「わいせつ」問題(Johnny's)-1


2024.04.25-産経新聞-https://www.sankei.com/article/20240425-AEC34PWISVIDBPCYDUSIHH4SK4/
旧ジャニーズ事務所が英BBCに抗議 性加害問題で東山社長の発言「意図的にゆがめた」

  SMILE―UP.(スマイルアップ、旧ジャニーズ事務所)は25日、性加害問題を取り上げた番組で、東山紀之社長の発言を意図的にゆがめて放送したとして英BBC放送に厳重に抗議し、訂正と謝罪を求める文書を送ったと発表した。

  スマイル社は、3月放送の「捕食者の影 ジャニーズ解体のその後」で、インタビューを受けた東山社長の発言が本来の趣旨と異なって放送されたなどと主張した。
  番組では、中傷する人たちに言うことはないか、と問われた東山社長が「言論の自由もあると思う。僕は別に誹謗中傷を推奨しているわけでもなく、多分その人にとってはそれが正義の意見なんだと思うときもあります」と語ったと放送。スマイル社は「なるべくなら誹謗中傷はなくしていきたいと僕自身も思っています」との発言が省略されたと訴えている


2024.01.17-産経新聞-https://www.sankei.com/article/20240117-4J4H4YY6XJPLLB5YFDSIONPZCI/
ネット中傷で被害届受理、元ジャニーズのAさんが明かす

  「ジャニーズ性加害問題当事者の会」のA副代表(56)が17日、インターネット上で自身に対する誹謗中傷が繰り返されたとして、名誉毀損容疑で埼玉県警に提出した被害届が受理されたと明らかにした。

  昭和57年に旧ジャニーズ事務所に入所したAさんは、ジャニー喜多川氏から性加害を繰り返し受けたと昨年、告白。当事者の会の副代表として活動を続けたが、交流サイト(SNS)などでの中傷はやまなかった。
  昨年11月から埼玉県警に相談していたAさんは「被害届が受理され安心した。ネット上の中傷は許されない犯罪行為だということを強く訴えていきたい」と語った。


2023.12.21-産経新聞-https://www.sankei.com/article/20231221-KHYDE4NHB5LZFCFBALCARH2IW4/
「もう少し早く報道していたら」ジャニーズ性加害問題 実名告発したBさん
(聞き手 三宅令)

メディア回顧㊤
  令和5年のメディアは、旧ジャニーズ事務所(現SMILE-UP.=スマイルアップ)を抜きに語ることはできない。3月の英BBC番組で創業者、ジャニー喜多川氏による性加害問題に火が付き、9月に社長辞任と将来的な廃業が発表され、「ジャニーズ」の名前も消え去った5月に実名告発した俳優でダンサーのBさん(38)のインタビューとともに、800人以上が補償を求める前代未聞の性加害の陰で問われた、国内メディアの「不作為」について考える。

 本当に変えたいなら
   今年5月に週刊文春でジャニー喜多川氏から受けたジャニーズJr.時代の性加害を告発し、日本外国特派員協会で記者会見した。長い沈黙を経て、なぜ告発に踏み切ったのか・・・「今後の芸能界のために、後に続く人たちのために、自分にできることがあるんじゃないかと思った。文春の記者から、(4月に実名告発した)カウアン・オカモトさんやBBCの報道を教えてもらい、世の中が動いていることを実感すると同時に、このままだと全部めちゃくちゃになってしまう、スキャンダルとして消費されてお互いを責め合い、ジャニーズのエンターテインメントもタレントも被害者も誰も救われない状況になると思った。『今ならBさんの声が届くが、1年後に決断しても届くかどうかはわからない』と説得され、悩んだけれど、本当に変えたいなら正面から向き合うべきだと、覚悟を決めた」
 被害に遭ったのは13歳のとき。その時に訴え出ることはできなかったか
   「黒塗りの車が家族のところへ来るという噂があった。当時は何も分からなくて怖かった。なかったことにする方が楽だった。旧ジャニーズ事務所にはエンターテインメントを教えてもらい、感謝していることもたくさんある。ただ、子供に対して平気で性加害が行われる状況があった。問題に向き合ってほしかった」
メディアの動き遅い
 性加害疑惑をメディアも取り上げなかった
   「疑惑がささやかれた当初からテレビや新聞などのメディアが本気で掘り下げていたら、ここまで被害が拡大しなかったはず。僕は週刊誌で告発した後も、『事実か事実じゃないか分からない人に対してフィー(出演料)は出せない』といわれた。疑われている人間に地上波テレビが寄り添って報道するのは難しい判断だろうが、もう少し早く向き合えたんじゃないか。自分たちに批判の矛先が向いてから被害や忖度などの事実確認をしているが、動きは遅かったと思う」
 スマイルアップ社の補償案を受け入れた
   「向き合ってもらえたので、提示された金額をそのまま受け入れた。最初は断ったが、僕が受け取らないと補償が進まないともいわれた。被害に関して僕は立ち直っているし、何かを変えたいと思って告発した自分自身に、何より誠実でありたかった」
 告発の結果、社会が変わりつつある
   「事務所も認めて謝罪してくれた。事務所との癒着を疑われていたテレビ局も検証番組などを放送した。加害者本人はもう亡くなっているし、誰かを責めるのではなく、今後良い方向へ向かう動きにつながっていけばいい」
 自身の環境も激変した
   「覚悟はしていたが、誹謗中傷がすごい。売名行為だといわれるが、僕自身に〝被害者〟という色がついてしまったせいで、むしろ仕事には悪影響がある。告発したからエンターテインメントの世界で生きていけなくなった、ということにならないよう努力したい」
(聞き手 三宅令)

告発生かせなかった新聞・テレビ
  令和元年7月にジャニー喜多川氏が死去した際、新聞、テレビは「『帝国』築いた希代のカリスマ」(産経新聞7月24日付文化面)などの見出しで、有名タレントを多数育てた喜多川氏の功績を主に紹介した。ただ、「疑惑」は昭和時代からすでにメディアに登場していた。昭和40年3月には「週刊サンケイ」が、喜多川氏が芸能学院の生徒にみだらな行為をしたとして損害賠償を請求されていることを報道。63年にはアイドルグループ、フォーリーブスの元メンバー、C氏が告発本を出版している。
  平成11年、週刊文春が元所属タレントの証言とともに性加害疑惑の特集記事を連載。旧ジャニーズ事務所は文芸春秋社に1億1千万円の損害賠償を求め提訴した。東京地裁は14年、記事の真実性を認めず880万円の支払いを命じたが、東京高裁は15年、「記事は真実、あるいはそう信じる相当の理由があった」と認め、賠償額を120万円に減額、最高裁で確定した。

  産経新聞は地裁、高裁の判決をそれぞれ社会面で報じている。しかし、告発や報道が事務所や喜多川氏への大きな批判として広がることはなかった。同時期の2002(14)年、米ボストン・グローブ紙が聖職者による少年への性加害を報道し、大きな社会問題となったのとは対照的だった。
  テレビ各局は事務所が性加害を認めた今年9月以降、それぞれに検証を行った。高裁判決を報じなかった日本テレビは「ゴシップと軽く捉えていた」、TBSは「週刊誌報道を軽視する風潮があった」などと当時の報道担当者が答えた。フジテレビは「男性に対する性被害への認識が著しく低かった」とし、人気タレントを擁する同事務所を特別視する空気が性加害を見逃すことにつながったとした。「出演者の起用で事務所に忖度した」(テレビ朝日)、「性加害は噂レベルで、犯罪的な事実を認識できていなかった」(テレビ東京)との報告もあった。
  結果的に被害は半世紀にわたって続き「芸能界のゴシップ」は、「タレント数百人が性的搾取と虐待に巻き込まれるという、深く憂慮すべき疑惑」(8月の国連人権理事会作業部会報告)にまで発展した。なぜ新聞とテレビは的確に動けず、社会は大きな関心を寄せなかったのか人権の蹂躙を見過ごしたメディアに重い教訓が残されている


2023.12.05-朝日新聞-https://www.asahi.com/articles/ASRD50P57RD4UCVL043.html
「少年倶楽部」巡るNHK内での性被害証言 クロ現で管理体制に言及
(宮田裕介 堀越理菜)

  NHKは4日放送の「クローズアップ現代」で、約20年前にNHKの音楽番組「ザ少年倶楽部」への出演を希望していた男性が、局内のトイレで故ジャニー喜多川氏から性被害を受けたと証言している問題を取り上げ、当時の番組出演者など子どもに対する局側の管理体制について言及した。

  当時、局内のリハーサル室では、番組の出演者を決めるオーディションやレッスンなどが行われていたが、オーディションは事務所関係者のみで行われ、また、レッスンでは、現場にNHK関係者が立ち会わないことが大半だったと伝えた。
  さらに番組での選曲や主な出演者の決定、番組の構成などはNHKが行い、主要なジュニアのメンバーについては人数や名前を把握していたとする一方、「後ろで誰が踊るかなどは曲ごとの振り付けに関わること」との理由で、事務所側に任せ、NHKは名前を把握していなかったとした。
  また、NHKは、今回の男性の証言について、「番組の制作責任を持つNHKとして看過できない問題であり、今後出演者の安全や人権を守る取り組みをさらに進めていく」とするコメントを紹介した。
  番組は、「検証・ジャニーズ性加害 “救済”めぐる壁」とのテーマで4日放送され、事務所に所属していなかったことで補償が進まない問題について取り上げた後で、NHK側の管理体制についても取り上げた。
(宮田裕介、堀越理菜)


2023.12.01-産経新聞-https://www.sankei.com/article/20231201-OEWGNYD7CJIO5PI5ON7FDJGG2A/
性加害問題で23人に支払い スマイルアップが補償金

  旧ジャニーズ事務所から社名変更した「SMILE―UP.(スマイルアップ)」は1日、創業者のジャニー喜多川元社長(令和元年死去)の性加害問題に絡み、11月30日までに被害申告者計23人に補償金の支払いを完了したと発表した。

  スマイルアップは11月22日、旧事務所が設置した被害者救済委員会が計35人に補償金額の連絡を開始したと発表。同月30日までに、うち30人から補償内容に同意するとの連絡があったという。同意を得られた残りの被害者に対しては順次、支払いに向けた手続きを進めている。同意を得られていない5人は現在、補償内容を検討している状況。
  また、被害者救済委員会は、35人とは別に新たに23人に補償内容の連絡を行った。同委員会などによると、被害を申告して補償を求めているのは834人(11月20日時点)で順次、在籍確認や個別の聞き取りなどを進める。


2023.11.26-産経新聞-https://www.sankei.com/article/20231126-Y2U7IE4UNFKPXKWOKRJEFW2KYU/
Dさん、旧ジャニーズ問題「勇気を出して声上げる大事さ痛感」 自身のラジオ番組で

  作家のDさん(74)は26日放送のラジオ番組「D-RADIO」(TOKYO FMなど)で、「最近のジャニーズ問題の報道を見ていて、勇気を出して声を上げることの大事さを改めて痛感させられました」と旧ジャニーズ事務所の性加害問題に言及した。

  Dさんは番組で、米国がベトナム戦争に本格参戦するきっかけになったとされる「トンキン湾事件」が起きた後、大統領に戦時権限を付与する議案に反対した議員が2人だけいたことを紹介。「しっかり声を上げる、空気なんて読まない、忖度もしない。そういう人たちの存在が、たとえ少数ではあっても僕らの社会には必要」と持論を述べた上で、性加害問題に触れた。


2023.11.14-毎日新聞-https://mainichi.jp/articles/20231114/k00/00m/040/191000c
「ジャニーズ事務所に放置された」 死亡男性の遺族がコメント

  旧ジャニーズ事務所の性加害を訴えている「ジャニーズ性加害問題当事者の会」所属の40代男性が死亡した問題で、遺族の代理人弁護士が14日、取材に応じ、遺族のコメントを明らかにした。

コメントは次の通り。
  彼は、2023年10月、自ら命を絶ち逝去いたしました。突然の旅立ちをいまだに信じられず、現実感がなく、私たち家族は呆然(ぼうぜん)とした日々を送っています
  彼は本年5月、旧ジャニーズ事務所に電話で、在籍時の1995年にジャニー喜多川から性加害を受けたことを訴えました。事務所の応対者は、在籍確認を行い、「担当者が必ず折り返す」旨を約束しました。しかし、その後5か月以上、ジャニーズ事務所から連絡は一切ありませんでした性被害の深いトラウマを抱えながらも、「若い人たちによりよい社会を残したい」と、9月に再度の告発もしました。その訴えにも事務所からはなんの応答もなく放置され、彼の焦燥感、悩みは深まっていました
  また、彼は事務所に対して誹謗(ひぼう)中傷への対策も求めていましたが、事務所幹部は会見で「誹謗中傷をやめてください」と呼びかけるのみで、具体的な措置を講じていませんでした。彼は、被害者が自ら対策に取り組まねばならない状況について、「事務所がやるべきことを、なぜ被害者だけが負担を負わなければならないのか」と語っていました。
  彼の心労は、元々抱えてきた性被害のトラウマの再燃とも相まって、一層深刻なものになっていました。そして、家族を残したまま、志半ばで自死するに至りました。


2023.11.14-読売新聞-https://www.yomiuri.co.jp/national/20231113-OYT1T50213/
旧ジャニーズ「当事者の会」男性、大阪の山中で死亡…SNSで誹謗中傷受ける

  ジャニー喜多川氏による性加害問題で、元所属タレントらでつくる「ジャニーズ性加害問題当事者の会」に所属していた40歳代の男性が、大阪府内で死亡していたことが捜査関係者らへの取材でわかった。自殺とみられる。男性はSNSなどで 誹謗 中傷を受けていたといい、府警が経緯を調べている。

  捜査関係者らによると、男性は大阪市在住。10月中旬、同府箕面市の山中で首をつっているのが見つかり、その後死亡が確認された。近くには遺書のようなメモがあった。
  男性は一部メディアで性被害を告発その後、「うそはすぐバレる」「金が欲しいんだろう」といった男性に対する誹謗中傷がSNSに多数投稿されたという。
  同会によると、メンバーらは「虚言癖がある」「デビューできなかったくせに」といった誹謗中傷を受けてきた。SNS上で誹謗中傷を受けたとして、メンバーの一部は警察に刑事告訴したり、被害届を提出したりしている。旧ジャニーズ事務所も「誹謗中傷はやめて」と呼びかけている。


2023.11.12-読売新聞-https://www.yomiuri.co.jp/culture/tv/20231112-OYT1T50070/
テレ朝、旧ジャニーズは「上層部や編成幹部が動く」「機嫌損ねると社内で怒られる」…忖度認める

  ジャニー喜多川氏による性加害問題で、テレビ朝日は12日、社内調査結果などを公表する特別番組を放送した。

  その中で、旧ジャニーズ事務所に所属していたA-1さんが、かつて東京・六本木にあった旧テレ朝構内のリハーサル室で喜多川氏から性被害を受けたとの報道について言及。「当時のスタッフには(局内性加害について)全く認識がなかったが、当該施設でそのような性加害があったとすれば大変遺憾」とし、その上で「A-1さんが局内で性被害を受けたと告発していることは事実」として、被害者救済委員会による適正な救済・補償を行うことを求めた。
  ただ、事実関係については、既に建物が壊されており、関係スタッフの多くが亡くなっているため、確認が困難とした。  同局は今回、社員や元社員ら103人を対象に、聞き取り調査を実施。うち7人が「同事務所への 忖度そんたく があった」と回答したという。
  報道に関わる局員からは、所属タレントの事件・事故を扱う際は、編成担当がニュースフロアや当該部署まで来て『どのように、どこまで扱うのか』を逐一確認していた」などの証言が寄せられ、「同事務所関係の案件は扱いにくい」という局内の空気が積極的な報道を妨げていたとした。
  また、番組のキャスティングなどに関わる編成・制作の局員からは「テレ朝は後発の局で、人気者はこちらからお願いして出演してもらっていた」、「特に人気者が多い旧ジャニーズ事務所は“会社事”として上層部や編成幹部が動くので、現場の若手は『機嫌を損ねると社内でも怒られるのでは』と考えてしまったのかもしれない。ある種の配慮があったことは事実」など、事務所への忖度を認める声が上がった。
  コンテンツ編成局担当の西新常務は「エンタメ部門のそのような空気が報道局にも影響を与えたとすれば猛省すべきと考えている」とした。


2023.11.03-朝日新聞-https://www.asahi.com/articles/ASRC35S18RC3UTIL008.html?iref=comtop_BreakingNews_list
性被害を告白後、ネットで誹謗中傷 元ジャニーズJr.が被害届
(編集委員・大久保真紀)

   旧ジャニーズ事務所(現SMILE-UP.)の創業者である故ジャニー喜多川氏の未成年者への性加害問題をめぐり、被害を訴えている「ジャニーズ性加害問題当事者の会」の発起人の一人で元ジャニーズJr.のB-1さん(40)が3日、ネット上などで誹謗(ひぼう)中傷を受けたとして、大阪府警に被害届を出した。

  元ジャニーズJr.が明かす  旧ジャニーズ事務所(現SMILE-UP.)の創業者である故ジャニー喜多川氏の未成年者への性加害問題をめぐり、被害を訴えている「ジャニーズ性加害問題当事者の会」の発起人の一人で元ジャニーズJr.のB-1さん(40)が3日、ネット上などで誹謗(ひぼう)中傷を受けたとして、大阪府警に被害届を出した。
元ジャニーズJr.が明かす性被害トラウマ 「死にたい」と願う日々
  B-1さんによると、喜多川氏の性加害を告発した5月から、ネット上で「売名」「金目当て」「タレントとして優遇されたのだから今さら文句言うな」「タレントになりそこない」などの投稿が繰り返され、なかには「道を歩くときには気をつけろ」といった脅迫めいた内容もあったという。
  「精神的に苦しかったし、日常生活が怖くなったこともあった」とB-1さん。「被害の証言だけでもつらいのに、誹謗中傷を受けると二重苦になる。このままでは声をあげたい人も声をあげづらくなってしまう」
  今後、発信者が特定できれば刑事告訴する方針という。 被害を告白した人たちへの誹謗中傷をめぐっては、当事者の会の代表のEさん(57)も10月、神奈川県警に刑事告訴している。
(編集委員・大久保真紀)


2023.10.31-産経新聞-https://www.sankei.com/article/20231031-YD3DGVSDNNNHVEVX3VYZEXFKWQ/
東山紀之氏が新会社の社長辞退 ジャニーズ性加害問題

  旧ジャニーズ事務所の性加害問題を巡り、同事務所から社名変更した「SMILE―UP.(スマイルアップ)」の東山紀之社長(57)が、近く設立されるタレントのマネジメントなどを担う新会社の社長就任を辞退したことが31日、関係者への取材で分かった。既にタレントらに通知しており、新社長は外部から招く方針。

  旧事務所が10月2日に開いた記者会見では、スマイルアップは被害者への補償に専念。タレントのマネジメントや育成を担う会社を新たに設立し、社名はファンクラブを通じて31日まで公募していた。その二つの会社の社長を東山氏が兼務する予定だった


2023.10.16-産経新聞-https://www.sankei.com/article/20231017-5WKTBXXAMBJSZM75WNCURJPBTQ/
ジャニーズが社名変更 60年以上の歴史に幕

  ジャニーズ事務所創業者のジャニー喜多川元社長(令和元年年死去)による性加害問題を受け、同事務所は17日付で社名を「SMILE―UP.(スマイルアップ)」に変更した。16日をもって昭和37年の設立以来、60年以上続いてきた屋号を下ろした。
  社名変更に伴い、「関ジャニ∞」や「ジャニーズWEST」などの所属グループ名も順次、変更される。所属タレントのグッズを販売する名古屋、大阪、福岡の「ジャニーズショップ」も16日に最終営業日を迎えた。

  17日に日付が変わるとともに旧ジャニーズ事務所の公式サイトが切り替わった。ジャニーズJr.の公式サイトなどからも「ジャニーズ」の言葉が消えた。
  同事務所は今年9月に開いた記者会見で、喜多川氏の名前を冠した社名を使い続けるとしたが、所属タレントを広告に起用していた企業などから批判が高まり方針を転換。今月2日の記者会見で東山紀之社長が社名変更を発表した。


2023.10.10-産経新聞-https://www.sankei.com/article/20231010-4G2ASCYU2FKJTJVIX2N7D6I7P4/
「被害証言は検証を」と報道機関に要望 ジャニーズ事務所

  ジャニー喜多川元社長による性加害問題に関し、ジャニーズ事務所は9日、公式サイトを通じ、「告発される方々の主張内容に十分な検証を」報道機関に要望した

  同事務所は「被害者でない可能性が高い方々が、本当の被害者の証言を使って虚偽の話をしているケースが複数あるとの情報に接している」と説明。被害者救済のための資金が「そうでない人たちに渡りかねない」とした。
  さらに、同事務所の東山紀之社長が「加害を助長した」とする一部報道について、本人が再三否定していると強調。性加害の事実認定は再発防止特別チーム、被害者救済委員会に委ねているとしている。


2023.10.06-産経新聞-https://www.sankei.com/article/20231006-KVAUDB2CIZGQLP5CM74MVUSY5A/
PRの同業者も「ありえない」 ジャニーズ「NGリスト」騒動で見せた危機管理の甘さ
(浅野英介)

  ジャニー喜多川氏の性加害問題を巡ってジャニーズ事務所が10月2日に開催した記者会見で、特定の記者らを指名しないようにする「NGリスト」があったことが判明し、波紋が広がっている今回のリストについて会見を運営したPR会社はリスト作成を認めた一方、ジャニーズ事務所側は「関係者は誰も作成に関与していない」と否定。しかし、識者は「(会見の運営を)依頼した責任は事務所側にある」危機管理の甘さを指摘する。記者会見の運営について、同業のPR会社からは「クライアントから(要注意人物の)情報が挙がってくることもある」といった声も出ている。

依頼者側から「要注意」の情報も
  2日の会見を運営したPR会社「FTIコンサルティング」(FTI)は5日、同社がリストを作成したことを認め、「限られた会場使用時間の中で、会見の円滑な運営準備のために作成した」と釈明した。
  NGリストが判明したことについて「謝罪の作法」などの著書で知られる人事・経営コンサルタントで東北大特任教授の増沢隆太さんは「進行の手順などの準備は必要。どのように会見を進めるかは、当然ながら(事務所とFTIが)話し合っていただろう」とした上で「(テレビに)リストが映し出されるようにスタッフが持ち歩いていたことは、ありえない行為。ただ、たとえFTIがリストを作成したとしても(会見の運営を)依頼した責任は事務所側にある」と指摘する。
  今回のようなNGリストの存在は、PR会社では一般的なのか。あるPR会社の関係者は「クライアント側からは『この記者は要注意』といった情報が挙がってくることはある」と打ち明ける。それでも「クライアントには『(会見では)できるだけ答える努力をしてほしい』とお伝えしている。会見の場できちんと答えられないと、会社としての信用度にも関わる」と説明する。
  また、「今回のように顔写真の入ったNGリストのようなものをPR会社自体が作成することは聞いたことがないし、ありえない」と話す。
メディア側も「見られ方」意識を
  記者会見は、新商品発表など宣伝を目的としたものもあれば、今回のジャニーズ事務所のように、不祥事の経過報告をする場として設定することもある。増沢さんは「謝罪など不祥事での会見は『沈静化』させられるかどうかが目的。マスコミから厳しい批判にさらされる姿を見せることは、(会見の模様を)視聴している人の反発を和らげる意味もある」と指摘する。
  一方で、「メディア側はこれまでの会見で、自分たちの姿は(映像などに)映らないものだととらえていた。しかし、今回のジャニーズ事務所の会見はインターネットでも生中継されており、ネット環境の影響が取材活動にも及んでいる。メディア側も会見がどのように(視聴者から)見られているのか、『見られ方』を意識することが必要では」と話している。(浅野英介)


2023.10.02-NHK NWES WEB-https://www3.nhk.or.jp/news/html/20231002/k10014213271000.html
ジャニーズ事務所 社名変更し将来廃業へ 新会社設立し社名公募

  ジャニー喜多川氏の性加害の問題でジャニーズ事務所は2日、都内で記者会見し東山紀之社長は現在の社名を、「SMILE-UP.(スマイルアップ)」に変更しこの会社で被害者への補償を行ったうえで、将来的には廃業すると発表しました。またタレントのマネージメントなどを行う新しい会社を設立し、社名はファンクラブで公募するとしました。

  4年前に死去した、ジャニー喜多川氏の性加害問題で、ジャニーズ事務所は9月7日に続き、2日、都内で記者会見を開きました。東山紀之社長は被害者に対し改めて謝罪したうえで「自分たちでジャニーズ事務所を解体し、被害者と真摯(しんし)に向き合いながらファンの方々と未来を切り開いていく」と述べました。
  そのうえで、現在の「ジャニーズ事務所」という社名については、10月17日付けで『SMILE-UP.』に変更しこの会社で被害者への補償を担っていくことを明らかにしました。東山氏は「被害に遭われ今もなお苦しんでいらっしゃる方々の補償、救済、心のケア、これを時間がかかっても最後までまっとうさせていただきたい」と述べました。また、「ジャニーズ」の名称がついた所属グループや関連会社についても名称を変更する考えを明らかにしました。
  これによって、元社長で創業者でもあるジャニー氏の名前が、なくなることになります。さらに東山氏は現在の事務所の今後について「被害を受けられた方々への補償をきちんと最後まで行い、廃業いたします」と述べ将来的に廃業することを明らかにしました。一方、タレントのマネージメントなどを行う新しい会社をおよそ1か月以内に設立し、社長に東山氏、副社長に井ノ原快彦氏が就任すると発表しました。
  社名についてはファンクラブで公募するということです。またこの新しい会社には事務所の前社長の藤島ジュリー氏は出資せず、取締役にも就かないということです。
  また、被害者への補償の進捗状況について東山氏は補償の受付窓口にこれまでに478人から申し出があり、被害を申告して補償を求めている人は325人で、11月から補償をスタートさせていく考えを示しました。
  このほか会見の中では井ノ原氏が前社長のジュリー氏の手紙を読み上げました。この中でジュリー氏は「このたび、被害に遭われた方々に改めておわび申し上げます」と謝罪したうえで、現在の会社の100%の株主として残ることについて「ほかの株主が入ると法を超えた救済が事実上できなくなると伺ったからでした」と説明しました。会見は予定の2時間を超え、最後に東山氏は今後、報告できることがあれば改めて説明したいと述べました。
当事者の会副代表「救済につなげられるよう要請などを続けたい」
  ジャニー喜多川氏による性被害を訴えてきた「ジャニーズ性加害問題当事者の会」の副代表、Aさんは、会見の中継映像を自宅で見つめました。Aさんは「きょうの時点で廃業にまで踏み込んだことには驚いたが、事務所の『解体的出直し』のためには必要なことだと思うので評価したい。一方で、被害者救済については具体性に欠ける印象だった。何を原資として被害者救済にあたるのか、また、救済にあたる新しい会社の体制などについて説明がほしかった」と話しました。
  その上で、「『救済』は受ける側が『救済された』と感じることが重要で、そのために被害者との対話は不可欠だと思う。すべての被害者を救済につなげられるよう今後も事務所に対し要請などを続けたい」としています。一方、前社長の藤島ジュリー氏が会見に出席しなかったことについては「救済について直接説明してほしかった」と話していました。
当事者の会メンバー「“崖っぷち感”が伝わる改革案で本気」
  「ジャニーズ性加害問題当事者の会」のメンバーで元所属タレントのFさんは、事務所の会見を伝えるテレビを見つめ、時折うなずきながら東山紀之社長などの説明を聞いていました。事務所側が示した今後の方針についてFさんは「事務所の“崖っぷち感”が伝わる改革案で、本気だと思った。会見で述べたとおりのことをやってくれるのであれば事務所も変わると思うので、徹底してやってほしい」と話しました。また、被害を申告して補償を求めている人がこれまでに325人いるという説明については、「思ったより多くてびっくりしています。ただ、まだ連絡できない人もたくさんいると思います」と話していました。
  被害者への補償に関しては、「一方的に決めるのではなく対話をしながら決めていくということで、よかった。対話をしてもらえると被害者の気持ちは全然違うと思う」と話していました。
ファンや街の人は
  ジャニーズ事務所の会見について東京・渋谷で聞きました。所属グループのファンだという女子高校生は「社名が変わるのは悲しいですが、この名前があるからつらい思いをする人がいることもわかるのでファンとして複雑な思いです。好きなグループの名前も変わってしまうかもしれませんが応援する気持ちは変わらないです。ファンがこれまで好きなグループのために使ってきたお金で被害者への賠償金が支払われるとしたらそれはどうなんだろうと思います」と話していました。
  所属グループのファンクラブに入っているという20代の女性は「新たな名前になじめるか不安だし、所属しているタレントたちがどう思っているか知りたい。会社が本当にちゃんと補償を行っていくことができるのか疑問に思う」話していました。また、30代の会社員の男性は「『ジャニーズ』という名前になじみがあったが、やってしまったことを償うという意味では社名の変更や補償は必要なことだと思う。名前を聞いて嫌な気持ちになる人がいるよりは、若い人たちに夢や希望を与えるものなればいいと思います」と話していました。また、40代の女性は「名前が変わるかどうかではなく中身が変わることが大切だ」と話していました。
子どもの性暴力被害の専門家「長期的なサポート体制が重要」
  ジャニーズ事務所の会見について、子どもの性暴力被害の問題に詳しく、臨床心理士で武蔵野大学名誉教授の藤森和美さんは「コンプライアンスや人権の問題に精通している専門家を加えたことは評価できるが、きょうの段階では補償の内容や心のケアについての具体的な言及がなく残念だ」と指摘しています。今後の補償にあたっては「被害者が自分の被害を金額に換算しないといけないのはとてもつらいことだと思う。補償されたからといって自分の記憶やこれまでの人生が塗り替えられるわけではないので、苦しみがすべてなくなるわけではなく、その苦しみを人生の中でずっと背負っていかないといけない人もいる」と述べました。その上で「被害者は個々にそれぞれ傷つき方も違うので、ステレオタイプにあてはめるのではなく、1人ひとりに丁寧に寄り添う形で対応していかないといけない。支援にあたっては、法律的な知識や、医学的または心理的な支援、福祉的なサポートなどさまざまな支援が必要で、長期的なサポート体制を築くことがとても重要だ」と訴えています。
芸能人の権利保護の専門家「(補償は)丁寧に検討していくべき」
  ジャニーズ事務所の会見について芸能人の権利を守る取り組みを行う団体の共同代表理事を務める佐藤大和弁護士は、「『ジャニーズ』という名称を変えることは、被害者のフラッシュバックを防ぐためにも当然の対応だ」と評価しました。そして今後の補償にあたっては、「被害者救済委員会を構成したことは透明性と公正さの観点では評価できるが、どこまで被害者に寄り添った救済ができるのかは疑問だ。芸能活動ができなくなったことで失った金額をどのように算定するのかなど芸能活動に知見がある人や臨床心理士なども入れるほか、被害者同士の公平性も踏まえながらある程度の時間をかけて丁寧に検討していくべきだ」と指摘しました。また、芸能界全体の課題として、「タレントが理不尽な関係を強要されたり事務所をやめたあとに干されたりということが起きている。そのような事務所に対してメディアは厳正に対応すべきで、政治や行政も一体となってタレントの権利を守りながら芸能の文化を発展させていくべきだ」と訴えました。
企業統治の専門家「非常に思い切った判断をしたという印象」
  ジャニーズ事務所の記者会見を受けて企業統治に詳しい高田剛弁護士は、現在の事務所が被害者への補償を担い、これとは別にタレントのマネージメントなどを行う新しい会社を設立するとしたことについて、「創業家との決別という観点から被害者への補償を行う会社とマネージメントを行う会社が同じ器ということでは世間の理解や納得を得ることが難しかったと思うので、2つの会社組織を分離したというのはよかったのではないか。そして新しい会社は現在の事務所の子会社ではなく完全に新しい会社を立ち上げるということで資本の面でもジャニーズとの決別を明確にしたという意味では非常に思い切った判断をしたという印象だ」と話しました。
  一方で、新しい会社の今後について、「ただマネージメントをしていけばよいというわけではなく、これまで事務所が保有していた楽曲などのばく大な権利を移すための資金をどのように調達するかなど、限られた時間でさまざまな選択肢から現実的な選択をしなければならないだろう」と指摘しました。また、新しい会社の名前をファンクラブから公募するとしたことについては、「本質的に重要なのは創業家との決別や被害者への補償であり、ジャニー喜多川氏との完全な決別を示すという意味で社名変更はもちろん重要だが社名を誰が決めるのかは本質的な問題ではなく、ファンクラブから公募することは決して無責任だとは思わない」と話していました。 
  そのうえで記者会見全体を振り返り、「補償もまだスタートしておらず、権利関係の処理や社外取締役に誰を入れるかなど基本的なところが決まっていないので、きょうをもって出直しができたとは思わないが大きな道筋や指針を示したといえるのではないか」と話していました。
NHK「取り組みが着実に実施されているか確認」
  ジャニー喜多川氏の性加害問題をめぐってNHKは、▽番組などへの契約がすでに決まっているタレントはこれまでどおり継続する一方、▽NHK紅白歌合戦も含め新規の出演依頼は、被害者への補償や再発防止への取り組みが着実に実施されていることが確認されるまで当面行わない方針を示しています。2日の会見を受けてNHKは改めてコメントを出しました。
  この中で「記者会見で示された方針も含め、今後も事務所側とのやりとりを継続し、被害者への補償と再発防止に向けた取り組みが着実に実施されているか確認してまいります」としています。
民放各局は
  ジャニー喜多川氏の性加害の問題で、ジャニーズ事務所が2日に記者会見したことを受けて、民放各局はコメントを発表しました。
 【日本テレビ】「公表された内容には申し入れていた事務所の名称変更などの内容が含まれており、一定の前進があったと受け止めております。事務所との適切な対話を続け、進捗(しんちょく)を注視してまいります。所属タレントの新規の起用については本日表明された対策が確実に実施されているか見極め、適切に判断してまいります」などとしています。
 【テレビ朝日】「被害者の補償・救済を速やかにかつ誠実に実施するよう求めて参ります。新会社に属するタレントの起用につきましては企画内容などを踏まえ総合的に判断していくという方針に変わりはありません」などとしています。
 【TBS】「被害者の救済・補償や人権侵害の防止に具体的に取り組み始めたことを示すもので、改革の緒についたものと受け止めています。今後も定期的な対話を通じて、被害者の救済や二度と人権侵害を起こさないような組織体制の構築をより具体的に進めるよう促して参ります」などとしています。
 【テレビ東京】「経営ガバナンス強化や被害者救済の早期実施などを求めた申し入れに沿った内容であり、解体的な出直しに向けて一定の前進はあったと受け止めています。ただ、発表内容については不明確な事項が多いため、事実関係を確認したうえで、今後の当社の方針を決めたいと考えています」などとしています。
 【フジテレビ】「このたび示された方針が速やかに実行されていくよう求めてまいります。ただ、具体的にはまだ詳細が不明な部分もあり、引き続き対応を注視してまいります。キャスティングに関しては被害者への対応が着実に実施されていることを確認しながら適切に判断してまいります」などとしています。


2023.09.28-産経新聞-https://www.sankei.com/article/20230928-QY2KF7F4TFIUTDGSGCKSFKVHKI/
ジャニーズ10月2日に会見 新体制や補償具体策説明へ

  ジャニーズ事務所の創業者で元社長のジャニー喜多川氏(令和元年死去)による性加害問題で、同事務所は28日、10月2日に東京都内で記者会見を開くと発表した。人権に関するポリシーの制定など外部専門家の再発防止特別チームが提言した内容に基づいた具体的な再発防止策を公表するとしている。

  同事務所は今月7日にも記者会見を開いたが、同チームに性加害を認定された喜多川氏の名を冠した社名を存続させるとした方針に世論が大きく反発し、企業などが広告の契約を見直す動きが広がった。
  19日に開催した取締役会で社名の変更など今後の会社運営の方向性について「あらゆる角度から議論を行い、向かうべき方針を確認した」と発表しており、社名の在り方を含めた今後の会社運営や、所属タレントのマネジメント体制なども説明するとみられる。


2023.09.26-読売新聞-https://www.yomiuri.co.jp/column/naruhodo/20230922-OYT8T50040/
ジャニーズ問題で考える「トラウマからの解放」…紙面連載で書ききれなかったこと<下>

(1)
  ジャニーズ事務所の創業者、ジャニー喜多川氏(2019年死去)による性加害問題は、この1か月の間に大きく進展を見せました。

  前回のこのコラムが公開された8月29日、「外部専門家による再発防止特別チーム」が調査報告書を公表。性加害の詳細な実態を明らかにし、その原因と背景を分析するとともに、再発防止策を提言しました。
  9月7日には同事務所が記者会見。東山紀之・新社長、藤島ジュリー景子・前社長がともに性加害の事実を認め、被害者の救済や補償を行う考えを表明したのは、みなさん、ご存じの通りです。
「世の中は汚いものだと思うように」
  それ以前からすでに、被害に遭った元所属タレントらがテレビなどで「今でも(性被害の場面がよみがえる)フラッシュバックに苦しんでいる」などと話していました。トラウマについての紙面連載を終えて間もなかった私は、性被害後のトラウマ症状についてもっと詳しく知りたいと思い、記者会見の前に、67ページに及ぶ報告書に目を通しました(報告書はジャニーズ事務所のホームページから誰でもダウンロードできます)
  「性加害の影響」の項(24~26ページ)には、〈ジャニー氏による性加害の身体的、精神的影響〉についての被害者らの供述が箇条書きで並んでいます。9月17日付弊紙朝刊のコラム「広角多角」 でも少し紹介しましたが、以下、一部を抜粋します。

  「度重なる幻聴やフラッシュバックで、自殺願望も抱くようになりました。女性と性交をしている時もジャニー氏の性加害を思い出して恐怖感を抱いたり、食事中にもそのような場面を思い出して吐きそうになったりしたこともありました」
  「社会に出て仕事を始めるようになってからも、同性不信があり、権力がある人やジャニー氏と同年代の人を見ると恐怖を覚えました。社会生活に支障があり、上司からの指示に恐怖心から身構えて、仕事が続けられませんでした」
  「前よりも、まっすぐ夢を追いかけるのが難しくなりました。誰かに  びを売ったり、誰かに好かれたりしないといけないという感覚が残っています」 「人を表面だけでは見ないようにするようになり、世の中は汚いものだと思うようになりました」
(2)
PTSDは専門的治療で回復する
  このように、性被害によるトラウマは、被害を受けた人のその後の長い人生に、とてつもなく大きい心理的・社会的な負の影響を与えます。おそらく、PTSD(心的外傷後ストレス障害)の診断がつく被害者は少なくないはずです
  性被害に限らず、他の暴力や虐待、災害、事故など様々な出来事で発症したPTSDは、専門的治療を受ければ治すことができます持続エクスポージャー療法(PE)、認知処理療法(CPT)、眼球運動による脱感作と再処理法(EMDR)、子ども向けのトラウマフォーカスト認知行動療法(TF―CBT)……。いずれも有効性を示した研究が多い治療法ですが、問題は、治療できる人が少ないこと。結局、一部の大学や研究機関が研究の一環として治療を行うか、一部のクリニックが保険診療よりも高額な自由診療で行っているのが現状です
  現在は、PEだけが保険適用されていますが、医療機関が得られる診療報酬は1回3500~4800円。PEは、週1回90分、全部で10~15回かかりますから、医療機関にとってはそんな手間ひまをかけるよりも、5~10分の診療で薬を処方し、たくさんの患者さんを診療する方がより収入が得られるのです。これではPEが普及するはずがありません。
  国立精神・神経医療研究センター精神保健研究所長の精神科医、金吉晴さんは「PEなど専門的な治療を一度しっかり受ければ、患者さんが長年苦しんできたPTSDの症状から解放される。本来なら、大きな外科手術に匹敵する保険点数をつけてもいいはずです」と話していました。私もそう思います。
保険点数がつかない心理療法
  現在の診療報酬の体系では、トラウマ治療に限らず、心理士による心理療法には保険点数がつきません。同じPEを精神科医が行えば保険診療となりますが、心理士が単独でPEを実施しても保険がきかない。これも改めるべきだと私は考えています。精神科医が処方する薬よりも、心理士による心理療法で改善する心の病気はたくさんあるのです。少なくとも、国家資格である「公認心理師」による心理療法は、公的保険診療の対象とすべきではないでしょうか
  もちろん、こうした制度の改正や治療者の育成は、一朝一夕には実現できません。そこで私たちが知っておきたいのが、「トラウマインフォームドケア(TIC)」です。医療や保健、福祉、教育、司法など、社会の様々な領域の人たちがトラウマへの理解を深め、「すべての人がトラウマを体験しているかもしれない」という前提で、適切に支援しようという概念のことです。
  先に挙げたようなトラウマやPTSDの専門的な治療法は、1990年代から米国で次々と開発されました。ところが、治療者は少数しか育成できず、被害者の数にとても対応しきれません。さらに、心に大きな傷を負った人は、周りの人による対応で「二次被害」を受けるケースが少なくありません。症状が悪化したり、「生きづらさ」が増したりするのです。
(3)
心の傷はいつも痛む
  TICの普及に尽力している兵庫県こころのケアセンター副センター長児童精神科医の亀岡智美さんは、こう解説します。
  「日本人の約6割が生涯に1回以上トラウマを経験している、という報告もありますが、心に受けた大きなけがは、体のけがと違って外から見ても分かりません。でも、その傷はいつも痛むのです。心のけがをした人に対し、周りが通常通りの対応をすると、かえって傷に塩を塗ってしまうことになりかねません」
  「トラウマインフォームドケアが広がれば、トラウマに苦しむ人たちが二次被害を受けずに済み、うまくいけば専門治療にスムーズにつなげることもできます。米国でTICを普及させている医師が、こう話していました。『TICが普及していないところで専門治療を行うのは、砂漠に種をまくのと同じだ』と」
   専門家でない私たちがトラウマを深く理解することの意義については、8月に私が書いた医療ルネサンス「トラウマからの解放」 6回目 や、先に挙げた 広角多角 を読めば、大体理解できると思います。

  「TICについて、もっと詳しく知りたい!」。そんな方は、ぜひホームページ 「Trauma Lens(トラウマレンズ)~こころのケガに配慮するケア」 を訪ねることをお勧めします!


2023.09.24-Yahoo!Japanニュース(PAGE ONE)-https://news.yahoo.co.jp/articles/b92715882f01b9de50f55732acb13053569502a4
ジャニーズ性加害問題の本質はテレビ局の堕落 「視聴者がそういう番組を欲しているから」の言い訳はもはや通用しない
(参照・『アイドルはどこから-日本文化の深層をえぐる』篠田正浩・若山滋共著・現代書館2014年刊)

(1)
  2019年に死去したジャニーズ事務所の創業者で元社長のジャニー喜多川氏による性加害問題は、企業がジャニーズタレントのCM起用をとりやめるなど、いまだ収束する気配が見えません。
  建築家で、文化論に関する多数の著書で知られる名古屋工業大学名誉教授・若山滋氏は、「問題の本質はテレビ局の文化的堕落にあるのではないか」と指摘します。若山氏が独自の視点で語ります。

「司法の言葉」の衝撃
  ジャニーズ事務所の問題を巡って、「外部専門家による再発防止特別チーム」が公表した調査報告書の内容は、そうとうに踏み込んだものであった。このような、特に当事者側が設置した検証組織の結論は、忖度を含んだ玉虫色に落ち着きがちだが、今回、前検事総長の林真琴弁護士を中心とした3委員のハッキリした言明には、ある種の覚悟が感じられた。
  うすうす気づいていたことが具体的な言葉になる衝撃である。性的な(それも正常ではない)事件を赤裸々に語る「司法の言葉」の衝撃である。劇場からいきなり法廷につれていかれたような緊張を覚えた。
  中でも意味深く思われたのは「マスメディアの沈黙」の責任に触れたことだ。むしろ問題の本質はそこにあるのではないか。このところ日本のテレビ(特に地上波)は、アイドルとお笑いタレントが出ずっぱりであった。その後、ジャニーズ事務所は新体制を発表して謝罪会見を開いたが、批判がおさまるどころか、スポンサーを降りる企業が続出している。本来利益を追求する私企業が社会性を重視し、本来公共の電波を使って社会の木鐸をもって任ずべき報道機関が「視聴率=広告収入」を追求することにかたよった番組編成を行なっているのだ。  ここでジャニー喜多川という人物の所業はさておき、芸能とメディアの関係を、文化論的に考えなおしてみたい。
蔑みのまなざしと憧れのまなざし
  これまでも人気芸能人のバックにいる人物はたびたび話題になった。美空ひばりのバックには有名な任侠団体の3代目が、ピンク・レディーのバックには大物総会屋がいたという。最近話題になった猿之助事件には、歌舞伎界の淵源たる「能」の祖ともいうべき世阿弥とそのパトロンの足利義満との同性愛的な関係を思わざるをえなかった。
  芸能は興行でもある。華々しい表舞台の裏で、非日常的な世界をとりしきる力が必要だ。疑似恋愛的な部分を含めて人を惹きつける若い芸能者の魅力を売買する仕事は一種の裏稼業であった。
  つまり、テレビ局が、報道者としての魂を、あるいは文化創造者としての魂を失えば、その瞬間に、裏稼業的な興行者へと堕するのだ。
  かつて芸能者は「河原者」と呼ばれた。サーカスや小屋掛けの見世物など、芸能者は大衆の好奇のまなざしに身を晒すものであり、社会的にも蔑視される存在であった。しかしその「蔑み」の視線の先にある人を惹きつける力は「憧れ」の視線に転ずる。
  古来、芸能は神に捧げる神事でもあり、この世界において「聖と賎」は表裏一体なのだ。古代中世の権力者は、芸能者を自分の館に呼び入れて愛玩する。白拍子(しらびょうし)や同朋衆(どうぼうしゅう)といったもので、いわゆる「座敷芸」となって、「芸者」というホステス(本来、サロンを主催する女性の意味)のような職種を生み、今日のクラブやスナックの文化にまでつながっている。
   近世、「舞台と客席」が制度化され(それまでは出す方の気分によっていた金銭が、受ける方の設定する入場料に変化する)、河原や大道で見下げられた芸能者は、客席から見上げられる存在となり、蔑みのまなざしは薄れ、憧れのまなざしが強くなる。
  日本なら近松門左衛門、ヨーロッパならシェイクスピアの出現ぐらいからであろうか。市民社会の成立とともに芸能者は人々の視線を集める星(スター)になっていくのだ。(参照・『アイドルはどこから-日本文化の深層をえぐる』篠田正浩・若山滋共著・現代書館2014年刊)
(2)
アイドルと人気資本主義
  近代、映画という「舞台の複製」が出現する。芸能者の魅力が大量生産の対象となって銀幕のスターとなり、裏稼業的な興行者は映画産業となる。ハリウッドには全米の若い女性がおしかけ、そこで力をもつ人々はその性的な魅力と莫大な利益をむさぼった。
  戦後、娯楽の対象が映画からテレビに移れば、芸能者にも変化が起きる。老若男女が集うお茶の間では、突出した魅力をもつスターより、誰からも可愛がられる人気者としてのアイドルが主役となる。特に、家社会的な同調性を重視する日本では、歌や踊りや演技といった本来の芸よりも、アイドル(偶像)であることが重宝される
  「グループ・サウンズ」とは、ビートルズ以後、人気となった男性アイドルの歌手グループを意味し、「スター誕生」とは、アイドルの卵を釣り上げる装置としての番組であった。そしてジャニーズの時代がやってくる。
  憧れのまなざしがテレビを中心とするメディアによって増幅される。企業は、製品の魅力をアイドルの魅力に重ねようとする。
  戦後日本の経済躍進を支えたのは、家電、自動車、カメラ、時計など、ものづくりであり、その性能の高さであった。しかし情報化社会となって「製品の性能」より「商品のイメージ(人気)」が重視される。製品資本主義から人気資本主義へと、資本主義の質が変わったのだ。
  マンガやアニメやゲームのキャラクターも、ミッキーマウスやスヌーピーやキティちゃんも、近年雨後の筍のごとく出現したゆるキャラも、羽生結弦大谷翔平のようなスポーツ選手も、アイドルとして、人気資本主義の巨大なマーケットに組み込まれる
「気概」が感じられないテレビ番組
  かつてテレビの世界にも、戦後日本に登場した新しい文化を担おうとする意欲ある人々がいた。青島幸男、永六輔、大橋巨泉テレビマンユニオンのメンバーなど。歌手も、俳優も、タレントも、プロデューサーも、ディレクターも、作曲家も、作詞家も、振付師も、映画や舞台に対抗して新しい文化をつくろうとする気概があった。
  しかしバブル時代以降であろうか、テレビ文化創成期の人々が去るとともに、ただ軽薄な視聴率稼ぎの路線が敷かれ、番組から文化的な創造力が薄らいでいく。
  また民放の報道番組のメインキャスターには、元NHKのアナウンサーや、意識の高い新聞記者や雑誌編集者など、それなりの知識と見識のあるジャーナリストが起用された。しかしある時期から、ただ早口で喋るだけのタレントが起用され、報道から真摯な批判性が薄らいでいく。
  そして今は、どのチャンネルをまわしてもアイドルとお笑い芸人ばかりで、東京のジャニーズ事務所と、大阪のこれも一時問題になった某お笑いプロダクションが大きな力をもつにいたる
  テレビ番組に、報道者としての、あるいは文化創造者としての気概が感じられなくなったのだ。放送法で定められた番組審議会も形骸化し、逆に権力が介入することもあり、自浄能力を失ったような気がする。
  テレビの、特に地上波の番組は社会の隅々にまで暗黙のコンセンサスを染み込ませるものだ。「静かなる洗脳」といってもいい。公共の電波を使う放送事業者としての矜持を失った安易な姿勢が、日本社会全体に広がったのではないか。
  幕末明治以来、日本の若者は、良くも悪くも常に思想的批判的行動のエネルギーをもっていたが、今はすっかり影をひそめている。そう考えれば、ジャニーズ事件の本質は、スターとしてのアイドルを夢見る若者の夢を(たとえそれが幻影であっても)実現する組織として存在する芸能プロダクションよりも、むしろ、本来社会の木鐸をもって任ずべきテレビ局の文化的堕落にあるのではないか。
  「視聴者(国民)がそういう番組を欲しているからだ」という主張もあるに違いない。しかしオピニオンを導くという点において、教育や活字メディアをしのぐほどの影響力をもつにいたった今日、その言い訳は通用しないだろう。
  今後、林弁護士を中心として、テレビ放送という社会的存在の本来のあり方を追求する特別チームを設置したらどうか。もちろん、政治権力が介入することによってファシズムの道具となることは避けなくてはならない。必要なのは上からの道徳や制御よりむしろ自発的「気概」である。この国の復活は、そのあたり(精神的根底)から始まらなくてはならないように思える。


2023.09.17-産経新聞-https://www.sankei.com/article/20230917-7T4CLB5OQFGKHHWDFS32WPVZI4/?outputType=theme_weekly-fuji
東山新社長は悪手? 当初から疑問視されていた資質

  故ジャニー喜多川元社長による性加害を全面的に認めたジャニーズ事務所少年隊の東山紀之(56)を新社長に据えたが、〝解体的な出直し〟という姿勢が見えないことからスポンサー離れは加速するばかり。もとより東山の社長就任も懸念を示す声があった〝悪手〟でしかなかった。

  ジャニーズ事務所は今月7日に行った記者会見で、同月5日付で藤島ジュリー景子氏(57)が社長を引責辞任し、東山が社長に就任したことを明らかにした。
  「東山は会見で8月頭に打診があったことを明かしました。東山も結局、内部の人間なので批判は免れない。それでも彼に白羽の矢がたったということは、外部で引き受けてくれる人がいなかったということですよ。あえて火中の栗を拾いたい人はいませんから」と女性誌編集者は話す。
  会見で「鬼畜の所業」とジャニー氏を批判した東山は、暴露本をもとに「自分のパンツをはけ」「僕のソーセージを食え」といった発言など自身のセクハラ・パワハラ疑惑を追及されると、「自分はやっていない」と否定した。
  「当初きっぱりとした否定でしたが、記者たちから繰り返し問われるうちに、次第に『覚えていないことが多い』『対話をすれば思い出すことがあるかもしれない』とトーンダウンしました。今後の成り行き次第では、事態をさらに悪化させかねません」と先の女性誌編集者は話す。
  そして、音楽関係者は当初から東山の社長就任には懸念を抱いていたことを明かす。「発表前から、東山さんが社長になるという情報が漏れ伝わってきましたが、遅かれ早かれ、東山自身に社長の資格があるかを問われることになると思っていました。案の定、『文春オンライン』はさっそく東山さんとジュリーさんがかつて交際していた噂があったことを伝えていました。会見での追及もそうですが、こうした〝暴露〟があることは十分に想定できたはずです。つまりは〝キジも鳴かずば撃たれまい〟ということですよ」
  実際、会見後も、過去にあった女優との交際報道や、元所属タレントの証言を踏まえて、社長としての適格性を問う報道が相次いでいる。
  「本人は年内に引退して社長業に専念することを明言していますが、まずもって東山さんが社長をすること自体が〝解体的出直し〟を求められている企業としては〝悪手〟にほかなりません」とも。厳しい状況は承知の上かもしれないが、事態はそれ以上に深刻だ。


2023.09.12-産経新聞-https://www.sankei.com/article/20230912-Y34XO3GJ6JIWXKSXGOLBUYNBNQ/
マックと第一三共も見送り ジャニーズ起用の広告

  日本マクドナルドは12日、ジャニーズ事務所の故ジャニー喜多川元社長による性加害問題を受け、所属タレントを起用した広告の契約期間が満了した後、契約を更新しない方針を明らかにした。第一三共ヘルスケアも所属タレントを起用した広告を当面見送る方針を明らかにした。

  日本マクドナルドは木村拓哉さんを広告に起用している。同社は「いかなる人権侵害も許容することはできない」とコメントした。
  第一三共はかぜ薬「ルルアタックシリーズ」で松本潤さんを広告に起用している。同事務所が被害者の救済策や再発防止策を講じなければ、現時点の契約は期間満了をもって終了し、新たな契約もしない。
  同社は「ガバナンス強化や被害者への補償を含めた救済策などが確実に講じられることを強く求める」としている。
  これまでにアサヒグループホールディングスキリンホールディングスなどが同事務所のタレントを起用した新たな広告や販促を展開しない方針を明らかにしている。日本生命保険も今後は広告契約を結ばない方針を示した。


2023.09.08-読売新聞-https://www.yomiuri.co.jp/culture/tv/20230908-OYT1T50046/
「デビューできなかったくせに」「虚言癖」誹謗中傷にも悩まされた被害者…東山さん「今後やめて」
(1)
  「鬼畜の所業。愛情は全くなくなりました」―。ジャニーズ事務所が7日に開いた記者会見で、新社長に就任した東山紀之さん(56)は、ジャニー喜多川氏(2019年死去)の性加害を非難し、謝罪した。一方で、東山さんが性加害を「うわさとしては聞いていた」と述べるにとどめたことに、被害を受けた元所属タレントからは疑問の声が上がった.

「うわさとしては聞いていた」
  東京都内のホテルで開かれた記者会見。壇上には、藤島ジュリー景子前社長(57)、東山さん、若手を育成する「ジャニーズアイランド」社長の井ノ原快彦さん(47)らが並び、質疑応答は4時間以上に及んだ。

  調査報告書で40年以上にわたり性加害を行ったと認定された喜多川氏に対し、東山さんは「人間形成がなされる時期の若い子たちに行った罪は大きい」「結果としてあの人は誰も幸せにしなかった」と断言。喜多川氏らを「絶対的な存在で正しいと信じてきたが、今は恥じている」と、反省も口にした。藤島前社長は喜多川氏に対し、「(声が届くなら)皆さんの前で謝罪してほしい」と訴えた。
  藤島前社長はジャニーズ事務所の株式を100%保有しており、社長を退いても同族経営の弊害が残るとの指摘もある。藤島前社長は「株をどうするかは簡単な問題ではなく、(持ち分を)減らすなどとはすぐに申し上げられない」と述べ、「被害者の救済、傷ついているタレントのケアが私の仕事。それ以外の一切の業務には携わらない」と約束した。事務所を長年支えた、白波瀬 すぐる 副社長が引責辞任したことも発表した。
  一方、性被害を訴えてきた元所属タレントで作る「ジャニーズ性加害問題当事者の会」も都内で記者会見に臨んだ。メンバーは「 真摯に対応する意向には大きな期待」「全てを話していない。何の解決にもなっていない」と、期待と失望が入り交じる複雑な心情を明かした。
  出席した8人からは「繰り返し求めてきた点が認められて良かった」「心の傷がなくなったわけではないが、少しは楽になった」と評価する声が上がった。今後、被害者側と対話をし、救済措置を取る方針が示されたことについては、同会代表のEさん(57)は、「一方的な発信では、救済にならない。被害者の声をくんで」と話した。
  東山さんの新社長就任については、否定的な意見が相次いだ。同世代の同会副代表、Aさん(56)は、「『うわさでは聞いていた』との発言には違和感がある」と指摘した。A-1さん(55)は「東山氏は、(喜多川氏を)お父さんと呼んで、(被害を)黙殺してきた側だ」と非難した
(2)
  同会メンバーら性被害を告発した人たちは、「虚言癖がある」「デビューできなかったくせに」といった誹謗中傷にも悩まされてきた。東山さんは記者会見で「被害者の方々への誹謗中傷は今後やめていただきたい」と注意を呼びかけた。
  東京都渋谷区のレコード店では、訪れたファンから期待や注文の声が聞かれた。埼玉県春日部市のパート従業員(49)は「性加害は許されないが、所属タレントが悪いわけではないし、パフォーマンスは素晴らしい。会社として一からやり直し、これからもファンを楽しませてほしい」と話した。
  被害の男性「対話これから」-性被害を受けた過去に苦しんできた元所属タレントの中村一也さん(36)は、「これから対話が始まった時、どう出てくるか」と表情を引き締めた。事務所がようやく記者会見を開き、その中継を「当事者の会」の仲間たちと一緒に見た。 喜多川氏による性加害を打ち明けたのは、母親や友人らごくわずかだった。今春に自身の性被害を公表し、「楽になった」と語ると同時に、事務所の対応には不信感を抱いてきた。
  中学3年だった2002年10月、東京ドームで行われたタッキー&翼のライブに出演後の夜、喜多川氏宅で被害を受けた。他の仲間と布団を並べて寝付いた時、足元からもぞもぞと手が伸びるのを感じた。「早く終わってくれ」。そう思うしかなかった。 翌日、同じ舞台に立っても素直に喜べなかった。高校受験を口実に活動から離れた。その後も仲間を通して、喜多川氏から宿泊の誘いを受けたが、「イコール、そういうこと」と断った。
  同会が7日に開いた記者会見でGさんは、まだ声を上げられない被害者に向けて呼びかけた。「勇気を出して行動すれば、見えなかった景色が見える」
長期の支援必要
  兵庫県こころのケアセンターの亀岡智美副センター長は、「被害者の苦しみは多様で、一人ひとりに合わせた支援が長期にわたって重層的になされなければならない。事務所は専門家の助言を得ながら、適切な対応を模索し続けるべきだ」と話した。
  労働問題に詳しい中村優介弁護士は「再発防止策や被害者の救済策に関して会見で具体的なものが示されなかったのは極めて残念。性被害を抑止する適切な契約書をタレントと交わすなどの取り組みを進めるべきだ」と指摘している。


2023.09.07-毎日新聞-https://mainichi.jp/articles/20230907/k00/00m/040/324000c
ジャニーズ当事者の会 新社長の東山氏は「黙殺してきた側」と疑問視
【広瀬登、平本絢子】

  ジャニーズ事務所の記者会見を受け、被害者でつくる「ジャニーズ性加害問題当事者の会」のメンバー8人が7日、東京都内で記者会見を開いた。同会のE代表は「メンバーそれぞれの思いはあるが、(性加害の)事実を認めて謝罪し、被害の補償をする姿勢は評価できる」と述べた。

  E代表は、藤島ジュリー景子氏本人の登壇について「自身の言葉で発言したメッセージは、ストレートに私たちに伝わった」と話した。また、ジュリー氏が当面、被害者救済のために事務所に残ることについては「辞めてどこかへ行ってしまうより、はるかによかった。残って責任を取っていただきたいと思っていたので歓迎したい」と語った。そして「被害者の声を取り入れた上で、救済案、補償案を出してほしい」と求めた。
  一方、東山紀之氏の新社長就任については否定的な意見が目立った。A副代表は「年商1000億円規模の企業のトップに実務経験がないタレントが就くのは、危機管理的にどうなのか」と疑問を呈した。志賀泰伸氏は「形ばかりの新体制」と批判し、「東山氏は(性加害を)黙殺してきた側。そういった方が改革できるのか」と疑問を投げかけた。【広瀬登、平本絢子】


2023.08.05-TBS NEWS DIG.-https://newsdig.tbs.co.jp/articles/-/645033?display=1
「タレント数百人が性的搾取」ジャニーズ性加害問題めぐり国連人権理事会の専門家が会見、当事者ら涙「35年かかった」
【news23】
(1)
  ジャニーズ性加害問題をめぐり、国連人権理事会の専門家が4日、記者会見し、「タレント数百人が性的搾取と虐待に巻き込まれるという深く憂慮すべき疑惑」と説明。被害を訴える当事者らは「35年かかった」と涙し、「ようやく明るみに出た」と語りました。

A副代表
  「やったぞ。やったぞ。35年かかったな。」涙を流し、喜びを分かち合った元ジャニーズ所属タレントで、性被害を訴える「ジャニーズ性加害問題当事者の会」のメンバー。彼らが見ていたのは、国連の人権理事会の専門家による会見でした。
国連人権理事会専門家 イェオ パントン氏
  「ジャニーズ事務所のタレントが絡むセクシャルハラスメント被害者との面談では、タレント数百人が性的搾取と虐待巻き込まれるという深く憂慮すべき疑惑が明らかになった」
  性被害を訴える当事者や、関係者などへの聞き取りから「数百人が巻き込まれた」と説明したという専門家。さらに、ジャニーズ事務所の藤島ジュリー景子社長と面会したのかと問われると
国連人権理事会専門家 オラウィ氏
  「私たちはジャニーズ事務所の代表と会った。これ以上の情報提供はできない」 その上で、ジャニーズ事務所が設置した外部の専門家による“再発防止特別チーム”の調査に懸念を示しました。
国連人権理事会専門家 イェオ パントン氏 
  「ジャニーズ事務所の特別チームによる調査については、透明性と正当性に疑問が残っている
  また専門家は、この問題を報道してこなかった“メディアの責任”についても「不祥事のもみ消しに加担したと伝えられている」などと言及しました。国連側の会見終了後、「当事者の会」のメンバー7人は同じ会場で会見しました。
ジャニーズ性加害問題当事者の会 A 副代表
  「性加害問題が、(国連側により)認定されたと思います。“人類史上最悪の性虐待事件”これがようやく明るみに出た
ジャニーズ性加害問題当事者の会 B-1さん
  「(国連側の会見を受け)国際的な評価がジャニーズ事務所に対して下ったと感じております」8月1日に、専門家の聞き取りを受けた元ジャニーズJr.Bさんは取材に対し、次のように話しました。
元ジャニーズJr.Bさん
  「ジャニーズ事務所のみならず芸能界、日本の芸能界の仕組みというか、どうしてそういうことが起きる状況になったのか。断ることのリスクだったりとかはあるんじゃないかという話になった」「法整備の部分に関しても、自分自身が署名活動だったり動いていることもお伝えして(国連側の)“しっかりそこに関しては目を向けたいと思っています”ということを感じた」
(2)
  調査の結果は2024年6月、国連人権理事会に報告されることになります。
大阪経済法科大学 菅原絵美教授
  「国連人権理事会に提出されるレポートの中には、日本に対する『勧告』も含まれています。それは日本政府に対して法制度を作るべきだとか、取り組んでいかないと、世界から取り残されてしまいますし、勧告を通じて日本社会全体が問われるという事になる」
  一方、ジャニーズ事務所は、 “再発防止特別チーム”から8月末ごろに提言が見込まれていて、その後、記者会見を予定していると発表
  その上で、「被害を申告されている方々と真摯に向き合い、丁寧に対話を続けさせて頂きたいと考えております」とコメントしています。







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