プ-チン氏の問題-1


2024.03,24-産経新聞(週刊フジ)-https://www.sankei.com/article/20240324-TZNUIFDRXJBBFEFZTBK5LTTHMQ/?outputType=theme_weekly-fuji
プーチンとどう対峙 国際政治の理論は「専制・独裁国家の周りの戦争確率は高い」 高橋洋一
(元内閣参事官・嘉悦大教授)

  ロシア大統領選は15~17日に投票が行われ、ウラジーミル・プーチン大統領が87・28%の得票率で圧勝した。投票率は77・44%だった。旧ソビエト連邦崩壊以降のロシアの大統領選で得票率、投票率ともに最高だったとしている。 事前に投票率70%、得票率80%という「目標」が示されたようなので、この数字には驚かなかったが、やはり手段を選ばずに達成されたようだ

  もちろん欧米からは「公正な選挙ではない」という批判が相次いでいる。例えば、対立候補は、決して10%以上の票は取らない、プーチン大統領の「かませ犬」だった。得票率も、各地方にはノルマが課されていたのか、投票すると豪華景品という「エサ」もあった。 ただし、一部の地域では、投票所への放火や、反体制派の指導者、アレクセイ・ナワリヌイ氏死亡に対する抗議行動もあった
  プーチン政権は、軍事侵攻によって一方的に併合を宣言したウクライナ東部や南部の4つの州でも、ロシアの「大統領選」を強行した。これに対し、日本や米国など55カ国は共同声明で「国際法上、何の効力も持たない」としてロシアを非難した。 25年間にわたってロシアを支配してきたプーチン氏は、大統領として通算5期目に入り、新たな任期は2030年までの6年間となる。
  習近平国家主席の中国、金正恩(キム・ジョンウン)朝鮮労働党総書記の北朝鮮と、日本の北西部には、専制・独裁国家が控えているという事実をあらためて認識しておく必要がある。国際政治の中で唯一の理論とされる民主的平和論からみると、専制・独裁国家の周りの戦争確率は高い
  これに対抗するには、今の日米同盟に加えて、英国とオーストラリアとの準同盟を同盟に格上げするか、いっそのこと、米国、英国、オーストラリアの3カ国による安全保障枠組み「AUKUS(オーカス)」に加入するしかない。
  その一方で、中国とロシア、北朝鮮が相互に協力しないように楔(くさび)を打ち込むのがいい最もくみしやすいのが北朝鮮だ。ただし、日本との間では拉致問題があるので、その完全解決が前提になる
  11月の米大統領選の結果、ドナルド・トランプ氏が大統領に返り咲けば、北朝鮮の切り崩しも選択肢の一つになるかもしれない。 次には極東には手が回らないロシアだ。安倍晋三元首相は、日本として、中露北の三正面作戦は無理とみて、ロシアの懐柔に出ていった。今のウクライナ侵攻問題がない時だったこともあり、西側諸国とは基本は同調路線であるが、個別問題では是々非々という態度だった。これを復活させるのも一案だ。スウェーデン、フィンランドの北大西洋条約機構(NATO)加盟でバルト海を封じられたロシアは極東重視になるかもしれないので、日本にも勝機はある。
  いずれにしても、対ロシアだけを考えるのではなく、極東アジア全体を俯瞰(ふかん)した視点で戦略を考える必要がある(元内閣参事官・嘉悦大教授)


2024.03.22-産経新聞-https://www.sankei.com/article/20240322-RSUXQI3JQ5L6HAJNNM6DQLWYVI/
「プーチン氏の計画を台無しにした」 ロシア人義勇兵組織、大統領選前に越境攻撃

  ロシアのウクライナ侵略に対し、ウクライナ側で参戦するロシア人義勇兵組織「自由ロシア軍」幹部、バラノフスキー氏は21日、記者会見し、今月中旬に着手したロシアへの越境攻撃により、露大統領選前に占領地域の拡大をアピールしようとしたプーチン大統領の「計画を台無しにした」との見解を示した。ウクライナメディアが伝えた。

  自由ロシア軍を含む複数のロシア人義勇兵組織は今月12日、ウクライナと国境を接する露西部クルスク州とベルゴロド州への越境攻撃に着手したと発表。国境地帯の複数の集落を制圧したとしている
  バラノフスキー氏「露軍は両州防衛のために(最前線の一つであるウクライナ東部)ハリコフ州クピャンスク方面から戦力を移転させた」と説明。この結果、15~17日の大統領選前に戦果を出すよう命じられていた露軍は攻勢をかけられなくなったとした。
  バラノフスキー氏越境攻撃で露軍1500人超を死傷させ、170を超す戦闘車両を無力化したとも明らかにした。 自由ロシア軍など義勇兵組織は21日、共同声明を発表し、ロシアに自由をもたらすための戦いに加わるよう露国民に呼び掛けた。 一方、ショイグ露国防相は20日、越境攻撃に関し、「ウクライナの武装部隊を国境外に追い返した」と主張。過去8日間の戦闘で武装部隊の3500人超を死傷させ、50両以上の戦闘車両を破壊したとした。
  プーチン氏は18日、義勇兵組織に参加しているロシア人の総数を「約2500人だ」と指摘。19日には露連邦保安局(FSB)幹部との会合で「裏切り者を特定せよ」と指示し、「彼らがどこにいようがロシアは時効なしで罰するだろう」語った。
  前線の戦況を巡り、露国防省は21日、2月に制圧したウクライナ東部ドネツク州アブデーフカ方面の集落1カ所を新たに制圧したと主張した。アブデーフカ制圧後、露軍は周辺の複数集落を制圧したが、ウクライナ軍も抗戦し、露軍の前進を遅らせているもようだ


2024.03.21-産経新聞-https://www.sankei.com/article/20240321-7L3KD7AKZJNPJNJQPRDZV2MDWM/
プーチン氏得票率87・28% 露中央選管、大統領選の正式開票結果を発表

  ロシア中央選管のパンフィロワ委員長は21日、15~17日に行われた露大統領選の正式な開票結果を発表した。通算5選を決めたプーチン大統領の得票率は87・28%、投票率は77・49%だったとした。

  中央選管は18日、プーチン氏の得票率を87・28%、投票率を77・44%だったとする暫定開票結果を発表していた。


2024.03.14-産経新聞(KYODO)-https://www.sankei.com/article/20240314-RKM7D7SMJZKKZLDHG5ZS25L24Q/
プーチン氏が「愛国心の表れだ」と投票呼びかけ 大統領選前に動画声明

  ロシアのプーチン大統領は14日、自らの通算5選が確実視される大統領選の投票が15日に始まるのを前に、国営テレビを通じた動画声明を発表し「選挙参加は愛国心の表れだ」と述べ、国民に投票を呼びかけた。

  反戦を訴えて立候補を目指した候補が失格となる中、プーチン政権は高い投票率と得票率を確保し、ウクライナ侵攻を正当化したい考えとみられる。
  プーチン氏は、一方的に併合を宣言したウクライナ東部・南部の住民や、前線の兵士も投票するとし「国難を克服するには団結が必要だ」と強調した。(共同)


2024.03.07-産経新聞(KYODO)-https://www.sankei.com/article/20240307-OKSPWRN6SVPBNGX5RNTMRAIZGI/
プーチン氏、若者に演説 米覇権「世界の大半の国々は嫌っている」 「公正さ」訴え

  ロシアのプーチン大統領は6日、南部ソチで開かれた若者の国際フォーラム閉会式に出席し「未来はあなた方のような若者にかかっている」と述べ、公正な国際社会づくりに努力するよう促した。

  全体会合で登壇したプーチン氏は「人は皆、生まれた時は平等だが、その後の条件は平等とはいえない。これが今の国際秩序の最大の不正義だ」とし、ウクライナ侵攻で対立を深める欧米を暗に批判。「われわれが公正を追求すれば世界はもっと安定し、公平で安全になる」と強調した。
  その後の質疑応答では、米国は冷戦終結後に握った世界の覇権を維持しようとしたが「世界の大半の国々はこれを嫌っている。同盟国にすら好まれてはいない」と主張した。
  プーチン氏は侵攻を非難して対ロ制裁を科す欧米に対し「新植民地主義」との批判を繰り返している(共同)


2024.02.29-産経新聞-https://www.sankei.com/article/20240229-EJ4QHHMWWJPAPJC75M7534VFGA/
「露軍が新たな領土解放」 プーチン氏が年次教書演説 大統領選前に優勢アピール

  ロシアのプーチン大統領は29日、外交や内政の方針を上下両院議員らに示す年次教書演説をモスクワで行い、2月24日で開始から2年が過ぎたウクライナ侵略について「露軍は確固として前進し、新たな領土を解放している」と強調した。プーチン氏は露軍が優勢になったことを誇示し、3月の大統領選での通算5選に向けて支持を盤石にする思惑を鮮明にした。

  プーチン氏は、ウクライナでの軍事作戦を「ロシアの主権を守る戦い」だと改めて正当化。「絶対的多数の国民が軍事作戦を支持している」とも主張した。「欧米側はウクライナに対して行ったのと同様、ロシアの内部からの弱体化を狙ったが失敗した」とも述べた。
  プーチン氏はロシアの軍事力の増強にも言及。原子力推進式のミサイル「ブレベスニク」や魚雷「ポセイドン」の試験が完了しつつあるとした。
  プーチン氏は、ロシアがウクライナに続き欧州を攻撃する可能性があるとの観測を「ナンセンスだ」と否定。一方で「ロシアへの介入は大規模核戦争を招きうる」「ロシアの敵対者は、ロシアが彼らの領土を攻撃できる兵器を持っていることを忘れるべきではない」と欧米側を威嚇した。
  3月15~17日の大統領選では、政権側はナデジディン元下院議員ら反戦派の出馬予定者を軒並み排除。出馬するのはプーチン氏のほか、政権側との対立を避ける「体制内野党」3党が擁立した候補者3人の計4人となっている。露世論調査では有権者の8割がプーチン氏に投票する意向を示しており、大統領選はプーチン氏への圧倒的支持を演出する「形式的儀式」となる見通しだ。


2024.02.24-産経新聞-https://www.sankei.com/article/20240224-XAIOY5V5PRPENJ2R3WKF6VC76Y/
プーチン氏、支持率85%で侵攻開始後最高 ロシア大統領選で侵略正当化へ

  ロシアによるウクライナ侵略は24日で3年目に入った直近の露世論調査でプーチン大統領の支持率は侵略開始後で最高となる85%を記録。対ウクライナ軍事作戦の支持率も一貫して70%を超えている。プーチン氏は3月の大統領選で「圧勝」し、自身の政治的正統性を演出した上で、ウクライナを降伏に追い込むまで軍事作戦を続ける思惑だとみられる。

  露独立系機関「レバダ・センター」の1月の世論調査によると、プーチン氏の支持率は昨年11月に続いて85%を記録し、2022年2月のウクライナ全面侵攻後、過去最高となった。軍事作戦の支持率も77%に上った。
  プーチン氏や軍事作戦への高い支持率の背景には、ウクライナ侵攻後に露国内で反政権的・反戦的な言動への抑圧が極度に進み、国民が世論調査に本音を明かしにくい風潮が続いていることや、国営メディアを通じた政権のプロパガンダ(政治宣伝)があるとみられる。ただ、こうした抑圧的な政策の影響だけでなく、「欧米側はウクライナを取り込み、ロシアを弱体化しようとしてきた」とするプーチン氏の持説に共感する国民が多いという面もある。
  露政府系機関「全ロシア世論調査センター」によると、今月15日に実施した「仮に大統領選が今週末に行われた場合、誰に投票するか」とした質問で、79%が「プーチン氏」と回答。政権側に融和的な「体制内野党」3党がそれぞれ擁立した候補者に投票するとした回答はいずれも4%以下だった。
  大統領選で政権側はナデジディン元下院議員ら反戦派の出馬予定者を軒並み排除。大統領選はプーチン氏への圧倒的支持を演出する「形式的儀式」となる見通しだ。


2024.02.10-産経新聞-https://www.sankei.com/article/20240210-XVNXT5HEKVOF7GK3TJCW32IEIA/
プーチン氏、侵略を改めて正当化「ロシアだました」と欧米を批判 米元司会者のインタビューに

  ロシアのプーチン大統領は米FOXニュースの元看板司会者、タッカー・カールソン氏のインタビューに応じ、露大統領府が9日、内容を公開した。プーチン氏はウクライナ侵略に関し、ロシア系住民を迫害してきたウクライナの「ネオナチ思想」を根絶するための戦いだとして改めて正当化した。また、「ロシアをだましてきた」と米国や欧州諸国を非難した。

  インタビューは6日に行われた。ウクライナ侵略の開始後、プーチン氏が欧米側メディア関係者の単独インタビューに応じたのは初めて。ペスコフ露大統領報道官はインタビュー要請を受け入れた理由について「カールソン氏の立場は他の欧米メディアとは異なるためだ」と説明した。カールソン氏は米大統領への返り咲きを狙うトランプ前大統領に近いとされる。
  インタビューでプーチン氏は、ウクライナは歴史的にロシアの一地域にすぎなかったが、旧ソ連草創期にソ連指導部がウクライナにロシア領土を分け与え、国家として成立させたと主張。1991年のソ連崩壊時にウクライナは領土を保持したまま独立したが、ロシアがそれを認めたのは両国の良好な関係が続くことを前提としていたとした。
  プーチン氏はその上で、ソ連崩壊後のロシアは欧米側の一員として迎え入れられることを期待していたが、そうはならなかったと指摘。反対に欧米側はロシアとの約束を破って北大西洋条約機構(NATO)の東方拡大を進め、ウクライナまで将来的に加盟させようとしたと述べた。さらに米国に対し、2014年のウクライナ政変を主導して当時の親露派政権を「違法クーデター」で崩壊させたと非難した。
  プーチン氏は、新たに樹立されたウクライナの親欧米派政権が、政変に反発してウクライナ東部で蜂起したロシア系住民を攻撃し、ウクライナ東部紛争を引き起こしたと一方的に主張。ウクライナは東部紛争の解決策を定めた合意も履行しなかったとし、「ロシアは22年に戦争を始めたのではない。ロシアの目標は彼らが14年に始めた戦争を終わらせることだ」と従来の主張を展開した。
  プーチン氏は軍事作戦について、欧米側がウクライナ支援を停止すれば「数週間で終わる」と主張。また、侵略開始直後の交渉でウクライナ側との停戦が合意寸前まで達したが、英国のジョンソン首相(当時)がウクライナに合意しないよう圧力をかけたため成立しなかったと述べた。その上で、米国はウクライナのゼレンスキー大統領に対露交渉に応じるよう働きかけるべきだとした。
  プーチン氏は、歴史や宗教、言語を共有するロシアとウクライナの戦いは「ある意味で内戦だ」と指摘。「時間はかかるだろうが、両国民の関係は必ず回復する」とも語った


2024.01.17-産経新聞(KYODO)-https://www.sankei.com/article/20240117-T54AAQ5OGRPHBMZ5KG2E3C7EZE/
プーチン氏、崔外相と会談 露朝関係強化、厚遇示す

  ロシアのプーチン大統領は16日、モスクワを訪れた北朝鮮の崔善姫(チェ・ソンヒ)外相と会談した。崔氏は、これに先立ち会談したラブロフ外相と共にプーチン氏に会い、外相会談の合意内容を伝えた。ロシアはウクライナ侵攻後、北朝鮮との関係を強化プーチン氏は崔氏への厚遇を示した

  ペスコフ大統領報道官は16日、プーチン氏が適切な時期に訪朝するとの見通しを示した。崔氏との会談で訪朝日程を協議した可能性がある。会談にはウシャコフ大統領補佐官も同席した。
  外相会談では、ラブロフ氏が侵攻を支持する北朝鮮の立場を「高く評価する」とした。崔氏は「今年は両国関係の発展にとって重要な年になる」と指摘。昨年9月の金正恩(キム・ジョンウン)朝鮮労働党総書記の訪露を「歴史的」だと評し、金氏がプーチン氏訪朝を招請したことに言及した。(共同)


2024.01.17-産経新聞-https://www.sankei.com/article/20240117-5N3JFAJ2OJK73CXOENFJHB66SU/
「戦利品は放棄せず」 プーチン氏、占領地返還を否定

  ウクライナ侵略を続けるロシアのプーチン大統領は16日、ウクライナとの停戦交渉について「(侵攻開始後の)過去1年半で獲得した戦利品をわれわれに放棄させようとする試みは不可能だ。そのことをウクライナも欧米諸国も理解している」と述べ、仮に交渉が始まっても占領地域の返還は協議対象にしないとの考えを改めて示した。同日出席した露各地の自治体の首長らとの会合で発言した。

  プーチン氏はまた、ウクライナのゼレンスキー政権が法令でロシアとの交渉を禁止しているとし、「交渉したくないのであればそれでいい。だが、ウクライナ軍の反攻は失敗し、主導権は完全に露軍に移った。このままではウクライナは取り返しのつかない深刻な打撃を受けるだろうが、それは彼らの責任だ」とも述べた。ウクライナに抗戦を断念するよう威圧した形だ。
  停戦交渉を巡っては、プーチン氏は1日にも「われわれは紛争をできるだけ早く終わらせることを望んでいるが、ロシアの条件に沿う限りでだ」と指摘。ウクライナがロシアの要求を受け入れることが必要だとする認識を示していた。
  一方、プーチン氏は16日、モスクワを訪問中の北朝鮮の崔善姫(チェ・ソンヒ)外相と面会し、同日行われた崔氏とラブロフ露外相の会談の結果について報告を受けた。ペスコフ露大統領報道官が発表した。会談で両外相は両国の結束を確認。プーチン氏の将来的な訪朝についても調整したとみられている。


2024.01.06-毎日新聞-https://mainichi.jp/articles/20231231/k00/00m/030/082000c
ロシアの軍事作戦に異を唱えた懲罰? 一流劇場トップ更迭の深層
【モスクワで大前仁】

  「バレエの殿堂」と呼ばれるロシア最高峰の国立ボリショイ劇場(モスクワ)2023年12月、トップの総裁が交代した。前総裁は過去に、ロシアがウクライナで続ける「特別軍事作戦」を批判していたため、プーチン政権に「罰せられた」と見る向きが多い。政府が舞台芸術の世界の人事にまで露骨に介入した形だ。華やかなこの劇場には、今のロシアの社会と経済のゆがみが凝縮している。

  タス通信は23年12月、任命権者のミシュスチン首相がボリショイ劇場総裁の交代に関する文書に署名したと報じた。劇場のウェブサイトに載った発表では、ウラジーミル・ウーリン前総裁が「自ら職を辞した」と記されたが、これを真に受けた人は多くないはずだ。
対照的な動きを示した新旧の劇場トップ
  その理由の一つには、新総裁のワレリー・ゲルギエフ氏とプーチン大統領の関係の近さがある。ゲルギエフ氏は世界的な指揮者として活動する傍ら、長年、北西部サンクトペテルブルクの国立マリインスキー劇場で総裁と芸術監督を兼任。このため、2大都市の名門劇場を一人が統括するという異例の人事となった。
  ロシアによるウクライナへの攻撃を巡り、新旧の総裁は当初、対照的な動きを示した。「我々は新たな戦争を欲していない」。ウーリン氏は22年2月、他の舞台芸術家たちと共に、軍事作戦に反対する趣旨の書簡に署名した。一方、ゲルギエフ氏は反対を一切唱えず、欧米から批判を浴びた。兼任していたドイツのミュンヘン・フィルハーモニー管弦楽団首席指揮者の職を解かれ、イタリアのミラノ・スカラ座での公演からは降板させられた。
  この文脈に沿えば、政権に異を唱えたウーリン氏が総裁職を解かれ、反対しなかったゲルギエフ氏が後釜に就いたことになる。だが、実態はもう少し複雑だ
戦時下でも人気衰えぬボリショイの舞台
  ウーリン氏は、22年3月にプーチン氏から解職の可能性をほのめかされると、政権に配慮した言動に努めるようにひょう変。西側諸国がロシアの舞台芸術を受け入れなくなったことに対しては「従来も欧米公演で利益を上げてきたわけではない」と開き直ってみせた。劇場では政権が問題視する演目を外すなど、愛国主義的な動きにも同調した。
  22年秋~23年夏のシーズンにボリショイではバレエやオペラなど679の公演を催した点を強調し、「困難な状況下で素晴らしい数値だ」と劇場運営の円滑ぶりを誇っていた。しかし、結局は過去の言動を挽回するには至らず、総裁交代につながったと見てとれる。
  このようにウクライナへの軍事作戦に揺さぶられてきたボリショイ劇場だが、ウーリン氏が言うように日々の公演で活況が続いたのは確かだ。ロシアの首都でなぜ今、豊かさを象徴するような一流劇場の人気が衰えていないのか。その裏には「戦時下」ならではの事情がある。【モスクワで大前仁】


2024.01.01-産経新聞-https://www.sankei.com/article/20240101-YO26KWS5JBK4VB5I5MPS5KKLNA/
プーチン氏とゼレンスキー氏、新年の演説で戦闘継続の意思示す

  ウクライナ侵略を続けるロシアのプーチン大統領は昨年12月31日、国営テレビを通じて新年恒例の国民向け演説を行い、「露国民は最も困難な問題を解決できること、決して後退しないことを何度も示してきた。われわれを分断させ、発展を押しとどめる力など存在しない」などと述べた。ウクライナや支援する欧米諸国を念頭に、目標達成まで軍事作戦を続ける意思を改めて示した形だ
  プーチン氏は「露国民はこの1年、団結して国益や自由、価値観を守ってきた」と指摘。「露国民の特色は団結と慈悲、不屈さだ」とも述べ、国民の結束を強調した。
  また、前線で戦う兵士らは「英雄」だとし、「私は、あなたたちが大切な人々の愛や全国民の支持を感じていることと思う」などと述べた。

  一方、ウクライナのゼレンスキー大統領も新年の国民向け演説を行い、「ウクライナは強くなった」と強調。侵略の開始当初、ウクライナが持ちこたえると考える人はほとんどいなかったとし、それにもかかわらず「われわれは2024年を迎える。われわれは生きており、戦う」抗戦を続ける意思を示した。ウクライナ国民が23年、「6千回もの空襲警報を乗り越えた」とも述べた。
  また、欧州連合(EU)への加盟交渉の開始決定などを挙げ、23年は「多くの外交的勝利があった」と強調した。


2023.11.06-産経新聞(KYODO)-https://www.sankei.com/article/20231106-OHFOV4466FIG5JU6WP6ZRLMOQU/
プーチン氏、来春の大統領選出馬と報道 5期目へ始動

  ロイター通信は6日、ロシアのプーチン大統領(71)が来年3月の大統領選出馬の意向を固めたと報じた。複数の関係者の話としている。次回選挙で当選すれば通算5期目。顧問らが既に選挙運動の準備に入り、近く出馬表明があるという。ウクライナ侵攻下、プーチン氏は世論調査で約80%の高い支持率を保っており、5選は確実な情勢となっている。

  ペスコフ大統領報道官は6日、「プーチン氏は何も表明しておらず、選挙運動も正式発表されていない」と述べた。プーチン政権は強権的な手法で野党勢力を排除し、有力な対抗馬はいない。情報統制も徹底し、政権批判を押さえ込んでいる(共同)


2023.10.31-産経新聞-https://www.sankei.com/article/20231031-C22JAT74IRKVPCALVY6NSB3VPE/
プーチン氏「欧米側が扇動」 南部ダゲスタン暴動

  ロシアのプーチン大統領は30日、露南部ダゲスタン共和国で29日に起きた反ユダヤ人暴動について「交流サイト(SNS)を通じて欧米側の工作員が扇動したものだ」と主張した。具体的な根拠は示さなかった。タス通信によると、米国家安全保障会議(NSC)のカービー戦略広報調整官は30日、「欧米側は一切関与していない」と一蹴した。

  ウクライナ侵略を「ロシア人を差別してきた欧米やウクライナとの闘い」だと主張するプーチン氏にとって、露国内での民族差別は都合が悪く、欧米側に責任を転嫁することで事態の収束を図った可能性がある。
  イスラム教徒が多数派を占めるダゲスタン共和国では29日、イスラエルから到着した航空機に乗っていたユダヤ人を探すためとして住民が地元空港に集まり、暴徒化。航空機の到着前には空港に集まるよう呼び掛けるメッセージがSNS上で拡散されていた。


2023.10.16-産経新聞-https://www.sankei.com/article/20231016-HAEFVBDRUFJYNHRXHIVBLLOKAM/
プーチン氏「戦況が改善」主張も…各地で戦線膠着か

  ウクライナ侵略を続けるロシアのプーチン大統領は露国営テレビのインタビューで、ウクライナ南部ザポロジエ州や東部ドネツク州、ハリコフ州など「戦線全域で露軍が積極的に防衛し、戦況を改善している」と主張した。タス通信が15日伝えた。一方、ウクライナ軍参謀本部は15日、南部や東部で過去24時間に57回の戦闘が起き、露軍を撃退したと発表した。双方には最近、目立った前進がなく、戦局は全体的に膠着(こうちゃく)している。

  ロシア、ウクライナ側とも、激戦が続く地域としてザポロジエ州ロボティネ周辺▽ドネツク州バフムト、アブデエフカ、マリインカ周辺▽ハリコフ州クピャンスク周辺-などを挙げた。
  ウクライナ軍は8月下旬、反攻作戦の主軸とする南部方面でロボティネを奪還したが、その後は露軍に足止めされ、目下の奪還目標である小都市トクマク方面に南下できていない。露軍も東部方面で占領地域を拡大しようと攻勢を強めているが、ウクライナ軍の防衛線に阻まれているとされる。
  米シンクタンク「戦争研究所」は14日、南部や東部の戦線で大きな変化は見られていないと分析した。


2023.10.13-産経新聞(KYODO)-https://www.sankei.com/article/20231013-L2LRSLXIJJKB5PRWN3NOUEEYDY/
ロシア元女性テレビ編集者に毒か パリで体調不良、仏が捜査

  ロシア政府系テレビの生放送中に反戦メッセージを掲げた元番組編集者マリーナ・オフシャンニコワさんが滞在先のパリで体調を崩し、フランス検察当局は12日、毒を盛られた可能性について捜査を開始した。フランスの報道を引用してロシア独立系メディアなどが伝えた。

  12日に滞在先のアパート近くで気分が悪くなり、オフシャンニコワさんが「自宅ドアに粉末が付着していた」「ロシア人に毒を盛られた」と主張したと報じられた。
  国際ジャーナリスト組織「国境なき記者団」(RSF)のクリストフ・ドロワール事務局長は、血液検査で毒物は検出されなかったとX(旧ツイッター)に投稿。本人が毒を盛られたと主張したとの報道も否定した。
  「第1チャンネル」の番組編集者だったオフシャンニコワさんはウクライナ侵攻開始後の昨年3月、番組放送中に「戦争反対」と叫び「プロパガンダを信じるな」と書いた紙を広げ罰金刑を受けた。(共同)


2023.09.20-朝日新聞-https://www.asahi.com/articles/ASR9N6VYVR9NUHBI02R.html?iref=comtop_BreakingNews_list
プーチン大統領、10月に中国訪問へ ICCの逮捕状後、初の外遊
(星井麻紀)

   ロシアのプーチン大統領は20日、中国の習近平(シーチンピン)国家主席の招待で、10月に中国を訪問すると語った。インタファクス通信が伝えた。北京で開かれる中国が提唱する経済圏構想「一帯一路」のフォーラムに出席するとみられる。ロシアを訪れている中国の外交部門トップ王毅(ワンイー)共産党政治局員兼外相との会談で語った。国際刑事裁判所(ICC)が3月、ウクライナ侵攻を巡ってプーチン氏に逮捕状を出してから初の外遊となる。

   ウクライナ侵攻で米欧と対立するロシアは今月、北朝鮮の金正恩(キムジョンウン)総書記をロシアに招いて会談し、蜜月ぶりをアピール。北朝鮮との関係強化について、中国側に理解を求める狙いがあるとみられる。(星井麻紀)


2023.09.11-Yahoo!Japanニュース(夕刊フジ)-https://news.yahoo.co.jp/articles/d7fd6e5cc1ab4853297f03eaa98f2ddac77742ee
プーチン大統領に〝三重苦〟「ルーブル暴落・人材流出・兵器不足」北朝鮮にも頼らざるを得ず…北方領土から消えた兵器

  ウクライナとの戦争が長期化しているロシアだが、国内にも地雷が埋まっている。通貨ルーブルが対ドルで下落基調が続き、ウクライナ戦線への動員の影響で労働力不足も深刻だという。一方で、ウクライナの前線で兵器も不足しているとみられ、北朝鮮を頼らざるを得なくなるなど、プーチン大統領は「三重苦」に陥っている。

  ルーブルは8月中旬、ウクライナ侵略開始直後の昨年3月以来となる1ドル=100ルーブル台の安値水準を付けた。ロシア中央銀行の利上げでやや買い戻されたが、ここにきて再び98ルーブル台まで下落しており、資金流出リスクを抱える。
  新興国経済に詳しい第一生命経済研究所の西濱徹主席エコノミストは「ロシア経済は欧米の制裁をかいくぐる『迂回(うかい)貿易』で難を逃れており、急回復もしなければ、急失速することもない状態が続くだろう。ただ、背後にいる中国の事実上の属国状態になることは避けられない。一方、国内の侵攻推進派からは軍備費調達のため財政拡大を求める声がある一方、国民生活のためには物価安定のための利上げも必要という板挟みで、プーチン氏も政策運営面での軋轢(あつれき)は避けられないかもしれない」と語る。
  中央銀行の企業調査では、人材不足が過去25年で最悪の状態だという。 露紙RBKによると、人手不足はあらゆる業種に及び、首都モスクワと第2の都市、サンクトペテルブルクの失業率は「ゼロに近い」という。
  昨秋の30万人規模の部分動員や、70万~80万人と推定される動員忌避者の出国が主な原因のため、今後の経済回復に足かせになる懸念がある。
  筑波大学の中村逸郎名誉教授は「ウクライナの反攻を受け、兵員や兵器製造の工場労働者も必要になるなか、人手不足は深刻だ。ロシアの将来を悲観する若者の出国もあると考えられる。
  『1ドル=100ルーブル』はロシア人にとって精神的にギリギリのラインともいわれ、今後の国外脱出にも拍車をかけかねない」とみる。
  プーチン大統領は、北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)総書記と首脳会談を開くとみられるが、武器や弾薬不足が大きな要因とみられる。 そしてロシア軍が2020年に北方領土の択捉、国後両島に配備していた複数の地対空ミサイルS300V4が島外に搬出された。
  東京大の小泉悠専任講師が衛星画像を基に分析した。ウクライナの攻撃に備えるため、ロシア本土に再配備したとみられる。 サハリンの軍施設で保管されていた旧型戦車や大砲も昨年秋から相次いで姿を消した。小泉氏は「ロシア軍は極東の兵器を引き抜いている。戦車や大砲がウクライナの前線に送られているのは間違いない」と指摘した。


2023.08.25-BBC news japan-https://www.bbc.com/japanese/66612684
プーチン氏、死亡したとされるプリゴジン氏に言及 「過ち」犯した「有能な人物」
(英語記事 Putin breaks silence over Prigozhin's reported death


  ロシアのウラジーミル・プーチン大統領は24日夜、前日夜に墜落した自家用機に乗っていて死亡したとされるエフゲニー・プリゴジン氏について、公の場での沈黙を破った。テレビ演説でプーチン氏は、民間軍事会社「ワグネル」の代表だったプリゴジン氏が、「人生において深刻な過ちをいくつか犯した」「有能な人物」だったと述べた。ただし、死亡したのが確かにプリゴジン氏だったという言明はしなかった。

  クレムリン(ロシア大統領府)からテレビ中継された会議でプーチン氏は、「何よりも、亡くなった全員の家族に誠心誠意、哀悼の言葉を伝えたい」とあいさつした。その上で、早い段階での情報にもとづくと、墜落機に「ワグネルの従業員」が乗っていたようだと述べた。
  「この人たちは、ウクライナのネオナチ政権と戦うという共通の目的に、大事な貢献をしてくれた人たちだ」と、プーチン氏はウクライナ侵攻を正当化するために繰り返している虚偽の主張をここでも口にした。
  プリゴジン氏については、1990年代初めからの知り合いで、「複雑な人生」を送った人だと振り返った。「人生において深刻な過ちをいくつか犯した。しかし、たくさんの成果を上げた。自分のためだけでなく、私が頼んだ時には全員の共通の利益のため。ここ数カ月間、そうしていたように」とも述べた。
  「彼は有能な人で、有能なビジネスマンだった。この国で働き結果を出しただけでなく、外国でもそうだった。特にアフリカで。アフリカでは石油や天然ガス、貴金属や貴石を扱っていた」とも話した。
  プーチン氏はプリゴジン氏のことを過去形で語ったが、23日夜に死亡したのが確かにプリゴジン氏だとは発言しなかった。ロシア連邦航空局は23日夜、モスクワの北西約300キロのトヴェリ州クジェンキノ村近くで墜落したプライベートジェット機の乗客リストに、プリゴジン氏の名前があると発表した。乗客乗員10人全員が死亡し、当局は遺体を回収したという。遺体の身元確認作業が始まっているとされるが、プーチン氏はDNA鑑定には時間がかかると述べた。
  関係省庁によって墜落が発表されて以降、クレムリンは沈黙を守り続けた。24日朝にはプーチン氏が、南アフリカで開かれた中国、インド、ロシア、ブラジル、南アフリカによる新興5カ国(BRICS)首脳会議にビデオリンクで出席したが、世界の注目を集めていた飛行機墜落については一切言及しなった。飛行機墜落の真相と、確かにワグネル代表のプリゴジ氏が墜落機に乗っていて死亡したのかどうか、さまざま推理と憶測が飛び交っている。
  米国防総省の報道官は24日、ワグネル代表のプリゴジン氏はおそらく墜落機に乗っていて死亡したと、アメリカ政府は考えていると述べた。墜落現場に近いトヴェリ州クジェンキノ村の住民たちは、飛行機が空から落ちてくるのを見る前に、大きな爆発音を聞いたと話している。複数のロシア報道によると、捜査当局は、機内に爆弾が持ち込まれていた可能性も、墜落原因の一つとして検討している。
  BBCがアメリカで提携するCBSニュースは、米当局者の話として、墜落原因として最も可能性が高いのは、機内での爆発だと伝えた。爆発が起きた原因はわかっていないが、爆弾は可能性の一つだという。
  これとは別に、ソーシャルメディア「テレグラム」上の「ワグネル」系チャンネルは、ロシア軍の防空システムが撃墜したのだと主張した。米国防総省は24日、この可能性を示す情報はないと述べた。
  墜落したのはモスクワ発サンクトペテルブルク行きの自家用機だった。捜査当局は出発したモスクワのシェレメーチエヴォ空港の職員に事情を聴き、監視カメラ映像を確認している。
  ロシア連邦航空局は、プリゴジン氏のほかにドミトリー・ウトキン氏も墜落機に搭乗していたと発表。そのほか、セルゲイ・プロパスティン氏、エフゲニー・マカリャン氏、アレクサンドル・トトミン氏、ヴァレリー・チェカロフ氏、ニコライ・マツセイェフ氏が乗っていたという。墜落機の乗員は、アレクセイ・レヴシン機長、ルスタム・カリモフ副操縦士、クリスティナ・ラスポポワ客室乗務員だったという。ウトキン氏は、ワグネル共同創始者で司令官。チェカロフ氏はプリゴジン氏の親友で、アメリカ政府からプリゴジン氏と共に制裁されていた。その他の4人もワグネル関係者やプリゴジン氏の警備担当者だという。
  航空当局は、墜落の原因について、ロシア刑法にもとづき刑事捜査が開始されたと明らかにした。
「プーチンのシェフ」から反乱の首謀者へ
  プーチン氏と同じサンクトペテルブルク出身のプリゴジン氏は、ソ連崩壊後にサンクトペテルブルクでケータリングやレストラン経営を開始。プーチン氏とそのころに知り合い、やがてプーチン氏が大統領になると、傘下企業が大統領府向けケータリングを受注。「プーチンのシェフ」と呼ばれるようになった。
  2014年に雇い兵組織「ワグネル」を創設。現在の戦闘員は約2万5000人に上る。
  ウクライナ侵攻では、東部バフムートなど激戦地の戦闘に参加し、数々の残虐行為を重ねたとされる。ほかにもシリアや西アフリカで活動し、最近ではアフリカ各地での政情不安への関与が指摘されていた。
  バフムート攻防戦終盤の今年5月、プリゴジン氏は、ワグネル兵の遺体が多数横たわる中を歩く自らの動画をソーシャルメディアに投稿し、ロシア国防省を激しく非難。「数万人」がバフムートで死傷したとして、「ショイグ! ゲラシモフ! 弾薬はどこだ! この連中は志願兵として来てお前たちのために死んでいった。お前らが豪華なマホガニーのオフィスでぶくぶく太っていけるように」など、激しい表現を交えながらショイグ国防相とゲラシモフ総司令官を罵倒していた。
  6月には、ロシア政府が「ワグネル」を直接傘下に置く方針を示したことに、プリゴジン氏は強く反発していた。6月23日には、ウクライナでの戦争は「ショイグが元帥になれるよう」開始されたのだと非難。「国防省は国民をだまし、大統領をだまし、いかれたウクライナが我々を攻撃しようとして、NATO(北大西洋条約機構)と一緒になって我々を攻撃しようとしているだとか、そんなでたらめをまきちらしていた」のだと攻撃していた。
  プリゴジン氏は6月23日夜になると、ロシア軍の砲撃で戦闘員30人が死亡したのだと主張し、これを機に部隊をロストフ・ナ・ドヌへ進軍させた。
  24日朝にはワグネル部隊を率いてロシア南西部ロストフ・ナ・ドヌの軍事拠点を占拠
  ウクライナ侵攻をめぐりロシア軍幹部を罵倒した。その後、部隊を首都モスクワから数百キロの地点まで進軍させたが、同日夜に撤収を命じた。
  プーチン氏は24日午前に異例の緊急演説で、ワグネルの行動は「わが国民を後ろから刺す」「裏切り」だと非難し、「厳正に対処する」と約束した。
  それだけにその後、ベラルーシのアレクサンドル・ルカシェンコ大統領の仲介を受け、ワグネル戦闘員とプリゴジン氏が処罰されず、ベラルーシへの移動を認められたことに、ロシア内外で驚きと不信感が広がっていた
(英語記事 Putin breaks silence over Prigozhin's reported death


2023.08.04-JINF 国家基本問題研究所-https://jinf.jp/feedback/archives/41430
プーチン大統領が朝鮮戦争参戦を認めた意図 西岡力(モラロジー道徳教育財団教授)

  7月27日の北朝鮮の朝鮮戦争「戦勝」70周年記念閲兵式にあたり、ロシアのプーチン大統領が祝辞を寄せた。訪朝したショイグ国防相が持参した。その中でプーチン氏は「数万回の戦闘飛行を遂行した飛行士を含むソ連の軍人も、朝鮮の愛国者と共に肩を組んで戦いながら、敵の撃滅に重みのある寄与をした。この過程に結ばれた戦闘的友誼の歴史的経験は、高貴な価値を有しており、政治と経済、安全分野においてロシアと朝鮮民主主義人民共和国の連携をより一層発展させるための頼もしい基礎となっている」と述べ、ソ連空軍が朝鮮戦争に参戦していたことを初めて認めた。

国連敵視の表れか
  確かにソ連は、朝鮮戦争で多数のパイロットを北朝鮮に送り、中国軍服を着せて中国軍のミグ戦闘機に搭乗させ、参戦させた。これは事実だが、これまではその事実は極秘とされ、ソ連政府はもちろん、ロシア政府も参戦を認めたことはなかった。それどころか、参戦を全力で隠蔽していた。参戦の露呈を恐れて、黄海に落ちたソ連パイロットを米軍がヘリコプターで救出しようとしたとき、ミグ戦闘機が現れて銃撃したことさえあったという(R・P・ハリオン『朝鮮半島空戦記』朝日ソノラマ、1990)。
  それではなぜ、このタイミングでわざわざ、それもプーチン大統領自らが秘密を公開したのか。プーチン氏は「ソ連の軍人も、朝鮮の愛国者と共に肩を組んで戦いながら、敵の撃滅に重みのある寄与をした」と言っている。ここで「敵」とは国連軍である。国連安保理は1950年6月27日、北朝鮮の奇襲南侵を侵略と断定して、国連軍を組織して「武力攻撃を撃退」することを決めた。ソ連はそのとき、欠席して拒否権を行使しなかった。朝鮮戦争は休戦中だから現在も同決議は有効で、日本には今も国連軍後方司令部がある。
  世界の安全と平和に責任がある国連安保理の常任理事国であるロシアは、公然とウクライナに侵略戦争を仕掛けた。国連憲章の明確な違反だ。プーチンはそのことを自覚しているので、開き直った心情で国連軍に対してソ連軍が戦ったという過去をここで明らかにしたのではないか。
  これを目撃した今、もはや、国連による秩序は崩壊したというしかない。ウクライナ戦争でロシアを敗退させ、ロシアと中国を安保理の常任理事国から追放して新しい国連をつくるしかない。
露が北特殊部隊10万人の派遣を要請
  私が入手した情報によると、祝辞を北朝鮮に持参したショイグ国防相は北朝鮮の金正恩委員長や朝鮮軍最高幹部らと相次いで面会して、ウクライナ戦争への朝鮮人民軍特殊部隊10万人の派兵を求めたという。70年前にソ連が北朝鮮を助けるために派兵したのだから、今回は朝鮮軍がウクライナに来て「共に肩を組んで戦う」べきだという圧力を加える意味が祝辞にあったのかもしれない。
  情報によると、ショイグ国防相が特殊部隊10万人の派兵を求めたのに対し、北朝鮮側は潜水艦発射弾道ミサイル(SLBM)を搭載できる原子力潜水艦かその建造技術の提供を求めたという。両者にとって相手の要求は簡単に応じることが困難であり、会談の結果がどうなったかは現段階では情報がない。
ミサイル発射の見返りにジェット燃料
  昨年、露朝間ではウクライナ戦争支援をめぐり次のやり取りがあった。ショイグ国防相が昨年3月中旬、中国を訪問して中国軍関係者にミサイルなどの提供を求めて拒否されているが、そのとき訪朝を打診したものの外国人入国を禁じていた北朝鮮に拒否された。代わりに朝鮮人民軍代表団が北京を訪問してショイグ国防相と会談した。
  ロシア側は北朝鮮に特殊部隊参戦とミサイル提供を要請したが、北朝鮮はそれを断った。その代わり、ミサイル発射実験を続けて米国を牽制すると伝えた。
  9月末か10月上旬、ロシアのウラジオストクでロシア国防省と北朝鮮総参謀部の当局者が秘密会談を持った。そこでロシア側は朝鮮半島で軍事衝突を起こしてくれるなら戦闘機用のジェット燃料を含む精製した石油や天然ガスを提供し、ウクライナ戦争終了後には最新のスホイ戦闘機を供与すると提案した。
  北朝鮮は砲弾提供と、軍事攻撃の代わりに極限まで軍事緊張を高めることを約束した。北朝鮮が繰り返し行った核攻撃演習名目のミサイル発射はその一環だった。見返りとしてジェット燃料をはじめとする精製石油が北朝鮮に送られ、それを使って北朝鮮空軍は戦闘機150機の演習を行った。

参考:プーチン氏祝辞の内容
  平壌7月28日発朝鮮中央通信によると、朝鮮戦争勝利70周年を祝うための記念報告大会の参加者にプーチン大統領が寄せた祝辞の内容は次の通り。

  尊敬する金正恩閣下、親愛なる友人、祖国解放戦争(朝鮮戦争)での朝鮮人民の勝利70周年に際して心からの祝賀を送る。
  1950年~1953年の苛烈な戦闘で朝鮮人民軍軍人は最高司令官金日成同志の指導の下で全ての試練を克服し、集団的英雄主義を発揮して祖国の自由と独立を守り抜いた。
  数万回の戦闘飛行を遂行した飛行士を含むソ連の軍人も、朝鮮の愛国者と共に肩を組んで戦いながら、敵の撃滅に重みのある寄与をした。この過程に結ばれた戦闘的友誼の歴史的経験は、高貴な価値を有しており、政治と経済、安全分野においてロシアと朝鮮民主主義人民共和国の連携をより一層発展させるための頼もしい基礎となっている。
  現時代の脅威と挑戦に直面して友好と善隣、相互援助の誇らしい伝統を重んじ、豊かにしていくのは、特別に重要である。
  対ウクライナ特殊軍事作戦に対する朝鮮民主主義人民共和国の確固たる支持とかなめの国際問題におけるロシアとの連帯は、国際法の優位と安全の不可分、国家の自主権と民族的利益の尊重に基づいた真に多極化され、正義の世界秩序の確立を阻害する西側集団の政策に立ち向かっていこうとするわれわれの共通の利害関係と決心を浮き彫りにさせている。
  金正恩閣下、あなたが健康であることと、友好的な朝鮮人民の福利のための責任ある活動で成果を収めることを願う。全ての記念報告大会の参加者に福利と平和があることを願う。


2023.07.04-産経新聞-https://www.sankei.com/article/20230704-LG6OKBZR6ZJG7LYUCUPWKGNLRQ/
ワグネル反乱「プーチン氏の弱さ示した」 ゼレンスキー氏

  ロシアの侵略を受けるウクライナのゼレンスキー大統領は、米CNNテレビ(電子版)が3日に公開したインタビューで、ロシアの民間軍事会社「ワグネル」の武装反乱は、プーチン露大統領の弱体化と同氏を頂点としたロシアの「垂直の権力構造」が崩れつつあることの表れだとの認識を示した。また、ロシアの実効支配下にある南部クリミア半島の奪還がウクライナの最終目標だとする立場を改めて強調した。

  CNNによると、インタビューは2日に行われた。ゼレンスキー氏は「ワグネルが露国内に進軍し、一部地域を占拠した。プーチン氏の対応は弱かった。彼が全てを管理できていないことが分かった」と述べた。
  ゼレンスキー氏は一方で、バーンズ米中央情報局(CIA)長官が6月にウクライナを極秘訪問していたと伝えた米紙ワシントン・ポストの報道について「驚いた。私とCIA長官との交渉は舞台裏で行われるべきだ」と述べ、情報の流出を暗に批判した。
  同紙は6月30日、米当局者の話として、ウクライナ側が同国を訪れたバーンズ氏に対し、反攻作戦で秋までに相当の領土を奪還し、クリミアを攻撃射程内に収めた上で年内にロシアと停戦交渉を始める計画を伝達したと報道。ウクライナがクリミア奪還を断念したともとれる内容で、ゼレンスキー氏は1日、「対露交渉はクリミア奪還後のみ可能だ」と述べるなど、軌道修正に追われていた。
  一方、ウクライナの反攻を支援するドイツのピストリウス国防相は、ドイツとデンマークが協力し、数週間以内に旧式の独製主力戦車「レオパルト1」計数十両をウクライナに引き渡すと表明した。ポーランドメディアとのインタビューでの発言として3日、ウクライナメディアが伝えた。


2023.03.18-JIJI COM.-https://www.jiji.com/jc/article?k=2023031800021&g=int
プーチン氏に逮捕状 子供連れ去りで戦争犯罪容疑―国際刑事裁

  【ブリュッセル時事】国際刑事裁判所(ICC、オランダ・ハーグ)は17日、ロシアが侵攻したウクライナの占領地からの違法な子供の連れ去りに関与したとして戦争犯罪の疑いでロシアのプーチン大統領に逮捕状を出した。ロシアはICC設立条約の締約国ではなく、実際に身柄引き渡しを求めるのは困難だが、ICCはロシアのトップであるプーチン氏の責任を追及する姿勢を鮮明にした。

  ICCは声明で「プーチン氏が個人的に刑事責任を負うと信じるに足る合理的な根拠がある」と強調。また、公表によって「犯罪防止に寄与する可能性がある」と説明した。ICCのカーン主任検察官も、孤児院や児童養護施設から数百人の子供たちが連れ去られた実態を確認したと述べた。
  逮捕状が出されたのを受け、ウクライナのゼレンスキー大統領は「歴史的な決定だ」と歓迎。侵攻後、子供の連れ去りは1万6000件超に上ると指摘した。一方、ロシアのペスコフ大統領報道官は「いかなる決定も法的に無効だ」と反発した。


2023.02.23-BBC NEWS JAPAN-https://www.bbc.com/japanese/features-and-analysis-64728278
プーチン氏はこれからどうする……開戦前に交渉した前アメリカ駐ロシア大使に聞く
-バーバラ・プレット・アッシャー、BBC米国務省担当編集委員

  ロシア政府と交渉するのはどのような感じなのか。ウラジーミル・プーチン大統領はなぜウクライナを簡単には諦めないのか。アメリカの前駐ロシア大使がBBCに説明した。ジョン・サリヴァン氏は、ロシアによるウクライナ侵攻の前まで、アメリカ大使としてモスクワにいた。戦争を防ごうとロシア当局と話をした人物だが、「向こうは本気でやりとりしてこなかった」と言う。

  「ロシアは自国の安全保障を要求したが、ウクライナの安全保障については建設的に話そうとしなかった。決定済みの論点以上のことは決して言わなかった。見せかけだけだった」
  アメリカは紛争を終わらせるため、対話を続ける努力をもっとすべきか。そう尋ねると、サリヴァン氏はプーチン氏について「開戦前、交渉に関心がなかったし、今も交渉には関心がない」と述べた。
ロシアは目標を変えていない
  アメリカのジョー・バイデン政権は、ウクライナへの軍事支援とロシアに対する制裁について世界各国の支持を集めることに力を入れている。また、アメリカ単独でもウクライナに何十億ドル分もの兵器を供与している。
  プーチン氏は21日の年次教書演説で「西側諸国が戦争を始めた」「西側がロシアに『戦略的敗北』をもたらそうとウクライナを利用した」「存在そのもののために戦っているのは、ウクライナではなくロシアだ」という見解を繰り返した。
  ロシアは「特別軍事作戦」の失敗にもかかわらず、当初宣言した目標(ウクライナの「脱ナチス化」と「非軍事化」)は変えていないと、サリバン氏は言う。ロシアが掲げるそうした目標は、つまり「キーウにある政府の排除と、ウクライナ国民の服従」を意味すると、前大使は解釈する。
  これは、ソヴィエト連邦の崩壊でばらばれになったロシア民族を再集結させるという、プーチン氏が描いている構想の一部でもある。
  「民主的に選ばれた政府が、とりわけ(ウォロディミル・)ゼレンスキー大統領が率いる政府が、キーウに存在することを、(プーチン氏は)認めるわけにいかない」とサリヴァン氏は言う。「その政府が存在する限り、彼は決して満足しない。なぜなら、その政府はロシアにとって、そして彼が作ろうとしている大ロシア国家構想にとって、脅威だと考えているからだ」
では、プーチン氏はどうなれば戦争をやめるのか。
  「勝つことはできないと、彼が確信する必要がある」とサリヴァン氏は言う。「勝利は到底不可能だと確信するまで、彼は攻撃を強めるだろう。戦場でどれほど重大な敗退をすれば、その確信に至るのかはわからない。ただ、現時点ではその状態に全く近づいていない」
  サリヴァン氏はまた、プーチン氏は長期的な展望の持ち主だと話す。「達成したいビジョンがあり、それを簡単には諦めない」はずだと。一方で、ウクライナ人も簡単にはあきらめないはずだと、サリヴァン氏は考えている。
  そして、ウクライナを構成する4400万人のスラヴ民族に自分への拒否感を植え付けたことが、プーチン氏による戦争の戦略的失敗のひとつだと、前大使は言う。
  「ウクライナ人は許さないし、忘れない」とサリヴァン氏は言う。「仮にゼレンスキー大統領が戦争を終わらせようと、領土で譲歩し、基本的に降伏したいと思っても、ウクライナ国民がそれを許さないだろう」。
  このような軍事的、政治的、イデオロギー的な対立がある以上、アメリカは長期戦に備えなければならない
  バイデン氏は、侵攻1年に合わせてキーウを電撃訪問し、アメリカの支援継続を強調した。しかしサリヴァン氏は、今年中にこの紛争が終わるとはみていない。「その先のことは分からない」とサリヴァン氏は言う。「ただ、プーチン氏は出口を求めていない。この特別軍事作戦の目標は達成されると、常に繰り返している
(英語記事 US diplomat on what it's like negotiating with Putin


2023.02.23-Yahoo!Japanニュース(Newsweek)-https://news.yahoo.co.jp/articles/88b3a68bc7fe07ca1af9c1cfb8df726076bed713
ウクライナ戦争の行方は、春には決まる...鍵を握る、ロシアに「残された勝利への道筋」-【木村正人(国際ジャーナリスト)】

  <春にウクライナが優位に立てるかは、現在のロシア軍の攻勢に対して予備部隊を投入せざるを得ない状況を回避できるかにかかっている>
【木村正人(国際ジャーナリスト)】

  [ロンドン]ロシアのウクライナ侵攻1年を前に、ウラジーミル・プーチン露大統領は21日の年次教書演説で、米露の間に残された最後の核軍備管理条約である新戦略兵器削減条約(新START)への「参加を停止する」と表明した。射程150キロメートルのロケット弾GLSDBなどウクライナへの長距離兵器供与を始める西側を改めて牽制した。

  プーチンは相手に責任をなすりつけて侵略を正当化する転倒した論理を繰り返した。「キーウがロシアの戦略的航空基地を攻撃しようとしたことに西側は直接関与している。にもかかわらず北大西洋条約機構(NATO)から核防衛施設への査察の申し入れがあった。偽善と皮肉の極み、バカの極みというか不条理劇場だ。米国が核兵器実験をすれば、ロシアもやる」 ウクライナ東部、南部を占領するロシア軍はウクライナ軍の砲撃の射程に合わせて後退してきた。
  米M142高機動ロケット砲システムHIMARSからGLSDBを発射できるようになれば弾薬庫や補給基地をさらに後退させなければならない。そうなると現在の前線を維持するのが難しくなる。一方、西側は自分たちが戦争に巻き込まれないよう慎重に閾値を上げてきた。
  プーチンは「愛する人を失った家族を支援し、子供たちを育て、教育と職業を与えることは私たちの義務だ」として国家基金の設立を提案する一方で、戦時経済体制への移行を示した。「石油の代わりに大砲と俗に表現される。国防は最重要課題だが、自国経済を破壊してはならない。
  昨年、農業生産は2桁の伸びを示した。失業率は3.7%と歴史的な低水準だ」
■バイデン氏「世界は見て見ぬふりをすることはない」
  「ロシア経済は顕在化したリスクを克服した。昨年、景気が悪化したのは第2四半期だけだ。盤石な国際収支のおかげで、ロシアは外国に頭を下げて借金をし、どういう条件で返済するか、長い協議をする必要がない」とプーチンは胸を張った。
  演説では4州占領を既成事実化する一方で、大砲と石油の力でウクライナと西側との戦争を継続する姿勢を新たにした。 これに対し、ウクライナを電撃訪問した米国のジョー・バイデン大統領はワルシャワに移動して演説し「プーチンは、炎と鋼鉄で勇気が鍛えられた男が率いる国と戦争になった。ウォロディミル・ゼレンスキー大統領だ。キーウは強く、生きている。世界は見て見ぬふりをすることはない」とウクライナを全面的に支える姿勢を強調した。
  独キール世界経済研究所によると、軍事・人道・金融支援は米国732億ユーロ、欧州連合(EU)と加盟27カ国で計549億ユーロ、英国83億1000万ユーロ。軍事支援に限ると米国443億ユーロ、英国49億ユーロ、ポーランド、ドイツ各24億ユーロ、カナダ13億ユーロと続く。米英とポーランドの支援がなかったらウクライナはプーチンの手中に落ちていた。
  「プーチンはNATOをフィンランド化(対ロシア宥和主義)できると考えていた。 その代わりフィンランドとスウェーデンのNATO化を手にした。NATOはかつてないほど団結している。われわれは欧州のロシア産化石燃料への依存を終わらせるため協力している」とバイデン氏は力説した。ウクライナはロシアが一時支配していた地域の50%以上を奪還した。


2023.02.23-NHK 国際ニュースナビ-https://www3.nhk.or.jp/news/special/international_news_navi/articles/qa/2023/02/22/29581.html
“プーチンの戦争”が世界戦争に 国際政治学者の警鐘とは?
(聞き手:井上二郎アナウンサー / 国際部記者 岡野杏有子)

  「これから世界戦争が起きるのが必然だとは思わないが、その可能性はあると言わざるをえない」ロシアによるウクライナ侵攻から1年となる中、そう警鐘を鳴らすのは京都大学大学院の中西寛教授です。なぜウクライナでの戦争が世界に拡大するのか。これから世界はどこに向かっていくのか。国際政治学が専門で、安全保障の歴史に詳しい中西教授に話を聞きました。
(聞き手:井上二郎アナウンサー / 国際部記者 岡野杏有子)

(※以下、中西教授の話)
侵攻1年 ウクライナ情勢どう見る?
  ロシアもウクライナも戦争を続ける意志と能力を失っておらず「戦争が長期化する」というシナリオが今後も続くだろうというのが一番可能性が高いと思います。  2022年の早い段階では、仲介による停戦ということもある程度言われていましたが、ロシアの戦い方が非常に非人道的であるという印象が強くなって西側諸国はより強くウクライナの勝利にコミットメントするようになりました。
  一方、ロシアは9月にウクライナの東部4州を国内法的に併合し、ロシアの国内法では占領した地域あるいは今戦闘しているドネツクなどはロシアの領土であるという位置づけになってしまったので、なおさら妥協が困難になってしまいました。
  ウクライナは市民生活に対しても攻撃を受けて多大な被害を受けていますが、ゼレンスキー政権の下でロシアに奪われた領土を取り戻すということで結束しています。
  ロシアは、プーチン政権の内部である種の動揺や論争というようなものが見られないわけではないですが、政権を揺るがすような事態にはなっていません。また、ロシア軍は大きな被害を受けているものの、今のところ戦争を続ける能力に大きな支障が出るほどの損害は受けていないように見えます
プーチン政権の動揺 崩壊の可能性はないか?
  今のところそこまでの兆候は見えないというのが結論になると思います。ロシアの中で保守派からは戦い方が手ぬるいという批判がありますし、リベラル派には戦争に対する潜在的な批判があったり徴兵を恐れて国外へ脱出したりする人もいます。
  全般的にロシアが経済制裁に苦しんでいることは間違いなく、ロシア市民の生活水準は低下してきました。今後もそういう可能性が高いと思いますが、それがプーチン政権の打倒という方向になる可能性は今のところない、とりわけプーチン政権に代わる、受け皿となるような政治勢力がロシアにはないので、今のところプーチン政権は基本的には安定しているという状況だと思います。
  プーチン政権を支持してきた中高年層からすると「現在の生活水準の低下は、西側がロシアを圧迫しているから起きている」というプーチン政権のプロパガンダ的メッセージを受け入れる素地が、やはりあるのだと思います。現状は厳しいものの、プーチン政権を支えていこうという意識はそれなりにあり、大規模なデモがプーチン政権を揺るがすというような可能性は今のところあまり考えられないと思います。
  有名なナワリヌイ氏のように反プーチンの政治勢力がいないわけではないですが、過去20年あまりのプーチン体制のもとでそうした勢力はほぼ無力化されていると言えます。
  国外には反プーチンのロシア人勢力がそれなりにありますが、国内社会とは切れてしまっているので国内の状況に大きな影響力を及ぼせる存在ではないと思います。
プーチン政権崩壊すると国際的にも混乱するか?
  最大の問題はプーチン政権が倒れた場合、それに代わる受け皿、安定した政治を営めるような政治勢力がないということです。
  そうなるとプーチン政権が倒れたあと、分裂した政治勢力の間で権力闘争が生まれるでしょう。ロシアは世界最大の領土を持っており、その中に数千発の核兵器や原子力発電所、その他の非常に重要なものもありますので、国際社会としても放置することはできない。
  各国が何らかの形でロシアの安定化のために影響力を及ぼそうとするでしょうが、西側と、長い国境を接している中国ではロシアのあり方についても考え方が大きく違うでしょう。そうした各国のロシアに対する干渉というのは改めて国際的な対立を乱す可能性も高いと思います。
  核兵器使用のリスクはあるか?
今のところロシアが核兵器を使用する兆候はないと思います。
  2022年のある時期には、ロシアがウクライナの反攻を受けて厳しい状況になったという認識のもとで、ロシアがヨーロッパに対して牙を向けて、戦術核兵器も使うという可能性は一定程度はあったと思います。
  しかしロシアとしてもやはりその道はプーチン政権にとって自滅の道であることは間違いないので、それは控え、ロシア国内で動員を増やしウクライナでの戦いを続けるという選択をとりました
  今のところそれが続いていますので、現時点でロシアが戦術核を使うという可能性は比較的低いと思います。ただ、今後ウクライナでの戦況がロシアにとって非常に不利になり、プーチン政権の存亡にかかわるような事態になってきたときに、プーチン氏がどう考えるかはそのときになってみないと分からないのも実際のところだと思います。
  ウクライナが徐々にロシアに対して攻勢をかけて奪還していくというのが今後、一番ありそうなシナリオで、西側なり国際社会にとって望ましい方向ではあります。しかし、それがどんどん進んでいくと当然ながらプーチン政権としては追い詰められていくことになるので、追い詰められたプーチン政権が何をするか分からなくなってくる、よりリスクが高くなってくるということも率直に言って、あると思います。
ウクライナ侵攻前後で世界は変わったのか?
  ウクライナ戦争ですべてが変わったわけではなく、2010年代を通じて徐々に国際社会は分裂の方向に進んでいたと言うことができると思います。ロシアだけでなく中国も西側の秩序に対してある種の距離を取って自前の秩序を作ろうという傾向を示し始めていました。
  また、トランプ政権に典型的に見られるように、西側でも従来のグローバリゼーションのやり方には問題があったと考え、ある種の保護主義や関係の制限に動きだしています。
  それを加速したのが新型コロナによる国際的な動きの停止で、それによってグローバリゼーションの動きはいったん大きく停止しました。そして、今回の戦争によって貿易や経済関係が政治的な目的のために使われるということを世界は改めて認識せざるをえなくなったのです。
  ロシアはこれまでもエネルギーを他国にプレッシャーを与えるために使ってきましたが、今回は西側もロシアに圧力をかけるために従来の仕組みを乗り越えて、金融や貿易でも積極的に制裁をかけていくという方針を示しました。経済関係を政治的手段のために使うという先例になりましたので、今後そうした傾向は簡単には元に戻らないと思います。
なぜ世界は分裂の方向に進んでしまったのか?
  ある種の驕り、楽観主義というのが西側にあったと私は思います。それは非常に大きな問題で、現代の世界が本当によく考えないといけない、反省しないといけないことです。
  西側は冷戦に勝利したということで、自由民主主義の政治体制や市場経済がもはや唯一の正解になってしまい、それに従わない国や社会はどんどん力を失っていくだけで、気にする必要もないと考えるようになってしまいました。
  ただ、そうした認識が現実とずれているということは、北朝鮮という国とずっと向き合っている我々はわかっています。核開発やミサイル開発、そういうことを何とか止めようとアメリカもやってきましたが、結局今に至るまでできていない。
  北朝鮮のような非常に経済的にも小さく人口も少ない国に対してすら、圧力で体制を変えて市場経済を採用させるということはできなかったわけです。そんなに簡単に世界が自由主義という1つの価値観で塗りかえられるわけではなかったのだと思いますが、そのことについてとりわけ西側が直視してこなかった結果なのです。
ウクライナ侵攻 日本にはどう影響?
  「戦争は過去のものではなく、未来のものでもありうる」と考えざるをえなくなったというのが今回の戦争の基本的な影響だと思います。
  ロシアは日本とも海を隔てて国境を接しているわけで、現在の戦争が東アジアに波及してこないとも限りません。また、北朝鮮のミサイルは常に日本に対してある種のプレッシャーを与えていますし、中国と台湾、そしてアメリカを巡る緊張もかなり高まっています。今のところそれがおさまっていく可能性というのはあまり見えませんので、日本としても安全保障という問題を真剣に考えざるをえないというのは間違いないことだと思います。
  戦後日本は二度と戦争をしない、戦争への反省、平和主義こそがアイデンティティーだという認識が強かったと思います。しかし2010年代に入って国際環境がしだいに厳しくなってくる、いわゆる大国間の競争というのが本格化していくにつれて、日本という国も、そうした国際、大国間競争から無縁ではいられないという感覚が強くなってきて、そうした状況に対応しないといけないという意識が徐々に強まっていたところだと思います。
  今日ではその方向にさらに踏み込んでNATO諸国、アメリカの同盟国であるヨーロッパやカナダのような国と足並みをそろえるということに、基本的に日本人はもう躊躇しなくなってきています。そういう意味で、日本人が自分で思ってる以上に、日本人のアイデンティティーに対する認識はいま、変わりつつあるような気がします。
G7議長国 日本はどうすべき?
  ロシアによるウクライナ侵攻が始まって以来、日本は西側と歩調を合わせてロシアに制裁を行い、ロシアの侵略を非難して国際的にもそうした方向で結束を高めようと努力をしてきました。それ自体は国際的にも高く評価されているものだと思います。また、日本が安保防衛政策を大きく転換して防衛力を強化するという方針に転じたこともとりわけ西側の中では歓迎されていることだと思います。
  私自身、これはしかるべき政策だったと思いますが、軍事力だけでは国際秩序はできません
  現在の国際秩序を守るにしても軍事力は不可欠の要素ではあるけれども、それだけでは十分ではないのです。ですから、外交や経済やそうした面と軍事力をどういうふうに組み合わせていくかというのが、日本とりわけG7の議長国の日本として問われるところだろうと思います。例えば、米中の対立でも論理的に考えると米中の間で妥協点はもうなくなってしまっています。

  中国は「1つの中国だ」と言っていて、その中国は民主主義の国ではない。それに対してアメリカは台湾の民主主義は絶対守らないといけないと言っています。もう妥協点はないはずなんですが、その妥協がないところでどう妥協を作り出すかというのが発想力だと思います。
  それは簡単なことではないですが、やはりそういうところで知恵を出すかどうかというのが日本の安全保障であったり、我々自身の生存、生活に関わってきますので、そこを頑張らないといけないと思います。
ウクライナ侵攻から学ぶべきことは?
  やはり、現在の世界が大きな変化の時期にあるということだと思います。変化の時期というのはやはり危険性をはらんでいて、我々の視野が狭いと、今回の戦争のような暴力、あるいは流血の事態が起きてしまうということだと思います
  起きてしまったことに対してはできるだけその犠牲を少なくして収束させていく必要がありますし、起きそうな所ではできるだけそれが現実にならないように配慮していく必要があると思います。少なくとも、人類が滅亡する選択を誰も望んでいないことは確かなので、その選択を回避しながらよりよい世界をつくっていくにはどうすればいいかということを、改めて根本から考え直すべき時期にきているということが、今回の戦争が我々に教えている最も重要なことではないかと私は思います
  我々が忘れてはいけないのは1930年代の末、1936年にスペインで内戦が始まり、それに対してファシズム国家や西側がそれぞれ介入して内戦が3年ほど続きました。
  1937年には日本と中国の間で本格的な軍事戦争が始まりました。そういうことの積み重ねのあとに1939年9月にヨーロッパで第2次世界大戦が始まり、1941年12月には日本がアメリカなどを攻撃して太平洋戦争が始まって最終的に第2次世界大戦という戦争になっていきました。
  現在、ロシアとウクライナの間で起きていることがそうした世界戦争に向かう1つのステップであるという可能性も現段階では否定できないと思います。これから世界戦争が起きるのが必然だとは思わないですが、正直、その可能性はあると言わざるをえません。ですから我々は、その点について非常に自覚的であるべきで、いかにそれを回避しながら、よりよい秩序に変えていくかということを考えないといけない。それが現代の我々が負っている課題であり、過去の教訓もそういう観点から学んでいくべきだと思います。


2023.02.21-産経新聞-https://www.sankei.com/article/20230221-2GTNZMFZSBKXFIP7E5YT46XDJE/
プーチン氏演説「自衛戦争」強調 侵略を正当化

  ウクライナ侵略を続けるロシアのプーチン大統領は21日、モスクワで外交や内政の方針を示す年次教書演説を行い、ウクライナを支援する米欧諸国が「ロシアを敗北させ、永遠に滅ぼそうとしている」と主張した。「ロシアは国民の命と故郷を守る」とも述べ、今回の軍事作戦はロシアを屈服させようとする米欧に対する「自衛戦争」だとする持説を展開。「米欧は戦場でロシアを敗北させることは不可能だと悟るだろう」とも述べ、軍事作戦を完遂する意思を示した。

  24日で開始から1年を迎える軍事作戦を巡り、露世論調査などからは、国民内に水面下で厭戦機運が高まっている兆候が浮かび上がっている。プーチン氏は今回の軍事作戦を、第二次世界大戦の対ナチス・ドイツ戦と同じ祖国防衛のための戦いだと位置付け、国民の愛国心を鼓舞し、作戦継続への支持を高める思惑だ。
  プーチン氏は演説で「米欧は1930年代、ナチス・ドイツの台頭を許した」と主張。旧ソ連に侵攻したナチスと同じく、米欧は現代も「東(ロシア)への攻撃」を企図しているとし、そのため米欧はウクライナを取り込み、ロシアを攻撃する「手先」にしようとしたと主張した。その上で、軍事作戦の目的はウクライナから米欧の影響力を排除することだとし、改めて侵略を正当化した。
  プーチン氏は、軍事作戦に従事している兵士や家族への社会支援を拡充する方針も表明した。
  プーチン氏は年次教書演説を原則的に年1回行ってきたが、昨年は国民と直接対話する行事や年末の大規模記者会見とともに実施を見送った。露軍の苦戦などを受けた対応とされる。プーチン氏自身も昨年12月、演説の見送りについて「情勢が変動しており、ある時点での結果や近い将来の計画を取りまとめるのが困難だった」と認めていた。
  ただ、ここ最近、露軍は激戦地の東部ドネツク州バフムト方面などで、多大な損害と出しながらも前進を遂げているとされる。プーチン氏は戦局が好転しつつあるとみて、演説の実施に踏み切ったとみられる。


2023.01.03-産経新聞-https://www.sankei.com/article/20230203-YKBD7RT3GRI6TKYCQYKSIXM4FY/
プーチン氏、第二次大戦なぞらえ侵略正当化 「独戦車再び脅威」

  ロシアのプーチン大統領は2日、露南西部ボルゴグラード(旧スターリングラード)で演説し、ドイツが決定したウクライナへの戦車供与について「十字が描かれたドイツの戦車がロシアを再び脅かすとは信じがたいが、事実だ」と述べた。「ナチズム思想が現代もロシアの安全保障を脅かしている」とも主張し、ウクライナ侵略を第二次世界大戦の対ナチス・ドイツ戦になぞらえて正当化した。

  演説は第二次世界大戦中の激戦「スターリングラード攻防戦」の戦勝80周年を記念する式典で行われた。
  ロシアでは第二次大戦の独ソ戦での勝利は国民統合の象徴とされてきた。プーチン氏は、ウクライナ侵略も同様の「祖国防衛戦争」だと位置付け、国民の戦意高揚を図ったとみられる。
  プーチン氏は昨年2月24日の演説でも、ウクライナを「ナチ国家」だと一方的に断じた上で、同国の「非ナチス化」などを掲げて軍事作戦の開始を宣言した。
  プーチン氏は米欧の戦車供与を巡り、「ロシアは彼らとの国境に戦車を送らないが、対抗手段がある」と述べた上で「ロシアに勝利できると考えている者は、ロシアとの現代戦が(過去とは)全く別物だと理解していない」と指摘。核兵器の存在を示唆し、ウクライナや米欧を威嚇した。
  ロシアは米欧製戦車について「脅威にならない」と主張しているが、実際は露軍が劣勢に陥る事態を危惧しているとの観測が強い。プーチン氏の威圧的な発言には、米欧によるウクライナ支援の拡大を阻止したい思惑があるとみられる。
  前線の戦況を巡り、ウクライナ軍参謀本部は3日、最前線である東部ドネツク州のバフムト方面やリマン方面で前進を試みた露軍を撃退したと発表した。

  米紙ニューヨーク・タイムズ(電子版)は2日、「露軍の死傷者数が20万人近くに達している」とする推計を米欧当局者が示したと報じた。バフムト周辺での戦闘で露軍は特に多くの損害を被ったとしている。
  ウクライナのゼレンスキー大統領は2日、「露軍は戦略的敗北が明らかな段階にある」と述べつつ、「露軍にはなお攻撃を続ける能力が残っている」とし、各国に支援継続を求めた。

■スターリングラード攻防戦
  第二次世界大戦の独ソ戦で、ソ連南西部の工業都市スターリングラード(現ボルゴグラード)を巡って行われた激戦。1942年夏から43年2月にかけて行われ、ナチス・ドイツ軍が敗北、欧州戦線の形勢の転換点となった。当初は独軍が優勢だったが、ソ連軍が持久し反攻に成功。都市の大部分が破壊され、死傷者はソ連側約113万人、ドイツなど枢軸国側約150万人とされる。


2023.01.24-産経新聞-https://www.sankei.com/article/20230124-PPCL74MLUBMW7MALWBQJIA5RTM/?dicbo=v2-27eeefedba6c25a98d29adae1587a53a
「戦後最大の困難」認める 露参謀総長、ウクライナで

  ロシア軍制服組トップのゲラシモフ参謀総長がロシア紙「論拠と事実」と会見し、ウクライナ侵攻について「現代のロシアがこのレベルの集中的な軍事行動を取ったことはなかった」と述べ、ロシア軍が第2次大戦以降で最大の困難に直面していることを認めた。同紙電子版が24日に伝えた。

  国家の主権と領土の一体性保持のため「持てるあらゆる手段を講じる」と強調。プーチン大統領の指示に従い軍事作戦の目的を達成する決意を示した。
  ゲラシモフ氏は、ウクライナ軍への攻撃と状況の安定化、昨年9月にプーチン氏が一方的に併合を宣言したウクライナ東部・南部4州の防衛のため30万人規模の部分動員を迫られたとし「このようなことは第2次大戦以来だった」と述べた。
  ゲラシモフ氏は今月11日、ショイグ国防相によりウクライナでの作戦の統括司令官に任命された。(共同)


2023.01,18-NHK NEWS WEB-https://www3.nhk.or.jp/news/html/20230118/k10013952461000.html
ロシア 軍の総兵力150万人に増強 ウクライナへの侵攻継続

  ウクライナへの軍事侵攻を続けるロシアのショイグ国防相は、軍の総兵力を150万人に増やすことをプーチン大統領が決定したと明らかにしました。一方的に併合したウクライナの4つの州の支配を維持するためなどとしていて、兵力を増強し侵攻を続ける考えを強調しています。

  ロシアのショイグ国防相は17日、国防省や軍の幹部を集めた会議を開き、プーチン大統領が軍の総兵力を150万人に増やすことを決定したと明らかにしました。
  兵力の増強についてショイグ国防相は、ロシアの安全を保障するとともに、去年9月にロシアが一方的に併合したウクライナの4つの州の支配を維持するためだとしていて、ことしから2026年にかけて軍を編成していくとしています。
  これについてロシア大統領府のペスコフ報道官は17日、「欧米諸国がロシアに対して行っている代理戦争に対応するためだ」と主張しました。
  ロシア軍の総兵力を巡っては、プーチン政権が去年8月、兵士の総数をおよそ115万人に増やす方針を発表していますが、ショイグ国防相は先月ウクライナ侵攻の任務遂行のためには150万人にまで増やす必要があると強調していました。
  一方、今月14日にロシア軍のミサイル攻撃を受けたウクライナ東部の都市ドニプロの9階建てアパートの現場ではウクライナ当局ががれきの下に取り残された人がいないか重機などを使って捜索と救助を続けていましたが、17日、救助活動を終了したと発表しました。
  ウクライナの非常事態庁によりますとこの攻撃で子ども6人を含む45人が死亡し79人がけがをしていて、ロシア軍に対し国際社会からの非難が強まっています。


2023.01.17-HEAD TOPICS JAPAN-https://headtopics.com/jp/387062226938450575244-34182500
露国防省と非正規軍に軋轢 戦果巡り「手柄争い」か
【井土映美、神山恵】.

  「ワグネル」の創設者、プリゴジン氏=2016年8月、ロシア・サンクトペテルブルク(AP) ロシアがウクライナ侵略を続ける中、露国内で国防省と、独自の兵力を参戦させてきた非正規軍勢力との軋轢(あつれき)が強まっているとの観測が出ている。

  東部ドネツク州ソレダルを巡る攻防戦で最近、露国防省と露民間軍事会社(PMC)「ワグネル」がそれぞれ「自身の部隊がソレダルを制圧した」と食い違う主張をしたのが一例だ。
  戦果が乏しい中、各勢力はプーチン大統領にアピールするため「手柄争い」を繰り広げているもようだ。 ソレダルを巡り、「ワグネル」トップのプリゴジン氏は11日までに「ワグネル部隊が同市を制圧した」と主張。しかし露国防省は同日、「戦闘が続いている」と打ち消した。
  露国防省は13日昼になって「12日夕に露軍部隊が制圧した」と主張したものの、ワグネルの関与には言及しなかった。
【井土映美、神山恵】.


2023.01.17-Yahoo!Japanニュース(FNN プライムオンライン)-https://news.yahoo.co.jp/articles/b9aff01fdfde49756fcd04c36cb69a4ac2d6e195
3月までにドンバス完全制圧を プーチン大統領が新総司令官に指示-国際取材部

  ロシアのプーチン大統領が、ウクライナ東部2つの州の完全制圧を3月までに終えるよう指示したことがわかりました。

  ウクライナ国防省の情報総局は16日、ロシアによるウクライナ侵攻の見通しについて「ロシアの優先事項はドンバスだ。プーチン大統領は新しく着任した総司令官に、3月までにドンバスを完全制圧するよう指示した」と述べました。
  ドンバスはロシアが一方的に併合したウクライナ東部のドネツク州とルハンスク州の2つを含む地域で、ロシア軍はルハンスク州を既に制圧した一方、ドネツク州で苦戦が続いています。
  プーチン大統領は先週、軍事侵攻の指揮をとる総司令官に、ロシア軍の制服組トップのゲラシモフ参謀総長を就任させました。 中枢にいた人物を現場に戻す異例の人事を敢行するだけでなく、ドンバスの制圧に「3月まで」と期限を設けるなど、侵攻開始から1年が経つのを前に、戦果を出しきれない状況にいらだちが出始めているとみられます。
国際取材部


2023.01.06-Yahoo!Japanニュース(ABEMA TIMES)-https://news.yahoo.co.jp/articles/7840ac6db38d6288e82b10d9df816f05054b3360
プーチン大統領、停戦を指示 ウクライナにも一時休戦を呼びかけ-(ANNニュース)

  ウクライナへの侵攻を続けるロシアプーチン大統領が一時的な停戦を呼びかけたウクライナ側は偽善だとしている

  プーチン大統領は5日、ロシア正教のクリスマスにあたる6日の正午から8日午前0時まで停戦するよう、ショイグ国防相に指示した。あわせてウクライナにも停戦を呼びかけた。
  プーチン氏の提案は、ロシア正教会のキリル総主教が5日午後に提案したクリスマス休戦に応じたもので、ウクライナ側に対してもロシア正教徒が多いことから停戦するよう呼びかけた。
  独立系メディアによるとウクライナ側は「ロシアが占領地を離れて初めて停戦がはじまる」としていて、応じないものとみられる。
  ロシア政府関係者によると、クリスマス休戦をめぐっては、本格的な停戦交渉のきっかけにもなり得ることから昨年からヨーロッパ諸国を含めて、12月25日を含んだ12下旬から1月中旬までを視野に模索が続けられてきたが、成立しなかった(ANNニュース)







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