日本の選挙問題-1
2023.05.16-Yahoo!Japanニュース(JIJI COM.)-https://news.yahoo.co.jp/articles/
事務所職員の女逮捕 大阪府議選で報酬約束疑い 府警
大阪府議選(4月9日投開票)を巡り、運動員に選挙運動を依頼して報酬を支払う約束をしたとして、府警捜査2課は16日、公選法違反(買収約束、事前運動)の疑いで、
立候補者の事務所職員、A容疑者(55)=同府河内長野市原町=を逮捕した。
同課は認否を明らかにしていない。同課は立候補者名を公表していないが、自民党の西野修平府議の事務所は16日、取材にA容疑者が事務所職員と認めた。
逮捕容疑は立候補届け出前の2月中旬、運動員1人に投票を依頼するなどの選挙運動の見返りに、報酬を支払う約束をした疑い。 西野氏は河内長野市選挙区選出で、今回も当選し現在6期目。
2023.04.23-秋田魁新報-https://www.sakigake.jp/news/article/20230423CO0072/
衆参5補選、自民4勝1敗 和歌山は維新、岸田政権中間評価
衆参5選挙区の補欠選挙が23日投開票された。
自民党は衆院千葉5区、山口2、4区、参院大分選挙区を制した。衆院和歌山1区は日本維新の会の新人候補が自民候補を下した。自民は元の議席から1議席を上積みしたが、多くの選挙区で接戦となった。統一地方選前半戦に続き維新が伸長した一方で、野党共闘が成立した参院大分でも敗北した立民は痛手となった。
千葉5区は、「政治とカネ」の問題も注目され、逆風だった自民新人の元国連職員英利アルフィヤ氏(34)=公明推薦=が立民候補に競り勝った。和歌山1区は、大阪府知事・市長選、奈良県知事選などの勝利で勢いに乗る維新の元和歌山市議林佑美氏(41)が自民元職を振り切った。
山口2区は、世襲批判のあった岸氏の長男で自民新人の元衆院議員秘書信千世氏(31)=公明推薦=が勝利。安倍晋三元首相が死去した山口4区は、安倍氏後継を前面に打ち出した自民の元下関市議吉田真次氏(38)=公明推薦=が当選した。
参院大分は自民新人の飲食店経営白坂亜紀氏(56)=公明推薦=が組織力を生かして制した。
2023.04.22-産経新聞-https://www.sankei.com/article/20230422-NRN6AXXXVNPMPAIN3HKLQOFBSI/?outputType=theme_localelection2023
選挙運動見返りに報酬約束、容疑で会社社長ら逮捕 大阪府議選
4月9日に投開票された
大阪府議選で、
選挙運動の見返りとして運動員2人に報酬の支払いを約束したとして、大阪府警捜査2課は22日、
公職選挙法違反(買収約束、事前運動)の疑いで、大阪府吹田市の土木工事会社「紙谷工務店」社長のA容疑者(83)=同市江坂町=ら3人を逮捕したと発表した。いずれも逮捕は21日。府警は全員の認否を明らかにしていない。
他に逮捕されたのは、いずれも同社取締役で、A容疑者の次男のB容疑者(56)と、C容疑者(63)。逮捕容疑は共謀し、府議選告示前の3月上旬、同社の社員2人に、府議選の立候補予定者の選挙運動を手伝う見返りに報酬を支払う約束をしたなどとしている。
公選法では、車上運動員など一部を除き、運動員への報酬の支払いは禁止している。
同課によると、社員2人は告示後、A容疑者らが支援する府議選立候補者2人の陣営にそれぞれ運動員として派遣され、選挙運動を手伝っていた。事件はA容疑者とB容疑者の2人が主導したとみられ、C容疑者が陣営に派遣する社員を調整したという。
2023.04.05-産経新聞-https://www.sankei.com/article/20230405-72KCTM7XDNK7JN7XFKRUTMK3LY/?outputType=theme_localelection2023
手続き間に合わずポスター自腹 地盤、看板無し新人候補が直面する障壁
(花輪理徳)
連日舌戦が続く統一地方選は、
生活に身近な地方自治を担う首長や議員を決める選挙だが、いわゆる
地盤(組織)、看板(知名度)、かばん(資金力)の「3バン」を持たない新人が志を抱いて立候補しようとしても、いくつものハードルが立ちはだかる。
選挙ポスター1つをとっても準備にノウハウが必要で、経験がなければ気付かない暗黙のルールも存在。議員のなり手不足が深刻化する中、そうした人たちの出馬を支援する企業もある。
説明会で知った「時間切れ」
統一選前半戦(4月9日投開票)の大阪市議選告示まで約1カ月となった2月21日、同市阿倍野区役所の大会議室で立候補予定者説明会が開かれた。会場には133陣営が集結。その中に、
初めて選挙に挑戦しようと参加した市内在住の女性(40)がいた。
女性は市外で社会保険労務士の事務所を経営。需要が高い介護タクシー事業に参入しようとした際、要件の厳しさから制度に疑問を抱き、昨年12月に出馬を決意した。今年1月に政治団体の届け出も済ませ説明会に臨んだが、思わぬ壁にぶつかった。
選挙ポスターの契約、選挙はがきの手続きと、告示までにすべきことがあまりにも多かった。前もって知っていれば準備できたが、告示まで1カ月あまり。人手も限られ、間に合わないのは明白だった。
「説明会の時点で事実上のタイムオーバー。もう少し早い時期に開催してくれないと意味がない」。
女性は出馬を断念した。
ポスターが自腹に
説明会には、
かねて市議選に挑戦する機会をうかがっていた市内の男性(64)の姿もあった。「政党の都合に縛られたくない」との理由で無所属での立候補を目指し、選挙関連の書籍を数十冊読んで準備をしてきたという。
出馬に向け、男性は選挙カーとして三輪の車両「トゥクトゥク」を購入。しかし、地方自治体が候補者の選挙運動の費用の一部を負担する公費負担制度では、選挙カーのレンタル費や燃料代は対象だが、購入費は対象外であることを後から知った。選挙ポスターなどの作成は1月に業者に依頼。その時点で
他の立候補予定者はすでに注文を済ませており、印刷は間に合ったが、公費負担の申請書類が期限までにそろわなかった。計100万円以上が自己負担となる見通しだ。
男性は
「本に書いていないことが多すぎて、初めて挑戦するには無理がある」と顔をしかめるが、3月31日の告示日に届け出を済ませ立候補。「そんな自分が当選することで、訴えがしっかりしていれば選挙に勝てるということを示したい」と舌戦に挑む。
出馬支援する企業も
こうした選挙の知識やツテを持たない人たちの出馬を支援する企業もある。京都府城陽市の「プットアップ・スタイル」は、ポスターや選挙カーのレンタル、必勝だるまなど、さまざまな選挙グッズを提供。アドバイザーが後援会の組織づくりや広報戦略、公職選挙法に関する助言も行う。全国で年間約200人の選挙活動に関わっている。
同社の鳥嶋浩延代表によると、公職選挙法が何を許容し、何を禁じているのかを候補者が理解していなければ、有権者に十分なアピールができない。
例えば告示前でも可能な政治活動と、禁じられる事前運動の違いだ。選挙管理委員会に問い合わせても、公平性の観点から一般論で回答されるケースが多いという。
総務省によると、平成31年の統一選では北海道、長野、愛知、熊本各県内の計8町村で立候補者数が議会の定数に満たなかった。都道府県議選における無投票の割合は26・9%と過去最高。今回も25・0%と前回に次いで2番目に高く、地方議員のなり手不足は依然深刻だ。
鳥嶋さんは
「どの時期に何をすればいいのかノウハウが明文化されておらず、知らなければまともに選挙を戦えない。志を持つ優秀な人が出馬に二の足を踏むような現状は変えなければならない」と話している。
(花輪理徳)
2023.03.24-産経新聞-https://www.sankei.com/article/20230324-SOE5KQX5TBNYTCUUH3HHLY4YTY/
地域の民主主義守りたい 人口減社会の処方箋競い合え
令和初の統一地方選は、9道府県知事選が23日に告示されて幕を開けた。
26日に6政令市長選、31日には41道府県議選と17政令市議選が告示されるなど、1カ月をかけて約1千の首長選、議員選が各地で行われる。
地方自治体は、首長と議員を直接投票で決める二元代表制だ。その点が、首相を国会議員の中から指名する議院内閣制と異なる。
首長は予算案や条例案を提案して政策を実行に移し、議会は議決や行政運営の監視を行う。2つの民意の代表が適度な緊張関係を保ちつつ協力し合い、地方自治を適正に運営する狙いがある。
そこをしっかりと理解し、首長と議員の選挙において、有権者の大切な権利を行使したい。わが町の課題に関心を
気になるのは
投票率の低さである。平成31年の前回統一選の平均投票率は道府県知事選が47%、道府県議選44%、市区長選46%、市区議選45%だった。町村長選と町村議選などを除けば軒並み5割を下回る。道府県知事選以外の投票率は、統一地方選が始まった昭和22年以降で最低だった。
国政選挙については、
令和3年の衆院選の選挙区投票率が55%、4年の参院選が52%だった。この数字も決して十分ではないが、身近であるべき地方選の投票率がさらに低いことは、由々しき事態である。政策論争を活発化させて、地方政治への関心を取り戻さなければならない。
地方議会のなり手不足も深刻である。前回統一選では道府県議の26%、町村議の23%が無投票当選だった。いずれも過去最高だ。これを放置するようでは
民主主義の危機である。自分たちの地域の課題に無関心な社会に、明るい未来はないと心得るべきだ。政治への参画なくして社会の発展や民主主義の成熟はあり得ない。選挙こそが政治参画の肝である。
選挙では、候補者の政策課題への問題意識も問われる。各地域が共通して抱える最大の課題は、これから本格化する人口減少時代をどう乗り切っていくかだ。
厚生労働省の人口動態統計によると、令和4年の出生数は速報値で79万9728人となり、統計開始以来、初めて80万人を割り込んだ。女性1人が生涯に産む子供の推定人数を示す合計特殊出生率についても、3年は1・30と過去4番目の低さだった。4年はさらに低下するとの見方がある。
もちろん、
出生率を多少好転させても、出産期の女性が減少傾向にあるため、出生数が一朝一夕に改善するわけではない。それでも人口が減るスピードを遅らせることはできるはずだ。
自治体によっては、独自の子育て支援策を行うことで、出生率を向上させたところもある。若者や現役世代らのニーズを踏まえた少子化対策について、議論を深めるよい機会にすべきだ。
併せて自治体には、
人口減少に耐え得る社会を構築する知恵も求められる。人口が減っても豊かな暮らしを維持するにはどうすべきか。予算や人材、インフラなどの限られた資源をいかに有効活用するか。方策を競ってほしい。
団塊の世代が7(2025)年に全て75歳以上の後期高齢者になり、要介護者の増加に拍車がかかることが予想される。介護サービスに支障を来さないようにするためどうするかは、
地域が直面する高齢社会の大事な論点だ。
■コロナ後社会も争点だ
新型コロナウイルス禍への対応は、引き続き地域の
重要な課題である。新型コロナは、
5月8日から感染症法上の位置づけが季節性インフルエンザと同じ「5類」に引き下げられる。その中で平時の暮らしをどう取り戻していくか。候補者は、コロナ後の社会のあり方を明確に示すべきだ。
特に医療面では5類移行後、幅広く一般の医療機関で新型コロナの外来、入院医療を受けられる体制に移る。住民の健康と命を守るため、これが円滑に進むよう自治体に求められる役割は大きい。
災害への対応も忘れてはならない。
地震や津波、有事などさまざまな災害への備えは住民の命にかかわる。候補者がどの程度真剣に考えているのかを見極めたい。
誰が当選しても同じだと諦めては何も変わらない。少しでも住みよい町にするために、問題意識をしっかりと持った、解決に当たるにふさわしい候補者を厳しい目で選ぶことから始めよう。
2022.10.14-NHK NEWS WEB -https://www3.nhk.or.jp/news/html/20221014/k10013858401000.html
7月の参議院選挙 は「違憲状態」1票の格差めぐる判決 大阪高裁
ことし7月の参議院選挙で1票の価値に最大で3.03倍の格差があったことについて、大阪高等裁判所は、
憲法が求める投票価値の平等に反した「違憲状態」だったと判断しました。
ことし7月の参議院選挙は、選挙区によって議員1人当たりの有権者の数に最大で3.03倍の格差があり、2つの弁護士グループが「投票価値の平等に反し、憲法に違反する」などと主張して選挙の無効を求める訴えを全国で16件起こしていて、初めての判決が14日、大阪高等裁判所で言い渡されました。
ことし7月の参議院選挙は、選挙区によって議員1人当たりの有権者の数に最大で3.03倍の格差があり、2つの弁護士グループが「投票価値の平等に反し、憲法に違反する」などと主張して選挙の無効を求める訴えを全国で16件起こしていて、初めての判決が14日、大阪高等裁判所で言い渡されました。
判決で、牧賢二裁判長は「3倍を超える憲法上大きな問題がある格差がおよそ7年間継続しており、常態化することも危惧される。前回選挙後、法改正が行われず今回は、格差がわずかだが拡大した。選挙制度の議論や検討は具体性に乏しく、格差是正に向けた国会の姿勢は弱まっている」として、1票の格差が憲法の求める投票価値の平等に反した「
違憲状態」だったとする判断を示しました。
一方で「最高裁が前回、前々回の選挙について『合憲』と判断した際、選挙制度の見直しの必要性を明確に示しておらず、国会は今回の選挙までに1票の価値が著しく不平等になっていたことを認識できなかった」として、今回の選挙を憲法違反とは認めず訴えを退けました。
原告側の弁護士ら 「違憲状態」と書かれた紙を掲げる
決が言い渡されたあと、大阪高等裁判所の前では原告側の弁護士らが、「
違憲状態」と書かれた紙を掲げました。
原告の代理人の升永英俊弁護士は「ことしの参議院選挙についての最初の判決で『
違憲状態』の判断が示された意義は非常に大きい。人口に比例した選挙が行われる国民主権国家に変わる潮目ができつつある」と話していました。
原告の代理人が会見「非常に常識的で勇気あるもの」
大阪高裁の判決について、原告の代理人が記者会見を行い、藤巻次雄弁護士は「非常に常識的で勇気があるものだ」と評価しました。
また、升永英俊弁護士は「今回の判決では、現行の選挙制度についてはっきりと見直すべきだと言っている。次の3年後の裁判に向けて、有効打を打ってくれた」と話していました。
松野官房長官「今後も各高裁の結果を注視」
松野官房長官は、午後の記者会見で「判決では、選挙当時の投票価値の不均衡は『
違憲状態』だったが、憲法上、要求される合理的期間内に是正されなかったとは言えず、原告の請求が棄却されたと認識している。『
1票の格差』訴訟は、今後も各高裁で、判決が言い渡される予定であり、その結果を注視していきたい」と述べました。
自民 世耕参院幹事長「厳粛に受け止める」
自民党の世耕参議院幹事長は、記者会見で「
違憲状態という判決が出たことは厳粛に受け止めている。3年後の参議院選挙に向けて、今後出される裁判所の判断も注視しながら、『
参議院改革協議会』をできるだけ早く立ち上げて選挙制度の議論についてしっかり取り組んでいきたい」と述べました。
立民 渡辺政治改革推進本部長「制度の不断の見直し議論を」
立憲民主党の渡辺周 政治改革推進本部長はコメントを出し「参議院の選挙制度のあり方は、合区の導入以降、協議が続けられてきたが、まだ結論を得るには至っていない。今回の判決や今後の司法判断に真摯に耳を傾け、『
1票の格差』の是正を含む、制度の不断の見直しの議論を進めていく」としています。
共産 田村政策委員長「比例代表を中心とした制度へ議論を」
共産党の田村政策委員長は、記者会見で「自民党が党利党略で押し通してきた選挙制度によって行われた参議院選挙が
違憲状態だという判決だ。仕組み自体を抜本的に改正し、比例代表を中心とした制度に変えるという議論を早急に進めていくべきだ」と述べました。
国民 榛葉幹事長「国政選挙の在り方 議論を」
国民民主党の榛葉幹事長は、記者会見で「衆議院の『10増10減』でも『やっぱりルールを変えろ』と言う人たちが出るくらい、選挙制度や1票の格差は、政治的にも憲法上も議論があるところだ。そろそろ本格的に、憲法上も含め、国政選挙の在り方を議論しなければならない」と述べました。
「違憲状態」とは
国政選挙での1票の格差が憲法に違反するかどうかが争われる裁判の判決のニュースでは「合憲」や「違憲」のほかに、「
違憲状態」というわかりにくい表現が使われます。この「違憲」と言い切らずに「状態」がついた判断はどういう意味で、大阪高裁はなぜこうした判決を出したのでしょうか。
1票の格差をめぐる裁判は、選挙区によって有権者が投ずる1票の価値に大きな格差があることが「投票価値の平等を保障した憲法に違反している」として選挙を無効にすることを求める訴えです。
こうした裁判では通常、裁判所は2段階で検討を進めます。最初に検討するのは「選挙当日、選挙区の間で生じた格差が著しく不平等だったといえるかどうか」です。
この第1段階で、数値上の評価として「著しく不平等」だとする認定が「
違憲状態」と表現されるものです。しかし、この段階では
まだ「憲法違反」にはなりません。
裁判所は、さらに第2段階の検討を進めます。憲法は、選挙区や投票方法を法律で決めると定めていて、国会はどのような制度を採用するか大きな裁量をもっています。しかし、実際に選挙制度を変えようとすると、政党や議員によって立場や考えが異なるため意見を調整するのにどうしても時間がかかります。
このため、第2段階の検討では「違憲状態」と評価した選挙が実施されるまでに国会がどれくらい真剣に格差是正に向けて取り組んだのかや、また、どのくらいの期間、選挙制度を検討する時間的な余裕があったのかを見極めるのです。
その結果「十分に時間があったにもかかわらず、漫然と放置した」と評価した場合に「憲法違反」つまり「違憲」と判断するのです。
1票の格差をめぐる裁判は、これまで多くの場合、この第2段階の評価で「違憲状態」なのか「違憲」なのか判断が分かれていました。
しかし、今回の大阪高裁の判決は、第2段階の検討でも前回、前々回の選挙では行われた法改正が今回の選挙では行われなかったことや、格差が前回よりわずかながらも拡大したことをあげ、国会は格差を是正しようという姿勢が明らかに弱まっていると批判しています。
ではなぜ、
大阪高裁は「憲法違反」と言い切らなかったのでしょうか。この点、大阪高裁は国会が法改正など具体的な取り組みを行わなかったことにやむをえない事情があったかどうかを第3段階の検討として行いました。そして1票の格差をめぐる最高裁の判決にその事情を見いだしています。
最高裁は、
格差が4.77倍だった2013年の選挙を「
違憲状態」と判断した際には、判決の中で都道府県単位となっている選挙区の見直しを求める踏み込んだ言及を行い、その後、「
合区」の導入にもつながりました。
この「
合区」などで格差が3倍程度に縮小した前回、前々回の選挙について最高裁は「合憲」と判断しました。この際の最高裁判決の“書き方”に大阪高裁は注目しました。
大阪高裁は、合憲とした最高裁判決について「理由全体をよく読めば引き続き選挙制度の見直しの検討を求めているように解釈できる」としつつ「見直しの必要性が明確に記載されているとはいえない」と指摘しました。そして、最高裁がはっきりわかるように求めていない以上、国会が格差是正に取り組まなかったのもやむをえないとして、1票の格差を「違憲状態」としつつも今回の選挙を憲法違反と判断することまではしませんでした。
参院選 1票の格差をめぐる裁判の経緯
参議院選挙の1票の格差をめぐる裁判では、最大で5.00倍の格差があった2010年の選挙と、4.77倍だった2013年の選挙について、最高裁判所が「
違憲状態」と判断し、投票価値が不平等な状態を解消するために選挙区を都道府県単位とする選挙制度そのものを速やかに見直すべきだと指摘しました。
これを受けて、いわゆる「
合区」が導入され、鳥取県と島根県、徳島県と高知県を1つの選挙区とするなどした結果、6年前・2016年の選挙では、1票の格差は最大3.08倍まで縮小し、最高裁は「合憲」と判断しました。
その後、3年前の参議院選挙では、議員1人当たりの有権者数が最も多かった埼玉選挙区の改選議席を1議席増やし、1票の格差は最大で3.00倍となりました。
これについて、最高裁は「格差のさらなる是正を図る国会の取り組みが大きな進展を見せているとは言えないが、
合区の解消を強く望む意見もある中で、
合区を維持してわずかではあるが格差を是正した」と指摘し、憲法に違反しないと判断しました。
そして、ことしの選挙は前回・3年前と同じ方式で行われ、格差はわずかに拡大していました。
ことしの参議院選挙の1票の格差をめぐる裁判は来月にかけて各地で判決が予定されていて、
3倍程度の格差が続いている現状や、前回より格差が広がったことについてどのような判断を示すか注目されます。