NPT(核拡散防止条約の問題-1)



2022.08.27-産経新聞-https://www.sankei.com/article/20220827-6CY3Y7J2QFJ3LF7GB6PEDWBPFE/
NPT決裂、ロシアが最終文書採択に反対 核軍縮の機運さらに停滞

  【ニューヨーク=平田雄介】国連本部で開催中の核拡散防止条約(NPT)再検討会議は最終日の26日、全体会合を開いたが、ロシアが最終文書の採択に反対し、決裂した。最終文書の採択は全会一致が原則。露代表は「最終文書の記述はバランスが取れていない。複数の項目に含まれている露骨に政治的な要素に反対している」と説明した。

  再検討会議の決裂は前回2015年から2回連続。各国の代表から「失望」の声が相次いだ。ロシアのウクライナ侵攻が続く中、具体的な成果を出せなかったことで、核軍縮の機運はさらに停滞しそうだ。
  日本の岸田文雄首相も出席して1日に始まった再検討会議では、核兵器の使用も辞さない姿勢でウクライナに侵攻したロシアの「核の恫喝(どうかつ)」や、ウクライナ南部ザポロジエの原子力発電所を占拠したことへの非難が相次ぎ、ロシアが反発していた。
  採択されなかった最終文書案は、ウクライナの核放棄と引き換えにロシアなどが同国の安全を保障した1994年の「ブダペスト覚書」に言及していた。ロシアが約束をほごにしてウクライナを侵略したことを念頭に置いている。
  最終文書案はまた、ザポロジエ原発について「ウクライナ当局による管理が最も重要である」と記し、ロシアに管理権を返還するよう暗に求めていた。軍縮筋によると、ロシアは強く反対していたという。
  26日の全体会合は、予定より4時間以上遅れて始まった。ロシアとの調整が続いていたとみられる。スラウビネン議長は会合で「1カ国から最終文書案への反対を伝えられた。非常に残念だ」と述べた。

  露代表はこれに「1つの国だけが反対しているという主張を拒否する。反対する国はわれわれだけではないはずだ」と反論した。
  前回の再検討会議は、中東の非核兵器地帯構想をめぐり加盟国の意見が対立して決裂した


2022.08.02-NTT NEWS WEB-https://www3.nhk.or.jp/news/html/20220802/k10013747141000.html
岸田首相「核戦力透明化を」NPT再検討会議で演説 行動計画表明

  岸田総理大臣は、日本時間の2日未明、NPT=核拡散防止条約の再検討会議で演説しました。核保有国に核戦力の透明化を促すなど、日本の行動計画を表明し、NPT体制の維持・強化に向けて各国に建設的な対応を呼びかけました。

  岸田総理大臣は、アメリカ・ニューヨークの国連本部で始まったNPTの再検討会議に日本の総理大臣として初めて出席し、英語で演説しました。冒頭、岸田総理大臣は「ロシアによるウクライナ侵略の中で核による威嚇が行われ、核兵器の惨禍が再び繰り返されるのではないかと、世界が深刻に懸念している。『核兵器のない世界への道のりは、いっそう厳しくなっている」と述べ、核軍縮をめぐる現状が厳しさを増しているという認識を示しました。

  その上で「NPTは、軍縮・不拡散体制の礎石として国際社会の平和と安全の維持をもたらしてきた。会議が意義ある成果を収めるため、協力しようではないか。わが国は、ここにいる皆さまとともにNPTをしっかり守り抜いていく」と述べ、NPT体制の維持・強化に向けて各国に建設的な対応を呼びかけました。
  
そして、核兵器廃絶を目指す日本の現実的な行動計画として、5つの柱からなる「ヒロシマ・アクション・プラン」を表明しました。
具体的には
  核兵器不使用の継続の重要性を訴えていくとともに、
  核保有国に核兵器に使われる核物質の生産状況の情報開示を求めるなど、核戦力の透明化を促すとしています。
また、
  ◇核兵器を減らすため、アメリカとロシア、アメリカと中国の対話を後押しするとともに、核実験を全面的に禁じるCTBT=包括的核実験禁止条約の発効を目指す首脳級の会合を、9月の国連総会にあわせて日本が主催するとしています。
さらに
  北朝鮮の核・ミサイル問題などに取り組むほか、
  世界の若者に広島や長崎を訪問してもらうため、国連に1000万ドルを拠出し、基金を創設するとしています。
このほか、核軍縮をめぐって広島に各国の首脳らを招く「国際賢人会議」を11月23日に開催する日程を明らかにしました。

  そして、岸田総理大臣は、来年、日本が議長国として被爆地・広島でG7=主要7か国首脳会議を開くことに触れ「広島の地から、核兵器の惨禍を2度と起こさないとの力強いコミットメントを世界に示したい」と訴えました。
  最後に、みずからが折った一羽の折り鶴を手で掲げながら「折り鶴は、世界中で平和と『核兵器のない世界』を祈る象徴となっている。志を同じくする世界中の皆さまとともに歩みを進めていく」と決意を示しました。
岸田首相「理想に向け第一歩」
  岸田総理大臣は、演説のあと記者団に対し「各国とともに日本もNPTを守り抜いていくという強い決意を示すことがまず大事だと思い、スピーチを作った。『核兵器のない世界』という理想に向けて、現実的なロードマップをしっかり示していく。そのための第一歩として『ヒロシマ・アクション・プラン』という5つの行動を示した」と述べました。
  その上で「このスピーチを来年の『G7広島サミット』につなげるためにも、まずは今回のNPTの運用検討会議で、ぜひ具体的な成果を出すために、しっかり努力していきたいと思っている」と述べました。
展示スペースで広島県の取り組みなど視察
  岸田総理大臣は、NPTの再検討会議の出席に先立って、会場の国連本部の一角に設けられた展示スペースを視察しました。そこには、広島県のこれまでの核兵器廃絶に向けた取り組みなどを紹介したのぼりが置かれていて、岸田総理大臣は、同行した広島県の湯崎知事から概要について説明を受けたあと、一緒に記念撮影を行っていました。
核兵器を持たない国の会合に出席
  岸田総理大臣は、日本時間の2日未明、核軍縮で日本と同じ立場の非核保有国でつくる、NPDI=軍縮・不拡散イニシアチブの会合にも出席しました。
  この中で「『核兵器のない世界』への道のりは、いっそう厳しくなっているが、理想に向けて現実的な歩みを一歩ずつ進めなければならない。その原点がNPTで、維持・強化することは国際社会全体にとって利益だ」と訴えました。
  その上で「非核保有国によるNPDIは、核軍縮や核不拡散の議論をリードする、キープレーヤーがそろっている。『核兵器のない世界』に向け、まずは、今回のNPTの運用検討会議が意義ある成果を収めることが極めて重要で、このメンバー国とともに全力を尽くす」と述べました。





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