台湾問題-2021年01月~10月


2021.10.27-Yahoo!Japanニュース(産経新聞)-https://news.yahoo.co.jp/articles/5d68d0595795d9a10e11707881ed17144817b3c3
中台外相が欧州で火花 東欧歴訪の台湾に中国が巻き返し

  台湾の呉釗燮(ご・しょうしょう)外交部長(外相に相当)が東欧諸国を訪問し、関係を強化する中、中国の王毅国務委員兼外相は27日、ギリシャなど欧州4カ国の歴訪を開始、巻き返しに乗り出した。

  台湾としては、共産主義へのアレルギーが根強く残る旧ソ連圏の東欧を足場に、欧州でのプレゼンスを少しでも拡大したい考えだ。
  これに対し中国の習近平政権は、関係が特に良好な欧州の国々で中国との結び付きをアピールする戦略とみられる。(北京 三塚聖平、台北 矢板明夫

  現在、欧州で台湾と外交関係があるのはバチカンのみだが、台湾の蔡英文政権は、民主主義や自由といった欧州と共通の価値観を掲げて、欧州諸国との関係強化を図っている。中でも近年、急接近しているのが、共産主義に苦しんだ経験をもつチェコやリトアニアなど旧ソ連圏諸国だ
  呉氏は27日にチェコを訪れ、昨年訪台したビストルチル上院議長と会談した。26日には、隣国スロバキアで「台湾とスロバキアは自由や人権といった価値観を共有しており、貿易、投資、産業面で協力を強化すべきだ」などと演説した。
   呉氏はその中で、中国を念頭に「独裁国家による軍事的恫喝(どうかつ)やサイバー攻撃、偽情報の流布などを組み合わせたハイブリッド戦が増えており、台湾の民主主義が脅威にさらされている」と強調。「台湾は決して独りではない。同じ価値観を持つ仲間はたくさんいる」と述べ、中国を牽制(けんせい)した。
  呉氏に先立ち、台湾の国家発展委員会の龔明鑫(きょう・めいきん)主任委員(閣僚)が団長を務める経済視察団も21日からリトアニアと東欧を訪問。25日にはチェコと経済貿易、産業分野での協力に向けた覚書を締結した。

  新型コロナウイルスの世界的な流行や香港、ウイグル問題などを受け、欧州では中国への警戒論が強まっている。それと軌を一にするように、9月には欧州連合(EU)が貿易や投資などの分野で台湾と関係を深めることに意欲を示した。
  台湾を「核心的利益」とする習政権としては、そうした流れを押しとどめることが喫緊の課題となっている。 王氏が今回、27~29日の日程で歴訪する欧州の国々はギリシャ、セルビア、アルバニア、イタリアだ。
  中国外務省の汪文斌(おう・ぶんひん)報道官は25日の記者会見で、王氏が訪問する4カ国について「中国の欧州における重要な協力パートナーだ」と指摘した。イタリアは、中国の巨大経済圏構想「一帯一路」への参画を先進7カ国(G7)で初めて表明した国で、ギリシャやセルビアも中国がインフラ整備で影響力を及ぼしている。 アルバニアは、1971年10月に、台湾の蔣介石政権が保持していた国連での「中国」の代表権を中華人民共和国政府に認め、蔣政権の追放を求める「アルバニア決議」の提案国の一つだ
  習政権は同決議の正当性を強調しており、王氏も同国訪問を通じてそうした主張を行うとみられる。
  中国メディアは、王氏の訪問について「台湾当局者の欧州訪問がもたらすマイナスの影響を相殺することができる」と指摘した。 こうした中、EU欧州議会の議員団が来週、台湾を訪問するとも報じられており、中国側が激しく反発している。
  習国家主席は26日、フランスのマクロン大統領と電話会談し、「フランスが、中国・EU関係の健全で安定した発展を推進するため、積極的な役割を果たすよう望む」と協力を求めた。


2021.10.15-NHK NEWS WEB-https://www3.nhk.or.jp/news/html/20211015/k10013308071000.html
台湾 46人死亡のビル火災 1階部分から出火か

  14日、台湾南部でビルから火が出て46人が死亡した火事で、現地の当局は、建物の1階部分から火が出たと見て、周辺の監視カメラの映像を取り寄せるなどして出火の原因を調べています。

  14日、台湾南部の高雄にある店舗と居住エリアが一体になったビルから火が出て住民など46人が死亡し、41人がけがをしました
  現地のメディアは当局者の話として、ビルが40年ほど前に建てられ、住民の多くが高齢者だったことや、日の出前の暗い時間帯に出火したことなどが大きな被害につながったという見方を伝えています。
  また、建物の1階から6階まではもともと店舗として利用されていましたが、建材や内装に現在の消防の基準に合わないものが使われていたため火の勢いが強くなった可能性があるということです。
  現地の消防は14日夜の発表で、建物の1階部分から火が出たと見ていることを明らかにしていて、警察は周辺に設置されているすべての監視カメラの映像を取り寄せるなどして当時の状況や出火の原因を調べています


2021.10.12-Yahoo!Japanニュース(JB press)-https://news.yahoo.co.jp/articles/baaefa1ae4600f2388430c0bd9b6e2300f6fed19
緊迫する台湾情勢:2025年、中国による本格侵攻が可能に
(渡部 悦和)
(1)
  最近、台湾をめぐる情勢がますます緊迫してきた。例えば、台湾海峡では10月1日から4日にかけて、中国軍機149機が台湾の防空識別圏(ADIZ)に侵入した。  特に4日には過去最多の延べ56機がADIZに侵入した。昨年は380機だった侵入機数が、今年はすでに600機になっている

  この緊張の高まりは、中国がTPP加盟申請を発表した直後に、間髪を入れずに台湾もTPP加盟申請したことに中国が激怒した結果だと思う。  日米をはじめとして中国のTPP加盟に反対する国々は少なくない。一方で、台湾のTPP加盟に好意的な国々は日本をはじめとする民主主義諸国に多い。
    日本が毅然として、中国のTPP加盟を拒絶すれば中国は加盟できない。TPP加盟問題は中国の負け戦になる可能性がある中で、中国の台湾への強圧的な姿勢は継続するであろう。
    今後、台中間で予期しない偶然の事故などによる軍事衝突が発生することを私は懸念する。本稿では緊迫化する台湾情勢と台湾有事について、最近報道された重要事項を中心に解説したいと思う。
■ 台湾の国防部長の驚くべき発言
  台湾と中国の関係が緊張している状況下において、台湾の邱国正・国防部長(国防大臣に相当)から驚きの発言が出た。
  彼は10月6日、立法院における特別防衛予算案(2022年の総額約1兆9000億円の防衛費予算案とは別枠)の審議で、次のような見解を示した。「中国は既に台湾に侵攻する能力はあるが、得られる結果に比しコストが大きい」  「だが、2025年には本格的な台湾侵攻が可能になる。2025年には台湾の陸・海・空を全面的に支配する能力を持つ」  「中国と台湾の軍事的緊張が過去40年間で最も高まっている
  この国防部長の発言に私は唖然とした。日本であれば、「中国の侵攻能力が2025年に完成する」という情報は極秘に相当する。  日本の防衛大臣がこのような極秘情報を公表しようものなら、大変な騒ぎになるであろう。
(2)
  しかし、台湾で問題にならないのは、台湾が直面する中国侵攻に対する危機感がいかに強いかの証左でもあろう。  さて、中国の台湾侵攻であるが、台湾国防部の報告書などに関する報道を総括すると、台湾当局は以下のように分析していることが分かる。
   ・大規模な台湾上陸作戦を実施する能力(例えば、揚陸艦の能力)はまだ不十分だ
   ・ヘリボーン作戦(ヘリコプターで空を経由して部隊や兵器を運搬し攻撃する作戦)能力を向上させている
   ・中国の3隻目の新型空母が就役する2025年以降、台湾海峡に介入する米国など外国の軍事力を阻止する能力が向上する。
   ・中国は、2025年以降、中国の台湾海峡周辺を封鎖する能力は完全なものになる。
■ 中国軍が台湾の主要な港を無傷で占拠
   邱国正・国防部長の「2025年には本格的な台湾侵攻が可能になる」という発言は、主として中国の台湾上陸作戦を実施する十分な数の揚陸艦を保有してないことを論拠としているが、それに対する別の視点や意見もある。
   例えば、米国のシンクタンク「Project 2049」の研究員であるイアン・イーストン氏は、その論文「敵対的な港:台湾の港と人民解放軍の侵略計画」(Hostile Harbors: Taiwan’s Ports and PLA Invasion Plans)で、次のように記述している。「中国共産党(以下「中共」と記述)は、過去20年間で台湾の主要な港に駐在員事務所を設置したほか、台湾の港湾建設プロジェクトに投資し、基礎的な港湾インフラに直接アクセスできる状況にある」  私は、イーストン氏と台湾や日本での会議で何回か議論したことがあるが、台湾防衛問題の優秀な専門家であり、彼の主張することには注目すべきだと思う。以下、彼の論点を紹介する。

  ・人民解放軍が上陸作戦を実施する場合上陸に適する海岸は約10か所の狭い海岸であり、台湾軍がそこに兵力を集中して防護すると、中国の上陸作戦は難しくなる。そして、戦車や火砲、兵站物資をその狭い海岸に揚陸するのは難しい。上陸作戦のためには海岸だけではなく、港湾(コンテナ港)を確保する必要がある。
  ・揚陸艦の不足を補う案が港湾設備の利用だ。  中国の台湾侵攻を成功させるためには、台湾の主要な港(高雄、安平、台中、台北、基隆、蘇澳鎮、花蓮)を無傷な状態で占拠することが重要だ。港を占拠できれば、人民解放軍が戦時に徴用する数千隻の中国の商船で侵攻部隊を輸送することが可能になる。
  ・中共は、台湾の港を占拠するための準備を着々と進めている。  例えば、中国企業による台湾企業の買収により、台湾ではいくつかの主要な港湾建設の責任者に中共の支持者が就いている。有事の際、これらの支持者が人民解放軍に重要な機密情報を提供し、侵攻を手助けする可能性がある。
   ・中国の海運大手・中国遠洋海運集団は2018年7月、高雄港の高明コンテナターミナルの株式の過半数を取得した。  高明コンテナターミナルには自動化されたスマートクレーンが導入されているが、製造会社は中国の国有企業である上海振華重工だ。  同社は中国軍と関係が深く、台北港にも同社のスマートクレーンが導入されている。
   ・米国防省は昨年、上海振華重工の親会社である中国交通建設股份有限公司(ZPMC)が中国軍と関係が深いとしてブラックリストに追加した。  ・台湾にいる中国人の港湾オペレーターは、解放軍に機密情報を提供することができる。中共は昨年、国家情報法によって民間企業に軍の諜報活動に協力することを義務付けた。つまり、中国の民間企業は中共や軍に逆らうことができない。中共や軍は、民間人を使って軍事作戦を行ったり、極秘情報を収集してきた。
   ・結論として、台湾政府は、中共が管理する駐在員事務所を閉鎖すべきだし、解放軍と関係のある重要な港湾インフラを排除すべきだ。
(3)
■ 台湾有事に予想される中国の軍事作戦
   中国は、台湾問題の最終的解決のために、台湾の完全な降伏を追求し、大規模な軍事作戦を行う可能性はある。  そのアプローチは、イーストン氏が主張するように、軍事的手段のみならずあらゆる非軍事的手段も併用したものになるだろう。  つまり、平時からあらゆる領域(戦う空間)で実施される全領域戦(All-Domain Warfare)になるであろう。  私が提案する全領域戦は軍隊のみならず、政府を中心として多くの組織が参加し、軍事的および非軍事的手段を使い、あらゆる領域を使った戦い(陸戦・海戦・空戦・宇宙戦・サイバー戦・電磁波戦・情報戦・経済戦・外交戦など)を総合した戦いである。  全領域戦を中国の台湾統一のケースに当てはめると以下のようになるであろう。

   第1の作戦は、最も重要な平時における戦いだ。あらゆる手段を使って平和裏に台湾を支配下に置く算段を追求するであろう。例えば、情報戦(政治戦、影響工作、心理戦、外交戦、核による威嚇)、破壊・政権転覆(サボタージュ、誘拐、要人暗殺、暴力的デモ、浸透工作)、経済制裁などは高い確率で行われるであろう。  つまり、台湾はあらゆる分野(政治・経済・軍事・メディア・アカデミアなど)に大陸からのスパイが浸透しているので、情報戦や破壊・転覆活動などは頻繁に行われると覚悟すべきだろう。  そして軍事的には、中国が日常的に行っている台湾周辺での海空戦力を中心とした情報活動、警戒・監視活動、東シナ海や南シナ海で行っている演習、台湾周辺で行われている航空機による頻繁かつ大規模な防空識別圏への侵入を繰り返すだろう。  大規模な防空識別圏への侵入は、台湾軍を疲弊させる消耗戦とか疲弊戦といわれている。  この消耗戦は、解放軍の軍事行動を既成事実化し、台湾軍が自国を防衛することができないことを世界に示す効果がある。
(4)
   第2の作戦は、封鎖作戦である。  昔の封鎖作戦は、海や空のみの封鎖であったが、現代の封鎖作戦では、あらゆる領域における封鎖(使用拒否)を覚悟せざるを得ない。  サイバー空間の封鎖はサイバー戦、電磁波領域の封鎖は電子戦、宇宙の封鎖は宇宙戦によって行われる。
   第3の作戦は、離島攻撃(東沙島・太平島・澎湖島)だ。  これらの島を占領し、「離島を諦めるのか、奪回するのか」などの難しい決断を台湾政府に強い、台湾国内を混沌とした状況にさせる効果があるだろう。
   第4の作戦は、火力打撃(ミサイル攻撃、航空攻撃)だ。  解放軍のミサイル攻撃と航空攻撃により、台湾軍の主要拠点を破壊するのみならず、あわよくば台湾の武装解除(当初は軍と政府、その後は市民)を狙った作戦であり、それによって台湾が中国の要求に従うことを強制する。
   第5の作戦は、最終的な作戦で本格的な着上陸作戦を行うであろう。  その際に、中国は台湾への段階的な侵攻の一環として、最初に台湾の沖合いの島々に上陸する可能性はある。  中国の視点から見た本格的な台湾侵攻作戦の魅力は、奇襲の可能性にある。  奇襲が成功すると、米国は軍事的に対応することが難しくなる。この場合、米国大統領が中国への攻撃を承認することは政治的に困難になる。 
  ■ 米国の勇気ある対応: 特殊作戦部隊と海兵隊の台湾配備  10月6日付のウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)は、次のように報じた。
    「米国当局者によると、米国の特殊作戦部隊と海兵隊の部隊の約20人が台湾の陸軍に対して密かに軍事訓練をしている」  「中国の侵略に対して台湾防衛を強化するため、米軍は少なくとも1年間台湾で活動している」  「米軍の配備は交代制で、米国の部隊のメンバーは様々なスケジュールでサービスを提供している」  「米国の特殊作戦部隊の展開は、台湾の戦術能力に対する国防省の懸念の兆候だ
   過去においても、米海兵隊などに所属する兵士が台湾で勤務しているという噂は流れた。私も台湾を訪問した時に、同じような噂を聞いたことがある。  また、米軍のOBは、台湾軍の要請を受けて、台湾防衛に関する広範な助言を行ってきたし、台湾軍の訓練を指導してきた事実がある。  米国の特殊作戦担当国防次官補クリストファー・マイヤー氏は5月に次のように語っている。  「台湾の防衛能力の強化を助けるために、米国が特殊作戦部隊と海兵隊の配備を真剣に検討すべきである」  「米国の特殊作戦部隊が台湾軍に水陸両用上陸に対する防御方法や島を守るために必要な他の数十の作戦のための訓練方法を示すことができる」  この一連の事実をつなげていくと、WSJの記事は信憑性が高いと思う。
(5)
  歴代の米国政府当局者と軍事専門家は、米国と台湾の軍事部隊間の関係を深めることは、単に台湾の兵器を売却するよりも優れていると信じている。  米国の歴代の安全保障関係者は、台湾にとって重要な役割を果たしてきたし、今後も果たしていくことだろう。
  以上のような米国と台湾の動きに対して、中国の外務省は、米国が過去の合意を遵守し、台湾への軍事援助を停止するよう求めている。  そして、「中国は、その主権と領土保全を保護するために必要なすべての措置を講じるだろう」と警告している。
   いずれにせよ、米軍の台湾配備にいかに対処するかは中国にとっても頭の痛い問題であり、米国の行動をレッドラインと認識すれば軍事衝突の可能性を否定できない
  ■ おわりに  習近平国家主席は10月9日、辛亥革命110周年記念大会で演説し、台湾「統一」を「果たさなくてはならない」と述べた。中国は台湾を分離した省とみなし、武力による再統一の可能性を排除していない。
   中国の台湾攻撃を阻止するためには、習主席をはじめとする中国人に台湾を軍事統一できるという過信を抱かせないことだ。最終的には、台湾に対する軍事行動により、中国の夢である「中華民族の偉大な復興」が犠牲になることを中国指導部に理解させることだ。
   そのために米国は様々な努力をしている。台湾に対する武器売却もその努力の一つだし、米軍の台湾配備もリスクを伴う決断だ。  米国は言葉だけではなく、行動で台湾を支援している。  わが国は台湾有事の抑止のために何を語り、いかなる行動を取るのかが問われている。せめて、中国のTPP加盟を断固拒否し、台湾のTPP加盟を実現してもらいたいものだ
(渡部 悦和)


2021.10.07-Yahoo!Japanニュース(REUTERS)-https://news.yahoo.co.jp/articles/f50cbe34519b4a7d43324575924fa3b5aa4cb5ee
蔡総統、訪台中の仏議員団と会談 「地域の平和と安定実現へ」

  [台北 7日 ロイター] - 台湾の蔡英文総統は7日、訪台中のフランス上院議員団と会談し、台湾は今後も国際社会の一員としての役割を果たし続け、地域の平和と安定を実現していくと言明した。

   元仏国防相のアラン・リシャール氏率いる4人の議員団は、台湾を自国の一部と見なす中国の強い反対を押し切って、6日に台湾入りした
  蔡氏は総統府で議員団と会い、台湾海峡情勢への関心と台湾の国際社会参加支援についてフランスに謝意を表明。「われわれはインド太平洋地域の平和と安定を実現するため、引き続き国際社会の一員として責任を果たしていく。フランスおよび世界にさらに貢献したいと考えている」と述べた。
  オーストラリアのアボット元首相も台湾を訪れており、総統は7日に面会する予定中国が台湾に主権受け入れを迫り圧力をかける中、台湾は他の民主主義国との関係強化を熱心に模索している。


2021.10.06-NHK NEWS WEB-https://www3.nhk.or.jp/news/html/20211006/k10013294291000.html
“2025年以降 中国が全面的な台湾侵攻の能力” 台湾 国防部長

  台湾が設定した防空識別圏に進入する中国軍機の数が急増する中、台湾の邱国正国防部長は「2025年以降、中国が全面的な台湾侵攻の能力を持つ」と危機感を示し、抑止力の向上を急ぐ必要性を強調しました。

  台湾が設定した防空識別圏に進入する中国軍機の数が今月に入って急増していて、5日までの5日間だけで、延べ150機に上っています。
  こうした中、台湾の議会にあたる立法院で6日、答弁した邱国正国防部長は、台湾海峡の情勢について「私が軍に入ってからの、この40年間で今が最も厳しい」という認識を示しました。

  一方、中国による台湾侵攻の可能性をめぐっては、侵攻によって得られる利益と損害の大きさを比較して、利益が上回った場合、実行に移す可能性が高まるとの見方が出ています。
  これを念頭に、邱部長は「2025年以降、中国のコストと損害は最低限となり、全面的な台湾侵攻の能力を持つ」と危機感を示し、抑止力の向上を急ぐ必要性を強調しました。

  台湾当局は、中国に対する抑止力として、射程の長いミサイルの量産などに取り組んでいて、来年から5年間で最大9500億円の特別予算を編成するための法案を立法院に提出しています。
  この法案の説明資料では、中国が原子力潜水艦やミサイル駆逐艦を次々と配備しているなどと指摘したうえで「2025年以降、中国が台湾海峡周辺を封鎖する能力が日増しに整う」として、警戒を強めています。
蔡英文総統「中国に自制するよう警告する」
  蔡英文総統は6日、みずからがトップを務める与党・民進党のオンライン会議に出席した際、台湾が設定する防空識別圏への中国軍機の進入が急増していることに言及しました。
  蔡総統は一連の進入が「国際社会共通の関心事項になっている」としたうえで「中国のやり方は地域の平和と安定を著しく破壊している。不測の事態を避けるため、自制するよう警告する」と述べました。


2021.10.05-Yahoo!Japanニュース(中央日報)-https://news.yahoo.co.jp/articles/40ab65fa84c1c62d8c03a784d984ec370d707cb8
台湾防空識別圏を3日連続侵犯の中国軍用機に…米国「誤った判断を招く危険」警告

  中国が3日連続で100機近い軍用機を送って台湾防空識別圏(ADIZ)を侵犯した中、バイデン米政権が3日(現地時間)、中国の挑発を糾弾し、台湾を支持するという立場を明らかにした。また、両岸間の軍事的緊張が高まる状況で「誤った判断を招く危険」を警告した。
  米国務省はプライス報道官の声明で「米国は中国が台湾近隣で続けている挑発的な軍事行動を深く憂慮する」とし「これは誤った判断を招く危険があり、地域内の平和と安定を阻害する」と述べた。続いて「北京が台湾に対する軍事的、外交的、経済的圧力を中断することを求める」とした。
   米国務省が「誤った判断を招く危険がある」と警告したのは、両岸間の軍事的緊張が一触即発の危機に向かう状況を想定したものとみられる。中国が挑発を強行し、台湾が緊急対応出撃をして緊張が高まる過程で、どちらか一方が誤認すれば軍事的衝突につながることもあるという憂慮だ。
  米軍首脳部は最近、議会公聴会の証言などで、中国が台湾を侵略する可能性もあるという懸念を公開的に表した。その時点と性格については意見が分かれるが、中国が挑発を敢行することもあるという点には共感がある。
  中国は1日、国慶節(1949年10月1日の中華人民共和国建国日)を迎えて、一日で最多となる38機の軍用機で台湾ADIZを侵犯し、武力示威をした。核兵器搭載が可能なH-6爆撃機も含まれたと、ロイター通信は伝えた。これまでは6月15日に計28機の中国軍軍用機が台湾ADIZに進入したのが最大規模だった。
  翌日の2日は軍用機39機が台湾ADIZに入って前日の記録を更新し、日曜日の3日は少なくとも16機が出撃したと、英ガーディアンは伝えた。3日間で計93機の中国軍軍用機が台湾ADIZを侵犯したのだ。過去2年間に中国は軍用機の台湾ADIZ無断進入回数を増やし、最近はほぼ毎日、大規模な出撃をしている。
  今回は米国・英国・オーストラリアが中国を狙った新たな軍事同盟AUKUS(オーカス)を創設し、原子力潜水艦技術をオーストラリアに伝授することに抗議する意味も込められたという分析がある。ADIZは領空でないが、外国の軍用機が事前通報なく進入する場合は軍事挑発と見なすことができる区域。

   プライス報道官は「我々は台湾海峡の平和と安定に持続的な関心を持っている」とし「台湾が十分な自衛能力を維持できるよう支援する」と台湾に対する支持を約束した。続いて「台湾に対する米国の約束は確固としていて、台湾海峡と域内での平和と安定を維持するのに寄与している」と強調し「我々は共同の繁栄、安全保障と価値を増進し、民主的な台湾と関係を深めるために友邦および同盟と共にする」と述べた。


2021.10.02-日本経済新聞-https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGM023P40S1A001C2000000/
中国軍機、台湾防空圏に39機侵入 2日連続で最多更新

  【台北=中村裕】台湾の国防部(国防省)は2日、中国の戦闘機など過去最多の39機が防空識別圏(ADIZ)に大量侵入したと発表した。1日にも38機が侵入しており、2日連続で過去最多を更新する大量侵入となった。中国は現在、建国72年を祝う国慶節の大型連休中。祖国統一を目指す中国が、抵抗する台湾に軍事力を誇示する狙いがあるとみられる。

  中国軍の戦闘機「殲16」26機、同「スホイ30」10機など合計39機が、台湾の南西空域のADIZに侵入し、威嚇行為を続けた。10月1日、2日の合計では77機の侵入となり、過去にはない突出した数となる。
  連日に渡る大量侵入の中国側の詳細な意図は不明だ。ただ、台湾の呉釗燮・外交部長(外相)は2日、1日に38機の中国軍機が台湾のADIZに侵入したことを受け、ツイッターに「10月1日は本当に良くない日だった。中国軍はもはや(台湾に対し)何の言い訳もしなくなっている」と投稿した。
  これまで、中国軍機が台湾のADIZに侵入する際は、台湾や台湾を支持する米国などに対し、なんらかの反発理由が中国側にあった。最近では9月23日、台湾が環太平洋経済連携協定(TPP)加盟に向け、申請手続きを行ったと発表し、中国がこれに強く反発した。そのため中国は同日、大量24機を台湾のADIZに侵入させた。
  こうした動きに対し、呉部長は、30機を超える最近の大量侵入には特段の理由は見当たらず、中国はもはや何の理由がなくても、台湾のADIZに大量侵入し、軍事的圧力をかけるのが常態化してきたと分析し、批判した。


2021.09.09-中台の軍事バランス-松田 康博-http://jats.gr.jp/journal/pdf/gakkaiho007_05.PDF
中台の軍事バランス ―中台の安全保障戦略に与える影響―
松田 康博

要約問題の所在 ・・・・・

第1節 中台軍事バランスを検討する前提 第2節 中台戦争の態様 第3節 台湾海峡戦争の態様―緒戦段階― 第4節 台湾海峡戦争の態様―占領段階― 第5節 米国による介入の意味 結語

(要約)
  中台の軍事バランスは具体的な想定の下で計られるべきであり、それは中国が台湾を軍事的に占領し、 長期間固守することが可能であるかどうかである。こうした基準で両者の軍事力を計測すると、中国 が台湾を軍事的に占領し、長期間固守する能力は、特に米国が介入するリスクと、中国の武力行使が 失敗に終わった場合の多大なコストを考えると、基本的にはいまだに台湾に有利であると判断するこ とができる。

  このため、中国は武力行使や武力の威嚇を可能な限り避け、対米関係を改善して近代化 に邁進し、総合国力を増強して、将来的に台湾を屈服させる道を取ろうとするであろう。台湾は逆に、 中国が経済・軍事大国化するのを待たず、自らが優位にあるできるだけ早い時期に事実上の「台湾独 立」を完成させようとするであろう。このため、中台間では戦争が起こる可能性こそ低いものの、今 後中台関係は不安定化し、戦争の危険性を投影したものになるであろう。

問題の所在
  台湾では、2000 年に独立派の陳水扁政権が成立し、2004 年に陳水扁総統は再選された。強まる 台湾アイデンティティの趨勢に鑑みると、このことは、台湾から「1つの中国」を標榜する政権 が消滅し、しかもおそらく二度と復活しない可能性が増大したことを示唆している。
  他方中国に とってこのことは 1996 年以来3度の総統選挙を通じて、武力の威嚇をかけても、武力の威嚇を抑 制しても、自らが好まない台湾の政治的変化を阻止することができなったことを意味する。

  この ことは、従来威嚇により台湾独立を「抑止」する手段としてとらえられていた中国の武力が、将来現実に台湾独立傾向に対応するために「使用」する手段になる可能性を示唆している 。
  しかし、中台の軍事バランスがどのような状態にあるのかという客観的判断を抜きにして、中国が現実に武力を行使することは考えにくい。一般に、中国は「祖国統一の能力」すなわち台湾侵攻能力を誇示することが多いが、他方米国や台湾では中国の台湾侵攻能力を低く見積もる声と台湾の防衛能力不足を懸念する声が交錯している。
  また、米国防省の議会への報告書などは、兵力や装備を中心とした中台の軍事バランスを公表しており、他方で一部の軍事研究者は、中台間の戦争を一種のウォー・ゲームに見立ててシミュレーションをしている。
  本稿では、こうした既存の純軍事的観点からなされた軍事バランス論や、どちらが有利であるかを判定するウォー・ゲームとは異なり、中台間の軍事関係の構造的な特徴、戦争の想定、およ び米国が介入するコストを具体的に検討することを通じて、中台の軍事バランスをどのように計ったらよいかを明らかにし、同時に、こうした作業を通じて、中国および台湾の双方がどのよう なリスクおよびコストの計算に基づき、相手に対する政策を含む安全保障戦略を打ち出す可能性 が高いかを明らかにしたい。
  ただし、軍事情報には秘密や情報操作が多く、公開情報を利用して 行う研究には一定の制約があり、したがって本稿のような研究には、中国自身の公表している情報よりも、むしろある程度米国等第三者の得ている情報に頼らざるを得ない

・・・・・・・・・・以下HPの内容による


2021.08.28-Exciteニュース(Record China)-https://www.excite.co.jp/news/article/Recordchina_881592/
日台与党が「2プラス2」で対中問題で連携を確認、中国反発

  自民党の佐藤正久外交部会長と大塚拓国防部会長は27日、台湾与党の民主進歩党(民進党)に所属する羅致政、蔡適応両立法委員(議員)とオンライン方式による「2プラス2」の対話を行った。双方は中国への対応を議論し、外交・外交安全保障分野で緊密に連帯することを確認したという。なお羅致政委員は民進党の国際事務部(国際問題部)の主任、蔡適応委員は元軍人で政界に転身後も国防関連の仕事を手掛けている。

  中国外交部(中国外務省)の趙立堅報道官は28日の定例記者会見で、同件について「台湾は中国領土の不可分の一部分だ。中国は(わが国と)国交を結んだ国が台湾と、いかなる形式であれ公式の交流をすることには、断固として反対する」と述べ、中国は日本に厳重に抗議したことを明らかにした。

  趙報道官はさらに、台湾問題は日中両国の政治における基礎と主張した上で「日本は台湾問題について、中国国民に対する歴史上の罪を犯した責任を負っている。(日本は)言動を特に慎むべきだ」、「われわれは日本側に、中国への内政干渉を停止するよう厳粛に要求する。『台湾独立』勢力に間違ったシグナルを発してはならない」と述べた。

  ドイツ・メディアのドイチェ・ベレ(中国語ネット版)も同日付で日台の「2プラス2」を取り上げる記事を発表した。同記事は長く日本に住み、現在は仙台女子大学の専任講師を務める政治学者のマスロー・セバスティアン氏の同問題についての見方を紹介した。
  セバスティアン氏は日中関係について、「日本は中国と貿易パートナーとして密接な関係にあり、長期にわたり(中国との)良好な関係に頼ってきた」と指摘。ただし、台湾周辺が緊張状態になった場合、日本にとって極めて重要な海上輸送ラインに危機が及ぶ場合があるので、日本は台湾および中国や米国とも緊密な関係があることを利用して、危機を緩和する動きに出るとの見方を示した。
  セバスティアン氏は日本の政界で台湾問題に対しての関心がこれまで以上に高まっていることについて、自民党内の権力の動向にも関係するとの見方を示し、自民党では現在、対中政策におけるタカ派が強い影響力を持っていると指摘。ただし「この秋に、日本では衆議院選挙の後に新たな内閣が発足する。その時になって、日本の台湾政策の調整が持続可能であるかどうかが分かる」と指摘した。(翻訳・編集/如月隼人)


2021.08.22-SankeiBiz-https://www.sankeibiz.jp/macro/news/210822/mca2108220836004-n1.htm
日台閣僚級接触を模索 五輪直前、タン氏来日中止で実現せず

  政府の一部閣僚と東京五輪に合わせて来日予定だった台湾のIT担当閣僚、唐鳳(英語名、オードリー・タン)氏との非公式の接触が調整されていたことが21日、分かった。複数の政府関係者が明らかにした。日台関係は「非政府間の実務関係」と位置付けられており、閣僚級協議が実現していれば異例の対応だ。最終的に唐氏の来日は台湾側の判断で中止となり、閣僚級協議は実現しなかった。

  台湾の蔡英文政権は7月10日、東京五輪の開会式に「政府代表」として唐氏を派遣すると発表台湾は五輪の度にスポーツを担当する教育部長(文部科学相に相当)を派遣していたが、日本で知名度の高い唐氏を派遣することで日台関係の強化につなげる意図があったとみられる。

  これに対し、日華議員懇談会(日華懇、会長・古屋圭司元拉致問題担当相)が窓口となり、政府高官と唐氏の非公式な面会を調整。候補には平井卓也デジタル改革担当相らの名前が挙がっていた。
  唐氏側からも複数の面会希望があり、自民党の甘利明税調会長への面会希望もあった。甘利氏は経済安全保障の観点から半導体産業振興策を検討する議連の会長を務めており、半導体産業の提携強化を見据えた関係を構築する狙いもあったもようだ。

  ただ、国際オリンピック委員会(IOC)が新型コロナウイルス感染防止のため、開会式への出席は選手と各国首脳、IOC幹部らに制限すると決めたのを受け、結果的に台湾側は唐氏の来日中止を決めた。唐氏の来日が実現していても五輪関係者の枠で入国するため、感染症対策で五輪関係者と住民の接触を絶つ「バブル」方式の対象となれば、面会が困難だった可能性もある。

  日本政府は昭和47年の日中国交正常化以降、台湾との間に正式な外交関係がない。このため、加藤勝信官房長官は7月12日の記者会見で、「日本と台湾との関係は非政府間の実務関係として維持する。今後ともその立場で対応する」として、唐氏と政府高官の面会の予定はないと説明していた。


2021.08.05-産経新聞-https://www.sankei.com/article/20210805-AZLEOHPVFVPKXE4DOKBGKUS6TM/
米、台湾に自走榴弾砲40両を売却へ

  【ワシントン=黒瀬悦成】米国務省は4日、米政府台湾に対して155ミリ自走榴弾砲「M109A6」40両や支援車両など計約7億5千万ドル(約820億円)相当を売却することを承認し、議会に通知したと発表した。
  バイデン政権が1月に発足して以降、台湾への武器売却が承認されるのは初めて台湾への積極的な武器支援を通じて中国を牽制(けんせい)したトランプ前政権の路線をバイデン政権も継承する姿勢を明確に打ち出した。

  売却案には、1700発分の155ミリ榴弾をGPS精密誘導弾に改良させるキットも含まれ、中国軍部隊の上陸侵攻を想定した制圧能力の向上も図られた。
  米議会では、中国からの軍事的圧力にさらされる台湾を支援する立場が超党派で共有されており、今回の武器売却案は特に問題なく認められる見通しだ。
  国務省は声明で、今回の武器売却の承認で「米国の経済、安全保障上の利益に資する」と指摘する一方、「(台湾の)安全を強化し、地域の政治的安定と軍事的均衡の維持に貢献する」と強調した。
  米国は台湾関係法に基づき、台湾が自衛のために必要とする武器の供与や防衛支援を約束している。


2021.08.04-産経新聞-https://www.sankei.com/article/20210804-WLWVFXLMZNONJKAXYUAW5MKRJI/
台湾・外交部長の記事を削除 クウェート英字紙、中国が圧力

  【台北=矢板明夫】クウェートの英字紙「アラブ・タイムズ」が4日までに掲載した台湾の呉釗燮外交部長(外相に相当)の北東アジア情勢についてのインタビュー記事が、中国側の圧力で電子版から削除されたことが明らかになった。台湾当局は不当な言論弾圧だ」との抗議声明を発表した。

  呉氏は7月28日にオンラインでインタビューに応じ、その全文は1日付の同紙で2ページにわたって掲載された。呉氏は、中国軍機による台湾周辺での継続的な演習に懸念を表明し、中国による一連の挑発行為について「インド太平洋地域の平和と秩序に対する挑戦だ」などと批判した。

  台湾紙、自由時報などによると、この報道を見た在クウェート中国大使館は激怒し、ただちに「アラブ・タイムズ」に圧力をかけた。4日までに電子版からインタビュー記事を削除させ、代わりに「台湾は中国の一部だ」とする中国の声明文を掲載させたこの声明文で中国側は呉氏を「頑固な台湾独立分離主義者」と批判した。中国は近年、巨大経済圏構想「一帯一路」を通じて中東への投資を拡大しており、クウェートに対する影響力が強まっているとされる。

  呉氏のインタビュー記事が削除されたことを受け、台湾の欧江安・外交部報道官は「台湾による国際社会への発信を阻止する中国の横暴なやり方が、台湾人民に嫌悪感を抱かせる」とのコメントを発表した。


2021.07.29-産経新聞-https://www.sankei.com/article/20210729-4Q7KKIRXRRJ7JANM7DFXXBKVAQ/
台湾でLINEハッキング 政府要人ら100人超

  台湾で29日までに、無料通話アプリLINE(ライン)の政府要人ら100人以上のアカウントがハッキング攻撃に遭ったLINEの台湾法人は総統府や安全部門などに報告、捜査当局は捜査すると表明した。地元メディアなどが報じた。
  被害に遭ったのは政府要人のほか軍関係者、与野党幹部ら。LINEは先週、ハッキング被害に気付いたという。犯人は攻撃にスパイウエア「ペガサス」を使ったとみられる。
  LINEは28日、「異常を感知した後、直ちにユーザーを保護する措置を講じた。今回の事件に対して必要な対応を取る」との声明を出した。
  報道によると、政府関係者が重要情報を会員制交流サイト(SNS)でやりとりすることはないが、政府は改めてハッキング攻撃に警戒するよう徹底を図る方針だ。(共同)


2021.07.20-産経新聞-https://www.sankei.com/article/20210720-IFQ3IIT7YBLTTAM3RN54VFZOQY/
台湾、リトアニアに代表処設置 中国の人権侵害で接近

  【台北=矢板明夫】台湾の呉釗燮(ご・しょうしょう)外交部長(外相に相当)は20日、外交関係のないバルト三国のリトアニアに台湾代表処(大使館に相当)を設置すると発表した。外交部によると、台湾が欧州で代表処を設置するのは2003年のスロバキア以来18年ぶり。台湾は今後、欧州との結びつきを強めることは確実で、中国の反発も予想される。

  1990年、民主化運動を通じて旧ソ連からの独立を宣言したリトアニアは、人権問題を最重視する立場で知られる。近年、新疆(しんきょう)ウイグル自治区や香港などにおける人権迫害をめぐり中国を批判するトーンを強めており、今年5月には欧州の対中協力の枠組みから離脱した。
  リトアニアはその一方で、台湾との関係を強化している。新型コロナウイルス禍が欧州を直撃した昨年4月、台湾がリトアニアにマスク10万枚を寄贈したのに対し、今年6月には同国が台湾に対するワクチン2万回分の支援を発表した。
  リトアニア側も近く台湾で代表機関を設置する計画があるという。

  昨年夏、東欧チェコのビストルチル上院議長が中国の反対を押し切って台湾を訪問したこともあり、中国は旧共産圏の欧州諸国と台湾の接近を警戒している。台湾メディアによれば、中国はすでに外交ルートを通じて、リトアニアに「台湾と距離を置くよう」圧力をかけているという。


2021.07.01-日本経済新聞-https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGM015RW0R00C21A7000000/
台湾、中国・習氏発言「統一は歴史的任務」に強く反発

  【台北=中村裕】台湾当局は1日、中国共産党創立100年の記念式典で、習近平(シー・ジンピン)総書記(国家主席)が「台湾統一は歴史的任務だ」と、演説したことに強い不満を表明した。「中国は一党独裁体制のもと民主主義を抑圧し、人権と自由を侵害してきた。現実を直視し、台湾の民意を尊重すべきだ」などと反論した。

 台湾の当局である、対中国政策を所管する大陸委員会が、習氏の演説直後に声明を発表した。
  声明では「民主主義、自由、人権は台湾の核心的な価値である。権威主義的な(中国の)政権とは、制度的に大きな違いがある」と指摘した。
 その上で、中国大陸と台湾は一つの国に属するという「一つの中国」論は中国の一方的なものだとし、台湾の2300万人には受け入れられないと強調した。

  習氏は1日午前、党創立100年の記念式典で「台湾問題を解決し、祖国の完全統一を実現することは共産党の歴史的任務だ」と述べた。
  一方、1949年に中国国内の国共内戦」で中国共産党との戦いで敗北し、台湾へ移った国民党も1日、声明を発表した。「中国共産党創立100年を迎えた今、両党は自らの歴史に正直に向き合う必要がある。対立はいまだに続いている」とした。さらに「残念ながら、この5年間で台湾海峡の平和と安定は急速に崩壊した。台中関係の進展は、民主主義を犠牲にすることで成り立つものではない。互いの違いを理解しながら、未来への道を開くべきだ」と主張した。

  台湾人の中国に対する意識は、悪化している。台湾民間シンクタンク大手の台湾民意基金会は1日、中国共産党に対する最新の世論調査結果を公表したが、共産党に対し肯定的な感情を持つ台湾人は、わずか10%にとどまった。
  台北市在住の40代の台湾人男性は「中国のミサイルは台湾に向けられており、軍用機も頻繁に台湾周辺を周回している。良い感情は持てない」と話す。
  桃園市在住の50代女性は「台湾と中国は違う。中国に統一されたくはない」と話したほか、「共産党はあらゆる手段で人民を監視しようとする。その姿勢が嫌いだ」(新北市在住、40代男性)
などの意見が出ている。


2021.06.30-産経新聞-https://www.sankei.com/article/20210630-35CEW5YNCRPI5G5S7NY47A7XCY/
台湾、共産党100年行事を警戒、親中派招待 ワクチン接種で揺さぶり
(1)
  【台北=矢板明夫】台湾の蔡英文政権が中国共産党創建100年の関連イベント台湾の親中派政治家らが招待され、中国の新型コロナウイルスワクチンを接種することに警戒を強めている。台湾がワクチン確保に遅れる中で、要人らへのワクチンの提供は中国による「新たな統一攻勢」の一環として利用されかねないとみるためだ。

  台湾・立法院(国会に相当)の与党、民主進歩党議員団幹事長の劉世芳氏らは6月29日に記者会見し、「中国側のイベント招待リストに野党の元主席ら要人が含まれている」可能性を指摘した上で、要人らが中国共産党の関連行事に参加し、中国製ワクチンを接種することを警戒した。

  蔡政権は中国製ワクチンの受け入れに慎重姿勢だ。中国側のイベント参加にはワクチン接種が必要とされることから、劉氏らは中国側のイベント招待は「中国の台湾に対する浸透作戦の一環であり、落とし穴に落ちないようにしてもらいたい」と訴えた。
  最大野党、中国国民党の元主席、洪秀柱氏は先立つ28日、「イベントに出席するために(中国)大陸に来ており、今は検疫のための隔離中」とフェイスブックに書き込んだ。「これから中国製ワクチンを接種する」と明かし、「大陸製品の品質を信用している」とも強調した。

  中国メディアによれば、台湾の中国寄りのミニ政党「新党」の元主席、郁慕明(いくぼめい)氏も中国側に渡航中。郁氏はすでに6月中旬に中国製ワクチンを接種済みで、これまでに著名な歌手の蕭敬騰(しょうけいとう)氏や黄安氏も接種しているという。中国としては著名人らへの接種実績をアピールし、ワクチン不足にあえぐ台湾社会に揺さぶりをかける狙いとみられる。
(2)
  民進党関係者は中国側の動きに対し、「日本や米国から送ってもらったワクチンで、7月と8月は何とか乗り切れそうだ。中国の作戦に振り回されることなく、引き続きワクチン確保に努力する」と話した。
  中台関係が良好だった2010年ごろは、当時、台湾の与党だった国民党と中国共産党が双方の重大イベントに互いに祝電を送りあうことがあった。しかし最近は、中国による台湾への圧力強化で台湾市民の間で反中感情が高まっており、共産党創建100年では民進党も国民党も公式に祝電を送る予定はないという。


2021.06.05-DIAMONDO ON LINE-https://diamond.jp/articles/-/273212
台湾のワクチンを巡る「強烈な危機感」、輸出まで視野の国家戦略に日本は学ぶべき

日本政府は6月4日、英アストラゼネカの新型コロナウイルスワクチン約120万回分を台湾に提供した。台湾では新型コロナが感染拡大中で、日本側は「過去の災害支援へのお礼」と位置づける。だが、「台湾を助けた」と 悦に入っている場合ではない。刮目(かつもく)すべきは、ワクチンを巡る台湾の強烈な危機感と戦略性だ。7月には国産ワクチンを量産へ。それを使った長期戦略も描いている。日本が学ぶべき台湾のワクチン戦略を、台北市在住の早川友久氏(故・李登輝元台湾総統秘書)に寄稿してもらった。

中国の妨害が度重なったが  国産ワクチンは間もなく量産へ
  台湾にとってワクチンを確保する道は大きく分けて二つある。
  ひとつは、欧米のワクチン開発企業との折衝を通し購入することだ。ただ、諸外国を相手にするこの道は、蔡英文総統が「独ビオンテック(米ファイザーのワクチン共同開発相手)との契約寸前に、中国の介入があった」と明らかにしたように、例外なく中国の妨害に遭っている。中国は台湾が、あたかも独立した国家として他国と交渉することは許容できないからだ。
  また、中国が自国製のワクチンを台湾に寄贈するとの発言には、衛生福利部(日本の厚生労働省に相当)の陳時中部長が「中国が打っているものは怖くて使えない」と一蹴するなど、応酬が続いている。

  こういった中、日本からワクチン提供を受けることは、台湾でも大きく報じられている。これはワクチン確保が台湾にとっていかにホットイシューかを物語る。そこでにわかに注目が集まるのがもうひとつの道、すなわち「自国でのワクチン生産」である。

  台湾では今、複数の企業が国産ワクチンを開発中だ。早期に開発を始めたのが高瑞疫苗生物製剤、聯亜生技開発、国光生物科技の3社。やや遅れたのが国光生物科技の子会社の安特羅生技で、最後発は昨年8月に開発参入を表明した、半導体メーカーのパワーチップグループ傘下の智合精準医学科技である。これらのうち、7月から供給開始が見込まれるのが高端疫苗と聯亜生技の2社だ。

  台湾政府は国産ワクチンの製造を奨励するために135 億元(約518億円)の予算を組んでおり、規定に合い臨床進度が予定どおり進んだ企業には、最高で5億元の補助金を出すという。例えば昨年10月には衛生福利部疾病管制署が高端疫苗に4.7億元の補助金を提供することを決めている。
  驚かされるのは、開発着手時期だ。高瑞疫苗と聯亜生技、国光生技の3社は新型コロナの脅威がささやかれ始めたばかりの昨年1月頃にはすでに着手していたという


2021.05.05-NHK NEWS WEB-https://www3.nhk.or.jp/news/html/20210605/k10013068911000.html
台湾 ワクチンに感謝のメッセージ 高層ビルの壁面に

  台湾で最も高いビル「台北101」の壁面に4日夜、日本政府からワクチンが無償で提供されたことへの感謝の気持ちを表すメッセージがともされました。
  「台北101」の壁面には4日夜、現地で使われている漢字で協力して感染の広がりを抑えよう」とか、日本語で「台日の絆と感謝」など、日本への謝意を示したり、日本と台湾の友好関係を評価したりする合わせて5種類のメッセージがともされました。

  台湾では先月中旬から新型コロナウイルスの感染が急拡大していますが、ワクチンの調達が難航しています。
  4日、日本政府からアストラゼネカのワクチン124万回分が無償で提供され、地元メディアは「東日本大震災の際に台湾から受けた支援への恩返しの意味も込められている」などと伝えたことから、台湾の人たちの間に大きな反響を呼んでいます。
  20代の男性は「知らせを聞いて、すばらしいことだと思いました。勇気をもらいました」と話し、30代の女性は「とてもありがたいです。父も母も65歳以上なので、早くワクチンを打てればいいと思います。日本から届いたワクチンは、とても助けになります」と話していました。


2021.05.17-au webポータルweb(産経ニュース)-https://article.auone.jp/detail/1/4/8/207_8_r_20210517_1621251252323827
台湾で深刻水不足と電力供給に懸念 半導体生産に影響も

  【台北=矢板明夫】台湾が56年ぶりの干魃(かんばつ)で深刻な水不足に陥っている。台湾は「世界の半導体生産基地」といわれるが、半導体生産には大量の水が必要だ。13日には発電所の事故で大規模停電が発生し、電力供給の不安も改めて浮上。水と電力が不足すれば半導体生産に支障を来す可能性があり、関係者は危機感を募らせている。

  台湾では昨年、台風が一度も上陸せず、今年に入っても降雨が少なかった。このため、各地のダムは貯水率が大幅に低下。当局は3月、6年ぶりに非常警報を発令し、中部・台中市などでは週2日間の計画断水が続いている。農業への影響は深刻で、各地の宗教施設では雨乞いの儀式が相次ぐ。台中では、盧秀燕(ろ・しゅうえん)市長が2時間以上ひざまずいて道教の女神「媽祖」に祈願する姿がテレビで放映され、話題を集めた。

  蔡英文総統は今月3日、北部の主要水源の石門ダム(桃園市)を視察し、新たな水源の開発とダムに堆積した土砂の排出を求めた。報道によると、17日現在の貯水率は石門ダムが約13%、中部の鯉魚潭ダム約3%、南部の曽文ダム約6%と、いずれも「極めて危険な水準」にまで減っている。

  台湾には、半導体の受託生産の世界最大手、台湾積体電路製造(TSMC)など多くの半導体工場があり、その製品は各国のハイテク産業を支えている。半導体生産には大量の水が必要なため各企業は現在、廃水の再利用や地下水の汲み上げなどで対応している。梅雨でも水不足が改善されなければ、半導体の減産や価格上昇につながる可能性もあるという。
  一方、南部・高雄市の火力発電所が13日午後、変電設備の故障で停止。本島全域で計画停電が実施され、混乱は約5時間に及んだ。半導体工場が入居する工業団地は対象から外れたが、停電で製造設備が急停止すれば甚大な損害を被る可能性もあった。
  台湾では2017年8月にも、火力発電所への燃料供給ミスが原因で本島全域で停電する事故があった。蔡政権は25年の脱原発を目指しており、「原発が止まれば、台湾は慢性的な電力不足に陥ると懸念する声は根強い。南台科技大准教授で経済評論家の朱岳中氏は「水と電力の安定供給は半導体製造の命なのに、当局は重視してこなかった。その場しのぎではなく、しっかりした対策を取ってほしい」と話している。
 05/17  産経新聞


2021.05.08-Yahoo!Japanニュース(産経新聞)-https://news.yahoo.co.jp/articles/9a21fa306b6b2671497bd924a9aace567579c492
日本人技師、八田與一たたえ 台湾がダム着工100年式典 蔡総統らトップ3が出席

  【台南(台湾南部)=矢板明夫日本人技師、八田與一(は【台南(台湾南部)=矢板明夫】日本人技師、八田與一(はった・よいち)戦前、台湾で建設した烏山頭(うさんとう)ダムの着工100年を祝う式典が8日、台南市の八田與一記念公園で行われた。関連イベントも含め、蔡英文総統、頼清徳副総統、蘇貞昌行政院長(首相に相当)が出席した。

   外国が関わる歴史イベントで、台湾政治トップ3人の参列は極めて異例だ

   先月16日の日米首脳会談や、今月5日に閉幕した先進7カ国(G7)外相会議で、菅義偉首相、茂木敏充外相が相次ぎ「台湾海峡の平和と安定」を重視する姿勢を明確にした。台湾も対日関係を強化する意思を改めてアピールした形だ。

   蔡氏は「100年前に烏山頭ダムを作った八田與一の先見の明、勇気と実行力を学び、台湾と日本は新型コロナウイルス対策や気候変動問題などで協力関係を緊密にし、100年後の子孫に良い環境を残せるよう努力したい」と述べた。

   安倍晋三前首相もビデオメッセージを寄せて、「真の友人だけがつくる深い交わりをこの先もずっと、世代を継いで大事にしていきましょう」と強調した。
   1920年着工の烏山頭ダム記念式典は昨年9月に予定されていたが、八田與一の79年目の命日にあたる8日に延期された。台湾側から約500人が出席したが、日本側関係者は八田與一の故郷、金沢市からテレビ会議方式で参加した。
   烏山頭ダムにある八田與一像前で行われた慰霊祭では、頼氏が「八田與一の台湾への貢献に感謝する」とあいさつし、献花した。

   ■八田與一(はった・よいち) 東京帝大を卒業後、日本統治時代の台湾総督府で技師となり、1920年から当時最大の水利事業、烏山頭ダムを約10年かけて建設した。農業用水路も整備し、不毛だった南部の嘉南(かなん)平野を穀倉地帯に変えた。農民に感謝され、戦後は台湾の教科書などにも取り上げられた。台湾で最も尊敬される日本人の一人として知られる。石川県生まれ。戦時中の42年5月8日に、56歳で死去した。


2021.05.04-産経新聞 THE SANKEI NEWS -https://www.sankei.com/world/news/210504/wor2105040020-n1.html
台湾の蔡総統「中国が台湾と周辺の脅威に」 高まる日本への期待

【台北=矢板明夫】台湾の蔡英文総統は4月30日、自身のフェイスブックで「中国の軍事拡張が台湾と周辺地域にとって脅威になっている」と指摘した上で、「私たちはさまざまなリスクを管理し、必ず台湾の安全を守る」と強調した。英誌エコノミスト(電子版)が軍事的緊張の中にある台湾について「地球上で最も危険な場所」と指摘したことへの反応だった。

  中国軍機や艦船が最近、台湾海峡の周辺で挑発行為を繰り返し、国際社会で台湾海峡情勢への関心が高まっている。これについて、台湾の軍事評論家、呉明杰(ご・めいけつ)氏は「台湾が海峡を挟んで中国と軍事的に対立する歴史は70年を超え、何度も台湾海峡危機を乗り越えてきた」と指摘。「国際情勢の変化があっても、台湾軍としてはこれまでと変わらず緊張感を持って対応するしかない」と話した。
  菅義偉(すが・よしひで)首相とバイデン米大統領が4月16日、日米首脳会談で発表した共同声明に「台湾海峡の平和と安定」が明記されたことで、台湾防衛に対する日本の役割への期待も高まっている。
  台湾空軍の元副司令官、張延廷氏は産経新聞の取材に「大変ありがたいことだ」とした上で「口頭だけではなく、具体的な行動もみせてほしい」と述べた。張氏は、日米が台湾軍と合同で訓練を実施することや、元自衛官が中心となっている日台間の軍事交流を現役の自衛官に変えることを提案。「現場同士で信頼関係があれば、いざというとき、より緊密な協力体制を構築できる」と話した。


2021.04.28-mns news-https://www.msn.com/ja-jp/news/world/
中国への人材流出阻止に本腰 台湾立法院で法案審議

  【台北=矢板明夫】台湾の人材と技術の「中国流出」を阻止するための法律改正案が28日、台湾の立法院(国会に相当)で審議入りした。与党、民主進歩党の議員グループが提出したもので、中国企業が台湾で人材を募集する際の規制と監視を強化、台湾企業の技術を窃取した個人への罰則を「10年以下の懲役」から「無期懲役」に引き上げるなどの内容が盛り込まれている。中台対立が深まる中、蔡英文政権は経済面における中国との“切り離し”を一層本格化させた形だ。

  今回の法改正は、人材流出を通じた技術移転の阻止などに重点が置かれている。近年の米中対立に伴い、米国の主導で中国のハイテク産業を国際市場から締め出す動きが加速し、中国企業と技術提携する欧米企業も減少している。こうした動きに対抗するため、中国側は、台湾の半導体メーカーなどから技術者をひそかにヘッドハンティングし、最先端の技術を手に入れようと画策している。
  米主導の対中包囲網が構築される中、台湾がその“抜け穴”になりかねないと、台湾の関係者が懸念を強めたことが、今回の法改正の背景にあるようだ。

  中国企業が台湾で支社などを設置し、または人材募集の広告を出すことは、既存の両岸人民関係条例などによってすでに規制されている。しかし、中国企業は法の網をかいくぐって、台湾の人材派遣会社や台湾人の名前を借りて違法に設置した子会社、外国人名義で買収した台湾企業などを通じて台湾の人材を雇用しているという。
  中国企業の強みは高報酬だ。関係者によれば、台湾のシリコンバレーといわれる北西部・新竹市の科学工業園区で働く40代の中堅エンジニアの年収は約150万台湾元(約585万円)だが、中国の広東省などに行けば、その2・5倍から4倍がもらえるという。家具付き住宅も用意されるなど、福利厚生面も充実しており、家族と一緒に中国に渡る人は後を絶たないという。

  台湾の司法当局は3月、新北市の2つの半導体関係会社を強制捜査した。台湾誌「商業週刊」などによると、台湾企業として登録されているこの2社は、人材獲得を目的にした中国企業の子会社が実態のようで、これまでに約3年間、数百人の半導体エンジニアを台湾から中国企業にヘッドハンティングした疑いが持たれている。


2021.04.15-日本経済新聞-https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGM14DPA0U1A410C2000000/
台湾・蔡総統、米台関係強化をアピール 代表団と会談

  【台北=中村裕】台湾の蔡英文(ツァイ・インウェン)総統は15日、総統府でアーミテージ元国務副長官ら米代表団と会談した。蔡氏は会談でバイデン政権発足後、初の米国からの(要人の)訪問団で、台米関係は着実に発展を続けている」と語った。中国から統一圧力が強まるなか、米台で一段の関係強化を進める考えも強調した。

 今回の訪問の目的について、代表団のドッド元上院議員は「バイデン大統領から要請を受け、米国が党派を超え、台湾との協力を深化させるために訪問した」と述べた。
 アーミテージ氏は会談でまず、これまでの米台関係を振り返り「かつての米政権の台湾支持の中には、中国への一定の配慮があったことも、私は隠しはしない」と語った。その上で「(これまでの政権とは異なり)バイデン政権は単純明快に台湾を強く支持しており、だから我々は台湾に来た」と強調した。
 今回の米側の訪台の狙いには、台湾との関係強化のほか、台湾周辺で軍事活動を活発化する中国へのけん制もある。ただ訪問は非公式の形を取り、トランプ前政権で相次いだ現役高官の派遣ではないところに中国への一定の配慮もうかがえた。
 一方で代表団は、18年と19年に台湾を訪問し、蔡氏との会談経験も多いアーミテージ氏のほか、米国が1979年の断交直後に台湾支援を定めた「台湾関係法」の成立に尽力したドッド氏など台湾通で固めた。

 こうした動きに中国もけん制姿勢をみせる。中国海事局は14日、台湾海峡の南部に当たる広東省沖の海域で15日から20日まで実弾射撃訓練を行うと発表した。16日には日米首脳会談が予定される。中国大陸と台湾を隔てる台湾海峡についても議論される見通しで、周辺では緊張状態が続く


2021.04.10-フオーカス台湾-https://japan.cna.com.tw/news/apol/202104100001.aspx
米、台湾との接触制限を大幅に緩和 外交部「相互関係の新ページ」と歓迎

  (ワシントン、台北中央社)米国務省が、米国と台湾の政府間交流に設けていた自主規制を緩和する新たな指針を策定したのを受け、総統府の張惇涵(ちょうじゅんかん)報道官は10日、喜ばしいことだと歓迎し、台米間の交流がより緊密になることに期待を示した。

  外交部(外務省)も同日、歓迎のコメントを発表。断交後の台湾との関係のあり方を定めた「台湾関係法」が制定されてから42年目となる今年、相互関係の新たなページが開かれると強調し、より一層のパートナーシップ強化に期待寄せた。
  米国務省の新たな指針では、これまでは認められていなかった、米連邦政府庁舎や駐米国台北経済文化代表処(大使館に相当)での実務者レベルの会合が可能となる。また、旧中華民国大使公邸「雙橡園」で催されるイベントにも、特定の重大行事を除けば、米政府当局者の参加が認められる。プライス報道官が9日に発表した。
  外交部は、指針の内容は米側から事前に通達があったと説明し、台湾に対する堅固で盤石な約束を米国務省が行動で示したとして歓迎の意を表明した。
  (江今葉、鍾佑貞/編集:塚越西穂)


2021.04.03-BBC.COM-https://www.bbc.com/japanese/56613271
台湾のトンネル内で列車脱線、死者少なくとも50人に

  台湾東部の花蓮県の鉄道トンネル内で2日午前9時(日本時間同10時)ごろ、台湾鉄道の列車が脱線した。これまでに少なくとも50人が死亡し、多数が負傷した。検察当局は、事故原因とされる工事車両の線路落下をめぐり、線路近くの工事現場の監督者を逮捕する方針という。

  消防当局によると、列車には494人が乗っていた。少なくとも50人が死亡し、66人が負傷して病院に搬送されたという。列車は8両編成。台湾の中央災害応変センターによると、トンネル内の4車両が大きく破損しているという。
  地元メディアによると、整備用の工事車両がトンネル入り口部分の線路内に誤って進入したことが、衝突の原因とみられる。運転士も死亡したという。

  蔡英文総統は2日、「中に閉じ込められた人の救出が今は最優先だ」とコメントを発表した。3日にも花蓮を訪れ、事故の被害者を見舞う予定という。検察当局は、線路近くの工事現場から落下した工事車両と、特急列車が衝突したことが脱線の原因と見て、工事現場の監督者を逮捕する方針とされる。複数の画像では、黄色い大型の台車のようなものが線路脇に倒れているのが確認できる。
  トンネルの北側出入り口付近では当時、工事が行われていた。この台車のようなものが、線路脇の斜面を滑って落ちてきた経緯は分かっていない。台北から南東部の台東へ向かっていたこの列車には、約500人が乗っていたとされる。混雑のため、多くが車内で立っていたとみられる。列車の最大速度は時速130キロだという。
  台湾はこの日、清明節の連休の初日だった。台湾では清明節に、先祖の墓参りに出かける習慣がある。報道によると、列車後方の車両の乗客には、無傷で脱出できた人もいた。前方4両の車両からは約100人が救出され、なお約200人が閉じ込められているという。
  インターネットに投稿された写真では、破損を免れた車両の乗客が持ち物を手に、列車の脇を線路沿いに歩く様子が写っていた。
「突然激しく揺れた」
  救助隊は、トンネル内で激しく破損した車両で生存者を捜索した。一部の乗客は窓ガラスを割って自力で脱出した。女性の乗客は台湾の聯合報(UDN)に対して、「いきなりがたっと大きく揺れて、床に倒れてしまった」と話した。「窓を割って屋根に上って脱出した」のだという。「倒れたときに頭を打って血が出た」と、別の女性は話した。また別の女性(50 )は、香港のタブロイド紙・蘋果日報(アップルデイリー)に対し、大勢の人が座席の下に閉じ込められていたと話した。女性が車両の外に出ると、いたるところに遺体があったという。
担架で運ばれる人も
  被害の少なかった車両から脱出した乗客は、荷物を手に線路脇を移動した。首を固定され、担架で運ばれる人もいた。台湾の蘇貞昌・行政院長(首相)は2日午後、事故現場を訪れた。
  イギリスのドミニク・ラーブ外相は、「今朝(2日朝)、台湾で発生した鉄道事故の被害に遭われた方々に、心からお見舞い申し上げる」とツイートした。今回の事故は、台湾で数十年来の大規模な列車事故。蔡総統は、犠牲者の家族をいたわり、事故の調査を指示した。
  前回の大きな列車脱線事故は2018年10月に発生し、18人が死亡した。最も被害が大きかった列車事故は1991年11月の衝突事故で、乗客30人が死亡し112人が負傷した。
<分析>安全性への配慮は十分か――シンディ・スイ記者、BBCニュース(台湾)
  台湾には計1000キロを超える鉄道網があり、年間2億人以上の乗客が利用する。鉄道事故が起きるのはまれだ。しかし今回の脱線事故が、近くの斜面に停車していた工事用車両が線路上に滑り落ちたのが原因だったとするなら、近年相次ぐ、過失や人的ミスが原因とされる事故がまたしても起きたことになる。
  2018年の脱線事故は、速度警告システムの欠陥や、司令部とのやりとりに気をとられた運転手がカーブに入る前に減速しなかったことが原因だった。この事故では18人が死亡した。2019年にはメンテナンスの不備で橋が崩壊し、ボートに乗っていた4人が死亡した。
  また、地下のガスパイプラインからプロピレンが漏出して起きた高雄市でのガス爆発事故(2014年、32人死亡)は、化学工業会社の過失が原因とされている。今回の脱線事故は、台湾が安全性や事故防止策を十分に重視しているのか、改めて疑問を投げかけるものとなった。


2021.03.26-gooニュース(産経新聞)-https://news.goo.ne.jp/article/sankei/world/sankei-wor2103260021.html
台湾軍機、事故多発 中国軍への対応増加が原因か

  【台北=矢板明夫】中国軍機が昨年から台湾の防空識別圏(ADIZ)に頻繁に進入し、挑発行為を繰り返す中、台湾軍機による事故が頻発している。2017年11月以降の死者・行方不明者は計16人に上った。機体の老朽化や中国軍機への対応などで現場が疲労困憊(こんぱい)していることが原因と指摘されている。台湾空軍司令部は、空軍のすべての機種の訓練を一時停止し、安全点検を行った。

  台湾メディアによれば、22日午後3時すぎ、台湾東部、台東の志航基地から出発した戦闘機4機編隊のうち、2機がレーダーから姿を消した。空中で接触したのち海に墜落したとみられる。操縦士2人はそれぞれパラシュートで脱出したが、1人は海で発見され、搬送先の病院で死亡が確認された。もう1人の行方は分かっていない。台湾空軍は機器の不具合の可能性があったとみて調べている
  2機はいずれもF5E戦闘機。米国の航空機メーカー、ノースロップ社(現ノースロップ・グラマン)とのライセンス生産によるもので1970年代に台湾の空軍の主力機として配備され、現在は主に訓練機として使われている。昨年10月にもF5E戦闘機が訓練中に海に墜落し、操縦士1人が死亡した。
  軍事問題に詳しい台湾人記者は「台湾の海外からの武器調達は中国から妨害されており、飛行機の世代交代が遅れている」と指摘した。

  蔡英文政権は2016年から、約686億台湾元(約2600億円)の予算を投じ、台湾製訓練機「勇鷹」の大量生産計画を発表した。28年までに66機を生産し、F5Eなどと交代する予定だ。
  台湾空軍の操縦士らは、中国軍による武力侵攻を想定した強度の高い訓練を日常的に実施している。そこへ中国軍機の挑発行為が相次ぎ、緊急発進(スクランブル)などの対応に追われて疲労がたまっていると指摘する声もある。
  台湾国防部(国防省に相当)の統計によると、20年の1年間で台湾空軍は延べ3千機以上を緊急対応のために出動させた。中国軍と比べて、機体も操縦士の数も圧倒的に少ない台湾軍にとり大きな負担となっている。


2021.03.22-産経新聞 THE SANKEI NEWS -https://www.sankei.com/politics/news/210322/plt2103220010-n1.html
米国首席公使が日華懇に初出席 台湾との連携アピール

  超党派議員連盟「日華議員懇談会」(古屋圭司会長)の総会が22日、東京都内のホテルで開かれた。在日米国大使館のヒル首席公使と台北駐日経済文化代表処の謝長廷代表(駐日大使に相当)が招かれ、日米と台湾の連携強化をアピールした。在日米国大使館要人の日華懇への出席は初めてという。
  総会では、日米台の戦略対話の開催を主導するなどとした来年度基本方針を決議した。ヒル氏は「民主主義と安全保障のコミットを積極的に行っていきたい」とあいさつし、日米台の議員交流の推進や、台湾の世界保健機関(WHO)参加を支持した
  古屋氏は記者会見で「これから日米台の戦略対話が極めて重要になる。今年は必ずキックオフしたい」と語った。謝氏は、中国政府が輸入停止を発表した台湾産パイナップルの消費を後押しする日本国内の動きについて「困ったときの友は真の友」と謝意を示した。


2021.02.23-Yahoo!Japanニュース(COURiER Jqpan)-https://news.yahoo.co.jp/articles/9559faec093d14f775c33aeb631d1efbc16637f8
中国の露骨な嫌がらせで「コロナ対策の優等生」台湾がいま苦しんでいる事情
(1)
  2月17日、日本でもようやく新型コロナウイルス感染症ワクチンの接種が始まった。日本政府は「主要国のなかで非常に遅い」「ワクチン競争に負けている」とメディアや国民から非難されているが、その一方で「コロナ攻防戦の優等生」である台湾が、中国の妨害でワクチンの確保に苦しんでいる

中国の妨害で500万回分の契約が飛んだ!?
  世界中が新型コロナウイルス感染症ワクチンの確保に熾烈な駆け引きを繰り広げるなか、効果的な水際対策で感染爆発を防いでいる台湾が、意外にも、ワクチン確保に苦しんでいる。

  台湾政府の衛生福利部部長(厚生大臣に相当)とコロナ対策本部「中央流行疫情指揮中心(CECC)」指揮官を兼任する陳時中(チェン・シィヂョン)は、17日の会見で、ため息混じりに「ドイツのバイオ企業バイオンテックと約500万回分のコロナワクチンを調達することで合意していたが、“特定の人たち”の干渉で契約が不可能になった」と告白。中国」を名指しこそしなかったが台湾全域がショックに包まれたと、台湾国営通信中央通訊社が伝えた。

   陳部長によると台湾は2020年秋、バイオンテックと米製薬大手ファイザーが共同開発したメッセンジャーRNA(mRNA)ワクチンの調達で合意したが、バイオンテックの中華圏における総代理は中国の製薬会社、上海復星医薬(シャンハイ・フォサン・ファーマスーティカル)で、台湾政府は、中国政府から外交圧力が生じることを懸念し、交渉の経緯の公表を遅らせていた。
  そして双方のプレスリリースの準備も整った契約前夜になって上海復星医薬が突然、正式な契約締結を拒んできたという。陳部長は「台湾人が幸せになることを願っていない人びとがどこかにいるのだろう」と皮肉まじりに吐き捨てた。

  上海復星医薬はバイオンテックに8500万ドル(約90億円)のライセンス料支払いとドイツへの5000万ドル(約53億円)の投資に同意し、独占販売権を入手した。

陳部長は1月28日、台湾がコロナワクチンの確保に苦しんでおり、接種のタイムスケジュールが組めない現状を吐露。「ワクチンは主要国が独占している。国によっては総人口の4倍もの量を購入している例さえあると聞く。なぜ世界保健機関(WHO)や国際連合(UN)が買い占めを止めるために介入しないのか疑問だ」と不満をぶちまけた。

   WHO主導の共同購入枠組みプラットフォーム「COVAX(コバックス)」に台湾も参画しているが、陳部長によると、「ワクチンメーカーは主要国からの圧力を受けているため、メーカーからのCOVAXへのワクチン供給量は当初の想定より少ない」という。 2月22日、陳部長は、英製薬大手アストラゼネカとオックスフォード大学が共同開発したウイルスベクターワクチンを1000万回分、米製薬大手モデルナが開発したmRNAワクチン505万回分、COVAXを通じて476万回分を確保したと発表。 だが台湾の総人口は2360万人。全国民の複数回接種には大幅に足りず、第二相臨床試験(フェーズ2、治験の第2段階)を進めている台湾製薬2社、高端疫苗生物製剤(メディジェン・ワクチン・バイオロジクス)と聯亜生技開発(UBIアジア)のコロナワクチン計2000万回分も確保した。さらに、米バイオ医薬品大手ノババックスや製薬・医療機器大手ジョンソン・エンド・ジョンソンなど、コロナワクチンの第三相臨床試験(フェーズ3、治験の最終段階)を進行中のメーカーとも調達交渉を続けている。
(2)
前総統が中国ワクチン調達を主張
  一方で中国は、巨費を投じて自国でワクチンを開発し、友好国を中心にワクチン外交とも言われる世界戦略を展開している。台湾の最大野党・中国国民党の親中派立法委員(国会議員)たちは「我々も早く中国製ワクチンを獲得せよ!」との声を挙げている。
  だが、中国製ワクチンを入手することは、政府はもちろん、世論も「あり得ない」との考えが主流だ。まず台湾は法律で、中国製の血清、血液製剤、ワクチンの輸入を認めていない。
  陳部長は「ワクチンの調達は、安全性、有効性、入手可能性、および使用希望者の4原則に準拠する必要がある。中国製は最初の3つに合致せず、どれくらいの市民が接種したいかもわからない。中国製のデータはどれも自国発表のものばかりで、客観的な評価ができない」 これに対し親中派の馬英九(マァ・インジウ)前総統は、「中国製をハナから除外するのではなく、非常時、国難の今、あらゆるコロナワクチン調達の可能性を残しておくべきだ」と主張し、政府の原理原則主義を批判している。
「中国は人道的見地から、53ヵ国にワクチンを供給」
  中国の王毅(ワン・イー)外交部長(外相)は2月17日、「我が中国は10以上の国・地域と提携し、コロナワクチンの研究開発を展開している」と述べた。世界保健機関(WHO)の要請で、中国は1000万回分の中国製ワクチンの提供を決定。
  王部長は「中国は人道的見地から、いかなる政治的条件も設けず、ワクチンを必要とする53の発展途上国にワクチンを援助することで合意し、現時点で22ヵ国にワクチンを中国から出荷した」と強調した。
  WHOが現時点で承認した中国製コロナワクチンは、国有製薬大手・中国医薬集団(シノファーム)の関連企業・中国生物技術(CNBG)が開発した不活化ワクチン、科興控股生物技術(シノバック・バイオテック)傘下の北京科興中維生物技術が開発した不活化ワクチンの2種がある。
  このほか、台湾との供給契約を撤回した上海復星医薬は、独バイオンテック、米ファイザーとそれぞれ、mRNAワクチンを共同開発している。
  WHOによると中国勢は現在、シノファームと武漢生物製品研究所の不活化ワクチン、康希諾生物(カンシノ・バイオロジック)と中国人民解放軍軍事医学科学院生物工程研究所のウイルスベクターワクチン(非複製)、シノファーム傘下・北京生物製品研究所の不活化ワクチン、中国人民解放軍中国医学科学院医学生物研究所の不活化ワクチンなどが治験の最終段階、フェーズ3を進行中。

  いずれも早期の認証獲得を目指している。 中国製コロナワクチンは1月31日までにアラブ首長国連邦(UAE)、チリ、パキスタンに到着。2月7日にカンボジアへ、8日にラオスとペルーへ、15日にアフリカ西部赤道ギニア、アフリカ南部ジンバブエへ到着。16日にはハンガリーに到着し、初めて中国製コロナワクチンが欧州連合(EU)加盟国にもたらされた。 18日には、中国政府は東欧モンテネグロへのワクチンの寄贈を決定。20日にはコロンビアとメキシコに到着し、2月末に、タイと中米ドミニカ共和国にも到着予定となっている。 このほかブラジル、バーレーン、モロッコ、トルコ、アルゼンチン、エジプト、インドネシア、シンガポールなども中国製ワクチンの調達を決定。ドイツと中央アジアのウズベキスタンも、中国製の調達を検討している。
(3)
もはや「ワクチン外交」
  18日付「環球時報」は、赤道ギニアのオビアン大統領、トルコのエルドアン大統領、インド洋セシェールのラムカラワン大統領、ヨルダンのハサーウネ首相兼国防相、インドネシアのジョコ・ウィドド大統領、バーレーンのサルマン・ビン・ハマド・アール・ハリーファ皇太子兼第一副首相、ペルーのサガスティ大統領、チリのピニェラ大統領ら、現時点で少なくとも8人の海外首脳が中国製コロナワクチンを接種したと伝えた。

  国家指導者の積極的な接種は、国民に中国製ワクチンへの懸念を払拭し、信頼感と安心感を与える最高の宣伝になる。 「台湾は『国』ではなく、われわれの領土の一部分にすぎない(一つの中国)!」を主張し続けている中国にとって、新型コロナ対策で称賛を浴びているように、台湾が「台湾」「TAIWAN」として国際社会で存在感を示すのはガマンならない。
  中国と距離を置き、台湾の独自性を追求している蔡英文(ツァイ・インウェン)総統が2016年に就任して以来、中国は国際社会で台湾を孤立させるための外交圧力を露骨に強化している。
  中国・国務院(内閣に相当)によると、2021年内に中国製コロナワクチン6億回分が供給される見通し。中国政府は「人道的見地から、いかなる政治的条件も設けず」ワクチンを提供するとうそぶいているが、台湾の調達契約を妨害した事実からも、1年前のマスクや消毒液のようにコロナワクチンを覇権拡大の材料にしているのは明確だ。
   中国政府は2月18日、台湾のコロナワクチン調達を妨害したとされる件について「言いがかり」「中国は台湾同胞の健康を気遣っており、必要な援助は惜しまない」と反論。同時に「台湾の指導部がコロナワクチンを印象操作や政争の具に利用している」「台湾が最近、上海復星医薬を通さずバイオンテックと直接交渉しているのは国際ルール違反」と台湾側を批判した。 ちなみにバイオンテックは同じ18日、「当社は台湾にもワクチンを供給するつもりで、交渉を継続中」との声明を発表。陳部長は「歓迎だ。ぜひ調達したい」と評価したが、ワクチンがドイツを出荷し、台湾桃園国際空港に到着するまで、台湾は気を抜けない。(Text by Jun Tanaka)


2021.02.05-JIJI.COM-https://www.jiji.com/jc/article?k=2021020500808&g=int
ガイアナ、事務所開設を破棄 「中国が圧力」と台湾

  【台北時事】台湾外交部(外務省)は5日、南米ガイアナと事務所を相互開設するために調印した協定について、ガイアナ側から一方的に破棄されたと発表した。「一つの中国」原則を主張する中国が介入したとみられる。外交部は「中国が圧力をかけた。多方面から努力したが、ガイアナの決定を覆すことはできなかった」と説明した。
  外交部は4日、中国と外交関係のあるガイアナと1月11日に協定に調印した後、代表機関に相当する事務所を開設し、一部の運営を始めたと発表これに反発した中国は、国務院台湾事務弁公室を通じ、「台湾がどんな形式であれ、わが国と国交のある国と公的な関係を結ぶことに断固として反対する」との見解を示していた。
 ロイター通信によると、ガイアナ当局は、中国から「誤りをただす」よう促された数時間後、台湾との協定を撤回した。中国からの外交攻勢を受ける台湾は、ガイアナでの事務所開設を通じ、中南米で反転攻勢を図る考えだった。
 協定が破談になったことについて、台湾総統府報道官は5日、「ガイアナ政府の一方的な決定はとても残念だ。中国の外交面での抑圧に最大限抗議する」との談話を発表した。


2021.01.30-Yahoo!Japan ニュース(産経新聞)-https://news.yahoo.co.jp/articles/dc849fe8d34e983c34e57149bae8799102aba842
<独自>中国軍機、米空母威嚇が目的 台湾識別圏進入で国防部関係者(田中靖人)

  多数の中国軍機が23、24の両日、台湾の防空識別圏(ADIZ)に進入した目的は、台湾南方沖を航行中の米空母を目標とした威嚇だった可能性が高いことが29日、分かった。台湾の国防部(国防省に相当)の関係者が明らかにした。米空母はバイデン政権発足後初の南シナ海での任務に向かっていた。中国側は、強い行動で、トランプ前政権の対中強硬策と台湾支援政策からの転換を迫った形だ。

  台湾の国防部の発表によると、23日に台湾南西部のADIZに進入したのは轟(H)6K爆撃機8機、殲(J)16戦闘機4機など。
   関係者によると、同日には、米空母セオドア・ルーズベルトを中心とする空母打撃群がフィリピン北部のバリンタン海峡を西太平洋から南シナ海に向かって通過していた。H6Kが8機も台湾のADIZ南西部に進入した例は過去になく、空母打撃群に向けて多数の対艦ミサイルを一斉に発射する飽和攻撃を想定した訓練を行った可能性がある。米空母は艦載機を発艦させて哨戒に当たったという。
   米空母の通過地点が、台湾・フィリピン間のバシー海峡でなく、さらに南側のバリンタン海峡だったことは、あらかじめ米側が中国を警戒していたことをうかがわせる。
   中国軍は24日にはスホイ30、J16など戦闘機計12機と運(Y)8電子偵察機1機などをADIZに進入させた。両戦闘機とも長射程の対艦ミサイルを搭載可能で、発射に関する訓練と同時に電子偵察機で米側の反応を探った可能性がある。  米太平洋艦隊は24日、セオドア・ルーズベルトなどが23日に南シナ海に入ったと発表したが、経路は明らかにしていない。米国務省は中国軍機のADIZ進入後の23日(米時間)、中国による台湾への「軍事的圧力」に「懸念」を表明し、台湾との連携を継続していくとの声明を発表した。
   台湾の国防安全研究院の蘇紫雲副研究員は24日、台湾紙、聯合報(電子版)の取材に、米空母がバシー海峡を通過したと推測した上で、中国軍の行動は「米空母への反撃(を意図したもの)だ」と指摘。中国軍機の24日の行動は、米国務省声明への「回答だ」と分析していた。
(田中靖人)


2021.01.25-産経新聞 THE SANKEI NEWS-https://www.sankei.com/world/news/210125/wor2101250025-n1.html
【再起動 バイデンと世界】台湾 正念場の自力外交 見えぬ米政権の本音
(1)
  台湾をめぐる米中の攻防がバイデン米政権の発足直後から激しさを増した中国軍機は23、24日、台湾の防空識別圏に進入。米政府は中国側を批判し、台湾支援の継続を表明した。
  だが、バイデン政権は実際に毅然とした行動をとるのだろうか-。台湾側はまだ確信を得られていない。(台北 矢板明夫)

  爆撃機8機、戦闘機4機、哨戒機1機。計13機の中国軍機が台湾の南西部の防空識別圏に入ったのは23日。3日前に発足したばかりのバイデン政権の出方を試そうとの狙いがうかがえる。
  米国の台湾への関与は盤石だ」。米国務省が中国の動きへの「懸念」と台湾支援を表明すると、台湾の外交部(外務省に相当)は24日、迅速に応じた。「米国の姿勢を歓迎し感謝する。バイデン政権と密接に協力し、台米の友好関係をさらに強化したい」
  台湾の国防部(国防省)によると、その後、さらに中国軍機計15機が米台の協調姿勢を牽制するかのように防空識別圏に進入した。中国軍は台湾にさまざまな挑発行為を繰り返しているが、10機以上の軍用機が連日、防空識別圏に入ったのは極めて異例だ。

 ◇トランプ米前政権は軍事面で台湾支持を鮮明にしていた。台湾への武器売却決定は4年間で11回に上り、米台合同軍事訓練を実施。米インド太平洋軍の情報担当トップを訪台させるなど台湾との軍事交流を通じて中国を牽制した。中国の脅威にさらされる台湾には大きな安心材料となった。
  だが、バイデン氏は大統領就任演説でもほとんどを内政問題に割き、外交や安全保障への言及は少なかった。バイデン陣営の幹部らはこれまでに「台湾支持」を表明しているが、「政権の本音なのか」を見極めるのは難しく、台湾の外交関係者らは気を揉んでいる。

  与党、民進党の関係者は「歴代米政権はみな台湾重視の姿勢を口では強調するが、具体的な行動が伴う政権と伴わない政権がある。言葉に一喜一憂せず、バイデン政権のこれからの動きを見極めたい」と語る。
(2)
  大統領就任式には駐米台北経済文化代表処代表(駐米大使)の蕭(しょう)美琴(びきん)氏が1979年の米台断交以来、初めて正式招待され、台湾メディアは「歴史的な快挙」「外交上の大勝利」と大きく報じた。

  しかし、米国政治に詳しい外交評論家の宋承恩氏は「招待したのは超党派で構成する大統領就任式実行委員会だ。バイデン政権の意向を反映していると限らない」と過剰な反応をいさめた。蔡英文総統は4年前、トランプ氏と大統領就任前に電話会談した。だが、バイデン氏との電話会談はまだ実現していない。
  台湾側が最も強く米国に求めるのは自由貿易協定(FTA)の早期締結だ。環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)や地域的な包括的経済連携(RCEP)など多国間のFTAから排除されている台湾は、対米FTAで孤立回避を目指す。
  昨年夏、蔡政権が野党の猛反対を押し切って成長促進剤「ラクトパミン」を使用した米国産豚肉の輸入解禁を決断したのは、米国とのFTAを前進させるためだった。だが、米国の政権交代でFTAは宙に浮いた形となっている。
  民進党に近いシンクタンク「台湾智庫」の諮問委員、張国城氏は「バイデン氏は当面、内政に専念するとみられ、台湾問題で積極的な行動を取らない可能性が大きい」とし、「台湾は自分の力で外交を切り開かなければならない」と強調した。台湾も米国の動きを待つのでなく、国際組織への加盟問題などで日本や欧州への働きかけを独自に強めることが必要となる。


2021.01.25-Yahoo!Japanニュース(BBC News)-.https://news.yahoo.co.jp/articles/5b85039cdd1cf043d60e1c30b552525725f2f729
中国軍機の多数侵入、台湾が確認 2日連続

  台湾は24日、中国軍の戦闘機など多数の軍用機が2日続けて防空識別圏に侵入したと発表した。アメリカではジョー・バイデン政権が発足したばかりで、中国によるアメリカへのけん制との見方が出ている。 台湾国防部によると、24日に中国軍機15機が侵入した。これ以前にも同様の訓練飛行があり、米政府が警告を発していた。 中国は台湾を自国の一部とみなしている。一方、台湾は主権国家との立場をとっている。 アナリストらは中国軍の動きについて、バイデン米政権が台湾をどのくらい支援するのかを試すものだとしている。

通常は数機
  中国はここ数カ月間、台湾南部と、台湾が支配する南シナ海の東沙諸島との間の上空で、航空機を定期的に飛ばしている。 台湾国防部によると、通常は偵察機や対潜哨戒機など1~3機による飛行だという。 しかし23日には、核兵器を運べる爆撃機8機と戦闘機4機、対潜哨戒機1機が、台湾の防空識別圏の南西部に入り込んだ。 さらに24日には、戦闘機12機、対潜哨戒機2機、偵察機1機が侵入した。両日とも台湾の空軍が警告を発して圏外に退出させるとともに、防空ミサイルシステムを使って中国軍機の動きを監視したという。 中国政府は公式なコメントを出していない。 今回、中国(CHINA)軍機の飛行が確認されたのは、南シナ海(South China Sea)の東沙諸島(Pratas Islands)と台湾(TAIWAN)南部の上空。
どんな意味がある? 
   中国軍の訓練飛行は、バイデン米大統領の就任からわずか数日後に実施された。バイデン氏は人権や貿易、香港、台湾など、米中関係の悪化につながっている幅広い問題で、中国に圧力をかけ続けるとみられている。 トランプ前政権は台湾と緊密な関係を構築。武器売却を加速させ、中国からの強い警告にもかかわらず、台湾に米高官を派遣した。トランプ氏が大統領を退任する間際には、当時のマイク・ポンペオ国務長官が、アメリカと台湾の当局者同士の接触に関する制限を解除した。
  バイデン新政権が中国と台湾の問題にどう臨むかはまだ明確ではない。しかし、米国務省のネッド・プライス報道官は、23日の中国軍機の動きを受けて声明を発表。「アメリカは中華人民共和国(PRC)が繰り返し、台湾など周辺に脅威を与える行動を取っていることを憂慮している」とし、アメリカは台湾との関係を強化し続けると述べた。 さらに、「中国政府に対し、軍事、外交、経済の面で台湾に圧力をかけるのをやめ、民主的に選ばれた台湾の代表らと意味のある対話を始めるよう強く求める」とした。 20日にあったバイデン氏の大統領就任式には、台湾の事実上の駐米大使である蕭美琴氏が招待された。新政権による台湾支援の新たなサインと受け止められている。 台湾の与党・民主進歩党の有力議員、羅致政氏はロイター通信に対し、中国の動きはアメリカの台湾支援をけん制する狙いがあると分析。「バイデン政権にメッセージを送っている」と話した。
中台の対立の背景
  中国と台湾は1949年に国共内戦が終わった後、別々に政府を樹立。中国は長年、台湾の国際的な活動を制限しようとしてきた。また、双方とも太平洋地域での影響力を争ってきた。 近年、双方の緊張は高まっており、中国は台湾を取り戻すために軍事力の使用も排除しないとしている。 台湾と正式に国交を結んでいる国はごく少数だが、民主的な選挙を経て構成された台湾の政府は、多くの国と強い通商関係や非公式な関係を築いている。 アメリカは多くの国と同様、台湾とは正式な国交を結んでいない。一方でアメリカの法律は、同国が台湾に自衛の手段を提供するよう定めている


2021.01.25-Yahoo!Japanニュース(読売新聞)-https://news.yahoo.co.jp/articles/d294059dd7396946436c43a3abf03252c6b0d7e5
【独自】中国船200隻が台湾の離島集結、海底の砂吸い上げる…砂浜みるみる消失

  【台北=杉山祐之】中国大陸沿岸部に位置する台湾・馬祖列島2020年10月から12月にかけて、海砂採取船など中国の多数の民間船舶が接近を繰り返していたことがわかった。台湾国防部(国防省)系研究機関の複数の関係者が本紙に明らかにした。中国は、沖縄県・尖閣諸島周辺や南シナ海など敏感な海域に民間船を送り込んで関係国を圧迫しており、馬祖での動きも中台統一を拒む台湾への圧力強化の一環とみられる。

  馬祖では10月下旬、「約200隻」とされる海砂採取・運搬船の大船団が南竿島沖に出現し、海面を埋めた。漁船も交じっていた。採取船は海底の砂をポンプで吸い上げ、地元報道によると、島の砂浜がみるみる消失していった。馬祖は中国大陸から約10キロ・メートルの距離にあり、海砂は、中国福建省の空港建設などに使われているとみられる。

  台湾の国防安全研究院国家安全研究所の李俊毅・副研究員によると、11月初旬にも約50隻が南竿島付近に集結していた。本紙が入手した12月上旬撮影の写真でも南竿島沖に20隻近くが確認され、中国船集結は、常態化の様相を呈している。
  環境破壊の恐れがある海砂採取は、中国沿岸部では厳しく規制されている。中国側は、馬祖への集結は容認している模様だ。今月退任した台湾海巡署(海上保安庁に相当)の荘慶達・前署長は本紙の取材に対し、「中国当局が(禁止)命令を出しさえすれば、大半の問題は解決する」と語った。
  馬祖では、台湾側が管轄水域とする海岸線から6キロ・メートル以内への中国船侵入も相次いでいる。海巡署が管轄水域で駆逐した海砂採取・運搬船の延べ隻数は、18年は0隻、19年は91隻だったが、20年(1~11月)は536隻に急増した。


2021.01.24-Yahoo!Japanニュース(産経新聞)-https://news.yahoo.co.jp/articles/7907182e1c4452a61065a2390e21b7ad7ff7c937
台湾新幹線の新車両、日本側の提示価格高騰で破談 「日台協力の象徴」暗礁に

  日本の新幹線技術を海外で初めて採用し「台湾新幹線」とも呼ばれる台湾高速鉄道(高鉄)は20日の役員会で、日本側と交渉していた新車両の導入案件を取り消すと発表した。高鉄は日本側が提示した価格が8年前の追加購入時の2・5倍に上るのは高額すぎると反発し、政治案件化していた。今後は日本以外からの導入も検討するとしており、「日台の経済協力の象徴」は暗礁に乗り上げた。(田中靖人)

  高鉄は2007年に開業し現在、川崎重工などが製造した「700T」型の車両を1編成12両で34編成、運行。北部・台北と南部・高雄を約1時間半で結ぶ。利用客の増加などから12編成の追加を計画し、19年2月に国際入札を行ったが不調に。昨年8月に再度、入札を実施したが今月20日、「提案価格と市場実態に過大な差がある」として案件を取り消した。
   台湾の報道によると、応札していたのは日立製作所と東芝の2社による「日本連合」のみで、日本側は最新の「N700S」型を1編成当たり約50億台湾元(約185億円)で提案した。これに対し、高鉄側は、12年に4編成を追加購入した際の700Tは1編成当たり約20億台湾元だったのと比べ、価格が2・5倍に高騰したことに加え、日本でのN700S型の1編成(日本では16両)当たりの価格約45億円(約12億台湾元)と比べても高すぎると反発。台湾メディアの上報によると、高鉄の役員は「電車ではなく航空機の価格だ」として、値下げ交渉に向け、日台双方の交通当局の介入を希望した。
   台湾の林佳龍交通部長(国土交通相に相当)は昨年12月10日、「価格は合理的でなければならない」と発言。これに先立ち、林氏自らJR東海の有力者に手紙を送り、日本連合への影響力発揮を依頼したとの報道もあった。

   そもそも高鉄は1997年にいったん独仏企業連合が受注したものの、99年に日本企業連合が逆転で受注した経緯がある。同年の台湾中部大地震を受け、李登輝総統(当時)が日本側を推したとされ、「日台協力の象徴」と位置付けられてきた。日本では「新幹線システムの初の海外輸出例」とされるが、台湾では「欧日混血」と表現され、一部に欧州の安全基準を採用したため、追加費用で日本での販売額より車両価格が高くなる要因も指摘されている。
   だが、高鉄関係者の話によると、列車運行システムの特許は日本側が一手に握っているため欧米企業の参入は困難で、一連の国際入札も事実上、日本企業以外に選択肢はなかった。台湾側には、日本側が特許を盾に不当に高い価格を押し付けているのではないかとの不信感もある。
   一連の入札案件について産経新聞の取材に、日立製作所は「個別案件の回答は控える」、東芝は「個別の商談に関わり答えられない」としている。


2021.01.20-SankeiBiz-http://www.sankeibiz.jp/macro/news/210120/mcb2101200853010-n1.htm
台北市長「コロナ対応はまず『止血』」 コロナ対策、成功への助言

  【台北=矢板明夫】台湾の柯文哲(か・ぶんてつ)・台北市長は19日までに産経新聞のインタビューに応じ、台湾が新型コロナウイルス対策に成功したのは「早期の水際対策と市民の防疫意識の高さ」が理由だとし、日本にはまず感染を抑える「止血」が必要だと助言した。2024年の次期総統選の有力候補と目される柯氏は、総統選について「自分の政策理念を実現するために出馬したい」と意欲を示した。

  世界の主要都市が大規模行事を自粛する中、台北市は新型コロナの影響を抑制し、昨年末にはマラソン大会などを開催。これについて、柯氏は03年のSARS(重症急性呼吸器症候群)の教訓を生かして築いた防疫体制と早めの水際対策などが奏功したと説明した。台湾は19日現在、累計感染者を862人、死者を7人にそれぞれ抑えている。
  外科医でもある柯氏は日本に対し、「まずは感染拡大を抑える止血、潰れそうな企業を助ける輸血、それから経済を回復させるために景気対策をするのが手術(の手順)。出血を止めずに手術をすることは危険だ」と、徹底したコロナ対策が必要だと助言した。
  一方、台湾当局が輸入禁止にしている東日本大震災の被災地産食品について、柯氏は「科学的検証をして問題のない食品を輸入し、産地を明記すればよい」との考えを明らかにした。

  今後の中台関係に関し、柯氏は「台湾は米国と中国の2つの大国に挟まれており、単独で中国に立ち向かうことはできない」と指摘。「台湾と同じく米中に挟まれている日本の動きを参考」にして、中国との距離を取ると語った。
  また、中国に弾圧された香港の民主派を市として支援しているとしつつも、その事実をアピールしていないと説明。その理由について「あえて中国を刺激する必要はないと考えているからだ」と述べた。

  総統選に関し、柯氏は「台湾には政治、司法の大改革が必要だ」と出馬の意欲を表明した。ただ、国際情勢や台湾の政局に不透明性があることから「選挙前の世論調査で私への支持率が20%を超えているかが、(出馬を)判断する一つの目安になる」と語った。








このTopに戻る






monomousu   もの申す
最近のニュース
ここは、2021年1月~10月のニュースです
TOPにもどる