台湾問題-1


2020.1.16-JINF 国家基本問題研究所-https://jinf.jp/weekly/archives/28485
【第650回・特別版】習氏に勝った台湾の民意
櫻井よしこ

鮮やかな勝利だった。台湾総統の蔡英文氏は史上最高の817万余票、57%強の得票率で再選された。中国国家主席、習近平氏が台湾に強要を試みた「中台統一」と「一国二制度」は、台湾の民意に完膚なきまでに否定された。
 1年前の1月2日、習氏が「統一は必然」であり「実現されなければならない」と語ったとき、蔡氏は直ちに「絶対に受け入れない」と拒否した。有権者は、台湾の主権は蔡氏にしか守り通せない、国民党では不可能だと見て取った。蔡氏勝利の最大要因は習氏と香港の抗議運動に対する弾圧だった。
 ●米台関係深化へ
 蔡氏勝利で米台関係はさらに深化するだろう。勝利確定の翌日、蔡氏は米国在台協会台北事務所長(駐台大使に相当)のブレント・クリステンセン氏に会った。より多くの武器及び軍事技術の供与を米国に要請し、台湾防衛力強化の意思を鮮明にした。米国はM1A2エイブラムス戦車、地対空ミサイル、新型戦闘機F16Vなどの供与を決定済みだ。これら全てがネットワーク化され、中国への強い抑止力となる。中国はブッシュ、オバマ両政権時代とは比較にならないほど、台湾を巡る米軍の動きを気にせざるを得なくなる。
 蔡氏の安定した政権運営が続く限り、国際社会は民進党主導の台湾の対中闘争を支持し続けるだろう。そこで留意すべきは蔡氏の内政における手腕である。
 総統選は蔡氏の圧勝だったが、国民党も前回の381万票から552万票へ票を伸ばした。総統選での民進党と国民党の得票差は18ポイント開いたが、立法院(国会に相当)選では5ポイント差だった。蔡氏の内政は必ずしも有権者の納得を得ていないということだ。
 理由のひとつは、アジアで初めて同性婚を容認したことに見られるように、蔡氏の理念先行のリベラリズム政治のやりすぎであろう。リベラリズムに傾く余り、民進党の伝統的支持者である農民や労働者を取り込みが弱いのだ。中国の脅威に対峙するのに台湾人の団結が何よりも必要ないま、蔡氏の課題である。
 ●最大限の支援が日本の国益
 他方、国民党の分裂と弱体化はさらに進むのではないか。国民党は以下の3勢力に分類される。①台北本部の高級外省人②地方組織所属の党員③蒋介石に従って逃れてきた老兵約200万人とその家族―である。
 ①のトップである蒋介石は日本が残した財産を接収し、その財力で②と③を支配したが、その資産がいま凍結され、使えない。③の老兵の息子である国民党総統候補、韓国瑜氏は、鴻海精密工業のオーナー、郭台銘氏の資金援助を受け、国民党本部の資金に頼らず、②と③を影響下に置いた。国民党が下克上によって二分されたのだ。
 立法院で過半数を得た蔡氏と民進党が安定した政権運営を続けられれば、国民党の勢力は衰退し続けると思われる。台湾の内外で中国と対峙する蔡氏と民進党にできる限りの援助を素早く実施するのが民主主義国、日本の国益である。(了)


2020.1.15-NHK NEWS WEB-https://www.sankei.com/world/news/200115/wor2001150027-n1.html
台湾・蔡総統、中国と無条件対話を要求 反浸透法に署名

【台北=田中靖人】台湾の蔡英文総統は15日、台北の総統府で談話を発表し、中国からの選挙介入を防止する「反浸透法」に署名し公布したことを明らかにした。一方で、「中国は今回の選挙で台湾の人民が表明した意見と意志を深く理解してほしい」とも述べ、中国側に政治的な前提なしに対話に応じるよう求めた。
   蔡氏は総統選の当選が確定した直後の11日夜の内外記者会見で、中国側に「平和的、対等、民主的」な立場での対話を呼びかけており、15日、対話の具体的な計画を問う記者団に対し、「中国側が現在の政策について検討してほしい」と答え、中国側が態度を変更すべきだとの考えを示した。
   また、蔡氏は反浸透法は中国との交流に反対するものではないと強調。一部世論の懸念に配慮し、行政院(内閣に相当)に、違法行為の具体例を周知するよう指示したと明らかにした。
   反浸透法案は昨年12月31日に立法院で可決され、1月10日に総統府に送付された。蔡氏の署名、公布が15日になったことで、同法は今回の総統選には適用されなかった。
   これに対し、中国で対台湾政策を主管する国務院(政府)台湾事務弁公室の馬暁光報道官は15日の記者会見で、台湾は中国の一部などとする「一つの中国」に基づく「1992年コンセンサス(合意)」が中台関係の「政治的基礎」だとの立場を改めて主張した。


2020.1.12-産経新聞 THE SANKEI NEWS WEB-https://www.sankei.com/world/news/200112/wor2001120024-n1.html
【台湾・総統選】トランプ政権 軍事・経済の両面で台湾支援へ
(1)
【ワシントン=黒瀬悦成】トランプ米政権は台湾総統選での蔡英文氏の再選に関し、中国の脅威をにらんだ米台連携を円滑に継続できるとして歓迎する立場を明確に打ち出した。今後は、米国が世界における自国の「抑止力の源泉」と位置づける軍事と経済の両分野で、中国の覇権的な攻勢の最前線に立つ台湾を積極支援していく考えだ。
   ポンペオ国務長官は11日に発表した声明で、蔡氏について「(中国からの)容赦ない圧力にさらされる中、中台関係の安定維持に取り組んできたことを称賛する」と強調。さらに「台湾が蔡氏の下、自由、繁栄、国民のためのより良き道を希求する国々の輝かしい手本となり続けることを期待する」と表明した。
  米国では2018年、米高官の台湾訪問や定期的な武器売却を求める「アジア再保証イニシアチブ法」がトランプ大統領の署名で成立し、「自由で開かれたインド太平洋地域」の推進に向けた台湾支援が着実に進められてきた。
   中国問題に詳しい政策研究機関「戦略国際問題研究所」(CSIS)のボニー・グレイザー研究員は今後の中国の出方について「当面は米台の動向を見極め、台湾に圧力をかける機会を模索するだろう」と分析。近い将来に中台が武力衝突する可能性は否定しつつも、「米国は台湾の抑止力強化に向け一層の協力を図るべきだ」と訴えた。
(2)
   トランプ政権は一方で、台湾経済が中国への依存度を急速に強めていることに危機感を募らせている。議会や政府内部では、米国と台湾との経済関係の緊密化に向けた自由貿易協定(FTA)の締結を提唱する声が広がりつつある。
   政策研究機関「ヘリテージ財団」のライリー・ウォルターズ研究員は、米台がFTA交渉に向けた「高官級の経済対話」の枠組みを構築すべきだと指摘する。同財団のウォルター・ローマン氏も「トランプ政権が中国や日本などと貿易合意に達し、蔡氏が再選した今こそが米台FTAに向けた好機だ」と強調した。


2020.1.12-Yahoo!!Japan ニュース-https://news.yahoo.co.jp/pickup/6348018
中国、蔡総統への祝意に反発 日米英に抗議

【北京時事】中国外務省の耿爽副報道局長は12日、台湾総統選蔡英文総統が再選されたことに対し茂木敏充外相やポンペオ米国務長官らが祝意や歓迎を表す談話を発表したことについて「『一つの中国』原則に反するやり方で、強烈な不満と断固とした反対を表明する」と反発するコメントを発表した。
 既に日本、米国、英国などに抗議したという。
 耿氏は「台湾地区の選挙は中国の一地方のことだ」と指摘。その上で「台湾問題は中国の核心的利益に関わる問題であり、中国と国交を結ぶ国と台湾とのいかなる形の政府間往来に反対する」と強調した。


2020.1.12-NHK NEWS WEB-https://www3.nhk.or.jp/news/html/20200111/k10012242851000.html
台湾総統選 蔡英文総統が再選 中国との向き合い方が今後の焦点

台湾では11日、総統選挙が行われ、現職の与党・民進党の蔡英文総統が、過去最多となる800万を超える票を獲得して再選されました。同時に行われた議会にあたる立法院の選挙も民進党が過半数を維持し、中国に対抗する姿勢で臨むことが支持された結果となり、今後、蔡総統と中国がどのように向き合っていくかが焦点となります。
  11日投票が行われた台湾の総統選挙は、現職の与党・民進党の蔡英文総統(63)が817万票余り、得票率およそ57%、南部・高雄の市長で最大野党・国民党の韓国瑜氏(62)が552万2000票余り、得票率およそ38%などとなり、蔡氏が再選されました。

     投票率は74.9%でした。

蔡総統の得票は、1996年に、台湾で初めて直接投票による総統選挙が行われて以来、最も多くなりました。
  また、同時に行われた議会にあたる立法院の選挙も、113議席のうち、民進党が61議席、国民党が38議席などとなり、民進党が過半数を維持して第一党となりました。
  蔡総統は11日夜、記者会見を行い、中国に対して「武力による脅しを放棄すべきだ」と述べ、将来の台湾統一を目指し、武力の行使も辞さないとする中国に対抗する姿勢を示しました。
  今回の選挙で示された結果を受けて、今後、蔡総統と中国がどのように向き合っていくかが焦点となります。
蔡総統 勝因は
  蔡英文氏は、中国との距離の取り方が最大の争点となった今回の選挙で中国に対抗姿勢を示すことで支持を広げてきました。
  4年前に蔡政権が発足して以降、中国側は、対話の基礎とする「1つの中国」の原則を受け入れない蔡政権に対し、外交や軍事、それに経済面で圧力を強めてきました。
  去年1月、中国の習近平国家主席が将来の台湾統一に向けて「一国二制度こそが最良の形だ」と発言した際には、蔡氏は即座に「絶対に受け入れられない」と激しく反発しました。
  さらに去年6月、「一国二制度」が導入されている香港で抗議活動が始まると、抗議活動に共感を示す幅広い世代の人たちに蔡氏への支持が広がり、低迷していた蔡氏の支持率が回復していきました。
  経済面では、米中の貿易摩擦を受けて、中国に進出している台湾企業がアメリカへの輸出に関税が上乗せされる中国から台湾に生産拠点を移す動きが活発化していることも蔡氏に有利に働きました。
  蔡政権は、新たに台湾に投資する企業に優遇策を打ち出し、投資の申請はこれまでに160社以上にのぼっています。
  蔡氏は、香港の一連の抗議活動や米中の貿易摩擦が追い風となり、民進党の支持層だけでなく、無党派層からも幅広い支持を得たことが再選につながったとみられます。
韓氏 敗因は
  韓国瑜氏は、蔡英文政権が中国との関係を悪化させ、経済を低迷させていると批判して中台関係の改善を訴えてきました。
  しかし、中国の影響力が強まる香港で自由や民主的な価値観が失われつつあるとして、抗議活動が続いていることを受けて、台湾でも中国への警戒感が高まり、中国に融和的な姿勢をとる韓氏には逆風となっていました。
  韓氏は、中国が高度な自治を認める「一国二制度」を通じて台湾統一を目指すことに反対すると強調しましたが、具体的な議論になると発言を避ける場面もあり、有権者の不安を払しょくすることができなかったとみられます。
  また、国民党内では一部の勢力が韓氏の立候補に反発し、挙党一致の選挙戦が行われなかったほか、中高年を中心に支持を集めたものの、若い世代や無党派層には支持が広がらなかったとみられます。
中国政府「『1つの中国』の原則を堅持」
  台湾の総統選挙の結果について、中国政府で台湾問題を担当する国務院台湾事務弁公室は11日夜、談話を発表し、蔡英文総統が過去最多の得票で勝利したことには触れず、「われわれは平和的な台湾統一と一国二制度の基本方針とともに『1つの中国』の原則を堅持する」としたうえで、「いかなる形の台湾独立のたくらみと行為に断固反対する」と強調しました。

そして、「『1つの中国』の共通認識と台湾独立反対の政治的基礎の上で、台湾の同胞とともに両岸関係の平和的な発展と祖国の平和的統一を推し進め、中華民族の偉大な復興をともに切り開いていきたい」として、蔡政権への警戒感をにじませています。
中国政府 深刻に受け止めか
  中国政府は、蔡英文総統が過去最多となる得票で再選されたことについて、深刻に受け止めているものとみられます。
  習近平指導部は、香港で続く抗議活動への対応で市民の反発を招いたのに続いて、今回、台湾でも、有権者を中国側に引き寄せることに失敗し、政策の行き詰まりが露呈した形です。このため指導部内で、これまで高めてきた習主席の権威にも傷がつきかねない事態となっています。
  中国のテレビや新聞では、今回の選挙についての詳しい報道はほとんどなく、習近平指導部は、台湾の有権者が「1つの中国」を受け入れない蔡総統を支持していることを国民に印象づけないように苦心しています。
  その一方で中国政府は、今回の選挙結果を詳しく分析し、台湾統一に少しでも近づくよう長期戦を覚悟しながら、どのようにより効果的に蔡政権に圧力をかけるかなど今後の対台湾政策を慎重に検討していくものとみられます。
米長官「民主主義の力強さ改めて示した」
  アメリカのポンペイオ国務長官は、「蔡英文総統の再選をアメリカは歓迎する」という声明を発表しました。
  ポンペイオ長官は、声明の中で「台湾は民主主義の力強さを改めて示した。アメリカと台湾は、政治的、経済的、そして国際的な価値観を共有する同じ民主主義の一員だ」と指摘し、トップを決める直接選挙が行われていない中国との違いを強調しました。
  そのうえで、「容赦のない圧力にもかかわらず、台湾海峡の安定に対する蔡英文総統の取り組みを称賛する。蔡総統のリーダーシップのもと、台湾が引き続き、民主主義を求める国々の手本となることを望む」と期待感を示しました。
香港 抗議活動リーダー「中国共産党の権威主義に『ノー』」
  香港で2014年に行われた民主的な選挙を求める抗議活動「雨傘運動」を率いたリーダーの1人、黄之鋒氏は台湾の総統選挙の結果についてSNS上に、「台湾の多くの人々が民主主義と自由を守るという運命を選び、中国共産党の権威主義に『ノー』と声をあげた。香港の人々にとっても貴重な瞬間だ」と投稿し、選挙結果を歓迎しました。
  そのうえで、「自由な世界の最前線である香港と台湾は最も緊密な同盟として、ともに中国の脅迫に対抗し続けるだろう」として台湾の人たちと連携して中国に対抗していく考えを示しました。
  また、「雨傘運動」の中心メンバーの1人、周庭氏もSNS上に、「民主主義と自由を重視している立候補者が当選されてよかった。台湾がこれからも引き続き民主的な場所でありますように」と日本語で投稿しました。
蔡総統「台日の絆深めていきたい」
  蔡英文総統は総統選挙で再選されたことを受けて、日本時間の12日未明、引き続き日本との友好関係を深めていきたとするメッセージをツイッターに日本語で投稿しました。
  この中で蔡総統は、台湾で民主的な選挙が無事行われたと強調し、「すべての台湾人と一緒に民主主義を享受できることが、私にとって最大の誇りです」と書き込みました。
  そのうえで、日本との関係については、「台日の絆を深めていきたいです!」と書き込み、さらなる関係の強化に意欲を示しました。
茂木外相「協力と交流のさらなる深化を」
茂木外務大臣は、「民主的な選挙の円滑な実施と蔡英文氏の再選に祝意を表する。台湾は、わが国にとって、基本的な価値観を共有し、緊密な経済関係と人的往来を有する重要なパートナーで大切な友人だ。政府としては、台湾との関係を非政府間の実務関係として維持していく立場を踏まえ、日台間の協力と交流のさらなる深化を図っていく考えだ」という談話を発表しました。
  また、中国と台湾をめぐる問題については、「当事者間の直接の対話により平和的に解決され、地域の平和と安定に寄与することを期待する」としています。


台湾問題
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』



中台関係
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』







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