くるま関係-1


2024.03.29-産経新聞-https://www.sankei.com/article/20240329-W2TLYYZ2NJPT3FD3GPQKYUL5N4/
中国スマホ大手シャオミがEV参入第1弾発売 セダンタイプで450万円から 競争激化へ

  【北京=三塚聖平】中国スマートフォン大手の小米科技(シャオミ)は28日、同社初の電気自動車(EV)を発売した。第1弾はセダンタイプの「SU7」で、価格は21万5900元(約450万円)から。中国では政府の後押しでEVの販売が急速に伸びており、新規参入が活発化して競争が激化している。

  シャオミが発売したEVは、米EV大手テスラの主力セダン「モデル3」に対抗する。4月末から納車を始め、今年末までに中国の39都市に販売網を整える計画だという。シャオミは2010年設立で、スマートフォンのほか、家電も手掛けている。21年にEV参入を表明していた。シャオミの雷軍最高経営責任者(CEO)は28日に開いた発表会で「15~20年の努力を経て世界トップ5に入る自動車メーカーになりたい」と語った。
  中国自動車工業協会によると23年の新車販売台数では、EVやプラグインハイブリッド車(PHV)などからなる「新エネルギー車」は前年比37・9%増の949万5000台で、新車販売に占める新エネ車の割合は31・6%を占めた
  中国メーカーが競争力を増している。中国のEV最大手、比亜迪(BYD)が今月26日発表した23年12月期決算は最終利益が前期比80・7%増の300億元(約6300億円)だった通信機器大手の華為技術(ファーウェイ)も自動車メーカーと手を組んでEVを手がけているほか、不動産大手の中国恒大集団など異業種からの参入も相次いでいる


2024.03.12-産経新聞-https://www.sankei.com/article/20240312-UHEE7ZTNLNJGLCYJ3NFKQR6TSM/
無許可クレーン車で国道1号走行し事故、容疑の特殊車両誘導会社代表ら書類送検

  無許可で大型クレーン車を走行させ事故を起こしたなどとして、京都府警東山署は12日、道路運送車両法違反などの疑いで、高松市にある特殊車両誘導会社の代表取締役の男(64)と運転手の男(72)=香川県綾川町=を書類送検した。法人としての同社も同容疑などで書類送検した。同署は2人の認否を明らかにしていない。

  書類送検容疑は共謀し昨年11月19日、東山区の国道1号でクレーン車を走行させて中央分離帯のコンクリートブロックに衝突。はずみでブロックが対向車線の乗用車にぶつかり、いずれも30代の男性2人に軽傷を負わせたなどとしている。
  東山署によると、クレーン車にはナンバーの登録がなく、走行に必要な許可も取っていなかった。男らは香川県から兵庫県までクレーン車を運送する途中だった。


2024.03.01-産経新聞-https://www.sankei.com/article/20240301-HAKBLETWBJP5FACCY2BH2BD7XA/
北関東道で軽乗用車の86歳男性が逆走、乗用車と衝突死 女性重体2人重軽傷 群馬・太田

  2月29日午後10時15分ごろ、群馬県太田市の北関東自動車道太田桐生インターチェンジ(IC)―太田藪塚IC間で「車3台の事故が起きた」と110番があった。県警高速隊によると、軽乗用車が逆走し、前から来た乗用車と衝突した。軽乗用車を運転していた埼玉県川越市の無職男性(86)が死亡。乗用車の長野市の男性会社員(46)が重傷を負い、同乗の栃木県真岡市の母親(73)が重体となった。

  乗用車の後続のトラックと乗用車も事故に巻き込まれ、トラックを運転していた埼玉県越谷市の男性(48)が軽傷。
  現場は片側2車線の直線道路で、高速隊が当時の状況を調べている。影響で一部区間が通行止めとなった。


2024.02.01-産経新聞-https://www.sankei.com/article/20240201-2FUQIO5GLZM6VMVJ5YWN7EZ6FA/
高速走行中にフロントガラス割れ男性重体 飛来物当たり、岐阜の名神

  1日午前8時ごろ、岐阜県大垣市今福町の名神高速道路下り線で、「物が飛んできてフロントガラスを割り、運転手がけがをした」と119番があった。乗用車を運転していた同県美濃加茂市の男性会社員(48)が頭蓋骨を折り、意識不明の重体となっている。

  岐阜県警高速隊によると、助手席の同僚男性が119番した。同僚男性にけがはなかった高速隊は車に当たった物の特定を急ぐとともに、荷物の落下などがなかったかどうか調べている
  事故の影響で、岐阜羽島インターチェンジ(IC)―大垣IC間の下り線が一時、通行止めになった。


2024.01.29-産経新聞-https://www.sankei.com/article/20240129-AZSUXRVMYVKM5DJ2OEALUZY2NY/
豊田自動織機で新たに試験不正 ランクルやハイエースなど関連車種の出荷停止
(池田昇)

  トヨタ自動車は29日、グループの豊田自動織機に開発を委託していた自動車用ディーゼルエンジン3機種の出力試験において法令違反行為が判明したため、当該エンジンを搭載する車両の出荷を一時停止すると発表した。不正のあったエンジンの搭載車は「ハイエース」「ハイラックス」「ランドクルーザー300」など海外向けを含め10車種。このうち日本向けは6車種

  試験不正は、出力試験時に、量産用とは異なるソフトを使った電子制御装置を使ってエンジンの出力性能を測定し、測定する数値が安定するようにバラつきを抑えて報告する違反を行っていたという。
  トヨタは該当するエンジンと車両について、工場で生産した量産品を改めて検証し、エンジン出力の基準を満たしていることを確認したとして、直ちに使用を停止する必要はないとしている。(池田昇)


202.01.29-産経新聞-https://www.sankei.com/article/20240129-GK24SDBKDJP43BND6J7YZQX5A4/
豊田自動織機の不正、背景にトヨタ頼みの「受託体質」 特別調査委が会見
(池田昇)

  豊田自動織機のエンジン認証試験の不正を巡り、同社が設置した外部有識者による特別調査委員会は29日記者会見し、不正行為の原因として産業用エンジンの「不合理な開発スケジュール」コンプライアンス(法令順守)意識の欠如などを挙げる一方、筆頭株主のトヨタ自動車頼みの「受託体質」という企業風土も影響したと指摘した。

上への報告行われず
  産業用エンジンの開発日程は、量産開始の予定日から逆算して策定。その日程が優先され、作業の進捗(しんちょく)状況に照らして合理的とは言い難いスケジュールとなったほか、問題が発生しても管理職の上位層への適切な報告が行われなかった
  具体的には、開発中に「DPF」という排ガス後処理装置を搭載しないとの方針変更がされたが、ありあわせのエンジンによる簡易的な実機検証をわずか2、3カ月で行っただけで排ガスの開発目標値を達成する見込みがあるとした開発例や、副社長の要望で米国向けエンジンの量産開始日が1年前倒しされ、変更された開発スケジュールに無理があると認識した開発関係者が少なくなかったが、その点が指摘されなかったという。
9割がトヨタの委託
  一方、特別調査委の報告書は不正の背景として、豊田自動織機のエンジン事業の9割がトヨタからの委託が占めることに起因し、「トヨタから指示されたことは実行できるが、自ら問題や課題を発見し、それを解決する方策を導き出す力が弱い」と指摘。その受託体質が、自社で正しいものづくりを徹底する仕組みづくりを怠ることにつながったと分析した。
  また、自動車向けに比べて産業用エンジン開発は難易度が低いという、誤った認識が経営陣やエンジン事業部の幹部にあったという。(池田昇)



2023.12.26-産経新聞-https://www.sankei.com/article/20231226-5ACSUUZVSZNYBC2LN67EOUML5Y/
都外ナンバーも規制へ 広告宣伝車デザイン、東京

  トラックの荷台に派手なデザインを施し繁華街を低速走行する「広告宣伝車」について、東京都広告物審議会は26日、都内ナンバーのみとなっている規制対象車両を都外ナンバーに拡大するよう小池百合子知事に答申した。都は来年1月、都屋外広告物条例の施行規則を改正し、都内を走る全車両に対象を広げる

  都は現在、景観を損ない渋滞を招くなどとして、条例で都内ナンバーの車両を対象に、映像や発光など交通安全上の危険がある広告を禁止。デザインについても「景観に配慮」「不快感を与えない」などの審査基準を設けている。
  規制対象の拡大にあたり、パブリックコメントでは賛同する声の一方、表現の自由を理由に反対する意見も寄せられた。委員からは、屋外広告業界での基準作りが必要との発言があった。
  都は埼玉、千葉、神奈川各県などと、広告宣伝車に関する統一的なルール策定に向けた検討会を設置している。


2023.12.14-読売新聞-https://www.yomiuri.co.jp/national/20231214-OYT1T50015/
時速146キロで5人死傷でも「危険運転」適用されず、条文の見直し検討へ…表現の曖昧さ指摘

   悪質な運転による交通事故に厳しく対処するため、法務省は自動車運転死傷行為処罰法の改正も視野に、「危険運転致死傷」あり方を検討する方針を固めた危険運転は大幅な速度超過でも適用されないケースが相次ぎ、条文の表現が曖昧なことが原因だとの指摘が出ていた。同省は近く有識者検討会を設ける見通しで、条文の見直しも議論する。

  同法の危険運転致死傷は「制御が困難な高速度」で走行した場合などに適用され、法定刑の上限は懲役20年。一方、運転ミスに適用される過失運転致死傷は同7年にとどまる。「何キロ以上なら該当する」といった線引きはなく、特に直線道路では、法定速度の2倍超など大幅な速度超過でも適用されないケースがある
  法定速度60キロの道路を約146キロで車を運転し、5人を死傷させた津市の事故(2018年)は、元会社社長が危険運転で起訴されたが、過失運転とした判決が確定した。
  一方、約194キロで車を運転し1人を死亡させた大分市の事故(21年)では元少年が過失運転で在宅起訴されたが、遺族らが危険運転の適用を求める署名を提出。検察が危険運転への訴因変更を請求し、認められた。公判は今後開かれる
  こうした経緯から、事故の被害者遺族や自民党のプロジェクトチーム(PT)の議論で、「法律の条文の表現が曖昧だ」「要件がわかりにくく、立証のハードルが高い」といった指摘が出ていた。自民党PTは6日に条文の見直しを求める提言案をまとめており、近く同省などに提出する。
  同省の有識者検討会では、「高速度」のほか、同じく危険運転の適用対象であるアルコールの影響で正常な運転が難しい赤信号を殊更に無視した――といった条文も見直しの要否が議論される見込みだ。


2023.12.05-朝日新聞-https://www.asahi.com/articles/ASRD53QYDRD5UTIL00M.html
新宿でハトひき殺したか 逮捕のタクシー運転手「ハトがよけるべき」
(遠藤美波)

  ハトをひき殺したとして、警視庁はタクシー運転手の男(50)=東京都中野区=を鳥獣保護法違反の疑いで逮捕し、5日に発表した。「ハトをひいて殺したことは間違いないが、道路は人間のものなのでよけるべきはハトだろう」などと話しているという。

  新宿署によると、男は11月13日午後1時ごろ、東京都新宿区西新宿1丁目の路上で、カワラバト1羽をタクシーでひいて殺した疑いがある。
  同署によると、男は赤信号でタクシーを停車させていたが、青信号で急発進し、目の前の路上にいたハトの群れに突っ込んで1羽をひき殺したという。目撃した女性が110番通報した。女性が近くの赤信号で停車していた男に「ハトをひきましたよね」などと声をかけると、男は「ハトがよけるべきだ」などと答えたという。
(遠藤美波)


2023.10.28-読売新聞-https://www.yomiuri.co.jp/economy/20231028-OYT1T50082/
GM傘下の無人タクシー、全米で事故相次ぎ運行停止…ホンダは都内で共同事業を予定

  【ニューヨーク=小林泰裕】米ゼネラル・モーターズ(GM)傘下で無人タクシーの運行を手がける米クルーズは、同社の自動運転車両による事故が相次いでいることを受けて、全米で無人タクシーの運行を停止すると発表した。

  クルーズは26日、X(旧ツイッター)に「今最も重要なことは、信頼を回復するための措置を講じることだ」と投稿し、当面、システムなどの見直しに取り組む方針を示した。
  カリフォルニア州でクルーズの車両が関係する事故が相次いでおり、同州当局は24日、クルーズに対し、州内での無人タクシーの運行許可を停止した。アリゾナ州やテキサス州でも事業を展開しており、米高速道路交通安全局(NHTSA)が安全性に問題がないか調査を開始している。
  ホンダはGMやクルーズと共同で、2026年から東京都内で自動運転車両を使ったタクシー事業を始めると19日に発表していた。


2023.10.27-毎日新聞-https://mainichi.jp/articles/20231027/k00/00m/040/170000c
衝突したバイクは赤信号無視 右折車の運転手に無罪判決 福岡地裁

  福岡県古賀市で車を運転中、赤信号で交差点に進入してきたバイクに衝突して運転者にけがをさせたなどとして、自動車運転処罰法違反(過失致傷)と道路交通法違反(不申告)に問われたナイジェリア国籍の男性被告(53)に対し、福岡地裁(今泉裕登裁判長)は27日、無罪(求刑・罰金10万円)を言い渡した

  起訴状などによると、男性被告は2021年10月7日午後7時ごろ、古賀市中央の国道3号で普通乗用車を運転中、交差点を右折しようとした際に、対向車線を直進してきたバイクと衝突。バイクを運転していた30代の男性は骨折などのけがをした
  バイクは赤信号を無視して交差点に進入していたが、男性被告は「見通しが困難だったのに安全を十分に確認しなかった」として、自動車運転処罰法違反に問われた。
   事故を巡っては検察側の「捜査不足」が浮き彫りになった。検察側はバイクが赤信号を無視していた事実を見落としたまま、22年3月に「対向車線に渋滞停止車両があって見通しが困難なのに、安全を十分確認しないまま右折した」などとして男性を略式起訴。同月に福岡簡裁は罰金30万円の略式命令を出したが、男性が不服を申し立て、正式裁判になった。
  その後、弁護側の指摘を受け、検察側が現場近くの防犯カメラ映像を再解析するなどした結果、バイクは第1車線と第2車線の間を走っており、▽信号が赤になった時点で停止線の約20メートル手前にいた▽その1・2秒後までに第1、第2車線の車を追い抜き、1・8秒後までに停止線を越えて交差点に進入した――と推定。バイクの赤信号無視が明らかになったが、検察側は起訴を取り消さず、22年5月の初公判から約1年2カ月後の今年7月に起訴状の内容を変更(訴因変更)した。
  弁護側は公判で「赤信号を無視して交差点に進入してくるバイクまで予測する義務はない。事故の不申告も処罰するほどの違法性はない」などと無罪を主張。一方の検察側は「赤信号になったとしても、『(急には)安全に停止できない』と判断した対向車両が交差点に進入してくる可能性がある。車の男性はそれを予測できたし、予測する義務もあった」などとしていた。【志村一也】、


2023.10.23-産経新聞-https://www.sankei.com/article/20231023-D45GXVU5TBJABJ6NKSB4UM3BZM/
自民・小泉進次郎氏「ライドシェアで選択肢ある社会を」 インタビュー

  自民党の小泉進次郎元環境相は23日、産経新聞のインタビューに応じ、一般ドライバーが自家用車を使って客を有償で運ぶ「ライドシェア」について、「選択肢のある社会をつくる必要がある」と述べ、安全性を担保するルールを整備したうえで導入すべきだと訴えた。規制改革として象徴的だとして、「国民や生活者の利益のための政治をやるのか問われている」とも語った。

  小泉氏は、岸田文雄首相が23日の所信表明演説で「ライドシェアの課題に取り組む」と表明したことに関し、「政治課題として土俵に上がったということで間違いなく前進だ」と歓迎した。景気回復や外国人観光客などの需要増の一方、タクシー運転手の減少が続いていることに触れ、「タクシーの供給力を上げると同時に、世界で活用されているライドシェアを導入すべきだ」と述べた。
  ライドシェアを巡っては与党にも安全性を理由に、導入に否定的な意見もある。小泉氏は「是か非かではなく、どのように安全を担保して日本にライドシェアを導入するかという話をした方がいい」と指摘し、具体策として保険加入やドライブレコーダーの設置義務付けなどを挙げた。
  また、政府の今後の取り組みに関し、「ライドシェアの決着がどういう形になるかが重要だ。よくありがちな、間をとって、事業性もない、利便性もない、誰も幸せにならない『日本版ライドシェア』にしてはいけない」と語った。


2023.10.03-NHK NEWS WEB(首都圏 NEWS WEB)-https://www3.nhk.or.jp/shutoken-news/20231003/1000097769.html
電気自動車の「走行中充電」 初の公道での実証実験 千葉 柏

  「脱炭素社会」の実現に向けてEV=電気自動車の普及が課題となるなか、車を走らせながら充電できる最新の技術で、全国で初めてとなる公道上での実証実験が柏市で始まることになり、3日記念の式典が開かれました。この技術は、東京大学と大手自動車部品メーカー、大手不動産会社などが共同で研究しているもので、柏市で開かれた式典では、実験で公道上を走る2台のEVがお披露目されました。

  車にはいずれも、車体の下に導線のコイルが取り付けられ、道路の下に埋め込まれた別のコイルから、「電磁誘導」の仕組みで電気を受け、走りながら充電することができます。これまでは大学の構内で実験を行ってきましたが、市の協力を得て、つくばエクスプレス・柏の葉キャンパス駅前の市道の交差点に電気を送るコイルを埋め込み、全国で初めてとなる公道上での実証実験が実現することになりました。
  4日以降、本格的に走行実験を行い、再来年の3月までかけて充電がどの程度できるかなどを確認することにしています。式典で柏市の太田和美市長は「今回の技術は将来的にはバッテリーの軽量化にもつながるということで、今後の実用化に期待したい」とあいさつしました。
  研究チームの東京大学の藤本博志教授は「実用化に向けてこれからの実験が大切になる。夢のような技術に聞こえるかもしれないが、企業などと協力して技術を育て上げたい」と述べました。
  「走行中充電」は、導線のコイルを通る磁力が変化すると電流が発生する「電磁誘導」の仕組みを活用しています。地中に埋め込まれたコイルに電流を流すと、周辺には磁力が発生します。この上にEVに取り付けられた別のコイルが重なると、磁力の影響でこのコイルに電流が発生します。
  導線が直接つながっていなくても電気を送ることができ、この仕組みはスマートフォンのワイヤレス充電でも活用されています。東京大学の藤本博志教授は、10年前から民間企業と共同で「走行中充電」の研究に取り組み、キャンパスの構内で実験を続けてきました。

  現在の装置では、送電側と受電側のコイルが1秒間重なると、車がおよそ100メートル走行できるだけの充電ができ、10秒間重なるとおよそ1キロ分の充電が可能だということです。課題は、コイルを道路に埋め込むのにかかるコストで、藤本教授は、毎日決まったルートを走行するバスからの導入が現実的だとして、今回の実験のあと、キャンパス周辺の路線で実験を行いたいとしています。
  藤本教授は2030年ごろにこの技術の実用化を目指すとしていて、「『走行中充電』が広がれば、充電設備がなくてもEVを購入しやすくなる。さらに車のバッテリーは小型で済むようになり、車体の軽量化や小型化、車を製造する際に排出される二酸化炭素の削減にもつながる。将来的に多くの人がサービスを享受できるようにしたい」としています。

  「走行中充電」の将来の実用化には、EVを導入している事業者から期待する声が出ています。千葉県内でバスを運行している「平和交通」ではおととし、バッテリーとモーターで走る大型バス2台と小型バス1台を導入し、千葉市内の路線バスで運行しています。この会社では電気バスを導入したことで、電気代と比べて高騰している燃料の軽油を使わなくて済むことや、車両のエンジンオイルの交換などが不要になるため、運行にかかるコストは大型バスは3割ほど、小型バスだと6割ほど削減できたということです。
  一方で課題は充電で、車庫に3台分の充電スタンドを設けて毎日の運行が終わったあと行っていますが、バッテリーの容量が大きいためフル充電には6時間以上かかります。会社では今後、電気バスの台数を増やしたい考えですが、現状では台数の分だけスタンドも増設する必要があり、ネックになっているということです。「走行中充電」が実用化されれば充電環境が改善するほか、走行距離が長い成田空港などを結ぶ路線でも、導入しやすくなるとして期待しています。「平和交通」の藤原浩隆総務課長は「電気バス導入によるコスト削減の効果は期待以上だった。『走行中充電』ができれば充電の頻度が減ったり、電池切れの心配がなくなったりするので、メリットは大きい」と話していました。
  電気自動車に詳しい専門家は、「走行中充電」の開発は、海外が先行して日本は遅れているものの、今回の公道上での実験は「大きな一歩だ」としています。三菱総合研究所モビリティ戦略グループの高橋香織主任研究員は「公道上での実験は大学や企業がやりたくても、道路管理者や行政との連携が必要だが、理解してもらって実証ができるということで、非常に意義があり、今回得られるデータはとても貴重だ」と述べました。一方で、EVの普及が広がる欧米を中心に、「走行中充電」の開発が加速していて、イスラエルの企業は、長時間の走行や高速走行といったさまざまな条件で実証を進めるなど、実用化に向けた競争は世界全体で激しくなっていると分析しています。
  国内では、柏市のほか、再来年の大阪・関西万博でも、会場でバスの充電の実証実験が行われる予定で、高橋さんは「今回の実証実験は日本が技術開発を進めるうえで大きな一歩になる。装置の規格や周波数などの国際標準化に向けた議論が始まっていて、今後は日本だけがガラパゴス化しないようなものづくりも必要だ」と指摘しました。


2023.06.19-NHK NEWS WEB-https://www3.nhk.or.jp/news/html/20230619/k10014103191000.html
バス・トラック衝突5人死亡 トラックが対向車線にはみ出したか

  18日、北海道八雲町の国道で札幌から函館に向かっていた都市間高速バスとトラックが衝突バスの乗客ら5人が死亡した事故で、警察は現場の状況などからトラックが対向車線にはみ出したことが原因とみて調べています。

  18日正午ごろ、八雲町野田生の国道5号線で、乗客15人を乗せた都市間高速バスと、家畜の豚を運んでいたトラックが正面衝突し、バスの乗客と双方の運転手を含めた17人全員が病院に運ばれました。
  警察によりますと、このうち乗客としてバスに乗っていた函館市旭町の地方公務員、若崎友哉さん(33)、鹿部町のパート従業員、高清水忍さん(57)、札幌市清田区の高橋裕美さん(55)の3人のほか、バスの運転手で札幌市清田区の興膳孝幸さん(64)とトラックを運転していた森町の会社員、梶谷誠さん(65)のあわせて5人が死亡しました。
  また、バスのほかの乗客のうち80代の女性が首に大けがをして入院しましたが、残る11人は軽傷だということです。
  事故にあったのは札幌から函館に向かっていた都市間高速バスの「高速はこだて号」で、18日は「札幌駅前ターミナル」を朝、出発したあと高速道路を経由し八雲町内の国道5号線を走っていました。
  現場は片側1車線の緩やかなカーブで、見通しはよかったということで、警察は、現場の状況やドライブレコーダーの映像からトラックが対向車線にはみ出したとみて事故の原因をさらに詳しく調べています。


2023.05.16-産経新聞-https://www.sankei.com/article/20230516-NH7KXF2YP5KIPPVVSBKA3Y73VU/
「空飛ぶクルマ」の安全守れ 万博で風の流れ可視化へ 京大発ベンチャー

  2025年大阪・関西万博での「空飛ぶクルマ」の初の商業運航に向け、上空の風を可視化するための実証実験が会場となる人工島・夢洲(ゆめしま)(大阪市此花区)周辺で行われている。安全な運航にはルート上の風速や風向の把握が欠かせない。高層の建物が入り組む大阪市内で複雑に動く風を「見える化」する試みは、ドローン普及にも貢献する空の交通インフラとして期待されている。

  夢洲の南に浮かぶ人工島・咲洲(さきしま)(同市住之江区)。眼下に万博会場予定地や大阪湾を一望するアジア太平洋トレードセンター(ATC)ビルの屋上で4月下旬、家庭用洗濯機ほどの大きさの機器が報道陣に公開された。実証実験で使用する風況計測装置「ウインドガーディアン100」(WG100)で、大阪市内に初めて設置された。
  WG100京都大発のベンチャー「メトロウェザー」(京都府宇治市)が開発四方に放つ赤外線レーザー光が空気中のちりなどに当たって跳ね返る反射光を調べることで、風の向きや強さを即座に把握する
  1台で最大半径15キロ圏内を通常の天気予報の100倍ほど細かい約10メートル間隔で計測するといい、同社の古本淳一社長は「コンディションがよければ、大阪湾越しに神戸エリアまで風の様子がわかる」と胸を張る。
  同種の機器は羽田空港や関西国際空港など国内の大規模空港でも導入されている。これらは貨物コンテナに匹敵する大きさで、都市部で普及させるには小型化が課題だった。京都大で大気の計測や情報処理を研究するグループが立ち上げたメトロウェザーは従来の10分の1ほどの出力のレーザーでも、十分な計測性能を発揮する信号処理技術を開発。機器を1辺65センチ程度にまで小型化することに成功した。


2023.04.29-MONOist(ITmedia)-
ダイハツの認証不正、トヨタ社長「×を○に修正するより根が深い」
[齊藤由希]

  ダイハツ工業が、海外向け4車種の側面衝突試験において認証申請時の不正行為があったと発表した。
  該当車種は、既に販売されていた「ヤリスエイティブ(トヨタブランド)」「アジア(プロドゥアブランド)」、2023年6月から生産開始予定だった「アギヤ(トヨタブランド)」と、開発中の1車種だ。いずれもダイハツが日本で開発した。タイ、マレーシア、インドネシアの3カ所が生産国だった。

  これらのモデルで国連法規UN-R95と中東の法規GSOに準拠した側面衝突試験を実施する際に、テスト車両のドアトリムに対して量産時の仕様にない変更を加えた。2023年4月上旬の内部通報によって発覚した。ヤリスエイティブとアジアは2023年4月27日に生産と出荷を停止している。その他の衝突試験や当該4車種以外のモデルでは不正は発見されていないという。また、日本向けモデルには同様の問題はないとしている。
  正規のドアトリムを用いた車両で改めて実施した社内試験では、側面衝突試験で求められる基準を満たしていたという。販売済みの該当車種のユーザーが使用を継続する上で、部品交換などの対応は必要ないとしている。
  今後、審査機関や認証当局の立ち会いの下で再試験を行い、側面衝突性能が法規に適合することが認められれば出荷を再開する。4月29日にも当局から性能の確認が取れる見通しだ。再試験や不正の調査、原因究明などでトヨタ自動車にも協力を仰ぐ。出荷停止の影響を受ける台数は、既に販売していたヤリスエイティブとアジアの合計8万8123台。14カ国に出荷されていた。
「よくある設計」への変更をなぜ申請できなかったのか
  ヤリスエイティブとアギヤは、トヨタとダイハツの間でOEM(相手先ブランドによる生産)供給/共同開発契約を結んでおり、ダイハツが開発から必要な各種認証試験の合格までを担当する。トヨタは自社ブランドで販売するための車両型式を当局に申請し、必要な認可を受けて販売する。
  側面衝突試験は、台車を車両の側面に衝突させた際に乗員を模したダミー人形が受けるダメージの大きさが一定の範囲内に収まるかどうかで評価される。
  今回、ダイハツは、テスト車両の前席のドアトリムがより安全な、鋭利ではない形状で壊れるように切り込みを入れる変更を行ったという。社内テストでは量産時の仕様でも側面衝突試験をクリアできているが、「ドアトリムの壊れ方に不安があり、より余裕をもって合格するために壊れやすくする変更を加えた、と現時点では推測される」(ダイハツ工業 社長の奥平総一郎氏)。

  また、衝突試験に一発合格することへの期待や、モデルチェンジの時期を守ること、主力の軽自動車ではないカテゴリーの車両開発だったことなどで担当者にプレッシャーがかかっていた可能性もあるという。「NCAP(新車アセスメント)対応が影響したとはみていないが、まだ断定はできないのでしっかり調査していく」(奥平氏)。
  当該4車種の生産国と販売国によって異なるが、認証を取得した時期は2022年4~12月だ。過去にも同様の不正が行われていなかったかどうか、どこまでさかのぼれるかは今後調査する。また、開発/評価/認証が同じ部署で対応する組織体制の影響も調査する。
  トヨタ自動車 社長の佐藤恒治氏は次のようにコメントした。「十分に法規に適合する実力があるのに不正が行われているのは根が深い。NGをOKに書き換える以上に深刻だと考えている。試験の結果や開発プロセスをみると、複数回の設計変更の上で認証取得のタイミングを迎えている。本来であれば、正式な設計変更として申請すべきだった」(佐藤氏)
  また、ダイハツ社内の風土にも言及した。「切り込みを入れて弱い部分を意図的につくり、乗員へのダメージを下げる工夫は、通常の開発でも日常的に行われている。ドアトリムの変形パターンをコントロールしたいというエンジニアとして純粋な行為をなぜオープンにできなかったのか。この変更が必要だと主張できる環境であれば、不正にはならなかった」(佐藤氏)
今後は第三者委員会を設置
  ダイハツは今後、内部調査委員会と、独立した第三者委員会を設置し、不正の解明や真因分析、再発防止策の取りまとめに取り組む。調査結果は第三者委員会の報告を受けてから公開する。
  「これまでの自動車業界の燃費や排ガスの不正を受けて、環境性能に関する不正がないことは社内で確認してきたが、衝突安全に関しては十分に調査できていなかった。改めて反省したい」(奥平氏)。トヨタ自動車は、グループ全体で認証業務の総点検を行う考えだ。ダイハツの軽自動車の強みを生かして新興国向けの小型車開発に協力してもらう戦略は今後も維持する。


2023.04.08-産経新聞-https://www.sankei.com/article/20230408-LMKJPPEBQJK2ZCXXDGF2RDX76U/
信号無視でも優良運転者? 最高裁に委ねられたゴールド免許制度を揺るがす判決
(地主明世)

   信号無視はしたが、優良運転者(通称・ゴールド免許)には該当する-。大阪高裁で3月、このような判断が示された。兵庫県の70代男性が信号無視の交通反則処分を不服として、取り消しと優良運転者の免許証交付を求めた民事訴訟。なぜ「特殊な判決」(専門家)が下されたのか。焦点は、信号無視をした場所を巡る主張の対立だった。

一度は反則金を払ったものの…
  訴訟資料によると、問題の発端は平成31年春。男性の乗用車が、兵庫県内の交差点(A交差点)を通過すると、後ろのパトカーから停車するよう指示され、近くの路肩に止めた。
  警察官は信号無視を指摘し、違反内容を記載した書類への署名指印を求めた。「黄色信号との認識だったが、待ち合わせで急いでいたこともあり、内容を確認しないまま署名指印した」(男性の主張)。翌日には反則金も支払い、何事もなく手続きは終わったかにみえた。
  男性の態度が一転したのは免許更新手続きで、それまでの優良運転者から一般運転者に変わった後だった。〝格下げ〟を不服として県公安委員会に審査請求。それが棄却されると、令和3年、県に対して、交通反則処分の取り消しと優良運転者との認定を求める訴えを神戸地裁に起こした。
500メートルの解釈
  男性が問題視したのは、信号無視をしたとされた場所だった。違反内容が記された書類を見返したところ、現場の住所は、停車を求められたA交差点ではなく、約500メートル離れた別の交差点(B交差点)の住所となっていたのだ。
  男性は「B交差点の信号は青だった。警察官は事実を誤認している」と主張。一方の県側は、警察官が違反を現認したのはB交差点で間違いないとした上で、「現場は交通量が多く、安全な場所まで誘導させた」と、A交差点で違反を指摘した理由を説明した。
  昨年2月の1審神戸地裁は県側の主張を全面的に認めたが、男性の控訴を受けた大阪高裁は、取り締まりをした警察官への証人尋問を実施した上で、1審とは異なる判断を示した。
  中垣内(なかがいと)健治裁判長は、男性が警察官の求めに素直に応じて署名や反則金の納付をしていることから、「黄色であれば弁解してしかるべきだ」と、男性の説明を疑問視。赤信号無視があったこと自体は認めた。
  ただ、違反した場所については、2つの交差点間は片側2車線で「停車させることが不可能とは言い難い」と指摘。停車させた路肩から(違反したとされる)B交差点は見えないことも踏まえ、「(警察官が説明する取り締まり方法は)不自然」と言及した。
  さらに、警察官が男性に交付した書類には違反場所の住所が書かれているだけで交差点名の記載がないことから、「署名指印しているからといって違反場所まで認めていたとはいえない」と判断。赤信号を無視した現場はA交差点で、警察官が交差点を誤記した可能性が高いと認定した。
  信号無視はしたが、違反した交差点は間違っている-。この事実認定から「(免許更新の際に前提となっていた)B交差点での違反行為を認めることができない以上、男性は優良運転者に該当していたというべきだ」と免許の〝格下げ〟は違法と結論付けた
  交通反則処分の取り消しについては、訴えが不適法として却下。男性はこの判決も不服として最高裁に上告した。
「免許制度の趣旨に反する」
  信号無視と優良運転者は両立し得るのか。福岡県警本部長などを務めた京都産業大の田村正博教授(警察行政法)は「特殊な判決といえる」と評する。
  警察庁によると、交通違反の取り締まりは全国で年間約614万件(令和4年)。田村氏は「反則金を払った時点で手続きは完了している。膨大な取り締まりをする中、後で事実関係を争われても証拠を全て残しておくことはできない」と、警察側の反論の難しさを語る。
  また、「優良運転者の認定は無事故無違反だからこそで、それが法令順守のインセンティブになっている。免許制度の趣旨にも反するのではないか」と話している。(地主明世)


2023.03.26-NHK NEWS WEB-https://www3.nhk.or.jp/news/html/20230325/k10014019881000.html
EU エンジン車販売容認へ 合成燃料を条件にドイツと合意

  エンジン車の新車販売の禁止を目指していたEU=ヨーロッパ連合は、二酸化炭素の排出が実質ゼロとされる合成燃料の使用を条件に販売の継続を認めることで域内最大の自動車生産国のドイツと合意しました。EV=電気自動車の普及をいち早く打ち出したEUが方針を転換した形です。

  EUは、脱炭素社会の実現に向けて2035年までにハイブリッド車を含むエンジン車の新車販売を事実上、禁止することを目指していましたが、域内最大の自動車生産国ドイツが合成燃料を使うことを条件にエンジン車の販売の継続を認めるよう求め、協議が行われていました。
  これについてEUの執行機関、ヨーロッパ委員会とドイツ政府は25日、双方が合意に至ったことを明らかにしました。合意の詳しい内容は明らかになっていませんが、ドイツ側は「2035年以降も二酸化炭素の排出が実質ゼロの燃料だけを使うエンジン車の新車販売に道を開くものだ」と歓迎しています。
  合成燃料は、二酸化炭素と水素を合成して製造され、燃料として使えば二酸化炭素を排出しますが、大気などから二酸化炭素を回収してつくるため排出は実質ゼロとされています。
  ヨーロッパでは各自動車メーカーがEVシフトを進めていますが、業界や一部の国からはエンジン車の販売禁止の雇用への影響や、EVのバッテリーなどに必要な原料の調達は中国に依存していることに懸念の声も出ていました。
  今回の合意は、EV普及をいち早く打ち出したEUの従来の方針を転換する形になり、自動車メーカーの今後の対応が注目されます。


2023/02.25-産経新聞-https://www.sankei.com/article/20230225-IXSR3UFGS5OQDA2ZE3D2WSLZX4/
不正改造ハーレー27台を「ペーパー車検」 怠慢整備士の稚拙な動機

  兵庫県明石市内の民間車検場で必要な検査をせずに米・ハーレーダビッドソンの改造バイクの車検を通し、見返りに金銭を授受したなどとして、兵庫県警が贈収賄や虚偽有印公文書作成・同行使などの疑いで自動車検査員の男ら3人を逮捕、送検した。愛好家の間で「カスタムハーレー」と呼ばれ、本来車検に通らない改造バイクの不正車検は約30台。重大事故につながりかねない「ペーパー車検」を繰り返した検査員らが手を染めた、あきれたいかさまの真相とは-。

  「明らかに車検場に持ち込まれていなかった。(改造が)派手うんぬんの話ではない」。捜査関係者は厳しい口調で指摘した。
  国道2号沿いに並ぶ明石市内の自動車整備会社。「誠実車検」をキャッチフレーズに掲げ、複数台の車の検査に対応するという整備工場内には、持ち込まれたはずの改造ハーレーの影さえなかった。
  兵庫県警は昨年12月、虚偽有印公文書作成・同行使などの疑いで、この車検場に勤める自動車整備士、A(53)=神戸市北区▽二輪車部品販売業、B(49)=同市西区▽仲介役の中古二輪車販売修理業、C(55)=明石市-の3被告をそれぞれ逮捕。いずれも同罪などで起訴された。
  その後の調べで報酬をやりとりしていたことも判明し、県警は1月、加重収賄や贈賄などの疑いで3人をそれぞれ追送検。神戸地検は今月1日、贈収賄の罪については不起訴(起訴猶予)処分としている。
4カ月分の映像を精査
  捜査関係者によると、国土交通省に情報提供があり不正が発覚。捜査員がこの車検場付近の防犯カメラに写った24時間・4カ月分の映像データを精査し、ハーレーが持ち込まれていない事実を裏付けたという。


2023.01.31-産経新聞-https://www.sankei.com/article/20230131-UNNJ7SBNRVLLTDM7ARQI5K6YSI/
危険運転問われる意義 被害者・遺族の思いをすくい上げるには

  危険運転致死傷罪の創設から20年以上が経過したが、適用のハードルは高く検察や司法の判断も揺れている。拡大解釈による厳罰化の危険を避けつつ、被害者・遺族の思いをすくい上げるにはどうすればいいのか。有識者2人に聞いた。

  険運転致死傷罪は「悪質な運転による死傷事故を重く処罰してほしい」「『過失』で済まされるのはおかしい」という事故の被害者や遺族の思いから出発し、創設された法律だ。
  その一方で、実際に同罪が規定する危険運転行為と、一般の人が罪名から想像する行為との間には乖離(かいり)があり、そのギャップが「市民感覚を反映していない」と指摘される要因にもなっている。
  率直に「危険運転ではないのか」と思えるような行為も、同罪が厳格に定める要件や類型に当てはまらない限り処罰の対象とはならず、それゆえ遺族が不満の声を上げるケースが少なくない。
  特に警察が危険運転致死罪送検するような死亡事故は、遺族にしてみれば理不尽に家族を殺されたという思いが強い。同罪はそんな遺族のよりどころでもあるはずだが、「公判が維持できないから」と検察に門前払いされると、「なぜ」というわだかまりと、やり場のない無念さだけが募ることになる。
  遺族が声を上げる背景には、同じような境遇に遭う人をなくしたいという強い気持ちがある。こうした声に世間が共感し、課題が社会に認知され、法改正で是正されてきた経緯がある。
  厳罰ゆえに慎重になるのも十分理解できるが、公判の舞台に乗せないと、解釈や適用範囲を巡る司法判断が積み重ならない。起訴のハードルを下げつつ、市民感覚との懸隔を埋めていくことが求められる。
     ーーーーーーーーーー
おおしま・みつる 大阪弁護士会所属。長年にわたり交通事故遺族らでつくる自助団体「TAV交通死被害者の会」(大阪市)の活動を支援している

  死傷者を伴う交通事故が起きたとき、過失運転致死傷罪と危険運転致死傷罪のどちらが適用されるか、その判断が注目を集めることがある。そして危険運転の適用が見送られたとき、報道で批判的に取り上げられることも少なくない。
  危険運転致死傷罪について規定された刑は相当に重いものとなっている。特に危険な運転を故意に行い、人を死傷させた場合に、傷害罪(上限懲役15年)や傷害致死罪(同20年)と同じように重く処罰するよう制定された経緯がある。
  その際、誰もが犯しうるような不注意で重い処罰の対象とするのは適当ではないとして、危険運転に該当する行為を類型化し、その要件を限定した。
  いくら危険な暴走行為であっても、この類型化された危険行為に当たらない限り、同罪を適用できないと考えるのが、法律で犯罪と刑罰を規定する「罪刑法定主義」の原則だ。

  確かに同罪の条文を素直に読むと、問題とされる行為が危険運転に該当しそうに思える事例もあり、被害者側もそこに批判の根拠を持っていることは理解できる。しかし、規定の解釈に当たっては、元々の立法趣旨や、これまでの判例が積み重ねてきた解釈を無視することはできないし、何より、軽い類型である過失運転致死傷罪との区別が曖昧にされてはならない。
  立法趣旨や従来の裁判所による解釈を無視して処罰範囲を拡大することは、不意打ちでアンフェアな処罰である。解釈による対応が難しければ再び立法が求められることになるが、過失運転致死傷罪との合理的な区別を可能とする新たな危険運転行為の要件を定立することは、相当に難しいことも事実であろう。

いだ・まこと 専門は刑法。平成13年に危険運転致死傷罪が創設される際の法制審議会の議論に幹事として加わった。28年から現職


2023.01.19-日刊スポーツ(KYODO)-https://www.nikkansports.com/general/news/202301190000369.html
電動キックボード7月から新制度 免許不要に、16歳未満禁止 自転車と同様の交通ルールが適用

  警察庁は19日、最高速度が時速20キロ以下の電動キックボードを新たに「特定小型原動機付自転車」と分類し、運転免許を不要とする制度を7月1日から始める方針を明らかにした。関連規定を定めた改正道交法を同日施行する。16歳未満の運転は禁止し、ヘルメットの着用が努力義務となる。原則として車道や自転車専用通行帯を走行し、自転車と同様の交通ルールが適用される。

  都市部中心に利用者が増加し、事故や交通違反の摘発も増えており、警察庁は新制度の開始に合わせルールの周知や取り締まりを強化する。谷公一国家公安委員長は19日の定例記者会見で「施行に向けた準備に万全を期すよう警察を指導していく」と述べた。
  警察庁によると、新たな分類の対象は最高速度20キロ以下で、車体の長さが190センチ以下、幅が60センチ以下。電動車いすと同等の最高速度6キロ以下に設定して制御された状態で走行すれば、歩道を通ることができる。
  車体の前後に緑色のライトを付け、車道や自転車専用通行帯では点灯、歩道では点滅させるよう求める。国土交通省が装備に関する保安基準を定めており、メーカーは発売前、適合するかどうか検査を受けなければならない。
  交通違反は交通反則切符(青切符)と放置違反金制度の対象。信号無視や通行区分違反などを繰り返した場合は講習を受けることになる。
  既に流通する電動キックボードのうち、緑色のライト以外の基準を満たすものは、経過措置として専用のナンバープレートを付ければ、2024年12月まで特定小型原動機付自転車として利用できる。ただし、歩道の走行はできない。基準を満たさないものは、現在と同様に原動機付き自転車の扱いとなる
  また、一部の地域で、実証実験として電動キックボードを貸し出す事業に適用されている特例措置は廃止する。
  新制度を定めた改正道交法は昨年4月に成立。今年1、2月に施行規則や施行令の改正案のパブリックコメント(意見公募)を実施した上で、施行日を正式決定する。(共同)


2023.01.03-産経新聞-https://www.sankei.com/article/20220103-5YARSMFWYJJNXHE6UOJ63UBBBA/
中国高級車ブランドがショールーム開設 EV投入も視野
(黒川信雄)


  中国の国有自動車大手、中国第一汽車集団の高級乗用車ブランド「紅旗(ホンチー)」が、大阪・難波にショールームを開設した。今夏には東京・銀座にも開設予定で、日本で電気自動車(EV)を投入する計画もある。家電や携帯電話で中国ブランドが存在感を増すなか、乗用車でも日本市場に攻勢をかけるのか。現場を訪ねた。

毛沢東が書いた
  南海なんば駅から徒歩約5分。新型コロナウイルス禍前、中国などからの外国人観光客であふれた繁華街に店舗はある。展示は大型セダン1台のみだが、入り口には真っ赤な毛筆で「紅旗」と書かれたロゴが掲げられ、開設を祝う多くの花束が飾られていた。
  ショールームを開設した輸入車の販売事業を手がける王力氏は「ロゴは毛沢東が書いた文字」と説明。紅旗は歴代の国家首脳の公用車で、中国での知名度は高い。展示されていた車は総額1500万円の高級車だが、王氏は「すでに売約済みだ」と明かした。
政治意図は否定
  王氏は令和3年から紅旗の輸入を開始。これまで10台が売れ、約30台の注文が入っているという。購入者は主に日本在住の中国人や彼らが経営する企業だが、「店舗がないと顧客に安心してもらえない」と感じ、第一汽車に販売店の開設を働きかけた。
  王氏は「ショールームはあくまで顧客サービスの一環」とし、「(日中間の)政治などは一切関係ない」と強調。難波で店舗を開設したのは「目立つ立地であり、話題になると判断した」と話す。
  中国出身で、東京財団政策研究所の柯隆(かりゅう)主席研究員は、日本と中国の間では自動車の製造技術に依然差があるとし、「中国が国家戦略として、日本市場を攻めるという動きではないだろう」と分析。「第一汽車にとってショールーム開設は中国の国内向けに『自動車王国・日本に上陸した』とのメッセージが出せる」との見方を示す。
脅威となるか
  ただ、中長期的に中国車が日本車の脅威となることはないのか。王氏はガソリン車では日本に追いつかないとの見方を示しつつ、「EVでは状況は変わるかもしれない」と自信をのぞかせた。モーターで走るEVは構造が簡易なため、中国が近年、国をあげて開発に注力しているためだ。
  二酸化炭素を排出しないEVは世界的に需要が高まっており、3年12月には京阪バスが京都市内の路線で、中国のEV大手「比亜迪(BYD)」のEVバスの運行を開始している。

  アジア経済に詳しい関西大の後藤健太教授は「大手の自動車メーカーが限られた企業間で自前の技術を擦り合わせて生産するガソリン車と異なり、EVは多様な企業の部品を組み合わせて生産する『モジュール化』が進んでいる」と指摘。日本企業はモジュール化が苦手で、家電などで中国企業にシェアを奪われた経緯があるとし、「EVにおいても、今後の対応が重要な課題となる」と警鐘を鳴らしている。(黒川信雄)


2022.12.01-産経新聞-https://www.sankei.com/article/20221201-37352Z24INPWHJYGBGDL7BDBNM/
時速194キロ死亡事故、危険運転への訴因変更請求 大分

  大分地検は1日、大分市で昨年2月に時速約194キロで乗用車を運転し死亡事故を起こしたとして、自動車運転処罰法違反(過失致死)罪で起訴していた男(21)について、より量刑の重い同法違反の危険運転致死罪への訴因変更を大分地裁に請求した。地裁が変更を認めれば、裁判員裁判で審理される。

  遺族が8月、訴因変更を求める上申書を地検に出し、10月には賛同する2万筆超の署名も提出。加藤良一次席検事は取材に「法と証拠に基づいて訴因変更請求に至った」と説明した。
  地検によると、男は昨年2月9日、法定速度60キロの県道交差点に、対向から右折した会社員、小柳憲さん=当時(50)=の車の進行を妨害する目的で、制御困難な約194キロで進入。小柳さんの車に衝突し、車外に投げ出させ死亡させたとしている。過失致死罪を予備的訴因とした。


2022.11.02-NHK NEWS WEB-https://www3.nhk.or.jp/news/html/20221102/k10013878191000.html
静岡 観光バス横転事故 発生時の時速約90キロ 操作ミス原因か

  先月、静岡県の富士山の5合目から下る道路で観光バスが横転した事故で、警察は事故発生時のバスの速度が制限速度の3倍の時速およそ90キロに達していたことを明らかにしました。警察はフットブレーキを使いすぎる操作ミスが原因で、ブレーキがきかなくなる「フェード現象」が起きたとみて当時の状況をさらに詳しく調べています。

  先月13日、静岡県小山町の富士山の5合目から下る県道で、日帰りツアーの乗客と乗員36人が乗った観光バスが横転し、乗客の74歳の女性が死亡し、26人が重軽傷を負いました。
  警察によりますと、ドライブレコーダーの映像や運行記録計を調べた結果、バスが県道沿いののり面に衝突した時点で、現場の制限速度である時速30キロの3倍の、時速およそ90キロに達していたということです。
  また、押収した車体を検証した結果、ブレーキの部品には摩擦の熱で生じたとみられる焼けたあとや「ヒートクラック」と呼ばれる亀裂が見つかったほか、バスがのり面に衝突する前に運転手がサイドブレーキをかけていたことも確認されたということです。
  警察は、急な下り坂でフットブレーキを使いすぎる操作ミスが原因でブレーキがきかなくなる「フェード現象」が起きたあと、運転手がサイドブレーキをかけたもののきかなかったとみて、当時の状況をさらに詳しく調べています。
  静岡地方検察庁沼津支部は逮捕されたバスの運転手を2日、処分保留のまま釈放しました。理由については明らかにしていません。検察は今後、在宅で捜査を続けるとしています。


2022.10.21-NHK NEWS WEB(東海news web)-https://www3.nhk.or.jp/tokai-news/20221021/3000025495.html
バス炎上事故 運転手 基準超の勤務繰り返す 行政処分検討

  名古屋市の高速道路でバスが横転・炎上し、乗客や運転手などあわせて9人が死傷した事故から22日で2か月です。
  事故の状況から当時運転手の体調に何らかの異変があった可能性があるとみられていますが運転手が事故前の数か月にわたり国の基準を超える長時間の勤務を繰り返していたことが関係者への取材でわかりました。

  中部運輸局はこうした勤務が、道路運送法違反にあたるとして、行政処分を行う方向で検討しています。ことし8月22日、名古屋市北区の名古屋高速道路で、県営名古屋空港に向かっていたバスが分離帯に衝突したあと、横転・炎上し、乗客と運転手の2人が死亡、乗客6人と後続車の1人がけがをしました。
  運転手がブレーキをかけたり、急なハンドル操作をしたりした形跡がなく、警察は運転手の体調に何らかの異変があった可能性があるとみています。
  一方、中部運輸局や愛知労働局では運転手の勤務などに問題がなかったか調べていますが運転手が事故前の数か月にわたり、国の基準を超える長時間の勤務を繰り返していたことが関係者への取材でわかりました。
  バスの運転手の勤務については厚生労働省の基準で業務の開始から終了までの「拘束時間」が原則1日13時間以内と定められていて延長した場合でも16時間を限度としています。しかし、事故を起こした運転手は、早朝から昼過ぎにかけてと夕方から夜遅くにかけて、名古屋駅と空港をあわせて10回近く往復し、1日16時間を超える勤務を月に複数回、少なくとも2か月にわたって続けていたということです。
  中部運輸局はこうした勤務が道路運送法違反にあたるとして会社に対し行政処分を行う方向で検討しています。一方、警察はこうした勤務が事故につながった可能性がないか事故原因について調べを進めています。
【バス会社「乗務員足りず無理が生じた」】
  事故を起こした運転手が勤務していた「あおい交通」の松浦秀則社長と野口営業所の服部直樹所長がNHKのインタビューに応じ、国の基準を超える勤務をさせていたことを認めた上で、「こうした運行計画をさせたのは私どもの責任だと思います。基準を超えてはいけないことはわかっていましたが、乗務員が足りずコロナもあるなかで、運行便数を減らさずにやり続けないといけないという使命感があり、無理が生じてしまった」などと説明しました。
  さらに事故の後、運転手の勤務を改善するため中部運輸局の指導に基づいて運行本数を減らすなどの対策を行ったということで松浦社長は「深く反省し徹底して対策に取り組みます。『絶対安全』で再発防止に努め、日本一安心安全なバス会社を目指します」などと話しました。


2022.10.14-日本経済新聞-https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUF1417L0U2A011C2000000/
タイヤ痕、ブレーキ作動か バス横転で運行会社を捜索
〔共同〕

  静岡県小山町の県道で観光バスが横転し、乗客1人が死亡、添乗員を含む計35人がけがをした事故で、現場に事故車両のものとみられるタイヤ痕が残っていたことが14日、捜査関係者への取材で分かった。

  自動車運転処罰法違反(過失傷害)容疑で現行犯逮捕された運転手、A容疑者(26)=埼玉県飯能市=が事故直前「ブレーキが利かない」と話すのを添乗員が聞いていたことが既に判明。静岡県警は、バスのフットブレーキが作動する一方、踏み方に問題があった可能性があるとみて、車体を詳しく調べる。
  県警は同日、過失致死容疑でA容疑者が勤務する「美杉観光バス」の本社と営業所(いずれも飯能市)を家宅捜索。健康状態や勤務状況などに関する資料を押収した。
  斉藤鉄夫国土交通相は14日の閣議後記者会見で「亡くなった方に心からお悔やみ申し上げる」と述べた。日本バス協会を通じ、安全運行に万全を期すよう全国の事業者に通知したことも明らかにした。
  県警によると、事故は13日午前11時50分ごろ発生。坂を下りる途中、道路左側ののり面に乗り上げて横転した。埼玉県入間市の枝川恵美子さん(74)が死亡し、残る35人全員が何らかのけがをした。枝川さんは右腕を激しく損傷しており、死因は出血多量などとみられる。A容疑者も足の痛みを訴えている。
  A容疑者は13日午前5時50分に同社で点呼を受け、同6時半ごろに出発。体温などに異常はなく、アルコールも検出されなかった。同7時半に埼玉県狭山市の狭山市駅でツアー参加者を乗せて富士山に向かった。〔共同〕


2022.10.13-NHKI NEWS WEB-https://www3.nhk.or.jp/news/html/20221013/k10013857391000.html
観光バス横転 乗客1人死亡35人けが 運転手“ブレーキきかず”

  13日昼前、静岡県小山町の県道で観光バスが横転する事故があり、警察によりますと、70代の乗客の女性1人が死亡し35人がけがをしました。
  捜査関係者によりますと、逮捕された20代の運転手は調べに対し「ブレーキがきかなくなった」などと供述しているということで警察が事故の状況を詳しく調べています。

  午前11時50分ごろ、静岡県小山町須走の県道で「大型の観光バスが横転した」と110番通報がありました。警察によりますと、このバスには運転手と添乗員、それに乗客の合わせて36人が乗っていて、このうちバスの乗客で埼玉県入間市の枝川恵美子さん(74)が死亡しました。また、35人がけがをし、このうち60代から80代の乗客の女性3人が大けがをしました。
  この事故で、警察は埼玉県飯能市の運転手、A容疑者(26)を過失運転傷害の疑いでその場で逮捕しました。調べに対し容疑を認めていて、捜査関係者によりますと「運転中にブレーキがきかなくなった」などと供述しているということです。観光バスは、旅行ツアーで乗客を乗せていたということで、警察は、バスが道路の左側にあるのり面に乗り上げて横転したとみて、事故の状況を詳しく調べています。
  現場は、小山町須走と、富士山中腹の須走口五合目の間の11.5キロをつなぐ片側1車線の県道です。
亡くなった女性の夫 “怒り震え止まらず なぜ事故が起きたのか”
  亡くなった埼玉県入間市の枝川恵美子さんの夫が取材に応じ「現実を信じることができず怒りからか体の震えが止まりません」と声を詰まらせながら話しました。
  今回の旅行について枝川さんの夫は「妻は、けさ友達と4人で出発しました。旅行は妻が計画し『富士山を見たい』とすごく楽しみにしていました。きのうは雨で中止にならないか心配していましたが行けることになって喜んでいました」と話しました。
  そして、事故については「妻が事故で亡くなったと連絡があり現実を信じることができず怒りからか体の震えが止まりません。友達も多くて明るい私にはもったいない妻です。何で事故が起きてしまったのでしょうか」と声を詰まらせながら話しました。
  旅行会社やバス会社に検査や特別監査事故を受け、観光庁は、安全が適切に確保されていたか確認するため、ツアーを主催した東京の旅行会社「クラブツーリズム」に、旅行業法に基づく立ち入り検査を行い、ツアーの行程表やバスの運行会社との契約書などの提出を求めたということです
  また国土交通省関東運輸局は、道路運送法にもとづいて13日夕方から、埼玉県飯能市にある「美杉観光バス」の特別監査を行っています。関東運輸局によりますと運行管や車両の状況などについて会社の記録の確認を進めているということです。
  旅行会社 “ツアーは日帰り 全国旅行支援対象”東京の旅行会社「クラブツーリズム」によりますと、事故で横転したバスを運行していたのは埼玉県の「美杉観光バス」だということです。
  今回のツアーは、「ふじあざみラインで行く!富士山五合目&駿河湾クルーズ」と題した日帰りのバスツアーで、11日に始まった「全国旅行支援」の補助事業の対象でした。
  ツアーは、13日午前7時半に埼玉県狭山市を出発し、入間市、飯能市の3か所で合わせて34人の乗客を乗せ、富士山5合目を目指して出発したということです。
  富士山須走口5合目を訪れたあとは、午前11時半ごろに昼食会場のある静岡県沼津市に向け出発し、駿河湾のクルーズなどを終えて午後6時20分ごろに狭山市に戻る予定でしたが、5合目から下っている途中でバスが横転したということです。
  バスには、ツアーに参加した乗客34人と、運転手1人、添乗員1人が乗っていたとしています。運行会社「バスは埼玉 狭山市を出発 富士山などに向かう予定」横転したバスを運行していた埼玉県飯能市のバス会社「美杉観光バス」は、NHKの取材に対し「バスは埼玉県狭山市にある西武新宿線の狭山市駅を午前7時半に出発した。
  富士山の5合目や静岡県沼津市に向かう予定だった。事故の詳細については現在、調べている最中でコメントできない」と話しています。運行会社 “運転手は入社から数年 前日も勤務に問題なし”会社によりますと、過失運転傷害の疑いで逮捕された運転手は、入社してから数年で、この会社に入社する前も別の会社でバスの運転手をしていたということです。
  13日朝に、出発前に点検した際の状況について「アルコールをはじめ、睡眠時間や顔色、血圧、体温に異常はなかった」と話しているほか、12日もバスの運転業務をしていたということですが、勤務に問題はなかったということです。
現場は「ふじあざみライン」
  バスが横転した現場は、静岡県小山町須走と富士山中腹の須走口五合目の間の11.5キロをつなぐ片側1車線の道路、県道足柄停車場富士公園線、通称「ふじあざみライン」です。
  県によりますと、今の時期は富士山は閉山していますが、景色を眺めたり、営業中の山小屋で土産物を買ったりするために五合目を訪れる観光客が多いということです。
バスが道路を塞ぐように横転
  NHKのヘリコプターが静岡県小山町の上空から撮影した映像では、バスが道路を塞ぐように横転し、フロントガラスが割れているほか、前方の左側部分が大きく壊れている様子が確認できます。
  周辺には複数の救急車やパトカーが見え、消防隊員や警察などが現場の様子を詳しく確認しています。道路脇ではバスから避難した乗客とみられる人たちが、毛布をかけられた状態でブルーシートの上に座っている様子も確認できます。
  道路は小山町の中心部から富士山の須走口五合目に向かう県道で、カーブが連続しています。


2022.10.05-産経新聞-https://www.sankei.com/article/20221005-VSUSX5TKAZP5RCGANFCUMEV3LY/
HVも禁止で日本車メーカー対応加速 米国の規制想定以上
(黄金崎元)

  米西部カリフォルニア州に続き、東部ニューヨーク州も脱炭素化に向けて、ガソリン車やディーゼル車の新車販売を2035年までに禁じる方針を示した。トヨタ自動車など国内メーカーが得意とするハイブリッド車(HV)も販売禁止の対象となる。主要都市を抱える両州がガソリン車の禁止を打ち出したことで、こうした動きが全米に広がる可能性もある。日本の自動車メーカーは、対応の加速が求められている。

  ニューヨーク州のホークル知事は9月29日、温室効果ガスを排出しないゼロエミッション車(ZEV)の割合を段階的に引き上げる方針を示した。電気自動車(EV)の購入補助にも言及し、ZEVへの移行を促進する姿勢を強調した
  米国では8月にカリフォルニア州でも同様な規制案を決定。バイデン米政権も8月にEVの購入促進策を盛り込んだインフレ抑制法を成立させ、欧州や中国だけでなく、米国でもEVシフトが加速してきた。
  国内メーカーの関係者からは「想定以上に動きが速く、後れを取らないようにしないといけない」と米国のEVシフトの速さを懸念する声も出ている。
  カリフォルニアとニューヨーク両州の規制案にはHVがZEVとして認められておらず、国内メーカーには痛手となる。北米は国内勢にとって重要なマーケットで、21年度の大手6社の合計した販売台数は世界販売の約3割を占める
  HVが販売禁止となるため、国内勢は対応を迫られるが、三菱総合研究所サステナビリティ本部の志村雄一郎主席研究員は「(外部から充電できる)プラグインハイブリッド車(PHV)の販売を拡大することになる」と分析する。

  規制案にはPHVがZEVに含まれている国内勢はHVからPHVに切り替えて販売展開することになりそうだ。ただ、志村氏は「PHVは蓄電池の容量が大きくなるため、特に米国内の調達が課題になる」と指摘する。
  両州の規制で最も影響を受けそうなのがHVに強みを持つトヨタだ。同社はEVだけでなく、地域に応じて、HVや水素、バイオ燃料車など全方位で脱炭素化に取り組む戦略を取る。

  ロイター通信によると、豊田章男社長は9月29日にラスベガスで行われたメディアのインタビューで、カリフォルニア州の規制について、(業界が)基準を満たすのは難しいとの見解を示した。
  HVの販売禁止の動きが全米に広がることになれば、各社はさらに戦略の見直しを迫られそうだ。(黄金崎元)


2022.09.28-読売新聞-https://www.yomiuri.co.jp/local/chubu/feature/CO049151/20220928-OYTAT50000/
空飛ぶクルマ 時速100キロ

スカイドライブ 実用化へ新機種
  トヨタ自動車出身者らが設立した新興企業「スカイドライブ」(愛知県豊田市)は、2025年大阪・関西万博での実用化を目指す「空飛ぶクルマ」の新機種「SD―05」(全長9・4メートル)を発表した。パイロットを含めた2人乗りで、最高速度は時速約100キロになる。福沢知浩社長は記者会見で「(既存の公共交通機関を使うよりも)圧倒的に早く、快適な移動や雄大な景色が見える体験を省エネで実現できる」と強調した。

   新機種はドローンのような形状で、垂直に離着陸でき、航続距離は最大10キロ程度を見込む。騒音をヘリコプターの3分の1程度に抑え、万博会場周辺で乗客が手軽に乗れる「エアタクシーサービス」の実現を目指す。
   万博の開催後は、公共交通機関が整備されていない地域での輸送や救急現場などでの活用を想定する。
   同社は機体開発費などを賄うため、関西電力や近鉄グループホールディングス、三菱UFJ銀行など13社から計96億円を調達したことも発表した。


2022.09.11-JB press-https://jbpress.ismedia.jp/articles/-/71761
一般道を時速194キロで爆走して死亡事故、なぜこれが「危険運転」じゃない
(1)
無謀運転の犠牲となった被害者の遺族が訴え「過失ではなく危険運転で裁きを

  法定速度が時速60キロの一般道で、時速194キロというスピードを出し、死亡事故を起こした運転手の行為は「過失」なのか? それとも「危険運転(=故意)」として裁かれるべきなのか……。
  昨年、大分市内で起こった事故をきっかけに、今、「危険運転致死傷罪」の構成要件と検察の判断の是非について、大きな議論が湧き上がっています
県警は「危険運転致死罪」の疑いで送検したが
  交差点を直進中だったA(当時19歳)の車と、対向車線から右折しようとした小柳憲さん(当時50)の車が衝突し、両車は大破。約90メートル飛ばされた小柳さんの車は、その衝撃でシートベルトが切断され、車外へ放出された小柳さんは約2時間半後、出血性ショックで死亡しました。

  Aも重傷を負いましたが、命に別状はありませんでした。
  この事故は2021年2月9日、午後11時頃、通称「40メートル道路」と呼ばれている片側3車線の直線道路で発生しました。
【事故の概要を伝える記事】
一般道で時速194kmの死亡事故が「過失」ですか? 大分地検の判断に遺族のやり切れぬ思い(柳原三佳: Yahoo!ニュース 個人)
https://news.yahoo.co.jp/byline/yanagiharamika/20220814-00310177

  交差点での右直事故の場合、一般的には右折車の側に重過失が問われます。しかし、本件の捜査に当たった大分県警は、直進車のAが制御困難な高速度で右折車に衝突したと判断し、2021年5月7日、「自動車運転処罰法違反(危険運転致死)」の疑いで、大分家庭裁判所に送致。同家裁は、大分地検への送致(逆送)を決定しました。
  その後、BMW社による調査でも、A車は事故時に時速194キロのスピードを出していたことが明らかになっています。
  ところが、事故から約1年半後の2022年7月22日、大分地検はAをより罪の軽い過失運転致死罪』で起訴したのです。
(2)
危険運転致死罪になる証拠がない?
  遺族はこのとき、検察から次のような説明を受けたと言います。
  「検事は、『Aは直線道路をまっすぐに走行しており、危険運転致死罪と認定し得る証拠がなかった』と言いました。また、『時速194キロで危険運転という判決にならなかったら、それが前例になるので最初から闘わない』とも……。でも、事故現場の道路は、アウトバーンではありません。法定速度60キロの、交差点や信号機もある一般道です。そのような道で時速194キロも出して、とっさに危険を避けられるのでしょうか。今の法律には、『安全に止まる=制御という点については含まれておらず、論点にもならないようで、愕然としました
  ちなみに、「危険運転致死傷罪」にあたる6つの構成要件は以下の通りです
1)『酩酊危険運転』
  アルコールや薬物の影響で正常な運転が困難な状態で車を走行させる行為
2)『高速度危険運転』
  運転の制御ができないほどの速度で車を走行させる行為
3)『技能欠如危険運転』
  無免許など、技術がない状態で車を走行させる行為
4)『通行妨害目的危険運転』
  人や車の通行を妨害する目的で、幅寄せや割り込みなどを行い、かつ、重大な交通の危険を生じさせる速度で車を運転する行為
5)『信号無視危険運転』
  赤信号などを、ことさら無視し、かつ、重大な交通の危険を生じさせる速度で車を運転する行為
6)『通行禁止道路危険運転』
  通行禁止道路を進行し、かつ、重大な交通の危険を生じさせる速度で車を運転する行為

  以上のような危険な運転行為をして、人を負傷させ、裁判で「危険運転致死傷罪」にあたると判断された場合は、その運転者に対して、15年以下の懲役。人を死亡させた場合は、1年以上の有期懲役(20年以下)が科せられます。

  今回の事故では、Aの行為が、2)の「高速度危険運転」にあたるかどうかが問題となるわけですが、先にも書いた通り、検察は「まっすぐに走れていた」ことを理由に、「制御できないほどの速度とは言えない」と判断し、「過失運転致死傷罪」で起訴しました。「過失」の場合、懲役は最高でも7年以下となり、「危険運転」と比べると、罪の重さには大きな差が生じます。
(3)
危険運転への訴因変更を求めて署名活動
  「過失運転致死罪」での起訴に納得できなかった遺族は、8月14日(日)、大分市内で緊急の記者会見を開きました。それをきっかけに、新聞やテレビが一斉にこの事故を報じ始め、現在、ネット上でも大きな反響を呼んでいます
  アップされている意見の多くは、「何のために法定速度があるのか?」「まっすぐに走れても、危険を回避できなければ意味がない」「右折車から見れば、194キロの猛スピードで迫ってくる対向車を予見することは不可能」といった内容が大半で、一般道における「時速194キロ」に対する大分地検の判断と一般市民の感覚には、大きな乖離があることを実感させられます。

  9月上旬、小柳さんの遺族は刑事裁判の初公判を前に、署名活動を開始し、大分地検に対して「危険運転致死罪」への訴因変更を求めています。
『一般道で時速194キロは「過失」ですか?』と題した署名用紙(https://www.mika-y.com/signature/signature.pdf)には、次のように記されています。

  <元少年は、乗り始めたばかりのドイツ製の車が「何キロまで出るのか試したかった」、「以前にも猛スピードを出したことがある」と述べています。現場にはブレーキ痕が無く、被害車両はノーブレーキで衝突されて大破しています。ところが貴庁は、加害者が時速60キロの法定速度の3倍を超える高速度を出していても「まっすぐに走っていたから車を制御できていた。『危険運転』には当たらない」と説明されました。
  しかし、私たち遺族は、身勝手な動機によって法を無視し、挙句の果てに引き起こされた本件のような死亡事故が、「過失」、すなわち不注意によるものとして裁かれるのはおかしいと思えてなりません。どうか必要な補充捜査をしていただいた上で、起訴罪名を危険運転致死罪に変えてくださるよう、お願い申し上げます。>

  2022年9月18日(日)、19日(祝)には、小柳さんの遺族や友人、地元の被害者支援グループ、危険運転で我が子を失った交通事故遺族らによる街頭署名も予定されています。いずれの日も10時から17時まで、大分駅北口側(セントポルタアーケード前)と祝祭広場前の歩道にて行われる予定です。
小柳さんの遺族は語ります。
  「時速194キロでの走行が『過失』であるという判例を残さないためにも、刑事裁判では『危険運転致死罪』の可能性についても検討していただきたいと思っています。そして、今後この問題を広く世間に訴えながら、法律の専門家の方々にも意見を求めていく予定です皆さんにもぜひ一緒に考えていただければと思います」


アトム法律事務所-https://atombengo.com/column/10318
ひき逃げ事故は重大な刑事罰を科せられる可能性の高い犯罪です。

  被害者が死亡してしまうケースも少なくありません。被害者や遺族へ損害賠償を支払う義務が生じることはもちろんし、「すぐに通報してくれれば早く治療できて助かったかもしれないのに」という怒りから厳しい処罰も求められるでしょう。
  ひき逃げ事件も「時効」が適用されるので、長い月日が経過すると賠償請求されなくなったり処罰を受けなくなる可能性はあります。
  今回はひき逃げ事件の時効をパターンごとに紹介し、加害者が取るべき対応を解説します。

ひき逃げ(救護義務違反)とは
  ひき逃げとは、人身事故を起こした加害者が被害者を救護せずに逃げてしまう犯罪です。
  交通事故を起こしたら、加害者は必ず現場で被害者を救護し周辺の危険を除去しなければなりません(道路交通法72条1項前段)。こうした救護義務を果たさずに加害者が立ち去ると、救護義務違反として重い処罰を受けます。
  ところが実際には、事故を起こしてしまったことで気が動転してしまい、救護義務を果たさずにその場を離れてしまう加害者も少なくありません。また、もしかしたら人身事故を起こしてしまったかもしれないと思いつつも、信じたくない気持ちからその考えを否定し、動物やモノにぶつかっただけだと解釈してそのまま走り去ってしまうケースもあります。
  このような加害者が救護義務違反をせずに立ち去る交通事故全般を「ひき逃げ」や「ひき逃げ事故」といいます。
  ひき逃げには被害者がけがをした場合も死亡した場合も含まれますが、被害者が死傷しなかった場合(物損事故)にはひき逃げ事故になりません。
  ひき逃げについてより詳しく知りたい方は『ひき逃げ事件を弁護士が解説』のページもご覧ください。

ひき逃げの時効は2種類
  ひき逃げには「時効」が適用されます。時効は大きく分けて刑事事件の時効と民事上の賠償責任についての時効の2種類があるので、以下でみてみましょう。
公訴時効(刑事事件の時効)
  1つ目は「公訴時効」とよばれるものです。これは「加害者を起訴して刑罰を与えるための時効」です。公訴時効が完成すると加害者を起訴することができなくなるので処罰されません。公訴時効は「刑事事件の時効」と考えるとわかりやすいでしょう。
刑事事件になぜ時効があるか
  刑事事件に時効がある理由はいくつかありますが、大きな理由としては時間の経過とともに正確な証拠を集めることが困難になり、正しい裁判を行うことができなくなってしまうことが挙げられます。また、実際上も、証拠資料を保管し、人員を投入し、捜査体制を永遠に維持し続けるにはどうしても限界が生じるでしょう。
  しかし、 犯罪被害者や遺族の声の高まりや、古い証拠からであっても正確に犯人を特定できるような科学技術の進歩に伴い、殺人などの「人を死亡させた罪であつて死刑に当たる罪」 については2010年に公訴時効が廃止されました。
  ただしひき逃げについては、時効廃止の要望も強くあるものの、他の犯罪との均衡などの観点から時効廃止には至っていません
民事損害賠償の時効
  被害者やその遺族はひき逃げによって生じた損害を加害者に賠償請求することができますが、この民事損害賠償にも時効があります。
    ・治療費  ・休業損害  ・入院付添費  ・交通費 ・介護費用  ・慰謝料  ・逸失利益
  こういった賠償金の請求権には「民事の時効」が適用されます。ひき逃げの損害賠償の時効は、基本的に「交通事故発生と加害者を知ったときから5年です
  (民法724条2号)。(※ 2020年4月1日改正)。
  2020年3月31日以前の事故については、「交通事故発生と加害者を知ったときから3年」です。被害者がひき逃げ犯人を知らない限り時効が進行しないので、交通事故後3年5年が経過しても必ずしも責任を免れることはできません。
ひき逃げで成立する犯罪
  時効期間は成立する犯罪によって変わってきます。ひとくちに「ひき逃げ」といってもその態様によって成立する犯罪に違いがありますのでまずは「ひき逃げ」で成立する犯罪を確認しましょう。
  「ひき逃げ」で成立する犯罪には、道路交通法違反の罪と、自動車運転処罰法違反の罪の2種類があります。
道路交通法違反
  救護義務や警察への報告義務、飲酒運転禁止や制限速度などの運転者の義務違反についての罪は道路交通法に定められています。救護義務違反(ひき逃げ)はこちらに含まれます。
  加害者の運転が原因で相手を死傷させた事故では、救護義務違反の罰則は「10年以下の懲役または100万円以下の罰金」です(道交法72条1項前段、117条2項)。
自動車運転処罰法違反
  不注意によって交通事故を起こし、被害者を死傷させてしまったことについて成立する犯罪です。主に以下の2種類の犯罪類型があります。無免許の場合はさらに重い罪が科せられます。
過失運転致死傷罪
  一般的な不注意によって交通事故を起こし、被害者を死傷させたときに成立する罪です。刑罰は「7年以下の懲役もしくは禁錮または100万円以下の罰金刑」とされています。
危険運転致死傷罪
  意とも同視できるほどの悪質な過失や故意によって交通事故を起こし、被害者を死傷させたときに成立する罪です。被害者がけがをした場合と死亡した場合とで刑罰が異なります。
    被害者がけがをした場合…15年以下の懲役
    被害者が死亡した場合…1年以上の有期懲役

道路交通法違反と自動車運転処罰法違反の関係
  不注意による事故で人を死なせてしまい、さらに救護義務も怠る(=ひき逃げをする)と、過失運転致死傷罪と救護義務違反の罪が両方成立します。
  この場合両者は併合罪と呼ばれる関係になり、重い罪の長期1.5倍の刑(罰金の場合は両方の罪の合計)が科されます。

  過失運転致死傷罪:「7年以下の懲役もしくは禁錮または100万円以下の罰金刑」
  救護義務違反:「10年以下の懲役または100万円以下の罰金」

  ↓ 両方が成立すると刑は…過失運転致死傷のひき逃げ「15年以下の懲役または200万円以下の罰金」
ひき逃げの公訴時効
  公訴時効は「人を死なせたかどうか」と「法定刑の重さ」によって刑事訴訟法250条でその期間が定められています
  ひき逃げ事故の公訴時効は「被害者が死亡したかケガをしたのか」「加害者に過失運転の罪が成立するのか危険運転の罪が成立するのか」によっても大きく異なるため、ケースごとに正しく計算しなければなりません。
被害者が死亡した場合
  加害者の運転によって被害者を死亡させたひき逃げ事件の公訴時効期間は以下のとおりです。

  加害者に過失運転致死罪が成立する場合には公訴時効は10年、危険運転致死罪が成立すると公訴時効は20年救護義務違反そのものの時効はどちらにしても7年間にとどまります。
  たとえば、過失運転致死のひき逃げでは、7年が経過すると救護義務違反については公訴時効が成立しますが、10年経過するまでは過失運転致死罪の責任を問うことはできます。
被害者が死亡しなかった場合
  たとえば、過失運転致傷のひき逃げでは、5年が経過すると過失運転致傷罪については公訴時効が成立しますが、7年経過するまでは救護義務違反の責任を問うことはできます。
無免許運転の場合
  無免許運転の場合、刑罰が加重されるため公訴時効期間も延長されます。

救護義務違反(ひき逃げ)の時効と交通事故自体の時効は違うことに注意
  ひき逃げ事件ではひき逃げの時効(救護義務違反の時効)」と 「交通事故の時効」 が異なることには注意が必要です。
  ひき逃げの時効は7年で成立しますが、その後も過失運転致罪や危険運転致傷罪の時効は成立しません。数年間はこれらの罪で起訴される可能性があります。
  特に危険運転致死罪が成立すると、公訴時効は20年となり非常に長期になります。ひき逃げをしたまま罪を免れようと思っても、厳しい状況といえるでしょう。

  実際に死亡事故の検挙率は100%に近くなっており極めて高いので、逃げ切るのは困難な状況です。

ひき逃げしてしまったときの対処方法
  もしもひき逃げをしてしまったら、どのように対処すればよいのでしょうか?
自首する、任意出頭する
  ひき逃げをしたら、警察へ自首するようお勧めします。
  自首とは犯罪が発覚する前に犯人が自ら捜査機関へ罪を申告すること。ひき逃げが明るみになる前であれば、自首によって刑罰を減軽してもらえる可能性が高くなります。自首が成立すると、刑罰が任意的に減軽されることになっているためです。
  一方、ひき逃げの犯人であることが明らかになっていると自首は成立しません。その場合でも、任意で出頭したことによって情状が良くなる効果を期待できるので、逮捕される前に出頭しましょう。
時効の成立を待つのはおすすめできない
  ひき逃げした場合、隠れたまま公訴時効を待とうと考える方もいるかもしれません。 確かに自首や任意出頭せずに時効が成立したら処罰を受けずに済みます。しかし時効の成立を待つのは得策とはいえません。
  犯罪白書(令和元年版)によれば、ひき逃げの検挙率は2018年には60.8%、なかでも死亡事故の検挙率は97.7%です。近年はドライブレコーダーの需要も高まっており、ひき逃げの検挙率は年々上昇を続けています。逃げることは賢明ではありません
  また、いつ何時警察に逮捕されるかわからない状態になるので、何年もの間隠れて生活しなければならないのは大変です。ある日突然警察がやってきて逮捕されてしまうリスクと隣り合わせの生活になります。人生の貴重な期間をおびえながらの生活に費やしてしまうのは大きな損失となるでしょう。
  そして、逃げた場合には逮捕されたときの情状も悪くなり、より重い刑罰を科される可能性が高くなります。
  時効の成立を期待するよりも自ら罪を申告することが、誠実な対応といえますし、自身が受ける不利益も最小限で済む可能性が高いです
弁護士へ相談する
  「パニックになり事故現場から走り去ってしまった」 「もしかしたらひき逃げをしてしまったかもしれない」
  このようなお悩みで、どうすればよいか迷っているなら、まずは弁護士に相談してみてください。

  自首のメリットやデメリットを教えてもらえるので、本当に自首して良いものか正しく判断できます。自首する際にも弁護士に同行してもらえますし、そのことで「確実に自首した」証拠を残し、刑の減免を受けやすくする効果も期待できるでしょう。
  被害者との示談交渉や刑事弁護も依頼できて、結果的に最も良い方向で解決できる可能性を大きく向上させられます。
  刑事事件の被疑者(容疑者)が可能な限り不利益を小さくするには、法律的な知識と刑事弁護のスキルを持った弁護士に対応してもらうことが極めて重要といえるでしょう。
  事故を起こしたくて起こす人はまずいませんし、とっさの事故では冷静かつ適切に対応することはなかなか難しいものです。人間ですから弱い心もあります。逃げてしまいたくなることもあるでしょう。
  しかし、起こしてしまった事故や被害者とはしっかりと向き合わなければなりません。弁護士はそのためのサポートをすることができます。一人では向き合うことが難しくても、心強い味方がいればそれだけで違うでしょう。アトム法律事務所の弁護士はあなたの絶対的な味方です

  当事務所では、刑事事件の加害者への刑事弁護に非常に熱心に取り組んでいます。ご相談内容が他に漏れる心配はありません。ひき逃げで被害届を出され取り調べや呼び出しを受けた方はもちろんのこと、まだ発覚していない方からのご相談も受け付けています。不安な毎日から解放されるためにも、まずは一度お気軽にご相談ください。







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