防衛問題-1

令和元年版防衛白書 軍事他 自衛隊法-『ウィキペディア(Wikipedia)』



2021.04.10-産経新聞 THE SANKEI NEWS-https://www.sankei.com/politics/news/210410/plt2104100004-n1.html
東シナ海で日米共同防空戦闘訓練 尖閣念頭に中国牽制か

  航空自衛隊は10日、九州西方の東シナ海上空で8日に日米共同の防空戦闘訓練を実施したと発表した。目的を「日米同盟の抑止力・対処力を強化するため」としており、沖縄県・尖閣諸島周辺での活動を強める中国を牽制(けんせい)する狙いがあるとみられる。
   空自によると、新田原基地(宮崎県)のF15戦闘機4機、築城基地(福岡県)のF2戦闘機4機が参加。米軍は、海兵隊のF35Bステルス戦闘機2機、空軍のF15戦闘機4機、E3空中警戒管制機1機、KC135空中給油機2機を投入した。


2021.04.04-産経新聞 THE SANKEI NEWS-https://www.sankei.com/politics/news/210404/plt2104040017-n1.html
最新鋭F35Bは宮崎に配備へ

  防衛省が、今後導入する最新鋭ステルス戦闘機F35Bについて、航空自衛隊の新田原(にゅうたばる)基地(宮崎県)への配備を検討していることが4日、分かった。F35Bは短距離離陸・垂直着陸が可能で、空母などの大型艦に搭載できる特徴を持つ

  防衛省は、全通式甲板を備えるヘリコプター搭載護衛艦「いずも」と同型艦「かが」を改修して「空母化」し、F35Bを運用できるようにする計画だ。F35Bの運用に関しては、自衛隊基地がない離島の民間空港を活用することも視野に入れており、東シナ海から太平洋などへ活動範囲を拡大させている中国を念頭に南西方面の防衛力を強化する。
  F35Bがいずも型護衛艦や離島で運用できるようになれば、攻撃にさらされやすい基地の滑走路が使えなくなっても任務を継続できる抗堪(こうたん)性」が高まる。
  米軍はF35Bを岩国基地(山口県岩国市)に配備しており、海上自衛隊の呉基地(広島県呉市)が母港の「かが」を含めた日米共同訓練も想定される。
  防衛省は中期防衛力整備計画で令和5年度までにF35Bを18機導入するとしており、最終的には42機態勢にしたい考えだ。


2021.03.31-産経新聞 THE SANKEI NEWS -https://www.sankei.com/world/news/210331/wor2103310017-n1.html
中国国防省、防衛省に「強烈な不満」伝える 日米連携念頭に牽制

  【北京=三塚聖平】中国国防省は31日までに、日本の防衛省と3月29日に開いたテレビ会議で、日本側に対し一連の中国に関するマイナスの振る舞いに強烈な不満と深刻な懸念を表明した」と発表した。

  日本が米国と16日に開いた日米外務・防衛担当閣僚による安全保障協議委員会(2プラス2)で、中国を名指しして深刻な懸念」を表明したことが念頭にある。日本側に「中国に対するデマや中傷を停止するよう求めた」と牽制(けんせい)した。
  中国国防省は30日深夜に公式サイトに掲載した報道官談話で、29日にテレビ会議方式で開いた「海空連絡メカニズム」に基づく防衛当局間の年次会合に関する中国側の見解を発表した。
  それによると、尖閣諸島(沖縄県石垣市)について「中国の固有の領土だ。日本がどのようにもくろんでも、この事実を変えることはできない」と主張。日本側に対し「釣魚島(尖閣諸島の中国側名称)問題での中国に対する挑発行為を停止すべきだ」と求めた。
  中国が2月に施行した海警法については「中国の正常な立法活動で、国際法と国際慣例に完全に合致している」と主張した。
  会合では、自衛隊と中国軍の偶発的な衝突を回避するための「海空連絡メカニズム」で緊急時に幹部をつなぐホットラインの開設が議題にあがった。


2021.03.20-日本経済新聞-https://www.nikkei.com/article/
中国最大駆逐艦が日本海へ航行 防衛省、初めて確認

  防衛省統合幕僚監部は19日、中国海軍のレンハイ級ミサイル駆逐艦など艦艇計3隻が対馬海峡から日本海へ航行するのを確認したと発表した。レンハイ級は中国海軍最大規模の駆逐艦で、日本近海で活動するのを海上自衛隊が初めて確認した。領海侵入や海自艦艇、航空機への危険な行動はなかった。

  日米両政府は16日に東京都内で外務・防衛担当閣僚による安全保障協議委員会(2プラス2)を開催し、中国を名指しで懸念を表明した。防衛省は、この時期に日本付近で大型艦艇を航行させた中国の意図を詳しく分析している。
  防衛省統幕によると、18日午前11時ごろ、長崎県対馬市の南西約250キロで、海自の多用途支援艦「あまくさ」、ミサイル艇「しらたか」とP1哨戒機が中国の3隻を確認した。その後3隻は、対馬海峡から日本海へ入った。
  レンハイ級は1番艦が2020年1月に就役。垂直ミサイル発射システムを搭載し、長射程の対地巡航ミサイルや超音速の対艦巡航ミサイルが発射可能とされる。
〔共同〕


2021.03.17-産経新聞 THE SANKEI NEWS-https://www.sankei.com/politics/news/210317/plt2103170041-n1.html
<独自>与那国・対馬に電子戦部隊 「2つの弧」で中露に対抗

  防衛省が電磁波を使う陸上自衛隊の電子戦専門部隊を令和5年度末までに沖縄県の与那国島と長崎県の対馬に配備することが、分かった。18日には電子戦の最新装備を導入した初めての専門部隊を熊本県で発足させる。北海道から九州にかけた「列島の弧」と九州・沖縄の「南西の弧」という2つの弧を描く形で10カ所以上に部隊を配置し、電子戦で先行する中国とロシアに対抗する構えを築く。

  軍事作戦では通信機器やレーダー、ミサイル誘導に電波や赤外線などの電磁波が使われる電子戦は相手の電磁波利用を妨害し、自国の電磁波利用を防護するものだ。

  平素から相手の通信やレーダーで使用される電磁波の周波数を把握し、有事に同じ周波数の電磁波を発射して混信を起こさせ、複数の部隊が連携するための通信を遮断する。動向を把握するためのレーダーも機能しないようにし、相手部隊の神経と目を不能にする。

  陸自の電子戦部隊は第1電子隊が北海道の東千歳駐屯地にあるだけだったが、18日に熊本県の健軍(けんぐん)駐屯地に80人規模で部隊を新設し、最新装備の車載式のネットワーク電子戦システムを配備する。3年度末には東京都の朝霞駐屯地にも同規模で部隊を発足させる

  北海道、東京、熊本の3部隊が列島の弧をなし、遠距離の電子戦を担う。電磁波のうち長距離通信用の短波(HF)は中露全域の両国軍の通信状況が日本国内から把握でき、日本周辺に展開してくる艦艇と本国の司令部などとの通信を確認することも可能。有事には通信を妨害し、複数の拠点で収集することで電磁波を発する相手の部隊や装備の位置も詳細に特定できる。

  3年度末には北海道の留萌のほか、長崎県の相浦▼鹿児島県の奄美▼那覇▼沖縄県の知念-の駐・分屯地にも部隊を置く。さらに5年度末までに対馬と与那国島の駐屯地にも新設する。 対馬から与那国島に配置する部隊が南西の弧で、東シナ海などに展開してくる中国軍の艦艇と航空機に対処する。個々の艦艇や航空機は通信などで発する電磁波に指紋のような特徴があり、平素から特徴を収集して動向把握や作戦形態の分析に生かし、有事には妨害電磁波を発射して通信機能やレーダーを無力化する。
  尖閣諸島(沖縄県石垣市)への中国の挑発活発化を踏まえ、沖縄県内の他の自衛隊拠点への電子戦部隊の配備も検討している。
  電子戦 電波などの電磁波を利用した戦い。(1)相手の通信機器やレーダーに強い電波などを当てて機能を妨げる電子攻撃(2)電波の周波数変更や出力増加で相手の電子攻撃を無効化する電子防護(3)攻撃と防護のため相手の使用電波を把握する電子戦支援-がある。


2021.03.17-産経新聞 THE SANKEI NEWS-https://www.sankei.com/politics/news/210317/plt2103170042-n1.html
自衛隊、離島有事で米超える能力 与那国・対馬に電子戦部隊配備へ

  電磁波を使う自衛隊の電子戦の構想と態勢が17日、明らかになった。陸海空という従来の領域に組み合わさる宇宙・サイバー・電磁波(ウサデン=頭文字による略称)という「新たな領域」で電子戦は自衛隊の強みだ。とりわけ中国との有事に日米で共同対処をする上で、前線に位置して能力も米軍より優れている自衛隊の電子戦部隊は大きな役割を果たせる。

  電子戦部隊の任務は平素から(1)部隊ごとにさまざまな周波数に対応できる装備を配置(2)相手の使用周波数などの情報を収集してデータを蓄積(3)レーダーサイトなど他の情報部隊と連携して相手の動向を把握-することだ。有事には相手と同じ周波数や強力な電磁波を発射して通信とレーダーの無力化により身動きを取れなくし、電磁波発信源を特定してミサイルなどで迎え撃つ作戦にも生かす

  ロシアは2014年から続くウクライナへの軍事介入で電子戦とサイバー戦を一体化させた世界初の作戦を行い、北方領土にも最新電子戦装備を配備した。中国も15年に設立した戦略支援部隊が宇宙、サイバーと並び電子戦を担い、南シナ海の人工島に電波妨害装備を展開させている。
  米国は後れを取る。ウクライナでのロシアの作戦を目の当たりにした米陸軍幹部は「ロシア陸軍が行える(電子戦の)1割もできない」と嘆いたほどで、電子戦システムや装備の開発に必死だ。
  陸上自衛隊は1950年代から電子戦の要員養成と装備開発を続け、熊本県に最新装備のネットワーク電子戦システムを配備する部隊の発足に結実した。日本は新たな領域のうち宇宙では出遅れ、サイバーは技術力があっても要員が不足する中、「陸自の電子戦部隊は米陸軍より圧倒的に優れている」(防衛省幹部)と指摘される。

  中国による南西方面の離島侵攻で電子戦の対象となる電磁波は多くの情報を伝えることができたり、レーダーで使用したりする超短波(VHF)やマイクロ波(SHF)が中心だ。VHFやSHFは数十キロしか届かず、奄美・与那国両駐屯地をはじめ電子戦部隊を細かく分散配置をするのはそのためで、地の利も生かして自衛隊が主導する作戦となる。(半沢尚久)


2021.03.16-NHK 政治マガジン-https://www.nhk.or.jp/politics/articles/statement/55759.html
日米2プラス2  中国の海警法に懸念

  日米の外務・防衛の閣僚協議、いわゆる「2プラス2」がアメリカのバイデン政権発足後初めて行われました。中国の「海警法」に深刻な懸念を示すとともに、東シナ海などでの現状変更を試みる一方的な行動に反対することで一致しました。
  茂木外務大臣、岸防衛大臣、アメリカのブリンケン国務長官、オースティン国防長官による日米の外務・防衛の閣僚協議、いわゆる「2プラス2」は午後3時すぎからおよそ1時間半、外務省の飯倉公館で行われました。
  この中で4人の閣僚は、台頭する中国をめぐって意見を交わし、中国の行動は既存の国際秩序に合致せず、日米同盟や国際社会にさまざまな課題を提起しているという認識で一致しました。
  そのうえで、中国が海上警備にあたる海警局に武器の使用を認める「海警法」を施行したことに深刻な懸念を示し、東シナ海や南シナ海での海洋進出を「現状変更を試みる一方的な行動だ」として反対することで一致しました。

  また、沖縄県の尖閣諸島がアメリカによる防衛義務を定めた日米安全保障条約第5条の適用対象であることを改めて確認し、尖閣諸島に対する日本の施政を損なおうとする一方的な行動に引き続き反対していくことを確認しました。
  このほか、4人の閣僚は台湾海峡の平和と安定の重要性や北朝鮮の完全な非核化に向けた日米韓3か国の協力拉致問題の即時解決、それに宇宙、サイバーなどの領域での協力を深めていくことなども確認しました。
  そして、今後もオーストラリアやインドをはじめとする価値観を共有する国と連携して自由で開かれたインド太平洋を推進していくことで一致し、年内にも改めて「2プラス2」を開くことになりました。

  茂木大臣は共同記者会見で「インド太平洋地域の戦略環境は以前とは全く異なる次元にあり、日米同盟の抑止力、対処力の強化に向けた方針をじっくり議論できたことは極めて有意義であり、日米同盟の強固さを力強く発信するものだ」と述べました。

  岸大臣は「アメリカ軍と自衛隊がより高度な2国間、および多国間の演習を実施していく必要性で一致した。訓練の実施を通じて高い能力を獲得し、共に行動している姿を示していくことは重要なことだ」と述べました。
ブリンケン国務長官「対北朝鮮政策 日米韓が連携」
  アメリカのブリンケン国務長官は、日米の外務・防衛の閣僚協議、いわゆる「2プラス2」のあとの共同記者会見で、対北朝鮮政策に関して日本とアメリカ、韓国の3か国で連携して取り組むことが最も重要だという認識を示しました。
  ブリンケン国務長官は、対北朝鮮政策に関して現在、政権内部で多角的に再検証しているとしたうえで「私の判断では日米韓の3か国での協力関係が今後、最も重要になってくる。北朝鮮に対応するうえで戦略的に優位に立てる方策はこの同盟関係以外になく、この問題に効果的に取り組むためには同盟国どうし連携して対処する必要がある」と述べました。
  そして「北朝鮮に対して追加の圧力を加える方法にどのようなものがあるのかや意味のある外交的な手段について検討している」と述べ、日本や韓国との協議を踏まえて数週間以内に新たな政策を取りまとめたいという考えを示しました。
  また、ブリンケン長官は「非核化や人権侵害の問題、それに拉致問題の解決に向けて努力をしていきたい」と述べるとともに、拉致被害者の家族から手紙を受け取ったと明らかにし「とても力強く心を打つ内容だった」と話しました。
  一方、ブリンケン長官は中国に関して「ミャンマーや香港、台湾、チベット、南シナ海など多くの場所で民主主義や人権、法の支配といった価値観が危機に陥っている」と述べました。
  そして「各国がルールに従い、協力し、可能なかぎり相違点を平和的に解決するつもりだが、中国が威圧的で侵略的な行動に出た場合には反発する。インド太平洋地域はますます世界の地政学の中心となっていく」と述べ、自由で開かれたインド太平洋の維持に向けて同盟国や友好国との連携を強化していきたいという姿勢を示しました。
オースティン国防長官「結束を強化 満足のいく協議」
  アメリカのオースティン国防長官は、日米の外務・防衛閣僚協議、いわゆる「2プラス2」のあと開かれた共同記者会見で「ともに直面する課題に対応するため、どのように結束を強めることができるかについて満足のいく協議となった」と述べました。
  オースティン長官は、北朝鮮の核ミサイル開発や中国の東シナ海や南シナ海での挑発的な行動について協議したとしたうえで「中国に対する懸念は日本も共有している。今日の地球規模の変動のもとで競争していくためにはチームワークが重要で、それこそが日米同盟だ」と述べました。
  また中国の台湾への軍事的な圧力に関して質問されたのに対し、オースティン長官は「われわれの強さは同盟として行動することだ。中国など同盟を脅かすものに対して、競争力を維持することが最終的な目標だ。より迅速に対応できるよう準備が整った状態にすることが私の仕事であり、正しい力をつけるためにどんなに早く動いても十分ではない」と述べました。
成果文書発表 中国の海洋進出などを強くけん制
  日米の外務・防衛の閣僚協議、いわゆる「2プラス2」のあとに発表された成果文書は、中国の海洋進出や人権問題などを強い表現でけん制する内容となっています。はじめに、拡大する地政学的な競争や新型コロナウイルス、気候変動、民主主義の再活性化といった課題の中で、日米は自由で開かれたインド太平洋とルールに基づく国際秩序を推進していくことへの関与を新たにしたとしています。
  そして「中国による既存の国際秩序と合致しない行動は、日米同盟や国際社会に、政治的、経済的、そして軍事的および技術的課題を提起している」と指摘したうえで「地域の他者に対する威圧や安定を損なう行動に反対する」としています。
  そのうえで、中国が海上警備にあたる海警局に武器の使用を認める「海警法」を施行したことなどを「地域に混乱を招く動き」だと指摘し「深刻な懸念」を表明しています。また、アメリカによる防衛義務を定めた日米安全保障条約第5条のもとでの、沖縄県の尖閣諸島を含む日本の防衛に対するアメリカの「揺るぎない関与」について議論したとしたうえで「日米は、現状変更を試みる、あるいは、尖閣諸島に対する日本の施政を損なおうとするいかなる一方的な行動にも引き続き反対する」と明記しています。
  そして
南シナ海をめぐる問題についても「中国の不法な海洋権益に関する主張や活動に反対する」としているほか
台湾海峡の平和と安定の重要性を確認し
香港と新疆ウイグル自治区の人権状況について「深刻な懸念を共有した」としています。
  一方、日米同盟をめぐっては、防衛協力を深化させ、核戦力を含む軍事力で日本を守る拡大抑止を強化するために緊密に連携するとしていて、宇宙やサイバーといった領域での連携強化の重要性も指摘しています。
  また、日本側の役割については「日本は国家の防衛を強固なものとし、同盟をさらに強化するための能力を向上させることを決意した」と記しています。
  このほか、共同文書では、
北朝鮮の完全な非核化や、拉致問題の即時解決の必要性を確認したとしているほか、
インド太平洋地域の平和や繁栄に向けた日米韓3か国の協力が不可欠だとしています。
また、
在日アメリカ軍の再編について沖縄の普天間基地の名護市辺野古への移設工事を可能なかぎり早期に完了するとしているほか、
在日アメリカ軍の駐留経費について、再来年度以降の日本側負担をめぐる交渉の合意に向けて取り組むよう、交渉官に指示したとしています。
菅首相 米 両長官と会談
  菅総理大臣は、16日夜、総理大臣官邸で、アメリカのブリンケン国務長官、オースティン国防長官と会談しました。日米両国が主導する形で「自由で開かれたインド太平洋」を維持・発展させていく重要性を確認しました。

  会談には、茂木外務大臣と岸防衛大臣も同席しました。
  この中で、菅総理大臣は「最初の外遊先として日本を訪れたことと、バイデン大統領が『アメリカが戻ってきた』と高らかに宣言したうえで同盟国とパートナー国との関係を重視する政策を推進することを心から歓迎する」と述べました。
  そして、会談では、日米同盟の抑止力や対処力を一層強化していくことで一致し、両国が主導する形で、「自由で開かれたインド太平洋」を維持・発展させていく重要性を確認しました。
  また、会談では、中国の「海警法」を含め、東シナ海や南シナ海で継続・強化される一方的な現状変更の試みに関し、深刻な懸念を表明しました。
  さらに、北朝鮮情勢をめぐって、引き続き、日米の緊密な連携を確認するとともに、拉致問題の即時解決に向けて協力していくことで一致しました。
一方、菅総理大臣は、在日アメリカ軍の安定的な駐留の確保には、地元の理解が不可欠だと指摘し、会談では、日米同盟の抑止力を維持しつつ、沖縄を含む地元の負担軽減を着実に実施することの重要性も確認しました。
米国務省「日本を守る揺るぎない義務 再確認」
  菅総理大臣とアメリカのブリンケン国務長官、オースティン国防長官が行った会談について、国務省は声明を発表し「会談で菅総理大臣と両長官は、日米同盟がインド太平洋地域の平和と安全、そして繁栄の礎であることを強調した」としています。
  また、菅総理大臣と両長官は北朝鮮の核の脅威への対応や、新型コロナウイルスからの復興のほか、気候変動への対応などについても意見を交わしたということです。
  そして両長官は「日米安全保障条約第5条に基づき、尖閣諸島を含む日本を守るという揺るぎない義務を再確認するとともに、東シナ海の現状を変更しようとするいかなる一方的な試みにもアメリカは反対することを表明した」としています。


2021.03.13-産経新聞 THE SANKEI NEWS-https://www.sankei.com/politics/news/210313/plt2103130009-n1.html
岸防衛相「中台の軍事バランスが中国有利に」 オンライン安保会議で

  岸信夫防衛相は13日、カナダのシンクタンクが主催する「安全保障・防衛に関するオタワ会議」にオンライン形式で参加し、台湾をめぐる安全保障環境に懸念を示した。「中国が軍事力の強化を急速に進める中、中台の軍事バランスが中国側に有利な方向に変化し、その差は年々拡大する傾向にある」と指摘した。日本の防衛相が同会議に参加するのは初めて。岸氏は親台派として知られており、「地域の軍事バランス構造の転換とみられる動向はしっかり注視していく」と強調した。

  スピーチの中では香港情勢についても取り上げ、中国の全国人民代表大会(全人代)が決定した香港の選挙制度変更を「看過できない」と批判。尖閣諸島(沖縄県石垣市)周辺で中国海警局の船が領海侵入を含め活動を常態化させている現状も説明し、「中国は一方的な現状変更の試みを執拗に継続している」と危機感を示した。
  香港や台湾情勢も踏まえて「力による一方的な現状変更の試み」を批判するのは異例で、岸氏は「太平洋の西側で起きていることへの強い問題意識」をスピーチの中で訴えた。


2021.03.05-Yahoo!Japanニュース(産経新聞)-https://news.yahoo.co.jp/articles/f596b359810977e3b2f4b052d163efbc93ad76b6?source=rss
中国成長、日本の輸出に追い風 米中対立で依存にはリスク

  中国が2021年の国内総生産(GDP)成長率の目標を「6・0%以上」と設定したことは、日本経済に追い風になりそうだ。新型コロナウイルスの感染拡大から、いち早く経済活動を再開させた中国向け輸出のさらなる増加が見込まれるためだ。ただ、米国はバイデン政権に代わっても対中強硬路線を緩めない考えで、中国製の半導体を使わないなどサプライチェーン(供給網)から中国を外す動きを加速させれば、対中輸出が増す日本経済にも影響は避けられない。
   「中国の21年の成長率は市場予測では8%程度が多い中、6%は保守的な数字ではないか」。みずほ証券の小林俊介チーフエコノミストはこう分析する。実際、20年10~12月期の中国のGDPは前年同期比で6・5%増と、すでに6%を上回っている。
   中国の高成長が続けば、輸出を中心に日本への恩恵は大きい1月の中国向け輸出は前年同月比で37・5%増の1兆2326億円。全体の輸出に占める中国向けの割合は21・3%と、4・8ポイント上昇した。中国は“世界の工場”とも呼ばれ、日本からは非鉄金属や、半導体の製造装置といった完成品を作るための部材や製品の輸出が多い。
   ただ、第一生命経済研究所の熊野英生首席エコノミストは「中長期的には、バイデン政権はサプライチェーンから中国を外す動きに出てくる」と米中摩擦の激化を指摘する。中国の生産や消費が停滞する恐れもあり、日本は過度な対中依存を抑える必要がある。(大柳聡庸)


2021.02,25-産経フオト-https://www.sankei.com/photo/story/news/210225/sty2102250015-n1.html
尖閣上陸強行に危害射撃も 政府説明

  政府は25日、自民党国防部会・安全保障調査会の合同会議で、外国公船が沖縄県・尖閣諸島への上陸を強行すれば凶悪犯罪と認定して武器使用により相手の抵抗を抑える「危害射撃」が可能になる場合があるとの見解を示した。警察官職務執行法に基づく警察権の行使と位置付けた。 出席議員によると、外国公船の上陸強行を阻止するための危害射撃に政府が言及するのは極めて異例という。

   警職法は懲役・禁錮3年以上の凶悪犯罪に対する武器使用を認めており、危害射撃も含まれる。合同会議には内閣官房や海上保安庁、警察庁、防衛省の担当者らが説明役として出席。尖閣諸島への上陸を外国公船が強行しようとするケースも凶悪犯罪と認定できる場合があり、危害射撃は可能だとの認識を示した。
  この他、政府側は(1)外国公船が日本人を連れ去った場合に相手の船に乗り込んで奪還する対応は可能(2)領海周辺を飛行するドローンは領空侵犯と見なして自衛隊が撃墜も含めて対応することが可能-などと説明した。


2021.02.19-Yahoo!Japanニュース(産経新聞)-https://news.yahoo.co.jp/articles/e660a74aecbcbdd29c625ba74c222e1fc74884b3
電子戦装備、ロシアが日米との戦力差埋める切り札 実戦に向け態勢着々

  北方領土にロシア軍の最新の電子戦装備が配備されていることが明らかになった。「攻撃に高価な兵器は不要で電波妨害機能さえあれば十分」と自賛するロシア軍にとって最新電子戦装備は日米との通常戦力の差を埋める切り札だ。ロシア軍は電子戦が展開できない状況では軍事作戦を行わないともされ、裏を返せば北方領土で実戦に向けた態勢整備を着々と進めているといえる。
  日本政府高官は「ロシア軍は着上陸防御に加え、艦艇の太平洋進出と戦略原潜の活動に適したオホーツク海の聖域化のために北方領土を要塞にしようとしている」と指摘する。
   2016年に択捉・国後両島へ新型地対艦ミサイルを配備し、18年には軍民共用化した択捉島の新民間空港に新型戦闘機を置いた。最新電子戦装備を配備したのはその前後にあたる。

   10年から強化し、世界で群を抜くロシア軍の電子戦の特徴は扱う周波数や機能が異なる10種類以上の装備を重層的に運用することにある。電波は周波数によって届く距離や直進性など特性が違うためで、情報収集や妨害という目的ごとに装備を使い分けてもいる

   ロシア軍はウクライナへの軍事介入で電子戦の実験場のように多様な装備を投入し、現代戦の鍵を握る情報通信ネットワークの切断と攻撃を行った。(1)ウクライナ軍の無線通信を電波妨害で無力化(2)GPS波遮断で活動も妨害(3)ウクライナ軍兵士が無線通信の代わりに使った携帯電話の電波から位置を把握し、誘導装置がいらない安価な火砲でピンポイント攻撃-だ。
   (3)の作戦で主力になったのが北方領土に配備したオルラン10とレエル3で、重層的な運用を踏まえれば他の電子戦装備も北方領土に配備すると警戒すべきだ。(半沢尚久)


2021.02.19-産経新聞 THE SANKEI NEWS-https://www.sankei.com/world/news/210219/wor2102190043-n1.html
北方領土に最新電子戦装備 ロシア軍配備 世界随一の精密攻撃実証

  防衛省が北方領土にロシア軍の最新の電子戦装備が配備されたと分析していることが19日、分かった。ロシア軍は電磁波を使う電子戦を生かした最先端の実戦経験が豊富で、北方領土に置いた装備は2014年から続くウクライナへの軍事介入で世界随一の精密な攻撃能力を実証している。

  日露両政府の北方領土交渉が停滞する中、ロシアによる北方領土での軍備増強が浮き彫りになった。
  ロシア陸軍は第18機関銃・砲兵師団が北方領土の択捉(えとろふ)・国後(くなしり)両島に駐留し、配備した最新電子戦装備は、偵察用小型無人機「Orlan(オルラン)10」と地上配備電子戦システム「Leer(レエル)3」。電子戦システムを搭載した1台の指揮車両と3機の小型無人機で全体を構成する。

  防衛省が四半期に一度をめどに公表するロシア軍の資料で択捉・国後両島の主な装備に小型無人機を初めて明記。小型無人機は指揮車両とともに2017年までに両島に配備されたと判断している。
  運用形態は小型無人機が前線で敵指揮所の通信装置や兵士の携帯電話といった電波発信源を探知し、指揮車両に情報を送る。指揮車両は電波が出ている方向や特徴から電波発信源の位置を解析して緯度・経度の座標データに変換し、火砲など火力戦闘部隊に伝え、精密な攻撃につなげる。
  電波を捕捉して分析する電子戦と火力戦闘を融合させた戦い方は米軍でさえ装備やノウハウを有していない携帯電話の微弱な電波を把握し、即時に攻撃目標とする作戦を実証しているのもロシア軍だけだ。

  ロシア軍は、小型無人機と指揮車両をウクライナとシリアへの軍事介入に投入しており、ウクライナでは作戦を有利にするため軍兵士の携帯電話に虚偽のメッセージを送ったとされる。当時、ウクライナの携帯は日本で1990年代に使われていた通信規格の第2世代(2G)で、セキュリティー対策が厳しくなっている4Gや5Gの携帯に同じ作戦は現状では通用しないとしても、ロシア軍は対策を破る能力向上を進めているとみられる。


2021.02.17-産経新聞 THE SANKEI NEWS-https://www.sankei.com/politics/news/210217/plt2102170028-n1.html
在日米軍駐留経費、現行水準を1年延長で日米が合意

  日米両政府は17日、来年度以降の在日米軍駐留経費の日本側負担額をめぐる交渉に関し、令和3年度分は暫定的に現行の水準を維持することで合意した。防衛省は3年度予算案に2017億円を計上しており、この水準で基地で働く従業員の給与や光熱水費、訓練移転費を負担する

   両政府は同日の外務・防衛当局実務者による交渉で合意に至った。日本の負担額はこれまで、原則5年ごとに特別協定を結び定めてきた。今回の合意は3年度分のみが対象となる暫定的な措置で、4年度以降の日本側負担額については引き続き日米間で協議する
   現行の特別協定は今年3月末で失効することから、日米両政府は日本の3年度予算編成をにらみ、当初は昨年内に交渉を妥結させる想定だった。
   しかし、昨年11月の米大統領選で米軍駐留経費の大幅な負担増を主張していたトランプ前政権の交代が決まったことから、日本政府は昨年内の妥結は見送り、今年1月に発足したバイデン新政権下で交渉をまとめる方針に切り替えていた。
   日本政府は特別協定の1年延長について、今年3月末までに国会での承認を得たい考えだ。


2021.02.16-gooニュース(産経新聞)-https://news.goo.ne.jp/article/sankei/politics/sankei-plt2102160029.html
島嶼防衛強化へ「輸送艦4隻導入」 防衛相

  岸信夫防衛相は16日の記者会見で、島嶼(とうしょ)部への輸送能力を強化するため、輸送艦計4隻を令和5年度末までに導入する方針を示した。2000トン級の中型船舶1隻と数百トン級の小型船舶3隻で、同年度末までに海上輸送部隊を新編する。
 岸氏は会見で「島嶼防衛を万全に行うためには、全国各地から陸上自衛隊の部隊や各自衛隊の装備品を継続的に輸送する必要がある」と強調した。


2021.02.06-産経新聞 THE SANKEI NEWS-https://www.sankei.com/politics/news/210206/plt2102060010-n1.html
海警法めぐり国際世論戦 日本政府の発信に不満も

  中国の海上警備を担う海警局(海警)に武器使用の権限を付与した海警法をめぐる国際世論戦が始まっている。3日の「日中高級事務レベル海洋協議」では、日本側が「強い懸念」を伝達する一方、中国側は「国際法に合致している」として正当化した。同日に行った日英外務・防衛閣僚協議(2プラス2)でも日本側は海警法を取り上げて懸念を伝えるなど、国際社会との危機感の共有を急いでいる。
  「この法律が国際法に反する形で運用されることがあってはならない。日本の強い懸念を共有したい」
  日英2プラス2で茂木敏充外相はこう強調した。

  2月1日の海警法施行を受けて、政府・与党内では尖閣諸島(沖縄県石垣市)周辺の態勢強化や新たな法整備を含めた対策の検討が進んでいる。
  平時でも有事でもない「グレーゾーン事態」に切れ目なく対処するには、これまでとは異なる思い切った対策が必要で、自民党関係者は「国際世論を味方につけるためにも、事態をエスカレートさせているのは中国側だと繰り返し発信しなければならない」と指摘する。
  海警法に関しては、南シナ海で領有権をめぐる問題を抱えるフィリピン、ベトナムも反発しており、フィリピンのロクシン外相は先月27日に自身のツイッターで「海警法は戦争の脅しだ。抵抗しなければ海警法に服従することになる」と発信し、中国側に抗議したことを明らかにした。
  そうした中で、自民党内では日本政府の対応への不満もくすぶっている。同党の保守系グループ「日本の尊厳と国益を護(まも)る会」(代表・青山繁晴参院議員)は2日、海警法施行を受けて緊急要望をまとめた。その中では「『懸念や関心』程度の対応ですむ段階ではない」として、尖閣周辺での定期的な日米共同演習の実施などを求めている。

  自民党国防部会関係者も「『国際法に反する形で運用されることがあってはならない』のは当たり前で、海警法が国際法違反だとはっきり言うべきだ」と主張する。
  海警法は、適用される「管轄海域」をあいまいにした上で、管轄権が「外国の組織」に侵害された場合、「武器の使用を含む一切の必要な措置」をとると明記している。
  防衛省幹部は「一目読んだだけでも、国際法に合致しているかは疑わしい」と指摘する一方で「あいまいな点が多く、この法律だけで国際法違反とは言い切れない。そこが中国が仕掛けてくる『法律戦』の巧妙なところだ」と話す。(大橋拓史)


2021.02.02-総合ニュース YONHAP NEWS AGENCY-https://jp.yna.co.kr/view/AJP20210202001200882
韓国国防白書 日本を「パートナー」から「隣国」に格下げ

  【ソウル聯合ニュース】韓国の文在寅(ムン・ジェイン)政権で2回目となる2020年版の国防白書では北朝鮮について「敵」との記述が盛り込まれなかった。また、強固な韓米同盟を強調する中、米軍主導の韓米連合軍が持つ有事作戦統制権の韓国軍への移管を「加速化」させるとした一方、「パートナー」としていた日本は「隣国」と記述するにとどめた。

◇「敵」の包括的な概念維持 不適切との批判も
  20年版白書は前回の18年版と同じく、「わが軍は韓国の主権、国土、国民、財産を脅かし、侵害する勢力をわれわれの敵とみなす」と記述した。「北の大量破壊兵器は朝鮮半島の平和と安定に対する脅威」との記述も18年版と変わっていない。
  18年版白書で「北の政権と北の軍はわれわれの敵」との記述を削除し、「敵」を広範囲かつ包括的な概念とした定義を今回も維持した。北朝鮮に対する不要な刺激を最小限にとどめる狙いがあるとみられる。
  ただ、北朝鮮が2019年に短距離弾道ミサイルの発射実験を強行し、党大会などに合わせて新型兵器を相次いで公開している中、「北の顔色をうかがいすぎ」との批判が出そうだ。20年版白書の公表を控え、「北は主敵」との記述を盛り込むよう求める声も出ていた。
  1995年から2000年までは白書で「主敵」との記述があったが、04年からは「直接的な軍事脅威」「現存する北の軍事的な脅威」などに変更された。10年に韓国海軍哨戒艦「天安」撃沈事件と延坪島砲撃事件を受け、「北の政権と北の軍は敵」との記述が再び登場し、朴槿恵(パク・クネ)前政権まで続いた。
有事作戦統制権の韓国軍への移管を「加速化」
  20年版白書では「わが軍は韓国の国力と軍事力に見合う責任国防の実現」との国民的な要求に応じるため、強固な韓米同盟を基盤とし「条件に基づいた移管」を積極的に推進していると記述した。その上で、「移管に必要な防衛能力を早期に拡充しながら、移管を加速化させていく」と強調した。「加速化」との記述が新たに追加され、移管を積極的に進めていく姿勢を明確にした。
  また、20年に韓米合同軍事演習を陸軍が29回、海軍が70回、空軍が66回、海兵隊が7回実施したと明らかにした。
日本は「隣国」に格下げ
  20年版白書には悪化した韓日関係が反映された。
  周辺国との国防交流協力について、前回と同じく日本を中国に続いて2番目に取り上げ、「日本は両国関係だけではなく、北東アジアおよび世界の平和と繁栄のためにも協力して行かなければならない隣国」と記述した。18年版白書で「両国は地理的、文化的に近い隣国であり、世界の平和と繁栄に向け共に協力していくべきパートナー」としたことから格下げした形だ。

  20年版白書では日本の政治指導者の独島関連の挑発、18年の海上自衛隊哨戒機の韓国艦艇に対する威嚇飛行と「事実をごまかした一方的なメディア発表」で両国の国防関係が難航し、19年7月の日本の対韓輸出規制措置が「未来志向の発展への障害」になっていると指摘した。
  また、韓国政府が輸出規制措置の撤回に向けた協議を条件とし、韓日軍事情報包括保護協定(GSOMIA)終了通知の効力を停止した状況についても言及。その上で、「今後も日本の歴史歪曲(わいきょく)、独島に対する不当な領有権主張、懸案問題でも一方的かつ恣意(しい)的な措置に対しては断固として厳しく対処する一方、共通の安保懸案については朝鮮半島と北東アジアの平和と安定のため、継続的に協力していく」と明記した。
  昨年7月に日本の防衛省が公表した20年版防衛白書でも、韓国との「幅広い協力」との記述が削除されていた。


2021.01.01-Yahoo!Japanニュース(産経新聞)-https://news.yahoo.co.jp/articles/f6852edbae72879a93491c69f0226dc25dc038eb
新潟に最新鋭の“密輸監視船”配備 小さな船も捕捉可能 瀬取りの抑止へ

  東京税関新潟税関支署に12月、密輸などの洋上監視に当たる最新の大型監視艇「りゅうと」(143トン)が配備された。覚醒剤などを洋上から密輸する事件が増える中、新潟市北区の新潟東港を拠点に日本海での監視活動を担う。通常は税関関係者しか乗船できないこの船に、就役直前に乗った。(本田賢一)


機動力アップ
  「りゅうと」は全長37メートル幅6・6メートル。通常出力での航海速力は30ノット(時速約56キロ)。高速ディーゼルエンジンをフル稼働させたときの最高速度や航続距離は「取り締まりに影響するため非公開」(新潟税関支署の菅家久和次長)だが、船体に高速航行に最も適しているとされるアルミニウム合金が使われていることから、それなりの速度が出ると思われる。
   推進方式は日本海の荒波を考慮し、プロペラを回転させ進む方式を採用した。「高圧の水流を噴出して進むウオータージェット方式は荒波で横滑りを起こすため、日本海のように荒波が多いところには適さない」(菅家氏)からだ。
   また、同船は最新機器を搭載しており、大きな船から積み荷を積み替えようとして近づく小さな船もレーダーで捕捉できる。さらに船体を横に動かすための動力装置「バウスラスター」を装備した。
   榎本直樹・東京税関長は「麻薬や銃の取り締まり業務にこれから就くが、横の移動がしやすくなって機動力がアップした」と期待を寄せた。
瀬取りを抑止
   普段は新潟駅から車で40分ほどの新潟東港の岸壁に停泊している。タラップから船内に入ると、固定テーブルや椅子などが置かれたサロンがあり、打ち合わせや食事などに使われる。
   サロン近くの階段から上階に上がると、操だ室がある。乗組員は7人。ほかに新潟税関支署の職員が監視員として乗り込み、不審船舶がいないか監視する。
   「瀬取りの抑止などを目的にしたパトロールが主な任務。不審船を追尾するとともに、場合によって海上保安部や警察に連絡し、連携して取り締まることもある」(菅家氏)
  瀬取りとは、洋上にいる船舶間で積み荷を積み替えること。密輸されてきた物資を上陸させる際に行われることが多い。また、北朝鮮籍の船舶による瀬取りは国連安全保障理事会決議で禁止されており、日本などの国連加盟国が監視を強めている。
   情報収集も重要な任務の一つだ。「寄港先で、怪しい船が入ってきていないか情報収集する」(菅家氏)という。  怪しい船とは次のような船を指す。
(1)夜中に漁具も積まずに出港する漁船
(2)外国船と頻繁に無線で交信したり、沖合に向かって信号を送ったりしている船
(3)高出力のエンジンや大型の燃料タンクを搭載するなど、目的がはっきりしない改造を施した小型船舶
(4)船籍を隠している船など-だ。
最新の密輸事情
   財務省関税局によると、令和元年に洋上取引などで密輸された全国の覚醒剤押収量は、前年の約11万倍の約1・6トン。2年は、新型コロナウイルスの影響で世界的に人や物の動きが止まったこともあり、上半期(1~6月)の洋上取引などで押収した覚醒剤はゼロだった。その分、航空、海上貨物にしのばせて覚醒剤を密輸する手口が増えている。
   新潟税関支署は新型コロナの収束後を見据え、「従来の監視取り締まり体制を維持していく」という。






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