20機が動員される。岸氏はロシアの目的について「ウクライナ侵略を行う中でも極東において同時に活動し得る能力を誇示する狙いがある。重大な懸念を持って情報収集、警戒監視を継続する」と述べた。


2022.06.01-sangiin go.jp-https://www.sangiin.go.jp/japanese/annai/chousa/rippou_chousa/backnumber/2010pdf/20101001026.pdf
核の先制不使用に関する議論の経緯と課題
-立命館アジア太平洋大学客員教授 小川 伸一

  はじめに 核の「先制使用」とは、核兵器以外の手段で武力攻撃を加えてきた敵 対国に対し、先んじて核兵器を使用することを意味する。他方、核の「先制不使用」とは、核兵器を相手より先に使用することはないが、相手の核使用に対 しては報復使用の選択肢を留保するというものである。

  冷戦時代にあっては、核の先制使用とは、通常、武力紛争中、敵対国よりも先に核 兵器を使用すること、すなわち「先行 .. 」使用を指していた。
  核兵器を用いて戦端を開 くことも語義的には核兵器の先制使用の範疇に入るが、こうした核兵器を用いた先制 核攻撃と武力紛争中の核の先制使用は区別されなければならない。

  しかしながら往々 にして、こうした区別をせずに、核兵器を用いて戦端を開くことも核の先制使用の範 疇に入れて議論される傾向がある。
  国際法上、他に対処手段がないことを条件に、差 し迫った軍事的脅威を排除するための先制攻撃が自衛権の行使 として許容されているためであろう。

  先制核攻撃のもう一つの形態として「ファース ト・ストライク」と呼称されるものがある。これは、先制核攻撃で敵 対国の戦略核戦力に報復能力が残存しないほどの壊滅的損害を与える核攻撃で、「武装 解除的ファースト・ストライク」と称されることもある。
   このように核の先制使用には様々な形態があるが、核使用をめぐる政治・道義的障 壁を考慮するならば、武装解除的ファースト・ストライクは勿論のこと、差し迫った 軍事的脅威に直面した場合であっても核兵器による先制攻撃で戦端を開く蓋然性は極 めて低い
  あり得るとすれば武力衝突勃発後の戦闘作戦行動の流れを受けてやむを得 ずに敵対国に先んじて核使用に走るという「先行 .. 」使用であろう。したがって本稿で は、核の先制使用という場合、武力紛争中に交戦国の一方が先に核兵器の使用に踏み 切ることを指すことにする。

  核保有国が核の先制使用、先制不使用のいずれを採るかによって、核抑止戦略や 核軍縮に大きな差異をもたらす。本稿は、核時代に入ってから今日までの核の先制使用と先制不使用をめぐる議論の流れを概観し、核の先制不使用の意義と課題を論ずる こととする。
  核の先制使用、先制不使用をめぐる核保有国の姿勢 (1)米国及びNATO

・・・・・・HPへ


2022.05.31-産経新聞-https://www.sankei.com/article/20220531-4DPYSXN24NLRFMDCSYRZVB3LJU/
「核の脅し」警戒必要 防衛研がウクライナ戦分析

  防衛省のシンクタンク・防衛研究所は31日、ロシアのウクライナ侵攻が各国に与えた影響を分析した『ウクライナ戦争の衝撃』を発表した。ロシアのプーチン大統領が核兵器の使用を示唆したことに伴い、中国の「核の脅し」に対する警戒が必要との見解を示した。欧州における米軍増強がインド太平洋地域に影響を与える可能性も指摘した。

  日本周辺の安全保障環境を分析した『東アジア戦略概観2022』も発表した。『概観』は昨年1年間の動きを分析しており今年2月24日以降のウクライナ侵攻は対象外となっているため、別冊として『衝撃』をまとめた。
  『衝撃』では米国を含む北大西洋条約機構(NATO)がウクライナ侵攻に直接介入していない理由として、ロシアの「核の脅し」でNATO側が抑止されているとの見方を示した。その上で「いざという時に核を使うというロシアの『決意』が、米国のそれを上回っている」とした。

  同様の危険性はインド太平洋地域でもあると指摘。「中国の核を使う閾値(いきち)が米国より低いがゆえに、日米が抑止されてしまう事態を、我々は想定しておかなければいけない」と警鐘を鳴らした。

  中国の台湾侵攻を抑止する上で「バイデン政権は、より明瞭な台湾防衛の意思を示そうとしている」との見方も示した。
  ロシアがウクライナを占領した場合はNATOの戦線が拡大することで米軍が欧州により戦力を振り分けざるを得ないという見方もある」と指摘。「戦後」の対露関係に関しては「ロシアの本当の安全が脅かされず、国際環境に利益を得て規範を遵守する状態になる必要がある」とした。

  一方、『概観』では「攻撃側は防御側に対して3倍の兵力が必要」との見方を紹介。中国の国防費が日本の4倍以上となっている現状を踏まえ、日本が対国内総生産(GDP)比2%にあたる防衛費10兆円を支出すれば中国の約2分の1となり、7兆円でほぼ3分の1になるとの試算を示し、「防衛費の水準は10兆円規模になるという考えもあり得る」とした。


2022.05.24-ytv news-https://www.ytv.co.jp/press/politics/148984.html
クアッド会合中、中露爆撃機が防空識別圏に

  日米豪印4か国によるクアッド首脳会合が日本で開かれる中ロシアと中国の爆撃機が一緒に日本の防空識別圏を飛行しました。

  ロシア国防省は、中国軍と合同で、日本海と東シナ海でパトロール飛行を実施したと発表していて、その時のものとする映像を公開しました。
  日本の防衛省も事態を把握していて、24日午前から午後にかけ、ロシア軍の爆撃機2機が中国軍の爆撃機2機とともに、日本海から東シナ海にかけて、日本の防空識別圏にも入り飛行したということです。
  自衛隊が撮影した写真では、奥の1機がロシア軍の爆撃機、手前の2機が中国軍の爆撃機で、一緒に飛んでいるのがわかります。
  その後、中国軍の爆撃機2機は別の2機と入れ替わり、沖縄本島と宮古島の間を抜け飛行したということです。
  この間、航空自衛隊の戦闘機が緊急発進し監視しましたが、領空侵犯はなかったということです。

  岸防衛相「日米豪印首脳会合が開催されている中でのこのような両国の戦略爆撃機による我が国近傍での軍事演習は、開催国たる我が国に対する示威行動を意図したものであります」
  岸防衛相は、「中国が侵略国であるロシアとこのような行動に出ることは看過できない」などと強い言葉で非難しました。政府は、ロシアと中国に外交ルートを通じ懸念を伝えたということです。


2022.05.14-産経新聞-https://www.sankei.com/article/20220514-O7FEJWGHTFKXDCXYQDCFAIAOZU/
<独自>次期戦闘機、日英共同開発へ BAEと協力、伊も参加

  防衛省が航空自衛隊のF2戦闘機の後継機について、英航空防衛機器大手BAEシステムズと日本の三菱重工を主軸とする日英での共同研究開発事業とする方向で調整に入ったことが13日、分かった。複数の政府関係者が明らかにした。5日の日英首脳会談に基づき、年末までに正式合意する。次期戦闘機は米ロッキード・マーチン社から支援を受ける方向で検討されていたが、事実上の方針転換となる。

  機体は三菱重工とBAEシステムズが参加し、エンジンは造船重機大手IHIと英ロールスロイスが協力する形で検討イタリア企業やロッキード社も一部参加する可能性がある。日英防衛当局は昨年12月に次期戦闘機のエンジン開発を共同研究することで合意し、主要部品についても共同開発の可能性を探っていた。
  次期戦闘機はF2を共同開発したロッキード社から支援を受け、三菱重工が主導する形での開発を模索していた。しかし、ロッキード社との調整が難航し、米政府からの理解を得た上で主軸を英国へ切り替えることにした。ただ、相互運用性の観点から米国との連携は続け、無人機による戦闘支援システムは米国と共同開発する。
  米国とは旧式戦闘機の退役時期が重ならず、コスト面での問題があった。また、ロッキード社が米国本土で機体改修を行うなどの秘匿性の高さが「ブラックボックス」として技術共有の面で課題になっていた。
  防衛省は令和17年頃の運用開始を目指し、4年度予算には開発費858億円を計上。同省幹部は「米国以外との本格的な共同開発は前例がなく画期的だ」と話している。


2022.05.10-朝日新聞-https://www.asahi.com/articles/ASQ5B4F5XQ5BUTFK007.html
北朝鮮ミサイル「変則軌道」と推定 岸防衛相「日米韓連携強化を」
-(松山尚幹)

  北朝鮮が7日に発射した潜水艦発射弾道ミサイル(SLBM)とみられる弾道ミサイルについて、岸信夫防衛相は10日の閣議後記者会見で「変則軌道で飛翔したと推定される」と述べた。低高度で変則軌道だとレーダーでとらえにくく、追尾して撃墜するのが難しい

   防衛省によると、7日のミサイルは最高高度が約50キロ、飛行距離が約600キロ程度で、日本の排他的経済水域(EEZ)の外側に落下した。SLBMならば昨年10月19日以来。
   岸氏は7日と昨年10月のミサイルは同型とみられると説明した。韓国の国防関係者は、ロシア製の「イスカンデル」に似た短距離弾道ミサイル「KN23」の改良型の可能性があるとしている。
   岸氏は「日韓両国を取り巻く安全保障環境は非常に厳しさと複雑さを増している」とも指摘。10日に尹錫悦(ユンソンニョル)氏が韓国大統領に就任したことを踏まえ、「日韓防衛当局間では様々な課題があり、両国の防衛協力に影響を及ぼしているが、インド太平洋地域の平和と安定のため、韓国の新政権と緊密に意思疎通を図り、日米韓の連携強化を推進する」と述べた。(松山尚幹)


2022.05.10-Yahoo!Japanニュース(産経新聞)-https://news.yahoo.co.jp/articles/3752a40d2712ca0e62b0154ab4e0799df19cd653
中国空母、艦載機発着100回超 台湾念頭か

  岸信夫防衛相は10日の記者会見で、中国海軍の空母「遼寧」が沖縄南方の太平洋で連日行っている艦載機などの発着艦回数が計100回超となったことを明らかにした。日本や台湾に近接した海域で活動しており、台湾侵攻を想定した訓練を行った可能性もある。

  遼寧は艦艇計8隻で2日、沖縄本島と宮古島の間の宮古海峡を南下。3~8日の間、沖縄・沖大東島の南西約160キロから石垣島の南約150キロの海域を航行し、艦載戦闘機や艦載ヘリコプターの発着艦が確認され、6日間で計100回を大幅に超えた。
  確認された中で最も日本に近接した海域で、海上自衛隊の護衛艦「いずも」が警戒監視に当たり、航空自衛隊が戦闘機を緊急発進(スクランブル)させて対応している。
  中国軍は、遼寧の運用能力や、遠方の海空域での作戦遂行能力の向上を目的とする訓練を行っているとみられる。
  岸氏は会見で「近接した海空域の活動であることを踏まえれば、懸念を持って注視せざるを得ない。強い緊張感を持って警戒監視に当たる」と述べた。
  一方、台湾の国防部(国防省に相当)は6日に中国軍機18機が防空識別圏に進入したと発表した。中国機は台湾の南東側から中心に進入し、南西沖の遼寧からの発着艦と合わせた訓練を行った可能性がある。防衛省幹部は「台湾への攻撃を想定し、東西で挟撃作戦の形を取った可能性もある」と指摘した。


2022.05.09-Yahoo!Japanニュース(ABEMA TIMES)-https://news.yahoo.co.jp/articles/903bfa360ddbccdc3c4c2183c017830f95f1926b
日本の防衛力はアメリカが助けに来るまでの“2、3週間を耐える程度のレベル” 対策急務のサイバー分野、台湾有事が起これば苦境に?
テレビ朝日政治部・防衛省担当の車田慶介記者

(1)
  政府は外交・安全保障政策の根幹である「国家安全保障戦略」「防衛計画の大綱」「中期防衛力整備計画」の3つの文書を年末までに見直す方針で、自民党は4月末に提言をとりまとめた。

  岸防衛大臣は5日、アメリカを訪れ日本の防衛力を抜本的に強化し、いわゆる敵基地攻撃能力の保有などを検討している状況を説明している。
  その上で、日米で戦略をすり合わせていくことを確認したということだ。
  日本の防衛をめぐる動きについて、テレビ朝日政治部・防衛省担当の車田慶介記者が解説する。

Q.防衛費についてはどういう議論が?  NATO諸国がGDP比2%以上を目標にしていることを念頭に、「5年以内に防衛力を抜本的に強化するために必要な予算水準の達成を目指す」、ということが書き込まれた。要するに、アメリカやフランスなどのNATO諸国が目標にしているGDP比2%以上を、日本も5年以内に達成しようというもの。日本はこれまで防衛費をGDP比1%程度で保ってきていたが、それを5年以内に倍にするということだ。

Q.「2%以上」と「5年以内」という数字の理由は?
   まず「2%以上」に関しては、アメリカやフランスなどNATO諸国が目指しているという点が根拠にある。
  「日本もあなた方西側諸国と同じ水準まで予算水準を上げて、防衛力をしっかり強化する努力をしますよ」、というメッセージだ。今回の提言案を議論する中で、自民党議員の頭の中にずっとあった課題が、“ロシアによるウクライナ侵略のようなことが日本周辺でも起こった時にどうするか”ということ。
  当然、自分の国は自分で守るということが基本だが、やはり同盟国であるアメリカなどの支援は必須になってくる。
  その時に、日本だけ防衛費はこれまで通りGDP比1%としていて、そのアメリカなどから「努力していない」と思われたらどうなるか、ということを危惧している。
  「5年以内」については、明言をしている議員はいないが、おそらく中国が台湾に侵攻する台湾有事を念頭に置いているのではないか。中国の習近平主席は、中国共産党のトップの任期について異例の3期目を目指しているとされている。
  仮にそれが実現した場合、任期は5年後の2027年となっていて、それまでに歴史に残るような成果を上げる、
  つまり台湾統一をしようとするだろうという見方があり、そういう点が念頭にあるのではないかと思う。
Q.今の日本の防衛レベルはそもそもどのくらい?
   防衛政策に明るいある自民党議員によると、何かあった時にアメリカが助けに来てくれるまで2、3週間ほどかかるらしく、そこまでを耐える程度のレベルしかないということだ。
(2)
  ある防衛省関係者も言っていたのが、日本はミサイルなどとにかく「弾」が少ないと。例えば、日本にミサイルが撃ち込まれた時に迎撃する「PAC3」というミサイルがあるが、同時にたくさん日本に打ち込まれればすぐに弾がなくなって迎撃が難しくなるようだ。
  アメリカが来るまでに耐えられなくなってしまうレベルだと話していた。
Q.防衛費を2倍して何に使う?
   迎撃ミサイルなどをさらに手厚くすることに使われる可能性は高い。ウクライナを見ていてもわかるが、戦争が起きると長期化しやすいので、そこに耐えられる体制を整えることに使われるのではないかと思う。
   もう1つ重要なのは、サイバー分野の対策。現在の諜報活動はサイバー分野がほとんどないと言われている中で、日本は特に弱いと指摘されている。
  日本はサイバー攻撃から守る能力は強化しているが、自分たちで情報を取ってくるハッキングができないと。これができなければ、「情報のギブアンドテイクはできない」とアメリカからも言われてしまっている。
   例えば、台湾有事が起こった際に、アメリカが持っている情報を日本にくれないということになると、当然、日本の自衛にも関わってくる。なので、サイバー分野に関して予算を使うこともあると思う
Q.防衛費以外の注目すべき点は?
   あまり報道はされていないが、防衛装備品の提供について重要な記述がある。一部抜粋すると、「ロシアによるウクライナ侵略のような国際法違反の侵略が生じた際、侵略を受けている国に対して、幅広い分野の装備の移転を可能にする」ということが書いてある。
  日本はウクライナに防弾チョッキやヘルメットなどを提供したが、ウクライナはミサイルなどの提供を求めてきたという話もあった。日本としては殺傷能力のある武器や弾薬は法律で送れないという事情もあって、防弾チョッキやヘルメットを送るという案をひねりだしたということがある。
  提言案を議論している自民党の議員の中から、台湾有事があった時に「武器を送ってやれないということで本当にいいのか」という声が出ていた。  今回の提言案には武器など具体的には書いていないが、おそらく「幅広い装備の移転を可能にする」というのは、将来的に武器の移転も可能にすることを念頭に記述したのではないかと取材をしていて感じた。
Q.今後、政府の検討はどうなる?
  自民党の提言案はどの程度盛り込まれる?
  おそらく議論はかなり紛糾すると思う。というのも、政府案としてまとめる時には、自民党だけではなくて連立を組んでいる公明党の意見も取り入れる必要がある。
  公明党は特にGDP比2%以上について、財源確保の面などから無理があると否定的なので、ここをどう折り合いをつけるのか難しいところ。
  岸田総理が聞く力を発揮して公明党の意見を取り入れすぎても自民党の顔がつぶれてしまうし、どういう書き方になるのか今後注目すべき点だと思う。
(ABEMA/『アベマ倍速ニュース』より)


韓国海軍レーダー照射問題
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』


  韓国海軍レーダー照射問題とは、2018年(平成30年)12月20日15時頃、能登半島沖の日本海において韓国海軍駆逐艦広開土大王」(クァンゲト・デワン、DDH-971)が海上自衛隊P-1哨戒機と対峙し、竹島から北東200キロにある大和堆にいた北朝鮮漁船1隻のために、哨戒機へ火器管制レーダー(射撃指揮システムで使用されるレーダー)を照射したと日本国政府が抗議したことに端を発した日本国政府と韓国政府との間における一連の問題である。

  日本国政府が「哨戒機に対するレーダー照射があった」と主張する一方で、韓国政府は当初は「哨戒機を追跡する目的ではない」「北朝鮮の遭難船のためにレーダーを稼働したのを日本側が誤解した」などとしていたが、その後「レーダー照射はしていない」と主張するなど、哨戒機へのレーダー照射の有無自体の主張が真っ向から対立している。また、韓国政府からは韓国海軍艦艇に日本の海上自衛隊機が低空飛行で接近し「威嚇飛行」を行ったと主張し、日本国政府が「威嚇飛行を行った事実はない」と同じく主張が真っ向から対立している。
  なお、この記事では韓国政府が「日本の海上自衛隊機による再度の威嚇飛行」と主張する2019年1月23日の事案についても記述する。
  韓国文在寅政権による脱北者強制送還事件が発覚した韓国政府の政権交代後の2022年以降に、自衛隊の哨戒機と対峙してまで大和堆の北朝鮮漁船を北朝鮮まで送り届けたというあり得ない事件と報道されている。
  2022年8月文在寅政権で、日本の海上哨戒機に対して、韓国の現場指揮官が追跡レーダーを照射するなどの「積極的な対応」をするよう指示をする指針を作っていたことが確認されたと報じられた。(詳細は時系列等の推移詳細の項目にて記述)
レーダー照射事案
  2018年12月20日15時ごろ、日本の排他的経済水域 (EEZ) 内にある日本海大和堆付近にて、海上自衛隊P-1哨戒機が、韓国海洋警察庁所属の5,000トン級警備艦「参峰」(サンボンギョ、ARS-5001)及びその搭載艇と思われるゴムボート2隻、そして韓国海軍駆逐艦広開土大王」(クァンゲト・デワン、DDH-971)並びに漁船らしき小型の船を視認した。その後の動向は日本・韓国で主張が食い違っている。
日本側の主張
  防衛省は今回の件を「韓国海軍艦艇による火器管制レーダー照射事案」として公表。「最終見解」として以下のように述べている。
  ・平素の警戒監視・情報収集の一環として、P-1が日本の排他的経済水域内を飛行中、韓国海軍の駆逐艦および警備救難艦を確認したため、写真撮影を実施していたところ、突然その駆逐艦から火器管制レーダーの照射を受けた。
  ・P-1はレーダー照射されたことを確認した後、直ちに安全確保のための行動(離隔)をとった。
  ・火器管制レーダーの照射は火器の使用に先立って実施する行為であり、合理的な理由なく他国の航空機に照射することは危険な行為である。日韓両国が合意している海上衝突回避規範(CUES)では、レーダー照射は攻撃の模擬とされ、避けるべき動作の1つとして規定されている。
  ・防衛省の専門部隊で解析したところ、「広開土大王」の火器管制レーダー(STIR-180)からのレーダー波を一定時間継続して複数回照射されていたことを確認した。近傍に存在していた救難艦(サンボンギョ)にはSTIR-180は搭載されておらず、「広開土大王」から照射されたことは明らかである。
  ・レーダー照射を受けたあと国際VHF (156.8MHz) 、UHF緊急周波数 (243.0MHz)、VHF緊急周波数 (121.5MHz)の3つの周波数で「広開土大王」に対して無線通信による呼びかけを行ったが、応答が一切なかった。韓国側は現場の通信環境が悪く、無線が聞き取れなかったとしているが、現場の海域は晴天で雲も少なく、通信環境は良好であった。また、現場から240キロメートル離れた位置を飛行していた航空自衛隊の練習機がP-1から「広開土大王」に対する呼びかけを聞き取っていた。これらの事実から、無線通信が明瞭に受信できなかったということは考えづらい。実際に、韓国側が公表した動画でもP-1からの呼びかけ内容は明確に聞き取ることができる。
韓国側の主張
  韓国側はYouTubeの動画にて自国の主張を公開している。以下はその要約である。
  ・広開土大王が漂流していた北朝鮮の遭難船に対する救助作戦を実行していた際、日本の哨戒機(P-1)が低高度で進入し、威嚇飛行をした。その際、P-1は広開土大王の150メートル上空、500メートルの距離まで接近した。
  ・日本側は国際民間航空条約および日本国の航空法を引用してP-1の飛行高度(150メートル)は国際法上問題ないと主張しているが、国際民間航空条約は民間機に適用される条約であり、軍用機には適用されない。それゆえ、日本は国際法を恣意的に歪曲して解釈している。
  ・広開土大王は遭難船舶救助のために探索レーダーだけを運用していた。仮に韓国側がP-1に向けて火器管制レーダーを照射したならば、P-1は即座に回避行動をするべきだったにもかかわらず、レーダー電波を探知したことを確認しながらも広開土大王に再度接近する異常な行動を見せた。
  ・P-1が試みた無線交信内容は雑音が激しく、明確に聞こえなかった。
  ・日本側が主張する火器管制レーダーの証拠があれば、実務協議で提示すればよい。
  ・人道主義に基づく救助活動中の韓国海軍の艦艇に向けて威嚇的な飛行をしたことを日本側が謝罪するべきである。
両国が公開した資料
  事件発生以降、両国政府によって発生時の映像・画像・音声データ等がWeb上に公開されている。
日本側が公開した資料
  事件発生当時にP-1から撮影された動画で、搭乗している自衛隊員の発言・交信内容も記録されている。2018年12月28日に一部、保全措置を講じた日本語・英語での字幕付き動画が公開され、その後1月6日に 韓国語版 の字幕付き動画も公開された。
  この動画に対して、元アメリカ国防総省のポール・ジアラは「海上自衛隊側に挑発的な行動や危険な動きがあったようには見えなかった」とコメントしている。

  2019年1月21日、防衛省は広開土大王から火器管制レーダーが照射されたことの更なる根拠として2つの音声データを公開した。これらはP-1の乗組員が機上にて聴取していた探知レーダー波を音声に変換したものである。
  火器管制レーダーは目標に対してレーダー波を継続的に照射して、その速度や位置を掴むものである。回転しながらレーダー波を出して周囲の目標を捜索するための捜索レーダーとは波形等のデータに明確な違いがあるため、レーダー波を解析すれば種類や発信源の特定が可能である。防衛省は、このレーダー波は火器管制レーダー特有の性質を示しており、なおかつ広開土大王から発せられたものであるのは明らかであるとしている

  さらに、防衛省は「客観的かつ中立的に事実を認定するためには、相互主義に基づき、日本が探知したレーダー波の情報と、韓国駆逐艦が装備する火器管制レーダーの詳細な性能の情報の双方を突き合わせた上で総合的な判断を行うことが不可欠」としており、12月27日および1月14日に実施された実務者協議において韓国側と証拠を突き合わせて共同で検証することを提案したが、韓国側はこれを受け入れなかったという。1月14日に実施された実務者協議では、防衛省側は証拠の1つとしてレーダー波の音声データを持参した上でその場で韓国側に聴取してもらうことを提案したが、韓国側はその提案も拒否しているという。
  このデータに対し、韓国側は「探知日時、方角、電波の特性などが確認されておらず、実体の分からない機械音だ」と批判している
韓国側が公開した資料
  YouTubeの韓国国防部公式チャンネルにて、8カ国語(韓国語・英語・ロシア語・日本語・スペイン語・フランス語・中国語・アラビア語)で動画が公開された。
  映像内では、海自機へのレーダー照射を否定したほか、海自が人道主義的救助の現場で威嚇的な低空飛行をおこなった、日本側は国際法を恣意的に歪曲・解釈している、などと主張した。動画の長さは4分26秒で、このうち韓国側が撮影した部分は10秒間、残りは日本側が2018年12月末に公開した映像からの引用だった。
  また、この動画のサムネイル画像は自衛隊機が広開土大王に向かって低空飛行しているかのような印象を与えるものであったが、このサムネイルに用いられた機体の画像は海上自衛隊と韓国海軍がウェブ上で公開している画像(事件とは異なる時期)を加工して使用しているとの指摘がなされた。後に韓国政府もサムネイル画像は編集したものであることを認めている
  元海上自衛官で金沢工業大学虎ノ門大学院教授の伊藤俊幸は、韓国側の新たな映像部分に「温かいお湯を・・」という音声が聞き取れることから、内容は韓国警備艇の北朝鮮船に対する救援活動を撮影したもので、自衛隊機は偶然映り込んだに過ぎないと述べている。
海上自衛隊機による「威嚇飛行」とする韓国の抗議
  1月21日に日本の防衛省が韓国との交渉を打ち切ると宣言した翌々日の1月23日、韓国政府からは韓国海軍艦艇に日本の海上自衛隊機が低空飛行で接近し「威嚇飛行」を行ったとの抗議があった。日本政府は「威嚇飛行を行った事実はない」と同じく主張が真っ向から対立している。
  韓国国防部は東シナ海の離於島付近の公海上(韓国側の公表写真によると、離於島の南西131キロ〈具体位置は北緯32度0.3分 東経123度42.9分近辺〉にて、海上自衛隊のP-3C哨戒機が韓国海軍艦艇に低空飛行(高度60~70メートル)で接近し、「威嚇飛行」を行ったとし、その際の画像5枚が1月24日に公開された。5枚中2枚は赤外線カメラで撮影されたものであり、2枚は韓国側レーダーがP-3Cを捉えた写真、1枚は通常の写真である。

  韓国側は「機械は嘘をつかない」としており、日本側への有力な反論になるとの見方を示した。
  産経新聞によれば、画像には海面が写っておらず、60~70メートルまで接近したという韓国側の主張が正しいことを立証できないというが、韓国側は「赤外線画像で証明できる」としている。日本側は「高度150メートル以上を確保していた」としており、双方の主張は食い違っている状況である。
  国防部は当初、画像ではなく映像を公開する予定だった。韓国側が映像の公開を取りやめた理由について、産経新聞は関係者の話として「節制した対応を取った」と報道しているが、AbemaNewsは「急いで撮ったため短い」と報道している。

  この画像と韓国側からの抗議に対し、岩屋毅防衛相は「(日本側が)韓国の艦艇に脅威を与える意図も理由も何もない」「韓国側は軍艦、日本側は哨戒機であり、丸腰の哨戒機が近付いて脅威を感じるのは、むしろ哨戒機の方」と抗議している。
  なお、この事件の発生地である離於島付近の海域は中国にも近い公海であるが、韓国側は自国の排他的経済水域だと主張している。
時系列等の推移詳細
2018年
  ・12月20日 - 15時頃、能登半島沖において海上自衛隊第4航空群所属P-1哨戒機(厚木)が韓国海軍の駆逐艦から数分間、複数回に渡りレーダーを照射された。現場は日本排他的経済水域内で、竹島からは離れている。防衛省の当該航空機は照射を受けた後、韓国側の艦船に無線で意図を問い合わせたが応答はなかった。この段階では、自衛隊内に「韓国海軍が謝罪するよう、制服組同士で協議する時間をもう少し作るべきでは」との声もあったという
  ・12月21日 - 総理大臣官邸の強い意向により、防衛省が事態の公表に踏み切る。岩屋毅防衛大臣記者会見を開き事件の内容を明らかにした。記者団に「韓国側の意図ははっきりと分からない」としつつ、「極めて危険な行為だ」と批判した。
  ・12月22日 - 防衛省は本事案について、慎重かつ詳細な分析を行い、当該照射が火器管制レーダーによるものと判断し、広範囲の捜索に適するものではなく、火器管制レーダーの照射は不測の事態を招きかねない危険な行為であり、仮に遭難船舶を捜索するためであっても、周囲に位置する船舶や航空機との関係において非常に危険な行為で、韓国も採択しているCUES(洋上で不慮の遭遇をした場合の行動基準)において、火器管制レーダーの照射は船舶又は航空機に遭遇した場合には控えるべき動作として挙げられていることをあげ、韓国側に再発防止を強く求めて行くことを発表した。また、韓国海軍は「火器管制用レーダーを作動させたことは事実だが、日本の哨戒機を狙う意図は全くなかった」と話し、「わが軍は正常な作戦活動中にレーダーを運用したが、日本海上哨戒機を追跡する目的で運用した事実はない」と中央日報記者に対して伝えた。
  ・12月23日 - 河野太郎外務大臣は直接的な批判を抑制し「日韓関係を前向きに進めるためにも政府一丸となった対応を(韓国側に)お願いしたい」と述べた。
  ・12月24日 - 金杉憲治外務省アジア大洋州局長が大韓民国外交部ソウル)を訪れ、強い遺憾の意を表するとともに、再発防止を強く求めたが、韓国政府は今までの説明から一転して、「レーダー照射を行った事実はない」として、日本が事実と異なる発表を行ったと主張した。22日時点では韓国軍は「火器管制レーダーを作動した」と自ら説明しており、説明に矛盾が発生している。これに対し岩屋防衛相は「事実関係の一部に誤認がある」と記者会見で指摘し、防衛省名義の文書で「火器管制レーダー特有の電波を、一定時間継続して複数回照射された」と反論する声明を発表した。
  ・12月27日 - 第1回実務者協議を実施。韓国側(ヘッドは合同参謀本部作戦部長の陸軍少将)は照射を否定した。
  ・12月28日 - 17時12分、防衛省はP-1が撮影した当時の映像を公表。
2019年
  ・1月2日 - 大韓民国国防部(以下、「国防部」)は、「友好国の艦艇が公海上で遭難漁船を救助している人道主義的状況で、日本の哨戒機が低空威嚇飛行をした行為そのものが非常に危険な行為」であったとして謝罪を求める声明を発表した。
  ・1月4日
    ・国防部が、韓国側の正当性を主張する映像を公開。
    ・日本の防衛省(以下「防衛省」)は同日、ホームページにて、「大韓民国国防部の主張は、我々(防衛省)の立場とは異なるものである」という見解を示した。
  ・1月7日 - 韓国海軍参謀総長の沈勝燮大将が、海軍第1艦隊司令部を訪問。「すべての諸隊は外国艦艇・航空機遭遇など海洋で発生し得るいかなる偶発状況にも作戦例規や規定、国際法に則り即刻に対応し、現場で作戦を終結させなければならない」と注意・叱責した。同日夜、先日から公開していた反論動画に関し、新たに6ヵ国語を追加した計8ヵ国語分の映像を公開した。また、防衛省も新たに韓国語の字幕等を追加した動画を公開。いずれも動画の内容は変わっていない。
  ・1月8日
    ・国防部は、友好国の軍用機が威嚇行動をした際のマニュアルを具体的に作成していることを明らかにした。
    ・防衛省は、レーダー照射の決定的証拠となる電波情報を韓国側へ提示する用意があると発表した。
    ・韓国政府がレーダーの周波数を含むデータの日本側への提供を拒否していたことが、韓国の軍事関係筋により明らかになった。
  ・1月14日 - 第2回実務者協議を実施。韓国海軍側から高官(ヘッドは合同参謀本部軍事支援本部長の夫石鍾(ブ・ソクチョン)海軍中将)が出席したことで日本側は事態の打開を期待したが、韓国は日本が提案したデータの情報交換を拒否する。
  ・1月19日 - 照射されたレーダーの電波信号を音に変換したものを新証拠として公開する方針を、防衛省が固めたことが報道された。
  ・1月21日 - 防衛省は「本件事案に関する協議を韓国側と続けていくことはもはや困難」との異例の声明を出し、「韓国レーダー照射事案に関する最終見解」と火器管制用レーダー探知音・P-1の当日の飛行ルート・過去に同艦に対して同様の接近をした際に撮影された写真(複数回実施されているが、それまでに韓国から抗議を受けたり問題視された実績はない)等を公開した。
  ・1月22日 - 国防部が「日本が両国関係と韓米日協力、さらには国際社会の和合に何の役にも立たない不適切な世論戦をこれ以上しないことを今一度厳重に求める」との立場文を出す。
  ・1月23日
    ・国防部が、東シナ海の離於島(中国名・蘇岩礁)付近で同日14時3分頃に日本の哨戒機が韓国海軍艦艇に対し「威嚇飛行」を行い、高度約60-70メートルまで接近した」とする声明を発表。更に、「韓国の忍耐し節制した対応にもかかわらず、日本は今月18、22日にも韓国艦艇に低空威嚇飛行をした」と主張。対して日本側は「高度150メートル以上を確保していた」と主張する。
    ・世界経済フォーラムが開催されているダボスで河野太郎・康京和両外相が会談。報道陣の前で康は「大変閉口し、遺憾に思っている」と抗議し、対して河野が「韓国側の発表は遺憾だ」と応酬するとともに「冷静かつ適切な対応を求める」と述べた。
    ・国防部国際政策次長の李倞九(イ・ギョング)陸軍准将は、海上自衛隊の哨戒機が韓国海軍の艦艇に低空威嚇飛行を行ったと発表し、在大韓民国日本国大使館防衛駐在官の永島透1等陸佐・渡邉達也1等海佐を呼んで抗議した。
  ・1月24日 - 国防部が、前日に飛行した自衛隊哨戒機を撮影した画像5枚を公開する。
    ・なお証拠画像に関しては写真に水平線が写っておらず最低でも高度70m以上であること以外に判別が出来ない事等証拠価値に疑問が生じている。
  ・1月26日 - 鄭景斗国防部長官は釜山における海軍作戦司令部を訪問した際に威嚇飛行を取り上げた上で、「日本は威嚇を認めるどころか、韓国海軍によるレーダー照射を主張し韓国側に謝罪を求めている。これは友好国に対する非常識な言動だ」と非難した。
  ・2月 - この頃韓国軍では「日哨戒機対応指針」という日本の哨戒機に対する新たな対処方針を通達している。1月に出された「第三国航空機対応指針」と異なり、日本の軍用機に対しては5段階で対処するように定め、2次警告通信にも応じず近距離を飛行した場合、「追跡レーダー照射」で対抗するように規定している。この方針は青瓦台安保室が主導して軍の案より強硬に作ったものであり、現場では「日航空機対応指針」は事実上有名無実だったとされる。合同参謀本部戦略部長をつとめたキム・ジンヒョンは、日本が攻撃する可能性が高くないにもかかわらず指揮部が曖昧な命令で艦長に軍事的衝突を起こしかねない行動を委ねたのはやり過ぎ」と批判している。
  ・2月4日 - 北朝鮮の韓国向け宣伝サイト「わが民族同士」が本件を取り上げ、「朝鮮半島の平和の雰囲気を壊してわが民族への再侵略野望を実現しようとする日本反動らの凶悪な計略が明るみに出た」などと日本を非難すると共に韓国に共闘を呼びかけ。
  ・6月1日 - 非公式の日韓防衛相会談がシンガポールで開催されたアジア安全保障会議の場を利用して行われたが、韓国の鄭景斗国防相は改めてレーダー照射問題を事実無根であると主張した。
2021年
  ・7月13日 - 国防部は、日本が防衛白書において竹島の領有権を重ねて主張したことについて、在韓日本大使館の国防関係者を呼んで抗議した。国防部はまた、この席で「私たちの艦艇が日本の哨戒機のレーダーを照射したという一方的な主張を繰り返し、2018年の大韓民国海軍国際観艦式に対する海上自衛隊艦艇不参加の責任を韓国側に転嫁するなど否定的技術を継続していることにも深い遺憾を表し、これらの内容の即時是正を強く要求した」と説明した。
2022年
  ・7月-朝鮮日報にて、イ・ヨンジュン元韓国外交部北核大使(韓国外務省北朝鮮核大使)は北朝鮮の漁船一隻のために韓国海軍が自衛隊と対峙したありえない事件とし、政権交代後に「国家による国民に対する犯罪行為」と問題視された文在寅政権による北朝鮮への脱北漁民強制送還事件韓国公務員殺害事件と共に、政権による職権乱用と報道している。
  ・8月 -国民の力」の申源湜議員(元合同参謀本部次長)の質問により、文在寅政権において、日本の海上哨戒機に対して、韓国の現場指揮官が、火器管制用の追跡レーダーを照射する(この行為は、それに続く、艦砲やミサイル攻撃の意志を伝える)など「積極的に対応するよう」韓国海軍に指示をする「日哨戒機対応指針」が確認されたと報じられた
  この指針は、韓国の防空識別圏(KADIZ)を無断進入する中国や、領空を侵犯したロシアには適用されず、日本の航空機だけを対象としたものであり、公海上で唯一、日本との交戦だけは辞さないという趣旨となるものだった

  キム・ジンヒョン前合同参謀本部戦略部長(予備役海軍少将)は、日本とは安全保障分野では協力する関係だとして「日本が攻撃する可能性が高くないにもかかわらず、指揮部が曖昧な命令で艦長に軍事的衝突を起こしかねない行動を委ねたのはやり過ぎ」と指摘した
  イ・キボム延世大学法学専門大学院教授は「国家が自衛権を行使できるのは当然だが、自衛権行使に先立ち外交的関係も考慮しなければならない」と指摘した。申源湜によると、国防部はこの指針の破棄を検討していると述べている


兵站 
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』


  兵站(へいたん、英語: Military Logistics)は、戦闘地帯から見て後方のの諸活動・機関・諸施設を総称したもの。戦争において作戦を行う部隊の移動と支援を計画し、また、実施する活動を指す用語でもあり、例えば兵站には物資の配給整備兵員展開衛生、施設の構築や維持などが含まれる。
  兵站という漢語の字義は「の中継点」(Wiktionary「」を参照)である。世界中で広範に使用される英語表記のロジスティクス(logistics)は、ギリシア語で「計算を基礎にした活動」ないしは「計算の熟練者」を意味する「logistikos」、またはラテン語で「古代ローマ軍あるいは東ローマの行政官・管理者」を意味する「logisticus」に由来する。
  類義語としては戦闘支援(戦闘実施時に部隊の作戦行動を支援すること、英: Combat Support)、後方支援(作戦行動を行う部隊の軍事的な機能を保持させる、英: Combat Service Support)があり、これらに比べて兵站はより広い範囲を指示する概念である。
理論
先行研究
  ジョミニは、戦争の理論を構成する三つの要素として戦略戦術に並んで兵站を位置づけている。また、米国海兵隊将校のソープ(G. C. Thorpe)は、戦争を演劇に例え、「役者が立つ舞台を準備することが兵站の役割である」と考察した。
  ジョミニやソープの説明は、兵站が軍事理論において補助的な存在ではなく、むしろ主要な地位を占め、軍事作戦の遂行を基礎付けることを示唆している。軍事学において極めて有名な格言である「戦争の素人は戦略を語り、戦争の玄人は兵站を語る」はそのような兵站の重要性を端的に強調したものであると言える。
  兵站研究の古典的名著に、ジョミニの『戦争概論』がある。『戦争概論』では、兵站が果たして戦争術の重要な一部門であるのか、または幕僚業務を総括する慣習的な用語でしかないのかという問題について検討がなされた。そして、兵站の本質的な要素が運動(Movement)であることを確認した上で、運動のひとつである行軍と行軍の経路となる後方連絡線の問題を通じ、兵站が戦略との関係を明らかにした。
  クラウゼヴィッツは、軍事学の古典の白眉として知られる『戦争論』の中で、戦場の部隊の運動を妨げる諸要因を「摩擦」として概念化した。
  ヒューストン(James. A. Huston)の『The sinews of war』は、第二次世界大戦における重要な戦略的決心(ディシジョン)の上で、兵站の制約が極めて重要であったことを明らかにした。
  クレフェルトは、自著『補給戦』において、戦闘部隊と非戦闘部隊との比(teeth-to-tail)に着眼した。戦闘部隊の比率が高さが戦闘効率と因果関係を持つとの従来の理論を否定し、適切な比率の導出が戦争の摩擦により困難であることを示した。
要素
  「必要なものを」「必要な時に」「必要な量を」「必要な場所に」補給することは、ロジスティクスの要諦であり、兵站任務を円滑に遂行する作戦地域と兵站基地との交通上のつながりを維持するために数理的、物性的、情報的な処理が求められる。これが後方連絡線または背後連絡線(Line of communications, LOC)であり、これは、複数の兵站基地とそれらを相互に接続する道路鉄道路水路海路航空路で構成される。
  後方連絡線の結節点となる兵站基地はその兵站機能から戦略的、作戦的、戦術的な兵站基地に区分される。
   ・戦略的には生産交通の要所に平時から設置される戦略兵站基地
   ・作戦的には方面隊が作戦区域内に設置する方面兵站基地
   ・状況に応じて、戦術的に設置される方面前進兵站基地
  また、別の分類としては兵站基地は兵站地区司令部や兵站衛生諸機関、その関連機関などが併設される兵站主地、通常は兵站地区司令部や出張所と併設される兵站地、前線の作戦部隊に対して最寄の兵站基地である兵站末地(terminal point of line of communications)と区分される場合もある。
原則

歴史
近代以前(「レギオン」および「アウルク」も参照)
  近代以前において兵站とは、食糧や消耗品の局地的な調達と拠点の兵站基地の組み合わせで成立していた。アレクサンドロス3世(大王)が行ったマケドニアからインダスへ至る長距離の遠征、また、ハンニバルが指揮した北アフリカからイベリア半島を経由したイタリア遠征は、その典型的な事例である。しかし、体系的な兵站が皆無であったわけではない。ペルシア王クセルクセスは、ペルシア戦争でのギリシア侵攻において大規模な戦力を派遣するために後方の補給部隊を計画的に運用しており、また、古代ローマレギオンは、各部隊が自己完結的な兵站機能を備えることで柔軟な運用が可能であったために第一次ポエニ戦争ではおよそ26キロメートルを3週間という時間で行軍した記録も残されている。

  13世紀においてモンゴル軍が確立していた兵站能力は効率的に組織されており、基地補給、局地補給、自己完結を駆使することで迅速な行軍能力を発揮することが可能であった。それは、モンゴル軍は多数の騎兵部隊を保持しているだけでなく、野営生活を中心とする遊牧民の生活技術によるものでもあった。くわえて、敵地侵攻の際には組織的な略奪によって消耗を補い、複数の行軍縦隊に分かれて戦地に集合することにより速やかに行動することが可能であった。このような効率的な兵站体系によってモンゴル軍は290キロメートルを3日間で移動する能力を備えていた。
  しかし、中世ヨーロッパ軍隊は、作戦行動を開始すると敵地での略奪や市場での調達に依存していたために兵站的に不安定であった。特に攻城戦が長期化すると攻囲している軍の消耗を補填できるだけの兵站機能を確保することが困難であった。このような事態を避けるためにヨーロッパでの戦争ではしばしば河川での輸送倉庫を組み合わせた兵站が実行されていた。
近世
  中世までヨーロッパでは、軍隊行軍の途上や戦場において集団的な略奪を行うことによって局地的な補給を行っていたが、それは体系的に行われていたものというよりもその場の情勢に応じて応急的に実施されていた。
  このような状態が改善されるようになった背景には17世紀-18世紀にかけてのグスタフ・アドルフオラニエ公マウリッツによる軍事革命の成功があった。彼らはローマ軍の兵站組織を参考としながら、より合理的な兵站体系の確立を目指した。グスタフにより洗練された兵站体系の画期性として標準化が挙げられる。彼は戦闘部隊の装備や編制に手を加えてある特定の規格に基づいて標準化された火砲を砲兵部隊に装備させ、歩兵騎兵の部隊にも小規模な自己完結的な補給能力を付与した。
  しかし、18世紀に戦場で行動する軍隊の規模の拡大、弾薬を消耗する火器の普及に伴って、後方連絡線の脆弱化と倉庫の配置の複雑化が進み、より抜本的な改善が必要となった。特にナポレオンは、自らの軍事戦略を実現可能なものとするために従来よりも機動的な作戦行動を可能とするような兵站体系を開発した。フランス軍はしばしば都市や農村に宿営して食糧が安定的に補給できるようにし、さらに各部隊は緊急事態に備えて4日分の食糧を備えて移動する補給部隊を組織していた。このような兵站体系を確立したフランス軍は5週間にわたって2万名の兵員を1日に19キロメートルの距離を行軍させることができた。しかしこれら組織的な補給体系にも拘らず1805年の戦いでは総勢20万に及ぶ大陸軍の食料と飼葉を保持するには全く不足しており、軍団は現地調達の必要性からドイツのもっとも豊かな地域を行軍せざるをえず、また整備はされていたものの少数の街道に軍団と補給部隊が集中したことから生じた大渋滞は、部隊への補給状況をさらに悪化させた。1812年のロシア戦役はナポレオン軍として最大かつ最も組織的な兵站部隊を組成したにも関わらず、ポーランドウクライナの劣悪な道路事情、現地調達の困難さ、軍紀紊乱による自軍補給部隊に対する略奪の発生、やがてロシアの気候条件そして、パルチザンによる妨害により崩壊することとなった。
近代
  19世紀-20世紀にかけて兵站に影響をおよぼす事件として産業革命が発生した。このことに関連して兵站史において近代という時代区分では、大規模な戦力の動員火力の増大、軍需品の生産手段に関する革新、人的または物的資源を組織的に管理するための体系的な方法の確立が特筆される。
  このような兵站の近代化が顕著に現れたのは、アメリカ南北戦争ヨーロッパ普仏戦争においてである。通信鉄道を通じて従来にない数量の兵員や物資が戦場に送り込まれ、また、近代の兵站の技術的基盤が形成された。
  第一次世界大戦が勃発すると総力戦とも呼ばれる大規模な総動員に基づいた兵站が実施され、大量の火力が投入されたことで所要弾薬の分量が増大した。そのことで軍馬に依存していた輸送は、当初は鉄道輸送に多大な期待をかけられシュリーフェン・プランなどに積極的に組み込まれたものの、第一次大戦の戦訓は自動車輸送の有用性を証明し、兵站駅を供給基地とした補給戦略は再考を迫られることとなった。さらに軍隊における兵站部門の専門化が進み、世界大戦がはじまるまでに兵站に特化した機関や部隊が設置されるようになる。
  第二次世界大戦では長期的かつ大規模な兵站が重要な役割を果たしており、アメリカ陸軍では年間で400万トンの弾薬を砲兵に供給し、150万トンが小火器として戦闘部隊に提供された。兵站部門で扱われていた物資は90万種類にものぼり、既に開発されていた鉄道輸送だけでなく、海上輸送航空輸送が計画的に活用されていた。兵站を管理するための方法にも科学的管理や数理的方法の導入が進み、オペレーションズ・リサーチといった応用数学が用いられるようになった。
機能
補給(詳細は「補給」を参照)
  補給(Supply)とは、部隊の物的な戦闘力を維持増進するために、作戦に必要な『物資』を必要な『時期』に必要な『場所』に充足させることである。
  戦闘を遂行する上で求められる軍需品は量的に膨大であるだけでなく多種多様である。しかも、補給所要(ニーズ)は日々の状況に応じて変化し、また、限りある補給能力を効率的に活用しなければならない。これら一連の補給の問題に対処するために、兵站学では補給の計画的な管理と効率的な実行を追求する。
輸送(詳細は「輸送」を参照)
  輸送(Transportation)とは、ある地点から別の地点へと何かを移動させることであり、すなわち、作戦上、必要な部隊や物資を適時適所に位置させることである。輸送は兵站の基本的な機能の一つであり、迅速性と安全性を両立させ、限りある陸海空路の輸送手段を各種総合的に使用することが重要となる。
  しかし、輸送を行う上では自然環境や敵による妨害、すなわち摩擦が障害となる。兵站学では、輸送は敵の攻撃や気象状況の変化などを予め想定し、計画に融通性を備え、障害に対する必要な警戒や防護を準備する。
整備(詳細は「メンテナンス」を参照)
  整備(Maintainance)とは、部隊の戦闘力を維持するために、装備の性能を完全に発揮できる状態、もしくは使用可能な状態に回復させる活動である。整備は、戦闘部隊自らが行う整備、整備部隊による整備、外注による整備があるが、いずれも作戦を遂行する上で必要な武器兵器可動率(Operational Availability)を最大化するために行われる。
会計(詳細は「事務」を参照)
  会計(Finance)は、兵士の勤怠管理や給与の支払い、施設維持管理の折衝や管理費の支払い、基地で使用されるライフラインの契約、食料品や物品購入など金銭の出納や事務作業全般を担当し、事務課とも呼ばれる。航空自衛隊では会計隊が、陸上自衛隊では会計科が担当し、海上自衛隊では経理が担当する。
情報と備蓄管理
  必要とされている部隊に必要な物資を無駄なく供給するためには、合理的な情報管理が必要である。交戦中においては敵の作戦行動による不確実性を考慮する必要があり、安定的な兵站線の確保は、より高度な課題となる。敵に知られていたり予測されている物流計画は格好の攻撃対象であるため、物流計画は重要な軍事機密であり、漏洩は防がなければならない。備蓄管理は補給活動を効率的に行うために必須であり、21世紀現在の大規模な近代型軍隊ではITによるデジタル情報ネットワークによってできるだけ無駄を省いた補給を行っている。
  軍事分野だけでなく企業活動においてもロジスティクスでの効率化の要は20世紀末の電子情報技術の利用であり、戦闘部隊の兵士や企業顧客が求めた物品がどこを輸送中であるかがいつでも明らとされ、無数の輸送コンテナの中身を調べなくとも電子コードによって瞬時に判明するようになっている。
  前線や各兵站堡からの注文の受領を行い、オペレーションズ・リサーチなど数学的手法を用いて各補給線ごとの運搬能力を最適化した運用計画や需要予測を立案する。物流計画は軍事・民生ともにおいて重要な内部情報であり、敵や競合会社に漏洩することは致命的な結果を招く可能性がある。
  補給すべき物資の質と量は各部隊ごとに異なっている。兵站線に対する攻撃に対処するためにも情報は重要となる。地形・地図情報や周辺領域や住民、ゲリラ活動の有無などの情報収集も重要である。







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