戦争当事国と仕掛ける国-1



2021.11.19-朝日新聞-https://www.asahi.com/articles/ASPCM6SG0PCMUHBI026.html
中国軍機とロシア軍機が共同飛行 3年連続、日本海と東シナ海空域に

  中国国防省は19日、中国軍機(H6K爆撃機)2機とロシア軍機(TU95爆撃機)2機が同日、日本海と東シナ海の空域を共同飛行したと発表した。「第三国に向けたものではない」として、特定の国を意識した飛行ではないと説明。他国の領空にも侵入していないとしている

   中ロ軍がこれらの空域を共同飛行するのは一昨年7月、昨年12月に続いて3回目。日本の防衛省によると、今回も日本の防空識別圏に進入したため、航空自衛隊機が緊急発進(スクランブル)して対応した。
  中国国防省は発表で共同飛行について、「戦略的協力と共同作戦能力の水準を高めることが目的」と説明している。
  タス通信によると、ロシア国防省も19日、ロシアと中国の爆撃機計4機が同日、日本海と東シナ海の上空を共同飛行したと発表した。「中ロのパートナー関係の発展と、両国軍の関係や世界の戦略的安定の強化が目的」としている。
  ロシア大統領府のペスコフ報道官はロシアメディアに、「共同飛行は国際法を厳に守って行われ、いかなる領空侵犯もなかった」と説明。ロシア軍の戦闘機とA50早期警戒管制機も作戦に加わったという。(北京=高田正幸、石橋亮介=モスクワ、成沢解語)


2021.01.30-産経新聞 THE SANKEI NEWS-https://www.sankei.com/world/news/210130/wor2101300013-n1.html
比とベトナム、中国海警法に猛反発 「戦争を仕掛けるという脅迫だ」

  【シンガポール=森浩】中国が中国海警局(海警)に武器使用を容認する海警法を2月1日に施行することを受け、南シナ海の領有権をめぐって中国と対立するフィリピンとベトナムからは強い反発の声が上がった。海警法によって中国による南シナ海の実効支配が強化されるとの警戒感が一段と高まっている

   フィリピンのロクシン外相は27日、ツイッターで「法律制定は主権者の特権だが、南シナ海は開かれていることを踏まえると、海警法は戦争を仕掛けるという脅迫だ」と批判。「抵抗しなければ海警法に服従することになる」とし、外交ルートを通じて抗議したことを明らかにした。
   ベトナム外務省も29日の声明で、「ベトナムは国連海洋法条約に基づいて、水域の管轄権を証明する十分な法的根拠と歴史的証拠を有している」と改めて主張し、中国を牽制(けんせい)した。
   東南アジア諸国連合(ASEAN)と中国は南シナ海の紛争抑止に向けた「行動規範」(COC)の年内策定を目指しているが、海警法施行はこの作業にも影響を与えそうだ。フィリピンのオンラインメディア「ラップラー」は、「COCは策定前に死んだも同然だ」と指摘した。



2020.11.26-Livedoor News(産経新聞)-https://news.livedoor.com/article/detail/19280147/
連邦軍が「1万人以上壊滅」 エチオピア紛争

  【カイロ=佐藤貴生】アフリカ東部エチオピアで今月上旬に始まった連邦政府軍と北部ティグレ州を支配する「ティグレ人民解放戦線」(TPLF)の軍事紛争で、同国の政府系通信社は25日、連邦軍が戦闘開始から約3週間で1万人以上のTPLFの兵士を「壊滅させた」と伝えた。

  ロイター通信は同州周辺の通信が遮断されているため真偽は確認できないとしている。
  連邦軍はティグレ州の州都メケレを包囲したとし、アビー首相は25日夜までの降伏を呼びかけたが、TPLFは拒否している。また、アフリカ連合(AU)の代表が同日、調停のためエチオピア入りする見通しとなっているが、アビー氏は「内政干渉」だとして停戦の呼びかけに応じない姿勢を示している。
  国連のグテレス事務総長が戦闘激化に危機感を示したほか、欧米でも懸念が広がっている。
  連邦政府側の人権委員会は24日、TPLFが今月上旬にティグレ州で民間人約6百人を虐殺したとする報告書を発表した。これまでに民間人4万人以上がスーダンに避難したほか、エリトリアにロケット弾が撃ち込まれるなど、周辺国にも影響が広がっている。


2020.11.17-毎日新聞-https://mainichi.jp/articles/20201117/k00/00m/030/201000c
エチオピア紛争、民族対立で泥沼化 隣国エリトリア巻き込み難民2万5000人

  アフリカ東部エチオピアで、中央政府軍と北部ティグレ州政府を率いるティグレ人民解放戦線(TPLF)の武力衝突が激化の一途をたどっている。TPLFは、中央政府と隣国エリトリアが連携しているとして同国の首都アスマラを砲撃。こうした混乱の中、紛争を逃れてエチオピアから隣国スーダンに避難した難民は約2万5000人に上るとみられ、人道危機も深刻化している。

  ロイター通信によると、アスマラには14日夜、少なくとも3発のロケット弾が撃ち込まれ、このうち2発は空港に着弾した。ティグレ州幹部は攻撃したことを認め、エリトリアがエチオピア中央政府と協力し、軍隊や戦車をティグレに送り込んでいると主張。「エチオピア政府は、外国と一緒になって我々を攻撃している。裏切りだ」と訴えている。
  エリトリアは今回、公式には関与を否定している。ただエチオピアのアビー政権との関係は良好で、エチオピアがTPLFを南北から挟み撃ちにするためエリトリアに協力を求めたとの見方がある。国境線を巡る対立から両国は1998年に武力紛争に突入し、2000年の停戦まで推定10万人が死亡した。この和平合意を主導したとして、エチオピアのアビー首相は19年にノーベル平和賞を受賞した。

  ロイター通信は双方に数百人規模の死者が出ている可能性があると報じているが、現地では電話やインターネットが遮断されており、詳しい交戦の状況は明らかになっていない。エチオピア政府はティグレ州都のメケレなどを空爆し、「ティグレ州西部を解放した」と発表したほか、15日には同州南部の町アラマタでTPLFを破ったと明らかにした。
   ただ、ティグレ人で構成されるTPLFは91年に当時のメンギスツ政権を打倒する武装闘争をリードした中核部隊で、現在も最大25万人規模の兵力があるとされる。紛争の背景には、前政権まで政府の中枢を担ってきたティグレ人と、最大民族オロモ出身のアビー氏らが対立する構図がある。今後、民族を軸にした対立が深まれば、紛争が泥沼化する恐れもある。

  人道危機も懸念されている。国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)によると、ティグレ州から国境を越えてスーダン東部に避難する難民は2万5000人に達した模様だ。ロイター通信によると、避難してきた人々は「ティグレ人が殺されている」「銃を持った男たちが通りで人を虐殺した」「家からお金や牛、作物が盗まれ、服だけをもって逃げてきた」などと証言しているという。UNHCRは今後1年間で10万人が避難する可能性を指摘した。
  一方、国際人権団体アムネスティ・インターナショナルは12日、独自調査の結果として、州西部の町で数百人の民間人が刃物で虐殺されたと公表した。住民の証言などからTPLF側の犯行の可能性があるとの見方を示している。
   紛争の影響が周辺国まで広がる中、アフリカ連合(AU)などが仲介を模索しているが、エチオピアとTPLFは双方とも交渉のテーブルにつく意思は示していない。16日にはナイジェリアのオバサンジョ元大統領が仲介のためエチオピアに向かったが、交渉が進展するかは不透明だ。
  アビー首相は17日、TPLFに対して3日以内に降伏するように通告。従わない場合、さらに大規模な攻撃に踏み切る姿勢を示した。【ヨハネスブルク平野光芳】


2020.11.16-Yahoo!Japanニュース(産経新聞)-https://news.yahoo.co.jp/articles/9f36219545d577bc64f5e6c968795bbe5e8e501c
ナゴルノ紛争 「敗者」アルメニアの住民、自宅に放火して退去 15日が期限 本国では抗議デモ続く

  【モスクワ=小野田雄一】南カフカス地方の旧ソ連構成国、アゼルバイジャンとアルメニアの係争地、ナゴルノカラバフ自治州をめぐる紛争で、9日の停戦合意でアルメニアがアゼルバイジャンに15日までに返還すると定められた自治州周辺のカルバジャル県(推計人口数万人)では同日までに、住民らが自宅に火を放った上で退去した。アルメニア本国では実質的に敗北を認めたパシニャン首相の退任や停戦合意の破棄を求めるデモが続いている。

  露主要メディアなどによると、少なくとも数十軒以上の住宅が焼かれた。自宅を焼いた男性住民はロイター通信に「アゼルバイジャン人は焼け跡に家を建て直さなければならないだろう」と述べ、資産を渡さないための措置だと説明した。
  一方、イタル・タス通信によると、アゼルバイジャンは15日、「人道的観点」に基づき、同県の返還期日を25日まで延期することに同意したと発表した。退去する住民や軍部隊でアルメニア本国への道路が混雑しているためで、アルメニアが停戦仲介役のロシアを通じ延期を申し入れていた。

   アルメニアの首都エレバンでは連日、停戦を不満とする数千人規模のデモが発生。パシニャン氏は退任を否定している。同国治安当局は15日までに、パシニャン氏の殺害や権力奪取を企てた疑いで、複数の野党側指導者らを一時拘束した。
   9月27日に始まった紛争では双方で計4千人以上が死亡したとされる。停戦合意では、アゼルバイジャンが奪還した自治州内の地域について同国の継続統治を認めたほか、アルメニア側が実効支配してきた自治州周辺のアグダム県▽カルバジャル県▽ラチン県-をアゼルバイジャンに返還すると定められた。アグダム県の返還期限は今月20日、ラチン県は12月1日。


2020.11.11-Yahoo!Japanニュース(KYODO)-https://news.yahoo.co.jp/articles/1b702b29e30c2caa6d502ef02167a962d432344b
ロシアが停戦維持部隊を派遣 ナゴルノ、帰属焦点に

  【モスクワ共同】ロシアは10日、アゼルバイジャンとアルメニアが係争地ナゴルノカラバフを巡る戦闘停止で合意したことを受け、ロシア軍の停戦維持部隊の派遣を始めた。1990年代から続くナゴルノカラバフ紛争で、停戦維持部隊の投入は初めて。9月下旬に始まった戦闘は、アルメニアが占領していた多くの領土を奪還したアゼルバイジャンの戦果を認める形で収束する見通しとなった。
  ただロシアの仲介で合意した停戦の共同声明はナゴルノカラバフの帰属や、アゼルバイジャンの背後で影響力を増すトルコの役割に触れておらず、本格和平に向けて課題を残した。


2020.11.05.dmenuニュース-https://topics.smt.docomo.ne.jp/article/wedge/world/wedge_21205
カラバフ紛争で中立放棄したイランが抱える〝爆弾〟

  イランはかつて、南コーカサスで仲介者の役割を果たしたが、今回のナゴルノカラバフをめぐるアルメニアとアゼルバイジャンとの紛争では、中立的な立場をとって仲介に乗り出すのではなく、アゼルバイジャンを支持する姿勢を明確にしている。

  アゼルバイジャン系住民(アゼリ人)の多いイランの北西部の4県は、アゼルバイジャンを支持する共同声明を発出し、声明はナゴルノカラバフがアゼルバイジャンに属することは「疑いない」と宣言している。イランのロウハニ大統領、ザリフ外相、ハメネイの首席外交顧問のヴェラヤティは揃って、アルメニアは1994年以来占領しているアゼルバイジャン領から撤退すべきである、と述べた。
   調停者の役割を放棄することは、地域への影響力が低下することも厭わないということである。今回イランは、なぜそのよう立場に甘んじているのか。それは、イランが多民族国家であるがゆえに、ロシアやトルコのように紛争の第三者の当事国ではなく、紛争から大きな影響を受ける立場にあるからである。
   イランの最大の少数民族はアゼリ人で、約2,000万人と人口の4分の1を占める。アゼリ人はナゴルノカラバフ紛争で、当然のことながらアゼルバイジャンを支持している。1990年代と比べて、今日ではイランのアゼリ人はアルメニアとアゼルバイジャンの紛争をはるかに強く意識しており、はるかに強くアゼルバイジャンを支持しているという。したがって、イラン政府はその影響力を無視できない。アゼリ人が不穏な動きをすれば、イランの国内の安全に深刻なリスクとなる恐れがある。そこで、イラン政府は今回のナゴルノカラバフ紛争で強くアゼルバイジャンの支持を表明したのである。
   イランにはアゼリ人の他にクルド人(人口の7%の約600万人といわれる)、バルチ人(約300万人)、アラブ人(約200万人)がおり、イラン政府はもしアゼリ人が不穏な動きをすれば、それがこれらの少数民族に影響するしうることを懸念している。紛争がこうした国内少数グループの蜂起につながれば、現在のイランには、これに対処する準備ができていない。

   したがって、イラン政府はナゴルノカラバフ紛争でアゼルバイジャンの支持を強く表明したのみならず、紛争の早期終結を望んでいるのである。しかし、今のイランには紛争を調停する力はなく、ロシアやトルコに頼らざるを得ない。
   紛争自体は、既に3回の停戦合意があった。1回目はロシアの仲介で10月10日から、2回目は米ロ仏3か国首脳と欧州安保協力機構が即時停戦を呼び掛ける中でのロシアによる再度の仲介で10月18日から、3回目は米国の仲介により10月26日から軍事行動を停止することで改めて合意がなされた。しかし、いずれもごく短期間で停戦が破られ、衝突が再開している。
   ロシアはアルメニアとの間に相互防衛条約を結んでおり、アルメニアが攻撃された場合には介入せざるを得ない。ロシアは経済的負担を避けるためにも南カフカスでの軍事行動は避けたいところであり、今後とも仲介に努めるものと見られる。かつてソ連領であった同地域での影響力を保ちたいとの考慮もあろう。しかし、ナゴルノカラバフをめぐるアルメニアとアゼルバイジャンの対立の根深さ考えると、本格的な停戦はなかなか見通し難い。イランにとり、懸念は当分続くことになるだろう。


2020.11.04-Livedoor News-https://news.livedoor.com/article/detail/19166279/
紛争に中東から雇い兵「2千人」 ナゴルノ紛争でロシア外相

  【モスクワ共同】ロシアのラブロフ外相は3日のコメルサント紙(電子版)との書面インタビューで、アゼルバイジャンとアルメニアが衝突するナゴルノカラバフ紛争に関し、「中東から戦闘に参加している雇い兵が2千人に近づいている」との独自情報を示し、紛争の国際化に懸念を表明した。
   アゼルバイジャンを支援するトルコの特殊部隊のほか、シリアから雇い兵が加わっているとされ、アルメニアのパシニャン首相は2日、雇い兵に関する国際調査実施を主張した。
   一方でインタファクス通信によると、アゼルバイジャンのガジエフ大統領補佐官は3日、雇い兵が既にアルメニア軍に加わっていると批判した。


2020.10.12-Yahoo!Japanニュース(REUTERS ロイター)-https://news.yahoo.co.jp/articles/e1eae40c670c7529f79adf565727281a04323170
アゼルとアルメニア、停戦直後に双方が合意違反と非難合戦

  [バクー/エレバン 11日 ロイター] - アゼルバイジャンとアルメニアは、ロシアの仲介によるナゴルノカラバフにおける停戦に合意したのもつかの間、互いに相手に合意違反行為があったと非難している。
  ナゴルノカラバフでは9月27日以降の衝突で数百人が死亡。両国は捕虜交換と遺体引き渡しのため現地時間10日正午から戦闘を停止していた。 ただアゼルバイジャンは11日、首都バクーに次ぐ都市ガンジャがアルメニア側から大規模な空爆を受け、9人が死亡し、34人が負傷したと主張。この停戦合意違反への報復としてアルメニア系住民の居住区に航空攻撃を行ったと説明した。 一方アルメニア国防省は、ガンジャが攻撃を受けたというアゼルバイジャンの発表は「全くのうそ」で、アゼルバイジャンが停戦合意後もナゴルノカラバフの人口密集地帯に対する爆撃を継続していると反論している。


2020.10.10-Yahoo!Japanニュース(産経新聞)-https://news.yahoo.co.jp/articles/49c92a8252db6c45c453dc70bc4ffaed582da66f
アゼルバイジャンとアルメニアが停戦入り ロシア仲介 戦闘再燃の恐れも

  アルメニア人勢力が実効支配するアゼルバイジャンのナゴルノカラバフ地域周辺で続く戦闘について、アゼルバイジャンとアルメニアは10日、捕虜や遺体の交換を理由に停戦に入った。ロシアの仲介で3カ国の外相会談を9日からモスクワで開き、合意した。ただ、アゼルバイジャンは同地域からのアルメニア軍の撤収を求めており、戦闘が再燃する懸念もある。

  タス通信などによると、外相会談はプーチン露大統領の呼びかけで実現し、約10時間に及んだ。10日未明にラブロフ露外相が現地時間の同日正午から停戦し、米仏露が共同議長を務める全欧安保協力機構(OSCE)の交渉の場で平和的な紛争解決に向けた交渉を続けることを発表した。だが、具体的な停戦維持の条件は今後の協議に持ち越された。
   9月27日に始まった戦闘ではこれまでに450人以上が死亡した。アゼルバイジャンはナゴルノカラバフの北部と南部で攻勢を強め、複数の村落や拠点を奪取したと発表。お互いに前線から離れた都市を砲撃し、民間人の被害も広がっている。守勢に立たされたアルメニア側は「ナゴルノカラバフは人道危機の瀬戸際にある」(パシニャン首相)と訴え、友好国のロシアやフランスに仲介を要請するなど国際社会への働きかけを強めていた。
   ただ、今後の行方は不透明だ。アゼルバイジャンは被害の拡大から停戦に応じた可能性があるが、これまでイスラエルなどから無人機など最新装備の購入を進めている。友好国トルコの後押しも受け、過去の紛争で支配権を失った自国領の奪回への意欲を強めている。トルコ外務省も10日の声明で、「停戦は問題の最終解決に代わるものではない」とアゼルバイジャンを支持する方針を表明した。
  一方、アルメニアと集団安全保障条約を結ぶロシアは、同じ旧ソ連構成国だったアゼルバイジャンとも友好関係を維持しており、両国の外相をモスクワに招き、停戦合意に持ち込んだ。
  ただ、戦闘開始以降、プーチン氏自ら停戦を繰り返し求めたにもかかわらず、これまで交渉が成立しなかったことで、ロシアの影響力低下を指摘する声も出ている。
   ロシアはシリアやリビア内戦でもつばぜり合いを続けるトルコが影響力を拡大するのをけん制しているが、アゼルバイジャン領内にあるナゴルノカラバフ周辺での戦闘に直接的な介入はしにくいとみられる。
   アルメニア、アゼルバイジャンの両国は10日の停戦開始直後から、お互いが合意に違反して攻撃を行ったと非難を始めている。【モスクワ前谷宏】


2020.10.9-Rakuten/infoseek ニュース-https://news.infoseek.co.jp/article/sankein_wor2010090035/
アゼルバイジャンとアルメニア外相が初の直接対話 ナゴルノ紛争

  【モスクワ=小野田雄一】南カフカス地方の旧ソ連構成国、アゼルバイジャンとアルメニアの係争地、ナゴルノカラバフ自治州をめぐる紛争で、アゼルバイジャンとアルメニアの両国外相は9日、ロシアの仲介下、モスクワで会談した。タス通信などが伝えた。
   9月27日の戦闘開始以来、紛争当事国による初の直接対話で、停戦に向けた進展が見られるかどうかが最大の焦点。ロシアは仲介役を担うことで、自国の勢力圏とみなす南カフカスでの主導的地位を維持する思惑とみられる。
   露大統領府はこれに先立つ8日、プーチン大統領がアゼルバイジャンのアリエフ大統領、アルメニアのパシニャン首相と電話会談を行い、捕虜交換や遺体返還のための停戦を提案したとし、「この問題を協議するため両国外相を9日にモスクワに招待している」と発表していた。
   ロシアや欧米諸国は紛争の即時停戦を求めているが、アゼルバイジャンと同国を支援するトルコは、停戦には自治州を実効支配するアルメニア側の退去が必要だと主張。アルメニアは徹底抗戦の構えで、両国の立場は鋭く対立している。


2020.10.5-NHK NEWS WEB-https://www.nhk.or.jp/kaisetsu-blog/300/436910.html
「アルメニア・アゼルバイジャン 全面戦争の危機」(ここに注目!)
石川 一洋  解説委員

  旧ソビエトのアゼルバイジャンとアルメニアが、アゼルバイジャン領内の係争地で大規模な戦闘を始めてから一週間が過ぎました。石川一洋解説委員に聞きます。

Q 西にトルコ、北にロシア、南にイラン、東西南北を繋ぐ要衝での紛争ですね?
A アゼルバイジャンのアリエフ大統領は領土の奪還、アルメニアのパシニャン首相は民族の防衛を叫んでいます。アゼルバイジャン領内のナゴルノカラバフとその周辺、アルメニアが占領している地域で、大規模な戦闘が始まりました
アゼルバイジャンはトルコやイスラエル製の無人攻撃機を戦闘に投入し攻勢を強め、幾つかの町村を奪還しています。アルメニア側もアゼルバイジャンの第二の都市をロケット弾で攻撃するなど反撃しています。
紛争はソビエト連邦末期に遡ります。ナゴルノカラバフはアルメニア人が多く住みアルメニアへの帰属を求めて1991年独立を宣言、戦争となり、アルメニア有利の中で94年に停戦は成立、アゼルバイジャンは国土の20%が占領された状況です。
Q 周辺国の立場は?
A トルコはアゼルバイジャンを兄弟国として全面支援する立場、ロシアはアルメニアの同盟国で軍も駐留しています。ただロシアは、アゼルバイジャンとの関係も維持、比較的中立の立場から仲介を試みています。
Q 交渉で解決できないのでしょうか
A 「戦争は外交の延長」という格言があります。この26年間、ロシア、アメリカ、フランスの仲介による和平交渉が行われ、米ロが「周辺の占領地はアゼルバイジャンに返還し、その代わりにナゴルノカラバフに事実上の自立を保証する」などの妥協案を提案してきました。
今、アゼルバイジャンは南部の占領地の奪還を進め、アルメニアは必死に維持しようとしています。交渉で有利な立場にたとうという意図があるようにも見えます。
Q 停戦の見通しは?
A 民間人も含め多数の死傷者が出ており、米ロ仏の大統領は共同声明で即時停戦と交渉の無条件開始を双方に呼びかけました。しかし紛争はエスカレーション拡大する恐れが強まっています。双方の都市への攻撃も行われ、好戦的なナショナリズムが高揚しているのです。
トルコやロシアを巻き込みかねない全面戦争への大変危険な状況が続いています。
  (石川 一洋 解説委員)


2020.10.2-Yahoo!Japanニュース(産経新聞)-https://news.yahoo.co.jp/articles/ceef3b56d6e1d00a95ad25ed8bb19c19745123e7
トルコ強硬、露は対応苦慮 アルメニア・アゼルバイジャン衝突、停戦以後で最大規模に

  【モスクワ=小野田雄一、カイロ=佐藤貴生】南カフカス地方の旧ソ連構成国、アルメニアとアゼルバイジャンの係争地、ナゴルノカラバフ自治州で続く両国の戦闘は死者が少なくとも170人を超え、1994年の両国停戦以降で最大規模の衝突となった。トルコが支援するアゼルバイジャン側は、国際社会の求める戦闘停止の呼びかけに応じず、強硬姿勢を貫く。アルメニアの後ろ盾であるロシアは有効な手立てを打てずに苦慮している。

  自治州を実効支配するアルメニア側は2日、9月27日の戦闘開始以降に157人の兵士が死亡したと発表。複数の民間人の死者も報告している。アゼルバイジャンは民間人19人が死亡したとしている一方、兵士の被害は公表していない。
   両国は「戦闘開始の責任は相手にある」と非難し合っているが、第三国の専門家の間では、戦闘の数日前から境界線に部隊を集結させ、戦闘直後に州内に進軍したアゼルバイジャンが主導したとの見方が強い。産油国の同国では新型コロナウイルス禍による原油価格の下落で経済情勢が悪化しており、国民の不満を外部にそらそうとしたとの分析も出ている。
  戦闘は同州内にとどまらない。アルメニアは1日、本国への砲撃被害があったほか、首都エレバン近郊で無人機4機を撃墜したと発表した。  戦闘の激化を受け、両国和平の仲介役を担ってきた米露仏3カ国は1日、即時停戦を求める共同声明を発表。しかしトルコのエルドアン大統領は「停戦にはアルメニア側の同州からの退去が必要だ」とし、聞き入れる構えを見せていない。
  トルコは同じイスラム教国で民族的にも近いアゼルバイジャンを友好国とする一方、アルメニアとの間にはオスマン帝国時代の民族・宗教対立などからくる遺恨がある。トルコがシリア民兵を組織して派兵し、航空支援を行っているとの情報もある。旧オスマン帝国領への影響力拡大を図っているトルコには、紛争への介入を通じて資源国アゼルバイジャンを取り込みたいとの思惑が透ける。
   一方、アルメニアの同盟国であり、アゼルバイジャンとも武器輸出などで関係を持つロシアは難しい立場に置かれている。  ロシアは勢力圏とみなす南カフカスの不安定化や、北大西洋条約機構(NATO)の一員であるトルコとの衝突を警戒し、介入には慎重姿勢を取っている。
  ただ、ロシアは自国主導の「集団安全保障条約機構」(CSTO)に加盟するアルメニアの防衛義務を持つ。アルメニア本国への攻撃が拡大した場合にはロシアも対応を迫られる。出方次第では、同盟の盟主としてのロシアの威信低下は避けられない。
  今回の戦闘が勃発した背景には、シリア内戦やリビア内戦でそれぞれ敵対勢力を支援するロシアとトルコの関係悪化があった可能性もある。トルコの強硬姿勢を前に、ロシアがナゴルノカラバフをめぐって妥協を余儀なくされるとの見方も出てきた。


2020.9.30-BBC NEWS JAPAN-https://www.bbc.com/japanese/54350762
アルメニア、「トルコ軍が戦闘機を撃墜」 アゼルバイジャンとの戦闘続く

  旧ソビエト連邦のアルメニアとアゼルバイジャンの間で、係争地ナゴルノ・カラバフをめぐって起きている戦闘で、29日までに100人近くが死亡したとみられる。アルメニアは同日、同国軍の戦闘機1機がトルコ軍の戦闘機に撃墜されたと述べた。
  両国による大規模な戦闘は27日から続いており、29日までの3日間で民間人を含む多数の死者が出ている。
  双方ともナゴルノ・カラバフ以外の場所で攻撃を受けたと非難し合っており、戦闘地域が広がりつつある。
  山岳地帯のナゴルノ・カラバフは、国際的にはアゼルバイジャンの一部と認められている。だが、1988~1994年に同国とアルメニアが戦争を繰り広げて以降、アルメニア系住民が支配している。

  アルメニアに軍事基地をもつロシアは、即時停戦を求めている。ロシアはアゼルバイジャンとも友好関係を保持している。
  しかし、アルメニアのニコル・パシニャン首相はロシアのメディアに、戦闘が続いている間に対話は適当ではないと述べるなど、現時点で停戦の可能性は小さい。
  アゼルバイジャンのイルハム・アリエフ大統領もロシアのメディアに、アルメニアの現在の姿勢を考えると、交渉はありえない
と述べた。
双方に多数の死傷者か
  アルメニアの通信社によると、ナゴルノ・カラバフの自治当局は、戦闘発生以降に部隊の兵士87人が死亡し、120人が負傷したと述べた。
  同当局はまた、アゼルバイジャン側の死者は400人近くに上っているとし、同国軍の航空機1機、ヘリコプター4機、多数の戦車が破壊されたと述べたという。
  アゼルバイジャンは軍の被害を明らかにしていない。しかし、アルメニアの砲撃で民間人12人が死亡したと発表している。
  メディア報道によると、アゼルバイジャン防衛省はアルメニア軍について、フュズリ、ジェブライル、アーダム、テルテルの各地区にあった拠点を繰り返し奪回しようとし、失敗したと述べた。
  また、アルメニア軍は車列が攻撃を受け、多大な損害を被ったと話した。双方の死傷者に関する説明はともに証明されていない。
トルコ軍機が撃墜?
  アルメニア当局によると、旧ソ連製のアルメニア軍のSU-25戦闘機が29日朝、同国領空でトルコ軍のF-16戦闘機の攻撃を受け、パイロットが死亡した。
  トルコ軍のF-16戦闘機は、アルメニアの領空内60キロメートルまで侵入していたという。アゼルバイジャンを支援しているトルコは、この主張を「まったくの虚偽」として否定している。
  トルコのレジェプ・タイイップ・エルドアン大統領の側近は、「アルメニアは安っぽいプロパガンダ工作を展開するのではなく、占領している地域から撤退すべきだ」と述べた。
  アルメニアの主張を裏付ける物的証拠は示されていない。アゼルバイジャンは、証拠を提示するよう求めている。同国軍はF-16戦闘機を所有していないと述べている。
紛争の背景
  ソ連が崩壊に近づいた1988年、アゼルバイジャン軍とアルメニアの分離独立派が激しい戦闘を開始。1994年に停戦が合意され、ナゴルノ・カラバフはアルメニア系の住民が治めることになった。
  この戦争では何万人もの死者が出たほか、多くのアゼルバイジャン系住民が住む家を追われた。
  現在、ナゴルノ・カラバフは実質的に自治区となっており、アルメニアからの支援に大きく頼っている。ただ、アルメニアを含む国連加盟国は、ナゴルノ・カラバフを国と認めていない。
  ナゴルノ・カラバフ周辺のアゼルバイジャンの領土の一部も、アルメニアが支配している。
  恒久的な和平の合意に向けた協議は成功しておらず、ナゴルノ・カラバフはソ連崩壊後のヨーロッパにおける「凍結した紛争」となっている。
  アルメニアとアゼルバイジャンは長年にわたり、停戦合意に違反して散発的な戦闘を繰り返しており、兵士に死者も出ている。アルメニアは、トルコとアゼルバイジャンとの国境封鎖により、深刻な経済問題に直面している。
  ロシア、フランス、アメリカが共同議長を務める欧州安全保障協力機構(OSCE)のミンスク・グループは、紛争の終結を目指して仲介を試みている。


2020.9.25-SankeiBiz-https://www.sankeibiz.jp/macro/news/200925/mcb2009250940016-n1.htm
米国「うんざり」、中国「偏見捨てよ」 国連で再び激しい応酬

  【ニューヨーク=上塚真由】国連安全保障理事会は24日、新型コロナウイルス禍後のグローバル・ガバナンス(多国間統治)を討議するオンラインの公開会合を開き、米国と中露が激しい応酬を繰り広げた。コロナをめぐる米中の対立は22日の一般討論演説でも表面化し、国連を舞台にした応酬はこの日も続いた。

  会合ではまず、中国の王毅国務委員兼外相が、国際協力の必要性を強調。「この困難を乗り切るためには、主要国は冷戦思考やイデオロギーの偏見を捨て、人類の未来を最優先とし、協力しなければならない」と米国を牽制(けんせい)。ロシアのラブロフ外相も「好ましくない国や地政学上の競争国に仕返しするため、私利私欲を推し進めようとする国がいる」と名指しは避けつつも米国を批判した。

両氏の後に演説した米国のクラフト国連大使は、「本日の討議の内容に驚き、うんざりしている。当面の重要な課題ではなく、この会合を利用して、政治的な恨みに集中する理事国がいる」と中露に反発。さらに、中国当局の隠蔽体質が新型コロナの拡大を招いたと改めて批判し「トランプ政権は不人気であろうと、正しいことをしていく」と述べ、中国の責任を追及していく考えを示した。
  会合ではその後も中国の張軍国連大使が演説で「米国のコロナ対策に失敗したのは、自国の責任だということを理解すべきだ」と応じ、激しい舌戦が続いた。



2020.8.15-産経新聞 SANKEI NEWS WEB-https://www.sankei.com/west/news/200815/wst2008150002-n1.html
「紫電改」が墜落 葬られた列車転覆事故 75年後の慰霊碑

  第二次大戦中、さまざまな大事故や災害などが「軍事機密」を理由に秘匿された。兵庫県加西市の旧国鉄北条線(今の北条鉄道)で起こった列車の脱線転覆事故もその一つだ。多数の死傷者を出した列車事故として報道されたものの原因や経緯などは闇に葬られた当時最新鋭の戦闘機「紫電改」が墜落した際、線路に損傷を与えたため起こった事故だったからだ。操縦士や列車の乗客ら12人が死亡し、62人が重軽傷を負う大惨事だった。(小林宏之)
脱線転覆事故
  米軍による空襲が本格化し、沖縄上陸も間近に迫った昭和20年3月31日。試験運転をしていた海軍の新鋭戦闘機「紫電改」が午後4時過ぎ、北条線網引(あびき)駅近くの畑に墜落した。操縦士は不時着しようとした際、後輪を線路に引っ掛け、ねじ曲げてしまった。間もなく満員の乗客を乗せた列車が現場を通りかかり、脱線転覆事故が起こったのだ。
  当時、駅近くの自宅で農作業をしていた藤原昭三さん(91)が振り返る。「上空で飛行機のエンジン音が繰り返し聞こえては消え、おかしいなと思っていたら、『ドドーン』と腹の底をえぐるような轟音(ごうおん)が響き渡った。麦畑の方へ急いで走ると、あまりに無残な光景に息をのんだ」
  紫電改の機体が畑に突っ込み、大破していた。それだけではなく、紫電改が曲げた線路は枕木を付けたまま1メートルほど宙に浮き、そうとは知らずに突っ込んでいった列車が脱線。横倒しになった機関車に、折れ曲がった客車が乗り上げていた。
  藤原さんら駆け付けた住民は、犠牲者の搬出や負傷者の救出に当たった。「生死不明のケースを含めて数え切れない人を、急ごしらえの担架やリヤカーなどを使って近くの公会堂に運んだ」。公会堂には遺族や負傷者の家族も詰めかけ、婦人会も炊き出しを行うなど作業は深夜に及んだ。
事故伝える新聞
  北条線沿線では、昭和18年に姫路海軍航空隊の鶉野(うずらの)飛行場が開設され、隣接して軍用機の組立工場もあった。紫電改の試験飛行による事故が当地で起こったのは、そのためだ。当時16歳だった藤原さんは飛行場内の工事を請け負う会社で働き、北条線に乗って通勤していた。
  「事故の犠牲者や負傷者には海軍関係者や飛行場関連の労働者もいた。私はあの日たまたま欠勤していたが、本当なら乗っていたかもしれない列車だった」
  事故を伝える記事を載せた新聞が、藤原さんの手元にある。「戦況でも大地震でも『機密事項だ』などとして情報統制されていた時代。『紫電改』も軍人の犠牲者も登場しない、ごく小さな記事だが、事故の発生を載せただけでも歴史に残る意義がある」
  事故から75年を迎えた今年3月31日、事故現場となった線路脇で、慰霊碑が除幕された。北条鉄道や事故の遺族関係者らが建立し、出席者が「列車事故殉難の碑」と刻まれた碑に手を合わせた。
平和考える機会に
  長らくベールに包まれていた事故。生存者や藤原さんのような目撃者が事故について語ったり文章に残したりするようになったのは、ここ20~30年のことだという。
  「鶉野飛行場がなければこんな惨事が起こることもなかったとも思うが、自分にとって鶉野は、人生の一部といえる大きな意味を持つ場所だ」と複雑な心境を吐露する藤原さん。自身が慰霊碑を訪れたことはないが、「形だけの合掌ではなく、戦争について平和について考え続ける機会にしてほしい」と願っている。



2020.8.11-Yahoo!Japanニュース(産経新聞)-https://news.yahoo.co.jp/articles/d6c8bf7a269748e08f97df25df22cc411b951241
「回天特攻隊員の遺書」作者存在せず 元海軍士官が創作疑い

  先の大戦で日本軍が開発した人間魚雷「回天」の搭乗員が書いたとされ、インターネット上に流布している「18歳の回天特攻隊員の遺書」の作者は実在しないことが11日、回天研究者ら関係者への取材で分かった。元海軍士官の男性(故人)の創作だった疑いが強い男性は戦後、特攻隊員の遺書の収集に携わっており、研究者はこうした複数の遺書を基に創作した可能性を指摘している。(大森貴弘)

  《お母さん、私は後3時間で祖国のために散っていきます。胸は日本晴れ。(中略)お母さん。今日私が戦死したからといってどうか涙だけは耐えてくださいね。でもやっぱりだめだろうな。お母さんは優しい人だったから。お母さん、私はどんな敵だって怖くはありません。私が一番怖いのは、母さんの涙です》
  この元回天特攻隊員の遺書とされるものが世に出たのは平成7年。元海軍士官の男性が皇学館大の戦没学徒慰霊祭で講演し、大学が講演録として冊子にまとめた。
  この中で男性は自身を回天の元搭乗員と名乗り、先に出撃した仲間の遺書として名前を出して披露。遺書そのものは家族に渡したとして示さなかった。
  男性は立命館大在学中、海軍に志願。海軍辞令公報によると、昭和19年12月に一等巡洋艦「八雲」配属の後、富山県の伏木港湾警備隊で少尉として終戦を迎えた。防衛研究所所蔵の回天搭乗員名簿に男性の名前はない。
  男性が遺書の作者として名前を出した人物は搭乗員の中にいるが、戦死の状況が異なる上、遺書に書かれている家族構成も実際とは違っていた。そもそも別の遺書を残しており、今回の遺書とは関係がなかった。

   回天の元搭乗員でつくる全国回天会は平成12年、講演録をまとめた皇学館大に抗議した。当時は存命中の元搭乗員も多く、男性の話の矛盾を突き止めたという。大学側は謝罪し、講演録の絶版を約束した。
   しかし講演録の販売は継続され、男性は各地で同様の講演を続けた。皇学館大は「担当者が不在のため詳細は分からない」という。動画投稿サイト「YouTube(ユーチューブ)」に男性が遺書の話を語る動画が配信され、回天の基地があった山口県周南(しゅうなん)市の観光協会が遺書の内容を手ぬぐいなどに印刷して販売、事実として定着した。
   男性は戦後、広島県に住み、地元自治体の広報誌によると19年に死亡した。関係者によると、生前は特攻隊員の遺書の収集に携わっていた。
   回天研究家の山本英輔氏は「似た内容の複数の遺書を組み合わせて創作した可能性がある。戦争当事者が少なくなる中、資料の創作や改竄(かいざん)はどこでも起きると考えるべきで、受け手の意識も問われる」と指摘。回天記念館(山口県周南市)の三崎英和研究員も「さまざまな状況を考えると創作と断定せざるを得ない。この遺書を信じて来館する人もおり、正確な情報を伝えたい」と話している。

■回天
通常の魚雷に1人乗りの操縦席を設けることで命中率を高めようと、日本海軍が開発した特攻兵器。天を回(めぐ)らし戦局を逆転させる」との願いが込められた。先の大戦中の昭和18年末、2人の青年士官が考案し上層部に開発を直訴したとされる。19年7月から搭乗員を募集。9月以降、山口県や大分県の計4基地で訓練が始まり、終戦までの9カ月間で延べ148人が出撃、106人が命を落とした。回天を搭載した潜水艦が撃沈されるなど、回天作戦全体の戦死者は1299人だった。







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