竹島問題-1(2022年8月~)
2023.05.02-産経新聞-https://www.sankei.com/article/20230502-AZ7FOONJRRPZTOIE2BK5KDOXQ4/
韓国野党議員が竹島に上陸
【ソウル=時吉達也】
韓国の革新系最大野党「共に民主党」の田溶冀(チョン・ヨンギ)議員は2日、自身のフェイスブックで、
韓国が不法占拠する竹島(島根県隠岐の島町)に上陸したことを明らかにした。
田氏は「日本による主権侵害に対抗し、韓国固有の領土である独島(トクト、竹島の韓国側呼称)を命がけで守る」と投稿した。
日本政府は2日、韓国国会議員による竹島上陸に関し「到底受け入れることはできず、極めて遺憾だ」と外交ルートを通じて強く抗議した。
竹島をめぐっては2021年にも、当時野党だった現与党「国民の力」の国会議員や警察庁長官が上陸。日本政府が抗議した。
2023.02.20-NHK政治マガジン-https://www.nhk.or.jp/politics/articles/feature/95978.html
「武力でしか領土とれない 守れないは悲しい」竹島の日に考える
(松江局 奥野葉月)
「竹島は僕たちから遠い存在に思えてしまう」 2月22日の
「竹島の日」を前に中学生が書いた作文の一節だ。 以前は竹島にあまり関心がわかなかったという、中学生たちの率直な思い。 地元・島根県の中学生たちが書いた作文から、
竹島の日に領土について考える。
(松江局 奥野葉月)
竹島問題 今なお解決されず
島根県の松江市からフェリーで2時間余りの隠岐諸島。竹島は、そこからさらに150キロほどの沖合にある。面積およそ0.2平方キロメートルと東京ドーム4つほどの小さな島だ。
アシカやアワビがよくとれたことから、かつては漁師が行き来してその生活を支えてきた。アシカ猟が本格化すると、地元で漁の安定化を求める声が高まり、日本政府は1905年(明治38年)に閣議決定によって竹島を島根県に編入し、領有の意思を再確認した。
しかし1952年、当時の韓国のイ・スンマン(李承晩)大統領が、朝鮮半島周辺に「李承晩ライン」と呼ばれる境界を一方的に設定し、その中に竹島も含むとし、現在も警備隊を置いている。日本は、竹島は歴史的事実に照らしても、国際法上も明らかに日本固有の領土だとしたうえで、
韓国による竹島の占拠は、国際法上何ら根拠がないまま行われている不法占拠で、国際法にのっとり、冷静・平和的に紛争を解決する考えだとしている。
遠い存在の竹島
竹島がある島根県は、明治時代に竹島を県の所管とした2月22日を条例で
「竹島の日」としている。若い世代に竹島に関心を持ってもらおうと島根県などが
「竹島の日」を前に毎年行っている作文コンクール。今回は、県内の中学生の724作品が寄せられた。
「日本本土から約200キロメートルも離れた竹島を自分の目で見ることはできない。竹島は僕たちから遠い存在に思えてしまう。しかしそれは違う」
「私の結論は正しい知識を身に付けることと、領土問題への意識の風化を止め、解決への輪を広げることです。解決までに時間がかかるからこそ意識の風化を防がなくてはなりません」
作文では、竹島を一見、遠い存在として捉えてしまいがちだとして、同世代の若者たちの無関心さを懸念する意見も目立った。
理解する難しさ
島根県内のあちこちで見ることができる
「竹島かえれ島と海」と書かれた看板。「
『竹島かえれ島と海』の言葉がどんな意味なのか分からなかった」作文の冒頭でそうつづったのは
島根県大田市の中学3年生、山根かおるさんだ。
看板は小さな頃から知っていたものの意味が分からず、領土のことだと知っても「争いが始まる前に竹島をあげてしまえばいいのではないか」とすら感じていたという。
そんな山根さんに大きな影響を与えたのが父・一成さんだった。山根さんに竹島の歴史、そして、今どんな状況にあるのかを話している。小学校の教師で、毎年2月22日の
「竹島の日」が近づくと学校で竹島の特別授業を行っているが、授業を行うと、子供の頃から竹島問題を理解してもらうことの難しさを感じるという。
「国際条約だとか戦争に関わることが多いので、シンプルに、分かりやすく教えるというのは難しい。勉強すると、どうしても子供たちは
『韓国が憎い』とか
『むかつく』と言うことがあるが、けんか腰ではなく、こんなことを学んできたということを穏やかに話し合えるようになってほしいです」
ウクライナ侵攻と領土問題
作文では、ロシアによるウクライナへの軍事侵攻から領土問題のことを考える中学生もいた。
「世界中でさまざまな問題が生じている。少しでもこのような問題が解決に向かうように私は将来、選挙に積極的に行ったり、領土問題について意見を伝えたりして、社会で起こっていることに関心を向けたい」「目指すは平和的な解決。あきらめてはいけない、時間がかかってでも解決しないといけないともう一度思いました」
山根さんも、領土をめぐる戦いでたくさんの命が失われる状況を悲しいと感じている。
「武力っていう方法でしか領土をとれない、守れないっていうのは、悲しいことだなって思っています。武器を置いて、ちゃんと領土について話し合って解決されることが望ましいかなと思います」
中学生が訴える竹島問題の今後
「竹島の日」を前に、山根さんは同級生たちが学んだことの発表に耳を傾けていた。
竹島をめぐる歴史、日本と韓国の竹島への向き合い方、そしてウクライナ情勢と様々な面から竹島問題を見つめてきた山根さんは、多くの人がこの問題に関心を持ち、考えていくことが必要だと感じている。
「国民がまず問題について知り、意見を伝えていけば次に解決が見えてくるのではないでしょうか。これからも領土問題が続けば、今度は私達の世代が解決しないといけなくなるので、そのためにも今学び、知識を身につけて、将来、武力ではなく、話し合えるように、自分の考えをちゃんと持っているようにしておくことが大切だと思います。意見のすれ違いがあるから、じゃあ日本はどうするのか、両国はどうしたらいいのかっていうところに視点をおくことが大事だと思います」
以前は、竹島の問題に関心がなかったという山根さんの作文はこう締めくくられている。
「教育や主張の発信を政治任せにせず、1人1人が意識して行動すべきだ。私も領土問題のすべてを知っているわけではない。まずはそれを自覚することが大事だ」
2023.02.18-産経新聞-https://www.sankei.com/article/20230218-7YVNPRXSRRJ7PFE66ZLESSJEHU/
竹島資料の誤記放置 専門家指摘後も 島根県などが製作
わが国固有の領土にもかかわらず、韓国による不法占拠が続いている竹島(島根県隠岐の島町)で同町民らが行っていたアシカ猟に関し、
町や県が収集、公開している資料が年代や表記の誤りを研究者に指摘されながら、未修正のまま放置されていることが18日、関係者への取材で分かった。
誤記は町教委が製作した小中学生向けの副教材にもあるが、改訂版の製作予定はないといい、町教委は学校などに注意を促す方針。誤記の放置は誤った情報を拡散させ、ひいてはわが国の主張の信憑(しんぴょう)性に疑念を抱かせる可能性もある。
誤記が判明したのは、島根県などが教育副教材として作成したリーフレット「竹島~日本の領土であることを学ぶ~」や、町教委製作の副教材「ふるさと隠岐」などに掲載された、竹島で漁猟を行った人々の集合写真。竹島の「東島」で撮影されたもので、県から竹島でのアシカ猟を許可されていた隠岐の島町の橋岡忠重氏や朝鮮半島の海女ら16人が写っている。
リーフレットや副教材「ふるさと隠岐」には1935(昭和10)年撮影と記載されていたが、井上貴央・鳥取大名誉教授の調査で同16(1941)年に撮影されたものと判明。指摘を受けた県は令和4年2月にリーフレットを改訂し修正したが、町教委には連絡しなかったといい、町教委は「全く知らなかった」としている。
井上教授は同町の竹島対策室にも連絡していたが、同町は1年以上放置。町が運営する「久見竹島歴史館」の展示パネルにあった誤記は先月、産経新聞の指摘を受けて担当者が修正したが、対策室から町教委に連絡はなかったという。
また、リーフレットと副教材に(漁猟の)「収支決算書」と記載されている資料は「収支計算書」だったことも判明しているが、いずれも未修正のままだ。県は「今後対応を検討したい」としている。
対外発信で韓国との差 歴然
竹島でのアシカ猟にまつわる資料には年代や提供者が不明のものや原本が行方不明になっているなど、詳細が不明なものが多い。島根県は平成17年に「竹島問題研究会」を設置し、資料収集や聞き取り調査などを続けてきたが、
莫大(ばくだい)な国費を投じて調査研究や対外発信を進める韓国との差は大きく、国の積極的な対応が求められている。
今回、誤記が判明した集合写真は、一般書籍などにも掲載されている有名な写真だが、撮影者はよく分かっていなかった。井上教授の調査で昭和16年夏、大阪毎日新聞が竹島でのアシカ猟を取材した際に、同社の写真部員が撮影したものだと分かった。
島根県隠岐の島町が運営する隠岐郷土館ではかつて、この写真を「昭和9年6月撮影」との説明を付けて展示。郷土史をまとめた一般書籍『目で見る隠岐の100年』(平成11年)や『写真アルバム 隠岐の昭和』(同27年)などに掲載の写真説明も「昭和9年」となっている。提供元は隠岐郷土館や県の竹島資料室などと記載されており、自治体が公開していた資料が引用された結果、誤記が拡散したとみられる。
歴史資料には、史料批判と考証の積み重ねによる究明が必要不可欠だ。だが、京都女子大の小原嘉記准教授(日本中世史)は「専門的知識がない行政職員が、史料に関する誤記の指摘に適切に対応できるかといえば、現実としては難しいだろう」と指摘する。
小原准教授によると、地方自治体による郷土史の編纂(へんさん)などは研究者など専門家を中心に行われ、自治体からは学芸員等が参画するのが一般的という。島根県や隠岐の島町はそれぞれ総務課に「竹島対策室」を設置しているものの、職員の数はわずか。学問的・学術的知識があるわけでもない。
県は「竹島の日」条例を制定した平成17年から専門家でつくる研究会を設置。領有権主張を裏付ける調査研究成果を上げてきたが、ほとんどはメンバーによる〝自腹〟の活動だという。
一方、
韓国は教育省傘下の「東北アジア歴史財団」に年約18億円を投じ、戦略的な研究や発信を展開している。竹島に関する貴重な史料や証言をより活用し、発信するには、国の積極的な対応が求められる。
