社会問題-wiki・社説・時事公論・主張・etc-2



2023.04.28-REUTERS-https://jp.reuters.com/article/idJP2023042701001143
車内放置で死亡「重篤と捉えず」
【共同通信】

  神奈川県は27日、児童相談所が関与しながら子どもが命を落とした虐待事件の第三者検証委員会による報告書を公表した。2022年に厚木市で1歳と2歳のきょうだいが車に残され熱中症で死亡したケースでは、母親=保護責任者遺棄致死罪で実刑確定=が事件前にも車内に放置し、児相が認識していたのに「重篤なリスクとして捉えていなかった」と指摘した。

  報告書によると、母親は22年7月8日、商業施設の駐車場で長男を車に放置。県警が14日に児相通告したが、児相は緊急性の高いほかの事案を優先した。母親は29日、長男と長女を再び放置。児相はこの日になって母親に電話したが、母親は出なかった。
【共同通信】


2023.04.10-産経新聞-https://www.sankei.com/article/20230410-M22OMUBRWJKBVAS3X235VOHQJM/
「専守防衛を改めよ」 正論大賞の織田氏が受賞講演

  第38回正論大賞(フジサンケイグループ主催)を受賞した元空将で麗澤大特別教授の織田邦男氏の受賞記念大阪講演会が10日、大阪市北区のリーガロイヤルホテルで開かれた。織田氏は「ウクライナ戦争の教訓と日本の課題」と題して講演し、日本の防衛力強化の必要性を訴えた。

  織田氏は現在の日本の安全保障環境について、中国や北朝鮮、ロシアによる侵略が現実味を帯び、3正面対応を迫られているとして「戦後最大の危機」と形容。さらに日本と、ロシアによる侵略を受けたウクライナには、専守防衛を堅持するなどの共通点があったと指摘し「必要最小限の軍事力しか持たず、くみしやすいと相手に思われれば抑止は効かない」と訴えた。
  その上で昨年12月に閣議決定された国家安全保障戦略など新たな「安保3文書」に言及。「核抑止戦略という一番大切なものに2行しか割かれておらず、『ない』に等しい。画竜点睛(がりょうてんせい)を欠く内容だ」と苦言を呈した。ウクライナでの教訓を踏まえ「専守防衛から戦略守勢へと改め、戦争を起こさせないためにどうすればいいのか国民1人1人が考えていくべきだ」と述べた。


2023.03.23-産経新聞-https://www.sankei.com/article/20230323-IUOOYDGKEJJCFLD7FW4SJ54UM4/
ウイグル問題「日本が発言を」 静岡大・楊海英教授(ようかいえい・ヤン-ハイイン)が仙台「正論」懇話会で講演

  仙台「正論」懇話会の第69回講演会が23日、仙台市青葉区のホテルメトロポリタン仙台で開かれ、静岡大の楊海英教授が「ジェノサイド国家 中国と諸民族-モンゴル・ウイグルの真実」と題して講演した。

  楊教授は先の大戦後、モンゴルは日本的な近代教育で飛躍的に発展を遂げ、ウイグルも西方からの先進的な思想が流入して知識人層を形成したと指摘。「アジア諸国が西洋列強からの独立を目指したのに対し、モンゴルとチベット、ウイグルは中国からの解放を目指した」と述べた。
  一方、中国は殺戮(さつりく)に加え、内モンゴルには母国語の使用を禁止している。ウイグル人にも徹底的な監視や中国人と結婚させる同化などのほか、組織的な性犯罪を行っていると指摘。その上で「日本がリーダーシップを取って発言することが重要だ」と訴えた。


2023.03.04-TBS NEWS DIG.-https://newsdig.tbs.co.jp/articles/-/361485?display=1
“お茶汲み”する職員に1日20万円…五輪費用3.6兆円オーバーの“裏側” 組織委元職員が告白【報道特集】

  巨額の公金が使われた東京オリンピック。会場運営を担った大手広告代理店などが相次いで起訴されました。番組では組織委員会の元職員4人を取材。
  そこで語られた費用が膨張した“からくり”とは。
(1)
東京オリンピック・パラリンピックの運営業務をめぐる談合事件。
 大会組織委員会の元次長や大手広告代理店・電通の幹部らが 次々と逮捕・起訴された。競争入札が行われなかったこともあり費用が膨らみ、公金が組み込まれている大会費用は当初の7340億円から約5倍の3兆6800億円となった。
  報道特集は4人の組織委員会元職員を取材。出身母体は広告代理店、自治体、競技団体など。口々に語られたのは、費用が膨らんだ“からくり”だ。

  組織委元職員 (P-2)氏「素人組織ができることは、もう電通に頼ることしかできない、付け込まれる隙をずっと持っていた」
  電通出身 組織委元職員A-1氏「正直言うと広告業界が麻痺しているのは間違いない。組織委員会側にノウハウが全くない。言いなりにならざるを得ない」
 こうした図式は本大会だけではない。招致の段階から代理店が深く関わっていた。リオデジャネイロオリンピックの閉会式で東京をPRするため、安倍晋三元総理をサプライズ登場させたあのシーン。約8分間のセレモニーにかかった費用は11億2000万円。このうち、8億円は東京都つまり公金から支出された。
 元東京都職員としてオリンピック招致に関わった(G-2)氏は・・・。
(2)
元東京都職員 B-1氏  国士舘大学客員教授
  「経費について『どういうふうにして委託業務を作っていくか』と言ったら(上司から)『ダメダメ、もう電通1本』独占みたいになっている。交渉がほとんどできない状態。競争入札できる状態ではないから(費用が)言い値になってしまう」
 今回事件となった談合では、組織委員会の元次長・(I-1)被告と電通など7社の間で総額437億円の業務を対象に不正な受注調整が行われたとされる。電通で20年以上勤め、組織委員会の職員だった(A-1)氏は、大会をめぐる“いびつな構図”をこう説明する。
  電通出身 組織委元職員(A-1)氏「(組織委の)(I-1氏)次長の下には何名か部長がいますけど、電通から出向している部長が当然いますので、受注者側(電通)が人を送り込んで、発注者側(組織委)として調整している」
  会場運営を受注した電通が発注者側の組織委員会に社員を出向させ、調整を行ったというのだ。関係者への取材では、組織委員会に出向していた電通社員が社内向けに作成した資料には 「電通の利益を最大化するよう、組織委員会に社員を派遣すべき」という内容が記載されていたという。
  電通出身 組織委元職員(A-1)氏電通の利益を最大化にするというのはもちろんあると思うが、特定の会社に会場ごとに委託して本番まで実施させるというスキームを考えたのは(電通社員)だろうし、それを承認したのは(I-1氏)だと思う」
  さらに契約の形態にも偏りがみられたという。談合があったとされる2018年度から2021年度までに組織委員会が結んだ契約のうち、特命随意契約の件数が競争契約の約1.5倍に及んでいた。
  特命随意契約は、1社のみからの見積額を基準に金額を決めるため、相場より高くなる傾向があるという。
 組織委元職員(B-2)氏「一般競争契約が基本で、随契が例外。逆なんですよね。組織委員会の場合は競争契約が例外で、随契が基本というような考え。(組織委の上司は)『我々は公益財団法人で、今回は契約の内容とかを公表する義務がありません』と。これは(当時の五輪担当の丸川)大臣が国会で答弁しています」-当時、丸川大臣はこんな答弁をしていた。
  丸川珠代 五輪担当大臣(当時)「東京都及び組織委員会が出しておられる経費、チェックを入れるわけですけれども、中には守秘義務がかかっていて、私どもも見せていただけない経費があることをご理解いただければと思います」
  組織委元職員(B-2)氏「(組織委の上司は)『また過去の長野(五輪)の事例を見ても、会計検査院による検査等々には該当しないので、絶対に外部からの監査の目が入ることがないので大丈夫です』という回答が常にありました」・・・(B-2)氏が契約形態への疑問を上司にぶつけても、 その手法が変更されることはなかったという。経費がふくらむ“からくり”は、これだけではなかった。
  会場運営費のほとんどを占める「人件費」だ
(3)
  例えば、武蔵野の森総合スポーツプラザで運営にあたるスタッフの人件費は総額で6億2300万円となっている。
  オリンピック会場への派遣スタッフを集めるよう依頼された人材派遣会社がある。
(B-3)さんのところにもこういった話が?
   ファンファーレ・エージェンシー (B-4) 社長「うちの方にも人を出してほしいという話は来ていました」-だが、それは会場運営を請け負った広告代理店ではなく別の会社からの依頼だったという。
(B-3)氏-御社に来るまでにだいたい何社ぐらい入っている?
  ファンファーレ・エージェンシー (B-4) 社長「6社、6番目かそれ以下じゃないか。オリンピックに関してはベースとなる金額がよくわからない。間に何社入っていて、どのくらい抜いているのかというのはあくまでも予測でしかない」
  多くの会場で組織委員会から委託を受けた広告代理店は再委託を繰り返し、必要な数のスタッフを確保することが行われた。関わった会社のすべてが「手数料」を得るため、元の人件費が高額になってしまうというのだ。

電通出身のA-1氏は・・・
  電通出身 組織委元職員A-1氏「結局一番下に払う金額を決めておいて、それにその会社に利益を足した合計になる。結果としては個人がもらえるギャランティーと、設定されているギャランティー(人件費)の間には5倍とか6倍にならざるを得ないという仕組み」

  報道特集が入手した、会場ごとの人件費などが記された組織委員会の内部資料。委託業者の欄には今回、談合に関わったとされる広告代理店などの名前が並ぶ。
  電通出身 組織委元職員A-1氏「中抜きの証拠であることは間違いない。(内部資料の)金額を見ればわかるように」一覧表には、それぞれの役職にかかる人件費の単価が書かれている。例えば「運営統括」の単価は東京スタジアムが日当30万円、国技館が日当18万7000円となっている。
  電通出身 組織委元職員A-1氏「1つの大会にも関わらず、金額がバラバラなんですよね。一番問題なのは多分そこ。組織委員会側にノウハウが全くない。だから結局、委託業者に委託するしかないし、言いなりにならざるを得ない」
  番組が新たに入手した、ある会場の運営費の見積書。この会場を担当していたC-1氏が取材に応じた。
  組織委元職員C-1氏「会場運営をするために業者(広告代理店)からいただいた見積書。あくまで無観客になる前の見積書」
     人件費の日当を示す欄には「チーフディレクター:単価12万円」「リーダー:単価10万円」などと書かれている。だが無観客が決定した後も、この単価が変更されることはなかった。
  組織委元職員C-1氏「単価というものは我々が関知できない部分。当然我々としても業務量が少なくなっているので、単価を減らしていただきたいという思いはありつつも、それが既定路線という形で進んでいた。本当にやるせない思い。上司に相談してさらに上につなげていただいたとしても『金額を精査しましょうか』という回答がなかった。我々現場から声を上げても変わらなかった」
  人件費の問題はその価格だけではない。組織委員会に社員を出向させた広告代理店に、準備の段階から支払われていたことが新たに分かった。
  組織委元職員D-1氏「私がいたところでは、大手広告代理店に業務を委託するという形で、広告代理店から常時、約10名の方が来ていただいて、同じ事務所で仕事をすることになった。単価を聞くと1人20万円で」
  ーー1日?
  組織委元職員D-1氏「1日20万円ですね。それが4年間続いた」-計算すると、1人あたりの人件費は4年間で1億9200万円。10人だとすると19億円以上になる。その業務は、B氏にはこんな風に映っていたという。
  組織委元職員D-1氏「連絡業務という役職がありまして『連絡業務って何?』と聞いたら、『本社(広告代理店)との連絡業務です』と。特に『これ会社に持っていって』と言われた物を持っていくだけ」
  ーーでもそれが常にあるわけじゃないですよね?
    「ないですね。ほとんどみんなのお茶を汲んだりとか、本人は(20万円)もらっていないのですが、その代理店には1日20万円払っていた」
  組織委員会元職員のC-1氏も、広告代理店から出向してきた職員の仕事ぶりに驚いたと話す。
  組織委元職員C-1氏「私が見ている限りでは、委託した(広告代理店の)業務に対する仕事をしていただけ。そもそも組織委員会の職員としての仕事をしているところを目にすらしない。もう疑問だらけでした」


2023.03.04-毎日新聞-https://mainichi.jp/articles/20230304/ddm/005/070/121000c
社説-放送法巡る「内部文書」 政治的圧力の経緯検証を

  放送に求められる「政治的公平」の解釈を巡る第2次安倍晋三政権内部のやりとりを記したとされる文書を、立憲民主党の小西洋之参院議員が公表した。放送法4条に定める「政治的に公平であること」について、従来は放送事業者の番組全体を見て判断すると解釈されてきた。

  だが政権は2016年2月、「一つ一つの番組を見て、全体を判断する」との見解を示した。当時の高市早苗総務相は、一つの番組だけで公平性を欠いたと判断する可能性に言及し、放送局の運用停止などをちらつかせて物議を醸した
  文書では14~15年、当時の礒崎陽輔首相補佐官が、問題視する特定の番組名を挙げながら、総務省に解釈の変更を迫る様子が詳述されている。安倍氏が「現在の放送番組にはおかしいものもあり、現状は正すべき」だとの発言をしたという記述もある。
  松本剛明総務相は「解釈を変えたものとは考えていない」と強調する。しかし、文書の内容が事実であるなら、新たな解釈を打ち出すよう首相官邸側が総務省に働きかけていたことになる。
  異論封じの傾向が強かった安倍政権下では、政府・与党が政治的公平」を理由に、報道番組に対したびたび口を出してきた。
  衆院選を控えた14年11月には、安倍氏がTBSの街頭インタビューが偏っていると批判した。その後、自民党は在京6局に「報道の公平中立、公正の確保」を求める「お願い」を送り、番組のテーマやゲスト出演者の選定にまで注文を付けていた。
  今回の文書に記されているやりとりの時期は、それらとほぼ重なっている。
  放送法の目的は、放送の自律を保障することによって、表現の自由を確保することだ。政治圧力によって、放送が萎縮させられるようなことがあってはならない
  きのうの参院予算委で、松本総務相は「総務省の文書であるかは精査中」と述べた。岸田文雄首相も「正確性、正当性が定かではない」との見方を示した。
  国民の「知る権利」に関わる重大な問題である。政府は文書の内容を検証して、その結果を明らかにすべきだ。


産経新聞-https://www.sankei.jp/csr/akemi
明美ちゃん基金

  明美ちゃん基金は、先天性心臓病などに苦しみながら経済的な事情で手術を受けることができない子供たちを救うため、産経新聞社が提唱して設立された基金です。活動資金はすべて読者を中心とする一般の人たちからの寄託金でまかなわれ、50年以上にわたり、200人を超える幼い命を救ってきました。

「貧しいがゆえに死なねばならぬか」
  昭和41(1966)年6月7日。1通の投書がきっかけとなり、サンケイ新聞(現・産経新聞)社会面に闘病生活を送る幼い少女の記事が載りました。
  少女は、鹿児島県に住む伊瀬知(いせち)明美ちゃん(当時5歳)。生まれつき心臓の右心室と左心室の間に穴が開いている心室中隔欠損を患い、「手術をしなければあと2、3年の命」と宣告されました。
  手術費は50万円。現在の約500万円に相当しました。8人家族で農業を営む両親にとって、わずかな田んぼを売り払ってもとうてい手の届かない大金でした。
  「明美ちゃんを救おう」。記事は大きな反響を呼びました。その日のうちから社会部に電話や手紙が殺到し、翌日までに全国から66件、268万円余りの善意が寄せられました。1週間後には420件、425万円余りに達し、手術に必要な額をはるかに上回りました。
  「まだ第2、第3の明美ちゃんがいることと思います。そのような人たちに1日も早く明るい日を与えてください」(4000円を寄せた神奈川県の私立中3年生たち)
  善意を寄せた人の中には、こんな意見も多くありました。産経新聞社は、明美ちゃんの両親や、手術を引き受けた東京女子医大付属心臓血圧研究所の所長、榊原仟教授(故人)らと協議しました。
  41年6月15日、心臓病の子供を救う日本で初めての基金「明美ちゃん基金」が誕生しました。
外国人にも拡大
  明美ちゃんは、ただちに心臓血圧研究所へ入院しました。当時、心臓病の世界的権威といわれた榊原教授の執刀で手術に臨みました。手術は成功し、昭和40年代には明美ちゃんに続き、心臓病に苦しむ「第2、第3の明美ちゃん」たちが適用を受け、元気を取り戻していきました。
  基金の活動をきっかけに、先天性心臓病の子供に対する国の対策も前進しました。厚生省(当時)が42年から育成医療費を増額し、心臓病を支給対象に含めるなど、医療費は健康保険や公的扶助でほぼカバーされるようになりました。
  国内で対策が進むにつれ、基金には、発展途上国の子供たちを救うという新たな使命が加わりました。すでに47年、インドネシアのニューニューちゃん(当時7歳)が外国人の適用第1号として手術を受けていましたが、医療事情の悪いアジアの発展途上国を中心に、子供たちが次々と適用を受けて来日しました。
  これまでにネパール、韓国、カンボジア、マレーシアなどの子供たちが手術を受けました。昭和63年以降の適用者は、すべて外国籍となっています。
広がる「使命」
  昭和59年には、乳幼児に多発する原因不明の難病、川崎病の後遺症による心臓障害にも基金の適用を拡大しました。北海道の望月美奈子さん(当時10歳)が手術を受け元気になりました。
  61年には、移植によってしか延命の方法がない胆道閉鎖症の女児、金城結麻(ゆあさ)ちゃん(当時1歳)が基金の適用で渡米し、ボストン小児病院で肝臓移植手術を受けました。産経新聞も脳死臨調の発足に先立って、移植医療キャンペーン「甦(よみがえ)れ!いのち」を展開しました。
  子供たち1人ひとりの命を救う一方、小児の心臓病をめぐる学術研究にも基金を拠出。また、平成10(1998)年には発展途上国の医療活動にも適用を拡大し、ミャンマー中部で「ミャンマー子ども病院」の建設を支援しました。
  明美ちゃん基金はこれまで50年以上にわたり、“愛といのちのバトンタッチ”という大きな善意の橋渡し役として成長してきました。みなさまの支援により、この灯をいつまでもともし続けたいと願っています。

基金の適用基準
  (1)先天性心臓病や川崎病後遺症、その他の重い心臓疾患に苦しむ子供で、経済的な事情で入院や手術ができないと認められたもの
  (2)医療・衛生基盤が未整備な開発途上国で、心臓病など小児難病に苦しむ子供への医療活動のうち、特に支援の必要性が認められるもの
  (3)心臓病など小児難病の学術研究
  (4)上記の適用対象となる子供は原則16歳以下とする
お問い合わせ先
  ≪東京≫  〒100-8077 東京都千代田区大手町1-7-2  産経新聞厚生文化事業団「明美ちゃん基金」
  ≪大阪≫  〒556-8660 大阪市浪速区湊町2-1-57  産経新聞厚生文化事業団「明美ちゃん基金」  (06)6633-9240(大代表)
寄託金の振り込み先
  【口座名義】 産経新聞厚生文化事業団 明美ちゃん基金
  ≪東京≫  ゆうちょ銀行  振替口座 00960-1-313874  みずほ銀行東京中央支店  普通口座 567941
  ≪大阪≫  ゆうちょ銀行  振替口座 00920-4-333518  三菱UFJ銀行堂島支店  普通口座 4535010  りそな銀行堂島支店  普通口座 6202543


2023.01.01-産経新聞-https://www.sankei.com/article/20230101-OBUNZRKGWFK7TDXO6Z6YSSEPMA/
「国民を守る日本」へ進もう 論説委員長・榊原智

  「日本が努力しなかったら、戦後初めて戦争を仕掛けられるかもしれない。戦争したくないから抑止力を高めようとしているんですよ」このように語ると、たいていの人が首肯してくれた。
  昨年は仕事柄、なぜ岸田文雄首相が防衛力の抜本的強化へ動いているのか―と問われる機会がしばしばあった。それへの説明である。
  ロシアがウクライナを侵略し、岸田首相は「東アジアは明日のウクライナかもしれない」と語った。日本の首相が戦争の危機を公然と憂えたのは、少なくともこの数十年間なかったことだ。安全保障環境はそれほど深刻である。
世論は防衛強化を支持
  岸田政権が決めた国家安全保障戦略など安保3文書は、反撃能力の保有や5年間の防衛費総額43兆円などを盛り込んだ。安保政策の大きな転換で岸田首相の業績といえる。
  安倍晋三政権は集団的自衛権の限定行使を容認する安保関連法を制定した。軍拡を進める中国や北朝鮮に比べ防衛力が十分でないという課題が残ったため、岸田政権は防衛体制の質と量を整える実践面の改革に着手した。それは平和を追求する日本外交の発言力も高める。ウクライナ人が祖国を守る姿を見た国民の多数は防衛力強化を支持している。
  もちろん、政策文書だけでは安全は手に入らない。今年は3文書の抑止力強化措置を講じる最初の年だ。令和5年度予算成立なしには防衛費増額も始まらない。関係者の努力や同盟国米国との協力が重要だ。
  台湾への中国軍の侵攻があれば、地理的に極めて近い南西諸島が戦火に見舞われる恐れはある。中国は尖閣諸島(沖縄県石垣市)を台湾の付属島嶼(とうしょ)とみなしている。「台湾統一」が中国の夢なら尖閣も含めようとするだろう。台湾有事と日本有事が否応(いやおう)なく連関する点から目を背けて、備えを怠れば本当に戦争がやってくるかもしれない。抑止力と対処力の向上が急がれるゆえんだ。

  北朝鮮の核・ミサイルも問題だ。ところが、反撃能力保有をめぐり一部野党や多くのメディアは「相手国が発射する前の反撃能力行使は先制攻撃になる恐れ」や「歯止め」を専ら論じている。核ミサイルも抑止しなければならないのに、バカも休み休み言ってもらいたい。
  日本が参考にすべきは同じ民主主義の欧米各国の防衛政策だが、ミサイル対処で日本のような見当違いの議論が横行する国はない。理由なく相手を叩(たた)く先制攻撃が国際法上不可なのは自衛隊も先刻承知だ。反撃能力の円滑な導入を論じてほしい。
  それでも反撃能力の運用は何年も先になる。既存の部隊や装備を十分活用するため弾薬、整備部品の確保を急ぎたい。特に弾薬庫増設は重要で地元自治体は理解すべきだ。
「シェルター」担当相を
  ロシアは国際法を無視してウクライナの民間人・施設をミサイル攻撃している。このような非人道的な戦術を中朝両国が有事に真似(まね)ない保証はない。台湾のように、日本でも地下シェルター整備は急務だが、内閣に整備促進の担当相がいないのは疑問だ。政府はウクライナや台湾、欧米、イスラエルへ調査団を派遣し、国民保護の手立てを学ぶべきだ。
  残された問題はまだある。
  中朝露が核戦力増強に走っているのに、安保3文書に国民を守る核抑止態勢強化の具体策がない。岸田首相には取り組む責務がある。
  何より、北朝鮮に拉致されたり、それに似た状況に置かれた国民を、自衛隊は海外で救出することが許されていない。憲法9条の解釈で海外での武力行使が禁じられているせいだ。現地政府の了解を得た警察権の代行なら余地があるというが、敵対的な国で日本国民が非道な目にあっている場所が分かっても、救出作戦の選択を端(はな)から放棄しているのが戦後日本だ。国民を守らない9条の呪縛である。
  1976年にイスラエル軍は、ウガンダのエンテベ空港で、テロリストがハイジャックした民航機を急襲し、人質だった自国民のほとんどを解放した。このとき、ウガンダ政府は反イスラエルの姿勢だった。
  日本が国民を守れる国になるには乗り越えるべき壁がまだある。


2023.01.01-産経新聞-https://www.sankei.com/article/20230101-ZKPYEBOLZVP3DMBNY4MV6DWRKI/
チャイナ監視台「民進党惨敗と次期台湾総統選」 産経新聞台北支局長 矢板明夫

  去る十一月二十六日に行われた台湾の統一地方選では、二十二ある県・市(うち一市は候補者死亡に伴い選挙延期)の首長選の中で与党・民進党は五人しか当選させられず惨敗しました。
  特に中枢都市・台北市では民進党はエース中のエースで、新型コロナ対策で陣頭指揮をとり二年半にわたり連日、記者会見を開くなど奮闘してきた陳時中・前衛生福利部長(厚生労働相に相当)を擁立しました。台湾では二〇二二年に入り、感染力が強いものの重症化率は低いオミクロン株が広まったのを受けてゼロコロナ政策をやめたのですが、そのために感染者数は急増し現在、一日一万人以上の感染者が出る状況になっています。その中で陳氏は衛生福利部長を辞めて市長選に出たため「職場放棄だ」などという批判にさらされ、結果的に陳氏は野党・国民党の若手で蔣介石元総統のひ孫にあたる蔣万安・元立法委員(国会議員に相当)に十万票以上の大差をつけられて敗れたのです。

  台北市では一九九四年に陳水扁氏(のちに総統)が市長に当選しましたが四年後には落選し、それ以後、民進党の候補は当選したことがありません。台北市は外省人(先の大戦後に大陸から台湾に渡ってきた人たちとその子孫)が多い地域で、国民党の牙城です。九四年の市長選は国民党側が分裂選挙になったため陳水扁氏が当選できましたが、次の選挙では国民党が候補を一本化したため陳氏は再選を果たせませんでした。

  今回、任期満了となる柯文哲市長は八年前の二〇一四年に無所属で初当選しました。このとき、民進党は勝ち目がないとみて候補を取り下げ、柯氏を支援したのです。その柯氏は二期目途中で自身の政党「台湾民衆党」を立ち上げ、野党勢力となりました。今回の台北市長選では柯氏の後継候補と国民党の蔣万安氏が出馬したため、久々の野党分裂選挙となり、そこに民進党はエース・陳時中氏を投入したわけですが、あえなく敗れてしまったのです。
国内政策の失敗と浸透工作
  二〇二〇年一月の台湾総統選では蔡英文氏が史上最多となる八百十七万票を獲得し、民進党の時代が当面続くかと思われていましたが、それから三年もたたずに民進党は惨敗し、蔡氏は党主席を辞任することになりました。
  民進党の敗因はいくつか考えられます。一つには、他国ほど深刻でないとはいえ世界情勢の影響を受けて、やはり台湾の経済状況もよくないということがあります。
  台湾の半導体産業は、いま絶好調です。実は二〇二二年の台湾の一人当たり国内総生産(GDP)は、初めて日本や韓国を抜いて東アジアでトップとなる見通しです。与党・民進党は政権の手柄として大々的にアピールしていますが、一方で若者の失業などは深刻で国民の実感とはかけ離れたところがあり、民進党への逆風となっているのです。


解説2022.03.28-TOKYOU MX-https://s.mxtv.jp/tokyomxplus/mx/article/202203280650/detail/
次世代エネルギーとして注目の「核融合発電」を専門家が解説

  TOKYO MX(地上波9ch)朝の報道・情報生番組「堀潤モーニングFLAG」(毎週月~金曜7:00~)。「フラトピ!」のコーナーでは、量子科学技術研究開発機構の栗原研一さんをゲストに迎え、研究開発が進んでいる“核融合発電”について深掘りしました。

◆世界の電気の未来を担う次世代エネルギー「核融合発電」
  現状、日本の発電方法は大きく4つあり、なかでも最も発電量が多いのは「火力」でその割合は76.3%。メリットは安定供給できることですが、温室効果ガスを排出してしまうデメリットがあります。次いで「太陽光」、「水力」と続き、前者は場所を選ばないものの天候に左右され、後者は変換効率が高いものの場所を選ぶという特徴があり、4つ目が「原子力」。これは発電量が多いという強みがある一方で、放射性物質の処理が必要となります。
  どれも一長一短あるなか、注目されているのが次世代エネルギー「核融合発電」。現在、その実現に向けた国際的なプロジェクト「ITER」が進行中で、そこには日本・ヨーロッパ・アメリカ・ロシア・韓国・中国・インドが参画。核融合実験炉「ITER」を共同製作しており、日本では茨城県の那珂研究所でITERより先端的な研究を行う実験装置「JT-60SA」を製作しています。
  核融合の研究は約40年前に世界中で本格化したといいますが、NPO法人「あなたのいばしょ」理事長の大空幸星さんは、40年も研究しているにも関わらず、あまり実用化に至っていないその原因を疑問視。これに栗原さんは「それがまさに核融合発電の難しさ」と回答。

  核融合は、装置の規模が小さいとエネルギーが取り出しにくく、大きくなればなるほど取り出しやすい傾向があるため、「小さな規模から徐々にスタートしていたので、なかなか性能が上がってこなかった」と栗原さん。対して大空さんは、これまで国が多くの投資をしてきているものの、欧米に比べれば足りなかった部分があると指摘し、「これは成長戦略・成長産業になると思うので、しっかり投資し、早い段階での実用化を目指してほしい。これは官民で研究していく問題」と期待します。
◆原子力に比べ格段に安全だが…核融合発電の大きな課題
  では「原子力発電」と「核融合発電」の違いは何か。それは原子力発電が“核分裂”を使用し、資源のウランに中性子をぶつけ、分裂するときのエネルギーを使うのに対し、核融合発電は、重水素と三重水素をぶつけて融合するときに出るエネルギーを使います。
  そしてメリットとしては、日本はウランを海外から輸入していますが、核融合発電の資源である重水素と三重水素は海水から抽出可能。また、放射性物質の処理も核分裂で使用すると約10万年かかる一方で、核融合だと約100年で済むといいます。さらに栗原さんは「ポイントは、ウランは主にブレーキを使って制御する“連鎖反応”が中心なのに対し、核融合はアクセルで制御する。制御の仕方に大きな違いがある」と解説します。
  また、「高レベル放射性廃棄物が出てくるウランに対し、核融合の燃料は無害なヘリウムなので、燃料廃棄物的にも無害」、さらには「核融合でも中性子が出てくるが、これが炉壁に当たると“コバルト60”という放射性物質を作り、このコバルト60は半減期が約5年100年ぐらい放置すると約100万分の1に下がるため、多くのものは一般物に戻る」と核融合の安全性を力説
  ここで臨床心理士のみたらし加奈さんからは新たな問題提起が。「核融合が広がった際、那珂研究所以外にどこに施設を作るのか。核融合と名前がつくと、いろいろと憶測を呼び、施設の近隣住民が嫌がるのではないか」と疑問を呈します。
  これに栗原さんは「核融合は非常に安全性が高いことがひとつの特徴」と明言しつつ、それでも「立地の問題は、まさにこれからのテーマ」と返答。「各国でどこに作るかという話が今後スタートしていくと思う。そういう意味では、場所についてもこれからみなさんの意見を伺いながら決めていくことになると思う」と展望を語ります。

  核融合発電の発電量は燃料1グラムで石油8トン分(原発は1.6トン分)。さらに安全性に関しては、核融合は単独反応ということで不測の事態が起きてもスイッチを切ればすぐに停止可能。しかし、デメリットとしては、設備のコストが高額になります

また、「イータージャパン」の公式Twitterで、人工知能(AI)開発のDeepMindが核融合炉の磁気制御に成功し、ほぼ思い通りのプラズマの制御が可能になったと発信しているように、今後はAIとの連携も想定されていますが、そのあたりのリスクはどうなのか。
  栗原さんに聞いてみると、核融合の制御にはさまざまな手段があり、それが複雑に絡むため、AIによって制御方法を最適化することは「将来的にも有望」と見解を示します。
◆核融合発電の今後…2050年には発電できる原型炉を建設予定
  現在、実験炉ITERの建設進捗度は2021年10月末で約75%。2035年にも本格的に運用する予定で、発電ができる原型炉も2050年頃に建設予定。一方、茨城県にあるJT-60SA実験装置は、今年の秋にも本格的に稼働予定だということです。
  ここで大空さんは「もし何か問題があったときに停止できるとはいえ、例えば電磁力やプラズマの熱で炉のなかの壁を壊すなど、それで炉が稼働できなくなるとことはあり得ると思う」と改めて核融合の安全性を危惧
  これに栗原さんは「炉が溶けてしまうという話があったが、炉のなかは1億度のプラズマで、密度は空気の30万分の1よりも小さいので、熱という意味では壁の金属を溶かすようなことは絶対にない」とその安全性を論理的に解説。さらには、「核融合の稼働については、一度確実にできれば止まることはほとんどない」とも。
  最後に、栗原さんは「2050年頃に原型炉という発電装置の運用を目指しているが、そこで社会の中心として活躍されるのがまさにZ世代。その方々にぜひ核融合発電というものがあることを知っていただけたら」と核融合発電時代の鍵となるZ世代に向けて、思いを語りました。

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<番組概要>
番組名:堀潤モーニングFLAG
放送日時:毎週月~金曜 7:00~8:00 「エムキャス」でも同時配信
キャスター:堀潤(ジャーナリスト)、田中陽南(TOKYO MX)
番組Webサイト:https://s.mxtv.jp/variety/morning_flag/
番組Twitter:@morning_flag


2016.06.15-産経新聞-https://www.sankei.com/article/20160615-ONNNDGREQBMHJLE7LN5NPWKSBU/
明美ちゃん基金設立50年 感謝、胸に刻み続け
(1)
  「明美ちゃん基金」が15日、設立から50年を迎えた。あのとき、重い心臓病に苦しみながらも、貧しいゆえに手術を受けられなかった少女は今、看護師として、かつての自分のように病に苦しむ子供たちを優しく包み込んでいる。読者に支えられながら、50年にわたって紡がれてきた善意の輪。基金と産経新聞は、国内外で心臓病と闘う子供たちを一人でも多く救うため、これからも活動を続けていく。
■原点は松本明美さん 現在は看護師として活躍
   「もう50年なんですね。基金には自分の名前がついていますが、それは私の順番が1番だっただけ。すごいのは、今も善意を寄せてくれる読者の方々です」
   基金の原点でもある松本(旧姓・伊瀬知(いせち))明美さんは現在55歳。病に打ち勝ち、看護師という幼い頃の夢を実現させた後に結婚。2人の子供を育て上げ、今は岡山市にある岡山ろうさい病院の小児科看護師として、忙しい日々を送っている。
   「院内でも多くの同僚は、私が小さいころ心臓病を患い、基金で手術をしていたなんて知らないんです」。昨年、基金のミャンマー医療支援の一環として医師団が渡航したことが院内で話題になったとき、「この明美ちゃんって私のことよ」と告げたら周囲に驚かれた。
(2)
  一方で昨年、何度も心臓の手術をしたという20代の女性が来院してきた際には、その母親から突然、「明美ちゃん基金の明美ちゃんですか」と尋ねられた。「『明美ちゃんもこんな大人になったんですね』と言われ、まだ覚えてくださっている方もいるんだ、と改めて思いました」
  「手術をしなければ、あと2、3年の命」と医師に宣告されたのは5歳の春のこと。それから手術を終え退院するまでの半年間で、人生は大きく変わった。
   もっとも、自分では当時のことはあまり覚えていない。「記憶にあるのは、入院中にできた友達と遊んだことや、手術後、親の名前を呼ぼうと思ったときに声がでなくて泣いたこと、麻酔で使うゴム製マスクのゴムの臭いとか」
   患っていた「心室中隔欠損症」「肺動脈圧亢進症(肺高血圧症)」は、今でこそ根治する病気だが、基金が設立した昭和41年当時は極めて難易度が高い治療が必要とされ、手術室に入った患者みんなが笑顔で戻ることはできない時代だった。
  入院先の東京女子医大付属心臓血圧研究所で手術が行われたのは同年9月21日。執刀は当時の心臓外科の権威、榊原仟(しげる)教授だった。術後は「いい結果のようです」と伝えられたが、実際はしばらく発熱や呼吸困難を繰り返し、厳しい状態が続いた。
(3)
  母の悦子さんは今も「普通に手術をしていたら助からなかったと思う。基金に助けてもらい、みんながお祈りしてくれて、病院の方々が頑張って…。思いを一つにして団結してくれたから助かったのよ」と当時を振り返ることがあるという。
   平成16年に亡くなった父、則雄さんを含め、親子で常に「感謝しなきゃね」「人助けをしなきゃね」と胸に刻み続けてきた50年。今思えば、入院時から憧れ、今では「天職だと思っている」という看護師という仕事に就いたのも、「そうなるべきだと母に諭され、自分でもそう思ってきたからだと思います」。今の姿は、親子の思いが紡いだ結晶でもある。
  自らの名前を冠した基金。今後を問うと、「これからも続いてもらいたい、って言う方がいいですかね」と笑いながら、こう続けた。
  「理想を言えば、心臓病の子供の誰もが安心して医療を受けて救われる、基金がなくても大丈夫な社会になってくれればいいなと思います」
  もっとも、世界の厳しい現実も理解している。「ミャンマーの医療支援の記事などを読むと、現地には昔の自分のような子がたくさんいるんですよね。読者の方々の善意が、これからも心臓病に苦しむ子供に届いてくれることを願っています」
■「明美ちゃん基金」振込先
  「明美ちゃん基金」への振り込みは、みずほ銀行東京中央支店(店番号110)普通口座567941「産経新聞社会部明美ちゃん基金」。郵送の場合は、現金書留で〒100-8077 産経新聞東京本社社会部「明美ちゃん基金」


阿比留瑠比
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  阿比留 瑠比(あびる るい、1966年3月4日 - )は、日本の政治部記者。産経新聞社政治部編集委員。

  福岡県太宰府市出身。県立筑紫丘高校早稲田大学政治経済学部を卒業後、1990年4月産経新聞社に入社。 仙台総局、文化部(生活班)、社会部を経て政治部へ異動。政治部では内閣記者会首相官邸担当、キャップ)、外務省兼遊軍担当を務めたのちに再び首相官邸担当に異動。
主張
  改憲論者であり自衛隊の存在が憲法に明記されるべきであると、更に改憲は安倍晋三政権下でないと不可能であると主張している。ジャーナリストの役割は権力監視ではない、是々非々で行うべきだと主張している。これに対し小林よしのりは「安倍政権だから擁護しているだけ、民進党政権だったら批判だけを行う」と阿比留の姿勢をたしなめている。
慰安婦問題
  日本の慰安婦問題がこじれた原因は強硬な態度をとる韓国への配慮から慰安婦募集における日本軍関与の強制性を認めた政府のその場しのぎで迎合的な対応にあったとして「河野談話」が引き起こしたものと述べている。「河野談話」は韓国における元慰安婦女性16人からの聞き取り調査(内容は非公開)だけ、日本軍・官憲が強制的に女性を集めたことを示す行政文書などの資料は一切ない事から極めて恣意的でいいかげんなものであると述べている。また、河野談話という「根拠」がなければ韓国がここまで高飛車になることはなかったと予測し、政治家歴史家でもその道の専門家でもない為、歴史問題を扱う際にはもっと謙虚・慎重であるべきと主張している。
  2014年8月5日、朝日新聞が慰安婦問題に関する検証記事(16-17面)を掲載し、『「済州島で連行」証言 裏付け得られず虚偽と判断』とし、吉田清治に関する記事(少なくとも16本)を取り消した際には、橋下徹に「あの阿比留瑠比さん。もうあの方の力なんでしょうね。まぁ、あれだけしつこくしつこく、事実に基づいて報道してああいう風になれば、朝日新聞も、もう逃げられなくなったんじゃないですか。」と言われた。
沖縄戦における集団自決
  文部科学省が2007年3月、集団自決を強制とする記述について「軍が命令したかどうかは明らかといえない」との検定意見をつけた結果、「日本軍が配った手榴(しゅりゅう)弾で集団自害と殺しあいをさせ」との表記が「日本軍が配った手榴弾で集団自害と殺しあいがおこった」などと修正された(2007年10月4日産経新聞)ことについて、それによって軍の関与削除と他紙が伝える中、軍の関与自体はそのまま残されていると主張しているのは産経新聞一紙のみであり、2007年12月28日の産経抄においても修正された教科書内容を他紙が 「『軍の関与』復活」(朝日新聞)「『日本軍関与』が復活」(毎日新聞)「集団自決『軍の関与』記述」(読売新聞)「『軍の関与』認める」(日本経済新聞)「軍関与の記述復活」(東京新聞)と伝える中でも軍の関与は元々削除されていないと主張している。
  この一連の産経新聞のみの軍の関与報道について、2007年12月27日の自身のブログのコメント欄にて「「集団自決」にかかる主語の「日本軍」が削除されたので、日本軍の関与が無くなった」との指摘に対して「そういう部分もあるでしょうが、日本語では主語が明確でなくても、関与を否定・削除したということにはならないと思います」と反論している。
その他
  ・映画「南京の真実」の取材を行っている。
  ・「特定アジア」の呼称を広める運動を行うとしている。
  ・2006年7月20日に昭和天皇A級戦犯靖国神社へ合祀したことに反対していたとされる元宮内庁長官富田朝彦の日記(富田メモ)を日本経済新聞が掲載した際には、翌21日の産経新聞(東京版)で特集記事を掲載し、天皇の政治利用と首相(当時)の小泉純一郎による終戦の日の参拝に反対する動きを批判している。   ・2008年1月9日、日本文化チャンネル桜の番組「防人の道 今日の自衛隊」にゲスト出演。首相の福田が自衛隊による栄誉礼を拒否したことを批判した。また同年11月および12月にも同番組に出演している。
  ・2011年には、日本文化チャンネル桜の番組で菅直人内閣の危険性を主張し、東日本大震災後の出演では菅内閣が延命工作をしているとして批判した。
  ・選択的夫婦別姓制度導入に反対。
  ・2017年衆議院解散について「野党などは『今回の選挙が大義がない』と主張しているが、的外れ。いちいち大義が必要なのか。難癖だ」と指摘した。例として郵政解散を挙げ、「衆院で通った法案が参院で否決されたから解散というのはめちゃくちゃ」と話した。
  「野党不信任案」の導入を提言。中国、北朝鮮、ベトナムなどと同様のヘゲモニー政党制の導入を主張。
  ・2011年には、菅内閣の危険性を主張し、震災後の出演では菅内閣が延命工作をしているとして批判した。また、講演やブログで菅直人のことを「人もどき」と呼んでいた。
批判・訴訟
  阿比留に対しては、これまでに2件の訴訟で賠償命令が出されている。
辻元清美に対する虚偽情報
  2011年3月16日および同21日付産経新聞朝刊掲載の論評記事の中で、民主党衆議院議員辻元清美が1992年のカンボジア視察で復興活動をしていた自衛官に侮辱的な発言をし、阪神大震災の被災地では反政府ビラをまいたと、一部インターネット掲示板上でのみ流布している虚偽情報をあたかも事実であるかのように書いた。辻元はこれについて事実無根の記事を掲載され、名誉を毀損されたとして産經新聞社と阿比留に対し3300万円の損害賠償を求めて提訴した。 阿比留は産經新聞社と共に、「当時広く知られていた」「本を引用した」「論評記事だから辻元への取材は必要ない」と弁明したが、2013年3月22日に出された東京地裁の判決では、阿比留が書いたような事実が存在するとは認められず、記事の中で引用したと主張する本に阿比留が書いたような記述はない、また辻元らに対する取材もしておらず内容が事実であると信じるに足る理由もなく、政治論評欄の記事だとしても名誉毀損は成立するとして、社と阿比留に80万円の賠償を命じた(原告被告とも控訴せず確定)。
慰安婦問題に関する安倍晋三の発言
  2007年に行われた日米首脳会談において、慰安婦問題についての意見交換が行われ、首相(当時)の安倍が大統領(当時)のブッシュに対し慰安婦に対しての謝罪の意を伝え、それを受けてブッシュが共同記者会見でその謝罪を受け入れる旨を表明した、と各種メディアで報道された件について、自身のブログや署名記事で、独自の取材網から当該発言がブッシュの一方的なものであり、安倍側からはそのような発言はなかったという事実を掴んだとしてその事実関係を否定している。
  しかし、安倍が謝罪したとする発言の事実は後の第2次安倍内閣において、辻元が提出した質問主意書に対し、「元慰安婦の方々に、首相として心から同情し、申し訳ないという気持ちでいっぱいだ」と発言したとの答弁書だった。
Facebookで投稿した記事に関する訴訟
  2015年4月、阿比留がFacebookで、「某氏が官僚時代に1週間無断欠勤し、登庁後もしばらくは重役出勤であった」との内容を投稿した。投稿した記事では実名は書いていなかったが、その人物が民主党小西洋之を示唆しており(決め手はないものの)、小西の名誉を棄損したとして、刑事告訴ならびに民事訴訟を起こした。
  2016年7月26日、東京地方裁判所は、投稿内容から小西であると理解できるなどとし、その上でまた聞きした情報で真実に足りる証拠がないとし、阿比留に対し記事の削除と110万円の支払いを命じた。
  2016年12月5日、東京高等裁判所は、「1審の判断に誤りはない」とし、原告被告双方の控訴を棄却し、一審の判決が維持された。
  2017年4月5日、最高裁判所第3小法廷が4日付で上告を退ける決定。これにより、阿比留の敗訴が確定した。


明美ちゃん基金
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  明美ちゃん基金は、心臓病の子供を救うため設立された日本初の医療基金。経済的な事情で手術を受けられない5歳女児について報じた産経新聞記事が大きな反響を呼び、全国から届いた寄託金で1966年昭和41年)に設立された(: AKEMI CHAN FUND)。国内外の200人を超す幼い命を救っており、先天性心疾患以外の難病手術や国際医療活動にも基金が適用されている。
概要
  「貧しいがゆえに死なねばならぬか」1966年昭和41年)6月7日の産経新聞に掲載された鹿児島県在住の「明美ちゃん」。心室中隔欠損(右心室左心室の間に穴が開いている)という先天性心臓病のため「手術しなければ残り2~3年の命」と宣告されていたが、手術費50万円(現在の価値で約500万円)8人家族の農家にとって、田んぼを売っても払えぬ大金だった。
  一家の苦悩を知った読者から「明美ちゃんを救おう」と次々に善意が産経新聞に寄せられ、翌日までに268万円、1週間後に425万円と、手術費の10倍もの額に達した。
  そこで産経新聞社は、明美ちゃんの両親や、手術を執刀する心臓外科の世界的権威東京女子医科大学教授榊原仟(附属日本心臓血圧研究所所長)らと協議し、6月15日に基金を設立した。明美ちゃんの手術も成功し、その後、同様に心臓病で苦しむ「第2の明美ちゃん」たちも続々と基金の適用を受け、元気を取り戻した
  明美ちゃん基金の活動をきっかけに、先天性心臓病の子供への国の対策も前進。結果、厚生省1967年から育成医療費を増やし、支給対象に心臓病を含めることとなり、医療費は健康保険公的扶助で賄えるようになった。
川崎病の心臓障害、胆道閉鎖症、外国に
  その後、基金は先天性心臓病以外にも適用されるようになり、1984年には難病の川崎病の後遺症による心臓障害に苦しむ10歳女児が手術を受けたり、1986年には胆道閉鎖症で移植しか延命方法のない1歳女児が米国ボストン小児病院で肝臓移植手術を受けたりしている。
  1972年には、インドネシアの7歳男児が外国人として初めて基金を適用され手術を受けており、これを機に、医療事情の悪いアジアの発展途上国を中心に、ネパール韓国カンボジアマレーシアなどの子供たちが手術を受けられるようになっている。
  また、小児の心臓病をめぐる学術研究にも基金を拠出。1998年平成10年)から発展途上国の医療活動にも適用され、ミャンマー中部で「ミャンマー子ども病院」の建設を支援しており、産経新聞社は「“愛といのちのバトンタッチ”という大きな善意の橋渡し役として成長してきました」と伝えている。
  現在、基金は、国立循環器病センター名誉総長の川島康生が運営委員長を務め、公益事業や社会貢献活動を行う社会福祉法人産経新聞厚生文化事業団」により運営されている。
  また、2015年からミャンマーで、子供たちの心臓病の医療支援事業も展開。ミャンマーの小児心臓外科手術を育成するため、国立循環器病研究センター関係者が現地で11例の開心術も行っている。

基金の適用基準
  1 先天性心臓病や川崎病後遺症、その他の重い心臓疾患に苦しむ子供で、経済的な事情で入院や手術ができないと認められたもの
  2 医療・衛生基盤が未整備な開発途上国で、心臓病など小児難病に苦しむ子供への医療活動のうち、特に支援の必要性が認められるもの
  3 心臓病など小児難病の学術研究
  4 上記の適用対象となる子供は原則16歳以下とす







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