台湾の問題-1


2024.10.28-産経新聞-https://www.sankei.com/article/20241028-FLME7E3HJVMW5H4N3W5VVG2VMI/?outputType=theme_election2024
台湾有事、北朝鮮とロシア 災害…465人に国民を守る覚悟はあるか-政治部長・酒井充

  衆院選で選ばれた465人は言うまでもなく重い責任を負う。解散がなければ任期は令和10年10月26日まで4年間ある。この間、何が起こるか。
安全保障に不安
  最大の懸案は台湾有事だ。中国の習近平国家主席は台湾の武力統一に言及している。中国共産党総書記として3期目の終わりとなる2027(令和9)年までに実行するとの見方もある経済が失速する中、「4期目」へ強権政治を進めている

  そのとき、わが国はどうするのか。「まさか」が起こることはロシアによるウクライナ侵略で明らかだ政府は南西諸島を中心に防衛力を強化するが、継戦能力は十分なのか。国民をどのように守るのか。「安心してください」と胸を張れる政治家はいないだろう。
  対中国だけでも不安は尽きないのに、わが国周辺には横暴な北朝鮮とロシアもある。安全保障で「がんばったが、だめだった」は言い訳だ重大な問題なのに、選挙戦で話題にならなかったこと自体、不安を惹起する
「政治とカネ」固執から脱却を
  取り組むべき課題はほかにもある。政府の地震調査委員会は令和2年、今後30年以内にマグニチュード(M)8~9クラスの南海トラフ地震が発生する確率を70~80%、M7クラスの首都直下地震は70%と算出した。それぞれ最悪の被害想定は死者32万人と2万3000人で、後者は首都機能の麻痺も想定される
  いずれ地震は起こる。今回の議員任期中に起こるかもしれない。建物やインフラの耐震化など、やるべきことはたくさんある。
  石破茂首相(自民党総裁)は選挙戦で「日本を守る」と訴えたが、安保や「自衛隊の明記」を含む憲法改正にほとんど触れなかった。一方、立憲民主党の野田佳彦代表は「政治とカネ」の追及に終始した。「政治とカネ」は確かに問題ではあるが、その解決で国民が守られるわけでもない
  それでも野党は躍進した。国会は混迷が予想されるが、国民を守ることよりも「政治とカネ」に固執した異常な事態から早く脱すべきだ。465人には、後世から「あのときの議員が無能だったから、こんなことになってしまった」指弾されないよう、具体的な行動と結果を示してほしい


2024.10.23-産経新聞(KYODO)-https://www.sankei.com/article/20241023-JLU5BDDMCJN55PRN62AIYJMCOQ/
台湾封鎖しようとすれば「戦争行為」に 国防部長が中国を牽制

  台湾の顧立雄国防部長(国防相)は23日、中国軍が14日に台湾を包囲する形で実施した軍事演習に関連し、実際に台湾を封鎖しようとすれば「戦争行為」になるだろうと述べ、牽制した。立法院(国会)で記者団の取材に答えた。

  顧氏によると、14日の中国軍の演習「連合利剣―2024B」では台湾を囲むように演習区域を設定したが、海空の航行・飛行の禁止措置は取らなかった顧氏は実際に航行・飛行を禁止し、台湾を封鎖すれば、国連決議に基づき戦争行為になると説明した。
  一方、台湾国防部(国防省)は23日、中国海軍の空母「遼寧」の艦隊が22日夜、台湾が実効支配する東沙諸島の周辺海域から台湾海峡を北へ向けて航行したと発表した。顧氏によると、台湾海峡の暗黙の「休戦ライン」である中間線の中国側を航行した。遼寧が台湾海峡を航行するのは初めてではないという。
  遼寧は14日の演習で台湾南東の海域に展開し、艦載機も演習に参加した。(共同)


2024.09.22-産経新聞(月間正論)-https://www.sankei.com/article/20240922-ZEOCIHFXVVDHJJBK76Z7UA3TGQ/?outputType=theme_monthly-seiron&dicbo=v2-2ikRw8B
台湾独立派「最高刑は死刑」…中国の新指針、日本人に危険も 矢板明夫 月間正論9月号 連載「チャイナ監視台」
(やいた・あきお -産経新聞客員編集委員)


  台湾の頼清徳・新政権が発足して二カ月余りが経ちました。頼氏は五月二十日の総統就任式で「中華民国(台湾の公式名称)と中華人民共和国は互いに隷属しない」と述べるなど、中国とは距離を置く姿勢を示してきました。この発言は「台湾は中国の一部だ」とする中国の主張を否定したものだとして、中国当局からは「台湾独立(という本音)の自白だ」と批判されています。そして六月二十一日に中国の公安省や国家安全省など五省庁は台湾独立を目指す「頑固な分離主義者」を処罰する新たな指針を公表しました。

  その中には、「台湾独立派」に対し「最高刑は死刑」とする内容が盛り込まれており、大きな話題となりました。今回の指針の発表時期は、頼氏の総統就任式から一カ月に合わせており「演説への報復」と分析する台湾の政府関係者もいます。
  中国は「台湾独立派」に対しては二〇〇五年に、台湾独立の動きを違法だとする反国家分裂法を制定しています。その後も反スパイ法を強化するなどしてきたのですが、ここへきてついに「死刑」を持ち出してきました。これは台湾に対する脅しであり、まさに「法律戦」「世論戦」「心理戦」の三つを駆使した揺さぶりであるといえるでしょう。これらの三つの非物理的戦法で見えない攻勢を展開して、敵側の抵抗する意欲をなくすことが狙いだとされています。
民主党政権時代の悪夢
  ところで、中国が死刑をちらつかせて他国を揺さぶるのは、これが初めてのことではありません。代表的な例が、二〇一〇年に尖閣諸島(沖縄県石垣市)周辺で起きた中国漁船衝突事件です。
  この年の九月七日、尖閣諸島沖の日本領海内で、違法操業の中国漁船が、停船命令を無視して海上保安庁の巡視船に衝突しました。海上保安庁は漁船の中国人船長を公務執行妨害の疑いで逮捕し、那覇地検石垣支部に送検、日本の国内法に従って法的手続きを進めようとしたのです。
  しかし「尖閣諸島は中国の領土だ」と主張する中国は猛反発し、日本に対し船長の釈放を強く求めて、日中間で大きな外交トラブルとなりました。日本側は当初、中国の圧力をはねのけるつもりでした。
  そうした中で九月二十日に中国当局は突然、河北省で日本の建設会社の会社員四人をスパイ容疑で逮捕したのです。これは旧日本軍の遺棄化学兵器の処理に向けた調査で日本人が現地入りしていたわけで、危険な場所だけに「軍事管理施設」とされて一般人は立ち入り禁止にされていました。そこへ日本人会社員は中国人の案内で連日のように調査に入っていたのですがある日、急に中国人の都合がつかなくなった。そこで日本人だけで調査に入ったところ「許可なく軍事管理施設に入り撮影した」との理由で当局に逮捕されてしまいました。これは冤罪以外の何ものでもありません。
  この当時、私は産経新聞の北京特派員でした。その夜、国営新華社通信の英語版記事が流れてきて「四人は死刑判決を受ける可能性がある」と書かれていた。驚いて急いで東京の本社に連絡し、速報記事を送ったことを覚えています。
  当時の民主党の菅直人政権は「日本人が中国で処刑されるかもしれない」と動揺し、すぐに中国人船長を処分保留のまま釈放してしまいました。そして日本人四人逮捕から五日後には、船長は中国に戻ってきたのです。死刑カードをちらつかされたことで日本外交が敗北したのを、私は現場でまざまざと見せつけられた思いがしました。この船長は衝突事故当時、酒を飲んでおり、いってみればならず者だったわけですが、釈放されて帰国した際には英雄のように出迎えられたのです。
  二〇一八年には、中国とカナダの間で同じようなことが起きました。中国の通信機器大手、華為技術(ファーウェイ)の副会長兼最高財務責任者(CFO)の孟晩舟氏がカナダの治安当局に拘束された際、中国はさっそく報復として中国国内にいるカナダ人を麻薬密輸やスパイなどの容疑で次々と逮捕しました。
  驚かされたのは、すでに前年の二〇一七年に麻薬密輸罪で懲役十五年の一審判決を受けていたカナダ人男性が上訴(控訴)していたのですが、その男性に一九年になって一審差し戻し判決(事実上の二審)で死刑が言い渡されたことです。
  一審で懲役十五年、二審で死刑というのは通常、あり得ないことでしょう。カナダのトルドー首相(当時)は「中国が恣意的に死刑の適用を選んだことは、カナダや国際社会全体にとって重大な懸念である」と中国を批判していました。結局、孟晩舟氏は二一年に司法取引が成立して中国に帰国しています。そして先のカナダ人男性の死刑は執行されていません。結果的に中国の「死刑カード」がモノをいった形です。
効果失った従来のカード
  いずれにしても、民主主義国家に対しては死刑カードというのは非常に効果があるのです。どうしても政権が動揺するわけで、台湾に対しても仮に台湾人に死刑判決が出れば政権は動揺せざるを得ないでしょう。
  なぜ今、中国は対台湾で「死刑カード」を持ち出したかといえば従来の中国の台湾に対するカードが、いずれもあまり効かなくなっているという事情があります。
  その一つは台湾と外交関係のある国の引きはがしです。蔡英文前政権の八年間で、中国は十カ国を台湾と断交させました。蔡政権が発足する二〇一六年時点で二十二カ国が台湾と国交を持っていましたが、それが今では十二カ国にまで減ってしまったのです。
  ただそれで、さほど台湾は打撃を受けてはいません。最近は欧米諸国も台湾との関係を深めているので、南米や太平洋の小国との国交が断たれても大問題とはならないのです。かつては台湾と国交のある国に対しては、中国と台湾が自国に引き寄せるべく援助合戦を繰り広げてきました。しかし台湾としては援助する国の数が減ったため外交予算が余り、浮いた分を他のことに使えるメリットが生じています。ということで中国による「断交カード」は、ほとんど無意味になっているのです。
  次に「軍事演習カード」です。頼総統の就任式が五月二十日にあり、その三日後の二十三日に中国は台湾周辺で軍事演習を行いました。頼氏の総統就任演説が強硬的なものだったので、それに対する報復としての軍事演習だったのですが、何とその日に台湾の株価が史上最高値を更新してしまったのです。
  通常、その地域の情勢が不安定だとみなされれば株価は急落するものですが、今回は逆に株価が跳ね上がってしまいました。台湾の投資家たちに「この程度のことしかできないのか」と見限られてしまったのです。というわけで、軍事演習カードの効き目も芳しくありません。
  それから三つ目として、台湾産品の輸入禁止カードがあります。中国はこれまで台湾産のパイナップルや高級魚ハタなどを、いろいろ難くせをつけて輸入禁止にしてきました。しかし果物や魚を輸入禁止にしても、台湾の経済にはそれほどの打撃にはなりません。
  それに、台湾は果物や魚を別の国に輸出することもできます。中国による台湾産パイナップル輸入が禁止される以前、日本で消費するパイナップルに占める台湾産の割合は一%程度でしたが、最近はそれが九%程度にまで上がっているのです。
  こうして、中国の台湾に対する断交、軍事演習、経済制裁のいずれのカードも効き目がなくなりつつあります。そこで中国としては最後の手段として「死刑カード」を出さざるを得なかったのだといえるでしょう。
  今のところ、台湾の社会は平静を保っています。頼総統は「中国には域外の台湾人民を訴追する権限はない」と一蹴していますし、中国に近いとされる野党・国民党ですら同様に中国の指針に対して反発しています。当然のことながら、中国の裁判所は台湾に対する管轄権がありません。中国当局が台湾独立派に対して「死刑を含めた厳罰」との指針を発表しても、「実効性がなく台湾で暮らす人々の生活への影響はほとんどない」との見方もあります。とはいえ今後、具体的にある台湾人Aさんが中国当局に身柄を拘束され、実際に死刑判決が下されるということが起きれば、台湾側も平静ではいられなくなるかもしれません。
  中国問題に詳しい台湾の政治評論家、黄澎孝氏も今回の指針について「『死刑』という言葉が強調されたことに意味がある」と分析し、「中国がこれから、中国在住の台湾人を台湾独立派と決めつけ死刑判決をちらつかせて、台湾に理不尽な要求を突きつける場合、頼政権はかなり難しい判断を迫られるだろう」と指摘しています。
中台交流は先細り必至
  本当にバリバリの台湾独立派の人は中国本土に行くようなことはありませんから、まず捕まったりすることはないでしょう。現在、中国本土には百万人以上の台湾人が仕事の関係などで滞在していますが、どちらかといえば中台統一に理解を示すこの人たちのほうが中国当局に拘束されかねません。
  日本人でもスパイなどの容疑で十数人が中国当局に拘束されていますが、ほとんど親中派とみられている人たちです。本当に反中の人は中国に行かないので捕まるはずがない。同様のことが台湾人についてもいえるのです。
  問題は、中台以外の第三国に滞在している台湾人の場合です。これは犯罪者ではありますが、東南アジアなどの国々に滞在して「母さん、オレオレ」とか「あなたの息子さんが交通事故を起こしました」などと電話やインターネットを使って詐欺を行い、現地警察に摘発された台湾人が中国本土に送られるという事例が以前から多発しており、その総数は六百人以上ともいわれています。
  中国当局は東南アジアの国々に対し「捕まった台湾人は皆、中国人だから中国に引き渡せ」と要求します。多くの国は中国とトラブルを起こしたくないし、そもそも犯罪者なので早々に台湾人を中国に引き渡します。ちなみに中国では詐欺の法定刑が重く、台湾でなら懲役三~四年で済む犯罪も中国本土で裁かれると懲役十五年になったりします。こうして多くの台湾人犯罪者が、中国本土で収監されているのです。こうして中国は国際社会に対しては「中国は一つ(台湾は中国の一部)」だという既成事実を、着々と積み上げているわけです。
  なお近年、存在が指摘されている中国の「海外警察署」についても留意が必要でしょう。これはもともと、中国の汚職官僚などが海外に逃亡した場合に捕まえるために設置したのが発端でした。各国とも、それを半ば黙認していたのです。
  そのうちに、中国から海外に逃れた人権活動家や民主化活動家らも海外警察署の摘発対象になっていきました。そして今後は「台湾独立派」の人たちも海外警察署に拘束されかねないのです。
  これは日本人も〝対岸の火事〟だとは思わないほうがいいでしょう。日本人も「台湾独立派」だと認定される可能性があります。例えば三年前、参議院本会議で「WHO(世界保健機関)の台湾への対応に関する決議」が全会一致で可決されていますが、中国側の解釈次第で、日本の参議院議員は全員が「台湾独立分子で死刑に値する」となりかねません。だから参議院議員の誰かが訪中したら、場合によっては拘束されて厳罰を科されることが、ないとは言い切れないのです。
  また、日本国内にも中国の海外警察署があるとされています。これまで日本人が拘束されるような案件は確認されていませんが、今後の動向に注意は必要でしょう。
  さて台湾当局はこうした中国の出方に対策の打ちようがありませんから六月下旬、中国への渡航注意情報を二番目に危険なレベルに引き上げました。今後、中国本土へ行く台湾人はどんどん減り、中台のデカップリング(切り離し)が進むことになりそうです。
  そもそも最盛時には、中国本土には二百万人の台湾人が滞在していました。しかし中台関係が冷めてくるにつれてだんだん台湾人は引き揚げを始め、現在は中国本土にいる台湾人は百万人ほどに半減しています。仕事の関係でどうしても戻れない人は別として、今後も中国本土から台湾人が逃げ出す流れは続くとみられています
(月刊「正論」9月号より)-やいた・あきお -産経新聞客員編集委員

月刊正論について
  日本の自由な社会と健全な民主主義を守るという信条に基づき、昭和48(1973)年10月に創刊した雑誌「正論」は、創刊50年を迎えました「多数意見に迎合せず、また少数意見におもねず(ママ)、真に国民のための世論提起が本誌の願い」との創刊時の信念を受け継いできました。政治、経済、社会、国際問題から文化までの幅広い分野で、執筆陣が多角的な視点から主張を展開します。


2024.09.14-産経新聞-https://www.sankei.com/article/20240914-JT7GETNNUJNCTJJT7VO5NHS3ZQ/
中国から台湾へ密航者相次ぐ いずれも軍事要衝に漂着、ゴムボートをレーダー検知できず

  【台北=西見由章】台湾の海巡署(海上保安庁に相当)14日、ゴムボートで北部・新北市の海岸付近に侵入した中国籍の男を発見、拘束したと発表した。男は深刻な脱水症状があり、治療を受けている。調べに対し「中国国内で負債があり、台湾で新たな生活を始めようと思った」と供述しているという。

  一方、現場の海岸は中国軍が台湾侵攻の際に上陸することが想定される淡水河の河口まで数キロの地点にある。同河口では6月上旬、小型ボートに乗って侵入した中国海軍の退役軍人が逮捕される事件が起きたばかり。中国からの「密航者」が台湾の軍事的要衝に相次いで漂着する事態を巡っては、台湾側の対応能力を探る「グレーゾーン作戦」を疑う見方もある。
  海巡署によると、14日午前7時過ぎ、海岸から約100メートルの海上で男の身柄を確保した。男が乗っていたゴムボートは長さ3・6メートルと小さく、レーダーでは検知できなかったという。
  台湾メディアによると、男は30歳前後。中国浙江省寧波の海岸を出発して台湾に渡ったと供述しているという。
  6月に淡水河の河口で逮捕された中国海軍の退役軍人は「自由を求めて台湾に投降した」と供述。台湾当局は退役軍人が小型ボートで福建省から約260キロの台湾海峡を渡ってきたとみている。
  淡水河の河口は総統府などがある台北の官庁街まで約22キロと近く、台湾の陸軍は有事に備えて防衛部隊を置いている


2024.08.22-産経新聞-https://www.sankei.com/article/20240822-XBTOT2T7KJJ6XJRL6B5WY6M6ZE/
台湾軍人が中国に機密情報売り渡すスパイ組織構築 8人に実刑 軍用ヘリで亡命計画も

  【台北=西見由章】台湾の退役・現役軍人が軍の機密情報を中国側に売り渡すスパイ組織を構築していたとして、台湾高等法院(高裁)は22日、8人の被告に対し最高で懲役13年の実刑判決を言い渡した。このうち陸軍航空部隊の現役中佐は軍用ヘリで中国側に亡命する計画を立てていた。

  台湾高等検察署(高検)や台湾メディアによると、スパイ組織は主犯とされる台湾の退役軍人が中心となり2021年以降に構築。10人が収賄罪や軍事秘密交付罪などで起訴され、22日の判決ではうち1人が無罪となった。主犯とされる退役軍人は海外に逃亡し指名手配されている。
  懲役9年の判決を言い渡された陸軍航空特戦指揮部の中佐は、大型輸送ヘリ「CH47チヌーク」を操縦して中国に投降するよう教唆され、そのための計画を練っていたという。また別の現役軍人の被告は、指示を受けて「中国人民解放軍に投降したい」と語る動画を撮影していたという。


2024.08.21-産経新聞-https://www.sankei.com/article/20240821-T2ROEV2KEBM7TL3VLQY7Y5C3CY/?outputType=theme_portrait
陳スパイ事件で独立派の7人逮捕-話の肖像画 モラロジー道徳教育財団顧問・金美齢<20>
(聞き手 大野正利)

  《昭和39(1964)年7月、世界中の台湾独立運動に激震が走る事件が東京で起きた一党独裁に反対する機関誌「台湾青年」の執筆メンバーの1人が国民党のスパイと判明。黄昭堂氏(後の台湾独立建国連盟主席)ら主要メンバー7人が査問したところ、逆に告訴され、7人全員が警視庁に逮捕されるという「陳純真スパイ事件」だ》
  国民党に情報漏洩(ろうえい)していた陳純真は早稲田大の学生で、私が総幹事(会長)の「台湾稲門(とうもん)会」のメンバー「台湾青年」にも投稿していた。陳純真はお父さんの病気が重くなったので台湾に帰ろうとしたとき、大使館に呼び出されて情報提供への協力を求められ、さらに台湾に帰ってからも現地の特務に脅迫されたみたい。
  《同じ年の8月に刊行された「台湾青年」には「私は国府(中華民国政府)大使館員余承業に脅迫されて台湾人を裏切った」という検証記事が掲載されている。記事には陳純真氏が事件のあった39年1月、大使館員に「スパイにならないと父親や親族に危害を加える」と脅され、その後は毎月呼び出され、「台湾青年」についての情報を伝えるよう強要されたとある》

  国民党のスパイには特別に訓練されている人もいると思うけど、陳純真みたいに脅されてやむなく協力させられた、かわいそうな人もいる。陳純真もきっかけは親の病気だよ。親の見舞いに帰るという、なんでもないことからスパイに仕立てられてしまう。「台湾青年」に投稿していたから、マークされていたんだろうね。人の弱みにつけこむのが、当時の国民党のやり方だった
  陳純真はこれで一生、「裏切り者」のレッテルを貼られたわけでしょ。だから一党独裁の犠牲者ですよ。人間弱いからね。言うことを聞かなきゃ、親族に危害を加えるって言われたら、聞かざるを得ない。彼はこれでもう永遠に浮かばれない。じゃあ国民党が彼の面倒見るのかっていうと、絶対見ないわけじゃない。こうやって人生をめちゃくちゃにされてしまう。独裁政権の怖さはそこにあるのよ
  《情報漏洩に気づいた黄昭堂氏ら7人が査問のため、陳純真氏を呼び出した》
  この日のことはよく覚えている。陳純真は私が呼んだ、彼は早稲田の子だから。夫の周英明といっしょに査問の会場に連れていったんだけど、私も周英明も修羅場には向かないと思われたのか、黄昭堂から帰れと言われた。だから査問の中で起こったことは直接は見ていない。
  これは後で聞いた話だけど、黄昭堂たちがまず自発的な告白を促したところ、陳純真は最初、「裏切ってはいない」と激高して否定した。でも主要メンバーには動かぬ証拠がある。なかには血の気の多いメンバーもいて、その人が近くにあった鉛筆削り用の小型ナイフを手にして、陳純真に飛びかかってしまったんだって
  もみあいは一瞬だったんだけど、陳純真は肩に浅い切り傷を負った。手当ての後に査問を続け、陳純真は途中から涙を流しながら情報漏洩の事実を認めた。そして査問が一段落したところで帰宅させた。
  《国民党が反撃に出た》
  本人が話したのか、この査問が大使館に知られることになり、立ち会った7人を大使館付の弁護士が告訴した。偶発的な傷害事件は「計画的な集団リンチ」とされ、「殺人未遂」や「破壊活動防止法」での告訴ももくろんだというから、彼らの意図がよくわかる。
  でも警視庁は動いた。7人を傷害や監禁、強要などの容疑で逮捕し、「台湾青年」編集本部など関係8カ所を家宅捜索した。私たち夫婦はその場にはいなかったんだけど、ある夜、知り合いの国会議員から電話があり、周英明に証拠隠滅を手伝った容疑がかかっていると教えてくれ、2人で話し合って逃亡することにした。異郷の地にあてなどなく、とりあえず赤坂プリンスホテルに向かった。午前2時を過ぎていたと思う。
(聞き手 大野正利)


2024.08.09-産経新聞-https://www.sankei.com/article/20240809-G5BXRWYBOVBOLDJI4MHVS3ZDGU/
台湾やウイグル巡る議員交流への「圧力」は日本でも 「不当な干渉は即座に打ち返すべき」
(奥原慎平)

  日米欧豪など40カ国・地域の国会議員らで構成する「対中政策に関する国会議員連盟(IPAC)」7月末に台湾で開いた年次総会を巡り、一部の出席議員に中国政府が不参加を求める「圧力」を加えていた問題同様の「圧力」は日本国内でも台湾などに関する会合が開かれた際に確認されている。内政干渉と受け取られる動きに対して、IPACの関係者は「圧力は即座に打ち返すことが大事だ」と指摘する。

「議員間交流制約する権利ない」
  IPAC年次総会については、南米のボリビアやコロンビア、東欧のボスニア・ヘルツェゴビナやスロバキアなど6カ国のIPACメンバーに対し、事前に訪台を取りやめるように中国側から電話やメールがあったという総会後は、参加したルーマニアの国会議員の所属政党に対して、中国大使館が議員の行動を管理するための具体的な措置を求める文書を出した
  外国議員の活動を制約することは「内政不干渉の原則」に抵触しかねない。IPACは6日、中国の行動に対する抗議声明を出したIPACが発足した2020年6月当時から中国側の反発があったが、今回のように大々的に干渉を受けるのは初めてだという。
  一方、日本でも、台湾やウイグル問題に関し地方議員や国会議員が出席して会合が開かれた際、中国側から中止要請などが出された経緯がある。
  日台の地方議員が交流を深める目的で、年に一度開催される「日台交流サミット」昨年11月に仙台市で開かれた際、同市や宮城県の担当課に対し、同県を管轄する駐新潟中国総領事館が開催を抗議してきたという。
  令和3年11月に神戸市で同交流サミットが開かれた際も、駐大阪中国総領事館職員を名乗る人物「台湾は中国の一部であり、内政干渉だ」などと電話で中止を要請したといい、それぞれ出席した地方議員から「台湾との議員間交流を中国政府が制約する権利はない」などと反発する声が上がった。
中国大使が国会議員に抗議書簡
  国会議員の活動に対しても中国大使館側が抗議する書簡を送った例もある。・・・平成24年5月、当時の程永華駐日大使は東京都内で開催された亡命ウイグル人組織「世界ウイグル会議」を控え、100人以上の与野党議員に対して「日本政府がこれを認めれば、日本自身の安全にも害がある」と指摘する書簡を送りつけた。受け取った議員からは「まるで脅迫状。これこそ内政干渉だ」(自民党の古屋圭司衆院議員)との声が上がった。
  言論や集会の自由の保障は民主主義国家の根幹であり、「世界ウイグル会議」国際的に認知された人権団体も支援している。開催に違法性は見当たらない
  当時野党だった自民党の有志と、この1カ月前に発足した「日本ウイグル国会議員連盟」顧問を務めた安倍晋三元首相、会長に就いた古屋氏が同僚議員に電話をかけて46人の署名を集めると、程氏に対し、「日本への内政干渉だ」とする〝逆〟抗議文を速達で送った
  古屋氏は記者会見などで程氏の書簡を公開した上、中国側の行為を問題視した。古屋氏によれば、これ以降、中国当局から同様の圧力は確認されなくなったという。
  民民主党の元衆院議員で、IPACの日本事務局長を務める菅野志桜里氏も、産経新聞の取材「不当な干渉を受けたら、即座に打ち返すことが大事だ。圧力は効果を持たないことを示す必要がある」と強調した。(奥原慎平)


2024.07.30-産経新聞-https://www.sankei.com/article/20240730-QB3NW47S2ZNZ3OWBL44DQNAF2M/
中国漁船死亡事故で中台が「手打ち」合意 緊張緩和へ中国側譲歩も

  【台北=西見由章】台湾が実効支配する中国大陸沿岸の金門島沖で台湾当局が追跡していた中国漁船が転覆し2人が死亡した事故を巡り、中台の代表は30日、解決に向けた協議を行い合意した。事故後、5カ月以上にわたって双方の主張が対立していたが、11月の米大統領選を前に緊張関係を緩和したい中国側が譲歩した側面もありそうだ

  金門での協議終了後、台湾の海巡署(海上保安庁に相当)の謝慶欽副署長は記者団に合意を明らかにする一方、「詳細は公表できない」とした。台湾メディアによると、死者1人あたり約600万台湾元(約2800万円相当)の見舞金を遺族に支払う。金門で保管されていた2人の遺体は30日、中国側に返された
  事故は2月14日、中国船が許可なく進入するのを禁じた金門島周辺の「禁止水域」で海巡署の巡視艇が中国の小型船を発見、追跡中に船が転覆して4人が海に落ち、2人が死亡した。小型船は船名や船籍登録書、所属する港がない「三無船」と呼ばれる船だった。
  中国側は謝罪と責任者の追及、賠償金の支払いを要求したが台湾側は拒否。中国は台湾が設定する「禁止水域」と「制限水域」について、管轄権を黙認していた従来の姿勢を一変させ、公船による進入とパトロールを常態化させていた。
  台湾側は対中関係の安定を喫緊の課題としているが、台北の政治学者は中国の動向について「米大統領選でトランプ前大統領が当選する可能性も見越し、対中圧力が強まるのを避けるために台湾など東アジアでの緊張を緩和しようとしている」と分析。台湾の民主進歩党政権を相手にしない立場は変わらないが、「経済が不調の中、台湾の投資を呼び戻したい思惑もある」と推察した。


2024.06.18-産経新聞(KYODO)-https://www.sankei.com/article/20240618-B3RGDGZKSJJWLC4XWWKOYFKINE/
台湾海峡で中国原潜が海面に浮上 台湾・顧立雄国防部長「監視・偵察手段で状況把握」

  複数の台湾メディアは18日、台湾の漁業者が台湾海峡の中国側に近い海域で同日早朝に操業中、海面に浮上した中国の原子力潜水艦を目撃したと写真付きで伝えた。台湾の顧立雄国防部長(国防相)は「監視・偵察手段を通じ状況を把握している」と述べ、報道内容を事実上認めた

  台湾海峡で中国の原潜が海面に浮上しているのが確認されるのは珍しい。顧氏は中国側の意図について言及を避けた
  写真は離島、澎湖諸島の漁業者が撮影したという。原潜は潜水艦発射弾道ミサイル(SLBM)を搭載できる「晋級」戦略原潜とみられる。原潜は軍艦を伴って航行していたといい、台湾の専門家は故障の可能性も否定できないと指摘している。(共同)


2024.06.12-産経新聞(KYODO)-https://www.sankei.com/article/20240612-YT7B5DD4WZJZPEVVRU74Z3MGBE/
中国が台湾侵攻なら無人兵器展開、「地獄絵図」つくり時間稼ぎ 米インド太平洋軍司令官

  米インド太平洋軍のパパロ司令官は、中国が台湾に侵攻した場合、数千の無人兵器を台湾海峡に展開して「無人の地獄絵図」をつくり、米軍や同盟国が対応する時間を稼ぐとの考えを明らかにした。パパロ氏にインタビューしたワシントン・ポスト紙のコラムニスト、ジョシュ・ロジン氏が自身のコラムで10日、明らかにした。

  パパロ氏は「(中国は)国際社会が一致した対応を取る前に、短期間の戦争を仕掛けたいと考えている」と分析。中国艦艇が台湾侵攻のため航行を始めたら「機密装備を投入して彼らを1カ月間完全にみじめな状態とし、その間に全ての準備を整える」と話した。
  装備の詳細は明かさなかったが「現実的で調達可能なものだ」とした。国防総省は無人航空機や無人艦艇を量産する計画を発表しており、こうした兵器が念頭にあるとみられる。(共同)


2024.06.11-産経新聞(KYODO)-https://www.sankei.com/article/20240611-6E4S77R56BJGZPK7NN7JZ3VVJQ/
台湾北部河口に中国船 中国で反政府の言論発表で「投降」を希望 防衛上の要所

  台湾メディアは10日、中国籍の男が操縦する小型船9日、台湾北部・新北市淡水の沖合から淡水河の河口付近に入り、別の船と接触したと伝えた。男は中国で反政府の言論を発表したことを通報されたため迫害を恐れて福建省から来た可能性があり「投降」を望んでいるという。

  台湾当局は男を拘束し、経緯や動機を調べている淡水河の河口付近は防衛上の要所で、台湾の専門家は小型船の把握が遅れて河口付近に入ることを許したのは問題だと指摘している。
  男は60歳前後で、約200キロ離れた福建省の漁港を出港し、台湾まで来た疑いがあるという。(共同)


2024.06.05-産経新聞-https://www.sankei.com/article/20240605-SYZBQ46NTFMWVBBLHO5MXWSIZQ/
台湾・民進党の「失政」追及へ…議会の権限強化法案を可決 野党に中国の影も

  【台北=西見由章】台湾の野党が提出した立法院(国会に相当)の権限を強化する関連法案5月28日に可決され、頼清徳政権の対応に注目が集まっている頼総統の民主進歩党は1月の立法委員選で少数与党に転落しており、関連法案が施行されれば頼政権への打撃は必至だ。法案を提出した最大野党・中国国民党の背後には中国の影がちらつく。与党側は憲法審査などに持ち込む構えで、与野党の対決は長期戦となりそうだ。

  国民党と第2野党の台湾民衆党が推進した立法院職権行使法などの改正法案は、総統の年1回の情勢報告と答弁を義務化。当局や企業などに対する立法院の調査権限も拡大し、証言を拒否するなどした場合は罰則を科す。政権側の〝失政〟を追及する権限を拡大した形だ。
  民進党系のシンクタンクの政治学者は「国民党の狙いは頼政権の動きを封じ、2年後の統一地方選と4年後の総統選で勝利することだ」と指摘した。
  国民党の背後には、「一つの中国」原則を認めない民進党政権を下野させようとする中国の姿が見え隠れする立法院の国民党トップ、傅崐萁(ふ・こんき)氏は4月下旬に訪中し、中国で対台湾政策を統括する王滬寧(おう・こねい)人民政治協商会議(政協)主席と会談した。先の政治学者は「中国は台湾の内政を混乱させようとしている。傅氏は国民党の立法院での戦略を中国側に説明し、同意を得ただろう」と分析する。
  ただ野党への支持は広がっていない。5月28日には立法院周辺で民進党支持者ら約7万人(主催者側発表)が抗議集会を開き、討議不足のまま強行採決したとして野党批判の声を上げた。
  民間シンクタンクの台湾民意基金会が5月28日に発表した世論調査によると、民進党の支持率は36・7%で、1月の総統選・立法委員選の直後に比べて6・2ポイント上昇。一方、国民党は4・7ポイント、民衆党は4・3ポイントそれぞれ下降した。
  一部の法学者は、関連法案は立法機関の権限を拡大して行政や司法などの権限を弱めるもので、権力分立を定めた憲法に違反すると指摘している。
  民進党の卓栄泰行政院長(首相)は関連法案について「障害があり実行は難しい」として、立法院に再審議を求める構えだ。
  立法院(定数113)は国民党(52議席)と民衆党(8議席)で過半数を占めており法案は再可決される可能性が高い。その場合、民進党は憲法違反の疑いがあるとして憲法裁判所にあたる司法院大法官会議に憲法審査を求める方針だ


2024.05.30-産経新聞-https://www.sankei.com/article/20240530-KLJCZVG5WVMOXOSTN23OB5ZIB4/
中国の薛剣駐大阪総領事が台湾総統就任式に出席した国会議員に抗議 書簡の全文

  台湾の頼清徳総統の就任式に出席した与野党の国会議員に対し、中国の薛剣(せつけん)駐大阪総領事が送った抗議の書簡の全文は次の通り。

皮脂
  報道によりますと、先生は国会議員として、台湾地区で新たに当選した指導者の所謂「就任式」に出席したとのことです。公職者である先生の台湾訪問は、中日の四つの政治文書の原則と精神及び台湾問題における日本側の厳粛な約束に著しく反するもので、「台湾独立」分裂勢力の肩を持ち、極めて誤った政治的シグナルを発するものです。 中国側はこれに対し、断固として反対し、強く抗議します。
  台湾地区の民進党は発足初日から、根っからの「台湾独立」を企む分裂組織であります。民進党は政権担当期間中、「台湾独立」という分裂の立場を頑なに固執し、「92共通認識<コンセンサス>」を歪曲・否定し、島内で「脱中国化」を推し進め、「漸進的台湾独立」を行い、両岸の交流・協力を破壊し、外部勢力と結託して「独立」を図り、挑発を企ててきました。特に「実務的な台湾独立工作者」と自称する頼清徳氏は、極めて頑固な「台湾独立」を掲げる頑迷分子です。頼氏がリードする民進党当局が島内で引き続き政権を担当することは、平和統一の未来を破壊し、平和統一の空間を圧迫するだけで、両岸関係の情勢はより複雑で厳しくなります。
  一つの中国原則は国際関係の基本的な準則と国際社会のコンセンサスであります。中日国交回復にあたって、日本側は一つの中国の原則について中国側に厳粛な約束をし、台湾とは「非公式な実務関係」のみを維持することを表明しました。日本側は今まで、両国間の重要な場で「台湾独立」を支持しないと繰り返して明確に表明してきました。日本側が「台湾独立」勢力とのいかなる公的な付き合いや交流は約束違反であり、「台湾独立」分裂勢力の肩を持ち、中国統一の大義を妨害する行為になります。
  台湾問題は中国の核心的利益の核心であり、越えてはならないレッドラインであり、中日関係の政治的基礎と両国間の基本的信義にかかわっています。先生に公職者として、「台湾独立」勢力が両岸関係ないしアジア太平洋地域の平和と安定への深刻な危害を十分に認識し、中国の主権と領土保全を確実に尊重し、中日の四つの政治文書の原則と精神及び日本側の厳粛な約束を厳守し、台湾に関する問題を慎重かつ適切に対処していただきたいです。台湾といかなる接触と往来もせず、中国人民の「台湾独立」に反対し、国家統一に努める正義の事業を理解・支持し、実際の行動を以て中日関係の大局を守っていただくよう強く希望しております。


2024.05.30-産経新聞-https://www.sankei.com/article/20240530-ZMT5HBEJHVJCLDLCLYCJTKMBN4/
<独自>台湾の総統就任式に出席の議員に中国の総領事が抗議書簡 「威圧的で脅迫まがい」

  台湾の台北市で5月20日に開かれた頼清徳総統の就任式への出席を巡り中国の薛剣駐大阪総領事が与野党の国会議員に「『台湾独立』分裂勢力の肩を持ち、極めて誤った政治的シグナルを発するもの」などと抗議する書簡を送っていたことが30日、分かった。

  書簡は24日付で、総統就任式に出席した超党派「日華議員懇談会」(日華懇)の複数の与野党議員の選挙区事務所に郵便で届いた。駐大阪総領事館の管轄区域の議員が送付対象とみられる。
  書簡は、頼氏を「極めて頑固な『台湾独立』を掲げる頑迷分子」だと表現し、「台湾問題は中国の核心的利益の核心であり、越えてはならないレッドラインであり、中日関係の政治的基礎と両国間の基本的信義にかかわっています」と強調した。その上で「台湾といかなる接触と往来もせず、中国人民の『台湾独立』に反対し、国家統一に努める正義の事業を理解・支持し、実際の行動を以て中日関係の大局を守っていただくよう強く希望しております」と求めた。
  産経新聞は書簡を巡る取材のため、駐大阪総領事館政治処などに電話したが応対はなく、都内の在日中国大使館からも、依頼した30日夕までに返答はなかった
  書簡を受け取った和田有一朗衆院議員(日本維新の会、比例近畿)「極めて威圧的な脅迫まがいの内容で、台湾住民の意思を無視した考え方だ」と指摘。「中国の主張からすると、台湾海峡の緊張はより高まるだろう。われわれ国会議員が、もっとしっかり台湾と協力していかなければならない」と日台関係強化の必要性を強調した。


2024.05.24-産経新聞(KYODO)-https://www.sankei.com/article/20240524-TDJK77GES5IQFKSCYFWGNHZUMM/
台湾、WHO総会の招待状届かず 「中国圧力」と外交部長 台湾記者に中国旅券を要求

  台湾の林佳竜外交部長(外相)は台北市で24日記者会見し、スイス・ジュネーブで27日から開かれる世界保健機関(WHO)総会に参加するための招待状が届いていないと明らかにした。中国の圧力が原因だと説明した。

  林氏は、台湾が世界に誇る健康保険制度を持っていることなどを強調し、台湾には世界の医療の発展に貢献する意志も能力もあると主張。中台の政治的争いと台湾のWHO総会参加は分けて考えるべきだとし、友好国と協力し参加に向け最後まで努力すると表明した。
  台湾は、中国が独立派と見なす民主進歩党(民進党)政権発足を受け、2017年以降は中国の反対でWHO総会への出席を阻まれている
  台湾の中央通信社によると、同社記者が今回の総会の記者証を申請したところ、中国旅券を提示するよう求められ、事実上申請を拒否された。(共同)


2024.05.24-産経新聞(KYODO)-https://www.sankei.com/article/20240524-QFIQPA7MUFJSXEXUVIG4FLCUVM/
台湾周辺に中国軍用機49機、中間線越えも 軍艦など26隻も活動

  中国軍が台湾周辺で実施している軍事演習に関連し、台湾国防部(国防省に相当)は24日、中国の軍用機延べ49機が同日午前6時(日本時間同7時)までの24時間に台湾周辺で活動したと発表した。

  軍用機のうち延べ35機が台湾海峡の暗黙の「休戦ライン」である中間線を越えたり、台湾の防空識別圏に進入したりした。軍艦延べ19隻と海警船7隻を合わせ26隻の活動も確認されたとしているが、離島周辺で活動した海警船などは数に含まれていない。
  台湾国防部は、台湾軍が軍用機や艦船を派遣し「厳しく監視し対処した」と説明した。(共同)


2024.05.23-産経新聞-https://www.sankei.com/article/20240523-YVZRA5NVZVJUBDYZ4J5Z6BJUGI/
中国軍が台湾取り囲み軍事演習を開始 頼清徳氏の総統就任を受け軍事圧力、24日まで

  【北京=三塚聖平】中国人民解放軍で台湾方面を管轄する東部戦区23日、台湾を取り囲んで軍事演習を同日開始したと発表した。演習は24日まで続ける。中国が「台湾独立」派とみなす台湾の民主進歩党の頼清徳氏が20日に総統に就任したことを受けて軍事的圧力を強めた

  東部戦区の発表によると、演習は23日午前7時45分(日本時間8時45分)に開始した。台湾本島の北部や南部、東部のほか、台湾海峡、中国大陸近くに位置する台湾の離島である金門島や馬祖島の周辺などを演習地域としている。
  東部戦区の報道官は、演習について「『台湾独立』の分裂勢力による独立を画策する行為への力強い懲戒であり、外部勢力の干渉や挑発に対する重大な警告だ」と表明した。
  中国は、頼政権への非難や圧力を増している。王毅共産党政治局員兼外相は21日、「頼清徳の類いの民族と祖先に背く恥ずべき行為は誰も相手にしない」と頼氏を名指しで非難した。
  台湾を支援する米国にも反発している。中国外務省は22日、台湾への武器売却などを理由に米国の防衛関連企業12社と幹部ら10人に制裁を科すと発表。中国政府は3日連続で対米制裁を打ち出している。
  中国軍は2022年8月にペロシ米下院議長(当時)が訪台した際、台湾を包囲する形で大規模な軍事演習を実施。昨年4月にも、台湾の蔡英文総統(当時)が訪米してマッカーシー米下院議長(当時)と会談したことに対する報復措置として軍事演習を行った。


2024.05.20-産経新聞-https://www.sankei.com/article/20240520-Z4FHPITLSNIURJHQVZWWCOUNFU/
台湾の頼総統、中国に軍事威嚇の停止呼びかけ 「世界平和への挑戦」

  【台北=西見由章】1月の台湾の総統選で当選した民主進歩党の頼清徳主席(64)20日、台北市内で行った就任演説で、ウクライナ戦争やパレスチナ自治区ガザでの戦闘などが全世界に衝撃を与え続けていると言及した上で「中国の軍事行動や(武力攻撃に至らない)グレーゾーン事態を利用した脅迫もまた、世界の平和と安定に対する最大の戦略的な挑戦とみなされている」と指摘した。中国の習近平政権が台湾に対して強めている統一圧力を牽制した形だ。

  頼氏は演説で「民主と自由は台湾が譲歩できず堅持すべきものだ」としつつ、「平和こそが唯一の選択肢だ」と強調。中台関係を巡り、新政権は「高慢にも卑屈にもならず、現状を維持する」と表明した。  さらに中国に対しては「台湾に対する武力の威嚇や言論での攻撃」を停止し、「台湾と共に世界的な責任を引き受け、台湾海峡と地域における平和と安定の維持に力を尽くす」よう呼びかけた。「台湾海峡の平和」や「共存共栄」が中台の共同目標になるべきだとの考えも示した。
  「対等と尊厳の原則の下、(中台の)対話が対抗にとって代わるべきだ」と述べ、「一つの中国」原則を認めない民主進歩党政権との対話を拒否してきた中国の習政権に対し、対話を求めた。
  一方、頼氏は「われわれは平和の理想を追求するが、幻想を抱くことはできない」と指摘。「中国が台湾への武力侵攻を放棄していない状況」において、「たとえ中国側の主張を全面的に受け入れ、(台湾の)主権を放棄しても、中国が台湾を併呑する企ては消失しない」と強調した。
  その上で頼氏は「中国からのさまざまな威嚇や浸透工作」に対処するため、国防力強化し、経済安全保障を構築して、「世界の民主主義国家」との連携を進める考えを示した。


2024.05.18-産経新聞(KYODO)-https://www.sankei.com/article/20240518-I2BRPR3WAFPV3IGQ6EFKXVCGUY/
安倍昭恵さん、記念酒贈呈へ 台湾新総統に 一般には販売されない予定

  日本酒「獺祭」を展開する旭酒造(山口県岩国市)の桜井博志会長らは18日、台北市内で記者会見し、故安倍晋三元首相の妻、昭恵さんが20日総統に就任する頼清徳副総統に同社製造の記念酒を贈呈すると発表した。会見では「心からの祝福の意を伝えさせていただきたい。日本と台湾の結びつきがさらに緊密になるよう期待する」との昭恵さんのメッセージが読み上げられた。

  記念酒には、故李登輝元総統と安倍元首相が天国で囲碁をする姿を想像して描かれた絵などがラベルとして使われている。記念酒は一般には販売されないという
  昭恵さんは19日に台北入りし、20日の総統就任式に出席する予定(共同)


2024.04.28-産経新聞(週刊フジ)-https://www.sankei.com/article/20240428-WLR32WEIJBFCLOW6JYV3XVQDWM/?outputType=theme_weekly-fuji
中国「台湾進攻」引き金 恣意的判断か、「歴史に名を残す」習氏の個人的野望か 山下裕貴

  中国の習近平総書記(国家主席)は、2022年10月の中国共産党第20回党大会における政治報告書で、「台湾統一について武力行使を決して放棄しない。あらゆる選択肢を持ち続ける」と宣言した。李強首相は今年3月5日の全国人民代表大会(全人代=国会)の政治活動報告で、「平和統一」の文言を消し、「統一」の2文字だけ言及した。

  米国政府の資料によれば、「中国の武力侵攻のトリガー(きっかけ)」は、以下のように想定されている。 ①台湾が独立を宣言したとき。 台湾が国連に加盟申請を行うなど独立に向かう動き。 台湾内部の混乱。 台湾の核武装の動き。 台湾が平和維持軍の駐留を要請したとき。
  この中で最も可能性があるのが、の「独立に向かう動き」である。現実に動きがなくても、中国が恣意(しい)的に判断する可能性がある。
  ロシアのウクライナへの侵攻名目「抑圧されて民族虐殺に遭っている人々を守り、非軍事化・非ナチス化すること」であった。この名目は一方的なものである。ウクライナのNATO(北大西洋条約機構)加盟の動きが、ロシアの許容限界を超えたのである。ごく小さな事象でも、戦争を起こそうと考える国には「開戦の口実」となる。
  それでは中国指導部は、いかなる条件下で台湾侵攻を決断するのだろうか。 反国家分裂法では「平和統一の可能性が完全に失われたとき、国は非平和的方式その他必要な措置を講じて、国家の主権と領土保全を守ることができる」と明文化されている。つまり、「平和統一の可能性が完全に失われた」中国指導部が判断したときに決断することになる。 また、台湾の行動以外にも、決断の引き金となることがある。それは、中国の内政面からの事情である。
  中国共産党は香港を事実上併合し、残るは台湾のみとなった。国内経済の低迷・格差の拡大・失業者の増加・環境の悪化などにより、国民の不満が臨界点に達し、その矛先が共産党政権に向かうときには、台湾への武力行使を決断する可能性がある。
  習氏の「個人的な考え」も考慮する必要がある。 文化大革命において父親が失脚し、彼は15歳で下放されて農村で苦汁をなめた。その後、父の復権もあり習氏は文化大革命を生き抜き、出世していくことになる。彼が目指しているのは、台湾に侵攻して中国統一を成し遂げ、毛沢東を超える偉大な指導者として歴史に名を残すこと―ではないのだろうか。 その時、日本の指導者には「いかなる犠牲を払っても、国民の生命と財産を守り抜く」という重い決断が迫られることになるだろう。

山下裕貴(やました・ひろたか)
  1956年、宮崎県生まれ。79年、陸上自衛隊入隊。自衛隊沖縄地方協力本部長、東部方面総監部幕僚長、第三師団長、陸上幕僚副長、中部方面総監などの要職を歴任。特殊作戦群の創設にも関わる。2015年、陸将で退官。現在、千葉科学大学客員教授。新聞やテレビ、インターネット番組などで安全保障について解説している。著書に『完全シミュレーション 台湾侵攻戦争』(写真、講談社+α新書)、『オペレーション雷撃』(文藝春秋)


24.04.11-産経新聞(KYODO)-https://www.sankei.com/article/20240411-D7WJPCI5RFPCDN3YRMUUIEP7I4/
余震で落石か、列車脱線 台湾・花蓮、146人無事

  台湾東部・花蓮県で10日夜、台湾東部沖地震余震によるとみられる線路上の落石に走行中の列車が接触し、先頭車両が脱線した。乗客146人にけがはなかった。台湾鉄路が明らかにした。

  消防当局によると、3日に起きた地震の死者は16人に上っている。行方不明者は3人で、うち2人は花蓮県の山間部にある有名観光地「太魯閣(タロコ)国立公園」の崖崩れに巻き込まれたとみられ、11日も捜索が続く見通し。台湾全土で1100人以上が負傷した。
  脱線は花蓮県から台北市へつながる「東部幹線」で起きた。現場は花蓮県の市街地から北へ約40キロにある山と港に挟まれた駅の近く。(共同)


2024.04.10-産経新聞-https://www.sankei.com/article/20240410-DA2DV3SSIZKDPAI4H4F6HRAVVE/
ビル耐震進まず、手抜き工事も横行 台湾地震1週間

  【花蓮(台湾東部)=白岩賢太、五十嵐一】台湾東部沖地震震源に近い花蓮市では、9階建てマンションが大きく傾き住人の女性1人が亡くなった台湾では過去の被災に学び、建築の耐震基準を見直してきたが、古いビルの建て替えや補強は進まず、手抜き工事も後を絶たない
  花蓮県郊外にある築28年の15階建てマンション。外壁には無数の亀裂が入り、剥落した跡が残る。屋内に入ると、1階の天井が落下。上層階では床面にもひび割れがあり、ガラスや壁、柱などの部材が散乱していた

  マンションには118世帯258人が入居。地震後、地元当局による被災家屋の危険度判定で最も倒壊リスクが高い「赤」と認定され、入居者全員が一時退去を余儀なくされた。最上階に住む柯秋貞さん(55)は「身の安全のためとはいえ住み慣れた部屋を追い出されるのはつらい」と苦悩の表情を浮かべる。
  台湾当局によると、今回の地震で危険度判定した被災家屋は台湾全土で848件。被害が最も大きかった花蓮県では「極めて危険」と認定された家屋が32棟に上った。
  9日、柯さんが住むマンションを調査した防災システム研究所(東京)の山村武彦所長は「市街地の建物被害は極めて限定的だった。被害が大きかった家屋は断層の真上にあり、耐震性にも問題があった」と指摘する。
  2400人以上が死亡し、住宅約10万棟が全半壊した1999年9月の中部大地震を機に、台湾当局は建築法を改正し、耐震基準を強化この地震以降に建てられた住宅の安全性は向上したが、内政部によれば台湾全土には築30年以上の住宅が約500万棟もある。

  今回の地震で傾いた花蓮市中心部の「天王星ビル」。解体工事が進むが、現地メディアによれば、専門家はビルの耐震性に重大な欠陥があったと指摘。検察当局は手抜き工事の可能性も視野に捜査を始めた


2024.02.08-産経新聞-https://www.sankei.com/article/20240208-RQVBWD2EOZOT3M2SXUT3IQPEE4/
台湾、中国行き団体旅行の解禁取りやめ 一方的な現状変更への対抗措置か

  【台北=矢板明夫】台湾の交通部観光署(観光庁に相当)は8日までに、3月からの解禁を打ち出していた中国行き団体旅行の販売を停止すると発表した。中国当局が1月末、台湾海峡上空に設定された民間機の航路の運用変更を一方的に発表したことなどへの対抗措置の一環とみられる。中国は反発しており、中台関係がさらに悪化する可能性がある。

  台湾紙の自由時報によると、観光署は7日、各旅行業者に対し、3月1日から認めていた中国行き団体旅行の販売を停止するよう通達した。すでに販売済みの5月末までのツアーについては渡航を認める。
  台湾の交通部(国土交通省)は昨年11月、今年3月から中国行き団体旅行を解禁する方針を公表。各旅行業者は中国の東北地方やチベット自治区、江蘇省蘇州などへのツアー販売を始めていた。民主進歩党の蔡英文政権は、コロナ禍などで中断した中台間の団体旅行を通じた交流を再開させることで、中国が台湾に歩み寄り、関係改善につながることを期待していた。
  だが中国は今のところ、台湾への中国人団体旅行の再開に向けた動きを全く見せていない。さらに中国当局は1月30日、台湾海峡の中間線付近に設定している航路「M503」について、より台湾寄りに飛行するよう運用を2月1日から変更すると発表。台湾側は一方的な現状変更だとして中国に猛抗議したが、無視された
  中国行き団体旅行の販売停止について、5月に台湾の総統に就任する民進党の頼清徳副総統は「中国と対等の立場で交渉したいという私たちの立場に変わりはない。早く正常な状態に戻ることを期待する」とのコメントを発表した。一方、中国で対台湾政策を主管する国務院(政府)台湾事務弁公室の朱鳳蓮報道官は7日、「両岸同胞の交流を阻害し、その幸せを損なう行為だ」と批判した。


2024.02.01-産経新聞(KYODO)-https://www.sankei.com/article/20240201-C3AUZHXHNJKXJPAYZP5KCN75J4/
台湾周辺に「殲10」など中国軍33機 中間線越えも 軍艦延べ6隻活動

  台湾国防部(国防省に相当)は1日、中国の軍用機延べ33機が同日午前6時(日本時間同7時)までの24時間に台湾周辺で活動したと発表した。うち延べ14機が台湾海峡の暗黙の「休戦ライン」である中間線を越えたり、台湾南西の防空識別圏に進入したりした。軍艦延べ6隻の活動も確認された。

  軍用機は戦闘機「殲10」や無人機など。台湾国防部は「厳しく監視し対処した」と説明した。(共同)







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