岸田文雄首相-1
2023.05.29-産経新聞-https://www.sankei.com/article/20230529-YSMWW5XNEZI7FNWUO5OFIE5B6Q/
岸田首相の長男、翔太郎秘書官を更迭 公邸内の不適切行動に批判
政府は29日、
首相公邸内で親族と記念写真を撮るなど不適切な行動が批判された
岸田文雄首相の長男の翔太郎首相秘書官(政務担当)が6月1日付で辞職し、後任に
山本高義元首相秘書官を充てる人事を発表した。事実上の首相による更迭となる。6月21日の今国会会期末が迫り、重要法案の審議が残っている中、政権運営へのダメージ回避を図ったとみられる。
26日の参院予算委員会では、
立憲民主党の田名部匡代氏が「公私混同がはなはだしい」と追及。首相は「公邸内には迎賓機能や執務機能を有する公的なスペースがあり、不適切な行動だった」と陳謝し、本人に厳重注意したと説明した。更迭は否定していた。
ただ、与党からも「大変遺憾だ」(公明党の石井啓一幹事長)などと批判が出ており、更迭が不可避な情勢となった。
首相は2月にも、
LGBTなど性的少数者に対する差別発言をした当時の首相秘書官、荒井勝喜氏(経済産業省出身)を交代させた。今年、首相秘書官2人を更迭する異例の事態となった。
2023.05.06-産経新聞-https://www.sankei.com/article/20230506-XPAB5YZHAFMKDBJMQAYIUAPRUA/
爆弾の殺傷能力焦点、殺人未遂容疑も視野 首相襲撃再逮捕
岸田文雄首相の演説会場に爆発物が投げ込まれた事件で、
和歌山県警は6日、兵庫県川西市の無職、A容疑者(24)を再逮捕した。今回適用したのは無許可で火薬を製造したとする火薬類取締法違反容疑。A容疑者が黙秘を続ける中で、客観証拠で裏付けられる手堅い行為から立件した印象だ。今後の焦点は使用された自作の「パイプ爆弾」に殺傷能力があったかどうか。鑑定結果によっては殺人未遂容疑も視野に入る。
捜査関係者によると、A容疑者は現場となった和歌山市の雑賀崎(さいかざき)漁港の演説会場にパイプ爆弾2本を持ち込んだ。爆発したのはうち1本で、パイプ本体とみられる部品は投げ込まれた場所から約40メートル離れた倉庫近くのいけすの網から発見された。さらにその約20メートル先のコンテナには爆弾の蓋とみられる破片が突き刺さっており、いずれも爆発によって相当な初速で吹き飛んだとみられる。
もう1本は爆発せずに現場に残っており、黒色火薬とみられる粉末が詰め込まれていたことが分かっている。和歌山県警はこの1本の内容物を精査、複製品を作った上で爆発の再現実験を行い、殺傷能力を調べる方針だ。
今後の捜査の行方について
「パイプ爆弾の殺傷能力が最大のポイントになる」と話すのは、甲南大の園田寿(ひさし)名誉教授(刑事法)。仮に殺傷能力があると客観的に判断された場合、A容疑者がその威力を認識していれば、殺人の故意があったという立証に近づく。
ターゲットを絞り込む「銃撃」という手法と違って、爆発物を投げ込めば、複数人が巻き込まれるのが通常だ。園田氏によれば、
岸田首相を狙って投げて首相以外の周囲の人間が負傷した場合でも、「何人かは巻き込まれるだろう」と容疑者が認識していれば、複数人に対する「概括的故意」があったとして、首相以外に対する殺人未遂罪に問うことも可能という。
A容疑者は被選挙権年齢を25歳以上とする現行の選挙制度に不満を抱き、国家賠償請求訴訟を起こしていたことが分かっている。自ら作成した訴訟の準備書面などでは政権批判も繰り返していたが、逮捕後は黙秘を貫き、事件の動機は語っていない。
園田氏は容疑者の精神状態を解明するため、今後鑑定留置が行われる可能性も指摘。
「選挙制度や政治に不満があってなぜ首相を襲撃しようとなるのか。刑事責任能力の有無は当然問題になるだろう」とみる。
2023.04.19-Yahoo!Japanニュース(朝日新聞)-https://news.yahoo.co.jp/articles/d9daed03e360298ff22441c120a3cddb67d227a5
首相襲撃爆発物 破片60メートル先コンテナに 和歌山県警押収
【駒木智一、大塚愛恵、高良駿輔】
岸田文雄首相が和歌山市の衆院補選の応援演説会場で爆発物を投げつけられた事件で、筒状の爆発物に付いていたとみられる破片が現場から
約60メートル先のコンテナで見つかっていたことが、捜査関係者への取材で判明した。爆発物のふたとみられ、コンテナの側面に突き刺さった状態だったという。和歌山県警はこの破片を押収して詳しい分析を進めるとともに、爆発物の威力を調べている。
この事件では
無職のA容疑者(24)=威力業務妨害容疑で逮捕=が15日午前11時25分ごろ、和歌山市の雑賀崎(さいかざき)漁港でパイプ爆弾とみられる爆発物を演説会場に持ち込み、約10メートルの距離から岸田首相を狙って投げつけたとされる。A容疑者は現場で地元漁師らに取り押さえられた。
県警によると、A容疑者が爆発物を投げ込んだとされる現場から南東約40メートルにあるいけす(高さ約3メートル)の網の上で、破損した筒が見つかっている。そばにある倉庫の壁には何かがめり込んだ跡があるのも分かっている。
捜査関係者などによると、県警が現場周辺を詳しく調べた結果、さらに約20メートル先のコンテナ(高さ約2・3メートル)の側面に金属の破片が突き刺さっていたことが判明した。爆発した筒に付着していたふたの可能性が高く、県警が18日に押収したという。このコンテナはA容疑者が爆発物を投げ込んだとされる場所から南東に約60メートルの位置にある。
コンテナの側面には、地上から約2メートルの位置に直径数センチの穴が残されていたことも判明。地元漁協の幹部らも立ち会い、破片がめり込んでいるのを確認したという。幹部は取材に、県警の捜査員から「これまで見つかっていなかった爆発物のふたとみられる」との説明を受けたと証言した。
事件当時は会場に約200人の聴衆が集まっていた。爆発に伴って破損した筒やふたが聴衆の間を通過していった可能性があり、県警が詳しい状況を確認している。会場では男性警察官が軽傷を負ったほか、聴衆の70代男性も背中に擦り傷が確認されている。
【駒木智一、大塚愛恵、高良駿輔】
2023.04.18-ytv news(読売新聞)-https://www.ytv.co.jp/press/kansai/detail.html?id=d59b40327e2c40579c1a6db6745ae5a1
“首相襲撃”男は選挙制度に不満、立候補できず国を提訴 警察は海中で爆発物の破片を捜索 足取りは…
和歌山市で、
岸田首相の演説直前に爆発物が投げ込まれた事件で、逮捕された兵庫県川西市のA容疑者(24)が、昨年、国会議員の選挙制度に不満を持ち、国を相手に裁判を起こしていたことがわかりました。
事件発生から3日がたった18日。現場では、新たな動きが…。
古井林太郎記者「現場では警察による海中の捜索活動が続いています。爆発物の破片などを探していると見られます」 警察のダイバーらが、現場のすぐ横にある海に入り、爆発物の破片を探す作業を始めました。
岸田首相の演説会場で起こった爆発。投げ込まれた爆発物は、衝撃で聴衆を飛びこえ、約40メートル先で、筒状のものが見つかりました。近くの小屋の壁には、大きなへこみが見つかり、爆発物が当たってできた可能性もあります。
警察はこの日、さらに奥の方へと範囲を広げて、遺留品を調べていました。破片をすべて集め、場所や形状を把握することで、どの程度の威力があったのか確認するのが狙いです。一方で、現場で落ちていたA容疑者のリュックサックについては、押収したものの、爆弾が入っている恐れがあり、まだ、中を確認できていないということです。
17日、身柄を検察庁に送られたA容疑者。
小学校・中学校の同級生は-。小・中学校の同級生「すごくまじめでおとなしい性格でした。小学生の時より、おとなしくなっていると思います」 中学校に入り、目立たなくなったといいます。逮捕後は、黙秘を続け、事件について何も語られていません。
そんな中、新たな事実が判明しました。A容疑者は、昨年6月、神戸地裁に裁判を起こしていました。裁判資料からわかるのは、国の選挙制度への不満。
A容疑者は、昨年7月に行われた参議院選挙に、立候補しようとしたものの、被選挙権をみたさず立候補できなかったことで、精神的苦痛を受けたとして、国に対し10万円の損害賠償を求めていました。
訴えは退けられ、大阪高裁に控訴しましたが、昨年12月に提出された書面では、こんな主張を。「投票行為が抑制され、既存の政治家は国民に信任を得ずとも、“統一教会”などの組織票で当選し、利益を不当に独占し、国民に損害を与え続けている」
- さらに、安倍元首相の国葬にも触れ、「反対多数の中で強行した」と、岸田内閣を批判していました。
また、昨年9月には、A容疑者とみられる男が、当時の兵庫・川西市議会議員の市政報告会に参加し、被選挙権について「憲法違反だ」と、話していたこともわかりました。
市政報告会に参加した人「若い子が珍しく来ているなという感じがあった。若い子なのにしつこく聞かれるなというのが正直な感想」
A容疑者の自宅があるのは、報告会が行われた兵庫県川西市。事件現場までは、どのように移動したのでしょうか。
神田貴央記者「ここ南海和歌山市駅では、事件が起きる約1時間前、A容疑者に似た男が、改札を通る姿が映っていたということです」 私たちの取材では、南海電鉄和歌山市駅の防犯カメラにA容疑者とみられる人物が映っていたことがわかっています。駅近くのスーパーマーケットには、よく似た人物が、店内をウロウロする様子が……。
その後、事件の30分ほど前に、演説会場近くのバス停で、よく似た人物が見かけられていました。見かけた住民「バス停で降りて、スマホ見ながら階段を下りて行った。全然、迷うことなく」
そして……。
古井林太郎記者「A容疑者は、この細い道を下りてきた後、200mほど先にある岸田首相の演説会場へと向かったと見られます」 その演説会場へと続く道では、複数の防犯カメラにA容疑者とみられる男が映っていました。中には、岸田首相を乗せた車列を追うかのように、警察官の背後を通っていく姿も……。
その約15分後、事件が起きました。動機の解明が焦点となる一方で、事件現場は近年、要人警護が行われた実績のない場所だったことが、新たにわかりました。事件を未然に防げなかった当日の警備態勢について、すみやかに検証を進めることが求められています。
2023.04.18-dmenuニュース-https://topics.smt.docomo.ne.jp/article/dot/politics/dot-2023041800072?fm=ranking
「火炎瓶なら一発アウト」岸田首相襲撃事件を要人警護のプロが語る「一番の問題は犯行を未然に防げなかったこと」
(編集部・渡辺豪)
選挙の応援演説中の政治家がまたもや標的になった。要人警護の課題にとどまらず、選挙演説の在り方や、国民の危機管理意識も問われている。
衆院補選の応援演説のため和歌山市の雑賀崎漁港を訪れた岸田文雄首相を襲った爆発事件。警察官と聴衆の男性が軽傷を負い、
兵庫県川西市の無職、A容疑者(24)が威力業務妨害容疑で逮捕、送検された。
「パイプ爆弾がすぐに爆発しなかったのが不幸中の幸い。火炎瓶だったら一発アウトでした」 こう警鐘を鳴らすのは、さいたま市に本社のある危機管理コンサルティング会社「セーフティ・プロ」代表取締役で危機管理コンサルタントの佐々木保博さん(65)だ。
A容疑者が投げた手製の爆発物が落下したのは首相の背後。爆発したのは投げられてから約50秒後だった。このタイムラグがあるかないかで、今回の事件の被害規模は大きく変わっていた可能性がある。
■SPの初動は的確だった
元埼玉県警の刑事で要人警護の経験も豊富な佐々木さんは昨年7月に安倍晋三元首相が奈良市内で銃撃された際、警備に穴が開いた要因として「前日夜の安倍元首相のスケジュール変更」と、要人警護に不慣れな地方が現場だった点を挙げた。
今回はどうか。-「警備体制は私服のSPも含め明らかに増強されていました。
岸田首相の背後にSPを配置し、演説場所の前列も関係者で埋めるなど不審者を首相に近寄らせない措置が取られていました。爆発物を投げ込まれた直後のSPの初動も的確で、装備品も有効に使われていたと思います」(佐々木さん)
今回の岸田首相の全国遊説に際しては、
安倍元首相銃撃事件を受けて改正された「新警護要則」に基づき、入念な警備計画が練られたとされる。テレビ映像では、岸田首相のすぐ近くにいたSPが落下した直後の爆発物を蹴り飛ばすのと同時に、携行型の防弾盾を広げて首相の背後を覆いながら迅速に現場から退避させているのが分かる。無駄のない動きが見て取れるが、佐々木さんはこう指摘する。
「一番の問題は犯行を未然に防げなかったこと。この点においては何も変わっていない、と言わざるを得ません」
■日本人の危機意識の低さ
安倍元首相銃撃事件と共通するのは選挙運動中の政治家が狙われた、という点だ。
人の往来が激しい屋外では特に、不審者をチェックして未然に排除するのは難しい。今回の和歌山市での襲撃事件を受けて、演説場所によっては警察が岸田首相らの選挙演説の際、手荷物検査と金属探知機による検査を導入するケースも報道されている。選挙演説の在り方自体、見直す時期に来ているのかもしれない。
その上で、今回の警備対応に全く課題を感じなかったわけではない、と佐々木さんは言う。
A容疑者は犯行後、すぐ近くにいた地元の漁業者に取り押さえられた。この際、A容疑者の手には別のパイプ爆弾などが握られていた。直後に容疑者を取り押さえられていなければ2発目が投げられていた可能性は高かった。その意味でも、瞬時に身柄確保に動いた人がいたことと、SPもすぐに加わったのは良かった。佐々木さんが課題を感じたのはその後だ。
「容疑者に覆いかぶさる際、リュックの中に爆発物が入っていることも念頭に置き、リュックはすぐに容疑者から引き離すべきだったと思います」 リュックサックには爆発物とみられる複数の筒が残されていたことも分かっている。
佐々木さんはパイプ爆弾が投げられた後の聴衆の行動にも警鐘を鳴らす。「私服のSPが後ろに下がるよう呼び掛けていましたが、中にはスマホで撮影する人もいました。爆発規模が大きければ負傷者がさらに増えたことも予想されます。これは警備の問題というよりも、
日本人の危機管理意識の低さが反映されていると思います」
その気になれば誰もがネットの情報をもとに銃や爆発物を作れる時代。これまでとは異なる個々の危機管理能力が求められている。
(編集部・渡辺豪)