尖閣諸島問題-1


2024.02.18-産経新聞-https://www.sankei.com/article/20240218-UOC674EFUFJEXBASXTDM3CMDNY/
垂前中国大使インタビュー④ 尖閣沖漁船衝突事件、諫言に押し黙った菅直人首相

  垂秀夫前駐中国大使は産経新聞のインタビューで、菅直人政権の平成22年に尖閣諸島(沖縄県石垣市)付近で起きた中国漁船衝突事件の際のエピソードにも触れた。中国人船長を釈放する超法規的な措置には「忸怩(じくじ)たるもの」があったという。

だました中国に反論
  -「文芸春秋」で連載中の回顧録には、安倍晋三元首相が「台湾有事は日本有事」と発言した際、中国外務省が抗議のために呼び出してきたときのエピソードが書かれている
  「大使だから普通、行かざるを得ない。行かないと『今後、何も協力しない』とか『面会をアレンジしない』とか脅してくるんです。だから行かざるを得ない。ただ、単に行って言われっぱなしというのは…」「その日は、大使館の同僚に『中国側は、私が中国外務省に出向いたことを表に出すのか』と聞くと、『確認したら、出さないと言っています』ということだった。でも、普段はめったなことで夜中に私を起こすことはない同僚が深夜の1時ぐらいに電話してきて、『中国外交部は、噓をついて出しました。新華社通信が流しています』と。それで『わかった。悪いが政治部のチームは公邸に集まってくれ。広報文化部にも連絡しろ。われわれも朝までに反論を出す』と指示しました」
  -北京で日本の大使が呼びつけられた際に反論の広報をするようになったのはこの件がきっかけか
  「多分そうだったと思う。中国の一方的な主張しか世に出ないのは問題だと思っていたし、そのときはとにかくだまされたという思いがあったのでね」
  -昨年12月の北京での離任記者会見では外交記録が30年後に公開されることから、歴史家がどう判断するかを基準に外交に取り組んだと話していた。昨年記録が公開された平成4年の天皇陛下(現在の上皇さま)のご訪中は、外務省の小和田恒事務次官や谷野作太郎アジア局長、橋本恕駐中国大使らがメディア工作までして推進したが、結局、中国に利用されただけではなかったか
  「当時の時代背景の中、一生懸命やられていたのだと思う。それが正しかったかどうかという議論はあるかもしれないが、今の基準で判断するのはフェアではない。そんなこと言い出せば、昭和47(1972)年の国交正常化自体が本当によかったのかということにもなりかねない。ODA(政府開発援助)が中国というフランケンシュタインを作ったんじゃないか、という議論もあり得る」
  「ただ、ひどかったのは当時の中国外相だった銭其琛が『外交十記』という自伝を出して、(中国のためにご訪中を)うまく利用したというようなことを書いた。ご訪中の実現に向けて一生懸命やった人からすれば、『がくっ』とくるところがあったのかもしれない」

一人だけ尋常ではなかった
  -では、外務省中国・モンゴル課長時代の平成22年9月に起きた尖閣諸島沖の中国漁船衝突事件の後、超法規的に中国人船長を釈放させた菅直人政権の対応は日中関係に役立ったか
  「あのときは『そんなことをすれば、政権は持ちませんよ』ということを、大きな声で思わず叫んでしまった。一言で言えば忸怩たるものがある。誰のせいで日本政府があんな対応を取ることになったか。それは、はっきりしているでしょう」
  -当時の前原誠司外相は産経新聞のインタビューで菅氏が強い口調で「釈放しろ」と言ったと明かしている
  「早く解決するようにと執拗(しつよう)に指示していたのは事実だ。前原氏をはじめ外務省は適切に対応していたと思うが、一人だけが尋常でなかったと記憶している」
  -前原氏は、菅氏に呼ばれて外務省幹部と首相公邸に行ったと述懐している
  「仙谷由人官房長官、前原氏、福山哲郎官房副長官、佐々江賢一郎外務事務次官、齋木昭隆アジア大洋州局長が菅氏の近くに座り、私は隅の方の見えないところでスチール椅子に座っていた。菅氏が仙谷さんにワーワー怒った後、外務省の3人に『外務省、何やっているんだ!』と怒り、『外務省には専門家はいないのか』と言った。すると全員が私の方を振り向いた。前原氏が『中国・モンゴル課長です』と紹介したら、近くの席に座らされた」
  「菅氏は『(中国は)何をやろうとしてるんだ』と怒鳴っていたので、『中国は、圧力をかければかけるほど日本の政権は降りる(譲歩する)と思っています。これから中国はどんどん圧力をかけてきます』と説明した。そうしたら『何を言ってるんだー』と怒るので、『いや、現に1年前、天皇陛下との会見は1カ月前までに申請する慣例(30日ルール)があるのに、中国の強い要請で(民主党議員からの)いろいろ働きかけがあり、皆さん、降りられました』と言い返した。すると彼はほとんど何も言えなくなった」
  「次の日には外務省に自分の椅子はないかなと思ったら、逆にあれで仙谷さんにえらくかわいがられました」(聞き手 原川貴郎)

たるみ・ひでお 
  昭和36年、大阪府生まれ。京大法学部卒。60年4月、外務省入省。国際情報統括官付国際情報官、南東アジア第1課長、中国・モンゴル課長、駐中国公使などを歴任。平成28年に交流協会台北事務所に出向した後、領事局長、官房長を経て令和2年9月から5年12月まで駐中国大使を務めた。現在、立命館大招聘教授を務める。


2023.12.17-産経新聞-
中国「戦争恐れない」 尖閣めぐる発言に日本は断固たる措置を
(元内閣参事官・嘉悦大教授 高橋洋一)

  中国軍のシンクタンク、軍事科学院の何雷・元副院長(中将)が共同通信のインタビューに応じ、沖縄県・尖閣諸島を巡り「戦争を望まないが恐れない」と述べたという。日本の通信社のインタビューなので、日本向けのメッセージであり、日本の反応を探ろうとしている。

  相手の発言に感情的に過剰に反応する必要はないが、国際法などを踏まえ、冷静に外交その他の場では、中国側に「日本に間違ったメッセージを送るべきではない」とクギを刺しておくべきだ。
  まず、中国が力による現状変更で、台湾の武力統一に踏み切った場合、尖閣諸島が自動的に巻き込まれて「台湾有事」が「日本有事」になる。これは、安倍晋三元首相が、かなり前に「台湾有事は日本有事」と喝破していたように、軍事的には常識である。
  中国が台湾に侵攻するとき、制空権、制海権を確保するが、その際、海上封鎖が必至となる。となると、尖閣諸島のみならず与那国島まで中国はカバーするので、日本有事は必然となるからだ。
  実際、2022年8月、ペロシ米下院議長の訪台に関し、中国は台湾の海上封鎖につながる訓練を行ったほか、日本の排他的経済水域(EEZ)に弾道ミサイル5発が着弾した。
  つまり、中国が力による現状変更を行うと、自動的に日本有事になるわけだ。こうした中国の動きが日本を含む極東アジアの安全保障上、重大問題になるということを、日本は外交などの場で国際社会に向けて強く主張すべきだ。
  中国は、2000年頃から「核心的利益」といい、チベット・ウイグル、南シナ海、香港、台湾、尖閣を掲げてきた。これまで、チベット・ウイグル、南シナ海、香港は手中に収めてきたので、残るは台湾と尖閣になった。習近平国家主席が3期目になり、仕上げとして台湾と尖閣をやらないはずはない
  また、「南シナ海で起こったことは東シナ海でも起こる」とも言われてきた。ここ数日間、南シナ海において中国とフィリピンの対立が緊迫している。フィリピン政府は同国の船舶が9日、南シナ海にあるスカボロー礁と呼ばれる岩礁の周辺で中国船から放水砲を発射されたと発表し「違法かつ攻撃的な行動」と非難した。
  16年の国際仲裁裁判所の判断でも、スカボロー礁ではフィリピンの漁業権が認められているとしている。一方、中国は、仲裁裁判所の判断を無視して、両国船の衝突について「責任は完全にフィリピン側にある」と批判している。
  要するに、中国は、仲裁裁判所の判断より自国の法律を優先させているわけで、国際社会においては危険極まりない存在だ。 国会などの場においても、「日本は中国の力による現状変更は望まず、日本有事になれば断固たる対抗措置をとる」と言うべきだ。
(元内閣参事官・嘉悦大教授 高橋洋一)


2023.11.29-産経新聞-https://www.sankei.com/article/20231129-3STH6W4PL5ET7JBV7JLJNXX53A/
ジャーナリスト・門田隆将氏、新刊「尖閣1945」 中国の根拠なき領有権主張を突き崩す

  尖閣戦時遭難事件―。地元を含め国内でほとんど知られていない、先の大戦末期に起きた事件をテーマとするノンフィクション「尖閣1945」(産経新聞出版)が刊行され、話題を呼んでいる。現在3刷と売れ行きも好調だ。著者でジャーナリストの門田隆将さんは「尖閣諸島の魚釣島には当時遭難した日本人の骨が埋まっており、今も帰還を待っている。本書を通じて日本の領土である尖閣を身近に感じるとともに、戦後しばらくして急に領有権を主張し始めた中国のおかしさにも気付いてほしい」と話している。

日本人が知るべき史実
  尖閣戦時遭難事件 昭和20年7月、石垣島から台湾に向け航行中の疎開船2隻が米軍機の攻撃を受けて1隻は沈没、もう1隻は航行不能に陥り魚釣島に漂着救援の伝達を託された若者有志による決死隊が約170キロ離れた石垣島に小舟を漕いでたどり着き、魚釣島の生存者全員が救助された。事件では食糧難で衰弱して亡くなるなど80人余りが犠牲になったとされる》
  ―本書の中で、石垣島での取材中、多くの人に「尖閣戦時遭難事件を知っているか」と質問したが、知っている人はほぼ皆無だったと書いている。そもそも、この事件を知ったきっかけは「『太平洋戦争 最後の証言』シリーズで資料を調べていたときに知ったから、少なくとも10年以上前になる。他にも本を書いており、現地での取材が長期にわたることも想定されたので、なかなか取材に乗り出せなかった」
  ―尖閣諸島周辺では、中国公船による領海侵入が常態化している
  「尖閣諸島に関するニュースが日々伝えられるようになり、本書執筆中の今年9月には中国が尖閣の日本のEEZ(排他的経済水域)内に新たに海上ブイを設置したことも明らかになった。尖閣諸島の周辺海域は日本にとって重要であり、遭難事件の史実も日本人として知っておかなければならないこと。これ以上待つと、中国の思い通りになってしまうという危機感が募り、取材に本腰を入れた」
日本人のすばらしさが凝縮
  《魚釣島にはかつてアホウドリの羽毛採取や鰹節製造に従事する人々が暮らす村があり、その名残で遭難事件当時も生活に必要な真水があった。しかし、食糧はほとんどなく、漂着者は互いに協力し合って1カ月以上にわたり木の実を食べるなどして過酷なサバイバルを経験した。本書には名もなき人々がそれぞれの使命感に突き動かされて必死に活動する場面が数多い。決死隊の若者たちが米軍機に見つからないよう命からがらになって石垣島に到着するくだりは胸を打つ》
  「尖閣が日本の領土であることは揺るぎないものであるが、日本人はその理由を知らない。尖閣戦時遭難事件は先人たちの勇気と気迫、敢闘精神、優しさなど日本人のすばらしい点が凝縮している事件であり、多くの人に知ってほしい」
日本人の骨が帰還を待っている
  「ノンフィクションというのは、これを書きたいという場面がないと書けない。今回は、決死隊の若者たちが大海原に漕ぎ出る際、縁起物の真っ赤なカリー(長寿のお祝いのときに着させられる打ち掛け)をビリッビリッと引き裂いて鉢巻き用の布にして手渡す女性のことが資料に出てきて、『これ、誰なの』というところから一気に火がついた。その女性の消息がわかならいと感動が削がれる。だから探し出せるかどうかが勝負となったが、長い間わからず作品の完成も一時暗礁に乗り上げていた。しかし、今年3月、ある新聞記者に助けられて、女性の遺族にたどりついた」

  《その女性は、石垣島で写真館を実質的にひとりで切りまわしていた当時40歳の花木芳さんだった。自分の子供たちを助けてもらうために決死隊の若者たちを荒波の中に送り出すことに限りない感謝と、若者たちの母親への申し訳なさが芳さんを行動に駆り立てた。本書には、赤いカリーの着物姿の当時97歳の芳さんが家族や親戚に囲まれる集合写真も添えられている。その後、芳さんは98歳で亡くなる》

  「写真で芳さんの目を見た瞬間、『すごいな』と思った。まさに私が探し求めていた人だった。この人なら縁起物のカリーを破いただろうな、と。でも、そこから今回のノンフィクションが始まった」
  ―本書の後半では、魚釣島に埋葬された漂着者の遺骨を戦後になって回収しに行く人々の話も出て来る
  「私が最も言いたいことは、日本人の骨が今もあの島で帰還を待っているということです。日本人の思いの詰まっている固有の領土、そこに日本人の骨が埋まっており、遺族はそれに強い思いを持っているということなんですよ。大半の遺族は回収できないまま今にいたっている。そういう島が日本領に編入された1895(明治28)年以降、領有したことも(領有権を)主張したこともなかった中国が、国連機関による調査で東シナ海に石油埋蔵の可能性があると指摘された後の1970年代になって急に領有権の主張を始めたことのおかしさを国民に知ってほしい。本書で書いた尖閣戦時遭難事件を知れば、尖閣への思いがだんだん強くなってくると思う」
  《中国側による領有権の主張の不当性については、第六章「尖閣はなぜ日本の領土なのか」で詳しく説明している》

尖閣諸島
  南西諸島西端に位置する魚釣島、北小島、南小島、久場島、大正島などからなる島々の総称。かつて鰹節工場があり日本人が住んだこともあるが、現在は無人島。行政的には沖縄県石垣島の一部。1895年1月、閣議決定により尖閣諸島を沖縄県に編入1969年5月、国連アジア極東経済委員会の沿岸鉱物資源調査報告で、東シナ海に石油埋蔵の可能性ありと指摘。1971年に中国と台湾が初めて公式に「領有権」を主張。日本政府は2012年9月、尖閣諸島を国有化した


2023.10.19-産経新聞-https://www.sankei.com/article/20231019-TISSWIFZMNIRXI3RTRIBROYDZM/
<独自>グーグルマップ、尖閣諸島の表記に中国名を併記 外務省が訂正申し入れ

  米IT大手グーグルによるインターネット上の地図サービス「グーグルマップ」が、尖閣諸島(沖縄県石垣市)の表記について、中国や台湾が呼び名としている「釣魚島群島」「釣魚台列嶼」を併記していることが19日、わかった。外務省は「尖閣諸島」以外の表記について、「それぞれ独自の主張であり、国際的にも認められない」として、グーグルに訂正を申し入れた

  19日現在、グーグルマップで「尖閣諸島」を検索すると、地図とともに表記される説明画面で、「尖閣諸島」に併記して中国の簡体字で「釣魚島群島」、繁体字で「釣魚台列嶼」という呼称が表示される。
  グーグルマップは、平成22年にも地図上で尖閣諸島と同諸島の魚釣島に対し、中国側が呼称で使う「釣魚群島」「釣魚島」とそれぞれ併記した。当時は野党だった自民党が「中国との領有権問題があるような表記になっており問題だ」と指摘。これを受け、外務省がグーグルに中国の呼称を削除するよう求めていた。
  産経新聞は19日、グーグル日本法人に取材を申し込んだが、同日までに回答はなかった。


2023.04.02-日本経済新聞(KYODO)-https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUA0224T0S3A400C2000000/
尖閣周辺の中国船領海侵入、最長の連続72時間45分超え

  第11管区海上保安本部(那覇)は2日、沖縄県・尖閣諸島周辺で3月30日から領海侵入している中国海警局の船3隻が、引き続き領海内にとどまっていると発表した。連続侵入は72時間45分を超え、2012年9月の尖閣国有化以降で最長となった。

  11管によると、3月30日午前11時10分ごろから4隻が相次いで領海に侵入。1日夜、4隻のうち1隻が領海外側の接続水域に出た残る3隻は日本漁船2隻の動きに合わせて航行しており、海保の巡視船が領海から出るよう警告した。
  領海外側の接続水域を含め、尖閣周辺で中国船が確認されるのは67日連続となった〔共同〕


2023.01.30-産経新聞-https://www.sankei.com/article/20230130-L7PW6JWOHZL4RFIJZBHJY6I26A/
深刻な自然破壊進む…尖閣諸島、ドローン調査
(川瀬弘至)

  崩れた山肌、むき出しの赤土…。わが国の領土でありながら誰も立ち入れない尖閣諸島(沖縄県石垣市)は、自然破壊が想像以上に深刻だった。

  29、30の両日に行われた石垣市による尖閣周辺の海洋調査。市の委託を受けた東海大の研究チームが周辺海域の水質など基礎的なデータを収集したほか、産経新聞記者も同行取材し、魚釣島などを船上から視察した。
  魚釣島では昭和53年に政治団体が持ち込んだヤギが繁殖し、草木を食べ尽くすなどの被害が指摘されている。今回の調査でも、ヤギの食害で山肌が所々露出し、崩落して土砂が海に流出している可能性がうかがえた。
  初めて実施したドローンからの映像でも、とくに東側斜面の山肌がほとんど崩落している様子が見て取れた。海上を漂う漁具などのプラスチックゴミも目立ち、海岸に漂着して堆積している恐れもある。
  公的機関の現地調査は、平成24年に東京都が、昨年には石垣市が実施し、今回で3回目だ。
  いずれの調査にも参加した東海大の山田吉彦教授は「環境被害は確実に進んでおり、尖閣諸島の貴重な生態系が崩れつつある。具体策を講じるためにも、この現状を国民に知ってもらいたい」と話す。
  今回、報道機関の同行が初めて認められた背景には、広く周知することで、本格調査への機運を高めたいとする狙いもあるようだ。
  中国が海洋覇権政策を強化する中、尖閣諸島はこれまで、安全保障問題の中で語られることが多かった。革新勢力からは、中国を刺激するとして現地調査に反対する声も根強い。だが、「より考えなければならないのは環境問題だ」と山田教授は指摘する。
  尖閣諸島周辺は古くから好漁場として知られているが、流出した赤土や漂着ゴミを放置すれば環境汚染がさらに進むことは必至だ。貴重な生態系を守るため、上陸調査を含む具体的対策が求められている。(川瀬弘至)



2022.12.29-Yahoo!Japanニュース(日テレNWES)-https://news.yahoo.co.jp/articles/92f00e0e102405605bdcdd24752c06fb5c7661e4
尖閣諸島接続水域内に中国海警局の船 今年1年間で334日…過去最多

  今年1年間で中国海警局の船が沖縄・尖閣諸島の接続水域内で確認された日数が29日で334日となり、過去最多となりました。

  海上保安庁によりますと、尖閣諸島周辺の領海の外側にある「接続水域」では29日も中国海警局の船4隻が航行しているのが確認され、うち1隻には砲のようなものが搭載されているということです。
  これにより、中国海警局の船が接続水域内で確認されたのは今年1年間で334日となり、これまでの過去最多だった2020年の333日を超えました。3年連続で330日を超え、接続水域内での航行が常態化しています。
  海上保安庁は巡視船を配備し、領海に侵入しないよう警告するとともに監視警戒を続けています。 また、領海への連続侵入時間も今月25日に72時間45分となり、過去最長となっていました。


2022.12.08-iza(産経新聞)-https://www.iza.ne.jp/article/20221208-23RV4T6W75MJPMCQK4TMMFLK7E/
「力がなければ国が滅びる」 出漁を続ける石垣市議が憂う尖閣の未来
(村上栄一)

  中国海警局の船が連日現れることで緊張状態が続く尖閣諸島(沖縄県石垣市)
  その周辺海域にたびたび出漁している石垣市議の仲間均氏はなぜ中国の船がいつもいるのか、不思議で仕方ない。国を守るというのは力と力の均衡だ。力がなければ国は滅びる」と危機感を訴え続けている。愛媛県西条市で行われた仲間氏の講演を取材した。

  仲間氏は「尖閣諸島を守る会」の代表として活動しており、平成6年に尖閣諸島への上陸調査を公約に掲げて立候補した同市議選に初当選。翌年、魚釣島に上陸したのをはじめ、これまでに南小島や北小島、久場島といった尖閣諸島に16回、上陸している。22年からは漁師として中国海警局の船の威嚇を受けながらも「最前線で頑張るしかない」という決意で出漁を続けている。
  西条市で11月19日、「尖閣の海 命賭して守る!」と題して開いた講演会で、仲間氏は10月1日に漁船「鶴丸」で出漁した際の様子を報告した。仲間氏は当日について、中国海警局の船が2隻、尖閣諸島の海で待ち構えていたことなど、体験した事実を述べた。海警局は2018年7月に軍の最高指揮機関、中央軍事委員会の指揮下にある人民武装警察(武警)に編入されており、仲間氏は「10年ほど前は迷いながらゆっくり前進したりバックしたりしていたが、軍の指揮下に入った今は正確に狙いを定めて待っている」と、日増しに感じている緊迫度の高まりを説明した。
  海警局の船は領海内に侵入していた鶴丸は午前7時ごろから正午ごろまで、海上保安庁の巡視船に守られる形で操業したが、中国海警局の船は約30メートルの距離まで接近してくることもあったという。鶴丸はエンジントラブルで午後0時半ごろに漁を切り上げ、石垣島へ引き返すことになったが、その際に中国船はいつものように追尾してきた。
  石垣島と尖閣諸島の間の距離は約170キロ。仲間氏によると、以前はこの中間あたりで追尾をやめていたが、今回は石垣島まで約80キロの近海までついてきたという。夜になって石垣島に帰着した仲間氏は、中国船の行動がエスカレートしているとの認識を強めた。

  講演後の質疑応答の中で、仲間氏は「活動して30年。石垣島でも『何をやっているんだ』といわれる。石垣市民はあっけらかんとしており、多くの国民と同様、危険な状態だとは思っていない。私は毎月尖閣諸島に行っているから、なんで中国の船がいるのかと疑問を持つことができる国を守るというのは力と力の均衡があってのことで、力がなければ国は滅ぶ。有事の際に即、反応できなければ」と強調した。
  講演会を主催したのは令和3年11月に発足した「尖閣諸島を守る愛媛の会」で、会長は仲間氏の友人で、松山市議の土井田学氏が務めている。土井田氏は「日本は海洋国家だ。シーレーンを中国に押さえられたらどうするのか」と述べ、活動への支援を呼び掛けた。

  仲間氏は11月25日にも尖閣諸島南小島沖へ出漁。しけの中、中国の2隻のうち1隻が近づき威嚇したという。この時も海上保安庁の巡視船に守られた。「安心して漁労する状況にもなく、一時はひっ迫する状況が未だに続いています。日本の領海、石垣市の行政区域で、安心して漁労ができる日は来るのでしょうか」と、活動ブログにつづっている。(村上栄一)


2022.11.11-Yahoo!Japanニュース(産経新聞)-https://news.yahoo.co.jp/articles/199bb7626cc44ae2c69af0581d91c23f26a9032d
中国無人機が尖閣北方に出現 防衛省

  防衛省は10日、中国空軍とみられる無人機1機が尖閣諸島(沖縄県石垣市)の北方海域に現れたと発表した。同省は無人機の目的を分析している。航空自衛隊は同日午前、無人機1機が東シナ海から飛来し、尖閣諸島の北方海域を南へ進んだ後、反転して北上し、北西の大陸方面へ向かったことを確認した。空自の戦闘機が緊急発進(スクランブル)して対応した。


2022.08.15-Yahoo!Japanニュース(産経新聞)-https://news.yahoo.co.jp/articles/0537144111cc5b847f05796512dc4886ca5945dd
中国が「敏感な海域」での操業禁止を漁業関係者に通達 尖閣など念頭か

  福州(福建省)=三塚聖平】尖閣諸島(沖縄県石垣市)の周辺を含む東シナ海に中国が設定している休漁期間が16日に明けるのを前に、福建省や浙江省の地元当局が「敏感な海域」での操業を行わないよう漁師らに指示していることが15日、分かった。従来の対応を踏襲しているが、指示通りに進むかは不透明な部分もある。

  福建省漳州(しょうしゅう)市の当局は7月下旬、地元の漁業関係者に対して「敏感な海域などに行って操業や停泊しない」よう求めたことをインターネット上で明らかにしている。
  また、浙江省台州市の当局も7月中旬に「敏感な水域に入ることを厳しく禁じる」と漁業関係者に指導したと表明した。 地元当局は「敏感な海域」が具体的にどこを示すのか明示していないが、尖閣諸島の周辺も含まれているとみられる。
  福建省の漁業関係者は台湾海峡付近でも操業するとみられ、ペロシ米下院議長の訪台が影響を与えるかも注視される。
  2016年8月には、大量の中国漁船が尖閣諸島の周辺に押し寄せ、中国公船も含め領海侵入を繰り返した。その際にも、敏感な海域に入ることを禁じる指示が出ていたと指摘されており、中国漁船がどう動くかは見通せない部分がある。
  9月29日には日中国交正常化50年の節目を迎えるが、中国側は日本が米欧との連携を強めていることを警戒しており、日中関係は緊張含みの状態が続いている。


2022.06.23-産経新聞-https://www.sankei.com/article/20220623-3W335VDOGVPVVKEC6RL4ROMQ2E/
中国船2隻の領海連続侵入64時間、最長更新 尖閣周辺

  第11管区海上保安本部(那覇)は、尖閣諸島(沖縄県石垣市)周辺の領海に21日未明からとどまっていた中国海警局の船2隻が、23日午後8時10分ごろまでに領海外側の接続水域に出たと発表した。連続侵入は64時間となり、令和2年10月の57時間39分を超えて平成24年9月の尖閣国有化以降で最長となった。

  11管によると、2隻は21日午前4時10分ごろ、日本漁船1隻を追うように領海侵入した。尖閣周辺での領海侵入は今年14日目。接続水域でも23日、別の中国当局の船2隻の航行を確認。1隻は機関砲のようなものを搭載している。
  中国公船の航行は、尖閣諸島が国有化されて以降、増え始めた。「海上保安レポート2022」によると、中国海警局の船が連続して接続水域内にとどまった日数は、令和3年は157日で過去最長となっている。


2022.02.05-産経新聞-https://www.sankei.com/article/20220205-QOOLIYLK25OFJM7QNC3OIQ2CRU/
中国海警法1年 各国懸念も聞く耳持たず 武器使用明記-(市岡豊大

  中国が海警船の武器使用権限を明記した海警法を施行してから1日で1年が過ぎたこの間も尖閣諸島(沖縄県石垣市)の接続水域内で海警船が航行を続け、昨年1年間に海上保安庁の巡視船が確認した連続日数は157日で過去最長となった。日本だけではなく米国など各国が懸念を表明しているが、中国の力を背景とした現状変更の試みは今も進行している。

  「わが国の抗議にかかわらず中国海警局に所属する船舶が尖閣諸島周辺の領海へ侵入を繰り返している。このような試みは断じて容認することはできない」
  岸信夫防衛相は1月28日の記者会見で海警法施行1年を前にこう語気を強めた。昨年1年間に尖閣諸島付近の接続水域で確認された海警船の活動日数は計332日で、過去最多だった令和2年の333日とほぼ同水準。連続日数は2~7月の157日に及んだ。領海侵入が確認されたのは昨年1年間で計40日。領海内で付近を航行していた日本漁船に接近しようとする事案も発生した。
  中国は昨年2月1日から海警船に武器使用の権限を付与する海警法を施行した。この1年間に武器使用は確認されていないが、同法22条では「武器使用を含むすべての必要な措置」が可能としている。どのような場合に、どのような対象を想定しているのか不明で、日本政府は当初から「問題のある規定を含む」(菅義偉前首相)と批判している。
  防衛省は施行後から中国側に会談を求めてきた。昨年12月下旬には、岸氏が中国の魏鳳和(ぎ・ほうわ)国務委員兼国防相に深刻な懸念を伝達。同法の内容や運用について説明を求めたが、協議は平行線に終わった。
  政府は各国との会談で懸念の共有を呼びかけた。1月21日に岸田文雄首相とバイデン米大統領が行ったテレビ電話形式の首脳会談では、東シナ海における「一方的な現状変更の試みや経済的威圧に反対」することで一致。南シナ海や大洋州で中国から圧力を受けるオーストラリア、ベトナム、フィリピンなどの各国も懸念を表明した。
  岸氏は1月28日の記者会見で「着実に懸念が広がっている。今後ともさまざまな機会をとらえて国際社会へ発信していくことが重要だ」とも述べた。
  政府は偶発的な衝突を防ぐため、すでに日中間で合意しているホットライン設置を今年前半にも目指す方針だ
市岡豊大


2022.01.31-産経新聞-<独自>石垣市が尖閣諸島で海洋調査 中国公船が領海侵入、妨害目的か
<独自>石垣市が尖閣諸島で海洋調査 中国公船が領海侵入、妨害目的か

  沖縄県石垣市が31日、同市の尖閣諸島で調査船を使った海洋調査を実施したことが分かった。環境保全のためのデータをとるのが目的で、上陸はせず、海水成分などを調べた調査の際には中国公船が約4時間にわたり領海侵入し、調査船に接近した。妨害しようとした可能性がある。海上保安庁の巡視船が安全確保にあたり、接触事故などはなかった。市は1日にも会見し、調査概要を明らかにする方針。

  尖閣諸島で公的機関が本格的な現地調査を行うのは10年ぶりとみられる。日本の実効支配を示す上でも意義がありそうだ。
  関係者によると、石垣市がチャーターした調査船が魚釣島や北・南小島などに近づき、複数の地点で海水サンプルを採取した。中山義隆市長も乗船し、市の行政区域である尖閣諸島を海上から視察した。
  今後、東海大の山田吉彦教授(海洋政策)の研究チームが汚染の有無やプランクトンの量などを分析し、水産資源の維持や有効活用に向けた施策につなげる。
  公的機関による尖閣諸島の現地調査は、東京都が平成24年、当時の石原慎太郎知事のもとで魚釣島などの購入を検討した際に実施している。この時も上陸はせず、海水サンプルを採取して成分を調べるなどした。

  尖閣諸島は24年に国有化されたが、周辺海域に中国公船がひんぱんに出没するようになり、国は安定的な維持管理のためとして漁船以外の船舶が近づくことを原則認めていない。
  このため十分な調査ができず、環境保全のための本格的調査を求める声が強まっていた。今回の調査により、都の調査後の10年間で海洋環境がどのように変化したのか分析が進むとみられる。調査に際し、中国公船2隻が領海侵入したことを受け、政府は31日、外交ルートを通じて中国側に抗議した。
  第11管区海上保安本部(那覇)によると、2隻は中国海警局の3000トン級と5000トン級の船で、31日午前6時25分ごろから相次いで侵入し、調査船の動きに合わせて航行するなどした。このため海保の巡視船が退去要求を繰り返し、調査船との間に入って安全を確保した。

  中国公船は午前10時15分ごろに領海外側の接続水域に出た。尖閣周辺での領海侵入は1月15日以来。松野博一官房長官は31日の記者会見で、「誠に遺憾で受け入れられない」と強調した。


2022.01.08-中日新聞-https://www.chunichi.co.jp/article/397094
中国、日本漁船への接近3倍に 尖閣領海、海警局の活動活発化

  沖縄県・尖閣諸島周辺の領海に侵入した中国海警局の艦船日本漁船に接近した日数が2021年、前年の約2倍の計29日に増え、対象の漁船も3倍近くの延べ40隻超に上ったことが8日、分かった。日本政府筋が明らかにした。中国は海警に武器使用を認める海警法を21年2月に施行している。政府は活動の活発化に警戒を強めている。

  政府筋によると、中国側は先月20日の日中高級事務レベル海洋協議で日本漁船の管理を求め(管理しなければ)中国も漁船を派遣する」と脅した。協議当日と翌日にも海警艦船が領海侵入し、サワラやマチを取っていた沖縄県・宮古島の漁船に近づこうとした。



2021.10.01-産経新聞-https://www.sankei.com/article/20211001-MHPVBFNTS5NWBACCUSHM75GWPA/
〈独自〉尖閣諸島の標柱交換認めず 政府、石垣市に「上陸不許可」

  尖閣諸島(沖縄県)の住所地名(字名)を刻んだ標柱を同県石垣市が製作し、設置のため政府に上陸許可を申請していた問題で、政府が同市に、不許可とする決定を通知していたことが1日、分かった。同市によると、通知は9月28日付で、「総合的に勘案した結果、政府として上陸を認めないとの結論になった」としている。

  標柱は尖閣諸島を行政区域とする同市が昨年、尖閣諸島の字名を「石垣市字登野城(とのしろ)」から「石垣市字登野城尖閣」に変更したことを受けて製作され、魚釣島など5島に設置するため今年9月3日付で総務省に上陸申請していた。
  不許可の決定について同省では、「これまでも尖閣諸島の安定的な維持管理のため、原則として政府関係者を除き尖閣諸島への上陸を認めない方針をとっている」としている。
  尖閣諸島の標柱設置は今回が初めてではなく、昭和44年に当時の市長が上陸して建てたものがある。すでに劣化している上、変更前の字名が刻まれているため、同市では「新しい標柱と交換するのは当然の行政措置」(担当者)と主張。上陸許可の再申請を含め今後の対応を検討する。
  不許可となったことに対し、地元からは批判も上がっている
  尖閣諸島に上陸経験のある同市の仲間均市議は「今回の決定は到底納得できない。新政権になっても方針を改めないなら、市は独自に上陸することを検討すべきだ」と話した。
  尖閣諸島の標柱 尖閣諸島が日本固有の領土であり、沖縄県石垣市の行政区域にあることを示すもので、高さ108センチ、幅30センチ、石垣島産の御影石でつくられている。表面に「八重山尖閣諸島 魚釣島」などの島名が、裏面に「沖縄県石垣市字登野城尖閣二三九二番地」などの字名が刻まれている


2021.08.18-産経新聞-https://www.sankei.com/article/20210818-P6AJNAFQBNJ2ZAJHED2DLJNIQ4/
尖閣周辺に中国漁船が40隻 海保は警戒態勢を強化

  尖閣諸島(沖縄県石垣市)周辺の接続水域外側で18日、中国漁船約40隻が操業しているのを海上保安庁が確認した。領海侵入や領海内での操業は確認されていないが、海保は警戒監視態勢を強化している。

  中国が尖閣諸島周辺を含む東シナ海で設定した休漁期間は16日に明けた。海保によると、18日午前7時ごろ、主に尖閣の北側や西側の公海上に点在する形で、計40隻ほどが確認されたという。一昨年、昨年の同時期と同規模の隻数としている。
  尖閣の領海外側では日中漁業協定で中国漁船も操業が認められている
  中国は尖閣の領有権を主張しており、平成28年8月の禁漁明けには200~300隻の中国漁船が尖閣周辺に押し寄せた。一部は領海に侵入し、中国海警局の船も続いた。
  加藤勝信官房長官は18日の記者会見で「同様の事態の再発は、わが国として決して受け入れられない」と指摘。海保などの関係省庁が警戒監視に万全を期すと強調した。
  同日は尖閣周辺の接続水域内でも中国海警局の船4隻の航行が確認された。尖閣周辺で中国当局の船が確認されるのは10日連続。


2021.07.21-SankeiBiz-https://www.sankeibiz.jp/workstyle/news/210721/cpd2107210713001-n1.htm
中国船の尖閣周辺連続航行が157日で途切れる、台風で退避か

  沖縄県・尖閣諸島周辺で、中国海警局の船の航行が20日に確認されなかったことが、第11管区海上保安本部(那覇)への取材で21日、分かった。2012(平成24)年9月の尖閣国有化以降で、最長更新を続けてきた周辺海域での連続航行は、157日で途切れた。関係者によると、台風6号の接近に伴い退避したとみられる。

  11管によると、中国当局の船4隻は19日午後、領海外側の接続水域を出た後、周辺海域から離れ続けた。


2021.07.05-産経新聞-https://www.sankei.com/article/20210705-Z65CKFLNPFLV7GTRKSZLAG6ODI/
中国「尖閣は日本領」 地図に変遷、領土館で展示

  中国は尖閣諸島(沖縄県石垣市)の領有権を唱え始めた1971年以前は日本領だと認識していた-。政府の「領土・主権展示館」(領土館、東京・霞が関)がこうした実態を詳細に理解できる展示を始めた。中国の政府機関が同年以前に発刊した公式地図や機関紙を読み解くと、同年を境に認識を一変させた経過が浮き上がる。
  中国が尖閣の領有権を初めて公式に主張したのは71年12月。60年代後半に東シナ海に石油資源が大量に埋蔵されている可能性が指摘されたためとみられる。
  領土館は尖閣をめぐる中国の主張の変化に着目。有識者や政府関係者らから関連資料の寄贈を受け、先月から展示を始めた。
  日本の国土地理院にあたる中国の「国家測絵総局」(当時)直属の地図出版社が発刊した「世界地図集」をみると、中国が恣意(しい)的に認識を変化させた経緯が浮き彫りになる。
  地図集の60年版では、尖閣は日本の地図を示すページに記載されていた。しかし、72年版になると日本のページから削除され、中国のページに追加された。
  また、60年版は尖閣の魚釣島をその名称のまま表しているが、72年版は中国政府が現在使っている「釣魚島」に変更している。同館では、両年版の地図集を比較して展示している。
  中国側の認識の変化は、島の名称を変えたことにも如実に表れている。61年に中国人民解放軍海軍司令部が作成した「太平洋海図集」や、69年に国家測絵総局が作成した地図にも「尖閣群島」「魚釣島」などと日本語名で明記されている。
  中国政府は尖閣を台湾の付属島と主張しているが、同館では琉球諸島を構成する島々の一部に挙げている53年1月8日付の共産党機関紙「人民日報」も展示している。


2021.06.21-産経新聞-https://www.sankei.com/article/20210621-T6QQAOYJGJNBJBKFOGIFRNH2UA/
〈独自〉尖閣諸島の映像配信を計画 9月にも開始、国会議員有志ら

  国会議員らでつくる安全保障議員協議会(会長・久間章生元防衛相)などが、尖閣諸島(沖縄県石垣市)の現地映像をインターネット上で配信する計画を進めていることが21日、わかった。尖閣諸島周辺での中国の行動に関し、問題意識を喚起するのが狙い。9月にも録画映像の配信を開始し、半年後をめどにライブ映像の配信を目指す。近く正式に発表する。

  計画では、一般社団法人国際平和戦略研究所(代表理事・久間氏)が運営主体となり、「尖閣諸島情報センター」を設立。現地スタッフが船で尖閣諸島に近づき、船上カメラやドローンで撮影した映像を石垣島本島の駐在員を経由して伝送し、ネットアップする。

  ドローンは現行法の規制範囲内で飛ばす。情報処理に数日要するため、当初は録画映像を配信するが、半年後をめどにライブ配信できる態勢を構築する。
  撮影費や人件費などに月数千万円かかる見込みで、一般から寄付金を募る。平成24年9月の尖閣諸島国有化に際し、石原慎太郎元東京都知事の呼びかけで集まった寄付金を保有する東京都にも協力を呼びかける。

  尖閣周辺海域では中国海警局の船の航行が続く。領海外側の接続水域内での航行は21日時点で129日連続となり、国有化以降、最長を更新。政府は「尖閣は日本固有の領土であり、領土問題は存在しない」との見解を繰り返し表明しているが、同協議会は国民の危機意識を一層喚起することが必要だとしている。


2021.06.04-NHK.NEWS WEB-https://www3.nhk.or.jp/news/html/20210604/
尖閣沖 中国海警局の船 連続航行112日間 国有化以降で最長に

  沖縄県の尖閣諸島沖合の接続水域を中国海警局の船が4日で112日間、航行を続けたことになり、日本政府が尖閣諸島を国有化して以降、最も長くなりました。
  第11管区海上保安本部によりますと、沖縄県の尖閣諸島の沖合で、中国海警局の船4隻が日本の領海の外側にある接続水域を航行しています。

  4日午前9時現在、4隻のうち2隻は、尖閣諸島の大正島の南東およそ30キロから36キロを、残る2隻は、南小島の東南東およそ30キロから38キロを航行しているということです。
  中国海警局の船は尖閣諸島沖合の接続水域をことし2月13日から6月4日まで112日間続けて航行しています。

  日本政府が9年前に尖閣諸島を国有化して以降、最も長くなり、この間、日本の領海に繰り返し侵入して日本の漁船に接近する動きも見せています。
  海上保安本部は領海に侵入しないよう引き続き、警戒に当たっています。第11管区海上保安本部は「国際法や国内法にのっとって、事態をエスカレートさせないようにきぜんと対応していく」とコメントしています。
専門家“備え進める一方 冷静な対応が重要”
  国際法が専門で海上保安行政に詳しい明治学院大学の鶴田順准教授は「中国は、尖閣諸島周辺を自国の管轄海域だとする独自の主張をし、活動を常態化させていて、情勢は緊張状態が続いている。日本は海の警察である海上保安庁が現場海域で国際法と国内法に基づき対応しているが、不測の事態にも、適切かつ実効的に対処できるように備えを進めていく必要がある」と指摘します。
  その一方で「事態をエスカレートさせないために、引き続き、外交交渉、対外発信の強化、国際共同訓練など冷静沈着な現場対応を進めていくことが重要だ」と話しています。
加藤官房長官「極めて深刻な事態と認識」
  加藤官房長官は、閣議のあとの記者会見で「接続水域内での航行や領海侵入などが相次いでいることは極めて深刻な事態だと認識している。中国側に対しては、現場海域において、常に相手勢力を上回る海上保安庁の巡視船を配備し、警告を繰り返し行うことなどにより、警備に万全を期している」と述べました。
  そのうえで「外交ルートでも、さまざまなレベルから、わが国の立場と考えを中国側にしっかりと申し入れており、引き続き、こうした問題に対しては、わが国として、冷静かつ、きぜんと対応していく考えだ」と述べました。
岸防衛相「断じて容認できない」
  岸防衛大臣は、閣議のあと記者団に対し「わが国の抗議にもかかわらず、中国海警局の船舶が尖閣諸島周辺の領海への侵入を繰り返しており、断じて容認できない。海上自衛隊の哨戒機が周辺海域を航行する船舶の状況を毎日監視し、必要に応じて護衛艦等を柔軟に運用して警戒監視や情報収集活動を実施しているが、引き続き海上保安庁など関係省庁と連携して万全を期していく」と述べました。


2021.05-JCG 海上保安庁-https://www.kaiho.mlit.go.jp/mission/senkaku/senkaku.html
尖閣諸島周辺海域における中国海警局に所属する船舶等の動向と我が国の対処

 ・•200857、日本を公式訪問した胡錦濤国家主席と福田康夫総理(肩書きはいずれも当時)は、「戦略的互恵関係」の包括的推進に関する日中共同声明に署名し、日中関係が両国のいずれにとっても最も重要な二国間関係の一つであり、今や日中両国が、アジア太平洋地域及び世界の平和、安定、発展に対し大きな影響力を有し、厳粛な責任を負っているとの認識で一致した。
 ・•しかし、その半年後の同年128、中国公船(中国政府に所属する船舶)2隻が突如として尖閣諸島周辺の我が国領海内に初めて侵入し、度重なる海上保安庁巡視船からの退去要求及び外交ルートを通じた抗議にもかかわらず、同日夕刻までの約9時間にわたり我が国領海内を徘徊・漂泊する事案が発生。中国公船が我が国の主権を侵害する明確な意図をもって航行し、実力によって現状変更を試みるという、尖閣諸島をめぐり従来には見られなかった中国の新たな姿勢が明らかになった。
 ・201097の尖閣諸島周辺の我が国領海内での中国漁船衝突事件以降は、中国公船が従来以上の頻度で尖閣諸島周辺海域を航行するようになり、20118月に2隻、201231隻、同年7月に4隻による尖閣諸島周辺の我が国領海への侵入事案が発生した。
 ・•また、2012年9月11日に我が国が尖閣諸島のうち3島(魚釣島・北小島・南小島)の民法上の所有権を、民間人から国に移したことを口実として、同月14日以降、中国公船が荒天の日を除きほぼ毎日接続水域に入域するようになり、最近でも、毎月3回程度の頻度で領海侵入を繰り返している(詳細は下記リンク先参照)。2015年12月22日には、外観上、明らかに機関砲を搭載した中国公船による接続水域への入域が初めて確認され、同月26日以降は当該船舶による領海侵入も発生している。事態をエスカレートさせるこうした中国側の行動は我が国として全く容認できるものではなく、領海侵入事案が発生した際には、その都度現場において退去要求を行うとともに、外交ルートを通じて中国政府に対して直ちに厳重に抗議し、即時の退去及び再発防止を強く求めている。なお、2018年7月1日には、中国海警局が人民武装警察部隊に編入されており、こうした中国の動向も引き続き注視していく必要がある。
(外務省ホームページより)


2021.03.29-産経新聞 THE SANKEI NEWS-https://www.sankei.com/politics/news/210329/plt2103290030-n1.html
<独自>中国艦艇、レーダー切り航行 尖閣周辺、実戦想定の動き

  尖閣諸島(沖縄県石垣市)周辺の海域を航行する中国軍の艦艇が入れ替わる際、自衛隊や米軍に動きを察知させないためレーダーを切って航行していることが29日、分かった。実戦を想定した動きを強めているといえる。こうした動きは尖閣諸島周辺の領海侵入を繰り返す海警船と連動しており、防衛省は警戒・監視を強化している。複数の政府関係者が明らかにした。

  政府関係者によると、実戦を想定した動きを見せているのは、尖閣諸島北方約90キロの北緯27度線付近の海域を航行する中国軍艦艇。この海域には常時2隻が航行しており、尖閣諸島周辺で活動する海警船に不測の事態があった場合に備えているとみられている常に同じ艦艇が航行しているのではなく、一定の時間が経過すれば別の艦艇に入れ替わっている。
  2、3年前から、この海域に向かう中国軍艦艇は出港時から水上レーダーや対空レーダーを作動させずに航行海域に到着後にレーダーを作動させ、警戒・監視に当たるようになったという。
  レーダーを作動させずに航行するのは、漁船や商船などとの衝突事故の可能性が高まる危険な行動だ。政府関係者によると、有事ではこうした行動をとるケースもあるが、平時には極めて異例だという。

  自衛隊や米軍は、レーダー波を手掛かりに艦艇を識別しており、中国軍艦艇の動きは日米を攪乱する目的があるとみられる。北緯27度線付近の海域を航行する中国軍艦艇が、いつ入れ替わったか分かりにくくすることで、中国海軍の全貌を日米につかませないようにする意図があるとの分析もある。
  また、一部の中国軍艦艇は日本製の商船用レーダーを使用しているという。これも艦艇の識別を避けるための措置の可能性がある。
  自衛隊と米軍はレーダー波による中国軍艦艇の識別のほか、偵察衛星などで動向を警戒・監視している。ただ、軌道周回する偵察衛星は、東シナ海での中国軍艦艇の動きを捕捉できない時間帯もあり、中国側がこうした時間帯を見計らったかのように艦艇を出港させる動きもあるという。政府は警戒・監視を一層強化する必要に迫られている。


2021.03.21-産経新聞 THE SANKEI NEWS-https://www.sankei.com/affairs/news/210321/afr2103210007-n1.html
<独自>尖閣巡視船、一時航行できず 昭和55年建造…老朽化で故障か
(1)
  尖閣諸島(沖縄県石垣市)周辺で領海警備に当たっていた海上保安庁の尖閣専従巡視船が1月、任務中に故障し、一時、航行不能状態に陥っていたことが21日、海保関係者への取材で分かった。老朽化が原因とみられる。尖閣では中国海警局の船による領海侵入が相次ぎ、中国は2月、海警局の武器使用を認める海警法を施行するなど日本の有効支配を覆す動きを強めており、装備の刷新も含めた対策が急務といえそうだ。
尖閣専従12隻で最も古く
  尖閣周辺の領海警備で、任務中の巡視船が航行できなくなる事態は極めて異例。故障が発生したのは那覇海上保安部所属のヘリコプター搭載型巡視船「うるま」で、老朽化が進んでいる。
  うるまは那覇海保に2隻、石垣海保に10隻配備された尖閣専従船計12隻の1隻。石垣海保の10隻(1千トン型)は平成26~28年に新造、那覇海保のもう1隻(ヘリコプター搭載型)は12年に建造された。だが、うるまは昭和55年の竣工(しゅんこう)で、12隻の中で最も古い。

  海保が保有する約140隻の巡視船の中でも古参に挙げられ、長期の継続使用を可能にするため平成25、26年に改修工事を実施したものの、船齢は既に40年を超えている。
  うるまは1月下旬、尖閣諸島周辺で、船内の電力をまかなう発電機の一部が故障し、動作不良になった。発電機を動かしている燃料タンクを確認したところ、大量の海水が混入していることが判明。海水を含んだ燃料をエンジンに使用すれば機関停止につながる恐れもあり、一定時間、エンジンを停止させたままの状態を余儀なくされた。

  当時、うるまを含め複数の巡視船が中国公船の領海侵入に備えて警戒に当たっていた。うるまは風向きや潮流の状況次第で流されて浅瀬で座礁する恐れもあったという。その後、乗組員らが復旧作業を進め、自力航行が可能になり、別の巡視船と交代して現場を離れた。
  海保は尖閣周辺の領海警備で、中国公船1隻に対して巡視船1隻が対応するほか、周辺海域に巡視船を点在配置しているとみられる。海保関係者は「中国側を上回る勢力で対応しているが、巡視船それぞれに役割がある。1隻でも欠ける事態があってはならず、中国側につけ入る隙を与えることにつながってしまう」と危機感を募らせている。
(2)
巡視船の46%、耐用年数超え
  海上保安庁の巡視船艇は老朽化が進み、382隻のうち、36%の139隻が耐用年数を超えている。海保は尖閣諸島を含む大規模事案に対応するため大型巡視船の新造を進めてきたが、沿岸が活動の中心で、小型の巡視艇で老朽化が目立つ。また、耐用年数を数年後に超過する巡視船艇の中には、不審船・工作船対応など重要任務に就くものもあり、日本周辺海域を網羅的に見渡した計画的な更新が課題となっている。

  海保が所有する巡視船艇は令和3年3月末時点で、外洋で活動する比較的大型の「巡視船」が144隻、沿岸や港内で取り締まり、海難救助に当たる「巡視艇」が238隻ある。耐用年数はいずれも20~25年に設定し、大型巡視船では耐用年数経過後に大規模修繕で15年程度の延命を図ることもある。
  耐用年数を過ぎた139隻の内訳は巡視船29隻、巡視艇110隻。巡視艇の老朽化が特に顕著で、超過割合は46%に上る。海保は順次、新造して代替更新を進めているが、尖閣対応巡視船の増強などが優先されてきたため、追い付いていないのが現状だ

  昭和に建造された船艇のうち、現役は巡視船14隻。大規模修繕を実施していない巡視船のうち、耐用年数超過の最長は、昭和58年に建造された留萌(るもい)海上保安部所属の中型巡視船「ちとせ」で、年度末に船齢は38年になり耐用年数を13年過ぎる。14隻のうち、1月に尖閣諸島周辺の領海警備中に故障したヘリコプター搭載型巡視船「うるま」など7隻は平成20年代以降、大規模修繕を実施した。
  ただ、7隻の中には大規模修繕による延命年数が迫る船もあり、釧路海保のヘリコプター搭載型巡視船「そうや」は令和7年に修繕から15年が経過する。そうやは船齢42年の現役最古参で、オホーツク海での海氷観測などに従事してきた。代替船を新造する場合、北極海を航行するには新たな環境保護要件を満たす必要があり、高コストになる。同規模船の新造には3年程度必要で、海保は活動海域などを見据えた判断に迫られることになる。
(3)
「取り返しつかない状況も」
  一方で、大型巡視船でも一部は大規模修繕が困難だ。平成13年に九州南西の奄美大島沖で北朝鮮の工作船が巡視船との銃撃戦の末、自爆した事件を契機に整備された不審船対応ユニット」の一員である大型巡視船「あそ」「でわ」「はくさん」は令和6年から順に耐用年数の20年を迎える。3隻は同型で船体にアルミニウム合金が用いられるなど、構造上、大規模修繕での延命が不可能な見通しだ。
  「任務中に故障や不具合が発生すると、取り返しがつかない状況も考えられる。『整備したのに故障した』は言い訳にもならない」。現場の海上保安官からは不安の声も漏れる。
  耐用年数を過ぎた巡視船艇は故障が増え、エンジンの出力が落ちて速度が低下。さびなどの腐食で船体に穴が開いて修理が必要になるほか、交換部品が製造中止になっているケースもある。海保は対応が手薄にならないよう、古い船艇が1カ所に集中しないようにするなど配置を工夫し、老朽化に対応している。


2021.02.24-カナロコ-https://www.kanaloco.jp/news/international/article-409354.html
米、中国の領海侵入に停止要求

  【ワシントン共同】米国防総省のカービー報道官は23日の記者会見で、中国に対し、海警局の公船による沖縄県・尖閣諸島周辺の日本領海への侵入をやめるよう求めた。「誤算を生じさせ、物理的な損害をもたらす恐れがある」と批判した。

  カービー氏は中国について「自分たちの利益追求のために、自由で開かれた法に基づく国際秩序を傷つけている」と非難。米国として秩序維持に向け、戦力近代化や同盟国との連携強化を図る考えを示した。「米国は尖閣における日本の主権を支持する」とも述べた。
  中国は海警局公船による外国船舶への武器使用を認めた海警法施行後も日本領海への侵入を繰り返している。


2021.02.17-産経新聞 THE SANKEI NEWS-https://www.sankei.com/politics/news/210217/plt2102170019-n1.html
海警法施行受け緊急集会 尖閣の実効支配強化を

  中国海警局に武器使用の権限を付与した海警法の施行を受け、尖閣諸島(沖縄県石垣市)の実効支配の強化を求める「緊急国民集会」が17日、国会内で開かれた。会合では海上保安庁と自衛隊が連携し、尖閣諸島を効果的に防衛すべきだとする要請書をまとめ、出席した自民党議員に提出した。

  緊急集会は、沖縄の政策課題を研究する一般社団法人「日本沖縄政策研究フォーラム」が主催し、約150人が参加。自民党の山田宏参院議員は「来年2月の北京冬季五輪まで中国は(尖閣諸島に)手を出せないだろう。(日本政府は)今の時期に実効支配を進めるべきだ」と述べ、尖閣諸島への公共施設設置の必要性などを訴えた。
  要請書は、海上保安庁の巡視船が中国海警局に攻撃された後に自衛隊が出動すれば尖閣諸島の実効支配を失いかねない懸念に言及。尖閣海域への中国公船の侵入は軍事侵略であり、自衛のために自衛隊が対処することについて米国などから了承を得ておくべきだと指摘した。


2021.02.14-日本経済新聞-https://www.nikkei.com/
沖縄県の尖閣諸島
(このニュースは2021年1月からのニュースで日は不明です)

  中国で日本の海上保安庁にあたる海警局の権限などを定めた海警法が2月1日、施行される。日中の沖縄県・尖閣諸島周辺の緊張は一段と高まるとみられ、自民党の国防部会などは領域警備を強める法整備を求める。日本政府の腰は重く、有効な対策を打てていない。
  海警法は中国が主張する「管轄海域」内で違法行為を取り締まるため、海警に退去命令や強制退去の権限を明記した。緊迫すれば武器使用を含む措置を認める。中国が領有権を主張する尖閣諸島周辺も例外ではない

  自民党が26日に開いた国防部会で議員から「極めて露骨で脅迫的」などの懸念が相次いだ。中国が管轄する海域や島に設置された建築物などを強制撤去する権利については「尖閣狙い撃ちの条文だ」との指摘もあった。
  情勢の緊迫化を受け、尖閣防衛を強める法整備を求める声が強まる。
  領域警備の一義的な責任は今、海上保安庁や警察が担う。手に負えなければ閣議決定を経て自衛隊に海上警備行動か治安出動を発令する。緊急の場合なら電話で閣僚の了解を取れば自衛隊が出動できるものの、全閣僚に確認する手間は残る。
  陸上自衛隊出身で自民党外交部会長の佐藤正久氏は「かつて野党が提出した領域警備法のようなものが必要になる可能性がある」と話す。
  2016年に当時の民主党と維新の党が出した法案は発令に必要な閣議決定を不要にする。自衛隊任務に「海上警備準備行動」を加え、平時から海自が海保の警備活動を支援しやすくする。
  自民党内でも14年、当時の石破茂幹事長らが領域警備の法整備を急ぐよう訴えた。海警法施行を控え、整備すべきだとの主張が再燃する。
  政府側の動きは鈍い。新型コロナウイルスの感染拡大防止を最優先課題に掲げる菅政権にとって法整備の優先度は高くない。
  海警法草案は昨年11月から公開されていたが、中国に抗議したり「国際海洋法秩序に背く中国の体制転換」として国際社会に連携した働きかけを呼びかけたりする対抗策は講じてこなかった。
  加藤勝信官房長官は27日の記者会見で「中国海警局をめぐる動向については引き続き高い関心をもって注視していきたい」と述べるにとどめた。

  日本政府は米国との間で繰り返し米軍の日本防衛義務を定めた日米安保条約第5条の尖閣への適用を確認してきた。自衛隊と米軍は中国が尖閣を占拠した状況などを想定した共同作戦計画も策定している。
  尖閣を巡る強固な日米同盟には一定の対中抑止効果が見込める。その半面、米国は尖閣が日本の施政下にあることは認めても日本の領有権は明言していない。米国内には尖閣を巡る中国との武力衝突への消極論もある。
  中国公船が20年に尖閣周辺の接続水域を航行したのは過去最多の333日だった。日本領海内で日本漁船を追尾する事例も相次いだ。
  海警の艦船は大型化し世界最大の1万トン級の巡視船も2隻持つとされる。自衛隊幹部は「中国は本気で尖閣を取りに来ている。政府は現実を直視して体制強化を急ぐべきだ」と危機感を強める。
中国の『国際秩序離脱』決定的に 日本は抗議と法律戦を
  海警法の重要性は、よく指摘される武器使用規定にとどまらない。歴史家は将来、この法律を「中国と国際秩序の亀裂を決定づけた文書」と位置付けるのではないか。
  国連海洋法条約は「領海」「接続水域」「排他的経済水域(EEZ)」「大陸棚」などの海域ごとに沿岸国に認められる権利を定める。中国は自国が主張するこれらの海域に南シナ海の「九段線」内を加えすべてを「管轄海域」と称する。
  これは第1列島線に沿った広大な海域だ。中国はあたかも陸の領土で主権を行使するように同海域全体で国家安全保障に関する措置が取れると主張してきた。
  今回の海警法は中国が国内法で異常な主張を具体化し始めたことを示す。同法が海警局に認めた様々な措置は国際法に違反する。外国組織や個人が「中国の島しょ」につくった建造物・構造物を排除できる権限もある。

  接続水域に関する項目は中国が尖閣の接続水域で管制制度を準備していることを示す。米国は日米安全保障条約第5条に基づき「日本の施政下にある」尖閣を防衛対象とする。中国が領海の外側で日本を排除できれば、中国は日本から施政権を奪うことができる。
  中国の全国人民代表大会常務委員会は22日、海警法と同時に様々な法律を採択したが他の法律の施行日は5月や7月。海警法だけ2月1日施行となった。新たな5カ年計画が立ち上がる4月に向けて急いだのだろう。中国は新5カ年計画で海域に関する新たな措置を多数、取り始めるはずだ。
  日本政府は中国が「国内法によって国際海洋法秩序を壊し始めた」との現実を受け止め、早い段階で中国に厳重に抗議すべきだ。同時に国際社会にその事実を強く訴え、国際的な法律戦を視野に入れながら、中国の対外行動に懸念を持つ国々と外交・安全保障上の具体的な連携を深めていかなければならない。
  東シナ海の日本のEEZが香港化されていく。日本はそれを座視していてよいのだろうか。


2021.02.06-NHK NEWS WEB-https://www3.nhk.or.jp/news/html/20210206/k10012852721000.html
尖閣諸島沖合 中国海警局の船2隻領海侵入 「海警法」施行後初

  6日朝早く、沖縄県の尖閣諸島の沖合で日本の漁船に接近する動きを見せた中国海警局の船2隻は午前9時現在も日本の領海内を航行していて、海上保安本部は直ちに領海から出るよう警告を続けています。領海への侵入は、中国海警局に外国の船舶に対する武器の使用を認める「海警法」が今月1日に施行されてから初めてとなります。
  第11管区海上保安本部によりますと、日本の領海のすぐ外側にある接続水域を航行していた中国海警局の船4隻のうち2隻が6日午前5時前、尖閣諸島の南小島の沖合で日本の領海に侵入し、日本の漁船に接近する動きを見せたということです。
  2隻の船は午前9時現在、魚釣島の南およそ2キロの日本の領海内を航行しているということです。
  海上保安本部は漁船の周囲に巡視船を配備して警戒を強めるとともに直ちに領海から出るよう警告を続けています。
  日本の領海への侵入は、中国海警局に外国の船舶に対する武器の使用を認める中国の「海警法」が今月1日に施行されてから初めてとなります。
政府 「情報連絡室」を「官邸対策室」に切り替えて対応
  尖閣諸島の沖合で中国海警局の船2隻が日本の領海に侵入したことが確認されたとして、政府は総理大臣官邸の危機管理センターに設置している「情報連絡室」を「官邸対策室」に切り替えて、情報収集と警戒監視にあたっています。


2021.01.30-Yahoo!Japanニュース(産経新聞)-https://news.yahoo.co.jp/articles/b6a41d4f509e61c010e3b39307e5ea7282df103d
尖閣周辺で「常在化」進む中国公船 今年もハイペース

  尖閣諸島(沖縄県石垣市)周辺では、中国海警局所属の船が今年もハイペースで現れている。昨年は領海外側にある接続水域内で確認された日数が最多を更新。30日にも中国海警局の船2隻が航行しているのを海上保安庁の巡視船が確認した。今年は昨年に次ぎこれまでに24日間、海警局の船が接続水域内で確認されており、尖閣諸島周辺での「常在化」が進んでいる。

  海保によると、1月は13日から3日間連続で中国公船が領海にも侵入。3日連続での侵入は昨年10月以来で、14~15日は周辺で操業していた日本漁船に接近してきたため、海保は漁船の近くに巡視船を配備し、安全を確保した。
   昨年、接続水域内で中国公船が確認されたのは333日間。最多を更新した一昨年の282日間を大幅に上回った。領海に侵入したのも29日間に達した。  海保関係者は「海が極端に荒れているとき以外はほとんど尖閣周辺に常在している状況を作ろうとしている」と分析。船の大型化も進んでおり、「中国はより天候に左右されない体制も整備してきた」という。
   接続水域では中国公船は4隻出没することが多く、1隻は機関砲のようなものを搭載。定期的に別の公船と交代しながら4隻が常駐する状況が続くことが多いことから「動きがよりシステマチックになってきた」とみる海保関係者もいる。
   海保は大型巡視船を令和3年度は69隻から70隻に増強。定員も増やす見込みで、4年度以降も体制の強化を図る方針だ。(荒船清太)


2021.01.28-産経新聞-https://www.sankei.com/world/news/210128/wor2101280021-n1.html
日米安保条約は「冷戦の産物」 中国が日米首脳会談に反発

  【北京=三塚聖平】中国外務省の趙立堅(ちょう・りつけん)報道官は28日の記者会見で、菅義偉首相とバイデン米大統領の電話会談で、米国の日本防衛義務を定めた日米安全保障条約第5条の尖閣諸島(沖縄県石垣市)への適用を確認したことに対し、「同条約は冷戦の産物だ。第三者の利益を損なったり、地域の平和と安定を脅かすべきでない」と反発した。
  趙氏は「釣魚島(尖閣諸島の中国側名称)とその付属島嶼は中国固有の領土だ」と主張した。また、米中首脳会談の見通しについては「現在、提供できる情報はない」と述べた。


2021.01.25-読売新聞-https://www.yomiuri.co.jp/politics/20210124-OYT1T50082/
尖閣にも日米安保の適用確認、日米防衛相が電話会談…「いかなる一方的な行動」にも反対

  岸防衛相は24日、米国のオースティン国防長官と約20分間、電話で会談した。両氏は、米国の対日防衛義務を定めた日米安全保障条約5条沖縄県・尖閣諸島に適用されることを確認し、尖閣での日本の施政を損なう「いかなる一方的な行動」にも反対することで一致した。バイデン新政権の発足後、日米の閣僚が電話会談するのは初めて。

  会談冒頭、岸氏はオースティン氏の就任に祝意を述べ、両氏は日米同盟の抑止力・対処力を一層強化していくことで一致した。尖閣に加え、東・南シナ海での「一方的な現状変更の試み」に反対することも確認し、海洋進出を強める中国を強くけん制した。
  両氏は、できるだけ早期に対面での会談を行うことを確認した。オースティン氏は「早期に訪日したい」と述べた。米国防総省の発表によると、オースティン氏はインド太平洋における「日本の貢献」を強めることを岸氏に促した。
  また、両氏は、北朝鮮の「完全で検証可能かつ不可逆的な非核化(CVID)」に向け、日米や日米韓3か国で連携する重要性を共有。「自由で開かれたインド太平洋」を日米を基軸に推進することも確認した。
  沖縄県の米軍普天間飛行場の名護市辺野古移設については、「唯一の解決策」であるとの認識を共有し、岸氏は地元負担軽減に協力を求めた。在日米軍駐留経費の日本側負担(思いやり予算)を巡る日米交渉に関し、早期の合意を目指すことも確認した。

  尖閣への5条適用を巡っては、大統領就任前のバイデン氏が昨年11月の菅首相との電話会談で明言している。岸氏は会談後、記者団に「政権発足直後に会談ができたのは、東アジアや日米同盟を重視する(米国の)姿勢の表れだ」と述べた。オースティン氏は、ツイッターに「素晴らしい電話会談だった。日米同盟の強固さと柔軟性などを語り合った」と投稿した。


2021.01.23-八重山日報-http://www.yaeyama-nippo.co.jp/archives/14302
尖閣周辺に中国船4隻 5日連続

  第十一管区海上保安本部によると、尖閣諸島(石垣市登野城尖閣)周辺の領海外側にある接続水域では22日、中国海警局の船4隻が航行している。尖閣周辺で中国公船が確認されるのは5日連続

   4隻は、機関砲のようなものを搭載した「海警1305」のほか「海警1301」「海警2502」「海警6303」


2021.01.22-産経新聞 THE SANKEI NEWS-https://www.sankei.com/world/news/210122/wor2101220038-n1.html
中国、武器使用認める海警法成立 尖閣諸島周辺での活動強化の恐れ

  【北京=三塚聖平】中国の立法機関、全国人民代表大会(全人代)の常務委員会は22日の会議で、海上警備を担う中国海警局(海警)に武器使用を認める権限などを定めた海警法草案を可決、同法は成立した。2月1日に施行するとしており、独自の領有権主張を展開する東・南シナ海で海警の活動が強化され地域の緊張が増す恐れがある。

  海警は、東シナ海の尖閣諸島(沖縄県石垣市)周辺で巡視船による領海侵入を繰り返しており、日本政府は警戒を強めている。海警法の施行後、尖閣諸島周辺での活動がさらに活発になることが懸念される。
  海警法は、中国の主権や管轄権が外国の組織や個人によって不法に侵害されたときに「武器の使用を含めたあらゆる必要措置」をとる権利があると明記されている。外国の組織や個人が中国の島・岩礁などに建設した構造物についても「強制的に取り壊すことができる」と規定。日本が尖閣諸島にヘリポートなどを建設することを牽制(けんせい)する狙いがあるとみられる。

  海洋進出を強める習近平指導部は、それを支えるため海警の権限強化を急ピッチで推進している。2018年には、海警が国務院(政府)管轄の国家海洋局から人民武装警察部隊(武警)に編入され、最高軍事機関である中央軍事委員会の指揮下に入った。昨年6月の法改正では、有事や演習の際に軍と同じ指揮系統の下で一体的に行動することが可能となった。
  「第二海軍化」を進める海警への警戒感は、南シナ海で中国と領有権を争う東南アジア諸国でも強まっている。

  海警法は、中国の「管轄海域」で航行や作業を行っている外国船を識別し、違法行為の疑いがあれば追跡できると定める。昨年10月には海警の船2隻が57時間39分にわたって尖閣諸島周辺の日本の領海に侵入し、平成24年の尖閣国有化以降で最長を記録。海警法施行後に海警がそうした動きを強め、尖閣諸島周辺で操業する日本漁船や、海警と対峙(たいじ)する海上保安庁が影響を受ける可能性がある。
  中国外務省の華春瑩(か・しゅんえい)報道官は22日の記者会見で、海警法について「正常な立法活動であり、草案の内容は国際的な慣例や各国が行っていることと符合している」と主張した。


尖閣諸島中国船領海侵犯事件
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

尖閣諸島中国船領海侵犯事件とは、中華人民共和国の公船等が日本領土で日本が施政権下におく尖閣諸島領海を継続的に侵犯している事件
中国公船や抗議船によって継続的に行われている領海侵犯は、「尖閣諸島は中国固有の領土」という主張に基づいて行われている示威行為であり、この他にも中国漁船が漁業を目的に領海侵犯を行っている。
  2013年7月以前は、尖閣諸島の接続水域入域と領海侵犯を行っていた中国公船は、農業部漁業局(BOF)所属の漁業取締船漁政」や、国務院の下部組織で国土資源部も所掌する国家海洋局海監総隊所属の公船「海監」であったが、2013年7月以降は、両機関が統合して発足した新たな国家海洋局傘下の中国海警局の公船「中国海警」が入域と侵犯を繰り返している。

中国公船による接続水域内入域及び領海侵犯の詳細
漁船や抗議船などの民間船舶と見られる中国船舶の領海侵犯は以前から頻発していたが、初めて中国政府の公船の領海侵犯が確認されたのは2008年12月8日であり、同日に中国公船は9時間に渡って尖閣諸島の領海を侵犯して徘徊・漂泊する行為を行った。その後2010年9月に尖閣諸島中国漁船衝突事件が発生した以降に接続水域入域と領海侵犯を増加させ、2012年9月に日本政府が尖閣諸島国有化を行った以降は爆発的に入域と侵犯を増加させて現在まで続いている。
  2016年6月9日には初めて中国海軍の艦艇「江凱型フリゲート」が尖閣諸島の接続水域に入域した。これに対し日本政府は午前2時に程永華駐日中国大使を外務省に呼んで斎木昭隆外務事務次官による抗議がなされた。なお、その6日後の同月15日には中国海軍の情報収集艦口永良部島の領海を侵犯し、翌16日にも同じ船が北大東島の接続水域に入り、同日金杉憲治外務省アジア大洋州局長により劉少賓駐日次席公使に対して「一方的にわが国周辺海域での行動をエスカレートさせている最近の中国軍全般の活動に懸念する」との伝達がなされた
  以下に海上保安庁公式サイトに記載されている中国公船の日毎の接続水域入域と領海侵犯の延べ隻数を合算して月別に表した表を記す

日本の対応
中国公船による接続水域入域と領海侵犯を受けて、日本側はくにがみ型巡視船を大量建造して海上保安庁の第十一管区海上保安本部に同型10隻(石垣海上保安部に配備)とつがる型巡視船2隻からなる「尖閣領海警備専従体制」を構築して2016年2月に完成させた。また2018年度末までに規制能力強化型の新たな小型巡視船を宮古島海上保安部に9隻配備して「尖閣漁船対応体制」を完成させ、2019年度末までに新型ジェット機ファルコン2000LXSを3機配備して「尖閣24時間監視体制」を完成させる予定である


尖閣諸島
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』


尖閣諸島は、東シナ海の南西部にある島嶼群。石垣島北方約130 – 150kmの、北緯25度43分 - 56分、東経123度27分 - 124度34分
   の海域に点在する。尖閣列島ともいう。日本実効支配しており、中華人民共和国および中華民国がそれぞれ領有権
   主張している。「尖閣諸島」および「尖閣列島」は日本における呼称であり、中国では釣魚群島あるいは釣魚島及びその付属島嶼
   台湾では釣魚台列嶼と呼ばれている。

構成

尖閣諸島は魚釣島、北小島、南小島、久場島、大正島、沖の北岩、沖の南岩、飛瀬などで構成される。総面積は約5.56km2
   戦前には日本人居住者がいた時期もあったが、1940年(昭和15年)頃以降はいずれも無人島となっている。主な島と岩礁は以下のとおり。
   面積と最高標高はそれぞれ沖縄県と海上自衛隊が作成した資料による。中国・台湾名はそれぞれ日本の新字体表記に変換してある。

なお、2012年(平成24年)1月16日、日本政府は排他的経済水域 (EEZ) の基点となるにもかかわらず名称が不明であった離島について、地元自治体
   などに呼称を照会した上で、同年3月末までに命名する方針を示し、3月2日には名称が決定した。この中には、尖閣諸島近海の4島が
   含まれており、このうち久場島付近にある3島は北西小島北小島北東小島、大正島付近にある1島は北小島と名付けられた。この結果、
   本諸島には計3つの北小島が存在することになった。


魚釣島
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

  魚釣島(うおつりしま、うおつりじま)は、琉球列島の一部である尖閣諸島にあり、尖閣諸島の中では最大の島である。日本の行政区分では沖縄県石垣市登野城尖閣(2020年10月1日に登野城より分離)に属する。中華人民共和国と中華民国も同島の領有権を主張している。中国側は同島について釣魚島(ちょうぎょとう、ディァオユーダオ, Diàoyúdǎo) という名称を使用している
概要
  尖閣諸島の西端、北緯25度44.8分、東経123度28.8分に位置する無人島沖縄本島から約410キロメートル、石垣島から北西約170キロメートル、台湾島から約170キロメートル、中国大陸からは約330キロメートル離れている。
  1895年から日本領有し、明治時代古賀辰四郎が開拓して島の西岸に鰹節工場が作られ、船着き場も作られた。船着き場は空中写真でも確認でき、魚釣島灯台の建設や保守にも使われた。最盛期は248名、99戸が生活する古賀村が形成されていたが、1940年に事業中止に伴って無人島となった。
  1970年代から埼玉県さいたま市在住の日本人が私有し、日本国政府は2002年から年2112万円で賃借していたが、2012年9月11日に北小島南小島とともに3島を20億5千万円で購入し、日本国へ所有権移転登記を完了した。
  上陸は許可を要する。島への定期船は無く、上陸や見学には漁船チャーターする必要がある。
  日本の行政区分では沖縄県石垣市登野城尖閣2392番地にあたる。1895年から日本が領有し実効支配しているが、1970年頃から中華民国中華人民共和国も同島の領有権を主張している。中国側は同島について釣魚島(ちょうぎょとう、ディァオユーダオ, Diàoyúdǎo) という名称を使用している。
島名
  日本名の「魚釣島」について日本政府は地元で呼ばれている名称を地方公共団体が調査し使用しているとしている。 「1885年、日本の公図を作る際、沖縄県職員石澤兵吾は、琉球国元官僚の大城永保から聴き取りを行ったが、大城は魚釣島に関し『釣魚島』と示しました。(趣意)」(島嶼研究ジャーナル第5巻第2号91ページ)
  琉球ではゆくん(よこん)といった。石垣島出身の国語学・民俗学者の宮良当壮は、「よこん」の「よ」(ゆ)は「いを」(魚の古語)の琉球方言、「こん」(くん)は「くに」(國)の琉球方言であり、「よこん」は「魚國」(いをくに)、つまり魚が多いところという意味であるとする。漁民からは方言でイーグンジマと呼ばれてきた。イーグン(イグン)とは与那国方言のことで、島の地形が銛のように聳えることに因む。なお、鳩間島方言では銛のことをユクンという。
  『向姓具志川家家譜 十二世諱鴻基』には、1819年に公務で薩摩に向かった琉球王族尚鴻基の船が、暴風雨で南西に漂流し「魚根久場島」に到達し、さらに漂流して3日後に与那国島に到達したとの記録がある。
  國吉まこもは「魚根久場島」は尖閣の琉球名ユクンクバジマであるとし、長崎純心大学石井望は尖閣諸島の魚釣島か久場島を指すと指摘している。
  魚釣島という名は、久場島とこの島との関係が、『おもろさうし』において「こはしま」(くば島)と歌われた久高島と「つれしま」(つれ島、つりしま)と歌われた津堅島の関係に相似することに由来する。
  ただし、『おもろさうし』の「こはしま」は、前後の歌との関係等から見て慶良間諸島久場島のことであるともされる
  沖縄本島と中国福州の航路上にあり、琉球王府時代には航海の標識として重要であったため、冊封使によって航行中にこの島を見たことが記録されており、陳侃の『使琉球録』では「釣魚嶼」と、徐葆光の『中山伝信録』では「釣魚台」とされている。
地理
  面積は3.641983平方キロメートル(石垣市土地台帳の数値)で、これはモナコ公国の国土面積(1.95平方キロメートル)の約2倍、富山県舟橋村の面積(3.47平方キロメートル)とほぼ同面積に相当し、尖閣諸島の中では最大の島である。最高標高362メートル。
 東西3.5キロメートル、南北1.3キロメートル。島の北側は比較的緩やかだが南側は急峻な崖となっている。島内には最高峰の奈良原岳(標高 362メートル)や屏風岳(標高 320メートル)といった山がある。
自然
  センカクモグラウオツリナガキマワリセンカクサワガニタカラノミギセルセンカクアオイセンカクオトギリ等の固有種が生息する。
  1978年に、与那国島の島民から右翼団体日本青年社の上陸決死隊へ、1つがいのヤギパサン)が緊急時の食料として贈られて島に持ち込まれた。
  のちに野生化して繁殖し、1991年に南斜面だけで300頭が確認された。2000年に13.59%であった島の裸地は、ヤギによる食害2006年は3割を超えて、固有種をはじめとする生態系への影響が懸念されている。
  石垣市議会はヤギ捕獲の要請を決議して日本政府に要請しているが対策されていない。海上保安庁水路誌に拠れば大蛇が生息する。
歴史
  ・1895年1月14日 - 日本領に編入される。  ・1896年 - 古賀辰四郎が政府から魚釣島、久場島北小島南小島の30年間無償貸与を受け、無償貸与期間終了後も有償で貸与が続けられた。  ・1919年 - 遭難し魚釣島に漂着した中国漁船の乗員を島民が救助し、中華民国長崎領事から石垣村長らに「日本帝國沖縄縣八重山郡石垣村長」等と記された感謝状が贈られる。  ・1932年5月20日 - 魚釣島、久場島が辰四郎の子の古賀善次に有償で払い下げられ、同年、北小島、南小島も有償で払い下げられる。  ・1940年2月5日 - 那覇発台北行きの大日本航空機阿蘇号(ダグラス DC-2)が魚釣島沖合に不時着水(大日本航空阿蘇号不時着事故)。機体は胴体が真っ二つになったが、乗員・乗客13人は魚釣島に上陸して無事。 ・1945年7月 - 石垣島から台湾への疎開船が米軍機の爆撃を受けて遭難し、魚釣島に漂着する尖閣諸島戦時遭難事件が発生し、約80名が死亡する。  ・1946年2月2日 - 北緯30度以南がアメリカ軍の軍政下に置かれる。  ・1952年4月28日 - サンフランシスコ講和条約の発効により、琉球政府の施政下に入る。  ・1969年 - 疎開船遭難の慰霊碑建立。  ・1970年7月 - 琉球政府が尖閣諸島の魚釣島、久場島、大正島、北小島、南小島に入域防止のための警告板を設置する。  ・1972年5月15日 - 沖縄が日本国へ返還される。  1978年-3月30日 - 第1次大平内閣森山欽司運輸相ヘリポートの建設を指示する。-8月12日 - 日本の右翼団体日本青年社灯台を建設する。   ・1979年5月17日 - 海上保安庁が仮設ヘリポートを設置するが、後に撤去となる。  ・1988年 - 日本青年社が灯台建設10周年を記念して灯台を新調し、航路標識法に基づく灯台としての認可を申請する。  ・1996年 - 日本青年社が北小島に第二灯台を建設し、日本政府に海図への記載を求める。  ・1997年5月6日 - 新進党衆議院議員西村眞悟が国会議員として初めて上陸する。  ・2000年4月20日 - 尖閣神社を創建する。  ・2004年3月24日 - 中国人活動家が無許可で上陸する。  2005年2月 - 日本青年社が灯台を日本国に無償譲渡し、以後海上保安庁魚釣島灯台として管理し、海図に記載される。  ・2012年-・1月3日 - 日本会議・石垣市市会議員4人が国の許可を得ず約1時間30分間上陸。ー7月28日 - 清華大学当代国際関係研究院劉江永副院長執筆する 「釣魚島問題で歴史的根拠がないのは一体どの国か」人民網日本語版にて発表ー8月15日 - 香港の活動家グループ5名が許可を得ずに上陸する香港活動家尖閣諸島上陸事件が発生する。ー8月19日 - 日本の領土を守るため行動する議員連盟の8人の国会議員地方議員頑張れ日本!全国行動委員会の活動家ら約150人が魚釣島至近の洋上で尖閣諸島戦時遭難事件の慰霊祭を実施する。この際、・石垣市以外の市議など5人と民間人5人計10人が海に飛び込み国の許可を得ず上陸し、国旗を掲げるなどし約1時間30分滞在する日本人活動家尖閣諸島上陸事件が発生する。ー9月11日 - 日本政府は魚釣島、北小島と南小島の3島を埼玉県に所在する地権者から20億5千万円で購入し、日本国への所有権移転登記を完了した。ー9月18日 - 日本人2人が、国有化後初上陸する。


中国脅威論
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

  中国脅威論(英: China threat theory)とは中華人民共和国(中国)の覇権主義が他国または世界にとって重大な脅威になるとする言説。そして、この議論は、中華人民共和国の経済的および政治的成長を弱める、米国によって策定されたいわゆる「中国封じ込め政策」の過去または現在に影響を及ぼしました。

冷戦下の中国脅威論
ソ連脅威論と中国脅威論
  日本やアメリカにおいては1950年代から1990年代、つまり冷戦中の脅威はソビエト連邦であった。
  1960年には日米安保条約が締結、日米同盟による安全保障が図られた(この脅威論は危機感を煽るために防衛庁(現:防衛省)によって捏造されたものである事が、後年太田述正によって暴露されている)。1960年代には中国脅威論が展開され、日本は米国とともに封じ込め反共主義戦略が展開された。

  一方で1964年10月に中国は初の核実験を行ったが、当時の米国の態度は緩やかなものであったといわれている。それは中ソ間に対立がみられたからであり、ソ連と決別した中国の核は米国の対ソ戦略上において牽制的に有利に働くだろうという目論見があったためである。
  ベトナム戦争では北ベトナムを支援する中国と南ベトナムを支援するアメリカの間に当初は対立が見られた。しかし、ベトナム戦争で苦戦を強いられていたアメリカは中ソ国境紛争でソ連との関係が悪化していた中国に接近。その後、リチャード・ニクソン大統領中国訪問の衝撃を経て、1972年に日中国交正常化が実現した。
  対ソ戦略という観点で米中関係には利害の一致が見られ、1970年代末からはアメリカが中国に兵器や軍事技術を供与し軍の近代化に協力した経緯がある。
  1980年代にソ連脅威論が再び台頭するが、ソビエト連邦の崩壊によって終了する。
中ソ関係と中国脅威論
  東西冷戦は資本主義と社会主義のイデオロギー的対立であったが、社会主義国として中国とソ連がパートナーの関係にあったのは冷戦初期の短い期間である。1960年代初頭には中国とソ連は対立関係をはらんでおり、1962年には新疆などで国境紛争が頻繁に発生していた。
冷戦後の中国脅威論
  冷戦の終結後は、ならずもの国家の脅威が論じられ、東アジアにおいてはジョージ・ウォーカー・ブッシュによって北朝鮮が名指された。
  2000年代にはテロリズムの脅威と“ならずもの国家”の脅威が結びつく一方で、中国脅威論も再び台頭した。西側諸国では近年の中国脅威論では過去数十年単位で見た軍事費の伸び率の高さや不透明性、共産主義国家としての報道・言論規制、国境線問題、抑圧的な人権政策、愛国主義的歴史教育、輸出の拡大による貿易摩擦、甚大な環境破壊、資源の囲い込み等から今後中国が周辺諸国の又は地球規模での脅威となっていくとする見方で、この論説は、日本台湾米国オーストラリアベトナムインドなどで展開されている。また米中冷戦とともに言及されることがある。

  21年連続2桁増で急増する軍事費、軍事費の内訳の不透明性、兵器や人員の実態の不透明性、核戦力の充実、日本沖ノ鳥島における排他的経済水域の否定、数々の示威行為(人工衛星破壊・アメリカ海軍原子力空母至近での潜水艦浮上・日本の領海侵犯・排他的経済水域での無断調査・台湾近海でのミサイル演習)により、中国脅威論が展開されている。2006年のアメリカ国防総省の年次報告書では、軍事費の増大などを背景に「周辺諸国への潜在的な脅威になっている」と述べている。

  経済大国として「世界の工場」と呼ばれる中国は廉価な製品の輸出によって他国の現地産業を圧迫しているという脅威論もある。
  この輸出攻勢の背景には外資の誘致による工場の乱立や安い人件費の他に、中国当局が固定相場制によって人民元が輸出に有利になるよう誘導している背景があり、人民元の変動相場制への転換圧力にもなっている(人民元改革も参照)。
  中国は10億を超える人口を抱えていること、エネルギー効率が悪いことから石油地下資源の確保に積極的なため、新たな脅威論の要因となっている。2005年には米国大手石油会社・ユノカルの中国企業中国海洋石油総公司による買収騒動はアメリカ議会上院が法案を出すほどの事態に発展した。
  この他、中国からの移民は世界各国で摩擦を生んでいる。
  古くから東南アジア諸国などでは華僑が国の政治・経済に大きな影響力を有しており、近年では欧米や日本への移民の急増により、各地でチャイナタウンが形成されるなど、存在感を増している。

  中国の軍事的な脅威として中国人民解放軍によるサイバーテロが論じられもする。ニューヨーク・タイムズは、ダライ・ラマ14世のコンピューターなど、103か国の政府や個人のコンピューターが、主に中国からのサイバー攻撃を受けていたと報じた。
  またF-35戦闘機の機密情報にアクセスしようというサイバー攻撃があったことを、アメリカ空軍が発表している。2010年には米国の調査機関が中国人民解放軍陸水信号部隊によるサイバー攻撃の事例を発表した。2012年3月11日サンデー・タイムズは、中国のハッカーがF-35戦闘機のデータを盗み出すため、BAEシステムズのコンピューターに侵入していたと報じた

日本
  近年の中国における急増し続ける軍事費について、識者を中心に軍事的脅威が唱えられている。中国の軍事費は1989年度から21年連続2桁増という勢いで増加しており、その予算の内訳が明確に示されたことはない。
  また装備の取得・開発費や戦略ロケット部隊や人民武装警察の予算は軍事予算に含まれておらず、実態は公表されている予算の3倍の額になるという指摘もなされており、2005年8兆円(同年ロシア6.5兆円)2006年10兆円、2007年14兆円と見込まれており、これに従うならば軍事支出では世界2位で、国際関係上、旧ソ連が占めていた地位に近づきつつある。
  2008年3月4日、姜恩柱報道官は、中国の2008年度(1 - 12月)国防予算は前年度実績比17.6%増の4,177億元(約6兆600億円)に上ることを明らかにした。
  上記の通り研究開発費などを含む実際の軍事費はさらに大きいとみられるが、公表額においてもフランスを上回り、米国、イギリスに次ぐ世界3位の軍事費になった公算が大きい。
核およびミサイル配備
(詳細は「中華人民共和国の大量破壊兵器」、「中国の核実験」、および「中国人民解放軍第二砲兵部隊#ミサイル発射基地」を参照)
  中国人民解放軍第二砲兵部隊のミサイル発射基地については軍事機密のため公開されてこなかったが、1980年代に一部公開され、2011年現在、すべてではないが一定程度公開されている。
  中国は核弾頭搭載可能な中距離弾道ミサイルDF-21とDF-3をはじめ日本を射程内に収めている。
  元海上自衛隊第5航空群司令川村純彦は中国のミサイル約800基のうち約100基は日本を照準としていると発言している(2006年時点)。
  また中国軍は台湾に照準を合わせたミサイルを2005年から2006年にかけて710基から790基に増強している。
  以下、日本を射程内としているものとして推定される基地について記す。
  中国の国防の観点からは、日本韓国台湾フィリピン、およびそれら各地域の駐留アメリカ軍、およびアメリカ本土までを射程にいれている
空軍近代化
  従来、中国人民解放軍空軍は3,000機のJ-6戦闘機(中国製MiG-19)を保有していた。J-6は日本を空襲できるまでの航続性能が無いため日本の国防上の脅威ではなかったが、1990年代末からこれら旧式機が寿命更新期を迎えると、Su-27がロシアからの輸入/ライセンス生産方式で量産され始め、更に2006年からは中国国産のJ-10の年産50機程度の量産が始まった。
  これら新型機の導入により、中国空軍の戦闘機の世代は一気に2世代新型になって置き換わり始め、航空自衛隊の航空戦力に追いつきつつある。
  新型戦闘機の多くが上海周辺から沖縄/九州、又は北朝鮮の租借地から日本海沿岸を空襲できる航続性能を持っており、一部は東京空襲さえ可能となった。また、日中間海域の航空シミュレーションでも、アメリカ空軍の本格来援までは中国側が優勢を占める可能性が高い。これら中国空軍近代化により自衛隊の再編成にも影響を及ぼしている。

  将来的には、中国空軍は日本に航続距離が届く戦闘機2,400機を保有することになると見られている。こうした状況下にもかかわらず、当時の小泉政権は歳出削減のため、戦闘機の定数を300機から260機に削減した。
  空自は「量」を「質」で補うために、寿命を迎えるF-4EJ改の代替に最新鋭F-22ステルス戦闘機の導入を切望しているが、F-22は最先端技術の塊であるため、2007年7月25日の米国下院歳出委員会で禁輸措置の継続が決定された。
  中国空軍近代化を象徴する事件の一つとして、2011年8月中旬ごろに中国空軍のSu-27もしくはSu-30東シナ海日中中間線を越え、海上自衛隊の情報収集機を追尾したことが挙げられる。中間線より日本の側で、中国側による威嚇行為が行われたのはこれが初めてである。尖閣諸島へ近づかれる恐れがあると判断した航空自衛隊が、那覇基地F-15J戦闘機スクランブル発進させると中国軍の戦闘機は引き返した
海軍の近代化(「中国人民解放軍海軍」を参照)
巡航ミサイル打撃力
  ロシアから輸入した12隻(877EKM型2隻・636型2隻・636M型8隻、636型と636M型は改キロ級)のキロ級潜水艦の内、636M型8隻がロシア製GPSGLONASS)誘導の3M-54E1(対艦)/3M-14E(対地)巡航ミサイルの潜水艦発射型「クラブS」の運用能力があるとされる。
  これは144発の巡航ミサイルで、自衛隊の指揮通信設備・航空基地・固定レーダーサイト陸上自衛隊補給処・石油備蓄の攻撃が可能な戦力である。
  宋型元型潜水艦漢型原子力潜水艦・その他殆どの水上艦・JH-7A攻撃機H-6爆撃機装備のYJ-8対艦ミサイルは対地攻撃型が無く、対艦攻撃型だけだった。しかし対地型YJ-85巡航ミサイルが航空機に配備されるに及んで、これの艦載用が中国海軍艦艇にも装備されれば、巡航ミサイル同時投射能力が数百-1,000本前後に激増することになり、日本の国防上懸念されている。
揚陸艦隊の増強
  従来は、中国人民解放軍陸軍(兵力160万人・戦車7,100両)の規模が陸上自衛隊(兵力16万人・戦車900両)を上回っていても、中国海軍の揚陸艦の数が少なかったので日本の国防上大して問題ではなかった。しかし、中国は台湾(24万人・戦車900両)を武力併合できる軍事能力を得るため、急ピッチでドック型揚陸艦を量産し、 揚陸艦隊の増強を図っている。
  2005年時点で戦車225両・歩兵3万人の輸送を出来る体制で、輸送能力はロシアを抜いて世界2位になった。2010年7月1日より施行された国防動員法により、有事の際の輸送・揚陸に使用する目的での民間船舶の徴用が可能になった。
  2015年には米太平洋揚陸艦隊と互角の戦車425両・歩兵4万人を1往復で輸送できる揚陸艦隊を持ち、3-4往復で台湾を征服するのに必要な戦車1,300両・歩兵16万人を輸送可能になると見られている。

空母艦隊(詳細は「中国の空母建造計画」を参照)
  旧ソ連/ウクライナ航空母艦ヴァリャーグ」を購入、建造を再開して2012年に「遼寧」として就役させた。中国海軍は2010-2017年に65,000t通常動力大型空母を3隻、2015-2022年に10万t原子力空母3隻を建造し、旧式フリゲート艦40隻を3-4目標同時処理能力を持った防空フリゲート艦36隻に更新予定である。又、艦載機や戦闘機、潜水艦、各種戦闘艦艇などをロシアから大量に購入中である。
第一列島線・領海に関して(詳細は「第一列島線」を参照)
  接近阻止・領域拒否の構想のもと、2020年には第一列島線、第二列島線以内の制海権の確保を目指しているといわれている。度重なる示威行為も中国脅威論を助長する一因となっている。
  実際に中国原子力潜水艦が日本の領海を侵犯をしたり(漢級原子力潜水艦領海侵犯事件)、中国軍艦艇が日本の排他的経済水域で度重なる無断調査を行ったりするなど、日本への挑発行為を繰り返している。また、尖閣諸島の領有権を主張し、自らの排他的経済水域を日中中間線を大きく越えた沖縄トラフまでであると主張し、沖ノ鳥島の日本領有を否定するなども日本側の警戒心を喚起している。
  また、琉球独立運動の標榜を中国が利用する危険性を、青山繁晴ら複数の専門家が指摘している。
  中国側から見て、沖縄県周辺は中国海軍の太平洋への出口であり、米原子力潜水艦が中国に巡航ミサイル攻撃をしたり、米空母が近寄ってくるのを防ぐ前線飛行場として、韓国/台湾を海上封鎖するための対艦ミサイル設置区域として、またアメリカ軍が使用した場合は台湾/上海空爆の拠点として極めて重要な要衝である。日本民主党沖縄2000万人ステイ構想(移民ではない)は保守層から批判された。
  さらに日本側の抗議にもかかわらず日中中間線をまたぐ形で海底のガス田を開発中で、日中間の懸案事項となっている。
首相の中国牽制発言
  2010年10月24日、自衛隊の中央観閲式に出席した菅直人総理大臣は、「軍事力の近代化を進め、海洋における活動を活発化させている中国にみられるように(情勢は)厳しさを増している」と中国の強大化について初めて名指しで言及した

中国高官による核攻撃発言
  1995年、中国軍部副参謀総長熊光楷は「もし米国が台湾に介入したら、中国は核ミサイルロサンゼルスを破壊する。米国は台北よりロサンゼルスを心配した方がよい」と、台湾海峡での武力紛争に米国が介入した場合、中国はロサンゼルスに対して核攻撃する可能性があると表明した。なお中国は伝統的に1964年から核攻撃先制不使用を自国の核戦略としてきている。
朱成虎発言(2005)
  2005年7月6日には、朱成虎少将が「米国政府が台湾海峡での武力紛争に介入した場合、核攻撃も辞さない」と海外メディア記者会見において発言した。

  我々(中国)は核兵器の先制攻撃により中国以外の人口を減らすと共に自民族を温存させる事に力を注ぐべきで、この核戦争後に百年余りの屈辱に満ちた歴史を清算し未来永劫この地球を支配するようになるだろう。
  世界人口の総数はすでに地球資源と生態環境の許容能力を超えており、これを解決するために戦争、疫病或いは飢饉などの手段を用いて大量に人口を消滅させ、人類を引き続き生存させるべきである。
  中国政府は全力で核兵器の開発に取り組んでおり、十年以内には地球上の半数以上の人口を消滅させるだけの核兵器を装備することが可能である。
  中国は西安以東の全都市が焦土とする事を覚悟している。米国も数百の都市が破壊されることを覚悟しなければならない。

(朱成虎発言,2005年7月6日)

  この朱成虎発言に対してアメリカ国家安全保障会議報道官のショーン・マコーマックは7月15日、朱成虎発言は「極めて無責任で、中国政府の立場を代表しないことを希望する。非常に遺憾」と非難し、7月22日にはアメリカ議会下院は、発言撤回と朱成虎少将の罷免を求める決議を採決した。
  また、台湾高等政策研究協会執行長官、楊念祖は朱成虎発言はアメリカと日本に向けられたもので、中国政府は米日両国の反応を試しているとした

脅威論への異論
  日本共産党は、米中・日中間の経済的相互依存関係の強まりや、中国の対外政策に照らせば、中国を「脅威」とする考えには根拠が無いと主張している。また、中国脅威論とは中国の軍拡で公共の場所での軍事的権益を脅かされる可能性が出てきたアメリカが声高に中国の脅威を主張し、日本もそれになぞっているだけであると主張している。
  石破茂は、「中国の軍事費の伸びだけで『脅威』とは言えない。軍人の給与上昇にかなりの部分が使われている事実がある」と2009年12月8日のシンポジウムで述べた。また、2009年まで内閣官房副長官補(安全保障・危機管理担当」を務めた柳沢協二は「冷戦時代のソ連とは体制的な対立関係があったが、中国とは(経済発展という)同じ方向を向いて競争しており、相手を滅ぼす動機がない。中国が日本を滅ぼしたら中国の経済は成り立たないし、米中関係でも同じことが言える」と、2010年4月20日の国会内の講演で述べている。
  ただ、この柳沢や日本共産党などが主張する「グローバル化で経済関係が密接だから、戦争を仕掛けると自分が損をするから戦争は起きえない」という「資本主義の平和」論には異論もある。実際第一次世界大戦に於いて英独両国は緊密な経済関係を持ちながら開戦したし、中野剛志は「国家は必ずしも合理的に行動しないことや、合理的に行動したとしても戦争が起きる可能性がある」と著書で述べている。また、この平和論はグローバル化への警戒感が少ない日本で特に根強く信仰されている考え方だという







このTopに戻る






monomousu   もの申す
最近のニュース
TOPにもどる
2019年のニュースへ
2020年のニュースへ
ここは2021年1月~からのニュースです