ウイルス-1


2020.5.31-産経新聞 SANKEI NEWS WEB -
【コロナ 台湾に学ぶ】中国側の不自然な説明に疑念 「人・人感染」引き出す

  世界中で猛威を振るう新型コロナウイルスの危険性いち早く察知し、台湾の「先手防疫」に大きく貢献した台湾の感染症専門家、荘銀清医師が、31日までに台湾・台南市内で産経新聞のインタビューに応じ、1月中旬に中国・武漢市を現地調査した際に察知したさまざまな疑問点や、重要な情報を隠そうとした中国当局に迫った当時の様子などを詳しく語った。(台南 矢板明夫)
   荘氏が現地調査のため武漢を訪れたのは1月12日。国際社会がまだ新型コロナにほとんど関心を持っていなかった時期だった。その理由について、荘氏は「世界保健機関(WHO)から排除されている台湾は、情報不足のため世界各地の感染症に非常に敏感になっている。どこかで広がっているという噂があれば、すぐに臨戦態勢をとる習慣ができていた」と説明し、早期の武漢入りは「偶然ではなかった」と強調した。
   荘氏は昨年12月から武漢在住の台湾人とともに中国国内のSNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)を精査して情報を収集。今回の感染症には深刻な側面があるのではないかと気づき、12月末から1月初旬にかけて関係者と何度も対策会議を重ねた。
   早めに人を派遣した方がよいという結論になり、1月6日に中国側に現地調査の要望を伝えると5日後に承諾の返事があった。
   台湾の別の感染症の専門家らと臨んだ中国側との専門家会合では、「人・人感染はない」と強調されたが、専門家なら当然示す感染者数の推移グラフをみせようとしないことなどから、何かを隠していることに気付いた」という。
   荘氏は「感染者の具体的なケースをひとつずつしつこく聞き続けた」結果、ようやく中国側の責任者らしき人の口から「人・人感染の可能性は否定できない」との言質を引き出した。中国が公式に人・人感染を発表するより一週間以上も前のことだった。
   荘氏はその後、武漢市内の病院を視察し感染病棟が担当の医療スタッフ以外は完全立ち入り禁止となっている状況を見て、「病院側もウイルスの危険性を認知している」と判断、「『人・人感染』を確信した」という。
   荘氏は、「当時の武漢はかなり危険な町だと感じたが、現地の一般スタッフは何も知らされていないので、マスクもせず緊張感はなかった」と振り返った。荘氏自身は「宴会ではできるだけ人と距離をとり、会話を少なめにし、市内観光を断るなど、感染しないように気を付けた」という。台湾に戻ったあと、荘氏が提出した報告書が重要視され、台湾当局はすぐに対策本部を立ち上げる準備を始めたという。
   米ジョンズ・ホプキンズ大の集計によると、31日現在、台湾の新型コロナの感染者は442人、死者は7人と周辺の国や地域と比べて少ない。域内での新規感染者は40日以上も確認されていないため、市民は普段と変わらない生活を送れるようになった。コロナ対策に成功した台湾の経験」を紹介する。


2020.5.30-日本経済新聞-https://www.nikkei.com/article/DGXMZO59631010X20C20A5000000/
新型ウイルスの起源追跡 中国のコウモリ洞窟探る

  今回の新型コロナウイルスはどこから来たのか? 中国・武漢ウイルス研究所の石正麗(シー・ジェンリー)氏らは、中国南部・雲南省のキクガシラコウモリで同チームが以前に発見していたコロナウイルスと新型ウイルスのゲノム配列が96%同じであることを突き止め、2月初めに学術誌に報告した。短期間で起源を特定できたのは、石らが長年にわたって動物が保有するウイルスを追跡してきたからだ。人間と野生動物が接触する機会が増え、アウトブレーク(集団感染)が起こりやすくなっている。

  野生動物が自然の保有宿主となっているウイルスが変異し、人間に感染するケースが知られている。2002年に重症急性呼吸器症候群(SARS)を引き起こしたコロナウイルスもコウモリが保有宿主だった。これを特定したのが、非営利研究機関エコヘルス・アライアンス(本部ニューヨーク)と石らの国際チームだ。石はウイルス学者だが、中国各地のコウモリ洞窟を調査してきたことから、研究仲間からは親しみを込めて「中国のバットウーマン」と呼ばれている。
  保有宿主を突き止めるには野生動物の血液や糞を採集し、ウイルスの遺伝物質(RNAやDNA)が含まれているかどうかを解析する。人里離れたコウモリ洞窟を踏査してこれを実行するのはたいへんな作業だ。石らはSARSウイルスの起源を追跡するなかで注目した雲南省の洞窟を徹底的に調べ、遺伝的に非常に多様な数百種のコウモリ媒介ウイルスを発見した。大半は無害だが、数十種はSARSの病原体と同じグループのコロナウイルスだった。
  こうした洞窟の多くでは異なるウイルスが常に混合し、危険な新病原体が出現する"ウイルスのるつぼ"となっている。その近くでは、野生動物をじかに取り扱っている人でなくても感染してしまう可能性がある。石のチームはかねて、コウモリ媒介コロナウイルスのアウトブレークが起こる危険を警告していた。
  致死的な病原体が出現してから対応するのではなく、もっと踏み込んだ取り組みが必要だろうと多くの科学者はみている。最善の道は予防だ。動物起源の新興感染症の70%は野生動物に由来しているので、起源の特定と優れた診断キットの開発が最優先事項となる。変異して人間に感染する可能性のあるウイルスの存在を調べ上げて地図化したら、その後は保健当局が人々から集めた検体を解析することによって、実際に感染が起こっているかどうかを定期的にチェックできるようになるだろう。


公益社団法人 日本獣医学会-https://www.jsvetsci.jp/05_byouki/prion/pf169.html
自然界でのウイルスの生態

  私が勤務している日本生物科学研究所の機関誌「日生研たより」の51巻6号(通巻535号)に表題の巻頭言を書きましたので転載します。

  生物界は真性細菌、古細菌、真核生物の3つに大別されるが、最近、それらに寄生するウイルスの間に共通性がみつかってきたことから、ウイルスはこれら3つの生物界が分かれた30億年前には地球上に出現したものと推測されるようになった。細胞の代謝系やエネルギー産生系に依存しなければ子孫を作り出せないウイルスは、その存続の場となる自然宿主と30億年にわたって、さまざまな戦略で共生してきたことになる。わずか20万年前に出現した現生人類(ホモ・サピエンス)は、ウイルスにとってはその存続の場として必要なものではなく、たまたま遭遇した動物の一種にすぎなかった。
  最近、トリインフルエンザウイルスSARSコロナウイルスなどのエマージングウイルスのように、人に致死的感染を起こす野生動物由来のウイルスが続々と見いだされている。これは現代社会の発展に伴い、野生動物と人間の距離がせばまったために偶然起きてきた結果にすぎない。それでは、野生動物にどれくらいのウイルスが存在しているのであろうか。たまたま、人が感染した場合、その宿主である野生動物についての関心が高まると、いくつもの新しいウイルスが見つかってくる。その典型的な例は、コウモリのウイルスである。オーストラリアで馬と人に致死的感染を起こしたヘンドラウイルスおよびマレーシアで豚と人に致死的感染を起こしたニパウイルス自然宿主がオオコウモリであったことがきっかけになって、オオコウモリで新たに、リッサウイルス、メナングルウイルス、チョウマンウイルスが見つかった。SARSコロナウイルスの自然宿主探しでも、コウモリに焦点を合わせた研究の結果、最近になってキクガシラコウモリが自然宿主であることが2つのグループから報告された。膨大な種類の野生動物のそれぞれにウイルスは寄生しているはずであるが、その生態はまったく分かっていない。
  ところで、ウイルスは陸地の生物にだけ寄生しているのではない。海洋生物には陸上を上回る膨大なウイルスが存在していることが、1980年代終わりから指摘されるようになった。米国メリーランド州では海水中のウイルスの量が夏には1 mlあたり10億個にもなり、藻類や細菌の数を上回ることが観察されている。ノルウェイのフィヨルドの海水でも同様の観察が行われ、ウイルスが遺伝材料を藻類に運び込んで藻類の適応変異を助けているという考えが示された。
  最近、世界の海に含まれるウイルスについて興味ある試算が発表された(Nature 437, 356, 2005)。それによると、深海では3 x 106/ml 、沿岸の水には108/mlのウイルスが含まれると推定されることから、地球上の海洋の容量を1.3 x 1021 l、それに含まれるウイルスの平均数を3 x 109/lと仮定すると、海洋全体には4 x 1030のウイルスが含まれることになる。海のウイルスに含まれる炭素を約0.2 フェトグラム、長さを約100 ナノメーターと仮定すると、海のウイルス全体に含まれる炭素の量は2億トン、シロナガスクジラ7500万頭に相当する膨大なものになる。仮にウイルスをつなげると、全体の長さは1000万年光年になるという。ウイルスは、海の中でもっとも遺伝的多様性を持った生命体として、海洋生態系に大きな影響を及ぼしていることが想像できる。
  これまで、我々はウイルスを単に感染症の原因としてとらえてきたが、地球上でもっとも長い歴史を持った生命体という視点にたって、ウイルスの存在意義をあらためて考えるべきであろう。


豚熱
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

豚熱(ぶたねつ、英classical swine feverCSFhog cholera)は、フラビウイルス科ペスチウイルス属によるブタのウイルス性疾病である。ブタ及びイノシシに特有の病気であり、ヒトには感染することはない

  豚熱は、以前は豚コレラという病名であったが、これは、1800年代にアメリカ合衆国で初めて発生が確認された際に、同地域において、ヒトのコレラが流行していたことから、関連は判然としないまま hog cholera (豚コレラ)と命名されたことに由来している。症状はコレラとは異なり、科学的には、ウイルスによって起こる豚熱(旧称:豚コレラ)は細菌で起こるヒトのコレラとは何ら無関係である。
  2019年11月11日、日本
江藤拓農林水産大臣は、「豚コレラ」の呼称を、英語名の「CSF(クラシカル・スワイン・フィーバー)」に変更すると明らかにした。無関係なヒトのコレラを想起させるとして、名称の見直しを求める声が発生県などから上がっていたという農林水産省のHPでは11月12日付で「豚コレラ及びアフリカ豚コレラの名称変更について 」という発表を掲載した。12月24日、農林水産省は「豚コレラ」の法律上の名称を「豚熱(ぶたねつ)」に変更する方針を発表した。正式な変更は、2020年2月5日に「家畜伝染病予防法の一部を改正する法律(令和2年法律第2号)」が公布・同日施行されたことによる。なお「法令上の用語としてCSFは、略称であるため、法律用語とすることは難しく、端的に病状を理解ができて、かつ、国際的な名称の日本語訳として適切なものとして日本獣医学会から提言を受けて決定した」と農林水産大臣が発表している
原因
  コレラ菌やブタコレラではなく、豚熱ウイルスにより起こる。ブタ、イノシシに感染し、ヒトには感染しない。ヒトが、豚熱にかかったブタの肉を食べても感染することはないなお、ブタコレラ菌 (Salmonella enterica serovar Choleraesuis) は、サルモネラの一種で、ヒト、ブタ、いずれにも感染し、豚コレラではなくサルモネラ症を起こす。
防疫
  
豚熱は、症状として、発熱し食欲減退、急性結膜炎を起こす。初期に便秘になったのち下痢に移行する傾向が見られる。全身リンパ節や各臓器の充出血、点状出血などが認められる。アフリカ豚熱トキソプラズマ症、急性敗血症豚丹毒オーエスキー病豚繁殖・呼吸障害症候群との鑑別が必要である。
  豚熱ウイルスがタンパク質に富む環境下においては燻製や塩蔵により不活化されることはなく、冷蔵で約3か月・冷凍で4年超にわたり活性を保つことがある。また、加熱による不活化には温度のわずかな差にも影響される故に、37に加熱した肉で1 - 2週間、50℃で3日間は生存するという結果がある。そのために加熱処理の有効温度(肉なら中心温度)は70℃で30分以上あるいは 80℃では3分以上と定義されている。
  日本の沖縄県で発生した豚熱の感染経路について、農林水産省の疫学調査チームは、肉製品を含む食品残渣飼料を非加熱で給餌したことが原因である可能性を指摘している
  1833年のアメリカ合衆国のオハイオ州での発生が世界最初の報告とされている(ただし現在、アメリカは豚熱清浄国である)。
  なお、1822年にフランスで豚熱に類似した症例が報告されており、これが世界最初の事案という意見もある。
  現在はアジアを中心に発生。日本では家畜伝染病予防法において法定伝染病に指定されており、対象動物はブタ、イノシシ。日本では生ワクチンの使用が限定的に認められていたが、2006年3月にワクチン接種を完全に中止して、摘発淘汰を基本とした防疫体制となり、2007年4月1日より国際獣疫事務局(OIE)の規約に基づき、日本は豚熱清浄国となった。しかし2018年9月以降は、岐阜県岐阜市からの疑似患畜により、ワクチン接種の再開と感染国に戻っている


ウイルスとは - 秋田大学 大学院医学系研究科

(3)ウイルスの分類
  ウイルスはさまざまな生物に感染する動物では哺乳類、鳥類、爬虫類、両生類、魚類、昆虫植物のウイルスもある、かびや細菌のウイルスもある

  国際ウイルス分類委員会の分類では、全部で3万種くらいのウイルスが見出されているそのうち、哺乳類と鳥類に感染するウイルスは約650種しかも、1つの種はさらにいくつものタイプに分けられる。
  たとえば、人で風邪を起こすウイルスにライノウイルスというのがあるこれは1種だが、その中に110ものタイプがある。
  20年ほど前、米国の国立衛生研究所で人に感染するウイルスを整理してみた結果、平均的アメリカ人は一生の間に200回くらいウイルスに感染していると報告があるこれらのウイルスの多くは風邪などの軽い症状、もしくはほとんど症状を引き 起こさない。
  そのため、私たちは感染したことも気づかないで済んでいる。 これらの数多くのウイルスのごく限られたものが重い病気を引き起こしてい る。
(4)ウイルス感染症の歴史
  ウイルス感染症は有史以来、人類を悩ませてきた。その最大のものは天然痘と狂犬病。 天然痘は、紀元前9000年頃、古代エジプトとメソポタミアの大河流域で人 々が農業を始めるようになって、人口が増え始めたために、人々の間で広が るようになったのではないかと推測されている。
  紀元前1500年には、サンスクリットの医学書に天然痘と思われる病気の流行が書かれている。
  紀元前1157年に死亡したエジプトの王、ラムセス5世のミイラがカイロ博物館に展示されているが、天然痘に特徴的な発疹の後がはっきり残っている。
  狂犬病については、紀元前1885年、メソポタミア文明を築いたシュメール 人の法律に、狂犬病に関するものと思われる文章が残っている。
  紀元前500年にはギリシアのアリストテレスやヒポクラテスが狂犬病のことを述べて いる。 しかし、ウイルスが初めて分離されたのはわずか100年ほど前の19世紀 の終わり、それはウシの口蹄疫ウイルスとタバコのタバコモザイクウイルスです。ヨーロッパではウシの間で急速に広がる口蹄疫が畜産上の大きな問題であった。
  その原因解明をドイツ政府から命令されたフリードリッヒ・レフラーの研究チームが、発病したウシの口や乳房にできた水疱を直接、子牛に接種した結果、1898年、病気を再現するのに成功した。しかも、その水疱を細菌が通過できないフィルターで濾過しても、子牛に病気を起こせることが確認され、その結果、濾過性の病原体、すなわちウイルスという存在が明らかになった。
  一方同じ年、オランダではタバコの葉に斑点ができるタバコモザイク病で、タバコモザイクウイルスが分離された。 ウイルスの存在は、ウイルス粒子という実体ではなく、病気を起こす要素 として見つかってきた。
  約50年前は、実験動物にサンプルを接種して病気が起こるかどうかを調べてウイルスの存在を推測して いた。
  その後,試験管内で培養した細胞を破壊するかどうかでウイルスの存在を調べるようになる。
  どちらの方法もウイルスそのものを見ているのではなく、ウイルスの感染性と病気を起こす能力、つまり 生物学的性質から、ウイルスを間接的に検出している。
   最近では、ウイルスの遺伝子を検出することで、ウイルスの存在を知ることも可能になった。物質としてのウイルスも取り扱えることができるようになってきた
(5)構造と性状によるウイルスの分類
  (2)SARSウイルス
  今夜は、現在国際的に大きな問題になっているSARSウイルスについて、 お話したいと思います。
   世界保健機関 WHOが全世界に新型肺炎の発生を知らせたのは3月12 日でした。そして、15日には初めてSARSの名前を用い、感染地域への渡航中止の勧告を出しました。
   WHOは直ちに世界10カ国13の研究所の協力を得て、原因解明のため の国際研究グループを結成しました。4月上旬には、国際的学術雑誌に新型コロナウイルスが患者から分離されたという論文が、ホンコン大学、米国CDC、ドイツの研究所と3箇所からそれぞれ発表されました。
  そして数日後には全部の遺伝子の配列が明らかにされました。
  さらに、オランダの研究所ではカニクイザルに新型コロナウイルスを接種する実験を行いました。サルは3日目には動きがにぶくなり、4日目には呼吸困難となり、解剖した結果、肺炎の起きていることが確かめられました。
  これらの結果からWHOは新型コロナウイルスがSARSの最大の原因であると結論したのです。  感染症の病原体を確定する条件として、コッホの原則というのがあります。
   これは100年あまり前にドイツのロベルト・コッホが結核患者から細菌を分離して、これが結核の原因であると決めた際に提唱されたものです。それを SARSにあてはめてみますと、まず患者から、そのウイルスが分離されるこ と、そのウイルスは人に近縁のサルで同じ病気を起こせること、そして病気 になったサルからは、同じウイルスが分離されることが条件になります。
  新型コロナウイルスでは、これがすべて満たされたのです。そして、このウイ ルスはSARSウイルスと命名されました。
  コッホの原則は、細菌について提唱されたもので、ウイルスでは満たせな い場合が多くあります。SARSのように、すべてが満たされる場合はきわめ て稀です。そのようなウイルスがSARSの原因であったことは幸運ともいえ ます。
  しかも、この結論が得られたのは、研究を始めて1カ月くらいでした。 本来は競争相手になる研究者たちが国際的に協力したことが、この画期的成果につながったものといえます。
   さて、ここでコロナウイルスとは、どのようなものかお話したいと思います。
   このウイルスはボールのような球形で、その周囲を太陽のコロナのような 構造が取り囲んでいます。そこで、コロナウイルスと命名されました。正確 には、コロナウイルス科のコロナウイルス属の1群のウイルスの名称です。
   コロナウイルスは核酸としてRNAを持っています。数多くのRNAウイルスの 中でコロナウイルスはもっとも大きなRNAを持っています。しかも同じRNAウ イルスであるインフルエンザウイルスと同様に変異を起こしやすい性質を 持っています。
   最初に分離されたのは、ニワトリに気管支炎を起こすコロナウイルスで1 937年のことです。その後、ヒトに風邪を起こすコロナウイルスが2種、ウシ、 ブタ、イヌ、ネコ、マウス、ラットなどのコロナウイルスも分離されました。これ らのコロナウイルスは現在、3つのグループに分類されています。
  しかし、 SARSウイルスはどのグループのウイルスとも、その遺伝子構造がかけはなれています。したがって、これまでに知られているコロナウイルスが変異 したものではなく、まったく新しいコロナウイルスとみなせます。ヒトにその ようなウイルスがいたとは考えられませんので、なんらかの動物のコロナ ウイルスと推測されます。
  最近、ホンコン大学のチームは中国南部の動物 マーケットで売られている動物を調べた結果、ハクビシン、アナグマ、および タヌキからSARSウイルスを検出したと報告しています。これらが感染源とい う可能性が出てきたわけです。
  しかし、SARS患者の便にはウイルスが含ま れているので、それが畑の肥料に入り込み、これらの動物へ感染を起こし ている可能性もあります。
  すなわち、現段階では人からの感染の可能性も 否定できません。ともかく、SARSウイルスを保有している自然宿主を見つけ ることは、これからのSARS対策の上で、非常に重要です。
   ところで、SARSウイルスの感染は、患者の咳やくしゃみからの飛沫に含ま れるウイルスを吸い込む場合がもっとも多いと考えられています。
  これは、 呼吸器感染です。一方、SARSでは下痢も多く起こり、便の中にはウイルス が排出されています。ウイルスを含んだ痰や唾、そして便などが付着した場所を手で触れた結果、その汚れた手から目、鼻、口などの粘膜に感染を起 こしている可能性も推測されています。
  これは、接触感染です。呼吸器感染に対してはマスクで飛沫を吸い込まないようにすること、接触感染に対しては手をよく洗うことで、感染のチャンスをかなり減少させること ができます。
   もっとも効果的な対策はワクチンです。現在、ニワトリ、ウシ、ブタ、イヌなど のコロナウイルスについてはワクチンがありますが、これらはSARSウイルス には効果がありません。しかし、これらのワクチンを参考にしてSARSワクチ ンを開発することは充分に可能です。さらに、もっと新しい技術でワクチンを 開発することも可能と思われます。
   一方、SARSウイルスはサルで肺炎を起こすことが分かっていますので、開発したワクチンの有効性や安全性はサルを用いて、確認することができます。
   したがって、将来はワクチンでの予防が可能と考えられます。しかし、候補の ワクチンができるまでには1?2年、そしてヒトに接種できるようになるには、さ らに長期間かかるかもしれません。
   発病した人に対する治療薬については、まだ展望はありません。米国では すでに開発されていて、まだ承認されていない薬が4万種類ほどあり、それらについて、まず培養した細胞でのSARSウイルスの増殖を抑えるものを見つ ける研究を始めています。
  もしも、そのような薬があれば動物実験で実際の 効果を調べることになります。しかし、これは運にまかせるしかありません。 一方、新しい薬を開発するとなると、通常では10年くらいかかります。
(3)感染症との戦い
  今夜は感染症と人類の戦いについてお話したいと思います。
  有史以来、人類はいくつものウイルス感染症に悩まされてきました。その 最大のものは天然痘です。
  1796年、ジェンナーによる種痘の開発は人間 とウイルス感染症の戦いの始まりになりました。当時はもちろんウイルスの 存在は知られていませんでした。しかし、牛痘にかかったヒトの病変部の膿を接種することにより天然痘の予防が可能になったのです。
  この時、ジェン ナーは種痘をどんどん広めていけば、やがて世界から天然痘が根絶できるだろうと予言していました。ジェンナーの天然痘根絶のアイディアが取り上げられたのは150年後、 第2次世界大戦終了後の1959年でした。
  そして本格的な根絶計画が始め られたのは1966年でした。それから10年あまり後、1977年にソマリアで 出た天然痘患者を最後として、患者の発生はなくなり、1980年、WHOは天 然痘の根絶を宣言しました。長年にわたって人類を悩ませてきた最大の感 染症に対する人類の勝利でした。

   WHOは天然痘に引き続いて麻疹やポリオの根絶計画も発足させました。一方、すでに細菌感染症の多くは抗生物質で治療できるようになっていま した。そこで、人類は感染症を克服できるという期待が生まれてきました。
  感染症の時代は終わり、これからはガンや生活習慣病の時代になったと考え るようになりました。感染症を研究する人の数も減少していきました。
  しかし、まもなく、感染症の克服は幻想に過ぎなかったことが明らかになり ました。1980年代初めにはすでにエイズが広がり始めていました。また、 1960年代終わりに突如出現したマールブルグウイルスを初め、ラッサウイ ルス、エボラウイルスなどの出血熱ウイルスが1970年代にかけて姿を現し てきていました。  1993年、WHOと全米科学者協会は、これらの新たに出現して社会的に 大きな影響を与えている感染症をエマージング感染症として、地球規模での監視の必要性を提唱したのです。
  エマージング感染症の病原体のうち、 ウイルスはとくに危険性が高く、一般にエマージングウイルスと総称されて います。  ところで、これまでに見いだされたエマージングウイルスのほとんどは動 物とくに野生動物が保有するものです。
  ウイルスは第一回目にお話したよう に、動物に寄生して存続しています。その宿主である動物を死亡させてしま うと、自らも死滅してしまいます。したがって、宿主の動物となるべく平和共存することがウイルスの存続に必要です。
  エマージングウイルスの多くは、 この種のものです。キラーウイルスと呼ばれることがよくありますが、本来の宿主ではキラーではなく、平和共存しているウイルスです。それがたまたま、 ヒトに感染するとキラーに変身しているのです。
  このように、ウイルスが本来の宿主から別の動物に感染すると、致死的感染を起こすことは珍しくありません。その典型的な例をご紹介します。

  ほとんどのヒトは成人になるまでに、単純ヘルペスウイルスに感染します。 このウイルスは神経細胞の中に潜んでいて、普通はまったく健康に影響を 与えません。しかし、風邪を引いたりストレスを受けたりすると、神経細胞か ら口の粘膜にウイルスが移動してきて、唇などに潰瘍を作ります。いわゆる ヘルペス潰瘍です。これが治ればウイルスはまた、神経細胞に隠れてしまい ます。
  ところで、これとまったく、同じタイプのウイルスがサルに感染していま す。これはヘルペスBウイルスと呼ばれるもので、サルでは病気はほとんど 起こしません。しかし、時折、サルの唇にヘルペス潰瘍を作ります。このよう な時に、ヒトがそのサルの唾液に触れたりすると、感染することがあります。
   その場合には70%という高い致死率になります。
  ところで、エマージングウイルスが認識された当初は、それらのほとんどは 野生動物から直接、人間に感染していました。たとえば、ラッサ熱はウイルス を保有するネズミの尿に含まれるウイルスがほこりなどに付着して、それを 吸い込むことで起きていました。
  ところが、1998年にマレーシアで発生した ニパウイルス病では、自然宿主のコウモリからまずブタが感染し、ブタの体 内で増えたウイルスがヒトに感染するという新たな伝播の様式を示しました。 家畜がエマージングウイルス伝播の中継場所になるという新たな問題提起 になったわけです。
  しかし、これまでに起きてきたエマージング感染症では、動物から感染した ヒトが、別のヒトに感染をうつすことはほとんどありませんでした。例外ともい えるのはエボラ出血熱ですが、この場合には病院の中で同じ注射器の使い 回しを行ったり、患者の血液に直接触れるといった、濃厚な接触でもって感 染が広がっていました。
  ところが、SARSでは患者の咳やくしゃみによる飛沫を吸い込む呼吸器感染が最大の感染様式になっています。この場合、1メートルくらい離れたとこ ろでも感染の起こる可能性があります。こうして、ヒトの間で容易に感染が広 がるのがSARSの特徴です。

  現代のグローバル化した社会では、感染したヒ トが発病する前の潜伏期中に飛行機でほかの国に移動することも起こります。 その結果、世界の各地にSARS が広がってしまったのです。SARSが全世界 に大きな影響を与えている理由には、ヒトの間で容易にうつるウイルス感染症であることと、グローバリゼーションの現代社会という、2つの要因がかか わっています。
  20世紀はウイルス根絶を目指した時代でした。しかし、それが幻想である ことが明らかになった現在、ウイルスとの共生が求められていることを認識 しなければならなりません。これからもSARSのようなウイルスが出現する可 能性を念頭に置いて準備態勢を整えておくことが必要です。明日は、この点 についてお話したいと思います。
(4).未知の感染症への対策
  SARSウイルスは、おそらくなんらかの動物に昔から存在していたものが、 たまたま人間に感染したものと考えられます。
  このようなウイルスが自然界 にどれくらい存在しているのか、まったく分かりません。実際、これまでに新たに出現してきて問題になっているウイルスのほとん どは、野生動物のウイルスです。
  しかし、野生動物に存在するウイルスにつ いては、私たちはほとんど知っていません。たとえば、1996年にオーストラリアでヘンドラウイルスという新しいウイル スによる人の致死的感染が起こりました。そして、その3年後にはマレーシ アでニパウイルスという、これも新しいウイルスによる人の致死的感染が起 こりました。
  この2つのウイルスは同じグループのものであって、いずれもコ ウモリのウイルスということが分かりました。そこで、コウモリについてウイル スの調査を始めたところ、あらたに3つのウイルスが見つかったのです。そ のうちの
  1つは、狂犬病ウイルスとほぼ同じものでした。実際に、オーストラ リアでは、このウイルスに感染して死亡した人も出ました。
  コウモリだけで、5つのウイルスが見つかり、そのうち、3つは人に致死的感染を起こすもの だったのです。
  地球上の野生動物の種類を考えると、私たちが知っているウイルスはほ んのひとにぎりということになります。
  現代社会は発展していき、野生動物の世界と人間の世界の間の距離は 短くなってきています。未知のウイルスが人間社会に出現することは、これ からも続くものと考えなければなりません。
  その中にはSARSウイルスのよう に、人の間で広がっていくものもあるはずです。未知のウイルスに対して、人間は免疫を持っていません。ワクチンもあり ません。そのようなウイルスに対して我々が頼れるのは、公衆衛生対策です。
  公衆衛生は社会の健康を守るためのものです。そして、それを通じて個人の健康も守ることになります。20世紀の後半、感染症にさらされる機会が減 少し、感染症は過去のものと考えられるようになるとともに、公衆衛生という 言葉は忘れられてきました。
  SARSは、この公衆衛生対策がどのようなものか、そしてそれがどのように して社会を守るのか、目の当たりに示してくれています。
  ここで、感染症に対する公衆衛生対策について考えてみたいと思います。 公衆衛生対策の基本は2つあります。
  まず、感染・発病したからほかの人に 感染が移らないようにするための対策で、これは患者の隔離です。もう一つ は、発病はしていないが、患者と接触したために感染した可能性のある人を 対象とするものです。

  本来、これは検疫と呼ばれるものですが、日本では、 空港などで行われているものだけと一般に受け止められています。検疫とい う言葉は英語ではquarantineで、イタリア語で40という意味の言葉です。
  14世紀にイタリアでペストの蔓延を防ぐために、感染した可能性のある人 たちを40日間、隔離したことから、付けられた呼び名です。
  すなわち、自宅 での健康監視なども、本来は検疫の概念に相当します。
  SARSで行われている対策も、この2つの原則にもとづいています。これは 100年前のものと基本的には同じものです。しかし、100年前と現在では、 その内容に違いがあります。患者の隔離の面では、科学の著しい進歩により、SARSの場合、ウイルス 遺伝子の検出や抗体の検出という確定診断が可能になりました。隔離病室 の設備も高度の安全対策がほどこされたものになっています。
  すなわち、 隔離までのステップに関しては、昔とは比較にならない高度のものになって います。一方、感染した可能性のある人、すなわち接触者に対する対策は昔より も複雑かつ困難です。多数の人々の移動がはげしい現代社会では、接触者の追跡はきわめて難しい課題になりました。
  今回、台湾から来た医師の 場合、数日の滞在期間の間に接触した可能性のある人が2600人も見出 されました。
  個人の人権やプライバシーに配慮しながら、多数の接触者の 追跡がいかに困難かということが分かると思います。  ここで、20世紀最大の感染症となったエイズ21世紀初めに出現した SARSを比較してみたいと思います。
  エイズの原因であるヒト免疫不全ウイ ルスはちょうど20年前の5月に明らかにされました。しかし、それまでには 2年間かかっています。SARSでは1月もかかっていません。この大きな違い をもたらした要因には、WHOの調整のもとに緊密な国際的研究協力が行わ れ、その研究成果に関する情報はインターネットにより即時に全世界に発 表され、国際的な情報の共有が行われたことです。
  また、ヒトゲノム計画な どで遺伝子解析技術が進歩していたことも貢献しています。エイズの場合、 遺伝子解析技術は生まれたばかりでした。インターネットはまだ生まれてい ません。
  公衆衛生対策の面では、エイズに関する情報は発生当初、同性愛者の 病気といった偏見から、むしろ隠されてしまいました。そして、その間に全世界に広がってしまいました。
  一方、SARSでは情報開示が積極的に行わ れておりこれが制圧に貢献しています。
  有史以来、感染症に悩まされてきた人類は、公衆衛生対策のおかげで、 多くの感染症の心配から開放されました。その結果、現代社会は感染症 についての関心を失い、感染症制圧の原動力になってきた公衆衛生につ いても、関心が低下してきました。
  SARSはこの忘れられた公衆衛生の重要性を再認識させてくれたといえます。
  ウイルスには国境がありません。 SARSのような新しいウイルスに対する公衆衛生対策はその国の人々の 健康を守るだけでなく、世界の人々の健康に対する責任でもあります。 未知の感染症に対して我々が頼れるのは、地球規模での公衆衛生対策 なのです。


新型コロナウイルスについて-https://www.lireclinic.com/column
新型肺炎・コロナウイルス感染の致死率、症状、免疫などの情報

こちらでは健康情報関連のコラムを掲載しております。 ネット上には様々な情報があふれておりますが、その内容は玉石混合です。 ここでは、医師である片山泰輔が文責をもって記載します。 医療情報は新たなエビデンスからの更新が多く、日進月歩の分野ですがその時点での確かな情報を発信しますので興味を持って読んで頂けると嬉しいです。


厚生労働省HP-https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000164708_00001.html
新型コロナウイルス感染症について

・「新型コロナウイルス感染症対策の基本方針」 に基づき対策を進めています。
・第18回新型コロナウイルス感染症対策本部が開催されました(首相官邸ホームページ (3月7日)。
・「 新型コロナウイルスの集団感染を防ぐために 」を公表しました (3月1日)。
・「家庭内でご注意いただきたいこと ~8つのポイント~ 」を公表しました (3月1日)。
雇用調整助成金の特例措置を講じています。特例措置の拡大を今後行う予定です。また、時間外労働等改善助成金の特例を設けることとしました。
・小学校等が臨時休業した場合等の保護者の休暇取得支援(新たな助成金制度)を実施することとしています。
中国・韓国から入国・帰国される方へ


東京都感染症情報センターhttp://idsc.tokyo-eiken.go.jp/diseases/2019-ncov/
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に関する情報

中華人民共和国湖北省武漢市で昨年(令和元年)12月以降、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の発生が報告されて以来、日本をはじめとして世界各地から報告が続いています。都内でも、集団発生や感染経路の不明な患者報告がありました。
 インフルエンザ対策と同様の咳エチケットや手洗いなどの感染対策を行いましょう。


首相官邸HP-https://www.kantei.go.jp/jp/headline/kansensho/coronavirus.html
新型コロナウイルス感染症に備えて ~一人ひとりができる対策を知っておこう~

1. 新型コロナウイルス感染症について
2. 一人ひとりができる新型コロナウイルス感染症対策は?
3. 新型コロナウイルス感染症が疑われる方へ
4. 各都道府県発表のお知らせ・相談窓口
5. 感染症対策へのご協力をお願いします(チラシ)
6.その他お知らせ
7.関連リンク 



兵庫県HP-https://web.pref.hyogo.lg.jp/kf16/singatakorona.html
新型コロナウイルスについて

中華人民共和国湖北省武漢市において、昨年12月以降、新型コロナウイルス関連肺炎の発生が複数報告されており、必要な情報の収集・公表を行っているところです。
新型コロナウイルス感染症患者の発生について
世界保健機関(WHO)の緊急委員会は、1月31日未明(日本時間)、中華人民共和国湖北省武漢市における新型コロナウイルス感染症の発生状況が「国際的に懸念される公衆衛生上の緊急事態(PHEIC: Public Health Emergency of International Concern)」には該当すると発表しました。
新型コロナウィルス感染症について【厚生労働省】(外部サイトへリンク)
(参考)コロナウイルスとは
発熱や上気道症状を引き起こすウイルスで、人に感染を起こすものは6種類あることが分かっています。そのうち、中東呼吸器症候群(MERS)や重症急性呼吸器症候群(SARS)などの、重症化傾向のある疾患の原因ウイルスも含まれています。それ以外の4種類のウイルスは、一般の風邪の原因の10~15%(流行期は35%)を占めます。


ウイルス
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』


ウイルス(ラテン語: virus)は、他生物の細胞を利用して自己を複製させる、極微小な感染性の構造体で、タンパク質の殻とその内部に入っている核酸からなる。生命の最小単位である細胞やその生体膜である細胞膜も持たないので、小器官がなく、自己増殖することがないので、非生物とされることもある

特徴
ウイルスは細胞を構成単位とせず、自己増殖はできないが、遺伝子を有するという、非生物・生物両方の特性を持っている。現在のところ自然科学では生物・生命の定義を行うことができていないため、便宜的に細胞を構成単位とし、代謝、増殖できるものを生物と呼んでいるが、ウイルスは「非細胞性生物」として位置づけられる。あるいは、「生物学的存在」ともいわれる。感染することで宿主の恒常性に影響を及ぼし、病原体としてふるまうことがある。ウイルスを対象として研究する分野はウイルス学と呼ばれる。
遺伝物質の違いから、大きくDNAウイルスRNAウイルスに分けられる(詳細はウイルスの分類を参照)。

一般的な生物」との違い
ウイルスは様々な点で一般的な生物と大きく異なる。

  1-非細胞性で細胞質などは持たない。基本的にはタンパク質核酸からなる粒子である(→ウイルスの構造)。
  2-大部分の生物は細胞内部にDNARNAの両方の核酸が存在するが、ウイルス粒子内には基本的にどちらか片方だけしかない。
  3-他のほとんどの生物の細胞は2nで指数関数的に増殖するのに対し、ウイルスは一段階増殖する。またウイルス粒子が見かけ上消えてしまう「暗黒期」が存在する。
  4-代謝系を持たず、単独では増殖できない。他生物の細胞に寄生したときのみ増殖できる。
  5-自分自身でエネルギーを産生せず、宿主細胞の作るそれを利用する。

なお4の特徴はウイルスだけに見られるものではなく、リケッチアクラミジアファイトプラズマなど一部の細菌や真核生物にも同様の特徴を示すものがある。
  細胞は生きるのに必要なエネルギーを作る製造ラインを持っているが、ウイルスはその代謝を行っておらず、代謝を宿主細胞に完全に依存し、宿主の中でのみ増殖が可能である。彼らに唯一できることは他の生物の遺伝子の中に彼らの遺伝子を入れる事である。厳密には自らを入れる能力も持っておらず、ただ細胞が正常な物質と判別できずウイルスタンパクを増産し病気になる。これらの違いからウイルスは生物学上、生物とは見做されないことも多い。
  上記のようにウイルスは生物学上の生物とはされない事が多いが、メガウイルスミミウイルスなど、細菌に非常に近い構造を持つウイルスの発見により、少なくとも一部は遺伝子の大部分を捨て去り、寄生に特化した生物の一群由来であろうことが強く示唆されている。一方、レトロウイルストランスポゾンの類似性もまた、少なくとも一部のウイルスは機能性核酸が独立・進化したものである可能性を強く示唆している。つまり、「ウイルス」として纏められている物は多元的であり、人為分類群である可能性が非常に高い。
構造
ウイルスの基本構造は、粒子の中心にあるウイルス核酸と、それを取り囲むカプシド (capsid) と呼ばれるタンパク質の殻から構成された粒子である。その大きさは小さいものでは数十nmから、大きいものでは数百nmのものまで存在し、他の一般的な生物の細胞(数〜数十µm)の100〜1000分の1程度の大きさである。ウイルス核酸とカプシドを併せたものをヌクレオカプシド (nucleocapsid) と呼ぶ。ウイルスによっては、エンベロープ (envelope) と呼ばれる膜成分など、ヌクレオカプシド以外の物質を含むものがある。これらの構成成分を含めて、そのウイルスにとって必要な構造をすべて備え、宿主に対して感染可能な「完全なウイルス粒子」をビリオンと呼ぶ。
ウイルス核酸
ウイルス核酸は、通常、DNARNAのどちらか一方である。すなわち、他の生物が一個の細胞内にDNA(遺伝子として)とRNA(mRNArRNAtRNAなど)の両方の分子を含むのに対して、ウイルスの一粒子にはその片方しか含まれない(ただしDNAと共にRNAを一部含むB型肝炎ウイルスのような例外も稀に存在する)。そのウイルスが持つ核酸の種類によって、ウイルスはDNAウイルスとRNAウイルスに大別される。さらに、それぞれの核酸が一本鎖か二本鎖か、一本鎖のRNAであればmRNAとしての活性を持つか持たないか(プラス鎖RNAかマイナス鎖RNAか)、環状か線状か、などによって細かく分類される。ウイルスのゲノムは他の生物と比べてはるかにサイズが小さく、またコードしている遺伝子の数も極めて少ない。例えば、ヒトの遺伝子が数万あるのに対して、ウイルスでは3〜100個ほどだと言われる。
ウイルスは基本的にタンパク質と核酸からなる粒子であるため、ウイルスの複製(増殖)のためには少なくとも

1-タンパク質の合成
2-ウイルス核酸の複製
3-1. 2.を行うために必要な、材料の調達とエネルギーの産生

が必要である。しかしほとんどのウイルスは、1や3を行うのに必要な酵素の遺伝情報を持たず、宿主細胞の持つタンパク合成機構や代謝、エネルギーを利用して、自分自身の複製を行う。ウイルス遺伝子には自分の遺伝子(しばしば宿主と大きく異なる)を複製するための酵素の他、宿主細胞に吸着・侵入したり、あるいは宿主の持つ免疫機構から逃れるための酵素などがコードされている。
  ウイルスによっては、カプシドの内側に、核酸と一緒にカプシドタンパク質とは異なるタンパク質を含むものがある。このタンパク質とウイルス核酸を合わせたものをコアと呼び、このタンパク質をコアタンパク質と呼ぶ。
増殖
ウイルスは、それ自身単独では増殖できず、他の生物の細胞内に感染して初めて増殖可能となる。このような性質を偏性細胞内寄生性と呼ぶ。また、一般的な生物の細胞が2分裂によって 2n で対数的に数を増やす(対数増殖)のに対し、ウイルスは1つの粒子が、感染した宿主細胞内で一気に数を増やして放出(一段階増殖)する。また感染したウイルスは細胞内で一度分解されるため、見かけ上ウイルス粒子の存在しない期間(暗黒期)がある。


http://www.biseibutu.co.jp/tabid/148/Default.aspx
他・・・(こちらをどうぞ↓)ttps://www.google.com/search?q=pcr%E6%A4%9C%E6%9F%BB%E3%81%A8%E3%81%AF&oq=PCR&aqs=chrome.1.69i57j0l7.6523j0j8&sourceid=chrome&ie=UTF-8

日本微生物研究所-PCB検査に関して・・・

遺伝子検査って?
私たち生物の遺伝情報は、ゲノムDNAと言われる設計図の中に暗号化されて収められています。ゲノムDNAの最少単位は4種類の塩基(アデニン、チミン、グアニン、シトシン)と呼ばれる物質で、設計図の文字に相当します。この文字の数や並び方は、生物の種毎にだいたい決められているので、文字を読めばどの生物の設計図なのかが分かります。 ヒトでは31億文字、大腸菌では464万文字あり、生物種によって文字の数(=ゲノムDNAの大きさ)や並び方は異なります。
  文字の並び方は、 “意味を持つ単語”として並んでいる部分と、意味を持たない単なる文字として並んでいる部分が入り混じっています。この“意味を持つ単語”にあたる部分が“遺伝子”です。微生物の種類によっては、「この菌は、必ずこの遺伝子を持っている!」と分かっている場合があります。(例えば腸管出血性大腸菌は、必ずベロ毒素産生遺伝子を持っています。)
  その特徴を理解し、検出したい微生物が特有に持っている遺伝子をターゲットにして細菌やウイルスの検出を行います。その方法の一つがPCR法です。
PCR法って?
遺伝子はそのままでは目で見ることはできません。しかし人工的に、増やしたい部分だけを増やすことができるようになり、特別な装置を使えば目で検出することが可能になりました。遺伝子増幅技術の代表的なものがPCR法です。
  PCR法は、増やしたい遺伝子のDNA配列にくっつくことができる短いDNA(プライマー)を用意し、酵素の働きと温度を上げ下げすることで、目的の遺伝子を増やす方法です。増えたDNAを染め出す特殊な装置に入れる事で、増えた遺伝子を目で確認する事ができます。検体の中に増やしたい遺伝子があれば増えて目で確認することができ“陽性”と判定されます。しかし、検体の中に遺伝子がなければ増えないので、目で確認することはできず、 “陰性”と判定されます。
PCR法と微生物検査
以前、微生物検査は生化学的性状を主体とした検査法が主流でしたが、遺伝子検査の飛躍的な発展により、迅速性を要する微生物検査の分野にも応用されてきています。遺伝子検査を導入することで、微生物の新たな一面も解明されてきました。しかし、遺伝子検査は完全な検査ではなく、従来の生化学的検査を併用することで、様々なことが解明されています。






厚生労働省-https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/dengue_fever_qa_00001.html]
厚生労働省-https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000164708_00001.html

新型コロナウイルスに関するQ&A(一般の方向け)

新型コロナウイルス感染症について



日本ウイルス学会-http://jsv.umin.jp/










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