差別問題-1


2.23.02.13-産経新聞-https://www.sankei.com/article/20230213-X657C6OSJBK5BKY6AYDNS57D4I/
LGBT法案「差別」の表現焦点 自民、近く議論-(沢田大典)

  LGBTなど性的少数者への理解増進を図る法案の行方は、「差別」に関する表現ぶりが焦点となっている。令和3年には超党派の議員連盟が法案をまとめたが、「差別は許されない」との文言に自民党内から「訴訟の乱発を招きかねない」との懸念が上がり、国会提出には至らなかった。当時の法案を修正すべきかどうかをめぐっては自民内にも両論があり、論議の行方に注目が集まりつつある。

  自民の茂木敏充幹事長は13日の記者会見で、法案について「引き続き法案の文言を含めて党内の調整、与野党での調整を進めてもらいたい」と述べた。
  案をめぐっては、3年に自民が差別禁止に触れない原案をいったんまとめた。しかし、その後、自民の実務者として協議に臨んだ稲田朋美元防衛相が、「差別は許されない」との文言を基本理念に加えることで立民の西村智奈美代表代行と合意した。
  これに対し、自民では保守派を中心に「訴訟の乱発を招く」「内心の自由を侵す」との反発が相次いだ。当時、超党派法案に反対した西田昌司政調会長代理は今月7日「逆に社会が分断される」と改めて述べた。
  国会では、安倍晋三元首相が首相在任時、「LGBTといわれる性的少数者に対する不当な差別や偏見はあってはならない」と答弁し、岸田文雄首相は「性的指向、性自認を理由とする不当な差別、偏見はあってはならない」と答えている。自民保守派のベテランも「これらの文言であれば問題ない」としている。
  しかし、荒井勝喜前首相秘書官が今月4日、性的少数者に対する差別的な発言を受けて更迭されると、自民に逆風が吹き始めた。

  与野党からはハードルを上げる意見が相次いでいる。12日のNHK番組では、公明党の高木陽介政調会長が「法律ができたからといって不利益を被る人はいない」と指摘。超党派議連の合意を重視する立憲民主党の長妻昭政調会長は「差別は許されないという文言は駄目だというのはとんでもない」と牽制した。
  自民は近く「性的マイノリティに関する特命委員会」(高階恵美子委員長)で理解増進法案をめぐる議論を再開する方針だ。
  党内には「超党派議連の法案ではなく、ゼロベースで議論すべきだ」(中堅)との意見がある一方、議連の法案を修正せず、早期の幕引きを望む声も多い。
  自民参院幹部は「修正すれば4月の統一地方選に影響が出る。保守派に納得してもらうしかない」と語る。ただ、修正抜きで野党との合意に至れば、自民の岩盤支持層といわれる保守派の離反を招くリスクもある。(沢田大典)



2021.06.26-日本経済新聞-https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGN25EVY0V20C21A6000000/
米黒人暴行死事件、元警察官に禁錮22年6月

  【ニューヨーク=共同】米中西部ミネソタ州ミネアポリスで昨年5月に起きた黒人男性ジョージ・フロイドさん(当時46)暴行死事件で、ミネアポリスの州地裁は25日、州法の第2級殺人などの罪で有罪評決を受けた白人の元警官デレク・ショービン被告(45)に禁錮22年6月(求刑禁錮30年)の量刑を言い渡した。米メディアが伝えた。

  量刑は検察側の求刑には及ばなかった一方、前科がなければ禁錮12年前後が妥当とする州の指針は上回った。判事は遺族に対して「あなた方の感じている痛みが分かる」と述べた上で、量刑では被告が警官の地位を悪用したことや手口の残忍さなどを考慮したと明らかにした。弁護側は保護観察処分を求めていた。
  事件は「ブラック・ライブズ・マター(黒人の命も大事)」と訴える人種差別抗議デモが全米に拡大するきっかけとなったが、今回の言い渡しで一つの節目を迎えた。
  ショービン被告は量刑言い渡しに先立って発言し、遺族に哀悼の意を示した上で「心の安らぎを得られるよう願っている」と述べた。
  遺族の代理人は、今回の量刑言い渡しにより「フロイド家とわが国は癒やしに一歩近づいた」との声明を発表した。フロイドさんの弟フィロニスさんは「肌の色で人を判断すべきではない」と述べ、人種差別解消に向けた取り組み継続を訴えた。
  バイデン米大統領は25日、量刑について「全ての状況を知っているわけではないが、適切だと思われる」と記者団に述べた。

  ショービン被告は4月に州地裁で有罪評決を受けていた。他に連邦法でも起訴されている。


2021.03.13-NHK NEWS WEB-https://www3.nhk.or.jp/news/html/20210313/k10012913041000.html
米 黒人男性死亡事件 男性遺族に29億円余支払うことで和解

  アメリカで去年、黒人の男性が白人の警察官に押さえつけられて死亡した事件で、警察を管轄する市は男性の遺族に日本円で29億円余りを支払うことで和解しました。

  アメリカ中西部ミネソタ州のミネアポリス市で去年5月、黒人のジョージ・フロイドさんが白人の警察官に首をおよそ9分間、ひざで押さえつけられて死亡した事件では、フロイドさんの遺族が警察を管轄する市などに損害賠償を求めています。
  こうした中、ミネアポリス市は12日、遺族に2700万ドル、日本円で29億円余りを支払うことで和解したと発表しました。

  和解を受けてフロイドさんのおいが記者会見し「大きな一歩ではありますが、どれだけお金があってもこの痛みが癒えることはありません。お金があってもジョージは戻ってきません」と話しました。
  アメリカでは、この事件を受けて人種差別への抗議活動が全米に広がり、社会に残る構造的な差別が大きな問題となりました。
  今回の事件では、フロイドさんの首を押さえつけた元警察官が殺人などの罪に問われていて、刑事裁判が続いています



2020.11.28-JIJI.COM-https://www.jiji.com/jc/article?k=2020112800280&g=int
フランス当局、黒人暴行容疑で警官4人拘束 大統領「人種差別許さず」

  【パリAFP時事】パリで警官らが黒人の男性音楽プロデューサーを集団暴行した様子を撮影した動画がインターネット上で公開され、フランス当局は27日、関与した疑いで警官4人を拘束した。マクロン大統領は声明で「恥ずべきだ」と非難、「フランスは憎悪や人種差別の拡散を決して許してはならない」と訴えた。

  事件は先週末、男性が自身の音楽スタジオに入ろうとした際に起きた。動画には警官が男性の顔を殴るなど数分間にわたって繰り返し暴行する様子が収められている。警察本部前で記者団の取材に応じた男性は「警官は私を殴りながら何度も『汚い黒人』と呼んだ」と語った。
  フランスでは、警官の顔を撮影した写真や動画の拡散を禁じる法案が24日の下院で可決されたばかり。記者やソーシャルメディアの利用者が警察の不正を記録できなくなると懸念されており、上院での採決を前に、法案に反対するデモも起きている。


2020.9.7-SankeiBiz-https://www.sankeibiz.jp/macro/news/200907/mcb2009071411014-n1.htm
米ニューヨーク市がコロナで財政危機 トランプ氏の「圧力」も

  【ニューヨーク=上塚真由】トランプ米大統領が、犯罪対策が十分でないと判断する「無法地帯」への補助金削減を検討していることに対し、標的となった東部ニューヨーク市などが猛反発している。実現可能性は不明だが、新型コロナウイルスの影響で深刻な財政不足に悩む同市などは、トランプ氏の圧力にも悩まされている。
  トランプ氏は2日、覚書に署名し、ニューヨーク市のほか、西部のシアトルとポートランド、首都ワシントンを名指しして、人種差別抗議デモなどにより「無政府状態や暴力、破壊行為を許容している」と主張。バー司法長官に補助金受給資格の制限について検討するよう求め、政府内に指針策定を指示した。

  名指しされた4都市はすべて民主党系の市長で、治安悪化をめぐり、11月の大統領選に向けて「法と秩序」の回復をアピールしたいトランプ氏と対立してきた。トランプ氏の覚書に関し、ニューヨーク州のクオモ知事はニューヨークを歩くならボディーガードではなく、軍隊を連れてきた方がよい」と強く牽制。デブラシオ市長は補助金削減に踏み切れば、法的措置を取る考えを示した。
  コロナ禍で税収が落ち込んだニューヨーク市は2年間で約90億ドル(約9500億円)の歳入不足を見込む。こうした中、連邦政府の補助金が削減される事態になれば、死活問題だ。米紙によると2017年には約80億ドルが同市に交付されたという。
  財政不足の影響はすでに市民生活にも出始めている。ニューヨーク市議会は6月末、総額881億ドルの21年会計年度(20年7月~21年6月)の予算案を可決したが、各部門でそれぞれ削減。公園局は年間予算の14%がカットされたため、清掃員などが不足し、市内の公園の一部は管理が行き届かず、ゴミが散乱する事態となっている。デブラシオ市長は、2万2千人の市職員のレイオフ(一時解雇)も検討する。
  ニューヨーク州はニューヨーク市の90億ドルを含め、総額300億ドル規模の支援を連邦議会に要請している


2020.8.3.2-NHK NEWS WEB-https://https://www3.nhk.or.jp/news/html/20200902/k10012596201000.html.
LA警察官が黒人男性に発砲 男性は死亡

  アメリカ西部ロサンゼルスの近郊で、警察官が自転車に乗っていた黒人男性に停止するよう求めたところもみあいになり、その後、警察官が発砲し、男性は死亡しました。現地では、警察官の対応に抗議する活動が行われました。
  カリフォルニア州ロサンゼルスの近郊で先月31日、警察官が自転車に乗っていた黒人の男性ディジョン・キズィーさん(29)に停止するよう求めたところもみあいになり、その後、警察官が発砲して、キズィーさんは死亡しました。
  地元のメディアは、キズィーさんの関係者の話として、警察官は20発以上発砲したと伝えています。
  一方、警察側は、キズィーさんが所持していた拳銃を落とし、警察官を殴ってきたことから発砲したものだとしています。
  現場では、発砲のあと、警察官の対応に抗議する活動が行われました。
  また、黒人の人権擁護活動を行っている弁護士は、発砲の様子を撮影した映像があれば提供してほしいと、SNSで呼びかけています。
  アメリカでは、中西部ウィスコンシン州で黒人男性が警察官に背後から銃で撃たれたことへの抗議活動が各地で続いていて、人種差別問題に対する関心が改めて高まっています。


2020.8.28-NHK NEWS WEB-https://www3.nhk.or.jp/news/html/20200828/k10012587361000.html
大坂なおみ 大会側の対応受けボイコットを撤回

  テニスの大坂なおみ選手は、アメリカのウィスコンシン州で黒人の男性が警察官に撃たれたことに対する抗議として出場中だったツアー大会をボイコットすると表明しましたが、一転して、28日に行われる準決勝に出場することが分かりました。

  大坂選手は四大大会の1つ、全米オープンの前哨戦としてニューヨークで開かれているツアー大会に出場していましたが、ウィスコンシン州で黒人の男性が警察官に背後から撃たれたことへの抗議として勝ち進んでいた大会をボイコットし準決勝を棄権すると表明しました。
  これを受けて大会自体も「人種差別や社会的な不公平に抗議するため」として27日に予定されていたすべての試合を見合わせ、28日から再開することになっていました。
  大会の主催者によりますと、WTA=女子テニス協会などが大坂選手に対して再び出場するように要請した結果、大坂選手はボイコットを撤回し出場することで「より強い抗議の意思を伝えられる」などとして28日の準決勝に出場することを決めたということです。
  大坂選手の準決勝の相手は世界22位でベルギーのエリーゼ・メルテンス選手です。
全米オープン 大坂は1回戦で世界78位の土居と対戦
  全米オープンの組み合わせは27日、ニューヨークで発表され、女子シングルスで世界10位の大坂選手は、1回戦で世界78位の土居選手と対戦することになりました。過去の対戦成績は、大坂選手の1勝0敗です。
  また、男子シングルスでは、1回戦で世界48位の西岡良仁選手が、去年、股関節の手術からツアー大会に復帰した元世界王者、イギリスのアンディ・マレー選手と対戦します。
  一方、先週、新型コロナウイルスの検査で陽性反応を示した錦織圭選手は、今週の検査は陰性でしたが、練習が十分に出来ていないなどとして欠場を発表しています。


2020.8.27-NHK NEWS WEB-https://www3.nhk.or.jp/news/html/20200827/k10012585901000.html
大坂なおみ ツアー大会準決勝を棄権 黒人男性銃撃に抗議

  テニスの大坂なおみ選手は、アメリカのウィスコンシン州で黒人の男性が警察官に背後から撃たれたことに対する抗議活動が広がるなか、27日に出場予定だったツアー大会の準決勝のボイコットを表明しました。

  大坂選手は四大大会の1つで今月末に開幕予定の全米オープンの前哨戦としてニューヨークで開かれているツアー大会に出場していて、26日の準々決勝に逆転勝ちし、27日に準決勝に臨む予定でした。
  マネジメント会社によりますと、大坂選手はアメリカのウィスコンシン州で黒人の男性が警察官に背後から撃たれたことへの抗議として大会のボイコットを決め、準決勝を棄権するということです。
  大坂選手は自身のツイッターで「私はアスリートである前に1人の黒人女性です。黒人女性として、テニスよりも、もっと大事な問題があります。棄権することで劇的に何かが変わることを期待してはいませんが、白人が主流の競技で議論を始めるきっかけにできれば、正しい方向に進むための第一歩になると思っています。警察官の手で黒人が虐殺され続けているのを見ると本当に胸が痛くなります。何度も何度も同じ話題を扱うことに疲れ切っています。いつになったら終わるのでしょう」とコメントしています。
  一方、大坂選手が棄権すると表明した大会は、27日に予定されていたすべての試合の休止が決まりました。
  大会のホームページで主催者は「アメリカで再び表面化した人種差別や社会的な不公平に一丸となって反対する立場を取る」とコメントしています。
  同じ会場で開かれている男子のツアー大会も同様に試合を見合わせるということです。男女ともに翌日の28日から試合を再開するとしています。
NBAバックス 抗議で試合ボイコット
  人種差別への抗議活動が全米で広がりを見せる中、NBA=アメリカプロバスケットボールでは、銃撃が起きたウィスコンシン州に本拠地を置くバックスが、事件に抗議して26日の試合をボイコットし、予定されていたプレーオフ3試合の中止が決まりました。
  NBAと選手会は26日、この日予定されていたプレーオフの3試合を中止すると発表し、改めてスケジュールを組み直すことを決めました。
  銃撃が起きたウィスコンシン州に本拠地を置くバックスが、事件に抗議してこの日の試合のボイコットを決めたため、すべての試合の中止に踏み切った形です。
  バックスは今シーズン、リーグ最高勝率をマークしている強豪で、事件を受けてバックスのマイク・ブーデンホルザーヘッドコーチは、チームの公式ツイッターで「過度な力を使う警察や社会や人種の正義のために戦い続けたい」と動画のメッセージを発信しました。


2020.8.25-NHK NEWS WEB-https://www3.nhk.or.jp/news/html/20200825/k10012582571000.html
米 警察官 背後から黒人男性を銃撃 現地では抗議デモ

  アメリカ中西部ウィスコンシン州で、黒人の男性が警察官に背後から複数回にわたって銃撃され重体となっていることを受け、現地では夜間外出禁止令が出された24日も抗議デモが行われ、緊張が高まっています。
  ウィスコンシン州政府によりますと、州南部のケノーシャで23日、黒人男性のジェイコブ・ブレークさんが、警察官に背後から至近距離で、7回にわたって銃で撃たれて重体となっています。
  ブレークさんが撃たれた時のものとされる映像では、車に乗り込もうとした黒人男性に後ろから近づいた警察官が、男性の服を引っ張ったあと銃を発砲する様子が写っていて、複数のメディアによりますと、当時、車にはブレークさんの3人の子どもも乗っていたということです。
  現地では地元住民などによる抗議デモが起き、当局は州兵を招集したうえで、夜間外出禁止令を出しましたが、24日の夜もデモが行われ、参加者の一部が車に火をつけたりしたのに対し、警察が催涙弾を使うなど緊張が高まっています。
  入院しているブレークさんに面会したおじは「おいは手術を受けて回復している」としたうえで、「抗議活動には感謝するが、平和的に行ってほしい。私たちが求めているのは正義だ」と呼びかけました。
  アメリカではことし5月、黒人男性が白人の警察官に首を押さえつけられて死亡した事件をきっかけに、人種差別に抗議する声が高まる中、今回の銃撃に対する抗議デモは各地に広がっていて、さらなる混乱が懸念されます。


2020.7.21-産経新聞 THE SANKEI NEWS WEB-https://www.sankei.com/world/news/200721/wor2007210016-n1.html
差別撤廃求め大規模スト 米、黒人暴行死事件機に

  米中西部ミネソタ州の黒人男性暴行死事件を受けて反差別の機運が高まる米国の各地で20日、人種差別撤廃や経済格差の是正を求める大規模なストライキが実施された。医療関係者や食料品店の従業員らエッセンシャルワーカーが多数参加し、待遇改善を訴えるデモも行った。
  米メディアによると、ストは労働組合や市民団体が共同で企画。東部ニューヨークや中西部デトロイト、西部サンフランシスコなど約160都市で実施された。
  新型コロナウイルス対応で最前線に立つエッセンシャルワーカーは、黒人やヒスパニック(中南米系)など非白人の割合が高い。スト参加者は、職場では白人が優遇されていると訴え、差別撤廃とともに最低賃金の引き上げや医療保障の充実を求めた。(共同)


2020.6.27-産経新聞 THE SANKEI NEWS WEB-https://www.sankei.com/world/news/200627/wor2006270012-n1.html
トランプ氏、銅像引き倒しに厳罰の大統領令 司法省は過激派対策の専門チーム設立

  【ワシントン=黒瀬悦成】トランプ米大統領は26日、白人警官による黒人暴行死事件への抗議として全米各地にある歴史的な像や記念碑が次々と引き倒されている問題で、実行犯に厳罰を科すことなどをうたった大統領令に署名した。
   大統領令は、歴史的な記念碑や銅像、政府の施設を破壊した者に対し、現行法が定める枠内で厳しく処断する方針を示したほか、一連の破壊行為を防止できなかった州政府や自治体、市警などの法執行機関に対する連邦政府の補助金を停止するとした。
   記念碑や像の引き倒しをめぐっては、奴隷制を支持した南部連合政府に連なる人物だけでなく、南北戦争で北軍総司令官を務めたグラント元大統領についても、過去に奴隷を所有した記録があるとして像が引き倒されるなど、対象が拡大し続けている。
   一方、バー司法長官は26日、抗議デモの裏で極左や極右の過激勢力が暴力行為を扇動しているとの認識に立ち、司法省内に反政府過激派対策の専門チームを設置するよう指示した。
   対策チームは特に、無政府主義を奉じる極左勢力「アンティーファ(ANTIFA)」と、米国で内戦を起こすことを画策しているとされる極右運動「ブーガルー」を重点対象に、動向を監視し当局間の情報共有を進めるとしている。
   レイ連邦捜査局(FBI)長官はFOXニュースの番組で、略奪や破壊行為は「違法であり、阻止しなくてはならない」と明言した上で、一連の暴動で破壊行為に加担した数百人に対する刑事捜査を進めていることを明らかにした。


2020.6.25-Yahoo!!Japanニュース(産経新聞)-https://news.yahoo.co.jp/articles/7ccaf61144d7cb8a480c92ee1d339e7054b41640
黒人男性暴行死事件から1カ月 最大規模の抗議デモで変革も スポーツ、ファッション、企業 

  【ニューヨーク=上塚真由】米中西部ミネソタ州で黒人男性、ジョージ・フロイドさん=当時(46)=が白人警官に首を膝で圧迫され、死亡した事件から25日で1カ月となる。黒人差別や警察の暴力を訴える抗議デモは「範囲、期間ともに数十年間で最大規模(米メディア)となり、企業やスポーツなど幅広い分野に社会変革を迫った。
   米メディアによると、抗議デモはこれまでに全50州で実施された。6月中旬の米FOXニュースの調査によると、18%が「自身、もしくは家族が抗議デモに参加した」と回答し、現在も各地で抗議デモは続く
   多くは警察との激しい衝突後に平和的なデモに移行したが、西部ワシントン州シアトルでは8日、警察改革を求めるデモ隊が警察署周辺を「自治区」として占拠。域内では20日以降、発砲事件が相次ぎ、1人が死亡するなどして緊迫感が高まっている。
   抗議は企業活動にも向けられ、食品大手のペプシコは17日、黒人女性のイラストを起用した歴史ある食品ブランド「アント・ジェミマ(ジェミマおばさん)」の名称と商品デザインを「人種的な固定観念(ステレオタイプ)」に基づくと認め、変更すると発表。同社は黒人社会の支援のため、5年間で500万ドル(約5億3千万円)を寄付する方針も明らかにした。
   スポーツ界では米プロフットボールNFLのコミッショナーが5日、人種差別に抗議してきた選手を支持しなかったことを謝罪した。また、白人ファンが大半の自動車レース「NASCAR」も10日、南北戦争で奴隷制度を擁護した南軍の「南軍旗」を会場内で掲げることを禁止した。
   米メディアによると、ファッション業界でも、米誌「ヴォーグ」の編集長で業界大物のアナ・ウィンター氏が、黒人の従業員の雇用やデザイナーの起用が少なすぎたと認め、「不寛容」な行為が横行していたと謝罪。メディア界では黒人従業員が不当な扱いを受けたとの告発が相次いでいる。
   警官の行き過ぎた取り締まりに批判が高まり、各地で警官の懲戒処分も急増。南部ジョージア州では2月にジョギング中の黒人男性が射殺された事件をめぐり、今月24日、白人の男3人が殺人罪などで起訴された。被告の1人は、黒人男性を近所で相次いだ不法侵入事件の容疑者と思ったと供述。起訴を受け、担当検事は「地域社会の正義を見いだすため、大きな一歩となる」と述べた。


2020.6.18-産経新聞 THE SANKEI NEWS WEB-https://www.sankei.com/world/news/200618/wor2006180008-n1.html
アトランタの黒人男性射殺 白人警官を訴追

  【ニューヨーク=上塚真由】米南部ジョージア州アトランタで黒人男性、レイシャード・ブルックスさん(27)が白人警官に射殺された事件で、地元捜査当局は17日、免職となった元警官、ギャレット・ロルフ容疑者(27)を殺人などの容疑で訴追した。
  事件は12日夜にハンバーガー店のドライブスルーエリアで発生した。飲酒運転の疑いで警官2人が拘束しようとした際、ブルックスさんが抵抗。警官が所持していたスタンガンの一種「テーザー銃」を奪って走りながら警官に向けて放ったところ、ロルフ容疑者から銃弾2発を受けて死亡した。
  地元郡検察のハワード検事は記者会見で、「ブルックスさんが射殺された時点で、彼は警官を死なせたり、重症を負わせたりするような差し迫った脅威となっていなかった」と説明。ロルフ容疑者の発砲には正当な理由がなかったと結論付けた。
  米国では5月下旬、中西部ミネソタ州で白人警官による黒人男性暴行死事件が起き、全米で抗議活動が拡大。そうした中、アトランタで射殺事件が起き、地元警察署長が引責辞任する事態にも発展した。


2020.6.15-Yahoo!!Japanニュース(産経新聞)-https://news.yahoo.co.jp/articles/8e283bc7f4b8e1155510212f8583ead6b1263f6d
カナダでは先住民男性への暴行で警察批判 首相「衝撃的」

  【ニューヨーク=上塚真由】カナダ西部アルバータ州で3月、警官が先住民の男性を取り押さえる際に殴打する様子をとらえた動画が報じられ、批判が高まっている。
  トルドー首相は12日、「衝撃的だ。多くの人と同じく、私も何が起きたのかについて重要な疑問がある」と述べ、警察の対応について透明性のある調査が必要だとの認識を示した。
   カナダメディアによると、動画は3月10日未明に警察車両のドライブレコーダーで撮影された。
   車両登録の期限が切れた車に乗っていた先住民の夫婦を取り調べた際、夫に対して、警官が飛び掛かって地面に突き出し、顔を激しく殴打して拘束する様子が映っている。今月に入って動画が公開され、警察の対応に批判が高まった。
   カナダで先住民は人口の5%に満たないが、刑務所に収容されている人の割合では30%を超えている。
   米国で人種差別の抗議デモが広がる中、カナダでも、先住民や黒人が警察に差別的な扱いを受けているとして、抗議デモが活発化している。


2020.6.15-CNN-https://www.cnn.co.jp/usa/35155272.html
警官による黒人男性射殺、地方検事が「不合理」と批判 米

  アトランタ(CNN) 米ジョージア州アトランタの警官が拘束に抵抗した黒人男性を射殺した事件について、地元フルトン郡のハワード検事は14日、男性が死ぬような事態に発展したのは不合理だと述べた。
  死亡したレイシャード・ブルックスさん(27)は12日、飲酒運転の疑いで拘束しようとした警官に抵抗し、警官の銃で撃たれて死亡した
  ハワード氏はCNNとのインタビューで、ブルックスさんは当時だれにも脅威を及ぼしていなかったとの見解を示し、「人が死ぬようなやり取りだったとは思えない」と述べた。

  警官が自身や周囲を差し迫った危険から守るという以外の理由でブルックスさんを撃ったとすれば、法の下で正当化される行為ではないとも指摘した。
  同氏によると、ブルックスさんの遺体は14日に司法解剖された。捜査当局はさらに目撃談や現場映像などの情報収集を進めている。
  警官の起訴をめぐる決定は17日ごろに下される見通しで、罪状は殺人や過失致死の可能性が考えられるという。
  発砲した警官はすでに解雇され、市警察のトップが辞任。現場で関与したもう1人の警官は管理部門に移された。
  米国では先月から黒人男性が警官の暴力で死亡した事件への抗議運動が広がり、アトランタでもデモが起きていた。
  その中で起きた今回の事件に、市民から怒りの声が上がっている。13日夜には現場のファストフード店が放火され、周辺の地区では14日未明にかけて大規模な抗議デモが発生。アトランタ警察の報道担当者によると、少なくとも36人が拘束された。


2020.6.13-LiveDoor-https://news.livedoor.com/article/detail/18410286/
仏警察労組、「反発」のデモ 内相発言にも抗議

  【パリ共同】全米に広がった黒人暴行死への抗議の動きに触発され、フランス各地で国内の警察の暴力や人種差別を非難するデモが相次ぐ中、反発した警察労組が12日、パリのシャンゼリゼ通りなど各地でデモを行った。警察を管轄するカスタネール内相が「人種差別の明確な疑い」があれば処分すると述べたことなどに怒りを示した。
  パリのデモ隊は「警察がなければ、平穏はない」と書かれた横断幕を広げ、凱旋門からシャンゼリゼ通りを通って、内務省のある広場まで行進した。フランスのメディアによると、各地では手錠を投げ捨てるなどして抗議の意思を示した。


2020.6.11-産経新聞 THE SANKEI NEWS WEB-https://special.sankei.com/a/international/article/20200611/0002.html
米抗議デモ、フランスに波及 焦点となった4年前の事件

  【パリ=三井美奈】米国の白人警官による黒人暴行死事件を機に、フランスでも人種差別への抗議デモが広がっている。4年前にパリ郊外で警察に拘束された黒人青年が死亡した事件に再び焦点が当たったため。仏政府は過去に繰り返された人種問題の再燃を警戒し、沈静化に懸命となっている。
   フランスのデモは1日、パリの米大使館前で100人前後がひざまずき、米国で死亡した黒人男性への連帯の意味を込めて息ができないと書いた紙を掲げて抗議したのが始まり。2日には、4年前の仏での事件で青年の死因をめぐる報告書が出たのを受け、パリの裁判所前で約2万人が警察への抗議集会を開いた。青年の姉が「米国で起きていることと、フランスでの事件はつながっている」と主張。デモ隊が投石し、警察が催涙弾を発射する事態になった。
   4年前の事件では、アフリカ・マリ系の移民2世の当時24歳の青年が警察に身分証明書の提示を求められて逃走。地面に押し付けられて拘束され、連行中に意識を失い、死亡が確認された。司法当局は、青年の死因は心不全で胸部圧迫によるものではないと判断し、警察の責任は不問にされた。遺族は不当な判断と抗議してきた。
   人種差別や警察に抗議するデモは北部リールや南部マルセイユでも断続的に続いており、パリでは今週末、再び実施が呼びかけられている。


2020.6.6-福井新聞 HUKUISHINBUN ONLINE-https://www.fukuishimbun.co.jp/articles/-/1099976
米FB、トランプ選対の映像削除インスタも、著作権侵害を理由に

 【ニューヨーク共同】米政治サイト・ポリティコによると、米交流サイト大手フェイスブック(FB)と傘下の写真共有アプリ、インスタグラムは5日、トランプ大統領の選対本部が投稿した黒人男性暴行死事件に関する映像について、著作権侵害を理由に削除した。前日に削除した米短文投稿サイトのツイッターに追随した
 トランプ氏は5日、ツイッターへの投稿で「ツイッターがトランプ陣営の映像を削除した。民主党の急進左翼のためにやっている。違法だ」と批判した。これに対し、ツイッターのドーシー最高経営責任者(CEO)は「真実ではないし、違法ではない」と反論した。


2020.6.4-BBC News Japan-https://www.bbc.com/japanese/52916375
米黒人フロイドさん暴行死、元警官4人を起訴 より重い訴因も

米ミネソタ州ミネアポリスでアフリカ系のジョージ・フロイドさん(46)が死亡した事件で、ミネソタ州司法当局は3日、現場にいた警察官4人(全員懲戒免職)に対する新たな起訴内容を発表した。
  裁判書類によると、元警官デレク・チョーヴィン被告の起訴内容に、これまでよりも重い第2級殺人罪が加えられた
  同被告については、フロイドさんの首を膝で押さえ付けていた映像が残されており、第3級殺人罪と第2級故殺罪で起訴されていた。これらの訴因はそのまま維持される。
  ミネソタ州法では、第3級殺人罪は殺意の証明が不要だが、第2級と第1級殺人罪では必要となる。第1級殺人罪は多くの場合、計画的犯行だったことを示す必要がある。
  第2級殺人罪の最も重い刑は禁錮40年で、第3級殺人罪より15年長い。
  一方、これまで訴追されていなかった他の3人の元警官は、第2級殺人ほう助罪および第2級故殺ほう助罪で起訴された。
  3人はトーマス・レイン被告、J・アレクサンダー・クング被告、トウ・サオ被告。
  フロイドさんの死は全米で、人種差別と警察が黒人を死に追いやることへの大規模な抗議行動のきっかけとなった。
  8日間続いているデモのほとんどは平和的だが、一部は暴力的になり、多くの都市が夜間外出禁止令を出している。
「有罪を勝ち取るのは困難だろう」
  新たな起訴を発表したミネソタ州のキース・エリソン司法長官は、正義を求める考えを表明。元警官を訴追し有罪にするのは困難との見方にはとらわれていないと述べた。
  「有罪判決を勝ち取るのは難しいだろう。困難が待ち受けているのは歴史が示している
  ミネソタ州で現職の警官が民間人を殺したとして有罪となった事案は、これまで1件しかない。
  エリソン氏は、社会全般で正義を実現するのは時間のかかる困難な作業だと述べた。しかし、フロイドさんの事件の完結を待たずに開始されるべきだとした。
  「公正な社会のルールを書き直さなくてはならない」
遺族側は第1級殺人罪を主張
  この発表を受け、フロイドさんの遺族側弁護士のベンジャミン・クランプ氏は、「正義の実現に向けた大きな一歩だ。ジョージ・フロイドの遺体が埋葬される前にこの重要な行動が取られたことを、私たちはうれしく思う」との声明を出した。
   クランプ氏はその後、CNNの取材に対し、遺族はチョーヴィン被告の訴因について第1級殺人罪であるべきだと考えていると述べた。また、捜査は継続中で、起訴内容がさらに変更される可能性があると聞いていると話した。
  一方、人権活動家のアル・シャープトン師は記者会見で、連邦レベルでの法整備がなければ、警察から市民を守ることはできないと訴えた。
  ミネソタ州選出のエイミー・クロブシャー上院議員(民主党)は、ツイッターで元警官たちに対する新たな起訴を説明。「正義に向けたさらなる重要な一歩だ」と述べた。
  フロイドさんの事件を受けた抗議行動は、米国各地の都市と、他国にも広がっている。
  3日にはオーストラリア、フランス、オランダ、イギリスでデモが起きた。イギリスではロンドン中心部で大規模な抗議行動が開かれた。



2020.6.4-朝日新聞 DIGITAL-https://www.asahi.com/articles/DA3S14500656.html
(社説)米の抗議運動 不公正の根源、直視を

歴史と社会の構造に根ざす問題が噴出するとき、政府が心すべきは謙抑的な対応
である。力による封じ込めは、およそ民主主義国と呼べる道ではない。
  米ミネソタ州で白人警官が黒人男性に暴行して死なせた事件を機に、全米の都市でデモが起きている。60年代のキング牧師暗殺以来の事態だという。
  一部が暴徒化したことを受けてトランプ大統領は「国内テロだ」と非難した。連邦政府として米軍の投入も辞さない強硬姿勢を示している。
  暴力や略奪は決して容認されない。治安の回復は必要だが、一方でほとんどのデモは平和的なものだ。人々の憤りの根源を直視せず、抑止だけを強調するのは多くの善良な国民を敵視し、分断を助長する行為でしかない。
  米政府と議会は抗議に耳を傾け、なぜこうした事件が繰り返されるのか、何を改革すべきかを語るべきだ。国民に武力をふるう暴挙に出てはならない。
  背景にある人種差別の根は深い。米国では大戦後も、南部諸州を中心に差別が公然と制度化されていた。50~60年代の公民権運動が弾圧にくじけず、法的差別の撤廃を勝ち取った。
  しかし不平等は今も厳然とある。全米有色人地位向上協会によると、黒人の投獄率は白人の5倍に及ぶ。その一方で求職活動では、犯罪歴のある白人男性の方が、犯罪歴のない黒人男性よりも面接を受けられるチャンスが大きいという。
  コロナ禍により米国では10万人超が亡くなったが、そのうち黒人の比率は人口比より突出して高い。積年の差別をコロナ禍が顕在化させ、そこに事件が着火したのだろう。
  黒人の命を守れ、との掛け声をデモは続けるが、参加者は人種や世代を越えている。警官が共感を示す動きも各地で伝えられ、死亡した被害男性の弟は平和的な行動を呼びかけた。
  トランプ氏のように社会の断層に乗じるポピュリズムが目立つ一方で、連帯を志向する新たな市民意識の熟成も進む。その相反する潮流の相克のなかに、悩める米国社会がある。
  「今このときを真のチェンジへの節目とするには」との論文で、オバマ前大統領が若者に呼びかけている。街頭で声を上げよう、そして地元の選挙の際に投票に行こう。抗議と政治参加の両輪がそろってこそ変革は成しうるものだ、と。
  この米国の運動に、欧州や豪州、アフリカなどでも同調する動きが出ている。経済格差であれ、移民問題であれ、公正さを求める若者らが瞬く間に共鳴し合っているとすれば、それもグローバル化時代の断面だろう。


2020.6.3-NHK NEWS WEB-https://www3.nhk.or.jp/news/html/20200603/k10012455991000.html
米 抗議デモ拡大 暴徒化し破壊や略奪も NYは夜間外出禁止延長

  アメリカで黒人男性の死亡事件を受けた抗議活動が拡大するなか、平和的なデモの一方で、夜間になると破壊や略奪、そして暴徒化した人たちが警官隊と衝突する事態も相次いでいて、社会不安が広がっています。
  アメリカでは中西部ミネソタ州で白人の警察官に押さえつけられた黒人男性が死亡した事件から8日目となった2日も各地で抗議活動が続いています
  ニューヨーク市では中心部のマンハッタンに大勢の人が集まって亡くなった男性の死を悼むメッセージを掲げたり、「黒人の命を守れ」などと訴えて行進しました。しかし平和的なデモの一方で、ニューヨークでは1日夜から2日未明にかけても商店が破壊されたり商品が略奪されたりし、老舗の百貨店などでも被害が確認されました。
  さらに暴徒化した人たちが警官隊と衝突する事態も各地で相次いでいて、AP通信はこれまでに9人が死亡し、5600人が逮捕されたと伝え、社会不安が広がっています。
  これを受けて当局が取締りを強化していて、ニューヨーク市のデブラシオ市長は2日、夜間外出禁止令の延長を発表し、首都ワシントンでは警戒にあたる州兵を1300人から2800人に増強する方針が示されました。
  こうした中、トランプ大統領は2日、ツイッターに「昨夜のワシントンは問題なかった。大勢を拘束して見事だ。圧倒的な力で制圧した」と投稿し、混乱の制圧と治安の維持を強調しました。これに対しニューヨーク州のクオモ知事は2日、「大統領は略奪の話ばかりして、亡くなった黒人男性について語らない。政治的な情報操作だ」と述べて人種差別から治安の問題に焦点をずらそうとしていると指摘し、トランプ大統領の言動への批判も強まっています。
ニューヨーク市 外出禁止令を延長
  ニューヨーク市では1日夜から2日未明にかけても一部の参加者が警官隊と衝突したほか、建物の破壊、店舗での略奪も相次ぎました。
  マンハッタン中心部にある老舗デパートでは2日、防犯対策のためショーウインドーを覆っていた木の板が壊され、大通りの広い範囲にわたってガラスが割られていて、店の関係者はガラスを片づけたり、新たに木の板でふさいだりしていました。
  デブラシオ市長は2日の記者会見で、ほとんどは平和的な抗議活動だったとしながらも「警察官への暴力はわれわれ市民への暴力だ。こうした行為をする者は抗議者ではなく犯罪者だ。決して許容できない」と厳しく批判しました。そして「このつらい時期は数日続くだろう」として、1日に出した夜間の外出禁止令を7日まで延長すると発表しました。
  ニューヨーク市は今月8日に一部の経済活動を再開する見通しで、デブラシオ市長は「人種差別をめぐる困難な状況を克服し、8日に経済活動を再開できるよう引き続く努力していく」と述べました。
ワシントンは州兵増強し警戒強化
  国防総省で州兵を統括するレンゲル州兵総局長は2日の電話会見で、現在、全米の29の州と首都ワシントンで合わせて1万8000人の州兵が警備などにあたっていると明らかにしました。
  レンゲル総局長によりますと、1日のデモではこれまでの抗議デモに比べて暴力的な活動は減った一方で、デモの規模はさらに大きくなる兆候があるということです。このため現在、1300人の州兵を配備している首都ワシントンについて、周辺の州から応援をもらい、2800人に増強するなど警戒を強化する方針だということです。
  一方、国防総省の高官によりますと、連邦政府の指揮下にある憲兵隊などの部隊はワシントン近郊の基地で待機を続けているということです。ただアメリカ国内に連邦軍の部隊を派遣することには野党・民主党の州知事の間などから反対の声があがっており、別の国防総省高官は2日、記者団に対し「今回の任務を遂行するには州兵が好ましい」と述べて、連邦軍の派遣は避けたいという考えを示しました。


2020.6.2-東京新聞 TOKYO WEB-https://www.tokyo-np.co.jp/article/32688
荒れる米国 トランプ氏の責任重い

  警察の暴力への抗議行動が全米で荒れ狂っている。トランプ大統領は国民に平静さを取り戻すよう呼び掛けるところなのに、逆にあおるような発言をしている。その責任は重い。
  路上に伏せさせられた黒人男性の首を白人警察官がひざで押さえ付ける。男性は「息ができない」と訴えるものの、警官は聞き入れない−。
  中西部ミネソタ州で男性が死亡したこの事件の映像が流れるや、抗議デモが全米に広がった。一部が暴徒化して略奪や放火も相次いでいる。
  二〇一四年に丸腰の黒人青年が警官に射殺されたファーガソン事件」を契機に、米司法当局は警官にボディーカメラを装着させるなどの対策を進めたが、警官の暴走は後を絶たない。
  ただ、今回の抗議活動の規模は、公民権運動の指導者だったマーチン・ルーサー・キング牧師が暗殺された一九六八年以来とも評される。新型コロナウイルスの感染拡大で広がる社会不安。人々の怒りが沸騰する下地が出来上がっていたのだろう。
  コロナ禍は低所得者の多い黒人やヒスパニック(中南米系)住民に対し、より深刻な被害をもたらす。感染率や死亡率は白人に比べると目立って高く、人種間格差を浮き彫りにした。
  しかも雇用情勢は極度に悪化し、失業保険の申請件数は四千万件を超えた。
  今回の事態にトランプ氏は民主党の知事や市長の対応を手ぬるいとして、連邦政府の軍投入も辞さない姿勢を見せた。
  暴徒には「略奪が始まれば発砲が始まる」とツイートした。これは六〇年代に人種差別的な白人警察幹部が、黒人社会取り締まりに臨む姿勢を語ったのと同じ表現だ。事態の沈静化を図るどころか、暴動を挑発していると批判されてもしかたのない発言である。
  多民族社会の米国では、大統領は人種間の融和と協調を説くべきだが、逆に分断をあおるのがトランプ流だ。白人労働者層を中核とする支持層受けするとみなしているのだろう。
  南部ジョージア州の州都アトランタはキング牧師の生誕地である。黒人女性のボトムズ市長は「これは抗議行動ではない。キング牧師の精神にも反する。単なる暴動だ」と述べ、デモ参加者に帰宅を促した。よほど指導者にふさわしい振る舞いである。


2020.6.1-BBC News Japan-https://www.bbc.com/japanese/52872946
米黒人男性の死は「計画的殺人」 遺族の弁護士が主張

  アメリカでジョージ・フロイドさん(46)の死亡をきっかけに各地で発生した騒乱は31日も続き、フロイドさんの遺族側弁護士は警察官による「計画的殺人」だと非難した。
  ミネソタ州ミネアポリスの警察官だったデレック・チョーヴィン被告(44)は第3級殺人罪で起訴されている。しかし、遺族の弁護士ベンジャミン・クランプ氏は米CBSニュースに、第1級殺人罪が相当だと述べた。
  「殺意があったと考えている(中略)9分近く、息ができない、息をさせてくれと懇願する男性の首を膝で押さえ続けたのだから」。クランプ弁護士は、「フロイドさんが意識を失った後も3分近く、チョーヴィン警官は彼の首を膝で押さえていた。それがなぜ第1級殺人ではないのか。なぜ関わった警官全員が逮捕されないのか」と述べた。
  事件に関与した他の警官3人も懲戒免職となっている。クランプ弁護士はCBSのインタビューで、「警官が身に着けていたカメラの音声があり、警官の1人が『脈がない、横向きにしたほうがいいかもしれない』と言ったが、チョーヴィン警官は『いや、このままにしておく』と答えていた。これは故意だ」と述べた。クランプ氏はまた、チョーヴィン被告とフロイドさんは今回の事件の前から互いに面識があったと話した。
  フロイドさんの家族は、「フロイドさんが警備員だったクラブの所有者から、デレック・チョーヴィンも勤務時間外に警備に当たっていたと聞いており、2人は重なっていたことになる」と、クランプ氏は述べた。

「法と秩序を」と大統領
  今回の事件を受けて全米各地で発生した抗議デモは一部で暴力沙汰に発展し、フィラデルフィアでは略奪が起きたと報じられている。同市の2つのテレビ局が31日に放送した映像では、若者が警察車両を破壊し、少なくとも1カ所の商店から略奪している。
  チャック・マクデイド記者は、「フィラデルフィアで略奪が続いている」とツイート。大勢がドラッグストアや衣料品店になだれ込んでいる様子を撮影した、ヘリコプターからの映像を投稿した。
  地元紙フィラデルフィア・インクワイアラーは、ウエスト・フィラデルフィアで起きた騒乱でも何台かの警察車両に火がつけられたと伝えた。夜間外出禁止令を出している都市もある。
  ドナルド・トランプ大統領は、「フィラデルフィアに法と秩序を、今すぐに! 商店が略奪されている。我々の偉大な州兵を出動させろ」とツイートした。抗議の動きは米国外にも広がっている。ロンドン中心部では31日、反人種差別の抗議デモ行進があり、数千人が参加した。新型コロナウイルス対策として社会的距離の確保に関する命令が出ているが、無視した。参加者らは市内中心部のトラファルガー広場に集まり、アメリカ大使館へとデモ行進した。
繰り返される黒人殺害
  アメリカでは以前から、黒人に対する警察暴力、特に職務質問中の警官が黒人を殺害する事件が続いており、フロイドさんの事件を機に、米国中で怒りが再燃した。
  ミズーリ州ファーガソンのマイケル・ブラウンさん、ニューヨークのエリック・ガーナーさんなど、各地で相次ぎ黒人が犠牲になる事件を機に、「黒人の命は大切」(Black Lives Matter)運動が繰り返し展開されてきた。
  今回、フロイドさんが死亡したミネアポリスでは黒人住民と警察が長年の緊張関係にある。
  1)2016年7月には、自動車の後部ライトが壊れていたため警察に呼び止められた黒人男性フィランド・カスティールさん(32)が、警官に撃たれて死亡している。
  2)また、この前日には南部ルイジアナ州で黒人男性が警察に射殺されていた。
  3)また1ヵ月後の8月半ばには、中西部ウィスコンシン州で黒人男性が警察に射殺され、
  4)続く同年9月下旬には南部ノースカロライナ州でも黒人男性が警察に射殺された、激しい抗議が市内で起きた。・・・・・
今回の事件を撮影した動画では、チョーヴィン被告は8分以上にわたり、息ができないと訴えるフロイドさんの首を膝で押さえつけていた。
フロイドさんの死をめぐる大勢の怒りは、社会経済的な格差や差別に対する積年の不満を反映している。ミネアポリスではそれがとりわけ大きい。
  同市や隣町セントポールでは、5夜連続で放火や略奪が続いている。ミネソタ州のティム・ウォルツ知事は30日、第2次世界大戦以降初めて、全州兵を出動させると表明した。ウォルツ氏は、同州の人種差別がフロイドさんの死の下地をつくったと述べた。
  国防総省の州兵総局は31日、15州と首都ワシントンで計5000人の州兵が動員されたと発表。「州と地元自治体の司法当局が引き続き治安維持に当たる」と付け加えた。州兵は連邦政府軍の予備役で、国内の緊急事態にも対応する。
抗議行動の状況は?
  全米各地の少なくとも30都市で大規模な抗議デモが起きている。土曜日の30日の日中はおおむね穏やかだったが、夜になって暴動へと過激化した。
  ミネアポリスやロサンゼルスのほか、アトランタ、シカゴ、デンヴァー、ルイヴィル、リッチモンド、サンフランシスコ、シアトルでも夜間外出禁止令が発令された。
  ロサンゼルスでは暴動が拡大。メルローズやフェアファクスなど有名な通りに並ぶ商店を含め、数多くの店が略奪に遭っている。火災も発生しており、警官隊はゴム弾を発射したり、警棒で抗議者らをたたいたりした。
  カリフォルニア州のギャヴィン・ニューサム知事は、同市を対象に緊急事態宣言を発令し、州兵を出動させた。ニューヨーク市では、警察が1晩に約350人を逮捕した。数十人の警官が軽傷を負った。ロイター通信によると、ソルトレークシティで抗議者らを弓矢で狙った男が、群衆に袋だたきにされた。

「差別主義者は少数派」
  ロバート・オブライエン大統領補佐官(国家安全保障問題担当)はCNNに、「(警察に)組織的な人種差別があるとは思わない」と述べた。
  また、「人種差別主義の警官はいるが少数派だと思う。ろくでもない少数派であり、一掃しなくてはならない」と話した。
  トランプ氏は30日夕、フロイドさんが亡くなったことについて、「多くのアメリカ人が恐れと怒りと悲しみでいっぱいになった」と述べた。トランプ氏はまた、「略奪者と無政府主義者」の行為はフロイドさんの名誉を汚していると非難。必要なのは「憎しみではなく癒し、混乱ではなく正義だ」と述べ、「暴れる暴徒が事態を支配するなど許さない。そうはさせない」と強調した。
  BBCのアンソニー・ザーカー北米担当記者は、トランプ氏が国民の連帯と癒しを呼びかけていることについて、同氏がふだんからツイッターで政敵をあざ笑うあだなをつけてののしったり、敵意をむき出しにしたりしてきただけに、今になって連帯を呼びかけても、その言葉の説得力は薄れていると指摘した。ザーカー記者はさらに、新型コロナウイルス流行による経済的、社会的な大打撃が、フロイドさんの死をきっかけに暴動が発生した政治的な状況をつくったと説明。トランプ氏は今回の暴動をあおっていないとしても、抑え込むのは難しいかもしれないとした。


2020.5.31-産経新聞 THE SANKEI NEWS WEB-https://www.sankei.com/world/news/200531/wor2005310013-n1.html
米抗議デモ、50都市以上に拡大 黒人暴行死 14州以上が州兵動員

  【ニューヨーク=上塚真由】米中西部ミネソタ州ミネアポリス市近郊で25日、黒人男性、ジョージ・フロイドさん(46)が拘束時に白人警官から暴行を受け、後に死亡した事件で、警察に対する抗議デモは31日までに全米約50カ所の都市に波及した。デモ隊の一部は車や建物を放火し、主要道路を占拠するなど暴徒化。また2都市で死者が2人出るなどし、緊迫した状態が続いている。
  ミネソタ州のワルツ知事は30日朝、「秩序を回復する必要がある」と述べ、第二次世界大戦以降で初めてとなる1万人超の州兵を総動員する考えを表明。同日夜までに4千人以上がミネアポリスなどで配置に就いた。州兵を動員したのは準備段階も含め14州以上で、25以上の都市が夜間外出禁止令を出した。
 トランプ大統領は30日、記者団に対し「もし軍隊の派遣を望むのであれば、準備ができている」と述べ、連邦政府も軍の派遣を用意しているとした。
  米メディアによると、西部カリフォルニア州オークランドのデモ会場近くで29日夜、連邦政府の建物の警備担当者2人が銃で撃たれ、1人が死亡。中西部ミシガン州デトロイトでも同日夜、デモ隊に向けて何者かが発砲し、被弾した19歳の男性が死亡した。
  ミネソタ州の州幹部によると、29日夜のデモには数万人が参加。30日も各地で大規模なデモがあり、南部アトランタ、東部フィラデルフィア、中西部シカゴ、西部ロサンゼルスなどではデモ隊が警察車両を燃やしたり、主要道路を占拠したりした。
  黒人の居住者が多いニューヨークのハーレム地区で30日午後に行われたデモには約1千人が参加し、「人種差別を治すワクチンはこの国には存在しない」などと怒りの声を挙げた。


2020.5.30-BBC NEWS JAPAN-https://www.bbc.com/japanese/52857939
米CNN記者が生中継中に逮捕、黒人男性死亡の抗議デモ取材

  米ミネソタ州ミネアポリスで29日、黒人男性が白人警官に首を圧迫され死亡したことに抗議するデモで、米CNNの記者ら3人が生中継中に逮捕される出来事があった。
  CNNのオマー・ヒメネス記者は、抗議デモの様子を生中継で伝えていたところ、警察に手錠をかけられ連行された。同じく取材にあたっていたカメラマン1人とプロデューサー1人も逮捕された。警察が場所を移動するよう求めた際に動かなかったことが理由とみられる。
  その後3人は釈放された。ミネソタ州のティム・ウォルツ知事は、この出来事は「容認できない」として謝罪した。CNNは憲法違反だと主張した。
何があったのか
  ミネアポリスでは25日、黒人男性ジョージ・フロイドさん(46)が警察に拘束された際、首を膝で押さえ付けられた
  フロイドさんがうめき声を上げ、「息ができない」と白人警官(29日に殺人罪で起訴)に繰り返し訴える様子が動画に撮影されていた。フロイドさんはその後、死亡した。
  この事件を受けて、市内では暴力的な抗議デモが続いた。CNNのヒメネス記者はデモ3日目の様子を現場で取材。デモ参加者に放火されて焼け落ちた警察署があるエリアで、1人が逮捕される様子を生中継で伝えた。
  すると警察は取材クルーに近づき、場所を移動するよう指示した。中継映像では、ヒメネス氏が自分はCNNのジャーナリストだと身元を明かし、「あなたたちが指示する場所に移動しますから。今は生放送中なので」と伝えているのが確認できる。

  重装備の警官が「逮捕する」と言い、ヒメネス氏は手錠をかけられ連行された。相次いでカメラマンとプロデューサーも手錠をかけられ連行された。中継がつながったままのカメラを警官が持ち運んだと思われる映像も、そのまま生中継された。
記者逮捕への反応は
  CNNは取材クルーの逮捕は、言論や集会の自由を定めるアメリカ合衆国憲法修正第1条を明らかに侵害しているとツイートした。「今朝ミネアポリスで、CNNの記者とその制作チームが身元を明かしたにも関わらず逮捕された。これは憲法修正第1条を明らかに侵害している。州知事を含むミネソタ当局は、CNN職員3人を直ちに解放すべきだ」
  ミネアポリス警察は逮捕の事実を認め、3人が「メディアの人物だと確認がとれたので」釈放したとした。しかし、ウォルツ州知事はこの出来事の「責任はすべて」自分にあると述べた。
  「このような状況の中で周囲の人を排除している場合でも、我々はジャーナリズムがニュースを伝えられるように安全な場所を確保しなければならない。これは信頼の問題だ」と、ウォルツ州知事は記者会見で述べた。また、「こんなことが起きてもいい理由など絶対にない」と付け加えた。
(英語記事 Anger as CNN journalist arrested live on air







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