monomousu   もの申す
温泉の問題-1


2024.05- 産経新聞-https://www.sankei.com/article/20240405-ITYUK5DZYVOJDMCZBOCNINWGW4/
一部客室から実は「丸見え」だった絶景露天風呂 放置していた温泉宿の苦しい弁明
(岡嶋大城)

  海の水平線が湯船の水面と一体となり、浮かんでいるような感覚を満喫できる-。こうした絶景が売りの西日本のとある温泉宿この露天風呂が、実は客室の一部屋から「丸見え」だったことが、インターネット上での女性客からの指摘で明らかになった宿側は客室から他人の入浴姿が見えることを把握しながら、事前に説明していなかったことも判明し、謝罪した上で改善に乗り出している。

全裸の人の姿が…
  「朝、海を眺める為にベランダに出ていた友人の悲鳴で、慌てて私もベランダに出ると、露天風呂で寛(くつろ)ぐ全裸の人の姿が!驚愕(きょうがく)でした」
  3月中旬、友人らとともに1泊2日の日程で宿泊した女性客は、ネット上のレビューサイトでこう訴えた。グループは3階の客室に滞在。女性客への説明によると、宿側はこの客室から露天風呂の様子が見えることを数年前に把握したものの「不安をあおる」を理由に、そうした情報は部屋の宿泊客にも、露天風呂の利用客にも知らせていなかった。

  女性客は「到底考えられないことであり、宿には対策を講じるようお願いした」と怒りをにじませつつ、泉質や眺望、料理といったほかのサービスはしっかり堪能できたとも明かし、レビューには「『露天風呂一部丸見え』以外は素晴らしい天国みたいなお宿でした」と記している
露出範囲は限定的?
  一連の情報は、ニュースサイト「産経ニュース」の「情報提供ページ」に寄せられ、女性客に続いて温泉宿の支配人も産経新聞の取材に応じた。
  「一部丸見え」と言及された露天風呂は、平成22年7月のリニューアルでオープン時間帯によって男女が入れ替わり利用する。オープンから数年後、「(3階の一室から)のぞかれる可能性がある」と外部からの指摘を受けた。だが浴槽の深さは百数十センチ程度だったため、水面からは上半身の一部だけが露出すると判断。部屋の稼働は継続し利用は女性のみとした。
  露天風呂を巡ってはこれまで、宿の眼下を航行する船が停止しているといった苦情が時折寄せられ、海上保安庁などにも伝えていたが、今回同様の指摘はそれほど多くなかったという。
  対応策として温泉宿側では、この客室とベランダをつなぐ扉をロックした上で、浴室内に「女性限定客室より見える場合がある」と記した案内を掲示。女性客のレビューには「ご意見は真摯(しんし)に受け止め、取り急ぎしっかりと対策を取り、改善に努める」と返信した。
バランスに苦慮も
  軽犯罪法は、正当な理由なく浴場など、通常衣服をつけないでいるような場所をひそかにのぞき見た者を、拘留または科料に処すると規定する。
  露天風呂ののぞき見は同法に違反し、盗撮に及べば罪はさらに重い。今回のように、位置関係から他人の入浴姿が予期せぬ形で目に入った場合は通常、処罰対象ではないとみられる。
  そして何よりも露天風呂の大きな魅力は眺望や開放感。リスク対策を強めれば、そうした魅力の低下を招きかねず、運営側がバランスに苦慮することも珍しくない
  冒頭の女性客は、そうした事情は理解しつつも「今回のケースでは、海に浮かぶ船などから見られる可能性は承知していたが、まさか客室から見えるとは思ってもみなかった。客にリスクの説明を怠っていたことが問題であり、同じようなことが起きないようにしてほしい」と求めている。(岡嶋大城)


2023.02.28-NHK NEWS WEB-https://www3.nhk.or.jp/news/html/20230228/k10013993571000.html
福岡 老舗旅館 社長 “大浴場の湯 年に2回交換は自身が指示”

  大浴場の湯を年に2回しか交換していなかったなどとして、福岡県から改善指導を受けた、筑紫野市にある老舗旅館が記者会見を開き、運営会社の社長は年に2回の交換は自身が指示したと明らかにし「深く反省し、おわび申し上げたい」と謝罪しました。

  筑紫野市の二日市温泉にある老舗旅館「大丸別荘」は、県の条例で週に1回以上、すべて入れ替えなければならない大浴場の湯を年2回の休館日にしか交換せず、消毒用の塩素の注入も怠り、基準値の最大3700倍のレジオネラ菌が検出されて、去年12月、県から改善指導を受けました。
  旅館の運営会社の山田真社長は28日、福岡市内で記者会見を開き「私の浅はかな考えで皆様にご迷惑をおかけし、二日市温泉の名を汚したことを大変深く反省し、おわび申し上げたい」と謝罪しました。
  そのうえで「2019年12月ごろ、私が社員に『湯の交換は、お盆と正月の年に2回でいい』などと指示した。レジオネラ菌は大した菌ではないという認識だった。源泉の湯を1分間に70リットルほど入れ、ろ過して循環する装置もあるので水質はいいだろうと思っていた。塩素は臭いが嫌いだった」と話しました。
  また、当初、保健所に湯の交換は適正だったなどと虚偽の説明をしていたことについては、「検査に合格したいという思いがあった」などと述べました。


温泉
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』


  温泉は、地中から熱水泉)が湧き出している現象や場所、湯そのものを示す用語である。その熱水泉を用いた入浴施設やそれらが集まった地域(温泉街温泉郷)も一般に温泉と呼ばれる。人工温泉と対比して「天然温泉」と称する場合もある。
  熱源で分類すると、火山の地下のマグマを熱源とする火山性温泉と、火山とは無関係に地熱などにより地下水が加温される非火山性温泉に分けられる。含まれる成分により、様々な色、におい、効能の温泉がある。
  広義の温泉(法的に定義される温泉)日本温泉法の定義では、必ずしもの温度が高くなくても、普通の水とは異なる天然の特殊な水(鉱水)やガスが湧出する場合に温泉とされる(後節の「温泉の定義」を参照)。温泉が本物か否かといわれるのは、温泉法の定義にあてはまる「法的な温泉」であるのかどうかを議論する場合が一般的である(イメージに合う合わないの議論でも用いられる場合がある)。
  湧出している熱水泉を、温かく感じるか冷たく感じるかは、個人差や環境に左右される面があり、世界各地ではその国の一年の平均気温を基準として、「温泉」とするかどうかの温度が定められている。日本では温泉法によって25度となっている。他国では、南アフリカでは25度、アメリカ合衆国では華氏70度(摂氏21.1度に相当)、イギリス・フランス・ドイツでは20度が基準である。

温泉の成り立ち
  地熱で温められた地下水が自然に湧出するものと、ボーリングによって人工的に湧出あるいは揚湯されるもの(たとえ造成温泉でも)どちらも、温泉法に合致すれば温泉である。温泉を熱源で分類すると、火山の地下のマグマを熱源とする火山性温泉と、火山とは無関係の非火山性温泉に分けられる。非火山性温泉はさらに、地下深くほど温度が高くなる地温勾配に従って高温となったいわゆる深層熱水と、熱源不明のものに分けられる。また特殊な例として、古代に堆積した植物亜炭に変化する際の熱によって温泉となったモール泉が北海道の十勝川温泉などに存在する。
  火山性温泉は当然ながら火山の近くにあり、火山ガス起源の成分を含んでいる。深層熱水は平野盆地の地下深部にあってボーリングによって取り出されることが多く、海水由来の塩分や有機物を含むことがある。
  非火山性温泉の中には通常の地温勾配では説明できない高温のものがあり(有馬温泉湯の峰温泉松之山温泉など)、その熱や成分の起源についていくつかの説が提案されているが、いずれも仮説の段階である。
  飛越地震後に新たに泉温70度の温泉が噴き出した立山の新湯東日本大震災後に泉温が上昇した割石温泉など地震による温泉の変動が見られることがある。
日本の温泉
  環境省によると、日本には2016年度時点で3038の温泉地(源泉数は2万7422)がある。温泉はヨーロッパでは医療行為の一環として位置付けられる側面が強いが、日本では観光を兼ねた娯楽である場合が多い。学校合宿修学旅行に取り入れる例も多い。もちろん、湯治に訪れる客も依然として存在する。
歴史
  日本は火山が多いために火山性の温泉が多く、温泉地にまつわる神話開湯伝説の類も非常に多い。神話の多くは、温泉の神とされる大国主命少彦名命にまつわるものである。例えば日本三古湯の一つ道後温泉について、『伊予国風土記』逸文には、大国主命が鶴見岳(現在の大分県別府市)の山麓から湧く「速見の湯」(現在の別府温泉)を海底に管を通して道後温泉へと導き、少彦名命の病を癒したという神話が記載されている。
  また、発見の古い温泉ではその利用の歴史もかなり古くから文献に残されている。文献としては『日本書紀』『続日本紀』『万葉集』『拾遺集』などにの神事や天皇の温泉行幸などで使用されたとして玉造温泉有馬温泉道後温泉白浜温泉秋保温泉などの名が残されている。平安時代の『延喜式神名帳』には、温泉の神を祀る温泉神社等の社名が数社記載されている。日本の温泉旅館のうち、「慶雲館」(西山温泉)、「千年の湯 古まん」(城崎温泉)、「法師」(粟津温泉)はいずれも飛鳥時代創業とされており、宿泊施設として世界でも現存最古級である。
  考古学の観点からは、を含む温泉に、塩分を求めて草食動物が集まり、その動物たちを狩る人間が温泉の周りに集まり、人の営みが生まれ、温泉に親しむ日本の文化が生まれたのではという推察がある。
六国史に見える温泉の記述
日本書紀
  ・舒明天皇3年(631年)9月19日:「幸干摂津国有間温泉
  ・同年12月13日:「天皇至自温湯」
  ・舒明天皇10年(638年)10月:幸有間温湯宮
  ・大化3年(647年)10月11日:天皇幸有間温湯
  ・斉明天皇3年(657年)9月:有間皇子性黠 陽狂云々 往牟婁温湯為療病(和歌山県南紀白浜温泉
  ・斉明天皇4年(658年)10月15日:幸紀温湯(和歌山県南紀白浜温泉)
  ・斉明天皇5年(659年)1月3日:天皇至自紀温湯
  ・続日本紀
     大宝元年(701年)10月8日:車駕至武漏温泉(和歌山県南紀白浜温泉)
  ・続日本後紀
     承和4年(837年)4月16日:陸奥国 玉造塞温泉石神 雷響振動(宮城県鳴子温泉
     承和7年(840年)9月8日:以伊予国温泉郡定額寺為天台別院(愛媛県道後温泉
     承和10年(843年)9月5日:奉授陸奥国 无位玉造温泉神(宮城県鳴子温泉)
  ・日本三代実録
     貞観2年(860年)2月8日:進肥前国温泉神従五位上長崎県雲仙温泉
     貞観5年(863年)10月7日:授下野国従五位上勳五等温泉神従四位下栃木県那須湯本温泉
     貞観9年(867年)2月26日:大宰府 従五位上火男神 従五位下火売神 二社豊後国速見郡鶴見山嶺 山頂有三池 一池泥水色 一池黒 一池 去正月廿日池震動 其聲如雷 俄而如流黄 遍満国内 磐石飛乱 上下無数 石大者方丈 小者如甕 晝黒雲蒸 夜炎火熾 沙泥雪散 積於數里 池中元出温泉 泉水沸騰 自成河流 山脚道路 徃還不通 温泉之水 入於衆流 魚醉死者无万數 其震動之聲經歴三日(大分県別府温泉
     貞観11年(869年)2月28日:進下野国従二位勳四等二荒神階加正二位 授従四位下勳五等温泉神従四位上(栃木県那須湯本温泉)
     貞観15年(873年)6月26日:授出羽国正六位上酢川温泉神従五位下(山形県蔵王温泉
  鎌倉時代以降になると、それまで漠然として信仰の存在となっていた温泉に対し、医学的な活用が増え、実用的、実益的なものになった。一遍らの僧侶の行う施浴などによって入浴が一般化した。鎌倉中期の別府温泉には大友頼泰によって温泉奉行が置かれ、元寇の戦傷者が保養に来た記録が残っている。さらに戦国時代の武田信玄上杉謙信は特に温泉の効能に目を付けていたといわれる。
  江戸時代頃になると、農閑期に湯治客が訪れるようになり、それらの湯治客を泊める宿泊施設が温泉宿となった。湯治の形態も長期滞在型から一泊二日の短期型へ変化し、現在の入浴形態に近い形が出来上がった。
  貝原益軒後藤艮山宇田川榕庵らにより温泉療法に関する著書や温泉図鑑といった案内図が刊行されるなどして、温泉は一般庶民にも親しまれるようになった。この時代は一般庶民が入浴する雑湯と幕吏代官藩主が入浴する殿様湯、かぎ湯が区別され、それぞれ「町人湯」「さむらい湯」などと呼ばれていた。各藩では湯役所を作り、湯奉行、湯別当などを置き、湯税を司った。
  一般庶民の風習としては正月の湯、寒湯治、花湯治、秋湯治など季節湯治を主とし、比較的決まった温泉地に毎年赴き、疲労回復と健康促進を図った。また、現代も残る「湯治風俗」が生まれたのも江戸時代で、砂湯打たせ湯、蒸し湯、合せ湯など、いずれもそれぞれの温泉の特性を生かした湯治風俗が生まれた。
  そして上総掘りというボーリング技術による源泉の掘削「湯突き」が19世紀末にかけて爆発的に普及した事で、明治以降には温泉資源を潤沢に利用出来るようになった。日本の温泉源泉総数のうちおよそ1/10を抱える大分県別府市では、1879年(明治12年)頃にこの技術が導入されて温泉掘削が盛んとなり、発展した。
温泉と医療
  湯を使う風呂が一般的でなく、衛生に関する知識や医療が不十分であった時代には、温泉は怪我病気に驚くべき効能がある、ありがたい聖地であった。各温泉の起源伝説には、鹿や鷺(サギ)などの動物が傷を癒した伝説や、施浴などを通して入浴を奨励する仏教の影響で弘法大師等高名な僧侶が発見した伝説が多い。このような場所は神社が所有していたり、近隣共同体の共有財産であったりした。
  明治時代になると温泉の科学的研究も次第に盛んになった。昭和以降は温泉医学及び分析化学の進歩によって温泉の持つ医療効果が実証され、温泉の利用者も広範囲に渡った。
  1931年(昭和6年)、九州大学が豊富な温泉資源に恵まれた別府温泉に温泉治療学研究所を設置したのをはじめ、温泉療法の研究が国立6大学に広がり盛んになった。1935年(昭和10年)には日本温泉気候学会が設立され、温泉気候およびその医学的応用に関する学術的研究が進む。日本温泉気候学会から改称された日本温泉気候物理医学会は、温泉療法医・温泉療法専門医の認定を行っている。三朝温泉ではラジウムの効能に目を付けて1939年(昭和14年)に温泉療養所が設けられるなど、温泉と近代医学を結びつける温泉療法の研究が行われてきた。また太平洋戦争後は原子爆弾被爆者別府温泉療養研究所が開設され、被爆者援護においても温泉療法の研究が行われた。
  いわき湯本温泉近くにある競走馬リハビリテーションセンター馬の温泉のように、競走馬の湯治として活用されている温泉施設もある。
  日本の環境省は、温泉法第18条などで、温泉の効用に当たる「適応症」と、逆に温泉に入ることで病状が悪化する可能性のある「禁忌症」を定めている。かつて妊娠中の女性が温泉に入ると、流産早産を招くという意見があったが、科学的根拠は無く、妊婦が温泉に入っても健康上の問題はないとされる。
温泉と健康
  現在では、予防医学などの観点から全国の温泉地で色々な取り組みがなされている。温泉と健康について研究されている地域は、湯原温泉(岡山県真庭市)で病院と温泉宿泊施設と連携した「人間ドック付宿泊プラン」(湯煙ドッグ)などの町ぐるみで温泉を健康増進や療養に積極的に利用している。また温泉の泉質により異なる入浴方法を入浴者にわかりやすく指南できる、市民を育成「温泉指南役」という制度で正しい入浴の仕方を啓蒙している。
温泉とレジャー
  1929年(昭和4年)から翌年にかけて国民新聞主催で「全国温泉十六佳選」という読者投票イベントが実施され、各地の温泉に関心が注がれた。
  箱根温泉神奈川県足柄下郡箱根町)や熱海温泉(静岡県熱海市)のように交通が便利な地域に形成された大規模な温泉街もあれば、交通の便が悪い山奥などにあるものの泉質や閑静な雰囲気などを求める秘湯めぐりというジャンルもある。
  1950年代には、温泉地に向かう鉄道の臨時電車も設定されるなど、戦後の混乱から徐々に脱却し、温泉地に向かう余裕のある客も増えてきたが、さすがに年末年始の時期に温泉に向かう客は少なく、週末に東京から伊豆方面へ温泉客を運んでいた臨時電車「いこい」「いでゆ」(現在の特急踊り子号の前身)が運休する年もあった。
  バブル期のリゾートマンションには、天然温泉付きというものもあった(そういった名称ではないものの1960年前後に既に存在したという説もある)。
  1997年の多摩テッククア・ガーデン」(既に閉園)を先駆けとし、テーマパーク遊園地)に天然温泉施設を併設する動きが2000年代初頭に相次いだ。
  神奈川県足柄下郡箱根町では、箱根彫刻の森美術館足湯が存在している。
入浴以外での利用
景観
  火山性温泉の周辺には、火山活動に伴う地形や現象などが観光資源になっている例もある(大涌谷や各地の地獄谷など)。成分や湯温などが入浴に適さないなどの理由で、観光客が見て楽しむ熱水泉もあり、別府地獄めぐりや世界各地にある間欠泉が有名である。
  地獄谷温泉 (長野県)は人間が泊まる温泉宿以外に、ニホンザル露天風呂につかる地獄谷野猿公苑があることで日本国外にも知られている。
湯の花などの採取
  温泉に含まれる成分が析出沈殿したものを「湯の花」と呼ぶ。採取して入浴剤などとして販売している温泉地もある。明礬温泉(別府市)の「湯の花小屋」における湯の花からの明礬製造技術は国の重要無形民俗文化財に指定されている。
  大塩裏磐梯温泉(福島県)では、濃い食塩泉を煮詰めて製塩(山)が行われている。
食品加工などへの利用例
  ・地獄蒸し - 別府市の鉄輪温泉が有名。温泉の蒸気熱を利用した地獄釜で魚や野菜を蒸す。成分が逃げないのが特徴。
  ・温泉卵 - 高温の源泉につけて卵をゆでる。
  ・野沢温泉長野県)では、収穫後の野沢菜の下ごしらえに利用したり、冬季に凍っている野沢菜をゆでたりするために温泉を用いている。また下ごしらえの場所として共同浴場の湯船を利用することでも知られている。
  ・温泉納豆 - 黒石温泉郷や、四万温泉などで見られる。
  ・肥料 - 富山県砺波市では、マグネシウムなどミネラル分を含んだ温泉水を肥料として「庄川おんせん野菜」を育てている。
その他の温泉熱利用
  土湯温泉(福島県)では温泉熱をテナガエビ養殖地熱発電に、草津温泉(群馬県)では水道水の加温や暖房、道路の融雪に利用している。
温泉泥の利用
  ファンゴティカ - 別府では、多彩な泉質の源泉に見られる色とりどりの温泉泥の利用を大分大学医学部、広島大学日本文理大学パドヴァ大学(イタリア)、大分県産業科学技術センターなどが共同で研究して温泉泥美容ファンゴティカが開発されている。
硫化水素の危険性
  2014年北海道足寄町の温泉施設で、入浴中の男性が温泉由来の硫化水素により意識不明の重体となった。事故を受けて行われた環境省の全国調査では、4,438施設のうち33施設で国の基準を超える量の硫化水素を検出している。
提供形態
温泉の要素(温泉には以下の要素がある。)
泉温 泉温は湧出口(通常は地表)での温泉水の温度とされる。泉温の分類としては鉱泉分析法指針では冷鉱泉・微温泉・温泉・高温泉の4種類に分類される。
  泉温の分類は、や分類者により名称や泉温の範囲が異なるため、世界的に統一されているというわけではない。
溶解成分(泉質)
  溶解成分は人為的な規定に基づき分類される。日本では温泉法及び鉱泉分析法指針で規定されている。鉱泉分析法指針では、鉱泉の中でも治療の目的に供しうるものを特に療養泉と定義し、特定された八つの物質について更に規定している。溶解成分の分類は、温泉1kg中の溶存物質量によりなされる。
湧出量
  湧出量は地中から地表へ継続的に取り出される水量であり、動力等の人工的な方法で汲み出された場合も含まれる。
  温泉の三要素は温泉の特徴を理解するために有益であるが、詳しくは物理的・化学的な性質等に基づいて種々の分類及び規定がなされている。
浸透圧
  鉱泉分析法指針では浸透圧に基づき、温泉1kg中の溶存物質総量ないし凝固点(氷点)によって 低張性・等張性・高張性 という分類も行っている。
温泉法による温泉の定義
  日本では、1948年(昭和23年)7月10日に温泉法が制定された。この温泉法第2条(定義)によると、温泉とは、以下のうち一つ以上が満たされる「地中からゆう出する温水、鉱水及び水蒸気その他のガス(炭化水素を主成分とする天然ガスを除く。)」と定義されている(法的な定義による広義の温泉)。
  1泉源における水温が摂氏25度以上。(摂氏25度未満のものは、冷泉または鉱泉と呼ぶ事がある)
  2水温にかかわらず、以下の成分のうち、いずれか1つ以上のものを含む。(含有量は1kg中)
     溶存物質(ガス性のものを除く。) 総量1000mg以上-遊離炭酸(CO2) 250mg以上-リチウムイオン(Li+) 1mg以上-ストロンチウムイオン(Sr2+) 10mg以上-バリウムイオン(Ba2+) 5mg以上-フェロ又はフェリイオン(Fe2+,Fe3+) 10mg以上-第一マンガンイオン(Mn2+) 10mg以上-水素イオン(H+) 1mg以上-臭素イオン(Br-) 5mg以上-沃素イオン(I-) 1mg以上-フッ素イオン(F-) 2mg以上-ヒ酸水素イオン(HAsO42-) 1.3mg以上-メタ亜ひ酸(HAsO2) 1mg以上-総硫黄(S)[HS-,S2O32-,H2Sに対応するもの] 1mg以上-メタホウ酸(HBO2) 5mg以上-メタけい酸(H2SiO3) 50mg以上-重炭酸ソーダ(NaHCO3) 340mg以上-ラドン(Rn) 20×10-10Ci以上-ラジウム塩(Raとして) 1億分の1mg以上
温泉の種類
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療養泉でない温泉
  温泉法で定められた温泉の定義には当てはまるが、上記11種の分類に収まらない温泉(鉱泉)も有る。具体的には、湧出温度25℃未満であり、含有成分が1000mg/kg以上含んでいる、またはメタケイ酸・メタほう酸などは規定量以上含んでいるが、療養泉の指定成分を規定量以上含まない温泉である。これらは泉質分類ができず便宜上の通称として“温泉法上の温泉”、“含フッ素泉”、“メタほう酸泉”、“メタケイ酸泉”、“単純泉”、“冷鉱泉”などとその特性に応じて名づけられる。正式な適応症の掲示はできないが、加温して温浴する場合は一般的適応症と同様の効能が期待できる。
世界の温泉
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温泉記号・温泉マーク
  地図記号としての「温泉記号」については、「温泉マーク」の項目を参照のこと。
  文字としての温泉マークは、「♨」。温泉マークの文字参照による表記方法は、♨(♨)である。
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https://www.spa.or.jp/onsen/
一般社団法人温泉協会  温泉名人 HP
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  温泉は、古くから多くの人々に愛されてきました。
  ところで、私たちが日頃楽しみにしている「温泉」そのものは、地球の中で一体どのようにつくられて湧いてきているのかご存じでしょうか?
  私たちが入浴している温泉の殆どは、雨や雪が地中にしみ込んで何年か後に温度や成分などを得て、再び地上に出てきた「循環水」であることが、近年の研究によって明らかになってきました。
  温泉は「火山性の温泉」と「非火山性の温泉」に大別でき、非火山性の温泉は「深層地下水型」と「化石海水型」などに分類することができます。地表に降った雨や雪が、どのようにして温泉となるのか、成因のメカニズムについて簡単にまとめてみましょう。
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火山性温泉
  火山地帯では地下数㎞~10数㎞の部分に、深部から上昇してきたマグマがマグマ溜まりをつくり1000℃以上の高温になっています。
  地表に降った雨や雪の一部は地中にしみ込んで地下水となります。この地下水がマグマ溜まりの熱で温められ、断層等の地下構造や人工的なボーリングなどによって地表に湧き出してきたものが火山性の温泉です。
  マグマのガス成分や熱水溶液などが混入したり、流動中に岩石の成分を溶解することなどにより、温泉の様々な泉質が形成されると考えられています。
非火山性温泉-深層地下水型-
  地下では、深度が深くなるほど地温が上昇し、一般的に100mごとに温度が約3℃ずつ上昇すると言われています。これを地下増温率と呼んでいます。
  例えば、地表の温度が15℃と仮定すると、地下増温率によって一般的には地下1000mの地温は45℃、1500mでは60℃となります。
  また、マグマが冷えた高温岩帯と呼ばれる高温の岩石が地下にあるケースがあります。降水の一部が地中にしみ込んだ地下水が、高温岩帯や地下増温率による地熱を熱源として温められたものが、非火山性温泉の深層地下水型と考えられています。
  温泉が湧出する機構や泉質は、火山性の温泉と同様と考えられています。
非火山性温泉-化石海水型-
  太古の地殻変動などで古い海水が地中に閉じこめられている場合があります。これを化石海水と呼んでいます。
  火山や高温岩帯が無い地域で、化石海水が地表から数百メートルにある場合には、地下増温率でそれほど高温にはなりません。水温が25℃未満でも、化石海水は塩分を多量に含んでいるので、温泉法で規定した温泉に該当します。
  また、海に近い地域においては、現在の海水や地下水が化石海水に混入しているケースもあります。
その他の非火山性温泉
  現行の温泉法では、規定された成分が一種類でも一定量以上含まれていれば、泉温が25℃に満たなくても温泉となります。
  したがって、深層・浅層を問わず、ボーリングなどによって地中から湧出した時の水温が25℃未満のものでも、規定された成分が一定量以上含まれていれば温泉法上の温泉となります。
  なお、このような温泉の場合、含有される成分によっては泉質名が付けられないものもあります。
温泉を末永く利用するために
  テクノロジーの進歩により、近年1000メートルを超える大深度の掘削が可能となりました。1000メートルを超える大深度まで降水が浸透するには、50年~100年以上という非常に長い時間を要します。
  地中に浸透した雨や雪が温泉として再び湧出するまで、どの位の年月がかかるのかを推定することで、水循環のサイクルが分かるようになっています。 温泉を末永く利用するためには、強制的なポンプアップなどによる急激な汲み上げで水収支を崩さない配慮が必要であると同時に、温泉の涵養源となる地域の保護も必要となっています。







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