日本の自衛隊(軍事力)-1


2024.07.18-産経新聞-https://www.sankei.com/article/20240718-SWJNDSQV65MLLGEC37KM5R52BQ/
海自の潜水手当不正受給で4人逮捕 いずれも起訴猶予 処分発表時に言及せず

  海上自衛隊の潜水手当不正受給で、海自の捜査機関である警務隊昨年11月、詐欺と虚偽有印公文書作成・同行使容疑で潜水艦救難艦の元ダイバー4人を逮捕していたことが18日、分かった。海自が明らかにした海自は12日、不正受給で計65人を懲戒処分にしたと発表。逮捕者のうち3人は65人に含まれていたが、逮捕に触れなかった。

  海自はこれまで、65人の処分は12日付としていた。だが18日の説明で、逮捕者3人が昨年4月と11月に免職の懲戒処分を受けていたと訂正。残る1人は依願退職して処分を受けていない。いずれも昨年12月に起訴猶予処分となった。
  海自の担当者は18日、逮捕を公表しなかったことに関し「隠蔽(いんぺい)の意図は全くない」と釈明。処分日の誤りは「事務的ミス」と主張した。
  この問題で海自は潜水艦救難艦の潜水部隊で虚偽の訓練実績を報告するなどして隊員65人が総額約4300万円を不正受給したとしている
  海自は不正受給の総額には依願退職者の受給分が含まれていないとも説明しており、総額は膨らむ可能性もある


2024.07.09-産経新聞-https://www.sankei.com/article/20240709-GWZ3T22CCFLMVCVRJRSYAYBFD4/
海自トップの酒井良海上幕僚長、進退を明言せず 特定秘密のずさんな扱いなど不祥事相次ぐ

  海上自衛隊トップの酒井良海上幕僚長は9日の記者会見で、複数の護衛艦で特定秘密のずさんな扱いが判明した問題で辞任意向を伝えたとする報道について「(防衛)省全体で調査中であり、現時点でコメントは差し控えさせていただきたい」として明言を避けた。

  潜水作業に従事する海自の複数の隊員が、手当を不正に受け取った疑いがあることについて酒井氏は、内部調査していることを明らかにした上で「徹底した調査を行っている段階にある。調査結果に基づき、適切に対応していく。適切な時期にしっかりと説明したい」と述べた。
  海自では潜水艦の修理契約に絡み、川崎重工業が裏金を捻出し、乗員に金品などを提供していた疑いが浮上。これについて酒井氏は「仮に事実であった場合、国民の信頼を大きく損ねる事案となり、決して許されるべきものではない」と話した。
  特定秘密の扱いについては海自を中心に陸、空自衛隊を含めてずさんな運用が複数確認され、防衛省は近く数十人規模の幹部らを処分する見通し。
  相次ぐ不祥事について酒井氏は「大半の隊員はしっかりと任務に就いている。一方でこのような不祥事が生起しているのも間違いない事実。信頼回復に向け、しっかりと任務を遂行し、不祥事をいかに生起させないかという取り組みを進めたい」とした。


2024.07.06-産経新聞-https://www.sankei.com/article/20240706-OZQVKWJT5RLUHIXXTXI32Q63SI/
海自で特定秘密不適切扱い、情報共有の妨げに 保全体制、防衛協力に不可欠
(小沢慶太)

  海上自衛隊の複数の護衛艦で特定秘密の不適切な取り扱いが確認され、海自トップの海上幕僚長が引責辞任する意向を示していることが明らかになった。特定秘密など機密情報の保全体制は、日米同盟や同志国との防衛協力の強化に必要不可欠だ。ずさんな運用が改められなければ、外国からの信用を失い、安全保障上、重要な情報が共有されない可能性がある。

  「同盟国・同志国との連携を強化していく上であってはならない」木原稔防衛相は、海自護衛艦「いなづま」で特定秘密の不適切な扱いが明らかになった4月の記者会見で、強い危機感を示していた
  平成26年に施行された特定秘密保護法は、米国などから日本の秘密保全体制の脆弱(ぜいじゃく)さを指摘され、法整備で関係国からスムーズに機微な情報を入手できるようにする狙いがあった
  中国や北朝鮮など周辺国の脅威が増す中、関係国との情報共有は一層、重要になっている。先の通常国会では、経済安全保障上の機密情報へのアクセスを官民の有資格者に限る「セキュリティー・クリアランス(適格性評価)」制度を創設するための法律が成立した。
  民間も巻き込み厳格な情報保全体制を構築しようとしている最中、多くの安保上の機密を扱う自衛隊で不適切な運用実態が発覚した。政府関係者は「これでは他国から機微な情報は提供されなくなる」と漏らす。
  自衛隊による特定秘密の取り扱いを巡っては、令和4年12月にも海自1佐がOBに情報を漏らし、懲戒免職となっている。防衛省は一連の事案を受けて再発防止検討委員会を設置し、情報保全体制の見直しを進めている。隊員の規範意識を高め、実効性のある対策を早急に講じる必要がある。(小沢慶太)


2024.07.05-産経新聞-https://www.sankei.com/article/20240705-X34GIKGXMNK5XGT7RQW4Y2ORQU/
「自衛隊70年の現在地(3)」-日米同盟、変わる「矛と盾」 反撃能力で連携不可欠

  海上自衛隊の艦長クラスを中心とした自衛官約25人3月下旬、米海軍横須賀基地(神奈川県横須賀市)に集まった令和7年度に予定する米国製巡航ミサイル「トマホーク」の導入に向け、米海軍第7艦隊から実地訓練を受けるためだ。

  トマホークは、政府が4年末に策定した国家安全保障戦略など安保3文書で初めて保有をうたった他国の領域内に攻撃を加える反撃能力(敵基地攻撃能力)の手段となる。昭和29年の創設以来、自衛隊は1千キロを超える長射程ミサイルを保有したことはなく、トマホークの運用は未知の領域だ。
  5日間の訓練では、運用にあたっての部隊内の役割分担や通信ネットワークなどについて座学を実施。横須賀基地に停泊する米イージス駆逐艦マッキャンベルに乗艦し、戦闘指揮所で実際に戦闘で用いるボタンや操作卓を使って運用に必要な操作を習った
  「これから協力してやっていこう」。米軍の教官は真剣なまなざしを向ける自衛官たちに呼びかけた。
  日本政府は昨年、反撃能力の整備を急ぐためトマホークの導入を当初予定から1年前倒しする方針を決めた。訓練に参加した海上幕僚監部防衛部の北原広太郎2等海佐(39)は引き締まった表情でこう語った。・・・「緊張感を持って、ネジを巻いて準備していかなければいけない」
退任直前の安倍元首相の談話
  日本政府が初めて敵基地攻撃能力の保有を検討する考えを示したのは、平成25年末に閣議決定した防衛計画の大綱(25大綱)だった。軍備を急拡大する中国や核・ミサイル開発を進める北朝鮮の脅威が背景にあった
  しかし、令和4年の安保3文書で保有を正式決定するまでに10年近くの時間を要した。この間、政府は平成29年末に射程500~900キロの「スタンドオフ・ミサイル」の導入を決めた。だが、政府はあくまで日本の離島に上陸した敵などを攻撃するためのミサイルであり、敵基地攻撃能力ではないと説明してきた。
  敵の領土の標的を効果的に攻撃するには攻撃目標の発見・識別・捕捉から攻撃の効果を確認する「キルチェーン」の構築が欠かせない。敵基地攻撃能力の保有を正式決定しなければ、キルチェーン構築に必要な人工衛星や敵のレーダーを無力化する装備を整備したり、米軍の協力を仰いだりすることはできなかった。 「やはりミサイルをミサイルで迎撃するなんて無理がある。打撃力を持たないといけない」
  当時の安倍晋三首相は防衛省幹部にこう語り、令和2年9月の首相退任直前には敵基地攻撃能力の保有を検討する談話を発表し、4年末の決定に道筋を付けた
急がれる日米同盟の「現代化」
  米国による日本防衛義務が明記された昭和35年発効の日米安全保障条約に基づく日米同盟は「米軍は矛・自衛隊は盾」という役割分担を基本としてきた。他国への攻撃を米軍に委ねてきた自衛隊が打撃力を持つことで、矛と盾の役割は変わりつつある。
  ただ、自衛隊関係者は「ミサイルを持っても自衛隊には衛星などターゲッティングに必要な『目』が欠けている」と漏らす。攻撃判断は自衛隊が主体的に行うにしてもキルチェーンを独自に構築することは難しく、米軍との連携は必須となる。日米間での攻撃目標の調整も欠かせない
  それだけに今後は日米の指揮統制を含む作戦面での連携が一層重要となる。日本側が令和6年度末に陸海空自衛隊を一元指揮する統合作戦司令部を創設するのに合わせ、米側も在日米軍の機能強化を図り、部隊運用の連携を円滑化する。
  自衛隊制服組トップの吉田圭秀統合幕僚長は「経験豊かな同盟国の知見を吸収しながら万が一への対処に備えたい」と強調し、日米同盟の「現代化」を急ぐ考えだ


224.07.03-産経新聞-https://www.sankei.com/article/20240703-GUIC7N4DBFLVFCYF5ZI4D2P3E4/
潜水艦乗組員に金品提供か 川重、架空取引で捻出疑い 海自と修理など年間百数十億円契約

  海上自衛隊の潜水艦の修理事業を受注した川崎重工業が、下請け企業との架空取引で簿外資金を捻出し、潜水艦の乗組員に金品や物品を提供していた疑いがあることが3日、分かった。防衛省と川重が同日発表した。川重によると、不正な資金捻出が始まったのは遅くとも6年前で、流用した額は少なくとも十数億円に上る疑いがある

  乗組員にとって川重社員は利害関係者に当たり、事実と認められれば、自衛隊員倫理法に基づき懲戒処分になる可能性がある。防衛省担当者は「疑いがあることを真摯に受け止め、全容解明に向けて調査を進めている」と述べ、結果がまとまり次第公表するとした。
  防衛省によると、海自潜水艦の約半数に当たる12隻を川重が製造。3年に1回の定期検査などのほか、臨時の修理も担っている。潜水艦が配備されている神奈川県の横須賀地方総監部と広島県の呉地方総監部が随意契約で発注しており、近年の契約金額は年間約百数十億円という。


2024.06.01- 産経新聞-https://www.sankei.com/article/20240601-5S5TDLGT7JN4DF3H5PN6US7UMA/
将来の空自幹部400人が整然と観閲行進、F15も飛来 奈良基地祭に8千人訪れる

  自衛隊の活動に理解を深めてもらおうと、航空自衛隊奈良基地(奈良市法華寺町)は1日、空自創設70周年を記念した基地祭を実施し、敷地内を一般開放した。親子連れや自衛隊ファンら約8千人が訪れ、普段見ることができない戦闘機の展示飛行などを楽しんだ

  同基地には、3尉以上の幹部を養成する幹部候補生学校が所在する。式典では、約400人の学生が岡本秀史校長の前を観閲行進。防衛大などですでに教育を受けた学生だけでなく、今年春に大学を卒業したばかりの学生らも整然とした行進を披露し会場を魅了した。
  F15戦闘機やC130輸送機などの航空機が基地上空に飛来し、多くの来場者がカメラを空に向けていた。
  父親と2人で基地を訪れた大阪市の男児(5)は「飛行機や車がかっこよかった。また来たい」と話していた。


2024.05.30-産経新聞-https://www.sankei.com/article/20240530-DP55HG7XR5H25MWN7EQ2ZZSE7Y/
半径10~15メートルは死亡か重傷 手榴弾の威力に注意 最近は住宅街でも爆発事件

  山梨県の陸上自衛隊北富士演習場30日、訓練中に爆発した手榴弾の破片が男性隊員に当たり、隊員が死亡した。手榴弾は爆発時、半径10~15メートル範囲内にいる人に死亡か重傷を負わせるほどの高い殺傷力があるとされる。最近は住宅街でも暴力団の抗争で使われる事件が発生。戦時中の不発弾として見つかることもあり、注意が必要だ。

飛び散る破片は高い殺傷力
  手榴弾は安全ピンを抜いて投げると4~5秒後に爆発する。爆発力で対象を吹き飛ばすのではなく、高速で破片を飛ばすことで殺傷力を高める設計となっている。戦時中に多く使われ、現在も国内の戦地や訓練場の跡地で不発弾として見つかることもある。近年は暴力団の抗争で使用される事件も目立ち、暴力団関係者の多い自治体では、警察が注意を呼びかけている。
  福岡県警では、「手榴弾に注意」とホームーページで注意喚起している。威力は、手りゅう弾から「半径10~15メートル以内は死亡または重傷」、「半径50メートル以内は破片により重傷」、「半径200メートル以内は飛散した破片が到達」と説明する。発見した場合は、「踏んだり、触ったり、蹴飛ばしたりしない」「早急に離れる」「物陰などに隠れて身の安全を確保する」の原則を守り、「すぐに警察に通報してほしい」と呼び掛けている。
暴力団の抗争で利用
  こうした注意喚起をする背景には、身近で手榴弾に関連する事件が最近も起きていることがある。 4月18日には、岡山県倉敷市の住宅街で手榴弾の爆発により、女性が住むアパートのガラスが割れる事件が発生した。女性宅には特定抗争指定暴力団池田組の組員が出入りしていたとされ、暴力団抗争の可能性が高いとされる。昨年1月14日には、佐賀市中心部で指定暴力団浪川会幹部の自宅に手榴弾が投げ込まれ、爆発によりバルコニーなどが損壊した。
  暴力団の抗争以外でも、手榴弾の被害が心配されるケースもある。令和元年5月30日には沖縄県宜野湾市で小学生が不発の手榴弾を発見し、自転車かごに入れて持ち帰るなど「あわや大惨事」という事案もあった。


2024.04.11-産経新聞-https://www.sankei.com/article/20240411-PQE7THAITZJIXAPP3JNL6W4REY/
<独自>陸自の高額賠償、不適切支出か バス事故で骨折の乗客に7千万円超 防衛省調査
(調査報道班)

  熊本県のトンネルで12年前、陸上自衛隊のトラックが観光バスと衝突し22人が死傷する事故があり、陸自側が右腕を骨折した乗客の女性に事故後約10年間で総額7千万円超の賠償金を支払っていたことが11日、産経新聞の調べで分かった。法曹資格を持つ予備自衛官から「賠償額が高すぎる」との指摘を受け、昨年夏ごろに支出をやめた。防衛省は不適切な支出だった疑いもあるとみて調査を進めている。

  事故は平成24年1月、熊本県八代市の生名子(おいなご)トンネルで発生トラックと衝突したバスの乗員1人が死亡、乗客ら21人が重軽傷を負った。関係者の話などによると、乗客だった当時60代の女性は、右腕骨折や頸椎(けいつい)捻挫などと診断された。
  ほどなくして医療費や休業損害といった名目で、陸自西部方面総監部(熊本市)から女性に毎月数十万円程度の支払いを開始約10年間にわたって120回超の支払いを続け、総額は7千万円を上回っている
  女性は当初から陸自側担当者との面会を断り続けた。事故から約2年後の25年末を最後にけが自体を治療した記録は途絶えたが、さらに適応障害などとも診断され、長期にわたり、少なくとも月1回のペースで通院を続けていたとみられる。
  令和4年以降、けがの治療が終了している可能性があるにもかかわらず、当初と変わらず支出が続いていることを問題視する声が陸自内部で浮上。総監部側が予備自衛官に任用されている弁護士に見解を尋ねると、賠償額が一般的な相場を大幅に超過しているとして「支出をストップすべきだ」と指摘されたため、昨年夏ごろに支払いをやめた
  また、防衛省の訓令によると、事故の損害賠償額が4千万円を超える場合、支出の可否は防衛相が判断する事項となるが、超過後も報告されていなかった。支出が続いた理由は判然としておらず、防衛省関係者によると、陸自側が一連の支出について内部調査を進めている
  同省報道室は「万が一、不適切な手続き等があった場合は、判明した事実関係に基づき厳正に対処する」としている。(調査報道班)

生名子トンネル事故
  平成24年1月28日午前8時半過ぎ、熊本県八代市の九州自動車道上り線の生名子トンネル内で、陸上自衛隊えびの駐屯地(宮崎県)所属の大型トラックが、落ちていた毛布を避けようとして車線変更した際、トラックの右後部が観光バスの前方部と衝突。バスの添乗員だった男性=当時(39)=が死亡し、21人が重軽傷を負った



2023.10.17-産経新聞-https://www.sankei.com/article/20231017-YW4UKDC2IZIXPJ3WMQNW3FXIX4/
海自の最新鋭潜水艦は「雷」と「鯨」で「らいげい」 神戸で命名・進水式

  海上自衛隊の最新鋭潜水艦の名称が「らいげい」に決まり、川崎重工業神戸工場(神戸市中央区)で17日、命名・進水式が行われた。艦名は力の象徴としての「雷」と「鯨」を組み合わせた。令和7年3月ごろの就役を予定し、海上防衛の第一線で運用される。

  川崎重工によると、「らいげい」は昨年3月に就役した「たいげい」型潜水艦の4番艦で、基準排水量約3千トン、全長84メートル、水中速度約20ノット、乗員約70人。建造費は約700億円リチウムイオン電池を採用し、高い潜航性能を備えているという。
  式典には三宅伸吾防衛大臣政務官や海自トップの酒井良・海上幕僚長、川崎重工関係者ら約1400人が出席した。進水式でロープが切られると、らいげいが船台から水上に勢いよく滑り出し拍手がわき起こった。


2023.10.13-産経新聞-https://www.sankei.com/article/20231013-W2CEATIPOJMVZM53VBSCY4V3PY/
自衛隊機、ジブチ派遣へ 岸田首相「邦人退避に万全期す」

  岸田文雄首相は13日、パレスチナ自治区ガザを実効支配するイスラム原理主義組織ハマスとイスラエル軍による大規模な戦闘を巡り、現地からの邦人退避に向けて、自衛隊の拠点があるアフリカ東部ジブチに自衛隊機を派遣すると表明した。首相は「関係各国とも緊密に連携しつつ、在留邦人の退避、安全確保に万全を期していきたい」と述べた。官邸で記者団の取材に答えた。


2023.09.23-産経新聞(夕刊フジ)-https://www.sankei.com/article/20230923-5DEOYGPWD5CB7FWJK23UJ5UR4U/?outputType=theme_weekly-fuji
「自腹」だった自衛隊の高速道路代問題がついに進展 防衛省概算要求
小笠原理恵(国防ジャーナリスト)

  日本を取り巻く安全保障環境が悪化するなか、防衛省は2024年度一般会計予算の概算要求で、過去最大7兆7050億円を求めた。数十年にわたる防衛費抑制のため、自衛隊は装備・弾薬の不足、施設・官舎の老朽化などが深刻化していた。国民の生命と安全を守り切るには、防衛力強化と防衛費増額、自衛隊員の待遇向上は絶対に不可欠だ。国防ジャーナリストの小笠原理恵氏は、懸案だった「高速道路代問題」の進展について報告する。

  「米軍や警察の公用車は無料なのに、自衛隊は高速道路代が足らず、隊員たちは仕方なく自腹で高速代を払っている」
  私はニュースサイト「日刊SPA!」で18年、こう問題提起した。
  この高速道路代問題に、やっと光明が見えた。24年度の防衛省概算要求に「必要な運搬費(有料道路使用料を含む)を計上し、隊員の移動にかかる負担を軽減し、勤務環境の改善を推進」と明記されたのだ。
  高速道路代は、米軍や警察の公用車は無料だが、自衛隊は災害派遣時(自治体負担)以外は、演習場や訓練で遠方にいくためでも有料だ。高速道路を使うための「運搬費」は不足しており、上限を超えた場合、自衛隊車両は目的地のはるか手前から下道を走るしかない。
  自衛隊員の移動は、トラックの荷台が多い。道路交通法で、トラックの荷台への人の乗車は禁止されているが、自衛隊や警察は適用除外だ。機動隊も昔は荷台に乗車していたが、バスに改善された。
  クッションのないベンチに座って、下道での長距離移動はつらい。振動も激しく座骨神経痛や痔(じ)を患う自衛隊員も多い。エアコンのない荷台は、熱中症のリスクが高い。重度の熱中症は、臓器に深刻なダメージをもたらしかねない。


  あまりにも過酷なため、以前は仲間内でカンパして高速道路に乗っていたが、規則で禁止された。仕方なく、つらい下道での長時間移動に耐えるしかなかった。
  他の先進国では、熱中症予防と兵士の消耗を防ぐため、戦車や装甲車には冷暖房が完備され、乗用車用シートが搭載されている。自衛隊にも空調付き防護機動車があるが数台しかない。
  浜田靖一前防衛相は23年版防衛白書の刊行に寄せて、「どれだけ高度な装備品を揃えたところで、それを扱う『人』がいなければ防衛力は発揮できません」とつづっていた。昨年の自衛官候補生の採用は4割近くまで落ち込んだ。その職務に報いる待遇や生活環境でなければ、志願制で人を集めることはできない。
  米俳優、シルベスター・スタローンのベトナム帰還兵を描いた映画「ランボー」の最後のセリフ、「俺たちが国を愛したように、国も俺たちを愛してほしい」という言葉を、新任の木原稔防衛相に考えてもらいたい。(国防ジャーナリスト)


2023.05.03-Yahoo!Japanニュース(FNNプライムオンライン)-https://news.yahoo.co.jp/articles/c686265270c5e2ff73081ac5bb522fe617632515
陸自ヘリ海底から引き揚げ 損傷激しく フライトレコーダー回収

  宮古島沖に墜落した、陸上自衛隊のヘリコプター引き揚げが行われた。 フライトレコーダーも回収され、墜落原因の究明が進められる。

  水深およそ106メートルの海底から引き揚げられた、陸上自衛隊のヘリコプター。 日の丸のマークがついた、迷彩模様の機体。 筒状の燃料タンクとみられるものが確認できるが、コックピットなどは原型をとどめていなかった。
  4月6日、沖縄県の宮古島沖で突然消息を絶った、陸上自衛隊のヘリコプター。
  事故原因究明の鍵を握るフライトレコーダーが、2日、引き揚げられた機体の中から回収された。
  自衛隊は今後フライトレコーダーを解析し、事故原因の究明を進める方針。
  この事故では、これまでに6人の遺体が引き揚げられたが、残る4人の行方はわかっていない。 2日は隊員の装備品とみられるものも回収されたが、人の姿は確認されておらず、3日以降も捜索活動が続く見通し。


2023.05.02-Yahoo.!Japanニュース(テレ朝 NEWS)-https://news.yahoo.co.jp/articles/da06bf9e2c7988008df2b0fcf47c53e30720fc37
陸上自衛隊ヘリコプター事故 6人目の死亡確認
(「グッド!モーニング」2023年5月2日放送分より)テレビ朝日

  防衛省によると、1日午後5時半ごろ、捜索海域周辺で新たに隊員1人を引き揚げ、午後7時すぎに死亡が確認されたということです。

  2日以降、DNA鑑定などで身元の特定を急ぐ方針です。関係者によると、見つかった隊員は、海底で機体を移動する際に発見しましたが、機体の中に残っていた隊員かどうかは、分からないということです。これまでに見つかった隊員は、10人のうち6人です。
  防衛省はヘリの機体自体を、天候などの条件が整えば、2日午前8時から引き揚げ、事故原因などを調べる方針です。 (「グッド!モーニング」2023年5月2日放送分より)テレビ朝日







このTopに戻る





monomousu   もの申す
TOPにもどる
最近のニュース
防衛省・自衛隊
2023年05月~のニュースです