岸田文雄首相-1
2023.03.29-Yahoo!Japanニュース(JIJI COM.)-https://news.yahoo.co.jp/articles/67a4f995cf9da87e14227dbab6639bcd4b87f03a
早期解散、与野党に観測 支持回復、首相に追い風 少子化・原発がハードル〔深層探訪〕
岸田文雄首相が6月21日の通常国会会期末までに衆院解散・総選挙に踏み切るとの観測が与野党で浮上してきた。2023年度予算が28日に成立。支持率が回復基調に転じ、日韓首脳会談やウクライナ電撃訪問で一定の成果を挙げたことが背景にある。
首相の最近の動向も早期解散の見方を後押ししている。
◇政権運営に自信
予算成立を受けて、首相は28日、国会内の公明党控室を訪れ、「統一地方選が始まりますね」と声を掛けた。これに対し、
山口那津男代表は「
解散じゃないですよね」とくぎを刺した。
公明党は統一地方選に総力を挙げており、早期解散に慎重な立場。首相はすぐさま「統一地方選です」と応じ、山口氏は「目前の重要な選挙に集中することを首相は明確にされた」と記者団に強調した。
衆院解散は首相の専権事項だが、会期末は前回衆院選からおよそ1年8カ月で、議員任期4年の半分にも満たない。従来は、来秋の自民党総裁選直前か、早くても今秋との見方が支配的だった。
会期末解散論の背景には、世論調査で支持率が持ち直し、首相が政権運営に自信を深めているとみられることがある。昨年は4人の閣僚更迭に追い込まれたが、今国会では23年度予算の審議が順調に進んだ。
外交では、日韓首脳会談で関係改善に道筋を付け、ウクライナ訪問を通じて存在感を示した。5月には、地元広島で先進7カ国首脳会議(G7広島サミット)を主催する。内政では、6月に子ども予算の「倍増」に向けた大枠をまとめる。野党の選挙準備も遅れており、「政策をびしっと示せば勝てる」(自民党関係者)との期待がある。
今月15日夜には、首相は自民党の元宿仁事務総長と2時間にわたって会食した。元宿氏は安倍晋三氏ら歴代首相が解散判断の際に意見を聞いたことで知られる古参の党職員。政界には「首相が極秘の情勢調査を命じた」(立憲民主党関係者)とのうわさが駆け巡った。
衆院解散が取り沙汰されることで、自民党内の引き締め効果が期待でき、防衛増税などで党内に異論を抱える首相には好都合と言える。岸田派ベテランは「解散風は吹かせておけばいい」と語る。
◇信任問われる補選
解散時期は、最短で4月説もささやかれるが、少子化対策の議論が中断することや、衆院小選挙区の「10増10減」に伴う与党内の選挙区調整などから困難との見方が強い。 会期末解散に踏み切る場合も、首相にはいくつもの越えなければならないハードルがある。少子化対策財源の確保が課題となり、後半国会では既存原発の「60年超」の運転を可能にする関連法案や、防衛費の大幅増額に向けた財源確保法案の審議が焦点だ。
異論も根強いこうした政策について世論を説得できるのか。政権への「信任投票」(党関係者)と位置づけられるのが4月23日投開票の衆参5補欠選挙だ。選挙結果次第では解散論が勢いづく可能性もある。
早期解散には自身の政権安定を優先させたとの批判が首相に向かうリスクもあり、首相は28日、記者団の取材に対し「先送りできない課題に取り組む。それしか考えていない」と述べるにとどめた。ただ、首相と日頃連絡を取り合っている
自民党幹部は「会期末のタイミングは気をつけた方がいい」と首相の胸中を推し量った。
2023.03.13-zaqzaq news-https://www.zakzak.co.jp/article/20230313-UGI4VKIDOJJ3DGTWQUDSEU7ZVQ/
岸田首相〝外交ラッシュ〟のポイント 韓国に「くぎを刺せるか」、インド訪問で林外相の「外交大失態」尻拭い 島田洋一教授に聞く
岸田文雄首相は来週後半、外交ラッシュに入る。まず、16~17日に韓国の
尹錫悦(ユン・ソンニョル)大統領が来日し、18日にはドイツのオラフ・ショルツ首相が来日。19日から22日まではインドを訪問し、ナレンドラ・モディ首相と会談する予定だ。国際政治に詳しい福井県立大学の島田洋一教授に、それぞれのポイントを聞いた。
尹氏の来日は、いわゆる「元徴用工」訴訟問題で韓国側が解決策を発表したことを受けて、
日韓関係の改善を図るもの。首脳会談や夕食会が予定されている。
島田氏は
「韓国の解決策には、韓国財団が肩代わりした賠償金の返還を日本企業に求める『求償権』の放棄が盛り込まれていない。岸田首相がくぎを刺せるかが最重要だ」と語る。
岸田首相とショルツ氏による
日独首脳会談の鍵は
「対中連携」だ。ショルツ氏は今月初めに訪米してジョー・バイデン大統領とも会談している。
島田教授は
「日米独の経済面での連携を強め、サプライチェーンから中国を外していく代わりに、ドイツとの取引を増やしていくことが重要になる」と語った。
2023.02.04-NHK NEWS WEB-https://www3.nhk.or.jp/news/html/20230204/k10013970511000.html
同性婚「見るのも嫌だ」発言の荒井秘書官 岸田首相が更迭検討
同性婚をめぐって「見るのも嫌だ」などと発言した荒井勝喜 総理大臣秘書官について、
岸田総理大臣は「政権の方針とは相いれない発言で、言語道断であり、進退をも考えざるを得ない」と述べ、更迭する方向で検討する考えを示しました。
荒井総理大臣秘書官は3日夜、記者団の取材に応じた際に、同性婚についての見解を問われ「
見るのも嫌だ。隣に住んでいたら嫌だ。人権や価値観は尊重するが、認めたら国を捨てる人が出てくる」などと発言し、その後、
不適切な発言だったとして撤回し、謝罪しました。
岸田総理大臣は4日朝、総理大臣公邸で記者団に「
岸田政権は持続可能で多様性を認め合う包摂的な社会を目指すと言ってきており、政権の方針とは、全く相いれない発言で言語道断だ。厳しく対応せざるを得ない」と述べました。
そして、記者団から「
荒井氏は秘書官をやめるのか」と問われ「そう受け止めている。進退をも考えざるを得ない発言で、至急、具体的な対応を考える」と述べ、
更迭する方向で検討する考えを示しました。
荒井秘書官は経済産業省出身で、岸田内閣が発足したおととし10月から総理大臣秘書官を務めています。
4日は岸田総理大臣の石川県と福井県の視察に同行する予定でしたが、取りやめました。
立民 安住国対委員長「更迭は当然」
立憲民主党の安住国会対策委員長は、東京都内で記者団に「
更迭は当然だ。岸田総理大臣は、多様性を包摂した社会のための政策を進めると言っているが、側近の秘書官が全く正反対のことを思っていてそれを公然と口にした。どうりで多様性を実現する政策が進まないわけだ」と批判しました。
そして、「岸田総理大臣の指導力が問われるし、『聞く力』と言っているが、人を見る力がないとも言えるのではないか」と述べ、国会でただしていく考えを示しました。
2022.12.16-朝日新聞-https://www.asahi.com/articles/ASQDJ5146QDHUTFK00Y.html
【要旨】岸田政権が閣議決定した安保関連3文書
岸田政権が閣議決定した
安保関連3文書の要旨は以下の通り。
3文書は、外交や防衛などの指針である「
国家安全保障戦略」のほか、防衛の目標や達成する方法を示した「
国家防衛戦略」(現・防衛計画の大綱)と自衛隊の体制や5年間の経費の総額などをまとめた「
防衛力整備計画」(現・中期防衛力整備計画)の3つ。
国家安全保障戦略
Ⅰ策定の趣旨
パワーバランスの歴史的変化と
地政学的競争の激化で、国際秩序は重大な挑戦にさらされており、対立と協力の様相が複雑に絡み合う時代になっている。
我が国は戦後最も厳しく複雑な安全保障環境に直面している。ロシアによる
ウクライナ侵略で、国際秩序を形作るルールの根幹が簡単に破られた。同様の事態が、将来インド太平洋地域、東アジアで発生する可能性は排除されない。我が国周辺では、核・ミサイル戦力を含む軍備増強が急速に進展し、力による一方的な現状変更の圧力が高まっている。
サイバー攻撃、偽情報の拡散を通じた
情報戦が恒常的に生起し、有事と平時、軍事と非軍事の境目もあいまいに。防衛力の抜本的強化を始め、備えを盤石なものとし、我が国の平和と安全、国益を守っていかなければならない。
この戦略は国家安全保障の最上位の政策文書で、指針と施策は戦後の安全保障政策を実践面から大きく転換するものだ。
国家としての力の発揮は国民の決意から始まる。本戦略を着実に実施していくためには、国民が我が国の安全保障政策に自発的かつ主体的に参画できる環境を整えることが不可欠だ。
Ⅱ 我が国の国益
主権と独立を維持し、領域を保全し、国民の生命・身体・財産の安全を確保。経済成長を通じた繁栄、他国と共存共栄できる国際的な環境を実現する。普遍的価値や
国際法に基づく国際秩序を擁護し、自由で開かれた国際秩序を維持・発展させる。
Ⅲ 安全保障に関する基本的な原則
積極的
平和主義を維持。我が国を守る一義的な責任は我が国にあり、安全保障上の能力と役割を強化する。平和国家としての
専守防衛、
非核三原則の堅持などの基本方針は不変。
日米同盟は我が国の安全保障政策の基軸であり続ける。他国との共存共栄、同志国との連携、多国間の協力を重視する。
Ⅳ 安全保障環境と安全保障上の課題
1 グローバルな安全保障環境と課題
パワーの重心がインド太平洋地域に移り、国際社会は急速に変化。国際秩序に挑戦する動きが加速し、力による一方的な現状変更、サイバー空間・海洋・
宇宙空間・
電磁波領域におけるリスクが深刻化。他国に経済的な威圧を加える動きもある。
2 インド太平洋地域における安全保障環境と課題
(1)インド太平洋地域における安全保障の概観- 「自由で開かれたインド太平洋」というビジョンの下、法の支配に基づく自由で開かれた国際秩序の実現、地域の平和と安定の確保は、我が国の安全保障にとって死活的に重要だ。
(2)中国の動向- 中国の対外的な姿勢や軍事動向は我が国と国際社会の深刻な懸念事項で、これまでにない最大の戦略的挑戦。我が国の総合的な国力と
同盟国・同志国との連携により対応すべきものだ。
(3)北朝鮮の動向- 北朝鮮の軍事動向は我が国の安全保障にとり、従前よりも一層重大かつ差し迫った脅威に。
(4)ロシアの動向- ウクライナ侵略によって国際秩序の根幹を揺るがし、欧州方面では安全保障上の最も重大かつ直接の脅威に。中国との戦略的な連携と相まって、安全保障上の強い懸念だ。
Ⅴ 安全保障上の目標
主権と独立、国内・外交に関する政策を自主的に決定できる国であり続ける。領域、国民の生命・身体・財産を守る。有事を抑止し、脅威が及ぶ場合でもこれを排除し、被害を最小化させ、有利な形で終結させる。
Ⅵ 優先する戦略的なアプローチ
1 安全保障に関わる総合的な国力の主な要素- 総合的な国力(外交力、防衛力、経済力、技術力、情報力)を用いて、戦略的なアプローチを実施する。
2 戦略的なアプローチと主な方策
(1)危機を未然に防ぎ、平和で安定した国際環境を能動的に創出し、自由で開かれた国際秩序を強化するための外交を中心とした取り組みの展開
ア 日米同盟の強化 イ 自由で開かれた国際秩序の維持・発展と同盟国・同志国との連携の強化 ウ 我が国周辺国・地域との外交、
領土問題を含む諸懸案の解決に向けた取り組みの強化 エ 軍備管理・軍縮・不拡散 オ 国際テロ対策 カ 気候変動対策 キ ODAを始めとする国際協力の戦略的な活用 ク 人的交流等の促進
(2)防衛体制の強化
ア 国家安全保障の最終的な担保である防衛力の抜本的強化(①領域横断作戦能力、スタンドオフ・防衛能力、無人アセット防衛能力を強化②反撃能力の保有③2027年度に防衛関連予算水準が現在のGDPの2%に達するよう所要の措置④自衛隊と海上保安庁との連携強化) イ 総合的な防衛体制の強化との連携(研究開発、公共インフラ、サイバー安全保障、同志国との国際協力) ウ 防衛生産・技術基盤の強化 エ 防衛装備移転の推進(防衛装備移転三原則・運用指針をはじめとする制度の見直し) オ 自衛隊員の能力を発揮するための基盤の強化(ハラスメントを許容しない組織環境)
(3)米国との安全保障面における協力の深化
米国による拡大抑止の提供を含む日米同盟の抑止力と対処力を一層強化する。
(4)我が国を全方位でシームレスに守る取り組み強化
ア サイバー安全保障 イ 海洋安全保障・海上保安能力(海上保安能力を大幅に強化・体制を拡充) ウ 宇宙安全保障(宇宙の安全保障に関する政府構想をとりまとめ、宇宙基本計画に反映) エ 安全保障関連の技術力向上と積極的な活用(防衛省の意見を踏まえた研究開発ニーズと関係省庁の技術シーズを合致。政府横断的な仕組みを創設) オ 情報に関する能力(人的情報収集など情報収集能力を大幅強化。統合的な情報集約体制を整備、偽情報対策も) カ 有事も念頭に置いた国内での対応能力(自衛隊、海保のニーズにより、公共インフラ整備・機能を拡大。原発など重要施設の安全確保対策も) キ 国民保護の体制 ク 在外邦人等の保護のための体制と施策 ケ エネルギーや食料など安全保障に不可欠な資源の確保
(5)経済安全保障の促進
自律性、優位性、不可欠性を確保し、サプライチェーンを強靱(きょうじん)化。セキュリティークリアランスを含む情報保全を強化。
(6)自由、公正、公平なルールに基づく
国際経済秩序の維持・強化
(7)国際社会が共存共栄するためのグローバルな取り組み
ア 多国間協力の推進、国際機関や国際的な枠組みとの連携の強化 イ 地球規模課題への取り組み
Ⅶ 我が国の安全保障を支えるために強化すべき国内基盤
1 経済財政基盤の強化(安全保障と経済成長の好循環を実現)
2 社会的基盤の強化(国民の安全保障に関する理解と協力)
3 知的基盤の強化(政府と企業・学術界との実践的な連携強化)
Ⅷ 本戦略の期間・評価・修正
おおむね10年の期間を念頭に置き、安全保障環境に重要な変化が見込まれる場合、必要な修正を行う。
Ⅸ 結語
我が国は戦後最も厳しく複雑な安全保障環境の下に置かれ、将来の国際社会の行方を楽観視することは決してできない。我々は今、希望の世界か、困難と不信の世界のいずれかに進む分岐点にあり、どちらを選び取るかは、今後の我が国を含む国際社会の行動にかかっている。
国際社会が対立する分野では、総合的な国力で安全保障を確保する。国際社会が協力すべき分野では、課題解決に向けて主導的かつ建設的な役割を果たし続けていく。普遍的価値に基づく政策を掲げ、国際秩序の強化に向けた取り組みを確固たる覚悟を持って主導していく。
国家防衛戦略
I 策定の趣旨
政府の最も重大な責務は国民の命と平和な暮らし、そして我が国の領土・領空・領海を断固として守り抜くことにある。
ただ、国際社会は深刻な挑戦を受け、新たな危機の時代に突入している。そこで、自衛隊を中核とした防衛力の整備、維持及び運用の基本的指針である「防衛計画の大綱」に代わり、我が国の防衛目標を達成するためのアプローチとその手段を包括的に示す「国家防衛戦略」を策定する。
Ⅱ 戦略環境の変化
1 普遍的価値やそれに基づく政治・経済体制を共有しない国家が勢力を拡大している。力による一方的な現状変更やその試みは、法の支配に基づく自由で開かれた国際秩序に対する深刻な挑戦で、国際社会は戦後最大の試練の時を迎え、新たな危機の時代に突入しつつある。
グローバルなパワーバランスが大きく変化。国家間競争が顕在化し、インド太平洋地域において顕著となっている。さらに、科学技術の急速な進展が安全保障の在り方を根本的に変化させ、各国は将来の戦闘様相を一変させる。いわゆるゲームチェンジャーとなり得る戦端技術の開発を行っている。
2 我が国周辺国等の軍事動向では、中国は、今後5年が目指す社会主義現代国家の肝心な時期と位置づけ、台湾周辺における威圧的な軍事活動を活発化させるなどしている。その軍事動向は我が国と国際社会の深刻な懸念事項である。
北朝鮮は、大量破壊兵器や弾道ミサイル等の増強に集中的に取り組む。関連技術・運用能力を急速に向上させており、従前よりもいっそう重大かつ差し迫った脅威となっている。
ロシアによるウクライナ侵攻は欧州方面における防衛上の最も重大かつ直接の脅威と受け止められている。また、北方領土を含む極東地域で軍事活動を活発化させている。こうした軍事動向は我が国を含むインド太平洋地域において中国との戦略的な連携と相まって防衛上の強い懸念である。
3 防衛上の課題としては、ロシアによるウクライナ侵略は高い軍事力を持つ国が、侵略意思を持ったことにも注目するべき。
脅威は能力と意思の組み合わせで顕在化する。意思を外部から正確に把握することは困難で、国家の意思決定過程が不透明であれば脅威が顕在化する素地が常に存在する。
新しい戦い方が顕在化する中で、それに対応できるかどうかが今後の大きな課題となっている。
Ⅲ 我が国の防衛の基本方針
力による一方的な現状変更とその試みは決して許さないとの意思を明確にしていく必要がある。
1 我が国自体への侵略を我が国が主たる責任をもって阻止・排除し得るよう防衛力を抜本的に強化する。
侵略を抑止する上で鍵となるのはスタンド・オフ防衛能力等を活用した反撃能力である。我が国周辺では質・量ともにミサイル戦力が著しく増強され、ミサイル攻撃が現実の脅威となっている。これに既存のミサイル防衛網だけで完全に対応することは難しくなりつつある。
反撃能力とは我が国に対する武力攻撃が発生し、その手段として弾道ミサイル等による攻撃が行われた場合、武力の行使の3要件に基づき、そのような攻撃を防ぐのにやむを得ない必要最低限度の自衛の措置として相手の領域において我が国が有効な反撃を加えることを可能とする自衛隊の能力をいう。
有効な反撃を加える能力を持つことにより、武力攻撃そのものを抑止する。その上で、万一、相手からミサイルが発射される際にも、ミサイル防衛網により飛来するミサイルを防ぎつつ、反撃能力により相手からの更なる武力攻撃を防ぎ、国民の命と平和な暮らしを守っていく。
2 米国との同盟関係は我が国の安全保障の基軸である。日米共同の意思と能力を顕示し、力による一方的な現状変更やその試みを抑止する。侵攻が起きた場合には、日米共同対処により阻止する。
3 1カ国でも多くの国々との連携強化が極めて重要で、地域の特性や各国の事情を考慮した多角的・多層的な防衛協力・交流を積極的に推進する。
Ⅳ 防衛力の抜本的強化に当たって重視する能力
①スタンド・オフ防衛能力 ②統合防空ミサイル防衛能力 ③無人アセット防衛能力 ④領域横断作戦能力 ⑤指揮統制・情報関連機能 ⑥機動展開能力・国民保護 ⑦持続性・強靱(きょうじん)性
Ⅴ将来の自衛隊の在り方
1 重視する7分野では、陸自・海自・空自がスタンド・オフ・
ミサイル発射能力を必要十分な数量整備するなど自衛隊が役割を果たす。
2 統合運用の実効性を強化するため既存組織を見直し、陸自・海自・空自の一元的な指揮を行い得る常設の統合司令部を創設する。統合運用に資する装備体系の検討を進める。
3 戦略的・機動的な防衛政策の企画立案が必要とされており、機能を抜本的に強化していく。
防衛研究所を中心とする
防衛省・自衛隊の研究体制を見直し・強化し、知的基盤としての機能を強化する。
Ⅵ 国民の生命・身体・財産の保護・国際的な安全保障協力への取り組み
1 侵略のみならず、大規模テロや
原発を始めとする重要インフラに対する攻撃、大規模災害、感染症危機等は深刻な脅威であり、総力を挙げて対応する必要がある。
2 我が国の平和と安全のため、積極的平和主義の立場から、国際的な課題への対応に積極的に取り組む。
Ⅶ いわば防衛力そのものとしての防衛生産・技術基盤
1 我が国の
防衛産業は国防を担うパートナーというべき重要な存在。適正な利益確保のための新たな利益率算定方式を導入する。サプライチェーン全体を含む基盤の強化、新規参入促進、国が製造設備等を保有する形態を検討する。
2 防衛産業や非防衛産業の技術を早期装備化につなげる取り組みを積極的に推進する。我が国主導の国際共同開発、民生先端技術を積極活用するための枠組みを構築する。
3 防衛装備移転三原則や運用指針を始めとする制度の見直しについて検討し、官民一体となった防衛装備移転の推進のため、基金を創設して企業支援をおこなう。
Ⅷ 防衛力の中核である自衛隊員の能力を発揮するための基盤の強化
1 防衛力の中核である自衛隊員について、必要な人員を確保し、全ての隊員が能力を発揮できる環境を整備する。
2 これまで重視してきた自衛隊員の壮健性の維持から、有事において隊員の生命・身体を救うように衛生機能を変革する。
Ⅸ 留意事項
おおむね10年間の期間を念頭に置いているが、国際情勢や技術的水準の動向等について重要な変化が見込まれる場合には必要な修正を行う。
防衛力整備計画
I 計画の方針
平時から有事まで、活動の常時継続的な実施を可能とする多次元統合防衛力を抜本的に強化し、5年後の2027年度までに、我が国への侵攻が生起する場合には、我が国が主たる責任をもって、同盟国等の支援を受けつつ、阻止・排除できるように防衛力を強化する。おおむね10年後までに、より早期かつ遠方で侵攻を阻止・排除できるように防衛力を強化する。
まず、侵攻そのものを抑止するため、遠距離から侵攻戦力を阻止・排除できるよう、「スタンド・オフ防衛能力」と「統合防空ミサイル防衛能力」を強化する。また、万が一抑止が破れ、我が国への侵攻が生起した場合に優勢を確保するため、「無人アセット防衛能力」、「領域横断作戦能力」、「指揮統制・情報関連機能」を強化する。
さらに、迅速かつ粘り強く活動し続けて、相手方の侵攻意図を断念させるため、「機動展開能力・国民保護」、「持続性・強靱性」を強化する。いわば防衛力そのものである防衛生産・技術基盤に加え、防衛力を支える人的基盤等も重視する。
Ⅱ 自衛隊の能力等に関する主要事業
1 スタンド・オフ防衛能力
侵攻してくる艦艇や上陸部隊等に対して、脅威圏外から対処する能力を強化する。スタンド・オフ・ミサイルの量産弾を取得するほか、米国製のトマホークを始めとする外国製スタンド・オフ・ミサイルの着実な導入を実施・継続する。
2 統合防空ミサイル防衛能力
極超音速滑空兵器等の探知・追尾能力を強化するため、固定式警戒管制レーダー等の整備及び能力向上、次期警戒管制レーダーの換装・整備を図る。我が国の防空能力強化のため、主に弾道ミサイル防衛に従事するイージス・システム搭載艦を整備する。
3 無人アセット防衛能力
用途に応じた様々な情報収集・警戒監視・偵察・ターゲティング用無人アセットを整備する。輸送用無人機の導入について検討の上、必要な措置を講じる。各種攻撃機能を効果的に保持した多用途/攻撃用無人機及び小型攻撃用無人機を整備する。
4 頷域横断作戦能力
(1)宇宙領域における能力
米国との連携強化、民間衛星の利用等により、目標の探知・追尾能力の獲得を目的とした衛星コンステレーションを構築する。
(2)サイバー領域における能力
27年度を目途に、自衛隊サイバー
防衛隊等のサイバー関連部隊を約4千人に拡充する。将来的には更なる体制拡充を目指す。
5 指揮統制・情報関連機能
(3)認知領域を含む情報戦等への対処
情報戦に確実に対処できる体制・態勢を構築する。
人工知能(AI)を活用した公開情報の自動収集・分析機能の整備、各国等による情報発信の真偽を見極めるためのSNS上の情報等を自動収集する機能の整備、情勢見積もりに関する将来予測機能の整備を行う。
Ⅲ 自衛隊の体制等
1 統合運用体制
常設の統合司令部を創設する。
4 航空自衛隊
宇宙作戦能力を強化するため、将官を指揮官とする宇宙領域専門部隊を新編するとともに、航空自衛隊を航空宇宙自衛隊とする。
XIII 所要経費等
1 23年度から27年度の5年間における本計画の実施に必要な防衛力整備の水準に係る金額は、43兆円程度とする。
2 本計画期間の下で実施される各年度の予算の編成に伴う防衛関係費は、以下の措置を別途とることを前提として、40兆5千億円程度(27年度は8兆9千億円程度)とする。
(1)自衛隊施設等の整備の更なる加速化を機動的・弾力的に行うこと(1兆6千億円程度)。
(2)
一般会計の決算
剰余金が想定よりも増加した場合にこれを活用すること(9千億円程度)。
3 この計画を実施するために新たに必要となる事業に係る契約額(物件費)は、43兆5千億円程度とする。
6 27年度以降、防衛力を安定的に維持するための財源、及び、23年度から27年度の本計画を賄う財源の確保については、歳出改革、決算剰余金の活用、税外収入を活用した防衛力強化資金の創設、税制措置等、歳出・歳入両面において所要の措置を講ずることとする。
2022.11.25-産経新聞-https://www.sankei.com/article/20221125-2N4CHPAZP5NGXPBDARAWSSNIYE/
乾正人 「秋葉原警察」を徹底調査せよ
安倍晋三政権で5年近くも外務大臣を務めていたはずなのに、岸田文雄首相は、外交のイロハを学んでいなかったようだ。
外交のイロハ知らぬ首相
先週、バンコクで開かれた日中首脳会談の冒頭、首相は「
習(近平)主席とは昨年10月、初めて電話会談をさせていただきました」と媚(こ)びてしまった。
外交交渉で「敬語」を不用意に使えば、その時点で2国間関係は対等でなくなる。
特に国益をかけた首脳会談は、どちらかが無理を言って「させていただく」ような代物ではない。双方にメリットがあるから実施されるので、正しい物言いは「初めて電話で話しました」である。
首脳会談では、あらかじめ秘書官や外務省が応答要領を作成するものだが、原案もそうなっていたなら大問題だ。もし首相本人が、
アドリブで発言していたなら外交センスゼロである。これでは、戦わずして負けたのも同じで、「尖閣諸島問題など日本側の懸念を伝えた」といくら言ってみても習主席にしてみれば、痛くもかゆくもない。
しかも、世界的な問題となっている「あの問題」にも首相は、積極的に取り組んでいないのである。
「あの問題」とは、中国当局が、各国に無断で「海外警察サービスセンター」を30カ国、数十カ所に設置しているとされる問題である。
欧州の人権団体「セーフガード・ディフェンダーズ」が発表した報告書は、同センターを拠点に
中国は、海外に逃亡した中国人や政治犯らに帰国を強制的に促していると指摘。対外的な世論工作を担う中国共産党の「中央統一戦線工作部」の活動とも連動しているとしている。
米連邦捜査局(FBI)のレイ長官も米上院で「非常に懸念している」と述べ、監視を強めている。
東京・秋葉原にも「警察」があるという。報告書のリストに載っている電話番号に電話してみたが、「現在使われていません」のコールが。平日の午後、リストの住所を訪ねると、瀟洒(しょうしゃ)な5階建てのビルで、郵便受けには
「JUO HOTEL」と「日本福州十邑社団聯合総会」の表示があった。だが、ホテルのフロントは無人で、しばらく待っても誰も出てこなかった。念のため翌日の午前中も出かけたが、やはり誰も出入りがなかった。怪しすぎる。
さらに怪しいのは、「聯合総会」の顧問を務めていた国会議員がいることだ。
総務副大臣を務めた経験のある松下新平参院議員である。問い合わせると、「今は辞めている」と釈明したが、経緯を詳しく明らかにすべきだ。
動き鈍すぎる官邸と国会
野党はなぜ、この問題を追及しないのだろうか。肝心の国会論戦は、事実上30年以上も政治や行政が放置してきた旧統一教会問題や、せこい「政治とカネ」の話ばかり。
目に余る中国の覇権主義や北朝鮮のミサイル乱射といった
「今、そこにある危機」をなぜ論議しようとしないのか。
辛うじて参政党の神谷宗幣議員が質問主意書で、この問題をただしたが、首相名の答弁書は、「
お答えすることは、差し控えたい」とゼロ回答。「調査する」の一言もなかった。
まさか、
日本国民の安全安心は二の次で、習近平様のご機嫌を損ねないことこそが、総理大臣のお仕事だと勘違いしているのではないか。(しっかりしろ、岸田首相。しっかり議論しろ、国会。)
それでは、また再来週のこころだぁ!!(コラムニスト)
2022.10.10-首相官邸-https://www.kantei.go.jp/jp/101_kishida/statement/2022/0810kaiken.html
【岸田総理冒頭発言】
政策断行により、数十年に一度とも言われる難局を突破するため、経験と実力に富んだ、新たな自民党・公明党の連立政権を発足させました。
新型コロナ(ウイルス)、ウクライナ危機、台湾をめぐる米中関係の緊張、そして国際的な物価高、引き続き我が国の内外で歴史を画するような様々な課題が生じています。
先の参議院選挙において、国民の皆さんから頂いた岸田内閣への信任を一刻も早く形にし、皆様の期待に応える、有事の内閣を速やかに整えていくため、内閣改造を断行いたしました。
今後、8月末の概算要求を皮切りに、年末の予算編成、税制改正、そして来年の通常国会への法案提出等、お約束してきた政策を本格的な実行に移す段階となります。また、国際情勢が緊迫する中で、ポスト冷戦期の次の時代の新しい国際秩序をつくり上げ、我が国の平和と安全を守るために全力を尽くしてまいります。
今回の内閣改造では、骨格を維持しながら、有事に対応する「政策断行内閣」として、山積する課題に対し、経験と実力を兼ね備えた閣僚を起用することといたしました。まず、政権の骨格として、松野博一官房長官、林芳正(よしまさ)外務大臣、鈴木俊一財務大臣、斉藤鉄夫国土交通大臣、山際大志郎経済再生担当大臣には留任いただきます。その上で、重点的に5つのことに取り組んでまいります。
第1に、この国の安全と安心を守るための体制を強化いたします。年末に向けた最重要課題の一つが防衛力の抜本強化です。必要となる防衛力の内容の検討、そのための予算規模の把握、財源の確保を一体的かつ強力に進めていきます。そのため、防衛政務次官、防衛庁副長官、そして防衛大臣を歴任し、更に自民党国防部会長や衆議院安全保障委員長も経験し、正に我が国の安全保障、防衛政策を熟知する浜田靖一(やすかず)氏に防衛大臣への再登板をお願いし、強いリーダーシップを発揮していただきます。
第2に、経済と安全保障が一体化する中で、経済安全保障推進法を実行に移し、機微技術の流出防止や、サプライチェーンの強靱(きょうじん)化等を急ぐ必要があります。そこで、これまで自民党の政調会長として経済安全保障本部を牽引(けんいん)し、経済安全保障政策を推進してきた高市早苗氏を大臣に起用し、関係省庁や産業界等との調整に当たっていただきます。
第3に、岸田内閣の最重要課題である新しい資本主義の実現を通じた経済再生です。人への投資、スタートアップの育成、グリーン・トランスフォーメーション、デジタル・トランスフォーメーションなどの実現に向けた体制を強化いたします。
まず、新しい資本主義の全体調整とスタートアップ担当大臣については、実行計画の取りまとめを担当した山際大臣に引き続き担当いただきます。特に、人への投資は新しい資本主義実現に向けた肝です。過去20年間で2番目に高い、プラス2.07パーセントとなった春闘、4年ぶりの増加となったこの夏のボーナス、そして過去最大となった最低賃金の引上げに続き、更なる賃上げに向けた環境整備や職業訓練の強化など、人への投資を抜本的に強化していきます。
その上で、新しい資本主義における重要な投資分野であるデジタル・トランスフォーメーションを強力に推進するため、河野太郎氏を起用することとしました。発足から間もなく1年となるデジタル庁の業務を更に活性化し、デジタル改革を強力に進め、諸外国から後れを取っている我が国のDX(デジタル・トランスフォーメーション)を一気に加速するため、持ち前の実行力、突破力で進めてもらいたいと思います。
デジタルとともに重要なグリーン・トランスフォーメーション担当大臣、そして経済産業大臣については、経済再生担当大臣などを歴任し、エネルギーや経済産業政策に深い専門性を持つ西村康稔(やすとし)氏を起用いたします。グリーン・トランスフォーメーションの前提となる、安価で安定的なエネルギー供給の確保についても、冬の電力需給ひっ迫への対応や、原子力の活用も含め、しっかり検討を進めてもらいます。
第4に、コロナ対策の新たなフェーズへの移行と対応の強化です。コロナ対策については、現在、第7波の荒波の中から、少しずつ感染者数が減少に転ずる地域が出てきています。国民の皆さんの御協力、医療・福祉関係者の御努力に心から御礼を申し上げます。
今後、新型コロナ(ウイルス)の感染症法上の取扱いをどうするかを始め、ウィズコロナに向けた新たな段階への移行を、時機を逸することなく進めなければなりません。あわせて、次の感染症危機に備えて「感染症危機管理庁」(仮称)でありますが、こうした組織の創設といった新たな挑戦を進めてもらう必要もあります。山際大臣に引き続きコロナ対策をお願いするとともに、厚生労働大臣には、官房長官や厚生労働大臣を歴任してきた加藤勝信氏に再登板をお願いし、医療・保健体制の確保に万全を期してまいります。
第5に、こども政策、少子化対策の強化です。来年からスタートするこども家庭庁の設立準備を着実に進めるとともに、こども政策、そして少子化対策を抜本的に強化するため、若い、フレッシュな目線で対応できるよう、現在、党の青年局長を務める小倉將信(まさのぶ)氏を起用いたします。
こうした重点課題を内閣一体となって進めていくためにも、各分野における安定した行政運営が不可欠です。
とりわけ、国家公安委員会委員長兼防災担当大臣については、これから災害の多い季節を迎える中で、速やかに責任ある体制を整備しなければなりません。また、国家公安委員会委員長として、安倍元総理殺害事件をしっかりと検証し、警備体制を立て直す必要があります。このため、これまで復興副大臣や、衆議院国土交通委員長などを歴任し、また、阪神・淡路大震災において兵庫県庁の現場で陣頭指揮を執って以来、一貫して災害対応力の向上に取り組んできた谷公一氏にかじ取りをお願いすることにいたしました。
総務大臣には、総理補佐官や総務副大臣などを歴任してきた寺田稔(みのる)氏を起用し、電気通信事業の立て直し、携帯電話料金の着実な引下げ、5G、光ファイバーなどのデジタルインフラの整備、マイナンバーカードの普及の加速化等を進めていただきます。
法務大臣には、2度にわたり法務副大臣を歴任し、衆議院法務委員長としても豊富な法務行政経験を持つ葉梨(はなし)康弘氏を起用いたします。
文部科学大臣については、文科副大臣や衆議院文科委員長を歴任してきた永岡桂子氏を起用し、教育、科学技術政策を推進いただきます。
農林水産大臣は、ロシアのウクライナ侵略を受けて食料価格の高騰や、食料安全保障が大きな課題となっている中で、農水政務官、自民党の農林部会長を歴任した農林水産政策の専門家である野村哲郎氏にお願いすることといたしました。
環境大臣には、官房副長官や、国交副大臣などを歴任し、自民党2050年カーボンニュートラル実現推進本部を事務局長として推進してきた西村明宏(あきひろ)氏を起用し、2050年カーボンニュートラルに向けた社会づくりを進めていただきます。
東日本大震災からの復興は、引き続き岸田内閣の重要課題です。復興大臣には、宮城県出身で、復興副大臣や衆議院東日本大震災復興特別委員長を歴任し、復興に尽力してきた秋葉賢也氏を起用いたします。
地方創生大臣兼沖縄及び北方対策大臣には、官房副長官や財務副大臣などを歴任してきた岡田直樹氏を起用し、「強い沖縄経済」の実現、北方対策の推進とともに、我が国のイノベーション力の世界への発信、デジタル田園都市国家構想を始め、地方創生に全力を挙げていただきます。
以上、閣僚人事の考え方について申し上げましたが、あわせて、いわゆる
旧統一教会に関連する問題について申し上げます。
まず、私個人は、知り得る限り、当該団体とは関係がないということを申し上げます。その上で、個々の政治家は、国民の皆さんからできるだけ幅広い支援を頂くため、政治活動の一環として様々な方々と交流をしております。信教の自由については憲法上保障がなされているものでもあります。しかし、社会的に問題が指摘されている団体との関係については、国民に疑念を持たれるようなことがないよう十分に注意しなければなりません。
国民の皆さんの疑念を払拭するため、今回の内閣改造に当たり、私から閣僚に対しては、政治家としての責任において、それぞれ当該団体との関係を点検し、その結果を踏まえて厳正に見直すことを言明し、それを了解した者のみを任命いたしました。
その上で、
2点の指示をいたしました。
第1に、憲法上の信教の自由は尊重しなければなりませんが、宗教団体も社会の一員として関係法令を遵守しなければならないのは当然のことであり、仮に法令から逸脱する行為があれば、厳正に対処すること。
第2に、法務大臣始め関係大臣においては、悪質商法などの不法行為の相談、被害者の救済に連携して、万全を尽くすこと。これらを岸田政権として徹底し、国民の皆さんから信頼される行政運営を行ってまいります。
昨年総理大臣に就任して以来大切にしてきた、国民の声を丁寧に聞き、信頼と共感を得る政治を実現するという基本からぶれることはありません。2度の国政選挙で国民の皆さんから頂いた信任を、政策を進める力に変え、政府・与党が力を合わせて、全身全霊で政策を断行し、この難局を突破してまいります。国民の皆さんの御理解と御協力をお願いいたします。
2022.08.10-NHK NEWS WEB-https://www3.nhk.or.jp/news/html/20220810/k10013763871000.html
第2次岸田改造内閣 正式に発足
下記参照
2022.08.10-NHK NEWS WEB-https://www3.nhk.or.jp/news/html/20220810/k10013762791000.html
岸田首相 きょう内閣改造 自民党役員人事 初入閣9人 再入閣5人
岸田総理大臣は10日、
内閣改造と自民党の役員人事を行います。
初入閣は9人で、重要課題への対応が必要となる厚生労働大臣や防衛大臣に経験者を起用するなど、5人が再入閣となります。
岸田総理大臣は、10日午前中に自民党役員人事を行ったあと、臨時閣議で閣僚の辞表をとりまとめ、午後、内閣改造を行います。
顔ぶれ固まる
これまでの調整で、改造内閣の19人の閣僚の顔ぶれがすべて固まりました。-▼総務大臣に岸田派の
寺田稔・総理大臣補佐官。-▼法務大臣に岸田派の葉梨康弘氏。-▼外務大臣は岸田派の
林芳正氏が留任。-▼財務大臣は麻生派の
鈴木俊一氏が留任。-▼文部科学大臣に麻生派の
永岡桂子氏。-▼厚生労働大臣に茂木派の
加藤勝信・前官房長官。-▼農林水産大臣に茂木派で参議院議員の
野村哲郎氏。-▼経済産業大臣に安倍派の
西村康稔・前経済再生担当大臣。-▼国土交通大臣は公明党の
斉藤鉄夫氏が留任。-▼環境大臣に安倍派の
西村明宏氏。-▼防衛大臣に無派閥の
浜田靖一氏。-▼官房長官は安倍派の
松野博一氏が留任。-▼デジタル大臣に麻生派の河野太郎・党広報本部長。-▼復興大臣に茂木派の秋葉賢也氏。-▼国家公安委員長と防災担当大臣に二階派の
谷公一氏。-▼地方創生担当大臣に安倍派で参議院議員の
岡田直樹・参議院国会対策委員長。-▼少子化担当大臣に二階派の
小倉將信氏。-▼経済再生担当大臣と新型コロナ対策担当大臣は麻生派の
山際大志郎氏が留任。-▼経済安全保障担当大臣に無派閥の
高市早苗・党政務調査会長。
▽経済安全保障担当大臣は、当初、二階派の小林鷹之氏が留任で調整されましたが、最終的に見送られました。-林外務大臣や鈴木財務大臣、松野官房長官ら5人が留任します。-また、3度目の厚生労働大臣就任となる加藤氏や、2度目の防衛大臣就任となる浜田氏など、5人が再入閣となります。-一方、初入閣は、少子化担当大臣に起用される当選4回の小倉氏など、9人です。
自民党役員人事
そして、自民党の役員人事では、-
▼麻生派会長の麻生太郎副総裁と-
▼茂木派会長の茂木敏充幹事長が留任し、-▼総務会長に谷垣グループの遠藤利明選挙対策委員長、-▼政務調査会長に安倍派の萩生田光一経済産業大臣、-▼選挙対策委員長に森山派会長の森山裕・前国会対策委員長
が起用されます。
岸田総理大臣は、10日午後、公明党の山口代表と党首会談を行ったうえで、総理大臣官邸に組閣本部を設置して内閣改造を行い、松野官房長官が閣僚名簿を発表します。その後、皇居での認証式を経て、夕方にも、第2次岸田改造内閣が正式に発足する見通しです。
そして、
岸田総理大臣は記者会見を行い、人事のねらいや今後の
政権運営などについて明らかにすることにしています。
2022.03.21-産経新聞-https://www.sankei.com/article/20220321-W3MXULMPOVLFFFSOX7O2E4VWWE/
利害錯綜のASEAN 対露で結束狙う首相
【プノンペン=永原慎吾】
岸田文雄首相が20日、東南アジア諸国連合(ASEAN)の議長国・カンボジアのフン・セン首相との会談に臨んだ。
ウクライナ侵攻を続けるロシアへの態度が一様ではないASEANの「対露包囲網」への取り込みを図り、
ASEAN加盟国への影響を強める中国との間にくさびを打つ狙いがあった。共同声明は
ロシアの行為を「侵略」と明記したが、ロシアを名指しすることはできず、利害関係が複雑に絡む国際社会の結束の難しさが浮かんだ。
「対露包囲網」を構築する上で10カ国で構成するASEANの重要性は増している。ASEANのロシアに対する態度は割れており、2日に国連総会で採択された対露非難決議ではカンボジアやフィリピン、シンガポールなどが賛成した一方、ラオスやベトナムは棄権した。
カンボジアは2014年のロシアによるウクライナ南部クリミアの併合を無効とする決議を採択した際は棄権した。日本などが水面下で働きかけたことも功を奏し、岸田首相はこの変化を重視していた。
今回の共同声明は、ロシアの名指しこそ避けたものの「侵略」と明記した。ウクライナでの「紛争」と表現し、「侵攻」といったロシアを批判する文言もなかった19日の日印首脳の共同声明に比べると踏み込んだ内容となった。
両首相は「自由で開かれたインド太平洋」の実現に向けた協力も重ねて確認した。ASEANは米国と中国が覇権を争うインド太平洋地域の中心に位置し、両者による争奪戦は熾烈(しれつ)さを増すが、ASEANには親中に傾斜する国々も少なくない。
とりわけフン・セン氏は中国との蜜月関係で知られ、ASEAN内で中国の代弁者のような発言を繰り返してきた。岸田首相の今回の訪問はフン・セン氏の行き過ぎた親中姿勢に一石を投じる狙いもあった。
共同声明は中国が力による現状変更の試みを強める南シナ海にも言及し「南シナ海の状況を複雑化させるような一方的な行動を取らないように関係国に求めることの重要性について強調した」と明記した。中国の名前こそ出さなかったが一定のメッセージにはなった。
対露、対中包囲網の構築は、日本の安全保障上、必要不可欠なことは言うまでもない。アジアで唯一の先進7カ国(G7)の首脳としても、岸田首相にはしたたかな外交が求められている。
2021.12.08-産経新聞-https://www.sankei.com/article/20211208-MYXF5KUNZZKQTMRV4MWZBFQUGI/
首相「改憲へ責務」 防衛費1%枠こだわらず
岸田文雄首相の所信表明演説に対する各党の代表質問が8日、衆院本会議で行われた。11月の第2次岸田政権発足後、初の国会論戦で、首相は防衛費について「
金額や結論ありきではなく、現実的な議論の結果として必要なものを計上していく」と述べ、国内総生産(GDP)比1%枠にこだわらない考えを示した。敵基地攻撃能力の保有についても、選択肢の一つであることを改めて強調した。
憲法改正について「現行憲法が今の時代にふさわしいものか真剣に向き合っていく責務がある」と訴え、与野党による積極的な議論を促した。重大な人権侵害行為に制裁を科すための
日本版マグニツキー法の制定に関し「超党派での議論を見守るとともに、日本の人権外交を踏まえて引き続き検討していく」と語った。
首相はまた、
新型コロナウイルスワクチンの3回目接種について「早期に既存ワクチンのオミクロン株への効果を見極め、優先度に応じて前倒しの範囲や方法を示したい」と述べた。
新型コロナ対策として実施する
18歳以下への現金とクーポンによる計10万円相当の給付では、地方自治体の実情に応じてすべて現金給付とすることを可能とする考えを表明。「どのような場合に現金給付できるか具体的な運用方法を検討する」と述べた。野党はクーポンを併用することで事務費が膨らんでいることを批判している。
国会議員に支給される月額100万円の文書通信交通滞在費(文通費)については「各党各会派でそれぞれの考えを持ち寄って議論し、合意を得る努力を重ねてもらう必要がある」と述べるにとどめた。文通費をめぐっては、日割り支給への法改正を最優先とする与党と、使途公開や国庫返納まで求める野党との間で折り合いがついていない。
2021.11.27-Yahoo!Japanニュース(産経新聞)-https://news.yahoo.co.jp/articles/d3385658e8a83ff1cee75b0edda6de02b9534b72
首相、防衛力強化「あらゆる選択肢を検討」
岸田文雄首相は27日、陸上自衛隊朝霞駐屯地(東京都練馬区など)で行われた自衛隊観閲式で訓示 岸田文雄
首相は27日、陸上自衛隊朝霞駐屯地
(東京都練馬区など)で行われた自衛隊観閲式で訓示し、中国や北朝鮮の情勢を踏まえ、「
いわゆる敵基地攻撃能力の保有も含め、あらゆる選択肢を排除せず検討する」と述べ、
防衛力強化の決意を改めて示した。
首相は訓示で、北朝鮮について
「極超音速滑空兵器や変則軌道のミサイルなど昨今の新たな技術の開発向上を見過ごすことはできない」と指摘。中国については「
十分な透明性を欠いたまま軍事力を強化し、一方的な現状変更の試みを継続している」と非難した。
その上で首相は国家安全保障戦略(NSS)や防衛計画の大綱、中期防衛力整備計画(中期防)の戦略3文書の改定を指示したことに触れ、「
冷静に現実的に議論を突き詰めていくこと、国民にしっかりとご理解を頂くことが政治の責任だ」と述べた。
観閲式には自衛隊員約800人が参加したが、新型コロナウイルスの影響で部隊の行進は中止した。終了後、首相は新型コロナワクチン大規模接種センターや災害派遣を経験した隊員らと車座で意見交換。
宇宙やサイバーセキュリティーなど新たな作戦領域に対応するための最新の装備品展示を視察し、機動性に優れた機動戦闘車や戦車にも試乗した。示し、中国や北朝鮮の情勢を踏まえ、「
いわゆる敵基地攻撃能力の保有も含め、あらゆる選択肢を排除せず検討する」と述べ、
防衛力強化の決意を改めて示した。
首相は訓示で、北朝鮮について「
極超音速滑空兵器や変則軌道のミサイルなど昨今の新たな技術の開発向上を見過ごすことはできない」と指摘。中国については「
十分な透明性を欠いたまま軍事力を強化し、一方的な現状変更の試みを継続している」と非難した。 その上で
首相は国家安全保障戦略(NSS)や防衛計画の大綱、中期防衛力整備計画(中期防)の戦略3文書の改定を指示したことに触れ、「冷静に現実的に議論を突き詰めていくこと、国民にしっかりとご理解を頂くことが政治の責任だ」と述べた。
観閲式には自衛隊員約800人が参加したが、新型コロナウイルスの影響で部隊の行進は中止した。終了後、首相は新型コロナワクチン大規模接種センターや災害派遣を経験した隊員らと車座で意見交換。宇宙やサイバーセキュリティーなど新たな作戦領域に対応するための最新の装備品展示を視察し、機動性に優れた機動戦闘車や戦車にも試乗した。
2021.11.05-BusinessInsider(REUTERS/Tingshu Wang)-https://www.businessinsider.jp/post-245339
中国・王毅外相が岸田首相に「一線を越えるな」と警告の真意。背後に安倍元首相の「気になる」動き
岡田充 [共同通信客員論説委員]
中国の王毅外相が台湾問題で「
一線を越えるな」と、日本の岸田新政権に注文をつけた。
岸田首相は中国と良好な関係にある自民党派閥「宏池会」出身のため、中国では関係改善に期待する声がある一方、台湾を重視する岸田首相の「友台」路線への警戒感も根強い。スタートしたばかりの岸田政権に対し、王毅外相がくぎを刺した真意はどこにあるのか。
「一つの中国」政策の順守を
冒頭の発言が飛び出したのは、衆議院選挙が終盤を迎えた10月25日、日中両国の識者が議論する「
東京―北京フォーラム」へのビデオメッセージだった。
台湾問題について「両国の政治的基盤にかかわる」と指摘した上で、「一線を越えたりルールを破ったりしてはならない」と警告。
さらに、「
台湾は中国の不可分の領土」とする
中国の主張を日本が理解し尊重すると表明した
日中共同声明(1972年)をあげ、「いかなる状況でも厳守すべき」と強調した。
王毅外相の言う「一線」が、「一つの中国」政策の順守を指していることは明らかだ。
米中対立の最重要争点となっている台湾問題は、日米関係にとっても重要なテーマと言える。
菅前政権は日米首脳会談(2021年4月)後の共同声明に「台湾海峡の平和と安定の重要性」の文言を約半世紀ぶりに明記し、日米安全保障条約の性格を「地域安定」装置から「反中同盟」へと変質させた。
その直前の3月には、東京で外務・防衛閣僚による日米安全保障協議(いわゆる「2プラス2」)を開催。このとき岸信夫防衛相はオースティン米国防長官に「台湾有事では緊密に連携する方針」を確認。台湾支援に向かう米軍に自衛隊がどのように協力できるか検討すると約束している。
台湾問題を「内政問題」とする中国からみれば、台湾をめぐって日米が軍事協力を強化する展開は容認できない。
岸田首相は年内に訪米して日米首脳会談を実現し、ワシントンで2プラス2を再度開く予定。そこでは、
台湾有事における米軍の後方支援に向け、集団的自衛権行使を容認する安保法制の法的枠組みを盛り込みたい考えだ。
一方、中国側は日米2プラス2について、
(1)米軍の中距離ミサイルの日本配備問題
(2)「航行の自由作戦」への自衛隊参加
(3)南シナ海などでの民間船の安全確保、などの論点に関心を抱いているとみられる。
また、中国と台湾が9月半ばに相次いで加盟申請した環太平洋連携協定(TPP)を、議長国の日本がどう処理するかにも、中国側は強い関心を寄せている。
もし
日本が台湾の加盟手続きを先行させれば、中国は「一線を越える」として激しく反発するだろう。
それにしても、岸田首相はどのような対中国・台湾観を持っているのだろうか。
10月8日の所信表明演説で、岸田首相は「
自由で開かれたインド太平洋」を推進していくことを強調した上で、
国家安全保障戦略、防衛大綱、中期防衛力整備計画(中期防)の改定をあげた。いずれも対中防衛力の強化を意図したものと考えられる。
岸田首相は
日中関係について、日米同盟、日朝関係改善のあとに取り上げており、優先順位は相対的に低い。また同演説では、「
普遍的価値を共有する国々と連携」して「(中国に)主張すべきは主張し、責任ある行動を強く求める」と述べており、
関係改善へのポジティブな姿勢は読み取れない。
では、そうした姿勢は近年の対中政策と比較してどう位置づけられるか。
安倍元首相は施政方針演説(2020年1月)で「首脳間の往来に加え、あらゆる分野での交流を深め広げることで、新時代の成熟した日中関係を構築する」と、関係改善への積極姿勢を見せた。当時は習近平国家主席の訪日が目前に迫っていることもあったと思われる。なお、3月には新型コロナ感染拡大を理由に訪日が延期されている。
続く菅前首相は施政方針演説(2021年1月)で、「
両国にはさまざまな懸案が存在するが、ハイレベルの機会も活用しつつ、主張すべきは主張し具体的な行動を強く求めていく」と述べた。
「
ハイレベルの機会」とは、首脳往来への言及とも受けとれるが、岸田首相の所信表明演説ではそれすら消えてしまった。こうしてみると、
岸田首相の対中姿勢はきわめて冷淡と言っていい。
台湾政策はそれと対照的だ。
衆議院代表質問(2021年10月)で台湾について聞かれた岸田首相は、
台湾を「
わが国にとって基本的な価値観を共有し、緊密な経済関係と人的往来を有する極めて重要なパートナーであり、大切な友人」「非政府間の実務関係として維持していく日本政府の立場を踏まえ、日台間の協力と交流のさらなる深化を図っていく」と答えている。
この表現は2016年1月、
蔡英文氏が台湾総統に当選した際、岸田氏が日本外相として初めて祝賀談話を発表したメッセージとまったく同じものであり、日本政府の「主体的な」台湾関与政策の基調をなす認識と言える。
親台姿勢の安倍首相から指示があったとみられるものの、第二次・第三次安倍政権の4年7カ月にわたる岸田外相時代に、日台の公的関係が前進したことは間違いない。
2021.10.14-JIJI com-https://www.jiji.com/jc/article?k=2021101401214&g=pol
岸田首相記者会見要旨【21衆院選】
岸田文雄首相が14日に行った記者会見の要旨は次の通り。
【冒頭発言】
皆さんに安心していただけるよう、新型コロナウイルス対応の全体像を発表する準備を国・都道府県を挙げて行っている。あす(15日)、その全体像に必ず盛り込み、実行する骨格を発表する。
この夏の2倍程度の感染力にも対応可能な医療体制をつくる。公的病院の新型コロナ専用病床化を進める。実際には(新型コロナ)患者の受け入れに使用されなかった「幽霊病床」を見える化する。感染拡大時の病床稼働率を8割超まで引き上げる。
新型コロナの影響を受けた事業者の方々に地域・業種を問わず、(来年)3月までの事業継続の見通しが立つよう、昨年の持続化給付金並みの給付を事業規模に応じて行っていく。雇用調整助成金の特例を来年3月まで延長する。
政府備蓄米を子ども食堂に無償提供する。「新しい資本主義実現会議」を創設する。私が議長、山際大志郎経済再生担当相が副議長となり、あす(15日)、具体的なメンバー、検討体制、検討項目を決定し、その内容をお知らせする。
デジタル改革、規制改革、行政改革を一体的に進めていくことが重要であり、「デジタル臨時行政調査会」を立ち上げる。最先端半導体の製造をほぼ独占する台湾企業の日本進出が本日(14日)発表された。これにより、わが国の半導体産業の不可欠性と自立性が向上し、経済安全保障に大きく寄与することが期待される。
賃上げ促進税制を強化するよう政府・与党に指示した。従業員一人一人の給与を引き上げた企業を税制で支援していく。控除額の上限も大胆に引き上げる。看護、介護、保育などの現場で働いている方の収入を引き上げる。私が議論をリードし、年末までに具体的な結論を出す。
誰にこの国の外交・安全保障を委ねるのか。野党各党にこの国を委ねることはできない。この総選挙で国民の皆さんの信任をいただければ、数十兆円規模の総合的、大胆な経済対策を最優先でお届けする。今回の選挙は「未来選択選挙」だ。国民の皆さんのご判断をお願いする。
【質疑応答】
(―衆院選の勝敗ラインは。)・・・ 与党で過半数を確保する。これが勝敗ラインだと考えている。
(―前政権の温室効果ガス削減目標は堅持するのか。)・・・2050年カーボンニュートラルなどの目標はしっかりと堅持する。
(―原発立地地域とどう向き合うか。)・・・再生可能エネルギーの一本足打法では、安定供給や価格の問題に十分対応できない。さまざまなエネルギー源の中に原子力も一つの選択肢として用意しておくべきだ。
(―憲法改正に向け、今回の選挙で与党で3分の2を目指すか。)・・・選挙だけで3分の2を確保するという考え方には無理があるのではないか。
(―沖縄・北方担当相と復興相の兼務を解く考えは。)・・・東北の復興なくして日本の再生はない。
(西銘恒三郎復興相は)国土交通政務官など復興に必要な経験や見識を持っている。
2021.10.08-東京新聞-https://www.tokyo-np.co.jp/article/135571
【全文】岸田文雄首相が所信表明演説「日本の絆の力を呼び起こす。それが私の使命」
岸田文雄首相は8日、衆院本会議で所信表明演説をした。「日本の絆の力を呼び起こす。それが私の使命です」などと述べ、新型コロナウイルス対策や、「分配なくして次の成長なし」と訴える経済政策、「核兵器のない世界」などを目指す外交、安全保障政策について説明した。
衆院本会議での所信表明演説の全文は以下の通り。
(1)
◆はじめに
第205回国会の開会にあたり、新型コロナウイルスによりお亡くなりになられた方々、そして、ご家族のみなさま方に心よりお悔やみを申し上げるとともに、厳しい闘病生活を送っておられる方々に心よりお見舞いを申し上げます。また、わが国の医療、保健、介護の現場を支えてくださっている方々、感染対策にご協力いただいている事業者の方々、そして、国民のみなさんに、深く感謝申し上げます。新型コロナとの闘いは続いています。
こうした中、このたび、私は、第100代内閣総理大臣を拝命いたしました。私は、この国難を、国民のみなさんとともに乗り越え、新しい時代を切り拓き、心豊かな日本を次の世代に引き継ぐために、全身全霊を捧げる覚悟です。
私が、書きためてきたノートには、国民の切実な声があふれています。1人暮らしで、もしコロナになったらと思うと不安で仕方がない。テレワークでお客が激減し、経営するクリーニング屋の事業継続が厳しい。里帰りができず、1人で出産。誰とも会うことができず、孤独で、不安。今、求められているのは、こうした切実な声を踏まえて、政策を断行していくことです。
まず、喫緊かつ最優先の課題である新型コロナ対応に万全を期します。国民に納得感を持ってもらえる丁寧な説明を行うこと、常に最悪の事態を想定して対応することを基本とします。また、新型コロナで大きな影響を受ける方々を支援するため、速やかに経済対策を策定します。その上で、私が目指すのは、新しい資本主義の実現です。わが国の未来を切り拓くための新しい経済社会のビジョンを示していきます。
国民のみなさんとともに、これらの難しい課題に挑戦していくためには、国民の声を真摯に受け止め、かたちにする、信頼と共感を得られる政治が必要です。そのために、国民のみなさんとの丁寧な対話を大切にしていきます。私をはじめ、全閣僚が、様々な方と車座対話を積み重ね、その上で、国民のニーズに合った行政を進めているか、徹底的に点検するよう指示していきます。
そうして得た信頼と共感の上に、私は、多様性が尊重される社会を目指します。若者も、高齢者も、障害のある方も、ない方も、男性も、女性も、全ての人が生きがいを感じられる社会です。経済的環境や世代、生まれた環境によって生じる格差やそれがもたらす分断。これが危機によって大きくなっているとの指摘があります。同時に、われわれは、家族や仲間との絆の大切さに改めて気付きました。東日本大震災の時に発揮された日本社会の絆の強さ。世界から賞賛されました。危機に直面した今こそ、この絆の力を発揮するときです。全ての人が生きがいを感じられる、新しい社会を創っていこうではありませんか。日本の絆の力を呼び起こす。それが私の使命です。
(2)
◆新型コロナ対応
まず、新型コロナ対応です。足下では、感染者数は落ち着きを見せ、緊急事態宣言は全面的に解除されました。菅前総理の大号令の下、他国に類を見ない速度でワクチン接種が進み、この闘いに勝つための大きな一歩が踏み出せました。前総理のご尽力に、心より敬意を表します。
しかし、楽観視はできません。危機対応の要諦は、常に最悪の事態を想定することです。感染が落ち着いている今こそ、様々な事態を想定し、徹底的に安心確保に取り組みます。与えられた権限を最大限活用し、病床と医療人材の確保、在宅療養者に対する対策、徹底します。希望するすべての方への2回のワクチン接種を進め、さらに、3回目のワクチン接種も行えるよう、しっかりと準備をしていきます。経口治療薬の、年内実用化を目指します。あわせて、電子的なワクチン接種証明の積極的な活用、予約不要の無料検査の拡大に取り組みます。
これらの安心確保の取り組みの全体像を、早急に国民にお示しするよう関係大臣に指示しました。国民のみなさんが先を見通せるよう、丁寧に説明してまいります。同時に、これまでの対応を徹底的に分析し、何が危機管理のボトルネックだったかを検証します。そして、司令塔機能の強化、人流抑制、医療資源確保のための法改正、国産ワクチンや治療薬の開発など、危機管理を抜本的に強化いたします。
国民の協力を得られるよう経済支援を行うことも大切です。大きな影響を受ける事業者に対し、地域、業種を限定しないで、事業規模に応じた給付金を支給します。新型コロナの影響により苦しんでおられる、非正規、子育て世帯などお困りの方々を守るための給付金などの支援も実行していきます。
◆新しい資本主義の実現
次に、私の経済政策について申し上げます。マクロ経済運営については、最大の目標であるデフレからの脱却、成し遂げます。そして、大胆な金融政策、機動的な財政政策、成長戦略の推進、努めます。危機に対する必要な財政支出は躊躇なく行い、万全を期します。経済あっての財政であり、順番を間違えてはなりません。経済をしっかりと立て直します。そして、財政健全化に向けて取り組みます。
その上で、私が目指すのは、新しい資本主義の実現です。新自由主義的な政策については、富めるものと、富まざるものとの深刻な分断を生んだ、といった弊害が指摘をされています。世界では、健全な民主主義の中核である中間層を守り、気候変動などの地球規模の危機に備え、企業と政府が大胆な投資をしていく。そうした、新しい時代の資本主義経済を模索する動きが始まっています。今こそ、わが国も、新しい資本主義を起動し、実現していこうではありませんか。
「成長と分配の好循環」と「コロナ後の新しい社会の開拓」。これがコンセプトです。成長を目指すことは、極めて重要であり、その実現に向けて全力で取り組みます。しかし、「分配なくして次の成長なし」。このことも、私は、強く訴えています。成長の果実を、しっかりと分配することで、初めて、次の成長が実現します。大切なのは、「成長と分配の好循環」です。「成長か、分配か」という、不毛な議論から脱却し、「成長も、分配も」実現するために、あらゆる政策を総動員いたします。
(3)
新型コロナで、わが国の経済社会は、大きく傷つきました。一方で、これまで進んで来なかったデジタル化が急速に進むなど、社会が変わっていく確かな予感が生まれています。今こそ、科学技術の恩恵を取り込み、コロナとの共生を前提とした、新しい社会を創り上げていくときです。
この変革は、地方から起こります。地方は、高齢化、過疎化などの社会課題に直面し、新たな技術を活用するニーズがあります。例えば、自動走行による介護先への送迎サービスや、配達の自動化、リモート技術を活用した働き方、農業や観光産業でのデジタル技術の活用です。ピンチをチャンスに変え、われわれが子どものころ夢見た、わくわくするような未来社会を創ろうではありませんか。
そのために、「新しい資本主義実現会議」を創設し、ビジョンの具体化を進めます。新しい資本主義を実現していく車の両輪、これは、成長戦略と分配戦略です。
まず、成長戦略の第1の柱は、科学技術立国の実現です。学部や修士・博士課程の再編、拡充など科学技術分野の人材育成を促進します。世界最高水準の研究大学を形成するため、10兆円規模の大学ファンドを年度内に設置します。デジタル、グリーン、人工知能、量子、バイオ、宇宙など先端科学技術の研究開発に大胆な投資を行います。民間企業が行う未来への投資を全力で応援する税制、実現していきます。また、イノベーションの担い手であるスタートアップの徹底支援を通じて、新たなビジネス、産業の創出を進めます。そして、2050年カーボンニュートラルの実現に向け、温暖化対策を成長につなげる、クリーンエネルギー戦略、策定し、強力に推進いたします。
第2の柱は、地方を活性化し、世界とつながる「デジタル田園都市国家構想」です。地方からデジタルの実装を進め、新たな変革の波を起こし、地方と都市の差を縮めていきます。そのために、5Gや半導体、データセンターなど、デジタルインフラの整備を進めます。誰一人取り残さず、全ての方がデジタル化のメリットを享受できるように取り組みます。
第3の柱は、経済安全保障です。新たに設けた担当大臣の下、戦略物資の確保や技術流出の防止に向けた取り組みを進め、自立的な経済構造を実現します。強靭なサプライチェーンを構築し、わが国の経済安全保障を推進するための法案、策定します。
第4の柱は、人生100年時代の不安解消です。将来への不安が、消費の抑制を生み、経済成長の阻害要因となっています。兼業、副業、あるいは、学びなおし、フリーランスといった多様で柔軟な働き方が拡大をしています。大切なのは、どんな働き方をしても、セーフティーネットが確保されることです。働き方に中立的な社会保障や税制を整備し、「勤労者皆保険」の実現に向けて取り組みます。人生100年時代を見据えて、子供から子育て世代、年寄りまで、全ての方が安心できる、全世代型社会保障の構築、進めます。
次に、分配戦略です。
第1の柱は、働く人への分配機能の強化です。企業が、長期的な視点に立って、株主だけではなく、従業員も、取引先も恩恵が受けられる「三方良し」の経営を行うことが重要です。非財務情報開示の充実、四半期開示の見直しなど、そのための環境整備、進めてまいります。政府として、下請け取引に対する監督体制を強化し、大企業と中小企業の共存共栄を目指します。また、労働分配率向上に向けて賃上げを行う企業へ税制支援を抜本強化します。
第2の柱は、中間層の拡大、そして少子化対策です。中間層の拡大に向け、成長の恩恵を受けられていない方々に対して、国による分配機能を強化します。大学卒業後の所得に応じて「出世払い」を行う仕組みを含め、教育費や住居費への支援を強化し、子育て世代を支えていきます。保育の受け皿整備、幼保小連携の強化、学童保育の制度の拡充や利用環境の整備など、子育て支援、促進します。こども目線での行政のあり方を検討し、実現していきます。
第3の柱は、看護、介護、保育などの現場で働いている方々の収入を増やしていくことです。新型コロナ、そして、少子高齢化への対応の最前線にいる皆さんの収入を増やしていきます。そのために、公的価格評価検討委員会を設置し、公的価格のあり方を抜本的に見直します。
第4の柱は、公的分配を担う、財政の単年度主義の弊害是正です。科学技術の振興、経済安全保障、重要インフラの整備など国家課題に計画的に取り組みます。
これらに加え、地方活性化に向けた基盤づくりにも積極的に投資します。東日本大震災からの復興なくして日本の再生なし。この強い思いの下で、被災者支援、産業・生業の再建、福島の復興・再生に全力で取り組みます。
農林水産業の高付加価値化と輸出力強化を進めるとともに、家族農業や中山間地農業の持つ多面的な機能を維持していきます。新型コロナによる米価の大幅な下落、これは、深刻な課題です。当面の需給の安定に向けた支援など、十分な対策を行います。老朽化対策を含め、防災・減災、国土強靱化の強化とともに、高速道路、新幹線など、交通、物流インフラの整備、推進いたします。
いのち輝く未来社会のデザイン。これが2025年大阪・関西万博のテーマです。地域から、IoTや人工知能などのデジタル技術を活用した未来の日本の姿を示します。観光立国復活に向けた観光業支援、文化立国に向けた地域の文化、芸術への支援強化にも取り組みます。
(4)
◆国民を守り抜く、外交・安全保障
私の内閣の3つ目の重要政策は、「国民を守り抜く、外交、安全保障」です。私は、外交、安全保障の要諦は、「信頼」だと確信をしています。先人たちの努力により、世界から得た「信頼」を基礎に、3つの強い「覚悟」をもって毅然とした外交を進めてまいります。
第1に、自由、民主主義、人権、法の支配といった普遍的価値を守り抜く覚悟です。米国をはじめ、豪州、インド、ASEAN、欧州などの同盟国・同志国と連携し、日米豪印も活用しながら、「自由で開かれたインド太平洋」を力強く推進いたします。深刻化する国際社会の人権問題にも、省庁横断的に取り組みます。
第2に、わが国の平和と安定を守り抜く覚悟です。わが国を取り巻く安全保障環境が一層厳しさを増す中、わが国の領土、領海、領空、そして、国民の生命と財産を断固として守り抜きます。そのために、国家安全保障戦略、防衛大綱、中期防衛力整備計画の改定に取り組みます。この中で、海上保安能力や更なる効果的措置を含むミサイル防衛能力など防衛力の強化、経済安全保障など新しい時代の課題に、果敢に取り組んでいきます。
こうしたわが国の外交・安全保障政策の基軸は、日米同盟です。私が先頭に立って、インド太平洋地域、そして、世界の平和と繁栄の礎である日米同盟を更なる高みへと引き上げていきます。日米同盟の抑止力を維持しつつ、丁寧な説明、対話による信頼を地元のみなさんと築きながら、沖縄の基地負担の軽減に取り組んでまいります。普天間飛行場の1日も早い全面返還を目指し、辺野古沖への移設工事を進めます。
北朝鮮による核、ミサイル開発は断じて容認できません。日朝平壌宣言に基づき、拉致、核、ミサイルといった諸懸案を包括的に解決し、不幸な過去を清算して、日朝国交正常化の実現を目指します。拉致問題は最重要課題です。全ての拉致被害者の1日も早い帰国を実現すべく、全力で取り組みます。私自身、条件を付けずに金正恩委員長と直接向き合う決意です。
第3に、地球規模の課題に向き合い、人類に貢献し、国際社会を主導する覚悟です。核軍縮・不拡散、気候変動などの課題解決に向け、わが国の存在感を高めていきます。被爆地広島出身の総理大臣として、私が目指すのは、「核兵器のない世界」です。私が立ち上げた賢人会議も活用し、核兵器国と非核兵器国の橋渡しに努め、唯一の戦争被爆国としての責務を果たしてまいります。これまで世界の偉大なリーダーたちが幾度となく挑戦してきた核廃絶という名の松明を、私も、この手にしっかりと引き継ぎ、「核兵器のない世界」に向け、全力を尽くしてまいります。
世界で保護主義が強まる中、わが国は自由貿易の旗手を務めます。デジタル時代の信頼性ある自由なデータ流通、「DFFT」を実現するため、国際的なルールづくりに積極的な役割を果たしていきます。
中国とは、安定的な関係、築いていくことが、両国、そして、地域及び国際社会のために重要です。普遍的価値を共有する国々とも連携しながら、中国に対して主張すべきは主張し、責任ある行動を強く求めると同時に、対話を続け、共通の諸課題について協力してまいります。
ロシアとは、領土問題の解決なくして、平和条約の締結はありません。首脳間の信頼関係を構築しながら、平和条約の締結を含む日露関係全体の発展を目指します。
韓国は重要な隣国です。健全な関係に戻すためにも、わが国の一貫した立場に基づき、韓国側に適切な対応を強く求めていきます。
◆新しい経済対策
「新型コロナ対応」、「新しい資本主義」、「外交・安全保障」。これら3つの政策を着実に実行することで、国民のみなさんとともに、新しい時代を切り拓いていきます。本日朝の閣議で、新型コロナ対応に万全を期すとともに、新しい資本主義を起動させるため、新たな経済対策を策定するよう指示いたしました。総合的かつ大胆な経済対策を速やかにとりまとめます。
◆おわりに
憲法改正についてです。憲法改正の手続きを定めた国民投票法が改正されました。今後、憲法審査会において、各政党が考え方を示した上で、与野党の枠を超え、建設的な議論を行い、国民的な議論を積極的に深めていただくことを期待いたします。
そして、最後になりますが、このようなことわざがあります。「早く行きたければ1人で進め。遠くまで行きたければ、みんなで進め。」
新型コロナという目に見えない敵に対し、われわれは、国民全員の団結力によって一歩一歩前進してきました。改めて、この日本という国が、先祖代々、営々と受け継いできた、人と人のつながりが生み出す、やさしさ、ぬくもりがもたらす社会の底力を強く感じます。正に、「この国のかたち」の原点です。
この「国のかたち」を次の世代に引き継いでいくためにも、私たちは、経済的格差、地域的格差などがもたらす分断を乗り越え、コロナとの闘いの先に、新しい時代を切り拓いていかなければなりません。そのために、みんなで前に進んでいくためのワンチームを創りあげます。
「早く行きたければ1人で進め。遠くまで行きたければ、みんなで進め。」1人であれば、目的地に早く着くことができるかもしれません。しかし、仲間とならばもっと遠く、はるかに遠くまで行くことができます。私は、日本人の底力を信じています。
新型コロナの中にあってもなお、デジタル、グリーン、人工知能、量子、バイオ、宇宙、新しい時代の種が芽吹き始めています。この萌芽を大きな木に育て、経済を成長させ、その果実を国民全員で享受していく、明るい未来を築こうではありませんか。明けない夜はありません。国民のみなさんとともに手を取り合い、明日への一歩を踏み出します。
同僚議員各位、そして、何よりも国民のみなさんのご協力を心からお願い申し上げ、所信表明とさせていただきます。ご清聴ありがとうございました。
2021.10.05-NHK NEWS WEB-https://www3.nhk.or.jp/news/html/20211004/k10013289861000.html
【時系列まとめ】総理大臣に岸田文雄氏 新内閣正式発足
4日午後、衆参両院の本会議での総理大臣の指名選挙が行われ、第100代の総理大臣に自民党の岸田総裁が選出されました。
そして岸田内閣は、皇居での総理大臣の親任式と閣僚の認証式を経て、午後8時すぎ正式に発足しました。岸田内閣が正式発足した4日の動きを時系列でまとめました。
“閣僚の官邸会見「働き方改革の観点」で実施せず”(23時すぎ)
松野官房長官は初閣議のあとの記者会見で「副大臣と政務官の人事は、今月6日に行う予定だ」と述べました。
また、これまで閣僚が初閣議のあとに総理大臣官邸で順番に行っていた記者会見について、働き方改革の観点から見直しを行い、実施しないことにしたと明らかにしました。
初閣議 首相臨時代理1位は松野官房長官(22時20分すぎ)
岸田内閣発足後初の閣議が開かれ、総理大臣臨時代理について、1位を松野官房長官、2位を茂木外務大臣、3位を野田少子化担当大臣、4位を鈴木財務大臣、5位を金子農林水産大臣とすることを決めました。
また閣議では信頼と共感を得られる政治が必要だとしたうえで、国民の生活を守り、所得を増やす政策に取り組むとする基本方針を決定しました。
岸田首相の記者会見終了(22時すぎ)
岸田総理大臣の記者会見は1時間ほどで終了しました。
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拉致問題「強い思いと覚悟持って取り組み続ける」
北朝鮮による拉致問題への対応について「アメリカの新政権の北朝鮮政策のありようについてもしっかりと把握しながら、日本としてどんな役割を果たせるのか考え具体的な取り組みを進めていくべきだ。拉致被害者のご家族の高齢化が進み、一刻の猶予もない課題であり、強い思いと覚悟を持って取り組みを続けていきたい」と述べました。
政府分科会『改組』や『閉鎖』 一度も申し上げたことない
新型コロナウイルス対策の分科会について「今の分科会には、医療を中心に、さまざまな専門的な見地からご意見をいただき、政府にさまざまな貢献をしていただいていると認識している。『改組する』とか『閉鎖する』といったことは、一度も申し上げたことはない。あくまでも『新しい日常』やコロナとの共存を考え、私たちの生活、社会経済活動を回す際に、必要ないろいろなアイデアやヒントをいただくための会議を、別途作るべきだと申し上げてきた」と述べました。
中国への対応「言うべきことは言っていく」
中国への対応について「隣国で最大の貿易相手国であり、対話は続けていかなければならない。一方で、東シナ海をはじめ、さまざまな地域で、力による現状変更と言えるような動きや、自由や法の支配といった価値観に対して、いかがかと思うような対応も感じる。普遍的な価値を共有する同盟国や同志国とも連携しながら、言うべきことは言っていくのが重要なスタンスだ」と述べました。また中国がTPP=環太平洋パートナーシップ協定への加入を申請したことについて「国有企業のあり方や知的財産権に対する対応といった事を考えると、TPPの高いレベルを中国がクリアできるかはなかなか不透明ではないか」と述べました。
衆議院選挙の日程の理由「空白をできるだけ短く」
衆議院選挙を今月31日投開票の日程とする方針を決めた理由について「国民に貴重な判断をいただくわけで、新型コロナの状況も当然、念頭に置いている。ただ、衆議院議員の任期は10月21日までで、空白をできるだけ短くしなければいけないし、まずは国民に岸田に任せていいのかをしっかり確認してもらい、国民の意思・思いを背景に、思い切ってコロナ対策、経済対策を行うことができないかという思いから日程を決めた。ここが最大の目的だ」と述べました。
“唯一の戦争被爆国として核兵器のない世界の出口へ引っ張る”
核兵器禁止条約の批准に向けて、アメリカのバイデン大統領に協力を求めていく考えがあるか問われたのに対し「唯一の戦争被爆国として、アメリカをはじめとする核兵器国を、核兵器のない世界の出口に向けて引っ張っていく役割を果たさなければいけない。バイデン大統領も、去年の大統領選挙の最中に『核兵器のない世界を目指す』と発信している。バイデン大統領とも意思疎通を図る中で、大きな目標に向けて、何ができるのかしっかり考えていきたい」と述べました。
“新型コロナとの闘いの司令塔機能の体制をしっかりつくる”
新型コロナウイルス対策を担当する大臣をすべて交代させたねらいを問われたのに対し「新しく就任した3人の大臣は、それぞれの分野で活躍してきた有能な人材であり、しっかり職責を果たしていただきたい。担当大臣らが、いかにうまく連携していけるかが大変重要なポイントだ」と述べました。
そのうえで「新型コロナとの闘いの司令塔機能の体制をしっかりつくっていくことが、将来に向けても、危機管理という面で大変重要だ。スピード感を持って、司令塔機能をしっかり作っていく取り組みを進めていきたい」と述べました。
来月の気候変動対策の国際会議「発言や存在感しっかり示す」
今月30日からイタリアのローマで開催されるG20サミット=主要20か国の首脳会議や、来月1日と2日に、イギリスで行われる予定の気候変動対策の国際会議、COP26の首脳会合への対応について「国際社会において、大変、重要な会議だと認識している。ただ現状において、リモートなどの技術によって発言や参加することも可能だと認識しているので、できるだけそうした技術を使うことで、日本の発言や存在感をしっかり示していきたい」と述べました。
“弱い立場の方々に現金給付行うこと考えていきたい”
岸田総理大臣は、経済対策について「今、コロナ禍で、大変苦しんでおられる女性や非正規、学生の皆さんといった弱い立場の方々に、個別に現金給付を行うことは考えていきたい。金額などについては、今後、与党とも具体的な案をしっかりと検討したうえで確定していきたい」と述べました。
岸田首相 衆院解散14日 衆院選公示19日 投票31日 表明
岸田総理大臣は、記者会見で国会会期末の今月14日に衆議院を解散し、衆議院選挙を19日公示、31日投開票の日程で行う方針を表明しました。
岸田首相の記者会見始まる(21時すぎ)
岸田内閣が発足したあと初めてとなる岸田首相の記者会見が始まりました。
岸田内閣 正式発足 閣僚の認証式終了(20時すぎ)
岸田内閣は、皇居での総理大臣の親任式と閣僚の認証式を経て、午後8時すぎ正式に発足しました。
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岸田首相を任命する親任式 皇居で行われる(17時45分)
岸田総理大臣を任命する親任式が、今夜、皇居で行われました。皇居では、午後5時45分、岸田総理大臣が宮殿の車寄せに到着しました。親任式は、宮殿の「松の間」で行われ、衆参両院の議長らが見守るなか、天皇陛下が岸田総理大臣に「内閣総理大臣に任命します」と述べられました。
そして、菅前総理大臣から岸田総理大臣に任命書が手渡されました。このあと、同じ「松の間」で閣僚らの認証式が行われます。
外相に再任 茂木氏「日本の存在感高める外交進めていきたい」
外務大臣に再任される茂木敏充氏は、呼び込みのあと、総理大臣官邸を出る際、記者団に対し「岸田総理大臣からは『外交は継続が非常に重要なので、引き続き日本外交のためにしっかり頑張ってほしい。今後の外遊日程についてはよく相談したい』という話があった」と述べました。
そのうえで「日本が提唱している自由で開かれたインド太平洋はさまざまな分野で広がっている。引き続きリーダーシップを発揮しながら、日本の存在感を高める外交を進めていきたい」と述べました。
万博相として初入閣 若宮氏「世界に発信していくチャンス」
万博担当大臣として初めて入閣する若宮健嗣氏は、呼び込みのあと、総理大臣官邸を出る際「大阪・関西万博は、日本がこれから先、コロナ禍のあとの社会について、世界に発信していくチャンスであり、しっかりと取り組んでいきたい」と述べました。
経済安保相として初入閣 小林氏「経済面から国益確保を」
新設された経済安全保障担当大臣として初入閣する、小林鷹之氏は、呼び込みのあと、総理大臣官邸を出る際、記者団に対し「非常に身の引き締まる思いだ。経済安全保障は、日本を取り巻く環境が非常に流動的で、極めて厳しい状況におかれており、そういう状況の中で、経済面から国益を確保していく。職責の重みをしっかり受け止めて、全力で取り組んでいきたい」と述べました。
文部科学相として初入閣 末松氏「現場を学ぶこと大事に」
文部科学大臣として初めて入閣する参議院議員の末松信介氏は呼び込みのあと総理大臣官邸を出る際「ここ2年間はコロナ禍で対面授業がなかなかできず、友人関係作りなどでいろいろな問題が起きてきている。現場についてよく学ぶことを大事にして充実した教育をできるようにしたい」と述べました。
復興相として初入閣 西銘氏「現場に出向いて全力で頑張りたい」
復興大臣として初入閣する西銘恒三郎氏は、呼び込みのあと、総理大臣官邸を出る際、記者団に対し「岸田総理大臣からは『東北の復興なくしてわが国の再生なしだ。しっかりと国民の声に寄り添い頑張るように』と指示を受けた。身の引き締まる思いだ。とにかく現場に出向いて、全力で頑張りたい」と述べました。
農相に起用 金子原二郎氏「米価対策で総理指示」
農林水産大臣に起用された参議院議員の金子原二郎氏は、呼び込みのあと、総理大臣官邸を出る際、「岸田総理大臣から『コメの値段が非常に安くなっていて、農業従事者には大変、大きな問題なので、できるだけ早く解決策を考えてもらいたい』と話があった。頑張っていきたい」と述べました。
防衛相に再任 岸氏「みずからの防衛体制整える」
防衛大臣に再任される岸信夫氏は、呼び込みのあと、総理大臣官邸から出る際、記者団に対し「岸田総理大臣からは『安全保障関係の課題が山積で、難しいことも多いですが、頑張ってください』と言われた。安全保障は非常に厳しい環境であり、わが国をしっかり守っていけるみずからの防衛体制を整え、日米同盟の強化にも努めていきたい」と述べました。
地元では号外
岸田総理大臣の地元の広島市中区では、地元の新聞社が第100代の総理大臣に選出されたことを伝える号外を配り、通りかかった人たちが次々に受け取りました。市内の40代の女性は「新型コロナウイルスの影響で街が沈んでたので、久々に明るい話題が出てよかったです。新しい内閣の顔ぶれをみて新しい風が吹いてくれたらいいなと思います」と話していました。
60代の会社員の女性は「応援していたのでよかったです。よく人の話を聞くということなので、よりよい政治にしてほしい。コロナ禍で経済的に困窮して学校を辞めざるをえない大学生などを救済してほしい」と話していました。60代の男性は「期待しています。核兵器禁止条約への対応は難しい面もあると思いますが、前向きな対応の可能性は、岸田さんがいちばんあると思います」と話していました。
公明 山口代表「国民の期待に応えていく」(16時半ごろ)
公明党の山口代表は、与党党首会談などに出席したあと、午後4時半ごろ総理大臣官邸で記者団に対し「岸田総理大臣と力を合わせて、国民の期待に応えていくことを改めて確認した。新たな閣僚はとてもフレッシュで、清新な感じを受けた。それぞれの役目を存分に発揮できるように、与党としても、しっかりバックアップしていきたい」と述べました。
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ワクチン相として初入閣 堀内氏「非常に重い責任感じる」
ワクチン接種推進担当大臣として初めて入閣する堀内詔子氏は、午後4時前、議員会館の事務所で総理大臣秘書官から電話を受けました。このあと、堀内氏は、記者団に対し「非常に重い責任を感じている。国民の中にはワクチンを2回受けられていない人がまだいて、希望する人が2回の接種を完了できる体制をつくりたい」と述べました。
厚生労働相として初入閣 後藤氏「国民にきちんと説明する」
厚生労働大臣として初めて入閣する後藤茂之氏は、議員会館の事務所で、電話の前に待機して、総理大臣官邸からの連絡を待ちました。
そして、午後3時50分ごろ、総理大臣官邸から呼び込みの電話を受けると、記者団に対し「新型コロナ対策はもちろん、社会保障にもしっかり取り組みたい。雇用政策や所得再分配も重要な政策課題だ」と抱負を述べました。
また、きのう午後5時半ごろに自宅で、岸田総理大臣から入閣の電話を受けたことを明らかにし「国民に政策の意図をきちんと説明し、対話をしていくために、連携しながらやっていこうと言われた。国民の皆さんが不安のないよう取り組みたい」と述べ、足早に総理大臣官邸に向かいました。
経済再生相として初入閣 山際氏「一瞬も気は抜けない」
経済再生担当大臣として初めて入閣する自民党の山際大志郎氏は午後3時45分ごろ、議員会館の事務所で、総理大臣秘書官からの電話を受けました。
このあと、記者団に対し「いよいよ始まったという感じだ。これから一瞬も気は抜けない」と述べ、事務所のスタッフに拍手で見送られながら、総理大臣官邸に向かいました。
少子化相に起用 野田氏「こども庁設置に向けて頑張る」
少子化担当大臣に起用される野田聖子氏は午後3時45分ごろ議員会館の事務所で呼び込みの電話を受けました。このあと、野田氏は記者団に対し「ライフワークとしていた人口減少を止めるための少子化対策、男女共同参画など、今までコツコツやってきたことなので、気負うことなく温めてきた政策をしっかり形にしていきたい」と述べました。
そのうえで「こども庁」の設置について「日本の浮沈がかかっている。子どもたちが幸せになれない国が成熟した国家であるはずがない。しっかりと皆さんの勇気の一助になるように設置に向けて頑張りたい」と述べました。
デジタル相として初入閣 牧島氏「思い引き継ぎたい」
デジタル大臣として初めて入閣する牧島かれん氏は、議員会館の事務所で、午前中からデジタル庁の幹部らとの打ち合わせをこなしました。
そして、午後3時45分ごろ、総理大臣秘書官からの呼び込みの電話を受けると「ありがとうございます。すぐ参ります」と応じました。
牧島氏は、記者団に対し「先月、デジタル庁が立ち上がったことは感無量で、その思いを引き継いでいきたい。しっかりと岸田総理大臣を支え、国民の皆さんに政策を伝え、実行する役割を果たせるよう努めていきたい」と述べました。
総務相として初入閣 金子恭之氏「感謝の気持ち持って臨む」
総務大臣として初入閣する金子恭之氏は、議員会館の事務所で、岸田内閣の発足を伝えるテレビを見ながら「今までは『僕もいつあそこに行けるのかな』と思っていた」と話していました。そして、午後3時45分ごろ、総理大臣秘書官からの呼び込みの電話を受けると「ありがとうございます」と応じました。
金子氏は、記者団に対し「感無量だ。電話を受けてやっと実感がでてきた。国会議員になって21年間、私を暖かく見守ってくれたすべての人に感謝の気持ちを持ちながらこれから臨みたい」と述べました。
初入閣の環境相 山口氏、経済安保担当相 小林氏それぞれ官邸へ
いずれも初入閣で、環境大臣の山口壯氏と、経済安全保障担当大臣の小林鷹之氏は、所属する二階派の事務所で派閥の議員らとともに、総理大臣官邸からの連絡を待ちました。そして、午後3時40分ごろ、松野官房長官による閣僚名簿の発表で、2人の名前が読み上げられると歓声が上がりました。
山口氏は「至らない私だったが、同志の力で今回、大臣を拝命した。二階前幹事長の温かい指導に感謝し、これからもよろしくお願いしたい」と述べました。
また、小林氏は「非常に責任が重い役職で本当に身の引き締まる思いだ。しっかりと職責を全うし、日本をさらに前に進められるように、微力ながら全力を尽くしたい」と述べました。このあと、拍手を受けながら、それぞれ、総理大臣官邸に向かいました。
国土交通相として再入閣 斉藤氏「政治家人生のすべてかけたい」
国土交通大臣として再入閣する公明党の斉藤鉄夫氏は午後3時40分ごろ、議員会館の事務所で、総理大臣秘書官からの電話を受けました。
このあと、斉藤氏は記者団に対し「国土交通行政は、生活に直結しており、大きな責任がある。政治家人生のすべてをかけて仕事をやり遂げたい」と述べ、総理大臣官邸に向かいました。
財務相として再入閣 鈴木氏「いよいよ始まる」
財務大臣として再入閣する自民党の鈴木俊一・元総務会長は午後3時40分すぎに議員会館の事務所で総理大臣秘書官からの電話を受けると「承知しました」と答えました。そして、記者団に対し「至急、官邸に来てもらいたいという電話だったので行ってくる。夜には皇居で認証式もあり、いよいよ一連のスケジュールが始まるという感じだ」と述べ、総理大臣官邸に足早に向かいました。
閣僚の総理大臣官邸への呼び込み始まる(15時47分)
岸田内閣の閣僚の総理大臣官邸への呼び込みが始まりました。
組閣本部 設置(15時37分)
岸田総理大臣と公明党の山口代表の党首会談が終わり、組閣本部が設置されました。このあと、閣僚人事が行われ、起用が内定している松野官房長官が、岸田内閣の閣僚名簿を発表することにしています。
与党党首会談 終わる(15時36分)
岸田総理大臣と公明党の山口代表による党首会談は終わりました。
与党党首会談始まる(15時半)
岸田総理大臣は、午後3時半から総理大臣官邸で公明党の山口代表と党首会談を行いました。
立民 枝野代表「明確な政権政策をかかげて論戦へ」(15時ごろ)
立憲民主党の枝野代表は、党の両院議員総会であいさつし「残念ながら政権の表紙をつけかえる首班指名、そして所信表明と代表質問だけをやり大慌てで総選挙に突っ込むようだ。国民が抱く疑問や不信感の解消のために私自身が先頭に立ち、われわれの明確な政権政策をかかげて全力で論戦に挑んでいく。総力をあげてこの戦いを乗り切り、まっとうな政治を作っていこう」と述べました。
岸田首相 官邸入る 組閣へ(15時前)
第100代の総理大臣に選出された岸田総理大臣は、午後3時前第100代の総理大臣に選出された岸田総理大臣は、午後3時前、総理大臣官邸に入りました。
このあと、公明党の山口代表と党首会談を行ったうえで、組閣本部を設置し、直ちに閣僚人事を行うことにしています。そして皇居での総理大臣の親任式と閣僚の認証式を経て、夜には岸田内閣が正式に発足する運びです。
これを受けて、岸田総理大臣は、就任にあたっての記者会見を行い、閣僚人事のねらいや今後の政権運営などについて、みずからの考えを明らかにしたあと、初閣議に臨むことにしています。
岸田首相 まもなく総理大臣官邸入り(14時15分すぎ)後3時前、総理大臣官邸に入りました。
このあと、公明党の山口代表と党首会談を行ったうえで、組閣本部を設置し、直ちに閣僚人事を行うことにしています。そして皇居での総理大臣の親任式と閣僚の認証式を経て、夜には岸田内閣が正式に発足する運びです。これを受けて、岸田総理大臣は、就任にあたっての記者会見を行い、閣僚人事のねらいや今後の政権運営などについて、みずからの考えを明らかにしたあと、初閣議に臨むことにしています。
岸田首相 まもなく総理大臣官邸入り(14時15分すぎ)
第100代の総理大臣に選出された岸田総理大臣は、午後3時前、総理大臣官邸に入りました。
このあと、公明党の山口代表と党首会談を行ったうえで、組閣本部を設置し、直ちに閣僚人事を行うことにしています。そして皇居での総理大臣の親任式と閣僚の認証式を経て、夜には岸田内閣が正式に発足する運びです。
これを受けて、岸田総理大臣は、就任にあたっての記者会見を行い、閣僚人事のねらいや今後の政権運営などについて、みずからの考えを明らかにしたあと、初閣議に臨むことにしています。
岸田首相 まもなく総理大臣官邸入り(14時15分すぎ)
第100代の総理大臣に選出された岸田総理大臣は、まもなく総理大臣官邸に入り、組閣を行うことにしています。
岸田首相 衆参両院の正副議長や各会派にあいさつ(14時すぎ)
岸田総理大臣は、総理大臣に指名されたあと、衆参両院の正副議長や、各会派の控え室をおよそ40分かけて回り、あいさつを行いました。
岸田総理大臣のあいさつ回りには、衆議院側は甘利幹事長が、参議院側は世耕参議院幹事長らが同行しました。このうち、衆議院の自民党の控え室では、福田総務会長や高市政務調査会長ら党執行部が拍手で出迎え、全員で記念撮影を行いました。
岸田総理大臣は「自民党のため、日本の政治のため、一生懸命、努力するので、今後ともよろしく」と述べました。参議院の公明党の控え室では、山口代表らが出迎え、山口氏は「強力にお支えします」と声を掛けました。
また、衆議院の立憲民主党の控え室では、岸田総理大臣が「よろしくお願いします」と述べると、枝野代表は「しっかり論戦していきます。よろしくお願いします」と応じていました。一方、菅前総理大臣も各会派の控え室を訪れ、退任のあいさつを行いました。
第100代の総理大臣に選出(14時ごろ)
自民党の岸田文雄総裁は、午後2時ごろ、衆参両院の本会議で行われた総理大臣指名選挙の結果、第100代の総理大臣に選出されました。
衆議院本会議では、自民党の岸田総裁が311票、立憲民主党の枝野代表が124票、日本維新の会の片山共同代表が11票、国民民主党の玉木代表が11票、自民党の高市政務調査会長が1票。
一方、午後1時半から開かれた参議院本会議では、自民党の岸田総裁が141票、立憲民主党の枝野代表が65票、日本維新の会の片山共同代表が15票、国民民主党の玉木代表が15票、無所属の嘉田由紀子氏が2票、無所属の渡辺喜美氏が2票、国民民主党の伊藤孝恵・副代表が1票でした。
維新 馬場幹事長「『事なかれ内閣』だ」(13時前)
日本維新の会の馬場幹事長は午後1時前、党の代議士会で「新内閣の顔ぶれが明らかになってきたが、ひと言で表現すると『事なかれ内閣』だ。完全に衆議院選挙向けの内閣で、決して日本大改革ができるような布陣ではない」と述べました。
国民 玉木代表「受けて立ち勝利に」(13時前)
国民民主党の玉木代表は、午後1時前に代議士会であいさつし「これまで選挙公約を作るなど、準備をしてきたので、しっかり受けて立ち、戦って勝つという姿勢で臨んでいく。力を合わせ、心を合わせて勝利につなげていくために、結束を固めて取り組んでいきたい」と述べました。
衆議院 首相指名選挙 岸田氏を総理大臣に指名(13時40分ごろ)
衆議院は、本会議で総理大臣指名選挙を行い、午後1時40分ごろ、自民党の岸田文雄総裁を総理大臣に指名しました。このあと参議院本会議でも岸田総裁が指名され、第100代の総理大臣に選出される運びです。
立民 枝野代表「政治を変えるのが私たちの使命」(12時半すぎ)
立憲民主党の枝野代表は、午後0時半すぎに代議士会であいさつし「『説明しない政治』や『政治とカネ』の問題により、時代をさかのぼったかのような状況が露骨になっている。政権は、われわれが求めていた予算委員会を開かず総選挙を行う方針だそうだ。これのどこが人の話を聞く姿勢なのか。国民に説明しようという姿勢があるのだろうか。こうした政治を変えるのが私たちの使命だ」と述べました。
菅首相 総理大臣官邸をあとに(12時半すぎ)
菅総理大臣は、岸田内閣の発足を前に、午後0時半すぎ、官房長官時代を含めて8年9か月余りを過ごした総理大臣官邸をあとにしました。
玄関ホールには、加藤官房長官をはじめ、坂井官房副長官や岡田官房副長官らおよそ150人が集まりました。
菅総理大臣は、女性職員2人から花束を受け取ったあと、おじぎをするなどして、総理大臣指名選挙が行われる衆議院本会議に出席するため、国会に向かいました。
菅総理大臣の在任期間は384日で、戦後に就任した総理大臣としては、34人中、23番目の長さとなります。
国民 玉木代表「立ち向かい政策を訴える」(12時前)
国民民主党の玉木代表は、正午前にNHKの取材に対し「本来であれば、ずっと要求してきた予算委員会をきちんと開き、政権の方針や野党の提案を十分に議論すべきだが、感染が広がらないうちに勝負に出たのだろう。ただ、政権が解散を決めたとなればしっかり立ち向かい、選挙の中で『積極財政への転換』など党の政策を訴えていきたい」と述べました。
維新 遠藤国対委員長「衆院選 望むところ」(11時半すぎ)
日本維新の会の遠藤国会対策委員長は、午前11時半すぎにNHKの取材に対し「衆議院選挙は、今月、議員の任期が満了になる以上、できるだけ早くやるよう求めてきたので望むところだ。今回の判断の背景には、新型コロナウイルスによる感染の第6波の前に選挙を実施したいという思惑があるのではないか」と述べました。
共産 志位委員長「政治を変えるには政権交代必要」(11時半)
共産党の志位委員長は、午前11時半ごろ、党の議員団総会であいさつし「新政権は、政治とカネの問題で大臣を辞め、国会への説明責任を果たさない方の幹事長への起用をはじめ、まさに『安倍カラー』一色だ。行き詰まった自民党政治の枠内で政権のたらい回しをしても1ミリたりとも変わらず、日本の政治を変えるには、政権交代が必要だ」と述べました。
立民 福山幹事長「乱暴なやり方だが受けて立ちたい」
立憲民主党の福山幹事長は、NHKの取材に対し「予算委員会で新型コロナ対策などの審議もしないままに国民の信を問うことは、丁寧に説明をしようという姿勢からはほど遠く、極めて乱暴なやり方だ。しかしながら、選挙が行われるからには、われわれとしては堂々と受けて立ちたい」と述べました。
公明 幹部「衆院選 妥当で理解できる」
公明党幹部は、NHKの取材に対し「岸田政権として、衆議院選挙の投開票を早めることによって、そのあとの新型コロナ対策や経済対策を優先させるための判断だろう。妥当で理解できる」と述べました。
岸田総裁 衆議院 解散・総選挙 19日公示 31日投票の意向固める
衆議院の解散・総選挙について、自民党の岸田総裁は、きょう国会で総理大臣に選出されれば、今の臨時国会の会期末に衆議院を解散し、19日公示、31日投票の日程で選挙を行う意向を固め、複数の与党幹部に伝えました。
8日に所信表明演説 11、12日に代表質問で合意(11時すぎ)
衆議院の議院運営委員会の理事会が開かれ、今週8日に岸田総理大臣による所信表明演説を、来週11日と12日に各党による代表質問を行うことで合意しました。
財務相内定の鈴木俊一氏「地味でも堅実に」(10時20分すぎ)
財務大臣への起用が内定している自民党の鈴木俊一・元総務会長は午前10時20分すぎに、東京 世田谷区の自宅を出ました。
鈴木氏は記者団に対し「緊張している。麻生財務大臣は長く、抜群の存在感だったが、私も自分流に地味であるしれないが堅実に仕事をしていきたい。国民の期待に応えられるよう予算編成にあたりたい」と抱負を述べました。鈴木氏は、玄関で妻や3歳の孫に見送られ、落ち着いた表情で車に乗り込みました。
自民 関口参院議員会長「一丸となって取り組む」(10時前)
自民党の関口参議院議員会長は、午前10時前、党の参議院議員総会で「今国会は岸田内閣のスタートとなる大事な国会だ。参議院の補欠選挙や衆議院選挙、そして、来年の参議院選挙の勝利のために、一丸となって全力で取り組んでいきたい」と述べました。
また、世耕参議院幹事長は「短い会期だが、衆議院選挙を前提に、野党側も非常に強く出てくることが想定され、難しい国会運営になると思う。一致団結していこう」と呼びかけました。
公明 山口代表「連立政権合意に基づき首班指名を」(10時前)
公明党の山口代表は、午前10時前、党の参議院議員総会で「岸田新総裁が誕生し、自民党と公明党で、連立政権合意ができたので、これに基づいて首班指名をしていきたい。菅総理大臣の1年余りの活動に敬意を表し感謝しながら、継続性も加味して、新しい政権運営に臨みたい」と述べました。
立民 枝野代表「政権は表紙しかかわっていない」(9時半すぎ)
立憲民主党の枝野代表は、会派の参議院議員総会であいさつし「政権は、表紙しかかわっていないことがはっきりした。この『自公政権』では感染症から命と暮らしは守れず、長引く消費不況から国の経済を立ち直らせることはできない。何より『隠蔽・改ざん・説明しない政治』をまっとうな政治に変えることはできない」と述べました。
デジタル相内定の牧島氏「若い世代の声吸収を」(9時10分ごろ)
デジタル大臣への起用が内定している牧島かれん氏は、午前9時10分ごろから、30分ほどにわたって、議員会館の事務所で、デジタル庁の事務方ナンバー2の赤石デジタル審議官ら幹部と早速打ち合わせに臨みました。そして、デジタル政策の進捗(しんちょく)状況などについて説明を受けました。
このあと牧島氏は「きのう岸田総裁から『一緒に仕事しよう』と電話をいただいた。これまで、自民党の裏方でデジタル化の議論を進めてきたが、執行する側になり、大変、驚いた。デジタル政策は思いが強く、自分自身の力を果たせるように尽くし、若い世代の声も幅広く吸収していきたい」と話していました。
菅内閣が総辞職(9時すぎ)
菅総理大臣は、午前9時すぎから開いた臨時閣議で閣僚の辞表を取りまとめ、菅内閣は総辞職しました。歴代最長となった第2次安倍政権を継承し、去年9月に発足した菅政権は、1年余りで幕を閉じました。
ワクチン相内定の堀内氏「新しい風を」(9時ごろ)
ワクチン接種を担当する大臣として初めての入閣が内定した堀内詔子氏は、午前9時ごろ、皇居での認証式で着用するシルバーのドレスを手に持ち、議員会館の事務所に入りました。
堀内氏は、終始、緊張した面持ちで「きのう岸田総裁から電話をいただき、『一生懸命頑張ります』と答えたが、正直言って、3回生であり、浅学非才の身なので大変、驚いた。新しい感覚や風を吹き込んで、しっかりとその任を果たしていく覚悟を決めている」と述べました。
そして、今後のワクチン接種については「希望する国民が1人残らず接種を受けてもらえるよう努めていく。いま、3回目の接種という話も出ているが、どうすればいちばん、効率的に皆さんの希望に添うことができるのかしっかりやっていきたい」と決意を示しました。
総務相内定の金子恭之氏「ほっとした」(9時ごろ)
総務大臣への起用が内定している岸田派の金子恭之氏は午前9時ごろ、議員会館の事務所に入りました。
金子氏は、岸田総裁が総理大臣に選出されることについて「いよいよこの日が来たかという思いだ。ともに苦労してきた岸田総裁が第100代の総理大臣になるのは感無量で、引き続き全力で支えたい」と述べました。
また、初めての入閣が総務大臣となることについては「きのう、岸田総裁から『お待たせしました』と明るい声で電話があり、ほっとした。総務大臣という主要閣僚は、私の頭の中にはなかった」と話しました。
そして、「国民の期待に応え、しっかりと頑張っていかなければならない」と話していました。事務所には、総務省の黒田事務次官ら幹部が訪れていて、金子氏は、早速打ち合わせを行っていました。
自民 岸田総裁「強い思いで、強い覚悟を持って」(8時半すぎ)
自民党の岸田総裁は、けさは午前8時前に、東京都内のホテルで開いたセミナーに出席したあと、午前8時半すぎに党本部に入りました。
この中で、記者団が「きょう総理大臣に指名されるが 意気込みを」と質問したのに対し、「首班指名を受けて、これからが本当の意味でスタートだと思っている。強い思いで、強い覚悟を持ってこれからに臨んでいきたい」と述べました。
法相に起用された古川氏「外国人との共生進める」
法務大臣に起用された古川禎久氏は呼び込みのあと、総理大臣官邸を出る際、「法務行政は国家の背骨であり、大変重い責任がある。幅広い分野を所掌するが、特に外国人との共生を進めることが時代の要請であり政策についても努力して、しっかり責任を全うしていきたい」と述べました。
厚生労働相内定の後藤氏「国民の命と暮らしを守る」(8時すぎ)
衆議院当選6回で初めての入閣となり、厚生労働大臣への起用が内定している後藤茂之氏は、午前8時すぎに皇居での認証式で着用するモーニングを手に持ち、にこやかな表情で議員会館の事務所に入りました。
後藤氏は「きのうはお祝いの電話とメールがたくさんきて、ありがたいと思った。厚生労働省の仕事は重大なので気を引き締めて一生懸命、取り組みたい。初入閣となるので、岸田総裁にも『しっかりやります』と申し上げた」と述べました。
そのうえで、新型コロナウイルスへの対応について「感染の状況を注視する必要があり、医療提供体制もしっかり整えていく。ワクチンの接種が進む中でどういう社会ルールで暮らしていくのかという視点も含め、しっかり国民の命と暮らしを守るために取り組みたい」と意気込みを語りました。
経済再生相内定の山際氏 地元街頭であいさつ(7時ごろ)
経済再生担当大臣への起用が内定している山際大志郎氏は午前7時ごろからおよそ1時間、地元、川崎市の溝の口駅前で、自民党の市議会議員とともにあいさつに立ちました。
山際氏はおよそ20年にわたり、毎週月曜日の朝に国政報告を兼ねてあいさつに立っていますが、大臣の就任に伴い、いったん取りやめるということです。けさは、通勤客から「頑張ってください」と声をかけられていました。
このあと山際氏は「非常に重要な役職に就くので、さらに全力でことにあたらなければならない。全身全霊で職務にあたり、よりよい社会を作るためにまい進したい」と話していました。
経済安保相内定の小林氏 地元街頭であいさつ(6時半)
衆議院の当選3回で、経済安全保障の担当大臣として初めての入閣が内定している小林鷹之氏は、午前6時半に、地元の千葉県八千代市の八千代緑が丘駅前であいさつに立ちました。通勤客からは「頑張ってください」とか「おめでとう」などと声を掛けられていました。
およそ1時間半にわたってみずからの政治活動をまとめたビラなどを配り、午前8時ごろ記者団の取材に応じました。
小林氏は、きのうの夕方、岸田総裁から電話で入閣を伝えられたということで、「『身の引き締まる思いとはこういうことなんだな』というひと言だった。総裁には『慎んでお引き受けいたします。しっかりと岸田政権を支え、日本のために力になれるよう頑張ります』と答えた」と述べました。
今回、当選3回での初入閣について「自民党には、私より期数が少なく年齢が若くても、優秀な仲間や同僚議員はたくさんいる。私がたまたま経済安全保障に取り組んできたことが起用の理由にあると思うが、任された以上は、当選回数に関係なく、結果を出さないといけない」と抱負を述べました。
小林氏は地元の八千代市から毎日、電車で国会に通っていて、きょうも「いつもどおり、電車に乗って国会に行きます」と答えて、駅に入っていきました。