台湾の問題-1
2023.04.22.-Rti(Radio Taiwan International )-https://jp.rti.org.tw/news/view/id/96909
台湾の出版社編集長が中国で消息絶つ
(編集:王淑卿)
台湾の読書共和国出版グループ傘下の八旗文化の富察(李延賀)・編集長が今年3月、
親族訪問のため、中国大陸に赴いた後、消息を絶ちました。上海で逮捕されたとされています。
八旗文化出版社の作者とスタッフは22日、北京当局に対して富察・編集長を早期釈放するよう呼びかけました。遼寧省出身の満洲人である富察・編集長は中国の大学で博士号を取った後、出版編集の仕事をしていた頃に台湾人女性と出会い、結婚し、2009年に台北に移住しました。台湾国際放送の運営母体である、中央放送局のラジオ番組のパーソナリティも務めています。中央放送局の頼秀如・董事長は、放送局の代表者として、この声援活動に参加しています。
八旗文化出版社の一部の作者とスタッフは次の声援声明を発表しました。
『読書共和国傘下の八旗文化』の編集長である李延賀氏(ペンネーム:富察)が、上海で中国の関連機関に「監視居住(軟禁に近い意味)」され、自由を失い、家族も弁護士も本人に会えないと聞いて驚きました。
「八旗文化」の作者、翻訳者、編集者、スタッフである我々は、過去数年間、富察(李延賀)氏と仕事をしてきました。富察氏は、読書と出版を熱愛しており、編集という仕事に対して情熱を抱き、すべての時間と精力を知識の普及と文化の啓蒙に注いでいます。常に積極的で、楽観的な態度で人生と仕事に向き合っています。
台湾の自由な環境の中、富察氏は、世界各地に散在している広大な中華圏の読者に奉仕するため、積極的に取り組んでいます。
台湾における出版の自由、学術の自由、言論の自由は、空気のように、すべての読者、作者、翻訳者、編集者の日常生活の一部になっています。富察・編集長リードの下、「八旗文化」の出版物が非常に多元的になり、世界の中華圏の読者に好まれています。言論の自由と出版の自由を享受している富察・編集長には罪はないと信じています。
中国当局に呼びかけたいです。富察・編集長が一日も早く家族と一家団欒でき、大好きな出版社の仕事に戻れるよう、富察・編集長を早期釈放するよう呼びかけています。
(編集:王淑卿)
2023.04.01-dmenuニュース-https://topics.smt.docomo.ne.jp/article/kyodo_nor/world/kyodo_nor-2023040101000206
米「裏庭」切り崩す中国 中南米、台湾と断交ドミノ
【サンパウロ共同】
台湾の蔡英文総統が3月31日、
外交関係のあるグアテマラに到着し、ジャマテイ大統領と会談、隣国ベリーズを含む中米訪問を開始した。
中米ではホンジュラスが台湾と断交し中国と国交を樹立したばかり。
米国の「裏庭」とされる中南米で、中国は台湾の外交関係の切り崩しを加速させており、
蔡氏は断交ドミノを食い止めたい考え。
台湾と外交関係を持つ国は13カ国と過去最少になり、うち7カ国が中南米・カリブ海地域にある。その中で
グアテマラは、人口や国内総生産(GDP)で最大。ベリーズは英連邦の一員で日本も駐在官事務所を置き重視する国だ。
2023.03.27-NHK NEWS WEB-https://www3.nhk.or.jp/news/html/20230327/k10014021221000.html
台湾 馬英九前総統が中国訪問を開始 総統経験者の訪中は初
台湾の最大野党・国民党に所属する
馬英九前総統が、27日から中国への訪問を開始しました。
台湾の総統経験者の訪中は初めてで、中国側は歓迎していますが、
与党・民進党は「
国際社会に誤ったメッセージを発するものだ」
と批判しています。
馬前総統は、27日から来月7日まで、国民党が中国大陸を治めていた時期に首都としていた南京や、
自身の先祖の出身地の湖南省などを訪問します。馬前総統には台湾の青年らも同行し、中国の学生らと交流するということです。
出発を前に、馬前総統は「
若者の熱意ある交流によって、台湾海峡両岸の雰囲気が改善し、より早く平和が訪れることを願っている」と述べました。
馬前総統は27日夕方、上海の空港に到着し、高速鉄道に乗り換えて、夜は南京に宿泊します。
台湾の総統経験者の訪中は初めてで、
馬前総統が「中国大陸と台湾はともに1つの中国に属する」という立場でもあるため、中国側は歓迎していて、高官との会談の可能性もあります。これに対し、
「1つの中国」を受け入れない民進党は、中米のホンジュラスが中国と国交を結んで台湾と断交したことも念頭に、
「今のタイミングで中国を訪問するのは、融和主義そのものであり、国際社会に誤ったメッセージを発するものだ」と批判しています。
空港では、
中国との統一を主張する団体が、馬前総統の訪中を支持する横断幕を掲げたほか、台湾独立を主張する団体が前総統の訪中に反対の声をあげて一時、騒然となりました。
一方、
蔡英文総統は今月29日からアメリカを経由地とする中米2か国の訪問を開始する予定で、アメリカではマッカーシー下院議長と会談することになっています。
2023.01.10-Beoomberg-https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2023-01-10/RO8MEOT1UM0W01
中国が台湾侵攻でも「早期に失敗」、米軍が反撃で-シンクタンク分析
米ワシントンを拠点とするシンクタンク、
戦略国際問題研究所(CSIS)は9日、中国が台湾に軍事侵攻した場合、その企ては「
早期に失敗」する一方、
台湾と米海軍にも多大な代償を強いることになるとの机上演習の結論を公表した。
CSISは「最も可能性の高い」シナリオとして、
「中国による大規模な砲撃」にもかかわらず、
台湾の地上部隊は敵の上陸拠点に展開する一方、
米軍の潜水艦や爆撃機、戦闘機は日本の自衛隊に頻繁に補強されて、中国軍の水陸両用艦隊を迅速に無力化し、侵攻する中国軍は補給の増強や上陸に苦戦すると結論付けた。
机上演習は計24回に及び、米軍の退役将軍・海軍士官、元国防総省当局者らが参加した。
CSISはその中で、
日本の基地や米軍の水上艦を中国が攻撃したとしても「結論を変えることはできない」としつつも、
「台湾が反撃し、降伏しないというのが大きな前提だ」と説明。
「米軍の参戦前に台湾が降伏すれば、後の祭りだ」とし、「この防衛には多大な代償が伴う」と指摘した。
さらにリポートでは、
米国と日本は「何十もの艦船や何百もの航空機、何千もの兵士を失う」とともに、「そうした損失を被れば米国の世界的立場は多年にわたり打撃を受けるだろう」としている。
日本の役割
CSISが主な分析結果として挙げたのは、米国として
「日本との外交・軍事上の結び付きを深化」させる必要があるとの点だ。
具体的には、オーストラリアと韓国も中国との広範囲の競争では重要な存在であり、台湾防衛でも一定の役割を果たすかもしれないが、
「日本が要だ。在日米軍基地を使わなければ、米軍の戦闘・攻撃機が効果的に戦闘に参加するのは不可能だ」と論じた。
原題:
Taiwan-Invasion War Game by US Think Tank Sees a Fast China Flop(抜粋)
2023.01.05-Yahoo!Japanニュース(産経新聞)-https://news.yahoo.co.jp/articles/c7565b492891f00f9d1ad832c3973c74d88c81f1
台湾の元将校ら中国に機密漏洩 軍配置など 7人立件
【台北=矢板明夫】
台湾高等検察署(高検に相当)の高雄分署は5日までに、
「国家機密保護法」違反などの容疑で
台湾軍の元大佐と現役将校の計4人を拘束した。
中国情報機関の依頼で台湾軍の部隊配置や軍機の性能に関する情報を中国側に漏洩(ろうえい)した疑い。検察当局は既に保釈された3人を含む計7人が機密流出に関与したとして立件した。5日付の台湾紙、自由時報などが報じた。
台湾の軍幹部が中国情報機関の協力者となったスパイ事件は毎年のように発覚している。
昨年夏には元空軍少将と元陸軍中佐が検挙された。ただ、
退役軍人に加えて現役将校6人が立件され、防衛の要とされる軍配置状況と軍機や軍艦の性能が漏れたことは珍しい。
報道によると、拘束されたのは台湾空軍の元大佐1人と海軍や空軍の現役将校の3人。調べでは元大佐は退役後の2013年ごろから中国に渡り、中台間の貿易ビジネスに従事。その際に中国の情報機関関係者と接触し、協力者となった。
台湾に戻った後は実体がない会社を立ち上げ、中国側から定期的に活動資金を受領。軍の元部下らを勧誘して中国側に渡すための情報を収集し、
情報の重要度に応じて報酬を払っていたとされている。
元大佐は中国側への1回の情報のやりとりで、報酬として20万~70万台湾元(約85万~約300万円)を受け取っていたという。 中国側に伝えた情報には台湾軍の部隊配置や軍機、軍艦の性能など重要な機密が含まれていたという。
台湾当局は5日までに元大佐の自宅と複数の空、海軍の拠点を捜索した。 台湾国防部(国防省)の孫立方報道官は5日、記者会見し、「現場教育を徹底させ、再発防止に努める」とのコメントを発表した。
軍事評論家の黄澎孝氏は事件を巡り、
中国側が情報収集活動を活発させているとして、「事態は極めて深刻で、法律改正を含めた抜本改革が必要だ」と指摘している。
2022.12.27-REUTERS-https://jp.reuters.com/article/taiwan-defence-idJPKBN2TB04H
台湾、兵役義務を1年に延長へ 中国の脅威に対処=当局高官
[台北 27日 ロイター] -
台湾当局は中国の軍事的圧力の高まりに対処するため、兵役義務を現在の4カ月から1年に延長する計画を27日に発表する。高官が明らかにした。
台湾総統府は、蔡英文総統が27日午前に安全保障会議を開き、民間防衛の強化について話し合うと発表している。その後、新たな民間防衛措置について記者会見を開くという。
高官によると、
蔡英文総統の安全保障チームは2020年から台湾の軍事制度の見直しを進めてきた。この軍事改革には米軍が使用している戦闘教育の導入や射撃演習の強化など、徴集兵向け訓練の向上も含まれる。新制度は24年に導入される予定という。
徴集兵はまた、主要インフラの警備を担い、
正規部隊が中国による侵攻の試みにより迅速に対応できる態勢を整えることを可能にする見通し。
台湾国防部(国防省)はコメントを避けた。
高官は「中国のさまざまな一方的行動が地域安全保障の主要な懸案事項になった」と語った。
台湾は軍の徴兵制から志願制へ段階的に移行したが、中国が台湾に対する圧力を強めていることや、ロシアのウクライナ侵攻を受けて、自衛の強化を巡る議論が高まっている。
2年以上だった男性の兵役義務は中国との緊張が和らいでいた際に4カ月に短縮されてきた経緯がある。
2022.12.18-Rakuten Infoseek News(読売新聞)-https://news.infoseek.co.jp/article/20221218_yol_oyt1t50032/
中国が台湾に情報戦…「政権がTSMCを米国に売った」と揺さぶり
【台北=鈴木隆弘】
台湾企業が先端半導体の工場を米国に進出させることを巡り、
半導体産業の「脱台湾化」といった不安をあおる主張が広がり、
台湾当局は中国が仕掛けた情報戦とみて警戒を強めている。
ターゲットは、半導体受託製造の
台湾積体電路製造(TSMC)だ。
世界シェア(市場占有率)は5割を超え、先端半導体に限れば9割にも及び、その動向は世界的に注目される。
米アリゾナ州で建設を進める先端半導体の工場は、米台協力を象徴するプロジェクトになっているが、生産コストが高く、米国の求めに応じた政治的な背景のある進出という否定的な見方は台湾でもある。
偽情報を監視する台湾の民間団体「台湾民主実験室」によると、米メディアが10月、米国が台湾有事で優秀なエンジニアを避難させる可能性に言及した後、
中国では、共産党機関紙傘下の環球時報などの官製メディアやSNSが「TSMCが米国の会社になる」「米国がTSMCをとろうとしている」との見方を広げた。11月下旬にTSMCが米工場を拡張する計画が明らかになると「民進党政権がTSMCを米国に売った」と沸騰した。
こうした主張は、
台湾で中国寄りのメディアや政治家らに影響を与え、半導体産業の「脱台湾化」や米国への「懐疑論」が議論される流れをたどっている。11月26日に投開票された統一地方選前には、野党が民進党政権を批判する材料になった。
米工場が稼働しても、生産量はTSMC全体の4%にすぎない。王美花・経済部長(経済相)は今月9日、「脱台湾化」議論の広がりに「多くは中国メディアの誇張で、台米関係に影響を及ぼすのが狙いだ」と警戒感を示した。中国メディアは当局の統制下にあり、意図的に世論を誘導しているとみられる。台湾民主実験室は、統一地方選前に域外からとみられる情報約2900件を分析した。台湾で議論になっている社会や教育問題を利用し、
中国のメディアやSNSが誇張して影響を与えようとするケースが目立ったという。
情報戦を研究する沈伯洋・台北大副教授は「
中国側は半年から1年をかけて台湾を分断する話題を準備し、徐々に誤った情報を信じ込ませている。当事者がどれほど釈明しても、すでに誤認している人には信じてもらえない。最大の目的は住民が政権や米国を疑うように仕向けることだ」と指摘し、巧妙化する手法に注意を呼びかけた。
2022.12.10-産経新聞(KYODO)-https://www.sankei.com/article/20221210-JDXMCT7YK5PTLGFVIQEMQGSD3Y/
中国、台湾産ビールも禁輸 総統府「厳重な懸念」
台湾の衛生福利部(衛生省に相当)食品薬物管理署は10日、
中国が9日までに台湾産のビールやコーリャン酒(蒸留酒)、清涼飲料水などの輸入を停止したと明らかにした。
総統府の報道官は10日「両岸(中台)の正常な貿易を損なう」との談話を発表し、「
厳重な懸念」を表明した。
中国関税当局は
今月、台湾産のサンマやイカ、カツオなど水産物の輸入を禁止したばかり。中国が求める「一つの中国」を拒否する蔡英文政権に対する圧力の一環とみられる。
台湾メディアによると、中国関税当局は台湾側が提出した輸出申請の登録情報に不備があったことを理由にしている。ただ、
不備の具体的内容に関する台湾側の問い合わせには回答していない。
農業委員会(農水省)は、水産品禁輸による影響は約60億台湾元(約266億円)に上るとの見通しを示した。
中国は昨年にパイナップルなどの台湾産果物、今年6月には高級魚ハタやアジなどの台湾水産物をそれぞれ禁輸とした。(共同)
2022.11.27.-NHK NEWS WEB-https://www3.nhk.or.jp/news/html/20221126/k10013904691000.html
台湾 統一地方選 与党敗北で蔡英文総統 党主席の辞任を表明
26日に投票が行われた
台湾の統一地方選挙で与党・民進党が敗れ、
蔡英文総統は自身が兼務してきた党のトップの主席を辞任する意向を表明しました。焦点となったのは、合わせて22の市長選挙と知事選挙の勝敗です。
候補者の死去に伴って投票が延期された1つの市を除く21のポストのうち、選挙前に7つを占めていた与党・民進党は、離島の澎湖県を獲得した一方、桃園市など北部の3つの市を失いました。
台北市長奪還もならず、全体では5つの市長と知事のポストを得るにとどまりました。
今回の選挙では、民進党のトップの主席でもある蔡総統が「中国共産党大会のあとに行われる初めての選挙に全世界が注目している」と、対中関係を争点化しようとしたほか、事実上、政権の信任投票とも位置づけていましたが、有権者には受け入れられなかった形です。
蔡総統は26日夜に記者会見し「
所期の成果を挙げられなかった。台湾人民の決定を謙虚に受け入れる。私がすべての責任をとらねばならず、ただちに主席を辞任する」と述べました。総統の職にはとどまりますが、候補者の擁立を主導したため、党内での求心力は低下するとみられます。
一方、最大野党・国民党は台北市で勝利したほか、桃園市などを民進党から奪い返し、6つある直轄市の過半数獲得という目標を達成しました。
結果を受けて、与野党とも再来年の総統選挙の候補者選びに焦点が移っていくことになります。
台北市長選挙で国民党の蒋万安氏が勝利宣言
台湾の統一地方選挙のうち、台北市長選挙で国民党の蒋万安氏が勝利宣言をしました。台北市長選挙には12人が立候補し、蒋万安氏と民進党の陳時中氏、無所属の黄珊珊氏による事実上の三つどもえとなりました。開票は続いていますが、中央選挙委員会によりますと蒋氏がリードしていて、さきほど支持者を前に勝利宣言をしました。
一方、これに先立って陳氏と黄氏は敗北を認めました。国民党にとっては8年ぶりの台北市長奪還となります。蒋氏は初代総統・蒋介石のひ孫にあたり、今月10日まで日本の国会議員にあたる立法委員を務めていました。
選挙権の年齢 18歳以上への引き下げ成立せず
台湾では、26日の統一地方選挙と同時に、選挙権の年齢を現行の20歳以上から18歳以上に引き下げる憲法改正の是非を問う住民投票も行われましたが、賛成が有権者総数の過半数を下回り、成立しませんでした。
中国 政府報道官「結果は平和と安定を求める民意を反映」
今回の結果について、中国国営の新華社通信は26日夜、中国政府で台湾政策を担当する国務院台湾事務弁公室の朱鳳蓮報道官のコメントを伝えました。
この中で朱報道官は「結果は『平和と安定を求め、よい生活を送りたい』という主流の民意を反映したものだ」と評価しました。
そのうえで「われわれは引き続き多くの台湾の同胞と団結し、両岸関係の平和で融合した発展をともに推し進め
『台湾独立』の分裂勢力と外部勢力の干渉に断固として反対する」と強調し、
中国政府が独立志向が強いとみなす民進党の蔡英文政権をけん制しました。
2022.11.25-産経新聞-https://www.sankei.com/article/20221125-PTMHA5IW35KANHWP6YSQE7FE3U/
中国共産党台湾へ「影響力工作」軍改革で活発化 中国安全保障レポート2023
防衛省のシンクタンク、防衛研究所は25日、中国の安全保障に関する動向を分析した年次報告書「
中国安全保障レポート2023」を公表した。報告書は中国が近年、情報活動で自国に有利な状況を作る「
影響力工作」を活発化させ、台湾統一に向けた発信を強めている実態を示した。一方、中国と類似した活動を行うロシアがウクライナ侵攻で影響力工作に苦戦し、「中国がどう検討するか注目に値する」とも指摘した。
報告書によると、中国では2015年から習近平国家主席が主導し、陸海空の指揮権限を地区ごとに付与するなど大規模な人民解放軍の改革を実行。党組織の関与を強め、党の意思を反映させやすい態勢にした。
改革の中で情報収集、技術偵察、サイバー空間での攻防、心理戦などを担う「戦略支援部隊」を新設。専門部隊や党中央組織などが公式発信でのプロパガンダ(政治的宣伝)やソーシャルメディアでの情報発信などを活発に行い、影響力工作による「認知戦」を展開している。特に台湾統一に関する動きは活発で、地方選挙で親中派候補を当選させるなど一定の成果を挙げたとみられる。
中国やロシアはもともと、影響力工作を活発に行う国として知られる。2014年のクリミア併合でロシアはプロパガンダを徹底し、最終的に住民投票でロシア編入を決定させた。
だが、今年2月に始まったウクライナ侵攻では、米国が事前に警告を発信し、ロシアの奇襲攻撃の効果を下げたほか、ロシア側の偽情報を即座に否定することで情報戦における主導権を米国が渡さなかった。
報告書は、ロシアの苦戦は「中国にとってショック」としたうえで「中国の影響力工作はロシアと類似した部分も多く、有効性に疑問が付されることになった」として中国側が何らかの対応を行う可能性を指摘した。
2022.10.05-産経新聞-https://www.sankei.com/article/20221005-KEDGP2EN6RJKHE5KAUCN3PDPVE/
「領空侵犯を第1撃とみなす」 台湾の国防部長
【台北=矢板明夫】
台湾の邱国正国防部長(国防相に相当)は5日、
「中国の航空機やドローンが台湾の領空に侵入した場合、台湾側は中国による第1撃だとみなして、対抗措置を講じる」と表明した。
邱氏は同日、台湾の立法院(国会)で、与党、民主進歩党の議員から「敵方(中国)の飛行機が領空に侵入した場合でも、第1撃とみなすか」と聞かれた際に「そうだ」と答えた。
邱氏によれば、台湾側はこれまで敵の発砲を「第1撃」とみなしてきたが、中台両岸の軍事的緊張が高まったことを受け状況が変わり
、敵の飛行機による領空侵入を「第1撃」とみなすようになった。邱氏はさらに「
わが軍にはレッドラインがあり、(中国が)レッドラインを越えれば、対抗措置を取る」とも表明した。ただ、対抗措置の詳細については言及しなかった。
中国軍機は近年、台湾海峡付近で挑発行為を繰り返しており、
これまでに台湾の防空識別圏(ADIZ)に進入したほか、
台湾海峡の中間線を越えたこともあったが、
台湾の領空への侵入はなかった。だが、8月以降、
中国の民生用ドローンが頻繁に台湾の離島、金門島の領空に侵入するようになった。9月1日に台湾軍による発砲で中国のドローン1機が撃墜された。
邱氏の発言は「
レッドラインを明確に示し、これ以上の挑発行為を行わないように」と
中国軍を牽制(けんせい)する狙いがあるとみられる。
2022.09.02-Yahoo!Japanニュース(テレ朝NEWS)-https://news.yahoo.co.jp/articles/a33568d9fef91e4a88f5b2a16f6c207e809faf58
台湾軍がドローン撃墜 中国「危機あおる意味ない」
台湾が実効支配する金門島付近で台湾軍が所属不明のドローンを撃墜したことについて、
中国外務省は「
危機をあおることは意味がない」と強調しました。
金門島近くの海域で1日、所属不明のドローンが進入し、台湾陸軍が撃墜しました。
これについて中国外務省は1日、「状況を把握していない」として、ドローンが中国大陸側から飛来したかどうかについては言及を避けました。
そのうえで、危機をあおることは意味がないと述べ、冷静な対応を求めました。
アメリカのペロシ下院議長の台湾訪問以降、金門島付近ではドローンが連日、確認されていますが、中国側は「
中国のドローンが中国の領土を飛ぶことについて大げさに騒ぐ必要はない」と主張しています。
テレビ朝日
2022.08.30-Yahoo!Japanニュース(産経新聞)-https://news.yahoo.co.jp/articles/e1fd9b5a6cd3cff0c2e91ef7b9982b6541500e32
米、台湾に1500億円武器売却 圧力「常態化」対抗、対艦ミサイルも
【ワシントン=渡辺浩生】
バイデン米政権が台湾向けに約11億ドル(約1500億円)の武器売却を検討している。米政治サイト、ポリティコが29日報じた。
連邦議会に売却承認を申請し、認められる見込みという。
売却案には
対艦ミサイル60発、空対空ミサイル100発が含まれる。ペロシ下院議長の訪台後、中国が台湾への軍事的威圧を「常態化」しており、台湾の自衛力を支える武器売却を進めて対抗する姿勢を示す。
米政権は、今年2月のロシアによるウクライナ侵攻を抑止できなかった教訓から、議会も超党派で台湾の対中抑止力の向上を目的とする法案を準備している。
ポリティコによると、計画には、対艦ミサイル「
ハープーン」の
空中発射型60発(3億5500万ドル相当)と
空対空ミサイル「サイドワインダー」100発(8560万ドル相当)、
監視レーダーの関連費用が含まれる。
ミサイルは台湾空軍が保有する米国製F16戦闘機が搭載できる。 1979年に制定された
台湾関係法は、平和的手段以外での台湾の現状変更の試みは「米国の重大な関心事」とし、「十分な自衛能力の維持」に必要な武器などの供与を定めている。
ペロシ氏訪台以降、中国の軍用機や艦艇が中台間の事実上の停戦ラインである台湾海峡の中間線を越える事例が相次いでいる。中国側は侵攻能力を誇示するとともに、半導体の供給拠点である台湾の事実上の封鎖も念頭に置いて世界経済に揺さぶりをかけている。
今回の売却案は、中国軍の威圧の阻止に不可欠な台湾の対艦、防空能力の向上を支援し「
いかなる常態化の動きも容認しない」(米国家安全保障会議のカービー戦略広報調整官)姿勢を示す狙いがある。
議会では来月から、メネンデス上院外交委員長(民主)らが提案した「
台湾政策法」案の審議が開始される。同法案は「
人民解放軍による侵略」の抑止につながる防衛協力を規定。
台湾を「NATO(北大西洋条約機構)非加盟の主要な同盟」の一員と正式に位置づけ、台湾の在米窓口機関「台北経済文化代表処」の名称を「台湾代表処」に変更することを盛り込んだ。
米台関係をめぐり「79年の
台湾関係法以来、
最も重要な法律となる」(米紙ワシントン・ポスト)と注目されている。
2022.08.28-産経新聞-https://www.sankei.com/article/20220828-SKDEH67OVNO7DI43OD5MV66ICI/
米イージス艦2隻が台湾海峡を通過 中国の「現状変更」常態化を牽制
【ワシントン=坂本一之】
米海軍のイージス巡洋艦2隻が台湾海峡を
現地時間28日、通過した。第7艦隊(神奈川県横須賀市)が発表した。ペロシ米下院議長による今月2~3日の台湾訪問で
中国軍が演習を実施後、初の米軍艦の航行となる。
台湾海峡で航行作戦を実施したのは「
アンティータム」と「
チャンセラーズビル」の2隻。
第7艦隊は「
国際法に基づき航行の自由が適用される海域」とし、定期的な通過だと説明した。自由で開かれたインド太平洋への「米国のコミットメントを示すものだ」としている。
今後の対応に関し「米軍は国際法が許す場所であればどこでも飛行し、航行する」と台湾海峡の航行を継続する方針を示した。
バイデン米政権は、ペロシ氏の訪台に反発した中国が台湾周辺で大規模な軍事演習を実施し、米国との軍事分野の対話を停止するなどしたため、中国への過度な刺激を避けてきた。
8月上旬頃に予定していた大陸間弾道ミサイル(ICBM)「ミニットマン3」の発射実験も延期し、日程をずらした。
一方、バイデン政権は中国が台湾への軍事圧力レベルを引き上げて「ニューノーマル(新常態)」をつくり出そうとしていると批判。今回、従来と変わらず台湾海峡を米軍艦に通過させることで、中国の台湾を巡る「現状変更」を認めない姿勢を示す狙いがある。
米国家安全保障会議(NSC)のキャンベル・インド太平洋調整官は12日、台湾海峡で米艦船を航行させる作戦を今後数週間で実施すると説明していた。
2022.08.26-Yahoo!Japanニュース(産経新聞)-https://news.yahoo.co.jp/articles/aa13ea917ed6ee3be10acd9fef7cad9541d3a36c
米議員が台湾で蔡総統と会談 今月3回目の訪問団
【台北=矢板明夫】
台湾の蔡英文総統は26日、訪台した
米共和党のブラックバーン上院議員と総統府で会談した。
蔡氏は会談で「
最近、多くの米国の重要人物が訪台した。
台湾への力強い支援であり、私たちは台湾を守る決意を新たにしている」と強調。
ブラックバーン氏も「私たちが独立と自由を守ろうとする台湾を支援することは何よりも重要だ」と応じ、
台湾支持の姿勢を確認した。 今月だけで米国からペロシ下院議長、マーキー上院議員がそれぞれ率いた超党派議員団に続いて、
3回目の議員訪台となった。
会談でブラックバーン氏は、「米国と台湾は自由と民主主義という共通の価値観」を持っていると指摘した。同氏は蔡氏との会談に先立ち、ツイッターへの投稿で「私は共産党に決して屈しない。これからも台湾の自由と民主主義を支持する。習近平国家主席は怖くない」とした。
ブラックバーン氏は南部テネシー州選出で、上院の軍事委員会や商業科学運輸委員会に所属。厳しい対中姿勢で知られている。
台湾の呉釗燮(ご・しょうしょう)外交部長(外相に相当)は26日の記者会見で、中国が台湾付近で大規模な軍事演習を実施したにもかかわらず、外国から多くの政治家が訪台していることについて、「
台湾は国際社会からの支持を必要としている。中国の圧力に負けずに来てくれる友人たちを、心から歓迎している」と述べた。
また、「
香港の自由はすべて中国に奪われた。台湾は香港になってはいけない」と話した。 米国以外からは、日本の超党派議員連盟「日華議員懇談会」の会長、古屋圭司衆院議員が22日に台湾を訪問。カナダ、英国、ドイツなどの議員団も10月以降に訪台を計画している。
2022.08.16-産経新聞-https://www.sankei.com/article/20220816-6FY54QUMOVKYHOKPVDIC5MCU2I/
台湾セレクトショップ、日本で活発展開 日台の絆を強化-
(黒川信雄)
台湾の人気セレクトショップが日本でのビジネス展開を活発化している。昨春、
「あべのハルカス近鉄本店」(大阪市)に日本1号店をオープンした「神農(しんのう)生活」は今夏、東京、埼玉、高知などで期間限定店を相次ぎ開設。東京・日本橋で運営する「誠品(せいひん)生活日本橋」も今月、台湾で表彰されたブランド製品を集めた特設店を設置する。中国の軍事演習などで台湾をめぐる情勢が緊張する中、運営を担う日本側の企業は「日台の絆を強めることにつながれば」と期待を寄せる。
セレクトショップとは、独自の視点で選んだ複数のブランドを取り扱う小売店のこと。
神農生活は台湾各地の高品質の食品やお茶、雑貨などを集めた台湾の人気セレクトショップで、台北に2店舗がある。
日本での運営はフランチャイズ契約を結んだ近鉄百貨店(大阪市)が手がけている。
昨年4月、あべのハルカス近鉄本店へ日本1号店となる常設店をオープン。今年6月から9月にかけ、一気に首都圏(東京、埼玉)の3カ所、四国(高知、香川)の2カ所で特設店を展開する。特設店は大型商業施設などに置かれる。
神農生活にはコロナ禍でも根強いファンが多かったといい、近鉄百貨店は今後の中核事業のひとつに育てたい考え。「常設店の(さらなる)開設も検討したい」(近鉄百貨店の森口正浩事業開発部長)とする。
書籍、雑貨などを手がけるセレクトショップ「誠品生活」の日本1号店「
誠品生活日本橋」は大型複合商業施設「
コレド室町テラス」にあり、令和元年9月、書店国内大手の有隣堂(横浜市)が運営を始めた。
今月18日から10月17日までは同店内で、台湾当局に表彰された、パソコンやスマートフォン、アウトドア関連などのブランド製品を販売する「台湾エクセレンス ポップアップストア」を開設する。
このほか、伊勢丹新宿店(東京・新宿)では今月17日から30日まで、日本人実業家が1932年に台湾で設立した「林(はやし)百貨店」の特設店を設置。バッグ、財布などの雑貨類を販売する。
日本は人口規模が台湾の約5倍ある上、日本人の台湾への親近感が強いため、台湾側からみると日本市場は魅力的だという。一方、日本側からみると、「
台湾製品は技術力が高く、品質も良い」(有隣堂の担当者)。台湾旅行で店のファンになった日本人も少なくなく、台湾が親日的な点も製品の魅力を高めていると指摘される。
台湾をめぐっては、
周辺海域での中国の軍事演習などで緊張が高まるが、近鉄の森口氏は神農生活の事業拡大を通じ、「日台のつながりを強化できれば」と期待を寄せている。
(黒川信雄)
2022.08.06-熊本日日新聞-https://kumanichi.com/articles/751322
中国、台湾本島攻撃の演習 連日の中間線越え
【台北、北京共同】
台湾国防部(国防省)は6日、中国軍の多数の艦船と航空機が台湾海峡で台湾本島を攻撃する模擬演習を実施したと発表した。
前日に続き、一部は中間線を台湾側に越えた。台湾軍は海空部隊を配置して警戒を強化した。ペロシ米下院議長の訪台に反発した
中国の大規模な「重要軍事演習行動」は3日目となり、「台湾統一」を念頭に圧力をさらに強めた。
中国軍東部戦区も6日「
陸地への攻撃と海上への突撃」
の訓練を同日実施したと発表した。台湾国防部によると、
5日の演習でも多数の艦船と航空機が中間線を越えた。中国軍が台湾側への進入を常態化させる恐れがある。
2022.08.03-日本経済新-https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGM034QG0T00C22A8000000/
ペロシ氏、蔡総統と会談「米台は団結」 台湾離れ韓国へ
【台北=龍元秀明、北京=羽田野主】
ペロシ米下院議長が3日、訪問先の台湾で蔡英文(ツァイ・インウェン)総統と会談した。ペロシ氏は「
米台の団結を明確にするため訪問した」と述べ、
台湾の民主主義を支える考えを強調した。蔡氏は謝意を示し「
民主主義の防衛線を守る」と語った。訪問に強く反発する中国は、台湾を取り囲む形で軍事演習に乗り出す。ペロシ氏は3日夜、次の訪問先である韓国に到着した。
米下院議長の訪台は1997年のギングリッチ氏以来、25年ぶり。
米下院議長は大統領の継承順位が副大統領に次ぐ2位の要職だ。ペロシ氏は会談で「米国は揺るぎない決意で台湾と世界の民主主義を守る」と語った。
中国本土と台湾が不可分だとする中国の立場に異を唱えないが、台湾の安全保障には関与する米国の「一つの中国」政策を尊重し「台湾への関与を放棄しない」と強調した。蔡氏は「自衛力を高め、台湾海峡の平和と安定に努力する」と述べた。
ペロシ氏は会談後の共同記者会見で、米台の貿易協定が近く実現する可能性があるとの見方を示した。台湾積体電路製造(TSMC)などの半導体工場を補助金を出して誘致する米の新法については「米台の経済交流の扉を開くものだ」とアピールした。
台湾は先端半導体の生産で世界の9割を占める。台湾メディアは蔡氏が3日開いた昼食会に、ペロシ氏に加え、TSMC創業者の張忠謀(モリス・チャン)氏が出席したと報じた。
ペロシ氏は2日夜に台北に到着した。中国への配慮から滞在を短時間にとどめるとの見方もあったなか、一晩を過ごしたのは台湾が歴訪先の他のアジア諸国と「同格」と示す狙いがあったとみられる。
4日には日本を訪れる。
ペロシ氏の訪台を受け中国は猛反発している。王毅(ワン・イー)国務委員兼外相は3日の異例の談話で「中国の平和的台頭をぶち壊すことは完全に徒労で、必ず頭を打ち付けて血を流す」とペロシ氏を非難した。謝鋒外務次官は2日深夜に米国のニコラス・バーンズ駐中国大使を呼び「強烈な抗議」をした。
台湾の国防部(国防省)は3日、中国軍機27機が防空識別圏(ADIZ)に侵入したと発表した。
うち22機が台湾海峡の事実上の停戦ライン「中間線」を、台北に近い北側で越えた。ペロシ氏訪問後、中国軍機の中間線越えが確認されたのは初めて。
中国人民解放軍は即座に対抗措置に動いた。2日夜から、海空軍やロケット軍、サイバー攻撃を担う戦略支援部隊などが台湾の北部、西南部、東南部の空海域で統合演習を実施している。
4日から7日にかけては台湾を取り囲む6カ所で軍事演習を始める。演習場所は複数の箇所で台湾の「領海」と重なるうえ、台湾海峡の中間線上でも実施する。
96年の台湾海峡危機の際の演習エリアは4カ所だったが、今回は2カ所増やした。台湾本島から約20キロメートルの空海域も演習エリアに指定されている。軍事的な緊張が高まるのは必至で、偶発的衝突も懸念される。
主要7カ国(G7)外相は3日、
中国の「威嚇的な行動、特に実弾射撃演習や経済的威圧を懸念する」との共同声明を出した。
中国は演習エリアへの船舶や航空機の進入を禁じている。
ANAホールディングスは、5日と6日の羽田―松山(台北)便について、通常とは別ルートでの対応を検討する。バンコク便や香港便にも影響が生じる可能性がある。
日本航空(JAL)も同様の対応をとる。
日本郵船は台湾海峡の通航回避を検討するよう注意喚起を出した。
中国は台湾への経済的な締めつけも強めている。中国税関総署は3日、台湾からかんきつ類や太刀魚などの魚類の輸入を停止すると発表した。商務省も同日、
台湾向けの天然砂の輸出を止めると発表した。
2日夕には台湾域外からのサイバー攻撃で、台湾総統府のホームページが一時閲覧不能になった。
2022.08.02-産経新聞-https://www.sankei.com/article/20220802-YM6OEWAUANNVBG74VUCBS5EZAA/
ペロシ氏が台湾到着 米下院議長25年ぶり訪台
【台北=矢板明夫、ワシントン=渡辺浩生】
アジア歴訪中のペロシ米下院議長は2日、専用機で台湾に到着した。AP通信が報じた。現職の米下院議長の台湾訪問は1997年以来25年ぶりとなる。ペロシ氏の訪台に反発する
中国側は事前に台湾周辺での軍事的威圧を高め、訪台への対抗措置をとる構えをみせている。
台湾をめぐる緊張が高まるのは必至だ。
ペロシ氏は2日午後11時45分ごろ、
軍の人員輸送機で訪問先のマレーシアから台北市の松山空港に到着し、
台湾の呉釗燮(ご・しょうしょう)外交部長(外相に相当)が出迎えた。台湾メディアは、ペロシ氏が3日午前に立法院(国会)を訪問した後、蔡英文総統と会談、記者会見を行い、午後に韓国に向けて出発する予定だと報じている。
下院議長は米国の大統領職継承順位で副大統領に次ぐ2位。前回の訪台はクリントン政権時代で、ギングリッチ下院議長(当時)が台湾の李登輝総統(同)と会談などした。
ペロシ氏の訪台の可能性は報じられていたものの、
米国、台湾とも事前に計画を発表しなかった。台湾の外交部(外務省)の欧江安報道官は2日、先立つ記者会見で、「発表できる情報はない」などとコメントを控えていた。
ロイター通信は2日、関係筋の話として、
中国軍機数機が台湾海峡の中間線に接近したと報道。一方、台湾軍は2日午前から4日正午まで戦闘警戒態勢を強化した。
米海軍第7艦隊によると、米空母ロナルド・レーガンは7月31日現在、フィリピン海に展開。ロイターによると、2日には台湾の東方に位置しているという。中国軍の動向を警戒しているとみられる。
米国家安全保障会議(NSC)のカービー戦略広報調整官は1日、「
下院議長には訪台の権利がある」と言明した。
カービー氏はその上で、バイデン米政権として「一つの中国」政策を堅持し、中台両岸の一方的な現状変更行為に反対し、
台湾の独立も支持しない姿勢に変更はないと強調。中国が台湾への軍事的威圧を強める「口実に利用する理由は何もない」と牽制(けんせい)した。
2022.05.14-産経新聞(KYODO)-https://www.sankei.com/article/20220514-4WZ4226JOZIPVC7XSQGORF3QTI/
台湾WHO復帰支援法成立 米大統領が署名
バイデン米大統領は13日、
台湾の世界保健機関(WHO)総会へのオブザーバー参加復帰を後押しする法案に署名し、同法が成立した。米国務省に、復帰に向けた具体的な戦略策定を指示する内容。台湾のオブザーバー参加は、独立志向の蔡英文政権発足を受けた中国の反発により2017年以降実現していない。
同法は「
台湾の国際的な取り組みに対する中国の抵抗が増大している」と批判。新型コロナウイルス対策を含めて、
台湾は世界の公衆衛生に貢献しており、国際的な協力から排除すべきではないと指摘している。
上院が昨年8月、下院が今年4月下旬にそれぞれ可決していた。(共同)
2022.04.21-産経新聞-https://www.sankei.com/article/20220421-X4PUS53DHZMGLJPXCPLGDYNC6A/
〈独自〉台湾、射程1200キロ巡航ミサイル配備へ 上海射程、対中抑止力強化
(田中靖人)
台湾が最大射程1200キロの巡航ミサイルの量産を近く開始することが21日、分かった。台湾当局の高官が産経新聞の取材に明らかにした。台湾本島から発射した場合、
中国大陸の上海が射程に入る。
ロシアによるウクライナ侵攻を受けて中国が台湾に武力侵攻する可能性に関心が集まる中、この時期の情報開示は中国に対する抑止力の強化を図る狙いがありそうだ。
台湾が量産を開始するのは、
射程1000~1200キロの地上発射型巡航ミサイル「雄昇」。弾頭は高性能爆薬型と広範囲を破壊する集束型の2種類で、目標は都市部ではなく中国軍の指揮所や滑走路などの軍事施設、台湾侵攻部隊の集合地点だとしている。配備済みの巡航ミサイル「雄風2E」(推定射程約600キロ)の射程延長型で、目標までの通過地点を設定できるため防空網を突破する能力も向上しているという。
雄風2Eは、台湾侵攻時に中国大陸の台湾海峡沿岸部に集結する中国軍の部隊など「策源地」への攻撃が主目的。雄昇が実戦配備されれば、台湾側はさらに後方の部隊や弾道ミサイル基地などを攻撃できる。また、中国最大の経済都市、上海が射程に入ることで、中国の政治・軍事指導部への心理的な圧力も高まる。
「雄昇」を巡っては、蔡英文政権が昨年11月、立法院(国会に相当)に提出した今年度から2026年度の「海空戦力向上特別予算」に項目だけが記載された。その後、与党、民主進歩党寄りの台湾紙、自由時報が今年3月、関係者の話として、射程に加え100発以上の生産計画があることを報道。立法院の外交・国防委員会に所属する立法委員(国会議員)らが昨年10月に国防部(国防省)系の研究開発機関「中山科学研究院」で秘密裏に説明を受けたとも報じていた。
民進党で同委員会に所属する王定宇立法委員は20日夕、自身のフェイスブックに、「メディアが報じた軍の公開資料」が根拠だとして「雄昇」が「近く量産に入る」と投稿したが、台湾の国防部はこれまで関連の情報を公開していない。
(田中靖人)
2022.03.14-Yahoo!Japanニュース(産経新聞)-https://news.yahoo.co.jp/articles/1c934177feb10871ec82228e55d15946f691e062
台湾 予備役の射撃訓練を公開
【台北=矢板明夫】台湾の国防部(国防省に相当)は14日、
有事の際に動員される「予備役」の射撃訓練をメディアに公開した。ロシアによるウクライナ侵攻を受け、台湾の防衛態勢を内外にアピールした形だ。 台北市北部の射撃場で行われた訓練には、数年前に退役した20代後半と30代前半の男性らが参加した。今回の訓練は5日から18日まで14日間連続して実施され、
射撃のほか、移動や食事なども訓練の内容に含まれているという。 ある参加者は「
みんなの士気はとても高い。自分の故郷を守る決意を新たにした」と話した。
蔡英文総統は12日に同訓練を視察し、台湾の安全を守るためには「
国際社会の支援だけでなく、全住民の一致団結が必要であることは、最近のウクライナ情勢が改めて証明した」と述べた。
2022.02.25-産経新聞-https://www.sankei.com/article/20220225-UXDSLOR2P5JLNJOGKHG5R75Q4Q/
台湾、対露制裁を表明 半導体関連輸出規制か
台湾の外交部(外務省に相当)は25日、
ロシアがウクライナを侵攻したことについて「武力を使用して一方的に現状を変更することに反対する」との声明を出すとともに、
ロシアに対し、経済制裁を科す方針を表明した。台湾メディアは「
半導体関連製品のロシアへの輸出規制などを検討している」と伝えた。蔡英文総統も同日、フェイスブックで「台湾も国際社会によるロシア制裁に参加する」と表明した。
2022.02.10-産経新聞-https://www.sankei.com/article/20220210-MOMYKQHUKVJYBJFOT7HDF3DGDA/
中国、リトアニア牛肉禁輸 台湾「厳正な非難」表明
台湾の外交部(外務省に相当)の
欧江安報道官は10日の定例記者会見で、
中国がバルト3国のリトアニアに対する圧力として、同国産の牛肉の輸入禁止を9日に一方的に発表したとして「厳正な非難」を表明した。
台湾とリトアニアは中国対抗で一致し、関係を深めている。
欧氏は「中国は悪質な手段でリトアニアに圧力をかけ、ルールに基づく世界の貿易秩序を破壊している」と指摘し、台湾が欧米各国とともにリトアニアを支持していく立場を表明した。
リトアニアは昨年7月に台湾と相互に代表処(代表部に相当)を設置することで合意。台湾は11月に首都ビリニュスに欧州で初めて「台湾」の名称を用いた代表処を立ち上げた。中国はリトアニアとの外交関係を格下げするなど猛反発している。(共同)
2022.01.06-BBC News Japan-https://www.bbc.com/japanese/59890602
台湾、中国の圧力受けるリトアニアに投資 2億ドルの基金設立へ
台湾は5日、リトアニアへの投資を目的に、2億ドル(約230億円)規模の基金を設立すると発表した。
リトアニアは昨年、台湾の事実上の大使館設置を認めたため、中国から外交・通商面で圧力を受けており、台湾が支援を表明した格好だ。
台湾は、リトアニアに対する最初の投資を今年後半に実施することを目指していると説明した。資金は開発基金と中央銀行が出すという。基金について発表した台湾外交部(外務省に相当)の曽厚仁政務次長は、リトアニアに対して、「困難を抱えているあなた方を私たちが支える時だ」と述べた。
中国はリトアニアについて、台湾の代表機関の設置を認めたとして、昨年11月に外交関係を格下げした。同機関の名称には、多くの国が中国に配慮して使用する「チャイニーズ・タイペイ」ではなく「台湾」が用いられた。
リトアニアでの台湾の代表機関設置は、双方が正式な外交関係をもつことを意味するわけではない。だが、双方が関係を深めるサインと受け止めることができる。
台湾にとってリトアニアでの外交機関の開設は、ヨーロッパで18年ぶりとなった。中国の圧力のため、台湾と正式な外交関係をもつ国はわずかしかない。リトアニアは台湾と関係を保つ権利を主張している。だが、
中国が掲げる「1つの中国」の方針を尊重するとしている。
ラム酒を2万本購入
台湾は最近、リトアニアが中国に売る予定だったラム酒のボトル2万本を購入した。中国が輸入を拒む可能性があると知り、台湾タバコ酒株式会社が買い取ったと、台湾当局系メディアは報じた。
これを受けて台湾当局は、ラム酒の飲み方や料理での使い方について、市民向けに情報発信している。
一方で中国は、リトアニアとの貿易を妨害したことはないと主張している。だが欧州連合(EU)は、中国の税関当局が輸入品の流れを抑えていることを証明する報告があるとしている。
中国はこれまでも、対立する国に対して、非公式に貿易面で制裁を科してきた。現在、オーストラリアが輸出する牛肉やワイン、大麦など十数の物品の購入を拒んでいる。リトアニアにとって中国への輸出は、輸出全体の1%ほどに過ぎない。
2022.02.04-Yahoo!Japanニュース-https://news.yahoo.co.jp/byline/nojimatsuyoshi/20220204-00280221
なぜ台湾は五輪で「チャイニーズ・タイペイ」なのか
中華台北、それとも、中国台北?
スポーツと政治は切り離すことはできない。特に国家の威信をかけて勝敗を争う場面では、なおさら
「政治」が前面に出やすくなる。その最たるものが皮肉なことに
「平和の祭典」をうたう五輪であり、五輪において
中台対立が絡む台湾の名称問題はしばしばトラブルの種になってきた。
4日夜に開かれる冬季北京五輪の開会式での隠れた注目ポイントは、台湾選手団の名称がどのようにアナウンスされるかだ。今回、台湾は15人の代表団を送り込むが、すでに
中国との間で名称問題をめぐって一悶着起きている。
発端は、
中国・国務院台湾事務弁公室の報道官が1月26日の記者会見で台湾のことを「中国台北」と呼んだことだった。IOCの取り決めで台湾の呼称は
「チャイニーズ・タイペイ(中華台北)」とされてきた。台湾の民進党政権は反発し、コロナ対策を理由に開閉会式への不参加を表明した。もし開閉会式で「中国台北」と呼ばれれば、台湾としては受け入れられないとの判断があったと見られる。
ところが1日、台湾側は、開閉会式に参加をすると態度を翻した。その理由は明らかにされていない。IOCを通して中国が
「中国台北」を使わないと内諾した可能性があるが、蓋を開けてみるまで4日の開会式で何が起きるかわからない。
「一つの中国」とロス方式
五輪などの国際スポーツ大会で、台湾は「チャイニーズ・タイペイ」を名乗り、国旗ではなく、梅をモチーフにした専用の旗を使う。誰が正統な「中国政府」なのかという「一つの中国」問題をめぐり、中国(中華人民共和国)と台湾(中華民国)との間で繰り広げられた外交戦の結果考え出された措置である。
「チャイニーズ・タイペイ」という奇妙な名称の由来は日本とも多少関係がある。1979年に名古屋で開催されたIOCの理事会で、中国代表として「中華人民共和国」の参加を認め、
台湾を「チャイニーズ・タイペイ」と呼ぶ決議が採択された。
台湾は当初決議を拒否し、中国も台湾の完全排除を求めたが、最終的には1981年にロサンゼルスで行われたIOCの討議で
「チャイニーズ・タイペイ」を台湾が受け入れたので、「名古屋決議」「ロス方式」などと呼ばれてきた。
その後、中国と台湾との話し合いで「チャイニーズ・タイペイ」の中国語訳は「中華台北」になった。中華台北には中華民国という台湾の国名の2文字も入っている。かろうじて台湾側も容認できる解決策だった。IOCコードは「TPE」である。
以後、世界の大半のスポーツ大会でこの「ロス方式」が適用されてきた。およそ40年間にわたって守られてきた台湾の呼称が、この北京五輪で改めて脚光を浴びている伏線には、2021年東京五輪でのNHK中継がある。
開会式中継でNHKは「台湾」と呼ぶか?
昨年の東京五輪の開会式中継で、NHKの
和久田麻由子アナウンサーが「チャイニーズ・タイペイ」の入場の際、「
台湾です!」と呼び直したのだ。
台湾メディアが速報で流し、台湾が歓喜の声で包まれた。台湾の人々はNHKを国際放送でよく見ている。
「NHKありがとう」「よく言ってくれた」「感謝日本」の声を、SNSなどで続々と上げた。
うかがえるのは「チャイニーズ・タイペイ」という名称について、完全には納得できない気持ちを抱えながら、国際社会の現実の前に、仕方なく受け入れてきた台湾の人々の心情である。
彼らが求めているのは、「台湾」でも「中華民国」でもいいから、少なくとも、いまの台湾と実体的な関わりのある名前なのである。中華台北はスポーツ以外の場で使われることはない。
その鬱屈した台湾人の心に、
和久田アナの
「台湾です」は深く刺さったと考えることができるだろう。NHKが公式方針として「台湾」と呼んだのか、和久田アナのとっさの判断なのかはわからない。4日の開会式の中継担当は和久田アナではなく、廣瀬智美アナと一橋忠之アナ。「台湾」と呼ぶかどうか注目したい。
中国では政府系メディアも「中国台北」
香港メディアによると、東京五輪でNHKの「
台湾です」の
放送部分が中国で流れたとき、番組が一時的に中断されたという。中国では今回の北京五輪前、新華社などの公式メディアは「中国台北」を使った。「中国台北」には台湾が中国の一部であるというニュアンスが込められている。中華台北でも我慢しているのに・・という風に、台湾の人々は「ボトムラインを超えている」と感じてしまう。
2008年の夏季北京五輪でも、中国のメディア は「中国台北」を使ったが、台湾側の抗議で撤回した経緯がある。ただ、当時の台湾は、中国との関係が非常に良好だった国民党の馬英九政権だった
現在の民進党政権の台湾と中国は「冷対抗」と呼ばれるほど、冷え込んだ状態に陥っている。「一つの中国」を受け入れない民進党・蔡英文総統との対話を中国は拒否し、中国軍機による台湾への異常接近が日常的に行われている。
中国もIOCのメンバーとして「ロス方式」を認めてきた立場だ。今回あえて「中国台北」を使っているのは、習近平政権の対台湾強硬路線に加えて、愛国主義が強まって反台湾の愛国感情があふれる中国世論への配慮という要素もあるだろう。
昨年の東京五輪のとき、中国選手と台湾選手の対決で中国のネット民は盛り上がり、台湾選手への厳しい批判も広がった。2008年の北京五輪開会式で、台湾代表団の入場に対して、ひときわ大きな歓声がスタジアムに鳴り響いたが、そうした心温まる場面の再現は期待できそうにない。
正しい名前で呼ばれる「権利」
台湾に絡んでこうした政治問題が起きるたびに脳裏に浮かぶのは、
スポーツに政治を持ち込んでいるのは誰かという問題だ。今回の北京五輪で、中国は各国の外交ボイコットに対して「五輪の政治利用だ」と反論しているが、こと台湾に関わる問題では、
政治的トラブルを起こすのは客観的にみて中国の方が多い。
「台湾」「中華民国」「チャイニーズ・タイペイ」など、複数の名称がくるくると入れ替わる迷路のような台湾の名称問題を我々はどう考えるべきか。
台湾社会の意識は
「自分たちは台湾人であり、中国人ではない」と考える人々は
人口の6割を超えており、台湾アイデンティティが完全に主流化している。そのなかで、台湾の代表団を「中華台北」という名前で呼び続けることが妥当かどうかも、公の場で議論するタイミングかもしれない。
人権問題としても正しい名前で他者から呼ばれる権利は保護されるべきである。
パレスチナなど国連未加盟のところも五輪には正式な国名で参加している。中国だけが特別扱いでいいのか、という疑問は当然誰もが感じるはずだ。
中国自身も台湾のことを「台湾当局」や「台湾地区」と呼んでいる。ならば
スポーツ大会でも「台湾」名義の参加でいいではないか。それが台湾独立と直接結びつくとは思えない。「大人」の対応を見せれば台湾の世論も中国を見直すだろう。
4日夜の開会式で台湾がどのように呼ばれるにせよ、今回の呼称をめぐる騒動は「チャイニーズ・タイペイ」という空疎な名称を台湾に押し付け続けることの問題点を、世界に少しでも認識させたことは確かだだろう。
2021.12.21-Yahoo!Japanニュース(夕刊フジ)-https://news.yahoo.co.jp/articles/c607a9bad7facec5417421562859d5966970174e
台湾、韓国にブチ切れ オードリー・タン氏の講演が当日キャンセル 「礼儀を欠く行為」と厳重抗議 松木氏「文政権が中国恐れた結果」
台湾が、韓国にブチ切れた。台湾外交部(外務省)は20日、台湾のオードリー・タン(唐鳳)政務委員(閣僚)にオンライン講演を依頼していた韓国大統領直属の政策立案機関が、当日にキャンセルを通告してきたとして、「礼儀を欠く行為」として厳重抗議したことを明らかにした。
台湾外交部などによると、韓国の「第四次産業革命委員会」は今年9月にタン氏に講演を要請し、今月16日に「台湾のデジタル社会イノベーション」という講演を行う予定だった。
しかし、
タン氏の事務所に当日朝、韓国側からメールで取りやめの通知があったという。韓国側は「両岸(中台)関係を考慮した」と理由を説明したという。 タン氏は10日、米政府が開催したオンライン方式の「民主主義サミット」に台湾代表として出席したが、
中国は反発していた。
今回も、
中国の圧力に韓国が屈したとみられている。 台湾外交部は、韓国の駐台北代表処の代理代表を呼び出し「強烈な不満」を伝えて抗議した。さらに、民主国家と関係を深めて民主主義や人権といった普遍的価値を守ると強調した。
今回の騒動をどう見るか。 朝鮮近現代史研究所所長の松木國俊氏は「韓国の文在寅(ムン・ジェイン)政権は、軍事的かつ経済的理由から
中国の逆鱗に触れることを恐れたのではないか。
今回の非礼は国際社会の信頼を失う。岸田文雄政権も対中姿勢を明確にしなければ、自由主義諸国からは失望され、中国には軽蔑される。韓国と同じ轍(てつ)を踏んではならない」と語った。
2021.11.17-朝日新聞-https://www.asahi.com/articles/ASPCK4GN7PCKUHBI006.html
バイデン氏「米国は台湾の独立を促していない」 台湾政策は変更せず
15日に行われたバイデン米大統領と中国の習近平国家主席との首脳会談をめぐり、バイデン氏は16日、記者団に対し、
米国の台湾への対応について「米国は自分たちの政策を全く変えるつもりはない」と述べ、「米国は(台湾の)独立を促していない」と語った。
バイデン氏の発言は、米国は台湾を軍事的に支援しているものの、中国を正当な国家として認める歴代米政権の「一つの中国」政策を堅持する姿勢を示したものだ。
15日の首脳会談で、両首脳は意思疎通の必要性では一致した。しかし、最大の懸案の台湾問題をめぐっては、
バイデン氏は「
一方的な現状の変更や平和と安定を損なう試みに強く反対する」と語る一方、
習氏は「
台湾独立勢力が一線を越えれば、断固たる措置をとる」と応じた。(ワシントン=
園田耕司)
2021.11.09-Yahoo!Japanニュース(毎日新聞)-https://news.yahoo.co.jp/articles/2d962fc45b4cd385b8042224f220ef2d4d768482
台湾当局、中国研究機関の事務所を即時退去要求 清華大キャンパス内
台湾当局が北西部・新竹市の清華大に対し、
キャンパス内にある中国の研究機関の事務所を退去させるよう強く要求している。
台湾当局は、中国が近年、半導体など科学技術人材の引き抜きを狙った浸透工作を進めているとみて警戒感を強めており、他の大学でも同様の問題が起きていないかを調査する方針。
清華大によると、
中国福建省アモイ市の政府が中国の大学などと共同で設立した研究機関「清華海峡研究院」が、
清華大に「新竹事務所」を設置。
人材の誘致や技術開発などに取り組んでいる。台湾の財団法人が事務所を借り、それを同研究院に転貸していた。台湾メディアによると、この研究院の本部は北京にあり、中国政府とも関係があるという。清華大は毎日新聞の取材に「運営には関与していない」と説明している。
台湾政府は、中国による台湾統一工作を阻止するため、中国側との交流制限についての条例を制定している。この条例は、
大陸側の組織・団体などが台湾当局の許可なく事務所を設置・運営することを禁じており、違反者には最高で50万台湾ドル(約200万円)の罰金を科すと定める。教育当局は8日、清華大に対し「条例違反に当たる」として事務所を即時撤去するよう要求した。
財団法人側は、
研究院との転貸契約をすぐに解除すると説明しているという。 清華大は、理系分野での業績で知られる台湾有数の大学。中国の習近平国家主席の母校・清華大(北京)とは異なる。
世界最先端の半導体製造技術を持つ企業「台湾積体電路製造」(TSMC)と共同でキャンパス内に研究開発センターを開設し、人材育成を進めている。
台湾の情報機関・国家安全局の陳進広副局長は8日、立法院(国会)で、清華大の問題を把握していると答弁。「
中国では半導体などの科学技術分野で60万人以上の人材が不足している」と述べ、人材の引き抜きを狙った可能性があるとの認識を示した。台湾で対中国政策を所管する大陸委員会の邱太三・主任委員(閣僚)は同日、全大学を対象に類似の事案がないかを調査すると表明した。【台北・岡村崇】
2021.11.09-日本経済新聞-https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGM094J80Z01C21A1000000/
台湾の国防白書 中国「グレーゾーン作戦」の脅威指摘
【台北=中村裕】
台湾の国防部(国防省)は9日、
2021年版の国防報告書(国防白書)を発表した。
統一圧力を強める中国が情報戦など明確な武力攻撃でない手法で台湾に被害を与える「グレーゾーン作戦」の脅威を指摘したことが特徴だ。中国の武力侵攻を視野に、米国との連携強化も強調した。
白書の公表は隔年で、16年の
蔡英文(ツァイ・インウェン)総統の就任後では3回目。前回の19年版との違いの一つは、台湾が地政学上の要衝だと強調した点だ。
インド太平洋地域の安全には、
台湾の安全が欠かせないと論理を展開。
国防部トップの邱国正・国防部長は白書で「
中国がさらに軍事力を整備して実践的な演習を重ね、(中台を隔てる)台湾海峡の安全を将来、一段と著しく脅かすだろう」と警告した。
そのうえで、武力攻撃と判断するのが難しい侵害行為、いわゆる「
グレーゾーン作戦」の脅威について、新たな項目を作り、解説した。
具体的には、20年9月16日から21年8月31日までの約1年間に、
延べ554機の中国軍機が台湾の防空識別圏に侵入した事実を指摘した。19年から21年8月までに
台湾が14億回を超えるサイバー攻撃を受け、
中国からの偽ニュースやメディア操作による情報戦や心理戦で、台湾社会が揺さぶられている実態も指摘した。
台湾の防衛能力の向上が欠かせないと明記。予備役の強化を新たに紹介した。米軍とは19年9月から21年8月までの2年間で人材交流が大きく進んだと指摘した。
白書によると、
台湾から米国へ2年間で延べ542人が訪問し、米国からも延べ618人が台湾を訪れた。米台の連携強化を浮き彫りにした。蔡総統は10月、米CNNに対し、
米軍が台湾軍を訓練するため、台湾に駐留している事実を初めて公表していた。
国防予算の中台格差にも言及した。
21年の台湾の国防予算は3618億台湾ドル(約1兆4700億円)で、1兆3553億元(約24兆円)の中国の約16分の1にすぎない。
過去5年間の増加率は台湾(特別予算除く)は13%だったが、中国は30%だった。