monomousu   もの申す
TOPにもどる
最近のニュース
防衛問題-railgun
防衛問題-wikipedia
ここは2021年8月~2022年4月のニュースです
日本の核武装論-『ウィキペディア(Wikipedia)』
無人航空機-『ウィキペディア(Wikipedia)』
日本の防衛問題2021年8月~2022年4月

   自衛隊や自衛の措置-JFBA  中国の南シナ海進出と国際社会の対応


2022.04.30-産経新聞-https://www.sankei.com/article/20220430-TBANPJFLDBI5LBLOB7R2VQ6PNY/
<独自>日本海上、無人機で監視 極超音速兵器追尾

  防衛省が、現在のミサイル防衛(MD)で対処が難しいとされる極超音速兵器などを探知・追尾するため、日本海などの上空に多数の滞空型無人機を常時展開する構想を検討していることが30日、分かった。同省は令和4年度当初予算に調査研究費1億円を計上。人工衛星を低軌道に多数投入する米国の「衛星コンステレーション」と並行し、新型ミサイルの探知・追尾態勢構築を目指す。

  検討中の構想では、長時間飛行が可能な固定翼の滞空型無人機で数機から数十機のチームを日本海や東シナ海など地域ごとに編成。無人機は地上システムによる管制で継続的に飛行し、搭載された小型赤外線センサーで監視した低空域のデータを地上へ伝送する。燃料補給で交代しながらチームで常時監視態勢を取り、既存のMDによる迎撃も視野に入れる。
  中国やロシアなどが開発で先行する極超音速滑空兵器(HGV)などは通常の弾道ミサイルより低い高度を音速の5倍となるマッハ5以上で飛ぶため、対空レーダーをかいくぐり、従来のMDでは探知が遅れて追尾が難しいとされる。
  こうした新型ミサイル対策として米国が進める「衛星コンステレーション」は、早期警戒衛星が投入されている高度3万6千キロの静止軌道に対し、300~1千キロの低軌道に1千基以上の小型赤外線観測衛星を投入。より低高度から監視することで新型ミサイルの探知を可能にする。
  周辺地域でのデータ共有を図るべく防衛省も参画を目指しており、今年度予算に研究費約3億円を計上している。米国は2年後をめどに試験運用する計画だが、多数の衛星を高速通信網でつなぎ、高度な演算処理を実現できるかどうかは不透明だ。
  そこで同省は衛星コンステレーションとは別に、今年度から無人機を活用した態勢構築へ向けた検討を開始。既に米国メーカーなどの複数機種が検討対象になっている。
  防衛省は平成28年、無人機に関する中長期ビジョンを策定したが、技術基盤の確立が課題だった。同省はまず常時監視態勢が可能かどうかを見極める方針だ。


2022.04.27-Yahoo!Japanニュース(産経新聞)-https://news.yahoo.co.jp/articles/f7a2a7a742a1c47e26cdd8b2991dc25761282048
〈独自〉タイと防衛装備協定締結へ 中国念頭に政府調整

  政府がタイとの間で、日本からの防衛装備輸出に向けた「防衛装備品・技術移転協定」を締結する方向で調整に入ったことが27日、分かった。岸田文雄首相は29日から東南アジア・欧州歴訪でタイ訪問を予定しており、両政府はこれに合わせた協定署名を目指す強大な経済力と軍事力を背景にして東南アジアで影響力を強める中国を念頭に、安全保障協力のネットワークを強化する狙いがある。複数の政府関係者が明らかにした。

  タイ政府は自衛隊の哨戒機や救難飛行艇などに関心を持っているとされる。協定締結後、どのような装備協力が可能か当局間で協議する。 両政府は平成29(2017)年11月に防衛装備品・技術移転協定に関して協議入りすることで合意していた。
  日本企業が30年に目指したタイ空軍の防空レーダー受注には失敗しているが、令和元年11月には河野太郎防衛相(当時)とプラユット首相兼国防相との会談で防衛協力・交流に関する覚書に署名している。
   タイは、アジアにおける米国の同盟国5カ国の1つ。自衛隊は米軍とタイ軍が共催する多国間軍事演習「コブラゴールド」に参加を続けており、日タイ間で人道支援・災害救援分野の協力も進めている。
  日本は防衛装備に関する協定をフィリピン、ベトナム、マレーシア、インドネシアとの間で締結しているが、タイとは締結していなかった。 タイは2014年のクーデターで米国との関係が悪化。米政府が昨年12月に開催した民主主義サミットにも招待されていない。
  この間、タイは中国からの武器輸入が米国からの輸入を上回り、17年にはタイ海軍が中国製潜水艦を購入する契約を結んだ潜水艦はドイツ企業がエンジン供給を拒否したことで計画は頓挫しているが、日本政府関係者は今回の装備協定締結で「タイを日米側に引き寄せる効果を狙う」と語る。
  木原誠二官房副長官は26日の衆院議院運営委員会理事会で、首相が4月29日から5月6日までの日程でインドネシア、ベトナム、タイ、イタリア、英国の5カ国を訪問すると説明した。


2022.04.22-毎日新聞-https://mainichi.jp/articles/20220422/k00/00m/040/250000c#・・・
海自初の燃料輸送タンカー、呉基地に配備 国内運用向け-【岩本一希】

  国内の海上自衛隊基地への燃料輸送などを担うタンカー「油槽船1号(YOT01)」(4900トン)が22日、広島県呉市の呉基地に配備された。国内の基地向けの油槽船が海自に配備されるのは初めて。7月には2隻目も配備される予定。

  午前8時45分。2隻のタグボートを引き連れたYOT01は海自関係者約60名に迎えられて入港。約2時間の点検後、造船会社から海自に引き渡された。
  YOT01は全長約105メートル、幅約16メートル。民間製油所での作業を効率的に行うため、日本海事協会が定める規格で建造され、船内は民間の中型タンカーとほぼ同じ作りになっている。愛媛県今治市の新来島波止浜(はしはま)どっくで2隻が57億円で建造された。
  海自は既に、海外派遣などの際に洋上で給油する補給艦を保有しているが、国内の製油所から基地、また基地間の燃料輸送はこれまで民間業者のタンカーが役割を担っていた。海自によると、独自に油槽船を所有することで業者との契約に要する日数がなくなり、柔軟な燃料輸送や有事の際の安定輸送が可能になるという。
  乗組員が訓練を重ねた上で運用を始める。船長に就任した永山文彦3等海佐(53)は「与えられた任務にしっかり対応できるよう必要な訓練をしたい。呉の皆さんにも船を知ってもらいたい」と話した。【岩本一希】


2022.04.16-NHK NEWS WEB-https://www3.nhk.or.jp/news/html/20220416/k10013584771000.html
自民が提言原案 “防衛費を5年めどに対GDP比で2%水準に増額”

  政府の国家安全保障戦略などの改定に向けて、自民党が提言の原案をまとめ、防衛費について、NATO=北大西洋条約機構の加盟国がGDP=国内総生産に対する割合で2%以上を目標にしていることを念頭に、日本も5年をめどに同程度の予算水準の確保を目指すとしています。

  自民党の安全保障調査会は、国家安全保障戦略など安全保障関連の3つの文書を年末までに改定する政府の方針を受けて、提言を検討しており、その原案をまとめました。
  原案では、防衛費についてNATOの加盟国が対GDP比2%以上を目標にしていることを念頭に、日本も5年をメドに同程度の予算水準の確保を目指し、必要な予算を積み上げるとしています。
  NATOの防衛費には、沿岸警備の予算なども含まれていて、同じ基準で換算した昨年度の日本の防衛費は、対GDP比で1.24%になり、原案ではこれを増額していくべきだとしています。
  一方、敵のミサイル発射基地などを破壊する、いわゆる「敵基地攻撃能力」をめぐっては「ミサイル技術の急速な変化・進化によって、迎撃のみでは、我が国を防衛しきれないおそれがある」として「専守防衛」の考え方のもとでこうした能力を保有し、対象は基地に限定せず、指揮統制機能なども含めるよう求めています。
  調査会では「敵基地攻撃能力」の名称変更を求めることにしていますが、新たな名称は結論が出ておらず、来週さらに検討を進め、今月中に提言をとりまとめる方針です。


2022.04.01-東京新聞-https://www.tokyo-np.co.jp/article/169148
海保、シーガーディアン導入決定 大型無人機、監視強化へ

  海上保安庁が海洋監視強化のために今年から導入予定の大型無人航空機の機種について、2020年の実証実験で使用した米ジェネラル・アトミクスのシーガーディアン(MQ―9B)を選定したことが1日、海保への取材で分かった。青森県八戸市の八戸飛行場を拠点とする方向で調整しており、10月の運用開始を目指す。

   海保によると、導入費用は約40億円。3年間の契約で、23年度以降は複数機の運用を検討している。操縦は外部に委託し、海保は13人態勢で情報分析などを担う。
   シーガーディアンは全長11・7メートル、幅24・0メートルで航続時間は最長35時間となる。


2022.03.28-産経新聞-https://www.sankei.com/article/20220328-EETWBK6YH5IJNKQX3YXX2AYDU4/
陸自に「電子作戦隊」発足 安保新領域、大幅強化へ

  陸上自衛隊の新たな部隊「電子作戦隊」が発足した。本部は朝霞駐屯地(東京都練馬区など)に置き、電磁波領域での対処能力強化のため、昨年以降、九州・沖縄を中心に全国の駐屯地に順次新設している電子戦の専門部隊を束ねる。

  防衛省は、中国やロシアの技術力の進歩を踏まえ、宇宙・サイバー・電磁波の3領域を安全保障の次世代の新たな柱と位置付ける。2023年度末には、国境沿いにある沖縄県の与那国と長崎県の対馬の両駐屯地に配置する方針。陸自の電子戦部隊は大幅に体制を強化することになる。
  陸自によると、電子作戦隊の発足は17日付。陸自の部隊運用を一元的に担う陸上総隊の傘下で、「ネットワーク電子戦システム」を運用する。平時には電磁波情報の収集・分析や評価に当たり、有事になれば敵が電波を使って活動するのを無力化する。現状は全国で約180人体制。
  作戦隊がまとめる部隊は留萌(北海道留萌市)、相浦(長崎県佐世保市)、健軍(熊本市)、奄美(鹿児島県奄美市)、那覇(那覇市)の各駐屯地と知念分屯地(沖縄県南城市)にある。朝霞にも本部とは別に部隊を設置。健軍は昨年3月、ほかは今年3月にできた。


2022.03.27-Yahoo!Japanニュース(現代ビジネス)-https://news.yahoo.co.jp/articles/62ad13a10e352504dc0548a02505f4463b0d64fe
脅威増す北朝鮮、「それでも必ず米国が守ってくれる」は本当か…今、日本が考えるべきこと
(1)
  朝鮮中央通信などは25日、北朝鮮が24日午後、新型の大陸間弾道ミサイル(ICBM)「火星砲17(従来の名称は火星17)」 型の試射を行ったと発表した。
  金正恩朝鮮労働党総書記が23日に試射を断行するよう命じ、当日は現地で試射を指導した。試射は、「周辺国家の安全を考慮して」、通常軌道より高角度で打ち上げるロフテッド軌道で行われ、最大高度は6248.5キロ、距離1090キロを約67分間飛行したという。

  日本政府によれば、ミサイルは24日午後、北海道の渡島半島の西方約150キロの日本海、我が国の排他的経済水域に落下した。
火星17の性能は
  松野博一官房長官は24日の会見で、このミサイルの最高高度が、2017年11月に発射されたICBM「火星15」を大きく超えたと説明した。火星15は米本土東海岸に到達できる射程1万3千キロとされていた。
  岸信夫防衛相は25日、火星17の射程が1万5千キロ以上になり、米国の東海岸を含む全土に到達する可能性があると見方を示した。
  火星17は2020年10月、片側11輪の移動発射台に搭載されて登場した。火星15を搭載した発射台は片側9輪。長さも胴体の周囲も、火星15より大型だった。世界でも北朝鮮以外では片側8輪よりも大きな発射台は存在しない
   韓国国防研究院で北朝鮮軍事を研究した金振武・韓国淑明女子大国際関係大学院教授によれば、火星17は、北朝鮮が2017年3月に開発に成功した白頭山エンジン4基を搭載している可能性が高い。北朝鮮が17年5月に発射した中距離弾道ミサイル「火星12」(射程5千キロ)は同エンジン1基、火星15は同エンジン2基をそれぞれ搭載しているとみられていた
   そして、この白頭山エンジンは、ウクライナのドニプロペトロウシクにある国営企業が1960年代に開発したRD250型エンジンに酷似している。韓国軍関係者の1人も「ノズルなどがRD250と似ている。北朝鮮独自で開発したとは考えにくい。国際的な協力を仰いでいるはずだ」と語っていた。

   金教授も、北朝鮮がこうした旧来型のエンジンを使ったことが、「火星17は、米国のミニットマンや中国の東風31のような最先端のICBMではなく、旧ソ連が1970年代に配備していたICBMに似ている」結果になったと説明する
   北朝鮮の軍事開発に詳しい脱北者によれば、北朝鮮は1991年12月の旧ソ連崩壊直後、ロシアやウクライナなど旧ソ連出身の核・ミサイル技術者約50人を「米国に採用される場合の2倍の給料」を保証するとしてスカウトに成功したという
(2)
火星17を開発した理由
  4年以上前に発射された火星15が、すでに米国東海岸に到達する能力を持っていたのに、なぜ、北朝鮮は更に大型の火星17を開発したのか
  米ランド研究所上級アナリストのブルース・ベネット氏は「火星15のペイロード(弾頭積載重量)は明らかになっていない。北朝鮮は17年の火星15の発射実験では、最大の政治的効果を得るため、ペイロードを極めて小さくしたのではないか」と語る。
   金振武教授によれば、米国は核弾頭を約100キロ、中国は約300キロまで小型化した。金氏は「北朝鮮も核弾頭を300キロくらいまで小型化した可能性がある」とするが、専門家の間では「500~700キロ程度までしか小型化が進んでいない」と指摘する声もある確実に核弾頭を搭載できるよう、大型化する必要があったかもしれない。
   また、北朝鮮が25日に公開した火星17の写真をみると、2020年10月のパレードで公開された機体と同様、大きな弾頭部分が目立った。金教授は「北朝鮮は将来、火星17をより迎撃されにくい多弾頭にすることも念頭に置いているのだろう」と話す。
   果たして、金正恩総書記は24日の現地指導の際、「朝鮮の戦略武力は、米帝国主義者のどんな危険な軍事的企図も徹底して抑止できる万端の準備態勢にある」と語り、火星17が米国に対する抑止力を想定したものだとの考えを示した。
「衛星運搬ロケット」と強弁していたけれど
  一方、北朝鮮は2月27日と3月5日、弾道ミサイル各1発を平壌近郊の順安空港付近から発射した。労働新聞は発射翌日の報道で、それぞれ「偵察衛星開発のための重要実験」と説明した。
   2月28日付の同紙は、ミサイルから撮影したとみられる地球の写真を公開したが、ミサイル本体の写真はなかった。16日に失敗したミサイルとみられる飛翔体も、順安空港付近から発射された。
   朝鮮中央通信は11日、金正恩朝鮮労働党総書記が平安北道東倉里にある「西海衛星発射場」を視察したと報じた。北朝鮮が過去、「衛星運搬ロケット」と称した長距離弾道ミサイルを発射してきた場所だ。正恩氏は施設の拡充を指示していた。

   火星15の発射を受けた国連の対北朝鮮制裁決議2397は、北朝鮮が新たな核実験やICBMの発射実験を行う場合、「 安全保障理事会が北朝鮮に対する石油の輸出を更に制限するための行動をとることを決定する」としている。
   北朝鮮としてはこの「自動制裁強化条項」の発動を避けるため、「衛星運搬ロケット」の実験だと強弁していたとみられる。ただ、日米韓3ヵ国は偵察衛星や高高度偵察機などの情報から、一連の実験に火星17が使われていたと判断し、3月11日に公表した。
   北朝鮮としては、これ以上、「衛星運搬ロケット」と言い張る意味がなくなったため、逆に公然とした脅迫行為に転じたとみられる。ロシアによるウクライナ侵攻により、米国と中ロ両国との対立が激しくなっている今、国連は機能しないと分析したのかもしれない。実際、国連安保理は25日、緊急の公開会合を開いたが、制裁強化を唱える米国と、緩和を訴える中ロが対立し、一致した姿勢を示すことはできなかった。
   ただ、北朝鮮のウェブサイト「朝鮮の今日」によれば、北朝鮮国家宇宙開発局の担当者は22日、「軍事衛星を多数配置する」という考えを示している。おそらく、4月15日の金日成主席誕生110周年の前後に、「衛星運搬ロケット」を発射し、今度はロフテッド軌道ではなく通常角度で、1万キロ以上の飛行に踏み切る可能性が高い。
(3)
本当にアメリカは拡大抑止力を提供してくれるのか
  では、こうした状況のなか、日本はどう対応していけば良いのか。
   米海軍第7艦隊(横須賀)は3月15日、朝鮮半島西側の黄海で空母艦載機による発着訓練を行ったと発表した。演習には米空母エイブラハム・リンカーン搭載の艦載機や、周辺地域を拠点とする空軍機が参加した。黄海は中国にも近いため、これまでバイデン政権は空母関連の活動に慎重な姿勢を示してきた。
   バイデン大統領は24日、訪問先のブリュッセルで岸田文雄首相と会談し、北朝鮮のICBM発射を強く糾弾した。日本政府関係者の1人は「米国は火星17の発射に、強い警戒感を示している」と語る。
   問題は、この米国の意識の落差だ。バイデン政権は昨年2月の発足以降、北朝鮮のミサイル開発について微温的な態度を取ってきた。
   例えば、北朝鮮が昨年3月25日、日本海に向けて短距離弾道ミサイル2発を発射した際、バイデン政権は国連安全保障理事会ではなく、その下にある北朝鮮制裁専門委員会の招集を呼びかけた。
   日米関係筋は「短距離ミサイルでは、オバマ政権 も同じ対応を取ってきた」と語るが、日本や韓国にしてみれば、「米国が射程に入らないなら、北朝鮮がミサイルを何発撃っても問題ないのか」ということになりかねない。すでに2020年版の防衛白書は、北朝鮮が弾道ミサイルによって日本を核攻撃する能力を持っているとみられると言及している。
   米国は2012年2月、北朝鮮との間で結んだ核・ミサイル開発のモラトリアム合意でも、短中距離弾道ミサイルについて言及せず、当時の日韓両政府を慌てさせたことがある。
   バイデン大統領は24日の岸田首相との会談で、日韓両国に対する「核の傘」を含む拡大抑止力の提供を改めて確約したという。ただ、こうした二重基準とも言える対応をみると、本当に米国が「核の傘」を提供してくれるのか、という疑念が募る。
   日米は2009年から、米韓は10年から、それぞれ「核の傘」の信頼性などについて話し合う拡大抑止協議を続けている。関係筋の証言によれば、米国はICBMを配備した基地や戦略原潜を日韓の政府関係者に公開することや、核の使用が想定される図上演習を行うなどして、「米国はちゃんと、日本と韓国を守る」という意思を示してきた。
   ただ、米国が実際に核を使用する基準や標的について日韓両政府と情報を共有したことはない。日本政府関係者の1人は「北朝鮮がICBMを使う時は、米国も本気で怒るから大丈夫だ。でも、北朝鮮が、日本や韓国を射程に収めるスカッドやノドンを使うとき、米国がロサンゼルスやニューヨークを危険にさらしてまで、北朝鮮に核の報復を行ってくれるだろうか」と語る。
   もちろん、韓国にも日本にも米軍の基地がある。日韓両国に住む米国人や米国人旅行者も多数いる。日韓両国を核攻撃することは、米国に対する攻撃であると、認定することもできるだろう。

   ただ、北朝鮮や中国は従来から、日米韓を離間させることに躍起になってきた。
   金正恩氏も2018年9月、南北軍事境界線近くでの軍用機の飛行などを禁じる南北軍事合意を結び、日米両国をイライラさせた。北朝鮮がICBMを開発する最大の理由は、南北統一や金正恩体制の存続にあたって、米国の干渉を排除することにある。逆に米国に対して「米国を攻撃することは絶対にありませんから、私たちの日本や韓国に対する行動を見逃してください」とささやく可能性がないとは言えない。
   日本には日米安保条約が、韓国には米韓相互防衛条約がある。北朝鮮の日本や韓国に対する軍事行動を、米国が黙って見過ごすことはないだろう。しかし、元自衛隊幹部らは「核の脅しは、段階的に行われるのが普通だ」と語る。

   現在、ロシアのプーチン大統領やペスコフ大統領報道官らが、ロシアによる核の使用の可能性に言及しているが、これも北大西洋条約機構(NATO)の介入を阻止するために、「核の使用」をちらつかせていると言える
   ロシアはこの脅しの効果がないと考えた場合、「核兵器を搭載できる潜水艦などの公開」→「核兵器の使用を想定した演習の実施」→「被害がほとんど出ない無人地帯での小規模の核爆弾の使用」といった形で、エスカレーションラダーを上げていく可能性がある。北朝鮮も同じことを考えるだろう。その場合、米国がきちんと「核の傘」を提供してくれるのかは、はっきり見通せない。
   日本では最近、「核の共有」が話題になった。米国は1990年代以降、核の洋上配備を中心戦略に据えており、テロや相手からの攻撃が想定される日本や韓国への陸上配備を考える可能性はほとんどないだろう。
   岸田文雄首相も核の共有について政府で議論しない考えを確認した。岸田首相は同時に、岡田克也外相(当時)が2010年に行った、非核3原則を堅持する一方、緊急事態などで、核を搭載した米艦船の一時寄港については「その時の政権がギリギリの判断を、政権の命運をかけて行う」とした答弁を踏襲する考えも示している。
   別の見方をすれば、日本はすでに「核の共有」に似た環境に置かれていると言えるが、問題は、米国の核に関する行動に関与できていない日本の現状にある。米国は一体、どういう状況になったら「核の傘」を発動するのか
   日本が万が一、米国から見捨てられることになりはしないか。メディアの世論調査で「核の共有」について議論を望む声が相当数存在するのは、不安を覚えている人が多いからだろう。ロシアによる核の脅迫で火がついたこうした世論は、火星17の発射で更に勢いを増すことになるだろう。


2022.03.26-Yahoo!Japanニュース(産経新聞)-https://news.yahoo.co.jp/articles/9cd9ddee94e226a52c96aae5f4f26147e827fae5
ロシア脅威が再浮上 中国、北朝鮮との3正面の備え-(市岡豊大)

  ロシアがウクライナ侵攻に踏み切ったことで日本にとって中国、北朝鮮だけではなくロシア軍の動向も主要な脅威として再浮上してきた。これまで自衛隊は軍事的圧力を強める中国を念頭に南西方面に防衛態勢をシフトしてきたが、北方も注意が必要な状況だ。防衛省幹部は「中国が『主敵』なのは変わらない」とするものの、政府が年末までに行う国家安全保障戦略(NSS)の改定作業などにも影響を及ぼしそうだ。

  「ロシアの怖さを改めて意識した。自衛隊は中国、北朝鮮と合わせ、3つの正面に備えなければならない」 ロシア軍がウクライナに攻撃を開始した2月下旬、防衛省幹部は頭を抱えた。
  さらに今月24日にロシアの海軍艦艇が対馬海峡を南下するなど、日本周辺でも活動を活発化させている。
  自衛隊は冷戦時代、旧ソ連と対峙(たいじ)する最前線として国境を接する北海道を重視し、人員・装備を重点配備してきた。現在も北海道に2師団と2旅団の計約3万人を擁する陸上自衛隊北部方面隊が配備されているのは、その名残でもある。
  ただ、政府内でロシアを現実的な脅威とする認識は低下していた。冷戦後は核・ミサイル開発を進める北朝鮮と合わせ、尖閣諸島(沖縄県石垣市)周辺で領海侵入を繰り返す中国が現実的脅威とされてきた
  このため、防衛省はミサイル防衛網を整備・強化するとともに、平成28年の与那国島への部隊配備以降、空白地帯だった南西諸島へ防衛の「重心」をシフトしていた。 昨年4~12月に日本の防空識別圏内へ進入し、空自機が緊急発進した件数は中国571件、ロシアは199件。昨年11月には両軍の爆撃機計4機が日本海から太平洋を長距離飛行するなど、中露両軍による共同行動も目立っている。

  防衛省内には「もともと北方は対ソ連で手厚い」との見方もある。ウクライナ侵攻で誘発された中国が挑発行為をエスカレートさせる可能性もあり、南西シフトは維持される見通しだ。 一方、北部方面隊は大規模な訓練場が集中する北海道で訓練した兵力を南西へ送り込む役割を果たしてきた。
  政府は年末にかけ、NSSとともに「防衛計画の大綱」と「中期防衛力整備計画」の改定作業を控える。防衛省内では北部方面隊を縮小する案も検討されたが、対露脅威の高まりで再検討の余地が生まれている。(市岡豊大)


2022.03.19-産経新聞-https://www.sankei.com/article/20220319-PI7F7BCH2ROAFM5K3PTSMQVSFI/
北ミサイル着弾まで10分弱…進まぬ避難指定、政治・経済中枢に被害も

  着弾まで10分弱-。北朝鮮から発射された弾道ミサイルが、日本に到達するまでの時間はごくわずかしかない。政治や経済の中枢への被害も想定される中、避難手順の整備ははかどっておらず、昨年4月までに指定された地下避難施設も東京23区内で141カ所大阪市内では4カ所にとどまる。課題山積の危機対応をめぐり、過去の地震災害で得た教訓を有事にも生かそうと、独自に動き出した自治体もある。

  ロシアによるウクライナ侵攻直前の2月14日、首都キエフの市当局はミサイル攻撃に備え、3千平方メートルの地下の核シェルターを開放する考えを明らかにした
  西側諸国との核戦争が現実味を帯びていた旧ソ連時代、首都被害の抑制を目的に建設された施設。日本でも都心部がミサイル攻撃を受けた事態を想定し、地下の緊急一時避難施設の指定が進むが、数は少ない。

  内閣官房によると、昨年4月までに自治体が指定した地下施設は、人口966万人の東京23区内に141カ所。皇居や首相官邸、大企業の本社などが集中する千代田区に限ると12カ所で、270万人余りが暮らす大阪市はわずか4カ所だ。
  国は自治体側に対し、地下の駅コンコースや地下街などにも指定の網を広げるよう求めているが、こうした民間への協力要請は滞りがちだ。
  東京都総合防災部の担当者は「地下街では管理者が複数にまたがるケースが多いため、一度に全ての同意を得るのは難しく、時間がかかる」と理由を説明する。
  指定を受けた地下施設の多くは、指定作業が比較的容易な学校など公共機関の地下スペースで、周辺人口のごく一部しか収容できない。そうした現状を改善するため、神戸市は今年2月、全国で初めて民間と連携し、市内の地下駅舎や地下街など47カ所の計約21万平方メートルを緊急一時避難施設に指定した。市人口の約17%に当たる25万4830人を収容できる

  平成7年に阪神大震災を経験した同市は「災害への備え」を最重要課題の一つに掲げており、危機管理室の担当者は「震災で得た教訓を有事対応にも適用した」と話す。
  ただ国は、地下施設の指定拡充は図る一方で、避難手順や訓練について定めたマニュアルはおろか、避難場所であることを示す案内板の設置基準すら設けていない。内閣官房の担当者はそれらの必要性は認めつつも「指定作業を進めることが先決だ」と述べるにとどめる。
  ある省庁の幹部は、民間への協力要請やマニュアルの策定がなかなか進まない理由をこう説明する。

  「地震などの自然災害と比較すると、ミサイル着弾への備えを求める国民の声は大きいとはいえない。戦争準備だとして拒否反応を示す人もおり、多くの国民がミサイルを現実的な脅威ととらえなければ、国が本気で対策を進めることはできない」


2022.03.19-産経新聞-https://www.sankei.com/article/20220319-ZRU2FAQ6YVPNHFMUI32PFIXMYU/
<独自>日本有事にミサイル避難先足りず、地下施設指定わずか2・4%
(山本 考志   土屋 宏剛)

  日本が弾道ミサイル攻撃を受けたことを想定し、自治体が指定する全国約5万カ所の緊急一時避難施設のうち、人的被害の抑制に最も有効な「地下施設」の割合が、昨年4月時点で2・4%にとどまることが19日、分かった。中国の軍事力増強や相次ぐ北朝鮮のミサイル発射など、日本を取り巻く安全保障環境が緊迫の度合いを高めている現実を踏まえ、国は令和7年度末までの5年間で地下施設の指定数を増やす方針だが、施設の場所自体が周知されておらず、有事の際に機能するかどうかは未知数だ。

  2月24日に始まったロシアによるウクライナ侵攻では、軍事拠点だけでなく市街地の民間施設もミサイル攻撃を受け、現地からは首都キエフの地下鉄駅にシェルター代わりに殺到する市民や、空爆された南東部マリウポリの劇場地下のシェルターに避難する住民らの様子が報じられている。
  日本周辺でも近年、北朝鮮による弾道ミサイルの発射実験が続いており、被害が予想された場合、自衛隊は海上と地上の双方から迎撃する構えだが、元自衛隊幹部は「同時に複数発射されると、全て撃ち落とすことは困難。民間への被害も避けられない」と明かす。
  脅威の高まりを背景に、国民保護法に基づいて都道府県などは、避難先となる5万1994カ所(昨年4月時点)を緊急一時避難施設に指定している。

  場所は内閣官房の「国民保護ポータルサイト」で公表しているが、その多くはコンクリート造りの地上構造物。内閣官房によると、爆風や熱線からの被害抑制に最も有効な地下施設の割合は約2・4%(1278カ所)にすぎない。
  国は今年度から令和7年度末まで5年間を集中取組期間と規定し、地下施設の指定先を増やす方針を示している。現在の指定先は公立機関がほとんどで、国は民間の地下街なども活用したい考えだが、内閣官房の担当者は「あまり進んでいない」と話す。
  陸上自衛隊北部方面総監や東京都危機管理監などを歴任した田辺揮司良(たなべ・きしろう)元陸将は、地下の安全性の高さを強調した上で、指定数の少なさに加えて周知の低さを問題視。「どこに避難施設があるのかを国民が事前に知らなければ避難先として機能しない。まずは場所の周知を徹底しなければならない」と訴えている。(山本考志、土屋宏剛)

■緊急一時避難施設
  弾道ミサイルが着弾した際の爆風や熱線から命を守るための一時的な避難先で、24時間利用可能な施設もある。北朝鮮と対峙(たいじ)する韓国の住民避難施設を参考に、1人あたりの床面積を約0・825平方メートルと規定。国は令和7年度末までの5年間を集中取組期間と定め、地下施設の拡充を自治体側に求めているが、具体的な数値目標は定めていない。
国民保護法
  他国から武力攻撃を受けた際に国民の生命や身体、財産を保護するため、国や自治体の責務を定めた法律。平成16年に成立、施行された。国にはミサイル攻撃などに関する情報発信や警報の発令を義務付け、各都道府県知事と政令指定都市の市長には弾道ミサイルの爆風などから住民の被害を抑えるための避難先を、施設管理者の同意を得た上で緊急一時避難施設として指定するよう求めている。


2022.03.11-産経新聞-https://www.sankei.com/article/20220311-EQIWELUD3NON7LZUORBO6V7C2M/
ロシア艦艇10隻が津軽海峡通過 岸防衛相が懸念

  岸信夫防衛相は11日の記者会見で、ロシア海軍の艦艇10隻が10~11日、津軽海峡を太平洋側から日本海側へ通過したことを確認したと明らかにした。ロシアがウクライナ侵攻と合わせて行うと発表した大規模演習に参加していたとみられる。政府は外交ルートを通じて関心事項であることをロシア側に伝えた。

  海上自衛隊は10日午前2時ごろ、北海道の襟裳(えりも)岬の東北東約180キロの海域でロシア海軍の「ウダロイⅠ級駆逐艦」「ステレグシチーⅡ級フリゲート」など計10隻が南西へ進むのを確認した。その後、津軽海峡を西へ進み、日本海へ抜けた。
  これらの艦艇は、ロシアが同国周辺海域で大規模な海上演習を行うと表明した後、2月に日本海やオホーツク海南部で確認された艦艇と同一だった。
  岸氏は会見で「わが国周辺でロシア軍の活動が活発化していることは懸念すべきものだ」と述べた。


2022.03.09-週間現在-https://gendai.media/articles/-/93153
プーチンが狙う「日本の大都市」の名前…核ミサイル爆撃で起こる「ヤバすぎる現実」
(菊池氏)
(軍事評論家の兵頭二十八氏)(別の防衛省関係者)-『週刊現代』2022年3月12・19日号より
(1)
  ウクライナ侵攻によって「核戦争勃発」も現実味を帯びた。前編記事『プーチンが「暗殺」されたら即発射か…ロシア「核報復システム」の危ない実態』では、もしもプーチン大統領が暗殺されれば、「死の手」と呼ばれるシステムがAIによって核ミサイルを発射する可能性を報じた。

  加えて、日本でもロシアによる不穏な動きがあると専門家は言う。ロシアの大陸間弾道ミサイル「サルマト」は、10発でアメリカの全国民を殺害する威力があると言われており、サルマトに搭載されマッハ20で飛行する極超音速滑空兵器(HGV)「アヴァンガルド」も配備していると話した。
爆撃から逃れられない
防衛省関係者が語る。・・・「弾道ミサイルは軌道を観測しやすいのですが、アヴァンガルドのような極超音速ミサイルはレーダーや衛星による探知も難しく、着弾の数分前にならないと見つけられない。
  発射位置によりますが、日本を狙った場合、探知から着弾まで3分程度しかないと思われます。こうした極超音速ミサイルによる攻撃が、『死の手』のシステムには組み込まれているはずです」では、「死の手」が作動したら日本はどれほどの大惨事に見舞われるのか

  ある時点で、何者かに急襲されたプーチン大統領の心肺停止が「死の手」に確認され、核報復システムが作動。首都モスクワから東に約1800km離れたウラル地方のコスビンスキー山の地下基地より、一発の通信ロケットが打ち上がる。
  この飛翔体が発するシグナルによって、ロシア国内に点在する約300ものICBMに自動発射の指示が下る。時を同じくして、北海道から北東に約500km離れたオホーツク海。深度約450mに潜んでいた原子力潜水艦にもその指令が到達する
  「もしもロシア軍から日本に向けてミサイルが撃たれるとしたら、'13年から配備が始まったボレイ級原子力潜水艦が使われるでしょう。核ミサイルを16基搭載できるとされています」(菊池氏)
(2)
広島型原爆の約62倍
  日本に向け発射されるミサイルの中に、「サルマト」や「アヴァンガルド」のような極超音速で飛ぶ核兵器が搭載されている可能性は高い。
  マッハ20の速度で飛行し、あっという間に日本上空に飛来する。日米のイージス艦などが追跡・迎撃を試みても、発見からものの数分で着弾してしまう極超音速ミサイルを完全に防御することは、ほとんど不可能だ。

  「イージス艦だけでなく、陸上配備型迎撃ミサイルシステム『イージス・アショア』でも、この速度で飛来するミサイルを迎撃するのは不可能です。その速度はイージス・システムで対処可能な値をはるかに越えています。極超音速で襲来する兵器を防ぐことは、現在の日本の防衛網では極めて困難と言えます」
(軍事評論家の兵頭二十八氏)
  では、日本のどの都市が「死の手」に狙われているのか。まず間違いないのは首都機能が集中している東京だ。
  特に、軍事施設は優先順位が高い。陸・海・空自衛隊の一体的な部隊運用を司る防衛省・統合幕僚監部が設置されている市ヶ谷は格好の標的だ。

  サルマトの場合、落ちてくるミサイルは一発だが、それは16個の核爆弾に分裂し、同時に爆発して、首都圏を蒸発させる。1個の子爆弾だけで、その威力は広島型原爆の約62倍とされる驚異的な威力だ。
  東京はほぼ全域、神奈川、千葉、埼玉の主要部も焦土となる。便宜上、10個の核の爆発しか記載しておらず、実際の被害はさらに広く、半径100km圏内
に及ぶ。
  すべての抵抗手段を完膚なきまでに叩き潰すため、自衛隊の基地は「死の手」の標的だ。朝霞や習志野、木更津、横浜といった駐屯地や、ヘリポートを備えている府中基地にも核は容赦なく襲い掛かる。
  必ず狙われるのは在日米軍基地も同様だ。米海軍の空母や潜水艦にとって重要な役割を果たしている横須賀基地、同じくキャンプ座間や横田基地も格好の標的となる。
(3)
  「熱線と爆風だけで数百万人単位の死者が出るのは確実。熱傷などの被害も含めれば、首都圏の死傷者は1000万人を超えるでしょう」(別の防衛省関係者)
  当然ながら、「死の手」に狙われるのは東京近郊だけではない。首都機能を担えるような大都市は区別なく核を落とされる。大阪や名古屋、札幌、福岡は壊滅的な被害を受けるだろう。この4都市に核が落ちれば、東京と同じように1000万人以上の被害者が出ると予想される。
  「熱線と爆風だけで数百万人単位の死者が出るのは確実。熱傷などの被害も含めれば、首都圏の死傷者は1000万人を超えるでしょう」(別の防衛省関係者)
  当然ながら、「死の手」に狙われるのは東京近郊だけではない。首都機能を担えるような大都市は区別なく核を落とされる。大阪や名古屋、札幌、福岡は壊滅的な被害を受けるだろう。この4都市に核が落ちれば、東京と同じように1000万人以上の被害者が出ると予想される。

  沖縄には在日米軍約2万5000人が駐屯し、太平洋には冷戦時代からのロシアの宿敵・第7艦隊がいる。「死の手」のAIが西側を殲滅すると決定したら、第7艦隊と共に沖縄も消滅対象となる。米空軍の攻撃力が集中している嘉手納飛行場や、弾薬庫がある辺野古の真上で核が炸裂する。
  他にも長崎の佐世保基地や青森の三沢基地、山口の岩国航空基地なども爆心地になるだろう。
33基の原発も危険
  そして、日本各地にある原子力発電所も危ない。北は北海道の泊原発から南は鹿児島の川内原発まで、国内には33基の商業用原子力発電所がある。このすべてに核報復システムが照準を定めたら、日本のほぼ全域に核が落ちることになる。
  サルマト級の核ミサイルがこうした原発めがけて襲来した場合の被害予想範囲を示した。
  3月2日、ロシア外務省は、ラブロフ外相が中東メディアに「第三次世界大戦が起こるとすれば、壊滅的な核戦争になるだろう」と答えた内容を紹介した。
  翌日、プーチン大統領と電話会談したフランスのマクロン大統領は「今後、最悪の状況が訪れる」との見方を示した。破局的な事態に陥る可能性は高まっている。
『週刊現代』2022年3月12・19日号より


2022.03.08-産経新聞-https://www.sankei.com/article/20220308-RONJ4C2SVVKXZJPB7SXHUYTKNY/
〈独自〉ウクライナ、日本に対戦車砲要請 法的根拠なく提供見送り

  ロシア軍の侵攻を受けるウクライナ政府が日本政府に対し対戦車砲など殺傷能力がある防衛装備の提供を求めていたことが8日、分かった。日本側は防衛装備品である防弾チョッキを戦闘が続く国に提供する異例の決定を行ったが、弾薬を含む「武器」に関しては無償提供する法的根拠がないことなどから支援を見送った。複数の政府関係者が明らかにした。

 政府はウクライナに対する物資提供について「殺傷能力を持つ装備品を提供する考えはない」(松野博一官房長官)と説明してきた。ただ、ウクライナが要望した装備のリストに関しては、詳細を明らかにしていなかった。
  政府関係者によると、ウクライナのレズニコフ国防相がロシアが侵攻を開始した後の2月末、大使館ルートを通じて岸信夫防衛相に支援を求める物資のリストを書面で提出した。この中には対戦車砲のほか、地対空ミサイル、小銃の弾薬も含まれていた。
  岸田文雄首相は2月28日にウクライナのゼレンスキー大統領と行った電話会談で「わが国は主権と領土、祖国と家族を守ろうと懸命に行動するウクライナの国民とともにある」と全面支援する考えを伝えており、政府は防衛装備品を含む無償提供の検討に着手。ウクライナは防衛装備移転三原則が禁止する対象とならないと判断した。
  ただ、装備品を無償提供する根拠となる自衛隊法116条の3では、航空機や艦艇などが提供の対象に含まれるが、弾薬を含む「武器」の除外が明記されている。このため、殺傷能力を有する対戦車砲や地対空ミサイルは対ウクライナ支援の対象外となった。
  また、小銃の弾薬に関しては、ウクライナ側が「ソ連製」を要望。自衛隊が保有する小銃は北大西洋条約機構(NATO)基準の口径(5・56ミリメートル)で、旧ソ連製とは異なるため対応できない。地対空ミサイルに関しても、事前に共同訓練を行うなどしてウクライナ軍が運用に習熟しておかなければ実戦での使用は難しいとの見方もある。


2022.03.06-産経新聞-https://www.sankei.com/article/20220306-6NNSRTVEONIWRGSXU2YX2IB63Q/
<独自>北大東島に移動レーダー 防衛省、配備向け適地調査へ 中国空母の監視強化

  防衛省は外国機の領空侵犯と領空接近を監視する航空自衛隊の移動式警戒管制レーダーを北大東島(沖縄県北大東村)に配備する検討に入った。レーダーを展開させる適地を調査する方針を今月中にも同村に説明する。中国の空母「遼寧」や軍用機が太平洋への進出を活発化させている中、太平洋側の島嶼(とうしょ)部は固定式警戒管制レーダーが置かれていないため、移動式の展開で監視態勢を強化する。

  平成30年策定の中期防衛力整備計画(令和元年度から5年間)は「太平洋側の広大な空域を含むわが国周辺空域における防空能力の総合的な向上を図る」と打ち出した。移動式警戒管制レーダーも「運用するための基盤の太平洋側の島嶼部への整備により、隙のない情報収集・警戒監視態勢を保持する」と明記した。
  固定式レーダーを置いておらず、防空態勢の空白地域となっている太平洋側の島嶼部について、防衛省は中期防衛力整備計画の策定時、東京都の小笠原諸島への移動式レーダーの展開基盤の整備を先行させることを念頭に置いていたが、地元の理解を得られていない。一方、北大東村議会は昨年12月、自衛隊の誘致を求める意見書を全会一致で可決している。

  防衛省は北大東島への移動式レーダーの配備は地元の理解を得やすいと判断し、小笠原諸島より優先する方針に転換しつつある。
  移動式レーダーの展開基盤の整備に向け、適地調査では候補地の電波環境などを調べる。レーダーを展開する要員は那覇基地の空自第4移動警戒隊から派遣することを想定している。

  中国軍は平成25年、九州―台湾―フィリピンを結ぶ第1列島線を早期警戒機が沖縄本島・宮古島間で突破し、太平洋に進出したことが初めて確認された。
  28年には空母・遼寧が沖縄本島・宮古島間を通過して初めて太平洋に進出した。遼寧は30年以降、複数回にわたり太平洋で艦載戦闘機を発着艦させたことも確認されている。
  中国は小笠原諸島―グアム―パプアニューギニアを結ぶ第2列島線までの防衛ライン拡大を目指している。昨年12月、北大東島の東約300キロの海域で遼寧の艦載戦闘機・ヘリが発着艦をしており、防衛省は警戒監視態勢の強化を急ぐ。

■移動式警戒管制レーダー
  他国の航空機の領空侵犯・接近を監視する車載型のレーダー。航空自衛隊が全国28カ所に設置している固定式レーダーが敵の攻撃などで機能しなくなった場合、代替機能を果たすのが本来の役割。移動させやすいのが特徴


2022.03.02-産経新聞-https://www.sankei.com/article/20220302-J3PQZJ7LXVNJZL22WSROPSVUAQ/
根室沖でヘリ1機が領空侵犯、ロシア機か

  防衛省は2日、北海道根室市の南東沖の領海上空で同日午前10時23分ごろ、北方領土方面から飛来したヘリコプター1機が日本の領空内に侵入したと発表した。航空自衛隊の戦闘機が緊急発進(スクランブル)し、領空外へ出るよう警告したところ、ヘリは北方領土方面へ戻っていった。防衛省は飛行経路などからロシア機とみて調べている。外務省は外交ルートでロシアに抗議するとともに再発防止を求めた。

  防衛省によると、ヘリが領空侵犯した時間は数十秒程度。空自機からヘリに対し、領空に近づいていると通告した上で侵入後には領空に入ったと無線などで警告したが応答はなかった。軍用機かどうかは不明。
  ロシア海軍はウクライナ侵攻前からオホーツク海を含め地中海や北海など周辺海域で艦艇計140隻以上が参加する軍事演習を行うと発表。オホーツク海南部や日本海で多数の艦艇が確認された。今回の領空侵犯との関連は不明。


2022.03.01-産経新聞-https://www.sankei.com/article/20220301-KQEAMQPJJFMA3CUY2V6QNEZ6SE/
宮古海峡を中国艦通過、哨戒機が周辺往復

  防衛省は1日までに、沖縄本島と宮古島の宮古海峡で中国海軍のフリゲート艦1隻が南下し、中国空軍のY9哨戒機1機も周辺の飛行ルートを往復したと発表した。また、沖縄南東空域では2月24日に航空自衛隊機が米空軍爆撃機などと共同訓練を実施したことも明らかにした。

  宮古海峡では、2月中旬にも中国軍のミサイル駆逐艦と情報収集機が相次いで通過した。沖縄周辺海域では海上自衛隊が1月下旬と2月上旬、空母など米海軍艦艇と共同戦術訓練を相次ぎ実施した。日米が中国などへの抑止力強化を図る一方、中国海空軍の活発な活動も続いている

  防衛省によると、フリゲート艦は2月27日正午ごろに宮古島の北約350キロを航行した後、太平洋に入った。Y9の飛行は同28日午前から午後にかけてあり、東シナ海と太平洋上でそれぞれ旋回した。フリゲート艦は海自機が、Y9は空自機が緊急発進(スクランブル)した。
  米空軍との共同訓練では空自は那覇基地の第9航空団のF15戦闘機2機が参加し、編隊航法訓練をした。日米は2月15から17日にかけても同じ場所で戦闘機同士の訓練をしている。


2022.02.05-産経新聞-https://www.sankei.com/article/20220205-DNZW44G3EFLRFNGBLOMBYTVE6I/
〈独自〉日本、対露制裁を検討 ウクライナ侵攻ならG7で協調

  政府がロシア軍によるウクライナ侵攻が発生した場合に備え、独自の対露制裁について検討に入ったことが5日、分かった。ウクライナ国境付近にロシア軍が大規模展開して緊張が高まっており、日本としても主要7カ国(G7)と足並みをそろえる形で対応する方針だ。複数の政府関係者が明らかにした。

  外務省や経済産業省、内閣官房などが中心となって制裁メニューをリストアップしている。ロシアが常任理事国を務める国連安全保障理事会で制裁決議を採択することは不可能なため、日本独自の制裁となる。
  2014年にロシアがウクライナ南部クリミア半島を併合した際も、日本政府はG7と歩調を合わせて対露制裁を行っている。クリミア併合の際はクリミア産品の輸入制限などロシアに実害がない内容に限定されたが、首都キエフなどに対する本格的な侵攻があった場合は「実効的な制裁が必要になる」(首相周辺)として、より厳しい制裁を科す方針だ。
  政府が対露制裁に前向きな姿勢を示すのは、ウクライナ侵攻に厳しい措置を取らなければ「法の支配」を基調とした国際秩序維持を目指す外交方針と矛盾するためだ。インド太平洋地域における台湾や尖閣諸島(沖縄県石垣市)をめぐる中国による一方的な現状変更の試みに反対する立場に対し、欧州諸国の支持を得る上でもウクライナ情勢でG7と共同歩調を取る必要がある。

  米政府はウクライナ侵攻に対し、金融制裁や輸出規制を柱とした対抗策を検討している。岸田文雄首相は先月21日にバイデン米大統領とテレビ電話形式で会談した際、ウクライナ侵攻に「強い行動」を取ることを確認した。日米外交筋によると、外交ルートで双方の制裁メニューについて協議しているという。


2022.01.15-産経新聞-https://www.sankei.com/article/20220115-JBCPSKZXU5KVBJBIMO2DIP7QME/
北の極超音速は迎撃困難 日本も開発で「抑止力に」-(市岡豊大)
(1)
  北朝鮮が12日、極超音速ミサイルの発射実験で「最終的な確証」を行ったと発表したことで、日本を取り巻く安全保障環境は一段と厳しさの度合いを増した。政府は軍事的圧力を強める中国などを念頭にさまざまなミサイル防衛(MD)強化策を進めているが、極超音速ミサイルは現在のMD網では迎撃困難とされる。迎撃の可能性を高める技術開発を行う一方で、極超音速ミサイルや高速滑空弾を保有することで抑止力強化を図る道も探っている。

  北朝鮮や中国などが開発を進める極超音速滑空兵器(HGV)は通常の弾道ミサイルより低高度で変則軌道を描くため現状では追尾できない。防衛省は米国が整備を進める「衛星コンステレーション」により宇宙から追尾できる可能性に期待をかけている。
  衛星コンステレーションは通常の早期警戒衛星より低い軌道に赤外線観測衛星を多数配置する構想で、防衛省は来年度予算案に研究費約3億円を計上した。米国は2年後から150基以上の衛星で試験運用する計画で、日本も数年後には実用化できると見込む。
  一方、迎撃態勢については見通しが暗い。日本のMDは洋上のイージス艦に配備された迎撃ミサイルSM3と、地上で迎え撃つ地対空誘導弾パトリオット(PAC3)の2段構えだが、基本的には弾道ミサイルを対象としている。

  防衛省は多層的なMD網を実現するため、巡航ミサイルなど低軌道で飛来するミサイルへの対応も進めているが、HGVにも対応できるかは未知数だ。来年度予算案に計上した改良型の迎撃ミサイル「SM6」と「PAC3MSE」は開発した米国がHGVへの対処力を研究中だ。日本政府も独自開発した主に巡航ミサイル用の「03式中距離地対空誘導弾改善型」(中SAM改)で極超音速ミサイルを迎撃する可能性を探る。
(2)
  先端技術を活用した迎撃技術の研究にも着手している。一つは高出力の電波を照射して電子的に敵兵器を無力化する「指向性エネルギー兵器」。もう一つは電磁力で砲弾を高速射出する「レールガン(電磁砲)」だが、いずれも研究開発段階で、有効性があるのか不透明だ。
  ミサイル迎撃に限界がある中で「同種の能力を持つことで抑止力になる」(防衛省幹部)との見方も出てきた。同省は平成30年度から島嶼(とうしょ)防衛用として高速滑空弾の開発を進める。音速の5倍(マッハ5)には達しないものの、マッハ3~4の速度を実現した変則軌道弾で速度以外はHGVと同種だ。また、マッハ5以上の極超音速を実現するジェットエンジンの研究開発も同時に行っており、いずれも来年度中には試作が完成する予定になっている。(市岡豊大)


2022.01.10-産経新聞-https://www.sankei.com/article/20220110-GFQ75JOK7NOPXDLIRXVUXO7QNU/
中東周辺で「兼務」第1陣 海自護衛艦、呉から出港

  中東海域で日本関係船舶の安全を守る情報収集活動とアフリカ東部ソマリア沖アデン湾の海賊対処に当たる海上自衛隊の護衛艦さみだれ」の出国行事が9日、広島県呉市の呉基地で開かれた。

  昨年12月の閣議決定で、台湾情勢を含む中国対応を念頭に、2つの任務それぞれに護衛艦1隻としていたのを見直し、海賊対処の1隻が両方を担う体制に変更。さみだれが「兼務」の第1陣で、2月後半から活動する。
  防衛省によると、派遣されるのは海自の隊員約210人と、海賊対処のため同乗する海上保安官8人。新型コロナウイルスの感染防止策として、日本近海に2週間待機した後、現地に向かう。


2022.01.07-しんぶん赤旗-https://www.jcp.or.jp/akahata/aik21/2022-01-07/2022010702_01_0.html
敵基地攻撃能力は「報復」攻撃のため
中祖寅一

危険な安倍元首相の発言
  安倍晋三元首相は、「読売」1日付のインタビューで、敵基地攻撃能力の保有について危険な議論を展開しています。
  「日本が攻撃されて被害が出た場合」―報復は米軍に頼るが、自衛隊が「日本は政策判断として敵基地攻撃能力を保有していない」として拒否したら、「(日米)同盟は機能しない」などとして、「敵基地攻撃能力の保有は必須」と主張。また「相手に『最初の一撃を放ったら、自分たちも相当手痛い被害を受けるかもしれない』と思わせることが大切」だとも強調しています。
「打撃力」を保有
  これは相手国が攻撃に着手した段階で、攻撃の策源地(ミサイル基地)をたたき防御するというもともとの「敵基地攻撃能力」とは異なり、「報復のための打撃力」を保有せよという主張です。しかも報復のために敵国のせん滅に出撃する米軍との協力のために不可欠だというのです
  日本協議会・日本青年協議会機関誌『祖国と青年』1月号で安倍氏は、「よく『敵基地攻撃能力』という言葉が使われますが、この表現はあまり適切ではない」とし「敵基地だけに限定せず、『抑止力』として打撃力を持つ」とも強調。「安倍政権において、スタンドオフミサイルという形で、具体的な能力については保持しました。この能力を打撃力、反撃能力としても行使できるようにしていく」「これは北朝鮮に対してだけでなく南西沖についても応用できる」と主張しています。
  しかし、憲法9条に基づく専守防衛の原則でも、国連憲章をはじめとする国際法においても、武力攻撃が認められるのは相手国の攻撃を排除するためです。攻撃を受けたことに対し「仕返し」として行われる報復攻撃は違憲、違法とされています。
「台湾有事」でも
  仮に報復的な反撃力を持つことで相手の攻撃を思いとどまらせる「抑止」に重点があるとしても、違法な報復攻撃を実行することが前提となった議論です。
  しかも攻撃目標を「敵基地だけに限定せず」としており、政治的経済的拠点の攻撃も示唆。また北朝鮮だけでなく「南西沖についても応用」としていることは、台湾有事における中国本土に対する攻撃の可能性を排除しないものです。
  そういう攻撃力を米軍に頼らず日本が独自に持ち、米軍とともに実行する―。「敵基地攻撃」を名目に進められようとしているミサイル配備をはじめとする「打撃力」の強化は、まさに米中の軍事的緊張の中で、日本が米国の側に立ってさらに緊張を激化させる危険きわまりない違憲の議論です。(中祖寅一)


2022.01.02-産経新聞-https://www.sankei.com/article/20220102-XEBCANTOZFL73ELKXV3WWN3AHY/
<独自>中国の極超音速兵器、標的に近接着弾

  中国が昨年8月に実施した極超音速兵器の発射実験について、標的に近接した地点に着弾していたと日米両政府が分析していることが2日、分かった。複数の日米軍事筋が明らかにした。これまで標的から約40キロ離れた地点に着弾したとされていたが、中国の精密誘導技術の向上で脅威レベルが高まっていることになる。米軍首脳は8月の実験で大きな衝撃を受けたとしており、こうした分析結果が反映されているとみられる。

  8月の実験は英紙フィナンシャル・タイムズ電子版が10月16日に報道した。米軍制服組トップのミリー統合参謀本部議長が同月27日放送の米テレビのインタビューで事実と認めた。報道では、極超音速兵器は地球の低周回軌道を回った後に速度を上げながら滑空飛行し、目標から約24マイル(約39キロ)離れた地点に着弾したとされたが、ミリー氏は詳細を明らかにしなかった。
  複数の日米軍事関係筋によると、極超音速兵器は中国国内の砂漠地帯に設置された標的に極めて近い地点に着弾。分析結果は政府首脳レベルにも報告されたという。
  ミリー氏は1957年に旧ソ連の史上初の人工衛星打ち上げが米国にショックを与えた「スプートニク・モーメント」に言及し、「かなりそれに近い」と述べている。松野博一官房長官も昨年10月18日の記者会見で「中国がミサイル防衛の突破が可能な打撃力を獲得するため超音速滑空兵器の開発を急速に推進している」と指摘。その上で「新たな脅威の中には従来の装備品では対処が困難と指摘されるものもある」とした。

  中国外務省の趙立堅報道官は10月18日の記者会見でフィナンシャル・タイムズの報道を否定。実験は「ミサイルではなく宇宙船の再利用技術を検証する日常的な試験だ」と述べた。



2021.12.29-産経新聞-https://www.sankei.com/article/20211229-WZTNFPU5RZJP3MAA4FDYS4QAW4/
〈独自〉日豪安保宣言を改定へ 対中国で協力強化前面

  日本、オーストラリア両政府が日豪安全保障共同宣言の改定を検討していることが29日、分かった。現行宣言は北朝鮮の核・ミサイルとテロに対する安保協力が中心で、中国の脅威への対応には触れておらず、宣言を改定して中国に対する協力強化を前面に掲げる。中国の台湾侵攻などを念頭に有事での共同対処能力を高め、安保協力を新次元に引き上げる指針とする。

  日豪両政府は平成19年、安全保障協力に関する日豪共同宣言(日豪安全保障共同宣言)を策定した。8年の日米安全保障共同宣言の策定以外では初の共同宣言で、日本は29年までにインド、カナダ、英国とも共同宣言を策定している。日豪間で共同宣言の改定が実現すれば初の改定となる。
  現行の日豪安保共同宣言は2001(平成13)年の米中枢同時テロ後、米国がテロとの闘いに力を注いでいたことを踏まえ、アジア太平洋地域で米国のプレゼンス(存在感)を維持するため米国の役割を補完することが主眼だった。宣言ではテロと北朝鮮に対する協力の強化を柱に据えた。
  当時、米国は国防費を急増させる中国への対応を重視していた。一方、日本は中国の脅威を中長期的な課題と位置づけ、輸出拡大など中国との関係強化を優先する豪州は潜在的脅威とすら認識していなかった。
  対中脅威認識での米国との温度差は日豪安保共同宣言で中国への対応が前面に出なかった要因でもあったが、15年近く経て日豪両政府にとって中国への対応が最大の課題となった。対中でどう安保協力を拡充するかとの新たな指針を掲げるため共同宣言を改定すべきだとの認識で一致している。

  新たな日豪安保共同宣言は「自由で開かれたインド太平洋」の推進に向け、協力深化の方針を打ち出す米国、日米豪印の「クアッド」の枠組みでのインドとの協力拡大に加え、ASEAN(東南アジア諸国連合)や太平洋島嶼(とうしょ)国、欧州諸国との関係強化も強調する。
  拡充する安保協力の分野としては、自衛隊と豪軍による抑止力と対処力の強化を最も重視する。中国をめぐる有事で米国も交えて高度な作戦を行い、共同対処の実効性を高められるよう、訓練のさらなる活発化と質の向上を特記する。
  防衛の新たな領域の宇宙・サイバーでの情報共有や技術協力、経済安全保障での連携のほか、より機微な情報を共有するための措置を講じることも盛り込む。


2021.12.18-NHK NEWS WEB-https://www3.nhk.or.jp/news/html/20211218/k10013393531000.html
中国海軍の空母 沖縄本島と宮古島の間を通過 防衛省が目的分析

  中国海軍の空母が16日、沖縄本島と宮古島の間の海域を通過して東シナ海から太平洋に出たのが確認されました。空母からはヘリコプターが飛び立つ様子も確認され、防衛省が目的を分析しています。

  防衛省によりますと、16日、中国海軍の空母「遼寧」が3隻の艦艇とともに沖縄本島と宮古島の間を通過し、東シナ海から太平洋に出たのを海上自衛隊の艦艇や航空機が確認しました。
  中国の空母がこの海域を通過するのが確認されたのは、ことし4月以来、8回目で、領海への侵入はなかったということです。また、海域を通過する前後には空母に搭載されていたヘリコプターが発着したのも確認されました。領空侵犯はなかったということです。
  空母に同行していた艦艇の中には、最新鋭のミサイル駆逐艦や燃料の補給艦が含まれていて、防衛省関係者によりますと、洋上に一定期間展開して訓練などを行う可能性があるということです。
  防衛省は一連の活動の目的を分析するとともに、警戒と監視を続けています。
  防衛省は当初「太平洋で、空母に搭載されている戦闘機の発着艦を確認した」と発表していましたが、その後「戦闘機の発着艦は確認されていなかった」と訂正しました。


2021.11.26-産経新聞-https://www.sankei.com/article/20211126-VD2XQYC4K5N7NA7L3KF5BKFJBY/
離島奪還作戦を公開 自衛隊、種子島で統合演習

  防衛省は25日、陸海空の3自衛隊による統合演習を鹿児島県の種子島で行い、占領された離島の奪還を想定した水陸両用作戦を公開した。
  演習では、日本版「海兵隊」とされる陸上自衛隊水陸機動団(水機団)の隊員約100人が水陸両用車「AAV7」9両に分かれて乗り込み、10キロ沖の輸送艦から砂浜へ次々と上陸。部隊が海岸に味方領域を確保すると、続いてエアクッション型揚陸艇「LCAC」2隻が乗り上げ、大型車両を下ろしていった。
  上陸前には海上自衛隊の掃海隊が機雷警戒を行うなど陸自と海自の連携も確認。上陸前日までに陸海空3自衛隊の艦艇や航空機による打撃演習も行った。
  南西諸島では尖閣諸島(沖縄県石垣市)周辺で中国が軍事的圧力を強めつつあり、防衛省は有事を想定した防衛力強化を急いでいる。


2021.11.24-産経新聞-https://www.sankei.com/article/20211124-ZGTV3WRIIFJO7OLREXRJHO5PNQ/
<独自>中国揚陸艦、台湾東部沖で上陸演習 与那国沖通過

  中国海軍の揚陸艦2隻が今月中旬、沖縄県・与那国島と台湾の間の海域を通過し、台湾東部沖で上陸作戦を想定した演習を実施していたことが24日、分かった。日台の防衛当局関係者が明らかにした。南西諸島周辺で中国海軍の揚陸艦の行動が確認されるのは極めて異例。台湾への武力侵攻を想定した緊張度の高い行動で、日台の防衛当局がそれぞれ分析を進めている。

  揚陸艦2隻はいずれも071型ドック型揚陸艦(LPD)で、東シナ海や台湾正面を担当する東海艦隊(司令部・浙江省寧波市)の所属という。14日前後に台湾・与那国間を南下して台湾東部・花蓮沖に進出し、一定時間、同海域にとどまった。演習の詳細は不明。与那国島では陸上自衛隊沿岸監視隊が周辺の海空域を監視しているが、防衛省統合幕僚監部は2隻の動向を発表していない。

  一般的に中国軍の台湾上陸作戦は台湾海峡に面した本島西側が主戦場になるとされ、中央山脈に隔てられた東部は「後背地」に当たる。本島東部の沿岸部は断崖が多く上陸に適した場所が少ないことも要因の一つだ。だが、花蓮には長さ10キロ程度の砂利浜がある。また、花蓮には軍民共用の花蓮空軍基地に加え、中国が台湾侵攻に踏み切った場合、序盤に想定される弾道ミサイルなどの攻撃を避けて各地の航空機を避難させる佳山空軍基地があり、台湾防衛の重要拠点でもある。

  071型は玉昭(ユージャオ)級とも呼ばれ、排水量は約2万トン。4月に初の強襲揚陸艦075型が就役するまでは中国海軍で最大の揚陸艦だった。ヘリ4機を搭載し、艦後部の甲板から発着艦させる。搭載兵員は約900人で、水陸両用戦闘車両やエアクッション型揚陸艇(LCAC)で上陸させる。米国防総省の報告書などによると、071型は昨年までに8隻の進水が確認され、うち3隻が東海艦隊に配備されている。

  台湾当局の関係者は「中国軍は最近、日本の南西諸島を攻撃目標の選択肢に加えた」と指摘。揚陸艦による「(上陸)攻撃編隊」の編成はその後で初めてだとした。防衛省は2012(平成24)年5月、同型の揚陸艦を太平洋上で確認し公表したが、沖縄本島から南西に600キロ以上離れていた。
  この関係者はまた、中国の海軍陸戦隊(海兵隊)が島嶼(とうしょ)占領や上陸後に対空・対艦火力を制圧する訓練を行っているとも指摘。今回の揚陸艦の行動は南西諸島にも転用できるため「日本側も注意すべき事案だ」と警鐘を鳴らしている。


2021.11.12-産経新聞-https://www.sankei.com/article/20211112-TUGSWPKWTNLZXEDICP2PIZVT6M/
海自、訓練で豪軍艦を「武器等防護」 米軍以外で初

  防衛省は12日、海上自衛隊の護衛艦「いなづま」がオーストラリア海軍のフリゲート艦「ワラマンガ」と共同訓練を行った際、安全保障関連法に基づく「武器等防護」を実施したと発表した。米軍以外を対象とした実施は初めて。

  共同訓練は10~12日に四国南方で実施し、武器を使用する事態は生じなかった。武器等防護は平時から他国の艦艇や航空機を守る活動で、平成28年の安保法施行で自衛隊の新たな任務となったが、これまでは同盟国の米軍を対象に行ったケースしかなかった
  日豪両政府は今年6月の外務・防衛閣僚協議(2プラス2)で、武器等防護の実施に向けた準備が整ったことを確認していた。今後も豪軍から要請があれば行うという。防衛省は「部隊間の相互運用性が向上した。日豪防衛協力にとって極めて重要な進展だ」としている。


2021.11.06-Yahoo!Japanニュース(産経新聞)-https://news.yahoo.co.jp/articles/b2ad3d08f391132cd012a7b21fbb43f8412d1e7e
<独自>尖閣防衛 戦闘機拠点を離島へ拡充 空自検討
(半沢尚久)
  航空自衛隊が尖閣諸島(沖縄県石垣市)など南西諸島での中国との有事をにらみ、戦闘機などの展開能力を強化し壊滅的な被害を防ぐため、運用拠点の拡充を検討していることが6日、分かった。平素は民間航空機だけが運航している離島の空港に有事には戦闘機を展開させ、輸送機も送り込んで住民避難に充てる。それに向け、離着陸を支援する整備員や管制官を現地に急派する態勢を整える。

   現状では沖縄県で空自の戦闘機などの運用拠点となっているのは那覇空港だけで、那覇空港の滑走路が中国のミサイルによる攻撃で破壊されれば、南西諸島で戦闘機などの運用拠点が失われてしまう。
  運用拠点の拡充は沖縄県の離島にある空港を那覇空港の代替拠点として活用する構想の一環でもある。
  那覇空港に戦闘機を集中させていると攻撃で壊滅する恐れもあり、有事には別の拠点にも分散配置して壊滅を免れる狙いもある。

  沖縄県では宮古空港(宮古島市)と新石垣空港(石垣市)、与那国空港(与那国町)は滑走路の長さが2千メートル。空自戦闘機のF15とF2、F35Aは通常2400メートル以上の滑走路を使い、3空港は長さが足りないが、令和6年度から納入が始まる短距離滑走離陸・垂直着陸が可能なF35Bは数百メートルの滑走路でも離陸できるため運用は可能だ。輸送機のC2やC130、C1も3空港で離着陸できる。
  下地島空港(宮古島市)は3千メートルの滑走路が設置されており、F35B以外の戦闘機も離着陸が可能だ。 離島の空港で戦闘機や輸送機が有事に離着陸できるよう、空自は運用を支援する部隊として「飛行場群」を編成することを検討している。
  有事では空港で管制を担っている国土交通省職員では対応できないため、空自の管制官を急派し、整備員も随伴させる。 派遣する隊員は1つのチームで30人以上を想定している。燃料や物資、武器弾薬、整備器材を積み込み、輸送機で空港に緊急展開させる。

  尖閣侵攻で中国軍は宮古・石垣両島にも同時侵攻してくる恐れが強い。尖閣と宮古・石垣両島を1つの戦域と捉えているためで、そうした事態で住民を避難させる上で輸送機の展開も重要性は高い。
  未完の体制 増設は急務 航空自衛隊が南西諸島で戦闘機や輸送機の運用拠点拡充と離着陸支援の態勢整備を検討していることが明らかになった。対処力と住民避難の強化で意義はあるが、戦闘機の常駐拠点増設も不可欠だ。
  沖縄の宮古・石垣・与那国の3島と鹿児島の奄美大島への陸自配備が柱に据えられてきた南西防衛強化は未完といえる。 実は、管制や整備で離着陸を支援する部隊「飛行場群」の編成構想は旧ソ連を念頭に置いた冷戦時代からあり、手つかずだった。

   武力攻撃事態では特定公共施設利用法に基づき、平時は民間機だけが運航している空港も自衛隊と米軍が活用できる。空自戦闘機の拠点が増えれば待機中の戦闘機がミサイル攻撃で壊滅するリスクを減らせる。航空作戦は「地上では分散、上空で集中」が鉄則だ。
  沖縄の下地島空港を戦闘機が活用する構想も手つかずだ。中国の脅威の高まりを受け、20年ほど前から自衛隊では有用性が指摘されてきた。自衛隊幹部は「那覇基地の2つの飛行隊のうち1つを下地島空港へ移すべきだ」との見方を示す。
  平素から地上での分散につながる上、尖閣諸島(沖縄県石垣市)まで下地島からは約200キロで、約420キロ離れている沖縄本島の半分の距離だ。 逆に下地島空港が平素から活用できないままで那覇の戦闘機が奇襲攻撃で壊滅すれば、南西諸島での航空優勢の確保は難しくなる。そうなれば離島に輸送機も展開できず、住民を避難させることもできない。 にもかかわらず、下地島空港の活用に向けた政府の動きは鈍い。昭和46年と54年に政府と交わした覚書と確認書を根拠に、県が人命救助と緊急避難などを除いて自衛隊の使用(軍事利用)を認めていないからだ。
  政府も地元の反発を恐れ、タブー視しているように映る。 県と覚書を交わした半世紀前とは安全保障環境はまったく異なる。台湾有事で米軍の介入と自衛隊の支援を阻もうとする中国の攻撃が南西諸島に波及する危険性も高まっており、下地島空港への戦闘機常駐は待ったなしの課題だ
半沢尚久


2021.11.05-Yahoo!Japanニュース(毎日新聞)-https://news.yahoo.co.jp/articles/228475ba937985be8ff4d52d22ed33c3f0cc46e4
ドイツ軍艦艇19年ぶり日本寄港 フリゲート艦「バイエルン」

  ドイツ海軍のフリゲート艦「バイエルン」が5日、東京国際クルーズターミナル(東京都江東区)に寄港した。ドイツ艦艇の日本寄港は2002年以来で19年ぶり。岸信夫防衛相は同日、ドイツ連邦軍のツォルン総監とともにバイエルンを視察した

  岸氏はその後、共同記者会見で「我が国への派遣は、地域の平和と安定に積極的に貢献するとのドイツのコミットメント(関与)を示す上で重要だ」と評価した。ツォルン氏も「インド太平洋は戦略的に最も重要な地域の一つだ。派遣にはドイツによる共通の価値へのコミットメントが示されている」と述べた。
  英仏など欧州各国は中国けん制を念頭にインド太平洋への艦艇派遣に乗り出しており、ドイツも続いた形。バイエルンは8月にドイツを出港して以降、海上自衛隊の護衛艦と3回、共同訓練を実施した。日本には数日間とどまり、更なる共同訓練などを行う方向だ。【畠山嵩】


2021.11.04-dmenuニュース-http://topics.smt.docomo.ne.jp/article/wedge/business/wedge_24748
〝日本一周〟した中露艦隊の脅威 これからもやってくる

  10月下旬、日本海で合同演習を行った中国海軍とロシア海軍の艦艇合計10隻が、津軽海峡から太平洋に出て、伊豆諸島沖を経由して鹿児島県・大隅海峡から東シナ海に入った。これまで、両国海軍それぞれが日本を周航することはあったが、合同で巡航を行ったのは初めてである。
  近年深まっている中露の軍事協力の実態をふまえれば、このような動きは驚くべきことではなく、これからも繰り返されていくであろう。以下では、西太平洋における中露の軍事協力がどのように広がってきたのかを振り返り、日本が取るべき対応について考察する。

冷戦前後に揺れ動く中露関係
  冷戦時代、当初協力関係にあった中国とソ連は次第に敵対するようになり、国境線沿いで武力衝突を繰り返すようになった。このため、1970年代以降、中国は米国と「暗黙の同盟」を結び、ソ連を牽制する道を選んだ。一方、ソ連はウラジオストクを拠点とする太平洋海艦隊の増強を進めていたため、日米は対馬、津軽、宗谷の3海峡を封鎖できる能力を高め、ソ連の艦隊を日本海に封じ込める戦略を取った。
  このため、欧州で戦端を開けば、ソ連は極東でも日米そして中国とも戦わなければならなかった。ソ連はこの二正面作戦に備えるだけの経済力を維持できず、冷戦は熱戦になることなく終結したのである。
  冷戦の終結により、中国とソ連(後にロシア)の敵対関係は緩和され、天安門事件後に西側諸国から経済制裁を受けた中国はロシア製の武器を購入し、軍事力の近代化を図るようになった。しかし、中露はやがて中国によるロシア製武器の模倣やロシア産原油の価格をめぐって対立するようになり、両者の軍事協力は2005年をピークに停滞するようになった。
中国にロシアの優位性を見せつけることも
  その後、ロシアは中国の軍事力増強への懸念を強めるようになり、08年に中国艦隊が津軽海峡を初めて通航したことはロシア軍には強い衝撃を与えたという。12年に中露は「海上連合(Joint Sea)」という年次海軍演習を開始したが、ロシア側には自らの優位性を中国側に見せつけるという意図もあったと考えられている。
  


2021.10.19-青森 NEWS WEB(NHK NEWS WEB) -https://www3.nhk.or.jp/lnews/aomori/20211019/6080014057.html
中ロの艦艇10隻が津軽海峡を同時に通過 確認は初 防衛省

  防衛省は、中国軍とロシア軍の艦艇あわせて10隻が、18日津軽海峡を同時に通過したと発表しました。両国軍の艦艇が津軽海峡を同時に通過するのが確認されたのは初めてで、防衛省は航行の目的などについて分析を進めています

  防衛省によりますと、18日午前8時ごろ、北海道の奥尻島の南西、およそ110キロの日本海で、中国海軍とロシア海軍の艦艇、あわせて10隻が航行しているのを海上自衛隊の航空機や艦艇が確認しました。
  確認されたのは中国海軍の艦艇が、最新鋭のレンハイ級ミサイル駆逐艦など5隻、ロシア海軍の艦艇が駆逐艦など5隻のあわせて10隻で、午後にかけて津軽海峡を通過し、太平洋に出たということです。

   NHKは、午後2時すぎに上空のヘリコプターなどからこれらの艦艇を撮影し、映像からは10隻が隊列を組むようにして東に向けて航行しているのが確認できました。
  防衛省によりますと、中国海軍とロシア海軍の艦艇が津軽海峡を同時に通過するのが確認されたのはこれが初めてです。津軽海峡は「国際海峡」のため、軍艦を含めて外国の船舶の航行が国際的に認められています。
  また、中国とロシアは今月14日から17日にかけて日本海で合同軍事演習を行っていて、今回、津軽海峡を通過した艦艇はこの演習に参加していたとみられます。
  日本やアメリカ、オーストラリアなどが中国を念頭にインド太平洋地域で多国間の訓練を繰り返す中、中国がロシアとの連携をアピールした形で、防衛省は、航行の目的などについて分析を進めています。


2021.10.19-NHK NEWS WEB-https://www3.nhk.or.jp/news/html/20211019/k10013312901000.html
【タイムライン】北朝鮮から弾道ミサイル2発発射 日本海落下か

  防衛省によりますと、19日午前10時15分と午前10時16分ごろ、北朝鮮の東側から弾道ミサイル2発が発射されたということです。いずれも東部のシンポ(新浦)付近から東方向に発射したとみられ、このうち1発は、最高高度が50キロ程度に達し、変則的な軌道でおよそ600キロ飛んで、朝鮮半島東側の日本海に落下したと推定されるということです。落下地点は日本の排他的経済水域の外側と推定されています。
  北朝鮮が弾道ミサイルや、その可能性があるものを発射したのが確認されるのは9月28日以来で、ことしに入り4回目です。日本国内外の動きについて随時更新してお伝えします。
日米韓3カ国の情報機関トップが会談と発表
  韓国の情報機関「国家情報院」は、19日午前、ソウルでパク・チウォン(朴智元)国家情報院長と、日本の瀧澤内閣情報官、それにアメリカのヘインズ国家情報長官が会談したと発表しました。
  それによりますと会談では、朝鮮半島の情勢や懸案など共通の関心事について意見を交わし、今後も3か国の連携を強化していくことで一致したということです。
また、北朝鮮による19日のミサイル発射についても情報を共有したとしています。
16:30すぎ 首相 NSCのあと「警戒監視の徹底など指示」
  岸田総理大臣は、NSC=国家安全保障会議の閣僚会合を開催したあと、記者団に対し、警戒監視の徹底などを関係閣僚に指示するとともに、SLBM=潜水艦発射弾道ミサイルの可能性も含め、分析していることを明らかにしました。
  また記者団が、北朝鮮による弾道ミサイル発射を受けて、福島市で取材に応じたあと仙台市に向かった理由を質問したのに対し「まずは情報収集と分析を行わなければいけない。その間の作業や帰りの東京への列車の事情などを総合的に勘案した結果、ご指摘のような日程に落ち着いた」と述べました。
16:10すぎ(日本時間)中国外務省報道官「関係国は自制を」
  中国外務省の汪文斌報道官は記者会見で「現在の朝鮮半島情勢は重要な時期にある。関係国は大局に焦点を当て自制を保ち、朝鮮半島の平和と安定の維持に力を注ぎ、ともに政治的な解決のプロセスを推し進めるべきだ」と述べました。
15:00すぎ 立民 枝野代表「危機管理意識が足りないこと露呈」
  立憲民主党の枝野代表は、東京・杉並区での街頭演説で「ミサイルが飛んだ時、総理大臣と官房長官が2人とも東京におらず、危機管理意識が足りないことが露呈した。また発射後、岸田総理大臣は一刻も早く東京に戻るべきだったが、東北新幹線で北に向かい、仙台で遊説してからのんびりと帰京したそうだ。2人そろっていない時に東京で直下型地震があったらどうするつもりだったのか」と批判しました。
15:00すぎ 首相 官邸に到着「危機管理で十分な態勢とっていた」
  岸田総理大臣は、北朝鮮が弾道ミサイルを発射した際、みずからと松野官房長官のいずれも東京を離れていたことについて、磯崎官房副長官が官房長官の代理として在京で職務にあたるなど、危機管理で十分な態勢をとっていたという認識を示しました。
韓国軍 “SLBM=潜水艦発射弾道ミサイルと推定”
  韓国軍の合同参謀本部は、北朝鮮が東部のハムギョン(咸鏡)南道シンポ(新浦)付近から発射したミサイルについて、SLBM=潜水艦発射弾道ミサイルと推定されると発表しました。飛行距離や高度などについては、明らかにしていませんが、韓国軍は、短距離の弾道ミサイル1発だとしています。
14:45 米インド太平洋軍 日韓の防衛に対する米の関与揺るがない
  アメリカのインド太平洋軍は声明を発表し「われわれは北朝鮮が弾道ミサイルを発射したことを把握しており、日本や韓国などと緊密に協議している。アメリカはこのような行為を非難し、北朝鮮に対して状況を不安定化させるさらなる行為を控えるよう求める」としています。
  そして「今回の発射はアメリカの人々や領土、あるいは同盟国への差し迫った脅威ではないと判断しているが状況を監視し続ける。日本と韓国の防衛に対するアメリカの関与は揺るがない」として日韓両国と連携する姿勢を強調しました。
13:00すぎ 松野官房長官 地元から首相官邸に
  地元の千葉県で予定していた日程を取りやめた松野官房長官が、総理大臣官邸に入りました。
13:00すぎ 首相 街頭演説後 仙台から東京へ
  岸田総理大臣は、JR仙台駅前で街頭演説を行ったあと午後1時前に東京行きの新幹線に乗りました。午後3時前に東京駅に到着する予定で、その後、総理大臣官邸に入り対応にあたることにしています。
訪米中の外務省局長が米国務省特別代表と電話協議
  ワシントンを訪れている外務省の船越アジア大洋州局長は、アメリカ国務省のソン・キム北朝鮮担当特別代表と電話で協議し、北朝鮮の弾道ミサイル発射に関する最新の情報を共有し、引き続き緊密に連携してくことを確認しました。
松野官房長官 地元千葉県での午後の日程とりやめ官邸へ
  衆議院選挙の公示に伴って地元の千葉県に入っていた松野官房長官は、予定していた午後の日程を取りやめて総理大臣官邸に戻り、対応にあたることになりました。
11:45ごろ 岸防衛相 落下地点 飛距離 軌道などいずれも分析中
  岸防衛大臣は、防衛省で記者団に対し「北朝鮮は令和元年5月ごろから頻繁な発射を繰り返しておりその目的がミサイル技術の向上にあることは明らかだ。北朝鮮による弾道ミサイル等の度重なる発射は、わが国を含む国際社会全体にとっての深刻な課題だ。私から引き続き情報収集、警戒監視に万全を期すよう指示を出し、関係幹部会議を開催するなど対応に万全を期している」と述べました。
  一方、推定される落下地点や飛距離、軌道などについてはいずれも分析を進めていると述べるにとどめました。
11:40すぎ 磯崎官房副長官「安保理決議違反 極めて遺憾」
  磯崎官房副長官は記者会見で「今般の北朝鮮の行動は、わが国と地域の平和と安全を脅かすものであり、これまでの弾道ミサイルなどの度重なる発射を含め、わが国を含む国際社会全体にとっての深刻な課題だ」と述べました。
  そのうえで「このような弾道ミサイル発射は関連する国連安保理決議に違反するものであり、極めて遺憾だ。わが国としては、北朝鮮に対して、厳重に抗議した。強く非難する」と述べました。
  またNSC=国家安全保障会議の閣僚会合の開催予定について「岸田総理大臣の指示を踏まえて、情報の分析を行っているところであり、NSCの開催の可能性も含め判断していく」と述べました。
韓国軍合同参謀本部 “10:17ごろ弾道ミサイル1発発射”
  韓国軍の合同参謀本部は、北朝鮮が午前10時17分ごろ、東部のハムギョン南道シンポ付近から日本海に向けて弾道ミサイル1発を発射したと、明らかにしました。
岸田首相 予定変更し帰京へ
  岸田総理大臣は、昼過ぎからJR仙台駅前で街頭演説を行ったあと、秋田県に入る予定を変更し総理大臣官邸に戻ることになりました。
11:15ごろ 首相 「北朝鮮から発射は2発」訪問先の福島市で
  北朝鮮から弾道ミサイルの可能性があるものが発射されたことを受けて、岸田総理大臣は、訪問先の福島市で記者団に対し、発射されたのは2発だと明らかにしました。
11:10すぎ 首相 ツイッターに「毅然と対応」と投稿
  岸田総理大臣は、みずからのツイッターに「毅然と対応してまいります」と投稿しました。
11:00 公明 山口代表「断じて許されず きぜんと対応すべき」
  公明党の山口代表は、川崎市で記者団に対し「国連安保理決議に違反するもので、断じて許されない。東アジア地域の平和と安定を脅かすものであり、二度と行われないよう国際社会が連帯して阻止しなければならない。政府は、きぜんと対応すべきだ」と述べました。
10:54 岸防衛相が防衛省着 「これから情報収集」
  岸防衛大臣は防衛省に登庁した際、記者団に対し「いろいろ連絡は受けているが、これから情報収集・分析を進めていく」と述べました。
10:38 海上保安庁「すでに落下」発表
  海上保安庁は弾道ミサイルの可能性があるものは、すでに落下したとみられると10時38分に発表しました。
首相 情報収集のほか不測の事態に備え態勢とることなど指示
  北朝鮮から弾道ミサイルの可能性があるものが発射されたことを受けて、岸田総理大臣は、情報の収集と分析に全力を挙げ、国民に対し迅速・的確な情報提供を行うこと、航空機や船舶などの安全確認を徹底すること、それに不測の事態に備え、万全の態勢をとることを指示しました。
首相官邸では磯崎官房副長官が対応にあたる 
  衆議院選挙の公示に伴い、岸田総理大臣は応援演説で福島市を訪れているほか、松野官房長官は千葉県の地元に入っていて、総理大臣官邸では、磯崎官房副長官が対応にあたっています。
10:30ごろ 官邸対策室で緊急参集チームが情報収集や被害確認  
  北朝鮮から弾道ミサイルの可能性があるものが発射されたことを受けて、総理大臣官邸には、午前10時半ごろから、防衛省や外務省の担当者らが集まっています。
  関係者によりますと、総理大臣官邸の危機管理センターに設置している官邸対策室に関係省庁の担当者をメンバーとする緊急参集チームを招集し、情報の収集と被害の確認などにあたっているということです。
水産庁 各地の無線局通じ沖合の漁船に対し注意呼びかけ
  北朝鮮から弾道ミサイルの可能性があるものが発射されたことを受けて、水産庁は各地の無線局を通じて沖合の漁船に対し、注意を呼びかけるとともに、被害などの情報がないか確認を進めています。
防衛省や内閣官房も「弾道ミサイルの可能性があるもの発射」発表
  防衛省は北朝鮮から弾道ミサイルの可能性があるものが発射されたと発表しました。付近を航行する船舶や航空機に安全を呼びかけるとともに、情報の確認を急いでいます。
10:23 海上保安庁「北朝鮮から弾道ミサイル可能性あるもの発射」
  海上保安庁は「北朝鮮から弾道ミサイルの可能性があるものが発射されました」というミサイル発射情報を午前10時23分に発表しました。
航行中の船舶に対し、今後の情報に注意するよう呼びかけています。
北朝鮮 発射は9月28日以来
  北朝鮮が弾道ミサイルや、その可能性があるものを発射したことが確認されるのは9月28日以来で、ことしに入り4回目です。
防衛省によりますと、前回は北朝鮮内陸部から1発が東方向に発射されました。
  このときの発射について政府は、弾道ミサイル技術を使用したものだとしていますが、飛距離や高度、それに日本の排他的経済水域への落下がなかったのかなど、詳しい分析結果は明らかになっていません。
  北朝鮮はおととしに13回、合わせて25発の弾道ミサイルなどを発射し、去年は3月の1か月間で4回、合わせて8発の発射が確認されていました。
韓国軍の合同参謀本部「飛しょう体を発射」
  韓国軍の合同参謀本部は、北朝鮮が日本海に向けて飛しょう体を発射したと明らかにしました。韓国軍はアメリカ軍とともに詳しい情報の収集や分析を急いでいます。
  北朝鮮は、9月11日と12日に新たに開発した長距離巡航ミサイルの発射実験に成功したと発表したほか、15日には、列車から日本海に向けて短距離弾道ミサイル2発を発射し、日本の排他的経済水域の内側に落下したと推定されています。また、9月28日には北部のチャガン(慈江)道から短距離ミサイル1発を発射し、その翌日には、極超音速ミサイル「火星8型」の発射実験を初めて行ったと発表しました。さらに9月30日に、新たに開発した対空ミサイルの発射実験を行ったと発表しています。


2021.10.14-Yahoo!Japanニュース(乗り物ユース)-https://news.yahoo.co.jp/articles/d792e6482b59aae370d9bb1e75aed8e8f065ae7e
海上自衛隊最新鋭潜水艦「はくげい」進水 リチウムイオン電池搭載の高性能艦 防衛省

  防衛省は2021年10月14日(木)、川崎重工神戸工場(神戸市中央区)において、新規建造された潜水艦の命名式および進水式を実施しました。「はくげい」と命名されたこの艦は、たいげい型潜水艦の2番艦にあたります。

  「はくげい」は全長84.0m、幅9.1m、深さ10.4m、基準排水量3000t、乗員は約70名、主機関はディーゼル電気推進で、軸出力は6000馬力です。
  起工は2019年1月25日で、今後、艤装や各種試験を実施したのち、2023年3月に引き渡しの予定です。
  たいげい型潜水艦は、ディーゼル推進の通常動力型潜水艦としては世界最大級であり、なおかつ建造時から女性自衛官の勤務を想定して相応の設備を有しているのが特徴です。
   防衛省・海上自衛隊の説明によると、従来のそうりゅう型潜水艦と比べて探知能力が大幅に向上しているほか、静粛性も増しているとのこと。外観形状はそうりゅう型とほぼ変わらないものの、主機関にはディーゼルエンジンとリチウムイオン電池を組み合わせたディーゼル電気推進が採用されています。
   なお、「はくげい」は漢字では「白鯨」と書き、白いマッコウクジラを意味するとのこと。この名称を海上自衛隊で用いるのは初めてです。
  乗りものニュース編集部


2021.10.13-NHK NEWS WEB(政治マガジン)-https://www.nhk.or.jp/politics/articles/lastweek/69956.html
海上自衛隊と米豪印の海軍-共同訓練開始 中国念頭に

  アメリカ国防総省は、日本の海上自衛隊とアメリカ、インド、オーストラリアの海軍による共同訓練を開始したと発表し、中国を念頭にした4か国の安全保障面での連携を確認するねらいがあるとみられます。

  アメリカ国防総省のカービー報道官は12日、記者会見で、日本の海上自衛隊とアメリカ、インド、オーストラリアの海軍による共同訓練、「マラバール」を開始したと発表しました。
  訓練は、インド近海で行われていて、カービー報道官は「同盟国などとの結束を強化したい」と強調しました。
  アメリカのバイデン政権は中国に対抗していくうえで、「クアッド」と呼ばれる日本とオーストラリア、それにインドの4か国による連携を重視しています。
  4か国をめぐっては、アメリカで先月、首脳による初めての対面での会合が開かれましたが、中国を過度に刺激したくないとされるインドに配慮して安全保障分野での協力をアピールする姿勢は抑えるなど、参加国の間の温度差も指摘されています。

  それだけに、バイデン政権としては、今回の訓練を通じて、急速に軍事力を増強する中国を念頭にした4か国の安全保障面での連携を確認するねらいがあるとみられます。
木原官房副長官「結束をさらに深めたい」
  木原官房副長官は午前の記者会見で「民主主義や法の支配といった基本的価値観を共有する、日米印豪クアッド』4か国が緊密に連携していくということで『自由で開かれたインド太平洋』の維持・強化を進めていくうえで、極めて重要なものだ。訓練で、結束をさらに深めていきたいし、深められると承知している」と述べました。


2021.09.21-産経新聞-https://www.sankei.com/article/20210921-PEZDB6CSI5IFXLX3NM47AMDY2M/
<独自>衛星電波妨害研究に着手 中露念頭に防衛省

  防衛省が各国軍の部隊運用の基盤である人工衛星の電波を妨害する能力を備えるための研究に着手したことが21日、分かった。音声や画像・映像データを中継する衛星通信と、衛星利用測位システム(GPS)は地球上と衛星の電波の送受信で機能しており、妨害による電波遮断で敵部隊を機能停止に陥らせる装備の保有を目指す宇宙領域で先行する中国とロシアを念頭に置いた攻撃機能の研究が具体化したのは初めて。

  自衛隊や各国軍は自国部隊と装備の位置情報を把握したり、ミサイルを精密に誘導したりするのに米国が運用するGPSや中国版、ロシア版のGPSを活用している。遠方の部隊への通信中継や指揮統制は衛星通信が支えている
  衛星電波への妨害能力の研究は、海上自衛隊が2月、「護衛艦のEA(エレクトロニック・アタック=電子攻撃)能力向上に関する調査研究」との名目で三菱電機に依頼した。電波探知妨害装置と衛星通信装置などの器材に関する技術情報の収集・分析を求め、海自は今年度末をめどに研究成果を受け取る。
  海上幕僚監部は研究について「対象脅威に対する妨害能力向上」に資するものと説明する。一方、宇宙分野を統括する防衛省戦略企画課によると、研究は海自護衛艦の衛星通信装置などが他国軍の妨害を受けた場合、どのような影響があるかに主眼を置くという。各国軍の妨害手法を検証し、それを参考に自衛隊の妨害能力の保有につなげていく構想といえる。
  衛星電波への妨害は実例がある。2018年に北大西洋条約機構(NATO)の大規模軍事演習がノルウェーを中心に行われている間、同国などで米国が運用するGPSの電波が妨害を受けた。GPSの電波には時刻と位置情報が含まれ、それを受信することで地球上の物体の位置を測定できるが、妨害で民間航空機の運航にも危険が生じた。
  妨害は北極圏のコラ半島を拠点にするロシア軍部隊が関与したとされる。
  中国も衛星と地上の通信を妨害する装備を開発し、中露は米国とその同盟国の宇宙利用を妨げる能力を強化している。海自の研究はこうした実例や中露の装備と妨害手法を分析し、衛星と地球上の間で送受信される電波に護衛艦から同じ周波数の電波を照射するなどして混信を起こさせる攻撃に必要な装備の保有につなげる。


2021.09.16-NHK NEWS WEB-https://www3.nhk.or.jp/news/html/20210916/k10013259981000.html
自衛隊アフガン派遣 知られざる“深層”に迫る
(社会部記者 南井遼太郎 西牟田慧 須田唯嗣)

  それはまさに、急転直下で決まったオペレーションだった。
  武装勢力タリバンが権力を掌握し、アメリカをはじめとする国際社会が支援してきた政権が崩壊した、アフガニスタン。残された日本人などを退避させるため、自衛隊に派遣命令が下った。現地に向かったのは、輸送機など4機と、隊員約260人。退避させることができたのは、日本人女性1人と、アメリカから要請があったアフガニスタン人14人だった日本大使館やJICA(国際協力機構)で働くスタッフ、その家族など、政府が退避の対象と想定していた500人以上のアフガニスタン人は、結果的に、1人も救い出すことはできなかった
  今、「自衛隊を派遣する判断が遅かったのではないか」という指摘が、専門家などから相次いで出されている。混乱の極みにあったアフガニスタン。あのとき、自衛隊はどう行動していたのか。その内幕を、徹底取材で報告する。

「自衛隊が出ることはないだろう」
8月20日 カブール陥落から5日
  「やはり、『TJNO』の要請ということになりそうだ」関係者からその情報がもたらされたのは、カブール陥落の5日後、8月20日の夕方だった。
  「TJNO」は「Transportation of Japanese Nationals Overseas」の頭文字をとった略語で、自衛隊法に基づく「在外邦人等の輸送」を意味する。自衛隊が航空機を出して、アフガニスタンに残る日本人などを輸送するよう、外務大臣が防衛大臣に要請する、ということだ。
  「本当にやるのか?」-  最初にこの情報に触れたとき、そう思った。直前まで、「自衛隊が出ることはないだろう」というのが、大方の防衛省関係者の見方だったからだ。
  この6日前の8月14日。外務省は防衛省に対し、自衛隊機の利用の可能性を内々に打診していた。しかし、この時、外務省はまだ、民間のチャーター機が活用できると想定していた。自衛隊への打診は、あくまで「可能性」を伝えたもので、「基本的にはお世話にならない」(外務省関係者)と考えていた。タリバンによる権力の掌握、つまり、首都カブールの陥落は、まだ先だとみていたのだ。自衛隊関係者の間でも、「民間の航空機が飛んでいる段階では、自分たちの出番はない」という見方が広がっていた。
“急転直下”の派遣劇
  その流れが一気に変わったのが、翌15日のカブール陥落だった。
  政権が事実上崩壊したことで、「民間機の運航継続」という前提は崩れ、日本政府は、現地にとどまる日本人などをどう退避させるか、計画の練り直しを迫られた。カブール陥落の2日後、大使館の日本人職員12人が退避した。彼らが乗ったのは、イギリスの軍用機。ドイツやフランスを含め、ヨーロッパ各国はすでに、自国民や現地協力者の退避を始めていたのだ。
  翻って、日本。500人を超える大使館やJICAのアフガニスタン人スタッフなどは、依然、取り残されたままだった。ただ、この段階でも、防衛省・自衛隊関係者の間では、「TJNOはないだろう」という声が多かった
  自衛隊が出て行くとなると、準備も含めて時間がかかる。また、大使館の日本人職員がすでに退避する中、「退避を希望している在留邦人はいるのか」という懐疑的な声や、「外国人のために自衛隊機を出すのは、政治的にも法律的にもハードルが高いのではないか」という意見もあった。
  政府は、「他国の軍用機の余った席に乗せてもらえないかなど、さまざまな手立てを検討した」と説明している。しかし、実現のめどは立たなかった。最終的に、自衛隊機を派遣する以外に方法はないと判断した。
  そして、8月20日。外務省から防衛省に対し、「TJNO要請」の可能性が示された。TJNOは、「在外邦人等の輸送」という名が示すように、日本人が含まれていないと、実施できない。裏を返すと、日本人が含まれていれば、その数にかかわらず、外国人を輸送することができると政府は解釈してきた。
  関係者によれば、このとき、数人の在留邦人が国外退避を希望していたという。この日本人の退避と一緒に、大使館やJICAのアフガニスタン人スタッフなども、自衛隊が退避させる。今回のオペレーションの枠組みが固まった。
8月23日 輸送命令発出
  準備は急ピッチで進められ、23日午後0時13分、岸防衛大臣は、自衛隊機による輸送を命令した。
  その6時間後には、C2輸送機が埼玉県の入間基地を離陸した。これを追うように、C130輸送機2機も、活動拠点を置くことになる隣国パキスタンに向けて、日本をたった。
“統合任務部隊” その全貌
  今回の任務で、自衛隊は、航空自衛隊と陸上自衛隊の隊員からなる「統合任務部隊」を編成した。TJNOは今回が5回目だが、陸上自衛隊の部隊が関わったのは今回が初めてだ。・・・その理由を、防衛省関係者は、こう解説する。

防衛省関係者
  「“陸”が入ったのは、事態の急変も予想されたからだろう。TJNOは輸送の安全が前提だが、現地の状況を考えれば、万が一がありえるという判断だと思う。過去4回とは、危険性の認識が違ったということだ」


  防衛省は、今回の統合任務部隊について、その詳細を明らかにしていない。関係者への取材から、その全貌が見えてきた。

  隊員の約半数を占めるのが、「誘導輸送隊」だ。空港の中で、輸送対象者を護衛しながら輸送機まで誘導する役割を担う。このほか、輸送機の運航を担う「空輸隊」や、外務省の担当者とともに、輸送対象者への説明などを行う「搭乗支援隊」などがある。
  「誘導輸送隊」の主な要員が、陸上自衛隊の「中央即応連隊」だ。災害やテロなど、さまざまな「緊急事態」に派遣されるほか、海外派遣では先遣部隊として活動するのが主な役割だ。安全保障関連法で可能になった、武器使用も想定される日本人の「救出」や「警護」に備え、訓練を繰り返している。
  「誘導輸送隊」に中央即応連隊が充てられたのは、対象者を輸送機まで誘導する際の「万が一」に備えるためだと考えられる。
  また今回、防衛省は、セキュリティー上の問題があるとして、部隊が携行した武器については明らかにしなかったが、複数の関係者への取材によれば、携行したのは小銃と拳銃だけ。
  過去の海外派遣では、隊員は機関銃を携行したり、装甲車が使われたりしたが、今回はアメリカ軍によって空港内の安全は確保されていることから、最小限の武器の携行にとどめたという。
始まったオペレーション
8月25日 自衛隊輸送機カブールへ
  日本をたった3機の輸送機は、25日夜までに、相次いでパキスタンの首都、イスラマバードに到着した。この頃、防衛省・自衛隊関係者の間には焦りが広がっていた。
  アメリカのバイデン大統領が、8月末までとしていた撤退期限を延長しない方針を表明。日本を含む各国に対し、27日中にはカブールの空港を撤収するよう求めたのだ。このとき、日本が確保していたカブール空港の発着枠は、25日から27日の3日間。しかし、27日に撤収となると、この日は、退避希望者の輸送に充てるのは難しいかもしれない
  退避希望者は最大で「500人以上」にのぼる。全員を運ぶことを考えれば、もはや、一刻の猶予もなかった。
  統合任務部隊は急きょ、最初に到着したC2輸送機をカブールに向かわせることを決めた。この機体は隊員や資機材の輸送のために派遣され、もともとは退避希望者を乗せる予定はなかったが、背に腹は代えられなかった。
初めてカブールに到着も…
  25日の午後11時前にイスラマバードをたった輸送機は、約40分でカブールの空港に到着した。今回の任務で、自衛隊の輸送機が初めてカブールに入った瞬間だった。「誘導輸送隊」の隊員など数十人と、現地で必要になる物資を届けた輸送機。しかし、肝心の退避希望者は、空港にいなかった。誰一人、たどりつけなかったのだ。
  日本政府はこの頃、退避を希望する人に対しては、「空港までは自力で移動するよう求める」と説明していた。自衛隊も、空港の外での活動は認められていなかった。アメリカ軍の管理下にない空港の外は、安全が保証できないからだ。
  しかし、退避を望む人は、「安全が保証できない」その環境下で、空港にたどりつく必要があった。「到着できないのも、無理はない」ー率直にそう思った。
  結局、退避希望者を1人も乗せることなく、輸送機はイスラマバードに戻った。
アフガニスタン人14人を退避
8月26日 輸送2日目
  翌日、統合任務部隊は、C130輸送機2機を使って、イスラマバードとカブールの間を6回程度往復させる計画を立てていた。発着枠がさらに確保できれば、C2輸送機を活用することも念頭に置いていたという。
  しかし、この日の未明、C130輸送機1機に油圧系統の故障が発覚。この日に飛んだのは、もう1機のC130輸送機だけだった。1回目は、正午すぎにイスラマバードを離陸。隊員や物資は届けたものの、またも、空港に退避希望者はいなかった。

  いったんイスラマバードに戻った後、午後7時半ごろ、再びカブールに向けて出発。1時間ほどで到着した。
  そして、この時、空港にいたアフガニスタン人14人を退避させた。14人は旧政権に関係する人やその家族。アフガニスタンに残ると迫害されるおそれがあるとして、アメリカから退避を要請された。TJNOで外国人を運んだ、初めてのケースとなった。
退避を阻んだ自爆テロ
  一方、この頃、カブールでは、日本人などの退避を実現するための計画、「コンボイ(護送)・オペレーション」が、ひそかに進行していた。政府やJICAがバスを用意し、退避希望者を空港まで届けようとしていたのだ。
  当時、退避を希望する人がカブール空港にたどりつくまでには、市街地でタリバンが設けていた検問で通過を認められる必要があった。
  政府の説明によれば、この日の午後には、アメリカ軍とタリバンの間で、日本人やアフガニスタン人スタッフなどの通過に合意するメドがたったのだという。
  退避希望者には日本時間の午後10時半までに市内の集合場所に集まってもらうよう呼びかけた。対象者はおよそ600人。27台のバスが用意され、空港に向かうことになっていた。退避が実現すれば、ほぼミッション・コンプリート(任務完了)」と言えた。
  しかし…車列が空港に向けて、出発しようとしていたまさにその時、自爆テロによる大規模爆発が起きた。退避を希望していた人たちは、解散を余儀なくされた。
  後日、外務省は取材に対し、こう説明した。

外務省の説明
「タリバンの検問を通過するための調整はアメリカ軍が行っていて、われわれとしては通過を希望する人のリストをアメリカ軍に出し、タリバンの了承が出るのを待つしかなかった。返す返すも残念なのは、車列がスタートする直前で、テロが起きてしまったということだ」


万事休すか
8月27日 輸送最終日
  大規模爆発の被害が明らかになるにつれ、防衛省・自衛隊の間では、「もはやTJNOは続けられないのではないか」という見方が広がっていた。爆発の後、現地に派遣された部隊が、コンクリート製のごうの中に退避する場面もあったという。

防衛省関係者
「動揺は計り知れなかった。派遣の前提となっていた『輸送の安全』が揺らぎかねなかったからだ。退避希望者が空港にたどり着くのはますます難しくなり、この時点でのオペレーションの中止も十分にありえた」


  さらに、政府の説明によると、アメリカ軍から、空港に設けているゲートは開けるものの、タリバンの検問は通過できないかもしれないと、通告があったという。
万事休すか。
  しかし、事態は急変する。タリバンが、アフガニスタン人以外であれば、通過を認めることに同意したという情報が入ったのだ。
  これを受け、日本人女性1人が、用意されたバスで空港に向かった。バスは午後5時半頃、無事にタリバンの検問を通過。あとは自衛隊機の到着を待つだけとなった。
  この日、統合任務部隊は、カブールの空港に6つの発着枠を確保していた。しかし、前日に故障したC130輸送機の修理が、この日の午後までかかった。C2輸送機にも、トラブルが起きたという。
  そしてこの日も、退避希望者が空港にたどり着けない状態が続いたため、せっかく確保した発着枠を4つ、キャンセルせざるをえなかった。残る発着枠は、夜に確保した、20分間隔で発着する2つ。
  政府は、C130輸送機2機をカブールに向かわせ、このフライトで、すべての自衛隊員や外務省・防衛省職員らを撤収させる方針を決めた。
  本当の、ラストチャンス。日本時間の、午後7時すぎ。2機は相次いでイスラマバードをたち、カブールに向かった。
  到着したのは、出発から1時間後。空港では、タリバンの検問を通過した、あの日本人女性が待っていた。タリバンを恐れてだろうか、女性は黒い布を身にまとい、顔は目しか見えない姿だったという。
  1機には女性を乗せ、もう1機には自衛隊員や資材を積み込み、C130輸送機2機は、カブールをたった。午後10時過ぎ、2機は無事イスラマバードに戻り、任務は事実上、終わった。
  「500人以上」とされる、大使館やJICAのアフガニスタン人スタッフなどは、現地に残された。4日後の8月31日、岸防衛大臣は輸送活動の終結を命じ、自衛隊は撤収した。
  政府は、「邦人の退避という最重要の目標は達成できた」と説明した。しかし、防衛省関係者の1人は私たちに、こう漏らした。

防衛省関係者
「結果論だが、派遣が遅すぎて間に合わなかったということだと思う。17日にイギリスの軍用機で大使館員を退避させたところが分岐点だったかもしれない。退避の是非はともかく、このあとの在留邦人やアフガニスタン人スタッフの退避に備え、あのタイミングで自衛隊を派遣し、イスラマバードに活動基盤だけでもつくっていれば、もう少し輸送できたのではないか。派遣の前段階の判断が、結果を左右したと思う」


“TJNO経験者”はどう見たか
  回の派遣を、専門家はどう見ているのか。自衛隊の海外派遣に携わった経験のある、2人に話を聴いた。自衛隊トップ・統合幕僚長として、2度にわたりTJNOを指揮した河野克俊さん。
  「派遣は遅かった」としたうえで、その背景に、自衛隊の海外派遣をめぐるこれまでの議論があると指摘する。

河野さん
「今回、政府内でどういうやり取りや判断があったかはわかりませんが、一般論として、自衛隊派遣をめぐる法律を作る時は、安全確保について非常に厳しい条件がつく。自衛隊が行くところは安全なんです、というのがいつも議論の前提になるんです。そういう議論から自衛隊派遣ができるようになっているので、民間機が使えるなら民間機を使った方が無難だと、論議を呼ばないというメンタリティーに知らず知らずのうちになっているんじゃないかと思うんです」

「最初から自衛隊機を使うという発想に転換した方がいいのではないか。民間機が使えるとしても、自衛隊機を使った方が、国が責任を持って在留邦人の方々の命と安全を守るという意思を明確に示すことができる。その意味でも、自衛隊機の活用を積極的に考えた方がいいと私は思います」


  元防衛官僚で、内閣官房副長官補として、自衛隊のイラク派遣、そして初のTJNOに関わった柳澤協二さん。「派遣は遅かった」という認識は、河野さんと同じだ。

柳澤さん
「(アフガニスタンの)州都のほぼ半数は、カブールが陥落する1週間ほど前には陥落していたのだから、厳しく見れば、少なくとも8月10日前後には、政府は『緊急モード』に切り替え、退避のプランを立てるべきだったと思います。そうすれば、もっと早く自衛隊機を出すこともできた。『1人の邦人を運べたからよかった』という評価は、するべきではない。あくまで端から見ている印象ですが」


  そのうえで柳澤さんは、今回の任務をふまえ、自衛隊を派遣する要件を緩めるべきだという意見が出ていることに対し、こう述べた。

柳澤さん
「各国とも、どうやって武器を使わず、空港まで輸送できるかというところで苦労していたわけで、そこに成否の分かれ目があった。だから、今回の件を受けて、武器を使って救出するということを議論するというのは、まったく的外れなんだろうと私は思います。空港の周辺に集まっていたアフガニスタンの民衆を、武器を使って排除すればよかったのか。安全が確保されてないのに派遣して退避希望者が犠牲になったら、誰が責任を取るのか。自衛隊が行って成果を上げるということが大事なんじゃない。いちばん大事なことは、関係者が無事であることなんですね」


自衛隊派遣はどうあるべきか
  当初想定していた、アフガニスタン人の退避対象者を1人も退避させられなかったことで、今、自衛隊派遣の在り方に注目が集まっている。自衛隊法の改正を議論すべきだという意見も出始めた。
  岸防衛大臣は、自衛隊機を派遣する判断が遅かったなどと指摘されていることなどをふまえ、一連の対応を検証する考えを示した。
  問題はどこにあったのか。情報不足か、判断の遅れか、それとも、オペレーションか。政府には今もアフガニスタンに残る「500人以上の退避に向けた努力を続けることはもちろん、今回の任務について、可能なかぎり国民に情報を開示し、開かれた場で、徹底的に検証することが求められる。
  そのときに、忘れてはならない事実がある。自衛隊は、これまでの海外派遣で、実戦で1発の銃弾も撃ったことはない。そして、1人の犠牲者も出していない。それは、海外派遣の歴史が、国会などでの徹底的な議論、そして事後の地道な検証の積み重ねによって形作られていることの証左でもある。
  今回の経験を「次」に生かすには、どうすればいいのか。拙速な議論で終わらせてはならないことは、歴史が教えてくれている。

(文中の時間は日本時間)


2021.09.13-NHK NEWS WEB-https://www3.nhk.or.jp/news/html/20210913/k10013256971000.html
接続水域航行の潜水艦「中国のものと推定」官房長官

  鹿児島県の奄美大島の周辺で外国の潜水艦が浮上しないまま日本の領海のすぐ外側にある接続水域を航行したことについて加藤官房長官は、中国の潜水艦と推定しているとして、外務省が中国側に対し状況を注視していることを示す関心の表明を行ったと明らかにしました。
  今月10日、奄美大島の東の接続水域を外国の潜水艦1隻が浮上しないまま北西に向けて航行しているのを海上自衛隊の護衛艦と哨戒機が確認し、追尾に当たりました。
  これについて加藤官房長官は13日午前の記者会見で「さまざまな情報を総合的に勘案し、潜水艦は中国のものと推定している」と述べました。
  そして「今回、わが国領海への侵入はなかった。国際法上、外国の潜水艦が沿岸国の接続水域内を潜水したまま航行することは禁じられているわけではないが、潜没した潜水艦がわが国接続水域で確認されたことは注視すべき状況だ」と述べました。
  そのうえで加藤官房長官は、目的などについて情報収集と分析を行うとともに、外務省の局長級レベルで中国側に対し状況を注視していることを示す関心の表明を行ったと明らかにしました。


2021.09.04-産経新聞-https://www.sankei.com/article/20210904-JZYIRPM7IVKOHPBMM6O5GPACIM/
英最新空母「クイーン・エリザベス」、日本に初寄港 横須賀

  英海軍の最新鋭空母クイーン・エリザベスが4日、米海軍横須賀基地(神奈川県横須賀市)に寄港した。日本寄港は初めて。英国には、中国をにらみ、日米が提唱する自由で開かれたインド太平洋構想の実現に向け連携を示す狙いがある

  午後2時すぎ、戦闘機をのせた空母がゆっくりと基地に入った。迎えた英国のジュリア・ロングボトム駐日大使は「インド太平洋地域における英国のプレゼンスがより深まる」と意義を強調した。
  クイーン・エリザベスを旗艦とする空母打撃群は2日から、自衛隊と米、オランダ、カナダの各国軍との共同訓練に参加している。クイーン・エリザベスは、9日に横須賀基地を出港する予定で、寄港中、乗組員約1240人は下船しない


2021.08.30-産経新聞-https://www.sankei.com/article/20210830-EZNXKIJ3AJPRTAQCWOKC4F2CZ4/
〈独自〉与那国・台湾間に中国軍艦艇 昨年末以降24時間展開

  日本最西端の沖縄県・与那国島と台湾の間の海域で、中国軍艦艇1隻が24時間態勢で常時展開していることが30日、分かった尖閣諸島(沖縄県石垣市)北方の北緯27度線付近にも中国軍艦艇2隻が張り付いており、日本周辺で常時展開する中国軍艦艇1隻が新たに加わった形だ。日本政府高官、台湾軍関係者らが明らかにした。政府は新たな常時展開を軍事的緊張を高める行動と位置づけ、中国側の意図を分析している。

  関係者によると、中国軍艦艇は与那国島の北北西に展開しており、少なくとも昨年末ごろには確認されている。主に中国軍東海艦隊(司令部・浙江省寧波市)に所属する艦艇が定期的に入れ替わり、24時間態勢で航行しているという。
  与那国-台湾間は約110キロの距離で、同海域から尖閣諸島までは約170キロ。与那国島には陸上自衛隊の沿岸監視隊が駐屯し、レーダーで与那国-台湾の海域を常時監視している。

  政府は中国側の意図について、中国軍が与那国-台湾間を太平洋に進出する際の重要海峡と位置づけ、周辺を航行する台湾軍艦艇などを牽制する狙いがあるとの見方を強めている。一方、台湾当局関係者は産経新聞の取材に対し、与那国-台湾間の海域を航行する海上自衛隊艦艇を牽制する目的があるとの分析を示した。
  同海域では今年5月1日、中国海軍のフリゲート艦1隻が与那国島と台湾の間を北上して東シナ海に入った。フリゲート艦は与那国-台湾間に常時展開しているものとは別の艦艇だったが、防衛省統合幕僚監部は同日、与那国-台湾間を通過する中国軍艦艇の動きとしては初めて公表に踏み切った。異例の発表は、同海域で活発化する中国軍の動きを牽制する狙いもあったとみられる。


2021.08.21-SankeiBiz-https://www.sankeibiz.jp/macro/news/210821/
国境離島を海保機で調査 無人島初、安保面を重要視

  国内に484島ある国境離島のうち、消失した恐れがある北海道の節婦南小島(せっぷみなみこじま)について、海上保安庁が20日、測量専用の航空機を用いた調査を開始したことが分かった。測量専用機による無人国境離島の調査実施は初めてで、島の存在や海底地形の確認を進めたもようだ。国境離島は領海や排他的経済水域(EEZ)などの管轄海域を決める根拠で、政府は土地利用規制法の保護対象に位置付けるなど安全保障面で重要視している。

  海保は今後、海洋領域をめぐって中国や韓国が動きを強める東シナ海や日本海側の島々についても、専用機の機動性を生かして調査を進める方針だという。
  今回、調査が行われた節婦南小島は国土地理院の地図に記載され、新冠(にいかっぷ)町沖約200メートルに位置する無人島。地図上の面積は150平方メートル程度とみられる。

  節婦南小島は領海の基点になっており、消失が確認されれば領海範囲が減少する恐れがある。ただ、島が一見して海面上にない場合でも、引き潮の際に現れる「低潮高地」と認定できれば、これまでと同様に領海の基準になるため、海保は慎重に調査を進める。

  関係者によると、島は地震の地形変化による沈降や波風による浸食などで消失した可能性が指摘されている。衛星写真などで島影が確認できなくなっていた。
  政府によると、島の外縁部の測量が最後に実施されたのは、昭和32年だった。地図や海図に名称がなく、所有者がいなかったため、政府は平成26年に「節婦南小島」と名前を付与し公表28年度に国有化していた。地理的に領海外側の排他的経済水域(EEZ)の基点にはなっていない。

  今回の調査で用いられた機体「あおばずく」は海洋権益の確保に向け、海保が今年2月に測量専用として初導入し、第2管区海上保安本部の仙台航空基地(宮城県岩沼市)に配備。レーザー測深機で、領海やEEZを根拠づける低潮時の海面と陸地の境界(低潮線)を高精度で調査できる。

■国境離島-国内には周囲100メートル以上の離島が約6800島あり、有人60島、無人424島の計484島が領海や排他的経済水域(EEZ)を根拠づける。沿岸から12カイリ(約22キロ)の領海では主権があり、200カイリ(約370キロ)のEEZでは天然資源の開発権が認められるため、権益確保の観点から維持管理が重要になる。尖閣諸島を含む一方、領土問題を抱える北方領土と竹島は含まない。


2021.08.05-Yahoo!Japanニュース(朝日』新聞)-https://news.yahoo.co.jp/articles/1650231cc52fdab46f21419909b365c59e6eb599
F15の長射程対艦ミサイル見送り 改修費の高騰で断念

  防衛省は、航空自衛隊のF15戦闘機への搭載をめざしていた米国製の対艦攻撃用の巡航ミサイル「LRASM(ロラズム)」の導入見送りを決めた

  米政府との交渉で、搭載に伴う改修費用が高額になることが確実となったため。代わりに開発中の国産ミサイルを活用する方針。  同省が5日、自民党の国防部会で明らかにした。

  新たに搭載を予定していたのは対地攻撃用ミサイル「JASSM(ジャズム)―ER(イーアール)」を含めた米国製の2種類。いずれも射程は900キロで、敵の射程圏外から攻撃可能な「スタンド・オフ・ミサイル」と呼ばれる。
  こうした長射程の兵器を持つことは敵基地攻撃能力につながるとして批判も根強いが、同省は2017年末に取得を決めていた。

  F15改修は、中国の海洋進出を念頭にした南西諸島の防衛力強化の柱。同省は中期防衛力整備計画(19~23年度)に20機の改修を明記しており、最終的には約70機の改修とする方針だ。
朝日新聞社







このTopに戻る