社会の問題-1



2020.10.14-Yahoo!Japanニューhttps://news.yahoo.co.jp/byline/kurashigekotaro/20201014-00202908/
非正規雇用のボーナス・退職金に関する最高裁判決をどう読むか

第1 最高裁判決が出た同一労働同一賃金問題とは
  10月13日に1.大阪医科薬科大学事件、2.メトロコマース事件という2つの大きな最高裁判決が出されました。
  日本経済新聞2020/10/13 15:09 (2020/10/13 21:34更新)
  「非正規に賞与・退職金なし「不合理」といえず 最高裁」
「非正規従業員に賞与や退職金が支払われなかったことの是非が争われた2件の訴訟の上告審判決で、最高裁第3小法廷は13日、不支給を「不合理とまでは評価できない」との判断を示した。いずれも二審の高裁判決は一定額を支払うべきだとしていた。原告側の逆転敗訴が確定した。」
出典:日本経済新聞
  これらの判決は「非正規だから賞与や退職金を払わなくて良い」という単純な話ではありません。
  そのため、本判決を受けて、企業はどうすべきか、同一労働同一賃金を巡る2つの最高裁判決について、企業側弁護士の立場から一般の報道よりも少し深堀した解説を行い、本件の問題点は何だったのかを明らかにしたいと思います。
  ※賞与・退職金以外の論点もありますが、問題の本質を分かりやすくするためにここでは割愛します。
  ※判決分析・実務対応の詳細は別途、当事務所HPやウェビナーにて行います。
第2 そもそも何が問題なのか?
   同一労働同一賃金とは、国が進める正社員・非正規雇用(契約社員・アルバイト・派遣)の待遇差を是正しようとする政策ですが、「同じ仕事をしていれば同じ賃金」という単純な話ではなく、原則として、日本での同一労働同一賃金は1業務内容、2責任、3配置変更範囲、4その他の事情という4つの要素を考慮して「不合理」か否かで判断されるという、少し複雑な制度になっています(パート・有期法8条)。
   この4つの要素は、後に出てくる最高裁判決の最重要ポイントとなっていますので覚えておいて下さい。
   さて、1.大阪医科薬科大学事件については、アルバイトの大学教室事務職員に対して正社員と同様に賞与(ボーナス)が支給されるか、2.メトロコマース事件については、駅売店販売員の契約社員について正社員と同様に退職金が支給されるか、がそれぞれ問題となっていました。
第3 判決のポイント
   本判決は、非常に具体的な当てはめを行った上で結論を導くという、法律審である最高裁としては珍しい構成になっています。弁護士業界では、特殊な事例における特殊な判断のことを「事例判決」と言ったりしますが、本件はそうではありません。不合理性の考え方について、具体的ケースを用いて一定の水準を提示したものであると筆者は考えています。
1賞与について(大阪医科薬科大学事件)
   同一労働同一賃金紛争では「不合理」か否か問われます。何を持って「不合理」というかは上記4要素から決まるわけですが、少し難しいのは「ある時点」において一見、業務内容が同じであったとしても、職務の難易度や責任の程度、人材育成の観点からの人事異動状況が異なれば、それは4要素が異なることになるので、「不合理」とは言えないという点です。
   さて、判決を見るに、まずは本件賞与の趣旨について「正職員の賃金体系や求められる職務遂行能力及び責任の程度等に照らせば,正職員としての職務を遂行し得る人材の確保やその定着を図るなどの目的から,正職員に対して賞与を支給することとした」と認定します。
  その上で、上記4要素に従い
  ・職務についてアルバイトは「相当に軽易」である一方、正社員は英文学術誌の編集や病理解剖遺族対応、劇物管理など独自の業務があること(1業務+2責任=「職務」の相違)
  ・正社員は人事異動により教室事務から病院業務担当になることもあり得る一方で、アルバイトは原則として業務命令により配置転換されることは無いこと(3配置変更範囲の相違)
  ・そもそも教室事務の過半が簡易作業のため、正社員からアルバイトに置き換えてきた経緯やアルバイト職員から契約社員、正社員への登用制度が設けられていたこと(4その他の事情)
という点を考慮し、賞与を支給しないことは不合理ではないと判断しました。
2 退職金について(メトロコマース事件)
  ・こちらは期間雇用の「契約社員B」について、退職金が出ないことが「不合理」か否かが問題となっています。
  ・まず、退職金については「職務遂行能力や責任の程度等を踏まえた労務の対価の後払いや継続的な勤務等に対する功労報償等の複合的な性質を有するものであり,第1審被告は,正社員としての職務を遂行し得る人材の確保やその定着を図るなどの目的から,様々な部署等で継続的に就労することが期待される正社員に対し退職金を支給することとした」とした上で、上記4要素に従って
 ・売店の販売業務という点は同じだが、休暇や欠勤で不在分の補充という「代務業務」、エリアマネージャー業務は正社員のみであること(1・2職務内容の相違)
 ・配置について、正社員は配置転換があるが、契約社員Bは勤務場所の変更(担当する売店が変わる)はあっても業務内容が変わることは無いこと(3の相違)
 ・売店業務に従事する正社員は関連会社の再編や契約社員Bからの正社員登用であり、他の部署に配置転換することは困難という組織再編上の事情があること(4その他の事情)
 ・契約社員Bから契約社員A(現在は職種限定正社員)、そして正社員への登用制度があり、相当数の登用が実際あること(4その他の事情)
を検討し、結論として退職金に関する相違は不合理ではないとしています。
3 林景一裁判官の補足意見
  補足意見とは、多数意見に賛成であるが、意見を補足するものです。裁判官の考え方が強く出る部分なのですが、今回の補足意見は非常に企業実務の実態や人事担当者の想いを良く理解されていると思いましたので、少し紹介します。
(1)退職金不支給が不合理となる場合はあり得る」
  有期契約労働者がある程度長期間雇用されることを想定して採用されており,有期契約労働者と比較の対象とされた無期契約労働者との職務の内容等が実質的に異ならないような場合には,両者の間に退職金の支給に係る労働条件の相違を設けることが不合理と認められるものに当たると判断されることはあり得る→この点は後で解説します。
(2)退職金制度設計に関する企業の裁量は大きい
  (不合理性の)判断に当たっては,企業等において退職金が有する複合的な性質やこれを支給する目的をも十分に踏まえて検討する必要がある。退職金は,その支給の有無や支給方法等につき,労使交渉等を踏まえて,賃金体系全体を見据えた制度設計がされるのが通例であると考えられるところ,退職金制度を持続的に運用していくためには,その原資を長期間にわたって積み立てるなどして用意する必要があるから,退職金制度の在り方は,社会経済情勢や使用者の経営状況の動向等にも左右されるものといえる。そうすると,退職金制度の構築に関し,これら諸般の事情を踏まえて行われる使用者の裁量判断を尊重する余地は,比較的大きいものと解されよう。
  →退職金制度は各企業により様々であること、特に終身雇用の崩壊により制度そのものを設けるか否かを含めて検討されていることを踏まえ、基本的には労使の自治に委ねられていること、その他社会情勢や経済状況なども考慮して検討し、制度実施のためには長期間の積み立てが必要となるため制度構築の裁量は大きいとしている点は正に退職金制度の本質ともいえる部分でしょう。
(3)今後の対応はライフプランに応じて多種多様であること
  退職金には,継続的な勤務等に対する功労報償の性格を有する部分が存することが一般的であることに照らせば,企業等が,労使交渉を経るなどして,有期契約労働者と無期契約労働者との間における職務の内容等の相違の程度に応じて均衡のとれた処遇を図っていくことは,同条やこれを引き継いだ短時間労働者及び有期雇用労働者の雇用管理の改善等に関する法律8条の理念に沿うものといえる。現に,同条が適用されるに際して,有期契約労働者に対し退職金に相当する企業型確定拠出年金を導入したり,有期契約労働者が自ら掛け金を拠出する個人型確定拠出年金への加入に協力したりする企業等も出始めていることがうかがわれるところであり,その他にも,有期契約労働者に対し在職期間に応じて一定額の退職慰労金を支給することなども考えられよう。
  →そもそもどのように非正規雇用の待遇改善を行うかは労使交渉を通じた労使自治に委ねられるのが基本であるべきことに加え、その改善方法についても単に積み立てた退職金を企業が払うのではなく、確定拠出年金をはじめ外部の資産形成のサポートをするという視点も各企業が実際に行っているところであり、このような企業人事の努力をきちんと評価し、どのような解決が望ましいかについてはそれぞれ検討せよという判示は企業担当者としては熱いものがあるでしょう。これまで、「不合理」とされてきた判決では、企業人事の「過失」として安易に処理されてきた部分であり、理不尽な想いをしてきた担当者も多いであろうことに思いを馳せると、ここまで具体的に最高裁判事が触れた点は感慨深いものがあります。
(4)オマケ(補足意見について)
  反対意見(反対の結論であるという裁判官の意見)について詳細は触れませんが、正社員の4分の1なんだから払ってやれという印象を受けます。しかし、重要なのは本件裁判での認容額の多寡というよりも、日本中の企業に対するインパクトです。すべての企業で4分の1でも退職金支払えとなった場合は明日から一斉に訴訟ラッシュとなるところでした。
第3 今後、企業対応はどうすべきか
  以下では、上記最高裁判決内容を踏まえて、企業としてはどのように対応していくべきかの大まかな考え方について述べておきます。
1 実質的に正社員と同じと言われないように注意
  冒頭述べた通り、本判決は賞与や退職金について、いかなる場合も非正規雇用者には払わなくて良いと述べたものではなく、一定の限界があります。
  そこでまず注意すべきは、前掲、メトロコマース事件の補足意見で見たように「有期契約労働者がある程度長期間雇用されることを想定して採用されており,有期契約労働者と比較の対象とされた無期契約労働者との職務の内容等が実質的に異ならないような場合」に該当しないようにすることです。
   そのためには、
  1.どの程度の期間雇用とするのか予め見通しを付け、例えば5年経過し無期転換後は別の雇用形態であるという整理をする(実務的には3年で区切るという考え方もあろう)
  2.正社員と非正規の職務内容、配置変更範囲について具体的な差異を検討しておくことが重要となります。
  2 4要素に沿った実務対応と説明を 具体的な差異とは、1業務内容、2責任、3配置変更範囲、4その他の事情という4つの要素から判定を行います。各要素で実務的に検討すべきは概ね以下のとおりです。
【4つの要素における検討事項】
1 業務内容の差異
   ・業務内容や役割における差異の有無及び程度
   ・業務量(残業時間)や休日労働、深夜労働の有意な差
   ・臨時対応業務などの差
2 責任の範囲の差異
   ・業務に伴う責任や差異の有無及び程度
   (単独で決裁できる金額の範囲、管理する部下の人数、決裁権限の範囲、職場において
   求められる役割、トラブル発生時や臨時・緊急時に求められる対応、売上目標、成果への期待度業績や成果に対する責任の有無・程度、責任の差異が人事考課に反映されているか、数字を伴う「結果」について責任を負う立場か、上司の指示を守るなどの「行動」責任を負う立場かなど)
   ・人事考課の差異
3 配置変更範囲の差異
   ・配転(業務や職種変更、転勤)、出向、昇格、降格、人材登用等における差異(実態重視)
4 その他の事情
    正社員登用制度の有無・実績、労働組合やその他労使間での交渉状況、従業員への説明状況、労使慣行、経営状況、正社員登用等の処遇向上に通じる措置の実施状況や実績、非正規労働者が定年後再雇用された者であるか等
   これら4要素による検討は、条文に従った対応ですので、判決前から重要視されていましたが、本判決により、具体的に正規非正規の差異を検討し、説明できるようにしておく重要性は高まったと言えます。そのため、各企業としてはこれら4要素に従った差異の検討を行うことが改めて重要であると言えるでしょう。
3 労働組合との対話
   労働組合との交渉状況は、上記4要素4「その他の事情」として検討されるものですが、そもそも労働条件は労使自治で決定するのが原則であり、前記補足意見でも「労使交渉等を踏まえて,賃金体系全体を見据えた制度設計がされるのが通例」とされているとおり、労使交渉は単なる一要素ではなく、まず不合理性判断の枠組みを超えた根源的な重要性を持つものです。
   そのため、企業としては、本判決を踏まえ、改めて4要素により正規非正規の差異について検討を行い、その結果を企業内労組に提示して労使交渉を行い、自由に意見を戦わせる中で、より良い制度へと自ら変革していくことこそが労使自治であり、この点が何よりも重要であると考えます。
第4 本件の向こう側にある深堀論点
    最後に、本判決の論評のみにとどまらず、今後の影響まで踏まえた応用論点について検討します。
1 労契法20条とパート有期法8条の議論は同じ
   本判決は、いずれも働き方改革法改正前の労働契約法20条に基づく判決ですが、同改正により現在はパート・有期法8条として規定されています。
    そのため、労契法20条とパート・有期法8条は別物なので解釈も異なるという向きもあるようですが、そもそも労契法20条は純然たる民事法規であり行政指導ができないことから、行政指導根拠規定のあるパート・有期法へ移設された経緯、両者の条文構造が共通していることからすれば、両者は関連性があることは明らかです。そのため、適用される法律が異なるから解釈も異なるのだという見解は妥当しないでしょう。
2 訴訟ラッシュは回避できた
   メトロコマース事件反対意見のように、4分の1であれ、退職金請求が認められていた場合、退職金の時効は労基法の定めにより5年ですから、各企業は5年以内に退職した全ての非正規雇用についてさかのぼって調査し、退職金支払額の検討に入らなければなりませんでした。仮にそうなれば、明日以降は訴訟ラッシュとなり、コロナ禍も相まって、負担増となる企業においては倒産する企業も出てくることも想定されました。
    そのため、当面、実務が混乱に陥ることはなさそうです。
3賃金原資分配の問題であること(打ち出の小槌はない)
   本判決に対する様々な意見を見るに、「非正規雇用の待遇を改善しろ!」というのはごもっともなのですが、検討しなければならない視点があります。それは、「賃金原資は限られている」ということです。つまり、非正規雇用に賞与や退職金を支給するようになれば、その分大幅に売り上げが上がらない限りは総額人件費が変わりません。すると、何かを下げなければなりません。ましてやコロナ禍の今、正社員の賞与すら切り下げる企業が多くみられます。そんな中で賞与や退職金を非正規雇用者に払うということは、正社員に払う予定だったものを切り下げたり、リストラをしたり、今後採用を控えたりしてねん出しなければならないのです。
   当たり前すぎる話なのですが、打ち出の小鎚はありません。支払った分は何かを引き締めなければならないのです。その、「引き締め」に関する議論があまりにも少ないことを自覚する必要があると考えます。
4 最初から契約で決められており、登用試験も用意されている場合にどこまで法が介入するべきなのか
   これは法哲学的な話になりますが、法はどこまで企業(私的自治、労使自治)に介入すべきかという問題です。本件は賞与や退職金が出ると契約書に書いてあった事案ではありません。最初から出ないと明記されています。そして、賞与や退職金が支給される正社員を希望するのであれば、そのための登用制度が用意されており、実際に正社員になった方もいるようです。そのような状況下において、非正規雇用に留まっている者に対し、どこまで法が介入して強制的に賞与・退職金を払うべきなのでしょうか。上記賃金原資の問題も併せて考えると、悩ましい問題です。
    なお、このような議論では「労働分配率が低いのだ!」というご指摘も頂くのですが、仮にこれを増やすとすると、増やした分現在のコロナ禍のような危機的状況への蓄えや新規事業への設備投資ができないことになります。コロナ禍で企業が生き残りに必死である中、経営方針・業種転換などを含めて企業裁量を大きくしないと、働き場所である企業自体が生き残れないのではないかと、筆者は思ってしまいます。
5 退職金は積み立てが必要であり、老後への備えも多様化
    補足意見でも触れられていますが、終身雇用の崩壊、人生100年時代の就業長期化、年金2000万円問題等の社会情勢においては、「退職時に退職金を受け取って悠々自適な老後」というライフプランだけが正解ではなく、人それぞれ状況は異なります。そのため、各企業の人事担当者は企業型・個人型確定拠出年金など退職金以外の老後の資産形成サポートを行っているところであり、「退職金を皆に支給する」ことだけがこの問題の解ではありません。
     どのような解決が望ましいのかは、正に各企業において労使が話し合うべき事柄であり、これを一律に法規制で無理やり対応しなかった最高裁の判断は妥当ですが、その分、各企業は改めてこの問題の解を模索すべきでしょう。ライフプランニングの重要性が増してきたとも言えますので、働き手一人一人がマネーリテラシーを持つことも重要です。
6 海外の同一労働同一賃金との比較
     最後に、本判決が海外の同一労働同一賃金と比べて保護が少ないなどというご意見もありましたが、そもそも海外で退職金制度がどれほどあるかという話です。また、日本の場合、最近話題の「ジョブ型雇用」ではなく、業務内容や配置が人事権によって変動する「メンバーシップ型雇用」が多いため、単に仕事内容だけの比較は困難な状況です。そのため、日本においては「不合理」性判断という日本型の同一労働同一賃金が法律で定められており、同一労働同一賃金といってもその中身は全く異なるのです。また、欧州の多くが解雇を金銭解決できる制度・運用が導入されており、総額人件費のコスト管理という観点からも大いなる違いがありますので、この点を同一視して「日本はけしからん!」と論ずることには何の意味もありません。
第5 まとめに代えて
    同一労働同一賃金の問題は、日本型雇用の崩壊に伴う、移行期であるが故の問題であるともいえます。メンバーシップ型雇用における「メンバー」と「メンバー外」の争いから、緩やかに「ジョブ型」に移行しようとする中で、「ジョブ」とは何なのか、業務とは、責任とは、人材配置の在り方とは、という根本が問い直されています。
    不透明感が増すこれからの時代、未来を担う若者が働きに出る頃、せめて日本がまっとうな労働市場があるためには、今の時代に合わせた「新・日本型雇用のグランドデザイン」を提示する時機に差し掛かっているといえます。
    本判決をきっかけに、このような日本型雇用の根本について考える人が一人でも多く現れることを切に願って、夜なべして本稿を書きました。。。
【オマケ:識者のコメント】
    本判決は、今後の実務に与える影響が極めて大きい重要判決ですので、本件訴訟の担当弁護士や私以外の弁護士の意見も載せておきます。
   倉重・近衛・森田法律事務所 パートナー弁護士 近衞大(メトロコマース事件担当)

  「会社側の代理人として、退職金についての会社の主張が全面的に認められたことは喜ばしい。しかし、同判決も、一般論として、非正規社員に退職金制度を設けなくとも不合理ではないという判断ではないことには注意を要する。非正規社員と会社の正社員との人材活用の仕組みにどのような相違があるか、その相違が正社員の退職金を含む手当の趣旨との関係でどのように紐付けされているかの精査が必要となる。やっている仕事が違うから、だけではなく、違うからこの手当の趣旨は妥当しないのだ、という論証が重要といえる。退職金については、職務の内容や責任の程度等の人材活用の仕組みが違うというだけではなく、会社固有の「その他の事情」、例えば登用制度の有無や、当該業務についての非正規社員採用の経緯、制度を設けた正社員に対する長期雇用のインセンティブの具体的な内容などが、会社として説明できるかが問題となろう」
   倉重・近衛・森田法律事務所 パートナー弁護士 荒川正嗣

  「本判決(メトロコマース事件)は、同日に言い渡された大阪医科薬科大学事件とともに、最高裁として非常に大きな判断を示した。
  いずれも退職金又は賞与の複合的な趣旨や性質を認定しつつ、それらが正社員に支給される目的が、正社員としての職務を遂行し得る人材確保、定着などにあることを認定する。そして、そのような目的の退職金又は賞与の支給対象となる正社員と、職務の内容等に相違があること等を理由に、有期労働者に対する不支給は不合理でないとしている。
  従来、下級審の判断には、当該待遇の趣旨や性質をいくつかに切り出し、そのうちのいずれかでも有期労働者にも妥当すれば、当該待遇を施さないことについての合理的理由がない限りは、当該相違が不合理とされ、職務の内容等の相違や、当該待遇がなされる目的はさほど考慮されていないのではないかと思われる例もあり、両事件の原審もそのような判断をしていた。今回の二つの最高裁判決は、そのようなアプローチをとらず、上記のとおりの判断をしており、妥当であろう。
  なお、両事件ともに、現在は廃止された労契法20条の解釈適用を巡るものであるが、同条を引き継ぐ形で法改正により設けられたパート・有期労働法8条の解釈適用にあたっても、今回の最高裁の判断は当然に妥当するものと解される。」
  番町総合法律事務所 弁護士 河本みま乃

  「本件は、労契法20条に関して初めて訴訟提起されたものであり、当初から裁判所も当事者もその解釈について手探りで議論をしてきた。いまだに、混乱状態は解消しきれていない。比較対象従業員の設定方法は未だ決着を見たとはいえないし、ひとたび訴訟となった場合、裁判上の主張立証方法と同等かそれ以上に、仮に会社が敗訴した場合に備えた各制度の見直しの要否、波及効の有無や程度といった点に目を向ける必要がある。同条違反は実態として、単なる不法行為責任に留まらない。現状、多くの会社の人事労務担当者はコロナ禍の対応などで苦慮しているが、無用な紛争を回避すべく、今一度正規と非正規の相違を洗い出し、その相違にどのような趣旨、目的があるのかを確認していく作業が急務である。」


2020.9.25-SankeiBizhttps://www.sankeibiz.jp/business/news/200925/bse2009250500003-n1.htm-
議決権集計1300社超で誤り 三井住友信託とみずほ信託

  三井住友信託銀行とみずほ信託銀行は24日、両行が請け負っていた議決権行使の集計作業で不適切な事務処理を行っていたと発表した。合わせて1300社超の総会で、株主の意見が一部反映されていなかった。株式会社の最高意思決定機関の場で、株主の権利を奪いかねない事態が生じていた。

  実際に事務処理を担っているのは、両行が折半出資して2008年4月に設立した日本株主データサービス(東京都杉並区)など3社。3社は総会が集中する時期に限り、郵便局との取り決めで特別に本来の配達日よりも1日早く議決権行使書を配達してもらっていた。期限当日に受け取った通知書は翌日に届くはずだったものと見なし、集計対象から外していた。
  調査の結果、三井住友信託は今年5~7月に総会を開いた975社、みずほ信託は6~7月に総会を開いた371社で有効票の未集計を確認した。ただ、いずれも議案の成否に影響はなかったと判断している。
  三井住友信託によると、繁忙期にスムーズに集計作業を進める目的で、少なくとも約20年前にはこの運用方法を導入していた。顧客企業や株主はそれを知らされていなかった。
  三井住友信託の西田豊取締役専務執行役員は同日、東京都内で開いた記者会見で「証券代行業務をご委託いただいている会社や株主の皆さまに多大なるご迷惑とご心配をおかけしたことを重く受け止めている」と陳謝した。
  東芝の株主であるシンガポールの投資ファンド、3D・インベストメント・パートナーズの指摘で露見した。3Dの行使書は期限の7月30日に三井住友信託側に届いていたが、翌31日の総会では無効とされた。
  両行は今後、集計方法を見直し、実際に通知書を受け取った日を基準に集計業務を行うとしている。
  議決権行使をめぐっては近年、スマートフォンを使った電子行使の利用が増えてきている。ただ、郵送による書面行使の比率は依然として高く、三井住友信託では今年の6月株主総会開催分で全体の約8割が書面行使だったという。
【用語解説】株主総会の事務受託
  上場企業は株主総会の運営など株主とのやりとりに関わる事務作業を代行会社に委託している。代行業務は膨大な株主名簿の管理に加え、総会の招集通知の発送や議決権の集計、配当金の支払いまで多岐にわたる。三菱UFJ信託銀行と三井住友信託銀行、みずほ信託銀行の大手信託銀行のほか、数社の専門業者が手掛けている。


2020.9.23-産経新聞 THE SANKEI NEWS-https://www.sankei.com/economy/news/200923/ecn2009230044-n1.html
1千社の議決権行使に誤りか 三井住友信託銀行

  三井住友信託銀行が、企業の株主総会での議決権行使をめぐり、事務処理を受託した約1千社で集計に誤りの恐れがあることが23日、分かった。不適切な処理は過去20年間程度続いていた可能性がある。同行は週内に役員が記者会見し、謝罪する。
  総会の集中時期は集計時間の確保を目的に、郵便局から翌日配達分の議決権行使書を前日に届けてもらっている。期限当日に届いた行使書を翌日扱いにして集計から外していた。事務処理を担っていたのは、三井住友信託銀とみずほ信託銀行が折半出資する日本株主データサービス(東京)。
  関係者によると、三井住友信託銀の不適切処理が企業の総会決議を覆すケースは見つかっていない。ただ、企業の最高意思決定の場である総会の透明性に疑義を生じさせかねない事態だ。
  同行は、東芝の今年の総会で大株主である海外ファンドの議決権行使で不適切な事例が見つかり、行使書の集計に問題がないかどうかを調べていた。


2020.8.26-niftyニュース(JIJI PRESS 時事通信)- https://news.nifty.com/article/domestic/society/12145-772488/
A判事を戒告=懲戒、異例の2度目―FBに不適切投稿・最高裁
遺族侮辱 判事に2度目の戒告

  自身のフェイスブック(FB)に殺人事件の遺族を侮辱する投稿をしたとして、懲戒申し立てを受けた仙台高裁のA判事(54)の分限裁判で、最高裁大法廷(裁判長・大谷直人長官)は26日、「国民の信頼を損ね、品位を辱めた」と判断、A判事を戒告とする決定をした。同判事は2018年にもツイッターへの投稿で戒告とされている。同じ裁判官が2度懲戒されるのは異例
   決定などによると、A判事は19年11月12日、自身のFBに、東京都江戸川区で高校3年岩瀬加奈さん=当時(17)=が殺害された事件について投稿。遺族が同判事を国会の裁判官訴追委員会に訴追請求したことに触れ、「遺族は俺を非難するよう洗脳された」などと書き込んだ。
   決定は「遺族をさらに傷つけ、副次的な被害を拡大させた。被害者の心情を理解できない裁判官ではないかとの疑念を広く抱かせた」と指摘。判事側は「訴追請求に対する自らの見解の表現行為」などと反論したが、大法廷は「遺族を侮辱する表現は許されない」と退けた。
   投稿したのは岩瀬さんの命日で、遺族の抗議を受けた仙台高裁が今年1月、最高裁に分限裁判を申し立てた。同判事は東京高裁所属だった17年にも同事件についてツイッターに「無惨(むざん)にも殺されてしまった」などと投稿して厳重注意を受けている。
   A判事は18年10月、自身が担当していない飼い犬の所有権に関する民事訴訟について、当事者の感情を傷つけるような投稿をし、「表現の自由を逸脱した」として戒告処分を受けた。こうした投稿をめぐり、裁判官訴追委も罷免を求めて弾劾裁判所に訴追するか否かを審議している。
   仙台高裁の話 当高裁所属の裁判官が戒告とされるに至ったことは遺憾。重く受け止めている。 【時事通信社】


2020.8.21-日本経済新聞-https://www.nikkei.com/article/DGXMZO62939950R20C20A8AC8Z00/
船会社側の賠償上限3億円 関空連絡橋事故で地裁決定

  2018年の台風21号で関西国際空港の連絡橋にタンカーが衝突した事故で、船を所有する日之出海運(福岡市)が損害賠償責任を制限する手続きを福岡地裁に申し立て、同地裁がこれを認め、橋の修復費約50億円を大幅に下回る約3億3千万円を賠償額の上限とする手続き開始を決定したことが21日、分かった。
  決定は5月18日付。国土交通省が支出した費用で橋を修復した西日本高速道路は決定を不服として6月に福岡高裁に即時抗告した。決定が確定すれば大半の回収が困難になる。担当者は「(国側への)費用の返還について関係機関と協議している段階だ」としている。
  船舶事故は被害が甚大になることがあるため、海運業を保護する観点から船舶所有者責任制限法が賠償額を一定限度にとどめることを認めている。事故が「無謀な行為によって生じた」場合を除いて適用され、上限額は事故を起こした船の総トン数に応じて算定される。
  連絡橋は19年4月に全面復旧した。西日本高速道路は海難審判所(東京)が今年3月に日之出海運の当時の船長と運航会社の過失を認める裁決を出したのを受け、費用を両社に請求していた。
  裁決によると、運航会社がタンカーに適切に指示を出さず、見通しを超えた規模の風雨に見舞われ、いかりが利かなくなって連絡橋に衝突した。日之出海運側は「事故原因は自然災害による不可抗力だ」として賠償責任はないと主張。東京高裁に裁決の取り消しを求める訴えを起こしている。〔共同〕


2020.8.12-朝日新聞Digital-https://www.asahi.com/articles/ASN8D6D4LN8DUTIL021.html
日弁連会長ら16人、指針に違反か 厚生年金未加入問題

  神奈川県弁護士会の会長が法的に義務づけられた厚生年金に加入していなかった問題に関連し、全国各地の弁護士会で構成する日本弁護士連合会日弁連)の会長と15人いる副会長も同様に未加入だったことがわかった。日弁連は詳しい経緯などについて後日明らかにするとしており、今後、対応を検討するとみられる。
  国は厚生年金保険法に基づく厚生年金への加入対象について、法人から労務の対価として報酬を受け取っている者との指針を示している日弁連会長は月額105万円、副会長は同50万円の報酬をそれぞれ受け取っていながら加入していないため、この指針に違反している可能性がある。
  この問題では、神奈川県弁護士会の会長の未加入について年金事務所から加入の必要性を指摘された同会が対応を検討中だ。さらに、所属する弁護士4人が脱法的な手続きで加入を免れたとして同会を提訴する事態になっている。
(新屋絵理)



2020.8.11-gooニュース(産経新聞)-https://news.goo.ne.jp/article/sankei/nation/trial/sankei-afr2008110001.html
〈独自〉神奈川県弁護士会が社保逃れか 会長職報酬を顧問料に 会員ら提訴

  神奈川県弁護士会が、毎月報酬を受けていた弁護士会会長の厚生年金加入漏れを年金事務所に指摘され、経済的負担を避けるため無報酬にして加入を免れたとみられることが10日、関係者への取材で分かった。弁護士会が1年の任期を終えた会長経験者2人に対し、本来受け取るはずだった報酬と同額を顧問料名目で支払うよう決議したことも判明。会長報酬を顧問料に変えて社会保険を逃れようとしたともとれ、弁護士会の一部会員は「脱法的な行為だ」と反発、決議の無効を求め横浜地裁に提訴した。
  弁護士会は産経新聞の取材に「訴状の内容や個人情報に関わる事項であり、現時点でお答えができない」などとしている。会長経験者の1人は「お答えを差し控えさせていただく」とし、もう1人は取材に応じなかった。弁護士組織が社会保険の回避を指摘されるのは異例だが、年金事務所から指摘を受けていない「社保未加入」の業界団体は他にもあるとみられ、問題は波及しそうだ。
  訴状などによると、神奈川県弁護士会は昨年2月、毎月30万円の報酬を得ていた平成30年度の会長について、厚生年金への加入義務があると地元の年金事務所から指摘された。弁護士の多くは自営業者として国民年金基金に加入、厚生年金には加入していない。一方で国の通知では「法人の代表者でも法人から報酬を受けていれば、社会保険の被保険者の資格を取得」するよう定められている。
  これに対し、弁護士会は厚生年金に1年だけ加入した場合、年金の掛け金が割高となって会長に不利益が出ることを懸念。会長の報酬を全額返上して厚生年金に加入しないと決めた。報酬返上を報告された事務所は調査を打ち切った。
  一方、昨春就任した昨年度の会長は厚生年金にすでに加入しており不利益は生じないが、弁護士会は前年度の会長と同様に無報酬にした。弁護士会は今年2月、会長経験者2人が無報酬のままでは負担が大きいとして、退任後の2人と弁護士会が顧問契約を結ぶことを決議。それぞれ顧問料月15万円を2年間支払う契約で、現職会長への助言や会合参加などこれまで無償で行っていた業務が想定されている。
  厚生年金の加入を免れるため、会長報酬を後払いするとも受け取れる契約内容に異論が続出。会員弁護士4人が提訴した。原告の吉川晋平弁護士らは「本来は報酬を全て受け取らないか、厚生年金に入るかのどちらかを選ぶべきだ。年金事務所を欺く形で法律の義務を免れるのは、社会正義を使命とする弁護士法の趣旨に反する」としている。
年金切り替えの負担回避…厚労省も問題視
  神奈川県弁護士会が会長を無報酬にして社会保険加入を回避したととれる措置を講じたのは、年金の切り替えに伴う経済的負担が大きいためとみられる。ただ、受け取れなかった報酬を退任後に顧問料で補填(ほてん)するような措置に対し、厚生労働省も「加入逃れではないか」と問題視する。
  法曹関係者によると、法律事務所に所属する弁護士は、多くが自営業者として国民年金基金に加入。弁護士会のような法人から報酬を受けることになれば、国民年金基金を脱退して厚生年金に切り替える必要が生じる。
  神奈川県弁護士会は年金事務所から指摘された後、会長が厚生年金に加入して退任後に国民年金基金に入り直す場合を検討。ただ、国民年金基金は若いうちに加入するほど低負担で高額受給できる一方、高齢で再加入すれば掛け金が高くなる仕組みで、継続加入の場合と比べて再加入は経済的に不利になると判断したという。
  このため、退任後の顧問契約をひねり出したとみられるが、顧問契約を検討した弁護士会内のワーキングチームも、内部の批判を踏まえ「これが最上の方策とは言い切れない」と指摘。平成30年度からの「暫定措置」と位置付けている。
  これに対し、厚生労働省年金局の担当者は、顧問料について「会長報酬の支払いを形だけ変えたものならば、社会保険の加入逃れのようにもみえる」と弁護士会の対応に疑問を呈した。



2020.6.27-共同通信社-https://this.kiji.is/649517174807266401?c=44341039600582657
法務省、永住外国人を特例で救済
期限切れでも資格認める

  法務省は27日までに、新型コロナ感染拡大の影響で日本に戻れなくなっている永住外国人について、再入国期限が過ぎて一度永住資格を失った場合でも、特例的に通常の審査なしで永住資格を認めることを決めた。感染症の世界的な流行で多くの人が海外に足止めされていることを受けた臨時措置。29日から実施する。
  永住資格は日本に原則10年住んでいることなどが要件で国内活動が制限されない。最長5年有効の再入国許可が取得可能で、さらに1年以内なら許可なしに出入国できるが、期間内に再入国しなければ失効する。失効すると、別の在留資格で入国した上で、改めて永住資格を申請する必要がある。


2020.6.25-東書ネット-https://ten.tokyo-shoseki.co.jp/kbnews/19198/
中学校スマホ持ち込み容認=登下校時の緊急連絡手段に―文科省会議

  小中学校への携帯電話持ち込みの是非を議論していた文部科学省の有識者会議(座長・竹内和雄兵庫県立大准教授)は24日、登下校時の緊急連絡手段として、中学校では条件付きで容認する方針をおおむね了承した。小学校はこれまで通り、原則禁止を維持すべきだとした。
  7月中の最終的なとりまとめを受け、文科省が全国の教育委員会に通知する見通し。文科省は2009年に出した通知で小中学校への持ち込みを禁止していたが、スマートフォンが普及し、災害時の連絡手段として持参を求める保護者の声が強まったことから、中学校では方針を転換した
  有識者会議の案では、持ち込みを認める機種として、従来型の携帯電話やスマホ、通話などに機能が限られた子ども向け携帯電話を列挙。タブレット端末は含まないとしている。
  中学校では原則禁止としつつ、「一定の条件の下で持ち込みを認めるのが妥当」と明記。持ち込みを認める場合、生徒が自らを律することができるよう、学校は生徒や保護者を交えて話し合い、学校での管理方法や有害サイトの閲覧を制限するフィルタリングなどのルール作りを検討すべきだとした。
  小学校では「原則禁止が妥当」としたが、保護者の申請があれば、子ども向け携帯電話などの持ち込みは認めることも考えられるとした。 
  携帯電話の持ち込みをめぐっては、18年6月の大阪北部地震をきっかけに、大阪府教育庁が登下校時に限って所持を認める方針に転換。これを受け、文科省も19年5月から有識者会議を開いて見直しを検討していた。


2020.6.13-産経新聞 THE SANKEI NEWS WEB-https://www.sankei.com/politics/news/200613/plt2006130015-n1.html
退去拒否外国人に罰則 入管、収容者増で法改正検討

  不法滞在で国外退去処分となった外国人が出国を拒否するなどして収容が長期化している問題で、出入国在留管理庁(入管)が、退去処分に従わない外国人に罰則を科す「強制退去違反罪」を新設する検討に入ったことが13日、分かった。有識者で構成する専門部会が15日にも罰則新設を含む提言をまとめる。新型コロナウイルスの影響で出入国が制限されている状況を見極めつつ、早期に入管難民法改正案を提出して実現を目指す。
  入管は在留資格を持たずに不法滞在する外国人の身柄を拘束し、国内の施設に収容している。大半が退去に応じるが、本人が拒否し、本国も強制送還に応じない場合は現行法に規定がなく、収容が長期化している。
  検討されているのは、不法滞在者の身柄拘束後、渡航文書の発給申請や一定期日までの国外退去を義務付ける制度を創設し、従わない場合は罰則を科す規定の新設。米国、英国などには罰則があるが、日本は退去手続きを義務付ける仕組みがなかった。
  難民認定申請中は本国へ送還できない「送還停止効」についても、認定の見込みがないのに退去を回避する目的で申請を繰り返すケースが問題化しており、一定の例外を設定する。収容者は病気など、やむを得ない場合は行動範囲制限など条件付きで「仮放免」が認められるが、仮放免中に逃亡した収容者に罰則を科す「仮放免逃亡罪」も新設する。
 提言では、在留特別許可の基準明確化
     ▽家族の状況などを考慮し、次回入国時に早期に入国できる仕組みの制度化
     ▽収容施設外でも逃亡を阻止できる収容代替措置の導入-なども盛り込まれる見通しだ。
  政府は留学生や技能実習生の受け入れを年々増加させ、昨年は単純労働を事実上解禁する特定技能制度も開始。在留者の増加に伴い不法滞在外国人も増えている。昨年6月時点で6カ月以上の収容者は679人で、約3年間で2倍以上となっている。最近は新型コロナの影響で出入国が制限され、長期化に拍車がかかっている。


2020.6.8-NHK NEWS WEB-https://www3.nhk.or.jp/news/html/20200608/k10012462151000.html
政府 第2次補正予算案を国会提出 コロナ感染拡大に対応

  政府は、新型コロナウイルスの感染拡大に対応するため、事業者の賃料の負担軽減や雇用調整助成金の拡充などを盛り込んだ今年度の第2次補正予算案を8日、国会に提出しました。
  主な政策をみますと、治療薬の開発や医療従事者への慰労金など、医療提供体制の強化に2兆9892億円、賃料の負担を軽減するため売り上げが落ち込んだ事業者に原則、賃料の3分の2を半年分給付する制度に2兆242億円を計上しています。
  雇用調整助成金の1日当たりの上限額を1万5000円に引き上げるとともに、勤め先から休業手当を受け取れない人に月額で最大33万円を給付する制度などに4519億円をあてます。
  企業の財務基盤の強化策や無利子・無担保の融資制度など資金繰り支援の拡充に11兆6390億円を盛り込みました。
  また、「地方創生臨時交付金」を2兆円増額するほか、影響が長期化した場合に備えて予備費を10兆円積み増し、このうち5兆円分については生活支援や医療提供体制の強化などに充てるとしています。
  この結果、追加の歳出は一般会計の総額で31兆9114億円と、補正予算としては過去最大となり、必要な財源は全額を国債の追加発行で賄います。これにより、当初予算と第1次補正予算を含めた今年度の国債の新規発行額は過去最大の90兆2000億円に達し、歳入の56%を国債に頼ることになります。第2次補正予算案は、8日、審議入りし、今週中に成立する見通しです。
菅官房長官「あらゆる対策講じている」
  菅官房長官は記者会見で、第2次補正予算案について、「新型コロナウイルスへの対策を抜本的に強化し、国民の事業と雇用を守るため、あらゆる対策を講じている。さまざまな指摘があることについて、政府として、しっかり説明をしていきたい」と述べました。
麻生副総理兼財務相「早期成立に尽力」
  今年度の第2次補正予算案について、麻生副総理兼財務大臣は、記者会見で、「引き続き、雇用と事業と生活を守り抜くとともに、次なる第2波、第3波など、いわゆる流行のおそれに対して万全を期すという意味で備えを固めておくという考えのもと、さらに強化するために必要なものだと考えている。早期成立に向けて、尽力していきたい」と述べました。
西村経済再生相「10兆円予備費は丁寧に説明」
  西村経済再生担当大臣は、記者会見で、10兆円の予備費について、「全国知事会からも増額の要望があり、さまざまな事態に備えるためにも、予備費をしっかり確保して臨機応変に対応できるようにすることが大事だ。与野党の協議で、与党側から使い方の一定の考え方を示したと聞いており、政府としても、国会審議でできるだけ丁寧に説明し、理解を得られるよう努力したい」と述べました。
岸田政調会長「政府は説明責任を」
  自民党の岸田政務調査会長は記者会見で、「『Go Toキャンペーン』などの委託は十分な透明性と効率性を確保することが重要だ。政府にはしっかりと説明責任を果たしてもらい、第2次補正予算案の1日も早い成立に取り組んでいきたい」と述べました。
  また、国会の会期延長の必要性については、「延長して議論する大切さと、政府にコロナ対策や経済対策に専念してもらう大切さを考えたうえでの判断になる」と述べました。
石破元幹事長 国民の納得得られる説明行う必要
  第2次補正予算案の審議をめぐって、自民党の石破元幹事長は、持続化給付金の事務委託などについて、政府が国民の納得を得られる説明を行う必要があると指摘しました。
  自民党の石破元幹事長は記者団に対し、「いま批判の強い委託費の問題などがあるが、早く適切な形で困窮している方々に届くようにしなければならない。『なぜ遅いのか』といった声は強く、政府が、ふに落ちる答えをする必要がある。そうすれば、内閣支持率も改善していくのではないか」と述べました。
  一方、石破氏は、二階幹事長と会談して、9月に予定している石破派のパーティーでの講演を依頼し、二階氏から了解を得たことを明らかにしました。
  このあと二階氏は、記者会見で、「講演の要請があれば喜んでうかがうのが幹事長の仕事だ。ほかのグループでも呼ばれればいつでもうかがう。それ以上でも以下でもない」と述べました。一方で、「石破氏は経験豊かな政治家の1人だ。将来さらに高みを目指して進んでもらいたい期待の星の1人だ」と述べました。
立民 安住国対委員長 委託など徹底追及へ
  8日から国会で審議入りする第2次補正予算案について、立憲民主党の安住国会対策委員長は記者団に対し、持続化給付金の事務委託などに国民の不信感が高まっているとして、徹底追及する考えを強調しました。
  この中で、立憲民主党の安住国会対策委員長は「持続化給付金の不透明な委託に加え、雇用調整助成金はオンラインシステムが全く機能せず、『Go Toキャンペーン』に至っては一からやり直しで、いつになったらお金が届くか分からない」と批判しました。
  そのうえで「スピード感が無く、不透明で安定感が無いなどといった、国民の不満、不信や疑問を、野党として安倍総理大臣に直接、問いただす」と述べ、第2次補正予算案の審議の中で徹底追及する考えを強調しました。
  一方、来週17日までの国会の会期について、安住氏は「新型コロナウイルスの感染の第2波、第3波が来たときに、国会を開いておいたほうが即時、対応できるのではないか。『国会を止めるな』という運動を国民に提案したい」と述べ、会期の延長を与党側に求める考えを示しました。
立民 逢坂政調会長「会期延長して3次補正を」
 立憲民主党の逢坂政務調査会長は、記者団に対し、「空前絶後の10兆円の予備費は、野党側の強い要求で一部の使いみちが決まったが、予備費であることに変わりは無く、政府にフリーハンドを与えることは財政民主主義の観点から問題だ。国民の『この予算案では対応できない』という声も踏まえ、国会の会期を延長し、第3次補正予算案を編成して補うことが必要だ」と述べました。
国民 原口国対委員長「国会を開けて負託に応えるべき」
  国民民主党の原口国会対策委員長は記者会見で、「政府は国民や医療機関の現状が分かっていないから、予備費に10兆円も積んでいるが、査定などのため、執行までに時間がかかる。第2次補正予算案も全体の額は少なく、予算委員会が終われば、国会を閉じようという動きもあるが、とんでもない。国会を開けて国民の負託に応えるべきだ」と述べました。
公明 山口代表「一刻も早く現場に届けたい」
  公明党の山口代表は、党の参議院議員総会で、予備費について、「いちばん大事なのは、必要になった時に、スピーディーに現場のニーズに対応できることだ。平時の予備費の扱いとは違った観点が重要で、立法府が使い方をコントロールし、チェックしていく役割も果たしていかなければならない。第2次補正予算案の意義を自覚したうえで、審議を尽くし、一刻も早く現場に届けていきたい」と述べました。


2020.6.5-SankeiBiz-https://www.sankeibiz.jp/macro/news/200605/mca2006051219010-n1.htm
安定供給確保へ「政策強化必要」 令和元年度エネルギー白書

  政府は5日、令和元年度版のエネルギー白書を閣議決定した。原油輸送の大動脈であるホルムズ海峡付近で元年6月に日本関係船舶が攻撃された事例を挙げ、中東情勢の緊迫化による地政学リスクの高まりは「エネルギー安全保障上の大きな課題」と指摘。安定供給の確保に向けて「政策の強化が必要」とした。
  日本は中東地域からの原油の調達が全体の9割近くを占め、大きく依存している。中東各国との積極的な資源外交を続けるとともに、液化天然ガス(LNG)についても米国やロシアを含めて調達先の多角化を進める姿勢を示した。


2020.5.18-NHK NEWS WEB-https://www3.nhk.or.jp/news/html/20200518/k10012434721000.html?utm_int=news-new_contents_list-items_074
検察庁法改正案 今国会成立を事実上見送り 首相と自民幹事長

  検察庁法の改正案について、安倍総理大臣が、自民党の二階幹事長と会談し、国民の理解なしに国会審議を進めることは難しいとして、今の国会での成立を事実上、見送る方針で一致しました。
  検察官の定年延長を可能にする検察庁法の改正案は、国家公務員の定年を段階的に65歳に引き上げるための法案とともに、衆議院内閣委員会で審議が行われています。
  この改正案の取り扱いについて、安倍総理大臣は18日午後、総理大臣官邸で自民党の二階幹事長と会談し、国民の理解なしに国会審議を進めることは難しいとして、今の国会での成立を事実上見送る方針で一致しました。
  このあと二階幹事長は、記者団に対し「国会対策委員会の現場で、一生懸命にやってもらっているので、よく打ち合わせをしたうえで進めていきたい」と述べました。
  また安倍総理大臣と二階幹事長は、新型コロナウイルスへの対応を最優先で進めたいとして、今年度の第2次補正予算案を速やかに編成し、今の国会で成立させていく方針でも一致しました。
  改正案をめぐっては、野党側が、内閣が認めれば最長で3年まで定年を延長できるとした規定の撤回を求め、先週、武田国家公務員制度担当大臣に対する不信任決議案を提出していました。
自公幹事長ら 今国会での成立見送る方針確認
これを受けて、自民党と公明党の幹事長らが会談し、国家公務員の定年を段階的に65歳に引き上げるための法案とともに、今の国会での成立を見送る方針を確認しました。


2020.5.11-朝日新聞 Digital-https://www.asahi.com/articles/ASN5C3QYTN5CUTIL004.html
9月入学に日本教育学会「問題多い」 吉村知事らを批判

 新型コロナウイルスの感染拡大による休校が長引く中、政府が検討を始めた「9月入学・始業」について、3千人近い研究者らでつくる日本教育学会(広田照幸会長)は11日、「時間をかけた丁寧な社会的論議が必要であると考え、政府に対して拙速な導入を決定しないよう求める」との声明を発表した。22日に論点・問題点を整理した提言書を発表するという。
 声明では、9月入学論が浮上した背景に、休校による学習の遅れや行事の削減への子どもや教師らの不安があるとして、「こうした声や心配には真摯(しんし)に耳を傾ける」ことが必要とした。
 その上で、仮に今年9月から導入すると▽来年度の義務教育開始(小学校入学)年齢が最高で7歳5カ月と世界でも異例の高年齢になる▽4~8月までの学費は誰が負担するか▽企業の採用時期とのずれなど多くの問題が生じると指摘。「コロナウイルス禍で生じている問題」の解決策として性急に実施することに問題があると主張した。
  4月末に東京都の小池百合子知事大阪府の吉村洋文知事らが「グローバルスタンダード」などを理由に導入を強く主張し、安倍晋三首相も「前広に検討」と発言したことについて、同学会の広田会長は「はっきり言って、教育の制度も実態もあまりご存じない方がメリットだけを注目して議論されている」と厳しく批判した。」
  また広田会長は「9月入学か何もしないかの二者択一ではなく、いまできることを提案したい」として、オンラインによる家庭学習のサポート▽学習指導要領を今年度は特例としてスリム化するなどの案を挙げた。大学入試については大学入学共通テストでは、高校2年生までの履修範囲に重点を置くなどの案も議論しているという。(宮崎亮)


2020.5.11-毎日新聞-https://mainichi.jp/articles/20200510/k00/00m/040/110000c
「いっそ9月入学に」 休校長期化で高3焦り 受験対策集中期間短く

新型コロナウイルスの感染拡大で、来春の大学受験を控える高校3年生に焦りが広がっている。例年は多くの高校がカリキュラムを早めに終えて残り期間を受験対策に充てるが、今年は臨時休校によるブランクのため受験対策に集中できる期間が最大数カ月短くなる恐れがあるからだ。高3生からは「浪人生より不利。いっそ9月入学制にしてほしい」と悲鳴も上がる。

オンライン授業にみとうしたたず
   「今のままでは目標すら立てられない」。熊本市の県立高3年の男子生徒(17)はため息をついた。関西の大学を目指しているが5月末まで休校。例年は3年の2学期中にカリキュラムが終わって秋ごろから受験対策に移るが、今年はずれ込む可能性が高い。「3年で習う倫理や政治・経済は始まってもいない。カリキュラムの心配なく受験対策できる浪人生と比べて今年はいつも以上に不公平だ」と漏らす。
   休校が長引く中、一部の高校ではオンライン学習を始めた学校もあるが、生徒全員がスマートフォンやタブレットを持っているのはまれで、取り組みには差が出ている。
   長崎市の高校3年、中村真子(まこ)さん(17)が通う県立校では、オンライン学習をやっていない。自宅で参考書を頼りに勉強してきたが「疑問点を解決できず、受験勉強とはいえない」と休校中の足踏みに焦りをにじませる。学校は11日に再開するが、授業がどう進むのか分からず「休校していた2カ月の遅れを今から取り戻せるのか」と不安を隠せない。
   現場の教員からも切実な声が上がる。熊本の県立高に勤める男性教諭の学校は例年、早ければ11月に3年生のカリキュラムを終えるが、2カ月以上の休校を挟む今年は来年1月の大学入学共通テスト(旧大学入試センター試験)に間に合わせるため、かなりピッチを上げなければならない。教諭は「夏休み返上も覚悟している」と話すが、授業が詰め込み式になって生徒に負担がかかるのではとの懸念も抱いている。

課外活動や推薦での進学、就職活動…見通したたず
   感染拡大に伴う高3生の悩みは、受験だけではない。
   長崎市の中村さんは、被爆75年の今年、有志の生徒と被爆者インタビューをはじめとする平和活動を計画していたが、感染が終息するまで高齢の被爆者に会うのは難しく、実現のめどは立っていない。「大切な1年になるはずだったのに、何もかも中止になったら悔しさしか残らない」と唇をかむ。
   北九州市の私立豊国学園高サッカー部に所属する池野魁人さん(17)は、サッカー推薦での進学を希望していた。だが、例年この時期にある各大学の選考会が実施されず、アピールの場になるはずだった高校総体も中止に。一般入試に切り替えることも考えているが「学校が始まらないのでどう対策を立てればいいか分からない」と頭を抱える。
   不安なのは就職志望の3年生も同様だ。北九州市の私立高の男子生徒(17)は「この状況が続けば就職先も減るのでは」と心配そうに話す。感染拡大を防ぐため多くの企業がインターネットを使った「ウェブ採用試験」を導入しているが、学校で対策の指導を受けられずにいる。「この先どうなるのか何も分からない」。就職を諦めて進学することも考えている。【城島勇人、宮城裕也、田中韻】


2020.5.1-SankeiBiz-http://www.sankeibiz.jp/econome/news/200501/ecb2005011154010-n1.htm
妊婦向けマスク返品4万件超 厚労省、5月中旬配布再開

  新型コロナウイルスの感染拡大防止策として妊婦向けに配る布マスクを巡り、加藤勝信厚生労働相は1日の閣議後会見で、配布した市町村から、黄ばみなどがあるとして4万6934件の返品があったと明らかにした。一時停止していた配布を5月中旬に再開するとした。
  厚労省は既に約47万枚を配布しているが、市町村から黄ばみや異物混入、汚れなどがあったとの報告が来ていた。
  加藤厚労相は、専門機関で分析した結果、黄ばみは生地本来の色が残ったもので品質に問題ないことが判明したと説明。カビの疑いについては培養のため約2週間かかるとした。今後、市町村にマスクを返送させ国が検品した上で、問題のあるマスクは排除すると表明した。
  加藤厚労相は「さまざまな不良品があったのは大変残念」と述べ、製品管理を徹底していくと強調した。


2020.5.1-産経新聞 THE SANKEI NEWS WEB-https://www.sankei.com/life/news/200501/lif2005010022-n1.html
緊急事態宣言延期は「正しい決断」 武田防災相

武田良太防災担当相兼国家公安委員長は1日の記者会見で、新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、安倍晋三首相が6日を期限としていた緊急事態宣言を延長する意向を表明したことについて「ぎりぎりの延長表明では対応がままならなくなる可能性もある。前もって方針を示されたことは正しい決断だった」と述べた。
  武田氏は「このような(感染拡大が続く)状況の中で、自然災害が発生したときにまず初動で何をなすべきか、今のうちから準備しておかなくてはならない」と強調。避難所での対応方法や医療態勢の確保に向けた準備に力を入れる考えを示した。
  また、緊急事態宣言の延長に伴い、「緊張が高まり、ストレスがたまりやすい社会情勢になったときに今までなかったトラブルが各所で起きることもある」と治安悪化を懸念し、「早急な対応が取れる態勢を常日頃から掲げていることが重要だ」と語った。


2020.4.22-anニュース(産経新聞)-https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20200422-00000607-san-bus_all
【Q&A】「10万円給付」 DV被害者は避難先で受け取り可能

新型コロナウイルスの感染拡大に伴う経済対策で全国民を対象に給付する10万円の給付について、総務省は、ドメスティックバイオレンス(DV)などで住民票を残したまま別居している被害者らへも給付することを決めた。ただ、課題も残る。
 Q 別居中の人の懸念とは
 A 給付金は、住民基本台帳に記載された住所に申請書が郵送され、世帯主が家族分を一括して申請。世帯主の銀行口座に人数分の給付金を振り込む仕組み。居場所を知られることを恐れ、住民票を異動せずに世帯主と離れて暮らすDV被害者らは給付金を受け取れないと懸念の声が出ていた。
 Q 対応は
 A DVや児童虐待などで住民票を残したまま別居しているケースは、住民票のある市区町村や避難先の自治体に申し出ておけば、世帯から切り分けて受け取りができるようにする。ただ、申し出るより先に世帯主が給付金を受け取った場合、どのように返金を求めるかは検討課題だ。
 Q 高所得者は辞退すべきか
 A 10万円の給付が決まる前に議論されていた30万円の現金給付は、新型コロナによる生活困窮者を対象にしていた。ただ、10万円の給付のねらいは、家計支援に変わっている。総務省の担当者は、高所得者なども「受け取りに後ろめたさを感じる必要はない」としている。
 Q 30万円の給付対象だった人からは不満も
 A 単身世帯や2人世帯だと世帯の給付額は減ることになる。追加支援を求める声は高まりそうだ。
 Q すでに詐欺メールも出回っている
 A 総務省などから10万円給付にあたり、電話やメールで世帯構成や銀行口座番号を問い合わせることはない。注意が必要だ。


2020.4.18--NHK NEWS WEB-https://www3.nhk.or.jp/news/html/20200418/k10012393961000.html
一律10万円 住民基本台帳に記載の人 対象の方針 国籍不問

  新型コロナウイルスの感染拡大を受けた10万円の一律給付について政府は、国籍を問わず、住民基本台帳に記載されているすべての人を対象にする方針で、原則、世帯主から申請があった口座に家族分をまとめて振り込む方向で調整を進めています。
  新型コロナウイルスの感染拡大を受けた経済対策で政府は、収入が減少した世帯への30万円の現金給付に代わり、10万円の一律給付を行うことになり、具体的な制度設計を進めています。
  関係者によりますと、これまでの検討では、住民基本台帳に記載されているすべての人を給付の対象にする方針で、国内に住む日本人だけでなく、3か月を超える在留資格などを持ち、住民票を届け出ている外国人も受け取れるようになる見通しだということです。
  手続きについては、市町村から送られてくる申請書に世帯主が金融機関の口座番号などを記入し返送すれば、家族分をまとめて振り込む方向で調整が進められ、世帯主がマイナンバーカードを持っている場合のオンラインでの申請方法も検討されています。
  一方、世帯主である夫の虐待から避難している親子などについては妻からの申請を受け付け、事実関係が確認できれば夫とは別に給付される見通しです。
  政府は来月中に給付を開始できるよう準備を急いでいます。


2020.4.6-NHK NEWS WEB-https://www3.nhk.or.jp/news/special/coronavirus/tokyo/correspondence.html
「緊急事態宣言」が出た場合 東京都の対応

東京都の小池知事は、今後、仮に、新型コロナウイルス対策の特別措置法に基づく「緊急事態宣言」が出された場合に都がとる対応について、4月3日の記者会見で説明しました。
  このなかで、小池知事は「緊急事態宣言」が出された場合は、都として、
▽都民に外出の自粛などを要請し、
▽各施設やイベントの主催者には施設の使用停止などを要請するなどとしています。
個別の要請内容は今後、国から出される方針などを受けて決定すると説明しました。
  そのうえで、食料品や医薬品などの生活必需品の販売や、銀行や証券取引所などをはじめとする金融サービスなど、社会や経済生活を維持するうえで必要なサービスは、必要な衛生管理などを行ったうえで、引き続き営業してもらうと説明しました。
  さらに、都民や事業者が抱く疑問や不安に答えるため、新たにコールセンターを設置して、相談体制を強化するということです。
  また、感染の拡大が続く今の状況について、小池知事は「感染爆発の重大局面と何度も申し上げているが、この局面は変わっておらず、より深刻になっている」と述べ、感染リスクが高まるいわゆる3つの密を避けるよう呼びかけました。
「緊急事態宣言」で東京都ができることは
  新型コロナウイルス対策の特別措置法に基づく「緊急事態宣言」は、総理大臣が緊急的な措置を取る期間や区域を指定して出します。
  東京都を対象に「緊急事態宣言」が出された場合、小池知事は都民に対して、特別措置法に基づき、生活の維持に必要な場合を除いて外出しないことや、感染の防止に必要な協力を要請することができます。
  同じく、特措法に基づいて、学校や保育所、通いで利用する福祉施設などに対して、施設の使用の制限を要請、指示することができるほか、多くの人が集まる劇場や映画館といった娯楽施設や、ナイトクラブなどの遊興施設は感染拡大の状況に応じて必要な場合には施設を使用しないよう、要請、指示することも可能になります。
  さらに、緊急の場合は、運送事業者などに対し、医薬品や医療機器を配送するよう要請、指示ができることになっています。
  ただ、これらの要請や指示に従わなくても罰則はありません。
一方、公共交通機関のほか、病院や食料品店、ドラッグストアなどは、特措法のなかで営業などを制限する対象には含まれていません。
「緊急事態宣言」が出た場合の対応 特別措置法で定められた内容は
【イベント】
イベントについては、特措法の45条2項に基づき、イベントを開催しないよう知事がまず「要請」して、それでも応じない場合は「指示」できます。指示には罰則はないものの、公権力を背景とした指示は、事実上の強制力を持つと考えられます。さらに「指示」を行ったら、事業者名などを知事がホームページなどに「公表」することになります。
【休校】
学校の休校についても、特措法の45条2項が根拠となり、休校を「要請」または「指示」できるようになります。都道府県立の高校は都道府県が所管しているので知事の判断で休校できます。私立学校や市町村立の小中学校は、知事が休校を「要請」し、応じない場合には「指示」できるという建て付けになっていますが、罰則はありません。
【店舗や施設】
店舗の営業についても、特措法の45条2項で「多数の者が利用する施設」は使用制限や停止を「要請」できるとなっていて、「多数の者が利用する施設」は政令で定められています。主なものは、映画館や展示場、百貨店やスーパーマーケットのほかホテル、美術館、キャバレー、理髪店、学習塾などとなっています。ただし、スーパーマーケットのうち、食品、医薬品、衛生用品、燃料など生活必需品の売り場だけは、営業を続けることができます。ただ、民間企業を強制的に休業させる直接的な規定はありません。企業が活動を休止したり、イベントを中止したりした場合の損失補償については、そもそも強制的に店舗を閉めたり、イベント中止を命じることはできないため、特措法には直接の規定はないということです。
【マスク】
マスクについては、特措法の55条でマスクなど必要な物資の売り渡しの要請ができるほか、応じないときには、知事が強制的に収用できるようになります。また、特措法とは別に、すでに政府は、国民生活安定緊急措置法などに基づいて、マスクを買い上げるなどして、北海道や医療機関などに配っています。
【強制的にできること】
緊急事態宣言が出たときに、行政が強制的に出来ることは、▼都道府県知事が、臨時の医療施設をつくるために必要がある場合に、土地や建物を所有者の同意を得ないで、使用できることと、▼知事が医薬品や食品など必要な物資の保管を命じることです。命令に従わず物資を隠したり、廃棄したりした場合は、6か月以下の懲役または30万円以下の罰金が科されます。保管場所の立ち入り検査を拒否した場合も、30万円以下の罰金となります。罰則があるのはこの2つだけです。
「緊急事態宣言」を行う際は
「緊急事態宣言」を行う際は、国民の生命や健康に著しく重大な被害を与えるおそれがある場合と、全国的かつ急速なまん延によって国民生活と経済に甚大な影響を及ぼすおそれがある場合の、2つの要件をいずれも満たす必要があると定められています。
  さらに、感染症の専門家でつくる「諮問委員会」に意見を聞くなどの手続きも必要です。
  また「緊急事態宣言」を行う場合、総理大臣は、緊急的な措置を取る期間や区域を指定し、宣言を出します。
ロックダウン=都市の封鎖はできるのか
厚生労働省などによりますと、日本で「ロックダウン」=都市の封鎖を行うには、根拠となる法律が必要ですが、施行された「新型コロナウイルス対策特別措置法」には、「ロックダウン」という言葉はどこにも書かれておらず、明確な定義もないということです。
仮に「ロックダウン」のようなことをするにしても、まずは政府が「緊急事態宣言」を出すことが前提になるということです。
《外出》
ただ仮に「緊急事態宣言」が出されても、特措法では外出禁止を強制することはできないということです。特措法の45条では、「都道府県知事は、生活の維持に必要な場合を除き、みだりに当該者の居宅又はこれに相当する場所から外出しないこと、その他の感染の防止に必要な協力を要請することができる」と書かれていて、あくまで外出自粛の「要請」にとどまり、外出した際の罰則はないということです。東京都が先月末に要請した外出自粛と、緊急事態宣言後の外出自粛はどちらも「要請」で、差異はないとしています。
《交通》
交通機関についても、都市封鎖するために公共交通機関を止めることは法律に書かれていません。特措法の20条と24条には、総理大臣や都道府県知事は、鉄道会社などの「指定公共機関」と総合調整を行うことができると書かれています。これはストップさせるというよりも逆で、感染が拡大した際でも公共機関の職員は働かなければいけないので、「最低限は交通機関を動かしてください」というもので、鉄道などを止めることは想定していません。また、道路についても、特措法で道路を封鎖できるという規定はありません。
  一方、感染症法33条では、感染した場所が十分に消毒できていない場合、そこに人が集まらないように、72時間以内で局所的に閉鎖したり、そこに向かう交通手段を遮断したりできますが、それは消毒のためであって、広域的に人の動きを止めるために使える条文ではありません。
  このように、仮に緊急事態宣言が出たとしても、外出自粛は「要請」ベースで、強制力はなく、これまでの自粛要請とほとんど変わらない見通しです。
  今の特措法では、海外のような「ロックダウン」はできず、徹底的に実施するならば、諸外国のように罰則付きの法律を別途整備することが必要だということです。


2020.4.3-NHK NEWS WEB-https://www3.nhk.or.jp/news/html/20200403/k10012366431000.html
新型コロナ 現金給付1世帯30万円 一定水準まで所得減少の世帯

新型コロナウイルスの感染拡大を受けた緊急経済対策の焦点の1つ、現金給付をめぐり、安倍総理大臣と自民党の岸田政務調査会長が会談し、一定の水準まで所得が減少した世帯に対し、1世帯当たり、30万円を給付することで一致しました。
  新型コロナウイルスの感染拡大を受けた緊急経済対策をめぐり、安倍総理大臣は、3日午後、自民党の岸田政務調査会長と総理大臣官邸で会談しました。
  そして焦点の1つ、現金給付について、一定の水準まで所得が減少した世帯に対し、1世帯当たり、30万円を給付することで一致しました。
  このあと岸田氏は記者団に対し、1世帯当たり30万円とした理由について、「さまざまな議論の結果で、日本の世帯の人数など、さまざまな観点から出てきた数字だ」と説明しました。
  そのうえで、「スピード感が大事だと強く申し上げ、迅速に支給することが大事だと強調した。詳細は政府でしっかり詰めてもらいたい。経済対策の全体の規模と、ほかの課題は、週末にかけて政府としっかりと調整していきたい」と述べました。
  政府は今後、現金給付の対象範囲など具体的な制度設計を詰めたうえで、来週前半にも取りまとめる緊急経済対策に盛り込むことにしています。
  そして、今年度の補正予算案を編成して速やかに国会に提出し、大型連休前の成立を目指す方針です。
菅官房長官「世帯単位が適当」
菅官房長官は、午後の記者会見で世帯ごとに現金給付を行うとしたことについて「仕事が減るなどによって収入が減少し、生活に困難を来すおそれがある家庭を中心に、生計維持のために必要な給付水準を検討した。生活支援を中心に考えれば、やはり世帯単位で考えることが適当ではないか」と述べました。
  そのうえで「対象世帯の具体的な基準や、全体規模は検討中だ。実際の交付にあたっては、基準をできるかぎ明確にする必要がある。迅速な交付が必要で、政府と自治体が協力して工夫していく必要がある」と述べました。
  また、菅官房長官は、給付対象を日本国籍の人に限定するのかと問われ「制度の詳細の検討を進めているが、過去の事例では、不法滞在者や短期滞在者を除き、国内で生活する外国人にも給付しており、こうした事例も参考にしながら検討していきたい」と述べました。
自民 世耕参院幹事長「経費増の世帯にも給付を」
自民党の世耕参議院幹事長は、記者会見で「収入が減って困っている世帯や、学童保育などで必要な経費が増えて困っている世帯に救いの手を差し伸べ、現金を配るべきだ」と述べました。
立民 枝野代表「迅速対応に1人当たりで給付を」
立憲民主党の枝野代表は、記者会見で「金額が大きくなるのは歓迎すべきだが、世帯と言っても1人世帯から何人も扶養がいる世帯まであるし、所得減少の要件を厳格に審査すれば相当な時間がかかる。今、生活が困っている人に迅速に対応するためには、1人当たりで配るしかない」と述べました。
公明 石田政調会長「児童手当1万円上乗せを」
公明党の石田政務調査会長は記者団に対し、「突然の発表だった。公明党としては1人あたり10万円の給付を提言していたが、安倍総理大臣がさまざま考え、自民党の岸田政務調査会長との話し合いの中で結論を出したのではないか」と述べました。
  また、「中間所得層にもう少し何かすべきだ」として、6月に支給される児童手当に、子ども1人あたり1万円を上乗せするよう、政府に要請したことを明らかにしました。


2020.4.1-産経新聞 THE SANKEI NEWS WEB-https://www.sankei.com/life/news/200401/lif2004010074-n1.html
首相、5千万世帯に布マスク配布 今月中旬以降郵送

安倍晋三首相は1日、官邸で開いた新型コロナウイルス感染症対策本部会合で、品薄が続くマスクについて、全国の約5千万世帯を対象に1住所当たり2枚の布マスクを配布すると表明した。日本郵政のシステムを活用し、今月中旬以降、感染者の多い都道府県から順次発送を開始する。
   布マスクを着用し、会合に臨んだ首相は「店頭でのマスク品薄が続く現状を踏まえ、国民の不安解消に少しでも資するように速やかに取り組みたい」と述べた。
   布マスクは洗剤で洗うことで再利用が可能という。


2020.1.4-産経新聞 THE SANKEI NEWS-https://special.sankei.com/f/politics/article/20200104/0001.html
南鳥島深海レアアース採取急ぐ 中国に先行、1年前倒し

地球深部探査船「ちきゅう」を用いて南鳥島(東京都小笠原村)周辺の深海底からレアアース(希土類)を採取する実証試験について、政府が着手する時期を1年以上前倒しし、令和3年度の初めから行うことが分かった。中国が昨年7月、南鳥島付近の公海で海底鉱物の排他的探査権を取得したことを踏まえた。今後、中国がハイテク製品に欠かせないレアアースの海底採取を本格化させる前に、回収技術の実用化に向けた対応を急ぐ。
 南鳥島周辺の水深5000メートル超の海底では、電気自動車のモーターなど高性能磁性材料に使われる元素を相当量含むレアアース泥が確認されている。








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